JP2000037830A - 塗装樹脂成形品 - Google Patents

塗装樹脂成形品

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JP2000037830A
JP2000037830A JP10206413A JP20641398A JP2000037830A JP 2000037830 A JP2000037830 A JP 2000037830A JP 10206413 A JP10206413 A JP 10206413A JP 20641398 A JP20641398 A JP 20641398A JP 2000037830 A JP2000037830 A JP 2000037830A
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Japan
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resin
component
rubber
resin composition
molded product
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JP10206413A
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Katsushi Ito
克志 伊藤
Junji Koizumi
順二 小泉
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Toyoda Gosei Co Ltd
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴム成分を多量にブレンドしたオレフィン系
樹脂組成物で成形した合成樹脂成形品において、サイド
モール等に要求される特性値を備えた新規な合成樹脂成
形品を提供すること。 【解決手段】 成形品本体12がオレフィン系の樹脂組
成物で成形され、成形品本体12上に仕上げ塗膜13を
備えている塗装樹脂成形品。樹脂組成物のベースポリマ
ーが、樹脂成分とゴム成分とからなり、ゴム成分の一部
を油展部分架橋ゴムとするものである。樹脂組成物の物
性が、MFR20g/10分以上及び曲げ弾性率400
〜900MPaを満たす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オレフィン系樹脂組成
物で成形され、成形品本体上に仕上げ塗膜(上塗り塗
膜)を備えている塗装樹脂成形品に関する。特に、本発
明は、耐候性・美観性とともに良好な塗膜密着性が要求
される、自動車の外装部品等に好適な塗装樹脂成形品に
係る発明である。
【0002】本発明を適用可能な自動車の外装部品とし
ては、半硬質のプラスチック成形品に位置づけられるバ
ンパー、サイドモール、サイドガーニッシュ等を挙げる
ことができる。
【0003】ここでは、塗装樹脂成形品として、ポリプ
ロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂成形品上に、ア
クリルウレタン系塗料(熱硬化形)で仕上げ塗膜(上塗
り塗膜)が形成されている塗装オレフィン系樹脂成形品
を、特に、サイドモールを主として例に採り説明するが
これに限定されるものではない。
【0004】
【背景技術】PP又はPP系ポリマーアロイに代表され
るオレフィン系樹脂は、他のポリマーに比して相対的に
軽量であるとともに耐候性にすぐれかつ安価であるた
め、軽量化の要請が強い、自動車部品成形品の材料とし
て、従来のポリ塩化ビニル等に代わって多用されてい
る。
【0005】オレフィン系樹脂はそのままでは耐摩耗性
及び耐擦傷性に劣るため、耐摩耗性に優れた仕上げ塗膜
を形成する必要がある。
【0006】しかし、オレフィン系樹脂は非極性材料で
あるのに対し、耐摩耗性等を付与するための仕上げ塗膜
の形成材料はプライマーも含めて通常極性材料である。
このため、オレフィン系樹脂成形品は塗膜密着性に欠け
る。該オレフィン系樹脂成形品の塗膜密着性を改善する
ために、オレフィン系樹脂組成物として、樹脂成分と該
樹脂成分と混和性を有するゴム成分とのポリマーアロイ
を主体とするものを使用することが種々提案されている
(特公平6−18974号、特公平7−33460号、
特公平7−25985号、等) そして、塗装性の改善効果を確実にするためには、樹脂
組成物のポリマー成分中のゴム成分を高比率(通常、3
0wt%以上)にする必要がある。しかし、塗装性の改善
に寄与するゴム成分を高比率とすると該樹脂組成物の流
動性が低下してしまうとともに、金型賦形面への成形品
の張り付きが発生しやすくて離型性が低下する。このた
め、特にサイドモールのような長尺射出成形品において
は、塗装性を改善するためにポリマー成分中のゴム成分
比率を高くして成形することは困難視されていた。即
ち、材料流動性が低下すると、ショートショット、フロ
ーマーク等の成形不良が発生し易いとともに、離型性が
悪いことも相まって、成形サイクルも長くなって生産性
も低下するためである。
【0007】他方、サイドモール等においては、衝撃吸
収性の見地から柔らかさが要求されるとともに、酷暑時
の耐熱性の見地から剛性が高いことが要求され、更に
は、組み付け作業性の見地から、剛性が余り高すぎない
ことが要求される。また、実車装着後におけるサイドモ
ールの寒暖時の伸び縮みが可及的に小さいことが、装着
安定性及び意匠性等の見地から望ましい。即ち、サイド
モールにおいては、樹脂組成物の物性として、上記塗膜
密着性とともに、MFR20g/10分以上(望ましく
は22g/10分以上)及び曲げ剛性率400〜900
MPa(望ましくは600〜900MPa、更に望まし
くは660〜880Ma)、更には、線膨張係数7.5
×10-5/℃以下(望ましくは7.0×10-5/℃以
下、更に望ましくは6.6×10-5/℃以下)を満たす
ことが要求されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の如く、
ゴム成分を多量にブレンドしたとき、上記特性値を満足
させることは、当業者には、困難視されていた。
【0009】本発明は、上記にかんがみて、ゴム成分を
多量にブレンドしたオレフィン系樹脂組成物で成形した
合成樹脂成形品において、サイドモール等に要求される
特性値を備えた新規な合成樹脂成形品を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意開発に努力をする過程で、樹脂組
成物中のゴム成分の一部を油展部分架橋ゴムで置換する
ことにより、上記特性値を満足できるばかりでなく、離
型性・成形性等も改善できることを見出して、下記の構
成の塗装樹脂成形品に想到した。
【0011】成形品本体がオレフィン系の樹脂組成物で
成形され、前記成形品本体の表面に仕上げ塗膜を備えて
いる塗装樹脂成形品において、前記樹脂組成物のベース
ポリマーが、樹脂成分とゴム成分とからなり、ゴム成分
の一部を油展部分架橋ゴムとするものであり、前記樹脂
組成物の物性が、MFR20g/10分以上及び曲げ弾
性率400〜900MPaを満たすことを特徴とする。
【0012】上記において、樹脂成分とゴム成分との重
量混合比を、前者/後者=40/60〜60/40と
し、ゴム成分中の油展部分架橋ゴムの比率を15〜50
wt%とすることが、上記範囲の曲げ弾性率を示す樹脂組
成物に得易くて望ましい。
【0013】また、樹脂成分をブロックPPとして、ゴ
ム成分をエチレンαオレフィン系ゴムとすることが、両
者とも入手し易く、かつ両者の混和性が得易くて望まし
い。。
【0014】樹脂組成物の物性が、更に線膨張係数7.
5×10-5/℃以下を満たすことが望ましい。
【0015】上記樹脂組成物において、無機フィラーを
タルクとし、該タルクの樹脂組成物中含量を5〜15ph
r とすることが、上記範囲の線膨張係数を成形品本体に
得易くて望ましい。
【0016】
【実施の態様】以下の説明で、配合単位・比率は、特に
断らない限り、重量単位である。
【0017】A.本発明の塗装樹脂成形品は、成形品本
体がオレフィン系樹脂組成物で成形され、成形品本体の
表面に仕上げ塗膜を備えていることを前提的要件とす
る。例えば、図1に示す如く、サイドモールの成形品本
体12の上面(表面)に仕上げ塗膜13が形成され、図
例では、箔モール16が一体化されている。なお、14
は、車体である。
【0018】(1) オレフィン系樹脂を採用するのは、他
のポリマーに比して相対的に軽量であるとともに耐候性
にすぐれかつ安価であるためである。
【0019】(2) 上記仕上げ塗膜は、熱可塑性形塗料で
形成してもよいが、熱硬化型塗料が塗膜に耐擦傷性が得
やすく望ましい。
【0020】熱硬化型塗料としては、アクリルウレタン
系、エステルウレタン系等の各種ウレタン系、及び、メ
ラミン系、不飽和ポリエステル系若しくはそれらの変性
塗料等任意である。これらの内で、アクリルウレタン系
の塗料は、成形品本体、特に、オレフィン系樹脂により
形成した成形品本体との間に塗膜密着性及び塗膜に耐擦
傷性が得易くて望ましい。
【0021】アクリルウレタン系塗料としては、例え
ば、下記構成のものを好適に使用できる(特願平10−
48192号(平成10年2月27日出願):出願時未
公開参照)。
【0022】該ポリマーは、ポリオール成分とポリイソ
シアナート成分とからなる。
【0023】(i) そして、ポリオール成分が、(a) 成
分:塩素化率20〜30%で塩素化POに水酸基導入物
(OH導入物)を含むアクリル系モノマーをグラフト重
合させて水酸基(OH)を導入したアクリルグラフト塩
素化P0(以下「AG塩素化PO」)を主体とし、更
に、(b) 成分:ガラス転移点5℃以上の高分子アクリル
ポリオール、及び、(c) 成分:ガラス転移点10℃以下
の高分子ポリエステルポリオールを、必須成分として含
有しガラス転移点が50℃以上に調製されているものを
使用する。
【0024】(ii)上記AG塩素化POは、そして、AG
塩素化POは、ガラス転移点(Tg)が、15〜60
℃、望ましくは、35〜35℃、重量平均分子量(M
W )が、2万〜10万、望ましくは、3万〜5万のもの
を使用する。また、AG塩素化POのOH価は、5〜4
0mg/g、さらには15〜35mg/gのものを使用すること
が望ましい。
【0025】なお、OH価とは、試料1g中に含まれる
水酸基と当量の水酸化カリウムのmg数を言う。
【0026】上記塩素化POとしては、塩素化PE、
塩素化PP、クロロスルホン化PE、クロロスルホン化
PP等を挙げることができる。
【0027】このとき、特に、塩素化PPが、塗膜密着
性が優れた塩素化度20〜30%のものを容易に調製し
易いため望ましい。また、塩素化度は、20〜30%の
ものが、硬化塗膜の塗膜密着性、耐候性、耐溶剤性に優
れているとともに、塗料化も容易であり望ましい。
【0028】アクリル系モノマーの内のOH導入物と
しては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒ
ドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メ
タクリル酸ヒドロキシプロピル等を挙げることができ
る。
【0029】また、OH導入物以外のアクリルモノマー
としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル
酸ラウリル等を挙げることができる。
【0030】ここで、塩素化POに対するアクリルグラ
フト重量比は、前者/後者=5/95〜40/60、望
ましくは、10/90〜30/70とする。
【0031】(iii) 上記ガラス転移点(Tg )が5℃以
上の高分子アクリルポリオールとしては、水酸基価5〜
60mg/g、望ましくは、10〜35mg/gのものを使用す
る。
【0032】高分子アクリルポリオールは、OH導入物
を含むアクリル系モノマーを、OH導入物の量を適宜量
として共重合させることにより調製することができる。
【0033】そして、Tg は、通常、OH価の増大に比
例して高くなり、Tg は、0〜60℃の範囲のものが容
易に得られる。
【0034】(iv)ガラス転移点(Tg )が10℃以下の
高分子ポリエステルポリオールは、2官能以上のポリオ
ールとジカルボン酸とCOOHに対してOH過剰に重縮
合反応させて調製することができる。
【0035】ここで、ポリオールとしては、エチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタメ
チレンジオール等を好適に使用できる。ジカルボン酸と
しては、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル
酸、セバシン酸等を好適に使用できる。
【0036】高分子ポリエステルポリオールの具体例と
しては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペ
ート、ポリヘキサメチレンアジペート等を挙げることが
できる。また、ラクトンの開環重合によって得られるポ
リカプロラクトンジオール類も使用可能である。
【0037】また、OH価は、50mg/g以上、望ましく
は50〜250mg/g、更に望ましくは180〜250mg
/gとする。
【0038】(V) また、ポリイソシアナート成分として
は、特に限定されないが、自動車外装品のように黄変を
嫌う成形品の場合、いわゆる非黄変性の下記脂肪族系・
脂環式系のものが望ましいが、屋内使用の成形品の場合
は、下記芳香族系のものでもよい。なお、脂肪族系でも
XDIの如くベンゼン環を含むもの、ないし、水添MD
Iの如く脂環式のものは、他の脂肪族系のものに比し
て、架橋分子に剛直性を付与でき、硬度が増大すること
により、耐引っ掻き性を付与でき望ましい。
【0039】なお、ポリオール成分とポリイソシアナー
ト成分との混合比は、略当量混合、通常、1.2/1〜
1/1.2、望ましくは1.1/1〜1/1.1とす
る。
【0040】脂肪族系・脂環式系イソシアナート ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、キシレ
ンジイソシアナート(XDI)、水添キシレンジイソシ
アナート(水添XDI)、4,4´−メチレンビスジシ
クロヘキシルジイソシアナート(水添MDI)、メチル
シクロヘキシルジイソシアナート(水添TDI)、及び
イソホロンジイソシアナート(IPDI)等、さらに
は、取扱上の見地から、それらを高分子化させたダイマ
ー、トリマー、トリメチロールプロパン付加体、プレポ
リマーなど、いわゆる非黄変性のものを挙げることがで
きる。
【0041】芳香族系イソシアナート 4,4´−ジフエニルメタンジイソシアナート(以下
「MDI」と略す)、クルードMDI、液状MDI、ト
リレンジイソシアナート、及びフエニレンジイソシアナ
ート等、さらには取扱上の見地から、これらのを高分子
化させたダイマー、トリマー、トリメチロールプロパ
ン、プレポリマーなどを挙げることができる。
【0042】ここで、(a) 、(b) 及び(c) の各成分の配
合比率が、(a) 成分100部に対して、(b) 成分:5〜
60部、望ましくは15〜50部、更に望ましくは15
〜45部、(c) 成分:5〜40部、望ましくは5〜30
部、更に望ましくは8〜25部、であり、かつ、(b) /
(c) (重量比)=3/7〜9.5/0.5、望ましくは
4/6〜9/1、更に望ましくは6/4〜9/1であ
る。
【0043】B.本発明は、樹脂組成物のベースポリマ
ーが、樹脂成分とゴム成分とからなり、ゴム成分の一部
を油展部分架橋ゴムとするものであり、樹脂組成物は必
要により無機フィラーを添加することを特徴的要件とす
る。
【0044】(1) ベースポリマーを、樹脂成分とゴム成
分とのブレンド(ポリマーアロイ)とするのは、塗膜密
着性を担保するためである。
【0045】樹脂成分とゴム成分との重量混合比は、前
者/後者=35/65〜65/35、望ましくは40/
60〜60/40、更に望ましくは45/55〜55/
45とする。
【0046】ゴム成分比率が過少では、塗膜密着性を確
保しがたいとともに、曲げ弾性率が高くなり過ぎ易く
(比較例1・2参照)。逆に、ゴム成分比率が過多で
は、塗膜密着性が確保できるが曲げ弾性率が低くなり過
ぎ易い。塗膜密着性の確保は、ゴム成分の成形品表面へ
の移行による、成形品表面が粗面となり、接着面積が増
大するとともに、ゴム相の力学的接着作用(投錨効果)
も付加されためである。
【0047】線膨張係数は、ゴム含量が過多でも過少で
も低く押え難い(比較例1)。
【0048】樹脂成分とゴム成分の適度の比率により樹
脂成分自体の線膨張が吸収されて線膨張が抑制される
が、過多になると、今度は、線膨張がゴム成分自体のそ
れ(樹脂成分より線膨張係数が高い)に従属するためで
ある。
【0049】ここで樹脂成分としては、通常、ポリプロ
ピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアロマ
ー、さらには少量のαオレフィンを共重合させたもの等
任意であるが、プロピレンに少量のエチレンをブロック
共重合させたもの(以下、「ブロックPP」と称す
る。)が、耐衝撃性に優れており望ましい。更に具体的
には、エチレン含量4〜8wt%(望ましくは5〜7wt
%)、MFR(ASTM D1238)50〜70g/10min
(望ましくは55〜65g/10min )、曲げ弾性率1
100〜1600MPa(望ましくは1200〜150
0MPa)の特性値を示すブロックPPが好適に使用で
きる。
【0050】また、ゴム成分としては、樹脂成分と混和
性を有するものなら、特に限定されないが、通常、エチ
レンαオレフィン系ゴムを使用する。
【0051】そして、非架橋ゴムの場合は、エチレンα
オレフィン二元共重合体ゴム又はエチレンαオレフィン
二元共重合体ゴムを使用する。また、油展架橋ゴムの場
合は、それらの内で、部分架橋が容易なエチレンαオレ
フィン非共役ジエン三元共重合体ゴムを使用する。
【0052】ここで、αオレフィンとしては、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等を上が
ることができるが、通常、プロピレンを使用する。ま
た、非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン(D
CPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)等を好適
に使用できる。
【0053】具体的には、ゴム成分の内の非架橋ゴムと
して、エチレンプロピレン二元共重合体ゴム(EPM)
を使用する場合、プロピレン含量20〜30wt%(望ま
しくは23〜27wt%)、ムーニー粘度(ML1+4 10
0℃)5〜15(望ましくは8〜12)、硬度HS (JI
S A)55〜65(望ましくは57〜62)の特性値を有
するものを好適に使用できる。
【0054】(3) そして、本発明の最大の特徴は、成形
品本体を成形材料となる樹脂組成物が、ベースポリマー
におけるゴム成分の一部を油展部分架橋ゴムとし、樹脂
組成物の物性がMFR20g/10分(望ましくは22
g/10分以上)及び曲げ弾性率400〜900MPa
(望ましくは600〜900MPa、更に望ましくは6
60〜880Ma)、更には線膨張係数7.5×10-5
/℃以下(望ましくは7.0×10-5/℃以下)を満た
すものであることにある。
【0055】ここで、樹脂組成物の溶融物性であるMF
Rは、成形性の見地からは可及的に高い方が望ましい
が、ゴム成分の配合比率及び樹脂組成物固体物性(機械
的物性)の見地から限度があり、通常、MFR25g/
10分、せいぜい30g/10分である。
【0056】また樹脂組成物の固体物性である線膨張係
数も可及的に低い方が望ましいが、ベースポリマー自体
及び無機配合物に添加量限界等からおのずと規制され、
せいぜい、5.0×10-5/℃である。
【0057】油展部分架橋ゴムとは、全てのゴム分子が
架橋に関与していない、及び/又は、含まれるジエン成
分に基づく二重結合が全部は架橋に使用されておらず溶
剤抽出可能な特性を示し(完全架橋ゴムは溶剤抽出され
ない。)、架橋された荒い網目の中にプロセスオイルが
保持されているる状態のゴムを指す。
【0058】油展部分架橋ゴムとしては、ゲル分率20
〜50%、エクステンダーオイル含量10〜40%、油
展ムーニー粘度(ML1+4 100℃)10以下のものを
好適に使用できる。エクステンダオイルとしては、通
常、パラフィン系、ナフテン系のものを使用する。
【0059】なお、当該油展部分架橋ゴムは、例えば、
油展ゴムに有機過酸化物(架橋剤)を所定量添加して、
70〜250℃の温度で混練して得る。なお架橋剤とし
ては、有機過酸化物が望ましいが、ゴム種により硫黄や
他の架橋剤も使用できる。
【0060】油展ゴムを使用するのは、ゴム成分配合に
よる成形品の剛性を所定値(900MPa)以下とする
のを容易とするとともに樹脂成分との混和性が、別にプ
ロセスオイル(エクステンダー)を添加するより容易な
ためである。
【0061】更に、架橋形を使用した場合は、非架橋形
に比して、塗膜密着性、離型性及び成形材料流動性(M
FR)を改善できる。
【0062】これらの物性改善は、油展部分架橋ゴム
は、非架橋形ゴムに比して、架橋により見かけの分子量
が大きくなって、粘着性が低減するとともに、成形品表
面が粗面となり、接触面積が増大するとともに、投錨効
果も付与されて塗料との接着性が増大するためである。
【0063】油展部分架橋ゴムをゴム成分中の含有率
は、15〜50%、望ましくは、20〜45%、更に望
ましくは25〜35%とする。油展部分架橋ゴムの含有
率が低過ぎると、塗膜密着性、離型性及び材料流動性の
改善効果を得難い。逆に油展部分架橋ゴムの含有率が高
すぎると、線膨張係数が増大する。その理由は、架橋形
ゴムは線膨張に対する寄与度が大きいため、多量の架橋
形ゴム成分の配合により、線膨張従属性が線膨張係数の
相対的に小さい非架橋ゴム成分から線膨張係数の相対的
に大きい架橋形ゴム成分に移行するためと推定される。
【0064】ここで油展部分架橋ゴムとしては、エチレ
ンプロピレン非共役ジエン三元共重合体ゴム(EPD
M)の場合、油展量が10〜40%(望ましくは20〜
30%)であり、ポリマー特性が、プロピレン含量30
〜50%(望ましくは35〜45%)、油展後ムーニー
粘度(ML1+4 100℃)3〜7(望ましくは4〜
6)、硬度HS (JIS A)85〜95(望ましくは87〜
93)であるものが好適である。
【0065】更に、本樹脂組成物には、適宜、無機顔
料、タルク等の無機充填剤、さらには、老化防止剤等の
副資材を配合して成形材料とする。この際、樹脂組成物
の物性が、MFR20g/10分以上及び曲げ弾性率4
00〜900MPa、更には線膨張係数7.5×10-5
/℃以下を満たすものとする必要がある。
【0066】この際、油展ゴムの添加に伴う曲げ剛性率
低下及び線膨張係数増大を補完するとともに、材料流動
性及び離型性を改善する見地から、タルクを配合するこ
とが望ましい。その配合量は、樹脂組成物中、5〜15
phr、望ましくは6〜11 phrとする。
【0067】成形方法は、汎用の、射出・押出、等で成
形でき、特に限定されるものではないが、射出成形の方
が本発明の効果(離型性等)が顕著に現れ易い。
【0068】C.次に、上記塗装成形品の製造方法につ
いて説明をする。
【0069】(1) 予め、成形しておいたプラスチック成
形品本体を、IPA等のアルコールで洗浄する。この洗
浄工程は、プラスチック成形品本体が奇麗な場合は、必
然的でない。
【0070】(2) 次に、成形品本体に下塗り塗料で下塗
り塗膜(プライマー層)を形成し、その後、仕上げ塗膜
塗料を塗布する。なお、下塗り塗膜はあった方が、密着
性及び見地から望ましいが、仕上げ塗膜が基材に対して
十分な接着性を有すれば必然的ではない。
【0071】上記下塗り塗料としては、前述の公報に記
載の公知の塩素化PPベースのものを使用できる。
【0072】特に、下塗り塗膜としては、特開平7−2
78488号公報に記載されている「カルボキシル基導
入物とアクリルグラフト重合物とからなる塩素化オレフ
ィン系樹脂(塩素化PO)をベースとする溶剤形下塗り
塗料」を好適に使用できる。
【0073】(3) こうして製造した樹脂塗装成形品は、
後述の実施例で示す如く、曲げ弾性率400〜900M
Pa及び線膨張係数7.5×10-5/℃以下を満足す
る。更には、成形材料流動性にも優れ、離型性、塗膜密
着性にも優れている。
【0074】
【発明の効果】本発明の塗装樹脂成形品は、オレフィン
系樹脂組成物で成形され、成形品本体上に仕上げ塗膜を
備えている塗装樹脂成形品において、樹脂組成物を、樹
脂成分と該樹脂成分と混和性を有するゴム成分とのポリ
マーアロイを主体とし、ゴム成分の一部を油展部分架橋
ゴムとするものであり、樹脂組成物の物性が、MFR2
0g/10分以上及び曲げ弾性率400〜900MPa
を満たすことにより、成形品本体に、塗膜密着性はもと
より、線膨張係数7.5×10-5/℃以下の従来にない
物性値を有するものとすることが容易となり、離型性・
成形性を改善できる。
【0075】
【試験例】以下、本発明の効果を確認するために行った
実施例・比較例について説明をする。
【0076】(1) 試料の調製 成形材料として表1に示す組成の樹脂組成物を混練後、
自動車のサイドモール(成形品本体)を射出成形(成形
条件:シリンダ温度 220℃、射出量 430 cm3
s、金型温度 30℃)した。
【0077】下記に使用した成分の仕様を説明する。
【0078】 ブロックPP:エチレン含量 6%、MFR 61g/10分、 曲げ弾性率 1360MPa 非架橋EPM:プロピレン含量 25%、 ムーニー粘度(ML1+4 100℃)10、 硬度HS (JIS A)59、 非架橋油展EPDM:プロピレン含量 30%、ENB含量 6% オイル含量(パラフィン系) 40% ムーニー粘度(ML1+4 100℃)74、 硬度HS (JIS A)65、 部分架橋油展EPDM:プロピレン含量 40%、ENB含量 5% 有機過酸化物含量 0.5% オイル含量(パラフィン系) 20% ムーニー粘度(ML1+4 100℃)5、 硬度HS (JIS A)90、 各成形品本体(基材)を、イソプロピルアルコール
(IPA)で拭いた後、下記組成の下塗り塗料(カルボ
キシル基導入物/アクリルグラフト重合物=9/4の塩
素化オレフィン系樹脂をベースとする溶剤形)を、乾燥
膜厚10μmとなるようにスプレー塗布し、風乾して下
塗り塗膜を形成した。
【0079】アクリルウレタン系の仕上げ塗膜塗料
を、乾燥膜厚30μmとなるように、スプレー塗布し、
80℃×30min の条件で、加熱処理して仕上げ塗膜を
形成した。
【0080】なお、仕上げ塗膜塗料としては、下記組成
のものを使用した。
【0081】 <主剤> 100部 ポリオール成分* 35.2部 溶剤(炭化水素系) 56.7部 添加剤(レバリング剤・紫外線吸収剤) 0.4部 顔料(アルミペースト系) 5.0部 <硬化剤(アダクト型HMDI)> 29.5部 <希釈剤(シンナー)> 80部 *アクリルグラフト塩素化PO(塩素化度25%)/高分子アクリルポリオ ール/高分子ポリエステルポリオール=100/20/20(各ポリオール成分 の特性は表1参照)
【0082】
【表1】
【0083】(2) 試験方法 成形品材料、成形品本体、及び塗装成形品について、そ
れぞれ下記方法に従って、試験を行った。
【0084】 メルトフローレイト(MFR):ASTM D1238 曲げ弾性率: ASTM D790 ムーニー粘度: JIS K 6300 線膨張係数: ASTM D696 塗膜密着性: 各成形品について、学振式摩耗器(「染色物摩擦堅牢度
試験機NR−100」株式会社大栄科学精器製作所製)
のチャックの先端に図2に示すような引掻き子(2cm
□)20の先端突出部(1cm□×突出長3mm)21のエ
ッジ21a方向が引掻き移動方向と一致するように保持
して、下記条件で試験を行い塗膜が剥れ成形品本体の下
地が出てくるまでの回数を測定した。
【0085】 引掻き子:クロムメッキ真鍮製 試験条件:荷重 500g、往復距離 60mm、速度
50往復/分 離型性:鏡面仕上げ金型を用いて各試験片(150 ×15
0 ×2mm)を射出成形(シリンダ温度220℃、射出量
50 cm3/s、金型温度 30℃)した。離型性を下
記基準で判定した(5が最高、1が最低)。
【0086】 5…全く貼り付きなし(可動型に追従)、 4…ほとんど貼り付きなし(可動型に追従)、 3…反キャビティ側(固定型)に部分的に貼り付くが、
型開完了時に剥れる(可動型に追従)、 2…反キャビティ側(固定型)に部分的に貼り付きあ
り、型開完了時に可動型に追従せず、 1…反キャビティ側(固定型)に全面貼り付きあり、型
開完了時に可動型に追従せず、 (3) 試験結果を表1に示すが、本発明の各実施例は、要
求特性値を全て満足することが分かる。
【0087】
【表2】
【0088】<要求特性値> MFR:20g/min 以上、曲げ弾性率:400〜90
0MPa 線膨張係数:7.5×10-5/℃以下、離型性:評価4
以上、 塗膜密着性:30回以上
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する塗装樹脂成形品の一例である
モールの装着態様断面図
【図2】耐引掻き性の試験に使用した引っ掻き子の形態
説明のための斜視図
【符号の説明】
12 サイドモール本体 13 仕上げ塗膜 14 車体 16 箔モール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AC10A AC10H AK03A AK07A AK25 AK25J AK51 AK51J AK62A AK64 AK75 AL01 AN02A BA02 CA23A CC00B GB32 JA02A JA06A JK06 JK07A JL02 JL14 YY00A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形品本体がオレフィン系の樹脂組成物
    で成形され、前記成形品本体の表面に仕上げ塗膜を備え
    ている塗装樹脂成形品において、 前記樹脂組成物のベースポリマーが、樹脂成分とゴム成
    分とからなり、ゴム成分の一部を油展部分架橋ゴムとす
    るものであり、 前記樹脂組成物の物性が、MFR20g/10分以上及
    び曲げ弾性率400〜900MPaを満たすことを特徴
    とする塗装樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 前記樹脂成分とゴム成分との重量混合比
    が、前者/後者=40/60〜60/40であり、ゴム
    成分中の油展部分架橋ゴムの比率が15〜50wt%であ
    ることを特徴とする請求項1記載の塗装樹脂成形品。
  3. 【請求項3】 前記樹脂成分がブロックPPであり、ゴ
    ム成分がエチレンαオレフィン系ゴムであることを特徴
    とする請求項1又は2記載の塗装樹脂成形品。
  4. 【請求項4】 前記樹脂組成物の物性が、更に線膨張係
    数7.5×10-5/℃以下を満たすことを特徴とする請
    求項3記載の塗装樹脂成形品。
  5. 【請求項5】 前記樹脂組成物が、更に無機フィラーと
    してタルクを含有し、該タルクの樹脂組成物中含量が5
    〜15wt%であることを特徴とする請求項4に記載の塗
    装樹脂成形品。
  6. 【請求項6】 前記樹脂組成物の物性が、更に線膨張係
    数7.5×10-5/℃以下を満たすことを特徴とする請
    求項1記載の塗装樹脂成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010023616A (ja) * 2008-07-17 2010-02-04 Toyoda Gosei Co Ltd めっき樹脂品の取付構造

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