JP2000001347A - 常温固化無機材料調合物 - Google Patents
常温固化無機材料調合物Info
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Abstract
料調合物を提供する。 【解決手段】常温下でアルカリ土類炭酸塩を生成し得る
第1成分と、この第1成分とともに又は単独で常温下で
固体水和物を生成し得る第2成分とを有し、これら第1
成分と第2成分とが混合されている。
Description
固化体とし得る常温固化無機材料調合物に関する。この
常温固化無機材料調合物は、土木工事又は建築工事にお
いて、水等と混練して所定形状に成形し、これを固化し
て得られる固化体として利用可能である。固化体は、内
装材、外装材等として製品化されたり、壁、床、建造物
等として製品化され得る。
の陶磁器や煉瓦等の耐火物に代表される従来のセラミッ
クス製品は、一般的には、天然に産出される粘土等の無
機材料原料を水とともに所定割合で調合・混練して所定
形状に成形し、こうして得られる成形体を高温に加熱す
ることにより固相反応、焼結、溶融、結晶成長等を生じ
しめて固化させている。
して壁や床等を施工する際に用いられたりするセメント
は、一般的には、SiO2、Al2O3、Fe2O3及びC
aOを含む原料を所定割合で調合し、こうして得られる
調合物を溶融するまで高温に加熱することによりクリン
カーとし、このクリンカーをセッコウ(CaSO4・2
H2O)とともに粉末状に粉砕してなる。このセメント
は、砂や小石等を骨材とし、水等とともに混練されてセ
メントペーストとされる。そして、セメントペースト
は、セメント中のC2S(2CaO・SiO2)、C3S
(3CaO・SiO2)等の化合物が水和反応してC3S
2H3(3CaO・2SiO2・3H2O)等の固体水和物
を生じ、凝結及び硬化により固化する。この際、セッコ
ウは凝結の時間調整を行う。
ックス製品は所定形状で固化させるため、またセメント
はクリンカーを得るために、調合物を高温に加熱しなけ
ればならない。このため、これらにより内装材、外装
材、壁、床、建造物等の固化体を得ようとする場合に
は、大量のエネルギーの消費を生じ、環境上好ましくな
い。
たものであって、高温に加熱する必要なく固化体とし得
る無機材料調合物を提供することを解決すべき課題とし
ている。
料調合物は、常温下でアルカリ土類炭酸塩を生成し得る
第1成分と、該第1成分とともに又は単独で常温下で固
体水和物を生成し得る第2成分とを有し、該第1成分と
該第2成分とが混合されてなることを特徴とする。
1成分が常温下で炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸
マグネシウム(MgCO3)等のアルカリ土類炭酸塩を
生成する(炭酸化反応)。また、第2成分は、第1成分
とともに又は第2成分単独で、常温下で水和反応してC
SH(CxSyHz;xCaO・ySiO2・zH2Oの
意である。x、y及びzは固体水和物として存在し得る
正数。)、CAH(CxAyHz;xCaO・yAl2
O3・zH2Oの意である。x、y及びzは固体水和物と
して存在し得る正数。)、CASH(CwAxSyH
z;wCaO・xAl2O3・ySiO2・zH2Oの意で
ある。w、x、y及びzは固体水和物として存在し得る
正数。)等の固体水和物を生成する。この固体水和物
は、CSH、CAH、CASH等におけるCa、Si又
はAlの一部がアルカリ金属、アルカリ土類金属、非金
属元素又は遷移元素と置換されたものである場合もあり
得る。これら第1成分と第2成分とは混合されてなるこ
とから、両反応は同時期又はほぼ同時期に進行し、互い
に他方の反応を促進し合うと考えられる。また、これら
の反応により生じるアルカリ土類炭酸塩と固体水和物と
は、一方が他方の相間を補強し合ったり、新たな固体水
和物を生じたりして固化体になると考えられる。新たな
固体水和物は、結晶である場合の他、非結晶である場合
もあり得、第1成分及び第2成分から生じるアルカリ土
類炭酸塩及び固体水和物の中間的な組成を有する場合も
あり得る。
は常温下で固化が進行する。このため、この常温固化無
機材料調合物によれば、高温に加熱する必要なく内装
材、外装材、壁、床、建造物等の固化体を得ることがで
きることから、固化体を得るためのエネルギーの消費を
極力抑制することができ、優れた環境保全性を発揮する
ことができる。
温固化無機材料調合物はハロゲン化合物を有することが
固化体の強度確保の点で好ましい。また、塩化物を有す
ることが固化体の強度確保の点で好ましい。ここで、塩
化物は塩化マグネシウム(MgCl2)であることが固
化体の強度確保の点で好ましい。また、発明者らの試験
結果によれば、本発明の常温固化無機材料調合物はアル
カリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくと
も1種を有することが好ましい。これらにより炭酸化反
応を促進できると考えられるからである。
発明の常温固化無機材料調合物は、ケイ酸塩及びアルミ
ン酸又はアルミン酸塩のいずれか1種を有することが好
ましい。これらにより水和反応を促進できると考えられ
るからである。また、特に、本発明の常温固化無機材料
調合物は、塩化マグネシウム及び水酸化アルミニウム
(Al(OH)3)を有することが好ましい。これによ
り、成形後、時間の経過とともに固化体の強度が高くな
るからである。
炭酸塩を生成し得るものである。この第1成分の例とし
ては、工業用の酸化カルシウム(生石灰、CaO)、水
酸化カルシウム(消石灰、Ca(OH)2)、酸化マグ
ネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(O
H)2)等を挙げることができる。酸化カルシウムは常
温下で消和して一旦水酸化カルシウムとなり、水酸化カ
ルシウムは炭酸化反応により炭酸カルシウムとなる。こ
のため、第1成分の少なくとも一部として、酸化カルシ
ウムを用いれば、常温下で酸化カルシウムが消和(消
化)する際に高熱が得られるため、その熱が他の水酸化
カルシウムの炭酸化反応や第2成分と水との反応を促進
すると考えられる。
るものである。この第2成分の例としては、SiO2及
びAl2O3を含み、これらがCaOと反応して固体水和
物を生じる原料の粉末を挙げることができる。SiO2
とAl2O3との質量比は1:1〜25:2が好ましいと
考えられる。発明者らの認識によれば、この原料の粉末
としては、Al2O3が7〜17質量%(より好ましくは
9〜15質量%)、アルカリ金属酸化物又は/及びアル
カリ土類金属酸化物が2〜10質量%(より好ましくは
3〜9質量%)、灼熱減量(Ignition los
s。以下、Iglossという。)が1〜6質量%(よ
り好ましくは1〜3質量%)、SiO2が実質残部のも
のを採用し得る。実質とはFe2O3、TiO2等を含み
得る意である。また、コンクリート廃材、スラグ、鉱物
廃泥等をこの原料の粉末として採用することもでき、こ
れらに炭酸カルシウムや水酸化カルシウムが含まれる場
合、第1成分としても反応し得ると考えられる。
としては、風化した花崗岩の粉末(砂婆土、真砂土、ヘ
ナ土ともいう。)として得ることができる。風化した花
崗岩の粉末として容易に入手可能なものの組成(質量
%)を表1に示す。
粉末は、アルカリ金属酸化物としてはNa2O及びK2O
を含み、アルカリ土類金属酸化物としてはCaO及びM
gOを含む。なお、アルカリ金属酸化物としてLi2O
を含むもの、アルカリ土類金属酸化物としてBeO、S
rO又はBaOを含むものも採用し得る。また、Fe 2
O3、TiO2を含むものも採用し得る。風化した花崗岩
の粉末の主な構成相は、XRD観察によれば、石英、ソ
ーダ長石、正長石、雲母、カオリン鉱物及び緑泥石であ
る。また、この粉末は角閃石を構成相として含むことも
できる。また、表1に示した風化した花崗岩の粉末の一
部の粒度分布(頻度(%)、積算量(%))を図1に示
す。
風化の程度の小さいものであることが固化体の強度確保
の点で好ましい。風化とは、風雨や気温の変化等の影響
及び植物やバクテリアの存在により岩石が変質し、分解
される過程である。この風化は構成相の部分的な粘土化
として表れていると考えられる。構成相の部分的な粘土
化は、まず大きな粒径の粉末の表面で水和物の生成を生
じ、これにより小さな粒径の粉末を生じ、さらに全体の
粉末の表面で水和物を生じて進行していくものと考えら
れる。表1に示すIglossが粉末に存在する水和物
の量を相対的に示すと考えられ、Iglossの量が多
い程、風化が進行していると考えられる。また、発明者
らがTG−DTA観察により上記花崗岩の粉末の脱水挙
動を確認した結果、60°C付近及び150°C付近に
ピークをもつ脱水反応が得られたことから、これら花崗
岩の粉末の風化は粉末の表面にハロイサイト又はモンモ
リロナイトを生成することで進行していると考えられ
る。
Al2O3並びにアルカリ金属酸化物又は/及びアルカリ
土類金属酸化物を種々の原料の粉末により上記組成範囲
を構成するとともに、カオリナイト等の粘土により上記
組成範囲を構成することもできると考えられる。また、
本発明の常温固化無機材料調合物は、砂、小石、ガラス
繊維、タイル廃材、カレット等の骨材を含むことにより
固化体の強度を向上し得ると考えられる。この意味にお
いて、風化した花崗岩の粉末の最大粒径が固化体に作用
する荷重方向の寸法に対して1/5程度であることが固
化体の強度確保の点で好ましい。
(F)等を有するものを採用することができる。このハ
ロゲン化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マ
グネシウム、フッ化ナトリウム(NaF)、塩化カルシ
ウム(CaCl2)等のハロゲン化物の他、ハロゲン間
化合物として添加することができる。また、ケイ酸塩と
しては、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホ
ウケイ酸塩等を採用することができる。アルミノケイ酸
塩としては、長石類の粉末、板ガラスの粉末、カオリン
鉱物粉末、水ガラス等を採用することができる他、スラ
グを処理して生じる高Si液を採用することもできる。
ホウケイ酸塩又はアルミノホウケイ酸塩としては、釉
薬、フリット等を採用することができる。アルミン酸又
はアルミン酸としては、水酸化アルミニウム、スピネル
(MgAl2O4)等を採用することができる。
でなくともよい。また、ハロゲン化合物、塩化物、アル
カリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ケイ酸塩及
びアルミン酸又はアルミン酸塩は第1成分と第2成分と
からなる混合物に添加剤として添加してもよく、第1成
分又は/及び第2成分がこれらを含有していてもよい。
%)で原料1と消石灰とをモルタル混合用のミキサーを
用いて混合し、各調合物1〜17を得る。このときに、
一度に混合する量は最大5kgとした。ここで、原料1
は表1に組成を示す風化した花崗岩の粉末である。
l(OH)35質量部を85質量部の原料1及び10質
量部の消石灰に対して同時に添加した。
合物1〜17に水等を添加する。このとき、各調合物1
〜17の100質量部に対して水が8質量%となるよう
にしている。そして、ミキサーにて混練し、各調合物1
〜17に対応して各混練物1〜17を得る。但し、調合
物3、6、14では、水82.5gにNaCl15g及
びMgCl 22.5gを溶解した水溶液としてNaCl
及びMgCl2を添加した。この水溶液は海水を濃縮し
たものに近い組成を有しており、無尽蔵にある海水の有
効利用及び製造コストの低減を図るために用いている。
g及びMgCl20.5gを溶解した水溶液としてNa
Cl及びMgCl2を添加した。この水溶液も海水に近
い組成を有している。調合物7では、水96.5gにM
gCl23.5gを溶解した水溶液としてMgCl2を添
加した。
17.5gを溶解した水溶液としてMgCl2を添加し
た。調合物9では、濃度0.12%で水中にSiO2を
含む水溶液として珪酸イオンを添加した。この水溶液は
スラグを処理して生じる高Si液である。調合物10で
は、上記高Si液96.5gにNaCl3g及びMgC
l20.5gを溶解した水溶液として珪酸イオン、Na
Cl及びMgCl2を添加した。
にNaCl15g及びMgCl22.5gを溶解した水
溶液として珪酸イオン、NaCl及びMgCl2を添加
した。調合物12では、上記高Si液82.5gにNa
Cl15g、MgCl22.5g及び濃度30%でNH3
を含むアンモニア水2gを溶解した水溶液として珪酸イ
オン、NaCl、MgCl2及びNH4OHを添加した。
トの硬化のために用いられる液体(pH10.5程度で
あり、水中にCl-、Na+、K+、NH4 +、NO3 -等を
含み、pH緩衝能力を有する。)であり、調合物15に
よる混練物15が酸性条件下で炭酸カルシウム及び固体
水和物を生成しにくくなることを防止するために用いて
いる。硬化剤中の水分が100質量部の調合物15に対
して3質量部となるように、市販の原液を混練時に添加
した。
ラス(JIS K1408の3号に準ずるソーダ系水ガ
ラス;SiO2が28〜30質量%、Na2Oが9〜10
質量%、Fe2O3が0.02質量%未満、水が残部)を
含む水溶液として水ガラスを添加した。調合物17で
は、水82.5gにNaCl15g、MgCl22.5
g及び濃度30%でNH3を含むアンモニア水2gを溶
解した水溶液としてNaCl、MgCl2及びNH4OH
を添加した。 「混練物の成形・固化」各混練物1〜17をモルタル試
験用の160×40×40mm3の容積の3連型に同一
質量充填し、油圧式プレスにより30MPaで1軸加圧
成形する。これにより各混練物1〜17の粒子間の間隙
を小さくして粒子の界面を接近させる。こうして、各混
練物1〜17に対応して160×40×約20mm3の
成形体1〜17を得る。
%の恒温恒湿器中において、7〜28日間、各成形体1
〜17の養生を行う。こうして、各成形体1〜17に対
応して固化体1〜17を得る。 「評価」各固化体1〜17について、養生日数の増加に
伴う曲げ強度(MPa)、圧縮強度(MPa)及び嵩密
度(g/cm3)の測定並びに生成相の確認を行った。
&D TENSILON RTM−500)を使用し、
支点間隔120mm、クロスヘッドスピード0.5mm
/分で3点曲げにて行った。圧縮強度の測定は、電子式
万能試験機(CATY YONEKURA)を用い、曲
げ強度試験後の一つの固化体を使用し、クロスヘッドス
ピード0.5mm/分で行った。生成相の確認は、粉末
X線回折装置(RIGAKU RAD−B)を用いてX
RDにより行った。
添加していない調合物1に比して、他の調合物では時間
の経過とともに固化体の圧縮強度が向上していくことが
わかる。また、固化体3、5、6、7、8、10、1
1、12、14、17では、これらの調合物に塩化物を
添加しているため、高い圧縮強度を発揮できることもわ
かる。さらに、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金
属化合物を添加すれば、時間の経過による固化体の圧縮
強度の向上度合いを小さくしつつ、炭酸化反応の促進に
より安定した固化体の圧縮強度を確保できることもわか
る。また、ケイ酸塩又はアルミン酸を添加すれば、時間
の経過による固化体の圧縮強度の向上度合いを大きくし
つつ、水和反応の促進により安定した固化体の圧縮強度
を確保できることもわかる。
の量が増すと、消石灰の真比重に起因して固化体の嵩比
重が低下することがわかる。また、原料1に10質量%
消石灰を混合した調合物による固化体では、28日間養
生することにより、嵩密度が1.97〜2.02g/c
m3であり、消石灰を10質量%混合すれば、固化体の
嵩密度は1.95〜2.05g/cm3で落ち着くと思
われる。こうして消石灰を10質量%混合すれば固化体
の嵩密度にさほどの変化はないが、他の成分の含有、特
にAl(OH)3の添加により、固化体の強度が著しく
増加する。これにより、他の成分、特にAl(OH)3
が固体水和物の生成に起因する可能性がある。
7において、Ca4Al2O6CO311H2Oの生成が確
認された。こうしてこれら固化体1〜17は、原料1か
らは本来生じ得ない新たな固体水和物を生じて高い強度
を発揮していると考えられる。また、固化体1、2、4
では、Ca(OH)2及びCaCO3のピーク強度が増加
していた。これは消石灰の含有割合が増加しているため
である。他方、固化体3、5、6、7、8、10、1
1、12、14、17では、Ca4Al2O6Cl210H
2Oの生成が確認された。これは塩化物を添加している
からである。また、これらCaCO3のピーク強度か
ら、塩化物の添加により定性的にCaCO3の生成が促
進されていると思われる。
常温下で固化が進行して固化体1〜17を得ることがで
きることがわかる。このため、かかる調合物1〜17を
用いれば、高温に加熱する必要なく内装材等の固化体を
得ることができることから、固化体を得るためのエネル
ギーの消費を極力抑制することができ、優れた環境保全
性を発揮することができる。
定量(JIS R9011)を行い、添加物による炭酸
化促進の有無を評価した。CO2定量は各固化体1、8
のCO2質量含有率(%)で求めた。また、各固化体
1、8中のCO2が全てCaと反応していると仮定して
計算したCaとCO2とのモル反応率(%)も求めた。
結果を表6に示す。
現の傾向として、塩化物添加により固化体の強度が増強
し、塩化物の添加量を増すことで固化体の養生初期の強
度発現を促進できることがわかる。この理由として、調
合物への塩化物の添加により、固化体は炭酸化物の生成
が促進されることが考えられる。海中における炭酸化物
の生成は溶解しているアルカリ等が原因となってCO2
の溶解度が上昇するために起こると考えられているた
め、塩化物を添加した調合物中のNa、Mgにより、調
合物中でCO2の溶解度が上昇し、Ca2+とCO3 2-との
反応析出が促進されたものと考えられる。
示す原料9及び原料10を用いる。ここで、原料9は粒
径2mm未満の砂である。また、原料10は粒径2mm
未満の土であり、この構成相は、粉末X線回折法によれ
ば、石英及びカオリナイトである。
9、原料10、消石灰及びAl(OH)3をビニール製
の袋に投入し、その袋を激しく振動させることにより混
合し、各調合物18〜27を得る。また、にがりは後述
の水に予め溶解させて添加した。なお、消石灰はタイ産
の粒径2mm未満のものであり、にがりはMgCl2を
含む市販のものであり(船治産業(株)製)、Al(O
H)3は市販のものである(昭和電工(株)製、ハイジ
ライトH−42)。
8〜27の100質量部に水を7.7質量部添加し、さ
らにその袋を激しく振動させることにより混合し、各調
合物18〜27に対応して各混練物18〜27を得る。
なお、水は飲料水である。 「混練物の成形・固化」各混練物18〜27の入った袋
の口を縛って密封し、消石灰中の未消化のCaOを消化
させるため、1晩放置する。
m、高さ10cmのキャビティをもつ円柱状の金型を用
いることにより、各混練物18〜27に対応して成形体
18〜27を得る。この際、各混練物18〜27の投入
は3回に分け、直径5cmの金属円板が先端に付いた棒
により上方からたたき締めた。そして、金型から各成形
体18〜27を脱型し、各成形体18〜27を再度ビニ
ール製の袋で覆い、2日間及び14日間、常温下で養生
を行う。こうして、各成形体18〜27に対応して固化
体18〜27を得る。 「評価」各固化体18〜27について、2日及び14日
間養生後の圧縮強度(kgf/cm2)、成形時及び2
日間養生後の含水率(質量%)並びに2日間養生後にお
ける湿潤及び乾燥嵩密度(g/cm3)の測定を行っ
た。なお、圧縮強度の測定は、一軸圧縮試験により、載
荷スピードを1mm/分とする条件下、最大荷重を各固
化体18〜27の断面積で除した値を圧縮強度とした。
定した含水率を表10、測定した嵩密度を表11に示す
縮強度の増加は僅かであることがわかる。これに対し、
Al(OH)3の添加による圧縮強度の増加は顕著に認
められた。例えば、2日養生後では、Al(OH)3の
添加量の増加とともに、圧縮強度が約4倍にまで増加し
ている。また、14日養生後では、Al(OH)3を
2.4質量%添加した固化体23において、圧縮強度が
最大値を示した。したがって、養生初期の圧縮強度を高
める場合と、長期の圧縮強度を高める場合とで、Al
(OH)3の添加量の最適値が異なるといえる。
に添加した固化体25〜27では、Al(OH)3のみ
を添加した場合とほぼ同様の傾向を示した。但し、2日
養生後では、Al(OH)3のみを添加した場合よりも
圧縮強度が低下する傾向を示した。14日養生後では、
Al(OH)3の添加量が2.4質量%以上の固化体2
6、27において、MgCl2と併用することで、圧縮
強度が増加する傾向が示された。したがって、Al(O
H)3の添加量がある程度以上で、かつ長期養生後にお
いては、MgCl2との併用の効果が現れるといえる。
量の増加とともに嵩密度が減少することがわかる。ま
た、養生時間(日)と弾性率(kgf/cm2)との関
係を図8〜10に示す。図8〜10より、圧縮強度で認
められた傾向と同様、MgCl2のみの添加では、弾性
率の増加は僅かである一方、Al(OH)3を添加した
固化体22〜24において、弾性率の増加が顕著に認め
らることがわかる。但し、Al(OH) 3を添加した固
化体22〜24の14日養生後において、Al(OH)
3の添加量の増加とともに、弾性率が増加する傾向が示
され、最適値が存在することが示唆された圧縮強度の場
合とは異なった。
加が僅かであるのに対し、Al(OH)3の添加による
強度増加は顕著であることがわかる。この原因について
考察する。まず、本発明の常温固化無機材料調合物で
は、第1成分としての消石灰と空気中のCO2とが反応
して炭酸カルシウムが生成されること(炭酸化反応)
と、消石灰と第2成分中のSiO2及びAl2O3とが反
応して水和物が生成されること(ポラゾン反応)とが固
化体の強度発現因子と考えられる。また、MgCl2の
添加は炭酸化反応を促進することが判明しており、Al
(OH)3は消石灰と反応してカルシウムアルミネート
水和物の生成に寄与することが判明している。しかし、
実施例2では、固化体の養生をビニール製の袋内で行っ
たため、炭酸化し難い条件であり、炭酸化反応を促進す
るMgCl2の効果が僅かになったと考えられる。
の添加量がある程度以上であり、かつ長期養生後におい
てMgCl2との併用の効果が現れたのは、カルシウム
アルミネート水和物塩化物の生成によるものと推察され
る。実施例2では、カオリナイトの添加量が少なく、カ
ルシウムアルミネート水和物の生成量も僅かであると考
えられる。しかし、Al(OH)3を添加した場合で
は、多量のAl2O3源が導入されたこととなり、MgC
l2の共存下でカルシウムアルミネート水和物塩化物が
生成したことは十分考えられる。
う嵩密度の減少は、Al(OH)3の添加量の増加に伴
い、微粒成分が増加したため、成形時の充填に影響を生
じたためであると考えられる。また、嵩密度と強度発現
との相関は認められず、実施例2では、充填の効果より
も、むしろ添加物による固化反応の促進効果がより顕著
に現れたと考えられる。
(A)は粒径と頻度との関係を示すグラフ、(B)は粒
径と積算量との関係を示すグラフである。
の曲げ強度の変化を示すグラフである。
の圧縮強度の変化を示すグラフである。
の嵩密度の変化を示すグラフである。
加した固化体の圧縮強度との関係を示すグラフである。
を添加した固化体の圧縮強度との関係を示すグラフであ
る。
Al(OH)3を添加した固化体の圧縮強度との関係を
示すグラフである。
加した固化体の弾性率との関係を示すグラフである。
を添加した固化体の弾性率との関係を示すグラフであ
る。
びAl(OH)3を添加した固化体の弾性率との関係を
示すグラフである。
Claims (9)
- 【請求項1】常温下でアルカリ土類炭酸塩を生成し得る
第1成分と、該第1成分とともに又は単独で常温下で固
体水和物を生成し得る第2成分とを有し、該第1成分と
該第2成分とが混合されてなることを特徴とする常温固
化無機材料調合物。 - 【請求項2】ハロゲン化合物を有することを特徴とする
請求項1記載の常温固化無機材料調合物。 - 【請求項3】塩化物を有することを特徴とする請求項1
又は2記載の常温固化無機材料調合物。 - 【請求項4】塩化物は塩化マグネシウムであることを特
徴とする請求項3記載の常温固化無機材料調合物。 - 【請求項5】アルカリ金属化合物を有することを特徴と
する請求項1、2、3又は4記載の常温固化無機材料調
合物。 - 【請求項6】アルカリ土類金属化合物を有することを特
徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の常温固化無
機材料調合物。 - 【請求項7】ケイ酸塩を有することを特徴とする請求項
1、2、3、4、5又は6記載の常温固化無機材料調合
物。 - 【請求項8】アルミン酸又はアルミン酸塩を有すること
を特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載
の常温固化無機材料調合物。 - 【請求項9】塩化マグネシウム及び水酸化アルミニウム
を有することを特徴とする請求項1記載の常温固化無機
材料調合物。
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JP10-106757 | 1998-04-16 | ||
JP10675798 | 1998-04-16 | ||
JP20384098A JP2000001347A (ja) | 1998-04-16 | 1998-07-17 | 常温固化無機材料調合物 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2000001347A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100711115B1 (ko) | 2006-10-02 | 2007-04-24 | 석성기업주식회사 | 점토용 고화제와 그 고화제가 첨가된 점토조성물 |
JP2007205010A (ja) * | 2006-02-01 | 2007-08-16 | Inax Corp | 土系舗装用調合物及び土系舗装の施工方法並びに土系壁用調合物及び土系壁の施工方法 |
JP2016075080A (ja) * | 2014-10-07 | 2016-05-12 | 株式会社大林組 | セメントスラリーおよび地盤改良工法 |
JP2017024977A (ja) * | 2015-07-15 | 2017-02-02 | 株式会社瀬戸漆喰本舗 | 漆喰材料及び漆喰の製造方法並びに漆喰硬化体の製造方法 |
-
1998
- 1998-07-17 JP JP20384098A patent/JP2000001347A/ja active Pending
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