JP2017003311A - ファイバレーザ、光学装置、および計測装置 - Google Patents

ファイバレーザ、光学装置、および計測装置 Download PDF

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勇輝 米谷
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【課題】 低コストかつコンパクトな構成で、安定性や計測再現性が高く広帯域の観察が可能な計測装置、及びその計測装置に用いる光学装置およびファイバレーザを提供する。【解決手段】互いに異なる波長を有する第1の光パルス列と第2の光パルス列とを試料(118)に照射して当該試料からの光を計測する計測装置(100)に用いられる、第2の光パルス列として散逸ソリトンを発振するファイバレーザ(104)である。そして、第1の光パルス列に第2の光パルス列を同期させるように第2の光パルス列の位相を変調する位相変調手段(113)を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、ラマン散乱を利用した顕微鏡等の計測装置、及びその計測装置に用いる光源装置およびファイバレーザに関する。
コヒーレントラマン散乱(Coherent Raman Scattering:CRS)を利用して生体内分子の3次元分布や体内組成を観察する顕微鏡等の計測装置が提案されている。CRSの中でも特に誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering:SRS)を利用した場合、スペクトル歪みを削減でき、定量的な観察が可能となる。
SRSを利用した計測装置では、互いに波長が異なる同期した2つの光パルス(2波長光パルス)を試料に同時に照射してSRSを誘起する。これは、2波長光パルスの光周波数の差が試料の分子振動数と一致すると両光パルスの集光点にてSRSが生じる現象を利用している。これにより、試料を透過した2波長光パルスのうち、光周波数が高い光パルスの強度が減少し(誘導ラマンロス)、光周波数が低い光パルスの強度が増大する(誘導ラマンゲイン)。この誘導ラマンロスまたは誘導ラマンゲイン(以下、ともにSRS信号という場合がある)を検出することによって、試料の分子の振動情報に基づいた分子振動イメージングを実現できる。
また、2波長光パルスの光周波数を変化させることで、光周波数に対するSRS信号の依存性(ラマンスペクトル)を計測でき、試料の組織構造や組成を特定できる。
特許文献1には、繰り返し周波数が2:1であるチタンサファイアレーザとYbファイバレーザを同期させて、試料へ同時に集光するSRS計測装置が開示されている。この構成によれば、広帯域なYbファイバレーザと可変波長選択フィルタを用いているため、広範囲のラマンスペクトルを取得できる。
非特許文献1には、1台のファイバレーザからの光を分岐し、一方の光パルス列について、高非線形ファイバを用いて波長帯域を拡大しYbファイバ光増幅器を用いて光を増幅することで、広範囲のラマン分光観察を行うことが開示されている。また、高非線形ファイバによって波長帯域を拡大する前に、ファイバレーザからの光を光増幅する必要がある旨が記載されている。
特願2011−518467号公報 米国特許8416817号
Nature Photonics,Vol.8,p.153―159,2014. J.Opt.Soc.Am.B,Vol.25,No.2,2008. Opt.Lett.,Vol.34,No.5,2009.
特許文献1で開示されたYbファイバレーザは、内部の光損失が大きく、また外乱の影響を受けやすい非線形偏波回転法を用いている。そのため、レーザから発振された光のパワーやスペクトルが変動し、計測装置における計測再現性や稼働安定性が低くなる。また、レーザからの光や可変波長選択フィルタを透過した光の強度が低いため、多段の光増幅器が必要となる。
また、非特許文献1で開示された計測装置では広帯域光生成のためにパルス圧縮機構、高非線形ファイバ、多段の高出力光増幅器等が必要であるため、装置の大型化、高コスト化、複雑化等の問題がある。
そこで、本発明は、低コストかつコンパクトな構成で、安定性や計測再現性が高く広帯域の観察が可能な計測装置、及びその計測装置に用いる光学装置およびファイバレーザを提供する。
本発明の一側面としてのファイバレーザは、互いに異なる波長を有する第1の光パルス列と第2の光パルス列とを試料に照射して当該試料からの光を計測する計測装置に用いられる、第2の光パルス列として散逸ソリトンを発振するファイバレーザである。そして、第1の光パルス列に第2の光パルス列を同期させるように第2の光パルス列の位相を変調する位相変調手段を有することを特徴とする。
本発明の別側面としての光学装置は、互いに異なる波長を有する2つの光パルス列を試料に照射して当該試料からの光を計測する計測装置に用いられる光学装置である。そして、第1の光パルス列を生成する第1の光源装置と、第1の光パルス列とは異なる波長を有する第2の光パルス列を生成する第2の光源装置と、第1の光パルス列および第2の光パルス列のパルスタイミングを検出するパルスタイミング検出手段と、上記パルスタイミングに基づいて、第1の光パルス列と第2の光パルス列とが同期するように第2の光源装置を制御する同期制御手段と、を有する。第2の光源装置は、第2の光パルス列として散逸ソリトンを発振するファイバレーザであり、第2の光パルス列の位相を変調する位相変調手段を有し、同期制御手段は、上記パルスタイミングに基づいて位相変調手段を制御することで、第1の光パルス列と第2の光パルス列とを同期させることを特徴とする。
本発明によれば、低コストかつコンパクトな構成で、安定性や計測再現性が高く広帯域の観察が可能な計測装置、及びその計測装置に用いる光学装置およびファイバレーザを提供することである。
本発明の実施例1から6におけるSRS顕微鏡の構成を示すブロック図である。 実施例1におけるYbファイバレーザの構成を示すブロック図である。 実施例1におけるYbファイバレーザの時間波形の一例を示す図である。 実施例1におけるYbファイバレーザの光スペクトルの一例を示す図である。 実施例1におけるYbファイバレーザの自己相関波形の一例を示す図である。 実施例1におけるパルス同期時の時間波形の一例を示す図である。 本発明の実施例2におけるYbファイバレーザの構成を示すブロック図である。 本発明の実施例3におけるYbファイバレーザの構成を示すブロック図である。 本発明の実施例4におけるYbファイバレーザの構成を示すブロック図である。 本発明の実施例5であるYbファイバレーザの構成を示すブロック図である。 本発明の実施例6であるYbファイバレーザの構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例1である誘導ラマン散乱による計測装置の構成を示す。
図1において、101はパルス発振チタンサファイアレーザ(以下、単にチタンサファイアレーザ又は第1の光源という)である。102,105はビームスプリッタであり、103,108,116はミラーである。104は、パルス発振Ybファイバレーザ(以下、単にYbファイバレーザ又は第2の光源という)である。106は、可変波長選択フィルタである。107,109は、合波ダイクロイックミラーである。110は、対物レンズである。
111は、光のパルス列間のパルスタイミングのずれ(パルスタイミングの差)を検出するパルスタイミング検出部である。112は、パルスタイミングのずれをなくすようにYbファイバレーザ104の繰り返し周波数を調整するパルス同期制御回路である。113は、パルス同期制御回路112からの信号に応じてYbファイバレーザ104の位相を変調する(光学的な共振器長を変更する)位相変調部である。114は、光路長を変更することで透過する光を遅延させる遅延光路付加部である。115は、後述する試料に集光する位置を走査するための光偏向素子(走査装置)である。
117は第1の対物レンズであり、120は第2の対物レンズである。118は試料であり、119は試料駆動ステージ(試料移動手段)である。121は、検出光以外の光を取り除く非検出光カットフィルタである。122は光検出器(光検出手段)であり、123はロックインアンプ(検出回路)である。124は、コンピュータ(処理装置)である。なお、各構成部品を結ぶ太い直線は光路を示し、矢印付き直線は電気配線を示す。構成部品間を結ぶ細い線は、ファイバ素子である。
第1の光源101としてのチタンサファイアレーザは、発振する光パルスの波長を約700〜1000nmの範囲で変更することができ、パルス幅をフェムト秒からピコ秒の間で変更することもできる。本実施例では、チタンサファイアレーザ101の発振波長を790nmとし、Ybファイバレーザ104と組み合わせて、CH伸縮振動領域(約2800〜3100cm−1)で測定を行う。なお、第1の光源101としてチタンサファイアレーザ等の固体レーザの他、ファイバレーザや半導体レーザなど、用途に応じて適宜変更してもよい。パルス幅は、ラマンスペクトルの高分解能とSRS信号の高感度検出を両立させる観点から、1〜10ps程度が望ましい。
第2の光源104としてのYbファイバレーザは、発振する光パルスの波長を約1000〜1100nmの範囲で変更できる。本実施例では、Ybファイバレーザ104からの光(以下、Ybファイバレーザ光ともいう)を可変波長選択フィルタ106によってフィルタリングすることによって任意の波長を選択し、試料118に照射する光の波長を変更する。Ybファイバレーザ光と、パルスごとに同期(以下、パルス同期という)されたチタンサファイアレーザ101からの光(以下、チタンサファイアレーザ光ともいう)を同時に試料118に照射することでラマンスペクトルを取得する。
本実施例では、ロックイン検出を高速化して検出感度を向上するため、チタンサファイアレーザ101の繰り返し周波数がYbファイバレーザ104の繰り返し周波数の2倍となるようにYbファイバレーザ104の共振器を構成する。しかし、これに限定せず、チタンサファイアレーザ101の繰り返し周波数がYbファイバレーザ104の繰り返し周波数の2以上の整数倍となるようにしてもよい。
可変波長選択フィルタ106は、Ybファイバレーザ光のうち、特定波長の光のみを透過(通過)する。可変波長選択フィルタ106としては、回折格子とスリットの組み合わせ、音響光学可変波長選択フィルタ、導波路型回折格子、FBG等を用いる。可変波長選択フィルタ106によって選択する波長幅は、チタンサファイアレーザ101と同様にパルス幅は1〜10psが好ましいため、そのフーリエ変換限界パルス幅に近い、およそ0.1〜1nm程度とするとよい。
コンピュータ124は、可変波長選択フィルタ106を制御し、透過する波長を選択する。例えば、回折格子とスリットを可変波長選択フィルタ106として用いる場合には、可動ステージ上に設置したスリットの位置や掃引速度を制御する。
ビームスプリッタ102,105は、パルスタイミング検出用の光を分岐する。このビームスプリッタとして偏光依存型と偏光無依存型のどちらを用いてもよく、例えばハーフミラーを用いてもよい。また、光パワーの分岐比は1:1である必要はなく、パルスタイミング検出器111に到達する光がパルスタイミング検出可能な強度を有していればよい。偏光依存型のビームスプリッタを用いる場合、ビームスプリッタの前段にλ/2波長板を挿入し、これを回転することによって、ビームスプリッタにおける分岐比を連続的に変更できる。
パルスタイミング検出器111は、チタンサファイアレーザ101からの光パルス列とYbファイバレーザ104からの光パルス列のタイミングのずれ(相対時間差)を検出する。タイミングのずれを検出するには、同軸に合成(合波)した両光パルスを対物レンズ110でフォトダイオード上に集光し、フォトダイオードにおける二光子吸収強度を検出すればよい。フォトダイオードには、入射する両光パルスの波長に対する感度が低く、両光パルスの間で生じる二光子吸収に高い感度を有するものを用いるのが好ましい。例えば、GaAsP製の半導体からなるフォトダイオードは、波長が790nmであるチタンサファイアレーザ光と1030nmであるYbファイバレーザ光は感知しないが、両光パルスが同時に入射することで生じる二光子吸収を高い感度で検出することができる。パルスのタイミング検出には二光子吸収の他、和周波発生等の非線形結晶を用いる方法を用いてもよい。
パルス同期制御回路112は、パルスタイミング検出器111が出力する電気信号を受け、パルスタイミングのずれをなくするようにYbファイバレーザ104の繰り返し周波数を調整することで、パルス同期制御を行う。本実施例では、繰り返し周波数の調整するために、Ybファイバレーザ104の位相を変調する(光学的に共振器長を変更する)。位相変調部113は、パルス同期制御回路112からの制御信号に応じてYbファイバレーザ104の位相を変調する。本実施例では、後述のファイバ型位相変調器208を位相変調部113として用いる。
遅延光路付加部114は、ビームスプリッタ102,105からパルスタイミング検出器111までの光路長と、ビームスプリッタ102,105から試料118までの光路長とを一致させる。これにより、パルス同期された光を試料118に照射できる。遅延光路付加部114には、手動又は自動で移動するステージとミラーとの組み合わせやファイバディレイライン等のディレイラインを用いることができる。また、ファイバレーザや光増幅器等のファイバ長調整や光学素子の配置方法によって光路長差を無視できる場合には遅延光路付加部114を設けなくてもよい。また、適宜その他の箇所へ移設、または増設してよい。
ミラー103および合波ダイクロイックミラー107(照射光学系)は、その姿勢を調整することでチタンサファイアレーザ光とYbファイバレーザ光を同軸に合波(合成)する。光偏向素子115は、合波された両光の射出角度を偏向することで、試料118上における集光点の走査を行う。本実施例では、光偏向素子115としては、ガルバノミラーを用いる。高速走査のためにレゾナントミラーやポリゴンミラーを用いてもよい。顕微鏡を構成する際には、ガルバノミラーを2個用いて2次元走査を行ってもよい。後述するように両光の集光点を試料118上で2次元的に走査することで、試料118の形状や組成に関する分子振動情報の2次元分布を画像(SRS画像)として取得できる。
ミラー116(照射光学系)は、合波ダイクロイックミラー107で合波され、光偏向素子115を経たチタンサファイアレーザ光とYbファイバレーザ光を第1の対物レンズ117に導く。第1の対物レンズ117は、入射した両光を試料118上の同一スポットに集光する。試料118は、試料駆動ステージ119上に設置される。試料駆動ステージ119は、XYZ方向に駆動することで、集光点の走査領域に試料118を移動する。
第2の対物レンズ120は、試料118からの光を光検出器122に集光する。光偏向素子115で走査を行った場合でも、試料118上の光量分布を均一にし、画像周辺部での光量低下を防ぐために、光偏向素子115のガルバノミラー面と第1の対物レンズ117の入射瞳面とを共役関係とするリレーレンズ対(走査光学系)を挿入する。また、光検出器122において集光が不十分な場合、ノイズが生じる。このノイズを低減するために、第2の対物レンズ120の開口数(NA:Numerical Aperture)を第1の対物レンズ117のものよりも大きくして試料118からの散乱光を高効率に集光することが好ましい。
本実施例では、Ybファイバレーザ104の繰り返し周波数で誘起された誘導ラマンロスを検出する。そのために、非検出光カットフィルタ121を、Ybファイバレーザ104よりも繰り返し周波数の高いチタンサファイアレーザ101からのパルス光のみを透過するものとする。非検出光カットフィルタ121を透過した光パルスは、光検出器122で電気信号に変換される。本実施例では、非検出光カットフィルタ121としてバンドパスフィルタを用いる。
ロックインアンプ123は、光検出器122からの電気信号中から、Ybファイバレーザ104からのパルス光の繰り返し周波数でSRS信号(誘導ラマンロス)をロックイン検出(同期検波)する。このため、ロックイン検出の参照信号にはYbファイバレーザ104のパルス光に同期した電気信号を用いる。この参照用の電気信号は、例えばYbファイバレーザ104の一部の光を分岐して受光することで得られた電気信号を用いる。また、一部の光を分岐せずにスペクトルフィルタ205の中心波長を所望の発振波長から少し長い波長で設計し、光軸に対し傾斜させて共振器内に配置することでフィルタ反射光を取り出すこともできる。この場合、Ybファイバレーザ104の共振器内に新たに素子を配置する必要がない。
コンピュータ124は、ロックインアンプ123によってロックイン検出されたSRS信号を読み出す。また、コンピュータ124は、SRS信号に対する信号処理を行って、上述の様に可変波長選択フィルタ106を制御することで透過光の各波長での試料118に関する分子振動情報を画像化したSRS画像データ(2次元画像データ)を生成する。そして、コンピュータ124は、これらSRS画像データをディスプレイに表示する。SRS画像データを生成する際、光偏向素子115からの信号をデータ収録開始のトリガー信号として用いる。また、コンピュータ124は、試料駆動ステージ119を制御して、試料118における観察部位を3次元的に設定することができる。また、コンピュータ124は、得られた各波長のSRS画像データに対して主成分分析、独立成分分析等といったスペクトル分析手法を適用し、特徴的な成分に注目して疑似カラー化してディスプレイ上に表示してもよい。
以下、本実施例のSRS計測装置100について、詳細に説明する。
本実施例のようなSRS計測装置では、本実施例のYbファイバレーザ104にあたる第2の光源からの光の一部をフィルタリングすることによって、試料に照射する光の波長を変更しラマンスペクトルを広帯域で取得する。広帯域のラマンスペクトルを得るためには、第2の光源を広帯域発振させることが必要となり、同時に、第2の光源を小型かつ低コストで安定な再現性の高いものとすることも必要となる。そこで、本実施例のSRS計測装置100は、第2の光源(Ybファイバレーザ104)として、特許文献2や非特許文献2で開示されているような散逸性ソリトンファイバレーザ(dissipative−soliton fiber laser)を用いる。
特許文献1に開示されているような従来方式では、Ybファイバレーザの出力が低いため、可変波長選択フィルタ106の透過光をファイバ光増幅器等によって所望のパワーまで光増幅して試料へ照射する必要があった。しかし、散逸性ソリトンファイバレーザを用いれば、非特許文献3に記載のように出射パワーを〜数Wまで高めることができるため、可変波長選択フィルタ106でのフィルタリング後の光増幅器等を減らすことや、ゲインを抑えることができる。すなわち、散逸性ソリトンファイバレーザによれば高出力で安定性の高いパルス光を得ることがでるため、多段の光増幅器や波長変換素子を用いる必要もないため、小型で安定なSRS計測装置の提供を可能にする。
ここで、散逸性ソリトンファイバレーザをSRS計測装置の第2の光源104として用いるためには、第1の光源にあたるチタンサファイアレーザ101と出力パルスを同期させなければならず、特許文献2や非特許文献2に開示されている構成では足りない。そこで、本実施例では、散逸性ソリトンファイバレーザの共振器内に、適式に光学的な共振器長を制御する手段(位相変調部)を導入する。
位相変調部の導入方法によっては、共振器内のパワー損失が大きくなり、安定性が失われ、パルス発振自体が困難となる可能性がある。また、ファイバ型位相変調器を用いる場合、入力側ファイバが偏波保持ファイバに限定される。そのため、非線形偏波回転法を援用する方式では、偏光状態を保持しない共振器に偏波保持ファイバを設けることとなり、発振が不安定となる可能性もある。また、通常、ファイバ型位相変調器の最大入力パワーは100mW程度までとなっているため、散逸性ソリトンファイバレーザの利点である高出力性が失われてしまう。
以下、図2を用いて、本実施例におけるYbファイバレーザ104の構成について詳細に説明する。
本実施例におけるYbファイバレーザ104によれば、ファイバ型位相変調器の偏波保持ファイバの偏光特性や入力制限パワーの制約が散逸ソリトン(Dissipative soliton)に与える悪影響を低減できる。
図2は、本実施例におけるYbファイバレーザ104の共振器の構成を示す。201はファイバコリメータであり、202および203はそれぞれλ/4板およびλ/2板(偏光制御素子)である。204は偏光ビームスプリッタ(アウトプットカプラ)であり、205はスペクトルフィルタである。206は偏光依存空間型のアイソレータであり、207は、偏波保持型ファイバコリメータである。208はファイバ型位相変調器(位相変調部)である。209はYbファイバ励起用半導体レーザ(ゲインファイバ励起用半導体レーザ)であり、210は波長分割多重ファイバカプラ(波長分割多重カプラ)である。211はYbファイバ(ゲインファイバ)である。212はピエゾステージであり、112は図1におけるパルス同期制御回路である。その他、素子間を繋ぐファイバは、いずれも光を単一のモードで伝送するシングルモード型である。また、これら共振器内の物質は、全て正常分散媒質である。
共振器内の光パルスの進行方向は、アイソレータ206の透過方向(図2中の矢印方向)となる。以降の素子配置の説明において、光路上のパルスの進行方向の上流を前段といい、下流を後段という。
ファイバ型位相変調器208は、入射側に不図示の偏波保持ファイバを有している。この偏波保持ファイバは、偏波保持型ファイバコリメータ207に付随するファイバと、高速軸および低速軸(偏光軸)を一致させて融着接続する。このとき、偏波保持型ファイバコリメータ207の光軸回りの設置角度を偏光軸が入射光の偏光と一致するように調整することで、ファイバ型位相変調器208の透過率が最大となる。すなわち、アイソレータ206の出射光の偏光と偏波保持型ファイバコリメータ207の偏光軸が一致するように調整することで、入射光の偏光状態を一定に保ちつつファイバコリメータ207からファイバ型位相変調器208までの光損失を最小化できる。また、本実施例では、アイソレータ206を偏波保持型ファイバコリメータ207の直前に配置するが、スペクトルフィルタ205を偏波保持型ファイバコリメータ207の直前に配置することとしてもよい。その場合、スペクトルフィルタ205の出射光の偏光と偏波保持型ファイバコリメータ207の偏光軸が一致するように設置角度を調整する。
ファイバコリメータ207の光軸回りの設置角度は、別途偏波保持ファイバコリメータの前にλ/2板を設置することで調整してもよい。このとき、アイソレータ206の偏光軸も偏光ビームスプリッタ204を透過した光の偏光軸と一致するように調整することで偏光ビームスプリッタ204からファイバ型位相変調器208までの偏光を一定に保つことができる。これによって、非線形偏波回転法によるパルスの生成において、偏光ビームスプリッタ204からファイバ型位相変調器208までの透過光の偏光状態の変化によって発振が不安定となることを防ぐことができる。
また、ファイバ型位相変調器208をスペクトルフィルタ205の後段に配置するため、スペクトルフィルタ205の帯域制限によるパワー低下によって、ファイバ型位相変調器208への入射光のパワーを制約値以下にすることができる。さらに、ファイバ型位相変調器208をパワーの増幅が行われるYbファイバ211の前段に配置する。このように配置することにより、Ybファイバレーザ104は、ファイバ型位相変調器208に適正なパワーの光パルスを入射しつつ高出力なパルスを発振させることが可能となる。ファイバ型位相変調器208での光損失は通常1〜3dB程度であるが、本構成により、Ybファイバレーザ104の全体での光損失を小さくできる。
また、波長分割多重ファイバカプラ210は、Ybファイバ211の前段に配置されることが好ましい。これによって、Ybファイバレーザ104によるパルス発振に至る前のパルス発振調整における自然放出光発振状態で、ファイバ型位相変調器208に入射する光のパワーを抑えることができる。また、パルス発振調整では励起パワーをできるだけ低くした状態から調整し、パルス発振閾値以降に励起パワーを上げていくようにするとファイバ型位相変調器208へのダメージを抑えることができる。
また、ピエゾステージ212は、光軸方向に駆動することで共振器長を変化させる。ファイバ型位相変調器208よりも低速だが、共振器長の制御範囲が大きい。そのため、ピエゾステージ212とファイバ型位相変調器208との組み合わせで、高速で広い制御範囲で光学的な共振器長を制御できる位相変調部113を構成することができる。ピエゾステージ212はモーターステージ、ディレイラインを用いてもよい。
以下に、図2の構成を実際に構築し、パルス発振が可能であることを実験的に検証した結果を図3から図6に示す。
スペクトルフィルタ205には市販の1030nm帯で使用できるショートパスフィルタとロングパスフィルタを組み合わせて用いた。また、Ybファイバ励起用半導体レーザには976nm発振、500mW出力の市販レーザダイオードを用いた。
ここで、SRS計測が可能なラマンスペクトル領域(波数域)は、以下の式(1)や式(2)により算出できる。式(1)は、ポンプ光の波長をλ1、ストークス光の波長をλ2とした場合におけるポンプ光とストークス光との波数差k(ラマンシフト)を示している。さらに、式(2)は、ポンプ光およびストークス光の波長が可変な場合における、計測可能なラマンシフトの最大波数kmax、最小波数kminを示している。ここで、ポンプ光の最大波長をmax(λ1)、最小波長をmin(λ1)、ストークス光の最大波長をmax(λ2)、最小波長をmin(λ2)としている。
本実施例では、ストークス光を生成するYbファイバレーザの帯域幅を10nm以上、構成によっては30nm以上に広帯域化することができる。Ybファイバレーザ光の波長を1030nm、波長掃引幅を±15nmとし、ポンプ光であるチタンサファイアレーザ光の波長を790nmとすると、式(2)より、SRS計測が可能な波数域は最小2806cm−1から最大3089cm−1までとなる。これは、CH伸縮領域のほぼ全域でSRS計測を行うことができることを示している。そのため、本実施例では可変波長選択フィルタ106を高速に駆動することで、CH伸縮領域における高速ラマンスペクトル計測を実現できる。また、低速ではあるが、チタンサファイアレーザの発振波長の変更と組み合わせることで、500cm−1から3500cm−1の広範囲において約300cm−1ごとに高速ラマンスペクトル計測を実現できる。
図3は、パルス発振時の時間波形を示す。図3に示されているように、パルス発振は40.2MHzとなった。また、出射パワーは励起用レーザダイオード出力最大で120mWとなった。これは、散逸性ソリトンパルスレーザを用いない特許文献1の構成による実験値30mWよりも高出力である。
また、特許文献1の構成によるYbファイバレーザは、発振スタート時に位相変調器に対して外部信号入力を必要とするが、本実施例の構成では外部信号入力を用いることなくセルフスタート発振することも確認できた。
また、図4は本実施例のYbファイバレーザ104によって得られた光スペクトルを示しており、非特許文献2で示されている散逸ソリトン特有の両端にピークを有する広帯域な発振が確認できる。図5は、本実施例のYbファイバレーザ104における自己相関波形を示しており、サイドピーク等のないシングルパルス発振を確認できる。
図6は、図1の構成を用いて市販のファイバレーザ光源とのパルス同期を行った結果を示す。具体的には、図6は、市販のファイバレーザ光源(790nm、80.4MHz)の出力と、Ybファイバレーザ104の出力とを別個のフォトディテクタで受光し、それらの出力をオシロスコープで同時に表示した際のディスプレイ画面を再現したものである。上段のパルス列は市販のファイバレーザ光源(790nm、80.4MHz)の出力を示し、下段のパルス列はYbファイバレーザ104の出力を示す。このように、オシロスコープのトリガーがかかった一方のパルス列に対し他方のパルス列が静止して表示され、2光源のパルス同期を確認できた。
以上のように、ファイバ型位相変調器208をスペクトルフィルタ205とYbファイバ211の間に配置した本実施例の構成で、散逸ソリトンの発振が可能であり、かつ、位相変調により別光源とのパルス同期が可能であることを実験的に示すことができた。
本実施例では、光偏向素子115としてガルバノミラーを用いて試料118上で集光点の2次元走査を行う場合について説明した。しかし、1軸のガルバノミラーによる走査(ラインスキャン)と、その走査方向に直交する方向への試料駆動ステージ119の駆動とを組み合わせることで、試料118上の集光点の2次元走査を実現してもよい。また、試料駆動ステージ119のみを2次元面内で駆動するようにしてもよい。また、画像化する必要がないのであれば、光偏向素子115の走査を行わずに、試料118上の1点におけるラマンスペクトル計測を行えばよい。
本実施例では、チタンサファイアレーザ101の繰り返し周波数をYbファイバレーザ104の繰り返し周波数の2倍となるように構成したが、繰り返し周波数が同じ別の種類のレーザを用いてもよい。その場合、強度、波長および偏光状態のいずれかを外部入力信号によって変調する方法を用いて、任意の繰り返し周波数でチタンサファイアレーザ光またはYbファイバレーザ光を変調し、変調されていない光を変調周波数によってロックイン検出する。
また、本実施例ではYbファイバを用いるファイバレーザの構成例を示したが、所望の波長に応じて適宜、別のファイバへ変更することができる。例えば、Ndファイバ(900nm帯、または1060nm帯発振)、Prファイバ(1280nm帯)、Erファイバ(1560nm帯)、Tmファイバ(1.9μm帯)等がある。また、希土類を添加するファイバはシリカファイバでなくフッ化物ファイバでもよい。
また、偏光制御素子202および203の代わりに可飽和吸収体を用いてもよい。
また、SRS信号ではなくCARS(Coherent Anti−Stokes Raman Scattering)信号を計測するように装置を構成してもよい。例えば、非検出光カットフィルタ121を、CARS信号の波長帯のみを透過するフィルタへ変更することでCARS信号を検出できる。この場合、チタンサファイアレーザ101、Ybファイバレーザ104の繰り返し周波数は同じでもよく、ロックインアンプ123はなくしてもよい。また、光検出器122には光電子増倍管を用いるとよい。
また、CRS計測に限定せず、本実施例の手法によって、パルス同期した2光源を用いる多光子吸収、多光子蛍光を計測する光学装置や顕微鏡を構成してもよい。
本実施例によれば、小型安定で高出力なYbファイバレーザ、及びそれを用いることで、コンパクトな構成でありながら安定的に高速かつ高感度な計測を行える計測装置を実現することができる。
実施例1では、空間型の素子を用いる例を示したが、ファイバ素子のみで構成することもできる。本実施例におけるファイバ素子のみを用いた第2の光源104(Ybファイバレーザ)の構成を、図7を用いて説明する。実施例1と共通する部分については説明を省略する。
701は偏光コントローラ(偏光制御素子)、702はファイバ型偏光ビームスプリッタ(偏光依存型アウトプットカプラ)、703は偏波保持ファイバコリメータ、704はファイバ型スペクトルフィルタを示す。また、705は偏波保持型のファイバアイソレータ、706はファイバディレイラインを示す。707から710は、実施例1の208から211と同様の構成である。素子間を繋ぐファイバは、いずれも光を単一のモードで伝送するシングルモード型である。また、これら共振器内の物質は、全て正常分散媒質である。
図7の構成の場合、偏光ビームスプリッタ702とYbファイバ211との間のファイバ素子の一部、またはその全てを偏波保持型で構成してもよい。
ファイバ型スペクトルフィルタ704には、例えば対向したファイバコリメータ対の間に波長フィルタを配置したフィルタモジュールやファイバブラッググレーティング(FBG)を用いる。ファイバディレイライン706には、例えば対向したファイバコリメータ対の一方に自動ステージを備えたモジュールを用いる。このようにファイバ素子で共振器を構成することで、さらに小型で安定なYbファイバレーザ、及びそれを用いた計測装置を実現できる。
実施例1では位相を変調するためにファイバ型位相変調器を用いたが、実施例3ではファイバ型位相変調器の代わりに空間型位相変調器を用いる。本実施例における第2の光源104(Ybファイバレーザ)の構成を図8に示す。実施例1と共通する部分については説明を省略する。
上述の様に、本実施例では、実施例1のファイバ型位相変調器208の代わりに空間型位相変調器807を用いる。801から806は実施例1の201から206と同様の構成であり、808は実施例1の207と同様の構成であり、809から812は実施例1の209から212と同様の構成である。素子間を繋ぐファイバは、いずれも光を単一のモードで伝送するシングルモード型である。また、これら共振器内の物質は、全て正常分散媒質である。
空間型位相変調器の透過率は、通常、95%以上となる。そのため、空間型位相変調器807を用いることで、共振器の光損失をより小さくすることができ、高出力で安定なYbファイバレーザ、及びそれを用いた計測装置を実現できる。
空間型位相変調器は、ファイバ型位相変調器に対して低速であるため、周波数の高いパルスタイミングずれ(ジッタ)に対する制御の追従性が低下し、タイミングジッタが増加する傾向にある。そこで、許容可能なジッタ量に応じて共振器構成を使い分ける。
実施例4では実施例3と同様に、位相変調部113の光損失を最小限に抑える構成とする。本実施例の第2の光源104(Ybファイバレーザ)の構成を、図9を用いて説明する。実施例1と共通する部分については説明を省略する。
本実施例では、ファイバ型位相変調器208の代わりにピエゾチューブ908を用いる。901から907は実施例1の201から207と同様の構成であり、909から912は実施例1の209から212と同様の構成である。素子間を繋ぐファイバは、いずれも光を単一のモードで伝送するシングルモード型である。これら共振器内の物質は、全て正常分散媒質である。
ピエゾチューブ908には、Ybファイバレーザ104を構成するファイバの一部が素線の状態で接着されている。ピエゾチューブ908は電圧を印加されることで径方向に伸縮することができるため、接着されたファイバの長さを微小に変化させることができる。これにより、共振器長を微小範囲で調節することができる。
本実施例の構成は、ピエゾチューブ908をファイバに接着するのみであり、光ファイバの曲げ曲率が小さくなりすぎない限り、原理的に光損失が発生しない。従って、高出力で安定なYbファイバレーザおよび計測装置を実現できる。また、ピエゾチューブ908の代わりに、他のピエゾアクチュエータを用いてもよい。例えば1軸方向に伸縮するピエゾステージ上にファイバを接着する構成としてもよい。
実施例3における空間型位相変調器と同様に、ピエゾアクチュエータはファイバ型位相変調器に対して低速であるため、周波数の高いパルスタイミングずれ(ジッタ)に対する制御の追従性が低下し、タイミングジッタが増加する傾向にある。そこで、許容可能なジッタ量に応じて共振器構成を使い分ける。
本実施例によれば、共振器の光損失をより小さくすることができ、高出力で安定化したYbファイバレーザ、及びそれを用いた計測装置を実現できる。
実施例5では、発振を安定化するために、第2の光源104(Ybファイバレーザ)に共振器内のパワーを検出し、そのパワーを一定にようにフィードバック制御を行う構成を含む。以下において、本実施例の第2の光源104の構成を、図10を用いて説明する。実施例1と共通する部分については説明を省略する。
1001から1012は、実施例1の201から212と同様の構成である。素子間を繋ぐファイバは、いずれも光を単一のモードで伝送するシングルモード型である。また、これら共振器内の物質は、全て正常分散媒質である。
本実施例では、波長分割多重ファイバカプラ1010及びYbファイバ1011に偏波保持型のものを用いる。1013は偏波保持型のファイバカプラ(光分岐手段)、1014はフォトディテクタ(センサ)、1015はフィードバック回路、1016はロータリーステージ(自動回転ステージ)である。
ファイバカプラ1013は、Ybファイバ1011からの光を分岐する光分岐手段である。分岐する光は共振器内のパワーを計測するためだけのものであるため、共振器内の透過成分の1%以下でよい。フォトディテクタ1014は、分岐された光のパワー(強度)を検出する。フィードバック回路1015(フィードバック制御手段)は、ロータリーステージ1016へフィードバック信号を送出する。ロータリーステージ1016は、フィードバック回路1015からのフィードバック信号を受けて、λ/2板の角度を回転させる。これにより、フォトディテクタ1014で検出されるパワー(光強度)が一定となるようにアウトプットカプラにおける分岐比を調節する。その結果、偏波保持型でないファイバへの入力パワーを一定にし、外乱による共振器内部における偏光の乱れによる発振の不安定化を抑制できるため、より安定な発振を実現することができる。
フィードバック回路1015は、励起用レーザダイオード1009へフィードバック信号を送出し、その励起パワーを制御することによってフォトディテクタ1014の出力を一定化してもよい。また、共振器内部のパワーを監視するための光分岐手段の挿入位置は、Ybファイバ1011の直後に限らず、例えばアイソレータ1106とファイバコリメータ1107の間やファイバ型位相変調器1108の直後でもよい。その場合は光分岐のためにガラスウィンドウ等のビームサンプラを用いるとよい。
本実施例によれば、外乱の影響を低減し、第2の光源の出力を安定化させることができる。そのため、それを用いた計測装置による計測もより安定的に行うことができる。
実施例6では、実施例5と異なる構成により発振を安定化させる。以下において、本実施例の第2の光源104の構成を、図11を用いて説明する。実施例1や実施例5と共通する部分については説明を省略する。
1101から1112は、実施例1における201から212と同様の構成である。素子間を繋ぐファイバは、いずれも光を単一のモードで伝送するシングルモード型である。また、これら共振器内の物質は、全て正常分散媒質である。
本実施例では、点線部以外のファイバ素子およびファイバを全て偏波保持型で構成する。1113は、防振素子であり、偏波保持型でないファイバ部を振動等の外乱から遮断する。1113には除震台、並びに除震性能の高いブレッドボード及び筺体を用いる。1114は、偏波保持型でないファイバ部の温度一定にする温度制御素子であり、ペルチェ素子や空調ファンを用いる。この構成によれば、防振素子1113および温度制御素子1114によって共振器内で外乱の影響を受けやすいファイバ部の出力を安定にすることができるので偏光の変動が抑制される。そのため、第2の光源104(Ybファイバレーザ)の発振を安定化することができ、それを用いた計測装置による計測もより安定的に行うことができる。
各実施例では、試料を透過した光に対する計測を行う構成例を示した。しかし、厚みのある試料を計測するために、試料からの後方散乱光に対する計測を行う構成に変更してもよい。また、試料へ光を照射する部分をプローブ化して、誘導ラマン散乱計測装置の1つである内視鏡を構成してもよい。また、各実施例の構成を、適宜、組み合わせてもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
パルス同期した2光源を用いて、多光子吸収や多光子蛍光を計測する計測装置、例えば、広い波長帯域で物質の形状観察や組成特定が可能な光学装置、及びこれを用いた顕微鏡等を提供することができる。
100 SRS計測装置
104 Ybファイバレーザ
113 位相変調部
118 試料

Claims (15)

  1. 互いに異なる波長を有する第1の光パルス列と第2の光パルス列とを試料に照射して当該試料からの光を計測する計測装置に用いられる、前記第2の光パルス列として散逸ソリトンを発振するファイバレーザであって、
    前記第1の光パルス列に前記第2の光パルス列を同期させるように前記第2の光パルス列の位相を変調する位相変調手段を有することを特徴とするファイバレーザ。
  2. 該ファイバレーザの共振器の光路上に、前記位相変調手段と、スペクトルフィルタと、ゲインファイバとを有し、
    前記位相変調手段は、光路上の前記スペクトルフィルタと前記ゲインファイバの間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のファイバレーザ。
  3. 前記位相変調手段は、ファイバ型位相変調器であることを特徴とする請求項1又は2に記載のファイバレーザ。
  4. 該ファイバレーザの共振器の光路上に、前記位相変調手段と、アイソレータと、スペクトルフィルタと、偏波保持ファイバコリメータとを有し、
    前記偏波保持ファイバコリメータは、前記アイソレータまたは前記スペクトルフィルタからの出射光の偏光と前記偏波保持ファイバコリメータの偏光軸とが一致するように配置されること、を特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載のファイバレーザ。
  5. 該ファイバレーザの共振器の光路上に、前記位相変調手段と、偏波保持ファイバコリメータと、前記偏波保持ファイバコリメータに入射する光の偏光を前記偏波保持ファイバコリメータの偏光軸と一致させるλ/2板と、を有することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載のファイバレーザ。
  6. 該ファイバレーザの共振器の光路上に、前記位相変調手段と、偏波保持ファイバコリメータとを有し、
    前記ファイバ型位相変調器は、前記偏波保持ファイバコリメータと偏光軸を一致させた状態で融着接続されていることを特徴とする請求項3に記載のファイバレーザ。
  7. 前記位相変調手段は、前記ファイバレーザのファイバの一部を接着したピエゾアクチュエータであり、前記ピエゾアクチュエータに電圧を印加することで接着されたファイバの長さを変化させることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載のファイバレーザ。
  8. 該ファイバレーザの共振器の光路上に、前記位相変調手段と、ゲインファイバと、前記共振器の外に散逸ソリトンを出力するアウトプットカプラとを有し、
    前記アウトプットカプラは、偏光依存型であり、
    前記アウトプットカプラと前記ゲインファイバとの間のファイバ素子の少なくとも一部は、偏波保持型であることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載のファイバレーザ。
  9. 該ファイバレーザの共振器の光路上に、前記位相変調手段と、偏光制御素子と、ゲインファイバと、前記共振器の光路上の光の強度を検出する検出手段とを有し、
    前記検出手段からの出力に基づいて該出力が一定となるように、前記ゲインファイバを励起する半導体レーザのパワー、または前記偏光制御素子を制御するフィードバック制御手段を更に備えること、を有することを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項に記載のファイバレーザ。
  10. 該ファイバレーザの共振器の光路上に、前記位相変調手段と、ゲインファイバと、前記共振器の外に散逸ソリトンを出力するアウトプットカプラとを有し、
    前記アウトプットカプラから前記ゲインファイバまでの全てのファイバ素子は、偏波保持型で構成され、
    偏波保持型でないファイバ素子の温度を一定にする温度制御素子と、前記偏波保持型でないファイバ素子を外部の振動から遮断する防振素子と、の少なくとも一方を更に備えることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか1項に記載のファイバレーザ。
  11. 前記位相変調手段は、更に光軸方向に駆動するピエゾステージ若しくはモーターステージ、又はディレイラインを含むことを特徴とする請求項1から10のうちいずれか1項に記載のファイバレーザ。
  12. 互いに異なる波長を有する2つの光パルス列を試料に照射して当該試料からの光を計測する計測装置に用いられる光学装置であって、
    第1の光パルス列を生成する第1の光源装置と、
    前記第1の光パルス列とは異なる波長を有する第2の光パルス列を生成する第2の光源装置と、
    前記第1の光パルス列及び前記第2の光パルス列のパルスタイミングを検出するパルスタイミング検出手段と、
    前記パルスタイミングに基づいて、前記第1の光パルス列と前記第2の光パルス列とが同期するように前記第2の光源装置を制御する同期制御手段と、を有し、
    前記第2の光源装置は、前記第2の光パルス列として散逸ソリトンを発振するファイバレーザであり、前記第2の光パルス列の位相を変調する位相変調手段を有し、
    前記同期制御手段は、前記パルスタイミングに基づいて前記位相変調手段を制御することで、前記第1の光パルス列と前記第2の光パルス列とを同期させることを特徴とする光学装置。
  13. 前記第2の光源装置から出力された前記第2の光パルス列をフィルタリングして、波長を選択する可変波長選択フィルタを更に有することを特徴とする請求項12に記載の光学装置。
  14. 請求項12又は13に記載の光学装置と、
    前記光学装置からの互いに同期した前記第1の光パルス列と前記第2の光パルス列を前記試料に照射し、前記試料からの光を測定する計測する計測手段と、
    を有する計測装置。
  15. 前記計測手段は、前記第1および第2の光パルス列を試料に照射することで生じた誘導ラマン散乱により変調された光の強度を測定することを特徴とする請求項14に記載の計測装置。
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