JP2000002178A - プランジャアセンブリ及びその製造方法 - Google Patents

プランジャアセンブリ及びその製造方法

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JP2000002178A
JP2000002178A JP10168123A JP16812398A JP2000002178A JP 2000002178 A JP2000002178 A JP 2000002178A JP 10168123 A JP10168123 A JP 10168123A JP 16812398 A JP16812398 A JP 16812398A JP 2000002178 A JP2000002178 A JP 2000002178A
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slipper
plunger
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sliding
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JP10168123A
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English (en)
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Shinji Kamiya
真司 神谷
Shin Odagiri
伸 小田桐
Yasuhiro Morimoto
康浩 森本
Hisafumi Iino
尚史 飯野
Takashi Aoki
青木  隆
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スリッパとプランジャ本体の結合が緩んでプ
ランジャストロークが変化したり寿命が低下したりする
虞のない構成のプランジャアセンブリを提供する。 【解決手段】 プランジャ本体51とスリッパ55と
が、プランジャ本体51の端部開口51aを覆って溶接
接合される蓋部61aを有してプランジャ本体51内を
延び、プランジャ本体51及びスリッパ55をそれぞれ
貫通して配設される棒部材61と、棒部材61に貫通さ
れてスリッパ55の凹球面状内周面55bに摺動自在に
取り付けられる第1摺動部材62と、棒部材61に貫通
されて第1摺動部材62と摺動自在に取り付けられる第
2摺接部材63と、棒部材61に貫通されて第2摺接部
材63と摺動自在に取り付けられるとともに棒部材61
の先端部61bに溶接接合される溶接部材64とにより
結合される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、斜板プランジャ式
油圧ポンプ、モータ等に用いられるプランジャアセンブ
リに関し、更に詳しくは、円筒状のプランジャ本体の端
部にスリッパが首振り自在に摺接結合されてなるプラン
ジャアセンブリに関する。
【0002】
【従来の技術】斜板プランジャ式油圧ポンプ、モータ
は、例えば、回転自在なシリンダに、その回転軸を囲む
環状配列で複数のシリンダ孔が形成され、このシリンダ
孔にそれぞれ軸方向に摺動自在に円筒状のプランジャが
嵌合挿入され、プランジャの端部に取り付けられたスリ
ッパを斜板に摺接させて構成される。油圧ポンプの場合
には、シリンダを回転させることによりスリッパが斜板
上を摺動してプランジャがシリンダ孔内で往復されて油
の吐出、吸入を行うようになっており、油圧モータの場
合には、シリンダ孔内への油の供給、排出を行うことに
より、スリッパを斜板上で移動させ、シリンダを回転さ
せる。
【0003】このような斜板プランジャ式油圧ポンプ、
モータにおいては、スリッパは斜板に摺接しながらプラ
ンジャとともにシリンダの回転軸を中心として回転移動
するため、スリッパはプランジャ端部に首振り自在に連
結する必要がある。このような連結部の構造について、
従来から種々の提案がなされており、例えば、実開昭5
8−189377号公報、実公昭60−3350号公
報、米国特許第4,454,802号等に開示の構造が
ある。
【0004】これらにおいては、凸球面状外周面及び凹
球面状内周面を有して椀状に形成され、軸方向端部にリ
ング状のスリッパ面を有してなるスリッパと、軸方向一
端部に上記凸球面状外周面と摺動自在に嵌合する球状凹
面が形成され、内部が軸方向他端部に開口する中空の円
筒状に形成されたプランジャ本体と、このプランジャ本
体内に、このプランジャ本体の他端部から軸方向に延び
るとともにプランジャ本体の上記一端部及びスリッパを
貫通して配設され、凸球面状外周面と球状凹面が摺動自
在に嵌合した状態でスリッパとプランジャ本体とを連結
させる連結部材とから構成されるプランジャアセンブリ
が開示されている。
【0005】また、このような構成のプランジャアセン
ブリにおいては、シリンダの回転に応じて斜板上を摺動
移動するときのスリッパの回転(自転)により、スリッ
パと連結部材との間及び連結部材とプランジャ本体との
間に相対回転が生じて両者の接触部が摩耗したり、プラ
ンジャ本体の中空空間内の油の圧縮性により容積効率が
影響を受けるという問題があるが、これらを防止するた
め、連結部材の軸方向一端部に蓋部を設けてこれをプラ
ンジャ本体の上記他端部を覆うように溶接するととも
に、連結部材の軸方向他端部をスリッパの凹球面状内周
面に摺動自在に嵌合配設された頭部部材を貫通させてか
しめ結合する構成したものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな連結部材と頭部部材との間のかしめ結合は使用につ
れて徐々に緩んでいく可能性があり、このためスリッパ
とプランジャ本体との結合部間にガタが生じてプランジ
ャストロークに影響を及ぼしたり、部材間の摩耗が増大
してプランジャの寿命を低下させるという問題がある。
【0007】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、スリッパとプランジャ本体の結合が緩んで
プランジャストロークが変化したり寿命が低下したりす
る虞のない構成のプランジャアセンブリ及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的達成た
め、第1の本発明に係るプランジャアセンブリは、凸球
面状外周面及び凹球面状内周面を有して椀状に形成さ
れ、軸方向端部にスリッパ面を有してなるスリッパと、
軸方向一端部にスリッパの凸球面状外周面と摺動自在に
嵌合する球状凹面が形成され、内部が軸方向他端部に開
口する円筒状に形成されたプランジャ本体と、一端にプ
ランジャ本体の他端部の開口を覆うとともにこの他端部
に固定された蓋部を有し、他端(例えば、実施形態にお
ける先端部61b)がプランジャ本体内を軸方向に延び
てプランジャ本体の一端部及びスリッパを貫通して配設
された棒部材と、この棒部材に貫通され、スリッパの凹
球面状内周面に摺動自在に取り付けられた摺動部材(例
えば、実施形態における第1摺動部材62)と、棒部材
に貫通され、摺動部材に摺接するとともに棒部材の他端
に固定された固定部材(例えば、実施形態における溶接
部材64)とを有して構成される。
【0009】このような構成のプランジャアセンブリで
は、棒部材がプランジャ本体に固設されるとともに、棒
部材と固定部材とが固定(溶接接合や接着、或いはねじ
止め等)されるので、プランジャ本体とスリッパの結合
の緩みを防止でき、ガタによりプランジャストロークが
変化することを防止することができる。
【0010】また、シリンダ回転中にはスリッパが回転
(自転)することにより、固定部材とスリッパとの間に
は相対回転が生じるが、スリッパと固定部材との間には
これらと摺動自在な摺動部材が挟装配設されるので、両
部材の摺動面の相対摺動速度が低減され、摩耗を抑えて
耐久性を向上させることができる。
【0011】また、この第1の本発明に係るプランジャ
アセンブリの製造方法は、棒部材の他端をプランジャ本
体の一端部に貫通させるとともに蓋部をプランジャ本体
の他端部に溶接接合する第1工程と、スリッパ及び摺動
部材を順次棒部材に貫通させて取り付ける第2工程と、
固定部材を棒部材の他端に軽圧入させてスリッパ及びプ
ランジャ本体を仮結合する第3工程と、固定部材を棒部
材の他端に溶接接合する第4工程とを有する。ここで軽
圧入とは、所定以上の力を加えた場合には圧入状態が解
除される軽い圧入を意味する。具体的には、溶接部材に
設けられる貫通孔の内径を、棒部材の他端の外径よりも
若干小さく形成することが考えられる。
【0012】この第1の本発明に係るプランジャアセン
ブリの製造工程においては、固定部材を棒部材に溶接す
る前にプランジャ本体とスリッパとを仮結合するので、
プランジャ本体とスリッパを本結合する前に予め摺動状
態の良否を確認することができ、摺動不良等の不具合の
発生を低減することができる。
【0013】また、第2の本発明に係るプランジャアセ
ンブリは、凸球面状外周面及び凹球面状内周面を有して
椀状に形成され、軸方向端部にスリッパ面を有してなる
スリッパと、軸方向一端部にスリッパの凸球面状外周面
と摺動自在に嵌合する球状凹面が形成され、内部が軸方
向他端部に開口する円筒状に形成されたプランジャ本体
と、プランジャ本体の他端部の開口を覆うとともにこの
他端部に固定された蓋部材と、スリッパの凹球面状内周
面に摺動自在に取り付けられた摺動部材と、一端に摺動
部材と摺接する頭部を有し、他端(例えば、実施形態に
おける先端部161b)が摺動部材、スリッパ及びプラ
ンジャ本体の一端部を貫通してプランジャ本体内を軸方
向に延び、更に蓋部を貫通してこの蓋部に固定された棒
部材とを有して構成される。
【0014】このような構成のプランジャアセンブリで
は、頭部が棒部材と一体に形成されるとともに、棒部材
がプランジャ本体側部材(蓋部材)に固定(溶接接合や
接着、或いはねじ止め等)されるので、プランジャ本体
とスリッパの結合の緩みを防止でき、両部材間のガタの
発生を防止することができる。また、スリッパと頭部と
の間にはこれらと摺動自在な摺動部材が挟装配設される
ので、上記第1の本発明に係るプランジャアセンブリと
同様に、両部材の摺動面の相対摺動速度が低減され、摩
耗を抑えて耐久性を向上させることができる。
【0015】また、棒部材が蓋部材と溶接接合されると
きには、棒部材は溶接性の高い低炭素鋼等が使用される
が、頭部は予め焼き入れをしておくことにより、対摩耗
性を向上させることができる。或いは、蓋部に溶接され
る部分のみを防炭したうえで棒部材全体を浸炭焼き入れ
してもよく、同様の効果が得られる。また、これらいず
れの場合でも、頭部と摺動部材との間に摺動部材を挟装
配設すれば、頭部の摩耗を更に低減させることができて
好ましい。
【0016】また、この第2の本発明に係るプランジャ
アセンブリの製造方法は、蓋部材をプランジャ本体の他
端部に溶接接合する第1工程と、棒部材に摺動部材、ス
リッパ及びプランジャ本体の一端部を貫通させる第2工
程と、棒部材の他端を蓋部材に軽圧入させてスリッパ及
びプランジャ本体を仮結合する第3工程と、棒部材の他
端を蓋部材に溶接接合する第4工程とを有する。なお、
ここでも軽圧入とは、所定以上の力を加えた場合には圧
入状態が解除される軽い圧入を意味し、具体的には、蓋
部材に設けられる貫通孔の内径を、棒部材の他端の外径
よりも若干小さく形成することが考えられる。
【0017】この第2の本発明に係るプランジャアセン
ブリの製造工程においては、棒部材を蓋部材に溶接する
前にプランジャ本体とスリッパとを仮結合するので、上
記第1の本発明に係るプランジャアセンブリと同様の効
果が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
ましい実施形態について説明する。図1に、本発明に係
るプランジャアセンブリを有した斜板プランジャ式油圧
ポンプ及びモータを備えてなる無段変速機Tの構成を示
す。この図から分かるように、本例では変速機TはFF
駆動方式もしくはRR駆動方式として用いられる。無段
変速機Tは、いわゆるハイドロメカニカル式無段変速機
であり、機械伝動ユニット1とハイドロスタティック式
無段変速ユニット2とを組み合わせて構成される。この
無段変速機Tを駆動するエンジンEは、機械伝動ユニッ
ト1を挟むようにして無段変速ユニット2と反対側に配
設されている。
【0019】機械伝動ユニット1は、動力分割装置3、
動力伝達装置4、終減速装置5を第1ケーシング1c内
に配設して構成される。動力分割装置3は、エンジンE
の出力軸7とトルクダンパ8を介して接続された変速機
入力軸9と、この入力軸9に直結されたキャリア11
と、このキャリア11に対向するとともに入力軸9と同
軸に延びたポンプ入力軸10とを有する。更に、キャリ
ア11には入力軸9の周りを公転する位置に複数のピニ
オン軸12が一体に設けられ、これら各ピニオン軸12
の上には、一体結合された大小一対のビニオンギヤ1
3,14が回転自在に配設されている。ポンプ入力軸1
0には大径ピニオン13と噛合する小径サンギヤ15が
結合配設されており、更に、小径ピニオン14と噛合す
る大径サンギヤ16がポンプ入力軸10の上に回転自在
に配設されている。
【0020】大径サンギヤ16と一体結合した中間ドラ
イブギヤ18がポンプ入力軸10の上に回転自在に配設
され、この中間ドライブギヤ18と噛合する中間ドリブ
ンギヤ19がモータ出力軸17に結合して配設されてい
る。なお、これらドライブ及びドリブンギヤ18,19
により動力伝達装置4が構成されている。モータ出力軸
17にはファイナルドライブギヤ20も結合されてお
り、ディファレンシャル機構22を内蔵するファイナル
ドリブンギヤ21がこのファイナルドライブギヤ20と
噛合し、これにより終減速装置5が構成されている。デ
ィファレンシャル機構22からは左右の車輪駆動軸23
L,23Rが延びており、これら駆動軸23L,23Rを介
して左右の車輪(図示せず)に駆動力が伝達され、車両
が駆動される。
【0021】無段変速ユニット2は、可変斜板プランジ
ャタイプの油圧ポンプ24、可変斜板プランジャタイプ
の油圧モータ25及びこれらを相互に連通する油圧閉回
路26を形成した制御盤27から構成される。これら油
圧ポンプ24及び油圧モータ25に本発明に係るプラン
ジャアセンブリが用いられている。なお、制御盤27は
機械伝動ユニット1の側部に接合配設されており、ポン
プ入力軸10及びモータ出力軸17を回転自在に支持す
る。このため、制御盤27は、機械伝動ユニット1と油
圧ポンプ24及び油圧モータ25との間に配置される。
【0022】油圧ポンプ24は、ポンプ入力軸10と同
軸に連結されるとともに制御盤27のバルブプレート面
27aに回転摺接自在に配設されたポンプシリンダ28
と、このポンプシリンダ28の回転軸を囲む環状配列で
形成された複数のシリンダ孔29に摺動自在に嵌合挿入
された複数のポンププランジャ50と、各ポンププラン
ジャ50の先端に首振り自在に取り付けられたシュー3
1が摺動可能に当接する可変揺動可能なポンプ斜板32
とを備えて構成されている。すなわち、この油圧ポンプ
24は、可変容量タイプの斜板プランジャポンプであ
る。
【0023】ポンプ斜板32はポンプ入力軸10に直交
する(図1における紙面に直交する)トラニオン軸33
を中心として揺動可能であり、図において実線で示すよ
うにポンプ入力軸10と直交する直立位置(このときポ
ンプ斜板角α=0)と、二点鎖線で示すように左右に揺
動傾斜した所定の左右各最大傾斜位置(α=αR(MAX),
αF(MAX))との間で揺動し得るようになっており、これ
によりポンプシリンダ28が回転されたときにおけるポ
ンププランジャ50の往復ストロークが変化する。直立
位置でポンプ入力軸10がエンジンEにより回転駆動さ
れても、往復ストロークは零でポンプ吐出油量は零であ
り、最大傾斜位置に向かって揺動角を増加させるに応じ
て往復ストロークが増加してポンプ吐出量が増加する。
なお、左右いずれに傾斜するかによって吐出方向が逆転
し、後述するように、この傾斜方向により車両の前後進
方向が決まる。
【0024】油圧モータ25は、モータ出力軸17と同
軸に連結されるとともに制御盤27のバルブプレート面
27aに回転摺接自在に配設されたモータシリンダ34
と、このモータシリンダ34の回転軸を囲む環状配列で
形成された複数のシリンダ孔35に摺動自在に嵌合挿入
された複数のモータププランジャ36と、各モータプラ
ンジャ36の先端に首振り自在に取り付けられたシュー
37が摺動可能に当接する可変揺動可能なモータ斜板3
8とを備えて構成されている。すなわち、この油圧モー
タ25は、可変容量タイプの斜板プランジャモータであ
る。
【0025】モータ斜板38はモータ出力軸17に直交
する(図1における紙面に直交する)トラニオン軸39
を中心として揺動可能であり、図において二点鎖線で示
すようにモータ出力軸17と直交する直立位置(モータ
斜板角β=0)と、実線で示すように右方に揺動傾斜し
た所定の最大傾斜位置(β=β(MAX))との間で揺動し
得るようになっている。なお、モータ斜板38は直立位
置から図において右周りに揺動するだけである。
【0026】上記油圧ポンプ24及び油圧モータ25を
収容する第2ケーシング2cは制御盤27及び機械伝動
ユニット1が収容される第1ケーシングに結合される。
【0027】以上の構成の無段変速機の作動を説明す
る。エンジンEが駆動されると、その出力軸7からトル
クダンパ8を介して変速機にエンジン出力が伝達され、
変速機入力軸9及びキャリア11がエンジン出力軸7と
同一の速度で回転駆動される。キャリア11が回転駆動
されると、エンジン動力は大小径ピニオン13,14を
介して小径及び大径サンギヤ15,16に分割して伝達
される。
【0028】このような動力の分割は、油圧ポンプ24
及び油圧モータ25の斜板角に応じて異なるので、両斜
板角α,βと変速機の総合速度比eとの関係を図2に示
し、この図を参照して説明する。なお、総合速度比eは
変速機Tの入出力回転数の比であり、式(1)により求
められる。また、図2における縦軸がポンプ及びモータ
斜板角度を表し、プラス側が右方向揺動、マイナス側が
左方向揺動を意味する。横軸は総合速度比eを表し、プ
ラス側が前進方向の速度比、マイナス側が後進方向の速
度比を意味する。図において実線がポンプ斜板角を示
し、破線がモータ斜板角を示す。
【0029】
【数1】 総合速度比e=(No)/(Ni) ・・・(1) 但し、Ni : 変速機入力軸9の回転速度 No : ファイナルドリブンギヤ21の回転速度
【0030】ここでポンプ斜板32が直立位置(α=
0)にあり、モータ斜板38が最大揺動位置(β=β(M
AX))にあるときには、ポンプシリンダ28はフリー回
転可能で吐出が零となり、モータシリンダ34は油圧ポ
ンプ24からの供給油がないため油圧的にロックした状
態となり固定保持される。このため、大径サンギヤ16
及び中間ドライブギヤ18が静止した状態で、キャリア
11の回転に応じて小径サンギヤ15(及びこれに繋が
るポンプ入力軸10とポンプシリンダ28)が自由に回
転し、エンジン出力は空転消費され、左右車輪駆動軸2
3L,23Rには伝えられない。この状態は図2におけ
る縦線aで示す状態であり、総合速度比e=0であり、
変速機Tは無限大の変速比の状態となる。
【0031】但し、この中立状態はシフトレバー(運転
席において運転者が操作するシフトレバー)ポジション
がD,Rレンジのように走行レンジにあるときに設定さ
れる中立状態である。シフトレバーがPもしくはNレン
ジ位置にあるときには、モータ斜板角β=0として、モ
ータシリンダ34もフリー回転可能になし、中立状態を
作り出す制御が行われる。
【0032】この状態からポンプ斜板32を右方向に揺
動させると、この揺動に応じて油圧ポンプ24から作動
油の吐出が開始され、この吐出作動油が油圧モータ25
に供給されて油圧モータ25のモータ出力軸17(及び
モータシリンダ34)が駆動される。なお、このときの
回転駆動力がモータ出力軸17から左右の車輪駆動軸2
3L,23Rを介して車輪に伝達されると車輪は前進方向
に駆動されるようになっている。モータ出力軸17の回
転速度はポンプ斜板角αが大きくなるのに応じて増加
し、これが最大斜板角αF(MAX)となると図2の縦線bで
示す状態となる。このため、総合速度比eは、零(縦線
a)から、e1(縦線b)まで増加する。但し、このよ
うにモータ出力軸17の回転が増加するとき、小径ピニ
オン14、大径サンギヤ16、中間ドライブギヤ18及
び中間ドリブンギヤ19を介して(動力伝達装置を介し
て)機械的な動力伝達が同時に行われ、それに対応して
ポンプ入力軸10の回転は減少する。
【0033】ポンプ斜板角が最大斜板角αF(MAX)となる
と(縦線bの状態に達すると)、次に、モータ斜板角β
が最大角から徐々に小さくなるように揺動される。これ
によりモータ出力軸17の回転速度が縦線bの状態から
更に増加し、モータ斜板角βが零(直立位置)となった
時点で最大となる(縦線cの状態であり、このとき総合
速度比e2となる)。
【0034】但し、上述のように、このようにモータ出
力軸17の回転速度が増加するのに応じて動力伝達装置
4を介して行われる機械的な動力伝達も増加し、ポンプ
入力軸10の回転は減少し、モータ斜板角βが零(直立
位置)となった時点でポンプ入力軸10(及びポンプシ
リンダ28)の回転が零となるように、動力分割装置3
及び動力伝達装置4のギヤ比が設定されている。なお、
モータ斜板角βが零(直立位置)となった時にはモータ
シリンダ34はフリー回転可能な状態となり、且つポン
プシリンダ28は油圧ロック状態となり静止保持され
る。このため、この状態(縦線cの状態)では動力伝達
装置4により機械的な動力伝達のみが行われる(伝達ロ
スが無い場合)。
【0035】一方、縦線aの状態からポンプ斜板32を
左方向に揺動させると、油圧ポンプ24から作動油が油
圧閉回路26において上記と逆方向に吐出される。この
ため、この作動油の供給により油圧モータ25のモータ
出力軸17(及びモータシリンダ34)が上記と逆方向
(後進方向)に駆動される。モータ出力軸17の回転速
度はポンプ斜板角αが大きくなるのに応じて増加し、こ
れが最大斜板角αR(MAX)となると図2の縦線dで示す状
態となる。このため、総合速度比eは、零(縦線a)か
ら、e3(負の値)まで変化する。
【0036】以上のような構成の無段変速機Tにおい
て、無段変速ユニット2を構成する油圧ポンプ24及び
油圧モータ25に本発明に係るプランジャアセンブリが
採用されており、以下においてはポンププランジャ50
を例にしてその構造及びその製造方法を詳しく説明す
る。
【0037】先ず、本発明の第1の実施例について、図
3〜図6を参照して説明する。図3及び図4にはポンプ
プランジャ50の構成を示している。図3では斜板32
が直立状態にあり、図4では斜板32が傾斜している。
ポンププランジャ50は、有底中空円筒状のプランジャ
本体51と、椀状のスリッパ55と、これら両部材5
1、55を連結する連結部材60とから構成される。プ
ランジャ本体51は斜板32とは反対側(図における左
側)端部に開口51aを有した有底の中空円筒形状をし
ており、底部すなわち図における右側端部に球状凹面5
1bが形成されており、更に、底部に軸方向に貫通する
貫通孔51cが形成されている。
【0038】プランジャ本体51の右端部にはスリッパ
55が嵌合配設されており、この部分を拡大して図5に
示している。スリッパ55は、プランジャ本体51の球
状凹面51bと嵌合する凸球面状外周面55aと、この
外周面55aと同心の凹球面状内周面55bとを有した
椀状に形成されており、軸方向右端部にはフランジ部5
6が形成されてその右方の面にはリング状のスリッパ面
55cを有し、左方の面にはフランジ面56aを有して
いる。更に、スリッパ55を軸方向に貫通する貫通孔5
7が図示のように左側に広がるテーパ形状を有し形成さ
れている。
【0039】連結部材60は、左端にフランジ状の蓋部
61aを有する棒部材61と、この棒部材61の右方の
先端部61bに取り付けられる第1摺動部材62、第2
摺動部材63及び溶接部材64から構成されており、蓋
部61aはプランジャ本体51の開口51aに溶接接合
される。第1摺動部材62、第2摺動部材63及び溶接
部材64はそれぞれ軸方向に貫通する貫通孔62a、6
3a、64aを有しており、ここに棒部材61の先端部
61bが挿入貫通されている。第1摺動部材62は、凹
球面状内周面55bに嵌合摺接する球状凸面62bを有
しており、また、第1摺動部材62と第2摺動部材6
3、及び第2摺動部材63と溶接部材64は互いに摺接
する摺接面を有している。溶接部材64は先端部61b
に溶接接合されており、このためプランジャ本体51、
棒部材61及び溶接部材64は一体となっており、この
結果、球状凹面51bに凸球面状外周面55aが嵌合し
た状態で、プランジャ本体51とスリッパ55とが互い
に摺動自在に結合されている。また、溶接部材64とス
リッパ55とは、第1摺動部材62及び第2摺動部材6
3を介して互いに摺動自在になっている。
【0040】上記構成のポンププランジャ50がポンプ
シリンダ28のシリンダ孔29内に摺動自在に嵌合挿入
され、スリッパ55のスリッパ面55cが斜板32の斜
板面32aと摺接する。図3に示すように斜板32が直
立した状態(斜板角α=0)から、図4に示すように斜
板32が傾斜した状態まで変化したときに、プランジャ
本体51及びこれに結合された連結部材60はそのまま
で、スリッパ55のみが斜板32に応じて傾いて斜板面
32aと摺接した状態が維持される。この傾斜移動は、
スリッパ55の凹球面状内周面55bと第1摺動部材6
2の球状凸面62bとの摺接部により可能であり、更
に、この移動を許容するためにスリッパ55の貫通孔5
7は図示のようにテーパ状に形成されている。
【0041】ここで、棒部材61にはその内部を軸方向
に貫通する連通孔65が形成されており、更にその右端
側には連通孔65の内径よりも小さい内径を有するノズ
ル65aが形成されている。連通孔65に供給されたシ
リンダ孔29内の油はノズル65aにおいてスリッパ5
5側に加速噴出されるが、これによりスリッパ55と斜
板面32aとの接触圧力を低減する適切な押しつけ力が
発生させるとともに、スリッパ55と斜板面32aとの
摺動面を潤滑する。
【0042】また、シリンダ28回転中にはスリッパ5
5が回転(自転)することにより、溶接部材64とスリ
ッパ55との間には相対回転が生じるが、溶接部材64
は棒部材61と溶接接合されるため溶接性の高い材料
(例えば低炭素鋼)が使用されて対摩耗性が充分でな
い。このためスリッパ55と溶接部材64との間にはこ
れらと摺動自在な第1及び第2摺動部材62、63が挟
装配設されており、溶接部材64の摺動面の相対摺動速
度を低減させ、摩耗を抑えて耐久性を向上させている。
なお、耐摩耗性のうえではこの実施例に示すように第1
摺動部材62と溶接部材64との間に第2摺動部材63
が挟装されることが好ましいが、この第2摺動部材63
は必ずしも用いられなくてもよい。但しこの場合には、
直接接触することとなる第1摺動部材62と溶接部材6
4との摺接面には耐摩耗性に優れた材料によるコーティ
ング等が行われることが望ましい。
【0043】なお、溶接部材64は小さい部材であるた
めその摺接面のみを予め熱処理しておくことは困難であ
り、また後述するように、溶接部材64の溶接はプラン
ジャ組立工程の最後であるので、溶接後に熱処理を施し
て硬度を高くすることも不可能である。なお、第1及び
第2摺動部材62、63はともに摺接面の摩耗を低減さ
せることを目的として設けられるため、炭素鋼を焼き入
れして硬度を高くしたもの等が使用される。
【0044】次に、このような構成のポンププランジャ
50の組立手順について説明する。先ず、このポンププ
ランジャ50の組立に用いられる組立用治具70の構成
について図6を参照して説明する。この組立用治具70
は、下方に底部71aを有して上方に開口し、内部に円
筒状の空間を有する本体側治具71と、下面の中央から
下方に突出形成された円筒状の突起72aを有するスリ
ッパ側治具72とから構成されている。本体側治具71
における円筒状空間の内径はプランジャ本体51が丁度
収納される大きさであり、収納されたプランジャ本体5
1が本体側治具71内でぐらつかないようになってい
る。本体側治具71の上縁には水平な支持面71bが形
成されている。スリッパ側治具72の突起72aには、
その下面側から突起72a内部に向けて、棒部材61の
先端部61aの外径よりも大きい内径を有する円形のく
ぼみ72bが形成されている。
【0045】ポンププランジャ50の組立は、先ず、棒
部材61をプランジャ本体51の中空空間52内に挿入
して先端部61bをプランジャ本体51の貫通孔51c
を貫通させ、蓋部61aをプランジャ本体51の開口5
1aを覆うように取り付けて溶接接合する。そしてプラ
ンジャ本体51を、先端部61bが上方になるように本
体側治具71内に設置する。次に、先端部61bにスリ
ッパ55の貫通孔57を貫通させて凸球面状外周面55
aがプランジャ本体51の球状凹面51bに嵌合するよ
うに位置させるとともに、本体側治具71の支持面71
bでスリッパ55のフランジ面56aを支持させる。こ
れにより先端部61bはスリッパ55の凹球面状内周面
55bの空間内に突出する。更に、この先端部61bに
第1摺動部材62の貫通孔62a及び第2摺動部材63
の貫通孔63aをそれぞれ貫通させるとともに、スリッ
パ55と第1摺動部材62、第1摺動部材62と第2摺
動部材63がそれぞれ摺接するように取り付ける。
【0046】続いて棒部材61の先端部61bを溶接部
材64の貫通孔64aに軽圧入(所定以上の力を加えた
場合には圧入状態が解除される軽い圧入を意味する)さ
せてプランジャ本体とスリッパ55とを仮結合し、溶接
前の位置決めを行う。このような軽圧入を可能とするた
め、貫通孔64aの内径は先端部61bの外径よりも若
干小さめに形成される。この位置決めのための仮結合
は、貫通孔64aを先端部61bにあてがったうえスリ
ッパ側治具72の突起72aの下面を溶接部材64の上
部に当接させ、次いで本体側治具71を固定するととも
にスリッパ側治具72を下方へ押し下げていく。ここ
で、棒部材61は上下移動が拘束されているため、この
スリッパ側治具72の押し下げとともに先端部61bは
溶接部材64の貫通孔64aに圧入されて行き、スリッ
パ55と第1及び第2摺動部材62、63は溶接部材6
4とプランジャ本体51の球状凹面51bとの間で締め
付けられていく。これによりプランジャ本体51とスリ
ッパ55とが結合される(仮結合される)。
【0047】ここで、スリッパ側治具72の突起72a
にはくぼみ72bが設けられているので、先端部61b
は貫通孔64aより上方に突き出ることができる。ま
た、本体側治具71の穴深さ(底部71aの上面Pと支
持面71bとの間の距離)L1は、このような方法でプ
ランジャ本体51とスリッパ55とを結合させたとき
に、スリッパ55がプランジャ本体51に対して滑らか
に摺動できる大きさの適正なクリアランスを含んで設定
されており、結合後の両部材51、55には常に適切な
摺動性が確保されるようになっている。
【0048】このプランジャ本体51とスリッパ55と
の仮結合状態において、スリッパ側治具72を取り外
し、先端部61bと溶接部材64とを溶接接合する。こ
れによりプランジャ本体51とスリッパ55とが本結合
され、ポンププランジャ50の組立が完了する。なお、
この溶接前に仮結合されたポンププランジャ50を本体
側治具71より取り出して、プランジャ本体51とスリ
ッパ55の結合部のガタの有無やスリッパ55の摺動状
態を点検することが好ましい。仮結合の状態では先端部
61bの貫通孔64aへの圧入状態を解除することがで
きるので、仮結合状態が不良であれば上記工程をやり直
すことも可能である。
【0049】このように、棒部材61がプランジャ本体
51に一体に取り付けられるとともに、棒部材61と溶
接部材64とが溶接接合により結合されるので、プラン
ジャ本体51とスリッパ55の間の結合の緩みを防止で
き、ガタによりプランジャストロークが変化することを
防止することができる。また、プランジャ本体51とス
リッパ55とを仮結合をすることができる構成とするこ
とにより、両部材51、55を本結合する前に予め摺動
状態の良否を確認することができ、摺動不良等の不具合
の発生を低減することができる。また、上記のような組
立用治具70を用いれば、上記位置決めを容易に行うこ
とができる。なお、本実施例では溶接部材64と棒部材
61とを溶接接合により固定したが、これは両部材6
4、61を強固に固定できる手段であればよく、接着や
ねじ止め等によってもよい。
【0050】次に、本発明の第2の実施例ついて図7及
び図8を参照して説明する。このポンププランジャ15
0は、プランジャ本体51と、スリッパ55と、これら
両部材51、55を連結する連結部材160とから構成
される。プランジャ本体51及びスリッパ55は第1の
実施例の場合と同一に構成されたものであり、第1の実
施例と同一の部分には同一番号を付してその説明を省略
する。
【0051】連結部材160は、右端に半球状の頭部1
61aが形成された棒部材161と、プランジャ本体5
1の開口51aを覆うように取り付けられて溶接される
蓋部材162と、スリッパ55及び頭部161aの間に
挟装配設される摺動部材163とから構成される。摺動
部材163は軸方向に貫通する貫通孔163aを有して
おり、ここに棒部材161が挿入貫通されている。ま
た、摺動部材163にはスリッパ55の凹球面状内周面
55bに嵌合摺接する球状凸面163bが形成されてお
り、また頭部161aと摺動部材163とは互いに摺接
する摺接面を有している。蓋部162の中央には貫通孔
162aが穿設されており、この貫通孔162aには棒
部材161左端の先端部161bが貫通され、且つ、溶
接接合されている。このためプランジャ本体51、蓋部
162及び棒部材161は一体となっており、この結
果、球状凹面51bに凸球面状外周面55aが嵌合した
状態で、プランジャ本体51とスリッパ55とが互いに
摺動自在に結合されている。また、頭部161aとスリ
ッパ55とは摺動部材163を介して互いに摺動自在に
なっている。
【0052】上記構成のポンププランジャ150の作動
は、第1の実施例におけるポンププランジャ50の場合
と同様であるのでその説明を省略するが、棒部材161
の内部に設けた連通孔の構成が異なるので、これについ
て説明する。このポンププランジャ150においては、
棒部材161の内部に形成された軸方向に貫通する連通
孔164及びこの連通孔164の途中に設けられた絞り
164aを介してスリッパ55と斜板面32aとの接触
圧力を低減するため及び潤滑のための油が供給される。
図を見て分かるように、絞り164aは第1の実施例に
おけるポンププランジャ50の場合と異なり、連通孔1
64の右端側ではなく、中間部に設けられている。この
ように絞り164aが連通孔164の中間部に設けられ
るのは、棒部材161の穴深さを最小にするためであ
る。
【0053】連通孔164及び絞り164aは、先ず、
棒部材161の内部に連通孔164の内径相当の穴を棒
部材161の左右両側からほぼ等距離分だけ設け、次い
で絞り164aの内径相当の貫通孔を設けることにより
形成される。或いは、連通孔164の内径と絞り164
aの内径の両方を有する二段のドリルにより加工され
る。
【0054】また、棒部材161は蓋部材162と溶接
接合されるため溶接性の高い低炭素鋼等が使用される
が、前述したようにシリンダ回転中には頭部161aと
スリッパ55との間には相対回転が生じるため頭部16
1aの摩耗が問題となるが、頭部161aとスリッパと
の間には摺動部材163が挟装されているため、溶接部
材の摺動面の相対摺動速度は低減される。また、頭部1
61aは前述のポンププランジャ50の場合と異なって
他の部材と溶接接合される部分ではないので、予め焼き
入れをしておくことが可能であり、これによっても対摩
耗性を向上させることができる。或いは、蓋部162に
溶接される先端部161bのみを防炭したうえで棒部材
161全体を浸炭焼き入れしても同様の効果が得られ
る。また、これらいずれの場合でも、頭部161aと摺
動部材163との間に別の追加摺動部材(図示せず)を
挟装配設すれば、頭部161aの摩耗を更に低減させる
ことができて好ましい。なお、摺動部材163は摺接面
の摩耗を低減させることを目的として設けられるため炭
素鋼を焼き入れして硬度を高くしたもの等が使用される
が、これは上記の追加摺動部材においても同様である。
【0055】次に、このような構成のポンププランジャ
150の組立手順について説明する。先ず、このポンプ
プランジャ150の組立に用いられる組立用治具170
について説明する。この組立用治具170は、上方に穴
あきの底部171aを有するとともに下方に開口し、内
部に円筒状の空間を有してプランジャ本体51を収納す
る本体側治具171と、上面に形成された水平な支持部
172a及び上面の中央から上方に突出形成された円筒
状の突起172bを有するスリッパ側治具172とから
構成されている。本体側治具171における円筒状空間
の内径はプランジャ本体51が丁度収納される大きさで
あり、収納されたプランジャ本体51が本体側治具17
1内でぐらつかないようになっている。
【0056】ポンププランジャ150の組立は、先ず蓋
部材162をプランジャ本体51の開口51aを覆うよ
うに取り付けて溶接する。次に棒部材161に摺動部材
163の貫通孔163a、スリッパ55の貫通孔57及
びプランジャ本体51の貫通孔51cを順次貫通させる
とともに、頭部161aと摺動部材163、摺動部材1
63とスリッパ55、スリッパ55とプランジャ本体5
5がそれぞれ摺接するように取り付ける。これにより棒
部材161の先端部161bはプランジャ本体51内に
位置する。
【0057】続いて棒部材161の先端部161bを蓋
部材162の貫通孔162aに軽圧入させてプランジャ
本体51とスリッパ55とを仮結合し、溶接前の位置決
めを行う。このような軽圧入を可能とするため、貫通孔
162aの内径は先端部161bの外径よりも若干小さ
めに形成される。この位置決めのための仮結合は、先
ず、スリッパ55が下方になるようにプランジャ本体5
1を位置させた状態で、先端部161bを貫通孔162
aにあてがい、本体側治具171をプランジャ本体51
の上方から被せて収納し、スリッパ側治具172の支持
面172aにスリッパ面55cを当接させる。このとき
頭部161aが突起172bの上面に当接する。
【0058】次いで、スリッパ側治具172を固定する
とともに本体側治具171を下方へ押し下げていく。こ
こで、頭部161aは突起172bにより上下移動が拘
束されているため、この本体側治具171の押し下げと
ともに先端部161bは貫通孔162bに圧入されて行
き、スリッパ55と摺動部材163は頭部161aとプ
ランジャ本体51の球状凹面51bとの間で締め付けら
れていく。これによりプランジャ本体51とスリッパ5
5とが結合される(仮結合される)。
【0059】ここで、スリッパ側治具172の突起高さ
(支持面172aと突起172bの上面との間の距離)
L2は、このような方法でプランジャ本体51とスリッ
パ55とを結合させたときに、スリッパ55がプランジ
ャ本体51に対して滑らかに摺動できる大きさの適正な
クリアランスを含んで設定されており、結合後の両部材
51、55には常に適切な摺動性が確保されるようにな
っている。
【0060】このプランジャ本体51とスリッパ55と
の仮結合状態において、本体側治具171の底部171
aに設けられた穴部171bより、先端部161bと蓋
部162とを溶接接合する。これによりプランジャ本体
51とスリッパ55とが本結合がされ、ポンププランジ
ャ150の組立が完了する。なお、この溶接前に仮結合
されたポンププランジャ150を本体側治具171より
取り出して、プランジャ本体51とスリッパ55との結
合部のガタの有無やスリッパ55の摺動状態を点検する
ことが好ましい。仮結合の状態では先端部161bの貫
通孔162aへの圧入状態を解除することができるの
で、仮結合状態が不良であれば上記工程をやり直すこと
も可能である。
【0061】このように、頭部161aが棒部材161
と一体に形成されているとともに、棒部材161がプラ
ンジャ本体51に一体に取り付けられるので、プランジ
ャ本体51とスリッパ55の結合の緩みを防止でき、第
1の実施例におけるプランジャアセンブリ50と同様
に、両部材51、55間のガタの発生を防止することが
できる。また、プランジャ本体51とスリッパ55とを
仮結合することができる構成とすることにより、両部材
51、55を本結合する前に予め摺動状態の良否を確認
することができ、摺動不良等の不具合の発生を低減する
ことができる。また、上記のような組立用治具170を
用れば、上記位置決めを容易に行うことができる。な
お、本実施例では棒部材161を蓋部材162(プラン
ジャ本体51側部材)に溶接接合により固定したが、こ
れは両部材161、162強固に固定できる手段であれ
ばよく、接着やねじ止め等によってもよい。
【0062】これまで述べた第1及び第2の実施例で
は、油圧ポンプ24用のプランジャを例にして説明した
が、油圧モータ25用のモータプランジャ36も同様の
構成とすることができるのは無論のことである。更に、
本発明のプランジャ構成は、各種のプランジャタイプの
油圧ポンプ、モータに適用できる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、第1の本発明に係
るプランジャアセンブリによれば、プランジャ本体とス
リッパとが、プランジャ本体の端部開口を覆って固定さ
れる蓋部を有してプランジャ本体内を延び、プランジャ
本体及びスリッパをそれぞれ貫通して配設される棒部材
と、棒部材に貫通されてスリッパの凹球面状内周面に摺
動自在に取り付けられる摺動部材と、棒部材に貫通され
て摺接部材と摺動自在に取り付けられるとともに棒部材
の先端に固定される固定部材とにより結合されるのであ
るが、このような構成のプランジャアセンブリでは、棒
部材がプランジャ本体に固設されるとともに、棒部材と
固定部材とが固定(溶接接合や接着、或いはねじ止め
等)されるので、プランジャ本体とスリッパの結合の緩
みを防止でき、ガタによりプランジャストロークが変化
することを防止することができる。
【0064】また、シリンダ回転中にはスリッパが回転
(自転)することにより、固定部材とスリッパとの間に
は相対回転が生じるが、スリッパと固定部材との間には
これらと摺動自在な摺動部材が挟装配設されるので、両
部材の摺動面の相対摺動速度が低減され、摩耗を抑えて
耐久性を向上させることができる。
【0065】また、この第1の本発明に係るプランジャ
アセンブリの製造方法は、棒部材の他端をプランジャ本
体の一端部に貫通させるとともに蓋部をプランジャ本体
の他端部に溶接接合する第1工程と、スリッパ及び摺動
部材を順次棒部材に貫通させて取り付ける第2工程と、
固定部材を棒部材の他端に軽圧入させてスリッパ及びプ
ランジャ本体を仮結合する第3工程と、固定部材を棒部
材の他端に溶接接合する第4工程とを有するのである
が、固定部材を棒部材に溶接する前にプランジャ本体と
スリッパとを仮結合するので、プランジャ本体とスリッ
パを本結合する前に予め摺動状態の良否を確認すること
ができ、摺動不良等の不具合の発生を低減することがで
きる。
【0066】また、第2の本発明に係るプランジャアセ
ンブリによれば、プランジャ本体とスリッパとが、プラ
ンジャ本体の端部開口を覆って固定される蓋部と、スリ
ッパの凹球面状内周面に摺動自在に取り付けられる摺動
部材と、この摺動部材に摺接する頭部を有するとともに
摺動部材、スリッパ及びプランジャ本体をそれぞれ貫通
してプランジャ本体内に配設され、その先端部が蓋部に
固定される棒部材とにより結合されるのであるが、この
ような構成のプランジャアセンブリにおいては、頭部が
棒部材と一体に形成されるとともに、棒部材がプランジ
ャ本体側部材(蓋部材)に固定(溶接接合や接着、或い
はねじ止め等)されるので、プランジャ本体とスリッパ
の結合の緩みを防止でき、両部材間のガタの発生を防止
することができる。 また、スリッパと頭部との間には
これらと摺動自在な摺動部材が挟装配設されるので、上
記第1の本発明に係るプランジャアセンブリと同様に、
両部材の摺動面の相対摺動速度が低減され、摩耗を抑え
て耐久性を向上させることができる。
【0067】また、この第2の本発明に係るプランジャ
アセンブリの製造方法は、蓋部材をプランジャ本体の他
端部に溶接接合する第1工程と、棒部材に摺動部材、ス
リッパ及びプランジャ本体の一端部を貫通させる第2工
程と、棒部材の他端を蓋部材に軽圧入させてスリッパ及
びプランジャ本体を仮結合する第3工程と、棒部材の他
端を蓋部材に溶接接合する第4工程とを有するが、棒部
材を蓋部材に溶接する前にプランジャ本体とスリッパと
を仮結合するので、上記第1の本発明に係るプランジャ
アセンブリと同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプランジャアセンブリを有する油
圧ポンプ、モータを有してなる無段変速機の構成を示す
スケルトン図である。
【図2】この無段変速機の変速比特性を示すグラフであ
る。
【図3】第1の実施例におけるポンププランジャを示す
断面図である。
【図4】第1の実施例におけるポンププランジャを示す
断面図である。
【図5】第1の実施例におけるポンププランジャのスリ
ッパ周辺を拡大して示す拡大断面図である。
【図6】第1の実施例において、組立用治具に前記ポン
ププランジャを取り付けた状況を示す断面図である。
【図7】第2の実施例におけるポンププランジャを示す
断面図である。
【図8】第2の実施例において、組立用治具にこのポン
ププランジャを取り付けた状況を示す断面図である。
【符号の説明】
50 ポンププランジャ 51 プランジャ本体 51b 球状凹面 55 スリッパ 55a 凸球面状外周面 55b 凹球面状内周面 55c スリッパ面 61 棒部材 61a 蓋部 62 第1摺動部材(摺動部材) 64 溶接部材(固定部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 康浩 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 飯野 尚史 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 青木 隆 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3H070 AA01 BB04 BB06 CC07 DD13 DD26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凸球面状外周面及び凹球面状内周面を有
    して椀状に形成され、軸方向端部にスリッパ面を有して
    なるスリッパと、 軸方向一端部に前記スリッパの前記凸球面状外周面と摺
    動自在に嵌合する球状凹面が形成され、内部が軸方向他
    端部に開口する円筒状に形成されたプランジャ本体と、 一端に前記プランジャ本体の前記他端部の開口を覆うと
    ともにこの他端部に固定された蓋部を有し、他端が前記
    プランジャ本体内を軸方向に延びて前記プランジャ本体
    の前記一端部及び前記スリッパを貫通して配設された棒
    部材と、 この棒部材に貫通され、前記スリッパの前記凹球面状内
    周面に摺動自在に取り付けられた摺動部材と、 前記棒部材に貫通され、前記摺動部材に摺接するととも
    に前記棒部材の前記他端に固定された固定部材とを有し
    て構成されたことを特徴とするプランジャアセンブリ。
  2. 【請求項2】 凸球面状外周面及び凹球面状内周面を有
    して椀状に形成され、軸方向端部にスリッパ面を有して
    なるスリッパと、 軸方向一端部に前記スリッパの前記凸球面状外周面と摺
    動自在に嵌合する球状凹面が形成され、内部が軸方向他
    端部に開口する円筒状に形成されたプランジャ本体と、 一端に前記プランジャ本体の前記他端部の開口を覆うと
    ともにこの他端部に固定された蓋部を有し、他端が前記
    プランジャ本体内を軸方向に延びて前記プランジャ本体
    の前記一端部及び前記スリッパを貫通して配設された棒
    部材と、 この棒部材に貫通され、前記スリッパの前記凹球面状内
    周面に摺動自在に取り付けられた摺動部材と、 前記棒部材に貫通され、前記摺動部材に摺接するととも
    に前記棒部材の前記他端に固定された固定部材とを有し
    て構成されるプランジャアセンブリの製造方法であっ
    て、 前記棒部材の前記他端を前記プランジャ本体の前記一端
    部に貫通させるとともに前記蓋部を前記プランジャ本体
    の前記他端部に溶接接合する第1工程と、 前記スリッパ及び前記摺動部材を順次前記棒部材に貫通
    させて取り付ける第2工程と、 前記固定部材を前記棒部材の前記他端に軽圧入させて前
    記スリッパ及び前記プランジャ本体を仮結合する第3工
    程と、 前記固定部材を前記棒部材の前記他端に溶接接合する第
    4工程とを有することを特徴とするプランジャアセンブ
    リの製造方法。
  3. 【請求項3】 凸球面状外周面及び凹球面状内周面を有
    して椀状に形成され、軸方向端部にスリッパ面を有して
    なるスリッパと、 軸方向一端部に前記スリッパの前記凸球面状外周面と摺
    動自在に嵌合する球状凹面が形成され、内部が軸方向他
    端部に開口する円筒状に形成されたプランジャ本体と、 前記プランジャ本体の前記他端部の開口を覆うとともに
    この他端部に固定された蓋部材と、 前記スリッパの前記凹球面状内周面に摺動自在に取り付
    けられた摺動部材と、 一端に前記摺動部材と摺接する頭部を有し、他端が前記
    摺動部材、前記スリッパ及び前記プランジャ本体の前記
    一端部を貫通して前記プランジャ本体内を軸方向に延
    び、更に前記蓋部を貫通してこの蓋部に固定された棒部
    材とを有して構成されたことを特徴とするプランジャア
    センブリ。
  4. 【請求項4】 凸球面状外周面及び凹球面状内周面を有
    して椀状に形成され、軸方向端部にスリッパ面を有して
    なるスリッパと、 軸方向一端部に前記スリッパの前記凸球面状外周面と摺
    動自在に嵌合する球状凹面が形成され、内部が軸方向他
    端部に開口する円筒状に形成されたプランジャ本体と、 前記プランジャ本体の前記他端部の開口を覆うとともに
    この他端部に固定された蓋部材と、 前記スリッパの前記凹球面状内周面に摺動自在に取り付
    けられた摺動部材と、一端に前記摺動部材と摺接する頭
    部を有し、他端が前記摺動部材、前記スリッパ及び前記
    プランジャ本体の前記一端部を貫通して前記プランジャ
    本体内を軸方向に延び、更に前記蓋部を貫通してこの蓋
    部に固定された棒部材とを有して構成されるプランジャ
    アセンブリの製造方法であって、 前記蓋部材を前記プランジャ本体の前記他端部に溶接接
    合する第1工程と、 前記棒部材に前記摺動部材、前記スリッパ及び前記プラ
    ンジャ本体の前記一端部を貫通させる第2工程と、 前記棒部材の前記他端を前記蓋部材に軽圧入させて前記
    スリッパ及び前記プランジャ本体を仮結合する第3工程
    と、 前記棒部材の前記他端を前記蓋部材に溶接接合する第4
    工程とを有することを特徴とするプランジャアセンブリ
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014122856A1 (ja) * 2013-02-07 2014-08-14 川崎重工業株式会社 ピストン
CN108425820A (zh) * 2017-12-30 2018-08-21 徐秀芳 一种自带补油泵的斜盘式轴向柱塞泵

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