JP2000012307A - 有機質正特性サーミスタ - Google Patents
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Abstract
非動作時(室温)の初期抵抗が低く、非動作時から動作
時にかけての抵抗変化率が大きく、耐湿性にも優れた有
機質正特性サーミスタを提供する。 【解決手段】 本発明の有機質正特性サーミスタは、ポ
リエチレンオキサイドと、非水溶性低分子有機化合物
と、スパイク状の突起を有する導電性粒子とを含有す
る。
Description
ミスタに関し、さらに詳細には、昇温により急激に抵抗
値が増大する現象、すなわちPTC( positive temper
ature coefficient of resistivity )特性を有する有
機質正特性サーミスタに関する。
ブラックやグラファイト等の炭素粉末、または、金属粉
末等の導電性粒子を混練、分散させたPTC特性を示す
有機質正特性サーミスタは、この分野では公知であり、
例えば、米国特許第3243753号明細書および同3
351882号明細書等に開示されている。抵抗値の増
大は、結晶性重合体が融解に伴って膨張し、導電性微粒
子の導電経路を切断するためと考えられている。
型ヒーターや温度検出器センサー、過電流保護素子とし
て利用することができる。これに要求される特性とし
て、室温(非動作時)の初期抵抗値が充分低いこと、初
期抵抗値と動作時の抵抗の変化率が大きいこと、繰り返
し動作によってもその特性が安定していることが挙げら
れる。一般に、有機質正特性サーミスタでは、動作時に
結晶性重合体の融解を伴うので、冷却されたときに導電
性粒子の分散状態が変化し、初期抵抗値が上昇し、抵抗
変化率が減少することが知られている。
性粒子としてカーボンブラックが多く用いられてきた。
しかしながら、初期抵抗値を下げるためにカーボンブラ
ックの充填量を多くすると充分な抵抗変化率が得られ
ず、逆に、充填量を少なくして充分な抵抗変化率を得る
と初期抵抗値が高すぎて実用に適さないという問題があ
った。また、一般の金属粒子を導電性粒子に用いた例も
あるが、カーボンブラック同様、低い初期抵抗値と大き
な抵抗変化率とを両立させることは困難であった。
ク状の突起を有する導電性粒子を用いる方法が特開平5
−47503号公報に開示されている。より具体的に
は、結晶性重合体としてポリフッ化ビニリデンを用い、
スパイク状の突起を有する導電性粒子としてはスパイク
状Niパウダーを用いたもので、これにより、低い初期
抵抗と大きな抵抗変化との両立を図ることができるとさ
れている。しかしながら、このものは繰り返し動作に対
する特性の安定性が不充分である。また、ポリフッ化ビ
ニリデンを用いる場合、動作温度は160℃程度であ
る。しかし、2次電池、電気毛布、便座、車両用シート
用のヒーター等の保護素子としての用途を考えた場合、
100℃以上の動作温度では人体への危険性が大きい。
人体に対しての安全性を考えた場合、動作温度は100
℃未満、特に60〜70℃程度が必要である。
にも、スパイク状の突起を有するフィラメント形状のN
iと、ポリオレフィン、オレフィン系コポリマー、ある
いはフルオロポリマーとを用いたものが開示されてい
る。このものは、低い初期抵抗と、大きな抵抗変化と、
繰り返し動作に対する特性の安定性は十分であるとされ
ている。しかし、実施例で用いられている高密度ポリエ
チレン、ポリフッ化ビニリデンポリマーでは、動作温度
はそれぞれ130℃、160℃前後である。なお、この
明細書には、エチレン/エチルアクリレートコポリマ
ー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アク
リル酸コポリマー等も使用可能とされている。しかし、
実施例は存在しない。これらのポリマーは、動作温度が
100℃未満であるが、本発明者により、繰り返し動作
により特性が不安定になることが確認された。
に開示されたものも、球状、フレーク状、棒状のNi
と、ポリオレフィン、オレフィン系コポリマー、ハロゲ
ン化ビニル、ビニリデンポリマーを用いている。実施例
の中で、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エ
チレン/アクリル酸コポリマーが動作温度100℃未満
であり、他のポリマーは100℃超の動作温度である。
しかし、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エ
チレン/アクリル酸コポリマーは、前記の通り、繰り返
し動作により特性が不安定になる。
い初期抵抗と大きな抵抗変化とを両立させる方法とし
て、本発明者は、重量平均分子量2,000,000以
上のポリエチレンオキサイドと、スパイク状の突起を有
する導電性粒子とを混練した有機質正特性サーミスタを
特願平8−332979号公報で提案している。このも
のは優れたPTC特性を示し、60〜70℃で動作し、
非動作時(室温)の初期抵抗が低く、動作時における抵
抗の立ち上がりが急峻であり、非動作時から動作時にか
けての抵抗変化率が大きく、繰り返し動作によってもそ
の特性が安定している。
安定であるという問題があり、後述の実施例で明らかに
なるであろうが、80℃80%RHの耐湿性試験では5
0時間で、大幅な特性劣化が見られる。ポリエチレンオ
キサイドは水溶性なので、水が吸着したり、重合体の中
へ拡散したりしてしまって、特性が劣化するのである。
高温で処理し、水を蒸発させると特性が元に戻ることか
らも、サーミスタの劣化が耐水性の問題であることがわ
かる。
に危険性のない60〜70℃で動作し、非動作時(室
温)の初期抵抗が低く、非動作時から動作時にかけての
抵抗変化率が大きく、耐湿性にも優れた有機質正特性サ
ーミスタを提供することである。
の本発明により達成される。
溶性低分子有機化合物と、スパイク状の突起を有する導
電性粒子とを含有する有機質正特性サーミスタ。 (2) 前記非水溶性低分子有機化合物の融点が40〜
100℃である上記(1)の有機質正特性サーミスタ。 (3) 前記非水溶性低分子有機化合物の分子量が1,
000以下である上記(1)または(2)の有機質正特
性サーミスタ。 (4) 前記非水溶性低分子有機化合物がワックスまた
は水素結合可能な官能基をもつものである上記(1)〜
(3)のいずれかの有機質正特性サーミスタ。 (5) 前記水素結合可能な官能基がカルバモイル基ま
たは水酸基である上記(4)の有機質正特性サーミス
タ。 (6) 前記ポリエチレンオキサイドの重量平均分子量
が2,000,000以上である上記(1)〜(5)の
いずれかの有機質正特性サーミスタ。 (7) 前記スパイク状の突起を有する導電性粒子が鎖
状に連なっている上記(1)〜(6)のいずれかの有機
質正特性サーミスタ。
(室温)の初期抵抗が低く、非動作時から動作時にかけ
ての抵抗変化率が大きいスパイク状の突起を有する導電
性粒子−ポリエチレンオキサイド系有機質サーミスタ
に、さらに非水溶性低分子有機化合物を含有させること
により、その優れたPTC特性をほぼ維持したまま、耐
湿性が大幅に向上する。
は、結晶性ポリアルキレンオキサイドと、側鎖または/
および主鎖に、カルボキシル基または/およびカルボン
酸の無水基を含有する変性ポリオレフィンと、導電性カ
ーボンブラックまたは/および黒鉛とからなることを特
徴とする正の温度係数特性を有する導電性重合体組成物
が開示されている。この構成とすることで、PTC特性
が実質的に損なわれることなく、耐湿性が向上するとさ
れている。しかしながら、耐湿性試験は40℃90%R
H、240時間で行われており、通常の使用条件下での
耐湿性を判定するには不十分である。上記の加速条件で
は、後述する絶対湿度換算で、東京では半年以下、那覇
では3ヶ月以下の湿度寿命にしか相当しない。後述の実
施例で明らかになるであろうが、本発明の有機質正特性
サーミスタは、80℃80%RHの加速条件で500時
間以上もつので、東京で20年以上、那覇で10年以上
の湿度寿命をもつ。また、上記公報の実施例には、耐湿
性試験前の特性が示されておらず、試験による劣化がど
れくらいかは不明である。また、導電性粒子としてカー
ボンブラックやグラファイトを用いており、本発明のよ
うに低い初期抵抗と大きな抵抗変化率とを両立させては
いない。
て詳細に説明する。
エチレンオキサイド(PEO)と、スパイク状の突起を
有する導電性粒子と、非水溶性低分子有機化合物とを混
練したものである。
作時(室温)の初期抵抗が低く、非動作時から動作時に
かけての抵抗変化率が大きく、かつ、高湿度環境下にお
ける特性劣化が大幅に抑制される。
性粒子を用いることで、その形状のため、トンネル電流
が流れやすくなり、球状の導電性粒子と比較して低い初
期抵抗が得られる。また、導電性粒子間の間隔が球状の
ものに比べて大きいため、動作時には大きな抵抗変化が
得られる。
サイド、好ましくは重量平均分子量Mwが200万以上
のものを用いることで、繰り返し動作時の特性変化が臨
界的に少なくなる。この理由は現段階では明らかではな
いが、結晶性重合体の導電性粒子に対する濡れ性が向上
して分散がより均一になり、加熱冷却による結晶性重合
体の結晶状態および混合物の分散状態の変化が抑制され
るためと思われる。
させることで、耐湿性が大幅に向上する。これは、水溶
性のポリエチレンオキサイドと非水溶性の低分子有機化
合物とがミクロ相分離構造をとり、ポリエチレンオキサ
イドへ水蒸気が侵入したり、ポリエチレンオキサイドに
水が吸着したり、重合体の中へ拡散したりするのが防止
されるためと考えられる。
は、重量平均分子量Mw2,000,000以上のもの
が好ましく、特にMw3,000,000〜6,00
0,000のものが好ましい。Mwが2,000,00
0未満では、溶融時の粘度が低すぎて導電性粒子の分散
性が悪化してしまい、非動作時(室温)の初期抵抗を低
くすることが困難になる傾向がある。
ンオキサイドは、融点60〜70℃程度で、密度1.1
5〜1.22g/cm3程度である。
が鋭利な突起をもつ一次粒子から形成されており、粒径
の1/3〜1/50の高さの円錘状のスパイク状の突起
が1個の粒子に複数(通常10〜500個)存在するも
のである。その材質は金属、特にNiが好ましい。
別に存在する粉体であってもよいが、一次粒子が10〜
1000個程度鎖状に連なり二次粒子を形成しているこ
とが好ましい。鎖状のものには、一部一次粒子が存在し
ていてもよい。前者の例としては、スパイク状の突起を
もつ球状のニッケルパウダがあり、市販されているもの
として、商品名INCO Type 123ニッケルパ
ウダ(インコ社製)がある。その平均粒径は3〜7μm
程度、見かけの密度は1.8〜2.7g/cm3程度、比
表面積は0.34〜0.44m2/g程度である。
は、フィラメント状ニッケルパウダがあり、市販されて
いるものとして、商品名INCO Type 210、
215、255、270、287ニッケルパウダ(イン
コ社製)がある。このうち、INCO Type 25
5、270、287が特に好ましい。そして、その一次
粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm 以上、特に
0.5〜4.0μm程度が好ましい。一次粒子の平均粒
径は1.0〜4.0μmが最も好ましく、これに平均粒
径0.1μm 以上1.0μm未満のものを50重量%以
下混合してもよい。また、見かけの密度は0.3〜1.
0g/cm3程度、比表面積は0.4〜2.5m2/g程度
である。なお、この場合の平均粒径はフィッシュー・サ
ブシーブ法で測定したものである。
5−47503号公報、米国特許第5378407号明
細書に記載されている。
量1000程度まで、好ましくは200〜800のもの
であれば特に制限はないが、常温(25℃程度の温度)
で固体であるものが好ましい。低分子有機化合物の融点
mpは40〜100℃であることが好ましい。
的には、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワ
ックス等の石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワ
ックス、鉱物系ワックスのような天然ワックス等)、油
脂(具体的には、脂肪または固体脂と称されるもの)な
どがある。ワックスや油脂の成分は、炭化水素(具体的
には、炭素数22以上のアルカン系の直鎖炭化水素
等)、脂肪酸(具体的には、炭素数12以上のアルカン
系の直鎖炭化水素の脂肪酸等)、脂肪酸エステル(具体
的には、炭素数20以上の飽和脂肪酸とメチルアルコー
ル等の低級アルコールとから得られる飽和脂肪酸のメチ
ルエステル等)、脂肪酸アミド(具体的には、オレイン
酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド
等)、脂肪族アミン(具体的には、炭素数16以上の脂
肪族第1アミン)、高級アルコール(具体的には、炭素
数16以上のn−アルキルアルコール)などであるが、
これら自体を単独で低分子有機化合物として用いること
ができる。
クスまたは水素結合可能な官能基を有するもの、特に水
素結合可能な官能基を有するものが均一な混合状態が得
られ、製造も容易なので好ましい。炭化水素、主に炭化
水素からなる石油系ワックス等を用いると、均一な分散
が難しくなり、プレス成形時に低分子化合物が分離する
ことがある。水素結合可能な官能基を有するものは、ポ
リエチレンオキサイドのエーテル酸素に水素結合するの
で、低分子化合物の分離は起こりにくい。水素結合可能
な官能基としてはアミノ基、好ましくはカルバモイル
基、水酸基等が挙げられる。
おり、市販品をそのまま用いることができる。これらは
1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
クス(例えば、テトラコサンC24H50;mp49〜52
℃、ヘキサトリアコンタンC36H74;mp73℃、商品
名HNP−10(日本精蝋社製);mp75℃、HNP
−3(日本精蝋社製);mp66℃など)、マイクロク
リスタリンワックス(例えば、商品名Hi−Mic−1
080(日本精蝋社製);mp83℃、Hi−Mic−
1045(日本精蝋社製);mp70℃、Hi−Mic
2045(日本精蝋社製);mp64℃、Hi−Mic
3090(日本精蝋社製);mp89℃、セラッタ10
4(日本石油精製社製);mp96℃、155マイクロ
ワックス(日本石油精製社製);mp70℃など)、脂
肪酸(例えば、ベヘン酸(日本精化製);mp81℃、
ステアリン酸(日本精化製);mp72℃、パルミチン
酸(日本精化製);mp64℃など)、脂肪酸エステル
(例えば、アラキン酸メチルエステル(東京化成製);
mp48℃など)、脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸
アミド(日本精化製);mp76℃)などがある。ま
た、パラフィンワックスに樹脂類を配合した配合ワック
スやこの配合ワックスにマイクロクリスタリンワックス
を混合したものであって融点を40〜100℃にしたも
のも用いることができる。
種のみを用いても2種以上を併用してもかまわない。
エチレンオキサイド結晶性重合体と非水溶性低分子有機
化合物とが別々に分散して存在する海島構造をしている
と考えられる。
晶性重合体と非水溶性低分子有機化合物との混合比は、
ポリエチレンオキサイド1に対して非水溶性低分子有機
化合物2〜40重量%、特に5〜30重量%であること
が好ましい。この比率が小さくなって非水溶性低分子有
機化合物が少なくなりすぎると、耐湿性の向上が見られ
なくなる。また、この比率が大きくなって非水溶性低分
子有機化合物が多くなりすぎると、ポリエチレンオキサ
イドの融点における充分な抵抗の増大が得られなくな
り、また、素子の強度が減少してくる。
キサイド結晶性重合体と非水溶性低分子有機化合物との
合計量の2〜5倍であることが好ましい。導電性粒子が
少なくなりすぎると、非動作時の初期抵抗を充分に低く
することができなくなる。また、導電性粒子が多くなり
すぎると、非動作時から動作時にかけての抵抗変化率が
小さくなる上、混練が困難になる。
よい。添加剤としては、フェノール類、有機イオウ類、
フォスファイト類等の酸化防止剤、重合物のブレンド助
剤(相溶化剤)等が用いられる。ブレンド助剤として、
エチレンオリゴマー骨格にポリエチレンオキサイド側鎖
が複数結合しているものが挙げられる。添加剤は1種を
用いても、2種以上を併用してもよい。含有量は、重量
比で、ポリエチレンオキサイド結晶性重合体と非水溶性
ポリマーとの合計量の0.1〜10重量%程度であるこ
とが好ましい。
水溶性低分子有機化合物との混練は、公知の方法により
行えばよく、例えばミルやロール等により5〜90分間
程度混練する。混練温度は、通常、ポリマーの融点以上
の温度、好ましくは融点より5〜40℃高い温度で行え
ばよい。
と、導電性粒子と、非水溶性低分子有機化合物とを混合
してもよい。この場合、ポリエチレンオキサイドが溶解
する溶媒を用いて非水溶性低分子有機化合物と導電性粒
子とを分散させる方法と、非水溶性低分子有機化合物が
溶解する溶媒を用いてポリエチレンオキサイドと導電性
粒子とを分散させる方法と、ポリエチレンオキサイドと
非水溶性低分子有機化合物とが溶解する溶媒を用いて導
電性粒子を分散させる方法がある。
水溶性低分子有機化合物との混練物は、所定の厚さのシ
ート形状にプレス成型し、その後、金属電極を熱圧着し
てサーミスタ素子とする。成型は、注入法、押し出し法
等で行えばよい。金属電極はCu、Ni等が好ましい。
また、プレス成型と電極形成とを同時に行ってもよい。
もよい。架橋方法は、放射線架橋、有機過酸化物による
化学架橋、シランカップリング剤をグラフト化しシラノ
ール基の縮合反応による水架橋等が用いられる。
〜70℃で動作し、非動作時における初期抵抗が低く、
その室温比抵抗値は10-2〜10-1Ω・cm程度であり、
非動作時から動作時にかけての抵抗変化率が7〜11桁
程度と大きい。その上、耐湿性に優れており、東京で2
0年以上、那覇で10年以上の湿度寿命をもつ。
し、本発明を具体的に説明する。
レンオキサイド(住友精化製、重量平均分子量4,30
0,000〜4,800,000、融点67℃)、低分
子非水溶性有機化合物としてオレイン酸アミド(日本精
化製、商品名ニュートロンP)、導電性粒子として鎖状
のフィラメント状ニッケルパウダ(INCO社製、商品
名Type255ニッケルパウダ)を用いた。導電性粒
子の平均粒径は2.2〜2.8μm、見かけの密度は
0.5〜0.65g/cm3、比表面積は0.68m2/gであ
る。
ミドをポリエチレンオキサイドの20重量%、ニッケル
パウダをポリエチレンオキサイドの4倍重量、フェノー
ル系および有機イオウ系酸化防止剤(住友化学製、商品
名スミライザー−BHTおよびTP−D)をポリエチレ
ンオキサイドの0.5重量%加え、ミル中、80℃で1
0分間混練した。
厚)で挟み、混練物にNi箔を圧着するとともに、混練
物を成型し、全体で1mm厚のプレス成型品を得た。これ
を直径10mmのディスク状に打ち抜いて、サーミスタ素
子を得た。このサーミスタ素子の断面図を図1に示す。
図1に示されるように、サーミスタ素子はNi箔から形
成された電極11間に、結晶性重合体と導電性粒子と非
水溶性重合体との混練成形シートであるサーミスタ素体
12を挟み込んだものである。
所定の温度で、4端子法で抵抗値を測定して温度−抵抗
曲線を得た。この結果を図2に示す。
10-2Ω・cm)で、ポリエチレンオキサイドの融点67
℃付近で抵抗の急激な上昇が見られ、最大抵抗値は8.
9×107Ω(7.0×108Ω・cm)となり、抵抗変化
率は10.5桁であった。
ルを、80℃80%RHに設定した恒温恒湿槽に放置
し、耐湿性試験を行った。各放置時間における室温抵抗
と抵抗変化率を図3に示す。500時間まで室温(25
℃)抵抗値は10mΩ以下、抵抗変化率は8桁以上であ
り、充分なPTC特性が保たれていた。
験は、絶対湿度換算で、東京では20年以上、那覇では
10年以上の湿度寿命に相当する。絶対湿度換算につい
て、80℃80%RH条件下での寿命から25℃60%
RH条件下での寿命への計算を例にして説明する。80
℃80%RHの絶対湿度は232.5g/m3、25℃
60%RHの絶対湿度は13.8g/m3である。加速
定数は2として、次の計算式で求める。 (232.5/13.8)2≒283.85 この場合、80℃80%RH条件下での寿命が500hr
であれば、25℃60%RH条件下での寿命は 500hr×283.85=141925hr≒5914日
≒16.2年 となる。東京、那覇の湿度は、月々の平均相対湿度を絶
対湿度換算し、その合計を年間の湿度とした。
してエルカ酸アミド(日本精化製、商品名ニュートロン
−S)を用いた他は実施例1と同様にしてサンプルを得
た。そして、実施例1と同様にして温度−抵抗曲線を
得、耐湿性試験を行った。
mΩ(3.9×10-2Ω・cm)で、ポリエチレンオキサ
イドの融点67℃付近で抵抗の急激な上昇が見られ、最
大抵抗値は9.2×106Ω(7.2×107Ω・cm)と
なり、抵抗変化率は9.3桁であった。
時間後の室温抵抗値は8mΩ、抵抗変化率は7.5桁で
あり、充分なPTC特性が保たれていた。
してマイクロクリスタリンワックス(日本精蝋製、商品
名Hi−Mic−1045)を用い、さらに下記の相溶
化剤I(住友化学工業製、商品名スミエード300)を
ポリエチレンオキサイドとマイクロクリスタリンワック
スの合計重量の2重量%加えた他は実施例1と同様にし
てサンプルを得た。そして、実施例1と同様にして温度
−抵抗曲線を得、耐湿性試験を行った。
mΩ(1.6×10-2Ω・cm)で、ポリエチレンオキサ
イドの融点67℃付近で抵抗の急激な上昇が見られ、最
大抵抗値は8.0×107Ω(6.3×108Ω・cm)と
なり、抵抗変化率は10.6桁であった。
時間後の室温抵抗値は7mΩ、抵抗変化率は8.3桁で
あり、充分なPTC特性が保たれていた。
してベヘン酸(日本精化製)を用いた他は実施例1と同
様にしてサンプルを得た。そして、実施例1と同様にし
て温度−抵抗曲線を得、耐湿性試験を行った。
mΩ(2.3×10-2Ω・cm)で、ポリエチレンオキサ
イドの融点67℃付近で抵抗の急激な上昇が見られ、最
大抵抗値は7.2×106Ω(5.7×107Ω・cm)と
なり、抵抗変化率は9.4桁であった。
時間後の室温抵抗値は9mΩ、抵抗変化率は7.7桁で
あり、充分なPTC特性が保たれていた。
オキサイドに、実施例1と同じフェノール系および有機
イオウ系酸化防止剤をポリエチレンオキサイドの0.5
重量%、実施例1と同じ鎖状のフィラメント状ニッケル
パウダをポリエチレンオキサイドの4倍重量加え、ミル
中、80℃で10分間混練した。そして、実施例1と同
様にして、この混練物の両面にNi電極を圧着して、サ
ンプルを得た。
−抵抗曲線を得た。このサンプルの室温(25℃)抵抗
値は6mΩ(4.7×10-2Ω・cm)で、ポリエチレン
オキサイドの融点67℃付近で抵抗の急激な上昇が見ら
れ、最大抵抗値は6.0×107Ω(4.7×108Ω・
cm)となり、抵抗変化率は10.0桁であった。
でこのサンプルの耐湿性試験を行った。各放置時間にお
ける室温抵抗と抵抗変化率を図4に示す。50時間で室
温(25℃)抵抗値は2桁以上も上昇し、抵抗変化率は
6桁以下に減少した。100時間で室温抵抗値は初期か
ら6桁以上も上昇し、抵抗変化率は2桁以下に減少し
た。このように50時間でも大幅な特性の劣化が見られ
た。
〜70℃で動作し、非動作時(室温)の初期抵抗が低
く、非動作時から動作時にかけての抵抗変化率が大きい
スパイク状の突起を有する導電性粒子−ポリエチレンオ
キサイド系有機質サーミスタの優れたPTC特性をほぼ
維持しており、その上、耐湿性が大幅に向上しているこ
とがわかる。
危険性のない60〜70℃で動作し、非動作時(室温)
の初期抵抗が低く、非動作時から動作時にかけての抵抗
変化率が大きく、耐湿性にも優れた有機質正特性サーミ
スタを提供できる。
図である。
試験の各放置時間における室温抵抗と抵抗変化率であ
る。
試験の各放置時間における室温抵抗と抵抗変化率であ
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 ポリエチレンオキサイドと、非水溶性低
分子有機化合物と、スパイク状の突起を有する導電性粒
子とを含有する有機質正特性サーミスタ。 - 【請求項2】 前記非水溶性低分子有機化合物の融点が
40〜100℃である請求項1の有機質正特性サーミス
タ。 - 【請求項3】 前記非水溶性低分子有機化合物の分子量
が1,000以下である請求項1または2の有機質正特
性サーミスタ。 - 【請求項4】 前記非水溶性低分子有機化合物がワック
スまたは水素結合可能な官能基をもつものである請求項
1〜3のいずれかの有機質正特性サーミスタ。 - 【請求項5】 前記水素結合可能な官能基がカルバモイ
ル基または水酸基である請求項4の有機質正特性サーミ
スタ。 - 【請求項6】 前記ポリエチレンオキサイドの重量平均
分子量が2,000,000以上である請求項1〜5の
いずれかの有機質正特性サーミスタ。 - 【請求項7】 前記スパイク状の突起を有する導電性粒
子が鎖状に連なっている請求項1〜6のいずれかの有機
質正特性サーミスタ。
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