JP2000044814A - 高減衰材料組成物 - Google Patents

高減衰材料組成物

Info

Publication number
JP2000044814A
JP2000044814A JP10220015A JP22001598A JP2000044814A JP 2000044814 A JP2000044814 A JP 2000044814A JP 10220015 A JP10220015 A JP 10220015A JP 22001598 A JP22001598 A JP 22001598A JP 2000044814 A JP2000044814 A JP 2000044814A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
butyl
tert
material composition
hydroxyphenyl
base polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10220015A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3664212B2 (ja
Inventor
Chihi Go
馳飛 呉
Takeshi Nomura
武史 野村
Toshiyuki Mihara
利之 三原
Kazunobu Hashimoto
和信 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP22001598A priority Critical patent/JP3664212B2/ja
Priority to US09/363,749 priority patent/US6265475B1/en
Publication of JP2000044814A publication Critical patent/JP2000044814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3664212B2 publication Critical patent/JP3664212B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高いtanδを発現し、経時変化が少ない高減
衰材料組成物を提供すること。 【解決手段】塩基性の極性側鎖を有するアクリル系等の
ベースポリマーに減衰性付与剤としてヒンダードフェノ
ール系化合物等を配合し、更にナフテン酸等の酸性有機
化合物を配合する。得られる高減衰材料組成物は、配合
成分の酸性度が適正になることから、高いtanδを安
定して発現し、しかも経時変化によるtanδの低下率
の少ないものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高減衰材料組成物
に関し、更に詳しくは、音響ルームの遮音壁、建築構造
体の遮音間仕切り、車両の防音壁等に適用される振動や
騒音を吸収する制振材・防音材としての高減衰材料組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の高減衰材料組成物としての高分
子系材料は、典型的な粘弾性挙動を呈するものであり、
その材料微小部が何等かの原因で振動すると、夫々の材
料微小部に、複素正弦歪(ε)が発生し、これにより
複素正弦応力(σ)が発生する。複素弾性係数
(E)は、次式に示したように、これらの比をとった
ものである。 複素弾性係数(E)=複素正弦応力(σ)/複素正
弦歪(ε
【0003】この複素弾性係数(E)の実数部は、材
料の弾性的な性質に係る貯蔵弾性係数(E’)と定義さ
れ、その虚数部は、材料の粘性的な性質に係る損失弾性
係数(E”)と定義される。損失正接(tanδ)は、
次式に示したように、これらの比をとったものである。 損失正接(tanδ)=損失弾性係数(E”)/貯蔵弾
性係数(E’)
【0004】この損失正接(以下、単に「tanδ」と
する。)は、防音・制振特性を決定する因子の一つであ
り、この値が高いほど力学的エネルギーを電気或いは熱
エネルギーとして吸収・放出して、優れた吸音性や制振
性等の機械特性を示すことが知られている。従来、高減
衰材料組成物のtanδとして求められていた値は、
0.5以上である。
【0005】この従来の要求特性を満たした高減衰材料
組成物として、例えば、高分子系複合材料が知られてい
る。この高分子系複合材料はポリマーアロイ或いは高分
子網目構造(IPN技術)を有する高分子化合物をベー
スポリマーとしており、これに充填剤(マイカ等)や可
塑剤を添加し、所定の製造工程を経て得られたものであ
る。この場合に、ベースポリマーとしては各種ゴム、高
分子樹脂材料の他に、エラストマー樹脂材料等が用いら
れている。
【0006】また、他の高減衰材料としては、本出願人
により特願平9−362125号に開示されたもので、
極性側鎖を有するベースポリマーに、第2級アミン、第
3級アミン及び含窒素複素環より選ばれた塩基を1分子
中に2個以上含む塩基性物質を配合したものがある。具
体的には、ベースポリマーとして塩素化ポリエチレン
が、減衰性付与剤としては、N−シクロヘキシルベンゾ
チアジル−2−スルフェンアミド等が用いられ、tan
δピークが1.0を超えており、一応の成果が得られて
いる。
【0007】また、更にtanδを高め、経時変化を抑
制する手段として、特願平9−362747号及び特願
平9−362748号に、酸性の極性側鎖を有するベー
スポリマーに、第2級アミン、第3級アミン及び含窒素
複素環より選ばれた塩基を1分子中に2個以上含む塩基
性物質のみならず、酸性物質をも配合した材料が開示さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た酸性の極性側鎖を有するベースポリマーを用いた高減
衰材料組成物は、従来の要求特性(tanδ≧0.5)
には応えてはいるものの、それらが使用される環境或い
は用途等の要請から、現在では更に高いtanδ(ta
nδ≧2.0、更に好ましくはtanδ≧2.5)を発
現するものが望まれている。
【0009】そして更に、高減衰材料組成物の要求特性
としては、高いtanδを発現するだけではなく、経時
変化によるtanδの低下が抑制されることである。し
かし、これら酸性の極性側鎖を有するベースポリマーを
用いた高減衰材料は、成形直後のtanδは高くても、
経時変化によりtanδが著しく低下し、その減衰性を
保持することが困難なものとなっている。
【0010】ちなみに、従来の減衰材料において、減衰
性付与剤が結晶化しやすいのは、配合した塩基性の減衰
性付与剤が剛直性、つまり分子結合の自由度が小さく立
体的な構造の変化が少ないという性質があり、更に、そ
れらは複素環式化合物であるために対称性を有している
ことから、分子同士が規則的な配列を形成しやすい状態
にあることが原因である。更にまた、ベースポリマーが
ゴム状であった場合には、分子凝集エネルギーが小さく
鎖が動きやすいため、減衰性付与剤がベースポリマー中
にうまく分散しないために、結晶化してしまうというも
のである。
【0011】上記した塩素化ポリエチレン等の酸性の極
性側鎖を有するベースポリマーに減衰性付与剤として塩
基性化合物を配合したものは、十分な減衰性が発揮され
るように、減衰性付与剤として用いたものが上述したよ
うな結晶化しやすいものとなっているばかりでなく、そ
の効果を得るためには添加量も増える(ベースポリマー
と減衰性付与剤の配合比率が1:1)ことから、その組
成を長期にわたって維持することは大変困難なものとな
っている。
【0012】このtanδの低下を抑制する手段とし
て、上記したような酸性の極性側鎖を有するベースポリ
マーに、塩基性物質だけでなく、酸性物質をも配合した
ものが本出願人により既に出願されているが、これらは
tanδの低下をある程度遅らせる効果を有してはいる
ものの、酸性物質を配合する前の材料のtanδ低下率
が大きすぎるため、いずれ激しく経時変化をすることが
避けられず、根本的な解決にはなっていない。
【0013】つまり、従来の材料設計においては高い減
衰性能を求めれば求める程、経時変化が激しいものとな
り、これらに上述の遅延効果を施しても、元の材料組成
が経時変化の激しいものであるため、実用化できるよう
な材料にはなりえない。
【0014】また、減衰性能の発現は温度に依存してい
るが、従来の酸性の極性側鎖を有するベースポリマーを
用いた材料は、そのピーク温度が室温よりも高い位置に
あるので、最も使用頻度が高いと思われる室温環境(2
0℃前後)において、十分な減衰性能を発現することが
困難なものとなっている。
【0015】更に、上述した塩素化ポリエチレン等の酸
性の極性側鎖を有するベースポリマーの側鎖には、特に
塩素を中心としたハロゲンを有するものが多く使用され
ており、これらを用いて合成した材料を使用・廃棄等す
る際には環境に与える影響が大きくなることから問題視
されている。
【0016】そこで、本出願人は、従来とは異なった観
点からの材料設計として、塩基性の極性側鎖を有するベ
ースポリマーに、ヒンダードフェノール系化合物等の減
衰性付与剤を配合したものを提唱している。この塩基性
の極性側鎖を有するベースポリマーに減衰性付与剤を配
合したものは、環境に与える影響が少ないばかりでな
く、酸性の極性側鎖を有するベースポリマーを用いた材
料よりも、高いtanδを発現するものとなっている。
また、この場合の減衰性付与剤の配合量は比較的少ない
量で、優れた減衰性を発揮することができる。
【0017】つまり、優れた経時変化抑制効果を有する
材料の設計に際して、今後の方針としては、環境に対し
て影響が少なく、しかも酸性の極性側鎖を有するベース
ポリマーよりも高い減衰性能を発現することができる塩
基性の極性側鎖を有するベースポリマーを中心に行われ
ることが望まれている。
【0018】本発明の解決しようとする課題は、塩基性
の極性側鎖を有するベースポリマーをベースとして、高
い減衰特性(tanδ)を発現するだけでなく、経時的
変化も少なく、しかも必要に応じて室温での使用環境に
も適した高減衰材料組成物を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の高減衰材料組成物は、塩基性の極性側鎖を有
するベースポリマーが、減衰性付与剤を配合と酸性有機
化合物とを含有することを要旨とするものである。
【0020】この場合に、「塩基性の極性側鎖を有する
塩基性ポリマー」としては、アクリル系(この構造式を
化1に示す。)、メタクリル系(この構造式を化2に示
す。)、エチレン・アクリル系共重合体(この構造式を
化3に示す。)、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体より
選ばれた1種又は2種以上を配合したものが好適なもの
として挙げられる。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】そして、「減衰性付与剤」としては、ヒン
ダードフェノール系化合物が挙げられ、「ヒンダードフ
ェノール系化合物」の好適なものの一例として、酸化防
止剤である1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,
4,6−(1H,3H,5H)トリオン、1,1,3−
トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−
メチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス
(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ペ
ンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−
[(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,1
0−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベ
ンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、2,2’−メチレンビス(4−エチ
ル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メ
チレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノ
ール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−ter
t−ブチルフェノール)、p−クレゾールとジシクロペ
ンタジエンのブチル化反応生成物、2,5−ジ−ter
t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ア
ミルハイドロキノン、紫外線吸収剤である1,4−ビス
(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−ブタ
ン、光安定剤である1−[2−{3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキフェニル)プロピオニルオキ
シ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
【0025】そして、「酸性有機化合物」としては有機
酸の一種、例えば、天然物として存在する酸性有機化合
物で、その一例としてはナフテン酸或いは植物系有機酸
等が挙げられる。
【0026】更にまた、ベースポリマーには必要に応じ
て、以下に掲げる種々の材料を添加することができる。
その材料としては、まず、硬度、強度或いは加工性の向
上、若しくは重量化等を図る場合に添加する充填剤が挙
げられる。その充填剤としては、マイカ、タルク、クレ
ー或いは炭酸カルシウム等の無機微粉末、若しくはセル
ロース粉末等の有機微粉末等が好適なものとして挙げら
れる。
【0027】また、ベースポリマーに添加できる別の材
料としては、tanδピーク温度の広域化を図る場合に
添加する非結晶性樹脂が挙げられる。その非結晶性樹脂
としてはクマロン樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、
ジシクロペンタジエン樹脂、マレイン酸樹脂、エステル
化ロジン、エポキシ樹脂、尿素樹脂或いはメラミン樹脂
等が好適なものとして挙げられる。
【0028】更に、ベースポリマーに添加できる別の材
料としては、着色剤(顔料、染料)、光沢剤、老化防止
剤、粘着付与剤、難燃剤、発泡剤、発砲助剤、加工助
剤、オゾン劣化防止剤、ブロッキング防止剤、耐候剤、
耐熱剤、架橋剤、架橋助剤、加硫剤、分散剤、相溶化
剤、界面活性剤、帯電防止剤或いは滑剤等が好適なもの
として挙げられる。
【0029】上記構成を有する高減衰材料組成物は、塩
基性の極性側鎖を有するベースポリマーが、減衰性付与
剤であるヒンダードフェノール系化合物を含有すること
により高い減衰性能を発現するばかりでなく、酸性有機
化合物をも含有することにより、その配合成分の酸性度
が調節され、経時変化の少ない高減衰材料が提供でき
る。したがって、本発明に係る高減衰材料組成物によれ
ば、長期間にわたり安定して、振動や騒音が大幅に吸収
できるものとなる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を詳細に説
明する。まず、本発明の各実施例は種々の材料組成で作
製したので、これについて説明する。尚、以下の説明に
おいて「phr」とは、「parts per hun
dred resin」の略で、ベースポリマー100
重量部に対する配合成分(減衰性付与剤や酸性有機化合
物)の重量部を意味するものである。また表1に示した
材料組成の単位も「phr」で表している。
【0031】初めに表1に記載した本発明品(実施例1
〜4)の材料組成について説明する。実施例1乃至実施
例4は、いずれもベースポリマーとしてアクリルゴムを
用い、これに減衰性付与剤としてヒンダードフェノール
系化合物を配合し、更に酸性有機化合物であるナフテン
酸を配合している。この場合に実施例3及び実施例4は
減衰性付与剤を2種類配合しており、実施例3はヒンダ
ードアミン系化合物を付与し、実施例4は2種類のヒン
ダードフェノール系化合物を配合したものである。
【0032】
【表1】
【0033】具体的に説明すると本発明品の実施例1
は、ベースポリマーとしてアクリルゴム(日本ゼオン
(株)製:商品名「ニポールAR51」)を用い、これ
に減衰性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物で
あるペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート](旭電化工業(株)製:商品名「アデカスタブA
O−60」:この構造式を化4に示す。)を40phr
配合している。そして、酸性有機化合物としてナフテン
酸(三共油化(株)製:商品名「SNA185」:この
構造式を化5に示す。)を10phr配合している。
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】実施例2の配合成分としては、同じくベー
スポリマーとしてニポールAR51を用い、減衰性付与
剤としてヒンダードフェノール系化合物である3,9−
ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−第三ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5.5]ウンデカン(旭電化工業(株)製:商品名
「アデカスタブAO−80」:この構造式を化6に示
す。)を40phr配合している。更に酸性有機化合物
としてSNA185を10phr配合している。
【0037】
【化6】
【0038】実施例3の配合成分としては、やはりベー
スポリマーとしてニポールAR51を用い、これに減衰
性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるア
デカスタブAO−60を40phr配合し、そしてこれ
に酸性有機化合物としてSNA185を20phr配合
している。そして更に、ヒンダードアミン系化合物であ
る1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,
β’,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,1
0−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタ
ノールとの縮合物(旭電化工業(株)製:商品名「アデ
カスタブLA−63P」:この構造式を化7に示す。)
を5phr配合している。
【0039】
【化7】
【0040】実施例4の配合成分としては、同じくベー
スポリマーとしてニポールAR51を用い、これに減衰
性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるア
デカスタブAO−80を40phrと、更に別の減衰性
付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるp−
クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成
物(大内化学工業(株)製:商品名「ノクラックPB
K」:この構造式を化8に示す。)を10phr配合し
ている。そして、これに酸性有機化合物としてSNA1
85を25phr配合している。
【0041】
【化8】
【0042】尚、比較例1及び比較例2の配合成分とし
ては、いずれもベースポリマーとしてニポールAR51
を用いているが、比較例1はこのニポールAR51単独
品としており、比較例2はこのニポールAR51に減衰
性付与剤としてヒンダードフェノール系化合物であるア
デカスタブAO−80を50phr配合しているが、酸
性有機化合物は配合していない。
【0043】次に、本発明品(実施例1〜4)及び比較
品(比較例1及び2)の作製工程について説明する。ま
ず、上述したベースポリマー(アクリルゴム)100p
hrに、各実施例の配合成分を配合する。これを、室温
で約15〜20分程度、2本ロールで混練する。次に、
この混練材料を、熱プレス機により所定の型枠内におい
て170℃で、10分程度溶融プレス成形する。そして
更に、0℃の温度条件下、これに130kgf/cm
の面圧を掛けて冷却プレス成形し、これを2mmシート
とする。
【0044】次に、本発明品(実施例1〜4)及び比較
品(比較例1及び比較例2)のtanδピーク値及びそ
のピーク温度を測定した。この測定には、株式会社ティ
ー・エイ・インスツルメントジャパン社製の2980型
DMAを用い、その測定条件を、歪が10μm、周波数
を100Hz(一定)とした。
【0045】以下、実施例1〜4の測定結果について説
明する。表1に示したように、実施例1は成形直後にお
いて、要求特性(tanδ≧2.5)を遥かに超える高
いtanδを発現している。そして、2週間後において
も要求特性を超えるtanδを発現し、そのtanδ保
持率は94%と極めて優秀な値を示した。また、ピーク
温度が室温付近(20℃前後)にあることから、室温環
境での使用に適したものであることが分かる。
【0046】また、実施例2も成形直後において、要求
特性を遥かに超える高いtanδを発現している。そし
て、2週間後におけるtanδは全く低下しておらず、
その保持率は101%と極めて優れた値を示している。
ピーク温度についても室温付近にあり、室温環境での使
用に適したものといえる。
【0047】実施例3は、成形直後において、要求特性
を超えるtanδを発現することはもちろんのこと、そ
の値が3.0を超える極めて高い値を示した。そして、
2週間後のtanδも要求特性を超えており、そのta
nδ保持率は96%と優れた値を示した。ピーク温度も
室温付近にあり優れた結果を示している。
【0048】実施例4は、成形直後において、要求特性
を超える値を示しており、その2週間後のtanδは全
く低下することなく、減衰性を完全に維持できているも
のとなっている。ピーク温度についても室温付近にあ
り、優れた結果を示した。
【0049】そして、比較例1の結果としては、成形直
後のtanδは高いものの、経時変化によって著しく低
下してしまうことが分かる。また、ピーク温度が室温か
ら離れたところにあり、室温環境において減衰性を発揮
することが難しいものとなっている。また、比較例2は
成形直後及び経時変化後のtanδは共に比較的良い結
果を示しているものの、ピーク温度が室温から離れてい
まい、更に高温高湿下ではブリード現象が起きてしま
い、減衰性を保持することが困難なものとなっている。
【0050】この結果をみると実施例1及び2は塩基性
の極性側鎖を有するベースポリマーと減衰性付与剤であ
るヒンダードフェノール系化合物に酸性有機物質をも配
合していることから、その配合成分の酸性度が適切にな
り、高いtanδを発現するだけでなく、経時的変化も
少ないという優れた結果を示している。また、実施例3
は更に減衰性付与剤としてヒンダードアミン系化合物を
少量配合しているので、高いtanδを発現することが
可能となった。この場合に、配合するアミンは極々少量
なので、減衰性付与剤が結晶することなく、優れたもの
となっている。実施例4は、2種以上のヒンダードフェ
ノール系化合物を減衰性付与剤として配合したものであ
るが、tanδの値だけでなく、ピーク温度のシフトに
優れた効果があることが分かる。
【0051】以上の結果から、実施例1〜4は全て、極
めて優れている(◎印)と評価され、比較例1及び2は
共に不良(×印)と評価された。
【0052】次に、表2に記載した実施例5について説
明する。実施例5はベースポリマーに、エチレン−アク
リル酸メチル(昭和電工・デュポン製:商品名「ベイマ
ックGLS」)を用い、これに減衰性付与剤としてヒン
ダードフェノール系化合物であるアデカスタブAO−8
0を50phr配合している。そして、これに酸性有機
化合物としてナフテン酸であるSNA185を10ph
r配合している。
【0053】
【表2】
【0054】また、実施例5を評価するために、比較例
3としてベースポリマーであるベイマックGLS単独品
を、比較例4としてベースポリマーであるベイマックG
LSに、減衰性付与剤であるアデカスタブAO−80を
50phr配合したものを調整した。
【0055】上述の実施例5、比較例3及び4の作製方
法は、実施例1〜4と同様の方法を用いている。また、
tanδの測定方法についても同様の方法を用いてい
る。
【0056】表2に示した結果について説明する。実施
例5は成形直後において比較例3及び4より高いtan
δを発現することはもちろん、要求特性を超える値を示
し大変優れたものであるといえる。そして、比較例3及
び4のtanδ保持率が共に80%台であるのに対し、
実施例5はそのtanδ保持率が100%となってお
り、優れた経時変化抑制効果を有していることが分か
る。また、実施例5のピーク温度は室温付近にあり、室
温環境での使用に適したものとなっている。
【0057】実施例5が高いtanδを発現するのは、
ヒンダードフェノール系化合物の配合によるものである
が、ナフテン酸をも配合していることで、ピーク温度が
室温に近づいており、更に優れた経時変化抑制効果を示
すことから実用性の高いものとなっている。このことか
ら実施例5は極めて良好(◎印)と評価された。また、
比較例3及び4は共に不良(×印)と評価された。
【0058】以上、本実施例について説明したが、要す
るに、本発明に係る高減衰材料組成物は、塩基性の極性
側鎖を有するベースポリマーに、1種又は2種以上の減
衰性付与剤を配合することにより高いtanδが発現さ
れ、更に酸性有機化合物を配合したことにより、材料そ
のものの酸性度が適切となって、材料の結晶化が抑制さ
れ、tanδが経時的変化することも抑制される。ま
た、その酸性有機化合物の配合量の調整により室温付近
にピーク値を有するものとなる。
【0059】本発明は、上記した実施例に何等限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、ベースポリマーとして
は、本発明で用いたアクリルゴムやエチレン−アクリル
酸メチル等のアクリル系、エチレン・アクリル系共重合
体の他に、塩基性の極性側鎖を有するベースポリマーで
あれば、種々のものを適用することができ、メタクリル
系、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体等のポリマーが適
用できる。
【0060】また、減衰性付与剤としては、上記実施例
で用いたヒンダードフェノール系化合物以外に、例えば
亜リン酸エステル系化合物、リン酸エステル系化合物、
含窒素塩基性化合物等を適用することができる。更に、
配合される酸性有機化合物も上記実施例ではナフテン酸
を用いたが、各種の植物系有機酸も適用されるものであ
る。
【0061】
【発明の効果】本発明に係る高減衰材料組成物によれ
ば、塩基性の極性側鎖を有するアクリル系等のベースポ
リマーにヒンダードフェノール系等の減衰性付与剤を配
合し、これに酸性有機化合物を配合したものであるか
ら、塩基性ポリマーをベースとした高いtanδを発現
する減衰特性を示すだけでなく、その配合成分の酸性度
を適切なものとして経時変化によるtanδの低下を抑
制することができ、しかも最も使用頻度が高いと思われ
る室温付近にピーク温度を有するものとなる。そして一
般に、減衰性付与剤は高価であるが、比較的安価に入手
できる酸性物質を配合することで、製造コストの低廉化
をも図ることができる。したがって、本発明に係る高減
衰材料組成物を、音響ルームの遮音壁、建築構造体の遮
音間仕切り、車両の防音壁等、幅広い分野に適用するこ
とが期待されるものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16F 15/08 F16F 15/08 D (72)発明者 三原 利之 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 橋本 和信 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 3J048 AC03 BD01 BD04 EA36 EA38 4J002 BB071 BF021 BG041 EF087 EJ016 EJ036 EJ046 EJ066 EU136 FD206 FD207 GL00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩基性の極性側鎖を有するベースポリマ
    ーが、減衰性付与剤と酸性有機化合物とを含有すること
    を特徴とする高減衰材料組成物。
  2. 【請求項2】 前記塩基性の極性側鎖を有するベースポ
    リマーが、アクリル系、メタクリル系、エチレン・アク
    リル系共重合体、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体より
    選ばれた1種又は2種以上のものであることを特徴とす
    る請求項1に記載される高減衰材料組成物。
  3. 【請求項3】 前記減衰性付与剤は、ヒンダードフェノ
    ール系化合物より選ばれた1種又は2種以上のものであ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載される高減衰
    材料組成物。
  4. 【請求項4】 前記ヒンダードフェノール系化合物は、
    1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
    ドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−
    (1H,3H,5H)トリオン、1,1,3−トリス
    (5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル
    フェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メ
    チル−6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリ
    スリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル
    −4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエ
    チレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−
    メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
    3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−第三ブ
    チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
    ニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキ
    サスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチ
    ル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブ
    チル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、1,6−
    ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチ
    ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,
    2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブ
    チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
    2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−
    ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メ
    チル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−
    チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノー
    ル)、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル
    化反応生成物、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロ
    キノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノ
    ン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフ
    ェノキシ)−ブタン、1−[2−{3−(3,5−ジ−
    t−ブチル−4−ヒドロキフェニル)プロピオニルオキ
    シ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−
    4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,
    2,6,6−テトラメチルピペリジンより選ばれた少な
    くとも1種又は2種以上の材料であることを特徴とする
    請求項3に記載される高減衰材料組成物。
  5. 【請求項5】 前記酸性有機化合物は、ナフテン酸若し
    くは植物系有機酸であることを特徴とする請求項1、
    2、3又は4に記載される高減衰材料組成物。
JP22001598A 1998-07-30 1998-08-04 高減衰材料組成物 Expired - Fee Related JP3664212B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22001598A JP3664212B2 (ja) 1998-08-04 1998-08-04 高減衰材料組成物
US09/363,749 US6265475B1 (en) 1998-07-30 1999-07-30 High damping material composition

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22001598A JP3664212B2 (ja) 1998-08-04 1998-08-04 高減衰材料組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000044814A true JP2000044814A (ja) 2000-02-15
JP3664212B2 JP3664212B2 (ja) 2005-06-22

Family

ID=16744606

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22001598A Expired - Fee Related JP3664212B2 (ja) 1998-07-30 1998-08-04 高減衰材料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3664212B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002053638A1 (fr) * 2000-12-27 2002-07-11 Shishiai-Kabushikigaisha Matériau d'amortissement de vibrations
CN115109468A (zh) * 2022-08-03 2022-09-27 浙江工业大学 一种多功能水性阻尼涂料及其制备方法
CN115785793A (zh) * 2022-11-21 2023-03-14 南京工业大学 一种透明阻尼紫外光固化涂料及其制备方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002053638A1 (fr) * 2000-12-27 2002-07-11 Shishiai-Kabushikigaisha Matériau d'amortissement de vibrations
CN115109468A (zh) * 2022-08-03 2022-09-27 浙江工业大学 一种多功能水性阻尼涂料及其制备方法
CN115109468B (zh) * 2022-08-03 2023-09-08 浙江工业大学 一种多功能水性阻尼涂料及其制备方法
CN115785793A (zh) * 2022-11-21 2023-03-14 南京工业大学 一种透明阻尼紫外光固化涂料及其制备方法
CN115785793B (zh) * 2022-11-21 2024-03-01 南京工业大学 一种透明阻尼紫外光固化涂料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3664212B2 (ja) 2005-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5478820B2 (ja) 防振ゴム
EP2383311B1 (en) High-strength polyphenylene sulfide/polyethylene terephthalate blended resin composition and a production method therefor
US20080081859A1 (en) Thermally Conductive Sheet And Method Of Production Thereof
JP3675216B2 (ja) 高減衰材料組成物
KR102045966B1 (ko) 열가소성 수지 조성물 및 이를 포함하는 성형품
JP2011144364A (ja) アクリルゴム組成物及びその成形品
JP3664208B2 (ja) 高減衰材料組成物
JP3661180B2 (ja) 高減衰材料組成物
JP2000044814A (ja) 高減衰材料組成物
JP2009185150A (ja) 伝熱性樹脂組成物及びその樹脂成形体
JP2009024037A (ja) ダイヤフラム用ゴム組成物及びダイヤフラム
JP2003183488A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物
JP3664211B2 (ja) 高減衰材料組成物
JP2009185151A (ja) 伝熱性樹脂組成物
JP3724233B2 (ja) 高減衰材料組成物
JP2009185152A (ja) 伝熱性樹脂組成物
JP2003292774A (ja) 耐熱性難燃樹脂組成物
JP2000044819A (ja) 高減衰材料組成物
JP3177654B2 (ja) 振動エネルギー吸収材
KR20090049549A (ko) 난연성 수지 조성물
JP3664210B2 (ja) 高減衰材料組成物
JP2003064227A (ja) Epdm組成物
JP4162784B2 (ja) ランプハウジング材料
JPH11172125A (ja) 高減衰材料組成物
JP2010138375A (ja) 樹脂組成物、及び、被覆電線

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050309

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050322

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080408

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090408

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees