JP2013058583A - 半導体レーザ素子、及び半導体レーザ素子の製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子、及び半導体レーザ素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】窓領域の形成による動作電流や導波損失の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子、及び半導体レーザ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に、量子井戸構造を有する活性層を含む半導体積層部を設けた半導体レーザ素子において、半導体積層部の上部にストライプ状の導波路を形成し、劈開により共振器端面を形成する。基板の主面に対して垂直上方からみた平面視において、共振器端面を形成するための劈開位置に沿う帯状の領域に、活性層の量子井戸構造よりもバンドギャップを広くした窓領域を形成するとともに、窓領域の一部を除去するための溝部を劈開位置に形成する。また、窓領域は、基板の主面と垂直な方向において、少なくとも活性層と同じ高さの位置に形成する。溝部は、基板の主面と平行であって導波路の長手方向と垂直な方向に導波路の端から離れるように形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザ素子、及び半導体レーザ素子の製造方法に関する。
光ディスクの書き込み処理及び読み込み処理の速度をより高速にするため、半導体レーザ素子の高出力化が求められている。特に、半導体レーザ素子を高出力化する手法として、光学損傷(COD:Catastrophic Optical Damage)を防ぐ技術が開発されている。
光学損傷とは、半導体レーザ素子の光出力を増加させていくと、突然、光出力が低下する不可逆な劣化現象である。この光学損傷は、以下のようにして発生することが知られている。すなわち、高密度に表面準位が存在する光出射端面において、この表面準位などを介して非発光再結合が生じ、レーザ光の一部が光出射端面で吸収され熱に変わる。この発熱により、光出射端面の活性層のバンドギャップが縮小するので、さらに光吸収が増加する。これにより、さらに発熱が増大する。このようなサイクルによって、光出射端面の温度が上昇するので、半導体レーザ素子を構成する結晶が溶解し、その結果、光出射端面が破壊される。
この光学損傷を防ぐために、たとえば特許文献1では、半導体レーザ素子の共振器端面に、発光層形成部の上面から活性層へ不純物原子を拡散させることにより、活性層の量子井戸構造(MQW構造)を無秩序な混晶にした窓領域を設けている。窓領域では、バンドギャップが活性層の量子井戸構造よりも広くなり、レーザ光が吸収されない。そのため、共振器端面に窓領域を形成することにより、光学損傷を防ぐことができる。また、半導体レーザ素子に窓領域を設けると、静電破壊の防止にも効果が高い。そのため、最近では、低出力タイプの半導体レーザ素子にも窓領域が採用されている。
特許公開2005−183877号公報 特許公開2003−23215号公報 特許公開2003−258351号公報 特許公開2003−86900号公報 特許公開2008−187068号公報
しかしながら、窓領域は、活性層の量子井戸構造とバンドギャップが異なるため、活性層として用いることができない。また、共振器端面に形成した窓領域は、半導体レーザ素子のレーザ特性にも影響を及ぼす。たとえば、窓領域では不純物原子の拡散によりpn接合がn側にずれるため、電流リークの発生により動作電流が増加しやすい。そのため、通常、窓領域には通電しない。また、窓領域では、拡散した不純物により生じる結晶欠陥により導波損失が大きい。
一般の高出力用の半導体レーザ素子では、高出力化を優先するとともに動作時の電流密度を下げる必要があるために、共振器長はたとえば1000μm以上である。また、共振器と平行な方向の窓領域の幅は一般には50〜100μm程度である。この場合、共振器と平行な方向の窓領域の幅は共振器長に対して十分に短いため、レーザ特性に対する上述のような窓領域の影響は小さい。
一方、レーザビームプリンター等に用いられる低出力用のレーザ素子では、通常、共振器長がたとえば200〜500μmと短いため、共振器と平行な方向の窓領域の幅は共振器長に対して十分に短いとはいえない。そのため、低出力用のレーザ素子では、レーザ特性に対する上述のような窓領域の影響が大きく現れる。たとえば、窓領域での結晶欠陥による光吸収による導波損失や、動作電流に対する影響が大きくなる。従って、レーザ特性に対する窓領域の影響を小さくするためには、共振器と平行な方向の窓領域の幅をより短くする必要がある。
半導体レーザウェハからバーに分割する際や窓領域を形成する際の加工精度を考慮すると、共振器と平行な方向の窓領域の幅が共振器長に対して十分に短くなるように窓領域を形成すると、半導体レーザ素子を歩留りよく作製することは難しくなる。また、高精度のステッパー(Stepper;縮小投影型露光装置)を用いれば、窓領域をより短い幅で形成することは可能であるが、半導体レーザウェハからバーに分割する際の劈開精度が悪いため、やはり窓領域の幅を短くすることは難しい。この点について、特許文献1では、共振器端面に窓領域を形成しているが、窓領域がレーザ特性に及ぼす影響を抑制するための工夫はなされていない。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、窓領域の形成による動作電流や導波損失の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子、及び半導体レーザ素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の半導体レーザ素子は、基板と、前記基板上に設けられる半導体積層部と、を備え、前記半導体積層部が量子井戸構造を有する活性層を含み、前記半導体積層部の上部にストライプ状の導波路が形成され、前記導波路の長手方向の前記半導体積層部の両端部に一対の共振器端面が形成される半導体レーザ素子において、前記共振器端面を含む両端部に、前記活性層の量子井戸構造よりもバンドギャップを広くした窓領域が形成されるとともに、前記窓領域の一部を除去するための溝部が形成され、前記窓領域が、前記基板の主面と垂直な方向において、少なくとも前記活性層と同じ高さの位置に形成され、前記溝部が、前記基板の主面と平行であって前記導波路の長手方向と垂直な方向に、前記導波路の端から離れるように形成される。
上記構成によれば、共振器端面を含む両端部に、窓領域の一部を除去するための溝部が形成される。そのため、製造歩留まりを低下させることなく、共振器と平行な方向の窓領域の幅をより短くすることができる。また、溝部は、基板の主面と平行であって導波路の長手方向と垂直な方向に導波路の端から離れるように形成される。そのため、レーザ特性が溝部の形成による影響を受けない。従って、窓領域の形成による動作電流や導波損失の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子を容易に得ることができる。
上記構成において、前記窓領域が、前記一対の共振器端面のうちの前記活性層から光が出射される光出射端面を含む端部に設けられる第1窓領域と、前記一対の共振器端面のうちの光反射端面を含む端部に設けられる第2窓領域と、を含み、前記導波路の長手方向において、前記第1窓領域の幅が前記第2窓領域の幅よりも広くてもよい。
また、上記構成において、前記導波路の長手方向の両端部において、前記基板の主面に帯状の基板凸部が設けられ、前記半導体積層部が、前記基板と前記活性層との間に設けられる第1導電型半導体層と、前記活性層の上部に形成される第2導電型半導体層とをさらに含み、前記基板の主面と垂直な方向において、前記基板凸部の上部に設けられる前記第1導電型半導体層が、少なくとも、前記基板凸部以外の基板の主面上に設けられる前記活性層以上の高さまで積層され、前記基板の主面と垂直な方向において、少なくとも前記活性層と同じ高さの位置にある第1導電型半導体層の一部が前記窓領域として機能してもよい。
また、上記構成において、前記窓領域の幅が前記導波路の長手方向に40μm以下であってもよいし、前記半導体積層部が、AlGaIn1−x−yP(0≦x<1、0≦y<1)又はAlGa1−xAs(0≦x<1)で構成される複数のエピタキシャル層で構成されてもよい。さらに、前記溝部が、前記基板の主面と平行であって前記導波路の長手方向と垂直な方向に、前記導波路の端から5μm以上離れていてもよい。
また、上記目的を達成するために本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、基板上に、量子井戸構造を有する活性層を含む半導体積層部を設けるステップと、前記半導体積層部の上部にストライプ状の導波路を形成するステップと、劈開により共振器端面を形成するステップと、を備える半導体レーザ素子の製造方法において、前記基板の主面に対して垂直上方からみた平面視において、前記共振器端面を形成するための劈開位置に沿う帯状の領域に、前記活性層の量子井戸構造よりもバンドギャップを広くした窓領域を形成するステップと、前記窓領域の一部を除去するための溝部を前記劈開位置に形成するステップと、をさらに備え、前記窓領域を形成するステップでは、前記基板の主面と垂直な方向において、少なくとも前記活性層と同じ高さの位置に前記窓領域を形成し、溝部が形成されるステップでは、前記基板の主面と平行であって前記導波路の長手方向と垂直な方向に前記導波路の端から離れるように、前記溝部を形成する。
上記構成によれば、共振器端面を含む両端部に、窓領域の一部を除去するための溝部が形成される。そのため、製造歩留まりを低下させることなく、共振器と平行な方向の窓領域の幅をより短くすることができる。また、溝部は、基板の主面と平行であって導波路の長手方向と垂直な方向に導波路の端から離れるように形成される。そのため、レーザ特性が溝部の形成による影響を受けない。従って、窓領域の形成による動作電流や導波損失の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子の製造方法を容易に得ることができる。
また、上記構成において、平坦な前記基板の主面上に、前記劈開位置に沿って帯状の基板凸部を形成するステップをさらに備え、前記半導体積層部を設けるステップが、前記基板上に第1導電型半導体層を設けるステップと、前記第1導電型半導体層の上に前記活性層を設けるステップと、前記活性層の上に第2導電型半導体層を設けるステップと、を含み、前記第1導電型半導体層を設けるステップでは、前記基板の主面と垂直な方向において、前記基板凸部の上部に設けられる前記第1導電型半導体層を、少なくとも、前記基板凸部以外の基板の主面上に設けられる前記活性層以上の高さにまで設けてもよい。
或いは、上記構成において、平坦な前記基板の主面上に、前記劈開位置と平行に帯状の基板溝を形成するステップをさらに備え、前記劈開により共振器端面を形成するステップでは、前記基板の主面に対して垂直上方からみた平面視において、前記基板溝の両側にて、前記基板溝の基板段差から外側に向かって離れた劈開位置で劈開を行い、前記半導体積層部を設けるステップが、前記基板上に第1導電型半導体層を設けるステップと、前記第1導電型半導体層の上に前記活性層を設けるステップと、前記活性層の上に第2導電型半導体層を設けるステップと、を含み、前記第1導電型半導体層を設けるステップでは、前記基板の主面と垂直な方向において、帯状の前記基板溝の基板段差の近傍領域の上部に設けられる前記第1導電型半導体層を、少なくとも、前記基板溝及び前記近傍領域以外の基板の主面上に設けられる前記活性層以上の高さにまで設け、前記溝部を形成するステップでは、前記基板の主面に対して垂直上方からみた平面視において、前記基板溝の両側の前記劈開位置に前記溝部を形成してもよい。
また、上記構成において、前記溝部を形成するステップでは、前記基板に達する深さまで前記溝部を形成してもよい。
本発明によれば、窓領域の形成による動作電流や導波損失の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子、及び半導体レーザ素子の製造方法を容易に得ることができる。
第1実施形態に係る半導体レーザ素子の斜視図である。 第1実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。 第1実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線A−Aにおける側面図である。 第1実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線B−Bにおける断面構造図である。 第1実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C1−C1における断面構造図である。 第1実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C2−C2における断面構造図である。 第1実施形態における半導体積層部の形成工程での上面図である。 第1実施形態における半導体積層部の形成工程での一点鎖線X−Xにおける断面構造図である。 第1実施形態における不純物膜の形成工程での上面図である。 第1実施形態における不純物膜の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。 第1実施形態における不純物膜の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。 第1実施形態における不純物拡散領域の形成工程での上面図である。 第1実施形態における不純物拡散領域の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。 第1実施形態における不純物拡散領域の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。 第1実施形態におけるマスク層の形成工程での上面図である。 第1実施形態におけるマスク層の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。 第1実施形態におけるマスク層の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。 第1実施形態における導波路の形成工程での上面図である。 第1実施形態における導波路の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。 第1実施形態における導波路の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。 第1実施形態における溝部の形成工程での上面図である。 第1実施形態における溝部の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。 第1実施形態における溝部の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。 第1実施形態における絶縁層、p側電極、及びn側電極の形成工程での上面図である。 第1実施形態における絶縁層、p側電極、及びn側電極の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。 第1実施形態における保護層、p側電極、及びn側電極の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。 第1実施形態の変形例に係る半導体レーザ素子の斜視図である。 第1実施形態の変形例に係る半導体レーザ素子の上面図である。 第1実施形態の他の変形例に係る半導体レーザ素子の斜視図である。 第2実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。 第2実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C1−C1における断面構造図である。 第2実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C2−C2における断面構造図である。 第2実施形態における半導体レーザ素子の製造工程での上面図である。 第2実施形態における半導体レーザ素子の製造工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。 第2実施形態の変形例における不純物膜の形成工程での上面図である。 第2実施形態の変形例における不純物膜の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。 第2実施形態の変形例における不純物膜の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。 第3実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。 第3実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C1−C1における断面構造図である。 第3実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C2−C2における断面構造図である。 第3実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の上面図である。 第3実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の一点鎖線Y3−Y3における断面構造図である。 第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の上面図である。 第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の一点鎖線Y4−Y4における断面構造図である。 第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程での上面図である。 第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程での一点鎖線Y4−Y4における断面構造図である。 第4実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。 第4実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C1−C1における断面構造図である。 第4実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C2−C2における断面構造図である。
本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る半導体レーザ素子1について説明する。図1は第1実施形態に係る半導体レーザ素子の斜視図である。また、図2A〜図2Eは第1実施形態に係る半導体レーザ素子の構成図である。図2Aは第1実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。また、図2Bは第1実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線A−Aにおける側面図である。また、図2Cは第1実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線B−Bにおける断面構造図である。また、図2Dは第1実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C1−C1における断面構造図である。また、図2Eは第1実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C2−C2における断面構造図である。
図1及び図2A〜図2Eに示すように、第1実施形態に係る半導体レーザ素子1は、基板10と、半導体積層部11と、絶縁層12と、p側電極13と、n側電極14と、を備える。半導体積層部11は、n型クラッド層111と、第1光ガイド層112と、活性層113と、第2光ガイド層114と、p型クラッド層115と、p型中間層116と、p型コンタクト層117と、を有する。
基板10は、たとえばn型GaAsからなる半導体基板である。この基板10の主面上には半導体積層部11が積層されている。この半導体積層部11は、たとえばAlGaIn1−x−yP(0≦x<1、0≦y<1)又はAlGa1−xAs(0≦x<1)で構成される複数のエピタキシャル層で構成されている。
具体的には、基板10上に、n型AlGaInPで構成されるn型クラッド層111が積層されている。n型クラッド層111の上には、AlGaInPで構成される第1光ガイド層112が積層されている。第1光ガイド層112の上には、活性層113が形成されている。この活性層113は、GaInPまたはAlGaInPで構成される井戸層と、AlGaInPで構成される障壁層とが交互に積層された量子井戸構造(Multiple-Quantum Well構造)を有している。また、活性層113の上には、AlGaInPで構成される第2光ガイド層114が積層されている。第1光ガイド層112及び第2光ガイド層114は、活性層113にレーザ光を閉じ込めるために、活性層113を挟むように設けられている。第2光ガイド層114の上には、p型AlGaInPで構成されるp型クラッド層115が積層されている。このp型クラッド層115は、たとえば図1に示すように、凸部と凸部以外の平坦部とを有する。この凸部は、図1のy方向と平行に、ストライプ状(細長状)に形成されている。p型クラッド層115の凸部の上には、p型GaInPで構成されるp型中間層116が積層されている。p型中間層116の上には、p型GaAsで構成されるp型コンタクト層117が積層されている。
なお、第1実施形態において、n型クラッド層111は、本発明の第1導電型半導体層の一例であり、p型クラッド層115、p型中間層116、p型コンタクト層117はそれぞれ、本発明の第2導電型半導体層の一例である。
半導体積層部11の上部には、ストライプ状(細長状)の導波路15が図1のy方向と平行に形成されている。導波路15の長手方向(図1のy方向)の長さは、たとえば350μmである。導波路15は、p型クラッド層115の凸部、p型中間層116、及びp型コンタクト層117により構成されている。
導波路15の長手方向の半導体積層部11の両端部には、劈開により形成され、互いに対向する一対の共振器端面16が形成されている。この一対の共振器端面16は、導波路15の長手方向(y方向)と垂直に形成されている。また、一対の共振器端面16は、活性層113から光(レーザ光)が出射される光出射端面16aと、光出射端面16aと反対側の光反射端面16bとを含む(図2A参照)。
なお、光出射端面16aには例えば酸化アルミニウム膜などで形成される端面保護膜(不図示)が設けられており、光反射端面16bには例えば酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、酸化タンタル膜、酸化チタン膜などで形成される端面保護膜(不図示)が設けられている。
また、図2Aに示すように、導波路15の長手方向(図2Aのy方向)の半導体積層部11の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)には、導波路15の長手方向に幅D1(たとえば、10μm)の不純物拡散領域17が形成されている。言い換えると、図2Aに示すように、不純物拡散領域17は、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、導波路15の長手方向(y方向)に、共振器端面16から予め定められた距離D1離れた位置までの領域に形成されている。なお、第1実施形態において、D1は20μm以下に設定されるが、後述するように、不純物拡散領域17を形成するための不純物膜50を形成する際に高精度のステッパー(Stepper;縮小投影型露光装置)を用いれば、D1を3μm以下に設定することができる。
この不純物拡散領域17は、後述するように、半導体積層部11の各エピタキシャル層にZnやMgなどの不純物原子が拡散した領域である。この不純物拡散領域17は、図2D及び図2Eに示すように、第1光ガイド層112、活性層113、第2光ガイド層114、p型クラッド層115、p型中間層116、及びp型コンタクト層117において、導波路15の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)に形成されている。なお、図2B〜図2Eの例に限定されず、不純物拡散領域17は、少なくとも活性層113において、導波路15の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)に形成されていればよい。
また、不純物拡散領域17のうち、活性層113における導波路15の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)では、ZnやMgなどの不純物原子が拡散することにより井戸層と障壁層とが混晶化して、量子井戸構造が無秩序化している。この混晶化した部分のバンドギャップは、活性層113において量子井戸構造を維持している他の部分のバンドギャップよりも広くなっている。以下では、不純物拡散領域17のうち、活性層113の量子井戸構造よりもバンドギャップを広くした部分を、特に窓領域170と呼ぶ。この窓領域170は、不純物拡散領域17のうち、基板10の主面に対して垂直な方向(たとえば図2Aのz方向)において、少なくとも活性層113と同じ高さの位置に形成される部分でもある。すなわち、窓領域170は、半導体レーザ素子1の共振器の光出射端及び光反射端に形成されている。
また、導波路15の長手方向(y方向)における窓領域170の幅は、導波路15の長手方向における不純物拡散領域17の幅D1とほぼ同じである。言い換えると、図2Aに示すように、窓領域170は、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、導波路15の長手方向(y方向)に、共振器端面16からほぼD1の距離離れた位置までの領域に形成されている。
窓領域170では、活性層113の量子井戸構造よりもバンドギャップが広くなっているため、レーザ光の吸収によるレーザ端面の温度上昇を抑制することができる。従って、共振器端面16における光学損傷(COD:Catastrophic Optical Damage)の発生を防止することができる。また、上述のように、ZnやMgなどの不純物原子の拡散により窓領域170を形成すると、活性層113に形成される窓領域170の中央部分では、不純物原子が最も多く拡散する。そのため、窓領域170の中央部分では、より混晶化が進むため、窓領域170の効果もより大きくなる。
また、図2Aに示すように、半導体レーザ素子1の共振器端面16及び側面11aで形成される角部(四隅)には、ドライエッチングにより、導波路15の長手方向(y方向)に幅t1(たとえば1μm)の溝部18が形成されている。この溝部18は、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、半導体レーザ素子1の導波路15の長手方向の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)にて、基板10の主面と平行であって導波路15の長手方向と垂直な方向(x方向)に、導波路15の端から予め定められた距離r1(たとえば、7μm)離れている。なお、r1は5μm以上であればよい。こうすれば、溝部18を形成しても、半導体レーザ素子1は光学特性に影響を受けない。また、導波路15の長手方向(y方向)において、溝部18の幅t1は不純物拡散領域17の幅D1未満に設定される。また、図2Dや図2Eに示すように、この溝部18の深さは基板10に達している。なお、溝部18の深さは、導波路15の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)において、少なくとも窓領域170の一部を除去できる深さであればよいが、溝部18の深さが基板10に到達していれば、後述する劈開工程を容易にするとともに劈開精度を高めることができるので好適である。
この溝部18の形成により分割精度が格段に向上するため、共振器と平行な方向における窓領域170の幅を、容易に短くすることができる。従って、光学損傷を防止するための窓領域170の形成に起因する動作電流の増加や窓領域170での導波損失を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子1を容易に得ることができる。
また、導波路15の側面(すなわち、p型クラッド層115の凸部、p型中間層116、及びp型コンタクト層117の各側面)、p型クラッド層115の平坦部、溝部18の内面には絶縁層12が形成されている。この絶縁層12は、たとえばSiOを用いて形成される。また、導波路15の上面(すなわち、p型コンタクト層117の上)及び絶縁層12の上には、p側電極13が形成されている。なお、絶縁層12は、p型コンタクト層117の上面を除いて、少なくとも導波路15の側面に形成されていればよい。また、p側電極13は、少なくともp型コンタクト層117の上面に形成されていればよい。
次に、第1実施形態に係る半導体レーザ素子1の製造方法について説明する。図3〜9は、第1実施形態に係る半導体レーザ素子1の各製造工程での構成図である。
先ず、たとえばn型GaAsで構成される基板10を準備する。次に、基板10の主面上(上面上)に、AlGaIn1−x−yP(0≦x<1、0≦y<1)又はGaAsで構成される複数のエピタキシャル層を順次積層する。図3A及び図3Bは第1実施形態における半導体積層部の形成工程を説明するための構成図である。また、図3Aは第1実施形態における半導体積層部の形成工程での上面図である。また、図3Bは第1実施形態における半導体積層部の形成工程での一点鎖線X−Xにおける断面構造図である。
具体的には、有機金属結晶成長法や分子線結晶成長法などを用いて、基板10の主面上に、n型AlGaInPで構成されるn型クラッド層111、AlGaInPで構成される第1光ガイド層112、GaInPで構成される井戸層とAlGaInPで構成される障壁層とが交互に積層された量子井戸構造(MQW構造)を有する活性層113、AlGaInPで構成される第2光ガイド層114、p型AlGaInPで構成されるp型クラッド層115、p型GaInPで構成されるp型中間層116、p型GaAsで構成されるp型コンタクト層117を順次成長させる(図3B参照)。
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やフォトリソグラフィーを用いて、p型コンタクト層117の上に、帯状の不純物膜50を形成する。図4A〜図4Cは、第1実施形態における不純物膜の形成工程を説明するための構成図である。また、図4Aは第1実施形態における不純物膜の形成工程での上面図である。また、図4Bは第1実施形態における不純物膜の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。また、図4Cは第1実施形態における不純物膜の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。
この不純物膜50は、たとえばZnOやMgOなどを用いて、図4Aのx方向に延びる一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2に沿って形成される。なお、図4Aにおいて、一点鎖線X1−X1は、半導体積層部11の劈開により光出射端面16aが形成される第1劈開位置を示しており、一点鎖線X2−X2は、半導体積層部11の劈開により光反射端面16bが形成される第2劈開位置を示している。不純物膜50は、一点鎖線X1−X1が示す第1劈開位置、及び一点鎖線X2−X2が示す第2劈開位置を中心として、幅2D1(たとえば20μm)の帯状に形成される。なお、第1実施形態において、2D1は40μm以下に設定されるが、不純物拡散領域17を形成するための不純物膜50を形成する際に高精度のステッパー(縮小投影型露光装置)を用いれば、2D1を6μm以下に設定することができる。また、第1実施形態では、一点鎖線X1−X1が示す第1劈開位置と一点鎖線X2−X2が示す第2劈開位置との間隔は、たとえば350μmに設定されている。
次に、不純物膜50から半導体積層部11に不純物原子を拡散させて、不純物拡散領域17を形成する。図5A〜図5Cは第1実施形態における不純物拡散領域の形成工程を説明するための構成図である。また、図5Aは第1実施形態における不純物拡散領域の形成工程での上面図である。また、図5Bは第1実施形態における不純物拡散領域の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。また、図5Cは第1実施形態における不純物拡散領域の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。
図5A〜図5Cに示すように、不純物膜50を形成した後、スパッタ法などを用いて、半導体積層部11の上部(すなわち、不純物膜50やp型コンタクト層117の上)に保護膜51を形成し、500〜600℃で約2〜3時間程度の熱処理を施す。この保護膜51には、たとえばSiOを用いる。この熱処理により、不純物膜50から半導体積層部11の各エピタキシャル層に、ZnやMgなどの不純物原子が不純物膜50から拡散する。そして、図5Aに示すように、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、不純物膜50とほぼ重なる領域に、不純物拡散領域17が形成される。
具体的には、図5Aに示すように、不純物拡散領域17が一点鎖線X1−X1及びX2−X2に沿って、x方向に延びる帯状に形成される。この不純物拡散領域17は、基板10の主面に対して垂直上方(図5Aのz方向)から見た平面視において、一点鎖線X1−X1が示す第1劈開位置、及び一点鎖線X2−X2が示す第2劈開位置を中心として、幅2D1(たとえば20μm)の帯状に形成される。また、図5Cに示すように、熱処理により、第1光ガイド層112、活性層113、第2光ガイド層114、p型クラッド層115、p型中間層116、及びp型コンタクト層117に、不純物膜50からZnやMgなどの不純物原子が拡散して、これらのエピタキシャル層に不純物拡散領域17が形成される。なお、図5A〜図5Cの例に限定されず、この熱処理により、少なくとも活性層113に不純物拡散領域17が形成されていればよい。
また、不純物拡散領域17のうち、活性層113において不純物原子が拡散した部分が窓領域170となる。一点鎖線X1−X1や一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置と垂直な方向(y方向)において、窓領域170の幅は、導波路15の長手方向における不純物拡散領域17の幅2D1とほぼ同じである。
この窓領域170では、ZnやMgなどの不純物原子の拡散により井戸層と障壁層とが混晶化して、量子井戸構造が無秩序化している。そのため、窓領域170のバンドギャップは、活性層113において量子井戸構造を維持している他の部分のバンドギャップよりも広くなっている。従って、窓領域170では、レーザ光の吸収によるレーザ端面の温度上昇を抑制することができる。また、上述のように、ZnやMgなどの不純物原子の拡散により窓領域170を形成すると、活性層113に形成される窓領域170の中央部分では、不純物原子が最も多く拡散する。そのため、窓領域170の中央部分では、より混晶化が進むため、窓領域170の効果もより大きくなる。
熱処理により不純物拡散領域17及び窓領域170を形成した後、フッ化水素酸などを用いて、半導体積層部11の上部から不純物膜50及び保護膜51を除去する。
次に、スパッタ法やフォトリソグラフィーを用いて、半導体積層部11の上面に、導波路15を形成するための帯状のマスク膜60を形成する。図6A〜図6Cは第1実施形態におけるマスク層の形成工程を説明するための構成図である。また、図6Aは第1実施形態におけるマスク層の形成工程での上面図である。また、図6Bは第1実施形態におけるマスク層の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。また、図6Cは第1実施形態におけるマスク層の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。
図6Aに示すように、マスク層60は、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置や不純物拡散領域17が帯状に伸びる方向に対して垂直な方向(y方向)に延びる帯状に形成される。このマスク層60には、たとえばSiOを用いる。
次に、導波路15を形成する。図7A〜図7Cは第1実施形態における導波路の形成工程を説明するための構成図である。また、図7Aは第1実施形態における導波路の形成工程での上面図である。また、図7Bは第1実施形態における導波路の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。また、図7Cは第1実施形態における導波路の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。
図7A〜図7Cに示すように、マスク層60を形成した後、ICP(Inductive Coupled Plasma;容量結合プラズマ)法などのドライエッチングを用いて、マスク層60を形成した領域以外の領域において、p型クラッド層115の一部、p型中間層116、及びp型コンタクト層117を除去する。このドライエッチング処理により、図7Aに示すように、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、不純物拡散領域17が帯状に伸びる方向と垂直な方向(y方向)に、ストライプ状(細長状)の導波路15が形成される。この導波路15を形成した後、フッ化水素酸などを用いて、マスク層60を除去する。
次に、一点鎖線X1−X1や一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置に、溝部18を形成する。図8A〜図8Cは第1実施形態における溝部の形成工程を説明するための構成図である。また、図8Aは第1実施形態における溝部の形成工程での上面図である。また、図8Bは第1実施形態における溝部の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。また、図8Cは第1実施形態における溝部の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。
図8A〜図8Cに示すように、マスク層60を除去した後、フォトリソグラフィーやドライエッチング(たとえばICP法など)を用いて、一点鎖線X1−X1や一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置に沿って、図8Aのx方向に延びる溝部18を形成する。このとき、溝部18をさらに精度よく形成するために、ステッパー(縮小投影型露光装置)を利用してもよい。この溝部18は、一点鎖線X1−X1や一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置を中心として、幅2t1(たとえば2μm)である。なお、溝部18の幅2t1は、ドライエッチングの精度を考慮すると、1μm以上であればよい。具体的には、プラズマCVDなどを用いて、半導体積層部11や導波路15の上に、たとえばSiOを用いてマスク層を形成する。そして、フォトリソグラフィーを用いて、溝部18を形成する領域上のマスク層を除去する。そして、ICPなどのドライエッチングを用いて、エッチング深さが基板10に到達するまで、この領域をエッチングすることにより、溝部18が形成される。
この溝部18は、図8Aに示すように、基板10の主面と平行であって導波路15の長手方向と垂直な方向(x方向)に、導波路15の端から予め定められた距離r1(たとえば7μm)離れるように形成される。なお、距離r1は5μm以上であればよい。こうすれば、溝部18を形成しても、半導体レーザ素子1は光学特性に影響を受けない。また、図8Bや図8Cに示すように、この溝部18の深さは基板10に達している。なお、溝部18の深さは、少なくとも窓領域170の一部を除去できる深さであればよいが、溝部18の深さが基板10に到達していれば、後述する劈開工程を容易にするとともに劈開精度を高めることができるので好適である。
この溝部18の形成により、図8Aの一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置において半導体積層部11が劈開されたとき、半導体レーザ素子1の角部(四隅)に、導波路15の長手方向(y方向)に幅t1の溝部18が形成される。こうすれば、半導体レーザ素子1において、共振器と平行な方向における窓領域170の幅を容易に狭くすることができる。従って、光学損傷を防止するための窓領域170の形成に起因する動作電流の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子1を容易に得ることができる。
溝部18を形成した後、フッ化水素酸などを用いて、マスク層や、フォトリソグラフィーの際に形成したレジスト層を除去する。
次に、絶縁層12、p側電極13、及びn側電極14を形成する。図9A〜図9Cは第1実施形態における絶縁層、p側電極、及びn側電極の形成工程を説明するための構成図である。また、図9Aは第1実施形態における絶縁層、p側電極、及びn側電極の形成工程での上面図である。また、図9Bは第1実施形態における絶縁層、p側電極、及びn側電極の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。また、図9Cは第1実施形態における保護層、p側電極、及びn側電極の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。
図9A〜図9Cに示すように、マスク層やレジスト層を除去した後、導波路15を含む半導体積層部11の上部に、絶縁層12を形成する。絶縁層12の形成により、導波路15の側面からレーザ光が漏れ出ないようにして、活性層113内にレーザ光を閉じ込めることができる。この絶縁層12には、たとえばSiOを用いることができる。なお、絶縁層12は、p型コンタクト層117の上面を除いて、少なくとも導波路15の側面に形成すればよい。
絶縁層12を形成した後、フォトリソグラフィーなどを用いて、導波路15の上面(すなわち、p型コンタクト層116の上面)に形成された絶縁層12を除去する。そして、導波路15の上面、及び、絶縁層12の上にp側電極13が形成される。なお、p側電極13は、少なくともp型コンタクト層117の上面に形成すればよい。
p側電極13を形成した後、基板10を裏面(半導体積層部11が積層される主面とは反対側の主面)側から研磨し、図9Aのz方向における半導体レーザ素子1の厚さを約80〜100μmとする。この研磨処理ののち、基板10の裏面にn側電極14を形成する。
n側電極14を形成したのち、スクライブ処理により、一点鎖線X1−X1及びX2−X2が示す各劈開位置(たとえば図9A参照)に沿って劈開用溝(不図示)を形成し、この劈開用溝に沿って劈開を行う。なお、従来のスクライブ法では、分割前の半導体レーザウェハの端のみスクライブするため、導波路15を形成する際に発生する精度ずれ、半導体積層部11に生じた結晶欠陥、半導体レーザウェハの表面に付着した塵芥、半導体レーザウェハを分割する際の力のかかり方などにより、劈開位置に5〜50μmのずれが発生していた。このような誤差を防止するために、第1実施形態では、破線スクライブ法を採用し、スクライブを破線状にいれている。こうすれば、劈開精度を上げることができる。また、従来のスクライブ処理では、通常、±5〜10μm程度の誤差が生じるため、導波路15の長手方向における窓領域170の幅をあまり短くすることはできないが、第1実施形態では、一点鎖線X1−X1及びX2−X2が示す各劈開位置に溝部18が形成されているので、スクライブ精度と相まって、たとえば寸法誤差が±1μm以下の良好な精度で劈開をすることができる。さらに破線スクライブを用いなくともたとえば寸法誤差が±2μm以下の良好な精度で劈開をすることができる。
この後、半導体レーザ素子1の光出射端面16aに、例えば酸化アルミニウム膜などで形成される端面保護膜を形成する。また、光反射端面16bには、例えば酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、酸化タンタル膜、酸化チタン膜などで形成される端面保護膜を形成する。なお、これらの端面保護膜の形成には、ECRスパッタ装置、スパッタ装置、電子ビーム蒸着装置などを用いる。そして、さらに、各導波路15の間をチップ状に分割することで半導体レーザ素子1を得る。
以上の工程により、半導体レーザ素子1を作製することができる。第1実施形態では、半導体レーザ素子1の一対の共振器端面16にそれぞれ、導波路15の長手方向において幅D1の窓領域170を形成した。また、窓領域170の幅D1を共振器長に対して十分に短くすることができた。たとえば共振器長350μmの半導体レーザ素子1の一対の共振器端面16それぞれに、導波路15の長手方向においてたとえば幅10μmの窓領域170を形成することにより、各窓領域170の幅の総計を共振器長に対してたとえば5〜6%程度にすることができた。そのため、半導体レーザ素子1の動作電流の上昇も5%以下に抑制することができ、消費電力の上昇を抑制することもできた。
さらに、第1実施形態では、導波路15の長手方向の半導体積層部11の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)に、導波路15の端から予め定められた距離r1(たとえば7μm)離して、幅t1(たとえば1μm)の溝部18を形成した。そのため、部分的ではあるが、共振器と平行な方向における窓領域170の幅を容易に狭くすることができた。従って、光学損傷を防止するための窓領域170の形成に起因する動作電流の増加を抑制することができた。
さらに、溝部18の形成により、劈開により共振器端面16を形成する際の劈開精度が向上したので、製造歩留りがたとえば70%から80%へ改善され、コストダウンを図ることができた。
なお、第1実施形態では、活性層113を挟んで第1光ガイド層112及び第2光ガイド層114が積層されているが、本発明はこれに限定されない。第1光ガイド層112及び第2光ガイド層114の間に、たとえばAlGaInPで構成される光ガイド層と、量子井戸構造を有する活性層とが交互に複数の周期で積層されていてもよい。
また、上述の第1実施形態では、第1光ガイド層112、活性層113、及び第2光ガイド層114がAlGaIn1−x−yP(0≦x<1、0≦y<1)で構成されているが、AlGa1−xAs(0≦x<1)で構成されていても同様の効果を得ることができる。具体的には、第1光ガイド層112及び第2光ガイド層114がたとえばAlGaAsで構成されるとともに、活性層113が、たとえばGaAsで構成される井戸層と、たとえばAlGaAsで構成される障壁層とが交互に積層された量子井戸構造を有していても同様の効果を得ることができる。或いは、第1光ガイド層112及び第2光ガイド層114がたとえばAlGaInPで構成されるとともに、活性層113が、たとえばGaAsで構成される井戸層と、たとえばAlGaAsで構成される障壁層とが交互に積層された量子井戸構造を有していても同様の効果を得ることができる。
また、第1実施形態では、半導体レーザ素子1の角部(四隅)に溝部18を1つずつ形成し(たとえば図2A参照)、半導体レーザ素子1の製造工程では、一点鎖線X1−X1や一点鎖線X2−X2で示す各劈開位置において、各導波路15の間に1つの溝部18を形成した(たとえば図8A参照)。この第1実施形態の変形例として、この溝部18が、導波路15の長手方向と垂直な方向(x方向)に並ぶ複数の分割溝部180で構成されていてもよい。
図10A及び図10Bは第1実施形態の変形例に係る半導体レーザ素子の構成図である。また、図10Aは第1実施形態の変形例に係る半導体レーザ素子の斜視図である。また、図10Bは第1実施形態の変形例に係る半導体レーザ素子の上面図である。図10A及び図10Bに示すように、半導体レーザ素子1aでは、導波路15の長手方向の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)において、基板10の主面と平行であって導波路15の長手方向と垂直な方向(x方向)に、導波路15の端から予め定められた距離r1(たとえば、7μm)離れるように、複数の分離溝部180で構成される溝部18が形成される。これらの分離溝部180は、図10Bに示すように、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、導波路15の長手方向と垂直な方向(x方向)に破線状に並ぶように形成されている。なお、分離溝部180の幅t1や深さは溝部18と同様に設定できる。また、1つの溝部18を構成する分離溝部180の数、各分離溝部のx方向の長さ、及び各分離溝部180の間隔などは特に限定しない。
このように、導波路15の長手方向の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)に複数の分離溝部180で構成される溝部18を形成しても、部分的ではあるが、共振器と平行な方向における窓領域170の幅を容易に狭くすることができる。光学損傷を防止するための窓領域170の形成に起因する動作電流の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子1を容易に得ることができる。
また、第1実施形態の他の変形例として、p型クラッド層115内に、ドライエッチングによるエッチング深さを検出するためのエッチストップ層を形成してもよい。図11は第1実施形態の他の変形例に係る半導体レーザ素子の斜視図である。図11に示すように、半導体レーザ素子1bでは、p型クラッド層115内にエッチストップ層118が形成される。具体的には、半導体レーザ素子1bでは、半導体積層部11が、第1p型クラッド層115aと第2p型クラッド層115bとの間に形成されるエッチストップ層118をさらに有する。このエッチストップ層118は、たとえばGaInPで構成される。こうすれば、たとえばICP法などのドライエッチングにより導波路15を形成するとき、プラズマ波長の強度分布に基づいて、エッチング深さがエッチストップ層118に達したことを検知することができる。従って、エッチストップ層118を利用しても第1実施形態と同様の効果が得られるとともに、導波路15をより精度良く且つ容易に形成することができる。
上述の第1実施形態では、光出射端面16aを含む端面、及び光反射端面16bを含む端面に、それぞれ、導波路15の長手方向において同じ幅D1の不純物拡散領域17を設けた。本発明では、導波路15の長手方向の両端部(すなわち一対の共振器端面16を含む両端部)に不純物拡散領域17及び窓領域170を精度良く形成できる。そのため、光出射端面16a側の幅が光反射端面16b側の幅よりも狭くなるように、不純物拡散領域17及び窓領域170を形成することもできる。
<第2実施形態>
図12A〜図12Cは第2実施形態に係る半導体レーザ素子の構成図である。また、図12Aは第2実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。また、図12Bは第2実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C1−C1における断面構造図である。また、図12Cは第2実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C2−C2における断面構造図である。
第2実施形態に係る半導体レーザ素子1cでは、導波路15の長手方向(y方向)において、不純物拡散領域17及び窓領域170の光出射端面16a側の幅が、光反射端面16b側の幅よりも広くなっている。また、光射出端面16aでの反射率はたとえば32%となっており、光反射端面16bでの反射率はたとえば60%となっている。これ以外は、第1実施形態と同様である。以下に、第2実施形態に係る半導体レーザ素子1cについて説明するが、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
図12Aに示すように、第2実施形態に係る半導体レーザ素子1cでは、不純物拡散領域17が、導波路15の長手方向(y方向)に幅Da(たとえば15μm)の第1不純物拡散領域17aと、導波路15の長手方向に幅Db(たとえば5μm)の第2不純物拡散領域17bと、を含む。また、窓領域170が、導波路15の長手方向における幅が略Daの第1窓領域170aと、導波路15の長手方向における幅が略Dbの第2窓領域170bと、を含む。また、各不純物拡散領域17及び各窓領域170は、導波路15の長手方向における第1不純物拡散領域17a及び第1窓領域170aの幅Daが、第2不純物拡散領域17b及び第2窓領域170bの幅Dbよりも大きくなるように形成されている(Da>Db)。なお、第2実施形態では、Daをたとえば15μmに設定し、Dbをたとえば5μmに設定しているが、Da及びDbは、その和(Da+Db)が40μm以下となるように設定される。また、後述するように、不純物拡散領域17及び窓領域170を形成するための不純物膜50を形成する際に高精度のステッパー(縮小投影型露光装置)を用いれば、(Da+Db)が6μm以下となるように、Da及びDbを設定することができる。
第1不純物拡散領域17a及び第1窓領域170aは、導波路15の長手方向(図12Aのy方向)の両端部のうちの一方の端部(すなわち光出射端面16aを含む端面)に形成されている。また、第2不純物拡散領域17b及び第2窓領域170bは、導波路15の長手方向の両端部のうちの他方の端部(すなわち光反射端面16bを含む端面)に形成されている。言い換えると、第1不純物拡散領域17a及び第1窓領域170aは、基板10の主面に対して垂直上方(図12Aのz方向)から見た平面視において、導波路15の長手方向に、光出射端面16aから予め定められた距離Da離れた位置までの領域にて帯状に形成されている。また、第2不純物拡散領域17b及び第2窓領域170bは、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、導波路15の長手方向に、光反射端面16bから予め定められた距離Db離れた位置までの領域にて帯状に形成されている。
次に、第2実施形態に係る半導体レーザ素子1cの製造方法について説明する。図13A及び図13Bは第2実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程を説明するための構成図である。また、図13Aは第2実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程での上面図である。また、図13Bは第2実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。
図13Aに示すように、半導体レーザ素子1cは、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置を、不純物拡散領域17の幅方向の中心からずれた位置に設定することにより得ることができる。これ以外は、第1実施形態での製造方法と同様である。具体的には、各不純物拡散領域17において、一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2が示す劈開位置を、不純物拡散領域17の一方の端部との間の距離がDa(たとえば15μm)となり、他方の端部との間の距離がDb(たとえば5μm)となる位置に設定する。そして、図13Aの一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置に沿って、溝部18を形成するとともに、スクライブ処理により劈開用溝(不図示)を形成する。この劈開用溝に沿って劈開した後、一対の共振器端面16にそれぞれ端面保護膜(不図示)を形成し、さらに各導波路15の間をチップ状に分割することで半導体レーザ素子1cを得る。
こうすれば、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置にて半導体積層部11を劈開したとき、導波路15の長手方向(y方向)において、光出射端面16aに形成される第1窓領域170aの幅Daを、光反射端面16bに形成される第2窓領域170bの幅Dbよりも広くすることができる。そのため、光出射端面16a側の第1窓領域170aでは、光反射端面16b側の第2窓領域170bよりも窓領域170の効果がより強く現れる。そのため、第2実施形態に係る半導体レーザ素子1cでは、端面破壊(たとえば光学損傷など)や静電破壊を抑制する能力をより向上させることができ、それらの能力を安定して得ることができた。また、特に、一般的には光出射端面16aの反射率が光反射端面16bの反射率より低くなるように作製されるため、光出射端面16aの端面光密度が大きくなり、より効果的に端面破壊や静電破壊を抑制することができた。また、通電できる許容電流値が200mA以上の半導体レーザ素子1cを98%以上の高い歩留りで製造することができた。
なお、半導体レーザ素子1cは、その製造工程において、基板10の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置を中心として、2つの異なる幅の不純物膜50を形成することによっても得ることができる。図14A〜図14Cは第2実施形態の変形例における不純物膜の形成工程を説明するための構成図である。また、図14Aは第2実施形態の変形例における不純物膜の形成工程での上面図である。また、図14Bは第2実施形態の変形例における不純物膜の形成工程での一点鎖線X1−X1又は一点鎖線X2−X2における断面構造図である。また、図14Cは第2実施形態の変形例における不純物膜の形成工程での一点鎖線Y−Yにおける断面構造図である。図14A〜図14Cに示すように、第2実施形態の変形例において、半導体レーザ素子1cは、不純物膜50を形成する工程において、一点鎖線X1−X1が示す第1劈開位置を中心として形成する第1不純物膜50aの幅が、一点鎖線X2−X2が示す第2劈開位置を中心として形成する第2不純物膜50bの幅よりも広くなるように、不純物膜50を形成することにより得られる。これ以外は、第1実施形態での製造方法と同様である。
具体的には、図14Aに示すように、第2実施形態の変形例における不純物膜50の形成工程において、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やフォトリソグラフィーを用いて、p型コンタクト層117上において、一点鎖線X1−X1が示す第1劈開位置に沿って第1不純物膜50aを形成し、一点鎖線X2−X2が示す第2劈開位置に沿って第2不純物膜50bを形成する。第1不純物膜50aは、一点鎖線X1−X1が示す第1劈開位置を中心として、導波路15の長手方向(y方向)に幅2Da(たとえば30μm)の帯状に形成される。また、第2不純物膜50bは、一点鎖線X2−X2が示す第2劈開位置を中心として、導波路15の長手方向(y方向)に幅2Db(たとえば10μm)の帯状に形成される。また、不純物膜50は、導波路15の長手方向における第1不純物膜の幅2Daが、第2不純物膜50bの幅2Dbよりも大きくなるように形成されている(2Da>2Db)。また、第2実施形態の変形例では、2Daをたとえば30μmに設定し、2Dbをたとえば10μmに設定しているが、2Da及び2Dbは40μm以下となるように設定される。また、不純物膜50を形成する際に高精度のステッパー(縮小投影型露光装置)を用いれば、2Da及び2Dbをそれぞれ6μm以下に設定することができる。
このようにしても、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置にて半導体積層部11を劈開したとき、導波路15の長手方向(y方向)において、光出射端面16aに形成される第1窓領域170aの幅Daを、光反射端面16bに形成される第2窓領域170bの幅Dbよりも広くすることができる。
なお、上述の第2実施形態では、第1光ガイド層112、活性層113、第2光ガイド層114の順に積層されているが、本発明はこれに限定されない。第1光ガイド層112及び第2光ガイド層114の間に、光ガイド層と、量子井戸構造を有する活性層とが交互に複数の周期で積層されていてもよい。また、上述の第2実施形態では、第1光ガイド層112、活性層113、及び第2光ガイド層114がAlGaIn1−x−yP(0≦x<1、0≦y<1)で構成されているが、AlGa1−xAs(0≦x<1)で構成されていても同様の効果を得ることができる。具体的には、第1光ガイド層112及び第2光ガイド層114がたとえばAlGaAsで構成されるとともに、活性層113が、たとえばGaAsで構成される井戸層と、たとえばAlGaAsで構成される障壁層とが交互に積層された量子井戸構造を有していても同様の効果を得ることができる。或いは、第1光ガイド層112及び第2光ガイド層114がたとえばAlGaInPで構成されるとともに、活性層113が、たとえばGaAsで構成される井戸層と、たとえばAlGaAsで構成される障壁層とが交互に積層された量子井戸構造を有していても同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る半導体レーザ素子3について説明する。図15A〜図15Cは第3実施形態に係る半導体レーザ素子の構成図である。また、図15Aは第3実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。また、図15Bは第3実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C1−C1における断面構造図である。また、図15Cは第3実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C2−C2における断面構造図である。
図15A〜図15Cに示すように、第3実施形態に係る半導体レーザ素子3は、基板30と、半導体積層部31と、絶縁層32と、p側電極33と、n側電極34と、を備える。半導体積層部31は、n型クラッド層311と、第1光ガイド層312と、活性層313と、第2光ガイド層314と、p型クラッド層315と、p型中間層316と、p型コンタクト層317と、を有する。半導体積層部31の上部には、ストライプ状(細長状)の導波路35が図15Aのy方向に形成されている。この導波路35の長さは、y方向において、たとえば250μmである。また、導波路35の長手方向(y方向)の半導体積層部31の両端部には、劈開により形成され、互いに対向する一対の共振器端面36が形成されている。この一対の共振器端面36は、導波路35の長手方向と垂直に形成されている。また、一対の共振器端面36は、レーザ光が出射される光出射端面36aと、光出射端面36aと反対側の光反射端面36bとを含む。
なお、光出射端面36aには例えば酸化アルミニウム膜などで形成される端面保護膜(不図示)が設けられており、光反射端面36bには例えば酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、酸化タンタル膜、酸化チタン膜などで形成される端面保護膜(不図示)が設けられている。
基板30は、たとえばn型GaAsからなる半導体基板である。この基板30の主面上には半導体積層部31が積層されている。この半導体積層部31は、たとえばAlGa1−xAs(0≦x<1)で構成される複数のエピタキシャル層で構成されている。なお、半導体積層部31の各エピタキシャル層に用いる半導体材料は、AlGa1−xAs(0≦x<1)に限定しない。
具体的には、基板30上には、n型AlGaAsで構成されるn型クラッド層311が積層されている。n型クラッド層311の上には、AlGaAsで構成される第1光ガイド層312が積層されている。第1光ガイド層312の上には、活性層313が形成されている。この活性層313は、GaAsで構成される井戸層と、AlGaAsで構成される障壁層とが交互に積層された量子井戸構造(MQW構造)を有している。また、活性層313の上には、AlGaAsで構成される第2光ガイド層314が積層されている。第1光ガイド層312及び第2光ガイド層314は、活性層313にレーザ光を閉じ込めるために、活性層313を挟むように設けられている。第2光ガイド層314の上には、p型AlGaAsで構成されるp型クラッド層315が積層されている。このp型クラッド層315は、凸部と凸部以外の平坦部とを有する。この凸部は、図15Aのy方向と平行に、ストライプ状(細長状)に形成されている。p型クラッド層315の凸部の上には、p型GaAsで構成されるp型中間層316が積層されている。p型中間層316の上には、p型GaAsで構成されるp型コンタクト層317が積層されている。半導体積層部31の上部に形成される導波路35は、p型クラッド層315の凸部、p型中間層316、及びp型コンタクト層317で構成されている。
なお、第3実施形態において、n型クラッド層311は、本発明の第1導電型半導体層の一例であり、p型クラッド層315、p型中間層316、p型コンタクト層317はそれぞれ、本発明の第2導電型半導体層の一例である。
また、図15Bや図15Cに示すように、半導体積層部31が積層される基板30の主面には、導波路35の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面36を含む両端部)に、基板凸部301が形成されている。この基板凸部301は、導波路35の長手方向と垂直な方向(x方向)に延びる帯状に形成される。導波路35の長手方向における基板凸部301の幅はD3である。言い換えると、基板凸部301は、図15Aに示すように、基板30の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、導波路35の長手方向(y方向)に共振器端面36から予め定められた距離D3離れた位置までの領域にて帯状に形成されている。なお、基板凸部301の高さは特に限定しない。また、第3実施形態では、D3をたとえば5μmに設定しているが、D3は20μm以下となるように設定される。また、後述するように基板凸部301を形成工程において、高精度のステッパー(縮小投影型露光装置)を用いれば、D3を3μm以下に設定することができる。
基板30に基板凸部301が形成されることにより、導波路35の長手方向(y方向)の半導体積層部31の両端部(すなわち、一対の共振器端面36を含む両端部)では、図15Bや図15Cに示すように、n型クラッド層311、第1光ガイド層312、活性層313、第2光ガイド層314、p型クラッド層315、p型中間層316、p型コンタクト層317、及び絶縁層32において、基板凸部301の上部に形成される部分が、基板凸部301以外の基板30の主面の上部に形成される部分よりも、基板30の主面に垂直な方向(z方向)において高い位置に形成される。
特に、基板凸部301の上部では、n型クラッド層311が、基板凸部301以外の基板30の主面の上部に形成されている第1光ガイド層312、活性層313、及び第2光ガイド層314よりも、基板30の主面に垂直な方向(z方向)において高い位置にまで成長する。また、第3実施形態では、n型クラッド層311が活性層313の量子井戸構造よりもバンドギャップの広い材料で構成されているので、n型クラッド層311は活性層313から放射される光(レーザ光)を吸収しない。そのため、基板30の主面に対して垂直な方向(z方向)において、基板凸部301の上部に設けられるn型クラッド層311のうち、基板凸部301以外の基板30の主面上に設けられる第1光ガイド層312、活性層313、及び第2光ガイド層314と同じ高さにある部分が窓領域370として機能する。すなわち、半導体レーザ素子3の共振器の光出射端及び光反射端において、n型クラッド層311の一部が窓領域370として機能する。
なお、図15B及び図15Cの例に限定されず、基板凸部301の上部において、n型クラッド層311は、少なくとも、基板凸部301以外の基板30の主面の上部に形成されている活性層313よりも、基板30の主面に垂直な方向(z方向)に高い位置にまで成長していればよい。こうすれば、基板30の主面に対して垂直な方向(z方向)において、基板凸部301の上部に設けられるn型クラッド層311のうち、少なくとも、基板凸部301以外の基板30の主面上に設けられる活性層313と同じ高さにある部分が窓領域370として機能する。そのため、半導体レーザ素子3の共振器の光出射端及び光反射端において、n型クラッド層311の一部を窓領域370として用いることができる。従って、基板凸部301が形成された基板30の主面上に半導体積層部31を積層するだけで、半導体レーザ素子3の共振器の光出射端及び光反射端に窓領域370を簡便に設けることができる。
導波路35の長手方向(y方向)における窓領域370の幅は、導波路35の長手方向における基板凸部301の幅D3とほぼ同じである。言い換えると、図15Aに示すように、窓領域370は、基板30の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、導波路35の長手方向(y方向)に、共振器端面36からほぼ距離D3離れた位置までの領域に設けられている。
また、図15Aに示すように、半導体レーザ素子3の共振器端面36及び側面31aで形成される角部(四隅)には、ドライエッチングにより溝部38が形成されている。導波路35の長手方向(y方向)における溝部38の幅はt3である。なお、第3実施形態では、t3をたとえば1μmに設定しているが、ドライエッチングの加工精度を考慮すると、t3は0.5μm以上に設定される。また、t3は基板凸部301の幅D3未満に設定される。
また、図15Aに示すように、溝部38は、基板30の主面と平行であって導波路35の長手方向と垂直な方向(x方向)に、導波路35の端から予め定められた距離r3離れている。なお、第3実施形態では、r3をたとえば10μmに設定しているが、r3は5μm以上であればよい。こうすれば、溝部38を形成しても、半導体レーザ素子3のレーザ特性は影響を受けない。
また、この溝部38の深さは、図15Bや図15Cに示すように、基板30の基板凸部301に達している。このように、溝部38の深さが基板30に到達していれば、後述する劈開工程が容易になるとともに劈開精度を高めることができる。なお、溝部38の深さは、導波路35の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面36を含む両端部)において、少なくとも窓領域370の一部を除去できる深さであればよい。
この溝部38の形成により、半導体レーザ素子3の角部(四隅)において、窓領域370の一部が除去されるため、導波路35の長手方向(y方向)における窓領域370の幅を狭くすることができる。従って、光学損傷を防止するための窓領域370の形成による動作電流や導波損失の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子3を容易に得ることができる。
また、導波路35の側面(すなわち、p型クラッド層315の凸部、p型中間層316、及びp型コンタクト層317の各側面)、p型クラッド層315の平坦部、溝部38の内面には、絶縁層32が形成される。この絶縁層32は、p型コンタクト層317の上面を除いて、少なくとも導波路35の側面に形成されていればよい。絶縁層32には、たとえばSiOが用いられる。また、基板凸部301以外の基板30の主面の上部では、導波路35の上(すなわちp型コンタクト層317の上)及び絶縁層32の上に、p側電極33が形成されている。なお、このp側電極33は、少なくともp型コンタクト層317の上面に形成されていればよい。
次に、第3実施形態に係る半導体レーザ素子3の製造方法について説明する。先ず、たとえばn型GaAsで構成される平坦な基板30を準備し、この基板30に基板凸部301を形成する。図16A及び図16Bは第3実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の構成図である。また、図16Aは第3実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の上面図である。また、図16Bは第3実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の一点鎖線Y3−Y3における断面構造図である。なお、図16Aにおいて、一点鎖線X1−X1は、半導体積層部31の劈開により光出射端面36aが形成される第1劈開位置を示しており、一点鎖線X2−X2は、半導体積層部31の劈開により光反射端面36bが形成される第2劈開位置を示している。また、第3実施形態では、一点鎖線X1−X1が示す第1劈開位置と一点鎖線X2−X2が示す第2劈開位置との間隔が、たとえば250μmに設定されている。
具体的には、フォトリソグラフィーにエッチング処理を組み合わて用いることにより、平坦な基板30に基板凸部301を形成する。たとえば、フォトリソグラフィーなどを用いて、平坦な基板30の主面上にフォトレジスト膜を形成する。このとき、フォトレジスト膜を、一点鎖線X1−X1や一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置を中心として、幅2D3(たとえば、10μm)の帯状の領域に形成する。そして、基板30の主面をエッチング処理して、フォトレジスト膜が形成されていない領域を予め定められた深さまでエッチングする。このエッチング処理の後、フォトレジスト膜を除去する。こうして、図16Bに示すように、基板凸部301が基板30の主面上に形成される。なお、第3実施形態において、2D3は40μm以下に設定されるが、フォトレジスト膜を形成する際に高精度のステッパー(縮小投影型露光装置)を用いれば、2D3を6μm以下に設定することができる。
次に、基板凸部301が形成された基板30の主面上に、有機金属結晶成長法や分子線結晶成長法などを用いて、たとえばAlGa1−xAs(0≦x<1)で構成される複数のエピタキシャル層で構成される半導体積層部31を設ける。具体的には、有機金属結晶成長法や分子線結晶成長法などを用いて、基板30の主面上に、n型AlGaAsで構成されるn型クラッド層311、AlGaAsで構成される第1光ガイド層312、GaAsで構成される井戸層とAlGaAsで構成される障壁層とが交互に積層された量子井戸構造(MQW構造)を有する活性層313、AlGaAsで構成される第2光ガイド層314、p型AlGaAsで構成されるp型クラッド層315、p型GaAsで構成されるp型中間層316、p型GaAsで構成されるp型コンタクト層317を順次成長させる。
このとき、n型クラッド層311、第1光ガイド層312、活性層313、第2光ガイド層314、p型クラッド層315、p型中間層316、及びp型コンタクト層317において、基板凸部301の上部に形成される部分が、基板凸部301以外の基板30の主面の上部に形成される部分よりも、基板30の主面に垂直な方向(z方向)において高い位置に形成される(たとえば図15B及び図15C参照)。
特に、基板凸部301の上部では、n型クラッド層311が、基板凸部301以外の基板30の主面の上部に形成されている第1光ガイド層312、活性層313、及び第2光ガイド層314よりも、基板30の主面に垂直な方向(z方向)において高い位置にまで成長する。また、第3実施形態では、n型クラッド層311が活性層313の量子井戸構造よりもバンドギャップの広い材料で構成されているので、n型クラッド層311は活性層313から放射される光(レーザ光)を吸収しない。そのため、基板30の主面に対して垂直な方向(z方向)において、基板凸部301の上部に設けられるn型クラッド層311のうち、基板凸部301以外の基板30の主面上に設けられる第1光ガイド層312、活性層313、及び第2光ガイド層314と同じ高さにある部分が窓領域370として機能する。
なお、図15Bや図15Cの例に限定されず、基板凸部301の上部において、n型クラッド層311は、少なくとも、基板凸部301以外の基板30の主面の上部に形成されている活性層313よりも、基板30の主面に垂直な方向(z方向)に高い位置にまで成長していればよい。こうすれば、基板30の主面に対して垂直な方向(z方向)において、基板凸部301の上部に設けられるn型クラッド層311のうち、少なくとも、基板凸部301以外の基板30の主面上に設けられる活性層313と同じ高さにある部分が窓領域370として機能する。そのため、一点鎖線X1−X1及びX2−X2が示す各劈開位置に沿って半導体積層部31を劈開したとき、半導体レーザ素子3の共振器の光出射端及び光反射端において、n型クラッド層311の一部を窓領域370として用いることができる。従って、基板凸部301が形成された基板30の主面上に半導体積層部31を積層するだけで、半導体レーザ素子3の共振器の光出射端及び光反射端に窓領域370を簡便に設けることができるので、半導体レーザ素子3の製造工程を簡略化することができる。
次に、スパッタ法やフォトリソグラフィーを用いて、半導体積層部31の上面に、導波路35を形成するための帯状のマスク層を形成する。このマスク層は、基板30の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置と垂直な方向(y方向)に延びる帯状に形成される。このマスク層には、たとえばSiOを用いる。
そして、ICP法などのドライエッチングを用いて、マスク層を形成した領域以外の領域において、p型クラッド層315の一部、p型中間層316、及びp型コンタクト層317を除去する。このドライエッチング処理により、基板30の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置と垂直な方向(y方向)に、ストライプ状(細長状)の導波路35が形成される。この導波路35を形成した後、フッ化水素酸などを用いて、マスク層を除去する。
マスク層を除去した後、第1実施形態と同様にして、フォトリソグラフィーやドライエッチング(たとえばICP法など)を用いて、一点鎖線X1−X1やX2−X2が示す各劈開位置に沿って溝部38を形成する。このとき、溝部38をさらに精度よく形成するために、ステッパー(縮小投影型露光装置)を利用してもよい。この溝部38は、基板30の主面に対して垂直上方からみた平面視において、一点鎖線X1−X1や一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置を中心として、幅2t3の帯状に形成される(たとえば図15A参照)。なお、第3実施形態では、2t3をたとえば2μmに設定しているが、ドライエッチングの加工精度を考慮すると、2t3は1μm以上に設定される。また、溝部38は、基板30の主面と平行であって導波路35の長手方向と垂直な方向(x方向)に、導波路35の端から予め定められた距離r3離れるように形成される。なお、第3実施形態では、r3をたとえば10μmに設定しているが、r3は5μm以上であればよい。こうすれば、溝部38を形成しても、半導体レーザ素子3の光学特性は影響を受けない。また、第3実施形態では、溝部38の深さは基板凸部301に達している。このように、溝部38の深さが基板30に到達していれば、後述する劈開工程が容易になるとともに劈開精度を高めることができる。なお、溝部38の深さは、導波路35の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面36を含む両端部)において、少なくとも窓領域370の一部を除去できる深さであればよい。
このように溝部38を形成することにより、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置(たとえば図16A参照)において半導体積層部31が劈開されたとき、半導体レーザ素子3の角部(四隅)に、導波路35の長手方向(たとえば図15Aのy方向)に幅t3の溝部38を形成することができる。
溝部38を形成した後、第1実施形態と同様に、導波路35を含む半導体積層部31の上部に、絶縁層32を形成する。絶縁層32の形成により、導波路35の側面からレーザ光が漏れ出ないようにして、活性層313内にレーザ光を閉じ込めることができる。この絶縁層32には、たとえばSiOを用いることができる。なお、絶縁層32は、p型コンタクト層317の上面を除いて、少なくとも導波路35の側面に形成すればよい。
絶縁層32を形成した後、フォトリソグラフィーなどを用いて、導波路35の上面(すなわち、p型コンタクト層316の上面)に形成された絶縁層32を除去する。そして、基板凸部301以外の基板30の主面の上部において、導波路35の上面及び絶縁層32の上に、p側電極33を形成する。なお、p側電極33は、少なくともp型コンタクト層317の上面に形成すればよい。
p側電極33を形成した後、基板30を裏面(半導体積層部31が積層される主面とは反対側の主面)側から研磨し、図15Aのz方向における半導体レーザ素子3の厚さを約80〜100μmとする。この研磨処理の後、基板30の裏面にn側電極34を形成する。
n側電極34を形成したのち、スクライブ処理により、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置(たとえば図16A参照)に沿って劈開用溝を形成し、この劈開用溝に沿って劈開を行う。なお、第3実施形態では破線スクライブ法を採用し、スクライブを破線状にいれている。こうすれば、劈開精度を向上させることができる。また、一点鎖線X1−X1及び一点鎖線X2−X2が示す各劈開位置には溝部38が形成されているので、スクライブ精度と相まって、たとえば寸法誤差が±1μm以下の良好な精度で劈開をすることができる。さらに破線スクライブを用いなくともたとえば寸法誤差が±2μm以下の良好な精度で劈開をすることができる。
この後、半導体レーザ素子3の光出射端面36aに、例えば酸化アルミニウム膜などで形成される端面保護膜(不図示)を形成する。また、光反射端面36bには、例えば酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、酸化タンタル膜、酸化チタン膜などで形成される端面保護膜(不図示)を形成する。なお、これらの端面保護膜の形成には、ECRスパッタ装置、スパッタ装置、電子ビーム蒸着装置などを用いる。そして、さらに各導波路35の間をチップ状に分割することで半導体レーザ素子3を得る。
以上の工程により、半導体レーザ素子3を作製することができる。第3実施形態では、半導体レーザ素子3の一対の共振器端面36にそれぞれ、導波路35の長手方向において幅D3の窓領域370を形成した。また、窓領域370の幅D3を共振器長に対して十分に短くすることができた。たとえば共振器長250μmの半導体レーザ素子3の一対の共振器端面36それぞれに、導波路35の長手方向においてたとえば幅5μmの窓領域370を形成することにより、各窓領域370の幅の総計を共振器長に対してたとえば4%程度にすることができた。そのため、半導体レーザ素子3の動作電流の上昇も3%以下に抑制することができ、動作電圧及び消費電力の上昇を抑制することもできた。
なお、上述の第3実施形態では、導波路35の形成工程の後に溝部38の形成工程を行っているが、導波路35の形成工程よりも先に溝部38の形成工程を行ってもよい。
また、第3実施形態では、活性層313を挟んで第1光ガイド層312及び第2光ガイド層314が積層されているが、本発明はこれに限定されない。第1光ガイド層312及び第2光ガイド層314の間に、たとえばAlGaAsで構成される光ガイド層と、量子井戸構造を有する活性層とが交互に複数の周期で積層されていてもよい。
また、第3実施形態では、半導体積層部31を構成する複数のエピタキシャル層が、たとえばAlGa1−xAs(0≦x<1)で構成されているが、本発明はこれに限定されない。半導体積層部31を構成する複数のエピタキシャル層が、AlGaIn1−x−yP(0≦x<1、0≦y<1)又はAlGa1−xAs(0≦x<1)で構成されていてもよい。
また、第3実施形態の変形例として、溝部38を、基板30の主面と平行であって導波路35の長手方向と垂直な方向(x方向)において、破線状に並ぶ複数の分割溝部で構成してもよい。また、p型クラッド層315内に、ドライエッチングによるエッチング深さを検出するためのエッチストップ層を形成してもよい。
さらに、第3実施形態の他の変形例として、第2実施形態と同様に、導波路35の長手方向において、光出射端面36a側の幅が光反射端面36b側の幅よりも広くなるように、窓領域370を形成してもよい。
また、上述の第3実施形態のように、たとえば基板凸部301のような基板段差が基板の主面に形成されていると、有機金属結晶成長法を用いて基板上に各エピタキシャル層を成長させるとき、その基板段差の近傍領域の上部にて成長する各エピタキシャル層の膜厚が、その近傍領域以外の他の領域の上部にて成長する各エピタキシャル層の膜厚よりも厚くなる。従って、この現象を利用すれば、帯状の基板溝(凹部)が形成された基板を用いても、第3実施形態と同様の構造を有する半導体レーザ素子を得ることができる。
<第4実施形態>
以下に、第4実施形態に係る半導体レーザ素子4の製造方法について説明する。
先ず、たとえばn型GaAsで構成される平坦な基板40を準備する。そして、フォトリソグラフィーにエッチング処理を組み合わせて用いることにより、平坦な基板40に基板溝401を形成する。図17A及び図17Bは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の構成図である。また、図17Aは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の上面図である。また、図17Bは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程で用いられる基板の一点鎖線Y4−Y4における断面構造図である。具体的には、図17A及び図17Bに示すように、フォトリソグラフィーなどを用いて、平坦な基板40の主面上にフォトレジスト膜を形成する。このとき、フォトレジスト膜を、一点鎖線X3−X3が示す位置を中心として、幅W(たとえば5μm)の帯状の領域に形成する。なお、一点鎖線X3−X3は、半導体レーザ素子4に共振器端面46を形成する際の劈開位置と平行な位置を示している。また、一点鎖線X4−X4は、劈開により共振器端面46を作製する際の劈開位置を示しており、一点鎖線X3−X3の両側に設定されている。各一点鎖線X4−X4の長い方の間隔Lはたとえば250μmである。また、一点鎖線X3−X3は、各一点鎖線X4−X4の短い方の間隔の略中心となる位置に設定されている。
そして、フォトレジスト膜を形成した帯状の領域以外の基板40の主面において、予め定められたエッチング深さd(たとえば2μm)までエッチングして、基板40の厚さを薄くする。このエッチング処理の後、フォトレジスト層を除去する。こうして、図17A及び図17Bに示すように、一点鎖線X3−X3に沿って、この基板40の主面に帯状の基板溝401が形成される。また、基板溝401は、一点鎖線X3−X3が示す位置を中心として幅W、及び深さdの帯状に形成される。
次に、基板溝401が形成された基板40の主面上に、有機金属結晶成長法を用いて、AlGa1−yIn1−x−yP(0≦x<1、0≦y<1)又はAlGa1−xAs(0≦x<1)で構成される複数のエピタキシャル層で構成される半導体積層部41を設ける。図18A及び図18Bは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程を説明するための構成図である。また、図18Aは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程での上面図である。また、図18Bは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の製造工程での一点鎖線Y4−Y4における断面構造図である。図18A及び図18Bに示すように、基板40の主面上には、n型AlGaInPで構成されるn型クラッド層411、AlGaAsで構成される第1光ガイド層412、GaAsで構成される井戸層とAlGaAsで構成される障壁層とが交互に積層された量子井戸構造(MQW構造)を有する活性層413、AlGaAsで構成される第2光ガイド層414、p型AlGaInPで構成されるp型クラッド層415、p型GaInPで構成されるp型中間層416、p型GaAsで構成されるp型コンタクト層417が順次積層される。
なお、第4実施形態において、n型クラッド層411は、本発明の第1導電型半導体層の一例であり、p型クラッド層415、p型中間層416、p型コンタクト層417はそれぞれ、本発明の第2導電型半導体層の一例である。
このとき、図18Bに示すように、n型クラッド層411、第1光ガイド層412、活性層413、第2光ガイド層414、p型クラッド層415、p型中間層416、及びp型コンタクト層417において、基板溝401の基板段差401aの近傍領域の上部に形成される部分が、基板段差401aの近傍領域以外の基板40の主面の上部に形成される部分よりも、基板40の主面に垂直な方向(z方向)において高い位置に形成される。
特に、基板段差401aの近傍領域の上部では、n型クラッド層411が、基板段差401aの近傍領域以外の基板40の主面の上部に形成されている第1光ガイド層412、活性層413、及び第2光ガイド層414よりも、基板40の主面に垂直な方向(z方向)において高い位置にまで成長する。また、第4実施形態では、n型クラッド層411が活性層413の量子井戸構造よりもバンドギャップの広い材料で構成されているので、n型クラッド層411は活性層413から放射される光(レーザ光)を吸収しない。そのため、基板40の主面に対して垂直な方向(z方向)において、基板段差401aの近傍領域の上部に設けられるn型クラッド層411のうち、基板段差401aの近傍領域以外の基板40の主面上に設けられる第1光ガイド層412、活性層413、及び第2光ガイド層414と同じ高さにある部分が窓領域470として機能する。
なお、図18Bの例に限定されず、基板段差401aの近傍領域の上部において、n型クラッド層411は、少なくとも、基板段差401aの近傍領域以外の基板40の主面の上部に形成されている活性層413よりも、基板40の主面に垂直な方向(z方向)に高い位置にまで成長していればよい。こうすれば、基板40の主面に対して垂直な方向(z方向)において、基板段差401aの近傍領域の上部に設けられるn型クラッド層411のうち、少なくとも、基板段差401aの近傍領域以外の基板40の主面上に設けられる活性層413と同じ高さにある部分が窓領域470として機能する。そのため、一点鎖線X4−X4が示す劈開位置に沿って半導体積層部41を劈開したとき、半導体レーザ素子4の共振器の光出射端及び光反射端において、n型クラッド層411の一部を窓領域470として用いることができる。従って、基板溝401が形成された基板40の主面上に半導体積層部41を積層するだけで、半導体レーザ素子4の共振器の光出射端及び光反射端に窓領域470を簡便に設けることができるので、半導体レーザ素子4の製造工程を簡略化することができる。
次に、第3実施形態と同様にして、半導体積層41の上に導波路45を形成する。
導波路45を形成した後、第3実施形態と同様に、フォトリソグラフィーやドライエッチング(たとえばICP法など)を用いて、一点鎖線X4−X4が示す各劈開位置に沿って、導波路45の長手方向に対して垂直な方向(図18Aのx方向)に延びる溝部48を形成する。このとき、溝部48をさらに精度よく形成するために、ステッパー(縮小投影型露光装置)を利用してもよい。
図18Aに示すように、溝部48は、基板40の主面に対して垂直上方からみた平面視において、一点鎖線X4−X4が示す劈開位置を中心とする幅2t4(たとえば2μm)に帯状に形成される。なお、第4実施形態では、2t4をたとえば2μmに設定しているが、ドライエッチングの加工精度を考慮すると、2t4は1μm以上であればよい。また、図18Aに示すように、溝部48は、基板40の主面と平行であって導波路45の長手方向と垂直な方向(x方向)に、導波路45の端から予め定められた距離r4離れるように形成される。なお、第4実施形態では、r4をたとえば7μmに設定しているが、r4は5μm以上であればよい。こうすれば、溝部48を形成しても、半導体レーザ素子4のレーザ特性は影響を受けない。
また、図18Aや図18Bに示すように、溝部48は基板溝401の両側に形成される。さらに、溝部48は、基板40の主面に対して垂直な方向(z方向)からみた平面視において、基板溝401の両側にて、基板溝401の基板段差401aから外側に向かって予め定められた距離r5離れるように形成される。なお、第4実施形態では、r5をたとえば3μmに設定している。
また、図18Bに示すように、溝部48の深さは基板40に達している。このように、溝部48の深さが基板40に到達していれば、後述する劈開工程が容易になるとともに劈開精度を高めることができる。なお、溝部48の深さは、導波路45の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面46を含む両端部)において、少なくとも窓領域470の一部を除去できる深さであればよい。
このように溝部48を形成することにより、図18Aの一点鎖線X4−X4が示す各劈開位置において半導体積層部41が劈開されたとき、半導体レーザ素子4の角部(四隅)に、導波路45の長手方向(y方向)に幅t4(たとえば1μm)の溝部48が形成される。こうすれば、窓領域470の一部が除去されるため、導波路45の長手方向(y方向)における窓領域470の幅を狭くすることができる。従って、光学損傷を防止するための窓領域470の形成による動作電流や導波損失の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子4を容易に得ることができる。
溝部48を形成した後、第3実施形態と同様にして、導波路45を含む半導体積層部41の上部に、絶縁層42を形成する。この絶縁層44には、たとえばSiOを用いることができる。絶縁層42の形成により、導波路45の側面からレーザ光が漏れ出ないようにして、活性層413内にレーザ光を閉じ込めることができる。なお、絶縁層42は、p型コンタクト層417の上面を除いて、少なくとも導波路45の側面に形成すればよい。
絶縁層42を形成した後、フォトリソグラフィーなどを用いて、導波路45の上面(すなわち、p型コンタクト層416の上面)に形成された絶縁層42を除去する。そして、基板段差401aの近傍領域以外の基板40の主面の上部において、導波路45の上面及び絶縁層42の上に、p側電極43を形成する。なお、p側電極43は、少なくともp型コンタクト層417の上面に形成すればよい。
p側電極43を形成した後、基板40を裏面(半導体積層部41が積層される主面とは反対側の主面)側から研磨し、図18Bのz方向における半導体レーザ素子4の厚さを約80〜100μmとする。この研磨処理の後、基板40の裏面にn側電極44を形成する。
n側電極44を形成した後、破線スクライブ法を用いて、図18Aの一点鎖線X4−X4が示す各劈開位置に沿って、劈開用溝(不図示)を形成する。そして、基板40の主面に対して垂直上方からみた平面視において、基板溝401の両側にて、基板溝401の基板段差401aから外側に向かって離れた劈開位置で半導体レーザウェハの劈開を行う。この後、第3実施形態と同様にして、一対の共振器端面46に端面保護膜(不図示)を形成し、さらにチップ状に各導波路45の間を分割することで半導体レーザ素子4を得る。
以上の工程により第4実施形態に係る半導体レーザ素子4が得られる。なお、上述のように第4実施形態では、主面に複数の基板溝401が形成された基板40を用いるが、劈開工程では基板溝401を含む部分が除去される。そのため、第4実施形態に係る半導体レーザ素子4は、基板40の主面(半導体積層部41が積層される側の主面)に基板凸部が設けられていないこと以外は、第3実施形態と同様の構造をしている。図19A〜図19Cは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の構成図である。また、図19Aは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の上面図である。また、図19Bは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C1−C1における断面構造図である。また、図19Cは第4実施形態に係る半導体レーザ素子の一点鎖線C2−C2における断面構造図である。
図19A〜図19Cに示すように、第4実施形態に係る半導体レーザ素子4では、n型クラッド層411、第1光ガイド層412、活性層413、第2光ガイド層414、p型クラッド層415、p型中間層416、p型コンタクト層417、及び絶縁層42において、導波路45の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面46を含む両端部)の近傍部分が、それ以外の部分よりも基板40の主面に垂直な方向(z方向)において高い位置に形成される。これらの近傍部分は、基板40の主面のうち、導波路45の長手方向(y方向)の基板40の両端部において、各端部から導波路45の長手方向に予め定められた距離D4(たとえば5μm)離れた位置までの領域(以下、端部近傍領域と呼ぶ。)の上部に形成される部分である。
特に、基板40の端部近傍領域の上部では、n型クラッド層411が、端部近傍領域以外の基板40の主面の上部に形成されている活性層413及び第2光ガイド層414よりも、基板40の主面に垂直な方向(z方向)において高い位置にまで成長する。そのため、基板40の主面に対して垂直な方向(z方向)において、基板40の端部近傍領域の上部に設けられるn型クラッド層411のうち、端部近傍領域以外の基板40の主面上に設けられる第1光ガイド層412、活性層413、及び第2光ガイド層414と同じ高さにある部分が窓領域470として機能している。
なお、図19A〜図19Cに限定されず、基板40の端部近傍領域の上部において、n型クラッド層411は、少なくとも、端部近傍領域以外の基板40の主面の上部に形成されている活性層413よりも、基板40の主面と垂直な方向(z方向)に高い位置にまで成長していればよい。こうすれば、基板40の主面と垂直な方向(z方向)において、基板40の端部近傍領域の上部に設けられるn型クラッド層411のうち、少なくとも、端部近傍領域以外の基板40の主面上に設けられる活性層413と同じ高さにある部分が窓領域470として機能する。そのため、半導体レーザ素子4の共振器の光出射端及び光反射端において、n型クラッド層411の一部を窓領域470として用いることができる。
また、半導体レーザ素子4において、導波路45の長手方向(y方向)における窓領域470の幅は、基板40の端部近傍領域の幅D4とほぼ同じである。言い換えると、図19Aに示すように、窓領域470は、基板40の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、導波路45の長手方向(y方向)に、共振器端面46からほぼ距離D4離れた位置までの領域に設けられている。なお、第4実施形態では、D4は20μm以下となるように設定されるが、3μm以下となるように設定することもできる。
また、図19Aに示すように、半導体レーザ素子4の共振器端面46及び側面41aで形成される角部(四隅)には、ドライエッチングにより溝部48が形成されている。この溝部48により、半導体レーザ素子4の角部(四隅)において、窓領域470の一部が除去されるため、導波路45の長手方向(y方向)における窓領域470の幅を狭くすることができる。従って、光学損傷を防止するための窓領域470の形成による動作電流や導波損失の増加を抑制することができるとともに、製造歩留まりの良好な半導体レーザ素子4を容易に得ることができる。
また、図19Aに示すように、半導体レーザ素子4では、導波路45の長手方向(y方向)における溝部48の幅はt4である。なお、第4実施形態では、t4をたとえば1μmに設定しているが、ドライエッチングの加工精度を考慮すると、t4は0.5μm以上に設定される。また、t4は窓領域470の幅D4未満に設定される。
また、図19Aに示すように、半導体レーザ素子4では、溝部48が、基板40の主面に対して垂直上方(z方向)から見た平面視において、基板40の主面と平行であって導波路45の長手方向と垂直な方向(x方向)に、導波路45の端から予め定められた距離r4離れている。なお、第4実施形態では、r4をたとえば7μmに設定しているが、r4は5μm以上であればよい。こうすれば、溝部48を形成しても、半導体レーザ素子4のレーザ特性は影響を受けない。
また、図19Bや図19Cに示すように、半導体レーザ素子4では、溝部48の深さが基板401に達している。こうすれば、劈開工程が容易になるとともに劈開精度を高めることができる。なお、溝部48の深さは、導波路45の長手方向(y方向)の両端部(すなわち一対の共振器端面46を含む両端部)において、少なくとも窓領域470の一部を除去できる深さであればよい。
上述のように第4実施形態では、半導体レーザ素子4の一対の共振器端面46にそれぞれ、導波路45の長手方向において幅D4の窓領域470を設けた。また、窓領域470の幅D4を共振器長に対して十分に短くすることができた。たとえば、共振器長250μmの半導体レーザ素子4の一対の共振器端面46それぞれに、導波路45の長手方向においてたとえば幅5μmの窓領域470を形成することにより、各窓領域470の幅の総計を共振器長に対してたとえば4%程度にすることができた。そのため、半導体レーザ素子4の動作電流の上昇も4%以下に抑制することができ、動作電圧及び消費電力の上昇を抑制することもできた。
なお、上述の第4実施形態では、導波路45の形成工程の後に溝部48の形成工程を行っているが、導波路45の形成工程よりも先に溝部48の形成工程を行ってもよい。
また、第4実施形態では、活性層413を挟んで第1光ガイド層412及び第2光ガイド層414が積層されているが、本発明はこれに限定されない。第1光ガイド層412及び第2光ガイド層414の間に、たとえばAlGaAsで構成される光ガイド層と、量子井戸構造を有する活性層とが交互に複数の周期で積層されていてもよい。
また、第4実施形態の変形例として、溝部48を、基板30の主面と平行であって導波路45の長手方向と垂直な方向(x方向)において、破線状に並ぶ複数の分割溝部で構成してもよい。また、p型クラッド層415内に、ドライエッチングによるエッチング深さを検出するためのエッチストップ層を形成してもよい。
さらに、第4実施形態では、光出射端面46aを含む端面、及び光反射端面46bを含む端面に、導波路45の長手方向(y方向)にそれぞれ同じ幅D4の窓領域470を設けた。本発明では、導波路45の長手方向の両端部(共振器端面46を含む両端部)に溝部48を精度良く形成できる。そのため、たとえば第2実施形態と同様に、導波路45の長手方向において、光出射端面46a側の幅が光反射端面46b側の幅よりも広くなるように、窓領域470を形成してもよい。
以上、本発明について実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせに色々な変形例が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、基板用に積層する半導体積層部の各エピタキシャル層については、その厚さや組成などを、所望の特性に合うものに適宜組み合わせたり変更したりすることが可能である。また、たとえば、上述の第1〜第4実施形態において、エピタキシャル層の追加や削除、エピタキシャル層を積層する順序を一部入れ換えてもよい。また、一部のエピタキシャル層について導電型を変更してもよい。
1、3、4 半導体レーザ素子
10、30、40 基板
301 基板凸部
401 基板溝
401a 基板段差
11、31、41 半導体積層部
111、311、411 n型クラッド層
112、312、412 第1光ガイド層
113、313、413 活性層
114、314、414 第2光ガイド層
115、315、415 p型クラッド層
116、316、416 p型中間層
117、317、417 p型コンタクト層
118 エッチストップ層
12、32、42 絶縁層
13、33、43 p側電極
14、34、44 n側電極
15、35、45 導波路
16、36、46 共振器端面
16a、36a、46a 光出射端面
16b、36b、46b 光反射端面
17 不純物拡散領域
170、370、470 窓領域
18、38、48 溝部
180 分離溝部
50 不純物膜
51 保護膜
60 マスク層

Claims (10)

  1. 基板と、前記基板上に設けられる半導体積層部と、を備え、前記半導体積層部が量子井戸構造を有する活性層を含み、前記半導体積層部の上部にストライプ状の導波路が形成され、前記導波路の長手方向の前記半導体積層部の両端部に一対の共振器端面が形成される半導体レーザ素子において、
    前記共振器端面を含む両端部に、前記活性層の量子井戸構造よりもバンドギャップを広くした窓領域が形成されるとともに、前記窓領域の一部を除去するための溝部が形成され、
    前記窓領域が、前記基板の主面と垂直な方向において、少なくとも前記活性層と同じ高さの位置に形成され、
    前記溝部が、前記基板の主面と平行であって前記導波路の長手方向と垂直な方向に、前記導波路の端から離れるように形成されることを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 前記窓領域が、前記一対の共振器端面のうちの前記活性層から光が出射される光出射端面を含む端部に設けられる第1窓領域と、前記一対の共振器端面のうちの光反射端面を含む端部に設けられる第2窓領域と、を含み、
    前記導波路の長手方向において、前記第1窓領域の幅が前記第2窓領域の幅よりも広いことを特徴とする前記請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記導波路の長手方向の両端部において、前記基板の主面に帯状の基板凸部が設けられ、
    前記半導体積層部が、前記基板と前記活性層との間に設けられる第1導電型半導体層と、前記活性層の上部に形成される第2導電型半導体層とをさらに含み、
    前記基板の主面と垂直な方向において、前記基板凸部の上部に設けられる前記第1導電型半導体層が、少なくとも、前記基板凸部以外の基板の主面上に設けられる前記活性層以上の高さまで積層され、
    前記基板の主面と垂直な方向において、少なくとも前記活性層と同じ高さの位置にある第1導電型半導体層の一部が前記窓領域として機能することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記窓領域の幅が前記導波路の長手方向に40μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記半導体積層部が、AlGaIn1−x−yP(0≦x<1、0≦y<1)又はAlGa1−xAs(0≦x<1)で構成される複数のエピタキシャル層で構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  6. 前記溝部が、前記基板の主面と平行であって前記導波路の長手方向と垂直な方向に、前記導波路の端から5μm以上離れていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  7. 基板上に、量子井戸構造を有する活性層を含む半導体積層部を設けるステップと、
    前記半導体積層部の上部にストライプ状の導波路を形成するステップと、
    劈開により共振器端面を形成するステップと、
    を備える半導体レーザ素子の製造方法において、
    前記基板の主面に対して垂直上方からみた平面視において、前記共振器端面を形成するための劈開位置に沿う帯状の領域に、前記活性層の量子井戸構造よりもバンドギャップを広くした窓領域を形成するステップと、
    前記窓領域の一部を除去するための溝部を前記劈開位置に形成するステップと、
    をさらに備え、
    前記窓領域を形成するステップでは、前記基板の主面と垂直な方向において、少なくとも前記活性層と同じ高さの位置に前記窓領域を形成し、
    溝部が形成されるステップでは、前記基板の主面と平行であって前記導波路の長手方向と垂直な方向に前記導波路の端から離れるように、前記溝部を形成することを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。
  8. 平坦な前記基板の主面上に、前記劈開位置に沿って帯状の基板凸部を形成するステップをさらに備え、
    前記半導体積層部を設けるステップが、前記基板上に第1導電型半導体層を設けるステップと、前記第1導電型半導体層の上に前記活性層を設けるステップと、前記活性層の上に第2導電型半導体層を設けるステップと、を含み、
    前記第1導電型半導体層を設けるステップでは、前記基板の主面と垂直な方向において、前記基板凸部の上部に設けられる前記第1導電型半導体層を、少なくとも、前記基板凸部以外の基板の主面上に設けられる前記活性層以上の高さにまで設けることを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  9. 平坦な前記基板の主面上に、前記劈開位置と平行に帯状の基板溝を形成するステップをさらに備え、
    前記劈開により共振器端面を形成するステップでは、前記基板の主面に対して垂直上方からみた平面視において、前記基板溝の両側にて、前記基板溝の基板段差から外側に向かって離れた劈開位置で劈開を行い、
    前記半導体積層部を設けるステップが、前記基板上に第1導電型半導体層を設けるステップと、前記第1導電型半導体層の上に前記活性層を設けるステップと、前記活性層の上に第2導電型半導体層を設けるステップと、を含み、
    前記第1導電型半導体層を設けるステップでは、前記基板の主面と垂直な方向において、帯状の前記基板溝の基板段差の近傍領域の上部に設けられる前記第1導電型半導体層を、少なくとも、前記基板溝及び前記近傍領域以外の基板の主面上に設けられる前記活性層以上の高さにまで設け、
    前記溝部を形成するステップでは、前記基板の主面に対して垂直上方からみた平面視において、前記基板溝の両側の前記劈開位置に前記溝部を形成することを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  10. 前記溝部を形成するステップでは、前記基板に達する深さまで前記溝部を形成することを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかに記載の半導体レーザ素子の製造方法。
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JP2018511171A (ja) * 2015-03-20 2018-04-19 オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングOsram Opto Semiconductors GmbH 端面発光型半導体レーザおよびその製造方法
CN111902913A (zh) * 2018-03-29 2020-11-06 三菱电机株式会社 半导体装置的制造方法

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