JP2000001977A - 帯電防止性合成樹脂床材 - Google Patents

帯電防止性合成樹脂床材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で施工が簡便であり、かつ完璧な帯電防
止が達成できる帯電防止性合成樹脂床材の提供。 【解決手段】 シート状基材の上に、表面抵抗率が10
3〜105Ωの導電塗料層または導電樹脂層3を、さらに
その上に体積抵抗値106〜109Ωの帯電防止層2を設
けた合成樹脂製シート状床材であって、該シート状床材
には貫通孔を設け、該貫通孔に導電性端子5を挿入した
ものであることを特徴とする帯電防止性合成樹脂床材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止性合成樹
脂床材に関する。
【0002】
【従来技術】帯電防止床材は、歩行によって生じる静電
気が床材に蓄積されることを防止すると共に、人体に蓄
積された静電気を履物を通して床材→大地へと漏洩させ
ることを目的としている。従って、単に床材表面のみを
導電性としたとしても床材の下面部分(下地、接着剤を
含む)が帯電防止性でないかぎり、静電気は逃げ場がな
い。
【0003】そこで、躯体上に何らかのアース層(躯体
がコンクリートの場合は、コンクリート自体をアース層
と見なす場合を含む)を設け、そのうえにくる床材は表
面から裏面に静電気が逃げて前記アース層に至るような
構成としなければならず、必然的に床材全体を帯電防止
性にしなければならない。
【0004】床材全体を帯電防止性とするためには、 (1)床材の全構成層中に導電性付与材、例えば金属粉
あるいはカーボンブラックを配合する場合:この場合
は、コストが上昇し、そのうえ、このように導電性付与
に必要な量で導電性付与材が床材成分中に混合される
と、床材が本来必要とする物性に悪影響があるのみなら
ず、導電性粒子の色が床材の色合に強く影響するように
なり、床材の意匠性に大きな障害となる。 (2)帯電防止性を有する界面活性剤を配合する場合:
この場合は、抵抗値低減の限界があり、配合量が多くな
るに従ってブリード現象が生じやすくなり、汚れやすく
なる。しかも、体積抵抗値は、厚さと反比例の傾向にあ
り、厚くなるに従って抵抗値が上昇する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安価
で施工が簡便であり、かつ完璧な帯電防止が達成できる
帯電防止性合成樹脂床材を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、シート
状基材上に、表面抵抗率が103〜105Ωの導電塗料層
又は導電樹脂層を、さらにその上に体積抵抗値106
109Ωの帯電防止層を設けた合成樹脂製シート状床材
であって、該シート状床材には貫通孔を設け、該貫通孔
に導電性端子を挿入したものであることを特徴とする帯
電防止性合成樹脂床材に関する。
【0007】本発明の第二は、シート状基材上に、表面
抵抗率が103〜105Ωの導電樹脂層を設けた合成樹脂
製シート状床材であって、該シート状床材には、(a)
貫通孔を設け、該貫通孔に導電性端子を挿入するか、あ
るいは(b)前記導電樹脂層の表面に導電性端子を付設
することを特徴とする帯電防止性合成樹脂床材に関す
る。
【0008】本発明の導電塗料層と導電樹脂層の区別
は、導電塗料層が塗装により形成できる程度の厚みであ
るのに対し、導電樹脂層は塗装では形成できない程度の
厚みを有しているという点である。
【0009】本発明で用いる導電塗料は、一般に用いら
れている0.01〜0.1μ程度の微細な金属(Ag、
Cuなど)、金属酸化物、グラファイト、カーボンなど
の粒子状あるいは繊維状の導電物質を主として合成樹脂
ワニス中に分散させたものである。合成樹脂としては、
常温又は100℃以下の低温乾燥型(たとえばメチルメ
タクリレート樹脂など)、加熱硬化型(メラミン樹脂、
フェノール樹脂など)、光硬化型(電子線あるいは紫外
線硬化型)などのいずれのタイプのものも使用できる。
【0010】前記導電塗料層の厚みは塗装により形成さ
れるという事情からその厚みは普通の塗料では10〜4
0μm、特別な塗料でも100μm〜数mmであり、一
般に重ね塗りをした場合でも50〜100μm程度の厚
みである。
【0011】導電塗料層は、液状の合成樹脂組成物を塗
布、硬化せしめることにより得られ、表面抵抗率が10
5Ω以下とするが、抵抗率が低すぎる場合は、感電の危
険性もあるので、好ましくは103〜105Ωである。
【0012】前記導電樹脂層(図中3で表示)は、厚み
の制限は特にないが、厚すぎるとコストアップとなり、
薄すぎると導電性端子との接触不良となる。通常0.0
5mm〜1.0mm、好ましくは0.2〜0.5mmの
厚みで使用する。
【0013】前記帯電防止層(図中2で表示)は、塗装
による層形成ではなく、例えばカレンダーリング、押出
しその他の方法によりシート状に形成されたもので、そ
の厚みを大きくすることができるので、通常0.2〜
1.0mm、好ましくは0.3〜0.5mmの厚みで使
用する。0.2mm以下になると、歩行などによる表面
摩耗により帯電防止層が消滅するおそれが高くなり、一
方1.0mm以上になると体積抵抗率が高くなるのみで
なくコストもアップするので好ましくない。
【0014】帯電防止層を形成する樹脂としては、塩化
ビニル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポ
リオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミ
ドなどを挙げることができ、帯電防止剤としては、金属
粉、金属繊維、カーボンブラック、帯電防止性能を有す
る界面活性剤などを挙げることができる。
【0015】また本発明のシート状基材としては、合成
樹脂シート、無機又は有機の織布あるいは不織布および
これらの複合体が使用できる。
【0016】本請求項1の発明は、歩行表面に相当する
層が体積抵抗値106〜109Ωの帯電防止層(図中2で
表示)で形成されているが、その厚みは最大でも1.0
mmであるため厚み方向の体積抵抗は、2mm厚の通常
使用される帯電防止層の1/2以下となる。歩行表面で
発生した静電気および人体に帯電した静電気はそのほと
んどが容易に下層の表面抵抗率の低い導電塗料層又は導
電樹脂層(図中3で表示)に移行する。導電塗料層に移
行した静電気は表面抵抗率の低い導電塗料層又は導電樹
脂層(図中3で表示)を通って貫通孔に設けられた導電
性端子を通り、アースに逃げることができる。
【0017】前記の静電気の流れは、図3に示すとおり
である。尚、本発明にいう表面抵抗率および体積抵抗値
はJIS K 6911の方法に準じて測定した値をい
い、この電気の流れをモデル的に数式で示すと、表面に
発生した静電気が帯電防止層(図中2で表示)から導電
塗料層又は導電樹脂層(図中3で表示)に至るまでの抵
抗R1は下記式
【数1】R1=ρ1×(4m/πd2) ρ1は帯電防止層の体積抵抗値 mは帯電防止層の厚み dは電極の半径 で示すことができる。ついでこの静電気は、そこから導
電塗料層又は導電樹脂層(図中3で表示)の貫通孔に設
けられた導電性端子(図中5で表示)まで流れてゆく
が、ここに至るまでの抵抗R2は下記式
【数2】R2=R1+ρ2L mは前記と同一 ρ2は導電塗料層の表面抵抗率 Lは貫通孔までの距離によって定まる定数 となる。導電塗料層(図中3で表示)がなく帯電防止層
(図中2で表示)のみの場合の体積抵抗値は、数1より
厚さに比例して上昇する。しかも下地の抵抗値が十分に
大きい場合は、導電性端子(図中5で表示)から静電気
が漏洩する事はほとんど期待できない。一方、ρ2Lは
1よりはるかに低い為、R2≒R1となり、導電塗料層
(図中3で表示)の存在は静電気の放出が極めて容易に
なることを示している。
【0018】本請求項2の発明は、請求項1の発明のよ
うに導電塗料層を設けないかわりに、帯電防止層の表面
抵抗率を103〜105Ωと請求項1の導電塗料層並の低
い体積抵抗値とすることにより、請求項1の帯電防止層
又は導電塗料層の役割を兼用させたものである。
【0019】本請求項1の発明において、貫通孔を設
け、その貫通孔に導電性端子例えば金属端子を挿入した
理由は、この導電性端子が直接導電塗料層に接触するこ
とにより、抵抗が少ない状態でアースできるようにする
ためである。
【0020】本請求項2の発明においては、前述の貫通
孔に設けた導電性端子からアースをとってもよいが、請
求項2の発明では導電性を持つ層は表面に存在する帯電
防止層のみであるから、この表面にアースをとるための
導電性端子を直接設けることができる。
【0021】貫通孔に導電性端子を固定する一つの手段
としては、図1に示すように導電性端子5が嵌合する固
定ピン6を設けて、両者を係合させる。又は図示はしな
いが、例えば先端がとがったピン状の導電性端子を表面
から導電塗料層まで貫通させる方法によってもよい。も
ちろんピンは電気的にアースされている。
【0022】以下に実施例を挙げて本発明を説明する
が、これにより何ら限定されるものではない。
【0023】実施例1 PVC組成物からなる樹脂シート基材1(厚さ1.5m
m、巾約180cm、体積抵抗値1012Ω)上にPVC
組成物からなる導電塗料層3(厚さ0.2mm、表面抵
抗率103Ω)及びPVC組成物からなる帯電防止層2
(体積抵抗値106Ω、厚さ0.3mm)を順次熱圧で
積層し、本発明のシート状床材を得た。これをコンクリ
ート床下地上に貼り、このシート状床材の長手方向に沿
って9mに1ヶ所の割合で貫通孔を設け、アルミニウム
製固定ピン6を導電塗料層3まで貫通させ、その頂部に
導電性端子5を設置した。この床構造の帯電防止性(4
0%RH、25℃)は良好であった。
【0024】
【効果】(1)本発明の構成により、床材の基材や接着
材に何ら影響を受けることなく充分な帯電防止効果を挙
げることができる。 (2)従来は、基材まで導電性にする必要があったが、
本発明では基材を導電性とする必要がないので、コスト
の上昇を抑えることができ、かつ物性の低下を避けるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の一具体例の断面図である。
【図2】請求項2の一具体例の断面図である。
【図3】床材表面に発生した静電気の流れを示すモデル
図である。
【符号の説明】
1 基本床材 2 帯電防止層 3 導電塗料層又は導電樹脂層 4 下地 5 導電性端子 6 固定ピン 7 導電性端子

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状基材上に、表面抵抗率が103
    〜105Ωの導電塗料層または導電樹脂層を、さらにそ
    の上に体積抵抗値106〜109Ωの帯電防止層を設けた
    合成樹脂製シート状床材であって、該シート状床材には
    貫通孔を設け、該貫通孔に導電性端子を挿入したもので
    あることを特徴とする帯電防止性合成樹脂床材。
  2. 【請求項2】 シート状基材上に、表面抵抗率が103
    〜105Ωの導電樹脂層を設けた合成樹脂製シート状床
    材であって、該シート状床材には、(a)貫通孔を設
    け、該貫通孔に導電性端子を挿入するか、あるいは
    (b)前記導電樹脂層の表面に導電性端子を付設するこ
    とを特徴とする帯電防止性合成樹脂床材。
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