この発明に係る眼科撮影装置および眼科画像表示装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。実施形態に係る眼科撮影装置は、OCTを用いて被検眼の画像を形成する。この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。
実施形態では、スペクトラルドメインタイプのOCTの手法を用いる場合について特に詳しく説明するが、他のタイプ(たとえばスウェプトソースタイプ)のOCTを用いる眼科撮影装置に対して、実施形態に係る構成を適用することも可能である。また、実施形態ではOCT装置と眼底カメラとを組み合わせた装置について特に詳しく説明するが、眼底カメラ以外の撮影装置、たとえばSLO、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡などに、実施形態に係る構成を有するOCT装置を組み合わせることも可能である。或いは、実施形態に係る構成を、単体のOCT装置に組み込むことも可能である。また、実施形態では眼底(網膜、脈絡膜、強膜)を画像化する場合について特に詳しく説明するが、画像される部位はこれらに限定されない。たとえば、硝子体、角膜、虹彩、水晶体など被検眼の任意の部位を画像化することが可能なOCT装置を含む眼科撮影装置に対して、実施形態に係る構成を適用することができる。また、この明細書に記載された文献の記載内容や、任意の公知技術を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
[構成]
図1および図2に示すように、眼科撮影装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100および演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、または近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、たとえばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。眼底カメラユニット2を用いて取得された任意の眼底像の画像データは「正面画像データ」の一例である。また、眼底カメラユニット2は「撮影部」の一例である。なお、眼底カメラとしての機能以外にも、たとえばSLOまたはスリットランプとしての機能を有するユニットを「撮影部」として用いることが可能である。
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38。)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの信号光を眼底Efに導くとともに、眼底Efを経由した信号光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11としては、たとえばLED(Light Emitting Diode)やハロゲンランプが用いられる。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19およびリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー39Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源15としては、たとえばLEDやキセノンランプが用いられる。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー39Aにて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31およびダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。また、固視標の表示位置を任意に変更することも可能である。
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53およびリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46および上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー39Aを透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31およびフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT計測用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT計測用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、ガルバノスキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
光路長変更部41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
ガルバノスキャナ42は、OCT計測用の光路を通過する光(信号光LS)の進行方向を変更する。それにより、眼底Efを信号光LSで走査することができる。ガルバノスキャナ42は、たとえば、信号光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、信号光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。
〔OCTユニット〕
図2を参照しつつOCTユニット100の構成の一例を説明する。OCTユニット100には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、眼底Efを経由した信号光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。
なお、スウェプトソースタイプのOCT装置の場合には、低コヒーレンス光源を出力する光源の代わりに波長掃引光源が設けられるとともに、干渉光をスペクトル分解する光学部材が設けられない。一般に、OCTユニット100の構成については、光コヒーレンストモグラフィのタイプに応じた公知の技術を任意に適用することができる。
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、たとえば1040〜1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて信号光LSと参照光LRに分割される。
参照光LRは、光ファイバ104により導かれて光減衰器(アッテネータ)105に到達する。光減衰器105は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット200の制御の下、光ファイバ104に導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。光減衰器105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ104により導かれて偏波調整器(偏波コントローラ)106に到達する。偏波調整器106は、たとえば、ループ状にされた光ファイバ104に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ104内を導かれる参照光LRの偏光状態を調整する装置である。なお、偏波調整器106の構成はこれに限定されるものではなく、任意の公知技術を用いることが可能である。偏波調整器106により偏光状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ103により生成された信号光LSは、光ファイバ107により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。更に、信号光LSは、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、およびリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、信号光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。信号光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる信号光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれ、光ファイバ108を経由してファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ109は、信号光LSの後方散乱光と、光ファイバ104を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ110により導かれて出射端111から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子113により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ114により集光されてCCDイメージセンサ115の受光面に投影される。なお、図2に示す回折格子113は透過型であるが、たとえば反射型の回折格子など、他の形態の分光素子を用いることも可能である。
CCDイメージセンサ115は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ115は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを演算制御ユニット200に送る。なお、スウェプトソースタイプのOCT装置の場合には、CCDイメージセンサの代わりに、たとえば、バランス型フォトダイオード等のバランス型光検出器が用いられる。
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ115から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様である。
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3およびOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、眼底EfのOCT画像を表示装置3に表示させる。
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15およびLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31、43の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、光路長変更部41の移動制御、ガルバノスキャナ42の動作制御などを行う。
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、光減衰器105の動作制御、偏波調整器106の動作制御、CCDイメージセンサ115の動作制御などを行う。
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼科撮影装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、たとえばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100および演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、2つ以上の筐体に別れて構成されていてもよい。
〔制御系〕
眼科撮影装置1の制御系の構成について図3を参照しつつ説明する。
(制御部)
眼科撮影装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、主制御部211は、眼底カメラユニット2の合焦駆動部31A、光路長変更部41およびガルバノスキャナ42、更にOCTユニット100の光源ユニット101、光減衰器105および偏波調整器106を制御する。
合焦駆動部31Aは、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。なお、主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることもできる。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、装置光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。また、主制御部211は、表示部241に各種情報を表示させる。主制御部211は「表示制御部」として機能する。
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼科撮影装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(画像形成部)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ115からの検出信号に基づいて、眼底Efの断面像データを形成する。この処理には、従来のスペクトラルドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、分散補償、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。それにより形成される断面像データは、走査線上の複数の走査点からz方向に延びる複数の1次元画像データ(Aラインデータ)を含んで構成される。また、各Aラインデータには、対応する走査点の位置に応じたxy座標が付与される。
他のタイプのOCT装置の場合、画像形成部220は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板を含んで構成される。
(画像処理部)
画像処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、画像処理部230は、画像の輝度補正等の各種補正処理を実行する。また、画像処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
画像処理部230は、3次元画像データ形成部231と、部分画像データ指定部232と、画像データ変形部233と、断面像データ形成部234とを有する。3次元画像データ形成部231は、OCT計測で用いられる光学系および画像形成部220とともに「取得部」として機能する。部分画像データ指定部232は「指定部」として機能する。画像データ変形部233は「変形部」として機能する。断面像データ形成部234は「形成部」として機能する。
(3次元画像データ形成部)
3次元画像データ形成部231は、複数の走査線に沿って得られた複数の断面像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行することにより、眼底Efの3次元画像データを形成する。なお、3次元画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。
ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、画像処理部230(断面像データ形成部234)は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリング、MPR(Multi Planar Reconstruction:任意多断面再構成)、MIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像データを形成する。表示部241等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
また、3次元画像データとして、複数の断面像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断面像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断面像の画像データを、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
(部分画像データ指定部)
部分画像データ指定部232は、被検眼Eの特定部位に相当する3次元画像データの一部である部分画像データを指定するための処理を実行する。
被検眼Eの特定部位は、後段の画像データ変形処理における基準となる部位である。この特定部位は、被検眼Eの任意の部位であってよい。
この実施形態のように眼底を画像化する場合、次のような被検眼の部位を特定部位として適用することができる。
網膜を構成する層組織:内境界膜、神経線維層、神経節細胞層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒層、外境界膜、視細胞層、網膜色素上皮層
網膜の周囲の組織:ブルッフ膜、脈絡膜、強膜、硝子体(クローケ管、硝子体ポケット)、篩状板
組織の境界:NFL/GCL(神経線維層/神経節細胞層境界)、IPL/INL(内網状層/内顆粒層境界)、IS/OS(視細胞内節外節接合部)、CSI(脈絡膜/強膜境界)
前眼部を画像化する場合には、角膜を構成する層組織(角膜上皮層、ボーマン層、角膜実質層、デスメ膜、角膜内皮層)、虹彩および水晶体、並びにこれらの境界などを特定部位として適用することができる。
被検眼の特定部位は、デフォルトで設定されていてもよいし、検査ごとに設定されてもよい。後者の場合、たとえば、検査内容などに応じた自動設定、またはユーザによる手動設定を適用することができる。デフォルト設定の場合および自動設定の場合、部分画像データ指定部232が「指定部」に相当する。手動設定の場合、部分画像データ指定部232およびユーザインターフェイス240が「指定部」に相当する。
デフォルト設定の場合における処理の例を説明する。部分画像データ指定部232は、3次元画像データを解析することにより層組織や境界に相当する画像領域を特定し、これら画像領域のうちから、デフォルト設定されている特定部位に相当する画像領域を求める。
自動設定の場合における処理の例を説明する。部分画像データ指定部232は、眼科撮影装置1の動作モード(検査モードなど)や電子カルテ情報などに基づいて検査内容などを特定する。部分画像データ指定部232は、検査内容などと特定部位とが対応付けられた情報をあらかじめ記憶しており、特定された検査内容などに対応する特定部位を当該情報に基づき選択する。さらに、部分画像データ指定部232は、3次元画像データを解析することにより層組織や境界に相当する画像領域を特定し、これら画像領域のうちから、選択された特定部位に相当する画像領域を求める。
手動設定の場合における処理の第1の例を説明する。画像処理部230(たとえば断面像データ形成部234)は、3次元画像データ形成部231により形成された3次元画像データに対してMPR処理などを施すことにより、被検眼Eに照射された信号光LSの進行方向に実質的に沿う基準断面における断面像データ(基準断面像データ)を形成する。なお、3次元画像データを形成するために用いられた複数の断面像データのうちの任意のものを基準断面像データとして用いることも可能である。3次元画像データに基づく基準断面像データの形成処理は、このような処理も含むものとする。
基準断面は、3次元画像データにおいてz方向に沿う任意の断面であってよく、たとえば3次元画像データの中心位置を通過する断面である。
主制御部211は、基準断面像データに基づく断面像(基準断面像)を表示部241に表示させる。ユーザは、操作部242を用いて、基準断面像中の画像領域を指定する。この指定操作は、たとえば、基準断面像において所望の層組織や境界に相当する位置を、ポインティングデバイス(マウスなど)を用いて指定することにより行われる。
部分画像データ指定部232は、ユーザが指定した画像領域に基づき3次元画像データを解析することにより部分画像データを指定する。この指定処理は、たとえば、基準断面像に対して指定された画像領域を、3次元画像データの画素値(ボクセル値)に基づいて3次元画像データ全体に拡張することにより行われる。すなわち、この指定処理は、2次元断面像である基準断面像に対して指定された特定部位に相当する画像領域を、3次元画像データ全体における特定部位に相当するデータ領域に拡張するものである。この処理は、たとえば、特定部位に相当する画素値の特徴や、特定部位の形状や、特定部位と他の部位との位置関係などに基づいて行われる。
手動設定の場合における処理の第2の例を説明する。主制御部211は、被検眼の複数の組織が選択可能に提示された選択情報を表示部241に表示させる。この選択情報の例として、被検眼の複数の組織の名称が列挙されたドロップダウンリストがある。ユーザは、選択情報に提示された複数の組織のうち所望のものを、操作部242を用いて選択する。部分画像データ指定部232は、組織の選択結果に基づき3次元画像データを解析することにより、選択された組織に相当する3次元画像データの部分を特定する。この解析処理はたとえば第1の例と同様にして実行される。このようにして特定された3次元画像データの部分が、部分画像データとして用いられる。
本例において、次のような構成を付加的に適用することが可能である。まず、断面像データ形成部234が、手動設定の場合と同様にして基準断面像データを形成し、主制御部211が、この基準断面像データに基づく基準断面像を表示部241に表示させる。ユーザは、選択情報に提示された複数の組織のうち所望のものを、操作部242を用いて選択する。主制御部211は、選択された組織に相当する基準断面像の部分の表示態様を変更する。この表示制御処理は、たとえば、所定の色の画像(線状の画像、面状の画像)を当該組織に相当する部分に重ねて表示させることにより行われる。この処理は、たとえば、オペレーティングシステムのレイヤー機能を用いて行われる。ユーザは、表示態様が変更された部分を確認することで、組織の選択の適否を判断することができる。選択された組織が不適当である場合、ユーザは、選択情報による組織の選択を再度行うことができる。
(画像データ変形部)
画像データ変形部233は、部分画像データ指定部232により指定された部分画像データがあらかじめ設定された形状に変形されるように、3次元画像データ形成部231により形成された3次元画像データを変形する。
この実施形態では、部分画像データは、3次元画像データ中の2次元領域(眼底の組織、組織境界など)であるとする。この場合、画像データ変形部233は、部分画像データに相当する2次元領域が平面形状に変形されるように、3次元画像データの変形を行うことができる。この変形処理は、たとえば、部分画像データに相当するボクセルのz座標が同じになるように、Aライン上のボクセル列をz方向に移動させることにより行われる。
変形処理の他の例として、画像データ変形部233は、部分画像データに相当する2次元領域が曲面形状に変形されるように、3次元画像データの変形を行うことができる。この曲面形状としては、デフォルト設定された形状、検査内容などに応じてあらかじめ設定された形状、特定部分の種別(組織名など)に応じてあらかじめ設定された形状、ユーザにより任意に設定された形状などがある。この変形処理は、たとえば、部分画像データに相当するボクセルのz座標が目的の曲面形状に配置されるように、Aライン上のボクセル列をz方向に移動させることにより行われる。
部分画像データは、3次元画像データ中の3次元領域であってよい。この場合、画像データ変形部233は、この3次元領域が所定形状に変形されるように3次元画像データの変形を行う。
画像データ変形部233は、3次元画像データ全体を変形する必要はない。たとえば、画像データ変形部233は、少なくとも部分画像データを含む、3次元画像データの部分領域を変形する。
(断面像データ形成部)
断面像データ形成部234は、画像データ変形部233により変形された3次元画像データ(変形3次元画像データ)に基づいて、断面像データを形成する。この処理は、たとえば、変形3次元画像データに対してMPR処理などを施すことにより行われる。なお、前述したように、断面像データ形成部234は、3次元画像データ形成部231により形成された3次元画像データ、つまり変形前の3次元画像データに基づいて、断面像データを形成する処理を行うこともできる。
以上のように機能する画像処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部241と操作部242とが含まれる。表示部241は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部242は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部242には、眼科撮影装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部242は、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部241は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、表示部241と操作部242は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部242は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部242に対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部241に表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部242とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
〔信号光の走査およびOCT画像について〕
ここで、信号光LSの走査およびOCT画像について説明しておく。
眼科撮影装置1による信号光LSの走査態様としては、たとえば、ラインスキャン(水平スキャン、垂直スキャン)、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋(渦巻)スキャンなどがある。これらの走査態様は、眼底の観察部位、解析対象(網膜厚など)、走査に要する時間、走査の精密さなどを考慮して適宜に選択的に使用される。
水平スキャンは、信号光LSを水平方向(x方向)に走査させるものである。水平スキャンには、垂直方向(y方向)に配列された複数の水平方向に延びる走査線に沿って信号光LSを走査させる態様も含まれる。この態様においては、走査線の間隔を任意に設定することが可能である。また、隣接する走査線の間隔を十分に狭くすることにより、前述の3次元画像データを形成することができる(3次元スキャン)。この実施形態では3次元スキャンが適用される。垂直スキャンについても同様である。
十字スキャンは、互いに直交する2本の直線状の軌跡(直線軌跡)からなる十字型の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。放射スキャンは、所定の角度を介して配列された複数の直線軌跡からなる放射状の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。なお、十字スキャンは放射スキャンの一例である。
円スキャンは、円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。同心円スキャンは、所定の中心位置の周りに同心円状に配列された複数の円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。円スキャンは同心円スキャンの一例である。螺旋スキャンは、回転半径を次第に小さく(または大きく)させながら螺旋状(渦巻状)の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。
ガルバノスキャナ42は、互いに直交する方向に信号光LSを走査するように構成されているので、信号光LSをx方向およびy方向にそれぞれ独立に走査できる。更に、ガルバノスキャナ42に含まれる2つのガルバノミラーの向きを同時に制御することで、xy面上の任意の軌跡に沿って信号光LSを走査することが可能である。それにより、上記のような各種の走査態様を実現できる。
上記のような態様で信号光LSを走査することにより、走査線(走査軌跡)に沿う方向と眼底深度方向(z方向)とにより張られる面における断面像データを取得することができる。また、特に走査線の間隔が狭い場合には、前述の3次元画像データを取得することができる。
上記のような信号光LSの走査対象となる眼底Ef上の領域、つまりOCT計測の対象となる眼底Ef上の領域を走査領域と呼ぶ。3次元スキャンにおける走査領域は、複数の水平スキャンが配列された矩形の領域である。また、同心円スキャンにおける走査領域は、最大径の円スキャンの軌跡により囲まれる円盤状の領域である。また、放射スキャンにおける走査領域は、各スキャンラインの両端位置を結んだ円盤状(或いは多角形状)の領域である。
[動作]
眼科撮影装置1の動作例を説明する。図4A〜図4Dは、この動作例における表示画面を示す。
(OCT計測)
まず、被検者の顔を顎受けおよび額当てで固定する。観察光源11からの照明光(可視カットフィルタ14により近赤外光となる)で被検眼Eを連続照明し、被検眼Eの近赤外動画像の取得を開始する。主制御部211は、近赤外動画像の少なくとも1つのフレームを、正面画像データとして記憶部212に記憶させることができる。
また、主制御部211は、アライメント光学系50によるアライメント指標と、フォーカス光学系60によるスプリット指標と、LCD39による固視標とを被検眼Eに投影する。これら指標を用いて、眼底Efに対するアライメントおよびピント合わせが行われる。
OCTユニット100を用いた眼底EfのOCT計測を開始する。最初は、眼底Efの所定部位(たとえば黄斑の近傍領域または視神経乳頭の近傍領域)に対するラインスキャンを反復的に行って、同一断面における時系列的な断面像データを取得する。画像処理部230は、これら断面像データを解析することで、信号光LSと参照光LRとの間の光路長差の補正量を求める。主制御部211は、この補正量に基づき光路長変更部41の移動制御を行うことで、OCT計測用のピント合わせを行う。
OCT計測開始トリガが入力されると、主制御部211は、眼底Efに対する3次元スキャン(つまり複数の走査線に対するラインスキャン)を実行させる。画像形成部220は、各ラインスキャンにより取得された検出信号に基づいて、当該走査線に対応する断面像データを形成する。3次元画像データ形成部231は、画像形成部220により形成された複数の走査線に対応する複数の断面像データに基づいて、3次元スキャンの計測対象領域を表す3次元画像データを形成する。
また、必要に応じ、主制御部211は、眼底カメラユニット2を制御して眼底Efを撮影させる。それにより、眼底Efのカラー画像データなどが得られる。主制御部211は、このカラー画像データを、正面画像データとして記憶部212に記憶させることができる。
(表示画面)
記憶部212には、画像診断ソフトウェアがあらかじめ格納されている。主制御部211は、ソフトウェア起動トリガを受けて、画像診断ソフトウェアを起動させる。それにより表示される画面の例を図4Aに示す。
図4Aに示すウィンドウ300には、5つの画像表示部301〜305が設けられている。これら画像表示部301〜305は、それぞれ、横断面像表示部、2つの縦断面像表示部、正面画像表示部、および加工画像表示部である。横断面像表示部301、縦断面像表示部302および303、並びに加工画像表示部305には、前段において取得された3次元画像データに基づく画像が表示される。正面画像表示部304には、前段において取得された正面画像データに基づく画像が表示される。なお、これら画像表示部301〜305に表示される画像はこれらに限定されず、たとえば眼科撮影装置1または他の装置によって過去に取得された被検眼EのOCT画像や眼底像を表示させることが可能である。
横断面像表示部301には、z方向に直交するxy断面(C断面とも呼ばれる)の画像が表示される。
縦断面像表示部302および303には、それぞれ、z方向に沿った断面(B断面とも呼ばれる)の画像が表示される。縦断面像表示部302および303には、それぞれ、横断面像表示部301との配置関係に応じたB断面像が表示される。たとえば、横断面像表示部301に表示されるC断面像において、ウィンドウ300の左右方向がx方向であり上下方向がy方向である場合、横断面像表示部301の左側に位置する縦断面像表示部302にはyz断面のB断面像が表示され、横断面像表示部301の下側に位置する縦断面像表示部303にはxz断面のB断面像が表示される。
正面画像表示部304には、前述のように、正面画像データに基づく画像が表示される。正面画像表示部304に表示される画像としては、近赤外動画像、そのフレーム(静止画像)、カラー画像などがある。
加工画像表示部305には、3次元画像データに対して所定の加工処理を施すことにより得られる画像(加工画像)が表示される。加工画像の例として所望の特徴部分を強調した特徴強調画像がある。特徴強調画像の例としてシャドウグラムがある。シャドウグラムは、3次元画像データのうちz方向の所定範囲に含まれるデータを、z方向に積算することにより形成される。この処理は、画像処理部230により実行される。
また、図4Aに示すウィンドウ300には、患者情報表示部311、データ選択部312、およびデータ格納先表示部313が設けられている。患者情報表示部311には、たとえば患者IDや患者氏名など、患者に関する情報が表示される。データ選択部312をクリックすると、観察対象の3次元画像データを選択するためのウィンドウがポップアップ表示される。このウィンドウには、3次元画像データの格納先としてあらかじめ設定されたフォルダに含まれる3次元画像データに関する情報のリストが表示される。ユーザは、このリストに基づき所望の3次元画像データを選択する。データ格納先表示部313には、選択された3次元画像データが格納されているフォルダの情報が表示される。
また、図4Aに示すウィンドウ300には、処理内容設定部320が設けられている。処理内容設定部320は、変形処理実行指示部321、基準層選択部322、変形処理非実行指示部323、平均化範囲設定部324、アスペクト比設定部325、更新ボタン326、断面位置表示切替部327、層位置表示切替部328、およびグレースケール反転部329を含む。
処理内容設定部320には、画像処理に関する設定を行うためのソフトウェアキーが設けられている。3次元画像データの変形処理を実行する場合、ユーザは、変形処理実行指示部321をクリックする。他方、変形処理を実行しない場合、ユーザは、変形処理非実行指示部323をクリックする。変形処理実行指示部321と変形処理非実行指示部323は、一方のみを選択可能になっている。変形処理実行指示部321が選択された場合、ユーザは、ドロップダウンリストからなる基準層選択部322に提示される層組織や層境界のリストから、所望のものを選択する。ここで選択された層組織や層境界が、前述した「特定部位」となる。また、基準層選択部322に提示されるリストは、前述した「選択情報」の一例である。
平均化範囲設定部324は、C断面像の形成処理において実行される平均化処理の範囲(ピクセル数)を設定するために用いられる。ユーザは、平均化範囲設定部324内の上下ボタンを操作することによって当該範囲の設定を行う。アスペクト比設定部325は、B断面像の表示比率(アスペクト比)を設定するために用いられる。更新ボタン326は、処理内容設定部320において設定された内容を表示に反映させるために操作される。なお、アスペクト比の設定については、アスペクト比設定部325の操作に対して即時に、その設定内容を表示に反映させてもよい。
断面位置表示切替部327は、断面像の断面位置(スライス位置)を示す画像の表示のオン/オフを切り替えるために用いられる。この画像は、C断面像、B断面像および正面画像のうちの少なくとも1つに重ねて表示される。C断面像には、B断面像の断面位置を示す画像が重ねて表示される。B断面像には、C断面像の断面位置を示す画像が重ねて表示される。正面画像には、B断面像の断面位置を示す画像が重ねて表示される。なお、正面画像には、3次元スキャンのスキャン範囲、つまり3次元画像データに対応する領域を示す画像(たとえば矩形画像)も重ねて表示される。
層位置表示切替部328は、B断面像に描出されている層組織や層境界の位置を示す線状画像の表示のオン/オフを切り替えるために用いられる。層組織や層境界の位置は、公知の画像解析処理をB断面像に施すことによって取得される。
グレースケール反転部329は、グレースケール画像として表示されるC断面像の階調値を反転させるために操作される。
また、図4Aに示すウィンドウ300には、加工画像選択部331、積算範囲設定部332aおよび332b、並びに加工画像エクスポート指示部333が設けられている。加工画像選択部331、積算範囲設定部332aおよび332b、並びに加工画像エクスポート指示部333は、加工画像に関する操作に用いられる。加工画像選択部331はたとえばドロップダウンリストであり、このドロップダウンリストには加工画像の種別のリストが提示される。ユーザは、操作部242を介して所望の加工画像の種別を選択する。シャドウグラムが選択された場合、ユーザは、たとえばドロップダウンリストからなる積算範囲設定部332aおよび332bに提示されるリストから所望の層組織を選択する。積算範囲は、積算範囲設定部332aおよび332bにて設定された2つの層組織の間に含まれるデータである。画像処理部230は、選択された種別の加工画像データを3次元画像データに基づき形成する。主制御部211は、形成された加工画像データに基づく加工画像を加工画像表示部305に表示させる。加工画像エクスポート指示部333は、加工画像データをエクスポートするために操作される。
また、図4Aに示すウィンドウ300には、正面画像選択部341、正面画像インポート部342および強調処理指示部343が設けられている。正面画像選択部341、正面画像インポート部342および強調処理指示部343は、正面画像に関する操作に用いられる。正面画像選択部341はたとえばドロップダウンリストであり、このドロップダウンリストには、正面画像表示部304に表示可能な正面画像のリストが提示される。正面画像インポート部342は、正面画像データをインポートするために用いられる。正面画像インポート部342をクリックすると、所定のダイアログがポップアップ表示される。このダイアログには、インポート可能な正面画像データのリストが提示される。ユーザが正面画像データを選択すると、この正面画像データと、既にインポートされている画像データ(3次元画像データ、正面画像データ)との間の位置合わせ処理に移行する。この位置合わせ処理は、自動、半自動または手動で実行される。自動の位置合わせ処理においては、たとえば、画像処理部230が、双方の画像データを解析して所定の特徴点(たとえば3つの特徴点)をそれぞれ抽出し、各特徴点を一致させるように双方の画像データの間にアフィン変換を施す。半自動の位置合わせ処理においては、たとえば、主制御部211が、双方の画像データに基づく双方の画像を並べて表示させる。ユーザは、上記と同様の特徴点を操作部242を介して指定する。画像処理部230は、各特徴点を一致させるように双方の画像データの間にアフィン変換を施す。手動での位置合わせ処理においては、ユーザが、双方の画像のサイズ、向き、位置を、操作部242を介して設定する。強調処理指示部343は、正面画像表示部304に表示されている正面画像にエンハンス処理を適用するために用いられる。
また、図4Aに示すウィンドウ300には、設定ボタン351、エクスポートボタン352、およびスクリーンショットボタン353が設けられている。設定ボタン351をクリックすると、図示しない設定画面が表示される。ユーザは、この設定画面によって、エクスポート先の設定、スクリーンショットの保存先の設定、画像のピクセルサイズの設定、画像データのフォーマットの設定などを行う。エクスポートボタン352は、エクスポート先のフォルダを指定するために用いられる。スクリーンショットボタン353は、ウィンドウ300のスクリーンショット(ハードコピー)の保存先のフォルダを指定するために用いられる。
(画像の表示)
ユーザは、データ選択部312により3次元画像データを選択し、正面画像選択部341により正面画像データを選択する。主制御部211は、この3次元画像データに基づいて、デフォルトのC断面におけるC断面像401を横断面像表示部301に表示させ、互いに直交する2つのデフォルトのB断面における2つのB断面像402および403を、それぞれ縦断面像表示部302および303に表示させる(図4B)。これら断面像(断面像データ)は、変形前の3次元画像データに基づくものであり、前述した「基準断面像(基準断面像データ)」に相当する。
ここで、デフォルトのC断面と、2つのデフォルトのB断面は、それぞれ任意に設定されている。たとえば、デフォルトのC断面は、B断面像402(およびB断面像403)のフレームにおけるz方向の中央位置に相当し、2つのデフォルトのB断面は、C断面像401のフレームにおけるx方向の中央位置およびy方向の中央位置に相当する。ここで、x方向はウィンドウ300の左右方向に相当し、y方向は上下方向に相当する。したがって、B断面像402は、C断面像401のフレームにおける左右方向の中央位置を通過し、且つウィンドウ300の上下方向に延びる走査線に沿う断面を表し、B断面像403は、C断面像401のフレームにおける上下方向の中央位置を通過し、且つウィンドウ300の左右方向に延びる走査線に沿う断面を表す。
さらに、主制御部211は、B断面像402の断面位置を示すB断面位置画像(破線で示す直線画像502)と、B断面像403の断面位置を示すB断面位置画像(破線で示す直線画像501)とを、C断面像401に重ねて表示する。また、主制御部211は、C断面像401の断面位置を示すC断面位置画像(破線で示す直線画像511および512)を、それぞれB断面像402および403に重ねて表示する。なお、直線画像501は、B断面像402まで延びており、B断面像402におけるB断面像403の断面位置を示している。同様に、直線画像502は、B断面像403まで延びており、B断面像403におけるB断面像402の断面位置を示している。直線画像501および502は「縦断面位置画像」の一例であり、直線画像511および512は「横断面位置画像」の一例である。
また、主制御部211は、この正面画像データに基づく正面画像404を正面画像表示部304に表示させる。さらに、主制御部211は、3次元スキャンの範囲を示す矩形画像521と、B断面像402の断面位置を示す断面位置画像(直線画像)522と、B断面像403の断面位置を示す断面位置画像(直線画像)523とを、正面画像404に重ねて表示させる。断面位置画像(直線画像)522および523は「縦断面位置画像」の一例である。
ユーザは、断面位置表示切替部327を操作することにより、直線画像501、502、511、512、522、523の表示/非表示を切り替えることが可能である。
(3次元画像データの変形)
3次元画像データの変形処理について説明する。まず、ユーザは、変形処理実行指示部321をクリックする。続いて、ユーザは、基準層選択部322に提示される層組織や層境界のリストから、所望のもの(特定部位)を選択する。ここではブルッフ膜(BM)が選択されたものとする。さらに、ユーザは、平均化範囲設定部324を用いて、C断面像の形成処理における平均化処理の範囲(ピクセル数)を設定する。そして、ユーザは、更新ボタン326をクリックして、上記設定内容に基づく処理の実行を指示する。
3次元画像データの変形処理の実行指示がなされると、部分画像データ指定部232は、表示されているB断面像402(またはB断面像403)を解析し、選択された特定部位(ブルッフ膜)に相当する画像領域を特定する。この処理は、B断面像402の画素値(輝度値)に基づいて実行される。この処理は、カーブフィッティングなどの公知の処理を含んでいてよい。さらに、部分画像データ指定部232は、B断面像402について特定された画像領域を、3次元画像データの画素値(ボクセル値)に基づいて、3次元画像データ全体における当該特定部位に相当するデータ領域に拡張する。この処理は、隣接するB断面のデータに対する画像相関などを含んでいてよい。この処理により特定される3次元画像データ中の領域が、前述した「部分画像データ」となる。
主制御部211は、選択された特定部位(ブルッフ膜)に相当するB断面像402および403の部分の表示態様を変更する。この処理が実行されたときの表示状態を図4Cに示す。図4Cにおいて、B断面像402中に点線で示す曲線画像531と、B断面像403中に点線で示す曲線画像532が、選択された特定部位(ブルッフ膜)を示している。
次に、画像データ変形部233は、部分画像データ指定部232により指定された部分画像データ(2次元領域)が平面形状に変形されるように、3次元画像データの変形を行う。断面像データ形成部234は、変形が施された3次元画像データにMPR処理などを施すことにより、新たなC断面像データと、互いに直交する2つの新たなB断面像データとを形成する。これら断面像データの断面は、たとえば、画像データ変形処理の直前にウィンドウ300に表示されていたC断面像401、並びにB断面像402および403と同じである。なお、新たなC断面像データは、平均化範囲設定部324を用いて設定された平均化処理の範囲(ピクセル数)に含まれるC断面像データを平均化することによって形成される。
主制御部211は、新たなC断面像データに基づく新たなC断面像を、C断面像401に替えて、横断面像表示部301に表示させる。また、主制御部211は、2つの新たなB断面像データに基づく2つの新たなB断面像を、B断面像402および403に替えて、縦断面像表示部302および303に表示させる。
新たなC断面像および新たなB断面像においては、被検眼Eの特定部位(ブルッフ膜)が直線形状に描画される。これら断面像の例を図4Dに示す。図4Dには、新たなC断面像411と、新たなB断面像412および413が示されている。
新たなB断面像412においては、変形前には曲線画像531で描画されていた特定部位(ブルッフ膜)が、直線画像541として描画されている。さらに、新たなB断面像412の他の部位は、曲線画像531から直線画像541への変形に応じた変形を伴って描画されている。直線画像541は、たとえば、他の部位と異なる表示態様で表示される。
同様に、新たなB断面像413においては、変形前には曲線画像532で描画されていた特定部位(ブルッフ膜)が、直線画像542として描画されている。さらに、新たなB断面像413の他の部位は、曲線画像532から直線画像542への変形に応じた変形を伴って描画されている。直線画像542は、たとえば、他の部位と異なる表示態様で表示される。
このようにして、ユーザは、被検眼Eの所望の部位を平坦化したB断面像を観察することができる。このB断面像によれば、当該部位と他の部位との位置関係を容易に把握することができる。また、以下に説明するC断面位置の変更において、当該部位にC断面を設定することにより、当該部位(ブルッフ膜など)の形態を表すC断面像を観察することができる。
(C断面位置の変更)
C断面位置を変更する処理について説明する。C断面は、z方向に直交するxy面に平行な断面である。横断面像表示部301に表示されているC断面像411の断面位置は、B断面像412上の直線画像511(C断面位置画像)、および、B断面像413上の直線画像512(C断面位置画像)により示されている。
直線画像511は、z方向(縦断面像表示部302における左右方向)に移動可能とされている。同様に、直線画像512は、z方向(縦断面像表示部303における上下方向)に移動可能とされている。ユーザは、操作部242(たとえばマウス等のポインティングデバイス)を用いて、直線画像511または512をz方向に移動させることができる。ここで、直線画像511(または直線画像512)が移動されると、主制御部211は、これに連動して直線画像512(または直線画像511)の表示位置を移動させる。
また、直線画像511(または直線画像512)が移動されると、主制御部211は、移動後の直線画像511(または直線画像512)の位置情報(z座標)を断面像データ形成部234に送る。断面像データ形成部234は、変形後の3次元画像データに対してMPR処理などを適用し、このz座標におけるC断面のC断面像データを形成する。形成されたC断面像データは主制御部211に送られる。主制御部211は、入力されたC断面像データに基づく新たなC断面像を、直前まで表示されていたC断面像に替えて、横断面像表示部301に表示させる。
なお、直線画像511(または直線画像512)が連続的に移動されることがある。その場合、主制御部211は、たとえば、連続的に移動されている直線画像511(または直線画像512)の位置情報を逐次に断面像データ形成部234に送る。断面像データ形成部234は、逐次に入力される位置情報に基づいてC断面像データを逐次に形成する。逐次に形成されるC断面像データは、主制御部211に逐次に送られる。主制御部211は、逐次に入力されるC断面像データに基づく新たなC断面像により、横断面像表示部301に表示される画像を更新する。
このようにして、ユーザは、所望のC断面の形態を観察することができる。
(B断面位置の変更)
B断面位置を変更する処理について説明する。B断面は、z方向に沿う断面である。この実施形態では、yz断面のB断面像412と、xz断面のB断面像413とが表示される。縦断面像表示部302に表示されているB断面像412の断面位置は、C断面像411およびB断面像413上に提示された直線画像502(B断面位置画像)により示されている。同様に、縦断面像表示部303に表示されているB断面像413の断面位置は、C断面像411およびB断面像412上に提示された直線画像501(B断面位置画像)により示されている。また、正面画像404上に提示された直線画像523および521も、それぞれB断面像412および413の断面位置を示している。
直線画像501は、y方向(横断面像表示部301における上下方向)に移動可能とされている。同様に、直線画像502は、x方向(横断面像表示部301における左右方向)に移動可能とされている。ユーザは、操作部242(たとえばマウス等のポインティングデバイス)を用いて、直線画像501および502を移動させることができる。
また、直線画像501(または直線画像502)が移動されると、主制御部211は、移動後の直線画像501(または直線画像502)の位置情報を断面像データ形成部234に送る。断面像データ形成部234は、変形後の3次元画像データに対してMPR処理などを適用し、この位置情報に示すB断面のB断面像データを形成する。形成されたB断面像データは主制御部211に送られる。主制御部211は、入力されたB断面像データに基づく新たなB断面像を、直前まで表示されていたB断面像に替えて、縦断面像表示部303(または縦断面像表示部302)に表示させる。
なお、直線画像501(または直線画像502)が連続的に移動されることがある。その場合、主制御部211は、たとえば、連続的に移動されている直線画像501(または直線画像502)の位置情報を逐次に断面像データ形成部234に送る。断面像データ形成部234は、逐次に入力される位置情報に基づいてB断面像データを逐次に形成する。逐次に形成されるB断面像データは、主制御部211に逐次に送られる。主制御部211は、逐次に入力されるB断面像データに基づく新たなB断面像により、縦断面像表示部303(または縦断面像表示部302)に表示される画像を更新する。
このようにして、ユーザは、所望のB断面の形態を観察することができる。
[効果]
眼科撮影装置1の効果について説明する。
眼科撮影装置1は、取得部と、指定部と、変形部と、形成部と、表示制御部とを有する。
取得部は、OCTユニット100と、眼底カメラユニット2のうち信号光LSの光路を形成する要素と、画像形成部220と、3次元画像データ形成部231とを含む。取得部は、光コヒーレンストモグラフィを用いることにより被検眼Eの3次元画像データを取得する。
指定部は、部分画像データ指定部232を含む。また、指定部は、ユーザインターフェイス240を含んでよい。指定部は、被検眼Eの特定部位に相当する3次元画像データの一部である部分画像データを指定するように機能する。
変形部は、画像データ変形部233を含む。変形部は、指定部により指定された部分画像データがあらかじめ設定された形状に変形されるように3次元画像データを変形することにより、新たな3次元画像データを作成する。
形成部は、断面像データ形成部234を含む。形成部は、変形部により作成された新たな3次元画像データに基づいて断面像データを形成する。
表示制御部は、主制御部211を含む。表示制御部は、形成部により形成された断面像データに基づく画像を表示手段に表示させる。なお、表示手段は、この実施形態のように眼科撮影装置1に含まれていてもよいし(表示部241)、外部に設けられていてもよい。
このような眼科撮影装置1によれば、被検眼Eの特定部位が所定形状で描画された断面像を表示することが可能である。よって、この特定部位に注目して観察を行いつつ、この特定部位に対する他の部位の関係を容易に把握することができる。たとえば、網膜の特定層(ブルッフ膜など)に注目しつつ、この特定層を基準とした他の層の形状や、この特定層と他の層との間の距離などを容易に把握することが可能である。このように、実施形態に係る眼科撮影装置1によれば、眼科画像診断の新たな手法を提供することが可能である。
実施形態において、被検眼Eの特定部位に相当する部分画像データは、3次元画像データ中の2次元領域であってよい。その場合、変形部は、この2次元領域が平面形状または所定の曲面形状に変形されるように、3次元画像データの変形を行うことができる。
この構成によれば、被検眼Eにおいて実質的に2次元領域として考慮することが可能な任意の組織(層組織、層境界など)を、好適に観察することが可能である。なお、特定部位の形態や観察目的などに応じて、2次元領域の変形後の形状を任意に設定することが可能である。
なお、部分画像データが2次元領域でない場合がある。たとえば部分画像データが3次元領域である場合、この3次元領域が任意の形状になるように3次元画像データを変形することができる。この変形後の形状は、たとえば、直方体状、立方体状、所定の曲板形状などがある。
実施形態において、形成部は、断面像データとして、光コヒーレンストモグラフィにおいて被検眼Eに照射された光(信号光LS)の進行方向(z方向)に対して実質的に直交する横断面(xy面)における横断面像データ(C断面像データ)を形成することができる。さらに、表示制御部は、この横断面像データに基づく横断面像(C断面像)を表示手段に表示させることができる。
この構成によれば、横方向(xy方向)の断面像を観察することができる。特に、平面形状に変形された特定部位の形態を横断面像として観察することができる。被検眼Eの組織には、たとえば眼底Efの層組織や層境界のように、xy方向に広がり、且つz方向に屈曲・湾曲した形状のものがある。このような組織を従来の技術で画像化すると、横断面像には、目的の組織だけでなく他の組織も描画されるので、目的の組織だけを観察することはできない。これに対し、この実施形態によれば、目的の組織のみが描画された横断面像を観察することができ、この組織の状態を詳細に観察することが可能となる。
実施形態において、横断面(xy面)の位置を指定するための第1の操作部が設けられていてよい。第1の操作部は、ユーザインターフェイス240を含む。上記構成においては、第1の操作部は、直線画像511および512、並びに操作部242を含む。形成部は、第1の操作部を介して指定された横断面における新たな横断面像データを形成する。表示制御部は、この新たな横断面像データに基づいて、表示手段に表示される横断面像を更新する。なお、この更新処理は、表示される横断面像を切り替えることを示す。
このような構成によれば、ユーザは、3次元画像データが取得された被検眼Eの領域(3次元スキャンが実行された走査領域)における所望の横断面を観察することができる。
実施形態において、形成部は、断面像データとして、横断面(C断面)に直交する縦断面(B断面)における縦断面像データ(B断面像データ)を形成することができる。さらに、表示制御部は、次の表示処理を実行することができる:(1)形成部により形成された縦断面像データに基づく縦断面像(B断面像)を、横断面像(C断面像)と並べて表示させる;(2)縦断面像の断面位置(C断面位置)を示す縦断面位置画像(たとえば直線画像501および502)を横断面像とともに表示させる;(3)横断面像の断面位置を示す横断面位置画像(たとえば直線画像511および512)を縦断面像とともに表示させる。
このような構成によれば、被検眼Eの横断面像および縦断面像の双方を観察することができるとともに、横断面像と縦断面像との間の位置関係を容易に把握することができる。したがって、好適な診断支援を提供することが可能である。
実施形態において、形成部は、上記縦断面像データとして、互いに直交する2つの縦断面における第1の縦断面像データおよび第2の縦断面像データを形成することができる。さらに、表示制御部は、次の表示処理を実行することができる:(1)第1の縦断面像データに基づく第1の縦断面像(たとえばB断面像402または412)と、第2の縦断面像データに基づく第2の縦断面像(たとえばB断面像403または413)とを、横断面像(たとえばC断面像401または411)と並べて表示させる;(2)第1の縦断面像の断面位置を示す第1の縦断面位置画像(たとえば直線画像502)と、第2の縦断面像の断面位置を示す第2の縦断面位置画像(たとえば直線画像501)とを、横断面像とともに表示させる;(3)横断面像の断面位置を示す横断面位置画像(たとえば直線画像511および512)を、第1の縦断面像および第2の縦断面像のそれぞれとともに表示させる。なお、第1の縦断面像の断面位置を示す第1の縦断面位置画像(たとえば直線画像502)を第2の縦断面像とともに表示させること、そして、第2の縦断面像の断面位置を示す第2の縦断面位置画像(たとえば直線画像501)を第1の縦断面像とともに表示させることも可能である。
このような構成によれば、被検眼Eの横断面像と、互いに直交する2つの縦断面像とを観察することができるとともに、横断面像と各縦断面像との間の位置関係(さらには2つの縦断面像の間の位置関係)を容易に把握することができる。したがって、好適な診断支援を提供することが可能である。
実施形態において、縦断面(B断面)の位置を指定するための第2の操作部が設けられていてよい。第2の操作部は、ユーザインターフェイス240を含む。上記構成においては、第2の操作部は、直線画像501および502、並びに操作部242を含む。形成部は、第2の操作部を介して指定された縦断面における新たな縦断面像データを形成する。表示制御部は、次の表示処理を実行することができる:(1)新たな縦断面像データに基づいて、表示手段に表示される縦断面像を更新する;(2)第2の操作部により指定された縦断面(B断面)に基づいて、横断面像(たとえばC断面像401または411)に対する縦断面位置画像(たとえば直線画像501および502)の表示位置を変更する。
このような構成によれば、ユーザは、3次元画像データが取得された被検眼Eの領域(3次元スキャンが実行された走査領域)における所望の縦断面を観察することができる。
実施形態において、被検眼Eを撮影して正面画像データを取得する撮影部が設けられていてよい。さらに、表示制御部は、次の表示処理を実行することができる:(1)正面画像データに基づく正面画像(たとえば正面画像404)を、横断面像および縦断面像と並べて表示させる;(2)縦断面位置画像(たとえば直線画像522および523)を正面画像とともに表示させる。
このような構成によれば、表示されている縦断面像の断面が正面画像のどこに位置するか容易に把握することができる。なお、正面画像データと3次元画像データとの間の位置合わせについては、たとえば、3次元画像データに基づく加工正面画像(シャドウグラムなど)を形成し、この加工正面画像と正面画像との間で行うことができる。
実施形態において、第3の操作部が設けられていてよい。第3の操作部は、ユーザインターフェイス240を含む。上記構成においては、第3の操作部は、表示部241(ウィンドウ300に表示される画面)および操作部242を含む。さらに、形成部は、取得部により取得された3次元画像データに基づいて、光コヒーレンストモグラフィにおいて被検眼Eに照射された光(信号光LS)の進行方向(z方向)に実質的に沿う基準断面(任意のB断面)における基準断面像データを形成することができる。表示制御部は、基準断面像データに基づく基準断面像(たとえばB断面像402および403)を表示手段に表示させることができる。基準断面像中の画像領域が第3の操作部を介して指定されたときに、指定部は、この画像領域に基づき3次元画像データを解析することによって、部分画像データの指定を行うことができる。第3の操作部により指定される画像領域は、被検眼Eの特定部位に相当する。
このような構成によれば、ユーザは、基準断面像を観察して注目部位を把握することができ、その注目部位が所定の形状に変形された画像を観察することが可能である。
実施形態において、第4の操作部が設けられていてよい。第4の操作部は、ユーザインターフェイス240を含む。上記構成においては、第4の操作部は、表示部241(ウィンドウ300に表示される画面)および操作部242を含む。さらに、表示制御部は、被検眼Eの複数の組織が選択可能に提示された選択情報(たとえば基準層選択部322)を表示手段に表示させることができる。選択情報に提示された複数の組織のうちのいずれか(たとえばブルッフ膜)が第4の操作部を介して選択されたときに、指定部は、組織の選択結果に基づき3次元画像データを解析することにより、選択された組織に相当する3次元画像データの部分を特定することができる。この特定された部分が部分画像データとして用いられる。
このような構成によれば、ユーザは、選択情報に提示された選択肢のうちから所望の組織を選択することができ、選択された組織が所定の形状に変形された画像を観察することが可能である。
実施形態において、形成部は、取得部により取得された3次元画像データに基づいて、光コヒーレンストモグラフィにおいて被検眼Eに照射された光(信号光LS)の進行方向(z方向)に実質的に沿う基準断面(任意のB断面)における基準断面像データを形成する。表示制御部は、次の表示処理を実行することができる:(1)基準断面像データに基づく基準断面像(たとえばB断面像402および403)を表示手段に表示させる;(2)複数の組織のうちのいずれか(たとえばブルッフ膜)が第4の操作部を介して選択されたときに、選択された組織に相当する基準断面像の部分の表示態様を変更する(たとえば曲線画像531および532)。
このような構成によれば、ユーザが選択情報から選択した組織を基準断面像上に示すことができる。よって、ユーザは、自身が選択した組織を視覚的に把握できる。なお、上記表示態様の変更を、更新表示された後の断面像に反映させることができる。
[第1変形例]
上記実施形態においては、光路長変更部41の位置を変更することにより、信号光LSの光路と参照光LRの光路との光路長差を変更しているが、この光路長差を変更する手法はこれに限定されるものではない。たとえば、参照光の光路に反射ミラー(参照ミラー)を配置し、この参照ミラーを参照光の進行方向に移動させて参照光の光路長を変更することによって、当該光路長差を変更することが可能である。また、被検眼Eに対して眼底カメラユニット2やOCTユニット100を移動させて信号光LSの光路長を変更することにより当該光路長差を変更するようにしてもよい。
被検眼Eの正面画像と横断面像とを重ねて表示させることが可能である。たとえば、横断面像を正面画像上に表示させることができる。この変形例に係る眼科撮影装置は、上記の取得部、指定部、変形部、形成部および表示制御部に加え、被検眼Eを撮影して正面画像データを取得する撮影部を有する。この正面画像データは、眼底カメラユニット、SLOユニット、スリットランプユニットなどの任意の撮影ユニットにより取得された画像データであってよく、一例として、カラー眼底像データ、フルオレセイン蛍光画像データ、インドシアニングリーン蛍光画像データ、自発蛍光画像データ、赤外画像データなどがある。さらに、表示制御部は、正面画像データに基づく正面画像と、横断面像データに基づく横断面像(C断面像)とを重ねて表示させる。
この処理において、正面画像データと横断面像データ(またはボリュームデータ)との間の位置合わせを行うことができる。この位置合わせ処理は、たとえば、ボリュームデータに基づく正面画像データと、撮影部により取得された正面画像データとの間のレジストレーションである。ボリュームデータに基づく正面画像データとしては、表示対象の横断面像データ自体、シャドウグラムなどがある。このシャドウグラムは、少なくとも眼底表面およびその近傍に相当するデータを含む範囲を積算することによって作成される。これら正面画像データの間の位置合わせ処理は、たとえば、画像相関処理や、特徴点同士の位置合わせ処理などを含む。これら正面画像データの間の位置合わせ結果をボリュームデータ全体に自然に反映させることが可能である。それにより、横断面の位置の変更がなされたときに、変更後の横断面位置における横断面像を正面画像に重ねて表示させることができる。
なお、この変形例に係る眼科撮影装置は撮影部を内蔵した構成であるが、他の眼科撮影装置によって取得された正面画像データを受け付け、この正面画像データに基づく正面画像と、自身により取得されたボリュームデータから形成された横断面像データに基づく横断面像とを、重ねて表示させることも可能である。
また、横断面像に代えて、ボリュームレンダリング画像を正面画像と重ねて表示させる構成も可能である。より具体的には、ボリュームレンダリングにより形成された擬似的な3次元画像データにおいて眼底表面に相当する領域と、正面画像とを重ねるように、表示制御を行うことができる。この処理における位置合わせ処理は、上記と同様である。
[第2変形例]
画像処理部230は、ボリュームデータを解析する解析部を有していてよい。解析部は、たとえば、眼底Efの第1の層組織(層境界)と第2の層組織(層境界)との間の距離(厚さ)を求めることができる。この処理は、たとえば次のステップを含む:(1)ボリュームデータの各Aラインについて、そのAライン上のボクセルのうち第1の層組織に相当する第1のボクセルと第2の層組織に相当する第2のボクセルとを特定する;(2)各Aラインについて、第1のボクセルと第2のボクセルとの距離を算出する。このような処理により、ボリュームデータの各Aラインにおける第1の層領域と第2の層領域との間の距離(層間距離)が得られる。この情報は、ボリュームデータのxy座標系における定義域における層間距離の分布を表すものである。
表示制御部は、この分布情報を視覚的に表示させることができる。その表示態様としては、厚さマップの表示、グラフ表示などがある。厚さマップの表示の例として、カラーマップ表示がある。カラーマップ表示は、分布情報における層間距離の値の範囲を複数の部分範囲に分割し、各部分範囲に表示色を割り当て、この割り当てに応じて各画素(xy座標)の画素値を設定することによって行われる。表示制御部は、カラーマップなどの分布画像を、被検眼の横断面像、縦断面像および正面画像のうちの1つ以上とともに表示させることができる。その表示態様としては、並列表示や重畳表示がある。並列表示は、横断面像、縦断面像および正面画像のうちの1つ以上の画像と、分布画像とを並べて表示させる方法である。重畳表示は、横断面像および/または正面画像と、分布画像とを重ねて表示させる方法である。
[第3変形例]
上記実施形態では、z方向に沿うB断面やz方向に直交するC断面の形態を観察する場合について説明したが、任意の方向に直交する断面の形態を観察できるようにすることも可能である。本変形例では、部分画像データ指定部232は、上記実施形態と同様に、手動設定または自動設定により、取得された被検眼の3次元画像データから特定部位に相当する部分画像データを指定する。指定された当該部分画像データに対して、手動または自動により、断面方向を任意に指定することが可能である。
(手動による断面方向の指定)
図5に、本実施形態の第3変形例に係る眼科撮影装置の制御系の構成を示す。図5は、手動により部分画像データに対し断面方向を指定する場合に適用可能な制御系の構成例を表す。図5において、図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
本変形例に係る眼科撮影装置には、図3の画像処理部230に代えて図5の画像処理部230aが適用される。図5に示す制御系の構成が図3に示す制御系の構成と異なる点は、画像データ変形部233に代えて断面設定部235aをが設けられている点である。すなわち、本変形例に係る画像処理部230aは、3次元画像データ形成部231と、部分画像データ指定部232と、断面設定部235aと、断面像データ形成部234とを有する。断面設定部235aは、部分画像データに基づいて3次元画像データに対して断面を設定する。断面設定部235aによる断面の設定には、少なくとも断面の向きの設定が含まれ、さらに、断面の位置の設定が含まれていてもよい。断面の向きが設定される場合、断面設定部235aは、たとえば、部分画像データ中の注目部位を通過する1以上の断面(設定された向きの断面)を設定することができる。なお、2以上の断面が設定される場合、断面の間隔を自動または手動で設定することが可能である。また、2以上の注目部位に対してそれぞれ断面を設定することも可能である。断面像データ形成部234は、断面設定部235aにより設定された断面を表す断面像データを形成する。
主制御部211は、指定された部分画像データに基づく任意の画像を表示部241に表示させる。ユーザは、表示された画像に基づいて所望の断面を設定するための操作を行う。断面の手動設定において参照される表示画像は、たとえば、断面像または擬似的3次元画像を含む。
表示画像が断面像である場合について説明する。この断面像は、任意の断面を表す画像であってよく、たとえば1以上の横断面像および/または1以上の縦断面像を含んでいてよい。断面像データ形成部234は、部分画像データの少なくとも一部(または、それを含む3次元画像データの少なくとも一部のデータ)に対してMPR処理を施す。このMPR処理において適用される断面が横断面および/または縦断面である場合、当該断面は、部分画像データ(つまり3次元画像データ)に適用されている3次元座標系に基づき設定される。なお、縦断面像が適用される場合であって、かつ3次元画像データがスタックデータである場合には、このスタックデータを構成する複数の縦断面像のうちから1以上の縦断面像を任意に選択することが可能である。一方、MPR処理において適用される断面が横断面でも縦断面でもない場合、当該断面は、自動または手動で設定される。自動設定の場合の例として、あらかじめ設定された向きの断面を適用することができる。また、部分画像データや3次元画像データを解析して上記注目部位を特定し、特定された注目部位を通過するように既定の向きの断面を設定するようにしてもよい。手動設定の場合の例として、画像処理部230aは、所定のレンダリング処理(MPR、ボリュームレンダリング等)を実行することで表示用の画像データを生成し、生成された画像データに基づく画像が主制御部211によって表示部241に表示される。ユーザは、この表示画像を参照して断面を設定することができる。
表示画像が擬似的3次元画像である場合、画像処理部230aは、部分画像データの少なくとも一部(または、それを含む3次元画像データの少なくとも一部のデータ)に対してボリュームレンダリング等を施すことにより、擬似的3次元画像データを形成する。主制御部211は、この擬似的3次元画像データに基づく画像(擬似的3次元画像)を表示部241に表示させる。
図6に、表示部241に表示された視神経乳頭領域の縦断面像を模式的に示す。視神経乳頭領域600には、篩状板領域601が描出されている。篩状板領域601には、複数の孔部が描出されている。孔部は、視神経などの経路に相当する。篩状板領域601の状態の観察は、眼科疾患(特に、緑内障)の診断に有用な場合がある。
ユーザは、表示部241に表示され視神経乳頭領域600のレンダリング画像(断面像や擬似的な3次元画像)に対し、操作部242(マウスなどのポインティングデバイス)を用いて断面を指定する。ユーザによる断面の指定は、当該断面の向き(断面の法線方向)の指定や、当該断面の位置および向きの指定により行われる。たとえば、ユーザが操作部242を用いて、篩状板領域601の上面の法線方向610を指定すると、断面設定部235aは、3次元画像データに対して、当該指定された方向の断面を設定する。また、縦断面像などの場合には、断面設定部235aは、孔部の向きを求め、求められた孔部の向きから断面を設定することも可能である。
他の例として、ユーザが篩状板領域601の注目部位を指定した場合、断面設定部235aは、指定された注目部位に基づいて断面を取得することができる。たとえば、篩状板領域601の上面が注目部位として指定された場合、断面設定部235aは、まず、指定された上面の向きを求める。この処理は、たとえば、上面の所定位置(たとえば中心位置)における接線を算出し、この接線の方向を上面の向きとして定義することができる(なお、必要に応じ、上面に対するスムージング処理が事前に実行される)。或いは、上面の複数の位置に基づいて上面の向きを定義することも可能である。その一具体例として、上面の両端を結ぶ線分を求め、この線分に直交する方向を上面の向きとして定義することができる。他の具体例として、上面の複数の位置についてそれぞれ向きを求め、それらの統計値(最頻値、平均値など)を上面の向きとして定義することができる。
断面像データ形成部234は、断面設定部235aにより設定された断面を表す断面像データを形成する。主制御部211は、断面像データ形成部234により形成された断面像データに基づく断面像を表示部241に表示させる。これにより、任意の断面の形態を観察することが可能になる。また、孔部の向きや分布(3次元分布)を容易に把握することが可能になる。
また、断面像データ形成部234は、断面設定部235aにより設定された断面に直交する断面(たとえば、図6の断面611〜613)を表す断面像データを形成するようにしてもよい。断面611〜613は、互いに平行でなくてもよい。画像処理部230aは、断面像データ形成部234により形成された複数の断面像データに対し、断面方向に並ぶ数ピクセル(たとえば、7ピクセルまたは8ピクセル)分のデータを積算することにより特徴強調画像を形成することが可能である。また、画像処理部230aは、3次元画像データや部分画像データから特徴強調画像を形成してもよい。これにより、部分画像データに篩状板領域601が含まれている場合に、篩状板領域601における孔部以外の部位の線維構造などの観察が可能になる。
なお、手動により断面方向を指定する場合、主制御部211は、複数の断面方向が選択可能に提示された選択情報を表示部241に表示させてもよい。この選択情報の例として、複数の断面方向が列挙されたドロップダウンリストがある。ユーザは、選択情報に提示された複数の断面方向のうち所望のものを、操作部242を用いて選択する。或いはまた、主制御部211は、断面方向のx方向、y方向、およびz方向それぞれの角度を入力するための上下ボタン付き数値入力画面を表示部241に表示させる。ユーザは、操作部242を用いて上ボタンまたは下ボタンを指定することにより、上下ボタン付き数値入力画面に表示された数値(角度)を増減させる。また、主制御部211は、断面方向を示すアイコン(矢印)を画像に重畳して表示させて、ユーザによりアイコンを回転させることにより断面方向を指定できるようにしてもよい。
(自動による部分画像データの断面方向の指定)
図7に、本実施形態の第3変形例に係る眼科撮影装置の制御系の構成を示す。図7は、部分画像データに対し断面方向を自動で指定する場合に適用可能な制御系の構成例を表す。図7において、図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、上記した手動指定の説明において説明された任意の処理を本例に適用することができる。
本変形例に係る眼科撮影装置には、図3の画像処理部230に代えて図7の画像処理部230bが適用される。図7に示す制御系の構成が図3に示す制御系の構成と異なる点は、画像データ変形部233に代えて断面設定部235bをが設けられている点である。すなわち、本変形例に係る画像処理部230bは、3次元画像データ形成部231と、部分画像データ指定部232と、断面設定部235bと、断面像データ形成部234とを有する。断面設定部235aは、部分画像データ指定部232により指定された部分画像データを解析することにより断面方向を求め、当該部分画像データに対して当該求められた断面方向を設定する。断面像データ形成部234は、断面設定部235aにより設定された断面を表す断面像データを形成する。
断面設定部235bは、部分画像データの縦断面像から当該部分画像データの断面を決定し、決定された断面を当該部分画像データに設定することが可能である。
たとえば、部分画像データに篩状板領域601が含まれるものとする。断面設定部235bは、部分画像データを解析することにより篩状板領域601の上面を特定し、特定された上面の傾斜角度から断面の位置や向きを決定する。断面設定部235bは、3次元画像データに対し、当該決定された断面を設定する。
或いは、断面設定部235bは、篩状板領域601付近の画素の輝度情報から、所定の閾値以下の輝度を有する部分を篩状板領域601の孔部として抽出し、抽出された孔部の領域をワイヤモデル化する。断面設定部235bは、モデル化されたワイヤモデルの始点と終点との位置のずれ方向や、ワイヤモデルの所定の位置における接線方向やワイヤモデルにおける所定の2点の位置を結ぶ線分の傾き方向を断面の向き(孔部の向き)として決定し、決定された断面を当該部分画像データに設定する。
また、断面設定部235bは、部分画像データの横断面像から当該部分画像データの断面を決定し、決定された断面を当該部分画像データに設定することが可能である。
この場合、断面設定部235bは、互いに平行な複数の横断面における篩状板領域601の孔部の位置の連結状態を特定し、特定された連結状態により断面の向き(孔部の向き)を決定し、決定された断面を当該部分画像データに設定する。なお、断面設定部235bは、互いに平行ではない複数の横断面における篩状板領域601の孔部の位置の連結状態を特定するようにしてもよい。
断面像データ形成部234は、断面設定部235bにより設定された断面を表す断面像データを形成する。主制御部211は、断面像データ形成部234により形成された断面像データに基づく断面像を表示部241に表示させる。これにより、任意の断面の形態を観察することが可能になる。また、孔部の向きや分布(3次元分布)を容易に把握することが可能になる。
また、断面像データ形成部234は、断面設定部235bにより設定された断面に直交する断面を表す断面像データを形成するようにしてもよい。断面611〜613は、互いに平行でなくてもよい。画像処理部230bは、断面像データ形成部234により形成された複数の断面像データに対し、断面方向に並ぶ数ピクセル(たとえば、7ピクセルまたは8ピクセル)分のデータを積算することにより特徴強調画像を形成することが可能である。また、画像処理部230bは、3次元画像データや部分画像データから特徴強調画像を形成してもよい。これにより、部分画像データに篩状板領域601が含まれている場合であっても、篩状板領域601における孔部以外の部位の線維構造などの観察が可能になる。
なお、断面設定部235bは、部分画像データにおける篩状板領域601の近傍に基づいて断面を設定するようにしてもよい。この場合、断面設定部235bは、篩状板領域601の近傍における乳頭底面の向きを特定し、特定された乳頭底面の向きに基づいて篩状板領域601における断面の向きを決定する。
以上のように、第3の変形例では、3次元画像データから指定された部分画像データに対して任意の断面方向の断面を表す断面像データを形成するようにしたので、任意断面の形態の観察が可能になる。たとえば、部分画像データに篩状板領域が含まれる場合、篩状板領域における孔部以外の部位の線維構造等の観察が可能になる。なお、上記処理の対象は篩状板に限定されず、任意の部位に適用することができる。
〈眼科画像表示装置〉
実施形態に係る眼科画像表示装置について説明する。以下に説明する事項のうち、前述した眼科撮影装置1と実質的に同一の事項については、その詳細な説明を省略する。
図8に示す眼科画像表示装置1000は、外部のOCT装置により取得された被検眼の3次元画像データの入力を受け、この3次元画像データを変形し、変形後の3次元画像データに基づいて断面像を表示する。
眼科画像表示装置1000は、制御部1210と、画像処理部1230と、ユーザインターフェイス1240と、データ受付部1250とを有する。
データ受付部1250は、外部のOCT装置により取得された被検眼の3次元画像データを受け付ける。また、データ受付部1250は、外部の眼科撮影装置により取得された被検眼の正面画像データを受け付ける。データ受付部1250は、たとえば通信インターフェイスやドライブ装置など、データの受け付け形態に応じた構成を含む。データ受付部1250は「受付部」として機能する。
制御部1210は、眼科画像表示装置1000の各部の制御と、各種の演算処理を実行する。制御部1210は、たとえば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ等を含んで構成される。制御部1210には、主制御部1211と記憶部1212が設けられている。
主制御部1211は各種の制御および各種の演算処理を行う。主制御部1211は「表示制御部」として機能する。記憶部1212は、各種のデータを記憶する。記憶部1212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ(3次元画像データなど)、正面画像データ、被検眼情報などがある。また、記憶部1212には、眼科画像表示装置1000を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
画像処理部1230は、各種の画像処理や解析処理を施す。画像処理部1230は、部分画像データ指定部1232と、画像データ変形部1233と、断面像データ形成部1234とを有する。部分画像データ指定部1232は「指定部」として機能する。画像データ変形部1233は「変形部」として機能する。断面像データ形成部1234は「形成部」として機能する。
部分画像データ指定部1232は、上記眼科撮影装置1の部分画像データ指定部232と同様の処理を実行することにより、被検眼Eの特定部位に相当する3次元画像データの一部である部分画像データを指定する。
画像データ変形部1233は、上記眼科撮影装置1の画像データ変形部233と同様の処理を実行することにより、部分画像データ指定部1232によって指定された部分画像データがあらかじめ設定された形状に変形されるように3次元画像データを変形する。
断面像データ形成部1234は、上記眼科撮影装置1の断面像データ形成部234と同様の処理を実行することにより、画像データ変形部1233によって変形された3次元画像データ(変形3次元画像データ)に基づいて、断面像データを形成する。
以上のように機能する画像処理部1230は、たとえば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
ユーザインターフェイス1240には、表示部1241と操作部1242とが含まれる。表示部1241は、任意の表示デバイスを含んで構成される。操作部1242は、任意の操作デバイスを含んで構成される。
眼科画像表示装置1000は、たとえば、上記ウィンドウ300と同様の画面を表示する。さらに、この画面を用いることにより、上記眼科撮影装置1と同様の動作を実行することが可能である。
このような眼科画像表示装置1000によれば、被検眼の特定部位が所定形状で描画された断面像を表示することが可能である。よって、この特定部位に注目して観察を行いつつ、この特定部位に対する他の部位の関係を容易に把握することができる。したがって、眼科画像診断の新たな手法を提供することが可能である。
上記の実施形態または変形例において眼科撮影装置1について説明した事項のうち任意のものを、眼科画像表示装置1000に適用することが可能である。
また、上記の実施形態または変形例において、画像データ変形部233は、部分画像データがあらかじめ設定された形状に変形されるように3次元画像データを変形することにより、新たな3次元画像データを作成するものに限定されない。
また、眼科画像表示装置1000は、受付部と、指定部と、断面設定部と、形成部と、表示制御部とを含んで構成されてもよい。受付部は、光コヒーレンストモグラフィを用いて取得された被検眼の3次元画像データを受け付ける。指定部は、被検眼の特定部位に相当する3次元画像データの一部である部分画像データを指定するために用いられる。断面設定部は、部分画像データに基づいて3次元画像データに対して断面を設定する。形成部は、断面設定部により設定された断面を表す断面像データを形成する。表示制御部は、断面像データに基づく画像を表示手段に表示させる。
上記の実施形態または変形例を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。