JP2000042452A - 自動車の塗装装置および塗装用補助具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塵埃が車体の表面に静電気により付着して塗
装の仕上りが悪化するのを防止できる自動車の塗装装置
および塗装用補助具を提供すること。 【解決手段】 筒状体１３を複数本配列し、エルボ１９
で互いに連結する。筒状体１３にはコンプレッサー２１
からエアが圧送され、塗装用のガン２３に給送される。
筒状体１３の中心の管１４には電極１５と導電性のネッ
ト１６が装着されており、イオン発生器５とケーブル４
で接続されている。また筒状体１３同士はサブケーブル
４ａで接続されている。イオン発生器５で発生したマイ
ナスイオンは管１４の内部へ放出されて管１４内を通る
エアをマイナスに帯電させる。マイナスに帯電されたエ
アは塗料と一緒にガン２３から噴射される。エアはマイ
ナスに帯電されているので、塗装ブース１内のマイナス
に帯電したエアと摩擦し合ってもマイナス電位を保持
し、車体に吹き付けられる。したがって車体の表面もマ
イナス電位を保持するので塵埃は付着せず、きれいに塗
装できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車修理工場等
において自動車の塗装を行うための自動車の塗装装置お
よび塗装用補助具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車の修理工場においては、事故など
により破損した車体を修理した後、修理箇所等を塗装す
ることが行われる。この塗装は、一般に、自動車を塗装
ブースに収納して行われる。塗装ブース内で、作業者は
塗装用のガンを保持し、必要箇所に塗料を塗布する。

【０００３】塗装用のガンによる塗装中には、静電気の
作用により車体の表面に空気中の塵埃が付着しやすく、
塗装の仕上がりが甚だしく悪化する。そこで塗装ブース
内に＋（プラス）イオンと−（マイナス）イオンを充満
させ、これにより車体の表面や塵埃の帯電を中和するこ
とが知られている（特開平８−８４９４８号公報）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の方法では、塵埃が車体の表面に付着するのを十分に防
止することはできない。何故ならば、塗装用のガンから
塗料と一緒に勢いよく噴出されたエアは塗装ブース内の
エアと互いに摩擦し合い、この摩擦のためにエアは帯電
し、この帯電したエアが車体に吹き付けられることによ
り車体は帯電してしまい、この帯電により塵埃が車体の
表面に付着してしまうからである。

【０００５】したがって本発明は、塵埃が車体の表面に
静電気により付着して塗装の仕上りが悪化するのを防止
できる自動車の塗装装置および塗装用補助具を提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
は、塗装ブースと、塗装ブースの上部に配設された電極
と、塗装ブースの下部に配設されたプラス電極と、前記
マイナス電極にマイナス電子を送るイオン発生器と、塗
装ブース内に収納された自動車を塗装する塗装用ガン
と、イオン発生器と塗装用ガンの間に接続された塗装用
補助具とを備え、前記塗装用補助具が、導電材により形
成され且つ前記イオン発生器に電気的に接続された筒状
体から成り、この筒状体内にコンプレッサーからエアを
圧送してこの筒状体内においてこのエアをマイナスに帯
電させ、マイナスに帯電したエアを前記塗装用ガンに給
送するようにしたことを特徴とする自動車の塗装装置で
ある。

【０００７】請求項２に記載の本発明は、マイナスイオ
ン雰囲気中において自動車を塗装する塗装用ガンと、塗
装用ガンにエアを圧送するコンプレッサーの間に接続さ
れる塗装用補助具であって、イオン発生器に電気的に接
続される導電性の筒状体から成り、この筒状体内にコン
プレッサーからエアを圧送してこの筒状体内においてこ
のエアをマイナスに帯電させ、マイナスに帯電したエア
を前記塗装用ガンに給送するようにしたことを特徴とす
る塗装用補助具である。

【０００８】

【作用】上記構成において、コンプレッサーから塗装用
補助具の筒状体へ圧送されたエアが筒状体内を通過する
時には、筒状体の内面からマイナスイオンが放出され
る。したがってエアはマイナスに帯電して筒状体から塗
装用ガンへ送られ、塗装用ガンはマイナスに帯電したエ
アを塗料と一緒に車体へ噴出する。一方、塗装ブース内
のエアもマイナスに帯電している。ここで、塗装用ガン
から噴出されたエアのマイナス電位と塗装ブース内のエ
アのマイナス電位はほぼ同電位である。したがって塗装
用ガンから噴出されたマイナス電位のエアと塗装用ブー
ス内のマイナス電位のエアが互いに摩擦し合っても、こ
の摩擦によりエアは帯電せず、マイナスに帯電したまま
で車体に吹き付けられる。よって車体の表面はマイナス
電位を保持することとなり、塗装ブース内でマイナスに
帯電した塵埃は車体の表面には付着せず、車体の表面を
きれいに塗装することができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図１は自動車の塗装装置の斜視
図、図２は塗装ブースの断面図、図３は塗装用補助具の
正面図、図４は筒状体の斜視図、図５は筒状体の断面図
である。

【００１０】まず図１および図２を参照して塗装用ブー
スの全体構造を説明する。図１および図２において、塗
装ブース１の上部の天井にはフィルター２が配設されて
おり、フィルター２の上部には長尺の電極３が複数個設
けられている。各電極３はケーブル４を介してイオン発
生器５に電気的に接続されている。イオン発生器５は高
電圧によりプラスイオンとマイナスイオンを発生し、プ
ラスイオンは除去してマイナスイオンのみを電極３へ送
る。電極３は、フィルター２を通して塗装ブース１内へ
マイナスイオンを放出し、これにより塗装ブース１内に
マイナスイオンを充填する。

【００１１】図２において、塗装ブース１の内部には自
動車１０を載置する車台６が設けられている。車台６の
両側部の床面は凹部７になっており、凹部７の内部には
炭素土間８が設けられている。この炭素土間８は電源
（図外）に接続されてプラス電極になっており、電極３
から放出されたマイナスイオンは炭素土間８へ向って下
降する。

【００１２】塗装ブース１の内部にはケース１１が設け
られている。ケース１１の内部には塗装用補助具１２が
収納されている。次に図３〜図５を参照して塗装用補助
具１２について説明する。塗装用補助具１２は、複数本
の筒状体１３から成っている。図４および図５におい
て、筒状体１３は、合成樹脂から成る管１４の周面に銅
板から成る電極１５を装着し、更に真ちゅうなどの導電
性素材から成るネット１６を複数回巻き付けて装着し、
第１の保護管１７と第２の保護管１８を装着して成って
いる。

【００１３】第１の保護管１７は発泡樹脂から成るやや
肉厚のものであり、また第２の保護管１８は鋼材から成
っている。電極１５とネット１６は、ケーブル４を介し
てイオン発生器５に接続されている。また電極１５とネ
ット１６にはサブケーブル４ａが接続されている。

【００１４】図３に示すように、筒状体１３は複数本並
べられ、管１４同士をエルボ１９で連結している。した
がって複数個の管１４は互いに連通している。また筒状
体１３同士はサブケーブル４ａで互いに電気的に接続さ
れており、したがってすべての筒状体１３はイオン発生
器５に電気的に接続されている。なお筒状体１３の個数
や配列は自由に設定できる。最上流の管１４はパイプ２
０を介してコンプレッサー２１に接続されており、また
最下流の管１４はチューブ２２を介して塗装用のガン２
３に接続されている（図１も参照）。また最下流の筒状
体１３とガン２３の間には圧力調整弁から成る圧力調整
部２４が設けられている。また図示しないが、コンプレ
ッサ２１には塵埃を除去するためのフィルターが付設さ
れている。

【００１５】図３において、コンプレッサー２１からガ
ン２３へエアが圧送される。エアは各管１４の内部を通
ってガン２３へ給送される（破線矢印参照）。このと
き、イオン発生器５が駆動し、マイナスイオンはケーブ
ル４を通じてネット１６および電極１５へ送られ、管１
４の内部にマイナスイオンが放出される。したがってコ
ンプレッサー２１から送られてきたエアはマイナスに帯
電される。

【００１６】この自動車の塗装装置は上記のような構成
より成り、次に自動車の塗装方法を説明する。図２にお
いて、塗装ブース１の内部には天井の電極３からマイナ
スイオンが放出されて塗装ブース１内のエアはマイナス
に帯電され、またマイナスイオンはプラス電位の炭素土
間８へ向って下降する。このマイナスイオンのために、
車台６上の自動車１０の表面はマイナスに帯電される。
また塗装ブース１内を浮遊する塵埃もマイナスに帯電す
る。したがって塵埃は自動車１０の表面には付着しな
い。

【００１７】作業者はガン２３を保持し、車体の必要箇
所に向って塗料を噴射して塗装する。このとき、コンプ
レッサー２１から圧送されたエアも塗料と一緒に勢いよ
く噴射されるが、図３を参照して説明したようにこのエ
アは筒状体１３内を通るときにマイナスに帯電されて塗
料とともにガン２３から噴出する。ここで、塗装用ガン
から噴出されたマイナス電位のエアと塗装用ブース内の
マイナス電位のエアが互いに摩擦し合っても、この摩擦
によりエアは実質的に帯電せず、マイナスに帯電したま
まで車体に吹き付けられる。よって車体の表面はマイナ
ス電位を保持することとなり、塗装ブース内でマイナス
に帯電した塵埃は車体の表面には付着せず、車体はきれ
いに塗装される。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車
体に塵埃が付着するのを防止しながら、塗料できれいに
塗装することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】自動車の塗装装置の斜視図

【図２】塗装ブースの断面図

【図３】塗装用補助具の正面図

【図４】塗装用補助具の筒状体の斜視図

【図５】塗装用補助具の筒状体の断面図

【符号の説明】

１ 塗装ブース ２ フィルター ３ 電極 ４ ケーブル ４ａ サブケーブル ５ イオン発生器 ６ 車台 ８ 炭素土間 １０ 自動車 １２ 塗装用補助具 １３ 筒状体 １４ 管 １５ 電極 １６ ネット ２１ コンプレッサー ２３ 塗装用ガン

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 塗装ブースと、塗装ブースの上部に配設
   された電極と、塗装ブースの下部に配設されたプラス電
   極と、前記マイナス電極にマイナス電子を送るイオン発
   生器と、塗装ブース内に収納された自動車を塗装する塗
   装用ガンと、イオン発生器と塗装用ガンの間に接続され
   た塗装用補助具とを備え、前記塗装用補助具が、導電材
   により形成され且つ前記イオン発生器に電気的に接続さ
   れた筒状体から成り、この筒状体内にコンプレッサーか
   らエアを圧送してこの筒状体内においてこのエアをマイ
   ナスに帯電させ、マイナスに帯電したエアを前記塗装用
   ガンに給送するようにしたことを特徴とする自動車の塗
   装装置。
2. 【請求項２】 マイナスイオン雰囲気中において自動車
   を塗装する塗装用ガンと、塗装用ガンにエアを圧送する
   コンプレッサーの間に接続される塗装用補助具であっ
   て、イオン発生器に電気的に接続される導電性の筒状体
   から成り、この筒状体内にコンプレッサーからエアを圧
   送してこの筒状体内においてこのエアをマイナスに帯電
   させ、マイナスに帯電したエアを前記塗装用ガンに給送
   するようにしたことを特徴とする塗装用補助具。