JP2000007511A - 抗菌性繊維、抗菌性布帛及びその製造法 - Google Patents

抗菌性繊維、抗菌性布帛及びその製造法

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JP2000007511A
JP2000007511A JP17590398A JP17590398A JP2000007511A JP 2000007511 A JP2000007511 A JP 2000007511A JP 17590398 A JP17590398 A JP 17590398A JP 17590398 A JP17590398 A JP 17590398A JP 2000007511 A JP2000007511 A JP 2000007511A
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polymer resin
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JP17590398A
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Hideto Ohashi
英人 大橋
Satoshi Hayakawa
聡 早川
Juji Konagaya
重次 小長谷
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Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】少量の抗菌成分で十分な抗菌活性が得られ、し
かも抗菌性の耐久性に優れた抗菌性繊維及び布帛を提供
すること。 【解決手段】少なくとも繊維表面に酸成分及びそれとイ
オン結合している4級ホスホニウム塩基を有する抗菌剤
と親水性物質とを含有する高分子樹脂を付与してなる抗
菌性繊維、及び上記高分子樹脂を少なくとも布帛表面に
付与してなる抗菌性布帛、及び抗菌剤と親水性物質を含
有する高分子樹脂を均一に分散させた処理液に布帛を浸
漬し、次いで絞り、その後乾燥することにより布帛表面
に高分子樹脂層を形成せしめる抗菌性布帛の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌性繊維及び織編
物や不織布等の布帛、特にホスホニウム塩基を有する高
分子物質からなる繊維に経時的に変化することなく、洗
濯耐久性に優れた抗菌性を付与した抗菌加工材料および
加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、病院その他、サニタリー分野での
病原菌の感染防止を目的としたカーペット、マット、シ
ーツ、カーテン、布団類への抗菌性付与、あるいは靴
下、タイツ類への防臭効果、また最近では、食堂、厨房
で使われるおしぼりや布巾の衛生を目的とした抗菌性付
与の検討がすすめられている。しかしながら、その抗菌
性は持続性に乏しく加工直後は優れた効果を発揮する
が、繰り返し洗濯等により抗菌性効果が失われる欠点を
有していた。現在、主に検討または使用されている抗菌
剤としてはキチン、キトサン、わさび抽出物、からし抽
出物、ヒノキチオール、茶抽出ポリフェノール等の天然
品、光酸化触媒酸化チタン粒子、酸化亜鉛超微粒子、銀
含有ゼオライト、銀含有リン酸ジルコニウム等の無機系
化合物、及び有機アンモニウム塩系、有機ホスホニウム
塩系化合物等の有機合成品がある。天然品及び銀に代表
される無機品は毒性の面で安全であるとして最近注目を
集めている。例えば、抗菌作用を有する金属イオンを担
持するゼオライト(特開昭60−202162号など)
や同様の金属イオンを有するリン酸塩系化合物(特開平
5−59308号など)等の無機系抗菌剤を配合した塗
料など多数提案されている。しかし、無機系抗菌剤の主
流である銀イオンを無機化合物担体に担持したものは、
銀イオンが溶出し抗菌性が低下することが多く、特に水
にさらされる場所では比較的短時間で抗菌性が消失して
しまうという問題があり、また樹脂に混合すると、これ
を着色または変色するものが多く、樹脂またはそれを含
む塗料、染料から得られる製品または塗装物の意匠を著
しく損なうものであった。他方、有機合成品は抗菌・防
かび能が天然品、無機品より優れるのが一般的だが、抗
菌性成分が揮発、分離しやすく、その毒性のためにかえ
って敬遠されがちである。これは抗菌性成分が水や有機
溶媒等に溶解しやすいためで、最近では不溶性で毒性を
示さない固定化抗菌剤が開発されている。この改善法と
して以下の開示例がある。
【0003】特開昭54−86584号公報には、カル
ボキシル基やスルホン酸基等の酸性基とイオン結合して
いる4級アンモニウム塩基を有する抗菌剤成分を含有す
る高分子物質を主体とした抗菌性材料が記載されてい
る。特開昭61−245378号公報には、アミジン基
などの塩基性基や4級アンモニウム塩基を有する抗菌剤
成分を含有したポリエステル共重合体からなる繊維が記
載されている。特開昭57−204286、63−60
9030,62−114903、特開平1−9359
6、特開平2−240090等の公報によれば種々の含
窒素化合物を同様、ホスホニウム塩化合物は細菌類に対
して広い活性スペクトルを持った生物学的活性化学物質
として知られている。上記のホスホニウム塩を高分子物
質に固定化し用途の拡大を試みた発明が開示されてい
る。
【0004】特開平4−266912号公報にはホスホ
ニウム塩系ビニル重合体の抗菌剤について、特再平4−
814365号公報にはビニルベンジルホスホニウム塩
系ビニル重合体の抗菌剤について開示されている。さら
には、特開平5−310820号公報には、酸性基およ
びこの酸性基とイオン結合したホスホニウム塩基を有す
る抗菌成分を含有する高分子物質を主体とした抗菌性材
料が記載されている。その実施例中でスルホイソフタル
酸のホスホニウム塩を用いたポリエステルが開示されて
いる。本発明者らは特開平4−266912、特再平4
−814365、特開平5−310820を鋭意検討
し、その実施例に従いホスホニウム塩基含有ビニル重合
体及び共重合ポリエステルおよびそれを用いたコーティ
ング剤を合成しそれを不織布に塗布し、それらの抗菌性
を検討したが、抗菌活性は不十分で、抗菌材料として改
善の必要が生じた。さらには、抗菌性を向上させようと
トリノルマルブチルドデシルホスホニウム塩基を50モ
ル%以上ポリエステルに結合しようとしても、ポリマー
の着色及びガラス転移点の低下による力学物性の低下等
が顕著になるだけでなく、充分な抗菌性が得られないと
いう問題が生じた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記問題
点を解決し、高分子物質中の抗菌成分であるホスホニウ
ム塩基量を適量に保ちながら抗菌性を向上させる抗菌性
材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、少なく
とも繊維表面に酸成分及びそれとイオン結合している4
級ホスホニウム塩基を有する抗菌剤と親水性物質とを含
有する高分子樹脂を付与してなることを特徴とする抗菌
性繊維、及び酸成分及びそれとイオン結合している4級
ホスホニウム塩基を有する抗菌剤と親水性物質とを含有
する高分子樹脂を少なくとも布帛表面に付与してなるこ
とを特徴とする抗菌性布帛、及び抗菌剤と親水性物質を
含有する高分子樹脂を均一に分散させた処理液に布帛を
浸漬し、次いで絞り、その後乾燥することにより布帛表
面に高分子樹脂層を形成せしめることを特徴とする抗菌
性布帛の製造法である。
【0007】具体的には抗菌剤が下記(式1)で示され
るスルホン酸基含有二官能性芳香族化合物のホスホニウ
ム塩であることを特徴とする上記記載の抗菌性繊維、
【0008】
【化2】
【0009】(式中、Aは芳香族基、X1 、X2 はエス
テル形成性官能基、R1 、R2 、R 3 、R4 はアルキル
基でそのうちの少なくとも1個は炭素数10以上20以
下のアルキル基)、高分子樹脂がジカルボン酸成分及び
グリコール成分を主成分とし、(式1)で表されるスル
ホン酸基含有二官能性芳香族化合物のホスホニウム塩を
1〜50モル%共重合した共重合ポリエステルであるこ
とを特徴とする上記記載の抗菌性繊維、及び親水性物質
がカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ア
ミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能
基を有するビニル系重合体であることを特徴とする上記
記載の抗菌性繊維である。
【0010】上記の構成からなる本発明は、抗菌性付与
が容易で、安価に所期の抗菌性効果を発揮することがで
き、また、抗菌処理を施した繊維及び繊維製品が未処理
品と変わらぬ外観、表面特性、風合いを有することに特
徴がある。
【0011】以下、本発明を詳述する。本発明の抗菌性
繊維は、その少なくとも繊維表面が酸成分及びそれとイ
オン結合している4級ホスホニウム塩基を有する抗菌剤
と親水性物質とを含む高分子樹脂からなる抗菌樹脂層を
有するが、酸成分及びそれとイオン結合している4級ホ
スホニウム塩基を有する抗菌剤の例としては、カルボキ
シル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基または
それらの塩等の誘導体、ヒドロキシル基、アルコキシル
基、アミノ基、エポキシ基及びフッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素等のハロゲンイオンを有する化合物、アクリル酸、
アクリルアミド等の各種アクリル化合物、イソシアネー
ト化合物、フマール酸、マレイン酸等の不飽和二重結合
を有する化合物にホスホニウム塩基を導入した化合物が
挙げられる。その中でも(式1)で表されるスルホン酸
基含有二官能性芳香族化合物のホスホニウム塩が好まし
い。これらのホスホニウム塩化合物は抗菌層中で高分子
物質と化学結合を形成することができる。また高分子物
質中にホスホニウム塩化合物がモノマーとして混合され
ていてもよいし、ホスホニウム塩化合物が高分子物質に
共重合されていてもよい。ホスホニウム塩化合物を含有
する高分子物質として好ましいものの例として、ジカル
ボン酸成分及びグリコール成分を主成分とし、前記(式
1)で表されるスルホン酸基含有二官能性芳香族化合物
のホスホニウム塩を全ジカルボン酸中1mol%以上5
0mol%以下共重合した共重合ポリエステルがあげら
れる。このような共重合ポリエステルは化学結合によっ
て結合した親水性物質を有することによる抗菌性向上の
効果が顕著である。
【0012】
【化3】
【0013】(式中、Aは芳香族基、X1 、X2 はエス
テル形成性官能基、R1 、R2 、R 3 、R4 はアルキル
基でそのうちの少なくとも1個は炭素数10以上20以
下のアルキル基) このような共重合ポリエステルを構成するスルホン酸基
含有二官能性芳香族化合物のホスホニウム塩化合物(式
1)のR1 ,R2 ,R3 ,R4 の例としては、メチル、
エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペプ
チル、オクチル、ドデシル、ペンタデシル、ヘキサデシ
ル、オクタデシル等のアルキル基が典型的なものであ
り、R1 ,R2 ,R3 ,R4 のうち少なくとも一つは炭
素数10〜20のアルキル基であることが、抗菌性効果
を最大に発現する点で好ましい。Xの好ましい例として
は、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の
酸性基またはそれらの塩等の誘導体の他に、ヒドロキシ
ル基、アルコキシル基、アミノ基、エポキシ基、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンイオンが挙げられ
る。
【0014】前記共重合ポリエステルを構成するジカル
ボン酸成分の具体例としては、芳香族ジカルボン酸、脂
環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、複素環族ジカ
ルボン酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジカルボキシルベン
ゾフェノン、ビス(4−カルボキシルフェニル)エタン
及びそれらの誘導体があり、脂環族ジカルボン酸として
はシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸及びその誘導
体等があり、脂肪族ジカルボン酸としてはアジピン酸、
セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、
ダイマー酸及びそれらの誘導体等があり、複素環族ジカ
ルボン酸としてはピリジンカルボン酸及びその誘導体が
挙げられる。このようなジカルボン酸成分以外にp−オ
キシ安息香酸などのオキシカルボン酸類、トリメリット
酸、ピロメリット酸及びその誘導体等の多官能酸を含む
ことも可能である。グリコール成分としては、エチレン
グリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエ
チレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール等が挙げられる。このほか
少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カー
ボネート結合等を含有する化合物を含んでいてもよい。
【0015】スルホン酸基含有二官能性芳香族化合物の
ホスホニウム塩としては、スルホイソフタル酸トリ−n
−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸ト
リ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホイ
ソフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチル
ドデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n
−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸ト
リ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホテ
レフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム
塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチル
ドデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、
7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム
塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ
−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、4−スルホ
ナフタレン−2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルヘ
キサデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−
2、7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルテトラデシルホ
スホニウム塩、4−スルホナフタレン−2、7−ジカル
ボン酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、等が
あげられ、抗菌活性の点ではスルホイソフタル酸トリ−
n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホイソフ
タル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、
スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニ
ウム塩が特に好ましい。上記芳香族ジカルボン酸ホスホ
ニウム塩は芳香族ジカルボン酸またはそのナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩等に、トリ−n−ブチ
ルヘキサデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブ
チルテトラデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−
ブチルドデシルホスホニウムブロマイド等のホスホニウ
ム塩を反応させることにより得られる。反応溶媒は特に
限定しないが、水が最も好ましい。
【0016】前記共重合ポリエステルには着色及びゲル
発生等がないように耐熱性の改善の目的で、酢酸マグネ
シウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、酢酸カ
ルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム塩、酢酸マン
ガン、塩化マンガン等のマンガン塩を各々金属イオンと
して20ppm以上300ppm以下、リン酸またはリ
ン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル等
のリン酸エステル誘導体をP原子として20ppm以上
200ppm以下添加することも可能である。前記金属
イオンが300ppmを越えるとポリマーの着色が顕著
になる。また20ppm未満ではポリマーの耐熱性の向
上が見られない。また、抗菌性繊維の耐熱性等の点で、
前記Pと前記金属イオンとのモル比(下記式)は0.4
〜1.0であることが好ましい。 添加物のモル比=(リン酸、リン酸アルキルエステル、またはその誘
導体の総モル数)/(Mgイオン 、Caイオン 、Mnイオン の
総モル数)
【0017】前記Pと金属イオンのモル比が0.4未満
または1.0を越える場合には、ポリマーの着色、粗大
粒子の発生が顕著となり、塗料としての適用が困難とな
る。
【0018】前記典型例での本発明の主たる構成成分で
ある共重合ポリエステルの製造方法としては、芳香族ジ
カルボン酸とグリコールとを直接反応させる、いわゆる
直接重合法、芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルと
グリコールとをエステル交換反応させる、いわゆるエス
テル交換法など任意の製造法を適用することができる。
前記金属イオン、リン酸及びその誘導体の添加時期は特
に限定しないが、金属イオンは原料仕込み時に、リン酸
類の添加は重合反応前に添加するのが好ましい。本発明
の高分子物質として好ましい他の具体例として下記(式
2)で示されるホスホニウム塩系ビニル重合体が挙げら
れる。
【0019】
【化4】
【0020】(R5 、R6 、R7 は水素原子、炭素原子
数1〜18個の直鎖または分岐のアルキル基、アリール
基、ヒドロキシル基、またはアルコキシ基で置換された
アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、P
hはフェニレン基、X−はアニオンを示す。、nは2以
上の整数である。)
【0021】上記R5 ,R6 ,R7 の例としてはメチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、
ヘプチル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニ
ル、トリル、キシリル等のアリール基、ベンジル、フェ
ニチル等のアラルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
ル基等で置換されたもので、アルキル基、アリール基が
特に好ましい。R5 ,R6 ,R7 は同一の基でも、異な
る基でもよい。X−はアニオンであり、たとえばフッ
素、塩素、臭素またはヨウ素等のハロゲンイオン、硫酸
イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン等が挙げられる
が、ハロゲンイオンが好ましい。nは特に限定しない
が、2〜500、好ましくは10〜300である。
【0022】本発明の繊維及び布帛には親水性物質及び
/または該親水性物質を含む高分子物質が含まれている
が、この親水性物質としては抗菌層中の高分子物質と化
学結合可能な官能基を有する親水性物質および高分子物
質に化学結合してなる親水性物質およびそれ自体で高分
子重合体を形成している親水性物質から選ばれることが
できる。親水性物質とは水と親和性に優れた物質で、水
に溶解、分散あるいは保水、保湿性、膨潤可能な物質で
あり、これを適量に含むことにより抗菌層と水との親和
性が高められる物質である。親水性物質の一般的な例と
してはヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、カルボキ
シル基またはそのアルカリ金属塩、スルホン酸基または
そのアルカリ金属塩、第四級アンモニウム塩基、アミン
塩基の少なくとも1種を含む有機化合物または高分子化
合物、あるいはポリエーテル鎖、ポリアミン鎖の少なく
とも1種を含む有機化合物または高分子化合物がある。
ポリエーテルとはエーテル結合を1分子内に2個以上を
含む高分子化合物で、例えばポリオキシメチレン鎖、ポ
リオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖が代表的
にあげられる。ポリアミンとは主鎖の中に塩基性の窒素
原子を含む高分子で、代表的なものにポリエチレンイミ
ン、ポリアルキレンポリアミン(例えば、ポリエチレン
ポリアミン)がある。これらの親水性物質を含むことに
よって、本発明の抗菌性不織布の親水性が向上する。
【0023】親水性物質の具体例としては、ポリビニル
アルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメ
チルアミノメチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジ
メチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(N,N−ジ
メチルアミノエチルメタクリレート)、ポリビニルアミ
ン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルイミダゾール、ポリアクリル酸のホモポリマーま
たは共重合体、ポリメタクリル酸のホモポリマーまたは
共重合体、無水マレイン酸のホモポリマーまたは共重合
体(例えば、無水マレイン酸・スチレン共重合体)、ポ
リビニルスルホン酸またはその共重合体またはそれらの
アルカリ金属塩、ポリスチレンスルホン酸またはその共
重合体またはそれらのアルカリ金属塩、ポリスチレンの
第4級アンモニウム塩誘導体、ポリビニルイミダゾリン
塩、ポリアリルアミン塩、ポリエチレングリコール(別
名 ポリエチレンオキサイド)、ポリプロピレングリコ
ール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、
グリセリン、ポリグリセリン等のポリオールまたはその
重合体、スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩またはア
ンモニウム塩を1mol%以上10mol%以下共重合
したポリエステルをあげることができる。またポリアル
キレングリコール、ポリグリセリンの末端がアルコー
ル、アルキルフェノール、脂肪酸、アミン類等で封鎖さ
れたポリエーテル誘導体でもよく、例えば、ポリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ポリグリセリンアルキレンオキ
サイド付加物、その脂肪酸エステルまたは脂肪族アルコ
ールエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグ
リセリン脂肪族アルコールエーテル、ポリグリセリング
リシジルエーテル、その反応物等の誘導体があげられ
る。中でもポリエチレングリコール、ポリグリセリン及
びそれらの誘導体がポリエステルへの相溶性及び抗菌性
の向上の点で好ましい。
【0024】該親水性物質の分子量は特に限定しない
が、ポリエチレングリコールの場合には数平均分子量で
200以上30000以下が好ましく、さらには100
0以上25000以下が好ましい。該親水性物質(共重
合体の場合は、共重合体中にしめる親水性物質をさす)
の添加量は特に限定しないが、ポリエチレングリコール
を親水性物質として添加する場合には、繊維及び布帛の
抗菌層成分の総量に対して0.1〜20重量%、好まし
くは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量
%である。0.1重量%以下では抗菌活性増大効果が不
十分で、20重量%を越えると抗菌層の機械的特性及び
耐熱性・耐候性が低下し、好ましくない。本発明の繊維
の抗菌層に親水性物質を含有させる方法は特に限定せ
ず、混合、溶融混練り、共重合等、任意の方法を採用で
きるが、特に、共重合の形をとることが好ましい。例え
ば、前記グリコール、ポリオール、スルホイソフタル酸
のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、ビニルピロリ
ドン、アクリル酸、スチレンスルホン酸、等のような共
重合可能な親水性物質(モノマー)を前記ホスホニウム
塩化合物を有するポリエステル、ポリアミド、ポリオレ
フィン等のポリマーの主鎖または側鎖に共有結合させる
ことは、親水性物質がそれらのポリマーに効果的に結合
することにより、親水性物質の系外へのブリードアウト
防止、すなわち本発明の抗菌性不織布の高抗菌活性の長
期維持に特に有効である。
【0025】また,前記ホスホニウム塩化合物含有ポリ
マーの重合反応終了後に反応系内に親水性物質あるいは
モノマーを添加混合する方法、また、前記ホスホニウム
塩化合物含有ポリマーと親水性物質類を適当な溶媒中、
例えば水、水/アルコール混合溶媒、アセトン、メチル
エチルケトン等の有機溶媒等に混合溶解または分散した
後、該溶媒を乾固する等の方法をとることもできる。ま
た、本発明のホスホニウム塩化合物含有ポリマーへの親
水性物質の導入方法の他の好適な例として該ポリマーに
親水性基を有するビニル系モノマーをグラフト付加させ
ることもできる。本発明におけるホスホニウム塩化合物
含有ポリマーにグラフトさせることができる親水性基を
有するビニル系モノマーとしては、カルボキシル基、ヒ
ドロキシル基、スルホン酸基、アミド基などを含むも
の、親水性基に変化させることができる基として酸無水
物基、グリシジル基、クロル基などを含むものが挙げら
れる。そのなかでカルボキシル基を有するものが最も好
ましい。
【0026】例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びそ
れらの塩等のカルボキシル基又はその塩を含有するモノ
マー、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−
プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n
−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート等のア
ルキルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロ
ピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−
ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、Nーメチルアクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタ
クリルアミド、N、N−ジメチロールアクリルアミド、
N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマ
ー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト等のエポキシ基含有モノマー等があげられる。そのほ
かの親水性基を有するモノマーとしては、例えば、アリ
ルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー、ス
チレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩等
のスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー、クロト
ン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びそれら
の塩等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマ
ー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含
有するモノマーがあげられる。これらは他のモノマーと
併用することができる。他のモノマーとしては、例え
ば、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、ス
チレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテ
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニ
リデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられ、これら
の中から1種類または2種類以上を用いて共重合するこ
とができる。親水性基を有するビニル系モノマーのグラ
フト比率は主鎖となるホスホニウム塩化合物含有ポリマ
ーに対して重量比で5%から60%の範囲が好ましい。
【0027】親水性基を含有するモノマーを前記ホスホ
ニウム塩化合物含有ポリマーにグラフトさせる方法とし
ては公知のグラフト重合法を用いることが出来る。その
代表例として以下の方法があげられる。例えば、光、
熱、放射線等によって主鎖の高分子重合体にラジカルを
発生させてからモノマーをグラフト重合させるラジカル
重合法、或いはAlCl3 、TiCl4 等の触媒を用い
てカチオンを発生させるカチオン重合法、或いは金属N
a,金属Li等を用いてアニオンを発生させるアニオン
重合法等がある。また、あらかじめ主鎖の高分子重合体
に重合性不飽和二重結合を導入しこれにビニル系モノマ
ーを反応させる方法があげられる。これに用いられる重
合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、フマー
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シト
ラコン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、
テトラヒドロ無水フタル酸等をあげることができる。こ
のうち最も好ましいものはフマール酸、マレイン酸、及
び2,5−ノルボルネンジカルボン酸である。
【0028】また、側鎖に官能基を導入した主鎖の高分
子重合体と、末端に前記の官能基と反応する基を有する
枝ポリマーを反応させる方法があげられる。例えば側鎖
に−OH基、−SH基、−NH2 基、−COOH基−C
ONH2 基等の水素供与基を有する高分子物質と、片末
端が−N=C=O基、−C=C=O基、−CHO−CH
2 、−CSH−CH2 等の水素受容基であるビニル系重
合体とを反応させる方法、この逆の組み合わせで反応さ
せる方法があげられる。前記好適な具体例で主鎖となる
ホスホニウム塩化合物含有ポリマーとグラフトされるビ
ニル系モノマーの重量比は40/60〜95/5の範囲
であり、さらに好ましくは55/45〜93/7、最も
好ましくは60/40〜90/10の範囲である。主鎖
のポリマーの重量比が40%未満であると、グラフト重
合性ビニル系モノマーが完全に反応しないまま残るため
従来のポリマーの持つ耐熱性、加工性等の特性が損なわ
れる。また主鎖のポリマーの重量比が95%を越えると
きは、本発明の目的である抗菌性の向上効果が充分に発
揮されない。
【0029】本発明の繊維には、さらなる抗菌活性の向
上を目的として、他の有機系の抗菌剤、または銀/ゼオ
ライト粒子、銀/リン酸ジルコニウム粒子、酸化亜鉛微
粒子、光酸化触媒機能を有した酸化チタン微粒子等の無
機系の抗菌剤を添加することも可能である。また、本発
明の抗菌性繊維の抗菌層の滑り性、耐摩耗性、耐ブロッ
キング性、隠蔽性等の物理的特性の向上を目的として、
炭酸カルシウム(CaCO3 )、硫酸バリウム(BaS
4 )、フッ化カルシウム(CaF2 )、タルク、カオ
リン、酸化ケイ素(SiO2 )、アルミナ(Al
2 3 )、二酸化チタン、酸化ジルコニウム(Zr
2 )、酸化鉄(Fe2 3 )、アルミナ/シリカ複合
酸化物等の無機粒子、架橋ポリスチレン、架橋ポリメタ
クリル酸エステル、架橋ポリアクリル酸エステル等の有
機粒子等を添加することも可能である。上記の粒子につ
いてさらに詳細に述べる。炭酸カルシウム粒子は、その
結晶構造により三方または六方晶系に分類されるカルサ
イト、斜方晶系に分類されるアラゴナイト、六方または
擬六方晶系に分類されるバテライトの3つの結晶型に分
類されるが、いかなる結晶型でもよく、その形状も、連
球状、立方体状、紡錘状、柱状、針状、球状、卵状など
任意に選択出来る。上記カオリン粒子は、天然カオリ
ン、合成カオリン、焼成、未焼成を問わずいかなるタイ
プでもよく、またその形状も、柱状、板状、球状、紡錘
状、卵状など任意に選択できる。上記アルミナとして
は、ジブサイト、バイヤライト、ノルトストランダイ
ト、ベーマイト、ダイアスポア、トーダイトなどの結晶
性アルミナ水和物、無定形ゲル、ベーマイトゲル、バイ
ヤライトゲルなどの非晶性アルミナ水和物、およびρ、
γ、κ、δ、θ型などの中間活性アルミナまたはα型ア
ルミナが挙げられる。
【0030】これらの平均粒径は目的に応じて変更する
必要があるので、特に限定はしないが、一般的には平均
粒径が0.01μm以上10μm以下であることが好ま
しく、その添加量は50重量%以下が好ましい。粒子の
添加量が50重量%を越える場合には、それを用いた抗
菌性繊維及び布帛の抗菌層の強度、接着性、延伸性、屈
曲性が低下する。
【0031】本発明の繊維及び布帛における抗菌層の有
効成分であるホスホニウム化合物含有高分子物質はそれ
単独で用いることも出来るが、不織布表面の硬度、耐削
れ性、耐熱性、耐溶剤性を改良する目的で他の塗膜形成
用樹脂及び/または硬化剤を併用してもよい。該塗膜形
成用樹脂及び/または硬化剤の硬化反応は常温硬化型、
加熱硬化型、光硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型の
いずれでもよい。常温硬化型の塗膜形成用樹脂として
は、大気中の湿気により反応させる一液型、触媒や硬化
剤を加えて反応させる一液型、2つの成分を混合するこ
とにより架橋反応を行う二液型等が挙げられる。二液型
の例としてはシリコーン樹脂等が挙げられる。加熱硬化
型の塗膜形成用樹脂としては例えばアクリル樹脂、シリ
コーン変性アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコー
ン変性ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキ
ッド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ポリウレタ
ン樹脂や塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂のプラスチゾル又
はオルガノゾルが挙げられる。これらは単独あるいは2
種以上組み合わせて用いることができる。アクリル樹脂
としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基を
有するエチレン性モノマー、(メタ)アクリル酸、クロ
トン酸等のエチレン性モノマー、(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸プロピル等の(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル等のエチレン性モノマー、スチレ
ン等のモノマーから通常の方法で重合した樹脂が挙げら
れる。またシリコーン変性アクリル樹脂は、上記アクリ
ル樹脂100重量部に対して、有機シリコーン(例え
ば、官能基として、−SiOCH3 、−SiOHを有す
る数平均分子量300〜1000の有機シリコーン)5
〜50重量部を反応させて得ることができる。
【0032】ポリエステル樹脂としては、エチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、水
添ビスフェノールA等の1種またはそれ以上の多価アル
コールとフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン
酸、コハク酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸
等の塩基酸とを原料とした樹脂が挙げられる。またシリ
コーン変性ポリエステル樹脂は、上記ポリエステル樹脂
100重量部に対して上記の有機シリコーン5〜50重
量部を反応させて得ることができる。また塩化ビニル樹
脂や、フッ素樹脂のプラスチゾル又はオルガノゾルを用
いることもできる。フッ素樹脂としては、フッ化ビニリ
デン樹脂、フッ化ビニル樹脂等の他、フルオロオレフィ
ンビニルエーテルコポリマー、フルオロオレフィンビニ
ルエステルコポリマー等の硬化型フッ素塗料を使用する
ことができる。
【0033】硬化剤としては、メラミン樹脂、グアナミ
ン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネ
ート等が挙げられる。光硬化型の塗膜形成用樹脂として
は、例えばウレタンアクリレート系、アクリル系、エポ
キシ系、不飽和ポリエステル系、不飽和メラミン系樹脂
等が挙げられる。電子線、紫外線硬化型の樹脂として
は、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリ
ロイルオキシ基等の重合性不飽和基、エポキシ基、チオ
ール基等を含む単量体及び/またはプレポリマーからな
る組成物を電離放射線(電子線、紫外線)で重合(架橋
反応、付加反応等)硬化させてなるもので、プレポリマ
ーの例としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリ
エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アク
リレート、(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル
等が挙げられる。単量体の例としては、スチレン、α−
メチルスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
等がある。
【0034】本発明の繊維及び布帛において抗菌層の有
効成分であるホスホニウム塩化合物含有高分子物質の好
適な割合は抗菌層全体に対して10〜100重量部、さ
らに好ましくは20〜90重量部である。10重量部未
満であると抗菌性が十分に発現しなくなる。本発明の繊
維及び布帛の抗菌層に含まれる有効成分であるホスホニ
ウム塩モノマーの好適な割合は抗菌層全体に対して1〜
50重量部である。1重量部未満であると抗菌性が十分
に発現しなくなる。
【0035】本発明の抗菌性布帛の抗菌層を形成させる
方法としては、有効成分であるホスホニウム塩化合物及
び/またはホスホニウム塩化合物含有高分子物質、及び
親水性物質及び/または親水性物質を含む高分子物質、
及び他の塗膜形成性樹脂、硬化剤、その他の粒子等すべ
ての不揮発性成分を有機系溶媒及び/または水系溶媒に
均一に分散または溶解させ、これをコーティング、浸せ
き、スプレー噴霧等の任意の方法により布帛の表層に付
着させ、乾燥するという方法がとられる。有機系溶媒の
例としては、芳香族、脂肪族の炭化水素、脂肪族のアル
コール類、エステル類、エーテル類、ケトン類から選ぶ
ことができる。具体例としてはトルエン、n−ヘキサ
ン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、n−ブタ
ノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、
メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ブチルセロ
ソルブ、酢酸エチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン
等が挙げられる。水系溶媒としては、水または水と上記
の有機系溶媒との混合溶媒が用いられる。
【0036】本発明の繊維及び布帛の基材としては、公
知の方法によって製造されたものを用いることができ
る。その素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ア
クリル、ウール、綿、パルプなど任意のものを用いるこ
とができる。また、それらの素材を併用して用いること
ができる。また、その製造方法としては、熱接着式、溶
剤接着式、ニードルパンチ式、スパンボンド式、ステッ
チボンド式など任意の方法を用いることができる。ま
た、それらを組み合わせて用いることができる。(作
用)本発明の繊維及び布帛は、その抗菌層中に親水性基
を含むので、親水性を好む細菌を抗菌性部位に容易に引
きつけることにより、ホスホニウム塩基含有高分子物質
が本来持つ抗菌性を著しく向上させることができる。
【0037】
【実施例】次に実施例及び比較例を用いて本発明を更に
詳しく説明するが、以下の実施例に限定されるものでは
ない。以下に実施例及び比較例で得られた抗菌性繊維の
物性の測定方法を示す。
【0038】(抗菌性試験方法)密閉容器の底部に予め
滅菌したサンプル0.2gを置き、このサンプル上に予
め培養した1/50ブロースで希釈した黄色ブドウ球菌
または大腸菌の菌液0.2mlを蒔き、37℃のインキ
ュベーター内に24時間静置した後、20mlのSCD
LP培地を添加して十分に振とうして菌を洗い落とす。
これを普通寒天培地に蒔き24時間後に菌数を計測し、
同時に実施した対照繊維による菌数値と比較し抗菌性を
判断した。
【0039】(洗濯耐久性試験)抗菌性繊維を市販の洗
濯洗剤(ニッサンノニオンNS−210、日本油脂製)
を用いて家庭用洗濯機で15分間洗濯、3分間脱水し、
乾燥する。これを10回繰り返した後の抗菌性を調べ
た。
【0040】(高分子物質の製造例1)攪拌機、温度計
及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オ
ートクレーブにジメチルテレフタレート485部、ジメ
チルイソフタレート388部、5−スルホジメチルイソ
フタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩16
1部、エチレングリコール443.3部、ネオペンチル
グリコール400.4部、及びテトラ−n−ブチルチタ
ネート0.52部を仕込み、160℃〜220℃まで4
時間かけて加熱しながら生成するメタノールを留去しエ
ステル交換反応を行った。ついでフマル酸29部を加
え、200〜230℃まで1時間かけて昇温し、反応系
を徐々に減圧したのち、0.2mmHgの減圧化で1時
間30分反応させ、ポリエステル(A−1)を得た。ポ
リエステル(A−1)の組成は以下に示すとおりであ
る。 ジカルボン酸成分 テレフタル酸 50モル% イソフタル酸 40モル% C12ホスホニウム塩 5モル% フマル酸 5モル% ジオール成分 エチレングリコール 65モル% ネオペンチルグリコール 35モル% 同様の方法により表1に示した種種のポリエステル(A
−2、A−3)を製造した。
【0041】
【表1】
【0042】グラフト重合体の製造例1 攪拌機、温度計、環流装置と定量滴下装置を備えた反応
器にポリエステル(A−1)300部、メチルエチルケ
トン360部、イソプロピルアルコール120部を入
れ、加熱、攪拌し環流状態で樹脂を溶解した。樹脂が完
全に溶解した後、アクリル酸65部とアクリル酸エチル
35部オクチルメルカプタン1.5部の混合物、アゾビ
スイソブチロニトリル6部を、メチルエチルケトン90
部、イソプロピルアルコール30部の混合液に溶解した
溶液とを1.5時間かけてポリエステル溶液中にそれぞ
れ滴下し、さらに3時間反応させ、グラフト重合体溶液
を得た。このグラフト重合体溶液を室温まで冷却した
後、トリエチルアミン59部を添加し中和した後にイオ
ン交換水800部を添加し30分攪拌した。その後、加
熱により溶媒中に残存する溶媒を留去し水分散体(B−
1)とした。同様な方法によりポリエステル(A−2、
A−3)をグラフト重合化しグラフト重合体(B−2、
B−3)を得た。
【0043】グラフト重合体の製造例2 グラフト重合体の製造例1において、アクリル酸の量を
20部、アクリル酸エチルの量を10部に代えたことを
除いて、製造例1と同様な方法でグラフト重合体水分散
体(B−4)を得た。
【0044】グラフト重合体の製造法3 グラフト重合体の製造例1において、グラフトするモノ
マーとしてN−メチルアクリルアミド35部、アクリル
アミド65部を用いたことを除いて、製造例1と同様な
方法でグラフト重合体水分散体(B−5)を得た。
【0045】グラフト重合体の製造例4 グラフト重合体の製造例1において、グラフトするモノ
マーとしてスチレン15部、酢酸ビニル85部を用いた
ことを除いて、製造例1と同様な方法でグラフト重合体
水分散体(B−6)を得た。
【0046】基材不織布の作製 固有粘度が0.63のポリエチレンテレフタレ−トを2
90℃で溶融し、ノズルから常法で押しだし、ネット状
のコンベア上に乗せてから、エンボスロ−ルにて圧着
し、巻き取り目付50g/m2 の基材不織布を作製し
た。
【0047】(実施例1)グラフト重合水分散体(B−
1)と緑色顔料液、ノニオン系アクリル樹脂バインダー
を混合し、それぞれの固形分濃度が抗菌ポリエステル樹
脂2%、カラー顔料液1%、ノニオン系アクリル樹脂バ
インダー2%となるように水で希釈し処理液とした。基
材不織布に上記の処理液を含浸したのち、絞りロールを
通して絞り率130%で絞り、100℃で2分、150
℃で3分乾燥した。この加工不織布の特性を表2、3に
示した。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】(比較例1)実施例1において、グラフト
重合水分散体(B−1)を用いなかったことを除いて実
施例1と同様な方法で加工不織布を得た。得られた不織
布の特性を表2に示した。
【0051】(比較例2)実施例1において、抗菌処理
液の代わりにポリエステル(A−1)をメチルエチルケ
トン、イソプロピルアルコールに溶解したポリエステル
樹脂溶液を用いたことを除いて実施例1と同様な方法で
加工不織布を得た。得られた不織布の特性を表2に示し
た。
【0052】(実施例2)実施例1において、グラフト
重合体水分散体(B−2)を用いたことを除いて、実施
例1と同様な方法で加工不織布を得た。得られた不織布
の特性を表2に示した。
【0053】(比較例3)実施例1において、グラフト
重合体水分散体(B−3)を用いたことを除いて、実施
例1と同様な方法で加工不織布を得た。得られた不織布
の特性を表2に示した。
【0054】(実施例3)実施例1において、グラフト
重合体水分散体(B−4)を用いたことを除いて、実施
例1と同様な方法で加工不織布を得た。得られた不織布
の特性を表2に示した。
【0055】(実施例4)実施例1において、グラフト
重合体水分散体(B−5)を用いたことを除いて、実施
例1と同様な方法で加工不織布を得た。得られた不織布
の特性を表2に示した。
【0056】(比較例4)実施例1において、グラフト
重合体水分散体(B−6)を用いたことを除いて、実施
例1と同様な方法で加工不織布を得た。得られた不織布
の特性を表2に示した。
【0057】(比較例5)実施例1においてグラフト重
合体水分散体(B−1)にかえて、銀/リン酸ジルコニ
ウム系抗菌剤(ノバロン、東亞合成(株)製)を全固形
分に対して1.25%配合して均一に分散し処理液とし
た。これを実施例1と同様な方法で不織布に加工した。
この加工不織布の特性を表3に示した。
【0058】
【発明の効果】本発明によると少量の抗菌成分で十分な
抗菌活性が得られ、しかも抗菌性の耐久性に優れた抗菌
性繊維及び布帛を提供することを可能とした。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも繊維表面に酸成分及びそれとイ
    オン結合している4級ホスホニウム塩基を有する抗菌剤
    と親水性物質とを含有する高分子樹脂を付与してなるこ
    とを特徴とする抗菌性繊維。
  2. 【請求項2】抗菌剤が下記(式1)で示されるスルホン
    酸基含有二官能性芳香族化合物のホスホニウム塩である
    ことを特徴とする請求項1記載の抗菌性繊維。 【化1】 (式中、Aは芳香族基、X1 、X2 はエステル形成性官
    能基、R1 、R2 、R 3 、R4 はアルキル基でそのうち
    の少なくとも1個は炭素数10以上20以下のアルキル
    基)
  3. 【請求項3】高分子樹脂がジカルボン酸成分及びグリコ
    ール成分を主成分とし、(式1)で表されるスルホン酸
    基含有二官能性芳香族化合物のホスホニウム塩を1〜5
    0モル%共重合した共重合ポリエステルであることを特
    徴とする請求項1記載の抗菌性繊維。
  4. 【請求項4】親水性物質がカルボキシル基、ヒドロキシ
    ル基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる
    少なくとも1種類の官能基を有するビニル系重合体であ
    ることを特徴とする請求項1記載の抗菌性繊維。
  5. 【請求項5】酸成分及びそれとイオン結合している4級
    ホスホニウム塩基を有する抗菌剤と親水性物質とを含有
    する高分子樹脂を少なくとも布帛表面に付与してなるこ
    とを特徴とする抗菌性布帛。
  6. 【請求項6】抗菌剤と親水性物質を含有する高分子樹脂
    を均一に分散させた処理液に布帛を浸漬し、次いで絞
    り、その後乾燥することにより布帛表面に高分子樹脂層
    を形成せしめることを特徴とする抗菌性布帛の製造法。
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