JP2000001438A - 造血系細胞の増殖・分化促進剤 - Google Patents
造血系細胞の増殖・分化促進剤Info
- Publication number
- JP2000001438A JP2000001438A JP10135907A JP13590798A JP2000001438A JP 2000001438 A JP2000001438 A JP 2000001438A JP 10135907 A JP10135907 A JP 10135907A JP 13590798 A JP13590798 A JP 13590798A JP 2000001438 A JP2000001438 A JP 2000001438A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- extract
- peach
- proliferation
- group
- botanical name
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Non-Alcoholic Beverages (AREA)
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、内科的・外科的疾患、薬剤等による
貧血、白血球減少、免疫能低下、或いは、造血機能障害
に起因する医学的症状の予防又は改善に有用な造血系細
胞の増殖・分化促進剤、及び該促進剤を添加した飲食品
を提供することを課題とする。 【解決手段】桃膠の抽出エキスが、Tリンパ球の増殖活
性を有し、多能性造血幹細胞の増殖・分化を促進し、抗
癌剤投与による白血球、赤血球、ヘマクリット及びヘモ
グロビン量の減少を回復することを見出した。
貧血、白血球減少、免疫能低下、或いは、造血機能障害
に起因する医学的症状の予防又は改善に有用な造血系細
胞の増殖・分化促進剤、及び該促進剤を添加した飲食品
を提供することを課題とする。 【解決手段】桃膠の抽出エキスが、Tリンパ球の増殖活
性を有し、多能性造血幹細胞の増殖・分化を促進し、抗
癌剤投与による白血球、赤血球、ヘマクリット及びヘモ
グロビン量の減少を回復することを見出した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、桃膠エキスを有効
成分とする造血系細胞の増殖・分化促進剤、及び該エキ
スを添加してなる飲食品に関する。
成分とする造血系細胞の増殖・分化促進剤、及び該エキ
スを添加してなる飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】バラ科(Rosaceae)の植物であるモモ
[Prunus persaca (L.) Batsch]、或いは、ノモモ[P.
persica var. davidiana Maximowicz]は、その種子で
あるトウニン(桃仁)、花、桃毛、茎、皮、トウキュウ
(桃膠)等、あらゆる部分が薬として利用されている。
すなわち、桃仁は、消炎性浄血作薬として、月経不順
や、下腹部緊満痛等、漢方処方には欠くことのできない
ものであり、葉から抽出した桃葉エキスは、あせもや湿
疹の民間療法薬として、古くから用いられており、ま
た、果実を圧搾して得た果汁を濾過精製した桃エキス
は、化粧品素材に応用されている。
[Prunus persaca (L.) Batsch]、或いは、ノモモ[P.
persica var. davidiana Maximowicz]は、その種子で
あるトウニン(桃仁)、花、桃毛、茎、皮、トウキュウ
(桃膠)等、あらゆる部分が薬として利用されている。
すなわち、桃仁は、消炎性浄血作薬として、月経不順
や、下腹部緊満痛等、漢方処方には欠くことのできない
ものであり、葉から抽出した桃葉エキスは、あせもや湿
疹の民間療法薬として、古くから用いられており、ま
た、果実を圧搾して得た果汁を濾過精製した桃エキス
は、化粧品素材に応用されている。
【0003】桃膠は、桃、或いは、山桃の樹皮から分泌
されたヤニ(樹脂)である。桃膠は、滋養、石淋(排尿
困難、排尿痛等を症状とする五淋の一つ)、血淋(下腹
部の腫脹を伴う五淋の一つ、血尿を伴う)、糖尿病等の
民間療法薬として用いられている。しかし、桃膠の抽出
エキスが、造血系細胞の増殖・分化を促進する作用を有
することは、これまで全く知られていない。
されたヤニ(樹脂)である。桃膠は、滋養、石淋(排尿
困難、排尿痛等を症状とする五淋の一つ)、血淋(下腹
部の腫脹を伴う五淋の一つ、血尿を伴う)、糖尿病等の
民間療法薬として用いられている。しかし、桃膠の抽出
エキスが、造血系細胞の増殖・分化を促進する作用を有
することは、これまで全く知られていない。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】本発明は、内科的・外
科的疾患、薬剤等による貧血、白血球減少、免疫能低
下、或いは、造血機能障害に起因する医学的症状、等の
予防又は改善に有用な、造血系細胞の増殖・分化促進
剤、及び該促進剤を添加した飲食品を提供することを課
題とする。
科的疾患、薬剤等による貧血、白血球減少、免疫能低
下、或いは、造血機能障害に起因する医学的症状、等の
予防又は改善に有用な、造血系細胞の増殖・分化促進
剤、及び該促進剤を添加した飲食品を提供することを課
題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、桃膠の抽出エキスが、
1) Tリンパ球の増殖活性を有し、2) 造血系細胞の増殖
・分化を促進し、3)抗癌剤等薬剤投与による白血球減
少、赤血球、ヘマクリット及びヘモグロビン量減少、等
を改善する作用を有することを見出し、本発明を完成し
た。
を解決すべく鋭意研究した結果、桃膠の抽出エキスが、
1) Tリンパ球の増殖活性を有し、2) 造血系細胞の増殖
・分化を促進し、3)抗癌剤等薬剤投与による白血球減
少、赤血球、ヘマクリット及びヘモグロビン量減少、等
を改善する作用を有することを見出し、本発明を完成し
た。
【0006】すなわち、本発明は、1) 桃膠抽出エキス
を有効成分とする造血系細胞の増殖・分化促進剤、2)
桃膠抽出エキスを添加してなる造血系細胞の増殖・分化
促進作用を有する飲食品、 3) 造血系細胞の増殖・分化
促進作用を有する飲食品の製造のための桃膠抽出エキス
の使用、4) 桃膠抽出エキスを有効成分とする白血球増
殖促進剤、5) 桃膠抽出エキスを有効成分とする抗貧血
剤、6) 桃膠抽出エキスを添加してなる白血球増殖促進
作用を有する飲食品、及び 7) 桃膠抽出エキスを添加し
てなる抗貧血作用を有する飲食品を提供する。
を有効成分とする造血系細胞の増殖・分化促進剤、2)
桃膠抽出エキスを添加してなる造血系細胞の増殖・分化
促進作用を有する飲食品、 3) 造血系細胞の増殖・分化
促進作用を有する飲食品の製造のための桃膠抽出エキス
の使用、4) 桃膠抽出エキスを有効成分とする白血球増
殖促進剤、5) 桃膠抽出エキスを有効成分とする抗貧血
剤、6) 桃膠抽出エキスを添加してなる白血球増殖促進
作用を有する飲食品、及び 7) 桃膠抽出エキスを添加し
てなる抗貧血作用を有する飲食品を提供する。
【0007】
【発明に実施の形態】本発明に用いられる桃膠は、栽培
されうる全ての品種のモモ、及びノモモに由来する桃膠
を包含する。例えば、普通モモ(英名:peach. 学名:
P. persica Batschvar. vulgaris Maxim.)、ネクタリン
(中国名:油桃、英名:nectarine、学名:var. nucipe
rsica Schneid)、バントウ(中国名:蟠桃、英名:peen
to、学名:var. platycarpa L.H. Bailey)、などの変種
の他、ノモモ(中国名:山桃、英名:David peach、学
名:var. P. davidiana Carr.,2n=6)、オヒョモモ(中
国名:楡葉梅、学名:P. triloba Lindl., 2n=64.)、な
どがあるが、本発明は、これらの品種由来の桃膠を全て
包含する。
されうる全ての品種のモモ、及びノモモに由来する桃膠
を包含する。例えば、普通モモ(英名:peach. 学名:
P. persica Batschvar. vulgaris Maxim.)、ネクタリン
(中国名:油桃、英名:nectarine、学名:var. nucipe
rsica Schneid)、バントウ(中国名:蟠桃、英名:peen
to、学名:var. platycarpa L.H. Bailey)、などの変種
の他、ノモモ(中国名:山桃、英名:David peach、学
名:var. P. davidiana Carr.,2n=6)、オヒョモモ(中
国名:楡葉梅、学名:P. triloba Lindl., 2n=64.)、な
どがあるが、本発明は、これらの品種由来の桃膠を全て
包含する。
【0008】本発明の桃膠エキスは、文献に記載のエキ
ス剤の製法(第十三改正日本薬局方解説書の製剤総則、
廣川書店発行)、(医薬品の開発第11巻、仲井由宣編、
p304-309、廣川書店、平成元年)に準じて、製造するこ
とができる。
ス剤の製法(第十三改正日本薬局方解説書の製剤総則、
廣川書店発行)、(医薬品の開発第11巻、仲井由宣編、
p304-309、廣川書店、平成元年)に準じて、製造するこ
とができる。
【0009】桃の樹皮からヤニ(桃膠)を採取し、乾燥
する。抽出溶媒は、水、水性エタノール、或いは、弱酸
性の水等を用いる。抽出温度は、常温〜抽出溶媒の沸点
温度が適用できるが、抽出効率の面から沸点温度近辺が
好ましい。得られた抽出液は、そのまま本発明の桃膠抽
出エキスとして用いることができるが、濾過、遠心分離
により、固、液を分離し、液相部分を減圧下(95℃以
下)で濃縮して、ペースト状にして用いてもよい。ま
た、濃縮後、噴霧乾燥法、減圧乾燥法、或いは、凍結乾
燥法により乾燥して、粉末エキスにして用いてもよい。
さらに、必要に応じて、本抽出液をクロマトグラフィー
等により、精製して用いてもよい。
する。抽出溶媒は、水、水性エタノール、或いは、弱酸
性の水等を用いる。抽出温度は、常温〜抽出溶媒の沸点
温度が適用できるが、抽出効率の面から沸点温度近辺が
好ましい。得られた抽出液は、そのまま本発明の桃膠抽
出エキスとして用いることができるが、濾過、遠心分離
により、固、液を分離し、液相部分を減圧下(95℃以
下)で濃縮して、ペースト状にして用いてもよい。ま
た、濃縮後、噴霧乾燥法、減圧乾燥法、或いは、凍結乾
燥法により乾燥して、粉末エキスにして用いてもよい。
さらに、必要に応じて、本抽出液をクロマトグラフィー
等により、精製して用いてもよい。
【0010】本発明の桃膠抽出エキスは、単独で、Tリ
ンパ球の増殖活性を有し、コンカナバリンA(ConA)との
共存下では、さらに顕著に、Tリンパ球の増殖を促進す
る。また、桃膠抽出エキスは、CFU-S(mixed colony-for
ming unit in spleen:脾コロニー形成細胞)の形成を
促進する(表1)。また、桃膠抽出エキスは、抗癌剤投
与による末梢血の網状赤血球及び骨髄有核細胞の減少を
有意に抑制し、白血球減少の副作用による脾臓の縮小を
抑制する(表2)。また、桃膠抽出エキスは、薬剤投与
等による赤血球、ヘモグロビンの減少を抑制する(表
3)。さらにまた、桃膠抽出エキスは、抗癌剤投与によ
る白血球、赤血球、ヘマクリット、ヘモグロビン量の減
少を回復する(表4)。
ンパ球の増殖活性を有し、コンカナバリンA(ConA)との
共存下では、さらに顕著に、Tリンパ球の増殖を促進す
る。また、桃膠抽出エキスは、CFU-S(mixed colony-for
ming unit in spleen:脾コロニー形成細胞)の形成を
促進する(表1)。また、桃膠抽出エキスは、抗癌剤投
与による末梢血の網状赤血球及び骨髄有核細胞の減少を
有意に抑制し、白血球減少の副作用による脾臓の縮小を
抑制する(表2)。また、桃膠抽出エキスは、薬剤投与
等による赤血球、ヘモグロビンの減少を抑制する(表
3)。さらにまた、桃膠抽出エキスは、抗癌剤投与によ
る白血球、赤血球、ヘマクリット、ヘモグロビン量の減
少を回復する(表4)。
【0011】すなわち、本発明の桃膠抽出エキスは、免
疫賦活作用を有し、また、造血系細胞である骨髄、リン
パ組織の細胞、末梢血幹細胞、臍帯血幹細胞、の増殖・
分化を促進する作用を有する。
疫賦活作用を有し、また、造血系細胞である骨髄、リン
パ組織の細胞、末梢血幹細胞、臍帯血幹細胞、の増殖・
分化を促進する作用を有する。
【0012】桃膠抽出エキスを造血促進のための医薬品
として用いる場合は、適当な賦形剤(乳糖、コーンスタ
ーチ、結晶セルロース、等)を加えて混合し、様々な剤
型(錠剤、カプセル剤、散財、細粒剤、顆粒剤、等)に
して、経口投与することができる。その場合の投与量
は、桃膠抽出エキス粉末として、成人に対し、1日あた
り、0.1〜20gの範囲である。また、桃膠抽出エキスは、
極めて毒性が少ないことから、造血促進作用を有する飲
食品(一般の飲食品、機能性食品、健康食品、特定保健
用食品を含む)の製造のために使用することが可能で、
その場合は、当業者公知の、加工食品の一般的な製造技
術を用いて、その目的を達成することができる。
として用いる場合は、適当な賦形剤(乳糖、コーンスタ
ーチ、結晶セルロース、等)を加えて混合し、様々な剤
型(錠剤、カプセル剤、散財、細粒剤、顆粒剤、等)に
して、経口投与することができる。その場合の投与量
は、桃膠抽出エキス粉末として、成人に対し、1日あた
り、0.1〜20gの範囲である。また、桃膠抽出エキスは、
極めて毒性が少ないことから、造血促進作用を有する飲
食品(一般の飲食品、機能性食品、健康食品、特定保健
用食品を含む)の製造のために使用することが可能で、
その場合は、当業者公知の、加工食品の一般的な製造技
術を用いて、その目的を達成することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでは
ない。
るが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0014】実施例1 桃膠抽出エキスの製造 桃膠(乾燥品)に対し、約8倍量の水を加え、30分間煮
沸した。さらに、抽出残渣に対し、約4倍量の水を加
え、30分間煮沸した。桃膠熱水抽出液を併せ、濃縮して
ペースト状の濃縮液とした。次いで、凍結乾燥し、桃膠
の抽出エキス乾燥粉末を得た。
沸した。さらに、抽出残渣に対し、約4倍量の水を加
え、30分間煮沸した。桃膠熱水抽出液を併せ、濃縮して
ペースト状の濃縮液とした。次いで、凍結乾燥し、桃膠
の抽出エキス乾燥粉末を得た。
【0015】実施例2 Tリンパ球に対する増殖促進効
果 健常人の末梢血をヘパリン採血(200ml)し等容のHanks
液と混和した後、リンパ球分離液を用いて末梢血リンパ
球を分離した(Ficoll-paque比重遠心法)。リンパ球
は、約4×108個/mlに調整し、予め培養液で平衡化した
ナイロンウールカラムを通し、Tリンパ球画分(95%以
上)を得た。各シャーレに、Tリンパ球を1×106個と
なるように植え、桃膠抽出エキス(0.5g/ml)添加群、
桃膠抽出エキス(0.5g/ml)+コンカナバリンA(ConA)
(3μg/ml)添加群、ConA(3μg/ml)添加群、及び陰
性対照群、の4群を設定した。5%CO2存在下、37℃で72
時間培養した後、細胞の生育状況を顕微鏡観察した。そ
の結果、ConA添加群及び桃膠抽出エキス添加群において
は、陰性対照群に比較して、Tリンパ球の増殖促進が認
められた。そして、桃膠抽出エキス+ConA添加群におい
ては、ConA添加群及び桃膠抽出エキス添加群に比較し
て、顕著なTリンパ球の増殖促進が認められた。
果 健常人の末梢血をヘパリン採血(200ml)し等容のHanks
液と混和した後、リンパ球分離液を用いて末梢血リンパ
球を分離した(Ficoll-paque比重遠心法)。リンパ球
は、約4×108個/mlに調整し、予め培養液で平衡化した
ナイロンウールカラムを通し、Tリンパ球画分(95%以
上)を得た。各シャーレに、Tリンパ球を1×106個と
なるように植え、桃膠抽出エキス(0.5g/ml)添加群、
桃膠抽出エキス(0.5g/ml)+コンカナバリンA(ConA)
(3μg/ml)添加群、ConA(3μg/ml)添加群、及び陰
性対照群、の4群を設定した。5%CO2存在下、37℃で72
時間培養した後、細胞の生育状況を顕微鏡観察した。そ
の結果、ConA添加群及び桃膠抽出エキス添加群において
は、陰性対照群に比較して、Tリンパ球の増殖促進が認
められた。そして、桃膠抽出エキス+ConA添加群におい
ては、ConA添加群及び桃膠抽出エキス添加群に比較し
て、顕著なTリンパ球の増殖促進が認められた。
【0016】実施例3 造血幹細胞の増殖・分化促進効
果 5週令のddY3系雄性マウス(体重:23〜26g)を、生理
食塩水投与群(第1グループ:20匹)と桃膠抽出エキス
投与群(第2グループ:20匹)の2群に群分け(ランダ
ム)した。生理食塩水及び桃膠抽出エキスは、19日間連
続経口投与し、10日目の生理食塩水、或いは桃膠抽出エ
キス投与1時間後に、マウスの全身に対し60Coを725ラ
ド(rad)照射した。照射後9日目にマウスを殺し、脾
臓を摘出した。脾臓重量を測定した後、ピクリン酸−ホ
ルマリン液で1日固定し、脾臓表面の脾コロニー形成細
胞(CFU-S:colony-forming unit in spleen)を顕微鏡
下に数えた。
果 5週令のddY3系雄性マウス(体重:23〜26g)を、生理
食塩水投与群(第1グループ:20匹)と桃膠抽出エキス
投与群(第2グループ:20匹)の2群に群分け(ランダ
ム)した。生理食塩水及び桃膠抽出エキスは、19日間連
続経口投与し、10日目の生理食塩水、或いは桃膠抽出エ
キス投与1時間後に、マウスの全身に対し60Coを725ラ
ド(rad)照射した。照射後9日目にマウスを殺し、脾
臓を摘出した。脾臓重量を測定した後、ピクリン酸−ホ
ルマリン液で1日固定し、脾臓表面の脾コロニー形成細
胞(CFU-S:colony-forming unit in spleen)を顕微鏡
下に数えた。
【0017】
【表1】
【0018】表1から、桃膠抽出エキス投与群は、生理
食塩水投与群に比較して、多能性造血幹細胞CFU-Sの増
殖と分化を有意(p<0.01)に促進し、脾臓の縮小を有意
(p<0.05)に抑制する作用を有することが明らかであ
る。
食塩水投与群に比較して、多能性造血幹細胞CFU-Sの増
殖と分化を有意(p<0.01)に促進し、脾臓の縮小を有意
(p<0.05)に抑制する作用を有することが明らかであ
る。
【0019】実施例4 骨髄造血に対する効果 5週令のddY系雄性マウス(体重:24〜26g)を、生理食
塩水(0.5ml/マウス)投与群(第1グループ:20匹)、生
理食塩水(0.5ml/マウス)+シクロホスファミド投与群
(第2グループ:28匹)、及び桃膠抽出エキス(0.15g/
0.5ml/マウス)+シクロホスファミド投与群(第3グル
ープ:19匹)、の3群に、ランダムに群分けした。各グ
ループの生理食塩水、桃膠抽出エキスは、13日間連続経
口投与とし、シクロホスファミド(第2及び第3グルー
プ)は、7、8、及び9日目の3日間、1日に1回、12
0mg/kgを腹腔内投与した。13日目の投与1時間後に、
(1) 眼窩静脈から採血し、網状赤血球を計測し、(2) マ
ウスを頚椎脱臼法にて殺し、右の大腿骨を取り出し、3
%の酢酸溶液10mlで大腿骨内の全ての骨髄有核細胞を洗
い出し、その数を数え、(3) 脾臓及び胸腺を摘出しその
重量を測定した。
塩水(0.5ml/マウス)投与群(第1グループ:20匹)、生
理食塩水(0.5ml/マウス)+シクロホスファミド投与群
(第2グループ:28匹)、及び桃膠抽出エキス(0.15g/
0.5ml/マウス)+シクロホスファミド投与群(第3グル
ープ:19匹)、の3群に、ランダムに群分けした。各グ
ループの生理食塩水、桃膠抽出エキスは、13日間連続経
口投与とし、シクロホスファミド(第2及び第3グルー
プ)は、7、8、及び9日目の3日間、1日に1回、12
0mg/kgを腹腔内投与した。13日目の投与1時間後に、
(1) 眼窩静脈から採血し、網状赤血球を計測し、(2) マ
ウスを頚椎脱臼法にて殺し、右の大腿骨を取り出し、3
%の酢酸溶液10mlで大腿骨内の全ての骨髄有核細胞を洗
い出し、その数を数え、(3) 脾臓及び胸腺を摘出しその
重量を測定した。
【0020】
【表2】
【0021】表2から、桃膠抽出エキス投与群(第3グ
ループ)は、シクロホスファミド投与群(第2グルー
プ)に比較して、網状赤血球数及び骨髄有核細胞数が、
有意に多く(P<0.01)、また、脾臓及び胸腺の重量減少
を有意(P<0.05)(P<0.01)に抑制していることが明ら
かである。
ループ)は、シクロホスファミド投与群(第2グルー
プ)に比較して、網状赤血球数及び骨髄有核細胞数が、
有意に多く(P<0.01)、また、脾臓及び胸腺の重量減少
を有意(P<0.05)(P<0.01)に抑制していることが明ら
かである。
【0022】すなわち、桃膠抽出エキスは、抗癌剤投与
による赤血球減少、骨髄抑制、脾臓及び胸腺の重量減少
に対して、抑制作用を有する。これは、桃膠抽出エキス
が、抗癌剤投与による免疫能低下や造血系細胞の障害に
対して抑制作用を有し、骨髄及び末梢血の造血機能を維
持する作用を有することを示している。
による赤血球減少、骨髄抑制、脾臓及び胸腺の重量減少
に対して、抑制作用を有する。これは、桃膠抽出エキス
が、抗癌剤投与による免疫能低下や造血系細胞の障害に
対して抑制作用を有し、骨髄及び末梢血の造血機能を維
持する作用を有することを示している。
【0023】実施例5 抗貧血効果 5週令のddY系雄性マウス(体重:24〜26g)を、生理食
塩水(0.5ml/マウス)投与群(第1グループ:25匹)、生
理食塩水(0.5ml/マウス)+アセトフエニルヒドラジン投
与群(第2グループ:24匹)、及び桃膠(0.15g/0.5ml/
マウス)+アセトフエニルヒドラジン投与群(第3グル
ープ:10匹)、の3群に、また、雄性ラット(体重:21
0〜240g)を、同様に、生理食塩水(2.0ml/ラット)投与群
(第1グループ:6匹)、生理食塩水(2.0ml/ラット)+
アセトフエニルヒドラジン投与群(第2グループ:6
匹)、桃膠抽出エキス(1.0g/2.0ml/ラット)+アセトフ
エニルヒドラジン投与群(第3グループ:6匹)、の3
群に、ランダムに群分けした。
塩水(0.5ml/マウス)投与群(第1グループ:25匹)、生
理食塩水(0.5ml/マウス)+アセトフエニルヒドラジン投
与群(第2グループ:24匹)、及び桃膠(0.15g/0.5ml/
マウス)+アセトフエニルヒドラジン投与群(第3グル
ープ:10匹)、の3群に、また、雄性ラット(体重:21
0〜240g)を、同様に、生理食塩水(2.0ml/ラット)投与群
(第1グループ:6匹)、生理食塩水(2.0ml/ラット)+
アセトフエニルヒドラジン投与群(第2グループ:6
匹)、桃膠抽出エキス(1.0g/2.0ml/ラット)+アセトフ
エニルヒドラジン投与群(第3グループ:6匹)、の3
群に、ランダムに群分けした。
【0024】各グループへの生理食塩水、桃膠抽出エキ
スの投与は、9日間連続投与とし、アセトフエニルヒド
ラジン(2%溶液)の投与は、3、4、及び5日目に、
マウスでは、0.3ml、ラットでは、0.8mlを皮下投与し、
9日目の投与1時間後に、眼窩静脈より採血し、赤血球
数とヘモグロビン量を測定した。
スの投与は、9日間連続投与とし、アセトフエニルヒド
ラジン(2%溶液)の投与は、3、4、及び5日目に、
マウスでは、0.3ml、ラットでは、0.8mlを皮下投与し、
9日目の投与1時間後に、眼窩静脈より採血し、赤血球
数とヘモグロビン量を測定した。
【0025】
【表3】
【0026】表3から、マウス及びラットにおける桃膠
抽出エキス投与群(第3グループ)の赤血球数とヘモグ
ロビン量は、アセトフエニルヒドラジン投与群(第2グ
ループ)におけるそれらに比較して、有意に大きい値を
示した。すなわち、桃膠抽出エキスは、アセトフエニル
ヒドラジンによる溶血を抑制する作用を有し、結果とし
て、抗貧血作用を有することが明らかである。
抽出エキス投与群(第3グループ)の赤血球数とヘモグ
ロビン量は、アセトフエニルヒドラジン投与群(第2グ
ループ)におけるそれらに比較して、有意に大きい値を
示した。すなわち、桃膠抽出エキスは、アセトフエニル
ヒドラジンによる溶血を抑制する作用を有し、結果とし
て、抗貧血作用を有することが明らかである。
【0027】実施例6 抗癌剤投与による血球計数値変
動に対する改善効果 4週令のICR系雄性マウス(体重:15〜16g)を1週間予
備飼育した後、生理食塩水10ml/kg+蒸留水30ml/kg投与
群(第1グループ)、カルボプラチン(和光純薬株株式
会社より購入)125mg/kg+蒸留水30ml/kg投与群(第2
グループ)、カルボプラチン125mg/kg+50%桃膠抽出エ
キス30ml/kg投与群(第3グループ)の3グループに群
分けした。生理食塩水及びカルボプラチンは、第1日目
に腹腔投与した。蒸留水及び桃膠抽出エキスは、生理食
塩水及びカルボプラチン投与4時間後に、経口投与し、
2日目以後9日目まで連続経口投与した。7日目に眼窩
静脈から採血し、多項目自動血球計数装置(東亜(株)F
-800)を用いて、白血球数(WBC)、赤血球数(RBC)、
ヘモグロビン量(Hb)、及びヘマクリット値(Ht)を測
定した。
動に対する改善効果 4週令のICR系雄性マウス(体重:15〜16g)を1週間予
備飼育した後、生理食塩水10ml/kg+蒸留水30ml/kg投与
群(第1グループ)、カルボプラチン(和光純薬株株式
会社より購入)125mg/kg+蒸留水30ml/kg投与群(第2
グループ)、カルボプラチン125mg/kg+50%桃膠抽出エ
キス30ml/kg投与群(第3グループ)の3グループに群
分けした。生理食塩水及びカルボプラチンは、第1日目
に腹腔投与した。蒸留水及び桃膠抽出エキスは、生理食
塩水及びカルボプラチン投与4時間後に、経口投与し、
2日目以後9日目まで連続経口投与した。7日目に眼窩
静脈から採血し、多項目自動血球計数装置(東亜(株)F
-800)を用いて、白血球数(WBC)、赤血球数(RBC)、
ヘモグロビン量(Hb)、及びヘマクリット値(Ht)を測
定した。
【0028】
【表4】
【0029】表4から、桃膠抽出エキスは、抗癌剤投与
によるWBC、RBC、Hb、Htの減少に対し、抑制作用を有す
ることが明らかである。
によるWBC、RBC、Hb、Htの減少に対し、抑制作用を有す
ることが明らかである。
【0030】急性毒性試験 健常なマウス(雄性10匹、雌性10匹)を24時間絶食させ
た(水は通常どうり与えた。)。その後、桃膠抽出エキ
ス濃縮液0.8ml(ペースト状)を毎日2回(1.6ml)与
え、1週間観察した。死亡例はなく、体重減少マウスも
認められなかった。解剖後の肉眼所見では、内蔵器官に
病理組織学的な変化は、認められなかった。桃膠抽出エ
キス濃縮液の経口投与による最大許容量は、45.9g/kg
(LD50>45.9g/kg)であり、桃膠抽出エキスの安全性が
確認された。
た(水は通常どうり与えた。)。その後、桃膠抽出エキ
ス濃縮液0.8ml(ペースト状)を毎日2回(1.6ml)与
え、1週間観察した。死亡例はなく、体重減少マウスも
認められなかった。解剖後の肉眼所見では、内蔵器官に
病理組織学的な変化は、認められなかった。桃膠抽出エ
キス濃縮液の経口投与による最大許容量は、45.9g/kg
(LD50>45.9g/kg)であり、桃膠抽出エキスの安全性が
確認された。
【0031】
【発明の効果】本発明により、桃膠抽出エキス、或いは
該エキスを添加した飲食品は、内科的・外科的疾患、薬
剤、等に起因する貧血、白血球減少症、骨髄機能障害
等、或いは免疫能低下に対して、予防又は改善効果を有
し、かつ毒性も極めて低いことが明らかにされた。桃膠
抽出エキスを添加した飲食品は、それを日常的に摂取す
ることにより、抗癌剤や薬物投与に起因する白血球減少
症、貧血、さらには免疫能低下、等の症状に対して、日
常生活の中で改善効果が期待できるので有用である。
該エキスを添加した飲食品は、内科的・外科的疾患、薬
剤、等に起因する貧血、白血球減少症、骨髄機能障害
等、或いは免疫能低下に対して、予防又は改善効果を有
し、かつ毒性も極めて低いことが明らかにされた。桃膠
抽出エキスを添加した飲食品は、それを日常的に摂取す
ることにより、抗癌剤や薬物投与に起因する白血球減少
症、貧血、さらには免疫能低下、等の症状に対して、日
常生活の中で改善効果が期待できるので有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 2/52 A23L 2/38 C 2/38 2/00 F Fターム(参考) 4B017 LC03 LG15 LP01 LP02 LP03 LP13 4B018 MS11 4C088 AB52 AC03 AC04 AC05 AC07 BA08 BA09 MA52 NA14 ZA51 ZA55 ZB09 ZB21 ZB22
Claims (7)
- 【請求項1】桃膠抽出エキスを有効成分とする造血系細
胞の増殖・分化促進剤。 - 【請求項2】桃膠抽出エキスを添加してなる造血系細胞
の増殖・分化促進作用を有する飲食品。 - 【請求項3】造血系細胞の増殖・分化促進作用を有する
飲食品の製造のための桃膠抽出エキスの使用。 - 【請求項4】桃膠抽出エキスを有効成分とする白血球増
殖促進剤。 - 【請求項5】桃膠抽出エキスを有効成分とする抗貧血
剤。 - 【請求項6】桃膠抽出エキスを添加してなる白血球増殖
促進作用を有する飲食品。 - 【請求項7】桃膠抽出エキスを添加してなる抗貧血作用
を有する飲食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10135907A JP2000001438A (ja) | 1998-04-16 | 1998-05-01 | 造血系細胞の増殖・分化促進剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12167398 | 1998-04-16 | ||
JP10-121673 | 1998-04-16 | ||
JP10135907A JP2000001438A (ja) | 1998-04-16 | 1998-05-01 | 造血系細胞の増殖・分化促進剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000001438A true JP2000001438A (ja) | 2000-01-07 |
Family
ID=26458971
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10135907A Pending JP2000001438A (ja) | 1998-04-16 | 1998-05-01 | 造血系細胞の増殖・分化促進剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000001438A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009232725A (ja) * | 2008-03-26 | 2009-10-15 | Nippon Menaade Keshohin Kk | 特定の方法で培養された幹細胞及びその製造方法 |
-
1998
- 1998-05-01 JP JP10135907A patent/JP2000001438A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009232725A (ja) * | 2008-03-26 | 2009-10-15 | Nippon Menaade Keshohin Kk | 特定の方法で培養された幹細胞及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4353982B2 (ja) | 糖尿病処置用相乗作用組成物 | |
JP4542300B2 (ja) | ヒアルロン酸蓄積促進剤 | |
JP2001504443A (ja) | アーティチョーク(Cynara)抽出物の使用 | |
JP2011506579A (ja) | ローズヒップ抽出物含有調剤 | |
EP2051721B1 (en) | Preparation and pharmaceutical use of euterpe oleracea (acai) extract compositions | |
CN104163847A (zh) | 蝇蛆活性蛋白肽的制备方法与所制备的蝇蛆活性蛋白肽及其用途 | |
CN103564495B (zh) | 一种蜂胶和虫草菌丝粉组合物及制备和应用 | |
JP4169244B2 (ja) | 抗アレルギー剤およびその製造方法 | |
WO2021098701A1 (zh) | 红肉苹果产品在抑制血栓形成方面的应用 | |
KR20110021844A (ko) | 매실나무 추출물의 조성물 제조에서의 응용 | |
EP1368045B1 (en) | Process for obtention of decoctions of vitis labrusca and vitis vinifera skins | |
JP2000001438A (ja) | 造血系細胞の増殖・分化促進剤 | |
US7229652B2 (en) | Extract from the leaves of Toona sinensis Roem., and the preparation process and uses thereof | |
WO2022111561A1 (zh) | 红肉苹果和樱桃李组合物及其在抗血栓方面的应用 | |
KR20180020798A (ko) | 혈중요산감소를 위한 섬쑥부쟁이 추출물과 비타민을 포함하는 조성물 | |
KR101910099B1 (ko) | 미성숙 감으로부터 가압 열수 방법으로 추출한 추출물 유효성분으로 포함하는 지질대사 개선 또는 항비만용 조성물 | |
EP2262515A2 (en) | Use of black soybean for treating ophthalmic diseases | |
RU2637644C1 (ru) | Лекарственное средство, обладающее гастропротективной (противоязвенной) активностью | |
CN106999531B (zh) | 用于淋巴排液的组合物 | |
CN110882286A (zh) | 去壁灵芝孢子粉的用途 | |
JP2006193501A (ja) | アディポネクチン調節剤、それを含有する飲食品、食品添加物及び医薬 | |
JP4076119B2 (ja) | 抗アレルギー剤及びその製造方法 | |
JP3010258B2 (ja) | 抗hiv剤 | |
CN115671219B (zh) | 一种治疗痛风的中药组合物及其制备方法和应用 | |
JP5173432B2 (ja) | 関節用薬草製剤 |