JP2000043418A - 相変化光記録媒体 - Google Patents

相変化光記録媒体

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JP2000043418A
JP2000043418A JP10217881A JP21788198A JP2000043418A JP 2000043418 A JP2000043418 A JP 2000043418A JP 10217881 A JP10217881 A JP 10217881A JP 21788198 A JP21788198 A JP 21788198A JP 2000043418 A JP2000043418 A JP 2000043418A
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Mikio Kinoshita
幹夫 木下
Masato Harigai
眞人 針谷
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録密度、繰り返し記録特性にすぐれた相変
化光記録媒体を提供する。 【解決手段】 Ag−In−Sb−Te相変化記録材料
を記録層とする光記録媒体において、該記録層が少なく
とも1つの準安定結晶相を含む単数又は複数の結晶相を
有する結晶化状態とアモルファス相からなるアモルファ
ス状態との間の相転移における光学的性質の変化を利用
し、しかも該記録層の原子比率での組成をAgaInb
xTe(l-a-b-x)と表す組成式にあって、Sbの組成を
表すxが、 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 の範囲にあり、該結晶相が空間群Fm3mに属する結晶
相であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化型記録ディ
スクなど、光ビームを照射することにより記録層材料に
光学的な変化を生じさせ、情報の記録、再生を行い、か
つ書換えが可能な相変化光記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】レーザービームの照射による情報の記
録、再生および消去可能な光記録媒体の一つとして、結
晶−非結晶相間、あるいは結晶−結晶相間の転移を利用
する、いわゆる相変化光記録媒体がよく知られている。
これは単一ビームによるオーバーライトが可能であり、
ドライブ側の光学系もより単純であることを特徴とし、
コンピュータ関連や映像音響に関する記録媒体として応
用されている。
【0003】その記録材料としては、GeTe、GeT
eSe、GeTeS、GeSeS、GeSeSb、Ge
AsSe、InTe、SeTe、SeAs、Ge−Te
−(Sn,Au,Pd)、GeTeSeSb、GeTe
Sb、Ag−In−Sb−Teなどがある。特に、Ag
−In−Sb−Teは、高感度でアモルファス部分の輪
郭が明確な特徴を有し、マークエッジ記録用の記録層と
して開発されている(特開平4−191089号公報、
特開平4−232779公報、特開平4−267192
公報、特開平5−345478公報、特開平6−166
268公報)。
【0004】ところが、特開平4−191089号公報
に開示される情報記録媒体に使用される記録層では、消
去比の向上と高速記録は実現されるが、繰り返し記録特
性に問題が残されている。また、特開平4−23277
9公報に開示される情報記録媒体に使用される記録層の
未記録部分(結晶化部分)の構造は、安定相(AgSb
Te2)とこの安定相の周囲に存在するアモルファス相
とが混在したものである。このため繰り返し記録特性は
向上するものの、結晶化部に微細な結晶粒界が存在する
ことになり、ノイズ発生の原因となる。これは記録再生
波長が780nm程度のLDビームを使用するCD−R
W等、比較的低い記録密度を有する光記録媒体の記録特
性には重大な悪影響は与えないが、波長680nm以下
のLDビームを使用し、記録密度がCD−RWの4倍以
上であるDVD−RAMやさらに高密度のDVD−RW
等の高記録密度を実現する上では障害となる。
【0005】また、特開平4−267192公報に開示
される記録層の結晶化部分の構造は、一様なアモルファ
ス相から相分離したAgSbTe2とその他の相(安定
相またはアモルファス相)との混相状態である。その他
の相がアモルファス相である場合には、特開平4−23
2779公報に開示される情報記録媒体と同様の問題点
があり、その他の安定結晶相である場合には、良好な記
録特性が得られない。特開平5−345478公報、特
開平6−166268公報に開示される記録層も上記と
同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の相
変化光記録媒体は、高記録密度での繰り返し記録回数が
不十分であるという欠点がある。本発明の目的は、高密
度記録が行なえ、繰り返し記録特性に優れた相変化光記
録媒体を提供することにある。本発明の他の目的は、所
定の記録線速、特にCD−RWやDVD−RAM、ある
いはDVD−ROMと互換性のある書き換え型相変化光
記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、相変化型
記録材料についていろいろな角度から検討を行なってき
た結果、Ag−In−Sb−Te系で空間群Fm3mに
属する単数又は複数の準安定結晶相を記録層が、繰り返
し記録時の熱衝撃に強く、良好な組成領域を形成するこ
とを見出した。本発明はこれに基づいてなされたもので
ある。
【0008】本発明によれば、第一に、Ag−In−S
b−Te系の相変化記録材料を記録層とする光記録媒体
において、該記録層が少なくとも1つの準安定結晶相を
含む単数又は複数の結晶相と準安定アモルファス相との
間の相転移における光学的性質の変化を利用し、しかも
該記録層の原子比率での組成をAgaInbSbxTe(
1-a-b-x)と表す組成式にあって、Sbの組成を表すx
が、 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 の範囲にあり、該単数又は複数の結晶相が空間群Fm3
mに属する結晶相であることを特徴とする相変化光記録
媒体が提供される。
【0009】この準安定結晶相はAg−In−Sb−T
e固溶体、Ag−Sb−Te固溶体、In−Sb−Te
固溶体、Sb−Te固溶体、Sb3Teの中の少なくと
も1つである。これらの準安定結晶相は、空間群Fm3
mに属し、格子定数が0.608nm近傍の結晶相、あ
るいは、このFm3mの結晶中の元素が規則化した長周
期の結晶相のいずれかである。これらの準安定相が存在
する領域は、上記組成式で 4a+2b<1 a>0 かつ、b>0 の条件が成立する領域である。
【0010】本発明によれば、第二に、特に、記録層の
結晶化部が単相の準安定結晶相で構成されるAg−In
−Sb−Te固溶体であることを特徴とする上記第一の
相変化光記録媒体が提供される。
【0011】これ以外に上記準安定結晶相の任意の組み
合わせで、準安定相のみからなる複数の結晶相からなる
混相状態でも良い。また、これらの準安定相と格子整合
関係にあるその他の安定結晶相、例えば、In3SbT
2、InTe、In4Sb1.2Te2.8等の結晶相を有し
ていても良い。例えば、 Sb3Te+AgSbTe2+In3SbTe2 Sb3Te+Ag−Sb−Te固溶体+In3SbTe2 Sb3Te+Ag−In−Sb−Te固溶体 Sb3Te+In−Sb−Te固溶体+AgSbTe2 Ag−Sb−Te固溶体+In3SbTe2固溶体 Ag−Sb−Te固溶体+In−Sb−Te固溶体 Ag−Sb−Te固溶体+InTe In−Sb−Te固溶体+AgSbTe2 In−Sb−Te固溶体+AgSbTe2+Sb3Te 等である。
【0012】いずれの場合にも格子定数0.608nm
近傍の面心立方格子を基本とする結晶構造である。良好
なマーク形状を得る上では、記録層の結晶化部が、単相
のAg−In−Sb−Te準安定相のみからなることが
好ましい。初期結晶化時の過大な熱衝撃がさけられず、
やむを得ず分相の結晶相が生成する場合でも、上述した
互いに格子整合関係にある空間群Fm3mに属する結晶
相が主として生成し、AgSbTe2と格子整合関係に
無いその他の析出物、例えば、Sb、Sb2Te 3,In
Sb、あるいは結晶化部内のアモルファス相等は可能な
限り出現せず、準安定相を含む空間群Fm3mに属する
結晶相生成に適した初期結晶化過程が採用される。な
お、本発明には、膜厚方向や面内方向に組成の勾配があ
っても良く、上記の相の積層膜も含まれる。
【0013】本発明による光記録媒体の結晶化速度には
組成依存症がある。このため、個々の記録線速に対応し
最適な組成の調整が重要となる。
【0014】従って、本発明によれば、第三に、光記録
媒体が記録線速1.2m/sへの対応を目的としてお
り、AgaInbSbxTe(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.05≦a≦0.09 の範囲にあることを特徴とする上記第一又は第二の相変
化光記録媒体が提供される。
【0015】第四に、光記録媒体が記録線速2.4m/
sへの対応を目的としており、Ag aInbSbxTe
(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.03≦a≦0.07 の範囲にあることを特徴とする上記第一又は第二の相変
化光記録媒体が提供される。
【0016】第五に、光記録媒体が記録線速3.5m/
sへの対応を目的としており、Ag aInbSbxTe
(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.02≦a≦0.06 の範囲にあることを特徴とする上記第一又は第二の相変
化光記録媒体が提供される。
【0017】第六に、光記録媒体が記録線速6m/sへ
の対応を目的としており、AgaInbSbxTe
(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.015≦a≦0.05 の範囲にあることを特徴とする上記第一又は第二の相変
化光記録媒体が提供される。
【0018】第七に、光記録媒体が記録線速7m/sへ
の対応を目的としており、AgaInbSbxTe
(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.01≦a≦0.04 の範囲にあることを特徴とする上記第一又は第二の相変
化光記録媒体が提供される。
【0019】第八に、初期結晶化後の記録層の結晶化部
が、空間群Fm3mに属する準安定Sb3Te結晶相か
らなることを特徴とする上記第一〜七のいずれかに記載
の相変化光記録媒体が提供される。
【0020】また、本発明によれば第九に、Sb,Te
を必須元素として、Ib族元素、IIIb族元素、Vb族
元素、及びVIb族元素を有する相変化記録材料を記録層
とする光記録媒体において、該記録層が少なくとも1つ
の準安定結晶相を含む単数又は複数の結晶相を有する結
晶化状態とアモルファス相を有するアモルファス状態と
の間の相転移における光学的性質の変化を利用し、しか
も該記録層の原子比率での組成を(Ib)a(IIIb)b(V
b)x(VIb)(1-a-b-x)と表す組成式にあって、Vb元素
の組成を表すxが、 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 の範囲にあり、該単数又は複数の結晶相が空間群Fm3
mに属する結晶相であることを特徴とする相変化光記録
媒体が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下発明をさらに詳細に説明す
る。Ag−In−Sb−Te4元系の記録材料の結晶相
に出現可能な相としては、単体や2元、3元系の化合物
や合金相・固溶体、あるいは4元系の固溶体があるが、
中でも、AgSbTe2、In3SbTe2、In4Sb
1.2Te2.8、InTe、Ag−In−Te固溶体、In
−Sb−Te固溶体、Ag−In−Sb−Te固溶体、
Sb2Te3、InSb、Sbが出現しやすい。この中
で、AgSbTe 2、In3SbTe2、In4Sb1.2
2.8、InTe、Sb3Te、Ag−In−Te固溶
体、In−Sb−Te固溶体、Ag−In−Sb−Te
固溶体の結晶構造は空間群Fm3mに属し、格子定数も
6.08nmの近傍にあるため、これらの結晶相は互い
に格子整合関係にある。
【0022】まず、記録層の結晶化部が単相のAg−I
n−Sb−Te記録層のみからなる場合、粒界が存在し
ないか、仮に結晶粒界が存在したとしても、この結晶粒
界は比較的良好な格子接合となっており、結晶粒界に大
きな空隙は存在せず、熱伝導率にムラも生じ難い。この
場合には光ビームの強度分布と時間的プロファイルを忠
実に反映した滑らかなアモルファス化部−結晶化部の境
界が得られ、高密度記録領域で良好なジッタ値が得られ
る。
【0023】この準安定相の記録時の熱衝撃に対する安
定性が高い組成領域はAgaInbSbxTe(1-a-b-x)
録層の組成が0.72≦x+2a+7b/6≦0.8
2、かつ、4a+2b<1を満たす場合であって、これ
は、上記準安定Ag−In−Sb−Te固溶体が仮に第
1の相転移を起こした場合でも、上述した互いに格子整
合関係にある準安定相を含む複数の結晶相となるため、
なお良好な記録特性を維持する組成領域でもある。
【0024】一方、従来技術におけるように、記録層の
結晶化部が格子整合関係にない複数の結晶相からなる場
合、結晶粒界での面の整合性が良くない場合には、粒界
に空孔や偏析が生じ、この粒界部分で熱伝導率にムラが
生じる。さらに結晶−アモルファス部分の境界もこの結
晶粒界を反映したものとなりやすく、アモルファス化部
−結晶化部の境界に乱れが生じ、高記録密度領域では良
好な特性が得られない。また、結晶粒径を数nmのオー
ダーの微結晶にした場合には結晶粒界の滑らかさは得ら
れるが、互いに格子整合関係に無い粒界面では、界面部
分の歪みや界面エネルギーが増加し、結晶化速度の低下
や粒界からの腐食など好ましくない効果も生じ、結晶粒
の微細化では必ずしも高線速での高記録密度には適さな
い。これに対して、本発明においては、記録層の結晶化
部が複数の結晶相からなる場合であっても、生成する結
晶相は同一の空間群に属し、格子定数も近接するため、
粒界は単相の場合と同様な良好な接合となっている。こ
のため単相の場合に準じた記録特性を有している。
【0025】本発明の第一では、上記のように記録層の
原子比率での組成をAgaInbSb xTe(1-a-b-x)と表
す組成式において、Sbの組成を表すxが、 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 の範囲とした。この組成範囲で、上述した空間群Fm3
mに属するfcc構造が出現し、fcc相以外の結晶相
の出現が抑制される。この結晶相は少なくとも準安定相
を有し、この析出に適した初期結晶化方法、例えば、レ
ーザービームによる溶融初期化方法などが採用される。
この面心立方結晶相は上記組成範囲で、記録−消去の繰
り返し記録に伴う熱衝撃での安定性がある。これらの結
晶相はアモルファス状態となった固相から、原子移動を
ほとんど伴わずに結晶化することができ、高速での消去
特性にも優れている。
【0026】特に好ましい構造は、上記第二のAg−I
n−Sb−Te準安定固溶体単相であるが、これ以外の
場合でも上記のように良好な記録特性が維持される。例
えば、記録層が空間群Fm3m、格子定数0.608±
0.02nmの面心立方構造の準安定Sb3Teを有す
る場合、この準安定Sb3Teと格子整合関係にある結
晶相、例えば、AgSbTe2、In3SbTe2、ある
いはその他の準安定相等が存在すれば、この準安定Sb
3TeのSbとSb2Te3への相分離を抑制することが
できる。
【0027】同様に、記録層が空間群Fm3m、格子定
数0.608±0.02nmの面心立方構造の準安定A
g−Sb−Teを有する場合、この準安定Ag−Sb−
Teと格子整合関係にある結晶相、例えば、In3Sb
Te2、In−Teあるいはその他の準安定相等が存在
すれば、この準安定Ag−Sb−TeのAgSbTe2
+Sb2Te3またはAgSbTe2+Sbへの相分離を
抑制することができる。また、記録層が空間群Fm3
m、格子定数0.608±0.02nmの面心立方構造
の準安定In−Sb−Teを有する場合、この準安定I
n−Sb−Teと格子整合関係にある結晶相、例えば、
AgSbTe2、In−Teあるいはその他の準安定相
等が存在すれば、この準安定In−Sb−TeのIn3
SbTe2+Sb2Te3またはIn3SbTe2+Sb、
あるいはIn3SbTe2+InSbへの相分離を抑制す
ることができる。
【0028】ここで、上記準安定Ag−In−Sb−T
eが繰り返し記録に伴い、相分離をして、AgSbTe
2+In3SbTe2+InTe+Sb3Te等々の中の少
なくとも2相以上なったとしても、これらは互いに格子
整合関係にあり、結晶粒界での格子接合は比較的良好
で、上述した粒界による悪影響は緩和されたものとな
る。このため良好な繰り返し記録特性を有している。
【0029】不純物の影響がない場合、上述した組成の
表示において、x+2a+7b/6の値が0.72〜
0.82の範囲に有れば、このSb2Te3やSbの析出
は抑制され、良好なオーバーライト特性が実現される。
【0030】なお、準安定相の安定性に乏しい条件(4
a+2a=1)が成立する場合、記録層は初期化やオー
バーライトによりAgSbTe2とIn3SbTe3の分
相となり易く、この2相は結晶化速度に差異が有りすぎ
る(AgSbTe2は結晶化速度がIn3SbTe2と比
較して大幅に遅いため、アモルファス部分の境界が粒界
の影響を受け、スムースで良好なアモルファス−結晶境
界は得られない)。このため、準安定相が主要部分を占
めることが必要で、上記組成式では4a+2b<0.5
が成立することが好ましい。
【0031】Ag−In−Sb−Te系記録層の結晶化
速度には組成依存性がある。記録層中のAgやTe濃度
が増えるほど低記録線速側に好適な記録層となり、In
やSb濃度が増えるほど、高記録線速に好適な記録層組
成となる。この結晶化速度と組成との間には一定の対応
関係がある。
【0032】特にAgの濃度は結晶化速度に大きな影響
を与える。即ち、Ag濃度が増えるほど、結晶化速度が
遅くなる。CD−RWで採用されている記録ストラテジ
(記録時のLDの発光パターン)の場合、記録線速1.
2m/s、2.4m/s、3.5m/s、6m/s、7
m/sに対応するAg濃度は、それぞれ、0.05≦a
≦0.10、0.03≦a≦0.07、0.02≦a≦
0.06、0.015≦a≦0.05、0.01≦a≦
0.04、の範囲である。
【0033】また、Ag及びInの濃度を0にした場合
で、初期結晶化後の記録層が準安定Sb3Teとなる場
合にも、記録が可能である。但しこの場合には、繰り返
し記録特性の最適化と結晶化速度の調整が両立しにく
く、また、Ag、Inを含む場合と比較して準安定相が
不安定であり、かつ、高速での初期結晶化が比較的困難
となるが、同一組成のSb+Sb2Te3の構造を有する
記録層より良好な記録特性が得られ、Ag−In−Sb
−Te系に準じた記録特性が得られる。
【0034】さらに上記Ag、Inのいずれかの元素の
全部又は一部、及び、Sb,Teの一部を同族元素で原
子半径が類似する元素で置換する場合にも記録が可能で
ある。この場合、上記と同様に、組成を(Ib)a(III
b)b(Vb)x(VIb)(1-a-b-x)と表す組成式において、V
b元素の組成を表すxが、 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 の範囲にある場合に、空間群Fm3mに属する結晶相が
出現し、繰り返し記録に対して安定な特性を示す。
【0035】図1は、本発明の一実施例の光記録媒体の
層構成の概念図であって、その基本的な構成は、案内溝
を有する基体1上に第一保護層2に、記録層3、第二保
護層4、反射放熱層5、環境保護層6が設けられてい
る。好ましくは、反射放熱層5と可逆表示記録層7の間
に中間層、および基体1の裏面にハードコート層が設け
られる。第一保護層2、第二保護層4は必ずしも記録層
3の両側に設けられる必要はないが、基体1がポリカー
ボネート樹脂のように耐熱性が低い材料の場合には第1
保護層を設けることが望ましい。
【0036】記録層3の膜厚は、5〜100nmが好ま
しく、さらに好ましくは10〜50nm、特に好ましく
は15〜25nmである。この記録層は、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、真空蒸着、プラズマCVD
法等によって作製できる。
【0037】基体1の材料は、通常、ガラス、セラミッ
クス、あるいは樹脂であり、なかでも樹脂基体が成形
性、コスト、軽量といった点で好適である。樹脂の代表
例として、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチ
レン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタ
ン樹脂などがあげられるが、加工性、光学特性、耐熱特
性等から、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が好
ましい。基体の形状は、通常ディスク状であるが、カー
ド状あるいはシート状であってもよい。基体の厚さは
1.2mm、0.6mm、0.3mm等の任意のものが
使用できるが、製膜上の困難や歩留り等を考慮すると
1.2mm、0.6mmくらいが好ましい。樹脂基体の
場合、該樹脂のガラス転移温度Tgは、100℃以上が
好ましく、120℃以上が更に好ましく、200℃以下
が好ましく、180℃以下が更に好ましい。基体の樹脂
のガラス転移温度Tgが、この温度より低くなると基体
が変形しやすくなるという不具合があり、この温度より
高くなると成型しにくくなるという不具合がある。
【0038】第一保護層2および第二保護層4は、Si
O、SiO2、ZnO、SnO2、Al23、TiO2
In23、MgO、ZrO2などの酸化物、Si34
AlN、TiN、BN、ZrNなどの窒化物、ZnS、
In23、TaS4等の硫化物、SiC、TaC、B
4C、WC、TiC、ZrCなどの炭化物やダイヤモン
ド状炭素、あるいは、それらの混合物が好ましい。これ
ら第一保護層および第二保護層の膜厚は、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、真空状着、プラズマCVD
等によって作製できる。第一保護層の膜厚は、50〜5
00nm、好ましくは100〜300nm、更に好まし
くは150〜250nmである。第二保護層の膜厚は、
5〜200nm、好ましくは10〜50nmである。
【0039】反射放熱層5は、Al、Ag、Auなどの
金属材料、およびそれらにTi、Cr、Si、Taなど
を添加したものが使用できる。反射放熱層は、スパッタ
リング、イオンプレーティング、真空状着、プラズマC
VD等によって作製できる。その膜厚は、好ましくは3
0〜300nm、更に好ましくは50〜250nm、特
に好ましくは70〜200nmである。
【0040】環境保護層は紫外線硬化樹脂で形成される
のがよく、その厚さは2〜15μmくらいが適当であ
る。
【0041】
【実施例】次に実施例をあげて、本発明を具体的に説明
する。まず、図1において図示されない案内溝を有する
ポリカーボネイト基板1上にZnS・SiO2からなる
第一保護層2、この第一保護層上のAgInSbTe記
録層3、この記録層上のZnS・SiO2からなる第二
保護層4、この第二保護層上のAl−Ti反射放熱層
5、この反射放熱層上のUV硬化樹脂からなる環境保護
層6が積層されている光記録媒体を作成する。
【0042】実施例1〜28及び比較例1〜9 表1および表2は、図1の構造を有する光記録媒体の繰
り返し記録回数と記録層の組成・初期化後の結晶構造と
の関係を比較例とともに調べたものである。繰り返し記
録回数は、ジッタ値が規格値を満足する最大回数で判定
したものである。また、比較例9を除くすべての光記録
媒体の初期結晶化は大口径LDビーム照射により行っ
た。比較例9の初期結晶化は、ランプアニールにより行
った。記録線速はm/sである(以下同じ)。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表1および表2の実施例1〜22に示され
るように、0.72≦x+2a+7b/6≦0.82の
条件が満たされる場合には、LDビーム照射による高速
初期化など適切な初期化方法により、初期結晶化の結晶
構造がfccとなり、繰り返し記録回数は1000回を
上回るものとなる。この組成範囲以外では、格子定数
6.08nm以外のfcc以外の構造やfcc以外の格
子の出現が認められる。例えば比較例1及び3では、h
cpInSbの析出や三方晶Sb2Te3の析出が認めら
れ、オーバーライト回数は1000回以下となる。ま
た、比較例4、5、9ではSb2Te3の析出により繰り
返し記録回数は低下する。同様にSbの析出した比較例
6の繰り返し記録回数は低い。
【0046】記録線速については、特に、Ag濃度との
関係がある。CD−RWに応用されているストラテジ
(記録時のLDのマルチパルス発光パターン)を使用し
た場合、1.2m/s、2.4m/s、3.5m/s、
6m/s、7m/sに対応するパラメータAg濃度の領
域はそれぞれ、5〜9at.%(実施例2〜6)、3〜
7at.%(実施例7〜9)、2〜6at.%(実施例
1及び10〜15)、1.5〜5at.%(実施例16
〜19)、1〜4at.%(実施例20〜22)とな
る。パラメータ(x+2a+7b/6)の値が0.72
未満の比較例2、4、5ではオーバーライトに伴う熱衝
撃により繰り返し記録特性は悪化する。また、パラメー
タ(x+2a+7b/6)の値が0.82を上回る比較
例1、3、6ではオーバーライトに伴う熱衝撃により繰
り返し記録特性はやはり悪化する。
【0047】また、比較例8に示すように、0.72≦
x+2a+7b/6≦0.82の条件が満たされる場合
であっても、準安定相が存在しない組成領域では、繰り
返し記録特性が悪い。さらに、比較例9が示すように、
0.72≦x+2a+7b/6≦0.82の条件が満た
され、準安定相が存在可能な領域であっても、ランプア
ニールによる初期化など、準安定相が析出せずに安定相
であるSb2Te3やSbが析出した場合には良好な高密
度記録は実現されない。準安定相は長時間の高温アニー
ルにより安定相へ相分離するため、初期化は短時間の間
の加熱とする。
【0048】さらに、本発明のAg,Inを0に外挿し
たSb−Te系の相変化光記録材料において、表3およ
び表4の実施例23に示すように、本発明に開示される
Sb 3Te準安定結晶相を析出させた場合には良好な記
録特性が得られる。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】更にまた、本発明において、記録層に任意
の添加元素を添加することも可能である。特に、Ag,
In,Sb,Teのいずれかの元素と化学的結合状態に
ある元素を添加した場合は、その元素と結合する比率を
除いたAg−In−Sb−Teの組成式が本発明に該当
する。また、結晶内の特定の元素を置換する置換型添加
元素を添加した場合には、これを考慮に入れて本発明の
組成式は変更される。例えば、実施例24に示すように
Inと置換するAlを添加元素とする場合には、上記組
成式は、Aga(In,Al)bSbxTe(1-a-b-x)とな
る。実施例25〜8に示すように、Sbに対してはB
i、Teに対してはSe、Agに対してはAu等があ
り、この場合の一般的な組成式はSb,Teを必須元素
として(Ib)a(IIIb)b(Vb)x(VIb)(1-a-b-x)とな
る。いずれの場合にも上記組成式の範囲で準安定結晶相
が存在し、繰り返し記録特性は良好なものとなる。
【0052】なお、本発明に使用される光記録媒体の層
構成は上記に限定されず、公知の光記録媒体の任意の構
造が可能である。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、高記録密度での繰り返
し記録回数が向上し、1.2m/s、2.4m/s、
3.5m/s、6m/s、7m/sに対応する光記録媒
体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の相変化光記録媒体の一例の断面図。
【符号の説明】
1 基板 2 第一保護層 3 記録層 4 第二保護層 5 反射放熱層 6 環境保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 EA32 EA33 EA41 FB09 FB12 FB16 FB17 FB20 FB21 5D029 JA01 JB35 JC18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ag−In−Sb−Te相変化記録材料
    を記録層とする光記録媒体において、該記録層が少なく
    とも1つの準安定結晶相を含む単数又は複数の結晶相を
    有する結晶化状態とアモルファス相からなるアモルファ
    ス状態との間の相転移における光学的性質の変化を利用
    し、しかも該記録層の原子比率での組成をAgaInb
    xTe(l-a-b-x)と表す組成式にあって、Sbの組成を
    表すxが、 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 の範囲にあり、該単数又は複数の結晶相が空間群Fm3
    mに属する結晶相であることを特徴とする相変化光記録
    媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1において、結晶化状態の記録層
    中の結晶相が準安定Ag−In−Sb−Te固溶体単相
    であることを特徴とする相変化光記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、AgaInb
    SbxTe(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.05≦a≦0.09 の範囲にあり、また、記録線速領域が少なくとも1.2
    m/sを含むものであることを特徴とする相変化光記録
    媒体。
  4. 【請求項4】請求項1または2において、AgaInb
    xTe(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.03≦a≦0.07 の範囲にあり、また、記録線速領域が少なくとも2.4
    m/sを含むものであることを特徴とする相変化光記録
    媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1または2において、AgaInb
    SbxTe(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.02≦a≦0.06 の範囲にあり、また、記録線速領域が少なくとも3.5
    m/sを含むものであることを特徴とする相変化光記録
    媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1または2において、AgaInb
    SbxTe(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.015≦a≦0.05 の範囲にあり、また、記録線速領域が少なくとも6m/
    sを含むものであることを特徴とする相変化光記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 請求項1または2において、AgaInb
    SbxTe(1-a-b-x)記録層の組成が 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 かつ 0.01≦a≦0.04 の範囲にあり、また、記録線速領域が少なくとも7m/
    sを含むものであることを特徴とする相変化光記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 初期結晶化後の記録層の結晶化部が、空
    間群Fm3mに属する準安定Sb3Te結晶相からなる
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の相変
    化光記録媒体。
  9. 【請求項9】 Sb,Teを必須元素として、Ib族元
    素、IIIb族元素、Vb族元素、及びVIb族元素を有す
    る相変化記録材料を記録層とする光記録媒体において、
    該記録層が少なくとも1つの準安定結晶相を含む単数又
    は複数の結晶相を有する結晶化状態とアモルファス相を
    有するアモルファス状態との間の相転移における光学的
    性質の変化を利用し、しかも該記録層の原子比率での組
    成を(Ib)a(IIIb)b(Vb)x(VIb)(1-a-b-x)と表す組
    成式にあって、Vb元素の組成を表すxが、 0.72≦x+2a+7b/6≦0.82 の範囲にあり、該単数又は複数の結晶相が空間群Fm3
    mに属する結晶相であることを特徴とする相変化光記録
    媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7539098B2 (en) 2000-03-03 2009-05-26 Ricoh Company, Ltd. Optical information recording medium and recording apparatus

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