JP2000021635A - スパイラルインダクタおよびそれを用いた集積回路 - Google Patents

スパイラルインダクタおよびそれを用いた集積回路

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JP2000021635A JP18241798A JP18241798A JP2000021635A JP 2000021635 A JP2000021635 A JP 2000021635A JP 18241798 A JP18241798 A JP 18241798A JP 18241798 A JP18241798 A JP 18241798A JP 2000021635 A JP2000021635 A JP 2000021635A
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spiral
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thickness
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Nobuyuki Matsumoto
信之 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波回路用のインダクタを安価な材料で提
供すること。 【解決手段】 絶縁性を有する基板と、帯状導体を平面
的にスパイラル状に巻回したスパイラル配線部とを備
え、スパイラル配線部は、基板に平行に設けられ、か
つ、基板に接触する基板接触部と、基板に対して所定の
間隙を有する配線中空部とからなるスパイラルインダク
タ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スパイラルイン
ダクタおよびそれを用いた集積回路に関し、特に高周波
用電子部品として適用される。
【0002】
【従来の技術】スパイラルインダクタは、高周波用集積
回路(MMIC)において、インピーダンスマッチング
をとるための整合回路に用いられている。スパイラルイ
ンダクタを搭載したMMICは、通常、高抵抗化合物半
導体の基板上に形成されるが、その基板は高絶縁性を示
すことから、高周波領域での使用に適している。図4
は、GaAs基板上に形成される従来のスパイラルイン
ダクの平面図であり、図5は図4のA−A断面図であ
る。これらの図に示されるように上層配線201の部分
は、下層配線202をまたぐ部分204を除いて、基板
203に接触して形成されている。
【0003】一方、シリコンデバイスについては、その
高速化に伴い、高周波回路への適用を模索する動きもあ
る。しかし、スパイラルイダンクタを高周波回路に適用
するには、きわめて高抵抗の基板が必要で、数千Ω・c
m程度の基板抵抗を示すシリコン基板を単に用いるだけ
では、信号損失が大きく使えない。
【0004】信号損失を低減する試みの一つとして、J.
N. Burghartz、他者のインターナショナル・エレクト
ロン・デバイス・ミーティング1996年、テクニカル
ダイジェストp99〜102の“Monolithic Spiral In
ductors Fabricated Using aVLSI Cu-Damascene Interc
onnect Technology and Low-Loss Substrates”には、
図6に示すような構造で、高抵抗シリコン基板上301
上に、6.5μmの厚みのシリコン酸化物302を堆積
させてスパイラルインダクタ303を形成した数GHz
領域まで損失の少ないインダクタンスが記載されてい
る。これは、高抵抗基板301の上にさらに、6.5μ
mという非常に厚いシリコン酸化膜302を形成する必
要があり、プロセスコストの大幅な増加や、プロセス歩
留まりの低下を招く。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】高抵抗シリコン(S
i)基板は、通常800Ω・cm〜10000Ω・cm
の基板抵抗を示すが、この程度の抵抗の基板上に形成さ
れたスパイラルインダクタは、高周波信号損失を生じ、
GaAs等の化合物半導体半絶縁性基板上に形成される
スパイラルインダクタに比べて、その信号損失が大きく
なる。この信号損失の原因は、基板抵抗が数千Ω・cm
と低いため、基板を通じて流れる漏洩電流が発生するこ
とによるものと考えられる。
【0006】図7は、線路幅10μm、線路長720μ
mのスパイラルインダクタを、GaAs基板(基板抵抗
1×107Ω・cm)上に形成したものと、Si基板
(基板抵抗3000Ω・cm)上に形成したものとを用
意し、Sパラメータを測定し、それぞれの最適な等価回
路を元に、等価回路パラメータを算出し、その値から、
真性インダクタ部のQ値を、5GHzまでの周波数領域
で比べた図である。図7の曲線(a),(b)は、それぞ
れGaAs基板上とSi基板上のスパイラルインダクタ
のQ値を示す。
【0007】Q値は、等価回路のインピーダンスの虚数
部係数の実数部係数に対する比率であり、高周波領域で
Q値が大きいほど信号の損失が小さいことを示す。1G
Hzまでの領域では、GaAs基板上もSi基板上も、
ほぼ同じQ値を示すが周波数が高くなるに伴い、Si基
板上のスパイラルインダクタが示すQ値は、GaAs基
板上のものに比べて低くなり、信号損失の大きいことを
示している。
【0008】このように、高抵抗Si基板上に直接スパ
イラルインダクを形成することは、信号の損失を生じる
ので実用に適さない。この発明は、このような事情を考
慮してなされたもので、スパイラルインダクの構造を工
夫することによって、高抵抗Si基板を用いて製作可能
な低コストで、低損質のスパイラルインダクタを提供し
ようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、絶縁性を有
する基板と、帯状導体を平面的にスパイラル状に巻回し
たスパイラル配線部とを備え、スパイラル配線部は、基
板に平行に設けられ、かつ、基板に接触する基板接触部
と、基板に対して所定の間隙を有する配線中空部とから
なるスパイラルインダクタを提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の絶縁性を有する基板に
は、800〜1000Ω・cmの抵抗を有する高抵抗S
i基板やガラス基板のようなGaAs基板よりも基板抵
抗の低いものを用いることができる。
【0011】また、スパイラル配線部は、幅が数十μ
m,長さが数百μmの帯状導体を基板に平行にスパイラ
ル状に数回巻き付けた形状を有し、例えば10μm程度
の厚さを有する。そして、例えば金(Au)とチタンの
2層構造で形成される。基板に接触する基板接触部は、
スパイラル配線部自体の局部を基板方向にU字形に屈曲
させて形成することができる。また、配線中空部の基板
に対する間隙は2μm程度であることが好ましい。
【0012】図8に、GaAs基板上に形成された、従
来構造のスパイラルインダクタの等価回路と、図9にS
i基板上に形成された従来構造のスパイラルインダクタ
の等価回路を示す。Cはキャパシタンス,Lはインダク
タンス,Rは抵抗である。
【0013】Si基板上のスパイラルインダクタの等価
回路は、GaAs上のスパイラルインダクタの等価回路
に、基板抵抗Rsを加えている点で異なる。この抵抗R
sは信号損失回路を等価的に示している。
【0014】Rsは、主に基板とスパイラル配線部との
接触によって形成されており、基板との接触面積を減ら
すことによってその値を大きくすることができる。スパ
イラル配線部の隣り合う線路間の間隔を広げてもRsの
値を大きくすることは可能であるが、それはスパイラル
インダクタ自体のパターン面積を広げることになり、得
策ではない。
【0015】そこで、基板抵抗が10000Ω・cm以
下を示す基板上に設けられたスパイラルインダクタのス
パイラル配線部の線路において、基板と接触する領域の
面積をスパライル配線部の基板対向面積に比べて小さく
することによって、つまり、スパイラル配線部の一部の
みを基板に接触させ他の部分を中空に存在させることに
よって、実質的にRsを大きくすることが可能となる。
【0016】さらに、基板と接触している部分の間隔を
広げて接触部分の数を減らすような配置を行うことによ
って、さらに、Rsを大きくすることが可能になる。ス
パイラルインダクの構成の効果的な条件としては、基板
と接触する面積が、スパイラル配線部の基板対向面積の
1/2以下であるスパイラルインダクタを用いることに
よって、Rsを大きな値にでき、信号損失を低減でき
る。この発明において、基板接触部はスパイラル配線部
を局部的に基板側に屈曲させて形成されてもよい。ま
た、基板接触部は導電性の柱を介して基板に接触しても
よい。
【0017】この発明において、スパイラル配線部は複
数の角を有するスパイラル形状からなり、基板接触部が
角ごとに設けられることが好ましい。つまり、基板と接
触する部分が、スパイラル配線部の曲がる個所におかれ
る構造により、スパイラルインダクタの構造上の強度を
保ち、かつ、信号の低損失化を実現することができる。
また、スパイラル配線部のスパイラル構造は曲線状であ
ってもよい。
【0018】さらに、スパイラル配線部が基板と接触す
る部分の間隔、つまり配線中空部の長さが長くなるほ
ど、信号の低損失化を実現することができる。また、基
板と接触する領域において、2μm以下の薄膜状窒化シ
リコンや酸化シリコン又はそれらの多層膜で基板を覆う
ことにより基板抵抗が増大し、信号の低損失化を実現す
ることができる。
【0019】基板とスパイラル導電板との間隙に低誘電
率の樹脂をスペーサとして挿入することによっても、中
空にすることと同様の効果が得られる。低誘電率の樹脂
としては、ポリイミドやテフロン樹脂などがあげられ
る。中空に比べて容量成分(図9のキャパシタンスC)
が特性に影響を与える可能性があるが、配線強度を増加
させる点で効果がある。
【0020】スパイラル配線部の基板と接触している部
分を小さくすることによる、信号損失の低下は、基板抵
抗が数千Ω・cm(具体的には、800Ω・cm〜10
000Ω・cm)を示すような基板、例えば高抵抗シリ
コン基板において、1GHz以上の周波数で、顕著に認
められる。
【0021】また、この発明の構造を有するスパイラル
インダクタは、基板抵抗が、10000Ω・cm以上に
なると、信号の低損失化の効果は減少し、効果が見られ
る周波数は高くなる。この発明で対象にしているのは、
10GHz程度までの周波数における信号損失の低減で
ある。つまりこの発明に用いる基板が、抵抗が800Ω
・cm〜10000Ω・cmを示すSi基板であると
き、その効果が顕著となる。
【0022】この発明では、基板として、高抵抗シリコ
ン基板を用いることができるが、同程度の基板抵抗を示
す基板、例えば、ガラス基板等を用いても、同じような
信号の低損失化効果が得られる。従って基板はシリコン
基板に限定されるものではない。さらに、この発明のス
パイラルインダクを利用することによって、高性能な高
周波回路やデジタル/高周波混載集積回路を低コストで
提供することができる。
【0023】また、この発明のスパイラルインダクタ
と、伝送線路、キャパシタを同時に作製することによっ
て、高抵抗基板上に、信号の低損失化を実現した高周波
集積回路を実現することができる。
【0024】さらに、高周波動作する能動素子を、高抵
抗基板上に実現されたこの発明のスパイラルインダクタ
を含む低損失な高周波集積回路に搭載することによっ
て、高周波ハイブリッド集積回路を提供できる。また、
あらかじめトランジスタによってデジタル集積回路が構
成されている高抵抗基板上に、この発明のスパイラルイ
ンダクタを含む低損失な高周波集積回路を混載すること
により、デジタル/高周波混載集積回路を提供できる。
【0025】以下、図面に示す実施例に基づいてこの発
明を詳述する。これによって、この発明が限定されるも
のではない。
【0026】〔実施例1〕図1〜図3にこの発明の実施
例1のスパイラルインダクタを示す。図1は平面図,図
2と図3はそれぞれ図1のB−B’,C−C’断面図で
ある。これらの図に示すようにこの発明のスパイラルイ
ンダクタの特徴は、スパイラル配線部100の基板10
8に接触している接触部分101の面積より、基板に接
触せず中空に浮いている中空部分102の面積が多いこ
とである。
【0027】具体的に説明すると、図2と図3に示すよ
うに、基板比抵抗3000Ω・cmのシリコン基板10
3の上に厚さ2000Åのシリコン酸化膜104が形成
され、その上に、上から金(膜厚:0.5μm)、白金
(膜厚:0.1μm)、チタン(膜厚:0.05μm)
を積層して引き出し配線つまり下層配線105が形成さ
れ、その上に厚さ2000Åのシリコン窒化膜106が
形成され、その上に金(膜厚:10μm)、チタン(膜
厚:0.05μm)を積層したスパイラル配線部として
の上層配線107が形成されている。上層配線107
は、中空部102と、基板107への接触部101で構
成されている。中空部102において、上層配線107
と基板108の表面(シリコン窒化膜表面106)との
間隙は2μmに設定されている。
【0028】次に、このスパイラルインダクタの製造方
法について図20の製造工程図を用いて説明する。ま
ず、シリコン基板1401上に、熱酸化によって、厚さ
2000Åのシリコン酸化膜1402を形成する(図2
0(a))。
【0029】この基板上に、レジスト1403を塗布
し、下層配線105に対応する部分のレジストパターン
をフォトリソグラフによって形成し、基板全面に、チタ
ン、白金、金の順番に、それぞれ、膜厚が0.05μ
m、0.1μm、0.5μmになるように電子線蒸着に
より下層配線層1404を形成する(図20(b))。
【0030】蒸着後、レジスト1403をアセトン等の
有機溶剤によって除去し、下層配線1404のパターン
を形成する(図20(c))。引き続き、下層配線14
04が形成された基板にp−CVDによって、SiN膜
1405を形成する。基板温度は300℃で、膜厚20
00Åである。さらに、基板上にレジストを塗布し、線
路が基板から離れる部分に選択的にレジストパターンが
残るようにフォトリソグラフによって、レジスト支柱パ
ターン1406を形成し、200℃の温度で15分間の
熱処理を行う(図20(d))。
【0031】このレジストは、200℃前後の熱処理に
よって、その断面が丸くなるものを選択し、熱処理後の
レジスト厚みが、2μmになるようにする。この厚み
は、1μm以上あれば、信号損失低減は効果的に働く
が、1000〜2000Å程度でも、基板に接触してい
る従来例より信号損失低減効果は見られる。また、この
レジスト厚みを変化させることによって、上層配線と基
板との間隙を容易に変化することが可能である。
【0032】レジスト支柱1406が形成された基板
に、チタン、金の順番で、500Å、1000Åの厚み
になるように電子線蒸着によってメッキ用の給電メタル
1407を形成する(図21(e))。
【0033】給電メタル1407が形成された基板に、
15μm厚みのレジストを塗布し、上層配線のパターン
をフォトリソグフによって形成する。開口部に金めっき
を10μm厚みになるように施し、その後、レジストを
有機溶剤によって除去し、金配線に覆われていない部分
の給電メタル1407である金1000Åを、よう素/
よう化アンモニウムのエタノール溶液でエッチングし、
露出したチタン500Åを、60℃の温度のりん酸でエ
ッチングする。金エッチングの際、上層配線1408を
パターン一部もエッチングを受けるが、全体厚みに対し
ては、わずかであり、配線厚みは10μmとなる(図2
1(f))。
【0034】次に、レジスト支柱パターン1406を、
有機溶剤によって除去する(図21(g))。このよう
にして製作されたスパイラルインダクタは、図2に示す
スパイラル部分の配線について、基板に接触する部分1
01は長さが10μm、中空部分102は長さが30μ
mとなるよう構成される。
【0035】従って、上層配線107の全長の1/4が
基板と接触し、3/4が中空に浮いていることになる。
スパイラル部分の配線の幅は10μmで、全体長は72
0μmあるので、1800μm2(線路全体7200μ
2の25%)が、基板と絶縁膜を介して接触している
ことになり、5400μm2が中空に浮いていることに
なる。
【0036】図10において、この実施例によるスパイ
ラルインダクタのSパラメータから計算されたQ値を曲
線(c)と、比較例としてGaAs基板上に形成した従
来構造のスパイラルインダクタのQ値を示す曲線(a)
とを比較した。図7の曲線(b)で示されるシリコン基
板上の従来構造のスパイラルインダクタに比べて高周波
側でのQ値の低減が改善されて損失が小さくなり、大き
な効果が得られている。
【0037】一方、Si基板の代わりにGaAs基板を
用いて、本発明構造のスパイラルインダクタのQ値と、
従来構造のスパイラルインダクタのQ値とを比較した場
合、その差はほとんど見られず、この発明のスパイラル
インダクタ構造はGaAs基板では効果がないことが示
された。
【0038】また、図21において、レジスト支柱14
06は上層配線1408の形成後に除去され、上層配線
1408を中空にしているが、このレジストのかわり
に、ポリイミドやテフロン樹脂等の誘電率の低い樹脂を
支柱とし、上層配線1408の下に敷くことによって、
基板との接触面積を低減することができ、配線の機械的
強度が補強される。
【0039】実施例1では、図2に示すようにシリコン
基板103上にシリコン酸化膜104とシリコン窒化膜
106を形成した上でスパイラルインダクタを形成する
が、これらの絶縁膜の存在は基板抵抗を増大するので、
信号損失の低減に効果がある。
【0040】図18は、実施例1に用いる基板抵抗30
00Ω・cmのシリコン基板上に形成するシリコン酸化
膜とシリコン窒化膜について、その絶縁膜の厚みとQ値
との関係を3GHzにおいて示している。この図から絶
縁膜の存在がQ値を増加させ、信号損失の低減効果があ
ることが判る。また、絶縁膜厚みを2μm以上にしても
Q値の値に変化は見られず、信号損失の程度に影響がな
いことも示している。絶縁膜を形成することによる製造
コストの増加を考えると、2μm以下の膜厚で絶縁膜を
形成することが望ましい。
【0041】〔実施例2〕図11はこの発明の実施例2
の構成を示す上面図、図12は図11のD−D’断面図
である。この実施例では、上層配線700は直角に折れ
曲がるスパイラル形状を有し、その角の部分に基板との
接触部701を配置したことを特徴とする。
【0042】この実施例のスパイラルインダクタは、図
12に示すように基板比抵抗3000Ω・cmのシリコ
ン基板702の上に厚さ2000Åのシリコン酸化膜7
03が形成され、その上に、上から金(膜厚:0.5μ
m)、白金(膜厚:0.1μm)、チタン(膜厚:0.
05μm)の層からなる下層配線704が形成され、さ
らにその上に2000Åの厚さのシリコン窒化膜705
が形成され、その上に金(膜厚:10μm)とチタン
(膜厚:0.05μm)の層からなり中空部706と接
触部701を有する上層配線700が形成されている。
【0043】上層配線700のスパイラル線路の幅は1
0μmで、線路長は702μmである。中空部706と
基板表面(シリコン窒化膜705表面)との間隙は2μ
mである。それぞれの接触部701が、スパイラルイン
ダクタの角部分に存在するので、基板との接触面積が非
常に小さくなる。この実施例では、基板と接触している
部分の面積が、1200μm2(線路全体の16.7
%)で、実施例1よりさらに信号損失が小さくなる。こ
れを図13に示すようにSパラメータの測定によって確
認した。
【0044】図13において、曲線(d)は実施例2に
おけるスパライルインダクタのQ値を示し、曲線(a)
はGaAs基板上に形成された従来構造のスパイラルイ
ンダクタのQ値(比較例)を示している。図10に比べ
て、Q値は、さらに高周波側まで改善されている。
【0045】〔実施例3〕図14と図15は、この発明
における実施例3の構成を示す平面図と、図14のE−
E’断面図をそれぞれ示す。この実施例では、上層配線
900の線路を角のない螺旋状形状とし、金属支柱90
1により線路を基板107から持ち上げたものである。
複数の支柱901は、上層配線900の螺旋の中心に対
してほぼ十字状に配列されているので、上層配線900
の強度が向上する。なお、この実施例のスパイラルイン
ダクタは、螺旋状で説明したが、螺旋に近い状態の多角
形、即ち、五角形、六角形や、八角形等の多角形でも同
様の効果が得られる。この実施例では、接触面積を小さ
くできると共に配線が基板から離れて存在することによ
る強度不足を支柱902の配置によって補っている。
【0046】この実施例のスパイラルインダクタにおい
ては、図15に示すように基板比抵抗3000Ω・cm
のシリコン基板903の上に厚さ2000Åのシリコン
酸化膜904が形成され、その上に、上から金(膜厚:
0.5μm)、白金(膜厚:0.1μm)、チタン(膜
厚:0.05μm)との層からなる下層配線902が形
成され、その上に2000Åの厚みのシリコン窒化膜9
05が形成され、金(膜厚:10μm)とチタン(膜
厚:0.05μm)の層からなる上層配線906が形成
されている。
【0047】金属支柱901は、上から金(膜厚:1.
95μm)、チタン(膜厚:0.05μm)の層からな
る多層金属構造で、支柱の高さは2μmである。上層配
線900の線路長は、720μmで線路幅は10μmで
あり、支柱部分の基板接触面積は864μm2(線路全
体の12%相当)である。
【0048】次に、この実施例のスパイラルインダクタ
の製造工程を図22を用いて説明する。まず、シリコン
基板1503上に熱酸化膜1501(厚さ2000Å)
を形成し、任意の形状の下層配線を形成し、その上にp
−CVDシリコン窒化膜1502(厚さ2000Å)を
形成し、その上にレジスト1504を塗布し、金属支柱
1505のパターンをフォトリソグラフによって形成す
る。金属支柱用の金属として、チタン、白金、金を、こ
の順番に、0.1μm、0.1μm、1.8μmの厚さ
で蒸着し(図22(a))、有機溶剤でレジスト150
4を除去し、金属支柱1505を残す。蒸着の際に、蒸
着する膜厚を変えることによって容易に、金属支柱15
05の高さを変化することができる。
【0049】金属支柱1505が形成された基板に、下
地用レジスト1506を塗布し金属支柱1505をカバ
ーする。その後、酸素を用いたリアクティブイオンエッ
チング等を用いてレジスト1506層をエッチングバッ
クし、金属支柱1505を露出させる。その上に、メッ
キ用の給電メタル1507として、チタン、金をこの順
番で、それぞれ500Åと1000Åの厚みになるよう
に蒸着する(図22(b))。
【0050】給電メタル1507の形成された基板上
に、15μmの厚みのレジスト1508を塗布し、フォ
トリソグラフによって上層配線1509のパターンを形
成する。形成された開口部に電界メッキを行い、金を9
μmの厚みだけ析出させる(図22(c))。
【0051】有機溶剤によってメッキ用レジスト150
8を除去し、よう素/よう化アンモニウムのエタノール
溶液によって、給電メタル1507の金をエッチング
し、チタンを露出させる。60℃の温度のりん酸によっ
て、チタンをエッチングし、下地レジスト1506を有
機溶剤によって除去する(図22(d))。このように
して、実施例3のスパイラルインダクタが得られる。
【0052】この実施例のスパイラルインダクタを、S
パラメータの測定によって計算されたQ値から評価する
と、図16の曲線(e)に示すように、4GHz程度ま
で、GaAs基板のQ値(曲線(a)と同程度となり信
号損失が十分に抑制されている。
【0053】〔実施例4〕図17は、この発明の実施例
4の構成を示す平面図である。スパイラル配線部、つま
り上層配線1103の線路を、角のない螺旋形状とし金
属支柱1102により基板1100から離して持ち上げ
たものである。各支柱は、基板上で互いにできるだけ離
れるように配置されている。従って、この線路に信号を
通じると、基板を通じて流れる漏洩信号は、支柱が接近
している場合に比べて小さくなる。また、互い違いに配
置された支柱によって線路を安定に保持でき、強度を向
上させる利点もある。
【0054】この実施例のスパイラルインダクタは、基
板比抵抗800Ω・cmの高抵抗シリコン基板の上に厚
さ2000Åのシリコン酸化膜が形成され、その上に、
上から金(膜厚:0.5μm)、白金(膜厚:0.1μ
m)、チタン(膜厚:0.05μm)の層からなる下層
配線1101が形成され、その上に2000Åの厚みの
シリコン窒化膜が形成され、その上から金(膜厚:10
μm)、チタン(膜厚:0.05μm)の層からなる上
層配線が形成されている。
【0055】金属支柱1102は、高さが2μmで、上
から金(膜厚:1.95μm)、チタン(膜厚:0.0
5μm)の層からなる多層金属構造である。線路長は、
720μmで線路幅は10μmであり、支柱部分の基板
接触面積は、864μm2(線路全体の12%相当)で
ある。なお、製造工程は実施例3と同等であるので説明
を省略する。
【0056】この実施例のスパイラルインダクタについ
て測定されたSパラメータから等価回路パラメータをフ
ィッティングによって求め、算出したQ値を図16の曲
線(f)に示す。図16はSi基板の抵抗が、実施例3
の基板より低いにも関わらず、実施例3と同等のQ値が
得られ、この実施例の金属支柱の配置が、信号損失の低
減に対して効果があることを示している。
【0057】なお、この発明に基づいて構成されたスパ
イラルインダクタにおいても、基板と接触する部分が、
インダクタの線路全体に対して大きな割合をしめていれ
ば、損失低減の効果は認められなくなる。図19は、ス
パイラル配線部の基板接触面積が基板対向面積に占める
割合Rと、Q値との関係を示す。図19より、基板接触
面積が基板対向面積の50%以上の場合には、Q値の向
上は認められず信号損失を防ぐ効果が充分でないことが
判る。
【0058】〔実施例5〕図23はこの発明の実施例5
の構成を示す平面図であり、高抵抗シリコン基板160
4上に作製されたスパイラルインダクタ1605、キャ
パシタ1601、伝送線路1602を備え、コプレーナ
線路を用いた高周波集積回路を示す。コプレーナ線路
は、信号線路を囲むようにグランドライン1603が配
置された構造で、高抵抗シリコン基板1604上の高周
波回路網に適する。
【0059】図23に示す伝送線路1602は、スパイ
ラルインダクタ1605と同様に近接信号線路において
基板を通じて信号を損失するので、グランドライン16
03との距離Lを数十μm〜100μm(望ましくは、
40μm以上)あけることによって、信号の損失を小さ
くすることができる。
【0060】また、伝送線路においても、伝送線路が基
板に接触する面積を小さくすることで、信号の損失を小
さくできる。図23に示すように基板から離れている部
分1606を有する配線は、実施例1〜4に示す方法
で、基板から離れるように空中に配線されたものであ
る。キャパシタ1601の形成は、メタルとメタルの間
に挟まれた絶縁膜によって形成することが可能で、信号
線路とグランドライン1603との距離Lを、数十μm
〜100μm(望ましくは、40μm以上)だけあける
ことによって、信号の損失を小さくすることができる。
【0061】この高周波集積回路を製造する方法は、実
施例1で述べた方法を用い、下層配線1608を形成す
る際に、キャパシタ1601の下部電極にあたる部分の
パターンを形成し、上層配線形成の際に、伝送線路16
02と、キャパシタ1601の上部電極を形成すれば、
工程の増加をせずに、高周波回路を製造できる。
【0062】高周波集積回路の別の形態において、高周
波用のFETやトランジスタを別途用意し、図23に示
す集積回路上に実装する。この方法では、価格の高いG
aAs等のトランジスタを最小限の寸法にすることが可
能であり、その上、設置面積の必要なキャパシタ160
1やスパイラルインダクタ1605を、化合物半導体に
比べて安価な高抵抗シリコン等の高抵抗基板によって製
作することができるので、チップ価格が低くなり、製造
コストの低減に効果がある。
【0063】また、基板に高抵抗シリコンを用いる場
合、高周波集積回路だけでなく、シリコンのトランジス
タで構成されたデジタル回路を通常のシリコン半導体プ
ロセスで形成することが可能であり、デジタル回路と高
周波集積回路とを混載した半導体素子が実現できる。G
aAs等の高周波特性の優れるトランジスタをこの混載
半導体素子に実装することによって、低コスト化のメリ
ットだけでなく、通信用の高周波集積回路と、その信号
を処理するデジタル集積回路との混載が、特性を劣化さ
せることなく実現される。
【0064】
【発明の効果】この発明によれば、スパイラルインダク
タから基板を通じて漏洩する電流が低減されるので、ス
パイラルインダクタの信号損失が小さくなり、高周波回
路用の低損失スパイラルインダクタが安価に提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1によるスパイラルインダク
タの構成を示す平図面である。
【図2】図1のB−B’断面図である。
【図3】図1のC−C’断面図である。
【図4】スパイラルインダクタの従来例の構成を示す平
図面である。
【図5】図4のA−A’断面図である。
【図6】スパイラルインダクタの他の従来例の断面図で
ある。
【図7】GaAs基板上と高抵抗Si基板上にそれぞれ
形成されたスパイラルインダクタのQ値の比較を示すグ
ラフである。
【図8】GaAs基板上のスパイラルインダクタの等価
回路図である。
【図9】Si基板上のスパイラルインダクタの等価回路
図である。
【図10】実施例1によって形成されたスパイラルイン
ダクタの周波数とQ値との関係を示すグラフ。
【図11】この発明の実施例2のスパイラルインダクタ
の構成を示す平面図である。
【図12】図11のD−D’断面図である。
【図13】この発明の実施例2のスパイラルインダクの
周波数とQ値との関係を示すグラフである。
【図14】この発明の実施例3のスパイラルインダクタ
の構成を示す平面図である。
【図15】図14のE−E’断面図である。
【図16】この発明の実施例3と実施例4のスパイラル
インダクタの周波数とQ値との関係を示すグラフであ
る。
【図17】この発明の実施例4のスパイラルインダクタ
の構成を示す平面図である。
【図18】この発明における基板上の絶縁膜の厚みとス
パイラルインダクタのQ値との関係を示すグラフであ
る。
【図19】この発明におけるスパイラルインダクタの線
路面積と基板接触面積の割合に対するQ値の関係を示す
グラフである。
【図20】この発明の実施例1のスパイラルインダクタ
の製造工程を示す工程図である。
【図21】この発明の実施例1のスパイラルインダクタ
の製造工程を示す工程図である。
【図22】この発明の実施例3のスパイラルインダクタ
の製造工程を示す工程図である。
【図23】この発明の実施例5の高周波集積回路の構成
を示す平面図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性を有する基板と、帯状導体を平面
    的にスパイラル状に巻回したスパイラル配線部とを備
    え、スパイラル配線部は、基板に平行に設けられ、か
    つ、基板に接触する基板接触部と、基板に対して所定の
    間隙を有する配線中空部とからなるスパイラルインダク
    タ。
  2. 【請求項2】 基板接触部は、スパイラル配線部を局部
    的に基板側に屈曲させて形成されてなる請求項1記載の
    スパイラルインダクタ。
  3. 【請求項3】 基板接触部は、導電性の柱を介して基板
    に接触する請求項1記載のスパイラルインダクタ。
  4. 【請求項4】 スパイラル配線部は、複数の角を有する
    スパイラル形状からなり、基板接触部が角ごとに設けら
    れてなる請求項1記載のスパイラルインダクタ。
  5. 【請求項5】 基板接触部は、接触面積がスパイラル配
    線部の基板対向面積の1/2以下である請求項1記載の
    スパイラルインダクタ。
  6. 【請求項6】 基板は、その表面が窒化シリコン膜と酸
    化シリコン膜の少なくとも一方で覆われてなる請求項1
    記載のスパイラルインダクタ。
  7. 【請求項7】 配線中空部において基板とスパイラル配
    線部との間隙に挿入される絶縁性スペーサをさらに備え
    てなる請求項1記載のスパイラルインダクタ。
  8. 【請求項8】 基板がシリコン基板からなる請求項1記
    載のスパイラルインダクタ。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のスパイラルインダクタ
    と、スパイラルインダクタの基板上に設けられた伝送線
    路と、キャパシタンスとを備えてなる集積回路。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009105462A (ja) * 2009-02-13 2009-05-14 Seiko Epson Corp 半導体装置の製造方法
US7948055B2 (en) 2006-08-31 2011-05-24 United Microelectronics Corp. Inductor formed on semiconductor substrate
JP2014143411A (ja) * 2012-12-27 2014-08-07 Tdk Corp 巻線部品
US11800635B2 (en) 2020-04-20 2023-10-24 Murata Manufacturing Co., Ltd. Integrated passive component

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