JP2000018337A - 金属vベルト - Google Patents

金属vベルト

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JP2000018337A JP10179959A JP17995998A JP2000018337A JP 2000018337 A JP2000018337 A JP 2000018337A JP 10179959 A JP10179959 A JP 10179959A JP 17995998 A JP17995998 A JP 17995998A JP 2000018337 A JP2000018337 A JP 2000018337A
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G5/00V-belts, i.e. belts of tapered cross-section
    • F16G5/16V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 引っ張り応力条件が厳しい最内周金属リング
シートの寿命が低くなりやすいのでこれの高い金属Vベ
ルトを得る。 【解決手段】 無端ベルト状の金属リング31と、この
金属リングに沿って支持された多数の金属エレメント3
2とからなり、ドライブプーリ6およびドリブンプーリ
11間に掛け渡されて動力を伝達する金属Vベルトにお
いて、金属リングを複数の薄い無端ベルト状の金属リン
グシート33(1)〜33(n)を径方向に重ねて構成し、こ
れらのうち、最内周の金属リングシート33(1)のシー
ト厚さをその他の金属リングシート33(2)〜33(n)の
厚さより薄くする。このとき、最内周の金属リングシー
ト厚さを、最内周の金属リングシートと金属エレメント
部材との間の摩擦係数およびその他の金属リングシート
の間の摩擦係数の比に基づいて設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Vベルト式無段変
速機等に動力伝達用として用いられる金属Vベルトに関
し、特に、これを構成する無端ベルト状の金属リング部
材の構成に特徴を有する金属Vベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】このような金属Vベルトは従来から公知
となっており、例えば、実開昭62−131143号公
報、特開平2−225840号公報、特開平7−121
77号公報等に開示されている。このような従来から用
いられている金属Vベルトは、無端ベルト状の金属リン
グ部材と、この金属リング部材に沿って支持された多数
の金属エレメント部材(金属コマとも称される)とから
構成され、ドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛
け渡されて動力伝達を行う。これら両プーリはそのV溝
幅が可変制御できるようになっており、このV溝幅を可
変制御することにより両プーリにおけるVベルトの巻き
掛け半径を変化させ、変速比を無段階に変化させること
ができるようになっている。
【0003】このような金属Vベルトにより両プーリ間
で動力伝達を行うときに、金属エレメント部材が押され
ながら動力伝達がなされ、金属エレメント部材に作用す
る圧縮力により動力を伝達する。但し、このときに多数
の金属エレメント部材をリング状に繋げる金属リング部
材には引っ張り力が作用するとともに、両プーリに巻き
掛けられて回転する間において回転に伴って変化する曲
げ応力が作用し、これら引っ張りおよび曲げは両プーリ
間での金属Vベルトの回転周期に応じて繰り返し作用す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、金属リング
部材はこのように繰り返し作用する引っ張りおよび曲げ
応力を考慮し、これら繰り返し応力に対して十分な強度
および寿命を有するようにその材質、形状等を最適に設
定する必要がある。この場合、金属リング部材は一般的
に薄い無端ベルト状の金属リングシートを複数枚重ねて
構成されており、最内周の金属リングシートは金属エレ
メント部材と接触した状態で動力伝達がなされるため、
金属リングシート同士の摩擦力と金属リングシートおよ
び金属エレメント間での摩擦力とを考慮して考える必要
がある。
【0005】ここで曲げ応力については両プーリの巻き
掛け半径により一義的に決まるが、引っ張り応力につい
ては上記摩擦力により各金属リングシート毎に異なる。
一般的に、金属リングシート同士の摩擦係数(リング−
リング間摩擦係数)は、金属リングシートおよび金属エ
レメント(のサドル面)の間の摩擦係数(リング−エレ
メント間摩擦係数)より小さいため、最内周の金属リン
グシートの張力変化が最も大きく、金属リングシート厚
さが全て等しい場合には、最内周の金属リングシートの
引っ張り応力変化が最大となる。従来において、金属リ
ングは同一材質で同一厚さの複数枚の金属リングシート
を径方向に重ねて構成されていたため、上記の理由から
最内周金属リングシートの応力条件が最も厳しく、最内
周金属リングシートが強度および寿命の点で最も問題と
なっていた。
【0006】本発明はこのようなことに鑑み、引っ張り
応力条件が厳しい最内周金属リングシートの厚さを薄く
して曲げ応力を小さくすることにより、トータルとして
の寿命をできるかぎり高め、寿命の高い金属Vベルトを
得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本発明においては、無端ベルト状の金属リング部材
(例えば、実施例の金属リング31)と、この金属リン
グ部材に沿って支持された多数の金属エレメント部材
(例えば、実施例の金属エレメント32)とからなり、
ドライブプーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて
動力を伝達する金属Vベルトにおいて、金属リング部材
を複数の薄い無端ベルト状の金属製のリングシート(例
えば、実施例の金属リングシート33(1)〜33(n))を
径方向に重ねて構成し、これら複数の金属リングシート
のうち、最内周の金属リングシート(例えば、実施例の
金属リングシート33(1))のシート厚さをその他の金
属リングシート(例えば、実施例の金属リングシート3
3(2)〜33(n))の厚さより薄くしている。さらに、最
内周の金属リングシート厚さを、最内周の金属リングシ
ートと金属エレメント部材との間の摩擦係数およびその
他の金属リングシートの間の摩擦係数の比に基づいて設
定することを特徴とする。
【0008】このように最内周の金属リングシート厚さ
を薄くすると、この金属リングシートの曲げ応力は小さ
くなる。但し、上記のように最内周の金属リングシート
と金属エレメントの間の摩擦係数が大きいため、張力変
化に対する負担割合は内周金属リングシートが最も大き
く、最内周の金属リングシートを薄くすることにより引
っ張り応力変化が増加することを考慮する必要がある。
このため、本発明においては、最内周の金属リングシー
トの厚さを薄くすることにより発生する、曲げ応力の低
下と引っ張り応力の増加とを勘案して最も最適な厚さを
設定する。このとき、曲げ応力は単純に厚さの変化に対
応して低下するが、引っ張り応力の増加は最内周の金属
リングシートと金属エレメント部材との間の摩擦係数
(リング−エレメント間摩擦係数)およびその他の金属
リングシートの間の摩擦係数(リング−リング間摩擦係
数)に応じて変動するため、これら両摩擦係数の比に基
づいて最適となるように厚さが設定される。
【0009】この場合に、この金属Vベルトがドライブ
プーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて動力伝達
を行うときに最内周の金属リングシートに加わる繰り返
し応力振幅σaと平均応力σmとを考慮し、これら応力
振幅σaと平均応力σmとを繰り返して受けるときの最
内周の金属リングシートの疲労寿命が最大となるように
最内周の金属リングシート厚さを設定するのが好まし
い。なお、これら応力振幅σaおよび平均応力σmは曲
げ応力と引っ張り応力とを合算した応力であり、これに
より、金属リングシートの厚さを薄くした場合の曲げ応
力低減効果と引っ張り応力増加効果とをともに加味した
最適な条件の下で厚さ設定を行うことができる。
【0010】但し、ドライブプーリおよびドリブンプー
リ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに作用する繰り
返し荷重による最内周の金属リングシートの疲労寿命が
その他の金属リングシートの疲労寿命以下となる範囲に
おいて、最内周の金属リングシートの疲労寿命が最大と
なるように最内周の金属リングシート厚さを設定するの
が好ましい。最内周の金属リングシートを薄くすること
によりその疲労寿命を高めることができるが、摩擦係数
条件によっては、最内周金属リングシートの疲労寿命の
方がその他の金属リングシートの疲労寿命より大きくな
ることがあるが、このような場合には、その他の金属リ
ングシートの疲労寿命を上回らない範囲で最内周の金属
リングシートの疲労寿命を最大にするような厚さ設定を
行うのが最も好ましい。これにより、全ての金属リング
シートの厚さを最適にして金属ベルト全体としての疲労
寿命を最大にすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
ましい実施形態について説明する。図1に本発明に係る
金属Vベルトを有する金属ベルト式無段変速機Tの動力
伝達経路を示している。エンジンEのクランクシャフト
1にダンパー2を介して接続されたインプットシャフト
3は発進用クラッチ4を介して無段変速機Tのドライブ
シャフト5に接続される。ドライブシャフト5に設けら
れたドライブプーリ6は、ドライブシャフト5に固着さ
れた固定側プーリ半体7と、この固定側プーリ半体7に
対向するとともに軸方向に移動可能で且つドライブシャ
フト5と一体回転するように設けられた可動側プーリ半
体8とを備えており、可動側プーリ半体8は油室9に作
用する油圧で固定側プーリ半体7に向けて付勢される。
このため、両プーリ半体7,8の間にV溝が形成され、
油室9に作用する油圧を受けて可動側プーリ半体8を軸
方向に移動させることによりV溝幅が可変設定可能であ
る。
【0012】ドライブシャフト5と平行にドリブンシャ
フト10が配置され、このドリブンシャフト10に設け
られたドリブンプーリ11は、ドリブンシャフト10に
固着された固定側プーリ半体12と、この固定側プーリ
半体12に対向するとともに軸方向に移動可能で且つド
リブンシャフト10と一体回転するように設けられた可
動側プーリ半体13とを備えており、可動側プーリ半体
13は油室14に作用する油圧で固定側プーリ半体12
に向けて付勢される。このため、両プーリ半体12,1
3の間にV溝が形成され、油室14に作用する油圧を受
けて可動側プーリ半体13を軸方向に移動させることに
よりV溝幅が可変設定可能である。
【0013】ドライブプーリ6およびドリブンプーリ1
1間に金属ベルト15が巻き掛けられる。この状態を図
2に示しており、金属Vベルト15は、無端ベルト状の
金属リング31と、この金属リング31に沿って支持さ
れた多数の金属エレメント(金属コマ)32とから構成
され、それぞれV溝幅が可変となったドライブプーリ6
とドリブンプーリ11とに掛け渡されて駆動力を伝達す
る。
【0014】金属Vベルト15がドライブプーリ6に巻
き掛けられた状態を図3に示しており、固定プーリ半体
7と可動プーリ半体8とから構成されるドライブプーリ
6のV溝内に金属エレメント32が入り込んだ状態とな
る。可動プーリ半体8を軸方向(X方向)に移動させる
制御を行うことにより、金属エレメント32を径方向
(Y方向)に移動させ、金属Vベルト15のドライブプ
ーリ6に対する巻き掛け半径を可変させることができ
る。ドリブンプーリ11についても同様にして金属Vベ
ルトの巻き掛け半径を可変させることができ、両巻き掛
け半径を制御することにより、両プーリ6,11間での
変速比を無段階に調節可能である。
【0015】この金属Vベルト15を図4および図5に
詳しく示しており、金属エレメント32は、左右両端に
V面32a,32aを有したボディ部と、このボディ部
の中央から上方に延びて左右に拡がったイヤー部32b
とを有した形状に作られている。ボディ部の左右上面に
は平らなサドル面32cが形成されており、左右イヤー
部32bの下面にはそれぞれ平らな保持面32dが形成
されており、サドル面32cと保持面32dとに挟まれ
て左右一対のスロットが形成されている。このスロット
ル内に左右一対の金属リング31が挿入されるようにし
て、金属リング31に沿って多数の金属エレメント32
が配設されて金属Vベルト15が構成されている。
【0016】ここで金属リング31は、複数(例えば、
12枚)の薄い無端ベルト状の金属製のリングシート3
3(1),33(2)・・・32(n)を径方向に重ねて構成され
ている。これら金属リングシートのうち、最内周金属リ
ングシート32(1)の厚さは他の金属リングシート32
(2)〜32(n)より薄く形成されている。なお、他の金属
リングシート32(2)〜32(n)は同一厚さを有してい
る。
【0017】図1に戻り、以上のようにして金属Vベル
ト15により動力が伝達されるドリブンシャフト10に
は前進用ドライブギヤ16および後進用ドライブギヤ1
7が相対回転自在に支持されており、これら前進用ドラ
イブギヤ16および後進用ドライブギヤ17はセレクタ
18により選択的にドリブンシャフトに結合可能であ
る。ドリブンシャフ10ト平行に配置されたアウトプッ
トシャフト19には、前進用ドライブギヤ16に噛合す
る前進用ドリブンギヤ20と、後進用ドライブギヤ17
に後進用アイドルギヤ21を介して噛合する後進用ドリ
ブンギヤ22とが固着されている。
【0018】アウトプットシャフト19の回転はファイ
ナルドライブギヤ23およびファイナルドリブンギヤ2
4を介してディファレンシャル23に入力され、そこか
ら左右のアクスル26,26を介して駆動輪W,Wに伝
達される。
【0019】以上のように、エンジンEの駆動力はクラ
ンクシャフト1、ダンパー2、インプットシャフト3、
発進用クラッチ4、ドライブシャフト5、ドライブプー
リ6、金属Vベルト15およびドリブンプーリ11を介
してドリブンシャフト10に伝達される。前進走行レン
ジが選択されているときは、ドリブンシャフト10の駆
動力は前進用ドライブギヤ16および前進用ドリブンギ
ヤ20を介してアウトプットシャフト19に伝達され、
車両を前進走行させる。また、後進用走行レンジが選択
されているとき、ドリブンシャフト10の駆動力は後進
用ドライブギヤ17、後進用アイドルギヤ21および後
進用ドリブンギヤ22を介してアウトプットシャフト1
9に伝達され、車両を後進走行させる。
【0020】このとき、金属ベルト式無段変速機Tのド
ライブプーリ6の油室9およびドリブンプーリ11の油
室14に作用する油圧を、電子制御ユニットU1からの
指令で作動する油圧制御ユニットU2で制御することに
より、その変速比が無段階に調整される。すなわち、ド
ライブプーリ6の油室9に作用する油圧に対してドリブ
ンプーリ11の油室14に作用する油圧を相対的に増加
させれば、ドリブンプーリ11の溝幅が減少して巻き掛
け半径(有効半径)が増加し、これに伴ってドライブプ
ーリ6の溝幅が増加して巻き掛け半径が減少するため、
金属ベルト式無段変速機Tの変速比はLOWに向かって
無段階に変化する。逆に、ドリブンプーリ11の油室1
4に作用する油圧に対してドライブプーリ6の油室9に
作用する油圧を相対的に増加させれば、ドライブプーリ
6の溝幅が減少して巻き掛け半径が増加し、これに伴っ
てドリブンプーリ11の溝幅が増加して巻き掛け半径が
減少するため、金属ベルト式無段変速機Tの変速比はT
OPに向かって無段階に変化する。
【0021】図6は、車両が最高速度走行状態(TOP
状態)にあって、ドライブプーリ6の巻き掛け半径がド
リブンプーリ11の巻き掛け半径より大きくなった状態
を示しており、この図における金属ベルト15の厚さは
金属リング31に作用する引っ張り力の大小関係を模式
的に示している。この図に示すように、金属ベルト15
がドリブンプーリ11からドライブプーリ6に戻る戻り
部の弦部(A領域)において引っ張り力は一定値TLOW
であり、金属ベルト15がドライブプーリ6からドリブ
ンプーリ11に送り出される往き側の弦部(C領域)に
おいて引っ張り力は一定値THIGHである。ここで、A領
域の引っ張り力TLOWはC領域の引っ張り力THIGHより
も小さく、金属ベルト15がドライブプーリ6に巻き付
く部分(B領域)において、その入口側から出口側にか
けて引っ張り力はTLOWからTHIGHまで徐々に増加し、
金属ベルト15がドリブンプーリ11に巻き付く部分
(D領域)において、その入口側から出口側にかけて引
っ張り力はTHIGHからTLOWまで徐々に減少する。
【0022】金属ベルト15に作用する上記引っ張り力
は左右の金属リング31によって均等に分担され、且つ
金属リング31の張力はこれを構成する各金属リングシ
ート33(1)〜33(n)(なお、本例ではn=12)によ
り分担される。このとき金属エレメント32のサドル面
32cに接触する最内周の金属リングシート33(1)を
除く内側から第2枚目〜n枚目(n=12)の金属リン
グシート33(2)〜33(n)の引っ張り応力は相互に等し
くなるが、最内周の金属リングシート33(1)の引っ張
り応力は第2枚目〜n枚目(n=12)の金属リングシ
ート33(2)〜33(n)の引っ張り応力と異なった値にな
る。以下、その理由を図7を参照しながら説明する。
【0023】まず簡易モデルとして、図7に示すよう
に、金属リングが三層の金属リングシートから構成され
る場合を考える。プーリ巻き付き部における最外周の第
3層金属リングシートおよびその内側の第2層金属リン
グシートに作用する垂直抗力をNとすると、第2層金属
リングシートおよび第1層金属リングシート間に作用す
る垂直抗力は2Nとなり、さらに、第1層金属リングシ
ートおよび金属エレメントのサドル面間に作用する垂直
抗力は3Nとなる。ここで相互に接触する金属リング間
の摩擦係数(以下、リング−リング間摩擦係数という)
μssとし、金属リングシートおよび金属エレメント間の
摩擦係数(以下、リング−エレメント間摩擦係数とい
う)μsとし、第1層金属リングシート、第2層金属リ
ングシートおよび第3層金属リングシートの分担引っ張
り荷重をそれぞれF1,F2,F3とすると、各層の金
属リングの張力変化量であるΔT1,ΔT2,ΔT3
は、以下の式(1)〜(3)で与えられる。
【0024】
【数1】 ΔT3=F3=μss・N ・・・(1) ΔT2=F2−F3=2μss・N−μss・N=μss・N ・・・(2) ΔT1=F1−F2=3μs・N−2μss・N ・・・(3)
【0025】これらの式から分かるように、内周面の摩
擦係数μssが等しい第2層金属リングシートおよび第3
層金属リングシートの張力変化量ΔT2,ΔT3はいず
れもμss・Nに等しくなるが、内周面の摩擦係数がμs
である第1層金属リングシートに作用する張力変化量Δ
T1は、上記変化量ΔT2,ΔT3と異なる(3μs・
N−2μss・N)となる。ΔT1とΔT2との比(ΔT
1/ΔT2)は、下記式(4)で与えられ、この式
(4)を金属リングシートの積層枚数がnの場合に拡張
すると下記式(5)となる。
【0026】
【数2】 ΔT1/ΔT2=(3μs・N−2μss・N)/(μss・N)・・・(4) ΔT1/ΔT2={n・μs−(n−1)・μss}/μss ・・・(5)
【0027】ここで、リング−エレメント間摩擦係数μ
sとリング−リング間摩擦係数μssとの比である摩擦係
数比をMr(=μs/μss)とすると、上記式(5)は
次の式(6)のように書き換えられる。
【0028】
【数3】 ΔT1/ΔT2=n・Mr−(n−1)=n(Mr−1)+1 ・・・(6 )
【0029】金属リングを構成するn枚の金属リングシ
ートの張力変化量ΔT1〜ΔTnの総和ΔTALLは、下
記式(7)で与えられ、この式(7)と上記式(6)と
からΔT2を消去すると、下記式(8)が得られる。
【0030】
【数4】 ΔTALL =ΔT1+ΔT2+・・・+ΔTn =(n−1)・ΔT2+ΔT1 =(n−1)・ΔT2+{n(Mr−1)+1}・ΔT2 =n・Mr・ΔT2 ・・・(7) ΔT1/ΔTALL ={n(Mr−1)+1}/(n・Mr) ・・・(8 )
【0031】上記式(8)によれば、金属リングに含ま
れる金属リングシートの積層枚数nが決まり、且つ、リ
ング−エレメント間摩擦係数μsとリング−リング間摩
擦係数μssとの比である摩擦係数比Mrが決まれば、金
属リング全体の張力変化ΔTALL に対する最内周金属リ
ングシートの張力変化量ΔT1の比率が決まることが分
かる。
【0032】図8のグラフは、金属リングが12枚の金
属リングシートから構成される場合におけるΔT1/Δ
TALL の値を、種々の摩擦係数比Mrについて計算した
結果を示すものである。過去の経験および実験結果によ
れば、最内周の金属リングシートとその他の金属リング
シートとを同一材料から作れば、リング−エレメント間
摩擦係数μsはリング−リング間摩擦係数μssよりも大
きな値になるため、摩擦係数比Mr=μs/μssは1.
0よりも大きな値となる。
【0033】仮に、リング−エレメント間摩擦係数μs
およびリング−リング間摩擦係数μssを一致させたとす
ると、摩擦係数比Mr=1.0になってΔT1/ΔTAL
L =0.08になり、最内周の金属リングシートは他の
11枚の金属リングシートと同じ変化量、すなわち、金
属リング全体の張力変化量の総和ΔTALL の約8%(す
なわち1/12)を受け持つことになる。しかしなが
ら、実際には摩擦係数比Mrは1.0よりも大きいた
め、最内周の金属リングシートの張力変化量ΔT1は、
他の11枚の金属リングシートのそれぞれの張力変化量
ΔTn(11枚の金属リングシートについて一定)より
も大きくなる。
【0034】図9のグラフは、車両が図6で示した最高
速度走行状態にあるときの、最内周の金属リングシート
の引っ張り応力σT1の変化と、他の11枚の金属リン
グシートの引っ張り応力σTnの変化とを示すものであ
る。この図における二点鎖線A1は最内周の金属リング
シートの引っ張り応力σT1の変化を示し、一点鎖線A
nは最内周以外の11枚の金属リングシートの引っ張り
応力σTnの変化を示している。上述したリング−エレ
メント間摩擦係数μsとリング−リング間摩擦係数μss
との不一致により、最内周の金属リングシートの張力変
化量ΔT1(つまり応力変化量ΔσT1)は他の金属リ
ングの張力変化量ΔTn(つまり応力変化量ΔσTn)
よりも大きくなる。この結果、戻り側弦部(A領域)に
おける最内周の金属リングシートの最小引っ張り応力σ
T1(LOW)は、他の金属リングシートの最小引っ張り応
力σTn(LOW)より小さくなり、往き側弦部(C領域)
における最内周の金属リングシートの最大引っ張り応力
σT1(HIGH)は、他の金属リングシートの最大引っ張り
応力σTn(HIGH)より大きくなる。
【0035】金属リングには上記のような張力に基づく
引っ張り応力に加えて、金属リングシートに曲げに基づ
く応力が作用する。図10に示すように、自由状態の金
属リングシート33は円形であるが、使用状態の金属リ
ングシート33は前記A領域〜D領域を有する形状に変
形する。戻り側弦部(A領域)および往き側弦部(C領
域)では自由状態でR0であった曲率半径が∞に増加
し、ドライブプーリに巻き付くB領域では曲率半径がR
DR(<R0)に減少し、ドリブンプーリに巻き付くD領
域では曲率半径がRDN(<R0)に減少する。
【0036】このように金属リングシートの曲率半径が
増加するA領域およびC領域では、金属リングシートの
内周面に引っ張り曲げ応力が作用し、外周面に圧縮曲げ
応力が作用する。一方、金属リングの曲率半径が減少す
るB領域およびD領域では、金属リングシートの内周面
に圧縮曲げ応力が作用し、外周面に引っ張り曲げ応力が
作用する。これら曲げに基づく圧縮および引っ張り曲げ
応力は、最内周の金属リングシートを含め全金属リング
シートについて同一である。
【0037】図11のグラフは、車両が図6で説明した
最高速度走行状態にあるときの、12枚の金属リングシ
ートのそれぞれの内周面に作用する曲げ応力を示すもの
である。このグラフから明らかなように、各金属リング
シートの内周面には弦部(A領域およびC領域)に一定
の引っ張り曲げ応力σVSTが作用し、曲率半径が大きい
方のドライブプーリに巻き付くB領域では比較的小さな
圧縮曲げ応力σVDRが作用し、曲率半径が小さい方のド
リブンプーリに巻き付くD領域では比較的大きな圧縮曲
げ応力σVDNが作用する。
【0038】図12のグラフは、図9に示す金属リング
シートの張力に基づいて作用する応力と、図11に示す
金属リングシートの曲げに基づいてこれら金属リングシ
ートの内周面に作用する応力とを加算したもので、太い
破線は最内周の金属リングシートの内周面に作用するト
ータルの応力変化を示しており、実線は他の金属リング
シートの内周面に作用するトータルの応力の変化を示し
ている。この図から明らかなように、最内周の金属リン
グシートの応力振幅の中心値σm1と、他の金属リングシ
ートの応力振幅の中心値σmnとは一致しているが、最内
周の金属リングシートの応力振幅σa1は、他の金属リン
グシートの応力振幅σanよりも大きくなっている。これ
ら応力振幅σa1、σanの偏差は、図9で説明した最内周
の金属リングシートの引っ張り応力変化量ΔσT1と他
の金属リングシートの引っ張り応力変化量ΔσTnとの
偏差に起因している。
【0039】金属リングシートには図12に示すような
パターンで繰り返し荷重が作用するため、応力振幅が大
きな最内周の金属リングシートの疲労寿命が他の金属リ
ングシートの疲労寿命より短くなる。これを図13に示
す疲労限線図により示しており、平均応力(応力中心
値)σm1=σmnであるが、大きな応力振幅(σa1)が作
用する最内周金属リングシートの疲労寿命L1は小さな
応力振幅(σan)が作用するその他の金属リングシート
の疲労寿命Lnより小さくなる。
【0040】以上においては、全ての金属リングシート
の厚さが等しいものとして説明したが、本発明では最内
周の金属リングシート33(1)の厚さのみを薄くしてい
る。但し、その他の金属リングシート33(2)〜33(n)
の厚さを全て等しくするとともに、金属リング31のト
ータル厚さは変更しないように各厚さを設定している。
このようにすることにより、最内周金属リングシートの
曲げ応力を小さくして応力振幅σa1を小さくしてその疲
労寿命を増加させることができる。これについて以下に
説明する。
【0041】ここで、前述したように摩擦係数比Mrは
通常は1.0より大きいため、最内周の金属リングシー
ト33(1)が負担する張力変化はその他の金属リングシ
ート33(2)〜33(n)より大きい(図8参照)。このた
め、最内周の金属リングシート33(1)の厚さを薄くす
ると張力変化により生じる引っ張り応力変化量ΔσT1
は増加する。このように最内周の金属リングシート33
(1)の厚さを薄くすると、曲げ応力は小さくなるが引っ
張り応力変化量は大きくなるため、両者を勘案した上で
金属リング全体としての疲労寿命を増加できるような厚
さ設定を行う必要がある。例えば、図13において、点
P1の応力条件から点P1’で示すような応力条件とな
るように最内周の金属リングシートの厚さを薄くし、疲
労寿命をL1からL1’まで増加させるような厚さ設定
を行う必要がある。
【0042】そこで、まず摩擦係数比Mr=1.1の場
合に、所定条件で駆動した場合での金属Vベルトの各金
属リングシートに作用する平均応力(σm)および応力
振幅(σa)を、最内周の金属リングシート33(1)の
厚さを変化させて演算した。その結果をまとめて図14
のグラフに示している。なお、この演算に用いた駆動条
件は、ドライブプーリ6において、回転速度6000r
pm、駆動トルク14.3kg−mである。このグラフ
において、縦軸左側スケールが応力振幅σaを示し、横
軸が平均応力σmを示し、縦軸右側スケールが金属リン
グシートの厚さ比Rt(=t1/tn 但し、t1:
最内周の金属リングシートの厚さ、tn:その他の金属
リングシートの厚さ)を示す。
【0043】厚さ比Rtを変化させたときに、最内周の
金属リングシート33(1)に発生する応力振幅σaおよ
び平均応力σmの変化の計算結果をプロットしたのが破
線B1であり、同様にその他の金属リングシート33
(n)に発生する応力振幅σaおよび平均応力σmの変化
の計算結果をプロットしたのが実線Bnである。なお、
正確にはその他の金属リングシートを代表して内側から
二番目の金属リングシート33(2)について計算を行っ
た。そして、厚さ比Rtと破線B1の各点との関係を鎖
線C1により示しており、厚さ比Rtと実線Bnの各点
との関係を鎖線Cnにより示している。このため、破線
B1上の点P1から下ろした垂線と鎖線C1との交点P
2の位置が厚さ比Rtを示しており、この場合にはRt
=0.36である。さらに、この厚さ比Rt=0.36
を示す線と鎖線Cnとの交点P3がその他の金属リング
シートの応力と厚さ比との関係を示しており、この点P
3を通る垂線と実線Bnとの交点P4がその他の金属リ
ングシートの応力を示す。
【0044】本例では金属リングシートを全てマレージ
ング鋼で作っており、この場合において、図13に示し
た疲労限線図における等寿命直線L1,Lnの傾きは
(−1/4)である。そこで、この等寿命直線と同一の
傾きを有するとともに破線B1の下部と接する等寿命曲
線L11を引くと、この接点P1の応力条件で最内周の金
属リングシート33(1)の疲労寿命が最大になる。上述
のようにこの時の厚さ比Rt=0.36であるので、こ
の厚さ比を設定すれば最内周の金属リングシートの疲労
寿命は最大となる。
【0045】但し、このときのその他の金属リングシー
トの応力条件は点P4で示す条件であり、この点P4を
通る等寿命直線Ln1がその他の金属リングシートの疲労
寿命である。これら等寿命直線L11とLn1を比較すれば
分かるように、厚さ比Rt=0.36とすると、その他
の金属リングシートの疲労寿命が最内周の金属リングシ
ートの疲労寿命より短くなり、この厚さ比設定は好まし
くない。そこで、ほぼ同一の疲労寿命となる点を試行錯
誤して求めると、図に示す等寿命直線L11’が求まり、
この場合には各点P11,P12,P13,P14を追えば分か
るように、厚さ比Rt=0.85となる。すなわち、摩
擦係数比Mr=1.1の場合には、厚さ比Rt=0.8
5に設定すれば、金属リング31全体としての寿命を最
大にすることができる。
【0046】次に、摩擦係数比Mr=1.3の場合で
の、上記と同様な演算結果を図15に示す。この図にお
いても、厚さ比Rtを変化させたときに、最内周の金属
リングシート33(1)に発生する応力振幅σaおよび平
均応力σmの変化の計算結果をプロットしたのが破線B
1であり、その他の金属リングシート33(n)に発生す
る応力振幅σaおよび平均応力σmの変化の計算結果を
プロットしたのが実線Bnである。さらに、厚さ比Rt
と破線B1の各点との関係を鎖線C1により示し、厚さ
比Rtと実線Bnの各点との関係を鎖線Cnにより示し
ている。
【0047】ここでも、図13に示した疲労限線図にお
ける等寿命直線L1,Lnの傾き(−1/4)と同一の
傾きを有するとともに破線B1の下部と接する等寿命曲
線L12を引くと、この接点P1の応力条件で最内周の金
属リングシート33(1)の疲労寿命が最大になる。図示
のようにこの時の厚さ比Rt=0.51であり、この厚
さ比を設定すれば最内周の金属リングシートの疲労寿命
は最大となる。
【0048】なお、このときのその他の金属リングシー
トの応力条件は点P4で示す条件であり、上記等寿命直
線L12の上に位置する(点P4を通る等寿命直線Ln2が
等寿命直線L12と重なる)。すなわち、摩擦係数比Mr
=1.3の場合には、厚さ比Rt=0.51に設定すれ
ば、最内周の金属リングシートの疲労寿命は最大とな
り、その他の金属リングシートの疲労寿命もこれと同一
の寿命となる。
【0049】さらに、摩擦係数比Mr=1.6の場合で
の、上記と同様な演算結果を図16に示す。ここでも、
図13に示した疲労限線図における等寿命直線L1,L
nの傾き(−1/4)と同一の傾きを有するとともに破
線B1の下部と接する等寿命曲線L13を引くと、この接
点P1の応力条件で最内周の金属リングシート33(1)
の疲労寿命が最大になる。図示のようにこの時の厚さ比
Rt=0.74であり、この厚さ比を設定すれば最内周
の金属リングシートの疲労寿命は最大とすることができ
る。
【0050】なお、このときのその他の金属リングシー
トの応力条件は点P4で示す条件であり、この点P4を
通る等寿命直線Ln3がその他の金属リングシートの疲労
寿命を示す。これら等寿命直線L13,Ln3を比較すれば
良く分かるように、この条件ではその他の金属リングシ
ートの寿命の方が大きい。一方、最内周の金属リングシ
ートは最大寿命が得られる厚さ比設定であるため、この
場合には、厚さ比Rt=0.74が最適な厚さ比設定と
なる。
【0051】以上のようにして、摩擦係数比Mr毎に最
適な厚さ比Rtを計算した結果をまとめると図17のよ
うになる。摩擦係数比Mr<1.3の場合には、最内周
の金属リングシートの寿命が最大となる厚さ比設定では
その他の金属リングシートの寿命が最内周の金属リング
シートの寿命より小さくなるため、これを阻止するよう
な厚さ設定が必要であり、線D1で示すような厚さ比R
tの設定が行われる。一方、摩擦係数比Mr≧1.3の
場合には、最内周の金属リングシートの寿命が最大とな
る厚さ比設定でその他の金属リングシートの寿命はこれ
より大きくなるため、最内周の金属リングシートの寿命
が最大となる厚さ比設定がなされ、これは線D2で示す
ように設定される。なお、最内周の金属リングシートを
含め全金属リングシートの厚さを等しくする場合(すな
わち、従来の厚さ設定の場合)を、線Eで示している。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
最内周の金属リングシート厚さを、最内周の金属リング
シートと金属エレメント部材との間の摩擦係数およびそ
の他の金属リングシートの間の摩擦係数の比に基づいて
薄くなるように設定しており、このように最内周の金属
リングシート厚さを薄くすると、この金属リングシート
の曲げ応力は小さくなり、最内周の金属リングシートの
疲労寿命を増大させることが可能となる。なお、本発明
においては、最内周の金属リングシートの厚さを薄くす
ることにより発生する、曲げ応力の低下と引っ張り応力
の増加とを勘案して最も最適な厚さを設定するため、最
内周の金属リングシートと金属エレメント部材との間の
摩擦係数(リング−エレメント間摩擦係数)およびその
他の金属リングシートの間の摩擦係数(リング−リング
間摩擦係数)の比に基づいて最適厚さが設定される。
【0053】この場合に、この金属Vベルトがドライブ
プーリおよびドリブンプーリ間に掛け渡されて動力伝達
を行うときに最内周の金属リングシートに加わる繰り返
し応力振幅σaと平均応力σmとを考慮し、これら応力
振幅σaと平均応力σmとを繰り返して受けるときでの
最内周の金属リングシートの疲労寿命が最大となるよう
に最内周の金属リングシート厚さを設定するのが好まし
い。なお、これら応力振幅σaおよび平均応力σmは曲
げ応力と引っ張り応力とを合算した応力であり、これに
より、金属リングシートの厚さを薄くした場合の曲げ応
力低減効果と引っ張り応力増加効果とをともに加味した
最適な条件の下で厚さ設定を行うことができる。
【0054】但し、ドライブプーリおよびドリブンプー
リ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに作用する繰り
返し荷重による最内周の金属リングシートの疲労寿命が
その他の金属リングシートの疲労寿命以下となる範囲に
おいて、最内周の金属リングシートの疲労寿命が最大と
なるように最内周の金属リングシート厚さを設定するの
が好ましい。最内周の金属リングシートを薄くすること
によりその疲労寿命を高めることができるが、摩擦係数
条件によっては、最内周金属リングシートの疲労寿命の
方がその他の金属リングシートの疲労寿命より大きくな
ることがあるが、このような場合には、その他の金属リ
ングシートの疲労寿命を上回らない範囲で最内周の金属
リングシートの疲労寿命を最大にするような厚さ設定を
行うのが最も好ましい。これにより、全ての金属リング
シートの厚さを最適にして金属ベルト全体としての疲労
寿命を最大にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属Vベルトを用いたベルト式無
段変速機の動力伝達系路を示す模式図である。
【図2】この金属Vベルトをドライブおよびドリブンプ
ーリ間に掛け渡した状態を示す概略図である。
【図3】ドライブプーリに巻き掛けた状態の金属Vベル
トを示す断面図である。
【図4】金属Vベルトの正面断面図である。
【図5】金属Vベルトの斜視図である。
【図6】金属リングに作用する引っ張り応力の説明図で
ある。
【図7】金属リングに作用する力の釣合を示す説明図で
ある。
【図8】摩擦係数比Mrに対するΔT1/ΔTALLの変
化を示すグラフである。
【図9】金属リングシートの内周面に作用する引っ張り
応力の変化を示すグラフである。
【図10】金属リングシートの自由状態および使用状態
の形状の説明図である。
【図11】金属リングシートの内周面に作用する曲げ応
力の変化を示すグラフである。
【図12】金属リングシートの内周面に作用する全応力
の変化を示すグラフである。
【図13】金属リングシートの疲労限線図である。
【図14】摩擦係数比Mr=1.1のときの疲労限線図
と厚さ比Rtの関係を示すグラフである。
【図15】摩擦係数比Mr=1.3のときの疲労限線図
と厚さ比Rtの関係を示すグラフである。
【図16】摩擦係数比Mr=1.6のときの疲労限線図
と厚さ比Rtの関係を示すグラフである。
【図17】厚さ比Rtと摩擦係数比Mrとの関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
6 ドライブプーリ 11 ドリブンプーリ 15 金属Vベルト 31 金属リング 32 金属エレメント 33 金属リングシート

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無端ベルト状の金属リング部材と、この
    金属リング部材に沿って支持された多数の金属エレメン
    ト部材とからなり、ドライブプーリおよびドリブンプー
    リ間に掛け渡されて動力を伝達する金属Vベルトにおい
    て、 前記金属リング部材が複数の薄い無端ベルト状の金属製
    のリングシートを径方向に重ねて構成され、これら複数
    の金属リングシートのうち、最内周の金属リングシート
    のシート厚さがその他の金属リングシート厚さより薄
    く、 前記最内周の金属リングシート厚さが、前記最内周の金
    属リングシートと前記金属エレメント部材との間の摩擦
    係数および前記その他の金属リングシートの間の摩擦係
    数の比に基づいて設定されることを特徴とする金属Vベ
    ルト。
  2. 【請求項2】 前記ドライブプーリおよび前記ドリブン
    プーリ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに前記最内
    周の金属リングシートに加わる繰り返し応力振幅σaと
    平均応力σmとを考慮し、これら応力振幅σaと平均応
    力σmとを繰り返して受けるときにおける前記最内周の
    金属リングシートの疲労寿命が最大となるように前記最
    内周の金属リングシート厚さが設定されることを特徴と
    する請求項1に記載の金属Vベルト。
  3. 【請求項3】 前記ドライブプーリおよび前記ドリブン
    プーリ間に掛け渡されて動力伝達を行うときに作用する
    繰り返し荷重による前記最内周の金属リングシートの疲
    労寿命が前記その他の金属リングシートの疲労寿命以下
    となる範囲で前記最内周の金属リングシートの疲労寿命
    が最大となるように前記最内周の金属リングシート厚さ
    が設定されることを特徴とする請求項2に記載の金属V
    ベルト。
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