JP2000024805A - 加工機械およびそのスピンドル装置 - Google Patents
加工機械およびそのスピンドル装置Info
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Abstract
び静剛性が得られ、かつ高回転精度が得られ、高速の加
工を精度良く行える加工機械を提供する。 【解決手段】 工具Tを回転させるスピンドル装置1
と、ワークWを保持するワーク保持手段2と、これら工
具TとワークWとを相対的に移動させる送り手段3とを
備える。スピンドル装置1は、スピンドル4を、静圧気
体軸受と磁気軸受とが複合化された静圧磁気複合軸受2
3により回転自在に設置し、回転源25を備えたものと
する。
Description
の機械加工を行う加工機械に関し、静圧気体軸受と磁気
軸受とが複合化された静圧磁気複合軸受を用いたことを
特徴とする。
り、円筒研削盤などの加工機械において、スピンドルを
電磁石の磁力により支持する磁気軸受スピンドル装置を
備えたものが提案されている。磁気軸受は、大きな軸受
ギャップを持つため回転によるトルクロスが極めて小さ
く、また積分制御により大きな静剛性を付与できる特徴
がある。しかし、磁気軸受スピンドル装置は、制御の難
しさ等から、動剛性および高回転精度において、いま一
つ満足できる性能を得ることが難しい。また、磁気軸受
スピンドル装置は、加工中にスピンドルの曲げ固有振動
数の影響を受け易く、そのため非常に複雑な制御系を構
成する必要がある。
かに静圧気体軸受がある。静圧気体軸受は、回転精度が
極めて高く優れた動的安定性を持っているが、圧縮性を
有するために、静剛性および負荷容量が小さく、加工機
械用としては、ほとんど適用例がない。
装置として、静圧気体軸受と磁気軸受とを併用したもの
が提案され、実用化が検討されている。しかし、この提
案例のものは、独立した磁気軸受と静圧気体軸受とを軸
方向に並べて配置しているため、スピンドルが長くな
り、曲げ固有振動数が低くなるという問題点がある。ま
た、磁気軸受を単独で適用するスピンドル装置の場合と
全く同じ構成の制御系の構成を採用しているために、静
圧気体軸受の動的安定性を損ね、むしろ外乱発生源とし
て作用するという問題点もある。また、このスピンドル
装置で高回転精度を得るためには、磁気軸受用変位セン
サが高精度であることが要求されるが、通常、磁気軸受
に使用される変位センサは渦電流センサなどの磁気セン
サが用いられ、分解能は1μm程度である。一方、高精
度変位センサとしては静電容量型変位センサがあるが、
高価で利用は難しい。したがって、静圧気体軸受,磁気
軸受の特長を生かしつつ、欠点を補い合うという目的は
十分に達成されていないのが現状である。
き、優れた動剛性および静剛性が得られ、かつ高回転精
度が得られ、高速の加工を精度良く行える加工機械を提
供することである。この発明の他の目的は、スピンドル
を長くすることなく静圧気体軸受と磁気軸受とによる支
持を可能とし、スピンドルのより一層の高速回転を可能
とすることである。この発明のさらに他の目的は、高精
度な変位検出を可能にすると共に、静圧気体軸受と磁気
軸受の相互干渉の防止を容易とすることである。この発
明のさらに他の目的は、制御系の工夫により、静圧気体
軸受の優れた動的安定性を損ねることなく、磁気軸受の
特長である静剛性の向上を可能とすることである。この
発明のさらに他の目的は、加工機械に用いられるスピン
ドル装置において、スピンドルの支持につき、優れた動
剛性および静剛性が得られ、かつ高回転精度が得られ、
高速の加工を精度良く行えるようにすることである。
工具を回転させるスピンドル装置と、ワークを保持する
ワーク保持手段と、これらスピンドル装置の工具とワー
ク保持手段に保持されたワークとを相対的に移動させる
送り手段とを備えた加工機械であって、前記スピンドル
装置を次の構成としたものである。すなわち、このスピ
ンドル装置は、工具を先端に取付けたスピンドルを、静
圧気体軸受と磁気軸受とが、互いに兼用部分が生じるよ
うに複合化された静圧磁気複合軸受を介して、スピンド
ル装置本体に回転自在に設置し、前記スピンドルを回転
駆動する駆動源を設けたものとする。この構成による
と、ワーク保持手段に保持されたワークが、スピンドル
装置のスピンドル先端に設けられた工具により加工さ
れ、前記送り手段により、ワークと工具の間の切り込み
や送り等の相対移動が行われる。この場合に、スピンド
ルを支持する軸受として、静圧気体軸受と磁気軸受とが
複合化された静圧磁気複合軸受を用いたため、静圧気体
軸受の優れた動剛性および回転精度と磁気軸受の優れた
静剛性という両者の特長を生かした支持が行える。この
ため、工具を低速回転させる場合や、高速回転させる場
合も、精度良く加工することができる。また、静圧気体
軸受と磁気軸受とは、互いに複合化されて静圧磁気複合
軸受とされているため、独立した静圧気体軸受と磁気軸
受とを単に並べて配置する場合に比べて、構成がコンパ
クトになる。
ドルは、ラジアル軸受とアキシャル軸受とを介してスピ
ンドル装置本体に設置し、前記ラジアル軸受を前記静圧
磁気複合軸受としても良い。このように、スピンドルを
支持するラジアル軸受を静圧磁気複合軸受とすることに
より、静圧による支持と磁気による支持とに、スピンド
ルに別の長さ部分を必要とせず、スピンドル長さを短く
できる。これにより、曲げ固有振動数が高められ、より
高速回転が可能となる。また、軸方向に対する磁気軸受
の支持中心点と静圧気体軸受の支持中心点とを略一致さ
せることができ、両軸受の制御が容易になる。
は、磁気軸受のステータに静圧気体軸受の絞りを設けた
ものであっても良い。例えば、ステータのコアに前記絞
りを設けても良い。このように、磁気軸受のステータに
静圧気体軸受の絞りを設けることにより、部品点数が削
減されると共に、前記のスピンドル長の短縮、および静
圧気体軸受および磁気軸受の支持中心点の一致化が容易
に実現できる。
ドルの変位を求める変位測定手段として、前記静圧気体
軸受の軸受面の圧力を測定する圧力センサを設け、この
圧力センサの測定値から前記スピンドルの変位を求めて
前記磁気軸受の磁力制御を行う磁気軸受制御手段を設け
ても良い。このように静圧気体軸受面の圧力を測定し、
これをスピンドル変位に換算して磁気軸受の制御に利用
することにより、他の方式のセンサで問題となるスピン
ドルセンサターゲット面の磁気特性むらによるセンサの
誤動作がなく、高精度なセンシングが可能となる。例え
ば、分解能がサブミクロン以下の高精度な変位検出が可
能になると同時に、センサに小型のものが使用できて、
センサを軸受内部に収納することができ、コンパクトな
軸受構成が可能となる。また、静圧気体軸受の圧力をス
ピンドル変位に換算することで、静圧気体軸受の軸受中
心を磁気軸受中心に設定できることから、両軸受の相互
干渉を防ぐことが容易となる。したがって一層の加工精
度の向上が図れる。
の変位を測定する変位測定手段を設け、この変位測定手
段の測定値に前記磁気軸受をフィードバック制御する磁
気軸受制御手段を設け、この磁気軸受制御手段は、積分
動作または比例積分動作のみで制御するものであって、
所定以上の高周波に対して制御を行わないものとしても
良い。このように、積分動作または比例積分動作のみを
行い、所定以上の高周波に対して制御を行わないものと
することで、静圧気体軸受の優れた動的安定性を損ねる
ことなく、磁気軸受は低周波数域のみの軸受作用力に限
定でき、特長である静剛性の向上が可能となる。すなわ
ち、動剛性(高周波領域)を静圧気体軸受で、静剛性
(低周波領域)を磁気軸受でそれぞれ分担して受け持つ
ことになり、両軸受の特長が共に生かされ、かつ互いに
干渉するのを回避できる。
に設けられた工具が砥石であり、前記ワーク保持手段
が、ワークを回転させる機能を有するものであり、円筒
研削を行う研削盤となるものであっても良い。研削盤
は、ワークの加工精度が高度に要求され、また工具であ
る砥石を高速で回転させることが必要な加工機械であ
り、このような研削盤に、スピンドルの静圧磁気複合軸
受による支持を適用することで、この静圧磁気複合軸受
による高精度な支持が効果的に発揮され、高精度の加工
が行える。また、静圧磁気複合軸受を用いるため、独立
した静圧気体軸受と磁気軸受とを併用する場合に比べて
軸受部がコンパクト化され、これに伴いスピンドル装置
が軽量化されるため、スピンドル装置の移動が高速に行
える。このため、多量のワークを高速に加工する場合
に、ワーク交換に伴う無駄時間が短縮でき、量産性の向
上が図れる。
上記いずれかの構成の加工機械に備えられるスピンドル
装置であって、工具を先端に取付けたスピンドルを、静
圧気体軸受と磁気軸受とが複合化された静圧磁気複合軸
受を介して、スピンドル装置本体に回転自在に設置し、
前記スピンドルを回転駆動する駆動源を設けたものであ
る。
し図4と共に説明する。この加工機械は、ワークWの内
面を研削する研削盤であって、工具Tを回転させるスピ
ンドル装置1と、ワークWを保持するワーク保持手段2
と、これらスピンドル装置1の工具Tとワーク保持手段
2に保持されたワークWとを相対的に移動させる送り手
段3とを備える。ワークWは、リング状のものであり、
例えば、転がり軸受や滑り軸受における軌道輪となるも
のである。
の取付けられたスピンドル4を回転自在に支持すると共
に内蔵のモータで回転駆動するものであり、砥石台であ
る工具台5上に固定設置されている。工具台5は、基台
6上に案内手段7を介して、スピンドル4の軸方向(Z
軸方向)に進退自在に設置され、進退駆動手段8により
進退駆動される。案内手段7は、滑り案内等で接触支持
を行うものであっても、また磁力または静圧により非接
触で支持する直動軸受であっても良い。進退駆動手段8
は、ボールねじを介してモータにより送りを与える接触
型の送り手段であっても、また磁力等により工具台5に
非接触で送りを与えるものであっても良い。
チャック9を移動台10に回転自在に設置したものであ
り、チャック9は、移動台10に設置されたモータ11
によりベルト等の伝達機構12を介して回転駆動され
る。チャック9の回転中心は、スピンドル4と平行とさ
れる。移動台10は、基台6上に案内手段12を介し
て、工具台進退方向(Z軸方向)と直交する方向(X軸
方向)に進退自在に設置され、進退駆動手段13により
進退駆動される。案内手段12は、基台6に設けられた
滑り案内のレール等からなり、進退駆動手段13はモー
タおよびボールねじ等からなる。この移動台10の移動
により、ワークWに対する工具Tの切り込み方向の相対
移動が行われ、工具台5の移動によりワークWに対する
工具Tの送り方向の移動が行われる。これら工具台5の
案内手段7および進退駆動手段8と、移動台10の案内
手段12および進退駆動手段13とにより、前記の送り
手段3が構成される。
式のスピンドル装置であって、図2に示すように、スピ
ンドル装置本体となる円筒状のハウジング22内に、回
転駆動源となるモータ25を設け、モータ25の前後に
配置された一対のラジアル型の軸受23,23と、後端
のアキシャル型の軸受30とを介してスピンドル4を回
転自在に支持したものである。これらラジアル軸受23
およびアキシャル軸受30は、いずれも静圧磁気複合軸
受とされている。モータ25は、スピンドル4に一体に
設けられたモータ部ロータ26と、ハウジング22に設
置されたステータ27とで構成される。ハウジング22
の前後端にはフランジ22a,22bが形成され、これ
らフランジ22a,22bの内周面は潤滑性に優れた材
料からなる保護用滑り軸受面とされている。これによ
り、静圧磁気複合軸受23に異常が生じてスピンドル4
がタッチダウンした場合でも、スピンドル4の焼付きが
防止される。
3は、次のように磁気軸受28と静圧気体軸受29と
を、構成部品に兼用部分が生じるように一体化させたも
のである。静圧気体軸受29には静圧空気軸受が用いら
れている。磁気軸受28は、スピンドル4の外周に設け
られた磁性体の軸受ロータ31と、ハウジング22に設
置された軸受ステータ32とで構成される。軸受ロータ
31は、スピンドル4自体の一部であっても良い。軸受
ステータ32は、コア33とコイル34とコア覆い材3
8とでリング状に形成されている。コア33は、図3に
示すようにリング状部分から複数のヨーク部33aを内
径側へ互いに放射状に突出させたものであり、各ヨーク
部33aに前記コイル34が巻かれている。隣合うヨー
ク部33a,33a間の隙間は、樹脂モールド、または
非磁性金属材料もしくはセラミックス材料からなる溶射
による充填、または非磁性金属材料もしくはセラックス
材料からなる隔壁、などからなるコア覆い材38によっ
て充填される。コア覆い材18の内径面は、ヨーク部1
3aの先端面と共に同一円筒面に仕上げ加工されてい
る。これらコア覆い材18とヨーク部33aとで軸受ス
テータ32の円筒面状の内径面を構成している。
には、全周にわたる給気通路36が形成され、この給気
通路36から各々分岐して、軸受隙間に給気する絞り3
5が各ヨーク部33aの電磁力発生面である先端内径面
に開口して設けられている。給気通路36は、周方向の
1か所または複数箇所に設けた給気口37から、圧力流
体である圧縮空気の供給源(図示せず)に配管等で接続
されており、供給された圧縮空気は、軸受ステータ32
の内径面とスピンドル4との間に形成される軸受隙間d
に噴出される。これら絞り35と、軸受隙間形成部材を
兼用する軸受ステータコア33およびコア覆い材38と
で、ラジアル静圧気体軸受29が構成される。また、軸
受ステータコア33は、絞り35および給気通路36の
形成部材を兼用する。絞り35は、オリフィス絞りや、
その他の各種の形式の絞りが採用できるが、この例では
自成絞りとしてあり、コア33に設けられた給気孔35
aと軸受隙間dとで構成される。給気孔35aは、内径
が段付きに形成されて、コア33の内面からなる静圧気
体軸受面に開口する部分が微細孔となっている。絞り3
5はスピンドル4の円周方向の少なくとも3か所に配置
することが好ましい。なお絞り35の給気孔35aは、
コア33を避けてコア覆い材38等に形成しても良い。
は、このように静圧気体軸受29と磁気軸受28とを組
み合わせたものであるため、静圧気体軸受29の優れた
動剛性および回転精度と磁気軸受28の優れた静剛性と
いう両者の特長を生かした軸受とできる。しかも、静圧
気体軸受29と磁気軸受28とは、構成部品が兼用され
ているため、独立した静圧気体軸受と磁気軸受とを軸方
向に並べて配置する場合に比べて、構成がコンパクトに
なり、スピンドル4の長さを短縮できる。これにより、
曲げ固有振動数が高められ、より高速回転が可能とな
る。特に、この実施形態では、磁気軸受28の軸受ステ
ータコア33およびコア覆い材38が静圧気体軸受29
の軸受隙間形成部材を兼用し、かつ前記軸受ステータコ
ア33が絞り35および給気通路36の形成部材を兼用
するため、構成部品が高度に兼用化され、構成のコンパ
クト化の効果が高い。
する。図3に示すように、軸受ステータ32には、コア
覆い材38を半径方向に貫通して軸受隙間dに開口する
圧力検出用通気孔46が、絞り35の近くの周方向4か
所に等間隔に設けられ、これに連通するセンサ装着孔4
5に圧力センサ47A〜47Dが設けられている。これ
ら圧力センサ47A〜47Dは、互いに直径方向に対向
する2つのセンサが1組となって、スピンドル4のラジ
アル変位を検出する差圧式のエアマイクロセンサとされ
ている。すなわち、互いに直径方向に対向する圧力セン
サ47A,47Bが1つの組を、圧力センサ47C,4
7Dが他の1つの組をなし、一方の圧力センサ47A,
47Bの組の間では、対応する通気孔46が開口する静
圧気体軸受面での圧力差を測定し、これをスピンドル4
のY軸方向の変位に換算する。また、他方の圧力センサ
47C,47Dの組の間でも、対応する通気孔46が開
口する静圧気体軸受面での圧力差を測定し、これをスピ
ンドル4のX軸方向の変位に換算する。
で構成される磁気軸受制御手段48は、Y軸方向および
X軸方向のフィードバック制御系を有しており、Y軸方
向のフィードバック制御系では、上記圧力センサ47
A,47Bにより検出されるスピンドル4のY軸方向へ
の変位に基づき、磁気軸受28のY軸方向のフィードバ
ック制御が行われる。すなわち、スピンドル4の変位に
応じて、アンプ49を経て圧力センサ47A,47Bに
対応する位置のコイル34またはその近隣の幾つかのコ
イル34に供給する電流を加減し、スピンドル4がY軸
方向に偏らないように制御する。すなわち、スピンドル
4が目標位置に一致するように制御する。これと同様
に、磁気軸受制御手段48のX軸方向のフィードバック
制御系は、他の圧力センサ47C,47Dの測定値によ
り、所定のコイル34の電流制御を行う。このように、
磁気軸受28の変位センサとして、軸受隙間dの静圧を
検出する圧力センサ47A〜47Dを用いたエアマイク
ロセンサ方式を採用するため、磁気軸受28の制御系の
ゼロ点(目標値)と静圧気体軸受29の支持中心点(圧
力平衡点)を容易に一致させることができ、複雑なセン
サ調整が不要となる。また、他の方式のセンサで問題と
なるロータセンサターゲット面の磁気特性むらや真円度
誤差は無関係となる。
ク制御は、積分動作または比例積分動作のみとされ、高
周波における補償は行われない。また、圧力センサ47
A,47Bのドリフト等により磁気軸受制御系のゼロ点
と静圧気体軸受29の支持中心点がずれる場合は、積分
制御において僅かな不感帯を設けてもよい。このように
不感帯を設けることにより、温度ドリフト等による磁気
軸受28の誤動作を抑制することができる。すなわち、
動剛性(高周波領域)を静圧気体軸受29で、静剛性
(低周波領域)を磁気軸受28でそれぞれ分担して受け
持つ役割分担が確実に行えて、両軸受28,29の特長
が共に生かされ、互いに干渉することを回避できる。ま
た、このように、磁気軸受28は積分動作または比例積
分動作という低周波制御系となるため、比較的応答性の
遅い圧力センサ47A〜47Dを変位センサとして用い
ることができる。磁気軸受28の性能は、磁気軸受制御
手段48の設定によって設定することができるが、一般
に磁気軸受の場合、高周波域に有効に減衰力を発生さ
せ、スピンドルを安定して浮上させることが難しいとい
った問題がある。そこで、この発明では、磁気軸受28
は、その特長である低周波域での軸受剛性を高める役目
だけに利用するようにしている。
るアンプ29には、電流−電磁力を線型化させるための
線型化回路、例えば電流2乗フィードバック回路を有す
るものが用いられる。これにより、バイアス電流を流す
ことなく線形化でき、磁気軸受特有の負の剛性も発生し
ない。すなわち、磁気軸受28で負の剛性が発生するの
を回避でき、その負の剛性により静圧気体軸受29の安
定性が損なわれるのを防止できる。また、スピンドル4
が回転したときにそのバイアス電流によって発生するス
ピンドル4内の鉄損を無くすことができ、高速回転が可
能となる。磁気軸受制御手段48には、スピンドル4の
回転数に同期したバンドエリミネートフィルタ52を挿
入しても良い。これにより、スピンドル4の回転時のロ
ータアンバランスによる振れに対して、磁気軸受28の
電磁石からの電磁力は作用しなくなる。前述したよう
に、磁気軸受制御手段48を積分動作で構成した場合に
は高周波域での磁気軸受28の作用力はスピンドル4に
対して、不安定力として働く。スピンドル4の回転時に
はスピンドル4の振れは回転同期成分が主成分となる。
これを選択的に除去することで、スピンドル4を安定し
て回転させることが可能となる。また、磁気軸受制御手
段48は、低速回転時に磁気軸受28の制御ゲインを下
げておき、スピンドル4が所定の回転数以上となったと
きに、前記制御ゲインを所定の値に変化させるようにす
ることが好ましい。このように、ゲインを下げた状態で
磁気軸受28を作動させるようにすることにより、磁気
軸受28を作動した瞬間のスピンドル4への外乱を抑制
することができる。
に示すように磁性体からなるスピンドル4の鍔状のスラ
スト支持部である軸受ロータ4aを軸方向両側から2つ
の静圧磁気複合アキシャル軸受部62,63で挟んで構
成される。各静圧磁気複合アキシャル軸受62,63
は、電磁石のコア64,65内にコイル66,67を収
納し、このコア64,65内に絞り68を設けたもので
あって、スピンドル4の外周にリング状に設けられる。
絞り68は自成絞りであり、コア64,65の軸受面に
開口する先端が微細孔となった給気孔68aと、軸受隙
間d1,d2とで構成される。前記のコア64,65と
コイル66,67とで、アキシャル磁気軸受69の軸受
ステータ72が構成され、コア64,65と絞り68と
でアキシャル静圧気体軸受70が構成される。
流体を噴出させることにより、コア64,65とロータ
4a間に圧力が発生する。また、自成絞り68を設けた
ことによって、コア64,65とロータ4a間の隙間d
1,d2の変動によって、圧力および隙間の間隔が自動
的に変化し、自動調芯機能を有する静圧気体軸受を形成
できる。これにより、ロータ4aを安定浮上させること
ができる。
には、外部にコア64,65とロータ4a間の距離を測
定する変位センサ71を設け、その変位センサ71の測
定値に応じてコイル66,67に流す電流をフィードバ
ック制御する磁気軸受制御手段73を設ける。磁気軸受
制御手段73は、例えばアンプ74を介して電流制御す
る。これにより、静圧気体軸受と磁気軸受とを兼用した
軸受構成が可能となる。この磁気軸受制御手段73は、
ラジアル型の静圧磁気複合軸受23における前記の磁気
軸受制御手段28と同様な機能のものを用いることがで
きる。
静圧気体軸受面の圧力を測定し、この圧力によって静圧
気体軸受70における軸受隙間d、すなわち電磁石のコ
ア64,65とロータ4a間の隙間d(d1,d2)の
大きさを換算して求めてもよい。この隙間dの大きさの
検出結果により、磁気軸受制御手段73でコイル66,
67の電流を制御する。また、アキシャル型の静圧磁気
複合軸受30は、軸受ロータ4aを軸方向両側から2つ
の静圧磁気複合アキシャル軸受部62,63で挟む構成
とする代わりに、軸受ロータ4aの片面側にのみ設け、
磁力による吸引力と静圧とをつり合わせて非接触支持す
るものとしても良い。
ンドル装置において、必ずしも全ての軸受を静圧磁気複
合軸受で構成する必要はない。例えば図2の構成におい
て、アキシャル型の軸受30を磁気軸受としても良い。
また、全てを静圧気体軸受とする場合に比べて、アキシ
ャル方向のみの静剛性を高める必要ある場合は、アキシ
ャル軸受部のみを静圧磁気複合軸受で構成し、ラジアル
方向の軸受支持を静圧気体軸受で構成すればよい。ま
た、ラジアル方向のみの静剛性を高める必要のある場合
は、スピンドル負荷側の端部に静圧磁気複合ラジアル軸
受を配置し、他の軸受支持部を静圧気体軸受で構成して
もよい。
るスピンドル装置と、ワークを保持するワーク保持手段
と、これらスピンドル装置の工具とワーク保持手段に保
持されたワークとを相対的に移動させる送り手段とを備
えた加工機械であって、前記スピンドル装置は、工具を
先端に取付けたスピンドルを、静圧気体軸受と磁気軸受
とが、互いに兼用部分が生じるように複合化された静圧
磁気複合軸受を介して、スピンドル装置本体に回転自在
に設置し、前記スピンドルを回転駆動する駆動源を設け
たものであるため、スピンドルの支持につき、優れた動
剛性および静剛性が得られ、かつ高回転精度が得られ、
高速の加工を精度良く行えるという効果がある。前記ス
ピンドルを、ラジアル軸受とアキシャル軸受とを介して
スピンドル装置本体に設置し、前記ラジアル軸受を前記
静圧磁気複合軸受とした場合は、スピンドルを長くする
ことなく静圧気体軸受と磁気軸受とによる支持を可能と
し、スピンドルのより一層の高速回転を可能とすること
ができる。前記ラジアル軸受となる静圧磁気複合軸受
が、磁気軸受のステータに静圧気体軸受の絞りを設けた
ものである場合は、部品点数が削減されると共に、前記
のスピンドル長の短縮、および静圧気体軸受および磁気
軸受の支持中心点の一致化が容易に実現できる。前記ス
ピンドルの変位を求める変位測定手段として、前記静圧
気体軸受の軸受面の圧力を測定する圧力センサを設け、
この圧力センサの測定値から前記スピンドルの変位を求
めて前記磁気軸受の磁力制御を行う磁気軸受制御手段を
設けた場合は、スピンドルの高精度な変位検出が可能に
なり、静圧気体軸受と磁気軸受の相互干渉の防止を容易
に防止できる。また、前記スピンドルの変位を測定する
変位測定手段を設け、この変位測定手段の測定値に前記
磁気軸受をフィードバック制御する磁気軸受制御手段を
設け、この磁気軸受制御手段は、積分動作または比例積
分動作のみで制御するものであって、所定以上の高周波
に対して制御を行わないものとした場合は、静圧気体軸
受の優れた動的安定性を損ねることなく、磁気軸受は低
周波数域のみの軸受作用力に限定でき、特長である静剛
性の向上が可能となる。この発明の加工機械が円筒研削
盤であり、前記スピンドルの先端に設けられた工具が砥
石であり、前記ワーク保持手段が、ワークを回転させる
機能を有するものである場合は、高度な加工精度を要求
される円筒研削盤において、満足する加工精度を得るこ
とができる。この発明のスピンドル装置は、この発明の
加工機械に用いられるものであって、工具を先端に取付
けたスピンドルを、静圧気体軸受と磁気軸受とが、互い
に兼用部分が生じるように複合化された静圧磁気複合軸
受を介して、スピンドル装置本体に回転自在に設置し、
前記スピンドルを回転駆動する駆動源を設けたものであ
るため、スピンドルの支持につき、優れた動剛性および
静剛性が得られ、かつ高回転精度が得られ、高速の加工
を精度良く行うことができる。
図である。
圧磁気複合軸受の制御系のブロック図とを組み合わせて
示す構成説明図である。
受の拡大縦断面図とその制御系のブロック図とを組み合
わせて示す構成説明図である。
…圧力センサ 3…送り手段 48…磁気軸受
制御手段 4…スピンドル 64,65…ス
テータコア 5…工具台 66…コイル 9…チャック 68…絞り 10…移動台 69…磁気軸
受 22…ハウジング 70…静圧気
体軸受 23…ラジアル型の静圧磁気複合軸受 71…変位セ
ンサ 28…ラジアル磁気軸受 72…軸受ス
テータ 29…ラジアル静圧気体軸受 73…磁気軸
受制御手段 30…アキシャル型の静圧磁気複合軸受 d…軸受隙
間 32…軸受ステータ T…工具 33…ステータコア W…ワーク 34…コイル
Claims (7)
- 【請求項1】 工具を回転させるスピンドル装置と、ワ
ークを保持するワーク保持手段と、これらスピンドル装
置の工具とワーク保持手段に保持されたワークとを相対
的に移動させる送り手段とを備えた加工機械であって、
前記スピンドル装置は、工具を先端に取付けたスピンド
ルを、静圧気体軸受と磁気軸受とが、互いに兼用部分が
生じるように複合化された静圧磁気複合軸受を介して、
スピンドル装置本体に回転自在に設置し、かつ前記スピ
ンドルを回転駆動する駆動源を設けたものとした加工機
械。 - 【請求項2】 前記スピンドルは、ラジアル軸受とアキ
シャル軸受とを介してスピンドル装置本体に設置し、前
記ラジアル軸受を前記静圧磁気複合軸受とした請求項1
記載の加工機械。 - 【請求項3】 前記ラジアル軸受となる静圧磁気複合軸
受は、磁気軸受のステータに静圧気体軸受の絞りを設け
たものである請求項2記載の加工機械。 - 【請求項4】 前記スピンドルの変位を求める変位測定
手段として、前記静圧気体軸受の軸受面の圧力を測定す
る圧力センサを設け、この圧力センサの測定値から前記
スピンドルの変位を求めて前記磁気軸受の磁力制御を行
う磁気軸受制御手段を設けた請求項1ないし請求項3の
いずれかに記載の加工機械。 - 【請求項5】 前記スピンドルの変位を測定する変位測
定手段を設け、この変位測定手段の測定値に前記磁気軸
受をフィードバック制御する磁気軸受制御手段を設け、
この磁気軸受制御手段は、積分動作または比例積分動作
のみで制御するものであって、所定以上の高周波に対し
て制御を行わないものとした請求項1ないし請求項4の
いずれかに記載の加工機械。 - 【請求項6】 前記スピンドルの先端に設けられた工具
が砥石であり、前記ワーク保持手段が、ワークを回転さ
せる機能を有するものであり、円筒研削を行う研削盤と
なる請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の加工機
械。 - 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記
載の加工機械に用いられるスピンドル装置であって、工
具を先端に取付けたスピンドルを、静圧気体軸受と磁気
軸受とが複合化された静圧磁気複合軸受を介して、スピ
ンドル装置本体に回転自在に設置し、前記スピンドルを
回転駆動する駆動源を設けたスピンドル装置。
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