JP2000015092A - 排ガス処理用吸着剤、排ガス処理方法及び装置 - Google Patents

排ガス処理用吸着剤、排ガス処理方法及び装置

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JP2000015092A
JP2000015092A JP10187167A JP18716798A JP2000015092A JP 2000015092 A JP2000015092 A JP 2000015092A JP 10187167 A JP10187167 A JP 10187167A JP 18716798 A JP18716798 A JP 18716798A JP 2000015092 A JP2000015092 A JP 2000015092A
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exhaust gas
adsorbent
gas treatment
harmful substances
adsorption
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JP10187167A
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Nobuki Oka
伸樹 岡
Akinori Yasutake
昭典 安武
Jun Izumi
順 泉
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
  • Treating Waste Gases (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼
却炉等の各種焼却炉、溶融炉等から排出される排ガス中
に含有されるダイオキシン類等の塩素化芳香族化合物等
を無害化するための排ガス処理用吸着剤、排ガス処理方
法及び処理装置を提供する。 【解決手段】 排ガス中の有害物質を吸着する排ガス処
理用吸着剤であって、ペンタシルゼオライト,脱アルミ
ニウムフォージャサイト又はメソポーラスシリケートか
ら少なくとも一種選ばれてなり、SiO2 /Al2 3
モル比が10以上であり、該吸着剤を用いた排ガス処理
装置は、冷却装置13の後流側に設けた排ガス処理用吸
着剤を有する吸着装置14と、有害物質を吸着除去した
排ガスを外部へ排出する煙突15とから構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排ガス中の有害物
質を吸着により除去し、排ガスを浄化する技術に関し、
特に都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等
の各種焼却炉、溶融炉等から排出される排ガス中に含有
されるダイオキシン類等の塩素化芳香族化合物等を無害
化するための排ガス処理用吸着剤、排ガス処理方法及び
処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】都市ゴ
ミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却
炉から排出される排ガス中には、焼却対象物の種類や焼
却条件によって、窒素酸化物の他、ダイオキシン類やP
CB類に代表される有害な塩素化芳香族化合物、高縮合
度芳香族炭化水素等の有害物質が含有されることがあ
り、このような有害物質はいわゆる環境ホルモンと称さ
れている。
【0003】従来、排ガス中に含まれる上記有害物質の
除去のため、脱硝触媒又はダイオキシン類等の分解用触
媒として、チタニア(TiO2 )を担体とし、活性成分
として五酸化バナジウム(V2 5 ),三酸化タングス
テン(WO3 )等の金属酸化物等を少なくとも一つ担持
したものが使用されている。
【0004】上記TiO2 等の触媒は酸化分解触媒であ
るので、ダイオキシン類等の素化芳香族化合物をC
2 ,H2 O,他の塩化物等へ分解するものである。こ
の酸化分解により、ダイオキシン類等は分解されるもの
の、完全に分解されない場合には、ダイオキシン類の前
駆体で止まる場合もある。
【0005】ここで、ダイオキシン前駆体はフェノー
ル,ベンゼン等の芳香族化合物,クロロフェノール,ク
ロロベンゼン等の塩素化芳香族化合物及び塩素化アルキ
ル化合物等である。
【0006】また、従来の酸化触媒では、その比表面積
が50〜80m2 /g程度と小さく、触媒性能を向上さ
せるために、分解温度を高くする必要があるが、400
℃以下の200〜400℃の温度領域ではダイオキシン
類の再生成がなされる場合があり、問題となる。
【0007】すなわち、酸化触媒を用いてダイオキシン
類を分解しても完全に分解されない場合には、ダイオキ
シン類の前駆体の再合成によりダイオキシン類を再度発
生してしまうおそれがある。
【0008】このため、ダイオキシン類の再生成しない
200℃以下の低温におけるダイオキシン類の分解処理
が望まれている。
【0009】一方、吸着による除去では、粉末炭吹込法
という燃焼炉排ガス中に含まれるダイオキシン前駆体
を、排ガス処理工程中で400℃未満になる前の地点
(400℃〜1,000℃、好ましくは400℃〜600
℃)に粉末状のダイオキシン前駆体吸着剤を注入する方
法がとられていた。これは、ダイオキシン前駆体は40
0℃以上ではダイオキシン類になりにくいが、200〜
400℃付近のところではダイオキシン類になりやすい
ため、ダイオキシン前駆体がダイオキシン類に変換され
る前に吸着除去しようとするものである(特開平9−2
20438号公報参照)。
【0010】ここで、吸着剤としては、多孔性吸着剤、
例えばコール炭,やしがら炭,樹脂炭,木質炭,又はピ
ート炭等の活性炭,火山灰,シリカゲル,シラス,クロ
モソルブ等のシリカ系物質,ゼオライト等の粘度鉱物,
アパタイト,骨炭,リン酸アンモニウムマグネシウム造
粒物等のリン酸化合物,サンゴ化石,又は炭酸カルシウ
ム等の炭酸系化合物等が用いられ、特に活性炭,シリカ
ゲル,リン酸アンモニウムマグネシウム造粒物,サンゴ
化石,ゼオライト及び火山灰が好適である。
【0011】しかしながら上記吸着剤はその平均粒径が
数ミリメートル〜500メッシュ程度であるので粉状で
あり、回収が困難である、という問題がある。
【0012】さらに、吸着によるダイオキシン前駆体及
びダイオキシン類の除去では、使用する吸着剤のスクリ
ーニングが十分になされていないため、より高性能な吸
着剤のスクリーニングが必要である。
【0013】本発明は、上記問題に鑑み、ダイオキシン
類等の有害な塩素化芳香族化合物等の有害物質を吸着除
去する排ガス処理用吸着剤,排ガス処理方法及び処理装
置を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する[請
求項1]の発明は、排ガス中の有害物質を吸着する排ガ
ス処理用吸着剤であって、ペンタシルゼオライト,脱ア
ルミニウムフォージャサイト又はメソポーラスシリケー
トから少なくとも一種選ばれてなり、SiO2/Al2
3 モル比が10以上であることを特徴とする。
【0015】[請求項2]の発明は、請求項1におい
て、吸着剤の比表面積が500m2 /g以上であること
を特徴とする。
【0016】[請求項3]の発明は、排ガス中の有害物
質を請求項1又は2の吸着剤に吸着させ、排ガス中の有
害物質を吸着処理することを特徴とする。
【0017】[請求項4]の発明は、請求項3におい
て、上記排ガス中の有害物質がダイオキシン類,ポリ塩
化ビフェニル類,クロルベンゼン類,クロロフェノール
及びクロロトルエンから選ばれる少なくとも一種の塩素
化芳香族化合物であることを特徴とする。
【0018】[請求項5]の発明は、請求項3又は4に
おいて、導入する排ガスの温度を100〜400℃とし
たことを特徴とする。
【0019】[請求項6]の発明は、排ガス中の有害物
質を浄化する排ガス処理装置であって、排ガス中の煤塵
を除塵する除塵装置と、該除塵装置の後流側に設けた請
求項1又は2の排ガス処理用吸着剤を有する吸着装置と
からなることを特徴とする。
【0020】[請求項7]の発明は、排ガスを浄化する
排ガス処理装置であって、請求項1又は2の排ガス処理
用吸着剤を有する吸着装置と、該吸着装置の後流側に設
けた排ガス中の煤塵を除塵する除塵装置とからなること
を特徴とする。
【0021】[請求項8]の発明は、請求項5又は6に
おいて、上記吸着装置に導入する排ガスの温度を100
〜400℃としたことを特徴とする。
【0022】また、請求項1又は2において、カチオン
種として、ナトリウム,カリウム,カルシウム,リチウ
ム等から選ばれる少なくとも一種を有するものとしても
よい。
【0023】さらに、請求項1又は2において、銅,
鉄,ニッケル,コバルト等から選ばれる少なくとも一種
の活性金属を有するものとしてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】本発明に係る排ガス処理用吸着剤は、ダイ
オキシン前駆体及びダイオキシン類を吸着するのに好適
なゼオライト系吸着剤及びメソ多孔質体吸着剤であり、
人工的に合成したものが好ましく、具体的には、ペンタ
シルゼオライト,脱アルミニウムフォージャサイト又は
メソポーラスシリケートから選ばれてなり、SiO2
Al2 3 モル比が10以上である。
【0026】ここで、高シリカ系合成ゼオライトは、天
然ゼオライトと比較して、一般的に 疎水性大、耐熱性大、強度大、比表面積大とい
った特徴がある。また、メソポーラスシリケートは合成
のみによって得られているが、その組成を高シリカにす
ることにより、低シリカ系と比較して、高シリカ系合成
ゼオライトと同様な特徴を持つようになる。
【0027】上記高シリカペンタシルゼオライトは、例
えばZSM−5ゼオライト(Na3Al3Si93O192・13H2O),
シリカライトを挙げることができる。上記ZSM−5
は、SiO2 /Al2 3 モル比が25〜100であ
り、シリカライトは、SiO2 /Al2 3 モル比が1
00〜∞のものである。また、比表面積はZSM−5,
シリカライト共に〜650m2 /g程度であるが、好適
には500m2 /g以上のものが好ましい。
【0028】上記脱アルミニウムフォージャサイトは、
SiO2 /Al2 3 モル比5程度のY型ゼオライトを
アンモニア水で処理することによりゼオライト骨格のA
lの大半を除去して得られるUSY(超安定Y型ゼオラ
イト)を挙げることができる。上記脱アルミニウムフォ
ージャサイトのSiO2 /Al2 3 モル比は、5〜4
00のものであり、比表面積は〜850m2 /g程度で
あるが、好適には500m2 /g以上のものが好まし
い。
【0029】上記メソポーラスシリケートは、10〜1,
000Åのメソ孔を有するシリカ系多孔質体であり、S
iO2 /Al2 3 モル比が10から∞(Al2 3
が0又は極めて0に近いもの)のものである。比表面積
は650〜1,650m2 /g程度である。これは活性炭
の比表面積(〜1,000m2 /g)よりも大きいものが
得られていることが特徴である。
【0030】これらの吸着剤の形状は、通常使用目的に
応じて粒状、ペレット状,ラシヒリング状,ハニカム状
など任意の形状に成形して適宜使用できるが、本発明の
ように、排ガスを吸着する場合には、粒状,ペレット
状,ハニカム状が好ましい。
【0031】また、ペンタシルゼオライト,脱アルミニ
ウムフォージャサイト又はメソポーラスシリケート等の
吸着剤において、カチオン種としては、特に限定される
ものではないが、例えばナトリウム,カリウム,カルシ
ウム,リチウム等から選ばれる少なくとも一種を挙げる
ことができる。
【0032】さらに、上記カチオン種の代わりに、銅,
鉄,ニッケル,コバルト,チタン,ジルコニウム,ヴァ
ナジウム,タングステン,モリブデン等から選ばれる少
なくとも一種の活性金属を有するようにして、該活性金
属の触媒作用により有害物質を分解処理し、本発明の本
来の吸着作用と分解作用とを併用するようにしてもよ
い。なお、塩基性物質(例えばアンモニア等)を存在さ
せ、還元反応により窒素酸化物等を分解処理するように
してもよい。ここで、本発明で処理される窒素酸化物と
は、通常NO及びNO2 の他、これらの混合物をいい、
NOxとも称されているものである。
【0033】ここで、本発明の吸着剤で吸着処理する排
ガスの対象としては都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却
炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉、溶融炉等から排出され
る排ガスや、ゴミ固化燃料(RDF)製造プラント等の
各種プラント、その他一般の化学合成施設からの排ガス
等が対象となり、特に限定されるものではない。
【0034】上記排ガス中の有害物質とは、窒素酸化物
の他、ダイオキシン前駆体及びダイオキシン類やPCB
類に代表される有害な塩素化芳香族化合物、高縮合度芳
香族炭化水素等の有害物質をいうが、本発明の吸着作用
により吸着処理できる排ガス中の有害物質(又は環境ホ
ルモン)であればこれらに限定されるものではない。
【0035】ここで、上記ダイオキシン類とは、ポリ塩
化ジベンゾ−p−ダイオキシン類(PCDDs)及びポ
リ塩化ジベンゾフラン類(PCDFs)の総称であり、
塩素系化合物とある種の有機塩素化合物の燃焼時に微量
発生するといわれ、化学的に無色の結晶である。塩素の
数によって一塩化物から八塩化物まであり、異性体には
PCDDsで75種類、PCDFsで135種類におよ
び、これらのうち、特に四塩化ジベンゾ−p−ダイオキ
シン(TCDD)は、最も強い毒性を有するものとして
知られている。なお、有害な塩素化芳香族化合物として
は、ダイオキシン類の他にその前駆体となる種々の有機
塩素化合物(例えば、フェノール,ベンゼン等の芳香族
化合物(例えばクロルベンゼン類,クロロフェノール及
びクロロトルエン等)、塩素化アルキル化合物等)が含
まれており、排ガス中から除去する必要がある。
【0036】また、PCB類(ポリ塩化ビフェニル類)
はビフェニールに塩素原子が数個付加した化合物の総称
であり、塩素の置換数、置換位置により異性体がある
が、2,6−ジクロロビフェニル、2,2'−ジクロロビ
フェニル、2,3,5−トリクロロビフェニル等が代表
的なものであり、毒性が強く、焼却した場合にはダイオ
キシン類が発生するおそれがあるものとして知られてお
り、排ガス中から除去する必要がある。
【0037】また、上記有機塩素化合物以外に、排ガス
中には、例えば高縮合度芳香族炭化水素等や、ホルムア
ルデヒド,ベンゼン又はフェノールのような気体状有機
化合物を含む排ガスが発生することもある。これらの有
機化合物もまた、環境汚染物質であり、人間の健康を著
しく損ねるので、排ガスから除去する必要があるが、ゼ
オライト本来の吸着作用によりこれらの有害物質も除去
が可能となる。
【0038】以下、上記吸着剤を用いて排ガス中の有害
物質を吸着塔に充填し上記吸着剤に吸着させ、排ガス中
の有害物質を吸着により除去する排ガス処理方法につい
て説明する。
【0039】この排ガス処理方法は、特に排ガス中の有
害物質がダイオキシン類,ポリ塩化ビフェニル類,クロ
ルベンゼン類,クロロフェノール及びクロロトルエンか
ら選ばれる少なくとも一種の塩素化芳香族化合物を吸着
除去するものである。また、この排ガス処理方法で使用
する排ガス処理装置は、図1に示すように、焼却炉11
から排出される排ガス12を冷却するガス冷却装置13
と、冷却装置13の後流側に設けた排ガス処理用吸着剤
を有する吸着装置14と、有害物質を吸着除去した排ガ
スを外部へ排出する煙突15とから構成される。
【0040】上記吸着装置11は、ペンタシルゼオライ
ト,脱アルミニウムフォージャサイト又はメソポーラス
シリケート等の吸着剤のいずれか一種又は混合したもの
を充填してなる。
【0041】また、上記吸着装置に導入する排ガスの温
度は、本発明では100〜400℃、好ましくは100
〜200℃としている。これは、排ガスの温度が低温で
あればダイオキシン類の再合成が進行しないので好まし
いからである。
【0042】図2〜図5に上記吸着剤を用いた排ガス処
理装置の概略の一例を示すが、本発明の吸着剤を用いた
処理装置はこれに何ら限定されるものではない。
【0043】図2に示すように、他の処理装置として
は、図1に示す装置において、ガス冷却装置13と吸着
装置14との間に、排ガス除塵装置16を設け、吸着装
置14に導入する前の排ガス中の煤塵を除去するように
している。上記除塵装置16としては、例えば電気除塵
装置,バグフィルタ等の煤塵処理装置を用いている。
【0044】図3に示すように、他の処理装置として
は、図2に示す装置において、吸着装置14と煙突15
との間に、脱硝装置17を設け、吸着装置14でダイオ
キシン類等の有害物質を吸着除去した後に、窒素酸化物
等を分解除去するようにしている。
【0045】また、図4,5に示す位置に脱硝装置17
を吸着装置14の焼却炉11の後流側や、排ガス除塵装
置16の後流側につけるようにしている。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】[実施例1]吸着剤として高シリカペンタ
シルゼオライト,脱アルミニウムフォージャサイト,メ
ソポーラスシリケートを対象として、それぞれの組成を
変更したモデルにより上記有害物質の吸着量の測定を行
った。それぞれの吸着剤の組成は、高シリカペンタシル
ゼオライトはSiO2 /Al 2 3 モル比30(UOP
社製ZSM−5,粒径1.5mmφ)及び400(UOP
社製シリカライト,粒径1.5mmφ),Y型ゼオライト
はSiO2 /Al2 3 モル比5(UOP社製,粒径1.
5mmφ)のものを使用した。脱アルミニウムフォージ
ャサイトは70(UOP社製,USY,粒径1.5mm
φ)、メソポーラスシリケートはSiO2 /Al2 3
モル比20(粒径1.5mmφ)及び∞(粒径1.5mm
φ)のものを使用し、電荷を中和させるためのカチオン
種はNaを使用した。
【0048】吸着量の測定は下記要領で実施した。ダイ
オキシン類のモデル代用ガスとして代表的なO−ジクロ
ロベンゼンを用い、該O−ジクロロベンゼンの各種ゼオ
ライト系吸着剤への吸着量を測定した。O−ジクロロベ
ンゼンを入れた集気瓶を低温恒温槽を用いて−25℃に
冷却し、ヘリウムガスにより気化させ、10ppmにな
るように調整した。試験開始前にヘリウム雰囲気にて吸
着剤を150℃まで加熱し1時間放置して吸着剤の前処
理を行った。
【0049】試験は、石英管中央部に吸着剤を0.5〜1
0g充填し、10ppmのO−ジクロロベンゼンをバラ
ンスガスとしてのヘリウムとともに、外周にヒーターを
設けた石英管の入口から導入し、出口ガスのO−ジクロ
ロベンゼン濃度を経時的に常圧で測定した。測定条件は
温度を100℃とし、SV(空塔速度)を20,000h
-1とした。また、m−クロロフェノールに関しても同様
の試験を実施した。
【0050】吸着量測定結果を図6に示す。吸着量は石
英管出口の濃度の経時変化を追跡した破過曲線の面積よ
り算出した。
【0051】ダイオキシン前駆体またはダイオキシン模
擬物質として、O−ジクロロベンゼン,m−クロロフェ
ノールの各種ゼオライト系吸着剤及びメソポーラスシリ
ケートへの吸着量を実験により測定した。条件として
は、排ガス処理工程中で400℃未満となる過程での処
理、好ましくは200℃以下の条件下での実験である。
各種吸着剤は図6に示す様にダイオキシン前駆体または
ダイオキシン模擬物質を吸着した。
【0052】本実験結果によると、SiO2 /Al2
3 モル比10以上好ましくは30以上の高シリカ系合成
ゼオライトであるペンタシルゼオライト(ZSM−5,
シリカライト)及びUSYが、天然ゼオライトやY型ゼ
オライトに比べて、高い吸着能を有することが判明し
た。また、メソポーラスシリケートでは、SiO2 /A
2 3 モル比20以上で高シリカペンタシルゼオライ
トやUSYより高い吸着能を有することが判明した。
【0053】[実施例2]次に、分子シミュレーション
により、実験と同条件でO−ジクロロベンゼン,m−ク
ロロフェノールの各種ゼオライトへの吸着量を計算し
た。
【0054】ここで、上記分子シミュレーションとは、
物質を原子・分子などの粒子からなる系とみなし、多数
の粒子を含む系についてシミュレーション計算を行うこ
とをいい、古典力学や量子力学,統計力学等に基づいた
原子・分子レベル或いは電子レベルで物質の物性を算出
するシミュレーション計算のことである。代表的な手法
は、分子動力学法,分子力学法,モンテカルロ法,分子
軌道法であり、物質の構造、動的挙動,電子状態等を計
算することができる。
【0055】上記分子シミュレーションは、系のミクロ
な性質を実験で扱うマクロな量に直接繋ぐことができ、
得られた情報は様々な分野で重要である。また、実験を
行うのが難しい高温や高圧条件等での情報をアンサンブ
ル(統計集団)を設定することにより得ることができ
る。
【0056】ここで、上記分子力学法は有限の個数の原
子からなる分子の構造とエネルギーを最適化するシミュ
レーション法である。また、モンテカルロ法は、確率的
手法を用いるシミュレーション法である。この方法では
物質の静的な情報を計算することができ、統計力学に基
づく様々なアンサンブルに適用できるという長所があ
る。
【0057】中でもグランドカノニカルアンサンブルに
よるモンテカルロ法は粒子数を変数としているので、吸
着シミュレーションの様な多相系(気体+固体,気体+
液体)に対応できる。本発明では、このグランドカノニ
カルアンサンブルによるモンテカルロ法を使用し、吸着
量を推算した。グランドカノニカルアンサンブルは各粒
子の化学ポテンシャル,系の体積,系の温度を一定とす
るアンサンブルなので、粒子数を変数とする吸着量算出
のシミュレーションに対応できる。
【0058】本発明での計算は、ゼオライト系吸着剤と
吸着除去するための有害物質を Cerius2/Visualizer
(商品名)上でモデル化し、 Cerius2/Minimizer (商
品名)上で分子力学計算を実施し構造最適化を行った
後、 Cerius2/Sorption(商品名)上でグランドカノニ
カルアンサンブルモンテカルロ法計算を実施し、モデル
化したゼオライト系吸着剤に吸着する有害物質の吸着量
を推算した。
【0059】使用ソフトは市販材料設計支援ソフト米国
BIOSYM/Molecular Simulations 社のCERIUS2 Ver.3.0
(商品名)を用いた。このソフトをSiliconGraphics 社
製Indigo2 Solid Impact R10000 (商品名)にインスト
ールし計算した。この分子シミュレーションによる前述
したゼオライト系吸着剤及びメソポーラスシリケートへ
のO−ジクロロベンゼン,m−クロロフェノールの吸着
量を推算した結果、誤差10%以内で実験値と計算値が
一致した。
【0060】引き続き、有害物質であるダイオキシン類
の中でも特に毒性が強いとされている、四塩化ジベンゾ
−p−ダイオキシン(TCDD)及び四塩化ジベンゾフ
ラン(TCDF)の同様な分子シミュレーションによる
吸着量の推算を行った。
【0061】この結果を図7に示す。O−ジクロロベン
ゼン,m−クロロフェノールと同様に、ゼオライト系吸
着剤の中でもシリカライト,USY,ZSM−5をはじ
めとするSiO2 /Al2 3 モル比の大きな疎水性ゼ
オライトがダイオキシン類の吸着性能が良い。またSi
2 /Al2 3 モル比が大きく、比表面積の大きなメ
ソポーラスシリケートも良いと推算された。
【0062】従って、本発明者らの実験及び計算結果に
よれば、SiO2 /Al2 3 モル比の大きな高シリカ
ペンタシルゼオライト、好ましくはSiO2 /Al2
3 モル比が30以上のもの、SiO2 /Al2 3 モル
比の大きな脱アルミニウムフォージャサイト、好ましく
はSiO2 /Al2 3 モル比が70以上のもの、ま
た、メソ多孔質体であるメソポーラスシリケート、好ま
しくはそのSiO2 /Al2 3 モル比が20以上のも
のが、ダイオキシン前駆体及びダイオキシン類,PCB
類(ポリ塩化ビフェニル類)、等の有害物質を吸着除去
するのに好適な吸着剤である。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の「請求項
1]の発明によれば、排ガス中の有害物質を吸着する排
ガス処理用吸着剤であって、ペンタシルゼオライト,脱
アルミニウムフォージャサイト又はメソポーラスシリケ
ートから選ばれてなり、SiO 2 /Al2 3 モル比が
10以上であるので、排ガス中の有害物質を吸着処理で
き排ガスを浄化することができる。
【0064】[請求項2]の発明によれば、請求項1に
おいて、吸着剤の比表面積が500m2 /g以上である
ので、効率的な吸着除去が可能となる。
【0065】[請求項3]の発明によれば、排ガス中の
有害物質を請求項1又は2の吸着剤に吸着させ、排ガス
中の有害物質を吸着処理するので、排ガス中の有害物質
を分解処理することができる。
【0066】[請求項4]の発明によれば、特に、上記
排ガス中の有害物質がダイオキシン類,ポリ塩化ビフェ
ニル類,クロルベンゼン類,クロロフェノール及びクロ
ロトルエンから選ばれる少なくとも一種の塩素化芳香族
化合物を分解処理することができる。
【0067】[請求項5]の発明によれば、請求項3又
は4において、導入する排ガスの温度を100〜400
℃としたので、低温においても排ガスを吸着除去でき
る。
【0068】[請求項6]の発明によれば、排ガス中の
有害物質を浄化する排ガス処理装置であって、排ガス中
の煤塵を除塵する除塵装置と、該除塵装置の後流側に設
けた請求項1又は2の排ガス処理用吸着剤を有する吸着
装置とからなるので、吸着効率が高い吸着剤により排ガ
ス中のダイオキシン類,ダイオキシン類の前駆体,PC
B等の塩素化芳香族化合物、高縮合度芳香族炭化水素の
吸着処理が可能となる。
【0069】[請求項7]の発明によれば、排ガス中の
有害物質を浄化する排ガス処理装置であって、請求項1
又は2の排ガス処理用吸着剤を有する吸着装置と、該吸
着装置の後流側に設けた排ガス中の煤塵を除塵する除塵
装置とからなるので、吸着効率が高い吸着剤により排ガ
ス中のダイオキシン類,ダイオキシン類の前駆体,PC
B等の塩素化芳香族化合物、高縮合度芳香族炭化水素の
吸着処理が可能となる。
【0070】[請求項8]の発明によれば、請求項5又
は6において、上記吸着装置に導入する排ガスの温度を
100〜400℃としたので、低温で排ガス中の有害物
質の分解除去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【図2】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【図3】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【図4】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【図5】排ガス処理装置の一例を示す概略図である。
【図6】各種吸着剤の吸着量測定結果を示す図である。
【図7】分子シミュレーションによる吸着量測定結果を
示す図である。
【符号の説明】
11 焼却炉 12 排ガス 13 ガス冷却装置 14 吸着装置 15 煙突 16 排ガス除塵装置 17 脱硝装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 39/36 (72)発明者 泉 順 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 Fターム(参考) 4D002 AA21 AC04 BA04 DA45 EA01 EA05 FA01 GA01 GB03 4G066 AA61B BA09 BA20 BA26 BA36 CA33 DA02 FA21 FA37 4G073 CZ03 CZ12 FA13 GA12 UA05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排ガス中の有害物質を吸着する排ガス処
    理用吸着剤であって、 ペンタシルゼオライト,脱アルミニウムフォージャサイ
    ト又はメソポーラスシリケートから少なくとも一種選ば
    れてなり、SiO2 /Al2 3 モル比が10以上であ
    ることを特徴とする排ガス処理用吸着剤。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 吸着剤の比表面積が500m2 /g以上であることを特
    徴とする排ガス処理用吸着剤。
  3. 【請求項3】 排ガス中の有害物質を請求項1又は2の
    吸着剤に吸着させ、排ガス中の有害物質を吸着処理する
    ことを特徴とする排ガス処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 上記排ガス中の有害物質がダイオキシン類,ポリ塩化ビ
    フェニル類,クロルベンゼン類,クロロフェノール及び
    クロロトルエンから選ばれる少なくとも一種の塩素化芳
    香族化合物であることを特徴とする排ガス処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4において、 導入する排ガスの温度を100〜400℃としたことを
    特徴とする排ガス処理方法。
  6. 【請求項6】 排ガス中の有害物質を浄化する排ガス処
    理装置であって、 排ガス中の煤塵を除塵する除塵装置と、該除塵装置の後
    流側に設けた請求項1又は2の排ガス処理用吸着剤を有
    する吸着装置とからなることを特徴とする排ガス処理装
    置。
  7. 【請求項7】 排ガス中の有害物質を浄化する排ガス処
    理装置であって、 請求項1又は2の排ガス処理用吸着剤を有する吸着装置
    と、該吸着装置の後流側に設けた排ガス中の煤塵を除塵
    する除塵装置とからなることを特徴とする排ガス処理装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項5又は6において、上記吸着装置
    に導入する排ガスの温度を100〜400℃としたこと
    を特徴とする排ガス処理装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003053132A (ja) * 2001-08-13 2003-02-25 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 排ガス処理剤及びこれを利用する排ガス処理設備
JP2009047593A (ja) * 2007-08-21 2009-03-05 Sharp Corp 多孔質構造体を用いた特定ガス成分濃縮装置、及び特定ガス成分検出装置
JP2012517343A (ja) * 2009-02-25 2012-08-02 エルジー・ハウシス・リミテッド 触媒体及びこれを使用したホルムアルデヒドの除去方法
WO2014192674A1 (ja) * 2013-05-29 2014-12-04 株式会社Nttドコモ 皮膚ガス測定装置および皮膚ガス測定方法

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