JP2000012703A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法

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JP2000012703A
JP2000012703A JP10170781A JP17078198A JP2000012703A JP 2000012703 A JP2000012703 A JP 2000012703A JP 10170781 A JP10170781 A JP 10170781A JP 17078198 A JP17078198 A JP 17078198A JP 2000012703 A JP2000012703 A JP 2000012703A
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semiconductor device
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impurity
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JP10170781A
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Katsuya Nozawa
克弥 能澤
Minoru Kubo
実 久保
Toru Saito
徹 齋藤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
  • Junction Field-Effect Transistors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリア生成用不純物を高濃度に含む領域の
上のスペーサー層におけるドーパントガスの残留分圧に
起因する不純物の混入を防止する。 【解決手段】 HCMOSにおいて、SiGeバッファ
層3の上に、SiGeからなるn型高濃度ドープ層4
と、SiGeからなるスペーサー層5と、Siからなる
nチャネル層6とが設けられている。SiGeバッファ
層3及びスペーサー層5におけるGe組成率は10%で
あり、n型高濃度ドープ層4におけるGe組成率は20
%である。SiGe層中のGe組成率を20%から10
%に低減することにより、SiGe層中の不純物濃度を
1/5程度に低減することができることから、スペーサ
ー層5におけるキャリア生成用不純物の濃度を低減する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に半導体装置の
製造工程における技術、特に不純物ドーピング技術とそ
れを用いて作成される半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスの製造工程において、シ
リコン単結晶層やポリシリコン層などの半導体層に不純
物をドーピングする技術はデバイス中の素子の特性を決
定づける上で非常に重要な位置を占めている。その理由
は、素子内における不純物の濃度分布などが素子の特性
を大きく左右するためである。すなわち、高い性能を有
する素子を得るためには、ドーパントの濃度や濃度の空
間的分布を可能な限り高精度に制御することが必要であ
る。そこで、所望の不純物濃度や不純物の濃度分布を得
るために、これまで様々なドーピング技術が開発されて
きた。
【0003】ここで、現在、高性能素子を形成するため
のドーピング技術の1つとして、ドーピングされるべき
結晶をエピタキシャル成長させる時に、不純物も同時供
給させてやり、結晶成長させながらドーピングも同時に
行なうというin-situ ドーピング技術がある。この方法
によると、不純物の濃度分布を高い精度で制御すること
が可能である。すなわち、in-situ ドーピングにおいて
は、成長速度を制限してやれば、原子層オーダーで組成
制御を行なうことが原理的には可能である。また、不純
物を半導体層内に結晶格子の構成要素として取り込みな
がら導入できるので、基本的には、イオン注入法のごと
く結晶格子内の半導体原子と注入イオンとの置換を行な
う(活性化の)ための熱処理は不要である。さらに、半
導体層の表面付近の浅い領域に高濃度の不純物をドープ
する場合でも、深い領域にドープする場合とほぼ同様の
成長時間で良い。つまり、イオン注入法のごとくイオン
注入エネルギーを変える必要はない。
【0004】かかるin-situ ドーピング技術の特徴を生
かしたデバイスとしては、種々のヘテロデバイスを挙げ
ることができる。ヘテロデバイスとは、本来互いにバン
ドギャップ値の異なる複数の半導体結晶層を積層するこ
とにより高性能の素子を得ようとするものである。その
ため、ヘテロデバイスの作成にはヘテロエピタキシャル
成長技術を用いるのが一般的であり、このエピタキシャ
ル成長の際に不純物原子を添加すれば容易に所望の不純
物濃度分布を実現できる。したがって、in-situ ドーピ
ング技術はヘテロデバイス内の不純物濃度を制御するた
めに適した技術といえる。
【0005】例えば、in-situ ドーピング技術が重要な
意味を持つヘテロデバイスの例として、ヘテロ電界効果
トランジスタを挙げることができる。ヘテロ電界効果ト
ランジスタは、ヘテロ接合により発生したエネルギーバ
ンドの不連続部(ヘテロ界面)にキャリアを蓄積して、
これをチャネル領域として利用する素子である。
【0006】図5は、文献1(Sadek ら IEEE Transact
ions on electron devices Vol.43No.8 p.1224-1232)
により報告されているヘテロ電界効果トランジスタの1
種であるHCMOSの断面図である。同図に示すよう
に、Si基板61の上には、SiGe緩和バッファ層6
2と、SiGeバッファ層63と、n型高濃度ドープ層
64と、スペーサー層65と、nチャネル層66と、p
チャネル層67と、Siキャップ層68と、ゲート絶縁
膜69とが順次掲載されている。また、基板上には、n
チャネル型電界効果トランジスタ(以下、n−HMOS
と呼ぶ),pチャネル型電界効果トランジスタ(以下、
p−HMOSと呼ぶ)のゲート電極73,78がそれぞ
れ設けられている。また、ゲート電極73の両側方に位
置するSiGeバッファ層63,n型高濃度ドープ層6
4,スペーサー層65,nチャネル層66,pチャネル
層67及びSiキャップ層68の各部分領域にはn型不
純物が導入されて、n−HMOSのソース領域70及び
ドレイン領域71が形成されている。さらに、ゲート電
極78の両側方に位置するSiGeバッファ層63,n
型高濃度ドープ層64,スペーサー層65,nチャネル
層66,pチャネル層67及びSiキャップ層68の各
部分領域にはp型不純物が導入されて、p−HMOSの
ソース領域75及びドレイン領域76が形成されてい
る。ここで、SiGe緩和バッファ層62内において
は、Si基板61内の単結晶Siの格子定数よりも格子
定数の大きい結晶面を得るためにGe組成率が0から3
0%まで段階的に増大している。また、SiGeバッフ
ァ層63は、SiGe緩和バッファ層62で発生した結
晶欠陥がチャネル層66,67に悪影響を与えるのを防
ぐ目的で設けられたものである。n型高濃度ドープ層6
4は、nチャネル層66にキャリアを供給するための層
であり、スペーサー層65はn型高濃度ドープ層64内
のイオン化した不純物がnチャネル層66に侵入してキ
ャリアが散乱を受けるのを防ぐ目的で、両者を空間的に
分離すべく設けられたものである。上記SiGeバッフ
ァ層63,n型高濃度ドープ層64及びスペーサー層6
5は、いずれもGe組成率が30%のSiGeにより構
成されている。
【0007】また、nチャネル層66は、n−HMOS
において電子が走行する層であり、pチャネル層67は
p−HMOSにおいて正孔が走行する層である。Siキ
ャップ層68は、SiGe層の上端にもヘテロ界面を利
用したpチャネル層67を形成すべく設けられたもので
ある。
【0008】このHCMOSにおいて、nチャネル層6
6中の不純物濃度が高いとキャリアが走行中にイオン化
した不純物による散乱を受けるので、キャリアの移動度
が低下する。そこで、高移動度を実現するためには、n
チャネル層66とは異なる領域であるn型高濃度ドープ
層64内に高濃度の不純物を導入しておき、このn型小
濃度ドープ層64からnチャネル層66にキャリアを供
給するように構成されている。つまり、ヘテロ電界効果
トランジスタを作成する際には、チャネル層にキャリア
を供給できる程度に近接し、かつ、キャリアのイオン散
乱が発生しない程度にチャネル層から離れた位置に不純
物をドーピングする必要がある。特に、チャネル層内に
は不純物が導入されないようなドーピング技術が重要と
なる。
【0009】図7は、文献2(R.peopleら Journal of
Vacuum Science Technology 1985A3.p.846-850)に掲
載されている特性図であって、Si系ヘテロ電界効果ト
ランジスタの基本構成要素である積層構造、つまり上下
のSi層でSiGe層を挟んだ構造を有するpチャネル
層における移動度のドーピングプロファイル依存性を示
す特性図である。図中、曲線HmaはチャネルとなるSi
Ge層にもp型不純物を導入したサンプルAのホール移
動度を、曲線Hmbはp型不純物導入層とSiGe層を連
続して成長したサンプルBのホール移動度を、曲線Hmc
はp型不純物導入層とSiGe層の間に不純物を導入し
ないSi層(スペーサー層)を設けたサンプルCのホー
ル移動度をそれぞれ示す。図6(a)〜(c)は、上記
サンプルA〜Cの構造をそれぞれ示す断面図である。図
7に示すように、曲線Hmaに比べ曲線Hmb,Hmc中の移
動度は室温においても高く、さらに曲線Hmc中では曲線
Hmb中よりも低温域でより高い移動度を示しているのが
わかる。また、図8は、上記サンプルB,Cのシートキ
ャリア密度の温度依存性を比較する特性図である。不純
物導入層とチャネルの間に不純物を導入しないサンプル
C(曲線Scc)では、サンプルB(曲線Scb)にくらべ
低温でキャリア密度の低下が発生しているのがわかる。
【0010】図7,図8から明らかなように、ヘテロ電
界効果トランジスタの特性の高性能化、最適化には不純
物の高精度分布制御技術が不可欠である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のin-situ ドーピング技術においては、以下のような
問題があった。
【0012】一般に、Si系結晶のエピタキシャル成長
技術においては、大口径基板への適合性、量産性、結晶
成長機構の特性などから、化合物半導体の結晶成長に用
いられている固体ソースを用いるMBE法は適しておら
ず、シランやジシランといった水素化物の気体をソース
として用いるCVD法が適している。特に、超高真空下
で結晶成長を行なうUHV−CVD法が先に述べた高性
能デバイスの作成法として最適であるが、気体ソースを
用いる結晶成長においてin-situ ドーピングを行なって
いると、本来不純物を導入したくないスペーサー層に不
純物がドープされ特性が低下してしまうという現象があ
った。これは、以下の原因によるものと推定される。
【0013】すなわち、in-situ ドーピングを行なうた
めに結晶成長装置内に導入された不純物を含む気体(ド
ーパントガス)は、そのすべてが供給中に結晶中に取り
込まれるわけではなく、その大部分はそのまま結晶成長
装置から排出される。しかし、結晶成長装置に供給され
たドーパントガスはその供給を停止した後も瞬時には結
晶成長装置から排出されるわけではなく、時間の経過と
ともにその残留分圧が低下していくものの、ドーパント
が結晶成長装置の各部に残存している。この残留ガスが
その後に成長させる結晶中にも取り込まれ、希望しない
ドーピングが行なわれてしまう。したがって、ヘテロ電
界効果トランジスタなどにおいて、このガス供給停止後
の残留分圧により、本来不純物を導入したくないスペー
サー層に不純物がドープされ特性が低下してしまうもの
と考えられる。
【0014】本発明は、斯かる点に着目してなされたも
のであって、その目的は、キャリア蓄積領域とキャリア
供給領域との間に介在するスペーサー層へのキャリア生
成用不純物の取り込みを抑制する手段を講ずることによ
り、特性の劣化の少ない半導体装置及びその製造方法を
提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題を高
濃度ドーピングを行なう層の結晶を、高濃度ドープ層の
直後に成長させる結晶よりも結晶成長中の不純物の取り
込み効率の高い結晶とすることにより解決する。具体的
には、以下のような半導体装置及びその製造方法に関す
る手段を講じている。
【0016】本発明の半導体装置の製造方法は、基板上
に、キャリアが供給されるキャリア蓄積領域と、該キャ
リア蓄積領域にキャリアを供給するためのキャリア供給
領域と、上記キャリア蓄積領域と上記キャリア蓄積領域
との間に設けられたスペーサー層とを備えた半導体装置
の製造方法であって、キャリア生成用不純物を含む第1
の気体を供給して、上記キャリア供給領域用の第1の結
晶層を基板上に成長させる第1のステップと、第2の気
体を供給して、上記第1の結晶層の上に、上記キャリア
生成用不純物の取り込み効率が第1の結晶層よりも小さ
い材料からなり、上記スペーサー層用の第2の結晶層を
成長させる第2のステップと、第3の気体を供給して、
上記第2の結晶層の上に、上記キャリア蓄積領域用の第
3の結晶層を成長させる第3のステップとを含んでい
る。
【0017】この方法により、第2のステップにおいて
も、第1のステップで第1の気体に含まれていたキャリ
ア生成用不純物が結晶製造用の装置内に残留しており、
第2の気体の中にキャリア生成用不純物が混入する。そ
のとき、第2の結晶層が第1の結晶層よりもキャリア生
成用不純物の取り込み効率が低い材料により構成されて
いるので、第2の結晶層へのキャリア生成用不純物の混
入量を低減することができる。すなわち、第2の結晶層
から形成されるスペーサ層におけるキャリア生成用不純
物量が多いことによる半導体装置の特性の劣化を有効に
抑制することができる。
【0018】上記半導体装置の製造方法において、上記
第2及び第3のステップでは、上記キャリア生成用不純
物を実質的に含まない上記第2及び第3の気体を供給す
ることが好ましい。
【0019】この方法により、スペーサー層やキャリア
蓄積領域にキャリア生成用不純物がほとんど存在しない
ことで、動作速度や電流量の大きい特性のよい半導体装
置が得られることになる。
【0020】上記半導体装置の製造方法において、上記
第1の結晶層にGeを含ませ、上記第2の結晶層をSi
により構成することができる。
【0021】上記半導体装置の製造方法において、上記
第1及び第2の結晶層がSi1-x Gex (0≦x≦1)
により構成されている場合には、上記第2の結晶層のG
e組成率が上記第1の結晶層のGe組成率よりも大きい
ことが好ましい。
【0022】この方法により、Si1-x Gex 層におい
てはGe組成率が大きいほどキャリア生成用不純物の取
り込み効率がよくないことを利用して、スペーサー層に
おけるキャリア生成用不純物量の低減を図ることができ
る。
【0023】上記半導体装置の製造方法において、上記
第1及び第2の結晶層の成長には、Geの水素化物とS
iの水素化物とを用いることが好ましい。
【0024】本発明の半導体装置は、基板と、上記基板
上に設けられ、キャリアが供給されるキャリア蓄積領域
と、キャリア生成用不純物を含み、上記キャリア蓄積領
域にキャリアを供給するためのキャリア供給領域と、上
記キャリア蓄積領域と上記キャリア蓄積領域との間に設
けられ、上記キャリア生成用不純物の取り込み効率が上
記キャリア供給領域よりも小さい材料により構成される
スペーサー層とを備えている。
【0025】これにより、スペーサー層がキャリア供給
領域よりもキャリア生成用不純物の取り込み効率が低い
材料により構成されているので、製造工程におけるスペ
ーサー層へのキャリア生成用不純物の混入量を低減する
ことができる。すなわち、スペーサ層におけるキャリア
生成用不純物量が多いことによる半導体装置の特性の劣
化を有効に抑制することができる。
【0026】上記スペーサー層及び上記キャリア蓄積領
域は上記キャリア生成用不純物を実質的に含まないこと
が好ましい。
【0027】上記半導体装置において、上記キャリア供
給領域にGeを含ませ、上記スペーサー層をSiにより
構成することができる。
【0028】上記キャリア供給領域及び上記スペーサー
層がSi1-x Gex (0≦x≦1)により構成されてい
る場合には、上記スペーサー層のGe組成率が上記キャ
リア供給領域のGe組成率よりも大きいことが好まし
い。
【0029】上記半導体装置において、上記キャリア蓄
積領域は、上記キャリア供給領域内のキャリア生成用不
純物と同一極性のキャリアを走行させるチャネル領域と
して機能させることができる。
【0030】これにより、キャリア蓄積領域におけるキ
ャリアの走行速度の高い電界効果トランジスタが得られ
ることになる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する前に、本発明の裏付けとなる実験の結果につい
て説明する。
【0032】本発明者達は、以下のUHV−CVD法に
よる結晶成長実験において、SiGe層へのドーパント
不純物(キャリア生成用不純物)の取り込まれ効率は、
SiGe層中のGe組成率に依存することを見出した。
【0033】図2は、SiGe混晶内にB(ボロン)を
導入する場合におけるB濃度のB26 (ドーパントガ
ス)の圧力依存性を示す特性図である。ただし、同図の
横軸は結晶成長装置内におけるB26 の分圧を制御す
る圧力制御装置の設定値であり、B26 の分圧はこの
設定値に比例する。そして、UHV−CVD装置内にお
けるSiのソースガスであるSi26 と、Geのソー
スガスであるGeH4と、BのソースガスであるB26
との分圧を変化させながら結晶成長を行なった。その
際、Si26 及びGeH4 の分圧は数mTorr程度であ
り、B26 の分圧は10-7〜10-6Torr程度であっ
た。また、成長中の基板温度は550℃で一定である。
結晶中のGe組成率の評価はX線解析又は分光エリプソ
メトリ法により行ない、B濃度の評価はSIMS(二次
イオン検出法)により行なった。
【0034】同図において、△はGe組成率が10%で
あるSiGe混晶、■はGe組成率が20%であるSi
Ge混晶のB濃度の圧力依存性のデータをそれぞれ示
す。同図から明らかなように、任意のドーパントガスの
分圧値において、同じドーパントソースガスの分圧値で
比べると、Ge組成率が高い(20%)結晶内のB濃度
が高いことがわかる。例えば、Ge組成率が20%のサ
ンプル(△参照)のB濃度は、Ge組成率が10%のサ
ンプルに比べ2〜5倍程度になっている。
【0035】つまり、SiGe結晶中に1×1018cm
-3のBを導入しようとすると、Ge組成率が20%であ
るSiGe層内には、Ge組成率が10%であるSiG
e層内の半分のB26 の分圧でよいことがわかる。
【0036】また、B26 の分圧が同じであっても、
Ge組成率が20%のSiGe層中には2.5×1016
cm-3程度のBが取り込まれているのに対し、Ge組成
率が10%のSiGe層中には4.7×1015cm-3
度のBしか取り込まれていない。つまり、SiGe層中
のGe組成率を20%から10%に低減することによ
り、SiGe層中のB濃度を1/5程度に低減すること
ができる。
【0037】そして、UHV−CVD装置内におけるド
ーパントガスの分圧が同じである場合に、SiGe混晶
中のGe組成率が高いほど混晶中に取り込まれるドーパ
ントの濃度が高くなるという傾向は、B26 の代わり
にn型不純物のソースガスであるPH3 を用いた実験に
おいても確認された。
【0038】以上の現象は、Ge組成率が高まることに
より結晶の成長速度が増大し、in-situ ドーピング時に
不純物の取り込み効率を低減する要因の1つの考えられ
る,不純物原子の表面偏析による表面活性サイトのブロ
ック効果が弱められるためと思われる。したがって、A
sH3 を用いたAsドープをはじめ、その他の不純物元
素のソースガスを用いた不純物ドープにおいても、同様
の効果が期待できる。
【0039】つまり、不純物をドープしようとするSi
Ge層内のGe組成率を高めておけば、同じ量の不純物
を結晶内にドープするのに必要な不純物のソースガス量
を低減できる。言い換えると、不純物のソースガスの分
圧が同じであっても、SiGe層中のGe含有量を低減
することにより、SiGe層中に取り込まれる不純物量
を低減することができる。
【0040】また、以上の傾向から、SiGe層の中で
もGe組成率が0の場合つまりSi層の場合には、不純
物の取り込まれ効率は大幅に小さくなることがわかる。
【0041】ここで、既に説明したように、気相成長法
においてドーピングプロファイルの制御を困難にする一
つの原因は、成長室内のドーパントガスの残留分圧であ
る。ドーピングを行なうために結晶成長装置内に導入さ
れたドーパントガスは、ドーパントガスの供給を停止し
た後も完全に結晶成長装置から排出されるまでにある程
度の時間を要する。この時間は、当然ながら結晶成長装
置に導入するドーパントガスの量が多いほど長くなる。
このドーパントガスの供給の停止後、ドーパントガスが
成長室内から完全に排出されるまで結晶成長装置内に留
まるドーパントガスが本来ドーピングを行ないたくない
結晶層に取り込まれるためにドーピングプロファイルが
求めるものとは異なったものとなってしまう。
【0042】そこで、本発明では、チャネル層とキャリ
ア供給層との間に介在するスペーサー層の不純物取り込
み効率を低減させる工夫をすることで、スペーサー層5
の不純物濃度あるいは厚みを低減し、デバイスの特性を
改良するようにしている。以下の実施形態において、そ
のための構造及び製造方法を具体的に説明する。
【0043】(第1の実施形態)図1は、第1の実施形
態に係るヘテロ電界効果トランジスタの1種であるHC
MOSの断面図である。同図に示すように、Si基板1
の上には、SiGe緩和バッファ層2と、SiGeバッ
ファ層3と、n型高濃度ドープ層4と、スペーサー層5
と、nチャネル層6と、pチャネル層7と、Siキャッ
プ層8と、ゲート絶縁膜とが順次形成されている。ま
た、基板上には、nチャネル型電界効果トランジスタ
(以下、n−HMOSと呼ぶ),pチャネル型電界効果
トランジスタ(以下、p−HMOSと呼ぶ)のゲート電
極13,18がそれぞれ設けられている。また、ゲート
電極13の両側方に位置するSiGeバッファ層3,n
型高濃度ドープ層4,スペーサー層5,nチャネル層
6,pチャネル層7及びSiキャップ層8の各部分領域
にはn型不純物が導入されて、n−HMOSのソース領
域10及びドレイン領域11が形成されている。さら
に、ゲート電極18の両側方に位置するSiGeバッフ
ァ層3,n型高濃度ドープ層4,スペーサー層5,nチ
ャネル層6,pチャネル層7及びSiキャップ層8の各
部分領域にはp型不純物が導入されて、p−HMOSの
ソース領域15及びドレイン領域16が形成されてい
る。ここで、SiGe緩和バッファ層2内においては、
Si基板1内の単結晶Siの格子定数よりも格子定数の
大きい結晶面を得るためにGe組成率が0から10%ま
で段階的に増大している。また、SiGeバッファ層3
は、チャネル層にSiGe緩和バッファ層2で発生した
結晶欠陥が影響を与えるのを防ぐ目的で設けられたもの
である。n型高濃度ドープ層4は、nチャネル層6にキ
ャリアを供給するための層であり、スペーサー層5はn
型高濃度ドープ層4内のイオン化した不純物がnチャネ
ル層6に侵入してキャリアが散乱を受けるのを防ぐ目的
で、両者を空間的に分離すべく設けられたものである。
上記SiGeバッファ層3及びスペーサー層5は、いず
れもGe組成率が10%のSiGeにより構成されてい
る。一方、上記n型高濃度ドープ層4はGe組成率が2
0%のSiGeにより構成されている。
【0044】また、nチャネル層6は、n−HMOSに
おいて電子が走行する層であり、pチャネル層7はp−
HMOSにおいて正孔が走行する層である。Siキャッ
プ層8は、SiGe層の上端にもヘテロ界面を利用した
pチャネル層7を形成すべく設けられたものである。
【0045】以上の構造は、図5に示す従来のHCMO
Sの構造とよく似ているが、本実施形態においては、n
型高濃度ドープ層4のGe組成率がSiGeバッファ層
のGe組成率よりも高い点が特徴である。すなわち、図
5に示す従来のHCMOSにおいては、SiGeバッフ
ァ層63,n型高濃度ドープ層64及びスペーサー層6
5におけるGe組成率はいずれも30%であり均一であ
るが、本実施形態では、スペーサー層5におけるGe組
成率が10%であるのに対し、n型高濃度ドープ層4に
おけるGe組成率は20%となっており、両者のGe組
成率を異ならせている。
【0046】本実施形態によると、すべての層を同じG
e組成率のSiGeにより構成するかすべての層をSi
により構成した従来のトランジスタに比べ、以下のよう
な作用効果を発揮することができる。
【0047】第1に、n型高濃度ドープ層4のGe組成
率を20%として、その上に成長させるスペーサー層5
のGe組成率10%よりも高くしているので、製造工程
において、n型高濃度ドープ層4の成長中に供給すべき
ドーパントガスの量を減らしても所望の不純物濃度を得
ることができる。そして、n型高濃度ドープ層4の成長
中に供給すべきドーパントガスの量を低減できることか
ら、ドーパントガスの供給停止後一定時間が経過したと
きのドーパントガスの残留分圧を従来の方法よりも小さ
くできるために、スペーサー層5における不純物濃度を
低減することができる。
【0048】第2に、ドーピング濃度を低減したい層で
あるスペーサー層5のGe組成率は従来と同様に低くし
ておくことにより、Ge組成率の高いn型高濃度ドープ
層4を不純物濃度低減層に用いた場合に比べ、同じ残留
分圧下で成長させても結晶中の不純物濃度を低くするこ
とが可能となる。このことは、図2において、B26
の設定値が同じ0.02でも、結晶中に取り込まれてい
るB濃度が、Ge組成率が10%のSiGe混晶ではG
e組成率が20%SiGe混晶の半分程度であることか
らも明らかである。
【0049】その結果、スペーサー層の厚みが変わらな
いとすると、スペーサー層の上に成長されるチャネル層
中にドープされる不純物の濃度を従来のドーピング法を
用いた場合よりも低くすることができ、チャネル層のキ
ャリアの移動度の向上を図ることができる。
【0050】また、スペーサー層の厚みを薄くしても両
者間の不純物濃度差を大きくすることも可能になる。そ
の場合には、スペーサー層5の膜厚が薄くなることによ
り、nチャネル層6がn型高濃度ドープ層4に近づいて
nチャネル層6中のキャリア密度が増大するので、デバ
イスの特性の向上を期待することができる。
【0051】次に、本実施形態に係るHCMOSの製造
工程について説明する。
【0052】まず、イオン注入により、nウエルとpウ
エル(いずれも図示せず)が形成されたSi基板1にR
CA法等の洗浄処理を施して表面の不純物を除去した
後、フッ酸処理することにより表面を水素終端させた状
態で結晶成長装置に導入する。
【0053】そして、基板をロードロックを介して真空
容器内に導入した後、真空容器内の真空度を10-9Torr
程度まで上げた後、基板温度を所望の結晶成長温度(5
50℃程度)まで昇温させる。ここで、水素終端が十分
なされている状態においてはこのまま結晶成長させても
良いし、基板表面の残存自然酸化膜が問題になるようで
あれば水素やシラン、ジシラン等の雰囲気下で900〜
1100℃程度に数秒〜数分の間加熱し、自然酸化膜を
除去して基板の清浄表面を露出させた後に、以下の手順
に従って結晶成長を行なう。
【0054】結晶成長装置にソースガスを導入する場
合、Siのソースガスとしてはシラン(SiH4 )やジ
シラン(Si26 )などの水素化シリコン類を用い、
Geのソースガスとしてはゲルマン(GeH4 )を用い
ることができる。これらのソースガスは100%濃度の
ものでもよいし、水素で数%に希釈したものでもよい。
また、SiやSiGeを成長させるためのソースガスの
分圧は数mTorr程度でよい。SiGe中のGe組成率の
制御は、SiソースとGeソースの分圧比を変化させる
ことで行なうことができる。例えば全圧を一定に保って
おいて両者の分圧比を変化させてもよいし、例えばSi
ソースの分圧を一定にしておき、Geソースの分圧だけ
を変化させてもよい。後者の方が制御は容易である。
【0055】まず、基板1の上にSiGe緩和バッファ
層2を成長させる。これは格子緩和したSiGe層を得
るためであり、Ge組成を段階的に(例えば5%ずつ)
増やした混晶層を成長させる。SiGe緩和バッファ層
2のトータルの膜厚は1μm程度である。このSiGe
緩和バッファ層2は格子欠陥を大量に含んでいる。
【0056】次に、SiGe緩和バッファ層2の上にG
e組成率が10%である単一組成のSiGeバッファ層
3を成長させる。このSiGeバッファ層3の厚みは3
0〜50nm程度でよい。
【0057】次に、SiGeバッファ層3の上に、Ge
組成率が20%のn型高濃度ドープ層4を成長させる。
その際のドーピングはSiソースとGeソースととも
に、不純物を含んだドーパントガスを結晶成長装置に導
入することにより行なわれる。ドーパントガスは燐ドー
プを行なう際はPH3 が用いられ、Asドープを行なう
際はAsH3 等が用いられる。本実施形態のn型高濃度
ドープ層4を形成する場合にはPH3 を用いている。な
お、ドーパントガスは水素で100〜500ppm程度
に希釈したものを用いたほうが適度な流量となり、分圧
の制御が容易である。
【0058】次に、n型高濃度ドープ層4の成長後、ス
ペーサー層5の成長開始までにPH3 の供給を停止し、
Ge組成率が10%で厚みが1〜2nm程度のスペーサ
ー層を成長させる。スペーサー層の組成はSi0.7 Ge
0.3 であり、そのGe組成率はn型高濃度ドープ層4の
Ge組成率よりも小さくなっている。
【0059】このように、n型高濃度ドープ層4のGe
組成率を20%として、その上に成長させるスペーサー
層5のGe組成率10%よりも高くしているので、n型
高濃度ドープ層4の成長中に供給すべきドーパントガス
の量を減らしても所望の不純物濃度を得ることができ
る。図2に示すように、上述の成長条件では、結晶中の
硼素の濃度を1×1018cm-3としたいとき、Ge組成
率が20%のSiGe混晶の場合には、B26 の設定
値が0.5程度でよく、Ge組成率が10%のSiGe
混晶にB26 をドープする際の設定値0.95に比べ
て1/2程度にすることができる。このことにより、ド
ーパントガスを結晶成長装置から排出するために要する
時間を短縮することができる。
【0060】次に、スペーサー層5の上にSiからなる
nチャネル層6を成長させ、さらにその上にSiGeか
らなるpチャネル層7を成長させる。このnチャネル層
6およびその上のpチャネル層7中の不純物濃度をでき
る限り低減するのがデバイス特性向上の重要な要点であ
る。本実施形態の製造方法の場合、上述のように、スペ
ーサー層5の不純物濃度を低くすることができるので、
スペーサー層5の厚みが変わらないとすると、nチャネ
ル層6を形成する際における不純物のソースガスの分圧
が低くなり、nチャネル層6にドープされる不純物の濃
度が従来のドーピング法を用いた場合よりも低くなる。
また、後述するように、nチャネル層6、pチャネル層
7共に膜厚を5nm程度まで薄くすることができる。
【0061】次に、pチャネル層7の上にSiキャップ
層8を成長させ、エピタキシャル成長プロセスは完了す
る。最後に成長させるSiキャップ層8は、その下のS
iGeからなるpチャネル層7とヘテロ界面を形成する
ためのものであるが、同時にゲート絶縁膜となるSi酸
化膜を熱酸化により形成するためにも用いられる。この
Siキャップ層8の厚みは、ゲート酸化後に1nmの厚
みが残る程度であればよい。
【0062】以上のエピタキシャル成長プロセス以降に
おいては、通常のSiCMOSプロセスとほぼ同様の手
順を行なうことで、HCMOSを作成することができ
る。つまり、エピタキシャル成長が完了した基板の表面
(Siキャップ層8の表面)を酸化してゲート絶縁膜9
を形成し、基板上にポリシリコン膜を堆積した後、パタ
ーニングしてゲート電極13,18を形成する。その
後、p−HMOS形成領域を覆うレジスト膜及びゲート
電極13をマスクとしてn型不純物(リン)イオンを基
板内に注入することにより、n−HMOSのソース領域
10及びドレイン領域11を形成する。さらに、n−H
MOS形成領域を覆うレジスト膜及びゲート電極18を
マスクとしてp型不純物(ボロン)イオンを基板内に注
入することにより、p−HMOSのソース領域15及び
ドレイン領域16を形成する。
【0063】以上の工程により、図1に示すHCMOS
の構造を容易に得ることができる。
【0064】(第2の実施形態)次に、第2の実施形態
に係るHCMOSについて説明する。本実施形態では、
スペーサー層としてSi層を用いたSi1-y y −Si
系ヘテロ電界効果トランジスタについて説明する。Si
層は不純物の取り込み効率が低いために、スペーサー層
を構成する材料として適している。
【0065】ここで、Siからなるスペーサー層を有す
るヘテロ電界効果トランジスタの例として、Si基板に
面内の格子定数が一致したC濃度の低いSi1-y y
設けて形成されるヘテロ接合を有する電界効果トランジ
スタがある。例えば、Si0.980.02層をSi基板上に
成長させた場合、図4に示すように、Siと伝導帯側に
バンド段差を発生させるために、2つのSi層によって
Si0.980.02層を挟み込んだ構造を採ると、Si0.98
0.02層に2次元電子ガスを形成することが可能とな
る。本実施形態に係るn−HMOSは、2次元電子ガス
を利用して高速動作を行なわせるものである。
【0066】図3は、本実施形態に係るヘテロ電界効果
トランジスタの断面図である。同図に示すように、Si
基板211の上には、n型高濃度ドープSiGe層22
と、Siスペーサー層23と、Si0.980.02nチャネ
ル層24と、Siキャップ層25と、ゲート絶縁膜26
とが下方から純に形成されている。基板上には、nチャ
ネル型電界効果トランジスタのゲート電極27が設けら
れている。また、ゲート電極27の両側方に位置するS
i基板21,n型高濃度ドープSiGe層22,Siス
ペーサー層23,Si0.980.02nチャネル層24及び
Siキャップ層25の各部分領域にはn型不純物が導入
されて、n−HMOSのソース領域29及びドレイン領
域30が形成されている。
【0067】上記n型高濃度ドープSiGe層22は、
Si0.980.02nチャネル層24にキャリアを供給する
ための層であり、Siスペーサー層23はn型高濃度ド
ープSiGe層22内のイオン化した不純物がSi0.98
0.02nチャネル層24に侵入してキャリアが散乱を受
けるのを防ぐ目的で、両者を空間的に分離すべく設けら
れたものである。上記Siスペーサー層23はSiによ
り構成されている。一方、上記n型高濃度ドープSiG
e層22はGe組成率が20%のSiGeにより構成さ
れている。
【0068】また、Si0.980.02nチャネル層24
は、n−HMOSにおいて電子が走行する層である。S
iキャップ層25は、Si0.980.02nチャネル層24
の上端にもヘテロ界面を形成するように、、Si0.98
0.02nチャネル層24を上下のSi層で挟み込んで、2
次元電子ガスが走行するチャネル領域を形成するために
設けられている。
【0069】ここで、本実施形態に係るn−HMOSの
特徴は、Siにより構成されるSiスペーサー層23の
下方にn型高濃度ドープSiGe層22を設けている点
である。その場合、Siはドーパントの取り込み効率が
SiGeよりも低いため、高濃度ドープ層をSiGeに
より構成し、スペーサー層をSiにより構成することに
より、上記第1の実施形態と同様の効果を発揮すること
ができる。
【0070】すなわち、高濃度ドープ層をSiGeによ
り構成し、スペーサー層をSiにより構成すると、次に
述べる製造工程の特性上、高濃度ドープ層をスペーサー
層と同じSiにより構成する場合に比べ、スペーサー層
中の不純物濃度を低減するか、あるいはスペーサー層の
厚みを低減することができるために、上記第1の実施形
態と同様にトランジスタの動作特性の改善を図ることが
できる。
【0071】次に、図3に示す構造を実現するための製
造工程について説明する。
【0072】まず、第1の実施形態で説明したのと同じ
手順により、基板の清浄化などの処理を行ない、結晶成
長を開始する。
【0073】最初に、Si基板21の上に、キャリア供
給領域となるn型高濃度ドープSiGe層22を成長さ
せる。n型ドーパントとしてはAsやPを用いることが
でき、それぞれのソースとしてAsH3 やPH3 などを
用いることができる。ここで、SiGe層はSi層より
もAsやPといった不純物の取り込み効率が高いため
に、Siにより高濃度ドープ層を形成する場合に比べ、
結晶成長装置に導入しなければならない不純物ソースの
量を低減することができる。
【0074】次に、n型高濃度ドープSiGe層22の
成長が完了すると、結晶成長装置への不純物ソースの供
給を停止して、Siスペーサー層23を成長させる。こ
のとき、スペーサー層を不純物の取り込み効率がSiG
eよりも低いSiにより構成しているために、スペーサ
ー層を高濃度ドープ層と同じSiGeにより構成する場
合に比べ、スペーサー層中の不純物濃度が低減し、トラ
ンジスタの動作特性が改善される。
【0075】次に、Siスペーサー層23の成長後、S
0.980.02nチャネル層24を成長させる。Si1-y
y 層の形成は、Siのソースと同時にCのソースを結
晶成長装置内に導入することにより行なうことができ
る。Cのソースとしては、モノメチルシランのような有
機シラン類やアセチレンのような炭化水素類を用いるこ
とができる。
【0076】次に、Si0.980.02nチャネル層24の
成長後に、Siキャップ層25を成長させると、一連の
結晶成長処理が終了する。
【0077】この結晶成長が終了した基板の上に、熱酸
化などを行なってゲート絶縁膜26を形成し、さらに、
その上にポリシリコン膜を堆積した後、イオン注入工
程、エッチング工程などを行なって、ゲート電極27,
ソース領域29,ドレイン領域30を形成する。さら
に、ソース領域29の上にソース電極26を、ドレイン
領域30の上にドレイン電極28をそれぞれ形成する。
【0078】以上の一連の工程により、図3に示すn−
HMOSトランジスタの構造が容易に形成される。
【0079】以上の工程おいて、結晶成長の開始時点に
おける基板の清浄度、平坦度等に問題がある場合には、
n型高濃度ドープSiGe層22の成長前に、必要に応
じてSi単結晶からなるバッファ層を成長させてもよ
い。
【0080】なお、スペーサー層をSiにより構成した
例として、pチャネル層をSiGeにより構成したpチ
ャネル型電界効果トランジスタや、チャネル層をSiG
eCにより構成した電界効果トランジスタがある。ただ
し、SiGeCを用いる場合には、pチャネル層とする
かnチャネル層とするかは、組成率に異存する。なお、
nチャネル層の場合は、高濃度ドープ層にn型不純物を
ドープし、pチャネル層の場合は高濃度ドープ層にp型
不純物をドープする。
【0081】(その他の実施形態)なお、本発明は、電
界効果トランジスタ以外のデバイスに適用しても、同様
の効果を発揮することができる。例えば、半導体レーザ
ーの場合、レーザー発振を行なわせる活性層(キャリア
蓄積領域)にはキャリアを蓄積する必要があるが、多量
の不純物が存在する場合、効率が低下してしまうので、
活性層中の不純物濃度は低減しなければならない。した
がって、本発明を半導体レーザーに適用することによ
り、特性の向上を図ることができる。
【0082】なお、上記各実施形態においては、Si,
SiGe系についてのみ触れたが、本発明はかかる材料
系に限定されるものではなく、不純物元素の取り込み効
率の差がある材料系であれば、他の組合せでも実施可能
であることは明らかである。
【0083】
【発明の効果】本発明のin-situ ドーピング技術を利用
すれば、高濃度ドープ層の成長後における次の結晶層中
の不純物濃度を低くすることが可能になり、素子の動作
特性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るHCMOSの断
面図である。
【図2】本発明の過程で求められたSiGe混晶中のB
濃度のB26 圧力依存性を示すデータである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るn−HMOSの
断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るn−HMOSの
バンド図である。
【図5】Sadekらの報告による従来のHCMOSの断面
図である。
【図6】peopleらが報告した従来の各種SiGeチャ
ネル構造を示す断面図である。
【図7】peopleらの報告によるSiGeチャネル移動
度のドーピングプロファイル依存性を示すデータであ
る。
【図8】peopleらの報告によるSiGeチャネルキャ
リア密度のドーピングプロファイル依存性を示すデータ
である。
【符号の説明】
1 Si基板 2 SiGeバッファ層 3 SiGe緩和バッファ層 4 高濃度ドープ層 5 スペーサー層 6 nチャネル層 7 pチャネル層 8 Siキャップ層 9 ゲート絶縁膜 10 ソース領域 11 ドレイン領域 12 ソース電極 13ゲート電極 14 ドレイン電極 15 ソース電極 16 ドレイン領域 17 ソース電極 18 ゲート電極 19 ドレイン電極 21 Si基板 22 n型高濃度ドープSiGe層 23 Siスペーサー層 24 Si0.980.02nチャネル層 25 Siキャップ層 26 ゲート絶縁膜 27 ゲート電極 28 ドレイン電極 29 ソース領域 30 ドレイン領域
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/812 (72)発明者 齋藤 徹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5F045 AA11 AB02 AB05 AB06 AB32 AC01 AD13 AE02 AF03 BB04 CA05 CA12 CB02 DA52 DA58 DC56 DC57 5F048 AA07 AC03 BA04 BB05 BD05 BD09 BF03 5F102 GA05 GB01 GC01 GD10 GJ03 GK02 GK08 GL02 GL08 GM02 GQ02 GR07 GR10 GT10 HA02 HC01 HC09

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、キャリアが蓄積されるキャリ
    ア蓄積領域と、該キャリア蓄積領域にキャリアを供給す
    るためのキャリア供給領域と、上記キャリア蓄積領域と
    上記キャリア蓄積領域との間に設けられたスペーサー層
    とを備えた半導体装置の製造方法であって、 キャリア生成用不純物を含む第1の気体を供給して、上
    記キャリア供給領域用の第1の結晶層を基板上に成長さ
    せる第1のステップと、 第2の気体を供給して、上記第1の結晶層の上に、上記
    キャリア生成用不純物の取り込み効率が第1の結晶層よ
    りも小さい材料からなり、上記スペーサー層用の第2の
    結晶層を成長させる第2のステップと、 第3の気体を供給して、上記第2の結晶層の上に、上記
    キャリア蓄積領域用の第3の結晶層を成長させる第3の
    ステップとを含むことを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体装置の製造方法に
    おいて、 上記第2及び第3のステップでは、上記キャリア生成用
    不純物を実質的に含まない上記第2及び第3の気体を供
    給することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の半導体装置の製造方法に
    おいて、 上記第1の結晶層はGeを含み、 上記第2の結晶層がSiにより構成されていることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の半導体装置の製造方法に
    おいて、 上記第1及び第2の結晶層がSi1-x Gex (0≦x≦
    1)により構成されており、かつ、上記第2の結晶層の
    Ge組成率が上記第1の結晶層のGe組成率よりも大き
    いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載の半導体装置の製造
    方法において、 上記第1及び第2の結晶層の成長には、Geの水素化物
    とSiの水素化物とを用いることを特徴とする半導体装
    置の製造方法。
  6. 【請求項6】 基板と、 上記基板上に設けられ、キャリアが供給されるキャリア
    蓄積領域と、 キャリア生成用不純物を含み、上記キャリア蓄積領域に
    キャリアを供給するためのキャリア供給領域と、 上記キャリア蓄積領域と上記キャリア蓄積領域との間に
    設けられ、上記キャリア生成用不純物の取り込み効率が
    上記キャリア供給領域よりも小さい材料により構成され
    るスペーサー層とを備えていることを特徴とする半導体
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の半導体装置において、 上記スペーサー層及び上記キャリア蓄積領域は上記キャ
    リア生成用不純物を実質的に含まないことを特徴とする
    半導体装置。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の半導体装置において、 上記キャリア供給領域はGeを含み、 上記スペーサー層がSiにより構成されていることを特
    徴とする半導体装置。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の半導体装置において、 上記キャリア供給領域及び上記スペーサー層がSi1-x
    Gex (0≦x≦1)により構成されており、かつ、上
    記スペーサー層のGe組成率が上記キャリア供給領域の
    Ge組成率よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9記載の半導体装置にお
    いて、 上記キャリア蓄積領域は、上記キャリア供給領域内のキ
    ャリア生成用不純物と同一極性のキャリアを走行させる
    チャネル領域として機能することを特徴とする半導体装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の半導体装置におい
    て、 上記スペーサー層及び上記キャリア蓄積領域は上記キャ
    リア生成用不純物を実質的に含んでいないことを特徴と
    する半導体装置。
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