JP2000017458A - 高温部材およびその製造方法 - Google Patents

高温部材およびその製造方法

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JP2000017458A JP10181922A JP18192298A JP2000017458A JP 2000017458 A JP2000017458 A JP 2000017458A JP 10181922 A JP10181922 A JP 10181922A JP 18192298 A JP18192298 A JP 18192298A JP 2000017458 A JP2000017458 A JP 2000017458A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温環境下での長時間の使用でも高耐久性を
維持することができる高温部材およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 金属からなる基材11の表面に、MCr
AlYからなる結合層12を設けた後、真空環境下、9
00℃以上で熱処理を行うことにより、結合層12の表
面にα−アルミナ層13を形成し、続いて、α−アルミ
ナ層13の表面に、酸化物系セラミックスからなる遮熱
層14を設けて高温部材を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遮熱性および高耐
久性を兼ね備える高温部材およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンやボイラなどの高温環境下
で使用される高温部材においては、熱により劣化が進行
しやすいため、内部を中空構造として、当該内部に冷却
空気を流通させて表面へ噴出させることにより冷却する
と共に、その表面に遮熱層を形成することにより表面側
から内部への伝熱を抑制するようにしている。
【0003】遮熱層は、高温部材を構成する金属材料の
基材よりも熱伝導率の小さい材料(例えば酸化物系セラ
ミックス)が溶射等により当該基材の表面に設けられ
る。このような材料からなる遮熱層は、基材の表面に直
接設けられると、基材との線膨張係数の差により、基材
から剥離しやすくなってしまうため、基材との間に結合
層が設けられ、基材に対する密着性の向上が図られてい
る。つまり、図3に示すように、高温部材は、基材1の
表面に結合層2が設けられ、当該結合層2の表面に遮熱
層4が設けられているのである。
【0004】産業用ガスタービンの高温部材において、
遮熱層4の材料には、イットリアなどで部分安定化され
たジルコニアが多用され、また、結合層2の材料には、
MCrAlYと称されるCr,Al,Yなどを含む合金
(残部はNi,Co,Feのうちの1種または2種の元
素の組み合わせからなる)が多用されている。
【0005】遮熱層4の形成には、大気プラズマ溶射
法、電子ビーム・物理蒸着法などが利用され、結合層2
の形成には、低圧プラズマ溶射法、大気プラズマ溶射
法、電子ビーム・物理蒸着法などが利用されている。
【0006】特に、産業用ガスタービンの高温部材を製
造する場合には、アルミナブラストにより汚れ除去およ
び粗面化した基材1の表面に低圧プラズマ溶射法により
結合層2を形成した後、結合層2の表面に汚れ等を付着
させないように大気プラズマ溶射法により遮熱層4を形
成することにより、耐久性やコストなどの面で最もバラ
ンスよく高温部材を得ることができる。なお、遮熱層4
の形成後には、基材1、結合層2、セラミックス層4の
各間の密着性を向上させるため、基材1の時効熱処理を
兼ねた熱処理(例えば843℃×24時間)が行われ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したような高温部
材においては、高温環境下での長時間の使用により、結
合層2中に含有される成分の酸化物が当該結合層2と遮
熱層4との間に生成し、次第に成長していく。この酸化
物は、結合層2の耐食性や耐酸化性を保持するのに必要
不可欠であるものの、その生成や成長に伴う結合層2の
体積膨張により、当該結合層2と遮熱層4との間の密着
性を低下させてしまう。このため、上記酸化物において
は、その厚さが薄く、その成長速度が遅いとよいが、成
長速度の大きいNi,Coの遷移金属元素とAlからな
るスピネル構造の酸化物が生成してしまうため、高温部
材の高温環境下での長時間の使用による耐久性を維持す
ることが困難となっていた。
【0008】このようなことから、本発明は、高温環境
下での長時間の使用でも高耐久性を維持することができ
る高温部材およびその製造方法を提供することを目的と
した。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述した課題を解決する
ための、本発明による高温部材は、金属からなる基材
と、前記基材の表面に設けられてMCrAlYからなる
結合層と、前記結合層の表面に設けられたα−アルミナ
層と、前記α−アルミナ層の表面に設けられて酸化物系
セラミックスからなる遮熱層とを備えてなることを特徴
とする。
【0010】前述した課題を解決するための、本発明に
よる高温部材の製造方法は、金属からなる基材の表面
に、MCrAlYからなる結合層を設けた後、真空環境
下、900℃以上で熱処理を行うことにより、当該結合
層の表面にα−アルミナ層を形成し、続いて、当該α−
アルミナ層の表面に、酸化物系セラミックスからなる遮
熱層を設けるようにしたことを特徴とする。
【0011】上述した高温部材の製造方法において、金
属製ヒータ使用の加熱炉を用いて前記熱処理を行うこと
を特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明による高温部材およびその
製造方法を産業用ガスタービンの動翼に適用する場合の
実施の形態を図1を用いて説明する。なお、図1は、そ
の構造を表す断面図である。
【0013】図1に示すように、金属からなる基材11
の表面には、MCrAlYと称されるCr,Al,Yな
どを含む合金(残部はNi,Co,Feのうちの1種ま
たは2種の元素の組み合わせからなる)からなる結合層
12が形成されている。結合層12上には、α−アルミ
ナ層13が形成されている。α−アルミナ層13上に
は、イットリアなどで部分安定化されたジルコニアなど
のような酸化物系セラミックスからなる遮熱層14が形
成されている。
【0014】このような高温部材においては、基材11
の表面に低圧プラズマ溶射法により結合層12を形成し
た後、真空環境下(10-5〜10-3Torr)、900
℃以上で1〜48時間の熱処理を行うことにより、結合
層12上にα−アルミナ層13を形成し、続いて、大気
プラズマ溶射法により遮熱層14を形成することによ
り、容易に製造することができる。
【0015】つまり、高温環境下での長時間の使用に伴
う遮熱層14の密着性の低下を抑制し、その耐久性を向
上させるため、成長速度の小さいα−アルミナ層13を
結合層12上に生成させたのである。
【0016】この結合層12は、高酸素分圧下で熱処理
するとスピネル酸化物が生成してしまい、900℃未満
で熱処理するとδ−アルミナまたはθ−アルミナが生成
してしまう。これらの酸化物は、成長速度が大きいた
め、遮熱層14に亀裂や剥離などを発生させてしまう虞
がある。そこで、本発明では、結合層12を形成した後
に、真空環境下(10-5〜10-3Torr)で900℃
以上で1〜48時間の熱処理を行うことにより、酸化速
度の大きいスピネル酸化物の生成を抑制し、かつ成長速
度が小さく緻密なα−アルミナ層13を結合層12上に
生成させるようにしたのである。
【0017】したがって、このような高温部材およびそ
の製造方法によれば、緻密であると共に高温環境下での
長時間の使用に伴う成長速度の遅いα−アルミナ層13
が結合層12と遮熱層14との間に形成されるので、高
温環境下での長時間の使用でも高耐久性が発現されるよ
うになる。
【0018】なお、上述した熱処理は、基材11の溶体
化や安定化のための熱処理と兼ねることができるので、
基材11の熱処理と両立させることができる。また、本
発明は、上述したような条件に基づく熱処理により、結
合層12上にα−アルミナ層13をまず初めに生成させ
ることができることから、α−アルミナを生成しうるす
べてのMCrAlY(一般的なAlの含有量は5〜20
重量%)に適用することができる。
【0019】続いて、産業用ガスタービンの動翼に適用
する場合における効果を確認するため、次のような確認
試験を行った。
【0020】産業用ガスタービンの動翼に一般に使用さ
れるIN738LC(大同インコ社商品名,典型組成:
16Cr−8.5Co−1.7Mo−2.6W−1.7
Ta−0.9Nb−3.4Al−3.4Ti−0.17
C−0.01B−0.1Zr−残りNi)を基材に用い
た。
【0021】結合層は、CoNiCrAlY(典型組
成:31−33Ni−20〜22Cr−7〜9Al−
0.35〜0.65Y−残りCo)を低圧プラズマ溶射
法により厚さ0.1mmに形成した。
【0022】遮熱層は、イットリア安定化ジルコニア
(典型組成:8Y2 3 −ZrO2 )を大気プラズマ溶
射法により厚さ0.3mmに形成した。
【0023】なお、結合層の形成前にアルミナブラスト
により基材の表面汚れ除去及び粗面化を行った。
【0024】まず、初めに、結合層からα−アルミナ層
を生成させるのに適切な熱処理条件を求めた。
【0025】具体的には、表1に示した熱処理温度、雰
囲気、時間の各条件で熱処理を行って高温部材を製作し
た後、X線回折法により、生成酸化物の同定および断面
組織の観察を行った。表1に示す熱処理条件のうち、1
121℃×2時間は基材(IN738LC)の溶体化熱
処理条件であり、843℃×24時間は基材(IN73
8LC)の時効熱処理条件である。
【0026】
【表1】
【0027】表1からわかるように、酸素分圧の高い大
気中での熱処理条件下(比較体3,4)では、843℃
および1121℃の両者共にα−アルミナ層が生成せ
ず、スピネル酸化物が生成してしまった。一方、酸素分
圧の低い10-3Torrまたは10-5Torrで温度の
低い843℃での熱処理条件下(比較体1,2)では、
24時間の加熱によりθ−アルミナが生成してしまっ
た。これに対し、酸素分圧の低い10-3Torrまたは
10-5Torrで温度の高い1121℃での熱処理条件
下(試験体1,2)では、1時間の加熱によりα−アル
ミナ層の生成が確認された。
【0028】なお、843℃で生成したθ−アルミナが
約900℃を境にα−アルミナ層へ変化することから、
α−アルミナ層を生成させるためには少なくとも900
℃以上での熱処理が必要と考えられる。
【0029】次に、耐久性を確認するため、次のような
熱サイクル試験を行った。試験体は、直径10mm、長
さ65mmのIN738LC製の基材の中央部35mm
に上述の製造方法にしたがって結合層および遮熱層を形
成した。なお、結合層形成後のα−アルミナ層生成のた
めの熱処理条件は、10-5Torrの環境下、1121
℃×2時間とし、さらに、遮熱層形成後に843℃×2
4時間の時効熱処理を行った(試験体3)。
【0030】また、比較体として、結合層形成前に11
21℃×2時間の熱処理を行い、結合層形成後と遮熱層
形成前との間には熱処理を行わず、遮熱層形成後に84
3℃×24時間の時効熱処理を実施したもの(比較体
5)を用いた。
【0031】試験方法は、流動床炉において、60℃か
ら1000℃まで3分間で加熱した後、1000℃から
60℃まで圧縮空気を吹き付けて6分間で冷却すること
を亀裂や剥離が認められるまで繰り返し、その亀裂や剥
離の発生するまでの回数を求めた。その結果を表2に示
す。
【0032】
【表2】
【0033】表2からわかるように、α−アルミナ層を
形成した試験体3は、α−アルミナ層のない比較体5の
約4倍以上の耐熱サイクル性を有し、その耐久性が優れ
ることを確認できた。
【0034】本発明による高温部材およびその製造方法
を産業用ガスタービンの静翼に適用する場合の実施の形
態を図2を用いて説明する。なお、図2は、その構造を
表す断面図である。ただし、前述した実施の形態と同様
な部分については、その説明を省略する。
【0035】図2に示すように、高温部材の基材21の
表面には、結合層22が形成されている。結合層22上
には、α−アルミナ層23が形成されている。α−アル
ミナ層23上には、遮熱層24が形成されている。
【0036】このような高温部材においては、基材21
の表面に低圧プラズマ溶射法により結合層22を形成し
た後、金属製ヒータ使用の抵抗加熱式の加熱炉を用いて
900℃以上で1〜48時間の熱処理を真空環境下(1
-5〜10-3Torr)で行うことにより、結合層22
上にα−アルミナ層23を形成し、続いて、大気プラズ
マ溶射法により遮熱層24を形成することにより、容易
に製造することができる。
【0037】つまり、本実施の形態では、金属製ヒータ
使用の抵抗加熱式の加熱炉を用いて加熱するようにして
いるのである。
【0038】なぜなら、α−アルミナ層がエネルギ的に
最も安定に存在できる900℃以上の温度で上述した熱
処理を行う場合、酸素分圧が高いと、成長速度の大きい
スピネル酸化物が優先的に生成してしまうことから、酸
素分圧の低い真空環境下で熱処理することにより、スピ
ネル酸化物の生成を抑えてα−アルミナを生成させるよ
うにする必要があるものの、炭素を抵抗線とした抵抗加
熱式の加熱炉または炭素に誘導電流を流してその電気抵
抗によるジュール熱により加熱を行う高周波加熱式の加
熱炉を用いて加熱すると、高温の炭素が共存する状態で
熱処理を行うことになってしまい、炭素による還元作用
でα−アルミナ層はもちろんのこと、酸化物がなんら生
成しなくなってしまうのである。
【0039】したがって、このような高温部材およびそ
の製造方法によれば、緻密であると共に高温環境下での
長時間の使用に伴う成長速度の遅いα−アルミナ層23
が結合層22と遮熱層24との間に形成されるので、高
温環境下での長時間の使用でも高耐久性が発現されるよ
うになる。
【0040】なお、産業用ガスタービンの静翼に使用さ
れる材料のうち、ECY768は、材質調整のための熱
処理条件が定まっていないものの、材質調整のための熱
処理条件が定まっているIN939などのNi基超合金
は、その溶体化もしくは安定化熱処理とα−アルミナ層
23を形成するための熱処理とを兼ねて行うことができ
る。また、前述した実施の形態の場合と同様に、遮熱層
形成後、時効熱処理が行われる。
【0041】続いて、産業用ガスタービンの静翼に適用
する場合における効果を確認するため、次のような確認
試験を行った。
【0042】産業用ガスタービンの静翼に一般に使用さ
れるECY768(典型組成:23.5Cr−10Ni
−7W−3.5Ta−0.25Ti−0.18Al−
0.60C−残りCo)を基材に用いた。
【0043】結合層は、CoNiCrAlY(典型組
成:31〜33Ni−20〜22Cr−7〜9Al−
0.35〜0.65Y−残りCo)を低圧プラズマ溶射
法により厚さ0.1mmに形成した。なお、耐久性が低
下してしまう可能性を有するものの、製造コストを抑え
ることができるため、HVOF(High Velocity Oxi-Fu
el Flame Spray:超高速フレーム溶射)法により結合層
を形成することも可能である。
【0044】遮熱層は、イットリア安定化ジルコニア
(典型組成:8Y2 3 −ZrO2 )を大気プラズマ溶
射法により厚さ0.3mmに形成した。
【0045】なお、結合層の形成前にアルミナブラスト
により基材の表面汚れ除去及び粗面化を行った。
【0046】まず、初めに、結合層からα−アルミナ層
を生成させるのに適切な熱処理条件を求めた。
【0047】具体的には、表3に示した熱処理温度、雰
囲気、時間、加熱炉ヒータ線材質の各条件で熱処理を行
って高温部材を製作した後、X線回折法により、生成酸
化物の同定および断面組織の観察を行った。
【0048】
【表3】
【0049】表3からわかるように、酸素分圧の高い大
気中での熱処理条件下(比較体8,9)では、850℃
および1080℃の両者共にα−アルミナ層が生成せ
ず、スピネル酸化物が生成してしまった。一方、カーボ
ンヒータ使用の加熱炉を用いた真空環境で1080℃×
2時間の加熱を行う熱処理条件下(比較体6)では、い
ずれの酸化物も同定されなかった。さらに、金属製(モ
リブデン)ヒータ使用の加熱炉を用いた真空環境で85
0℃×24時間の加熱を行う熱処理条件下(比較体7)
では、θ−アルミナが生成してしまった。これに対し、
金属製(モリブデン)ヒータ使用の加熱炉を用いた真空
環境で1080℃×2時間の加熱を行う熱処理条件下
(試験体4)では、α−アルミナ層の生成が確認され
た。
【0050】なお、生成するアルミナの種類は、一般に
約900℃を境にθ−アルミナからα−アルミナ層へ変
化する。よって、α−アルミナ層を生成させるために
は、カーボンヒータのような還元作用のないヒータ線使
用の加熱炉を用いて少なくとも900℃以上で熱処理す
る必要がある。
【0051】次に、耐久性を確認するため、次のような
熱サイクル試験を行った。試験体は、直径10mm、長
さ65mmのECY768製の基材の中央部35mmに
上述の製造方法にしたがって結合層および遮熱層を形成
した。なお、結合層形成後のα−アルミナ層生成のため
の熱処理条件は、金属製ヒータ使用の加熱炉で真空環境
下、1080℃×2時間とし、さらに、結合層と遮熱層
との密着性向上を図るため、遮熱層形成後に850℃×
24時間の時効熱処理を行った(試験体5)。
【0052】また、比較体として、金属製ヒータ使用の
加熱炉に代えてカーボンヒータ使用の加熱炉を用いたも
の(比較体10)と、結合層形成前に1080℃×2時
間の熱処理を行い、結合層形成後と遮熱層形成前との間
には熱処理を行わず、遮熱層形成後に850℃×24時
間の時効熱処理を実施したもの(比較体11)を製造し
た。
【0053】試験方法は、流動床炉において、60℃か
ら1000℃まで3分間で加熱した後、1000℃から
60℃まで圧縮空気を吹き付けて6分間で冷却すること
を亀裂や剥離が認められるまで繰り返し、その亀裂や剥
離の発生するまでの回数を求めた。その結果を表4に示
す。
【0054】
【表4】
【0055】表4からわかるように、α−アルミナ層を
形成した試験体5は、α−アルミナ層のない比較体1
0,11の約2〜3倍以上の耐熱サイクル性を有し、そ
の耐久性が優れることを確認できた。
【0056】
【発明の効果】本発明による高温部材は、金属からなる
基材と、前記基材の表面に設けられてMCrAlYから
なる結合層と、前記結合層の表面に設けられたα−アル
ミナ層と、前記α−アルミナ層の表面に設けられて酸化
物系セラミックスからなる遮熱層とを備えてなることか
ら、緻密であると共に高温環境下での長時間の使用に伴
う成長速度の遅いα−アルミナ層が結合層と遮熱層との
間に存在するので、高温環境下での長時間の使用でも高
耐久性が発現されるようになる。
【0057】一方、本発明による高温部材の製造方法
は、金属からなる基材の表面に、MCrAlYからなる
結合層を設けた後、真空環境下、900℃以上で熱処理
を行うことにより、当該結合層の表面にα−アルミナ層
を形成し、続いて、当該α−アルミナ層の表面に、酸化
物系セラミックスからなる遮熱層を設けるようにしたこ
とから、高温環境下での長時間の使用でも高耐久性を発
現することができる高温部材を簡単に製造することがで
きる。また、上述の熱処理は、基材の溶体化もしくは安
定化時効熱処理と兼ねることができるので、コストの上
昇なしに高温部材の耐久性を向上させることができる。
【0058】また、金属製ヒータ使用の加熱炉を用いて
前記熱処理を行えば、結合層の表面にα−アルミナ層を
確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高温部材を産業用ガスタービンの
動翼に適用する場合の実施の形態の構造を表す断面図で
ある。
【図2】本発明による高温部材を産業用ガスタービンの
静翼に適用する場合の実施の形態の構造を表す断面図で
ある。
【図3】従来の高温部材の構造を表す断面図である。
【符号の説明】
11,21 基材 12,22 結合層 13,23 α−アルミナ層 14,24 遮熱層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 28/00 C23C 28/00 A (72)発明者 西浦 由希子 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂製作所内 (72)発明者 守屋 慶一 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 Fターム(参考) 4K031 AA02 AA04 AB03 AB08 CB22 CB26 CB27 CB42 DA04 EA10 FA01 FA10 4K044 AA01 AB10 BA02 BA06 BA10 BA12 BB04 BB11 BC11 CA11 CA62

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属からなる基材と、 前記基材の表面に設けられてMCrAlYからなる結合
    層と、 前記結合層の表面に設けられたα−アルミナ層と、 前記α−アルミナ層の表面に設けられて酸化物系セラミ
    ックスからなる遮熱層とを備えてなることを特徴とする
    高温部材。
  2. 【請求項2】 金属からなる基材の表面に、MCrAl
    Yからなる結合層を設けた後、真空環境下、900℃以
    上で熱処理を行うことにより、当該結合層の表面にα−
    アルミナ層を形成し、続いて、当該α−アルミナ層の表
    面に、酸化物系セラミックスからなる遮熱層を設けるよ
    うにしたことを特徴とする高温部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 金属製ヒータ使用の加熱炉を用いて前記
    熱処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の高温部
    材の製造方法。
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