JP2000044935A - 撥水処理法、撥水性粉末の製造方法、撥水性塗料、鏡面保護用撥水被膜、透明部材用保護撥水被膜、着氷着雪防止用撥水被膜及び建築物の外壁保護用撥水皮膜 - Google Patents

撥水処理法、撥水性粉末の製造方法、撥水性塗料、鏡面保護用撥水被膜、透明部材用保護撥水被膜、着氷着雪防止用撥水被膜及び建築物の外壁保護用撥水皮膜

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JP2000044935A
JP2000044935A JP10218748A JP21874898A JP2000044935A JP 2000044935 A JP2000044935 A JP 2000044935A JP 10218748 A JP10218748 A JP 10218748A JP 21874898 A JP21874898 A JP 21874898A JP 2000044935 A JP2000044935 A JP 2000044935A
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hafnium
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repellent coating
sol
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JP10218748A
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Riichi Nishide
利一 西出
Shunichi Toida
俊一 樋田
Hideo Matsuzaki
秀夫 松崎
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Original Assignee
NISSHO IWAI CHEMICAL KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大型装置が不要であり大型基材にも容易に
適用できる撥水処理法、撥水性粉末の製造方法、撥水性
塗料、鏡面保護用撥水被膜、透明部材用保護撥水被膜、
着氷着雪防止用撥水被膜、及び建築物外壁保護用撥水皮
膜を提供する。 【解決手段】基材の表面に、酸化ハフニウムを主成分と
する撥水性被膜を形成する撥水処理法、前記酸化ハフニ
ウムである撥水性粉末の製造方法、前記破水性粉末を含
有する撥水性塗料、前記撥水性皮膜を用いた鏡面保護用
撥水被膜、透明部材用保護撥水被膜、着氷着雪防止用撥
水被膜、及び建築物外壁保護用撥水皮膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥水処理法、撥水
性粉末の製造方法、撥水性塗料、鏡面保護用撥水被膜、
透明部材用保護撥水被膜、着氷着雪防止用撥水被膜及び
建築物の外壁保護用撥水皮膜に関し、具体的には、ガラ
ス系材料から形成された基材、金属系材料から形成され
た基材、及びセラミックス系材料から形成された基材か
らなる群から選択された基材の表面に撥水性を付与する
方法、撥水性を有する粉末の製造方法、撥水性粉末を用
いて建造物等の外表面に撥水性を付与することのできる
塗料、鏡面の傷つきを防止するとともに水や蒸気により
容易に曇ることのない鏡面保護用撥水被膜、ガラスのよ
うな透明部材の表面を保護すると共に撥水性を付与する
ことのできる透明部材保護撥水性被膜、電線、屋根瓦及
び碍子等の基板表面に着氷するのを有効に防止すること
ができ、しかも撥水性を付与することのできる着氷着雪
防止用撥水性被膜、及び建築物の外壁を保護すると共に
撥水性を付与することのできる建築物の外壁保護用被膜
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
の窓ガラス、塗装表面、及び鏡等においては、近年、曇
り止めの目的で各種の撥水処理法が行われるようになっ
てきた。前記撥水処理法としては、例えば、低分子フッ
素化合物及びフッ素樹脂等を、ガラス板、金属板、及び
金属線等の各種基材の表面に塗布又は化学蒸着する等の
方法が知られていた。
【0003】他には、例えばゾル−ゲル法で形成された
SiO2−TiO2被膜の表面に撥水剤をコートする撥水
処理法が知られていた。
【0004】しかし、前記撥水処理法で得られた撥水性
被膜は、形成された撥水性被膜の耐熱性及び剥がれ難さ
の点で必ずしも十分ではなかった。
【0005】さらに、真空蒸着法、スパッタ法、又は化
学蒸着法によって前記基材の表面にイットリイウム酸化
物からなる撥水性被膜を形成する撥水処理法が提案され
た。
【0006】しかし、前記撥水処理法には、撥水性被膜
を形成するのに大がかりな装置が必要であるという問題
点、及び自動車のフロントガラス等のように大きな基材
には適用が困難であるという問題があった。
【0007】一方、自動車のフロントグラス、サイドミ
ラー、浴室の鏡等には水滴のつかないこと、或いは曇り
が生じないことが望まれている。しかしながら、今まで
のところ、長期間に亘って有効な曇り止めが開発されて
いない。
【0008】また、送電線鉄塔に取り付けられた碍子、
雪国における家屋に葺かれた屋根瓦等に雪、氷が付着し
ないことが望まれている。しかしながら、今までのとこ
ろ、長期間に亘って有効な着氷着雪防止剤が開発されて
いない。
【0009】さらに、建築物の外壁は通常、コンクリー
ト類又はセラミックス等の多孔質素材によって形成され
ている。これら多孔質素材で形成された建築物の外壁
は、雨及び雪によって酷く汚れることが多い。したがっ
て、建築物の外壁にも撥水性を付与し、雨及び雪等によ
って汚れず、又雨及び雪によって付着した汚れが容易に
落ちるようにすることが望まれている。しかしながら、
今までのところ、長期間に亘って有効な建築物用の外壁
保護用撥水剤は開発されていない。
【0010】本発明は、従来の撥水処理法の有する問題
点を解決し得る撥水処理法を提供することを目的とす
る。
【0011】本発明は、撥水性の付与が要求される各種
の部材に撥水性を付与する成分となり得る撥水性粉末の
製造方法を提供することを目的とする。
【0012】本発明は、撥水性の付与が要求される各種
の部材の表面に形成することのできる撥水性塗膜を与え
ることのできる撥水性塗料を提供することを目的とす
る。
【0013】本発明は、鏡面に曇り等を発生させず、し
かも透明な保護膜として使用される鏡面保護用撥水被膜
を提供することを目的とする。
【0014】本発明は、ガラス、透明プラスチック樹脂
等の透明部材の表面を保護するとともに、その透明部材
の表面に撥水性を付与することのできる透明部材用保護
撥水被膜を提供することを目的とする。
【0015】本発明は、着雪或いは着氷を防止する必要
のある部材の表面に着雪防止或いは着氷防止の機能を付
与することができ、しかもそのような部材の表面を保護
する着氷着雪防止用撥水被膜を提供することにある。
【0016】本発明は、コンクリートおよびセラミック
ス等の多孔質素材により形成された建築物の外壁に撥水
性を付与することのできる建築物の外壁保護用撥水被膜
を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決すること
を目的とする本発明は、(1) ハフニウム化合物を加水
分解して得られるゾルを基板上に塗布し、焼成すること
を特徴とする撥水処理法であり、(2) ハフニウム化合
物を加水分解して得られるゾルから液体成分を除去して
得られるゲル粉末を焼成することを特徴とする撥水性粉
末の製造法であり、(3) ハフニウム化合物を加水分解
して得られるゾルから液体成分を除去して得られるゲル
粉末を焼成することにより得られる撥水性粉末を含有す
ることを特徴とする撥水性塗料であり、(4) 前記撥水
処理法における好適な基材は、ガラス系材料から形成さ
れた基材、金属系材料から形成された基材、及びセラミ
ックス系材料から形成された基材からなる群から選択さ
れた基材であり、(5) 酸化ハフニウムで形成されてな
ることを特徴とする鏡面保護用撥水被膜であり、(6)
酸化ハフニウムで形成されてなることを特徴とする透明
部材保護用撥水被膜であり、(7) 酸化ハフニウムで形
成されてなることを特徴とする着氷着雪防止用撥水被膜
であり、及び(8) 酸化ハフニウムで形成されてなるこ
とを特徴とする建築物の外壁保護用撥水被膜である。
【0018】
【発明の実施の形態】前述のように、本発明の撥水処理
法は、基材の表面に酸化ハフニウムを主成分とする撥水
性被膜を形成する工程を有する。
【0019】前記撥水性被膜は、例えば水と反応してハ
フニウム酸化物のゾルを形成するゾル形成ハフニウム化
合物からゾルを調製し、前記ゾルを基材の表面に塗布
し、前記ゾルを焼成することにより形成される。 1.ゾル調製 前記ゾルは、ゾル形成ハフニウム化合物を所定量の水と
反応させることにより調製することができる。後述する
ように、このとき、ゾル形成ハフニウム化合物と水との
反応を促進させる目的で、触媒として酸又は塩基を用い
ることができる。
【0020】前記ゾル形成ハフニウム化合物としては、
水と反応してハフニウム酸化物のゾルを形成するハフニ
ウム化合物を挙げることができる。
【0021】前記ゾル形成ハフニウム化合物としては、
具体的には、ハフニウムハロゲン化物、ハフニウム亜ハ
ロゲン酸塩、ハフニウム次亜ハロゲン酸塩、ハフニウム
ハロゲン酸塩、ハフニウム過ハロゲン酸塩、ハフニウム
無機酸塩、ハフニウム有機酸塩、ハフニウムアルコキシ
ド、及びハフニウム錯体からなる群から選択されたハフ
ニウム化合物を挙げることができる。
【0022】ハフニウムハロゲン化物としては、例え
ば、四フッ化ハフニウム、四塩化ハフニウム、四臭化ハ
フニウム、及び四沃化ハフニウム、三フッ化ハフニウ
ム、三塩化ハフニウム、三臭化ハフニウム、及び三沃化
ハフニウム、並びに二フッ化ハフニウム、二塩化ハフニ
ウム、二臭化ハフニウム、及び二沃化ハフニウムを挙げ
ることができる。
【0023】ハフニウム次亜ハロゲン酸塩としては、次
亜塩素酸ハフニウム、次亜臭素酸ハフニウム、及び次亜
沃素酸ハフニウム等を挙げることができる。
【0024】ハフニウムハロゲン酸塩としては、塩素酸
ハフニウム、臭素酸ハフニウム、及び沃素酸ハフニウム
等を挙げることができる。
【0025】ハフニウム過ハロゲン酸塩としては、過塩
素酸ハフニウム、過臭素酸ハフニウム、及び過沃素酸ハ
フニウム等を挙げることができる。
【0026】ハフニウム無機酸塩としては、例えば硝酸
ハフニウム及び硫酸ハフニウム等を挙げることができ
る。
【0027】ハフニウム有機酸塩としては、Hf(OC
OR14で示されるモノカルボン酸塩、Hf(OCOR
2COO)2(R2は、炭素数1〜20の直鎖状アルキレ
ン基、分岐状アルキレン基、及び環状アルキレン基、並
びに炭素数6〜20の芳香族基)で示されるジカルボン
酸塩、並びにHf(OH)2(OCOR32、HfO
(OH)(OCOR32、Hf2O(OH)(OCO
35、及びHf43(OCOR310の何れかの一般
式で示されるカルボン酸ハフニル(以上の化学式におい
て、R3は、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、分岐
状アルキル基、環状アルキル基、及び並びにアラルキル
基、並びに炭素数6〜20の芳香族基からなる群から選
択される基を示す。)を挙げることができる。
【0028】モノカルボン酸塩としては、酢酸ハフニウ
ム、プロピオン酸ハフニウム、酪酸ハフニウム、吉草酸
ハフニウム、カプロン酸ハフニウム、ヘプタン酸ハフニ
ウム、オクタン酸ハフニウム、ノナン酸ハフニウム、デ
カン酸ハフニウム、ミリスチン酸ハフニウム、パルミチ
ン酸ハフニウム、及びステアリン酸ハフニウム等を挙げ
ることができる。
【0029】ジカルボン酸塩としては、蓚酸ハフニウ
ム、及び琥珀酸ハフニウム等を挙げることができる。
【0030】カルボン酸ハフニルとしては、酢酸ハフニ
ル、プロピオン酸ハフニル、酪酸ハフニル、吉草酸ハフ
ニル、カプロン酸ハフニル、ヘプタン酸ハフニル、オク
タン酸ハフニル、ノナン酸ハフニル、デカン酸ハフニ
ル、ミリスチン酸ハフニル、パルミチン酸ハフニル、及
びステアリン酸ハフニル等を挙げることができる。
【0031】ハフニウムのアルコキシドとしては、Hf
(OR44(R4は、炭素数1〜20の直鎖状アルキル
基、分岐状アルキル基、シクロアルキル基、及び並びに
アラルキル基、並びに炭素数6〜20の芳香族基からな
る群から選択される基を示す。)で示される化合物を挙
げることができる。
【0032】ハフニウム錯体としては、例えばジケトン
錯体、ジケトン錯体ハロゲン化物、及びジケトン錯体無
機酸塩等を挙げることができる。
【0033】ジケトン錯体としては、例えば、アセチル
アセトンハフニウム、アセト酢酸ハフニウム、1,3−
プロパンジオンハフニウム、1,3−ジフェニル−1,
3−プロパンジオンハフニウム、1−フェニルプロパン
ジオンハフニウム、及びトロポロンハフニウム等を挙げ
ることができる。
【0034】ジケトン錯体ハロゲン化物としては、アセ
チルアセトンハフニウム塩化物、アセト酢酸ハフニウム
塩化物、1,3ープロパンジオンハフニウム塩化物、
1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオンハフニウ
ム塩化物、1−フェニルプロパンジオンハフニウム塩化
物、及びトロポロンハフニウム塩化物等のジケトン錯体
塩化物、アセチルアセトンハフニウム臭化物、アセト酢
酸ハフニウム臭化物、1,3ープロパンジオンハフニウ
ム臭化物、1,3ージフェニル−1,3−プロパンジオ
ンハフニウム臭化物、1−フェニルプロパンジオンハフ
ニウム臭化物、及びトロポロンハフニウム臭化物等のジ
ケトン錯体臭化物、アセチルアセトンハフニウム沃化
物、アセト酢酸ハフニウム沃化物、1,3ープロパンジ
オンハフニウム沃化物、1,3ージフェニル−1,3−
プロパンジオンハフニウム沃化物、1−フェニルプロパ
ンジオンハフニウム沃化物、及びトロポロンハフニウム
沃化物等のジケトン錯体沃化物、並びに、アセチルアセ
トンハフニウムフッ化物、アセト酢酸ハフニウムフッ化
物、1,3ープロパンジオンハフニウムフッ化物、1,
3ージフェニル−1,3−プロパンジオンハフニウムフ
ッ化物、1−フェニルプロパンジオンハフニウムフッ化
物、及びトロポロンハフニウムフッ化物等のジケトン錯
体フッ化物等を挙げることができる。
【0035】ゾル形成ハフニウム化合物と水とを反応さ
せる方法としては、例えば、前記ゾル形成ハフニウム化
合物を適宜の有機溶媒に溶解させ、この溶液を、水と接
触させる方法を挙げることができる。前記ゾル形成ハフ
ニウム化合物の溶液と水との接触の際に、前述のように
酸又は塩基を触媒として存在させてもよい。
【0036】前記ゾル形成ハフニウム化合物を水と接触
させる方法としては、例えば、前記ゾル形成ハフニウム
化合物を溶媒に溶解させた溶液に所要量の水を添加する
方法、及び所要量の水を配合した溶媒に前記ゾル形成ハ
フニウム化合物を溶解させる方法等を挙げることができ
る。又、触媒として酸及び塩基の何れかを存在させる場
合には、前記ゾル形成ハフニウム化合物を前記溶媒に溶
解させた溶液に、前記酸及び塩基の水溶液を添加しても
よい。
【0037】反応温度は、例えば室温〜100℃とする
ことができるが、ゾル形成反応を促進する観点からは、
反応温度は、室温よりも高い範囲の温度、例えば40〜
100℃の範囲の温度が好ましい。
【0038】反応時間は、例えば0.1〜10時間とす
ることができ、好ましくは0.5〜5時間、特に好まし
くは0.5〜4時間とすることができる。
【0039】前記ゾル形成ハフニウム化合物を溶解させ
るのに用いられる溶媒としては、脂肪族炭化水素系溶
媒、芳香族炭化水素系溶媒、石油系溶媒、ハロゲン化炭
化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、及び
グリコールエーテル系溶媒を挙げることができる。
【0040】脂肪族炭化水素系溶媒としては、n−ヘキ
サン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n
−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカ
ン、及びシクロヘキサン等を挙げることができる。
【0041】芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼ
ン、トルエン、及びキシレン等を挙げることができる。
【0042】石油系溶媒としては、石油エーテル、ガソ
リン、ナフサ、ケロシン、及びガス油等を挙げることが
できる。
【0043】ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、塩化
メチレン、トリクレン、ジクロロエタン、トリクロロエ
タン、パークロルエチレン、トリクロロプロパン、塩化
パラフィン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリ
クロロベンゼン、及びクロロトルエン等を挙げることが
できる。
【0044】アルコール系溶媒としては、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、sec−ブタノール、イソブチルアルコ
ール、tert−ブチルアルコール、n−ペンタノー
ル、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2―メチル
−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert
−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、
ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキ
サノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタ
ノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−
1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノー
ル、3−ヘプタノール、及びシクロヘキサノール等の1
価アルコール類、並びにエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタ
ンジオール、1,3−ブタンジオール、及び1,4−ブ
タンジオール等の2価アルコール類を挙げることができ
る。
【0045】ケトン系溶媒としては、アセトン、メチル
エチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−
ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、メチル
イソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニル
アセトン、ホロン、イソホロン、及びシクロヘキサノン
等を挙げることができる。
【0046】そして、グリコールエーテル系溶媒として
は、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレング
リコールイソプロピルエーテル、ブチルセロソルブ、イ
ソアミルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、及びフェニ
ルセロソルブ等を挙げることができる。
【0047】又、前記溶媒としては、前記脂肪族炭化水
素系溶媒、前記芳香族炭化水素系溶媒、前記石油系溶
媒、前記ハロゲン化炭化水素系溶媒、前記アルコール系
溶媒、前記ケトン系溶媒、及び前記グリコールエーテル
系溶媒からなる群から選択された2種以上の有機溶媒を
含有する混合溶媒も挙げることができる。混合溶媒を用
いる場合には、前記混合溶媒の成分である成分溶媒に対
するゾル形成ハフニウム化合物の溶解性、及びゾル形成
反応における反応温度と前記成分溶媒の沸点との関係等
を考慮して有機溶媒の種類及び配合割合を決定すること
ができる。
【0048】前記ゾル形成ハフニウム化合物を前記溶媒
に溶解させる濃度については、前記ゾル形成ハフニウム
化合物が析出しない限り特に制限はなく、所望の膜厚に
応じて適宜選択できる。前記濃度は、具体的には、溶媒
100重量部に対しゾル形成ハフニウム化合物を1〜2
0重量部となるように調整され、好ましくは前記ハフニ
ウム化合物を5〜15重量部の範囲となるように調整さ
れる。
【0049】さらに、前記ゾル形成ハフニウム化合物を
水と反応させる際に、触媒として用いることのできる酸
としては、無機酸及び有機酸を挙げることができる。無
機酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、
硝酸、及び硫酸等を挙げることができる。有機酸として
は、例えば低級のモノカルボン酸を挙げることができ、
具体的には酢酸、プロピオン酸、酪酸、及びイソ酪酸等
を挙げることができる。
【0050】触媒に用いることのできる塩基としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウ
ム等の苛性アルカリ類、一級アミン、二級アミン、及び
三級アミン等のアミン類、及びエタノールアミン、3−
アミノ−1−プロパノールアミン、N,N−ジエチルエ
タノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、
アミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N,N−
ジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミ
ン、N−メチル−N−エタノールアミン等のアルカノー
ルアミン類を挙げることができる。
【0051】触媒を用いた場合に前記ゾル形成ハフニウ
ム化合物におけるHfに対する水の量は、通常、0.0
1〜1500モル%の範囲であり、好ましくは50〜1
000モル%であり、さらに好ましくは100〜500
モル%である。前記ゾル形成ハフニウム化合物における
Hfに対する水の量が前記範囲にあるゾルは、透明な撥
水性膜を形成することができ、また長期間に渡って安定
なゾル状態を維持することができ、例えば冷蔵庫に保存
すると10日以上透明なゾル状態を保持することができ
る。尚、不安定なゾルを用いて被膜を作成した場合に
は、失透した被膜しか得られないことがあり、このよう
な被膜は通常撥水性を有さない。
【0052】したがって、上記ゾルを用いて得られる撥
水性被膜を鏡面保護用撥水被膜、透明部材用保護撥水被
膜及び建築物の外壁保護用撥水皮膜とするときには、前
記ゾル形成ハフニウム化合物におけるHfに対する水の
量を前記範囲内にするのが、好ましい。
【0053】なお、水と触媒との割合は、通常、触媒/
水(モル/モル)が1以上、好ましくは2以上、特に2
〜20になるように決定される。このような割合にする
と透明な被膜が良好に形成される。 2.撥水性被膜の形成 前述のようにして形成されたゾルを基材の表面に塗布
し、この基材を焼成することにより、酸化ハフニウムを
主成分とする撥水性被膜を基材の表面に形成することが
できる。
【0054】本発明の撥水処理法が適用できる基材には
特に制限はなく、例えば、石英ガラス、96%石英ガラ
ス、ソーダ石灰ガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、硼珪酸
ガラス、アルミノ珪酸ガラス、及び鉛ガラス等のガラス
系材料から形成された基材、普通鋼、構造用定合金鋼、
高張力鋼、耐熱鋼、高クロム系耐熱鋼、及び高ニッケル
−クロム系耐熱鋼等の合金鋼、並びにステンレス鋼等の
鉄鋼材料、工業用純アルミニウム、5000系Al−M
g系アルミニウム合金及び6000系アルミニウム合金
等のアルミニウム合金、銀入銅、錫入銅、クロム銅、ク
ロム・ジルコニウム銅、及びジルコニウム銅等の各種銅
合金、並びに純チタン、抗力チタン合金、及び耐食性チ
タン合金等のチタン合金等の金属系材料から形成された
基材、ムライト磁器、アルミナ磁器、ジルコン磁器、コ
ーディエライト磁器、及びステアタイト磁器等のセラミ
ックス系材料から形成された基材、前記金属系材料から
形成された基材の表面を琺瑯、グラスライニング、及び
セラミックスコーティング等の何れかによって被覆した
被覆金属基材を挙げることができる。
【0055】ガラス系材料から形成された基材として
は、自動車、鉄道車両、航空機、及び建築物等の窓ガラ
ス、並びに自動車用及び航空機用のヘッドアップディス
プレー等を挙げることができる。
【0056】金属系材料から形成された基材としては、
例えば送電線、建築物等の外装板、サッシュ、及び鉄道
車両の外板等を挙げることができる。
【0057】セラミックス系材料から形成された基材と
しては、例えば碍子、碍管、及びセラミックスタイル、
屋根瓦等を挙げることができる。
【0058】被覆金属基材としては、例えば、各種タン
ク、反応槽、醸造槽、並びにコップ、洗面器、及び花瓶
等の日用品等を挙げることができる。
【0059】前記基材としては、他に、金属等の表面に
塗料が塗布された塗装表面等も挙げることができる。前
記塗装表面としては、具体的には自動車、鉄道車両、及
び航空機の車体表面等を挙げることができる。
【0060】前記基材としては、さらに、コンクリート
壁、テラコッタタイル壁、モルタル壁、及び漆喰壁等の
建築物の外壁を挙げることができる。
【0061】前記基材の表面にゾルを塗布する方法とし
ては、例えば、ゾルに前記基材を浸漬し、これをゆっく
りと引き上げるディップ法、固定された基材表面上に適
宜の方法によってゾル液を流延する流延法、ゾル液の貯
留された槽の一端からゾル液中に基材を浸漬し、前記槽
の他端から基材を取り出す連続法、回転する基材上にゾ
ルを滴下し、基材に作用する遠心力によって前記ゾルを
基材上に流延するスピンナー法、及び基材の表面にゾル
を吹き付けるスプレー法等を挙げることができる。
【0062】碍子、碍管等、及びセラミックスタイル等
の比較的小型の基材に対しては、例えばディップ法が好
ましく用いられる。建築物等の外壁及び外装板、板ガラ
ス、鉄道車両用外板、並びに送電線等のような連続した
基材に対しては、連続法が好ましく用いられる。自動車
用及び航空機用のヘッドアップディスプレー等のよう
に、板状であり、且つ小型の基材に対しては、例えばス
ピンナー法を採用することができる。鉄道車両の車体、
航空機、自動車車体等の大型の基材に対しては、スプレ
ー法を用いることができる。尚、自動車の車体に対して
はディップ法も用いることができる。
【0063】前記の各種方法によって基板上に塗布され
たゾルを、必要に応じて乾燥した後、前記被膜状のゾル
を加熱(以下「焼成」と称することもある。)して、前
記基材の表面に撥水性被膜を形成する。
【0064】前記ゾルを加熱する温度は、基材の耐熱温
度に応じて適宜選択することができ、例えば100℃以
上における適宜の温度が採用される。ガラス系材料から
形成された基材、及び金属系材料から形成された基材の
場合には、前記焼成温度は、通常200℃〜1000℃
の範囲内であり、好ましくは300℃〜1000℃の範
囲内である。基材が塗装表面である場合には、焼成温度
は塗膜の耐熱温度以下であるのが好ましく、例えば10
0〜300℃の範囲内にある適宜の温度である。
【0065】加熱時間は、通常1分間〜10時間の範囲
内であり、好ましくは0.5〜5時間の範囲内である。
【0066】前記基材を加熱する際には、直接前記温度
に加熱してもよく、又、例えば100℃程度の温度で基
材を0.5時間程予熱し、次いで前記温度に加熱しても
よい。
【0067】本発明の撥水処理法においては、撥水性被
膜の厚さは、前記基材の用途等に応じて適宜決定するこ
とができる。具体的には、通常、50〜1,000n
m、好ましくは100〜200nmの範囲である。 3.撥水性被膜の用途 前記ゾルを焼成して得られる撥水性被膜は耐候性及び高
い硬度を有しているので各種基材の表面を保護する撥水
性保護膜となる。
【0068】しかも基材が透明部材である場合に、その
ような基材表面を前記撥水性被膜で被覆すると、前記撥
水性被膜は、水分、水滴の付着による透明部材の透明性
が阻害されることなく、また透明部材の表面の傷付きを
防止し、しかもそのような透明性維持効果及び傷付き防
止性を長期に渡って維持することのできる透明部材保護
撥水性被膜としての用途を有する。
【0069】透明部材としては、前記「撥水被膜の形
成」の説明欄で記載された基材の内、それ自体透明であ
る各種の基材、例えば透明なガラス系基材を挙げること
ができる。
【0070】基材が鏡面例えばガラス製鏡、金属鏡、鏡
面状塗装面等である場合に、そのような基材表面を前記
撥水性被膜で被覆すると、前記撥水性被膜は、水分、水
滴の付着による基材の光反射能が阻害されることなく、
また鏡面部材の表面の傷付きを防止し、しかもそのよう
な光反射能維持効果及び傷付き防止性を長期に渡って維
持することのできる鏡面保護撥水性被膜としての用途を
有する。
【0071】鏡面を形成する基材としては、例えば研磨
により光を高反射率で反射することのできる表面に形成
することのできる素材であれば良く、例えば前記「撥水
被膜の形成」の説明欄で記載された各種の基材の内から
適宜に選択することができる。
【0072】基材が寒冷期に着雪或いは結氷し易い場合
には、そのような基材表面を前記撥水性被膜で被覆する
と、前記撥水性被膜は、基材表面を保護すると同時に着
雪及び着氷を長期に渡って防止することができる着雪・
着氷防止用撥水被膜としての用途を有する。
【0073】この撥水性被膜を着雪・着氷防止用撥水被
膜として使用するのに好適な基材としては、例えば前記
「撥水被膜の形成」の説明欄に記載された各種の基材の
内、着雪・着氷を防止する必要のある各種の基材を挙げ
ることができる。
【0074】この撥水性被膜が、透明部材保護撥水被
膜、鏡面保護撥水性被膜及び着雪・着氷防止用撥水被膜
として使用される場合、その厚みは、前記撥水処理法に
おける被膜の厚みと同じであって良い。
【0075】基材が建築物の外壁である場合には、その
ような基材表面を前記撥水性被膜で被覆すると、前記撥
水性被膜は、基材表面を保護すると同時に雨及び雪が基
材表面に付着することを防止するから、基材表面が雨及
び雪によって汚されることが防止される。よって、前記
撥水性被膜は、建築物外壁の汚れ防止被膜としての用途
を有する。 4.撥水性粉末 本発明に係る撥水性粉末は、ハフニウム化合物を加水分
解して得られるゾルから液体成分を除去して得られるゲ
ル粉末を焼成することにより、製造することができる。
【0076】撥水性粉末を形成するためのゾルについて
の説明は、前記「ゾル調製」の説明欄における説明内容
をもって代える。
【0077】このゾルから液体成分の除去は通常の方
法、例えば加熱乾燥、減圧常温乾燥、凍結乾燥、自然乾
燥等の各種方法を採用することができる。
【0078】液体成分を除去した後に得られる固形分を
粉砕するのが好ましい。粉砕して得られるゲル粉末の粒
度としてはできるだけ細かいほうが好ましく、例えば平
均粒度が1〜500μmであるのが良い。
【0079】ゲル粉末の焼成条件は、前記「撥水性被膜
の形成」の説明欄で説明されたゾルの加熱条件と同様で
ある。 5.撥水性粉末の用途 上記撥水性粉末は、これを塗料に混合することにより、
その塗膜面に撥水性を付与することのできる塗料用撥水
性粉末としての用途がある。
【0080】また、この撥水性粉末と従来から公知の塗
料と混合することにより撥水性塗料が得られる。
【0081】いずれにしても、塗料に混合する撥水性粉
末の平均粒度としては1〜500μmであるのが良い。
【0082】撥水性塗料における撥水性粉末の含有量
は、通常、0.1〜20重量%の範囲である。
【0083】撥水性塗料における塗料としては従来から
公知の各種の塗料を採用することができる。
【0084】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明の撥水処理法に
ついて具体的に説明する。 1.参考例 以下、HfCl4エタノール溶液に水及び60%硝酸を
各種の割合で混合してゾルを調製した。このゾルを、基
板上に塗布した後焼成して酸化ハフニウム被膜を作成し
た。これによって、透明な酸化ハフニウム被膜が得られ
るゾルを調製し得る水及び60%硝酸の配合量を求め
た。 <1.ゾルの調製>グローブバッグを用い、窒素ガス雰
囲気下で、HfCl42.0g(0.0063モル)を
99.5%エタノール15ml中に溶解した。
【0085】得られた溶液に、水と60%硝酸とを種々
の割合で混合した混合液を、攪拌しながらゆっくり添加
し、ホットプレート上にで50℃で0.5〜4時間加熱
した。水と硝酸との添加量を表1に示す。尚、表1にお
いて、水の量は、水と60%硝酸との混合液中における
水の量と前記99.5%エタノール中の水の量とを合計
した量である。
【0086】
【表1】
【0087】<2.塗布>上のようにして調製されたゾ
ル(ゾル1−A〜1−D、ゾル2−A〜2−D、ゾル3
−A〜3−D、及びゾル4−A〜4−D)を、スピンナ
ー法(500rpmで5秒、次いで2,000rpmで
30秒間実施。)によってソーダライムガラス基板及び
石英ガラス基板上に塗布した。 <3.焼成>前記方法によって基板上に塗布した前記ゾ
ルを、550℃に保持された電気炉中で0.5時間、
1.0時間、2.0時間、3.0時間、及び4.0時間
の何れかの時間焼成して、前記基板の表面に酸化ハフニ
ウムの被膜を形成した。 <4.結果>結果を表2に示す。表2において、○は、
透明な被膜が得られたことを示し、×は、形成された被
膜が失透したことを示す。
【0088】
【表2】
【0089】前記表2に示されているように、HfCl
40.0063モルに対する水の量が0.0126モル
であるゾル1−A〜1−Dにおいて、HNO3の量が
0.0032モルであるゾル1−Aと、HNO3の量が
0.0063モルであるゾル1−Bとにおいては、加熱
時間が0.5時間〜4.0時間の何れの場合において
も、失透膜しか得られなかった。これに対して、HNO
3の量が0.0126モルであるゾル1−CとHNO3
量が0.032モルであるゾル1−Dにおいては、0.
5時間〜4.0時間の何れの加熱時間においても、透明
な酸化ハフニウムの被膜が得られた。
【0090】HfCl40.0063モルに対する水の
量が0.032モルであるゾル2−A〜2−D、及びH
fCl40.0063モルに対する水の量が0.063
モルであるゾル3−A〜3−Dの何れにおいても、前記
ゾル1−A〜1−Dと同様、HNO3の量が0.003
2モルである場合(ゾル2−A、ゾル3−A)、及びH
NO3の量が0.0063モルである場合(ゾル2−
B、ゾル3−B)には、0.5時間〜4.0時間の何れ
の加熱時間においても、失透膜しか得られなかった。こ
れに対して、HNO3の量が0.0126モルである場
合(ゾル2−C、ゾル3−C)、及びHNO3の量が
0.032モルである場合(ゾル2−D、ゾル3−D)
においては、0.5時間〜4.0時間の何れの加熱時間
においても、透明な酸化ハフニウムの被膜が得られた。
【0091】しかし、HfO40.0063モルに対す
る水の量が0.095モルであるゾル4−A〜4−Dに
おいては、HNO3の量が0.0032モル、0.00
63モル、及び0.0126モルの何れの場合において
も、失透膜しか得られなかった。そしてHNO3の量が
0.032モルであるゾル4−Dにおいて、初めて透明
な酸化ハフニウムの被膜が得られた。
【0092】以上の結果から、ゾル中のHfCl40.
0063モルに対して、水の添加量が0.0126モル
〜0.063モルであり、且つHNO3の添加量が0.
0126モル〜0.032モルであるとき、及びゾル中
のHfCl40.0063モルに対して、水の添加量が
0.095モルであり、HNO3の添加量が0.032
モルであるときに透明な酸化ハフニウムの被膜が得られ
ることが判った。前記結果から、HfCl4の1モルに
対する水の添加量が2〜15モルであるときには、水の
添加量1モルに対するHNO3の添加量が0.33モル
以上であるときに透明な酸化ハフニウム被膜が得られ、
特にHNO3の添加量が0.5〜2.5モルのときに透
明な酸化ハフニウム被膜が安定に得られることが判っ
た。
【0093】これらの結果から最適と考えられる水の添
加量は、0.0126モル〜0.032モルの範囲であ
り、HNO3の添加量は0.0126モル〜0.032
モル(何れもHfCl40.0063モルに対するモル
数である。)であることが判った。これば、HfCl4
1モルに対し、水2〜5モル、及びHNO32〜5モル
に対応する。 2.酸化ハフニウム被膜の撥水性 2−1 実施例1 前記参考例において透明な酸化ハフニウム被膜が得られ
たゾルの組成に従って、HfCl40.0063モル
(2g)を99.5%エタノールに溶解した溶液に、水
と60%HNO3とを所定の割合で混合した混合液を添
加し、50℃で3時間加熱し、ゾル1〜ゾル4を調製し
た。ゾル1〜ゾル4における水及びHNO 3の添加量に
は下記の通りとした。
【0094】 次いで、以下の方法によって、石英ガラスを撥水処理し
た。
【0095】先ず、得られたゾル1〜ゾル4を、前記参
考例と同様に、スピンナー法で石英ガラス基板上に流延
した。次いで、550℃に保持した電気炉に前記石英ガ
ラス板を入れ、0.5時間焼成を行い、前記石英ガラス
板上に酸化ハフニウム被膜を形成した。
【0096】次いで、前記試料を空気中に数日間放置
し、酸化ハフニウム被膜における水滴の接触角の変化を
測定した。前記水滴の接触角の測定は、酸化ハフニウム
被膜に水滴を滴下し、その接触角を測定した。水滴の接
触角については、接触角計CA−D(協和界面化学
(株)製)を用いて測定した。結果を表3に示す。
【0097】
【表3】
【0098】前記表3に示されたように、ゾル1〜ゾル
4の何れについても、得られた酸化ハフニウム被膜は、
焼成当日においては水滴の接触角は40°前後であっ
た。しかし、試料を空気中に放置したところ、接触角が
増加し、80°〜98°の範囲で安定になった。例え
ば、ゾル1においては、焼成してから3日後に接触角が
80°を越え、以降は約80°〜88°の接触角を示し
た。ゾル2及びゾル3においては、焼成してから1日後
には接触角が80°を越え、2日後以降は、約86°〜
約98°の接触角を示した。ゾル4においても、焼成し
てから1日後には、接触角が80°近くに達し、2日後
以降は約87°〜約90°の接触角を示した。ここで、
接触角の値について3σを算出したところ、接触角80
°以上においては、3σは±5°以内であった。よっ
て、接触角80°と90°との間には有意差はないもの
と考えられる。尚、フッ素樹脂等の高度に撥水性の被膜
においても接触角が80°〜90°程度であることが知
られている。
【0099】これらのことから、実施例1において形成
された酸化ハフニウム被膜は、焼成後数日間大気中に放
置することにより、1日〜数日でフッ素樹脂にも劣らな
い高度の撥水性を発現することから、実施例1に示され
た方法によって撥水性被膜が形成されることが判った。 2−2 実施例2 前記ゾル1を、実施例1に記載の方法に従って石英ガラ
ス板に塗布した後、100℃で30分間ベーキングし、
次いで、別の電気炉に移し、室温から500℃〜900
℃の所定の焼成温度まで昇温し、前記焼成温度において
0.5時間保持して焼成を行うことにより、前記石英ガ
ラス板上に酸化ハフニウム被膜を形成した。
【0100】焼成後の試料を空気中に数日間放置し、酸
化ハフニウム被膜における水滴の接触角の変化を測定し
た。前記水滴の接触角の測定は、実施例1と同様にして
行った。結果を表4に示す。
【0101】
【表4】
【0102】前記表4から明らかなように、焼成温度が
500℃の試料においては、水滴の接触角は、焼成当日
においては約45°であり、3日後には約88°に達
し、それ以降は約85°〜94°の範囲で推移した。
【0103】焼成温度が550℃〜800℃の試料にお
いては、水滴の接触角は、焼成後1日後において約87
°〜94°に達し、それ以降は約81°〜約96°の範
囲で推移した。
【0104】焼成温度が900℃の試料においては、水
滴の接触角は、2日後において85°を越え、それ以降
は約90°〜約93°の範囲で推移した。
【0105】ここで、実施例1と同様にして、前記接触
角の値について3σを算出したところ、接触角80°以
上においては、3σは±5°以内であった。よって、接
触角80°と90°との間には有意差はないものと考え
られる。
【0106】前記実施例2の結果から、焼成温度500
℃〜900℃の範囲においては、酸化ハフニウム被膜
は、焼成温度の如何にかかわらず、焼成後数日間大気中
に放置することにより1日〜数日で高度の撥水性を発現
した。これは、へーキングを行わなかった実施例1の場
合と同様であった。よって、実施例2において形成され
た酸化ハフニウム被膜も撥水性被膜であることが判っ
た。
【0107】尚、実施例2においては、550℃〜80
0℃の範囲の焼成温度で形成した酸化ハフニウム被膜
は、前記範囲よりも低い焼成温度で形成した酸化ハフニ
ウム及び前記範囲よりも高い焼成温度で形成した酸化ハ
フニウム被膜の何れと比較してもより短時間で高い撥水
性を発現することが判った。
【0108】
【発明の効果】本発明によれば、各種ガラス系材料から
形成された基材、各種金属系材料から形成された基材、
及び各種セラミックス系材料から形成された基材等、各
種の基材に適用できる撥水処理法が提供される。
【0109】本発明の撥水処理法において基材の表面に
形成される撥水性被膜は、酸化ハフニウムを主成分とし
ているから、表面が硬く傷がつき難い。さらに、基材
が、各種ガラス系材料から形成された基材、各種金属系
材料から形成された基材、及び各種セラミックス系材料
から形成された基材である場合には、前記撥水性被膜は
基材に強固に接着するから、摩擦及び機械的衝撃等によ
って撥水性被膜が基材の表面から剥がれ落ちることが無
い。又、前述のように前記撥水性被膜は、水滴の接触角
が80°〜98°と極めて高く、フッ素樹脂等に劣らな
い撥水性を有しているから、水滴が付着して曇ることが
殆ど無い。さらに、前記撥水性被膜は無色透明である。
よって、本発明の撥水処理法は、ワイパー等によって擦
られることの多い自動車のフロントガラス及び鉄道車両
の前面ガラス、並びに空気との激しい摩擦に曝されるこ
との多い航空機の風防ガラス等の撥水処理法として好適
である。
【0110】本発明の撥水処理法においては、1000
℃以上の温度で撥水性被膜を形成することもあるから、
前記撥水性被膜は耐熱性にも優れている。よって、本発
明の撥水処理法は、高温に曝されることの多い部材にも
好適に適用できる。
【0111】加えて、前記撥水性被膜は、ゾル・ゲル法
によって形成することができる、本発明の撥水処理法に
おいては大がかりな装置が不要であり、又、大型の基材
にも容易に適用できる。よって、本発明の撥水処理法
は、建築物の透明屋根等の大面積の部材にも好適に適用
できる。
【0112】さらに、本発明の撥水処理法で撥水処理し
た送電線、碍子、及び碍管は、撥水性に優れる故に、冬
季においても霜、氷、及び雪が付着することがない。よ
って、送電線、碍子、及び碍管等を本発明の撥水処理法
によって撥水処理することにより、着氷防止電線、着氷
防止碍子、及び着氷防止碍管が提供される。前記着氷防
止電線、着氷防止碍子、及び着氷防止碍管を送電線に用
いることにより、送電線及び碍子等における着雪及び着
氷を防止し得るから、送電路における雪害を防止するこ
とができる。
【0113】加えて、本発明の撥水処理法で撥水処理し
た建築物の外壁には、雨も雪も付着しないから、雨及び
雪に含まれる煤煙粒子等の汚れによって建築物の外壁が
汚れることが無い。
【0114】要するに、上述のようにこの撥水性被膜
は、撥水性に加えて耐熱性、硬度、強度にもすぐれてい
るので、鏡面保護用撥水被膜、透明部材用保護撥水被
膜、着氷着雪防止用撥水被膜、及び建築物の外壁保護用
撥水被膜としても有用である。
【0115】さらに、この発明に係る撥水性粉末は撥水
性にすぐれているので、これを塗料に混合することによ
り撥水性塗料を得ることができる。この撥水性塗料は、
撥水性に優れると共に、耐候性、硬度及び強度の優れた
塗膜面を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樋田 俊一 東京都千代田区神田紺屋町7 日商岩井ケ ミカル株式会社内 (72)発明者 松崎 秀夫 埼玉県北葛飾郡杉戸町大字杉戸2920−96 Fターム(参考) 4G048 AA02 AB04 AB05 AC08 AD02 AD10 AE05 4H020 BA04 4J038 AA011 HA216 KA20 NA07 PB05 PC02 PC03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハフニウム化合物を加水分解して得られ
    るゾルを基板上に塗布し、焼成することを特徴とする撥
    水処理法。
  2. 【請求項2】 ハフニウム化合物を加水分解して得られ
    るゾルから液体成分を除去して得られるゲル粉末を焼成
    することを特徴とする撥水性粉末の製造法。
  3. 【請求項3】 前記請求項2に記載の撥水性粉末を含有
    することを特徴とする撥水性塗料。
  4. 【請求項4】 前記請求項1における基材は、ガラス系
    材料から形成された基材、金属系材料から形成された基
    材、及びセラミックス系材料から形成された基材からな
    る群から選択された基材である請求項1に記載の撥水処
    理法。
  5. 【請求項5】 酸化ハフニウムで形成されてなることを
    特徴とする鏡面保護用撥水被膜。
  6. 【請求項6】 酸化ハフニウムで形成されてなることを
    特徴とする透明部材保護用撥水被膜。
  7. 【請求項7】 酸化ハフニウムで形成されてなることを
    特徴とする着氷着雪防止用撥水被膜。
  8. 【請求項8】 酸化ハフニウムで形成されてなることを
    特徴とする建築物の外壁保護用撥水被膜。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003301167A (ja) * 2002-02-07 2003-10-21 Nihon University ゾルの製造方法および基材の撥水処理方法
JP2008015167A (ja) * 2006-07-05 2008-01-24 Kagawa Univ 撥水撥油防汚性光反射板とその製造方法及びそれを用いたトンネル、道路標識、表示板、乗り物、建物。

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JP2008015167A (ja) * 2006-07-05 2008-01-24 Kagawa Univ 撥水撥油防汚性光反射板とその製造方法及びそれを用いたトンネル、道路標識、表示板、乗り物、建物。

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