JP2000026505A - 包接化合物及び光エネルギー移動素子 - Google Patents

包接化合物及び光エネルギー移動素子

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JP2000026505A
JP2000026505A JP10191378A JP19137898A JP2000026505A JP 2000026505 A JP2000026505 A JP 2000026505A JP 10191378 A JP10191378 A JP 10191378A JP 19137898 A JP19137898 A JP 19137898A JP 2000026505 A JP2000026505 A JP 2000026505A
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Akihiko Ueno
昭彦 上野
Makio Tamura
牧生 田村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シクロデキストリンを利用した光エネルギー移
動素子に用いることができる包接化合物、光エネルギー
移動素子、及び光エネルギー移動素子要素を提供するこ
と。 【解決手段】シクロデキストリンに包接され得る単位を
末端に有するポリ(オキシアルキレン)鎖が、少なくとも
1個の芳香環が結合したシクロデキストリン誘導体複数
個を貫通してなる包接化合物、ポリ(オキシアルキレン)
鎖が、少なくとも1個の芳香環が結合したシクロデキス
トリン誘導体複数個を貫通している構造を有する光エネ
ルギー移動素子、及び少なくとも1個の芳香環が結合し
たシクロデキストリン誘導体からなる光エネルギー移動
素子要素が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光エネルギー移動
素子に使用し得る包接化合物及び光エネルギー移動素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】原田らは、ポリ(オキシエチレン)鎖に複
数個のα−シクロデキストリンを包接させたポリロタク
サンを合成した論文を発表している(Nature,356,vol.32
5(1992)参照)。しかしながら、本発明の包接化合物及び
光エネルギー移動素子については触れていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シク
ロデキストリンを利用した光エネルギー移動素子に用い
ることができる包接化合物、光エネルギー移動素子、及
び光エネルギー移動素子要素を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記包
接化合物、光エネルギー移動素子、及び光エネルギー素
子要素が提供されて、上記目的が達成される。 (1)シクロデキストリンに包接され得る単位を末端に
有するポリ(オキシアルキレン)鎖が、少なくとも1個の
芳香環が結合したシクロデキストリン誘導体複数個を貫
通してなる包接化合物。 (2)ポリ(オキシアルキレン)鎖が末端に有する単位
が、β−シクロデキストリンに包接され得るものである
上記(1)に記載の包接化合物。 (3)ポリ(オキシアルキレン)鎖が貫通しているシクロ
デキストリン誘導体が、α−シクロデキストリン誘導体
である上記(1)又は(2)に記載の包接化合物。 (4)ポリ(オキシアルキレン)鎖がポリ(オキシエチレ
ン)鎖である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の包
接化合物。 (5)ポリ(オキシアルキレン)鎖の末端に有するβ−シ
クロデキストリンに包接され得る単位が、アダマンタン
骨格及びステロイド骨格から選択されるものである上記
(2)〜(4)のいずれかに記載の包接化合物。 (6)ポリ(オキシアルキレン)鎖が貫通しているシクロ
デキストリン誘導体に結合している芳香環が、ベンゼン
環、ナフタレン環、及びピレン環から選択される少なく
とも1種である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の
包接化合物。 (7)シクロデキストリン誘導体に2個以上の芳香環が
結合している上記(1)〜(6)のいずれかに記載の包
接化合物。 (8)ポリ(オキシアルキレン)鎖が、2〜30個のシク
ロデキストリン誘導体を貫通している上記(1)〜
(7)のいずれかに記載の包接化合物。 (9)シクロデキストリンに包接され得る単位を末端に
有するポリ(オキシアルキレン)鎖が、複数個のシクロデ
キストリンを貫通してなる包接化合物。 (10)上記(9)に記載の包接化合物のα−シクロデ
キストリンの水酸基がハロゲン原子により置換されてい
る包接化合物。 (11)ハロゲン原子が臭素原子である上記(10)に
記載の包接化合物。 (12)ポリ(オキシアルキレン)鎖が、少なくとも1個
の芳香環が結合したシクロデキストリン誘導体複数個を
貫通している構造を有する光エネルギー移動素子。 (13)少なくとも1個の芳香環が結合したシクロデキ
ストリン誘導体からなる光エネルギー移動素子要素。 以下、本発明を詳述するが、それにより本発明の他の目
的、利点、及び効果が明らかになるであろう。
【0005】
【発明の実施の形態】光エネルギー移動素子に用いるこ
とができる本発明の包接化合物は、上述したように、シ
クロデキストリンに包接され得る単位を末端に有するポ
リ(オキシアルキレン)鎖が、少なくとも1個の芳香環が
結合したシクロデキストリン誘導体の複数個を貫通して
いる包接化合物である。この包接化合物の構造を、ポリ
(オキシアルキレン)鎖の両末端にβ−シクロデキストリ
ンに包接され得る単位が結合しており、かつ芳香環が結
合したシクロデキストリン誘導体がα−シクロデキスト
リン誘導体である場合につき、式(1)として模式的に
示し、この模式的な式に基づいて、本発明の包接化合物
を説明する。しかしながら、本発明は、以下に説明する
例に制限されず、例えばポリ(オキシアルキレン)鎖の両
末端にα−シクロデキストリンに包接され得る単位が結
合しており、かつ芳香環が結合したシクロデキストリン
誘導体がβ−シクロデキストリン誘導体であってもよ
い。
【0006】
【化1】 上記式において、
【0007】
【化2】
【0008】で示される中空円錐台は、α−シクロデキ
ストリン骨格の立体構造を模式的に表したものである。
この標記は、シクロデキストリン骨格を示すものとして
しばしば使用され、当業者はよく知っている(蛋白質
核酸 酵素 Vol.41 No.9 (1996)、1407〜1414参
照)。ここで、中空円錐台の上端開口部は一級水酸基側
であり、下端開口部は二級水酸基側である。上記式
(1)において、中空円錐台に結合しているArは、芳
香環である。従って、このArが結合した中空円錐台
が、α−シクロデキストリン誘導体を示す。上記式
(1)の太い実戦及び点線で示されるポリ(オキシアル
キレン)鎖は複数の中空円錐台(α−シクロデキストリン
誘導体)の中空部分を貫通しており、その両末端にはβ
−シクロデキストリンに包接され得る単位Gが結合して
いる。
【0009】式(1)のα−シクロデキストリンを貫通
しているポリ(オキシアルキレン)鎖のアルキレンは、特
に制限されないが、炭素数2〜6であって、直鎖状のも
のが好ましい。具体的には、エチレン、トリメチレン、
テトラメチレンなどを好ましく挙げることができ、エチ
レンが特に好ましい。ポリ(オキシアルキレン)鎖に含ま
れるオキシアルキレン単位の数は、特に制限されない
が、通常10〜1000、好ましくは20〜100であ
る。
【0010】ポリ(オキシアルキレン)鎖の末端に有する
β−シクロデキストリンに包接され得る単位Gとして
は、アダマンタン単位、ステロイド単位などを挙げるこ
とができる。単位Gは、ポリ(オキシアルキレン)鎖の両
末端の少なくともいずれかに結合している。式(1)で
は、単位Gは両末端に結合している。片末端にのみβ−
シクロデキストリンに包接され得る単位が結合している
場合、他の末端にβ−シクロデキストリンに包接され得
ない大ききな単位が結合していることが好ましい。その
ような単位として、α−ヘリックス ペプチドなどを挙
げることができる。ポリ(オキシアルキレン)鎖とこれら
の単位とは、直接結合していてもよいし、アミド基、エ
ステル基、エーテル基などの連結基、あるいはこれらの
基を含んだ連結基を介して結合していてもよい。連結基
を構成する原子数は、1〜4が好ましい。なお、本発明
の上記包接化合物は、ポリ(オキシアルキレン)鎖の両末
端にβ−シクロデキストリンに包接され得る単位が結合
しているものと、片末端に結合しているものとが混在し
ていてもよい。
【0011】ポリ(オキシアルキレン)鎖が貫通している
α−シクロデキストリン誘導体に結合している芳香環
は、光を吸収する機能を有しているものであれば、特に
制限されない。好ましい芳香環として、炭素数6〜16
の炭化水素芳香環を挙げることができる。好ましい具体
例として、ベンゼン環、ナフタレン環、ピレン環を挙げ
ることができる。上記芳香環の水素原子は置換されてい
てもよく、置換基として、例えばスルホネート基、カル
ボキシル基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜
3のアルキル基、炭素数1〜3のアルケニル基などを挙
げることができるが、これらに制限されない。
【0012】α−シクロデキストリン誘導体に結合して
いる芳香環の数は、1個以上、好ましくは2〜6個であ
る。芳香環は、通常連結基(以下、この連結基を「連結
基A」ともいう」)を介して、α−シクロデキストリン
骨格に結合している。上記連結基Aは、2価の基であ
り、シクロデキストリン骨格に結合していると共に、上
記の芳香環に結合している。連結基Aがα−シクロデキ
ストリン骨格に結合している位置は、α−シクロデキス
トリンを構成しているグルコース環の、水酸基が結合し
ている炭素原子又は水酸基の酸素原子であることが好ま
しい。該位置が、水酸基が結合している炭素原子である
場合、本発明の包接化合物を製造する後述する方法から
理解できるように、上記水酸基に代わって連結基Aが炭
素原子に結合する。また、連結基Aが芳香環に結合して
いる位置は、芳香環の任意の炭素原子である。芳香環
が、例えばナフタレン環である場合は、α位又はβ位
の、好ましくはβ位の炭素原子に、ピレン環の場合は、
1位の炭素原子に、連結基Aが結合している。
【0013】連結基Aは、本発明の包接化合物の製造上
の容易さから、適宜に選択される。一般的には、原子数
1〜6程度のものである。具体的には、例えば酸素原
子、アミド基、エステル基、二級アミノ基、これらの基
を含む基を挙げることができる。好ましい連結基Aは、
酸素原子である。
【0014】本発明の上記式(1)で示される包接化合
物は、例えば下記の(イ)〜(ハ)の3工程により製造
することができる。 (イ)工程 β−シクロデキストリンに包接され得る単位を末端に有
するポリ(オキシアルキレン)鎖が、α−シクロデキスト
リンの複数個を貫通してなる包接化合物を製造する工
程。 (ロ)工程 上記(イ)工程で製造された包接化合物のα−シクロデ
キストリンの水酸基をハロゲン原子、好ましくは臭素原
子で置換する工程。 (ハ)工程 上記(ロ)工程で製造されたハロゲン化包接化合物とフ
ェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させて
脱ハロゲン化水素し、本発明の包接化合物を製造する工
程。これらの工程で製造される化合物は、いずれも新規
化合物である。
【0015】以下工程(イ)〜(ハ)について、ポリ
(オキシアルキレン)鎖がポリ(オキシエチレンン)鎖であ
り、β−シクロデキストリンに包接され得る単位がアダ
マンタン骨格であり、そしてα−シクロデキストリン誘
導体に結合している芳香環がナフタレン環である場合に
つき説明する。他の態様についても、以下の説明及び実
施例を参照すれば、容易に製造することができる。
【0016】工程(イ) (イ−1)飽和α−シクロデキストリン水溶液に、末端
の水酸基がジアミノ化されたポリエチレングリコールを
加える。ポリエチレングリコールの分子量が大きくなる
につれて(ポリ(オキシエチレンン)鎖が長くなるにつれ
て)、包接される(貫通される)α−シクロデキストリ
ンの最大数が増える。従って、この工程で、工程(ハ)で
得られる包接化合物のポリ(オキシアルキレン)鎖の長さ
及び貫通されるα−シクロデキストリンの数を決めるこ
とができる。ポリエチレングリコールの添加量は、包接
されるα−シクロデキストリンの数が最大となるような
量とする。数平均分子量が2000のポリエチレングリ
コールの場合、最大22−23個のα−シクロデキスト
リンが包接される。そのようにするためには、約22分
の1当量のジアミノ化ポリエチレングリコールを加え
る。その後20分超音波を照射すると、白濁してくる。
これを一晩放置すると、乳液状の沈殿物が得られ、これ
を回収する。この沈殿物は、一つのポリエチレングリコ
ール鎖にα−シクロデキストリンが15〜17個包接さ
れたものである。
【0017】(イ−2)次に、上記(イ−1)で回収さ
れた沈殿物と1−アダマンタン酢酸との反応を、BOP
法によって、ジメチルフォルムアミド(DMF)中、不均
一系で行う。この反応は下記反応式(I)に従って、進
行する。
【0018】
【化3】
【0019】この反応は、ベンゾトリアゾール−1−イ
ロキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフ
ルオロホスフェート(BOP)、ヒドロキシベンゾトリア
ゾール(HOBT)、ジイソプロピルエチルアミン(D
IEA)を用いたアミド化反応であり、室温で1〜2時
間反応させる。この反応で得られる包接化合物(アダマ
ンタンキャップポリロタクサン)は、水、アセトン、D
MFに溶解しない。水で洗浄することによって残留α−
シクロデキストリンを除くことができ、アセトンで洗浄
することにより残留BOP,HOBT、及び1−アダマ
ンタン酢酸を完全に除去することができる。ポリ(オキ
シエチレン)鎖の両末端に存在するアダマンタン骨格の
大きさは十分大きく、ポリ(オキシエチレン)鎖からα−
シクロデキストリンが抜け出さない。このことは、CP
Kモデリングによって確認することができる。
【0020】工程(ロ) 次に工程(イ)で製造した包接化合物(アダマンタンキ
ャップポリロタクサン)のα−シクロデキストリンの水
酸基を臭素原子で置換する反応を行う。この臭素化は、
Hms H.Baerらによって報告されたα−シクロデ
キストリンの臭素化方法(Carbohydrate Research,228(1
992),307-314参照)と同様な方法で行われる。この反応
は、下記反応式(II)に従って進行する。
【0021】
【化4】
【0022】反応溶媒として、DMFが用いられ、75
〜90℃で、15〜18時間反応を行う。工程(イ)で
製造した包接化合物はDMFに溶けないので不均一系で
の反応である。生成物(臭素化ポリロタクサン)は、アダ
マンタンキャップポリロタクサンと同じく、水、メタノ
ールに溶解しないので、水、メタノールで洗浄して、反
応に使用した残留臭素、トリフェニルフォスフィンを除
去、精製する。
【0023】工程(ハ) 本工程では、工程(ロ)で得られた臭素化ポリロタクサ
ンとフェノール性水酸基を有するナフタレン誘導体とを
反応させて脱HBrし、本発明の包接を得る工程であ
る。反応は、Guil1etらによって報告された、臭
素化β−シクロデキストリンのナフチル化と同様な方法
により行われる。この反応は、下記反応式(III)に従
って進行する。
【0024】
【化5】
【0025】反応は、溶媒としてジメチルスルフォオキ
シド(DMSO)を用い、ナフタレン誘導体(例えば2−
ヒドロキシナフタレン−6−スルフォネート)に対して
3〜5倍当量に相当するヘキサメチルリン酸トリアミド
(HMPA)を使用し、約80℃で、2〜2.5時間反応
を行なう。反応後、水を展開溶媒として用いたカラムク
ロマトグラフィーにより、本発明の上記式(1)で示さ
れる包接化合物が得られる。
【0026】なお、式(1)、上記反応式(I)、(I
I)、及び(III)では、ポリ(オキシエチレン)鎖が貫
通しているα−シクロデキストリンあるいはその誘導体
の数は2個であるが、これは2個以上の複数個が貫通さ
れていることを象徴しているに過ぎず、2個に限定して
解釈されるものではない。
【0027】以上説明した本発明の包接化合物は、光エ
ネルギー移動素子として用いることができる。即ち、本
発明の包接化合物を構成するシクロデキストリン誘導
体、例えばα−シクロデキストリンに、結合している芳
香環が吸収する波長の光を照射することにより、光のエ
ネルギーにより複数の芳香環が励起される。芳香環がナ
フタレン環の場合、波長200〜350nmの光を吸収
し、励起状態となる。これは蛍光スペクトルを観測する
ことにより確認することができる。本発明の包接化合物
を構成するポリ(オキシアルキレン)鎖末端には、シクロ
デキストリンに包接され得る単位、例えばアダマンタン
骨格が結合しているので、該単位を包接することがで
き、かつ芳香環に吸収された光エネルギーを受容し得る
骨格(光エネルギー受容骨格)を有する化合物、例えばダ
ンシル骨格が結合したβ−シクロデキストリン(Dnsβ-
CD)をホスト分子として用いて、上記単位を包接するこ
とにより、複数の芳香環に吸収された光エネルギーは、
芳香環を移動しつつ、光エネルギー受容骨格へエネルギ
ーが移動する。光エネルギー受容骨格がダンシル骨格の
場合、蛍光スペクトルを観測することにより確認するこ
とができる。光エネルギー受容骨格は、シクロデキスト
リン誘導体に結合している芳香環の種類によって、好適
なものが適宜選択される。芳香環がナフタレン環の場
合、ダンシル骨格が好適なものであるが、これに制限さ
れない。
【0028】以上の説明からあきらかなように、ポリ
(オキシアルキレン)鎖と、それが貫通している芳香環が
結合したシクロデキストリン誘導体、例えばα−シクロ
デキストリン誘導体とを組み合わせると、光エネルギー
が移動する素子となる。光エネルギーは、隣接した芳香
環を経由してポリ(オキシアルキレン)鎖の軸方向に移動
する。また芳香環が結合したシクロデキストリン誘導
体、例えばα−シクロデキストリン誘導体は、光エネル
ギー移動素子の重要な要素である。光移動素子を構成す
るための該シクロデキストリン誘導体を貫通するポリマ
ー鎖は、ポリ(オキシアルキレン)鎖である必要は必ずし
もない。他の適切なポリマー鎖との組み合わせによっ
て、光移動素子を構成することもできる。
【0029】本発明の光移動素子を用いることにより、
光エネルギーが必要な任意の位置に光エネルギーを移動
させるような分子設計や、光情報を任意の位置に移動さ
せる分子設計が可能である。
【0030】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例によって限定されること
はない。
【0031】実施例1 〔本発明の包接化合物の合成例1〕前記工程(イ)、
(ロ)、及び(ハ)を下記の条件で行った。 工程(イ) (イ−1) 飽和α−シクロデキストリン水溶液(濃度:20g/L) 40g 末端ジアミノ化ポリエチレングリコール 2.21g (数平均分子量:2000) 超音波照射時間 20分 (イ−2) (イ−1)で得られた沈殿物 4.0g 1−アダマンタン酢酸 0.320g BOP 0.733g HOBT 0.254g DIEA 188ml DMF 10ml 反応温度 室温 反応時間 2時間
【0032】 工程(ロ) 工程(イ)で製造した包接化合物(アダマンタンキャップポリロタクサン) 1.0g Br 1m l PhP 5.0g DMF 80ml 反応温度 80℃ 反応時間 15時間
【0033】 工程(ハ) 工程(ロ)で製造した臭素化包接化合物 0.100g 2−ヒドロキシナフタレン−6−スルホネート 0.740g ソジウムメチラート 0.100g ジメチルスルホキサイド 100ml 反応温度 80℃ 反応時間 2時間 (精製方法)カラムとしてセファデックスG−25カラム
を、溶出溶媒として水を各々用い、溶出溶液をナフタレ
ンの吸収によってモニターし、一番量初のピークのフラ
クションを回収した。
【0034】工程(イ)で得られた生成物のH−NM
Rチャートを図1に、工程(ロ)で得られた生成物の
H−NMRチャートを図2に示した。また工程(ハ)で
得られた生成物の13C−NMRチャートを図3に示し
た。これらのチャートから各工程で目的とする化合物が
得られていることが確認できた。
【0035】工程(ハ)で得られた本発明の包接化合物
(ナフチルポリロタクサン)1分子に包接されている(貫
通されている)α−シクロデキストリンの数は、以下の
方法で測定した結果、約15個であった。 (測定方法)ナフチルポリロタクサンを1.5NのNaO
D中に溶解し、室温に30日放置後、さらに50℃に2
日間加熱する。この溶液について、H−NMR分析を
行い、アダマンタンの積分値とα−シクロデキストリン
のアノマー部位の積分値の比から算出する。
【0036】〔上記で合成された包接化合物(ナフチル
ポリロタクサン)の光エネルギー移動素子としての評
価〕 (1)ダンシル骨格が結合したβ−シクロデキストリン
(Dnsβ-CD)の合成及びダンシルグリシン(DnsGly)の合成 一置換アミノ化β−シクロデキストリンと、ダンシルク
ロライドを、溶媒としてDMFを用い、反応温度25℃
で反応させ、再結晶により精製して、ダンシル骨格が1
個結合したDnsβ-CDを得た。また、DnsGlyは、市販品を
用いた。 (2)上記工程(ハ)で合成したナフチルポリロタクサ
ン溶液(溶媒:水、濃度:1.18mmol)に、Dnsβ-CDを溶液
(DMSO/水=50/50(容積比)の混合溶媒使用)で240μM
添加し、波長296nmの光を照射して、蛍光強度を測
定した。さらに、Dnsβ-CDを全く添加しない場合につ
き、同様に波長296nmの光を照射して、蛍光強度を
測定した。その結果を図4に示した。Dnsβ-CDの代わり
にDnsGlyを用いて同様なことを行ない、その結果を図5
に示した。
【0037】図4及び図5に示されるように、Dnsβ-CD
及びDnsGlyを添加しない場合は、照射された光によりβ
−シクロデキストリンに結合したナフタレン骨格が励起
されて、360nm付近にピークを有する蛍光が観測さ
れた。Dnsβ-CDを添加した場合、ナフタレン骨格の励起
による360nm付近にピークを有する蛍光は約1/3
程度に減少すると共に、550nm付近にピークを有す
るダンシル骨格の蛍光が観測された。DnsGlyを添加した
場合は、ナフタレン骨格の励起による蛍光は約1/2に
減少したが、ダンシル骨格の蛍光は殆ど観測されなかっ
た。これらの事実は、Dnsβ-CDを添加した場合、ナフチ
ルポリロタクサンのポリ(オキシエチレン)鎖末端に結合
しているアダマンタン骨格がDnsβ-CDのβ−シクロデキ
ストリンに包接され、その結果ダンシル骨格とナフチル
ポリロタクサンに結合しているナフタレン骨格とが近接
し、光の照射によりナフタレン骨格が吸収した光エネル
ギーがダンシル骨格へ移動したことを示す。DnsGlyの場
合は、Dnsβ-CDのようにダンシル骨格とナフタレン骨格
とが近接することが殆どないので、ナフチルポリロタク
サンのナフタレン骨格に吸収された光エネルギーがダン
シル骨格へ移動することは殆どない。
【0038】以上のことから、ポリ(オキシエチレン)鎖
が、ナフタレン環が結合したα−シクロデキストリン誘
導体複数個を貫通している構造は光エネルギー移動素子
として、機能することが明らかである。
【0039】
【発明の効果】ポリ(オキシアルキレン)鎖が芳香環が結
合したシクロデキストリン誘導体複数個を貫通し、該ポ
リ(オキシアルキレン)鎖末端にシクロデキストリンに包
接されうる単位を有する本発明の包接化合物は、照射さ
れた光エネルギーを、上記シクロデキストリン誘導体に
結合した芳香環を経由して、該単位を光エネルギーを受
容し得る構造(光受容構造)を有するシクロデキストリン
に包接させることにより、光受容構造に移動させること
ができる。従って、光エネルギーが必要な任意の位置に
光エネルギーを移動させるような分子設計や、光情報を
任意の位置に移動させる分子設計が可能となる。また、
ポリ(オキシアルキレン)鎖が、芳香環が結合したシクロ
デキストリン誘導体複数個を貫通している構造は光エネ
ルギー移動素子として、機能する。さらに、芳香環が結
合したシクロデキストリン誘導体は、光エネルギー移動
素子の重要な要素である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の工程(イ)の反応生成物のH−N
MRチャートである。
【図2】実施例1の工程(ロ)の反応生成物のH−N
MRチャートである。
【図3】実施例1の工程(ハ)の反応生成物の13C−
NMRチャートである。
【図4】実施例1の工程(ハ)で合成したナフチルポリ
ロタクサンにDnsβ-CDを添加し、光照射したときに示す
蛍光スペクトルである。
【図5】実施例1の工程(ハ)で合成したナフチルポリ
ロタクサンにDnsGlyを添加し、光照射したときに示す蛍
光スペクトルである。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロデキストリンに包接され得る単位
    を末端に有するポリ(オキシアルキレン)鎖が、少なくと
    も1個の芳香環が結合したシクロデキストリン誘導体複
    数個を貫通してなる包接化合物。
  2. 【請求項2】 ポリ(オキシアルキレン)鎖が末端に有す
    る単位が、β−シクロデキストリンに包接され得るもの
    である請求項1に記載の包接化合物。
  3. 【請求項3】 ポリ(オキシアルキレン)鎖が貫通してい
    るシクロデキストリン誘導体が、α−シクロデキストリ
    ン誘導体である請求項1又は2に記載の包接化合物。
  4. 【請求項4】 ポリ(オキシアルキレン)鎖がポリ(オキ
    シエチレン)鎖である請求項1〜3のいずれかに記載の
    包接化合物。
  5. 【請求項5】 ポリ(オキシアルキレン)鎖の末端に有す
    るβ−シクロデキストリンに包接され得る単位が、アダ
    マンタン骨格及びステロイド骨格から選択されるもので
    ある請求項2〜4のいずれかに記載の包接化合物。
  6. 【請求項6】 ポリ(オキシアルキレン)鎖が貫通してい
    るシクロデキストリン誘導体に結合している芳香環が、
    ベンゼン環、ナフタレン環、及びピレン環から選択され
    る少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載
    の包接化合物。
  7. 【請求項7】 シクロデキストリン誘導体に2個以上の
    芳香環が結合している請求項1〜6のいずれかに記載の
    包接化合物。
  8. 【請求項8】 ポリ(オキシアルキレン)鎖が、2〜30
    個のシクロデキストリン誘導体を貫通している請求項1
    〜7のいずれかに記載の包接化合物。
  9. 【請求項9】 シクロデキストリンに包接され得る単
    位を末端に有するポリ(オキシアルキレン)鎖が、複数個
    のシクロデキストリンを貫通してなる包接化合物。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の包接化合物のα−シ
    クロデキストリンの水酸基がハロゲン原子により置換さ
    れている包接化合物。
  11. 【請求項11】 ハロゲン原子が臭素原子である請求項
    10に記載の包接化合物。
  12. 【請求項12】ポリ(オキシアルキレン)鎖が、少なくと
    も1個の芳香環が結合したシクロデキストリン誘導体複
    数個を貫通している構造を有する光エネルギー移動素
    子。
  13. 【請求項13】少なくとも1個の芳香環が結合したシク
    ロデキストリン誘導体からなる光エネルギー移動素子要
    素。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007254570A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Lintec Corp 擬ポリロタキサンおよびポリロタキサンの製造方法

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