JP2000021417A - 電極用活物質保持基板およびその製造方法、並びにその基板を用いたアルカリ二次電池の陽極 - Google Patents

電極用活物質保持基板およびその製造方法、並びにその基板を用いたアルカリ二次電池の陽極

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JP2000021417A
JP2000021417A JP10189496A JP18949698A JP2000021417A JP 2000021417 A JP2000021417 A JP 2000021417A JP 10189496 A JP10189496 A JP 10189496A JP 18949698 A JP18949698 A JP 18949698A JP 2000021417 A JP2000021417 A JP 2000021417A
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Koji Hoshino
孝二 星野
Yoshiyuki Mayuzumi
良享 黛
Saburo Wakita
三郎 脇田
Hirochika Ueno
博規 上野
Kazuhiko Tabei
和彦 田部井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ二次電池の陽極に使用される多孔質
焼結金属板と補強用金属板とを貼合わせて構成される活
物質保持基板において、多孔質焼結金属と補強用金属板
との接合強度が高く、また、焼結時に剥離し難くする。 【解決手段】 金属粉末に発泡剤を混合してなる金属ス
ラリーをキャリヤシート上に薄く敷いてグリーンシート
を形成し、該グリーンシートをキャリヤシートにのせた
まま発泡することで、その発泡シートのキャリヤシート
側に平坦面を形成し、該発泡シートを焼結してできた焼
結体を、該焼結体の骨格21の一部の平坦な側面22で
構成される面を前記補強用金属板に重ね合わせて拡散接
合することにより、前記焼結体を前記多孔質焼結金属板
として補強用金属板と接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質焼結金属板
と補強用金属板とが一体化されて構成される二次電池の
電極用活物質保持基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ニッケルー水素電池等のアルカリ二次電
池は、近年、ハイブリッド車のバッテリーにおいて使用
されるようになったことなどから、注目を集めている。
ニッケルー水素電池等の陽極としては、通常、水酸化ニ
ッケルを主成分とする活物質を含むニッケル電極が用い
られる。
【0003】そのニッケル電極の製造方法としては、大
きく分けて、焼結式のものと非焼結式のものとがある。
焼結式の製造方法は、通常、補強用金属板を用いるため
導電性と熱伝導性が良好であるという長所を有するのに
対し、非焼結式の製造方法は、導電性があるニッケル発
泡体等の基体に、導電性がない水酸化ニッケルを主成分
とする活物質を保持するという方式をとるため、該活物
質の充填密度を大きくできるという長所を有する。
【0004】これら焼結式と非焼結式の製造方法の両方
の長所を備えたものとして、例えば特開平8−1069
06号に示されているように、活物質を保持するニッケ
ル発泡体等の基体と該基体の補強のための補強用金属板
とを一体として焼結して成形した活物質保持基体を用い
る方法がある。この方法で製造された活物質保持基体で
は、活物質を多く保持することができるため、該保持基
体を用いた電池はその容量が大きく、また、通電性がよ
いため大きな電流を流すことができるという特徴を有す
る。
【0005】上述のようなニッケル発泡体等の基体と補
強用金属板とを一体として焼結して成形した活物質の保
持基体(以下、一体式活物質保持基板という。)の従来
の製造方法を示す。該製造方法は、(1)発泡性樹脂を
混練し、発泡樹脂柱を成形する工程、(2)該発泡樹脂
柱をスライスして薄膜を形成する工程、(3)補強用金
属板を芯材として該薄膜を該補強用金属板の片面あるい
は両面に接着剤で張り付け、ニッケル粉末含有溶液を塗
布した後、該発泡性樹脂、接着剤、等を焼成し熱分解除
去する工程、(4)該薄膜を焼結する工程、(5)該薄
膜の表面の酸化物を除去する工程、を基本的な製造手順
としている。このような方法によって製造された一体式
活物質保持基板では、活物質の充填密度を大きくし、ま
た、大きな電流を流すことが可能である。尚、通常電極
の製造は、該活物質保持基体に、活物質のスラリーを充
填した後、その充填された基体を乾燥し、さらに圧延し
て、緻密化することが行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な方法で製造された一体式活物質保持基板において、ニ
ッケル発泡体は、発泡樹脂柱をスライスして形成した発
泡性樹脂の薄膜の表面にニッケル粉末含有溶液を塗布し
て焼成されたものであるため、図8(a)、(b)に示
されているように、その表面はニッケル骨格31が突き
出た突起32で構成されている。また、ニッケル発泡体
が発泡性樹脂の表面にニッケル粉末含有溶液を塗布して
焼成されるものであるため、発泡性樹脂が占有していた
部分が焼成により中空となり、図8(b)において模式
的に示しているように、ニッケル骨格31はその内部に
中空部36を有している。そのため、補強用金属板33
の表面と接合されるのは、内部が中空の突起32の先端
32aであるため、ニッケル発泡体35と補強用金属板
33の間の接合強度は低い。また、このような表面を持
つニッケル発泡体では、ニッケル骨格間に広がる空隙の
表面側の開口部は、その内部の径の大きさが変わらない
ので、内部に一旦保持した活物質は容易に脱落し、活物
質の保持性は良くない。
【0007】さらに、前記焼結の際、補強用金属板33
の熱伸縮によるサイズの変化は無視できる程度なのに対
して、ニッケル発泡体35は大きく収縮する。このた
め、焼結時に、ニッケル発泡体35に割れがはいった
り、補強用金属板33にしわがよったりして、ニッケル
発泡体35が補強用金属板33から剥離し易いという問
題があった。
【0008】本発明は上記状況に鑑みてなされたもの
で、ニッケル発泡体等の多孔質焼結金属板と補強用金属
板とを貼合わせて構成される電極用活物質保持基板の製
造方法において、多孔質焼結金属板と補強用金属板との
間の接合強度が高く、焼結時に多孔質焼結金属板に割れ
はいったり、補強用金属板にしわが発生したりせず、補
強用金属板から多孔質焼結金属板が剥離し難い、一体式
活物質保持基板を製造する方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の製造方法は、多孔質焼結金属板と補強用金属板
とを貼合わせて構成される電極用活物質保持基板の製造
方法において、金属粉末に発泡剤を混合してなる金属ス
ラリーからキャリヤシート上に薄く敷いてグリーンシー
トを形成し、該グリーンシートをキャリヤシートにのせ
たまま発泡し、その発泡シートをキャリヤシートから剥
離して焼結した後、該焼結体のキャリヤシート側の面を
補強用金属板に重ね合わせて、荷重をかけて熱処理し、
拡散接合することにより前記焼結体を前記多孔質焼結金
属板として、補強用金属板と接合することを特徴とする
ものである。ここで、焼結体は、金属スラリーを発泡さ
せて形成されるので、金属の骨格からなるが、その骨格
は中実状になり、従って、補強用金属板との接合部も面
接触となり、点接触である従来タイプのものに比べて、
接合強度が高く剥離しにくい。また、発泡シートだけ予
め焼結を行い焼結体とすることで、この焼結後に行う拡
散接合の際の該焼結体の熱伸縮を小さくすることができ
る。従って、焼結体と、本来熱伸縮の小さい補強用金属
板との間の熱伸縮差が小さくなり、該補強用金属板から
の焼結体の剥離を防止することができる。さらに、この
ような工程で製造される焼結体において、補強用金属板
に重ね合わせる側の面の最表面は発泡時にキャリヤシー
トに接していた面であるので金属の骨格の一部の平坦な
側面で構成され、その平坦面が補強用金属板に重ね合わ
されて接合するので、その接合強度が高い。
【0010】また、このような製造方法において、前記
発泡が温度15〜65℃で1〜60分間行われる場合、
焼結体の補強用金属板に接合されない露出側の表面にお
いて、その金属の骨格間に拡がる空隙の表面側の開口部
は、該空隙の内部に比して窄まった形状を有しているた
め、一度内部に収蔵された活物質はその後脱落しにくい
という利点がある。
【0011】また、補強用金属板が、孔あきの金属板材
であれば、拡散接合時に金属骨格が孔を通して裏側の面
に回り込み、活物質保持基板と補強用金属板との接合が
強くなる。
【0012】本発明の製造方法により製造した活物質保
持基板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充填し
てなるアルカリ二次電池の陽極は、補強用金属板を有
し、該補強用金属板と多孔質焼結金属板との接合強度も
高いので、大電流に耐えることができ、また、耐久性や
活物質の保持性に優れている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電極用活物質
保持基板の製造方法の好適な実施の形態を図面を参照し
て詳細に説明する。
【0014】図1は、一体式の電極用活物質保持基板の
製造工程の概略を示す。まず、金属粉末、バインダー、
可塑剤等を溶媒に混合して、金属スラリーを作成する。
例えば、平均粒径2μmのニッケル粉末300g、バイ
ンダー兼増粘剤として水溶性メチルセルロース10g、
可塑剤としてグリセリン10g、溶媒として水180g
からなる配合組成を有するスラリーとし、該スラリーを
一昼夜混練した後、真空脱泡しながら、界面活性剤とし
てドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの(50%)
水溶液を20g混合し、続いて発泡剤としてヘキサンを
10g加えた金属スラリー1を作る。
【0015】次に該金属スラリー1を、公知のドクター
ブレード法により、図1(1)に示すように、キャリヤ
シート12上にシート状に成形して、グリーンシート2
を作る。この場合、例えば、ブレードギャップを0.3
mm、送り速度100mm/分という条件にする。この
とき、金属スラリー1がキャリヤシート12上に垂らさ
れて薄く広がったグリーンシート2において、金属スラ
リー1はキャリヤシート12の表面12aに平行に隙間
なく広がっているので、グリーンシート2のキャリヤシ
ート12に接触している面(以下、うら面という。一
方、キャリヤシート12に接触しない露出側の面をおも
て面という。)は、キャリヤシート12の表面12aと
同程度の平坦性を有する。
【0016】次に、グリーンシート2をキャリヤシート
12にのせたまま、例えば、湿度90%、温度40℃の
高湿度雰囲気で、15分間保持して発泡を行い、図1
(2)に示すように、発泡シート3を作る。この発泡の
工程を高湿度に保って行うのは、グリーンシートが乾い
てから発泡すると割れが入りやすくなるからである。ヘ
キサンは、水よりも大きい蒸気圧を有するので、容易に
気化してガスとなり、微細で整寸の気泡が多数発生し、
多孔質の発泡シート3ができる。
【0017】該発泡シート3は、図2に示されているよ
うに、空隙25と骨格21とからなる。発泡工程は、キ
ャリヤシート12の平坦な表面12a上で行われている
ので、発泡シート3のうら面3aでキャリヤシート12
の表面12aに実際に接触する、前記骨格21の側面2
2は、図3に示されているように、キャリヤシート12
の表面12aと同程度の平坦性を有している。
【0018】一方、発泡シート3のおもて面の構造は、
次のような特色を持つ。発泡処理の工程において、グリ
ーンシート2の内部に発生した気泡は、全方向からほぼ
等価な圧力を受けて略球状の形状で成長する。該気泡が
内部から拡散してグリーンシート2と大気の界面に近づ
くと、気泡は、気泡と大気の間のスラリーの厚さが薄い
部分へと成長していき、やがて気泡は破れ、気泡内部の
気体はできた小さな穴から大気中へ拡散していく。上述
の発泡条件では、発泡シート3のおもて面3bにおい
て、空隙25の表面側の開口部25aは、図4に示され
ているように、その内部25bに比して窄まった形状を
有するという特徴を持っている。
【0019】次に、この発泡シート3は、遠赤外線を用
いて、雰囲気温度60℃で15分間保持して乾燥を行
う。さらに、大気雰囲気中で、600℃で15分間加熱
して、脱脂する。このとき、バインダー等は揮発され
る。
【0020】それから、この発泡シート3を5%水素含
有窒素中で(800〜950)℃の比較的低温域、例え
ば、900℃で20分間保持して焼結を行い、図1
(3)に示すような、焼結体4を作る。このとき、焼結
体4のうら面4aの、キャリヤシート12の表面12a
と直接接触している骨格21の側面22は、図3に示さ
れているように、発泡シート3と同様に、キャリヤシー
ト12の表面12aと同程度の平坦性を保っている。ま
た、そのため、焼結体のうら面は補強用金属板との接合
に適している。一方、焼結体4のおもて面4bでは、図
4に示されているように、空隙25の表面側の開口部2
5aが、その内部25bに比して窄まった形状を有する
という特徴を保っている。
【0021】それから、図1(4)に示すように、該焼
結体4のキャリヤシート12に接触していた面4aを補
強用金属板5に重ね合わせて一体の基体6とする。この
とき、補強用金属板5としては、例えば、表面にニッケ
ルがめっきされた厚さ50μmの孔あきのものを用い
る。この基体6の上に、図1(5)に示すように、酸化
アルミニウム等でできた重し7をのせて、例えば、1平
方cmあたり5〜10g重の荷重で図1(6)に示す状
態とし、それらを5%水素含有窒素中で1000〜12
00℃の高温域、例えば、1000℃で10分間保持す
ることで拡散接合を施す。こうして、焼結体は多孔質焼
結金属板8とされて、補強用金属板5に接合され、図1
(7)に示すような一体式の電極用活物質保持基板9が
できあがる。
【0022】このようにしてできた電極用活物質保持基
板は、焼結体の平坦な表面を補強用金属板に重ね合わせ
てできているため接合強度が高く、また、補強用金属板
に接合しない露出側の面は、活物質の保持に優れた構造
を有している。
【0023】尚、上述したような実施例における補強用
金属板は、鉄板にニッケルをめっきしたもので厚さ50
μmの孔あき金属板材である。また、図1(4)の補強
用金属板5に示されているトラックAは、電池の幅を示
し、この図における補強用金属板5では、電池2個分の
トラックを有している。焼結体4は、各トラックAの部
分を覆うように重ねられる。この補強用金属板5は、基
板9全体の補強および導電性の向上を目的として用いら
れるものであるから、これらの機能を発揮し得るもので
あれば、別の材質および異なる開口率の金属板材を使用
することも可能である。
【0024】なお、焼結前の発泡シートを補強用金属板
に直接形成する特開平8−291304号に記載の製造
方法では、焼結を行う前の発泡シートは強度が低く脆弱
なため、焼結の際に該発泡シートが補強用金属板の重み
で潰れ易く、長尺による連続焼結を行うことは困難であ
るが、本発明に係る製造方法の場合、接合前に一旦焼結
を行うことで前記発泡シートは焼結されることで強度が
強くなり、長尺による連続焼結を行うことが可能にな
る。従って、本発明の製造方法は量産化に適しており、
大量生産による製造コストの削減が可能になる。
【0025】図5および図6は、前述の活物質保持基板
を量産する場合の接合工程を模式的に示したものであ
る。図5は、ロール状に巻かれている補強用金属板5を
巻戻しながら、その巻戻された部分の補強用金属板5の
両面に、図1(3)において示した焼結体4を貼合わせ
た後、荷重ベルト10で押圧しながら焼結炉11を通し
て拡散接合を行い接合するという工程を連続的に行う接
合工程の例を示している。図6は、焼結体をロール化し
た場合で、焼結体4と補強用金属板5を同じ速度で巻戻
しながら、図5の場合と同様に、補強用金属板5の両面
に貼合わせ、荷重ベルト10で押圧しながら焼結炉11
を通して拡散接合を行い接合する。このような工程によ
り、活物質保持基板を量産することが可能になる。
【0026】
【実験例】本発明に係る方法により製造された活物質保
持基板と従来法(特開平8−106906号)による活
物質保持基板について、多孔質焼結金属板と補強用金属
板との間の剥離に対する強さを以下のような方法で調べ
て比較した。まず、実験用サンプルとして、補強用金属
板に重ねられた多孔質焼結金属板の上にさらにもう1枚
の補強用金属板を重ね、その補強用金属板の上に重しを
のせて荷重をかけた状態で拡散接合することにより、多
孔質焼結金属板と補強用金属板とを接合したものを用い
た。このサンプルの2枚の補強用金属板の端を互いに反
対方向に引っ張り、いずれかの補強用金属板が多孔質焼
結金属板から剥離したときの接合強度を調べた。図7
は、いろいろな拡散接合条件で作製したサンプルに対す
る接合強度を示すグラフである。ここで、接合荷重とは
前記重しの重さを接合面積で除した値を、また、接合強
度とは引っ張り力を接合面積で除した値を指す。
【0027】サンプルとしては、5%水素含有窒素中で
1100℃で30分間(図7中の●あるいは○)、11
00℃で10分間(図9中の▲あるいは△)、1000
℃で10分間(図9中の■あるいは□)保持したものの
それぞれに対して、接合荷重が1.4g重/cm2
2.6g重/cm2、5.2g重/cm2で接合したもの
9種類を用いた。ここで、●、▲、■は本実施例の場
合、また、○、△、□は従来例の場合である。図7か
ら、いずれの条件で作成したサンプルの場合に対して
も、本実施例による多孔質焼結金属板を用いた場合の方
が従来例の多孔質焼結金属板を用いた場合より、少なく
とも2倍以上接合強度が高いことがわかる。
【0028】この接合強度の差は、以下に説明するよう
に、実際の電極用活物質保持基板においては、さらに大
きい。従来法により作製された多孔質焼結金属板の場
合、おもて面とうら面との構造の違いはないので、本実
験で得られた接合強度を、そのまま実際の電極用活物質
保持基板における多孔質焼結金属板と補強用金属板との
間の接合強度として評価できる。一方、本発明による製
造方法により作製された多孔質焼結金属板の場合は、前
記うら面は平坦であるのに対して、前記おもて面はうら
面のような平坦性を有していないという違いがあるた
め、多孔質焼結金属板のうら面に接合した補強用金属板
の方が、おもて面に接合した補強用金属板よりも、接合
強度が高い。そのため、本引っ張り実験では、多孔質焼
結金属板のおもて面に接合された補強用金属板が常に剥
離する。すなわち、本実験で得られた接合強度とは、多
孔質焼結金属板のおもて面と補強用金属板との接合強度
である。しかし、実際の活物質保持基板では、多孔質焼
結金属板のうら面に補強用金属板を接合されているのだ
から、実際の電極用活物質保持基板の場合の接合強度
は、本実験で得られた値よりも大きいことは明らかであ
る。こうして、本発明の製造方法により製造した活物質
保持基板における多孔質焼結金属板と補強用金属板との
間の接合強度は、従来法により製造した活物質保持基板
に比べて、本実験で得られた差よりさらに顕著な差で高
いことがわかった。
【0029】以上、本引っ張り実験により、本発明の製
造方法により製造した活物質保持基板は、従来法で製造
した場合に比して、多孔質焼結金属板が補強用金属板か
ら剥離し難いということが確認できた。
【0030】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る電極用活物質保持基板の製造方法および製造された活
物質保持基板によれば、以下に記載されるような効果を
奏する。
【0031】(1)多孔質焼結金属板のうら面は平坦な
ので、補強用金属板との接合強度が高く剥離し難い。 (2)多孔質焼結金属板のおもて面は、骨格の間に広が
った空隙の表面近傍の開口部では、その入口部がその内
部に比して窄まった形状を有するため、活物質の保持性
に優れている。 (3)補強用金属板に孔あきの金属板材を用いれば、多
孔質焼結金属板と補強用金属板との接合強度はさらに高
くなる。 (4)焼結体は、金属スラリーを発泡させて形成される
ので、その骨格は中実状になり、従って、補強用金属板
との接合部も面接触となり、点接触である従来タイプの
ものに比べて、接合強度が高く剥離しにくい。 (5)発泡シートと補強用金属板とを一体化する手順に
おいて、該発泡シートだけ予め焼結体とすることで、焼
結時における双方の熱伸縮率の差異に起因した、補強用
金属板からの焼結体の剥離を防止することができる。 (6)焼結を行うことで発泡シートは焼結体となって強
度が強くなり、長尺による連続焼結を行うことが可能に
なる。従って、本発明の製造方法は量産化に適してお
り、大量生産による製造コストの削減が可能になる。 (7)本発明の製造方法により製造した活物質保持基板
に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を充填してなる
アルカリ二次電池の陽極は、補強用金属板を有し、該補
強用金属板と多孔質焼結金属板との接合強度も高いの
で、大電流に耐えることができ、また、耐久性や活物質
の保持性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法に係る一実施形態の概略工
程図である。
【図2】 本発明の製造方法で製造される発泡シートの
断面図である。
【図3】 本発明の製造方法で製造した場合の焼結体の
うら面の表面近傍の構造の模式図であり、(a)はその
最表面、(b)(a)はにおけるX−X線断面の模式図
である。
【図4】 本発明の製造方法で製造した場合の焼結体の
おもて面の表面近傍の構造の断面の模式図である。
【図5】 補強用金属板を連続的に供給しながら多孔質
焼結金属板と接合している工程を示す模式図である。
【図6】 焼結体をロール化して補強用金属板に供給し
ながら接合している工程を示す接合している工程を示す
模式図である。
【図7】 拡散接合時にいろいろな接合荷重で作製した
引っ張り実験用の活物質保持基板に対する接合強度を示
すグラフである。
【図8】 従来の製造方法で製造した場合のニッケル発
泡体の補強用金属板と重ね合わせる側の表面近傍の構造
の模式図であり、(a)はその表面、(b)は(a)に
おけるY−Y線断面の模式図である。
【符号の説明】 1 金属スラリー 2 グリーンシート 3 発泡シート 3a うら面 3b おもて面 4 焼結体 4a うら面 4b おもて面 5 補強用金属板(孔あきの金属板材) 7 重し 8 多孔質焼結金属板 9 電極用活物質保持基板 10 荷重ベルト 11 焼結炉 12 キャリヤシート 21 骨格 22 側面 25 空隙 25a 開口部 25b 内部 31 ニッケル骨格 32 突起 32a 先端 33 補強用金属板 35 ニッケル発泡体 36 中空部
フロントページの続き (72)発明者 脇田 三郎 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社総合研究所内 (72)発明者 上野 博規 埼玉県桶川市上日出谷1230番地 三菱マテ リアル株式会社桶川製作所内 (72)発明者 田部井 和彦 東京都千代田区大手町一丁目5番1号 三 菱マテリアル株式会社内 Fターム(参考) 5H016 AA06 BB01 BB06 BB08 EE01 EE05 HH10 HH11 5H017 AA02 AS10 BB04 BB09 BB11 BB12 BB14 CC03 CC27 CC28 DD08 EE01 HH08 HH09 5H028 AA05 BB05 BB06 CC08 EE01 EE05 HH00 HH05 HH08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質焼結金属板と補強用金属板とが一
    体化されて構成される電極用活物質保持基板の製造方法
    において、 金属粉末に発泡剤を混合してなる金属スラリーをキャリ
    ヤシート上に薄く敷いてグリーンシートを形成し、該グ
    リーンシートをキャリヤシートにのせたまま発泡し、そ
    の発泡シートをキャリヤシートから剥離して焼結した
    後、該焼結体のキャリヤシート側の面を補強用金属板に
    重ね合わせて、拡散接合することにより前記焼結体を前
    記多孔質焼結金属板として補強用金属板と接合すること
    を特徴とする電極用活物質保持基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記発泡が温度15〜65℃で1〜60
    分間行われることを特徴とする請求項1に記載の電極用
    活物質保持基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 多孔質焼結金属板と補強用金属板とが一
    体化されて構成される電極用活物質保持基板において、 該多孔質焼結金属板は金属焼結体の骨格からなり、該骨
    格の一部の平坦な側面で構成される面を前記補強用金属
    板に接合していることを特徴とする電極用活物質保持基
    板。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の電極用活物質保持基板
    において、 前記多孔質焼結金属板の前記補強用金属板に接合してい
    ない露出側表面において、該骨格間に広がる空隙の表面
    側の開口部は、該空隙の内部に比して狭く窄まった形状
    を有していることを特徴とする電極用活物質保持基板。
  5. 【請求項5】 前記補強用金属板が孔あきの金属板材で
    あることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の
    電極用活物質保持基板。
  6. 【請求項6】 請求項3から請求項5のいずれかに記載
    の電極用活物質保持基板に水酸化ニッケルを主成分とす
    る活物質を充填してなるアルカリ二次電池の陽極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1091013A1 (en) * 1999-10-04 2001-04-11 General Electric Company Method for forming a coating by use of an activated foam technique
JP2011503769A (ja) * 2006-12-21 2011-01-27 ヒューマン, ジャン, ペトルス 蓄電装置

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