JP2000027976A - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

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JP2000027976A
JP2000027976A JP19586998A JP19586998A JP2000027976A JP 2000027976 A JP2000027976 A JP 2000027976A JP 19586998 A JP19586998 A JP 19586998A JP 19586998 A JP19586998 A JP 19586998A JP 2000027976 A JP2000027976 A JP 2000027976A
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JP
Japan
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differential
cam
pinion shaft
spring
driving force
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JP19586998A
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English (en)
Inventor
Yasuhiko Ishikawa
泰彦 石川
Takuo Kimura
拓夫 木村
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドライブ時に充分な差動制限力を得ながら、
コ−スト時は差動制限力を小さくし、アンダ−ステアを
防止する。 【解決手段】 デフケ−ス3に連結されたプレッシャリ
ング7、9と、ベベルギヤ式の差動機構5と、差動制限
用の摩擦クラッチ17、19と、ピニオンギヤ39とプ
レッシャリング7、9との間に設けられ、エンジン駆動
力による車両の前進走行時にこの駆動力を受けて作動し
摩擦クラッチ17、19を締結するカム11と、ピニオ
ンシャフト39をカム11の作動方向に押圧して摩擦ク
ラッチ17、19にイニシャルトルクを与えるスプリン
グ15とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、デファレンシャ
ル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭48−18927号公報に図6の
ようなデファレンシャル装置201が記載されている。
【0003】このデファレンシャル装置201は、エン
ジンの駆動力によって回転するデフケ−ス203、ベベ
ルギヤ式の差動機構205、一対の多板クラッチ20
7、209、一対のプレッシャリング211、213、
カム215、217、皿ばね219、221などから構
成されている。
【0004】ベベルギヤ式の差動機構205は、ピニオ
ンシャフト223上に支承されたピニオンギヤ225と
一対の出力側サイドギヤ227、229とを噛み合わせ
て構成されており、ピニオンシャフト223は端部をデ
フケ−ス203に固定され、各サイドギヤ227、22
9は車軸を介して各車輪側に連結されている。
【0005】多板クラッチ207、209はデフケ−ス
203とサイドギヤ227、229との間にそれぞれ配
置されている。
【0006】各サイドギヤ227、229は、ピニオン
ギヤ225との噛み合いによって生じる噛み合い反力に
より、プレッシャリング211、213を介して多板ク
ラッチ207、209を押圧し締結する。
【0007】又、カム215、217は、各プレッシャ
リング211、213とピニオンシャフト223との間
に設けられており、各プレッシャリング211、213
がピニオンギヤ225との摺動によって回転しピニオン
シャフト223に押圧されることによって作動し、各プ
レッシャリング211、213を介して多板クラッチ2
07、209を押圧し締結する。
【0008】更に、皿ばね219、221は各多板クラ
ッチ207、209を押圧して一定のイニシャルトルク
(差動制限力)を与えている。
【0009】このように多板クラッチ207、209が
締結されると、その摩擦抵抗によって差動機構205の
差動が制限され、車両の操縦性、安定性、悪路走破性な
どが向上する。
【0010】又、皿ばね219、221によるイニシャ
ルトルクは、車両の発進時や加速時、あるいは、悪路な
どで片輪が大きく空転したとき、グリップ側の車輪にト
ルクが逃げるのを防止して、発進性や加速性、悪路走破
性などを保持する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
皿ばね219、221によるイニシャルトルクは、エン
ジンの駆動力によって車両が後進走行するときも前進走
行するとき(ドライブ時)と同様に発生する。
【0012】従って、例えば、エンジンブレ−キを掛け
ながら坂道を下るコ−スト時(トルクの方向はエンジン
の駆動力によって車両が後進走行するときと同方向)に
も、両車輪の相対回転が差動制限力によって拘束される
から、アンダ−ステアになり易い。
【0013】そこで、この発明は、前進走行時には充分
な差動制限力を得ながら、後進走行時は差動制限力を小
さくしてアンダ−ステアを防止することができるデファ
レンシャル装置の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1のデファレンシ
ャル装置は、エンジンの駆動力によって回転駆動される
デフケ−スと、デフケ−スの回転を一対の出力側サイド
ギヤを介して車輪側に配分する差動機構と、差動回転部
材の間に配置された差動制限用の摩擦クラッチと、駆動
力の伝達経路中に配置され、駆動力を受けて作動し摩擦
クラッチを締結するカムと、摩擦クラッチにイニシャル
トルクを与えるスプリングとを備え、このスプリング
が、前記カムに隣接配置され、車両が駆動力によって前
進走行する際の方向にカムを押圧して作動させ摩擦クラ
ッチにイニシャルトルクを与えることを特徴とする。
【0015】このように、請求項1記載のデファレンシ
ャル装置では、エンジン駆動力によって車両が前進走行
するドライブ時は、駆動力の伝達経路中に配置されたカ
ムによって差動制限用の摩擦クラッチが締結され、差動
制限力が得られる。
【0016】更に、このドライブ時には、カムがスプリ
ングによって作動方向に押圧されて差動制限力が強化さ
れるから、充分な差動制限力が得られ、車両の操縦性、
安定性、悪路走破性などが大きく向上する。
【0017】一方、エンジンブレ−キを掛けながら坂道
を下るコ−スト時は、スプリングの付勢力がカムと反対
の方向に働くから、スプリングによる摩擦クラッチのイ
ニシャルトルクが小さくなり、エンジンブレ−キによる
トルクが更に大きくなると、イニシャルトルクが消失す
る。
【0018】こうして、コ−スト時はイニシャルトルク
による車輪間の拘束力が低減され、あるいは、消失する
から、アンダ−ステアが生じない。
【0019】このように、本発明のデファレンシャル装
置は、スプリングでカムを作動させることによって摩擦
クラッチを締結しイニシャルトルクを得るように構成し
たから、摩擦クラッチをスプリングで直接押圧してイニ
シャルトルクを得る従来例と異なり、ドライブ時は充分
な差動制限力によって操縦性、安定性、悪路走破性など
を大きく向上させることができると共に、コ−スト時に
差動制限力を発生させないワンウェイ化が可能であり、
コ−スト時のアンダ−ステアを防止することができる。
【0020】又、カム角や、スプリングの付勢力を変え
れば、差動制限力とイニシャルトルクとを調整すること
ができる。
【0021】請求項2の発明は、請求項1記載のデファ
レンシャル装置であって、デフケ−スに対して軸方向移
動自在に連結された一対のプレッシャリングを備え、差
動機構が、各出力側サイドギヤと噛み合ったピニオンギ
ヤ及びピニオンギヤを支承するピニオンシャフトからな
り、摩擦クラッチがサイドギヤとデフケ−スとの間に設
けられ、カムが、各プレッシャリングとピニオンシャフ
トとの間に設けられていると共に、スプリングが、各プ
レッシャリングとピニオンシャフトとの間に配置され、
車両が駆動力によって前進走行する際のカムの作動方向
にピニオンシャフトを押圧することを特徴とし、請求項
1の構成と同等の効果を得る。
【0022】これに加えて、差動機構にベベルギヤ式の
差動機構を用いたこの構成は、ピニオンシャフトとプレ
ッシャリングとの間(駆動力の伝達経路中)にカムを設
けることによって、本来差動制限機能を持たないベベル
ギヤ式差動機構にトルク感応型の差動制限機能を与える
ことができる上に、本発明の実施が容易である。
【0023】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
記載のデファレンシャル装置であって、カムが、駆動力
による車両の前進走行時に作動するカム面と後進走行時
に作動するカム面の両方を有することを特徴とし、請求
項1又は請求項2の構成と同等の効果を得る。
【0024】又、後進走行時に作動するカムを設けたこ
とによって、後進走行時にも差動制限力が得られると共
に、スプリングによりこのカムを介して後進走行時の差
動制限特性を調整することができる。
【0025】請求項4の発明は、請求項1又は請求項2
記載のデファレンシャル装置であって、カムが、駆動力
による車両の前進走行時に作動するカム面だけを有する
ことを特徴とし、請求項1又は請求項2の構成と同等の
効果を得る。
【0026】請求項5の発明は、請求項2乃至請求項4
のいずれか一項に記載のデファレンシャル装置であっ
て、スプリングが、平板状のスプリングであり、各プレ
ッシャリングとピニオンシャフトとの間に装着されたと
きの撓みによって、ピニオンシャフトを押圧することを
特徴とし、請求項2乃至請求項4の構成と同等の効果を
得る。
【0027】又、スプリングに平板状のスプリングを用
いたことによって、スプリングの配置スペ−スが狭くて
すむ。
【0028】このようにスプリングの配置スペ−スが狭
くてすむこの構成は、車両の前進走行時と後進走行時の
両方にカム面を有する請求項3の構成に好適である。
【0029】請求項6の発明は、請求項2乃至請求項4
のいずれか一項に記載のデファレンシャル装置であっ
て、スプリングが、山型断面の板状スプリングであり、
両端部が各プレッシャリングに接触し、凸部がピニオン
シャフトに接触するように装着されたときの撓みによっ
て、ピニオンシャフトを押圧することを特徴とし、請求
項2乃至請求項4の構成と同等の効果を得る。
【0030】又、山型断面の板状スプリングを用いたこ
の構成は、車両の前進走行時に作動するカム面だけを有
し、配置スペ−スを広く取り易い請求項4の構成に好適
である。
【0031】
【発明の実施の形態】図1乃至図3によって本発明の第
1実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2、
3、5の特徴を備えている。図1はこの実施形態のデフ
ァレンシャル装置1を示しており、左右の方向はデファ
レンシャル装置1を用いた車両及び図1と図2での左右
の方向である。又、符号を与えていない部材は図示され
ていない。
【0032】デファレンシャル装置1は、デフケ−ス
3、ベベルギヤ式の差動機構5、一対のプレッシャリン
グ7、9、カム11、13、ト−ションスプリング15
(板状のスプリング)、一対の多板クラッチ17、19
(摩擦クラッチ)などから構成されており、オイル溜り
が設けられたデフキャリヤの内部に配置されている。
【0033】デフケ−ス3はケ−シング本体21とカバ
−23とをボルト25で固定して形成されており、左右
のボス部27、29をベアリングによってデフキャリヤ
に支承され、エンジンの駆動力によって回転駆動され
る。
【0034】各プレッシャリング7、9は、外周に設け
られた凸部31、33をデフケ−ス3に設けられた軸方
向溝35に係合することによって、デフケ−ス3に軸方
向移動自在に連結されている。
【0035】ベベルギヤ式差動機構5は、中空のボス部
37を介して放射状に配置されたピニオンシャフト39
と、各ピニオンシャフト39上に回転自在に配置された
ピニオンギヤ41と、ピニオンギヤ41と噛み合った一
対の出力側サイドギヤ43、45とから構成されてい
る。
【0036】サイドギヤ43、45の各ボス部47、4
9はそれぞれの車軸にスプライン連結され、各車軸を介
して左右の車輪側に連結されている。ボス部47、49
はそれぞれ止め輪51によって各車軸に固定されてい
る。
【0037】又、ボス部37の内周にはスラストブロッ
ク53が配置され、止め輪55で位置決めされている。
左右の車軸はそれぞれの先端をこのスラストブロック5
3に突き当てている。
【0038】各プレッシャリング7、9の内周には球面
ワッシャ部57、59が形成されている。各球面ワッシ
ャ部57、59はピニオンギヤ41の背面を支持し、そ
の遠心力と噛み合い反力とを受けている。
【0039】図2のように、カム11、13は各ピニオ
ンシャフト39の先端と両プレッシャリング7、9との
間に形成されている。
【0040】カム11は、車両がエンジン駆動力によっ
て前進走行するドライブ時にピニオンシャフト39とプ
レッシャリング7、9とが当たる方向に設けられてお
り、カム13は、車両がエンジンブレ−キを掛けながら
坂道を下るコ−スト時にピニオンシャフト39とプレッ
シャリング7、9とが当たる方向に設けられている。
【0041】各カム11、13には互いに異なったカム
角が与えられており、カム11のカムスラスト力はカム
13のカムスラスト力より大きい。
【0042】図2のように、ト−ションスプリング15
はピニオンシャフト39とプレッシャリング7、9との
間(駆動力の伝達経路中)に配置されている。ト−ショ
ンスプリング15の自由形状は板状であり、ピニオンシ
ャフト39とプレッシャリング7、9との間に装着され
た状態で撓み、ピニオンシャフト39をカム11の作動
方向に押圧する。
【0043】多板クラッチ17、19はデフケ−ス3の
内周とサイドギヤ43、45のボス部47、49外周と
の間に配置されている。
【0044】デフケ−ス3には、開口61、63、6
5、66とボス部27、29の内周に設けられた螺旋状
のオイル溝などを介してデフキャリヤのオイル溜りから
オイルが流出入し、差動機構5の各ギヤの噛み合い部、
プレッシャリング7、9の凸部31、33とデフケ−ス
3の溝35、カム11、13、球面ワッシャ部57、5
9、多板クラッチ17、19などの各摺動部を充分に潤
滑し、耐久性を向上させている。
【0045】デフケ−ス3を回転させるエンジンの駆動
力は、プレッシャリング7、9とカム11、13とピニ
オンシャフト39とを介して差動機構5に入力し、ピニ
オンギヤ41からサイドギヤ43、45を介して左右の
車輪に分配される。又、発進時、加速時、悪路走行時な
どで車輪間に駆動抵抗差が生じると、エンジンの駆動力
はピニオンギヤ41の自転によって左右の車輪に差動分
配される。
【0046】図2のように、エンジン駆動力によって車
両が前進走行するとき、プレッシャリング7、9(デフ
ケ−ス3)は矢印67の方向に回転し、エンジン駆動力
によって車両が後進走行するとき、プレッシャリング
7、9(デフケ−ス3)は矢印69の方向に回転する。
【0047】従って、差動機構5が駆動トルクを伝達し
ている間、前進走行時のトルクはカム11に掛かり、後
進走行時のトルクはカム13に掛かる。こうして生じる
それぞれのカムスラスト力によって各プレッシャリング
7、9が左右に移動し、各多板クラッチ17、19が押
圧され締結される。このカムスラスト力は伝達トルクに
比例するから、各多板クラッチ17、19の摩擦抵抗に
よってトルク感応型の差動制限力が得られる。
【0048】図3はデファレンシャル装置1の性能線図
(トルク配分特性)を示すグラフである。
【0049】縦軸は左軸トルク(左の車輪に伝達される
駆動トルク)であり、横軸は右軸トルク(右の車輪に伝
達される駆動トルク)である。又、破線71の上方は車
両のドライブ領域であり、下方はコ−スト領域である。
【0050】なお、45°のグラフ73は差動制限機能
を持たないデファレンシャル装置のトルク配分特性を示
しており、グラフ73が示すように、差動制限機能を持
たないと、左右の車輪に配分される駆動トルクは等しい
から、悪路や加速時などで一側車輪が完全に浮き上がっ
てしまうと他側車輪にも駆動トルクが伝達されない状態
になる。
【0051】これに対して、グラフ75、77、79、
81はデファレンシャル装置1のトルク配分特性を示し
ている。
【0052】グラフ75、77はエンジン駆動力による
前進走行時(ドライブ時)の特性である。
【0053】グラフ75は右車輪が空転したとき差動制
限力によって左車輪に送られる駆動トルクを示し、グラ
フ77は左車輪が空転したとき差動制限力によって右車
輪に送られる駆動トルクを示す。
【0054】又、グラフ79、81はエンジン駆動力に
よる後進走行時、及び、コ−スト時の特性である。
【0055】グラフ79は左車輪が空転したとき差動制
限力によって右車輪に送られる駆動トルクを示し、グラ
フ81は右車輪が空転したとき差動制限力によって左車
輪に送られる駆動トルクを示す。
【0056】このように、一側車輪が空転しても差動制
限力によって他側車輪に駆動トルクが送られるから、発
進時、加速時、あるいは、悪路走行時などのように車輪
が空転し易い条件でも、発進性や加速性、悪路走破性な
どの低下が防止され、車両は発進時、加速時、悪路など
での車体の挙動が安定し操縦性が向上する。
【0057】上記のように、カム11のカムスラスト力
はカム13より大きいから、一側車輪空転時に他側車輪
に送られる駆動トルクは、前進走行時は大きく、後進走
行時はそれより小さい。
【0058】従って、前進走行時には車体の挙動安定性
や操縦性などを大きく向上させながら、トルクの方向が
後進走行時と同方向になる制動時には、A.B.S(ア
ンチロック・ブレ−キ・システム)との干渉を大きく軽
減することができる。
【0059】又、上記のように、ト−ションスプリング
15はピニオンシャフト39をカム11の作動方向に押
圧しており、図3に示すように、この押圧力によって各
グラフ75、77、79、81がコ−スト側に移動して
おり、又、この押圧力によってカム11が常時作動し多
板クラッチ17、19にイニシャルトルクが与えられて
いる。
【0060】このイニシャルトルクによって、前進走行
時の差動制限力が強化されている。
【0061】又、一側車輪が大きく空転しトルク感応型
の差動制限力が低下し易い発進時、加速時、悪路走行時
でも、各多板クラッチ17、19のイニシャルトルクが
トルク感応型差動制限機能の低下を補って、車両の発進
性や加速性、悪路走破性などの低下を防止する。
【0062】又、エンジンブレ−キを掛けながら坂道を
下るコ−スト時は、図2のように、ピニオンシャフト3
9が矢印83の方向に回転し、プレッシャリング7、9
がこの回転に従う。
【0063】このように、ピニオンシャフト39がカム
11を作動させるト−ションスプリング15の押圧力と
反対方向に働くから、イニシャルトルクがそれだけ小さ
くなり、エンジンブレ−キによるトルクが更に大きくな
ると、イニシャルトルクが消失する。
【0064】このように、コ−スト時はイニシャルトル
クによる車輪間の拘束力が低減され、あるいは、消失す
るから、ト−ションスプリング15によるアンダ−ステ
アは生じない。
【0065】又、ト−ションスプリング15の付勢力
は、カム13と反対の方向に働いてその作動を遅らせる
から、カム13の作動が抑制されている間は多板クラッ
チ17、19が開放状態に保たれて、カム13によるコ
−スト時の差動制限力が発生せず、アンダ−ステアが防
止される。
【0066】なお、カム11、13のカム角や、ト−シ
ョンスプリング15の付勢力を変えれば、差動制限力と
イニシャルトルクとを任意に調整することができる。
【0067】こうして、デファレンシャル装置1が構成
されている。
【0068】デファレンシャル装置1は、上記のよう
に、エンジン駆動力によるドライブ時は、カム11によ
り多板クラッチ17、19が締結されて差動制限力が得
られると共に、ト−ションスプリング15によって多板
クラッチ17、19の差動制限力が強化されるから、充
分な差動制限力が得られ、車両の操縦性、安定性、悪路
走破性などが大きく向上する。
【0069】これに加えて、エンジンブレ−キを掛けな
がら坂道を下るコ−スト時は、ト−ションスプリング1
5による多板クラッチ17、19のイニシャルトルクが
消失し、車輪間の拘束力が低減され、アンダ−ステアが
防止される。
【0070】このように、デファレンシャル装置1は、
ト−ションスプリング15によりカム11を介してイニ
シャルトルクを得るように構成したことにより、ドライ
ブ時は充分な差動制限力によって操縦性、安定性などを
大きく向上させながら、従来例と異なって、コ−スト時
に差動制限力を発生させないワンウェイ化が可能であ
り、コ−スト時のアンダ−ステアを防止する。
【0071】又、ベベルギヤ式の差動機構5を用いたデ
ファレンシャル装置1では、ピニオンシャフト39とプ
レッシャリング7、9との間にカム11、13を設ける
ことによって、本発明の実施が容易である上に、本来差
動制限機能を持たないベベルギヤ式差動機構5にトルク
感応型の差動制限機能を与えることができる。
【0072】又、スプリングに平板状のト−ションスプ
リング15を用いたことによって、プレッシャリング
7、9とピニオンシャフト39間に設けるスプリングの
配置スペ−スが狭くてすむ。
【0073】このようにスプリングの配置スペ−スが狭
くてすむ構成は、車両の前進走行時用のカム11と後進
走行時用のカム13とを有し、スプリングの配置スペ−
スを形成しにくいデファレンシャル装置1に好適であ
る。
【0074】次に、図4と図5とによって本発明の第2
実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2、
4、6の特徴を備えている。第2実施形態のデファレン
シャル装置を用いた車両及び図4での左右の方向であ
る。
【0075】なお、図4と図5及び第2実施形態の説明
の中で、第1実施形態のデファレンシャル装置1と同機
能の部材は同一の符号で引用すると共に、これら同機能
部材の重複説明は省略する。
【0076】第2実施形態のデファレンシャル装置は、
デフケ−ス3、ベベルギヤ式差動機構5、プレッシャリ
ング7、9、カム11、スプリング85(山型断面の板
状スプリング)、多板クラッチ17、19などから構成
されている。
【0077】図4のように、ピニオンシャフト39とプ
レッシャリング7、9との間には、車両がエンジン駆動
力によって前進走行(ドライブ)するときに、ピニオン
シャフト39とプレッシャリング7、9とが当たる方向
のカム11だけが設けられている。
【0078】従って、差動機構5が駆動トルクを伝達し
ている間、ドライブ時はカム11のカムスラスト力によ
って多板クラッチ17、19が締結され、トルク感応型
の差動制限力が得られ、発進性や加速性、悪路走破性な
どの低下が防止され、車両は発進時、加速時、悪路など
での車体の挙動が安定し操縦性が向上する。
【0079】又、コ−スト時は差動制限力が生じないか
ら、A.B.Sとの干渉を大きく軽減することができる
と共に、車輪間の拘束力が低減されるから、アンダ−ス
テアは生じない。
【0080】又、スプリング85はピニオンシャフト3
9とプレッシャリング7、9との間(駆動力の伝達経路
中)に配置されている。
【0081】スプリング85は山型断面の板状スプリン
グであり、両端部87、87が各プレッシャリング7、
9に接触し、凸部89がピニオンシャフト39に接触す
るように装着され、このときの撓みによって、ピニオン
シャフト39をカム11側に押圧している。
【0082】この押圧力によってカム11が常時作動し
多板クラッチ17、19にイニシャルトルクが与えられ
ており、このイニシャルトルクによって常時一定の差動
制限力が得られ、ドライブ時の差動制限力が強化され
る。
【0083】又、発進時や加速時、あるいは、悪路など
のように、一側車輪が大きく空転しトルク感応型の差動
制限力が低下するような条件でも、各多板クラッチ1
7、19のイニシャルトルクがトルク感応型差動制限機
能の低下を補って、車両の発進性、加速性、悪路走破性
などの低下を防止する。
【0084】又、エンジンブレ−キを掛けながら坂道を
下るコ−スト時は、ピニオンシャフト39がカム11を
作動させるスプリング85の付勢力と反対方向に働くか
ら、イニシャルトルクがそれだけ小さくなり、エンジン
ブレ−キによるトルクが更に大きくなると、イニシャル
トルクが消失する。
【0085】このように、コ−スト時は車輪間の拘束力
が低減され、あるいは、消失するから、スプリング85
によるアンダ−ステアは生じない。
【0086】こうして、第2実施形態のデファレンシャ
ル装置が構成されている。
【0087】このデファレンシャル装置1は、上記のよ
うに、スプリング85によりカム11を介してイニシャ
ルトルクを得るように構成したから、ドライブ時は操縦
性、安定性、悪路走破性などを大きく向上させながら、
従来例と異なって、コ−スト時はアンダ−ステアを防止
する。
【0088】又、山型断面の板状スプリング85を用い
たこの構成は、車両の後進走行時に作動するカムを持た
ないことによって配置スペ−スを広く取り易い第2実施
形態のデファレンシャル装置に好適である。
【0089】なお、本発明において、差動機構にベベル
ギヤ式の差動機構を用いた構成は、ピニオンシャフトと
プレッシャリングとの間にカムを設けることによって実
施が容易である上に、こうすることによって差動制限機
能を持たないベベルギヤ式の差動機構にトルク感応型の
差動制限機能を与えることができる。
【0090】しかし、本発明において、差動機構はベベ
ルギヤ式の差動機構に限らない。
【0091】例えば、プラネタリ−ギヤ式の差動機構を
用いた場合、プレッシャリングをデフケ−スに連結し、
入力側インタ−ナルギヤとプレッシャリングとの間にカ
ムを設け、デフケ−スとサイドギヤとの間に摩擦クラッ
チを設ければ、トルク感応型の差動制限機能とコ−スト
時のアンダ−ステア防止機能とを持ったプラネタリ−ギ
ヤ式差動機構が得られる。
【0092】又、摩擦クラッチは多板クラッチに限ら
ず、例えば、円錐クラッチのように他の形式の摩擦クラ
ッチでもよい。
【0093】又、スプリングは板状のスプリングに限ら
ず、例えば、コイルスプリングでもよい。
【0094】又、本発明のデファレンシャル装置は、フ
ロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に配分する
デファレンシャル装置)と、リヤデフ(エンジンの駆動
力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)と、
センタ−デフ(エンジンの駆動力を前輪と後輪に配分す
るデファレンシャル装置)のいずれにも用いることがで
きる。
【0095】
【発明の効果】本発明のデファレンシャル装置は、スプ
リングでカムを作動させ摩擦クラッチを締結してイニシ
ャルトルクを得るように構成したことにより、ドライブ
時は充分な差動制限力が得られ、車両の操縦性、安定
性、悪路走破性などを大きく向上させることができると
共に、従来例と異なって、コ−スト時に差動制限力を発
生させないワンウェイ化が可能であり、コ−スト時のア
ンダ−ステアを防止する。
【0096】請求項2の発明は、請求項1の構成と同等
の効果を得ると共に、ベベルギヤ式の差動機構を用いた
ことにより、ピニオンシャフトとプレッシャリングとの
間にカムを設けることによって本発明の実施が容易であ
り、差動制限機能を持たないベベルギヤ式の差動機構に
トルク感応型の差動制限機能を与えることができる。
【0097】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
の構成と同等の効果を得ると共に、後進走行時に作動す
るカムを設けたことによって、後進走行時にも差動制限
力が得られると共に、スプリングによりこのカムを介し
て後進走行時の差動制限特性を調整できる。
【0098】請求項4の発明は、請求項1又は請求項2
の構成と同等の効果を得る。
【0099】請求項5の発明は、請求項2乃至請求項4
の構成と同等の効果を得ると共に、平板状のスプリング
を用いたことによって、スプリングの配置スペ−スが狭
くてすむ。
【0100】又、スプリングの配置スペ−スが狭くてす
むこの構成は、車両の前進走行時と後進走行時の両方向
にカムを有し、スプリングの配置スペ−スを形成しにく
い請求項3の構成に好適である。
【0101】請求項6の発明は、請求項2乃至請求項4
の構成と同等の効果を得ると共に、山型断面の板状スプ
リングを用いたこの構成は、車両の前進走行時に作動す
るカムだけを有することにより、配置スペ−スを広く取
り易い請求項4の構成に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の要部断面図である。
【図3】第1実施形態のトルク配分特性を示すグラフで
ある。
【図4】第2実施形態の要部断面図である。
【図5】第2実施形態に用いられた山型断面の板状スプ
リングを示す斜視図である。
【図6】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 デファレンシャル装置 3 デフケ−ス 5 ベベルギヤ式の差動機構 7、9 多板クラッチ(摩擦クラッチ) 11、13 カム 15 ト−ションスプリング(平板状のスプリング) 17、19 多板クラッチ(摩擦クラッチ) 39 ピニオンシャフト 41 ピニオンギヤ 43、45 出力側サイドギヤ 85 スプリング(山型断面の板状スプリング)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの駆動力によって回転駆動され
    るデフケ−スと、デフケ−スの回転を一対の出力側サイ
    ドギヤを介して車輪側に配分する差動機構と、差動回転
    部材の間に配置された差動制限用の摩擦クラッチと、駆
    動力の伝達経路中に配置され、駆動力を受けて作動し摩
    擦クラッチを締結するカムと、摩擦クラッチにイニシャ
    ルトルクを与えるスプリングとを備え、このスプリング
    が、前記カムに隣接配置され、車両が駆動力によって前
    進走行する際の方向にカムを押圧して作動させ摩擦クラ
    ッチにイニシャルトルクを与えることを特徴とするデフ
    ァレンシャル装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明であって、デフケ−
    スに対して軸方向移動自在に連結された一対のプレッシ
    ャリングを備え、差動機構が、各出力側サイドギヤと噛
    み合ったピニオンギヤ及びピニオンギヤを支承するピニ
    オンシャフトからなり、摩擦クラッチがサイドギヤとデ
    フケ−スとの間に設けられ、カムが、各プレッシャリン
    グとピニオンシャフトとの間に設けられていると共に、
    スプリングが、各プレッシャリングとピニオンシャフト
    との間に配置され、車両が駆動力によって前進走行する
    際のカムの作動方向にピニオンシャフトを押圧すること
    を特徴とするデファレンシャル装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の発明であっ
    て、カムが、駆動力による車両の前進走行時に作動する
    カム面と後進走行時に作動するカム面の両方を有するこ
    とを特徴とするデファレンシャル装置。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の発明であっ
    て、カムが、駆動力による車両の前進走行時に作動する
    カム面だけを有することを特徴とするデファレンシャル
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項2乃至請求項4のいずれか一項に
    記載の発明であって、スプリングが、平板状のスプリン
    グであり、各プレッシャリングとピニオンシャフトとの
    間に装着されたときの撓みによって、ピニオンシャフト
    を押圧することを特徴とするデファレンシャル装置。
  6. 【請求項6】 請求項2乃至請求項4のいずれか一項に
    記載の発明であって、スプリングが、山型断面の板状ス
    プリングであり、両端部が各プレッシャリングに接触
    し、凸部がピニオンシャフトに接触するように装着され
    たときの撓みによって、ピニオンシャフトを押圧するこ
    とを特徴とするデファレンシャル装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104864064A (zh) * 2015-06-15 2015-08-26 重庆工商职业学院 可调节式差速传动系统
CN107420517A (zh) * 2017-08-15 2017-12-01 十堰戎马汽车特种传动有限公司 汽车中后轮独立悬挂减振装置

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