JP2000033467A - 多層構造のスリーブ - Google Patents
多層構造のスリーブInfo
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Abstract
のバランスが優れたスリーブの提供。また、新規な結晶
性乱層構造窒化硼素の用途を開発する。 【解決手段】軸方向に沿って上流部に高BN含有率層
1、下流部に低BN含有率層2が配置され、両層1,2
が軸方向に接合されている。高温の溶湯が導入される上
流部に配置された高BN含有率層1は気孔率が高く、熱
膨張が等方的であって耐熱衝撃性が高く、圧力が加わる
下流部に配置された低BN含有率層2は緻密で強度が高
い。
Description
特にダイカストマシンのプランジャスリーブに関する。
リーブとして、特開平7−46807号公報には、溶湯
からのガス抜きを図るために内筒をサーメットなどの多
孔質体から形成し、この内筒が嵌挿される外筒を金属の
鋳造材から形成したものが提案されている。内筒と外筒
は焼きばめによって一体化される。
は、上流部を工具鋼製の単層筒状部材、下流部を内周部
が多孔質体、外周部が金属体からなる径方向複層筒状部
材として、単層筒状部材と径方向複層部材を軸方向に接
合したプランジャスリーブが開示されている。
−243711号公報に提案されたダイガストマシンの
プランジャスリーブの保温性ないし断熱性は、必ずしも
利用者を満足させるものではなく、溶湯の温度低下によ
る製品欠陥の発生を招くという問題点がある。加えて、
金属製の外筒が過熱するおそれもある。
に提案された、単層筒状部材と径方向複層部材を軸方向
に接合したプランジャスリーブにおいても、上流部に金
属製の単層筒状部材を用いているため、上述のような問
題点がある。さらに、下流部の径方向複層部材において
は、その強度や耐熱衝撃性が十分ではなく、鋳造条件に
制限が加えられている。
く、強度と耐熱衝撃性のバランスが優れたスリーブを提
供することである。本発明の別の目的は新規な結晶性乱
層構造窒化硼素の用途を開発することである。
は、第1の視点において、軸方向に沿って、少なくとも
強度及び気孔率が互いに異なるセラミックス質の層を備
える。第2の視点において、軸方向に沿って窒化硼素の
含有量が互いに異なる複数の層を備える。
態を説明する。
ては、スリーブ材料として、種々のセラミックスを用い
ることができるが、特に、窒化硼素を含む複合セラミッ
クス、中でも結晶性乱層構造窒化珪素微粉末を焼結原料
として含んでなる複合セラミックスを用いる。
料とする新規な焼結体及びその製造方法について説明す
る。併せて、窒化硼素の多形について説明する。
合物であるが、炭素とほぼ同じ結晶構造を有する多形が
存在する。すなわち、窒化硼素には無定形窒化硼素(以
下、「a−BN」という)、六角形の網目層が二層周期
で積層した構造を持つ六方晶系窒化硼素(以下、「h−
BN」という)、六角形の網目が三層周期で積層した構
造を持つ菱面体晶系窒化硼素(以下、「r−BN」とい
う)、六角形の網目層がランダムに積層した構造を持つ
乱層構造窒化硼素(以下、「t−BN」という)、高圧
下の安定相であるジンクブレンド型窒化硼素(以下、
「c−BN」という)及びウルツアイト型窒化硼素(以
下、「w−BN」という)が知られている。
て実用性が認められているのはh−BNとc−BNのみ
である。h−BNは黒鉛より耐酸化性に優れている安定
相であり、合成された結晶性h−BN粉末の粒子は通常
六角板状の自形を有しており、黒鉛と同様に良好な耐熱
性、機械加工性(切削加工性)及び固体潤滑性を有して
いるが、黒鉛と異なり白色で優れた絶縁性を有する。他
方a−BNは不安定で吸湿性があるため、a−BNの状
態では使用できない。典型的なh−BNとa−BNのC
uKα線による粉末X線回折図を図1と図2に示す。
線回折図では[002]、[100]、[101]、
[102]及び[004]の回折線が顕著である。これ
に対して図2のa−BNの粉末X線回折図ではh−BN
の粉末X線回折図の[100]回折線と[101]回折
線の位置にある[100]と[101]回折線が合体し
たブロードな(半価幅の大きい)回折線と、h−BNの
粉末X線回折図の[002]回折線の位置にあるブロー
ドな回折線とがあるのみで、他の回折線は見当らない
か、存在したとしてもブロードで存在が不明瞭な弱い回
折線しか存在しない。a−BNの構造では硼素と窒素か
らなる六角網目層が発達しておらず、発達していない微
小な六角網目層の積層構造にも規則性がないものであ
る。
達した六角網目層が・・aa’aa’aa’aa’a・
・のパターンで積層した結晶構造を有しており、六角網
目層が3層周期で積層したものがr−BNである。他
方、六角網目層は発達しているが六角網目層の積層構造
に規則性のないものをt−BNという。t−BNの粉末
X線回折図の一例を図3に示す。図3から分かるよう
に、この粉末X線回折図ではh−BNの粉末X線回折図
の[002]及び[004]回折線に対応する回折線が
シャープな回折線となっているが、[100]回折線に
対応する回折線が高角度側に裾を引いて広がった形をし
ていて[101]に対応する回折線が弱く目立たず、
[102]に対応する回折線は存在しないか、存在して
も非常に弱い。この[102]に対応する回折線は六角
網目層が規則的に積層していることによって始めて現れ
る回折線である。
(1989)No.2,P201〜204では粉末X線
回折図がブロードな回折線しか示さない窒化硼素をt−
BNと記載しているが、このような窒化硼素はt−BN
と区別してa−BNであるとするのが妥当である。
結体の例としては次のようなものが知られている。特開
昭60−195059号公報、特開昭60−19506
0公報及び特開平2−252662号公報にはh−BN
粉末を窒化アルミニウムと複合したマシナブル(機械加
工性又は切削加工性)で熱伝導率の大きい複合セラミッ
クス焼結体が開示されている。また、特公平5−654
67号公報及び特開平1−305861号公報にはa−
BN粉末を原料に用いて窒化硼素を窒化アルミニウム、
窒化珪素又は炭化珪素と複合した、h−BNを含む高強
度で機械加工性が良好な複合セラミックス焼結体が開示
されている。
酸化物、窒化物、炭化物等からなる多孔質のセラミック
スに硼酸水溶液を含浸して乾燥し、これをアンモニア雰
囲気中で加熱して還元かつ窒化し、多孔質焼結体中に窒
化硼素(加熱温度からこの段階ではa−BNになってい
ると推定される)を生成させる。次いでこれを母材の焼
結温度で焼結し、焼結と同時にa−BNがh−BNに相
転移したh−BN粒子を含む強度が大きい各種の複合セ
ラミックス焼結体を得ている。この方法の場合、比較的
多量の窒化硼素を複合させた複合セラミックス焼結体を
得るには、含浸、乾燥及び窒化の工程を繰り返し行なう
必要があるので煩雑である。
結晶相であるc−BNとw−BNを除いた窒化硼素の
内、t−BNやr−BNについては実験室でごく少量合
成された報告が過去にあるのみで(たとえばJourn
al of Solid State Chemist
ry Vol.109,No.2,p384−390
(1994)参照)、本発明者らの関知する限りにおい
て、結晶性t−BN微粉末を原料に使用した複合焼結
体、あるいは結晶性t−BNを含有する複合焼結体は未
だ知られていない。
平9−21052号に生産性に優れた結晶性t−BN微
粉末の製造方法を提案した。本発明者らは、さらに、特
願平10−152020号において、特願平9−210
52号に記載した結晶性t−BN微粉末の有する特徴で
ある、湿気に対して不活性であり、結晶粒子径(一次粒
子径と同じ)が細かく、一次粒子の粒径が揃っていて、
焼結性が良好な結晶性t−BN微粉末を利用した、安価
で有用な複合セラミックス焼結体の製造方法を提案し、
加えて、新規な結晶性BN微粉末を用いた高性能複合セ
ラミックス焼結体をも提案した。
BNを用いた新規なスリーブ及びスリーブ構造を提供せ
んとするものである。
ましい実施形態において、有効量、特に5重量%以上の
結晶性t−BN微粉末をこれ以外のセラミック原料に混
合したセラミック混合物を成形して焼結する。結晶性t
−BNの有効量は、所要目的に応じて定められるが、お
よそ0.1重量%以上から、0.5、1、2、3、4の
各重量%以上等に設定できる。また焼結は結晶性t−B
Nが実質的(例えば10%以上)に或いは所定量以上
(70%、50%、30%、20%以上等これらの中間
を含む任意の量)相転移を生じない条件下において行う
ことができる。これにより、結晶性t−BN含有複合セ
ラミックス結晶体が得られる。
て、結晶性t−BNが相転移(特にh−BNへ)する条
件下に焼結して、高性能の複合セラミックス焼結体を、
得ることができる。その場合、相転移は50%以下ない
しそれ以上に制御でき、また実質的に全て相転移させる
こともできる。
方法は、前述の特願平9−21052号に記載された結
晶性t−BN微粉末の製造方法、すなわち有効量の溶融
硼酸アルカリを共存させて窒素等の非酸化性雰囲気中で
a−BN粉末を加熱し、a−BNをt−BNに結晶化さ
せる方法である。複合セラミックス焼結体は多くの場合
多孔質の焼結体であるが、結晶性t−BN微粉末はサブ
ミクロンの微細な一次粒子からなっているのでh−BN
粉末より焼結しやすく、成形するとa−BNを混合した
粉末より緻密な成形体になり、焼結すれば緻密な複合焼
結体となる。この複合焼結体は気孔率が相当あっても強
度が比較的大きい。微細な結晶性t−BN微粒子が焼結
時にh−BNに転移しないで焼結体中に残存している場
合には微細な結晶性t−BN微粒子の存在によって微細
な気孔が形成され、焼結体中の気孔はサブミクロンサイ
ズの微細な平均気孔径を有するものとなる。
結晶性t−BN微粉末の合成方法は、たとえば次の通り
である。出発原料に尿素と硼酸及び少量の硼酸アルカリ
からなる硼素より窒素成分が過剰な混合物を出発原料に
用い、硼酸ナトリウムの共存下で加熱して950℃以下
で反応させ、a−BNを主体とし硼酸やナトリウムイオ
ンを含むカルメ焼き状の中間生成物を得る。次いでこの
中間生成物を1mm以下に粉砕して窒素雰囲気中で約1
300℃に加熱し、結晶化させると結晶性t−BNが生
成する。この結晶化した反応物を水、特に温純水で洗浄
(必要に応じてアルカリ成分の中和洗浄のために酸を用
いる)して精製すると、純度が高く、円板状又は球状の
形状を有する微細な一次粒子からなる結晶性t−BN微
粉末が得られる。結晶性t−BN微粉末の微細な一次粒
子は集合してミクロンサイズの二次粒子となっている
が、アトリションミルなどで湿式粉砕すれば、微細な一
次粒子にまで容易に微粉砕することができる。結晶性t
−BN微粉末の一次粒子は、微細な円板状又は球状であ
ることによって微粉砕された混合粉末を成形するときに
六角板状のh−BN粒子のように配向しないので、複合
焼結体としても熱膨張率の成形時の方向による差異が殆
どない焼結体が得られるという利点がある。
BNの[004]回折線(図1参照)に対応する回折線
の2θの半価幅が0.6°以下と小さくシャープな回折
線を示す結晶性の窒化硼素であって、h−BNの[10
0]、[101]及び[102]回折線に対応する各回
折線の占める面積(回折線の強度を意味する)S100、
S101及びS102の間にS102/(S100+S101)≦0.
02の関係を充たす窒化硼素を結晶性t−BNという。
BN粉末ないし微粉末としては、h−BNの[004]
回折線に対応する回折線の2θの半価幅が0.5°以下
の結晶性t−BN微粉末を使用するのが好ましい。
よって高純度のものを製造できる。したがって、セラミ
ックス混合粉末中に含まれる結晶性t−BNの含有量
は、結晶性t−BNの含有量が既知のセラミックスの混
合粉末を別途調製して複数の標準試料とし、標準試料の
粉末X線回折図中の結晶性t−BNの回折線の強度を、
粉砕した複合セラミックス焼結体の粉末X線回折図中の
結晶性t−BNの回折線の強度と比較すれば求めること
ができる。
は、前述の方法によって従来市販されているh−BN粉
末と比べて安価に製造され、結晶性t−BN微粉末の一
次粒子が微細であることによってセラミックス混合粉末
の成形体が焼結しやすく、多孔質な複合焼結体の場合も
強度が大きく、窒化硼素が結晶性t−BNの状態で焼結
体中に残留している場合には微細で揃った大きさの気孔
を有する複合セラミックス焼結体が得られる点である。
比較すると、結晶性t−BN微粉末はa−BN粉末と比
べて湿気などの水分に対して安定であるので焼結体の原
料として使いやすく、a−BN粉末を混合したセラミッ
クス混合粉末と比べて密度の大きい成形体が得られ、密
度の大きい複合セラミックス焼結体が得られる点であ
る。従来のh−BN粉末を含む複合セラミックス焼結体
の場合と同じく、本発明の製造方法による窒化硼素含有
複合セラミックス焼結体は、h−BN及び/又は結晶性
t−BNを焼結体の内部に含有していることによってヤ
ング率が小さく熱伝導率が大きいので耐熱衝撃性に優れ
ており、固体潤滑性があり、溶融金属に対して優れた耐
食性を有し、電気絶縁性に優れている等の好ましい特徴
がある。
ミックス粉末との混合、あるいは粉砕を兼ねる混合は分
散性のよいアルコールなどを媒体とする湿式のボールミ
ルやアトリションミルによって行なうのが好ましい。複
合セラミックス焼結体の原料とするセラミックス混合粉
末に混合する窒化硼素粉末は微細である方が成形体の焼
結性がよく、前述の製造方法によって得られる結晶性t
−BN微粉末の一次粒子は平均粒径が0.4μm以下と
微細であるのでこの結晶性t−BN微粉末を混合したセ
ラミックス混合粉末の成形体は焼結性に優れていて好ま
しい。複合セラミックス焼結体の製造方法としては、無
加圧焼結又は加圧焼結のいずれを採用してもよいが、無
加圧焼結を採用すれば、製造できる複合焼結体の形状に
自由度があり、各種の形状と寸法の複合セラミックス焼
結体を安価に製造できる点で好ましい。
1450℃以上において所定時間以上に加熱すると高温
で安定なh−BN結晶に相転移し、t−BNとh−BN
が混在する複合セラミックス焼結体、あるいはt−BN
を含まず、h−BNと他のセラミックスとの複合セラミ
ックス焼結体になる。焼結温度が1400℃以下のセラ
ミックス粉末を組み合わせたセラミックス混合粉末を原
料とすると、出発原料のセラミックス混合粉末中に配合
したのとほぼ同量の結晶性t−BNを含む複合セラミッ
クス焼結体が得られる。
これ以上(特に1500℃未満の範囲では)とすると焼
結時間とともに結晶性t−BNがh−BNに相転移する
ので、焼結時間によって結晶性t−BNの含有量が変化
することになる。さらに焼結温度を高くする(約150
0℃以上では特に)と焼結が速やかに進行するが、同時
に結晶性t−BNは速やかにh−BNに相転移し、同時
に焼結体中に結晶成長したh−BNの結晶粒子が生成す
る。いずれにしても、最終焼結体におけるBNの所望焼
結状態(乱層t−BNのみが実質的に乱層でもt−BN
とするか、所定比以下の乱層t−BNとするか)に従っ
て、最高焼結温度は、時間との関係で定めることができ
る。
配合量としては、強度の大きい複合セラミックス焼結体
が得られるように、5〜40重量%、さらに好ましく
は、10〜30重量%、或いは10〜20重量%を結晶
性t−BN(微粉末)、残部を窒化硼素以外のセラミッ
クス粉末とした混合粉末を原料に用いるのが好ましい。
る窒化硼素以外のセラミック原料としては、一般に14
50℃程度以下(ないし1430℃、1400℃程度以
下)の温度で焼結可能なセラミック原料を用いることが
でき、粉末に限らず沈澱法、ゾルゲル法、或いはこれら
の混合形式、天然又は合成物質いずれも任意に選択して
用いることができる。さらにこれらのセラミック原料と
しては、1450℃以上で焼結されるものを用いること
もできる。
物、ホウ化物、窒化物、炭化物、けい化物、これらの複
合化合物もしくはこれらと酸化物との複合化合物などの
一種以上を用いることができる。これらのセラミック原
料を例示すると、コージライト、ムライト、ジルコン、
ジルコニア、アルミナ、スピネル、窒化珪素(Si3N4
など)、窒化アルミニウム、炭化珪素、硼化ジルコニウ
ム、硼化チタン、サイアロン等を使用できる。
られ、多くの用途を期待できるアルミナ、ジルコニア、
窒化珪素又は窒化アルミニウムを組み合わせたセラミッ
ク混合原料を用いて複合セラミックス焼結体を得るのが
好ましい。難焼結性の非酸化物系セラミックスとの複合
セラミックス焼結体を製造する場合は、焼結温度を低く
して緻密に焼結できるように所定の(好ましくは非酸化
物系セラミックス用の)焼結助剤(各セラミック材料で
公知のものを選択できる)を添加して焼結するのが好ま
しい。
で焼結可能なものを窒化硼素以外のセラミック原料に使
用すれば、結晶性t−BN微粉末を相転移させないで複
合セラミックス焼結体を得ることができる。また、機械
加工性(マシナブル又は切削加工性に同じ)を備えた複
合セラミックス焼結体を得たい場合には、超硬チップ等
による切削加工が容易となるように、結晶性t−BN微
粉末を10重量%以上混合したセラミックス混合粉末を
原料に用いて複合セラミックス焼結体を製造するのが好
ましい。他方、目的とする複合焼結体の密度にもよる
が、結晶性t−BN微粉末を35重量%より多く混合し
たセラミックス混合粉末は緻密に焼結するのが難しく、
得られる複合焼結体の強度が小さくなるので、結晶性t
−BN微粉末のセラミックス混合粉末への混合量は35
重量%以下とするのが好ましい。
Nを用いる場合、約10重量%以下の配合では、実質的
に極めて高密度(低気孔率)の焼結体を製造できること
が判った。実際に対理論密度比で95%以上、98%以
上から99%以上のものも焼結できる。
複合セラミックス焼結体の気孔径の小さい方が大きい強
度の焼結体となる。また、複合セラミックス焼結体を強
度を必要とする構造用部材に使用したり、複合セラミッ
クス焼結体に良好な機械加工性を付与して精度のよい加
工をしたい場合には、強度が5kg/mm2以上ある複
合セラミックス焼結体とするのが好ましい。焼結体の表
面を鏡面に研摩するには、複合セラミックス焼結体を開
気孔のない緻密なものとするのが好ましい。なお、気孔
率は例えば水銀ポロシメータで測定できる。好ましく
は、焼結体の水銀ポロシメータで測定された平均気孔径
が1.0μm以下である。
ては、焼結体中の結晶性乱層構造窒化硼素粒子の平均結
晶粒径が0.5μm以下である。
結晶性乱層構造窒化硼素粒子の出発材料として純度90
%以上、残部は主としてB2O3のものを用いて焼結され
る。
セラミックス混合粉末に混合された結晶性乱層構造窒化
硼素微粉末の一次粒子の粒径が1μm以下であり、一次
粒子の平均粒径が0.4μm以下である。
態において、高強度を必要とする構造用スリーブ、耐久
性のある通気性多孔質溶融金属用鋳型用スリーブ、溶融
金属と接触する保護スリーブなどの耐熱衝撃性を必要と
するスリーブとして用いられる。
軸方向に沿って、2段、あるいは3段以上の層を配置す
る。
軸方向に沿って、強度、気孔率、耐熱衝撃性が互いに異
なるセラミックス質の層を配置する。
説明する。なお、以下の実施例は本発明の一実施例であ
って、本発明を限定するものではない。
含まれる結晶性乱層構造窒化硼素(以下「結晶性t−B
N」という)について説明する
窒化硼素(以下「結晶性t−BN」という)の微粉末を
次のようにして合成した。無水硼酸(B2O3)3.5k
g、尿素((NH2)2CO)5.3kg、硼砂(Na2
B4O7・10H2O)0.63kgからなる混合物を出
発原料とし、この混合物を直径530mmの蓋付きステ
ンレス鋼製容器に入れ、この反応容器を炉内に入れて2
50〜500℃、500〜600℃、600〜700
℃、700〜800℃、800〜900℃の各段階にそ
れぞれ10分かけて昇温し、最後は900±1℃に10
分間保持して反応させた(合計1時間)。この間100
℃を超えたところで水蒸気が噴出し始め、200℃で成
分が溶融し始め、ぶくぶくと泡が出てガスの放出を伴っ
て反応が進んだ。350〜400℃まで主に水蒸気を放
出し、900℃に10分間保持したところガス(水蒸気
及び炭酸ガス)の放出が減少した。
ろ、反応容器中の混合物はB2O3が反応を完了してカル
メ焼き状の反応物となっていた。このカルメ焼き状の反
応物を反応容器中で解砕し、真空吸引して反応容器中か
ら取り出し、粉砕して1mm目の篩を通した。この粉砕
した反応物をアルミナ製の蓋付き匣鉢に入れて蓋を閉
じ、窒素雰囲気とした電気炉中で1300℃まで10時
間かけて昇温し、この温度に2時間保持し、その後放冷
した。匣鉢から取り出した粉末を80〜85℃に温めた
イオン交換水で洗浄してアルカリ成分と硼酸成分を除
き、次いで希塩酸で中和し、さらに温めたイオン交換水
で洗浄して乾燥し、純度の高い結晶性t−BN微粉末を
得た。この一連の工程による結晶性t−BN微粉末の収
量は出発原料10kgに対して約2.8kgであり、出
発原料中の仕込み硼素量に対する製造歩留は70%以上
であった。なお、結晶性t−BNの純度は水洗の程度に
より90〜97%以上に亘る。
ルを媒体として直径1.2mmのジルコニアビーズを用
いるアトリションミル(芦沢鉄工所社製パールミル)に
よって2時間微粉砕した。微粉砕後の結晶性t−BN微
粉末について粒度分布を調べた(堀場製粒度分布アナラ
イザLA−700使用)結果、約95%が1μm以下の
微粒子となっており、平均粒径は約0.30μmであっ
た。また、窒素吸着法で測定した粉末の比表面積は12
m2/gであった。
よる粉末X線回折図を図3に、13300倍に拡大した
結晶性t−BN微粉末の顕微鏡写真を図4に、同結晶性
t−BN微粉末をアトリションミルで微粉砕後の粒度分
布グラフを図5にそれぞれ示す。
[004]回折線に対応する回折線は2θの55°にあ
り、その2θの半価幅は0.47°であり、S102/
(S100+S101)の値はほぼゼロであった。また、図4
の拡大電子顕微鏡写真から分かるように、この結晶性t
−BN微粉末の一次粒子の平均結晶粒径は約0.27μ
mであり、結晶性t−BN微粉末の一次粒子は円板状又
は球状の粒子からなっている。
により自由にコントロールでき、90%以上〜97%以
上さらに98%、99%以上の高純度のものまで得られ
る。残留分としては、上記の方法で得られる結晶性t−
BN微粉はB2O3を主体とする。従って、所定量の残留
B2O3を含有する結晶性t−BN微粉を用いれば、残留
B2O3が焼結助剤の役割も果たすので、焼結性の一層の
増進に資する。
材料となる、以上説明した結晶性t−BN粉末と、他種
のセラミックス粉末を原料とする複合セラミックス焼結
体について説明する。
合焼結体:表1参照]
度90〜97%、残部は主としてB2O3)と混合するセ
ラミックス粉末にアルミナ粉末(純度92%、他にSi
O2、MgOなど8重量%を含む平均粒径3.5μmの
マルスゆう薬製)を選び複合セラミックス焼結体を作製
した。但し、試料1においては結晶性t−BN配合量を
ゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細に説明す
る。
5%とポリアクリル酸アンモニューム塩の解こう剤を固
形分0.3重量%添加してボールミルで12時間分散混
合して調製した。また上記結晶性t−BN微粉末に水分
重量45%重量%とポリカルボン酸アンモニューム塩の
解こう剤を固形分2重量%添加してボールミルで12時
間分散混合して調製した。その後、両者のスラリーを混
合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、1
0重量%、15重量%、20重量%、25重量%の混合
スラリーとし、各混合スラリーに成形助剤としてワック
スバインダー及びポリビニールアルコール樹脂バインダ
ーを固形分3重量%添加して、その後スプレードライヤ
ーを用いて造粒粉を作製した。
0kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。こ
の成形体を還元雰囲気中で1480℃で2時間焼結して
寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミッ
クス焼結体を得た。
性を表1に示した。試料2〜5の各焼結体を粉砕して粉
末X線回折で調べた結果、複合した窒化ホウ素粉末はす
べて元の結晶性t−BNの状態で焼結体中に残存してい
た。なお、表1に示した焼結体のかさ密度、気孔率、吸
水率はアルキメデス法で測定し、曲げ強度はJIS16
01に規定する方法で測定した。また、硬度はビッカー
ス硬度計を用いて測定した。
粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中で、4
時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平均粒径
4.8μm、平均一次粒子径1.5μm、比表面積12
m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及びh−
BN粉末(平均粒径0.5μm、比表面積25m2/g
の六角板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞれ15重
量%混合した混合スラリーを実施例1と同様にして複合
セラミックス焼結体を作り(試料6、7)、その特性を
表1に併せて示した。
ろ、試料2〜7のいずれの複合セラミックス焼結体につ
いても良好な機械加工性があることが認められた。
合焼結体:表2参照]
組み合わせて複合するセラミックス粉末にアルミナ粉末
(純度99.99%、平均粒径0.4μmの大明化学
製)を選び複合セラミックス焼結体を試作した。但し、
試料8においては結晶性t−BN配合量をゼロ重量%と
した。以下、この作製方法を詳細に説明する。
5%とポリカルボン酸アンモニューム塩の解こう剤を固
形分0.6重量%添加してボールミルで12時間分散混
合して調製した。また、上記結晶性t−BN微粉末に水
分重量45重量%とポリカルボン酸アンモニューム塩の
解こう剤を固形分2重量%添加してボールミルで12時
間分散混合して調製した。その後、両者のスラリーを混
合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、1
0重量%、15重量%、20重量%、25重量%混合ス
ラリーとし、各混合スラリーに成形助剤としてワックス
バインダー及びポリビニールアルコール樹脂バインダー
を固形分3重量%添加して、その後スプレードライヤー
を用いて造粒粉を作製した。
00kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。
この成形体を還元雰囲気中で1350℃で2時間焼結し
て寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミ
ックス焼結体を得た。
性を表2にまとめて示した。試料9〜12の各焼結体を
粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒化ホウ
素粉末はすべて元の結晶性t−BNの状態で焼結体中に
残存していた。
ミナ粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中
で、4時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平
均粒径4.8μm、平均一次粒子径1.5μm、比表面
積12m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及
びh−BN粉末(平均粒径約0.5μm、比表面積25
m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞ
れ15重量%配合した混合スラリーを実施例1と同様に
して複合セラミックス焼結体を作り(試料13、1
4)、その特性を表2に併せて示した。
ろ、試料9〜14のいずれの複合セラミックス焼結体に
ついても良好な機械加工性があることが認められた。
表3参照]
と組み合わせて複合するセラミックス粉末にα窒化けい
素粉末(平均粒径0.6μm、比表面積22m2/gの
Y2O3を6重量%とAl2O3を4重量%を含む秩父小野
田製の窒化けい素粉末)を選び複合セラミックス焼結体
を試作した。但し、試料15においては結晶性t−BN
配合量をゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細
に説明する。
25%とポリカルボン酸アンモニューム塩の解こう剤を
固形分0.5重量%添加してボールミルで12時間分散
混合して調製した。また、上記結晶性t−BN微粉末に
水分重量45重量%とポリカルボン酸アンモニューム塩
の解こう剤を固形分2重量%添加してボールミルで12
時間分散混合して調製した。
t−BN微粉末の配合量がゼロ重量%、10重量%、1
5重量%、20重量%、25重量%の混合スラリーと
し、各混合スラリーに成形助剤としてワックスバインダ
ー及びポリビニールアルコール樹脂バインダーを固形分
3重量%添加して、その後スプレードライヤーを用いて
造粒粉を作製した。
0kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。こ
の成形体を窒素雰囲気中で1800℃で5時間焼結して
寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミッ
クス焼結体を得た。
性を表3に併せて示した。また実施例16〜19の各焼
結体を粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒
化ホウ素粉末はすべてh−BN結晶に相転移しているこ
とが分かった。
けい素粉末に前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中
で、4時間1750℃で加熱して得たh−BN粉末(平
均粒径約4.8μm、平均一次粒子径約1.5μm、比
表面積12m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉
末)及びh−BN粉末(平均粒径約0.5μm、比表面
積25m2/gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)を
それぞれ15重量%配合した混合スラリーを試料1と同
様にして複合セラミックス焼結体を作り(試料20、2
1)、その特性を表3に併せて示した。
ろ、試料16〜21のいずれの複合セラミックス焼結体
についても良好な機械加工性があることを認められた。
焼結体:表4参照]
と組み合わせて複合するセラミックス粉末に窒化アルミ
ニウム粉末(平均粒径1.4μm、比表面積2.7m2
/gのY2O3を5重量%含むダウケミカル製のアルミニ
ウム粉末)を選び、複合セラミックス焼結体を試作し
た。但し、試料22においては結晶性t−BN配合量を
ゼロ重量%とした。以下、この作製方法を詳細に説明す
る。
チルアルコール重量45%添加してボールミルで12時
間分散混合して調製した。また、上記結晶性t−BN微
粉末にエチルアルコール重量45重量%添加してボール
ミルで12時間分散混合して調製した。その後、両者の
スラリーを混合して結晶性t−BN微粉末の配合量がゼ
ロ重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25
重量%の混合スラリーとし、各混合スラリーに成形助剤
としてポリビニールブチラール樹脂バインダーを固形分
3重量%添加して、その後スプレードライヤーを用いて
造粒粉を作製した。
00kg/cm2の成形圧力で加圧して成形体を得た。
この成形体を窒素雰囲気中で1800℃で5時間焼結し
て寸法が大凡15cm×15cm×2cmの複合セラミ
ックス焼結体を得た。得られた各複合焼結体について測
定した特性を表4に示した。また試料23〜26の各焼
結体を粉砕して粉末X線回折で調べた結果、複合した窒
化ホウ素粉末はすべてh−BN結晶に相転移しているこ
とが分かった。
前記結晶性t−BN微粉末を窒素雰囲気中で、4時間1
750℃で加熱して得たh−BN粉末(平均粒径4.8
μm、平均一次粒子径1.5μm、比表面積12m2/
gの六角板状の結晶粒子からなる粉末)及びh−BN粉
末(平均粒径0.5μm、比表面積25m2/gの六角
板状の結晶粒子からなる粉末)をそれぞれ15重量%配
合した混合スラリーを実施例1と同様にして複合セラミ
ックス焼結体を作り(試料27、28)、その特性を表
4に併せて示した。
ろ、試料23〜28のいずれの複合セラミックス焼結体
についても良好な機械加工性があることを認めた。
5、試料9〜12、試料16〜19、及び試料23〜2
6は、原料中に結晶性t−BNが含まれる。一方、試料
1、試料8、試料15及び試料22は、原料中に元から
結晶性t−BNが配合されていない。また、試料6、
7、試料13、14、試料20、21及び試料27、2
8においては、予備熱処理によって、結晶性t−BNを
h−BNに転移した原料粉末を用いているため、焼結体
中には結晶性t−BNが含まれない。
よる結晶性t−BN微粉末を混合して焼結した複合セラ
ミックス焼結体は、h−BN粉末を混合して焼結した複
合セラミックス焼結体と比較して焼結性がよく、曲げ強
度が大きいことが分かる。
重量%複合した焼結体について熱膨張率を測定したとこ
ろ、結晶性t−BN微粉末を混合して焼結した複合セラ
ミックス焼結体の厚さ方向と厚さに直角な方向の熱膨張
率の比はほぼ1であり、成形時の加圧方向による方向性
がの差異が殆どないことが分かった。また、窒化珪素を
含有することによって、特に高温での強度が向上する。
これらの性質は、高温の溶湯が断続的に流れるようなス
リーブとして、好ましい性質である。
BNの配合量が少ないほど、気孔率の低い緻密な焼結体
が得られ、強度が高くなり、一方、結晶性t−BNの配
合量が多いほど気孔率が高く、断熱性ないし保温性に優
れ、熱膨張率が等方性であり、耐熱衝撃性の高い焼結体
が得られることが分かる。
N微粉末と窒化珪素粉末とを混合した粉末を焼結した窒
化珪素質BN焼結体と同様の方法で作製した窒化珪素質
BN焼結体における、原料中の結晶性t−BNの含有量
と、焼結体中の気孔率の関係を示す。図6中、下方の折
れ線が、同じBN含有量の焼結体のうち最小の気孔率を
示し、上方の折れ線が、同じBN含有量の焼結体のうち
最大の気孔率を示す。
せることによって、焼結体の気孔率を制御可能であるこ
とが分かる。例えば、結晶性t−BN含有量の設定によ
って、ダイカストマシンのプランジャスリーブ用材料と
して、ガス抜け特性などを最適化できることが分かる。
い結晶であり、一般に凝集していることが多い。したが
って、成形の原料調製過程で、いかに凝集紛体を分散し
てマトリクスとなる原料と均一に混合するかが最終的な
焼結体特性に大きく影響してくる。本発明の製造工程に
おいて、混合する粉体を個々に均一分散する処理をする
ことにより特性が大きく変わることを留意しておく必要
がある。このようにして従来のh−BNを用いた場合よ
りも、所定強度を達するために、より多量のBN成分を
焼結体に含有させることができる。一方、同じ気孔率で
あっても組織の緻密化と高強度化を達成することができ
る。
係るスリーブを説明する。このスリーブは、内筒が一層
構造の窒化珪素質BN焼結体の一層構造であり、外筒が
メタルスリーブからなる。以下、このスリーブの製造方
法及び構造を説明する。
体を材料として、ダイカストマシンのプランジャスリー
ブを作製した。図7は、本発明の基礎となる発明の実施
例に係るスリーブを内筒に用いたプランジャスリーブの
構造を示す斜視図であり、図8(A)は図7のプランジ
ャスリーブの軸方向断面図であり、図8(B)は図7の
プランジャスリーブの側面図である。
て、プランジャスリーブ100は、本発明の基礎となる
発明の実施例に係るスリーブからなる薄肉の内筒200
と、内筒200が嵌挿された耐熱鋼製の外筒300から
なる。内筒200は機械的加工性がよく寸法精度が高
く、熱膨張率の等方性により耐熱衝撃性が高いため、焼
きばめせずに内筒200と外筒300を一体化すること
ができる。内筒200と外筒300の一端部には、溶湯
を導入するための孔400が開けられている。プランジ
ャスリーブ100の他端部にはフランジが形成され、ダ
イカストマシンのプラテンに取り付けられる。このプラ
テンは、固定ダイに当接し、互いに型締めされた固定ダ
イと可動ダイの間の鋳型に、プランジャスリーブ100
内をストロークするプランジャヘッドによって押し出さ
れた溶湯が供給される。
ャスリーブを適用したダイカストマシンを用いて、溶湯
温度を下記のように代えて、アルミニウム合金を鋳造し
た。プランジャスリーブ100(図7参照)の寸法は、
外径150φ×内径80φ×長さ528L、内筒200
(図8(A)参照)の厚さを10mmtとした。また、
比較のため、耐熱鋼製のメタルスリーブ単層のプランジ
ャスリーブを用いて、同様に鋳造を行った。鋳造条件は
下記のとおりである。
10℃、潤滑剤:黒鉛含有潤滑剤。
係るスリーブを用いたプランジャスリーブと、比較例に
係る耐熱鋼製メタルスリーブの評価結果を示す。なお、
表5中の局部加圧とは、鋳造品の密度と寸法精度向上を
図るために、型キャビティ内に溶湯が凝固する寸前に加
圧中子を挿入するものである。
複合焼結体製の内筒を備えたプランジャスリーブを用い
たダイカストマシンによる製品の方が、3点曲げ強度が
優れていることが分かる。さらに、断熱性がよく、した
がって溶湯の保温性も高いことが分かる。
した結果、結晶性t−BN複合焼結体製の内筒を備えた
プランジャスリーブを用いたダイカストマシンによる製
品の方が、均質な破断面となっていることが分かった。
試験を行った結果、5000ショットでスリーブ内周面
の摩耗がわずか4μmであった。これは、このプランジ
ャスリーブの内筒の潤滑性、耐溶損性が優れていること
を示している。
一端又は両端に、組立時又は運搬時の取り扱いの容易性
を考慮して、金属製のリングを取り付けてもよい。下記
の実施例においても同様である。
層構造を有するスリーブを説明する。このスリーブは、
上述の表1〜4に示した、結晶性t−BN微粉末と他種
のセラミック粉末を焼結してなるBN複合焼結体からな
るものである。そして、特に、ダイカストマシンのプラ
ンジャスリーブに適用されるものである。
2層構造を有するスリーブの軸方向断面図である。
溶湯がへ導入される上流部に、BN含有率が高いBN高
含有率層1を配し、下流部にBN含有率が低いBN低含
有率層2を配し、両層1,2を軸方向に接合したもので
ある。なお、両層1,2は、接着、締結などの方法によ
らず、BN含有率が段階的に異なる成形体を一体焼成に
より接合することもでき、或いは、連続的(傾斜的)に
BN含有率が異なる成形体を焼成して得ることもでき
る。
参照して、気孔度が高く、断熱性ないし保温性に優れ、
また、熱膨張に関してより等方性が強いため、耐熱衝撃
性が高い。一方、BN低含有率層は、同様に表3を参照
して、気孔度が低く、緻密であるため、強度が高いとい
う特性を有する。
の上流部に耐熱衝撃性の高いBN高含有率層1を配し、
溶湯を金型に押し出す際に高い圧力が加わる下流部に高
強度のBN低含有率層2を配することにより、耐熱衝撃
性と強度のバランスが優れたスリーブが提供され、加え
て溶湯温度、押し出し圧力などに関する鋳造条件の制限
を緩和される。
リーブを内筒として、メタル製などの外筒スリーブに嵌
挿してもよい。図10は、図8に示したBN高含有率層
1とBN低含有率層2を軸方向に接合した内筒スリーブ
を、外筒となるメタルスリーブ3内に嵌挿したものであ
る。
3層構造を有するスリーブを説明する。
向に3層構造を有するスリーブの軸方向断面図である。
の溶湯がへ導入される上流部に、BN含有率が高いBN
高含有率層10を配し、中間部にBN中含有率層11、
下流部にBN含有率が低いBN低含有率層12を配し、
3層10,11,12を軸方向に互いに接合したもので
ある。斯くして、さらに、強度と耐熱衝撃性のバランス
が改善される。
高く、強度と耐熱衝撃性のバランスが優れたスリーブが
提供される。本発明によるスリーブは、ダイカストマシ
ンのプランジャスリーブとして有用であり、溶湯温度、
溶湯の押し出し圧力などに関する鋳造条件の制限を緩和
するものである。
化硼素の用途を開発するものである。この新規な結晶性
乱層構造窒化硼素を用いた本発明によるスリーブは、断
熱性ないし保温性が高く、強度が高く、熱膨張が等方性
で耐熱衝撃性が高く、潤滑性がよく、ガス抜け性がよ
く、溶融金属に対して濡れにくく、機械加工性がよい、
という特性を有する。このようなスリーブは、ダイカス
トマシンのプランジャスリーブ用材料としてきわめて優
れた特性を有するものであって、鋳造品における欠陥の
発生が減少されると共に、断熱性の高さにより作業環境
温度が低下される。
が、結晶性t−BN粉末、又はそれと他種のセラミック
ス粉末を原料粉末として用いるためである。詳細には、
結晶性t−BN粉末の一次粒子が微細な結晶粒子である
こと、結晶性t−BN粉末が乱層構造を有することによ
って、このスリーブは、規則的なh−BN粉末を原料粉
末に用いた場合より焼結性がよく、強度が高く、熱膨張
の方向性が小さくなる。
移しないでとどまっている限りにおいて結晶性t−BN
は微細な結晶粒子の状態を保持しており、これによって
焼結体中の気孔も微細になる。また、焼結体の組織が微
細であることによって強度が大きい焼結体になる。これ
は、結晶性t−BNが焼結過程でh−BNに変化する場
合にもほぼ妥当する。このように、気孔が微細に分散し
ていることによって、ガス抜け性が向上する。
粉末を原料に用いた複合セラミックス焼結体にも勝る優
れた機械加工性(切削加工性)、熱伝導性、電気絶縁
性、耐熱衝撃性等の他、溶融金属に対する濡れにくさと
耐食性等の好ましい特性を兼備している。
ーブは、無加圧焼結によって製造できる。前述した結晶
性t−BN微粉末の製造技術が確立されたことによって
従来より格段に安価に高純度の結晶性t−BN微粉末を
調達できるようになった。
これを用いて複雑な形状の高精度のスリーブを安価に提
供できる。また、本発明によるスリーブは、高強度を必
要とする構造用スリーブ、耐久性のある通気性多孔質溶
融金属用鋳型用スリーブ、溶融金属と接触する保護スリ
ーブなどの耐熱衝撃性を必要とするスリーブ用の材料と
して好適である。結晶性t−BN(或いは結晶性t−B
Nに由来する微細分散h−BN)の含有により複合セラ
ミックス焼結体に高い滑り特性を与えることができ、こ
の特性を任意の所望値に制御、調節することもできる。
また、本発明は溶湯を保持又は流通させるための容器や
給湯管(図12参照)にも好適に適用される。
である。
用いられる結晶性t−BN微粉末の粉末X線回折図であ
る。
である。
用いられる結晶性t−BN微粉末のアトリションミルに
よる粉砕後の粒度分布を示すグラフである。
焼結体において、原料中の結晶性t−BNの含有量と、
焼結体中の気孔率の関係を説明するためのグラフであ
る。
ジャスリーブの構造を示す斜視図である。
あり、(B)は同側面図である。
するスリーブの軸方向断面図である。
方向断面図である。
を有するスリーブの軸方向断面図である。
ある。
Claims (7)
- 【請求項1】軸方向に沿って、少なくとも強度及び気孔
率が互いに異なるセラミックス質の層が配置されたこと
を特徴とするスリーブ。 - 【請求項2】軸方向に沿って窒化硼素の含有量が互いに
異なる複数の層が配置されたことを特徴とするスリー
ブ。 - 【請求項3】前記スリーブが該スリーブ内を溶湯が流れ
るものであり、 前記スリーブの上流から下流に向かって、前記複数の層
中の窒化硼素含有率が互いに連続的又は段階的に低くな
るように、該複数の層を配置したことを特徴とする請求
項2記載のスリーブ。 - 【請求項4】前記窒化硼素が、有効量の結晶性乱層構造
窒化硼素を含む粉末を焼結してなるものであることを特
徴とする請求項2又は3記載のスリーブ。 - 【請求項5】前記窒化硼素が、10〜20重量%の結晶
性乱層構造窒化硼素粉末と、残部主として窒化珪素粉
末、アルミナ粉末、窒化アルミナ粉末の一種以上と、を
含む原料を焼結してなることを特徴とする請求項4記載
のスリーブ。 - 【請求項6】前記結晶性乱層構造窒化硼素粉末が、その
CuKα線による粉末X線回折図における六方晶系窒化
硼素の[004]の回折線に対応する回折線の2θの半
価幅が0.5°以下であり、六方晶窒化硼素のCuKα
線による粉末X線回折図における[100]、[10
1]及び[102]回折線に対応する各回折線の占める
面積S100、S101及びS102の間にS102/(S100+S1
01)<0.02の関係が充たされているものであること
を特徴とする請求項4又は5記載のスリーブ。 - 【請求項7】請求項1〜6のいずれか一記載のスリーブ
の単体又は該スリーブを他のスリーブに嵌挿してなるス
リーブを、鋳型に溶湯を注入するための流路であるプラ
ンジャスリーブとして用いたことを特徴とするダイカス
トマシン。
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