JP2000008280A - ゴムとの接着性の改善されたポリエステル繊維材料の製造方法 - Google Patents
ゴムとの接着性の改善されたポリエステル繊維材料の製造方法Info
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Abstract
に埋め込まれた状態で長時間高温に曝露された場合の耐
熱接着性が著しく改良されたゴム補強用ポリエステル繊
維材料の製造方法を提供すること。 【解決手段】 ポリエステル繊維材料にゴムとの接着性
を付与するに際して、処理液として(A) キャリアーを含
む処理液、(B) ブロックドイソシアネート水溶液、(C)
エポキシ樹脂の分散液および(D) レゾルシン−ホルムア
ルデヒド−ラテックス(RFL)混合液の4者を組み合わせ
て、1段または2段以上の多段処理により、該ポリエス
テル繊維に処理を施し、かつ第1段の処理浴には少なく
とも前記処理液(A) を、最終段の処理浴には少なくとも
前記処理液(D) を含ませる。
Description
善されたゴム補強用ポリエステル繊維、特にゴム配合物
中に埋め込まれた状態で長時間高温に曝露された場合の
耐熱接着性が著しく改良されたゴム補強用ポリエステル
繊維材料の製造方法に関する。
ポリエステル繊維は優れた力学特性、寸法安定性を有す
るが、ナイロン繊維に比べゴムとの接着性、特にゴム配
合物中に埋め込まれた状態で長時間高温に曝露された場
合の接着力低下が著しいという欠点を持つ。ゴム配合物
中での接着力の低下の原因はゴム配合物中のアミンや水
分の作用によるポリエステル繊維の劣化が原因であると
言われており、この欠点を解消するため従来から多くの
提案がなされてきた。例えば、特開昭51-70394号公報で
はカルボキシル末端基量が10eq/106g 以下のポリエステ
ル繊維にエポキシ化合物処理およびポリイソシアネート
化合物処理および RFL処理を施す方法が提案されている
が、ポリイソシアネート処理が有機溶剤系で行われるこ
とおよび3段ディップ処理であることなどで実用的でな
い。特公昭60-31950号公報では少なくとも接着剤処理に
先立って、キャリアー含有液による処理を行うことによ
り、ゴム中で長時間高温に曝露された場合の接着力低下
が少ないポリエステル繊維材料の製造方法が提案されて
おり、耐熱接着性に関しその効果を有するものの耐疲労
性が悪化するという問題があった。
の問題点を解消するべくなされたものであり、耐疲労性
を犠牲にすることなくゴム配合物中に埋め込まれた状態
で長時間高温に曝露された場合の耐熱接着性が著しく改
良されたゴム補強用ポリエステル繊維材料の製造方法を
提供することを目的とするものである。
の手段、即ち本発明の第1は、ポリエステル繊維材料に
ゴムとの接着性を付与するに際して、処理液として(A)
キャリアーを含む処理液、(B) ブロックドイソシアネー
ト水溶液、(C) エポキシ樹脂の分散液および(D) レゾル
シン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)混合液の4
者を組み合わせて、1段または2段以上の多段処理によ
り、該ポリエステル繊維に処理を施し、かつ第1段の処
理浴には少なくとも前記処理液(A) を、最終段の処理浴
には少なくとも前記処理液(D) を含ませることを特徴と
するゴムとの接着性の改善されたポリエステル繊維材料
の製造方法であり、第2は多段処理の処理段数が2段で
ありかつ、第1段処理浴が処理液(A) および処理液(B)
を、第2段処理浴が処理液(B) 、処理液(C) および処理
液(D) を含有する特許請求項1に記載のポリエステル繊
維材料の製造方法であり、第3はポリエステル繊維材料
が紡糸または延伸工程で2個以上のエポキシ基を有する
エポキシ化合物で処理した後 150℃〜260 ℃で熱処理し
て得られた糸条、これを撚糸したコード、またはこれを
製織した織物である特許請求項1又は2に記載のポリエ
ステル繊維材料の製造方法であり、第4はキャリアー
が、o-フェニルフェノール、p-クロルフェノール等のフ
ェノール誘導体、モノクロルベンゼン、トリクロルベン
ゼン等のハロゲン化ベンゼン類およびレゾルシンとp-ク
ロルフェノールとホルムアルデヒドの反応生成物から選
ばれたものである特許請求項1又は2に記載のポリエス
テル繊維材料の製造方法であり、第5はブロックドイソ
シアネートが水溶性でありかつブロック剤成分の熱解離
温度が 100℃〜200 ℃である特許請求項1又は2に記載
のポリエステル繊維材料の製造方法である。
繊維材料は、ポリエチレンテレフタレートまたは少量の
第3成分を共重合したポリエチレンテレフタレートを溶
融紡糸して得られる未延伸糸、それを延伸した延伸糸、
それを数本撚り合わせた撚糸コード、あるいはそれを製
織した織物である。該ポリエステル繊維材料は特公昭47
-49768号公報で示されるような、未延伸糸条あるいは延
伸糸条の段階でエポキシ化合物またはイソシアネート化
合物などで表面活性化したポリエステル繊維よりなるも
のであってもよく、特に該ポリエステル繊維材料が紡糸
または延伸工程で2個以上のエポキシ基を有するエポキ
シ化合物で処理した後 150℃〜260 ℃で熱処理して得ら
れた糸条、それを数本撚り合わせた撚糸コード、あるい
はそれを製織した織物である場合には極めて優れた効果
が得られる。
液(B) の固形分重量比は処理液(A)/処理液(B)=0.02/
1〜0.50/1、更には0.04/1〜0.20/1が好ましい。
また繊維に対する処理液 (A)〜(D) 合計の樹脂付着率は
3〜15重量%が好ましい。付着率が3重量%より低いと
十分な接着力が得られず、15重量%より多いと接着がむ
しろ低下する場合があることや、ディップ粕付着等品位
の点からも好ましくない。
は、キャリアーを水に溶解、分散または乳化せしめたも
のであり、その中にはキャリアー以外の溶剤、分散液、
乳化剤あるいは安定剤等の助剤や紡糸油剤等が含有され
ていてもよい。
分明らかではないが、ポリエステル繊維内部に浸入拡散
し、ポリエステル繊維の膨潤を高め、繊維内部構造を接
着剤分子が入りやすいよう変化せしめる物質である。つ
まり、キャリアー作用を活用してブロックドイソシアネ
ート水溶液、エポキシ樹脂の分散液およびRFL 溶液をポ
リエステル繊維により強固に結合させ耐熱接着性を向上
させようとするものである。キャリアーとして好ましい
ものはp-クロルフェノール、o-フェニルフェノール等の
フェノール誘導体類、モノクロルベンゼン、トリクロル
ベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類およびレゾルシンと
p-クロルフェノールとホルムアルデヒドとの反応生成物
等が上げられる。好ましい例のうち特に好ましい例はで
レゾルシンとp-クロルフェノールとホルムアルデヒドと
の反応生成物である。
酸またはアルカリ触媒下で反応させて得られる初期縮合
物とスチレンブタジエンラテックス、カルボキシル基含
有スチレンブタジエンラテックス、スチレンブタジエン
ビニルピリジンラテックス、アクリロニトリルブタジエ
ンラテックス、ポリクロロプレンラテックス、天然ゴム
ラテックス等の1種または2種以上との混合水溶液であ
り、レゾルシン、ホルマリン、ラテックスの配合比率は
公知技術のいづれを適用してもよい。
L 以外の成分としてブロックドイソシアネートおよび/
またはエポキシの分散液が用いられるが、本発明者が鋭
意検討した結果、処理液(B) ブロックドイソシアネート
として水溶性かつブロック剤成分の熱解離温度が 100℃
〜200 ℃のものを用いることによりゴム中で長時間高温
に曝露された場合の耐熱性が更に改善されるだけでな
く、驚くべきことに耐疲労性が向上することを見いだし
た。ブロックドイソシアネートの成分は特に限定されな
いが、イソシアネート成分としてトリレンジイソシアネ
ート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート等のポリイソシアネート類、ブロ
ック剤成分としてフェノール類、アルコール類、オキシ
ム類、ラクタム類など、また水溶化させるための親水成
分はカルボキシル基(またはその塩)、スルホン酸基
(またはその塩)水酸基、アミド基などが適用される。
イソシアネートを用いることでキャリアーによるイソシ
アネートの繊維内部への浸入拡散がより均一なものとな
り、イソシアネートが耐熱接着力の低下の原因となるゴ
ム配合物中のアミンの捕獲剤としてより有効に作用した
ものと考えられる。このことは過加硫後の強力保持率が
極めて優れていることからも示唆される。また、ブロッ
ク剤成分の熱解離温度が 100℃〜200 ℃のときこの効果
は顕著となる。つまり、熱解離温度が 100℃より低いと
乾燥段階でイソシアネートの架橋反応が開始し、繊維内
部への浸入が不均一なものとなる。一方、200 ℃より高
いと充分な架橋反応が得られず、いづれも耐熱接着性は
低下する。
いが、特公昭60-31950号公報記載の処方よりガーレー式
評価での曲げ硬さが更に硬くなるにもかかわらず屈曲に
対して樹脂層のキンクが観察されないことから、強固で
ありかつ靱性にも優れた樹脂架橋構造が形成されている
ものと予想される。処理液(D) エポキシ樹脂は特に限定
されないが好ましくは2官能以上の多官能エポキシを用
いることで樹脂の架橋密度が高くなり耐熱接着力の低下
の原因となるゴム配合物中のアミンのバリア性が向上す
ることにより、優れた耐熱接着性が得られる。好ましい
例として脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテ
ル化合物が優れた性能を示す。かくして得られる本発明
のポリエステル繊維材料は耐疲労性を犠牲にすることな
くゴム配合物中に埋め込まれた状態で長時間高温に曝露
された場合の耐熱接着性が著しく改良された画期的なも
のである。
具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。なお各物性値は下記の方法により測定したもの
である。 (接着)JIS-L1017 のTテスト(A法)を改良したHテ
ストで評価した。処理コードをゴム中に1cmの長さ埋め
込み、 140℃×40min 、 170℃で60min および 170℃で
180min加硫した後、ゴムからコードを300mm/min で引き
抜くのに要する力をkg/cm で表したもの。 (耐疲労性)JIS-L1017 のディスク疲労強さ(グッドリ
ッチ法)で評価した。処理コードを2本をゴム中に埋め
込み、 140℃×40min 、加硫してゴムコンポジットを作
成する。この試験片を圧縮12.5%、伸張6.3 %の変形を
回転数2600rpmで50時間与えた後、ゴムからコードを取
り出して疲労後強力を測定し、疲労前との保持率で表し
たもの。 (ゴム中強力劣化)処理コードを中に埋め込み、 170℃
で60min および 170℃で180min加硫した後、ゴムからコ
ードを取り出して加硫後強力を測定し、加硫前との保持
率で表したもの。 (コード硬さ)ガーレー式柔軟度測定機を用いコード長
1.5inchに対する曲げ応力を測定したもので、値を指数
で表す。値が大きいほど硬いことを示す。
デニール、190 フィラメントのポリエチレンテレフタレ
ート糸条(固有粘度0.88dl/g、強度9.5g/d)を2本撚り
合わせ、撚数39×39(t/10cm)の双糸コードを得た。この
コードを第1処理液に浸漬させ処理液の付いたコードを
圧力を調整した絞りコールで絞り余剰な液を削除する。
処理液を付与させたコードは次いで、 120℃のオーブン
で56秒間乾燥させた後、235 ℃のオーブンで1.6kg/cord
の張力下で45秒間熱処理させた。引き続きを第2処理液
中にコードを浸漬させエアーにより余剰な液を削除す
る。次いで、第1処理と同様 120℃オーブンで56秒乾燥
させた後、 235℃のオーブンで1.0kg/cordの張力下で45
秒熱処理させた。こうして得られたディップ処理コード
の全樹脂付着率は8.0 重量%であった。実施例1で用い
た処理液組成を表1に示す。
たエポキシ化合物で表面活性化した1500デニール、190
フィラメントのポリエチレンテレフタレート糸条(固有
粘度0.88dl/g、強度9.5g/d)を用い、それ以外は実施例
1と同様のディップ処理を施した。処理コードの全樹脂
付着率は8.2重量%であった。
第1処理液および第2処理液中のブロックドイソシアネ
ートを水分散性のブロックドイソシアネートとしてジフ
ェニルメタンビス(4.4'- カルバモイル- εカプロラク
タム)を用い、それ以外は実施例1と同様のディップ処
理を施した。処理コードの全樹脂付着率は 7.9重量%で
あった。
キシ化合物で表面活性化したポリエチレンテレフタレー
ト糸条を用い、比較例1と同様の水分散性のブロックド
イソシアネートを用い、それ以外は実施例1と同様のデ
ィップ処理を施した。処理コードの全樹脂付着率は 8.1
重量%であった。
1処理液にキャリアーを加えずブロックドイソシアネー
トのみとし、それ以外は実施例1と同様のディップ処理
を施した。処理コードの全樹脂付着率は 7.3重量%であ
った。
エポキシを含まない、キャリアー+RFL 処方の代表例と
して表2に示す処理液を用い、それ以外は実施例1と同
様のディップ処理を施した。処理コードの全樹脂付着率
は 6.5重量%であった。
性を表3にまとめて示す。本発明の実施例1および2が
比較例1〜4に対して過加硫での接着力、ゴム中強力劣
化に優れることは明らかであり、コードの化学的劣化が
抑制されていることが判る。またコードが硬いにもかか
わらず、比較例4と同等レベルの耐疲労性を維持してい
ることは比較例1〜3の従来技術では予想できなかった
本発明の新規な事項である。
ことなくゴム配合物中に埋め込まれた状態で長時間高温
に曝露された場合の耐熱接着性が著しく改良されたゴム
補強用ポリエステル繊維材料の製造方法が提供される。
Claims (5)
- 【請求項1】 ポリエステル繊維材料にゴムとの接着性
を付与するに際して、処理液として(A) キャリアーを含
む処理液、(B) ブロックドイソシアネート水溶液、(C)
エポキシ樹脂の分散液および(D) レゾルシン−ホルムア
ルデヒド−ラテックス(RFL)混合液の4者を組み合わせ
て、1段または2段以上の多段処理により、該ポリエス
テル繊維に処理を施し、かつ第1段の処理浴には少なく
とも前記処理液(A) を、最終段の処理浴には少なくとも
前記処理液(D) を含ませることを特徴とするゴムとの接
着性の改善されたポリエステル繊維材料の製造方法。 - 【請求項2】 多段処理の処理段数が2段でありかつ、
第1段処理浴が処理液(A) および処理液(B) を、第2段
処理浴が処理液(B) 、処理液(C) および処理液(D) を含
有する特許請求項1に記載のポリエステル繊維材料の製
造方法。 - 【請求項3】 ポリエステル繊維材料が紡糸または延伸
工程で2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物で
処理した後 150℃〜260 ℃で熱処理して得られた糸条、
これを撚糸したコード、またはこれを製織した織物であ
る特許請求項1又は2に記載のポリエステル繊維材料の
製造方法。 - 【請求項4】 キャリアーが、o-フェニルフェノール、
p-クロルフェノール等のフェノール誘導体、モノクロル
ベンゼン、トリクロルベンゼン等のハロゲン化ベンゼン
類およびレゾルシンとp-クロルフェノールとホルムアル
デヒドの反応生成物から選ばれたものである特許請求項
1又は2に記載のポリエステル繊維材料の製造方法。 - 【請求項5】 ブロックドイソシアネートが水溶性であ
りかつブロック剤成分の熱解離温度が 100℃〜200 ℃で
ある特許請求項1又は2に記載のポリエステル繊維材料
の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP16981998A JP4556202B2 (ja) | 1998-06-17 | 1998-06-17 | ゴムとの接着性の改善されたポリエステル繊維材料の製造方法 |
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1998
- 1998-06-17 JP JP16981998A patent/JP4556202B2/ja not_active Expired - Lifetime
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