JP2008294090A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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昌彦 阪田
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Abstract


【課題】 2波長モノシリック半導体レーザに適する、出射効率がよく、保護膜として高い信頼性を有する反射側端面コート膜構造を備えた半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】 半導体レーザ素子は、異なる波長のレーザ光を出射するレーザ素子本体と、半導体レーザ素子の出射端面とは反対側の反射端面上に設けられた端面コート膜とを含み、端面コート膜は、少なくとも3種類以上の屈折率の誘電体膜を組合せて積層して形成し、かつ各レーザ光の波長について90%以上の反射率を有する。また、誘電体膜のそれぞれの膜厚は、その誘電体膜の屈折率をnとし、レーザ光の波長をそれぞれλ1,λ2としたときに、(λ1+λ2)/8nを満たす。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高い信頼性を有する反射側端面コート膜構造を備えた2波長モノシリック半導体レーザ素子に関する。
半導体レーザ素子は、ウエハ劈開によって共振器端面が形成され、この共振器端面に誘電体膜が形成されている。この端面に形成されるこの誘電体の種類、膜厚、層数を任意に選ぶことによって、共振器端面における反射率を所望の反射率に制御することができる。
しかし、誘電体膜に光吸収がある場合、誘電体膜は光吸収によって発熱して、端面温度が急激に上昇し、温度上昇によって半導体レーザ素子部のバンドギャップが小さくなり、さらに光吸収が大きくなり温度が上昇するという正帰還ループを起こす。そして、最後にはレーザ端面が破壊され、レーザ発振が停止するという現象を引き起してしまう。この現象を一般的に瞬間光学損傷(Catastrophic Optical Damage、以下、CODと省略する。)と呼ぶ。
また、高出力半導体レーザ素子において重要な特性のひとつである外部微分量子効率を改善するため、共振器端面の反射率が片側10%以下、もう一方が90%以上となるような非対称の端面コート膜が一般的である。ここで、外部微分量子効率とは、注入キャリア1個につき、外部に放出される光子の数をいう。共振器端面にレーザチップの屈折率より大きい膜を用いても、1層では十分高い反射率が得られないため、半導体レーザの発振波長をλとした場合、半導体レーザ素子本体寄りからの第1層および第3層に厚さがλ/4であるAl膜、第2層および第4層に厚さがλ/4であるアモルファスSiを交互に積層する。この場合、約90%以上の高反射率の保護膜を形成することが可能となる。
図15は、従来の780nm帯の半導体レーザ素子60の構造を示す断面図である。
半導体レーザ素子60は、活性層58を形成する半導体レーザ素子本体52、半導体レーザ素子本体52の出射端面に設けられた出射側端面コート膜51、半導体レーザ素子本体52の出射端面とは反対側の反射端面に設けられた反射側端面コート膜57を有する。
反射側端面コート膜57は、Al53,55とアモルファスSi(以下a−Siと略す)54,56を交互に積層した層で構成される。活性層58の屈折率が3.669であり、Al53,55の屈折率が1.640であり、a−Si54,56の屈折率が3.200である場合、波長が780nmの半導体レーザ素子60の反射側端面コート膜57において、4層で92%の反射率を実現できる。
また、第1の従来技術では、複数のレーザ光を出射する半導体レーザ素子において、複数のレーザ光に対して反射光が極値となるように反射側端面コート膜の膜厚を設定している(たとえば、特許文献1参照)。
第2の従来技術では、2波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子において、所望の反射率を有し、一括形成の可能な反射側端面コート膜を提供することを目的として、低屈折率材料および高屈折率材料の薄膜を交互に積層し、反射率が80%になるように膜厚を設定している反射側端面コート膜を備える。(たとえば、特許文献2参照)。
第3の従来技術では、2波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子において、所望の反射率を有する出射側端面コート膜を提供することを目的として、出射側端面コート膜の屈折率および膜厚を設定している(たとえば、特許文献3参照)。
第4の従来技術では、半導体レーザ素子は、COD劣化を大幅に改善することを目的として、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化シリコンなどの材料を用いた反射側端面コート膜を備えている(たとえば、特許文献4参照)。
第5の従来技術では、複数のレーザ光を出射する半導体レーザ素子において、所望の反射率を有する出射側端面コート膜を提供することを目的として、反射側端面コート膜を構成する誘電体薄膜層および誘電体厚膜層の膜厚を設定している(たとえば、特許文献5参照)。
特開2001−77456号公報 特開2001−257413号公報 特開2002−223030号公報 特開2004−327581号公報 特開2006−303041号公報
しかしながら、第1の従来技術においては、また、レーザ光の波長に応じて反射側の端面コート膜の膜厚を変更する必要があり、また、端面コート膜において安定して90%以上の高反射率を得ることができない。
第2、第3および第5の従来技術においては、反射側の端面コート膜において、安定して90%以上の高反射率を得ることができない。
第4の従来技術においても、反射側の端面コート膜においてCOD劣化は改善されているが、安定して90%以上の高反射率を得ることができない。
さらに、近年、波長が660nm帯と780nm帯半導体レーザ素子を単一基板上に形成した高出力の2波長の半導体レーザ素子の需要が増えてきているが、単一基板上に形成されているため、660nm帯と780nm帯の半導体レーザに対して同一の端面コート膜を形成する必要がある。
図16は、半導体レーザ素子における反射側端面コート膜のレーザ光の反射率を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を表し、グラフの縦軸は反射率(%)を表す。
前記半導体レーザ素子は、660nmと780nm両波長の算術平均波長である720nmにおけるλ/4の膜厚で積層している。
表1は、図16の半導体レーザ素子の反射側端面コート膜を構成する誘電体膜の屈折率、膜厚および組成を示している。なお、半導体レーザ素子本体に面した誘電体膜から第1層としている。
Figure 2008294090
図16では、660nmにおける反射率は92%、780nmにおける反射率は91%となり、反射率は90%を超えるが、生産工程を考えた場合、各誘電体膜の膜厚が±5%程度変動する可能性を考慮する必要がある。
図17は、図16の半導体レーザ素子の反射側端面コート膜を構成するすべての誘電体膜の膜厚を5%増加させた場合のレーザ光の反射率を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を表し、グラフの縦軸は反射率(%)を表す。
誘電体膜の膜厚を5%増加させた場合、660nmでの反射率は77%、780nmでの反射率は94%となり、安定して90%以上の高反射率を得ることができない。この場合において、高反射率を得るために誘電体膜の数を増加することは、誘電体膜の剥れなどの問題が起こるため、有効な解決手段ではない。
また、反射側端面コート膜が前記2つの波長の領域で高反射率となるようにするため、2つの波長のほぼ中心波長にピークを持つように、反射側端面コート膜を構成する層数を偶数とし、nを任意の自然数、膜厚をλ/4nとする場合、誘電体膜の膜厚が変動してずれていくごとに一方の波長の反射率が低くなり、出射面側からの光出射が小さくなる場合がある。
製造工程で誘電体膜の膜厚が変動し、誤差が生じた場合においても高い反射率を得るために最も有効な手段は、屈折率差が大きな2つの誘電体膜を使用することである。この場合、アモルファスシリコン(以下、a−Siと省略する)などの半導体材料は非常に屈折率が高いが、a−Siは光吸収係数を有し、波長が645nmでは吸収係数αは、α=3307/cmであり、波長が805nmでは吸収係数αは、α=937/cmである。
図18は、分光エリプソメータで測定したアモルファスシリコンの吸収係数の波長依存性を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を表し、グラフの縦軸は吸収係数α(cm−1)を表す。
図18に示すように、a−Siは780nm付近から吸収係数を持っており、660nmでの吸収係数はかなり大きくなる。このため、単純に低屈折率であるAlもしくはSiOからなる誘電体膜と高屈折率であるa−Siからなる誘電体膜とを組合せ、反射側端面コート膜の高反射率を実現しても、a−Siの光吸収のため、CODが低下するという問題が発生し、高反射率の反射側端面コート膜を実現するための屈折率差の大きい材料としてa−Siを用いることはできない。
このように、2波長モノシリック半導体レーザにおいて、レーザ光に対する反射率が、外部微分効率が良好となる90%以上であるとともに、CODが発生しない反射側端面コート膜を得るのは困難であった。
本発明の目的は、2波長モノシリック半導体レーザに適する、出射効率がよく、保護膜として高い信頼性を有する反射側端面コート膜構造を備えた半導体レーザ素子を提供することである。
本発明は、異なる波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子本体と、
前記半導体レーザ素子の出射端面とは反対側の反射端面上に設けられ、少なくとも3種類以上の屈折率の誘電体膜が積層されて形成され、かつ前記半導体レーザ光の波長について90%以上の反射率を有する端面コート膜とを含み、
前記誘電体膜のそれぞれの膜厚は、それぞれの誘電体膜の屈折率をnとし、前記レーザ光の波長をそれぞれλ1,λ2としたときに、
(λ1+λ2)/8n
を満たすことを特徴とする半導体レーザ素子である。
また本発明は、前記屈折率の種類の数は3に選ばれ、
それぞれの屈折率をn1,n2,n3(n1<n2<n3)としたとき、
前記各誘電体膜のうち、
屈折率がn1の誘電体膜は、前記半導体レーザ光の波長λ1,λ2における光吸収係数をαとしたときに、α=0cm−1を満たし、
屈折率がn2の誘電体膜は、前記半導体レーザ光の波長λ1,λ2における光吸収係数をαとしたときに、α=0cm−1を満たし、
屈折率がn3の誘電体膜は、アモルファスSiおよびGeのうちのいずれかによって構成され、
前記端面コート膜のうち、前記半導体レーザ素子本体寄りの4層は、屈折率がn1の誘電体膜と屈折率がn2の誘電体膜とが交互に積層されて形成され、
前記端面コート膜のうち、前記4層を除いた残りの層は、屈折率がn1の誘電体膜と屈折率がn3の誘電体膜とが交互に積層されて形成されることを特徴とする。
また本発明は、前記端面コート膜において、前記誘電体膜が7層以上10層以下に積層されることを特徴とする。
また本発明は、前記各誘電体膜のうち、
屈折率がn1の誘電体膜は、AlおよびSiOのうちのいずれかによって構成され、
屈折率がn2の誘電体膜は、Ta、TiO、ZrO、およびNbのうちのいずれかによって構成されることを特徴とする。
本発明によれば、半導体レーザ素子は、異なる波長のレーザ光を出射するレーザ素子本体と、半導体レーザ素子の出射端面とは反対側の反射端面上に設けられた端面コート膜とを含み、端面コート膜は、少なくとも3種類以上の屈折率の誘電体膜を組合せて積層して形成し、かつ各レーザ光の波長について90%以上の反射率を有するので、注入キャリア1個につき外部に放出される光子の数である外部微分効率が良好となる。
また、誘電体膜のそれぞれの膜厚は、それぞれの誘電体膜の屈折率をnとし、レーザ光の波長をそれぞれλ1,λ2としたときに、(λ1+λ2)/8nを満たすので、レーザ光に対して高い反射率を得ることができる。
したがって、2波長モノシリック半導体レーザに適する、出射効率がよく、保護膜として高い信頼性を有する反射側端面コート膜構造を備えた半導体レーザ素子を提供できる。
また本発明によれば、半導体レーザ素子は、端面コート膜が3種類の屈折率の誘電体膜が積層されて形成され、それぞれの屈折率をn1,n2,n3(n1<n2<n3)としたとき、また、端面コート膜のうち、半導体レーザ素子本体寄りの4層は、半導体レーザ光の波長λ1、λ2における光吸収係数α=0cm−1を満たし、かつ屈折率がn1の誘電体膜および屈折率がn2の誘電体膜が交互に積層されて形成され、前記4層を除いた残りの層は、屈折率がn1の誘電体膜と、アモルファスSiまたはGeによって構成される屈折率がn3の誘電体膜とが交互に積層されて形成される。これによって、半導体レーザ素子本体寄りの4層は光を吸収しないため、660nmでの吸収係数が大きく、従来、高反射率の反射側端面コート膜を実現するための屈折率差の大きい材料として用いることはできなかったa−Siを、前記4層を除いた残りの層に用いることができるようになり、2波長モノシリック半導体レーザにおいて、レーザ光に対する反射率が、外部微分効率が良好となる90%以上となるとともに、CODが発生しない反射側端面コート膜を得ることが可能となる。
また本発明によれば、半導体レーザ素子は、前記端面コート膜において、前記誘電体膜が7層以上10層以下に積層されるので、660nm帯の赤色レーザおよび780nm帯の赤外レーザの反射率を安定して90%以上にすることができる。また、端面コート膜の膜数が少なくてすみ、膜剥れが改善されて歩留りを向上させることができる。
端面コート膜が、11層をこえると、膜剥れなどの歩留まり上の問題を起こし、6層以下の場合は、反射率を90%以上にすることができない。
また本発明によれば、屈折率がn1の誘電体膜は、AlおよびSiOのうちのいずれかによって構成され、屈折率がn2の誘電体膜は、Ta,TiO,ZrO,およびNbのうちのいずれかによって構成されるので、半導体レーザ素子本体寄りの4層には、アルミナおよび酸化タンタルのように屈折率が異なる誘電体膜のペアによって構成されるので、660nm帯に吸収係数を有するa-SIを反射側端面コート膜に用いても、光吸収が抑制されて高出力のレーザ光を得ることができる。さらに、生産工程で各誘電体膜の膜厚が±5%程度変動する場合であっても、2波長帯での反射率を90%以上確保することができる。
図1は、本発明の実施の一形態の半導体レーザ素子50の構造を概略的に示す断面図である。
半導体レーザ素子50は、活性層12を有する半導体レーザ素子本体2、半導体レーザ素子本体2の出射端面48に設けられる出射側端面コート膜1、半導体レーザ素子本体2の出射端面48とは反対側の反射端面49に設けられる反射側端面コート膜11を有する。
反射側端面コート膜11は、あわせて3種類の屈折率の誘電体膜から構成され、低屈折率の誘電体膜および高屈折率の誘電体膜を交互に積層して8層から構成される。各誘電体膜の屈折率をn1,n2,n3(n1<n2<n3)とし、半導体レーザ素子本体2側から順番に第1層〜第8層を3〜10としたとき、第1層3、第3層5、第5層7および第7層9は屈折率がn1の誘電体膜であってSiOによって形成され、第2層4および第4層6は屈折率がn2の誘電体膜であってTaによって形成され、第6層8および第8層10はa−Siで形成される。また、誘電体膜のそれぞれの膜厚は、それぞれの誘電体膜の屈折率をnとし、前記レーザ光の波長をそれぞれλ1,λ2としたときに、(λ1+λ2)/8nとなるように選ばれる。
本発明の半導体レーザ素子50における反射側端面コート膜11は、低屈折率の誘電体膜およびa−Siから成る高屈折率の誘電体膜のペアが、第5層目以降に積層される。
図2は、半導体レーザ素子本体2の構造を示す断面図である。半導体レーザ素子本体2はモノリシック型2波長半導体レーザであり、n型GaAs基板14に、CD(
Compact Disk)に書き込まれた情報の読み取り用のCD用半導体レーザ素子30と、DVD(Digital Versatile Disk)に書き込まれた情報の読み取り用のDVD用半導体レーザ素子40とが、並列配置された構造を有している。
CD用半導体レーザ素子30は、GaAs基板14の上に、n型GaAsバッファ層15、n型AlGaAsクラッド層16、活性層17、p型AlGaAsクラッド層18およびp型GaAsコンタクト層19が、順次積層された構造を有している。上記p型AlGaAsクラッド層18およびp型GaAsコンタクト層19は、テラス構造を有するとともに、中央部が導波路であるリッジ部を構成している。このリッジ部は、直方体形状のp型GaAsコンタクト層19およびp型AlGaAsクラッド層18の前駆体をエッチングすることで形成されている。
p型AlGaAsクラッド層18およびp型GaAsコンタクト層19のテラス構造を形成した後は、n型GaAs基板14上の半導体積層体をSiOで構成される誘電体膜で覆い、p型GaAsコンタクト層19の中央のリッジ部上部の誘電体膜を除去し、電流経路を確保して誘電体膜20を形成している。
p型GaAsコンタクト層19の中央のリッジ部上にはAuZn電極21が形成されており、AuZn電極21および誘電体膜20上に、MoAu電極22が形成されている。更に、MoAu電極22上に、P型メッキ電極23が形成されている。
また、n型GaAs基板14の研磨後、n型GaAs基板14のリッジ部側と反対側の表面に、3層のn型電極13が真空蒸着法もしくはスパッタ法にて形成されている。
DVD用半導体レーザ素子40は、GaAs基板14の上に、n型GaAsバッファ層24、n型AlGaInPクラッド層25、活性層26、p型AlGaInPクラッド層27およびp型GaAsコンタクト層28が、順次積層された構造を有している。上記p型AlGaInPクラッド層27およびp型GaAsコンタクト層28は、テラス構造を有するとともに、中央部が導波路であるリッジ部を構成している。
p型GaAsコンタクト層28上部の誘電体膜29、AuZn電極30、MoAu電極31、P型メッキ電極32についても、CD用半導体レーザ素子30と同様に形成されている。
このモノリシック型2波長半導体レーザ装置は、CD用半導体レーザ素子30とDVD用半導体レーザ素子40とのp型GaAsコンタクト層19,28、誘電体膜20,29、AuZn電極21,30、MoAu電極22,31、およびP型メッキ電極23,32が同一プロセスで形成されている。
表2は、反射側端面コート膜11の各誘電体膜の屈折率および厚みを示した表である。
Figure 2008294090
図3は、半導体レーザ素子50における反射側端面コート膜11のレーザ光の反射率を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を表し、グラフの縦軸は反射率(%)を表す。
上記構成において660nmでの反射率98.5%、780nmでの反射率98.7%が実現できる。また、CODは660nm帯、780nm帯共に350mWにおいても発生しなかった。
図4は、各誘電体膜のすべての膜厚がそれぞれ5%厚くなった場合の反射側端面コート膜11のレーザ光の反射率を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を表し、グラフの縦軸は反射率(%)を表す。
すべての膜厚が5%厚くなった場合においても660nmでの反射率96.6%、780nmでの反射率99.0%となり、90%以上の反射率を得ることができる。
図5は、各誘電体膜のすべての膜厚がそれぞれ5%薄くなった場合の半導体レーザ素子50における反射側端面コート膜11のレーザ光の反射率を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を表し、グラフの縦軸は反射率(%)を表す。
すべての膜厚が5%薄くなった場合においても、660nmでの反射率99.0%、780nmでの反射率97.7%となり、90%以上の高反射率を得ることができる。
図6は、半導体レーザ素子における反射側端面コート膜が6層(第1層、第3層および第5層がSiO2、第2層、第4層および第6層がTa)の場合のレーザ光の反射率を示すグラフであり、図7は、半導体レーザ素子における反射側端面コート膜が5層(第1層、第3層および第5層がSiO2、第2層および第4層がTa)の場合のレーザ光の反射率を示すグラフである。グラフの横軸は波長(nm)を表し、グラフの縦軸は反射率(%)を表す。
半導体レーザ素子は、660nmと780nm両波長の算術平均波長である720nmにおけるλ/4の膜厚で積層している。図6および図7に示すように、660nmと780nm両波長の算術平均波長である720nmにおいて、反射側端面コート膜が6層の場合は、反射率は80.079%、反射側端面コート膜が5層の場合は、反射率は、61.611%となり、反射率を90%以上にすることができない。
本発明の反射側端面コート膜は、レーザ光の波長をそれぞれλ1,λ2としたときに、膜厚が(λ1+λ2)/8nの誘電体膜が7層以上有することによって、反射率を90%以上にすることができ、発光効率を大きくするのに有効となる。
図8は、a−Siが配置される層とCOD出現する光出力との関係を示すグラフである。グラフの横軸はa−Siが半導体レーザ素子本体2からみて第何層目から配置されているかを表し、グラフの縦軸はCODが出現する光出力(mW)を表す。図9〜図11は、a−Siが配置される層における注入電流と光出力との関係を示すグラフである。図9は、8層の誘電体膜をすべてSiOとa−Siとのペアのみで構成した場合であり、図10は、半導体レーザ素子本体寄りの第1層および第2層をSiOとTaとのペアで積層し、残り第3層から第8層の6層をSiOとa−Siとのペアで積層した場合であり、図11は、半導体レーザ素子本体寄りの第1層から第4層の4層をSiOとTaとのペアで積層し、残り第5層から第8層の4層をSiOとa−Siとのペアで積層した場合である。グラフの横軸は注入電流量(mA)を表し、グラフの縦軸はCODが出現する光出力(mW)を表す。
共振器長L=1865μmの2波長モノリシック半導体レーザ素子装置において、反射側端面コート膜光吸収が問題になる短波側660nm帯におけるCODが出現する光出力を調べ、a−Siを何層目に入れることによって、CODが低下し始めるかについての結果が図8に示されている。
図8および図9に示すように、8層の誘電体膜をすべてSiOとa−Siとのペアのみで構成した場合のCODが出現する光出力は100mW程度で、660nmでの反射率は98.675%、780nmでの反射率は99.094%であった。
図8および図10に示すように、半導体レーザ素子本体寄りの第1層および第2層をSiOとTaとのペアで積層し、残り第3層から第8層の6層をSiOとa−Siとのペアで積層した場合、660nm帯のレーザ光のCODが出現する光出力は200mW程度で、660nmでの反射率は98.866%、780nmでの反射率は99.124%であった。
また、図8および図11に示すように、半導体レーザ素子本体寄りの第1層から第4層の4層をSiOとTaとのペアで積層し、残り第5層から第8層の4層をSiOとa−Siとのペアで積層した場合、660nm帯のレーザ光のCODは発生せず、400mW以上で熱飽和し、660nmでの反射率は98.341%、780nmでの反射率は98.591%であった。
さらに、半導体レーザ素子本体寄りの第1層から第6層の6層をSiOとTaとのペアで積層し、残り第7層から第8層の2層をSiOとa−Siとのペアで積層した場合も660nm帯のレーザ光のCODは発生せず、400mW以上で熱飽和し、660nmでの反射率は96.661%、780nmでの反射率は97.111%であった。
誘電体膜の屈折率差が大きい方が反射率を大きくできることから、できるだけ半導体レーザ素子本体に近い層にa−Siを入れるほうが反射率は向上するが、図8に示すように、CODが発生することになる。よって、半導体レーザ素子本体寄りの5層目以降をSiOとa−Siとのペアで積層することによって、COD発生を防止することができる。
本発明の半導体レーザ素子における反射側端面コート膜によって、単純にAlもしくはSiOで構成される低屈折率の誘電体膜およびa−Siで構成される高屈折率の誘電体膜を組合せて高反射率を実現してもa−Siの光吸収のため、CODが低下してしまうという問題が解消され、かつ90%以上の反射率を実現することができる。
以下本発明の半導体レーザ素子50の反射側端面コート膜11を形成する製造方法について説明する。
図12〜図14は、半導体レーザ装置50の製造方法の概要を示す図である。
図12では、たとえば半導体レーザ素子50を有する半導体レーザウエハ45の特定素子の電極41aと隣接する特定素子の電極41bとの間に、発光部(チャネル)42と直交する方向に、へき開線43をスクライブにより形成する。なお、電極は総称する場合、参照符号41のみで表す。
図13に示すように、半導体レーザウエハ45を、へき開線43に沿ってへき開し、バー状態のレーザチップであるレーザバー44に分割する。
図14では、レーザバー44を、レーザバー固定装置46に電極41面を重ねるように重畳させてセットする。このとき、すべてのレーザバー44において、レーザチップ(バー)の前面側出射面47aおよび後面側反射面47bが同じ向きとなるようにセットする。次にレーザバー固定装置46に固定されたレーザバー44の光出射端面に所定の反射率を有する出射側端面コート膜1の形成を行なう。この場合、一般的に真空蒸着装置、もしくは、スパッタ装置が用いられる。1チップの中に2つの波長を有するレーザチップを蒸着もしくはスパッタにて端面コート膜を形成する場合、2つの波長のレーザ端面に対して一緒に成膜するので、いずれのレーザチップに対しても同じ構造および同じ厚さの膜が形成される。その場合、高出力半導体レーザ装置の後面側で2つの波長のいずれに対しても高反射率とするために、2つの波長のほぼ中心波長に反射スペクトルの反射率のピークが位置するように膜厚を設定する。
出射側端面コート膜1の成膜を完了した後、レーザバー固定装置46を180°反転させ、後面側反射面に薄膜多層と厚膜層とから成る反射側端面コート膜11を成膜する。
反射側端面コート膜11として、図1のようにSiO(n1=1.45)と、Ta(n2=2.16)と、a−Si(n3=3.2、吸収係数α=3000/cm)とを用いた場合、まずλ/(4×n1)、すなわち124.1nmのSiOを形成する。ここでは、λは、660nmおよび780nmの2波長の中心720nmとしている。その後、材料を変更し、λ/(4×n2)、すなわち、83.3nmのTaを形成し、SiOとTaを計4層交互に繰り返す。5層目としてλ/(4×n1)、すなわち、124.1nmのSiOを形成する。再び材料を変え、λ/(4×n3)、すなわち、56.3nmのa−Siを形成する。SiOとa−Siを交互に合計4層繰り返し、合計8層の誘電膜を形成する。このようにして、本発明の半導体レーザ装置50が製造される。
なお、他の実施の形態として、半導体レーザ素子本体寄りの第1層から第4層についてAlの低屈折率の膜と、TiO、ZrO、またはNbなどの高屈折率の膜とを交互に積層してもよく、また、第5層目以降をAlの低屈折率の膜とGeの高屈折率の膜とを交互に積層してもよい。
本発明の実施の一形態の半導体レーザ素子50の構造を示す概略的に示す断面図である。 半導体レーザ素子本体2の構造を示す断面図である。 半導体レーザ素子50における反射側端面コート膜11のレーザ光の反射率を示すグラフである。 各誘電体膜のすべての膜厚がそれぞれ5%厚くなった場合の反射側端面コート膜11のレーザ光の反射率を示すグラフである。 各誘電体膜のすべての膜厚がそれぞれ5%薄くなった場合の半導体レーザ素子50における反射側端面コート膜11のレーザ光の反射率を示すグラフである。 半導体レーザ素子における反射側端面コート膜が6層の場合のレーザ光の反射率を示すグラフである。 半導体レーザ素子における反射側端面コート膜が5層の場合のレーザ光の反射率を示すグラフである。 a−Siが配置される層とCOD出現する光出力との関係を示すグラフである。 a−Siが配置される層における注入電流と光出力との関係を示すグラフである。 a−Siが配置される層における注入電流と光出力との関係を示すグラフである。 a−Siが配置される層における注入電流と光出力との関係を示すグラフである。 半導体レーザ装置50の製造方法の概要を示す図である。 半導体レーザ装置50の製造方法の概要を示す図である。 半導体レーザ装置50の製造方法の概要を示す図である。 従来の780nm帯半導体レーザ素子60の構造を示す断面図である。 半導体レーザ素子における反射側端面コート膜のレーザ光の反射率を示すグラフである。 図16の半導体レーザ素子の反射側端面コート膜を構成するすべての誘電体膜の膜厚を5%増加させた場合のレーザ光の反射率を示すグラフである。 分光エリプソメータで測定したアモルファスシリコンの吸収係数の波長依存性を示すグラフである。
符号の説明
1 出射側端面コート膜
2 半導体レーザ素子本体
3,5,7,9 SiO
4,6 Ta
8,10 a−Si
11 反射側端面コート膜
30 CD用半導体レーザ素子
40 DVD用半導体レーザ素子
48 出射端面
49 反射端面
50 半導体レーザ素子

Claims (4)

  1. 異なる波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子本体と、
    前記半導体レーザ素子の出射端面とは反対側の反射端面上に設けられ、少なくとも3種類以上の屈折率の誘電体膜が積層されて形成され、かつ前記半導体レーザ光の波長について90%以上の反射率を有する端面コート膜とを含み、
    前記誘電体膜のそれぞれの膜厚は、それぞれの誘電体膜の屈折率をnとし、前記レーザ光の波長をそれぞれλ1,λ2としたときに、
    (λ1+λ2)/8n
    を満たすことを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 前記屈折率の種類の数は3に選ばれ、
    それぞれの屈折率をn1,n2,n3(n1<n2<n3)としたとき、
    前記各誘電体膜のうち、
    屈折率がn1の誘電体膜は、前記半導体レーザ光の波長λ1、λ2における光吸収係数をαとしたときに、α=0cm−1を満たし、
    屈折率がn2の誘電体膜は、前記半導体レーザ光の波長λ1、λ2における光吸収係数をαとしたときに、α=0cm−1を満たし、
    屈折率がn3の誘電体膜は、アモルファスSiおよびGeのうちのいずれかによって構成され、
    前記端面コート膜のうち、前記半導体レーザ素子本体寄りの4層は、屈折率がn1の誘電体膜と屈折率がn2の誘電体膜とが交互に積層されて形成され、
    前記端面コート膜のうち、前記4層を除いた残りの層は、屈折率がn1の誘電体膜と屈折率がn3の誘電体膜とが交互に積層されて形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記端面コート膜において、前記誘電体膜が7層以上10層以下に積層されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記各誘電体膜のうち、
    屈折率がn1の誘電体膜は、AlおよびSiOのうちのいずれかによって構成され、
    屈折率がn2の誘電体膜は、Ta、TiO、ZrO、およびNbのうちのいずれかによって構成されることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体レーザ素子。
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