JP2000006814A - 踏切警報時間制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 踏切警報時間制御をＰＲＣシステムから得た
列車種別情報に基づいて行えるようにする。 【解決手段】 列車の種別に応じてその踏切に設置され
ている踏切警報機を駆動開始させるタイミングを設定し
てその踏切警報機を駆動させる踏切警報時間制御装置に
おいて、列車運行管理システムから列車種別情報を抽出
する列車種別情報抽出手段と、抽出された列車種別情報
を前記踏切を通過する順序に対応させて記憶させるとと
もに、制御子を列車が通過したときにその通過した列車
の列車種別情報を消去して順にシフトさせる列車種別情
報記憶手段と、前記制御子により列車が検知されたとき
に、記憶されている列車種別情報のうち、次に消去され
る列車種別情報に基づいて前記踏切警報機を駆動開始さ
せるタイミングを設定する設定制御手段とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は踏切警報時間制御装
置に係り、特に、列車種別に対応させて踏切警報機を駆
動開始させるタイミングを制御できるようにしたものに
関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は、従来の踏切警報時間制御装置を
説明するための概略構成図である。この図５において、
列車が走行する線路ｒは、複数（図示の例では４個）の
閉そく区間に分割されていて各閉そく区間は、線路ｒを
電気回路の一部とする軌道回路１Ｔ〜４Ｔをそれぞれ構
成している。

【０００３】この図５においては、列車は軌道回路１Ｔ
〜４Ｔに向けて走行するように示され、また、その線路
ｒを走行する列車は、軌道回路３Ｔに設けられている甲
駅を通過する急行列車イと、その甲駅に停車する緩行列
車（以下、普通列車という）ロとがあり、また、甲駅を
進出した近くには、踏切Ｘが設けられている。図５中、
Ｙは踏切警報機である。なお、本発明で踏切警報機とい
うときは、列車接近を鳴動により報知する警報機器だけ
でなく、遮断桿を開閉させる踏切遮断機も含んで用いら
れている。

【０００４】踏切警報機Ｙは、踏切Ｘから所定距離手前
（図示の例では軌道回路１Ｔ）に設けられた、車軸検知
器等からなる列車検知機能を有する制御子ｄで列車が検
知されたときから所定時間経過後に、例えば、その検知
された列車の列車種別が急行列車イであれば、普通列車
ロよりも短い時間経過後に駆動開始され、列車種別に関
係なく踏切Ｘの閉止時間がほぼ一定となるように工夫さ
れている。

【０００５】すなわち、踏切警報機Ｙを駆動制御する踏
切制御部Ｃ′内には、急行列車イの種別を判定する急行
列車用のリレーＲ1 と普通列車の種別を判定する普通列
車用のリレーＲ2 とを有していて、制御子ｄが列車検知
を行ったときに、どのリレーＲ1 が作動しているかによ
り、踏切警報機Ｙの駆動開始時間が設定されるように構
成されている。

【０００６】この列車種別のリレーＲ1 ，Ｒ2 は、各軌
道回路１Ｔ〜４Ｔにそれぞれ設けられている。なお、図
５において省略されている軌道回路１Ｔの左側に位置す
る軌道回路、及び軌道回路４Ｔに右側に位置する軌道回
路にも設けられている。そして、各軌道回路１Ｔ〜４Ｔ
を列車が移動するにしたがってリレーＲ1 ，Ｒ2 の動作
がシフトされるように構成されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の列車種別リレーを軌道回路ごとにシフト制御して列
車種別を検出し、その検出された列車種別に基づいて踏
切警報時間を制御する場合は、列車種別情報を軌道回路
を介してシフトさせる地上設備が必要となり、設備コス
トがかさむ欠点があった。

【０００８】そこで、本発明は、上記欠点を解決するた
めになされたものであって、その目的は、既設の列車運
行管理システム（ＰＲＣシステム）が有する列車種別情
報を利用して低コストに踏切警報時間を制御できるよう
にした踏切警報時間制御装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明に係る踏切警報時
間制御装置は、上記目的を達成するために、踏切から所
定距離離れた列車走行位置に設けられた制御子によって
その踏切に接近する列車が検知されたとき、その列車の
列車種別に応じてその踏切に設置されている踏切警報機
を駆動開始させるタイミングを設定させる踏切警報時間
制御装置において、前記踏切を通過する全列車を統括的
に管理する列車運行管理システムから列車種別情報を抽
出する列車種別情報抽出手段と、抽出された列車種別情
報を前記踏切を通過する順序に対応させて記憶させると
ともに、前記制御子を列車が通過したときにその通過し
た列車の列車種別情報を消去して順にシフトさせる列車
種別情報記憶手段と、前記制御子によって列車が検知さ
れたときに、記憶されている列車種別情報のうち、次に
消去される列車種別情報に基づいて前記踏切警報機を駆
動開始させるタイミングを設定する設定制御手段と、を
有することを特徴としている。

【００１０】また、前記列車種別情報記憶手段への再立
上時における列車種別情報の記憶は、複数個の軌道回路
を一つの検知区間とした検知区間の列車位置情報に基づ
いて行われるものであることを特徴としている。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１は、一実施の形態に係る踏切
警報時間制御装置の概略構成図である。なお、上記図５
の従来例と同一構成要素には同一符号が付されている。
したがって、これら同一符号の構成要素についての詳細
な説明は省略する。

【００１２】図１において、甲駅及び乙駅は、ホストコ
ンピュータを中心に形成されたＰＲＣシステム１により
互いに連繋して制御される連動駅として示されている。
また、これら両駅間の軌道回路２Ｔ中に中間駅として丙
駅が存在している。

【００１３】踏切Ｘは、乙駅の進出側近くに設けられ、
また、その踏切Ｘに設置されている踏切警報機Ｙは、軌
道回路３Ｔ中に設けられている制御子ｄの列車検知信号
に基づいて踏切制御部Ｃを介して駆動制御されるように
構成されている。

【００１４】なお、この踏切警報機Ｙは、踏切Ｘを列車
が通過したことを検知する図示しない制御子の検知信号
により駆動が停止されるが、駆動停止用の制御子は、本
発明の説明に直接関係しないので、図１では省略されて
いる。

【００１５】踏切Ｘは、図１において、１箇所しか示さ
れていないが、通常、踏切Ｘは、数箇所設けられるが、
ここでは、説明を簡単にするために１箇所の踏切で説明
する。

【００１６】ＰＲＣシステム１は、ホストコンピュータ
を中心に構成された周知のＰＲＣシステムからなり、甲
駅及び乙駅間を走行する全列車を統括的に管理できるよ
うに構成されている。したがって、このＰＲＣシステム
１では、甲駅から乙駅方向（順方向）全列車の運行順番
及び各列車の列車種別情報が把握されている。なお、Ｐ
ＲＣシステム１では、乙駅から甲駅方向（逆方向）の全
列車についても把握されているが、ここでは、順方向の
みについて説明する。

【００１７】踏切制御部Ｃは、図示しないＣＰＵを中心
に構成され、列車種別情報を記憶するための、本発明の
列車種別情報記憶手段に該当する列車種別情報バッファ
（以下、バッファという）Ｍを有している。

【００１８】このバッファＭは、制御子ｄを順方向に進
行する列車の列車種別情報が通過順に従って複数個記憶
できるように構成されているとともに、制御子ｄを通過
した列車の列車種別情報は消去され、その消去された部
分に、次に制御子ｄを通過する列車の列車種別情報がシ
フトされるように構成されている。

【００１９】上記構成の踏切警報時間制御装置におい
て、乙駅停車の普通列車ロが制御子ｄで検知されると、
その検知された列車は、バッファＭの先頭位置（図１の
バッファＭの「１」の位置）に記憶されている列車種別
情報から乙駅に停車する普通列車と判定される。

【００２０】したがって、踏切制御部Ｃは、図示しない
タイマを介して、制御子ｄで列車が検知されてから所定
時間経過後に踏切警報機Ｙを駆動させるように制御する
ことができる。

【００２１】制御子ｄを上述の普通列車ロが通過した
後、バッファＭの列車種別情報はシフトされる。図１に
示されるバッファＭは、そのシフトされた直後の状態を
示している。すなわち、このバッファＭの先頭位置に
は、乙駅を通過する次の急行列車イが記憶されている。

【００２２】したがって、この急行列車イが制御子ｄで
検知されたとき、踏切制御部Ｃは、上述の普通列車ロの
時よりも短い時間経過後に踏切警報機Ｙを駆動するよう
に制御することができる。このため、踏切Ｘは列車の種
別に関係なく、ほぼ一定の閉止時間となり、通行者に対
してサービスの向上を図ることができる。

【００２３】ところで、上述の踏切警報時間制御は、バ
ッファＭに通過列車の列車種別と対応させることが条件
とされる。このため、通常、甲駅及び乙駅間に列車が存
在しない始発列車の出発に先立って、ＰＲＣシステム１
から列車種別情報を得てバッファＭに記憶される。

【００２４】しかし、列車運行中において、踏切制御部
Ｃ等の保守管理が必要となって、バッファＭ内の列車種
別情報が消失することが考えられる。この場合、甲駅及
び乙駅間に列車が存在している時は、無条件で立ち上げ
ることができない。

【００２５】そこで、本発明では、再立上げ時に、甲駅
から出発する列車種別の確定している列車種別情報をバ
ッファＭに記憶できるように構成している。なお、再立
上げ時に列車種別の確定していない列車は、列車種別に
基づいた踏切警報時間制御ができないので、制御子ｄで
列車が検知されたときに踏切警報機Ｙが駆動開始され
る。

【００２６】以下、図２〜図４を用いて、再立上げ時の
バッファＭへの列車種別情報の記憶制御動作について説
明する。

【００２７】図２は、甲駅及び乙駅間を複数（図示の例
では３個）の軌道回路で２つの検知区間（検知範囲）
Ａ，Ｂを設定し、これら区間内の列車有無を条件に甲駅
から出発（又は甲駅を通過する。以下、出発で説明す
る。）列車種別の確定した列車をバッファＭに記憶（図
２では登録）するようにしている。

【００２８】この図２においては、踏切警報時間制御装
置が立上げられたときに、甲駅から出発した列車種別
情報の確定した列車がＢ区間を走行中（Ｂ区間内のいず
れかの軌道回路で列車検知されているとき）で、かつ、
バッファＭにその列車に続く列車種別情報が記憶され
ておらず、さらに、Ａ区間内のいずれの軌道回路によ
っても列車検知が行われないときの３つの条件（，
，）が満たされるとき（図２（ｂ）のＡは、この条
件の論理回路を示している。）、Ａ区間内に列車が検知
されたときは、その検知された列車は、甲駅から出発し
た列車種別の確定した列車であるので、その列車の列車
種別情報がバッファＭの先頭位置（図１のバッファＭの
「１」の位置）に記憶される。

【００２９】特定の列車の列車種別情報が確定してバッ
ファＭに記憶されれば、それ以降の列車の列車種別情報
は、ＰＲＣシステムから得られる列車種別情報を基にバ
ッファＭに記憶することができる。

【００３０】図３は、甲駅及び乙駅間を３つの検知区
間、すなわち、Ａ区間、Ｂ区間及びＣ区間に分け、各区
間の列車有無条件を基に、甲駅から出発した既知の列車
種別情報をバッファＭに記憶するようにしている。

【００３１】このように、検知区間を３個としたとき
は、上記図２の２個の検知区間に比べて、区間状件数が
増加するため上述の条件（（図２におけるへ参照）
を検出する論理回路が２個（Ａ1 ，Ａ2 ）となる以外、
列車種別情報の記憶手順は同一である。

【００３２】図４は、より実際の線路形態に合せたとき
の再立ち上時の列車種別情報の記憶手順を示している。

【００３３】すなわち、この図４（ｂ1 ）は、踏切警報
機Ｙ3 用の図示しないバッファへの列車種別情報手順を
示しており、また、図４（ｂ2 ）は、踏切警報機Ｙ2 用
の図示しないバッファへの列車種別情報手順を示してお
り、さらに、図４（ｂ3 ）は、踏切警報機Ｙ1 用の図示
しないバッファへの列車種別情報の記憶手順を示してい
る。

【００３４】以上のように、本発明に係る踏切警報時間
制御装置は、ＰＲＣシステム１からの列車種別情報を基
に制御するようにしているので、低コストに列車種別に
応じた踏切警報時間制御装置を実現することができる。
また、再立ち上時においても、簡単に正確な列車種別情
報を記憶させることができる。

【００３５】

【発明の効果】本発明に係る踏切警報時間制御装置は、
踏切を通過する全列車を統括的に管理する列車運行管理
システムから列車種別情報を抽出する列車種別情報抽出
手段と、抽出された列車種別情報を前記踏切を通過する
順序に対応させて記憶させるとともに、制御子を列車が
通過したときにその通過した列車の列車種別情報を消去
して順にシフトさせる列車種別情報記憶手段と、前記制
御子によって列車が検知されたときに、記憶されている
列車種別情報のうち、次に消去される列車種別情報に基
づいて前記踏切警報機を駆動開始させるタイミングを設
定する設定制御手段とからなるので、低コストで踏切警
報時間を制御することができる。

【００３６】また、列車種別情報記憶手段への再立上時
における列車種別情報の記憶を、複数個の軌道回路を一
つの検知区間とした検知区間の列車位置情報に基づいて
行わせるようにしたときは、簡単に正確な列車種別情報
を記憶させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態に係る踏切警報時間制御
装置の概略構成図である。

【図２】制御手順を説明するための説明図である。

【図３】制御手順を説明するための説明図である。

【図４】制御手順を説明するための説明図である。

【図５】従来の踏切警報時間制御装置の概略構成図であ
る。

【符号の説明】

１ 列車運行管理（ＰＲＣ）システム Ｃ 踏切制御部 Ｍ 列車種別情報バッファ（バッファ） ｄ，ｄ′ 制御子 Ｘ 踏切 Ｙ 踏切警報機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 哲夫 埼玉県浦和市上木崎１丁目13番８号 日本 信号株式会社与野事業所内 Ｆターム(参考） 5H161 AA01 MM02 NN02 NN20 PP06 PP12

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 踏切から所定距離離れた列車走行位置に
   設けられた制御子によってその踏切に接近する列車が検
   知されたとき、その列車の列車種別に応じてその踏切に
   設置されている踏切警報機を駆動開始させるタイミング
   を設定させる踏切警報時間制御装置において、 前記踏切を通過する全列車を統括的に管理する列車運行
   管理システムから列車種別情報を抽出する列車種別情報
   抽出手段と、 抽出された列車種別情報を前記踏切を通過する順序に対
   応させて記憶させるとともに、前記制御子を列車が通過
   したときにその通過した列車の列車種別情報を消去して
   順にシフトさせる列車種別情報記憶手段と、 前記制御子によって列車が検知されたときに、記憶され
   ている列車種別情報のうち、次に消去される列車種別情
   報に基づいて前記踏切警報機を駆動開始させるタイミン
   グを設定する設定制御手段と、 を有することを特徴とする踏切警報時間制御装置。
2. 【請求項２】前記列車種別情報記憶手段への再立上時に
   おける列車種別情報の記憶は、複数個の軌道回路を一つ
   の検知区間とした検知区間の列車位置情報に基づいて行
   われるものであることを特徴とする請求項１記載の踏切
   警報時間制御装置。