JP2000006419A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2000006419A
JP2000006419A JP17746598A JP17746598A JP2000006419A JP 2000006419 A JP2000006419 A JP 2000006419A JP 17746598 A JP17746598 A JP 17746598A JP 17746598 A JP17746598 A JP 17746598A JP 2000006419 A JP2000006419 A JP 2000006419A
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JP
Japan
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ink
electrode
recording apparatus
ink jet
jet recording
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JP17746598A
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English (en)
Inventor
Mamoru Okano
守 岡野
Seiji Yonekura
清治 米倉
Shigetaka Fujiwara
重隆 藤原
Atsushi Onose
敦士 小野瀬
Yoshinobu Fukano
善信 深野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】記録速度を低下させることなく、より高画質な
画像を記録する。 【解決手段】インクジェット記録装置のヘッド5のイン
ク流路には、搬送路8を横切る方向に複数(1ラインの
ドット数)の吐出電極14a1,14a2,....,14an
所定ピッチpで立てられている。そして、隣接する吐出
電極間には、それぞれ、1枚ずつ、インクの流れる方向
に沿って絶縁隔壁13a1,....,13anが立てられてい
る。これらの絶縁隔壁13a1,13a2,....,13a
nは、何れも、吐出電極14a1,14a2,....,14an
に近づくにしたがってインク流路底面から徐々に高くな
っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電式のインクジ
ェット記録装置に係り、特に、その記録ヘッドの構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】微粒化されたインクを記録媒体に直接吹
き付けることによって文字や画像を描くインクジェット
記録装置のインク吐出方式には種々のものがあるが、そ
のなかでも、吐出電極への印加電圧のパルス幅変調によ
ってインク吐出量の制御が可能な静電方式が、高精細イ
ンクジェットプリンタを実現できるものとして注目され
ている。例えば、静電方式のインクジェット記録装置に
関連して、以下に示すような技術が知られている。特表
平7−502218号公報には、帯電させた着色微粒子
(色剤)を含むインクを吐出電極に供給することによっ
て、吐出電極の尖端から記録媒体に向けて色剤凝集物を
吐出させる技術が開示されている。そして、それに用い
るヘッド構造の拡張例として、吐出電極をマルチ化した
ものも開示されている。また、WO97/27058号
公報には、四角形のくぼみの内部に三角形の部材(吐出
電極に相当)を設け、このくぼみにインクを供給する技
術が開示されている。
【0003】ところで、静電式のインクジェット記録装
置は、印刷中における記録媒体に対する記録ヘッドの相
対移動の仕方によって、走査型とライン型との2種類に
大別される。走査型のものは、記録媒体を適宜搬送しな
がら、この記録媒体の搬送方向と直交する方向に可動ヘ
ッドを走査させるものであり、小型化の要求が強いホー
ム用プリンタやオフィス用プリンタとしての使用に適し
ている。一方、ライン型のものは、記録媒体上にその幅
方向のライン単位で記録が可能な固定ヘッドに向けて、
記録媒体を搬送するものであり、その高速性から産業用
プリンタとしての使用に適している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特表平
7−502218号公報に記載されているように、吐出
電極をマルチ化する場合、画像の解像度との関係で、吐
出電極のピッチを数百μm程度に設定すると、記録媒体
上の画像が劣化する可能性がある。即ち、ある吐出電極
iに記録電位が与えられると、この吐出電極Mi付近の
インクの電位が上昇して、この吐出電極Miに隣接して
いる吐出電極Mi+1付近のインクの液面が上昇するた
め、記録電圧が与えられていない隣接吐出電極Mi+1
らもインクが吐出し(以下、この現象をクロストークと
呼ぶ)、記録媒体上の画像が劣化する可能性がある。
【0005】また、WO97/27058号公報に記載
されているように、四角形のくぼみの内部に吐出電極を
設けた場合、このくぼみのサイズが数百μm程度になる
と、流路抵抗が増加してインク流速が低下し、吐出電極
先端へのインク供給速度が低下するため、かえって記録
速度が低下する可能性がある。また、吐出電極先端への
インク供給速度の低下によって色剤の凝集不足が発生す
ると、記録媒体上の画像濃度が薄くなることもある。
【0006】ところで、走査型およびライン型のいずれ
のインクジェット記録装置においても、インクの吐出安
定性を維持するためには、インクの溶媒の揮発等による
吐出電極周りの目詰まりの防止に留意する必要がある。
【0007】そこで、本発明は、高画質な画像を高速記
録することができるインクジェット記録装置を提供する
ことを第一の目的とする。また、このインクジェット記
録装置のインク吐出安定性を向上させることを第二の目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、インク流路の開放部に設けられた複数の
吐出電極のそれぞれと、当該複数の吐出電極に対向する
共通電極との間にそれぞれ記録電圧を印加して、前記イ
ンク流路中のインクを飛翔させるインクジェット記録装
置であって、前記インク流路に沿って前記吐出電極間に
設けられた絶縁隔壁を有し、前記インク流路の底面から
の前記絶縁隔壁の高さは、少なくとも前記吐出電極より
も上流側において、当該吐出電極に近づくしたがって徐
々に高くなることを特徴とすることを特徴とするインク
ジェット記録装置を提供する。
【0009】このように吐出電極間に絶縁隔壁を設けて
おけば、この絶縁隔壁によって、吐出電極間のクロスト
ークの発生が防止されるため、記録媒体上の画像劣化を
回避することができる。また、この絶縁隔壁は、インク
流路の上流側から吐出電極に近づくしたがって徐々に高
くなっているため、インク流路中のインクの流れを妨げ
ることがない。即ち、吐出電極先端へのインク供給速度
の低下を回避することができる。従って、本発明に係る
インクジェット記録装置によれば、記録速度を低下させ
ることなく、より高画質な画像を記録することができ
る。
【0010】そして、インク流路の開放部の底面形状を
流線形とすれば、吐出電極先端へのインク供給速度の低
下の原因となる流路抵抗が抑制されると共に、電極付近
におけるインクの飛び散りが防止されるため、さらに記
録速度の向上と画質の向上とを達成することができる。
また、インク流路の開放部に、各吐出電極に隣接させ
て、それぞれ、それらよりも低いピンを立設しておけ
ば、インクの表面張力で各吐出電極先端とピン先端との
間にメニスカスが形成され、吐出電極先端付近における
インク保持量が増加するため、さらに記録速度を向上さ
せることができる。また、インク流路の開放部へとイン
クを放出するインク放出口の開口面積よりも、インク流
路の開放部からインクを回収するインク回収口の開口面
積を広くしておけば、インク流路の開放部に放出された
インクがスムーズに回収されるようになるため、インク
流路の開放部へのインク放出速度を速めて、電極先端へ
のインク供給速度をさらに速めることもできる。
【0011】また、本発明に係るインクジェット記録装
置に、さらに、前記記録電圧が印加されていない状態に
おいて、前記各吐出電極と前記共通電極との間に交流電
圧または前記記録電圧と逆向きの直流電圧を印加する電
圧印加手段を設けておけば、この電圧印加手段が印加す
る電圧によって、吐出電極の表面等へのインク固着を防
止することができるため、使用が長期に及んでも初期の
インク吐出安定性を維持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照しなが
ら、本発明に係る実施の一形態について説明する。
【0013】まず、本実施の形態に係るインクジェット
記録装置の基本構成について説明する。尚、ここでは、
便宜上、モノクロ印刷用のインクジェット記録装置を例
にあげることとする。
【0014】図1に示すように、本インクジェット記録
装置の筐体1の内部には、インクを飛翔させるヘッドユ
ニット2、ヘッド5に対向するように配置された共通電
極6、ヘッド5と共通電極6との間(以下、記録位置A
と呼ぶ)に記録媒体7を通過させる記録媒体搬送機構、
装置全体を制御するコントローラが内蔵されている。
【0015】記録媒体搬送機構は、筐体1の挿入口1a
から排出口1bまでの間に設けられた搬送路8、挿入口
1aから挿入された記録媒体7を搬送路8の搬送面上に
呼び出すローラ(不図示)、搬送路8の搬送面の両サイド
に所定圧で接触している複数のローラ9、コントローラ
の指示に従って各ローラを回転させるモータ(不図示)等
から構成されている。尚、記録位置Aにおいて記録媒体
7が斜め下方に送られるように搬送路8を傾斜させてい
るのは、記録媒体7の自重によってその弛みを防止し、
記録媒体7とヘッド5との間隔が均一(通常、1mm程
度)に保たれるようにするためである。
【0016】そして、ヘッドユニット2には、記録位置
Aに到達した記録媒体7に先端を向けた複数の吐出電極
(後述)を有するヘッド5、画像信号に応じてパルス幅変
調された記録電圧(約300〜700V)を共通電極と各
吐出電極との間に印加する複数のパルスジェネレータ及
びバイアス電源(バイアス電圧:約2kV〜2.5kV)1
0、共通電極と各吐出電極との間に記録電圧と逆極性の
直流電圧を印加する電源(不図示)、共通電極と各吐出電
極との間に印加される電圧を切り替えるスイッチ(不図
示)、インクを蓄えておくためのインクタンク3、イン
クタンク3内のインクをヘッド5に供給するインク循環
装置4が収容されている。尚、インクタンク3内のイン
クとしては、低粘度の石油系溶剤(例えば、粘度1〜1
0mPa・s程度のイソパラフィン等)中に帯電顔料と帯
電制御剤とを分散させたものを使用すればよい。
【0017】インク循環装置4は、図2に示すように、
インクタンク3から補給されるインクを溜めておくイン
クたまり31、配管35a,35b,35c,35dによ
ってインクたまり31とヘッド5とにつながれたインク
流量調整室33、コントローラの制御によって駆動され
る3台のポンプ32a,32b,32cを備えている。そ
して、インク流量調整室33内部には、図3に示すよう
に、インクaの液面を検知するインク液面検出器42が
取り付けられており、その検出値は、ポンプ35bを制
御するための主フィードバック信号としてコントローラ
へとフィードバックされている。これらによって構成さ
れるインク循環系は、ヘッド5にインクを供給するため
のインク供給系と、ヘッド5からインクを回収するため
のインク回収系と、ヘッド5へのインク流量を安定化さ
せるためのインク流量調整系とに分けられる。インク供
給系においては、インクたまり31内に蓄えられている
インクがポンプ32aで吸い上げられ、それがインク流
量調整室33へと送り込れる。インク流量調整室33内
に蓄えられたインクは、その液面aがヘッド5の位置を
超えると、配管35dからヘッド5へと自然に流れ出る
ようになっている。また、インク回収系においては、ヘ
ッド5からインクがポンプ32cで吸引され、それがイ
ンクたまり31へと回収される。また、インク流量調整
系においては、インク液面検出器42の検出値と目標値
との偏差が小さくなるようにポンプ35bが駆動される
ため、インク流量調整室33内の過剰なインクがインク
たまり31へと排出される。これによりヘッド5へのイ
ンク流量の変動が抑制される。
【0018】ヘッド5には、図4に示すように、インク
供給系からインク回収系へとインクを山形に導く面(以
下、この面をインク流路底面と呼ぶ)のほぼ頂上に、搬
送路8を横切る方向に複数(1ラインのドット数)の吐出
電極14a1,14a2,....,14anが所定ピッチpで立
てられている。そして、このインク流路底面は、図5に
示すように、両側から、インク流路の側面をなす2枚の
外装基板23で挟まれている。そして、これら2枚の外
装基板23の端面には、インク流路の天井となる2枚の
インク漏れ防止用カバー21,22が、吐出電極14
1,14a2,....,14anの先端を共通電極6側に突出
させるスリット50が形成されるようにかけ渡されてい
る。また、インク流路底面には、さらに、隣接する吐出
電極間に、それぞれ、1枚ずつ、インクの流れる方向に
沿って絶縁隔壁13a1,....,13anが立てられてい
る。これらの絶縁隔壁13a1,13a2,....,13a
nは、何れも、両側の吐出電極14a1,14a2,....,1
4anの高さを超えない範囲で、上下流側から吐出電極
に近づくにしたがってインク流路底面から徐々に高くな
ってゆき、上下流側のカバー21,22の縁に接触して
いる。
【0019】このような絶縁隔壁13a1,....,13an
を設けたことによって、インク供給系から供給されたイ
ンクは、もとは1本のインク流路に流れ込むが、吐出電
極14a1,14a2,....,14anに近づくにしたがって
しだいに分けられてゆき、上流側のインク漏れ防止用カ
バー21の縁位置において各吐出電極14a1,14
2,....,14anごとの分流に完全に分岐する。従っ
て、図6に示すように、相互に隣接する吐出電極14a
i,14ai+1間でインクが絶縁隔壁13ai+1によって完
全に分離され、それらを直接につなぐインクメニスカス
が形成されることがないため、それらの内の1本に記録
電圧が与えられた場合等であっても、画像劣化の原因と
なるクロストークが発生することはない。また、何れの
絶縁隔壁13a1,....,13anも、吐出電極14a1,1
4a2,....,14anに近づくしたがって徐々に高くなっ
てゆくため、インク流路を流れるインクに急激な圧力損
失を生じさせない。つまり、インク流路内に絶縁隔壁1
3a1,....,13anが存在することによる吐出電極14
1,14a2,....,14anへのインク供給速度の低下、
すなわち、記録速度の低下を回避することができる。ま
た、下流側のインク漏れ防止用カバー22とインク流路
底面との間隔S2を、上流側のインク漏れ防止用カバー
21とインク流路底面との間隔S1よりも広くして、イ
ンク回収系側にインクがスムーズに流れ込むようにすれ
ば(図5(a)参照)、インク供給系からのインク供給速度
を速めることができるため、記録速度をさらに向上さ
せ、かつ、記録画像の濃度不足を防止することができ
る。但し、下流側のインク漏れ防止用カバー22とイン
ク流路底面との間隔S2を大きくしすぎると、ポンプ3
2cのインク回収力が低下するため、上流側のインク漏
れ防止用カバー21とインク流路底面との間隔S1より
も約100〜300μm広げる程度でよい。また、スリ
ット50から露出しているインク流路底面の形状を流線
形にすれば(図5(a)参照)、流路抵抗が抑制されて、吐
出電極14a1,14a2,....,14an先端へのインク供
給速度が速まりさらなる記録速度の向上等が達成される
と共に、画質の低下の原因になるインク滴の飛び散りを
防止することもできる。さらに、スリット50により開
放されている領域およびその近傍にのみ絶縁隔壁13a
1,....,13anを設けることによって、できるだけ絶縁
隔壁13a1,....,13anを短くすれば、より効果的に
インクの流路抵抗を抑制することができる。尚、このよ
うなヘッド5は、スペーサ12を介在させながら電極基
板14と絶縁基板13とを交互に積層することによって
作成することができるが、これについては後述する。
【0020】そして、コントローラは、外部から画像信
号が転送されてくると(印刷実行中)、記録媒体搬送機構
の各モータを制御することによって記録媒体7を搬送さ
せると共に、インク循環装置4の3台のポンプ32a,
32b,32cを制御することによってインク流路にイ
ンクを循環させながら、各パルスジェネレータをそれぞ
れ制御することによって共通電極6と各吐出電極14a
1,14a2,....,14anとの間に適宜な記録電圧を印加
させる。これにより、記録すべきドットに対応した吐出
電極の先端に、インク流路を流れるインクに含まれてい
る顔料が凝集し、そこから高濃度に顔料を含んだインク
滴が共通電極6側に引かれ、記録位置Aを通過する記録
媒体7上に1ライン分ずつの記録がされる。また、コン
トローラは、外部から画像信号が転送されくるまでの間
(印刷休止中)には、スイッチを切り替えることによっ
て、共通電極6と各吐出電極14a1,14a2,....,1
4anとの間に記録電圧と逆極性の直流電圧を印加させ
る。印刷実行中に吐出電極14a1,14a2,....,14
n等に付着した顔料が、この直流電圧の印加によって
インクに拡散されるため、使用が長期におよんでも、イ
ンクの目詰りを起こすことなく初期のインク吐出安定性
を維持することができる。尚、この直流電圧の大きさ
は、記録電圧と同程度であれば足りる。また、この直流
電圧に代えて交流電圧(好ましくは、100Hz〜20
00Hz程度の交流電圧)を印加することにしても、同
様な効果を達成することができる。
【0021】次に、図7および図8により、ヘッド5の
製造方法について説明する。
【0022】厚さ15〜30μm程度の金属板(例え
ば、ステンレス箔等)を、図7(a)に示すように、その
上端部14bが中央Oに向かうに従ってなめらかに突き
出し、さらに、その頂上付近に吐出電極14aを有する
形状に成形する。吐出電極14aの先端は、電界を集中
させるためのものなので、なるべく薄くされていること
が望ましい。あるいは、図7(b)に示すように、硬質な
絶縁材料で形成された基板14(例えば、セラミック基
板等)を、上端部14bが中央Oに向かうに従って徐々
に突き出た形状に成形し、さらに、その表面に金属薄膜
(例えば、ニッケル、銅等)を成膜することによって、吐
出電極14aおよびこれにつながる給電部16を形成し
ても構わない。このようにして作成した必要数の電極基
板14のうちの1枚を除いて、その他のものの下端14
cの一方のコーナ部に、互いに横幅寸法Lの異なる切欠
きを形成する(図8(e)参照)。
【0023】また、硬質な絶縁材料で形成された基板
(例えば、セラミック基板等)を、図7(c)に示すよう
に、その上端部12bが中央Oに向かうに従ってなめら
かに突き出した形状に成形する。このようにして、上下
左右の端面を絶縁基板14にそろえることができるスペ
ーサ12を必要な枚数作成する。そして、これらのスペ
ーサ12のうちの1枚を除いて、その他のもの2枚ずつ
に、電極基板14のコーナに形成した切欠きと同様の切
欠きを形成しておく(図8(b)参照)。尚、スペーサ12
の厚さは、加工容易性の観点から、少なくとも30μm
程度とられていることが望ましい。但し、スペーサ12
を厚くしすぎるとインク流路からのインク漏れが生じる
可能性があるため、最大でも厚さ300μm程度にする
ことが望ましい。したがって、スペーサ12の厚さは、
約30μm〜300μmの範囲におさまるように設定さ
れていることが望ましい。
【0024】また、硬質な絶縁材料で形成された厚さ3
0μm程度の基板(例えば、セラミック基板等)を、図7
(d)に示すように、その上端部13aが中央に向かうに
従って徐々に突き出した形状に成形する。このようにし
て必要数の絶縁基板13を作成する。そして、それらの
下端13cの一方のコーナ部にも、電極基板14のコー
ナに形成した切欠きと同様の切欠きを形成しておく(図
8(c)参照)。尚、ここで作成された絶縁基板13は、
これを電極基板14に重ね合わせた場合に、その上端部
13aが、吐出電極14aを超えない範囲で電極基板1
4の上端面14aから徐々に突き出して絶縁隔壁をなす
必要があるが、その突出し量の設定条件等については後
述する。
【0025】そして、これら3種類の板材12,13,1
4を、以下に示す順序で積層する。まず、切欠きなしの
スペーサ12上に、切欠きなしの接着剤(エポキシ系等)
塗布済み電極基板14(図8(a)参照)を重ね合わせる。
つぎに、その電極基板14上に、一番小さな切欠きがつ
けられた接着剤(エポキシ系等)塗布済みのスペーサ12
(図8(b)参照)を重ね合わせる。つぎに、そのスペーサ
12上に、これと同寸法の切欠きがつけられた接着剤塗
布済みの絶縁基板13(図8(c)参照)を重ね合わせる。
つぎに、その絶縁基板13上に、これと同寸法の切欠き
が付けられた接着剤塗布済みのスペーサ12(図8(d)
参照)を重ね合わせる。この段階で、2枚のスペーサ1
2および絶縁基板13の切欠き部からは、最下層の電極
基板14の一部分51a1が露出しているが、この露出
部51a1がパルスジェネレータとの接続部になる(図8
(h)参照)。そして、最上層のスペーサ12上に、1番
小さな切欠きがつけられた接着剤塗布済みの電極基板1
4(図8(e)参照)を重ね合わせる。つぎに、その電極基
板14上に、2番目に小さな切欠きがつけられた接着剤
塗布済みのスペーサ12(図8(f)参照)を重ね合わせ
る。つぎに、そのスペーサ12上に、これと同寸法の切
欠きがつけられた接着剤塗布済みの絶縁基板13(図8
(g)参照)を重ね合わせる。つぎに、その絶縁基板13
上に、これと同寸法の切欠きが付けられた接着剤塗布済
みのスペーサ12を重ね合わせる。この段階で、新たに
積層した2枚のスペーサ12および絶縁基板13の切欠
き部からその下の電極基板14の一部分51a2が露出
するが、この露出部51a2がパルスジェネレータとの
接続部になる(図8(h)参照)。同様な積層処理を繰返
し、所定層数の積層体が形成されたら、図8(h)に示す
ように、各電極基板14の接続部51a1,51a2,...,
51anに、それぞれ、パルスジェネレータを接続す
る。さらに、この積層体の両面にそれぞれ外装基板23
を接着して、これら2枚の外装基板23の端面に、吐出
電極14a1,14a2,....,14anの先端が隠れないよ
うに2枚のインク漏れ防止用カバー21,22をかけ渡
す。これにより、ヘッド5が完成する。
【0026】ここで、図9により、前述した、電極基板
14の上端面からの絶縁基板13の上端部13aの突出
し量、すなわち、インク流路底面からの各絶縁隔壁13
1,13a2,....,13anの突出量の設定条件について
説明する。
【0027】吐出電極14a1,14a2,....,14an
位置における、インク流路底面からの絶縁隔壁13a1,
13a2,....,13anの突出量cが大きすぎると、イン
クの流路抵抗の影響によってインク流速が低下し、記録
画像の濃度が低下する。吐出電極14a1,14
2,....,14anからのインク吐出周波数を5〜7kH
z程度とする場合、記録画像の濃度低下を防止するため
には、少なくとも10cm/s程度のインク流速が必要
とされている。その一方で、cが小さすぎると、吐出電
極14a1,14a2,....,14anの先端へのインク供給
量が減少しかつ不安定になる。従って、吐出電極14a
1,14a2,....,14anの位置における絶縁隔壁13a
1,13a2,....,13anの突出量cは、実用的なインク
流速およびインク供給量が確保できるように決定する必
要がある。尚、このようなcは、実験により、約200
μm〜800μmであることが確認されている。
【0028】また、吐出電極14a1,14a2,....,1
4anの位置における絶縁隔壁13a1,13a2,....,1
3anの突出量cは、すくなくとも吐出電極14a1,1
4a2,....,14anよりも低くなっている必要がある。
しかし、吐出電極14a1,14a2,....,14anとの差
がありすぎると、吐出電極14a1,14a2,....,14
nからインクを飛翔させるための電圧値が増大する。
その一方で、絶縁隔壁13a1,13a2,....,13an
の差がなさすぎると、吐出電極14a1,14a2,....,
14anからのインク吐出量が多くなりすぎる。従っ
て、吐出電極14a1,14a2,....,14anの位置にお
ける絶縁隔壁13a1,13a2,....,13anの突出量c
は、実用的な電圧値およびインク吐出量が確保できるよ
うに決定する必要がある。尚、このようなcは、実験に
より、吐出電極14a1,14a2,....,14anの差が約
200μm〜800μmとなることが確認されている。
【0029】このような条件を満たすcを定めたら、以
下のようにして、吐出電極14a1,14a2,....,14
n付近におけるインク通過面積と、絶縁隔壁13a1,
13a 2,....,13anの上流側の端部付近におけるイン
ク通過面積とが等しくなるように、上流側のインク防止
用カバー21の縁位置における絶縁隔壁13a1,13a
2,....,13anの突出量S1を定める。
【0030】まず、吐出電極14a1,14a2,....,1
4an付近におけるインク通過面積を算出する。具体的
には、吐出電極付近における絶縁隔壁とインクの液面と
が高さにあると仮定し、インク流路の幅から全絶縁隔壁
の幅と全吐出電極の幅とを差し引いた値と、吐出電極1
4a1,14a2,....,14an付近における絶縁隔壁の突
出量cとの積を算出する。本来であれば、吐出電極付近
における絶縁隔壁よりもインクの液面が低くするように
インク通過面積を算出する必要があるが、吐出電極付近
におけるインクは、インクメニスカスによって吐出電極
先端にむけて引き上げられ、その液面が50〜100μ
m程度低くなるため、吐出電極付近における絶縁隔壁と
インクの液面とが同じ位置にあると仮定しても、隣接す
る吐出電極側にあふれだすようなことはない。
【0031】そして、インク流路内のインク通過面積が
常に一定になるように、上流側のインク防止用カバー2
1の縁位置における絶縁隔壁13a1,13a2,....,1
3anの突出量S1の理論値を算出する。具体的には、さ
きに算出しておいた吐出電極14a1,14a2,....,1
4an付近におけるインク通過面積を、インク流路の幅
から全絶縁隔壁の幅を差し引いた値で割る。このように
1の理論値を算出したら、インク防止用カバー21等
による流路抵抗の影響を考慮し、上流側のインク防止用
カバー21の縁位置における絶縁隔壁13a1,13
2,....,13anの実際の突出量としては、理論値より
も5〜15%程度小さい値を採用する(図9の上図参
照)。
【0032】ところで、より記録速度の向上が望まれて
いる場合には、図10に示すように、インク流路の開放
部(スリット50で開放されている領域)に、各吐出電極
14a1,14a2,....,14anの上下流側に、それぞ
れ、それらよりも低いガイド部材15を立設すればよ
い。各吐出電極14a1,14a2,....,14anの先端と
その両側のガイド部材の先端との間にインクメニスカス
が形成され、各吐出電極14a1,14a2,....,14an
の先端付近のインク保持量が増すため、各吐出電極14
1,14a2,....,14anの先端に顔料が凝集しやすく
なるからである。
【0033】以上、モノクロ印刷用のインクジェット記
録装置を例に挙げて説明したが、カラー印刷用のインク
ジェット記録装置を実現する場合には、各色(シアン、
マゼンタ、イエロー、黒)ごとに上記と同様なヘッドを
搭載すればよい。
【0034】
【発明の効果】本発明に係るインクジェット記録装置に
よれば、記録速度を低下させることなく、より高画質な
画像を記録することができる。また、使用が長期に及ん
でも、初期のインク吐出安定性を維持することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施の一形態に係るインクジ
ェット記録装置の縦断面の概略図であり、(b)は、その
記録部分の構成を概念的に示した図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るインクジェット記
録装置のインク循環系を示した図である。
【図3】図2のインク流量調整室の断面図である。
【図4】(a)は、本発明の実施の一形態に係るヘッドの
一部分の外観図であり、(b)は、そのヘッドを電極側か
ら見た図であり、(c)は、そのA−A断面図である。
【図5】インク流路底面からの絶縁隔壁の高さの変化を
説明するための図である。
【図6】吐出電極の先端と絶縁隔壁の壁面とに形成され
たインクメニスカスを示した図である。
【図7】(a)および(b)は、本発明の実施の一形態に係
る電極基板の平面図であり、(c)は、本発明の実施の一
形態に係るスペーサの平面図であり、(d)は、本発明の
実施の一形態に係る絶縁基板の平面図である。
【図8】本発明の実施の一形態に係るヘッドの製造方法
を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の一形態に係るヘッドの設計値の
設定方法を説明するための図である。
【図10】(a)は、本発明の実施の一形態に係るヘッド
の一部分の外観図であり、(b)は、そのヘッドのインク
流れ方向の断面図である。
【符号の説明】
1…筐体 2…ヘッドユニット 3…インクタンク 4…インク循環装置 5…ヘッド 6…共通電極 7…記録媒体 8…記録媒体の搬送路 9…記録媒体搬送機構のローラ 10…パルスジェネレータ及びバイアス電源 12…スペーサ 13…絶縁基板 13a1,....,13an…絶縁隔壁 14…電極基板 14a1,,....,14an…吐出電極 21,22…インク漏れ防止用カバー 23…外装基板 31…インクたまり 32a,32b,32c…ポンプ 33…インク流量調整室 35a,35b,35c,35d…配管 42…インク液面検出器 50…共通電極側にインク流路を開放するためのスリッ
ト 51a1,51a2,...,51an…各電極基板とパルスジ
ェネレータとの接続部
フロントページの続き (72)発明者 藤原 重隆 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 小野瀬 敦士 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 深野 善信 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 2C057 AF06 AF40 AF72 AG22 AH07 BD05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インク流路の開放部に設けられた複数の吐
    出電極のそれぞれと、当該複数の吐出電極に対向する共
    通電極との間にそれぞれ記録電圧を印加して、前記イン
    ク流路中のインクを飛翔させるインクジェット記録装置
    であって、 前記吐出電極間に、前記インク流路に沿って設けられた
    絶縁隔壁を有し、 前記インク流路の底面からの前記絶縁隔壁の高さは、少
    なくとも前記吐出電極よりも上流側において、当該吐出
    電極に近づくしたがって徐々に高くなってゆくことを特
    徴とすることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載のインクジェット記録装置で
    あって、 前記開放部における前記インク流路の底面形状は、流線
    形を含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のインクジェット記
    録装置であって、 前記開放部にインクを放出するインク供給口の開口面積
    よりも、前記開放部からインクを回収するインク回収口
    の開口面積が広くされていることを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  4. 【請求項4】請求項1、2および3のうちの何れか1項
    記載のインクジェット記録装置であって、 前記複数の吐出電極と前記絶縁隔壁とを有するヘッドを
    備え、 当該ヘッドは、 前記インク流路の底面をなすべき端面に前記吐出電極が
    形成された電極基板の間に、前記絶縁隔壁をなす端部を
    有する絶縁基板を介在させた積層構造を有することを特
    徴とするインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3および4のうちの何れか
    1項記載のインクジェット記録装置であって、 前記インク流路の開放部に、前記各吐出電極に隣接させ
    て、それぞれ、当該吐出電極よりも低いピンが立設され
    ていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4および5のうちの何
    れか1項記載のインクジェット記録装置であって、 前記記録電圧が印加されていない状態において、前記各
    吐出電極と前記共通電極との間に交流電圧または前記記
    録電圧と逆向きの直流電圧を印加する電圧印加手段を備
    えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001000415A1 (fr) * 1999-06-30 2001-01-04 Hitachi, Ltd. Tete et dispositif d'enregistrement par jets d'encre
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