JP2000027052A - 空気噴射式織機用補助ノズルとその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、十分な空気噴流圧力を維持
し、空気噴流の収束性及び噴射方向の安定性を高める。 【解決手段】 先端が閉塞され、後端側から圧縮空気を
供給される筒状中空体１２の先端部の一方の側壁に空気
噴射部１１が設けられている。空気噴射部１１には、空
気の噴射方向に対してその周囲を囲むように並ぶ複数の
空気噴射孔１６と、各空気噴射孔１６の各噴射空気流の
少なくとも内側の側面に略外接し上記空気の噴射方向と
平行なガイド壁面１８が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、空気噴射式織機
において、緯糸の飛走を補助するために緯糸飛走経路に
沿って配設される空気噴射式織機用補助ノズルに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、空気噴射式織機の補助ノズルの空
気噴射方向の安定性を高める工夫としては、特公平７−
１１１０１号公報に開示されているような空気噴射式織
機の補助ノズルがあった。この補助ノズル１は、図４に
示すように、先端が閉塞された筒状の偏平中空体２の一
側面に空気噴射孔４が設けられ、上記空気噴射孔４に対
向する偏平中空体２の内側壁には、空気噴射孔４の直径
よりかなり小径の丸棒である内部ノズル棒３が設けられ
ている。内部ノズル棒３は、偏平中空体２の内側を横断
し、そして内部ノズル棒３の軸心は空気噴射孔４の中心
と一致し、内部ノズル棒３の先端は空気噴射孔４の内側
に達している。偏平中空体２の図示しない後端側は、適
当なコネクタを介して圧縮空気源に接続されている。

【０００３】この空気噴射式織機の補助ノズル１は、偏
平中空体２内の圧縮空気が空気噴射孔４から噴射され、
このとき内部ノズル棒３の周囲を流れる空気流には、コ
アンダ効果による収束性が得られ、内部ノズル棒３の軸
心の延長方向が空気の噴射方向となる。これにより、空
気の噴射方向の安定性と再現性が向上する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の場
合、補助ノズル１の内部に内部ノズル棒３が横断してい
るため、この内部ノズル棒３が空気噴射孔４付近の空気
の噴流の障壁となり、この部分で噴流の圧力損失が大き
くなり、十分な噴流速度を得ることができないという弊
害があった。さらに、一定以上の噴流速度を得るために
は、圧縮空気の圧力を高くする必要があり、そのための
コストがかかっていた。

【０００５】この発明は、上記従来の技術に鑑みてなさ
れたもので、簡単な構成で、十分な空気噴流圧力を維持
し、空気噴流の収束性及び噴射方向の安定性を高めるこ
とができる空気噴射式織機の補助ノズルを提供すること
を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、先端が閉塞
され、後端側から圧縮空気を供給される筒状中空体の先
端部の一方の側壁に空気噴射部が設けられている空気噴
射式織機用補助ノズルであって、上記空気噴射部には、
空気の噴射方向に対してその周囲を囲むように並ぶ複数
の空気噴射孔と、上記各空気噴射孔の各噴射空気流の少
なくとも内側の側面に略外接し上記空気の噴射方向と平
行なガイド壁面が形成されている空気噴射式織機用補助
ノズルである。

【０００７】また上記空気噴射部は、上記筒状中空体の
一外側面に形成された環状の凹溝と、この凹溝の底部に
形成された複数の透孔からなる空気噴射孔とを備え、上
記ガイド壁面は、上記筒状中空体の厚みを利用して上記
空気噴射孔と上記環状の凹溝の内側壁面により形成され
ている空気噴射式織機用補助ノズルである。

【０００８】さらにこの発明は、 先端が閉塞された筒
状中空体をプレス成形して、上記筒状中空体の一側面に
空気の噴射方向に対してその周囲を囲むように並ぶ複数
の空気噴射孔を形成するとともに、上記各空気噴射孔の
各噴射空気流の少なくとも内側の側面に略外接し上記空
気の噴射方向と平行で上記空気噴射孔に対してその空気
噴射方向に突出したガイド壁面をプレスにより形成する
空気噴射式織機用補助ノズルの製造方法である。

【０００９】また、上記筒状中空体の形成は、先ずその
長手方向に表裏二分割した形状のものをプレス成形し、
上記二分割した一方に上記空気噴射孔及び上記ガイド壁
面を一体に形成し、この二分割したものを互いに合わせ
て溶接し筒状中空体を形成するものである。

【００１０】この発明の空気噴射式織機用補助ノズル
は、各空気噴射孔を通過する空気流がコアンダ効果によ
り、空気の噴射方向に形成されたガイド壁面に沿って流
れこのガイド壁面の中心軸上に空気噴流を収束させ、噴
流の方向も安定させる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て、図面に基づいて説明する。図１、図２はこの発明の
第一実施形態を示すもので、この実施形態の補助ノズル
１０は、先端部が閉鎖され一側面がほぼ平で扁平な筒状
中空体１２を有し、筒状中空体１２の先端付近の側面１
２ａに空気噴射部１１が位置している。

【００１２】筒状中空体１２の側面１２ａに位置した空
気噴射部１１には、その空気噴射方向Ａの中心を軸心と
する円形の環状凹溝１４が外側面に形成されている。凹
溝１４は一定深さで均一の幅で形成され、凹溝１４の空
気噴射方向Ａの中心側の壁面１８は、空気の噴流を空気
噴射方向Ａに収束させるガイド壁面となる。そして凹溝
１４の底部には、６個の空気噴射孔１６がほぼ等間隔に
設けられている。各空気噴射孔１６は凹溝１４の幅より
小さい直径の円形で、凹溝１４の空気噴射方向Ａの中心
側の壁面１８に連続して設けられている。凹溝１４の壁
面１８と対向する外側の壁面２０は、各空気噴射孔１６
からわずかに所定幅離間している。なお、筒状中空体１
２の図示しない後端部は、図示しない圧縮空気源に接続
されている。

【００１３】次にこの実施形態の補助ノズル１０の製造
方法について説明する。この筒状中空体１２は、先ず空
気噴射部１１のない状態の筒状中空体１２を適宜のパイ
プ材等を加工して形成し、この後、筒状中空体１２の側
面１２ａに、ドリル等の機械加工により凹溝１４と空気
噴射孔１６を形成する。

【００１４】この実施形態の補助ノズル１０によれば、
各空気噴射孔１６を通過する噴流に壁面１８によってコ
アンダ効果が生じ、壁面１８により形成される円筒形の
中心に空気噴流が収束される。また、空気噴射孔１６を
複数形成しているので、補助ノズルから出る風量を同じ
とした場合、空気噴射孔が単一のものより空気圧の変化
による噴射方向の変化が少ない。また筒状中空体１２の
内側には空気噴流の圧力を損失する障害物がなく、これ
によりエネルギー効率の優れた補助ノズルを得ることが
できる。

【００１５】次にこの発明の第二実施形態について図３
に基づいて説明する。ここで、上述の実施形態と同様の
部材は同一の符号を付して説明を省略する。この実施形
態の補助ノズル２２は、筒状中空体１２の厚みが薄く形
成され筒状中空体１２の側面１２ａは、空気噴射方向Ａ
の中心を軸とする円形の環状にプレスされた凹溝２４が
設けられている。環状凹溝２４は一定深さで均一の幅で
形成され、凹溝２４の空気噴射方向Ａの中心側の壁面１
８は、空気の噴流を空気噴射方向に収束させるガイド壁
面となる。そして凹溝２４の底部には、空気噴射孔１６
が６個ほぼ等間隔に設けられている。各空気噴射孔１６
は凹溝２４の幅より小さい直径の円形で、凹溝２４の空
気噴射方向Ａの中心側の壁面１８に連続して設けられて
いる。凹溝２４の内側の壁面１８に対向する壁面２０
は、各空気噴射孔１６から所定長さ離間されている。こ
の筒状中空体１２の図示しない後端部も、図示しない圧
縮空気源に接続されている。

【００１６】次にこの実施形態の補助ノズル２２の製造
方法について説明する。まず筒状中空体１２を表裏二分
割した形状に所定の金属板等をプレス成形し、壁面１
８、壁面２０、凹溝２４、空気噴射孔１６を一度にプレ
ス形成する。そして、この二分割されたものをビーム溶
接等で一体に溶接し筒状中空体１２を形成する。

【００１７】この実施形態の補助ノズル２２によれば、
各空気噴射孔１６を通過する噴流に壁面１８によってコ
アンダ効果が生じ、壁面１８が描く円筒形の中心軸部に
噴射空気流が収束され、空気噴流の収束性が高められ
る。また、ノズルから出る風量を同じとした場合、単一
噴射孔のものより空気圧の変化による噴射方向の変化が
少なく、また壁面１８を有しない単なる複数噴射孔のも
のより、空気噴流の収束性が良い。また筒状中空体１２
の内側には空気噴流の圧力を損失する障害物がなく、こ
れによりエネルギー効率に優れた補助ノズルを得ること
ができる。

【００１８】なお、この発明の補助ノズルとその製造方
法は、上記各実施形態に限定されるものではなく、コア
ンダ効果が生じるガイド面である壁面は筒状中空体の外
側に突出する突起などを設けて長さを補うなど適宜変更
可能である。また凹溝は形成されなくても良く、コアン
ダ効果を生じる壁面に対向する壁面は形成されなくても
良い。空気噴射孔１６の数や形状も適宜変更可能であ
る。

【００１９】

【発明の効果】この発明の空気噴射式織機の補助ノズル
は、簡単な構造で確実に安定に空気噴流を収束させるこ
とができ、圧縮空気量を削減しても、空気噴射方向を安
定にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第一実施形態の空気噴射式織機の補
助ノズルの縦断面図である。

【図２】この実施形態の空気噴射式織機の補助ノズルの
正面図である。

【図３】この発明の第二実施形態の空気噴射式織機の補
助ノズルの縦断面図である。

【図４】従来の空気噴射式織機の補助ノズルの縦断面図
である。

【符号の説明】

１０ 補助ノズル １１ 空気噴射部 １２ 筒状中空体 １４ 凹溝 １６ 空気噴射孔 １８，２０ 壁面

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端が閉塞され、後端側から圧縮空気を
   供給される筒状中空体の先端部の一方の側壁に空気噴射
   部が設けられている空気噴射式織機用補助ノズルにおい
   て、上記空気噴射部には、空気の噴射方向に対してその
   周囲を囲むように並ぶ複数の空気噴射孔と、上記各空気
   噴射孔の各噴射空気流の少なくとも内側の側面に略外接
   し上記空気の噴射方向と平行なガイド壁面が形成されて
   いることを特徴とする空気噴射式織機用補助ノズル。
2. 【請求項２】 上記空気噴射部は、上記筒状中空体の一
   外側面に形成された環状の凹溝と、この凹溝の底部に形
   成された複数の透孔からなる空気噴射孔とを備え、上記
   ガイド壁面は、上記筒状中空体の厚みを利用して上記空
   気噴射孔と上記環状の凹溝の内側壁面により形成されて
   いることを特徴とする請求項１記載の空気噴射式織機用
   補助ノズル。
3. 【請求項３】 先端が閉塞された筒状中空体をプレス成
   形して、上記筒状中空体の一側面に空気の噴射方向に対
   してその周囲を囲むように並ぶ複数の空気噴射孔を形成
   するとともに、上記各空気噴射孔の各噴射空気流の少な
   くとも内側の側面に略外接し上記空気の噴射方向と平行
   で上記空気噴射孔に対してその空気噴射方向に突出した
   ガイド壁面を形成することを特徴とする空気噴射式織機
   用補助ノズルの製造方法。
4. 【請求項４】 上記筒状中空体の形成は、先ずその長手
   方向に表裏二分割した形状のものを形成し、上記二分割
   した一方に上記空気噴射孔及び上記ガイド壁面を一体に
   形成し、この二分割したものを互いに合わせて溶接し筒
   状中空体を形成することを特徴とする請求項３記載の空
   気噴射式織機用補助ノズルの製造方法。