WO2024143468A1 - 複合材料製部品の成形方法 - Google Patents
複合材料製部品の成形方法Info
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Abstract
複合材料製部品の成形方法は、上型および下型のそれぞれにプリプレグを積層し、上型に積層された上型積層体および下型に積層された下型積層体の少なくともいずれか一方の積層体の表面に所定形状の圧縮部材を載置して加熱及び加圧し、圧縮部材が載置された積層体から当該圧縮部材を除去し、上型積層体の表面と下型積層体の表面とを接触させるように上型と下型を合体させて、上型積層体と下型積層体を1つの成形用積層体とし、当該成形用積層体を加熱及び加圧して、複合材料製部品を成形する。
Description
本開示は、複合材料製部品の成形方法に関する。
特許文献1には、複合材料である繊維強化プラスチックからなる複合材料製部品として、工作機械用テーブルを製造する方法が開示されている。この製造方法では、上型および下型のそれぞれにシート状の繊維に熱硬化性樹脂を含浸させながら積層し、上型と下型を合体させた後に加熱することで複合材料製部品を成形している。
部品の途中で厚みが変化し、かつ部品の表面に湾曲したコンターを有する複合材料製部品を成形する場合、変形、繊維の歪み、部品内部の割れやボイドなどの内部欠陥が生じることがある。
本開示の目的は、変形、繊維の歪み、内部欠陥が生じることを抑制することが可能な複合材料製部品の成形方法を提供することにある。
本開示の一局面に係る複合材料製部品の成形方法は、上型および下型のそれぞれにプリプレグを積層し、前記上型に積層された上型積層体および前記下型に積層された下型積層体の少なくともいずれか一方の積層体の表面に所定形状の圧縮部材を載置して、前記圧縮部材が載置された積層体を加熱及び加圧し、前記圧縮部材が載置された積層体から当該圧縮部材を除去し、前記上型積層体の表面と、前記下型積層体の表面とを接触させるように前記上型と前記下型を合体させて、前記上型積層体と前記下型積層体を1つの成形用積層体とし、前記成形用積層体を加熱及び加圧して、複合材料製部品を成形する。
本開示に係る成形方法は、プリプレグの積層体を加熱及び加圧することで複合材料製部品を成形する方法である。成形方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法などを採用することができる。複合材料製部品は、繊維と樹脂とを含む複合材料である繊維強化プラスチックからなる部品である。繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。複合材料製部品は、例えば、航空機用部品に適用されてもよいし、風力発電のための風車、船舶、タンク、又は自動車用等の部品に適用されてもよい。また、プリプレグは、繊維の基材に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含浸させたシート体である。
本開示に係る複合材料製部品の成形方法は、部品の途中で厚みが変化し、かつ部品の表面に湾曲したコンターを有する複合材料製部品を成形する方法として特に有効である。すなわち、本開示に係る複合材料製部品の成形方法は、複合材料製部品の厚み変化が大きい場合に好適な成形方法である。厚み変化が大きい場合とは、例えば、以下に示す第1条件、第2条件及び第3条件のうち、少なくとも1つの条件を満たす場合である。第1条件は、部品表面における2点間の厚み方向の差が10mm以上であることを示す条件である。第2条件は、部品表面における2点間のプリプレグの積層数の差が50層以上であることを示す条件である。第3条件は、部品表面における2点間の厚み方向の差を1としたときに、当該2点間の厚み方向に垂直な方向の差が6以下であることを示す条件である。
以下、本開示に係る複合材料製部品の成形方法の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る複合材料製部品の成形方法のフローチャートである。図2A~図2Eは、第1実施形態に係る成形方法における各ステップを示す図である。複合材料製部品PAは、成形型を使用して成形される。このため、複合材料製部品PAを成形する際には、成形型が準備される。成形型としては、複合材料製部品PAの外形状に合わせたキャビティを有する上型1と下型2とが準備される。部品の厚み方向の両側の各表面にコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、上型1は、キャビティの深さ変化が所定値以上であって、キャビティの深い部分11と浅い部分12とを有する型となり、同様に、下型2も、キャビティの深い部分21と浅い部分22とを有する型となる。例えば、上型1のキャビティにおいて、キャビティの浅い部分が平坦面である場合、浅い部分からつながる勾配および浅い部分より深いキャビティを持つ部分が深い部分11となり、深い部分よりキャビディが浅い平坦面が浅い部分12となる。同様に、下型2のキャビティにおいて、キャビティの浅い部分が平坦面である場合、浅い部分からつながる勾配および浅い部分より深いキャビティを持つ部分が深い部分21となり、深い部分よりキャビディが浅い平坦面が浅い部分22となる。キャビティの浅い部分が平坦面ではなく勾配がある場合、勾配の角度を基に、勾配が存在する部分のうち所定の角度以下の部分を浅い部分12、22とし、浅い部分からつながり所定の角度より大きい勾配を深い部分11、21としてもよい。上型1のキャビティにおいて、キャビティの深さの中央値を基準として、中央値以上の深さを有する部分が深い部分11となり、中央値未満の深さを有する部分が浅い部分12としてもよい。同様に、下型2のキャビティにおいて、キャビティの深さの中央値を基準として、中央値以上の深さを有する部分が深い部分21となり、中央値未満の深さを有する部分が浅い部分22としてもよい。部品の厚み方向の一方の表面のみにコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、上型1は、キャビティの深い部分11と浅い部分12とを有する型となり、下型2は、キャビティの深さ変化が所定値未満の型となる。或いは、上型1が、キャビティの深さ変化が所定値未満の型であり、下型2が、キャビティの深い部分21と浅い部分22とを有する型であってもよい。キャビティの深さ変化が所定値以上の型とは、上記の第1条件、第2条件及び第3条件のうち、少なくとも1つの条件を満たす型である。キャビティの深さ変化が所定値未満の型とは、上記の第1条件、第2条件及び第3条件を全て満たさない型である。
図1は、第1実施形態に係る複合材料製部品の成形方法のフローチャートである。図2A~図2Eは、第1実施形態に係る成形方法における各ステップを示す図である。複合材料製部品PAは、成形型を使用して成形される。このため、複合材料製部品PAを成形する際には、成形型が準備される。成形型としては、複合材料製部品PAの外形状に合わせたキャビティを有する上型1と下型2とが準備される。部品の厚み方向の両側の各表面にコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、上型1は、キャビティの深さ変化が所定値以上であって、キャビティの深い部分11と浅い部分12とを有する型となり、同様に、下型2も、キャビティの深い部分21と浅い部分22とを有する型となる。例えば、上型1のキャビティにおいて、キャビティの浅い部分が平坦面である場合、浅い部分からつながる勾配および浅い部分より深いキャビティを持つ部分が深い部分11となり、深い部分よりキャビディが浅い平坦面が浅い部分12となる。同様に、下型2のキャビティにおいて、キャビティの浅い部分が平坦面である場合、浅い部分からつながる勾配および浅い部分より深いキャビティを持つ部分が深い部分21となり、深い部分よりキャビディが浅い平坦面が浅い部分22となる。キャビティの浅い部分が平坦面ではなく勾配がある場合、勾配の角度を基に、勾配が存在する部分のうち所定の角度以下の部分を浅い部分12、22とし、浅い部分からつながり所定の角度より大きい勾配を深い部分11、21としてもよい。上型1のキャビティにおいて、キャビティの深さの中央値を基準として、中央値以上の深さを有する部分が深い部分11となり、中央値未満の深さを有する部分が浅い部分12としてもよい。同様に、下型2のキャビティにおいて、キャビティの深さの中央値を基準として、中央値以上の深さを有する部分が深い部分21となり、中央値未満の深さを有する部分が浅い部分22としてもよい。部品の厚み方向の一方の表面のみにコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、上型1は、キャビティの深い部分11と浅い部分12とを有する型となり、下型2は、キャビティの深さ変化が所定値未満の型となる。或いは、上型1が、キャビティの深さ変化が所定値未満の型であり、下型2が、キャビティの深い部分21と浅い部分22とを有する型であってもよい。キャビティの深さ変化が所定値以上の型とは、上記の第1条件、第2条件及び第3条件のうち、少なくとも1つの条件を満たす型である。キャビティの深さ変化が所定値未満の型とは、上記の第1条件、第2条件及び第3条件を全て満たさない型である。
以下の説明では、複合材料製部品PAの厚み変化に応じてキャビティの深さ変化が所定値以上の成形型を第1種の成形型と称し、キャビティの深さ変化が所定値未満の成形型を第2種の成形型と称することがある。図2Aに示す例では、上型1は、キャビティの深い部分11と浅い部分12とを有する第1種の成形型である。同様に、下型2は、キャビティの深い部分21と浅い部分22とを有する第1種の成形型である。なお、上型1及び下型2において型の厚みが一定の場合には、上型1のキャビティの浅い部分12と下型2のキャビティの浅い部分22とに外方から接触するようにリブを有する補強部材3が配置される。
ステップs1では、図2Aに示すように、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層する。これにより、上型1にプリプレグPrが積層された上型積層体PrAと、下型2にプリプレグPrが積層された下型積層体PrBとが作成される。
プリプレグPrは、ベース積層材料Pr1と部分積層材料Pr2とを含む態様であってもよい。ベース積層材料Pr1は、複合材料製部品PAの全体に対応して積層される材料である。すなわち、ベース積層材料Pr1は、上型1および下型2のそれぞれのキャビティの全体にわたって積層される。部分積層材料Pr2は、ベース積層材料Pr1よりも短い材料である。厚みに変化があり、かつ表面にコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合に、部分積層材料Pr2は、複合材料製部品PAにおける厚みが大きい部分に対応して部分的に積層される。すなわち、部分積層材料Pr2は、上型1のキャビティの深い部分11と下型2のキャビティの深い部分21とに積層される。部分積層材料Pr2は、上型1のキャビティの浅い部分12の一部、又は下型2のキャビティの浅い部分22の一部まで伸びて積層されていてもよい。プリプレグPrは、ベース積層材料Pr1及び部分積層材料Pr2以外に、ベース積層材料Pr1よりも短い別の材料を含んでいても良い。
上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層するステップs1では、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の成形型にベース積層材料Pr1を1以上積層し、部分積層材料Pr2を1以上積層し、部分積層材料Pr2に他のベース積層材料Pr1を積層する。すなわち、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層する際に、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の成形型においては、ベース積層材料Pr1と部分積層材料Pr2とを交互または複数層ずつ積層する。これにより、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の成形型において、複合材料製部品PAにおける厚みが大きい部分に対応して部分的に、複数のベース積層材料Pr1の間に挟むように部分積層材料Pr2を積層することができる。
厚み方向の両側の各表面にコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、第1種の成形型である上型1および下型2のそれぞれに、ベース積層材料Pr1と部分積層材料Pr2とを交互または複数層ずつ積層する。厚み方向の一方の表面のみにコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、上型1および下型2において、第1種の成形型にはベース積層材料Pr1と部分積層材料Pr2とを交互または複数層ずつ積層し、第2種の成形型にはベース積層材料Pr1のみを積層する。なお、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層するステップs1では、部分積層材料Pr2を積層せずに、ベース積層材料Pr1のみを積層してもよい。このように上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層することで、上型積層体PrAと下型積層体PrBとが作成される。
次に、ステップs2では、図2Bに示すように、上型積層体PrAおよび下型積層体PrBの少なくともいずれか一方の積層体の表面に所定形状の圧縮部材4を載置して加熱H及び加圧Pする。これにより、圧縮部材4が載置された積層体が圧縮される。厚み方向の両側の各表面にコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、第1種の成形型に積層された上型積層体PrAおよび下型積層体PrBのそれぞれの表面に圧縮部材4を載置して加熱H及び加圧Pする。厚み方向の一方の表面のみにコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、上型積層体PrAおよび下型積層体PrBのうち、第1種の成形型に積層された積層体の表面に圧縮部材4を載置して加熱H及び加圧Pする。図2Bに示す例では、上型積層体PrAおよび下型積層体PrBのそれぞれの表面に圧縮部材4を載置して加熱H及び加圧Pする。
圧縮部材4は、積層体の表面に接触する面が所定の許容範囲の平面度を有する平坦面であれば、その形状は特に限定されない。圧縮部材4は、例えば、平板状のプレートにより実現することができる。圧縮部材4は平板状でなくてもよいし、厚みがあってもよい。圧縮部材4を載置した状態で積層体を圧縮するときの温度及び圧力は、複合材料製部品PAを成形するときの温度及び圧力よりも低い値に設定される。例えば、複合材料製部品PAを成形するときは温度が190℃で圧力が0.7MPaに設定されるのに対し、積層体を圧縮するときは温度が60℃~90℃で圧力が0.1MPa以上~0.7MPa未満に設定される。
次に、ステップs3では、図2Cに示すように、圧縮部材4が載置された積層体から当該圧縮部材4を除去する。その後、ステップs4では、図2Dに示すように、上型積層体PrAの表面と、下型積層体PrBの表面とを接触させるように上型1と下型2を合体させて、上型積層体PrAと下型積層体PrBを1つの成形用積層体PrCとする。そして、ステップs5では、図2Eに示すように、成形用積層体PrCを加熱H及び加圧Pして、複合材料製部品PAを成形する。
複合材料製部品PAを成形する際の加熱H及び加圧Pの対象となる成形用積層体PrCは、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrが積層された上型積層体PrAと下型積層体PrBを合体させたものである。これにより、例えば下型2のみにプリプレグPrを積層した場合に比べて、成形用積層体PrCが加熱H及び加圧Pされたときに、合体した状態の上型1および下型2で囲まれたキャビティ内で樹脂が均一に流動しやすい。このため、複合材料製部品PAにおいて、変形、繊維の歪み、部品内部の割れが生じることを抑制することができる。
また、厚みに変化があり、かつ表面にコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、上型積層体PrAおよび下型積層体PrBのうち、第1種の成形型に積層された積層体の表面に段差が存在する場合がある。図2Aに示す例では、第1種の成形型である上型1に積層された上型積層体PrAの表面に段差PrA1が存在し、第1種の成形型である下型2に積層された下型積層体PrBの表面に段差PrB1が存在している。このような段差PrA1,PrB1が存在した状態で、上型積層体PrAと下型積層体PrBを合体させて1つの成形用積層体PrCとした場合、成形用積層体PrCの内部に段差PrA1,PrB1に起因した隙間が生じる。成形用積層体PrCの内部の隙間は、複合材料製部品PAの内部に割れやボイドなどの内部欠陥が生じる原因となる。そこで、上記のとおり、上型積層体PrAおよび下型積層体PrBのうち、段差が存在する積層体の表面に圧縮部材4の平坦面が接触するように圧縮部材4を載置して積層体を加熱H及び加圧Pする。これにより、積層体の表面に段差が存在していたとしても、圧縮部材4の圧縮によって積層体の表面を圧縮部材4の平坦面に沿って平坦にすることができる。これにより、成形用積層体PrCの内部に隙間が生じることを抑制できるため、複合材料製部品PAの内部に割れやボイドなどの内部欠陥が生じることを抑制することができる。
[第2実施形態]
図3A~図3Cは、第2実施形態に係る複合材料製部品PAの成形方法を示した図である。第2実施形態に係る成形方法は、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の成形型に部分積層材料Pr2を積層する前に、部分積層材料Pr2に所定の処理を施すことを特徴とする。このこと以外は、第2実施形態に係る成形方法は、第1実施形態に係る成形方法と同一である。このため、第2実施形態に係る成形方法において、第1実施形態に係る成形方法と同一の部分についての説明は省略する。
図3A~図3Cは、第2実施形態に係る複合材料製部品PAの成形方法を示した図である。第2実施形態に係る成形方法は、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の成形型に部分積層材料Pr2を積層する前に、部分積層材料Pr2に所定の処理を施すことを特徴とする。このこと以外は、第2実施形態に係る成形方法は、第1実施形態に係る成形方法と同一である。このため、第2実施形態に係る成形方法において、第1実施形態に係る成形方法と同一の部分についての説明は省略する。
部分積層材料Pr2は、上型1のキャビティの深い部分11と下型2のキャビティの深い部分21とに積層される。上型1および下型2に部分積層材料Pr2を積層する前に、部分積層材料Pr2を所定形状に賦形するための処理が施される。具体的には、図3Aに示すように、部分積層材料用の型である賦形型5に部分積層材料Pr2を積層し、加熱H及び加圧Pする。これにより、部分積層材料Pr2を賦形型5に沿った形状に賦形することができる。
賦形型5は、キャビティの深い部分51と浅い部分52とを有する型である。賦形型5のキャビティの深い部分51は、上型1のキャビティの深い部分11と下型2のキャビティの深い部分21とに合致した形状を有している。ただし、賦形型5の形状は特に限定されるものではなく、キャビティの深い部分51と浅い部分52とを有する所望の形状であればよい。部分積層材料Pr2は、賦形型5のキャビティの深い部分51に積層された状態で加熱H及び加圧Pされる。この場合、部分積層材料Pr2は、上型1のキャビティの深い部分11と下型2のキャビティの深い部分21とに沿った形状に賦形される。賦形型5上で部分積層材料Pr2を賦形するときの温度及び圧力は、複合材料製部品PAを成形するときの温度及び圧力よりも低い値に設定される。例えば、部分積層材料Pr2を賦形するときは、温度が60℃~90℃で圧力が0.1MPa以上~0.7MPa未満に設定される。また、賦形型5上で部分積層材料Pr2を賦形するときの加圧の手法は、特に限定されるものではなく、例えば、型による加圧、ローラによる加圧、バッグ材と真空引きを利用した加圧などの手法を採用することができる。
図3Bに示すように、賦形型5に部分積層材料Pr2を積層する場合に、プリプレグPrを自動で積層することが可能な自動積層装置7を使用してもよい。自動積層装置7は、プリプレグPrを供給するヘッド71と、ヘッド71から供給されたテープ状のプリプレグPrを押圧しながら積層するローラ72と、を備える。自動積層装置7を使用して賦形型5に部分積層材料Pr2を積層する場合、賦形型5のキャビティの深い部分51の上に、平面形状又はゆるい湾曲形状の上面を有するダミープレート6を設置する。賦形型5のキャビティの深い部分51に設置された状態のダミープレート6において、キャビティの浅い部分52に隣接する部分の厚さは、賦形型5におけるキャビティの深い部分51から浅い部分52までの高さと略同等の値に設定される。これにより、賦形型5のキャビティの深い部分51にダミープレート6が設置された状態において、キャビティの浅い部分52とダミープレート6の上面との間に高さ位置の急激な変化が生じることを防ぐことができる。
賦形型5のキャビティの深い部分51にダミープレート6を設置した状態で、賦形型5のキャビティの浅い部分52からダミープレート6の上面に連続するように部分積層材料Pr2を積層する。自動積層装置7により部分積層材料Pr2を積層する場合には、賦形型5からダミープレート6に向かう順に積層してもよいし、ダミープレート6から賦形型5に向かう順に積層してもよい。次に、ダミープレート6を除去する。これにより、キャビティの深い部分51と浅い部分52とを有する賦形型5であっても、自動積層装置7のヘッド71が賦形型5に干渉することを防ぎつつ、賦形型5に部分積層材料Pr2を自動で積層することができる。ダミープレート6を除去した後は、賦形型5に積層された部分積層材料Pr2を加熱H及び加圧Pして、賦形型5に沿うように賦形する。自動積層装置7を使用する場合であっても、自動積層装置7のヘッド71が賦形型5に干渉しない場合は、ダミープレート6を設置せずに賦形型5に部分積層材料Pr2を積層してもよい。
図3A及び図3Bに示すように、賦形型5に部分積層材料Pr2を積層した状態で加熱H及び加圧Pした後に、賦形型5上で部分積層材料Pr2を急冷Cしてもよい。これにより、部分積層材料Pr2の賦形の状態を維持しやすい。部分積層材料Pr2を急冷Cする手法は、特に限定されるものではなく、例えば、賦形型5上の部分積層材料Pr2に冷却風を吹き付ける手法などを採用することができる。
賦形型5上で部分積層材料Pr2を賦形することが完了すると、図3Cに示すように、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の成形型に、ベース積層材料Pr1と部分積層材料Pr2とを交互または複数層ずつ積層する。予め賦形された部分積層材料Pr2を成形型に積層することで、上型積層体PrAおよび下型積層体PrBの表面に、部分積層材料Pr2の部分的な積層に由来する大きな段差が生じることを抑制することができる。これにより、上型積層体PrAおよび下型積層体PrBの表面を圧縮部材4によって圧縮する際に、局所的に過度の圧縮力が作用することを防ぐことができるため、繊維の歪みが生じることを抑制することができる。
[第3実施形態]
図4A及び図4Bは、第3実施形態に係る複合材料製部品PAの成形方法を示した図である。第3実施形態に係る成形方法は、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層する場合に自動積層装置7を使用することを特徴とする。このこと以外は、第3実施形態に係る成形方法は、第1及び第2実施形態に係る成形方法と同一である。このため、第3実施形態に係る成形方法において、第1及び第2実施形態に係る成形方法と同一の部分についての説明は省略する。
図4A及び図4Bは、第3実施形態に係る複合材料製部品PAの成形方法を示した図である。第3実施形態に係る成形方法は、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層する場合に自動積層装置7を使用することを特徴とする。このこと以外は、第3実施形態に係る成形方法は、第1及び第2実施形態に係る成形方法と同一である。このため、第3実施形態に係る成形方法において、第1及び第2実施形態に係る成形方法と同一の部分についての説明は省略する。
厚みに変化があり、かつ表面にコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の成形型は、キャビティの深さ変化が所定値以上の第1種の成形型となる。図4A及び図4Bに示す例では、上型1および下型2のそれぞれが第1種の成形型である。上型1および下型2のそれぞれに自動積層装置7でプリプレグPrを積層する場合、上型1および下型2におけるキャビティの深さが変化する部分に自動積層装置7のヘッド71が干渉し、プリプレグPrの積層が困難になる場合がある。
そこで、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の第1種の成形型のキャビティの深い部分の上に、平面形状又はゆるい湾曲形状の上面を有するダミープレート6を設置する。第1種の成形型のキャビティの深い部分に設置された状態のダミープレート6において、キャビティの浅い部分に隣接する部分の厚さは、成形型におけるキャビティの深い部分から浅い部分までの高さと略同等の値に設定される。これにより、成形型のキャビティの深い部分にダミープレート6が設置された状態において、キャビティの浅い部分とダミープレート6の上面との間に高さ位置の急激な変化が生じることを防ぐことができる。また、ダミープレート6の材料は特に限定されるものではなく、例えば金属、複合材料、樹脂である。
図4A及び図4Bに示す例では、上型1のキャビティの深い部分11と下型2のキャビティの深い部分21とにダミープレート6を設置する。そして、上型1のキャビティの浅い部分12からダミープレート6の上面に連続するようにプリプレグPrを積層する。自動積層装置7によりプリプレグPrを積層する場合には、上型1からダミープレート6に向かう順に積層してもよいし、ダミープレート6から上型1に向かう順に積層してもよい。その後、ダミープレート6を除去し、上型1に積層されたプリプレグPrを加熱H及び加圧Pして、上型1に沿うように賦形する。同様に、下型2のキャビティの浅い部分22からダミープレート6の上面に連続するようにプリプレグPrを積層する。自動積層装置7によりプリプレグPrを積層する場合には、下型2からダミープレート6に向かう順に積層してもよいし、ダミープレート6から下型2に向かう順に積層してもよい。その後、ダミープレート6を除去し、下型2に積層されたプリプレグPrを加熱H及び加圧Pして、下型2に沿うように賦形する。
上型1および下型2の成形型上でプリプレグPrを賦形するときの温度及び圧力は、複合材料製部品PAを成形するときの温度及び圧力よりも低い値に設定される。例えば、成形型上でプリプレグPrを賦形するときは、温度が60℃~90℃で圧力が0.1MPa以上~0.7MPa未満に設定される。また、上型1および下型2の成形型上でプリプレグPrを賦形するときの加圧の手法は、特に限定されるものではなく、例えば、型による加圧、ローラによる加圧、バッグ材と真空引きを利用した加圧などの手法を採用することができる。
上記のようにダミープレート6を用いて上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層することで、キャビティの深い部分と浅い部分とを有する第1種の成形型であっても、自動積層装置7のヘッド71が干渉することを防ぎつつプリプレグPrを自動で積層することができる。
なお、プリプレグPrがベース積層材料Pr1と部分積層材料Pr2とを含む態様である場合、上型1および下型2の成形型において、ダミープレート6を使用しつつ、ベース積層材料Pr1と部分積層材料Pr2とを交互または複数層ずつ積層することになる。但し、第2実施形態に係る成形方法に示すように部分積層材料Pr2が賦形型5上で予め賦形されている場合には、上型1および下型2の成形型において、ダミープレート6を使用しつつベース積層材料Pr1を積層し、部分積層材料Pr2はダミープレート6をベース積層材料Pr1に載置せずにベース積層材料Pr1の上に積層する。
自動積層装置7を使用する場合であっても、自動積層装置7のヘッド71が上型1または下型2に干渉しない場合は、ダミープレート6を設置せずに上型1または下型2にベース積層材料Pr1を積層してもよい。
[第4実施形態]
図5A~図5Dは、第4実施形態に係る複合材料製部品PAの成形方法を示した図である。第4実施形態に係る成形方法は、複合材料製部品PAの端部の成形に関して特徴を有している。このこと以外は、第4実施形態に係る成形方法は、第1~第3実施形態に係る成形方法と同一である。このため、第4実施形態に係る成形方法において、第1~第3実施形態に係る成形方法と同一の部分についての説明は省略する。
図5A~図5Dは、第4実施形態に係る複合材料製部品PAの成形方法を示した図である。第4実施形態に係る成形方法は、複合材料製部品PAの端部の成形に関して特徴を有している。このこと以外は、第4実施形態に係る成形方法は、第1~第3実施形態に係る成形方法と同一である。このため、第4実施形態に係る成形方法において、第1~第3実施形態に係る成形方法と同一の部分についての説明は省略する。
複合材料製部品PAを成形する際の加熱H及び加圧P中に樹脂が上型1および下型2の端部から流出するのを防ぐために、上型1と下型2の側面に立ち上がりを設けるとともに、合体した状態における上型1と下型2とが接触する合わせ面を設けることが好ましい。しかし、上型1と下型2の側面に立ち上がりを設けた場合、上型1および下型2のそれぞれに自動積層装置7を使用してプリプレグPrを積層する場合には、自動積層装置7のヘッド71またはローラ72が干渉してしまい、プリプレグPrの積層が困難になることがある。
そこで、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層する際に、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の成形型として、合体した状態における上型1と下型2とが接触する合わせ面に向かって勾配が付けられた勾配部分を有する型を準備する。図5Aに示す例では、上型1は合わせ面13に向かって勾配が付けられた勾配部分14を有する型であり、下型2は合わせ面23に向かって勾配が付けられた勾配部分24を有する型である。上型1および下型2では、合わせ面13,23の全てに向かって勾配部分24を付けてもよいし、合わせ面の一部に向かって勾配部分24を付けてもよい。上型1および下型2において合わせ面13,23は、キャビティの深い部分11,21の周縁端面、およびキャビティの浅い部分12,22の周縁端面を含む。上型1および下型2において合わせ面13,23は、キャビティの周縁端面である。
図5Aに示すように、上型1にプリプレグPrを積層する場合、合わせ面13に進むに従って積層数が少なくなるようにプリプレグPrを積層する。同様に、下型2にプリプレグPrを積層する場合、合わせ面23に進むに従って積層数が少なくなるようにプリプレグPrを積層する。上型1が勾配部分14を有し、下型2が勾配部分24を有しているので、上型1および下型2のそれぞれに自動積層装置7を使用してプリプレグPrを積層する場合に、自動積層装置7のヘッド71またはローラ72が合わせ面13,23に干渉することを防ぎつつ、プリプレグPrを自動で積層することができる。
上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層することで、上型積層体PrAと下型積層体PrBとが作成される。その後、図5Bに示すように、上型1と下型2を合体させることで、成形用積層体PrCが作成される。そして、図5Cに示すように、成形用積層体PrCを加熱H及び加圧Pして、複合材料製部品PAを成形する。
成形用積層体PrCを加熱H及び加圧Pした後は、図5Dに示すように、上型1と下型2の合体を解放し、合体した状態において勾配部分14,24の合わせ面13,23寄りの所定範囲に位置していた複合材料製部品PAの端部PEを余剰部分としてトリムする。これにより、複合材料製部品PAの品質を向上させることができる。所定範囲は特に限定されないが、例えば合わせ面13,23から2.5mm以上である。また、例えば合わせ面13,23から2.5mm以上~100mm以下の範囲であってもよい。
[第5実施形態]
図6A及び図6Bは、第5実施形態に係る複合材料製部品PAの成形方法を示した図である。第5実施形態に係る成形方法は、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層する場合にプリプレグPrにおける余分な部分PrXを切断することを特徴とする。このこと以外は、第5実施形態に係る成形方法は、第1~第4実施形態に係る成形方法と同一である。このため、第5実施形態に係る成形方法において、第1~第4実施形態に係る成形方法と同一の部分についての説明は省略する。
図6A及び図6Bは、第5実施形態に係る複合材料製部品PAの成形方法を示した図である。第5実施形態に係る成形方法は、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層する場合にプリプレグPrにおける余分な部分PrXを切断することを特徴とする。このこと以外は、第5実施形態に係る成形方法は、第1~第4実施形態に係る成形方法と同一である。このため、第5実施形態に係る成形方法において、第1~第4実施形態に係る成形方法と同一の部分についての説明は省略する。
上型1と下型2の側面に立ち上がりを設ける場合や上型1と下型2の位置決めをするためのピンを設ける場合、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層した状態において、プリプレグPrにおける余分な部分PrXが立ち上がりやピンに干渉してしまうことがある。また、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層した状態において、上型1と下型2の合わせ面にプリプレグPrにおける余分な部分PrXが入り込んでしまうことがある。このような場合、上型1と下型2とを適切に合体させることができない場合がある。
そこで、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層する場合において、上型1および下型2の少なくともいずれか一方の成形型上であって、プリプレグPrにおける余分な部分PrXが少なくとも積層される領域に、切断用プレート8を配置する。図6A及び図6Bに示す例では、上型1および下型2のそれぞれに切断用プレート8を配置する。切断用プレート8は、プリプレグPrにおける余分な部分PrXを切断する際に台として用いるプレートである。切断用プレート8の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、一方の端部がテーパー等の勾配を有する形状であり、他方の端部が平板形状である。切断用プレート8の材料は特に限定されるものではなく、例えば複合材料または樹脂である。
上型1および下型2の成形型に切断用プレート8が配置された状態で、成形型から切断用プレート8に連続するようにプリプレグPrを積層する。そして、プリプレグPrにおける余分な部分PrXを切断用プレート8上で切断する。これにより、上型1および下型2の成形型を傷つけることなくプリプレグPrにおける余分な部分PrXを切断することができる。プリプレグPrにおける余分な部分PrXが切断されると、切断用プレート8を取り外し、積層されたプリプレグPrを上型1および下型2の成形型に沿うように賦形する。プリプレグPrにおける余分な部分PrXを切断することで、当該余分な部分PrXが上型1および下型2の合わせ面13,23に存在することを防ぐことができる。これにより、上型1と下型2とを適切に合体させることができる。
上型1または下型2の上でプリプレグPrを賦形するとき、プリプレグPrを加圧してもよい。加圧の手法は特に限定されるものではなく、例えば、型による加圧、ローラによる加圧、バッグ材と真空引きを利用した加圧などの手法を採用することができる。上型1または下型2の上でプリプレグPrを賦形するときの圧力は、複合材料製部品PAを成形するときの圧力よりも低い値に設定される。例えば、プリプレグPrを加圧して賦形するときは、圧力が0.1MPa以上~0.7MPa未満に設定される。
上型1または下型2の上でプリプレグPrを賦形するとき、加熱しながら加圧してもよい。上型1または下型2の上でプリプレグPrを賦形するときの温度は、複合材料製部品PAを成形するときの温度よりも低い値に設定される。例えば、加熱しながらプリプレグPrを賦形するときは、温度が90℃以下に設定される。
[他の実施形態]
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されない。例えば、次のような変形実施形態を採用してもよい。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されない。例えば、次のような変形実施形態を採用してもよい。
第3~第5実施形態に係る成形方法では、第1及び第2実施形態に係る成形方法における一部のステップを省略してもよい。すなわち、第3~第5実施形態に係る成形方法では、上型積層体PrAまたは下型積層体PrBを圧縮部材4によって圧縮するステップを省略してもよい。また、第3~第5実施形態に係る成形方法では、部分積層材料Pr2を賦形型5に沿うように賦形するステップを省略してもよい。
また、第3~第5実施形態に係る成形方法では、1つの成形型を使用して複合材料製部品PAを成形するようにしてもよい。この場合、第3実施形態では、ダミープレート6を用いて成形型にプリプレグPrを積層し、そのプリプレグPrの積層体を加熱H及び加圧Pして、複合材料製部品PAを成形する。第4実施形態では、キャビティの周縁端面に向かって勾配が付けられた勾配部分を有する成形型を準備し、周縁端面に進むに従って積層数が少なくなるようにプリプレグPrを成形型に積層する。そして、プリプレグPrの積層体を加熱H及び加圧Pして、複合材料製部品PAを成形する。さらに、プリプレグPrの積層体を加熱H及び加圧Pした後は、成形型上において勾配部分の周縁端面寄りの所定範囲に位置していた複合材料製部品PAの端部をトリムする。第5実施形態では、成形型に切断用プレート8が配置された状態でプリプレグPrを積層し、プリプレグPrにおける余分な部分PrXを切断用プレート8上で切断する。そして、切断用プレート8を取り外した後に積層されたプリプレグPrを成形型に沿うように賦形し、プリプレグPrの積層体を加熱H及び加圧Pして、複合材料製部品PAを成形する。
上記の実施形態では、厚み方向の両側の各表面にコンターを有する複合材料製部品PAの成形方法について説明したが、このような成形方法に限られない。厚み方向の一方の表面のみにコンターを有する複合材料製部品PAの成形方法について、図7A~図7Cを参照しながら説明する。
厚み方向の一方の表面のみにコンターを有する複合材料製部品PAを成形する場合、上型1および下型2のうち、一方が第1種の成形型であり、他方が第2種の成形型である。図7Aに示す例では、上型1がキャビティの深い部分11と浅い部分12とを有する第1種の成形型であり、下型2が第2種の成形型である。
図7Aに示すように、上型1および下型2のそれぞれにプリプレグPrを積層することで、上型積層体PrAと下型積層体PrBとが作成される。その後、第1実施形態の通り、上型積層体PrAに段差が存在する場合は、上型積層体PrAの表面に圧縮部材4を載置して上型積層体PrAを加熱H及び加圧Pする。その後、図7Bに示すように、上型1と下型2を合体させることで、成形用積層体PrCが作成される。そして、図7Cに示すように、成形用積層体PrCを加熱H及び加圧Pして、複合材料製部品PAを成形する。
また、上型1に積層するプリプレグPrの材質と下型2に積層するプリプレグPrの材質を変化させることで、厚み方向において特性が異なる複合材料製部品PAを成形することが可能である。
[本開示のまとめ]
以上説明した具体的実施形態には、以下の構成を有する開示が含まれている。
以上説明した具体的実施形態には、以下の構成を有する開示が含まれている。
本開示の第1の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、上型および下型のそれぞれにプリプレグを積層し、前記上型に積層された上型積層体および前記下型に積層された下型積層体の少なくともいずれか一方の積層体の表面に所定形状の圧縮部材を載置して、前記圧縮部材が載置された積層体を加熱及び加圧し、前記圧縮部材が載置された積層体から当該圧縮部材を除去し、前記上型積層体の表面と、前記下型積層体の表面とを接触させるように前記上型と前記下型を合体させて、前記上型積層体と前記下型積層体を1つの成形用積層体とし、前記成形用積層体を加熱及び加圧して、複合材料製部品を成形する。
第1の態様によれば、複合材料製部品を成形する際の加熱及び加圧の対象となる成形用積層体は、上型および下型のそれぞれにプリプレグが積層された上型積層体と下型積層体を合体させたものである。これにより、例えば下型のみにプリプレグを積層した場合に比べて、成形用積層体が加熱及び加圧されたときに、合体した状態の上型および下型で囲まれたキャビティ内で樹脂が均一に流動しやすい。このため、複合材料製部品において、変形、繊維の歪み、部品内部の割れが生じることを抑制することができる。
また、部品の途中で厚みが変化し、かつ部品の表面に湾曲したコンターを有する複合材料製部品を成形する場合、上型積層体および下型積層体の少なくともいずれか一方の積層体の表面に段差が存在する場合がある。このような段差が存在した状態で、上型積層体と下型積層体を合体させて1つの成形用積層体とした場合、成形用積層体の内部に段差に起因した隙間が生じる。成形用積層体の内部の隙間は、複合材料製部品の内部に割れやボイドなどの内部欠陥が生じる原因となる。そこで、上型積層体および下型積層体の少なくともいずれか一方の積層体の表面に圧縮部材を載置して加熱及び加圧する。これにより、積層体の表面に段差が存在していたとしても、圧縮部材の圧縮によって積層体の表面を圧縮部材に沿って平坦にすることができる。これにより、成形用積層体の内部に隙間が生じることを抑制できるため、複合材料製部品の内部に割れやボイドなどの内部欠陥が生じることを抑制することができる。
第2の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、第1の態様の複合材料製部品の成形方法において、前記プリプレグは、ベース積層材料と前記ベース積層材料よりも短い部分積層材料とを含み、前記上型および前記下型のそれぞれに前記プリプレグを積層することは、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型に前記ベース積層材料を1以上積層し、前記部分積層材料を1以上積層し、前記部分積層材料に他の前記ベース積層材料を積層する。
第2の態様によれば、上型および下型のそれぞれにプリプレグを積層する際に、上型および下型の少なくともいずれか一方の成形型においては、複数のベース積層材料の間に挟むように部分積層材料を積層する。厚みに変化がある複合材料製部品を成形する際に、部品における厚みが大きい部分に対応して部分的に部分積層材料を積層することができる。
第3の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、第2の態様の複合材料製部品の成形方法において、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型に前記部分積層材料を積層する前に、部分積層材料用の型に前記部分積層材料を積層し、加熱及び加圧する。
第3の態様によれば、部分積層材料用の型に部分積層材料を積層し、加熱及び加圧することで、部分積層材料を賦形することができる。上型および下型の少なくともいずれか一方の成形型に予め賦形された部分積層材料を積層することで、成形型に積層された積層体の表面に、部分積層材料の部分的な積層に由来する大きな段差が生じることを抑制することができる。これにより、積層体の表面を圧縮部材によって圧縮する際に、局所的に過度の圧縮力が作用することを防ぐことができるため、繊維の歪みが生じることを抑制することができる。
第4の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、第3の態様の複合材料製部品の成形方法において、前記部分積層材料用の型に前記部分積層材料を積層した状態で加熱及び加圧した後に、当該部分積層材料を急冷する。
第4の態様によれば、部分積層材料用の型上における加熱及び加圧の後に部分積層材料を急冷することで、部分積層材料の賦形の状態を維持しやすい。
第5の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、第1から第4の態様の複合材料製部品の成形方法において、前記上型および前記下型のそれぞれに前記プリプレグを積層することは、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型のキャビティの深い部分の上に平面形状又はゆるい湾曲形状のダミープレートを設置し、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型のキャビティの浅い部分から前記ダミープレートに連続するように前記プリプレグを積層し、前記ダミープレートを除去し、積層された前記プリプレグを加熱及び加圧して、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型に沿うように賦形する。
第5の態様によれば、厚みに変化がある複合材料製部品を成形する場合、上型および下型の少なくともいずれか一方の成形型は、キャビティの深い部分と浅い部分とを有する型となる。成形型にプリプレグを積層する際に、自動積層装置を使用することがある。自動積層装置を使用してプリプレグを成形型に自動で積層する場合、成形型におけるキャビティの深さが変化する部分に自動積層装置のヘッドが干渉し、プリプレグの積層が困難になる場合がある。そこで、成形型のキャビティの深い部分の上にダミープレートを設置し、キャビティの浅い部分からダミープレートに連続するようにプリプレグを積層する。その後、ダミープレートを除去し、成形型に積層されたプリプレグを加熱及び加圧することで賦形する。これにより、キャビティの深い部分と浅い部分とを有する成形型であっても、自動積層装置のヘッドが干渉することを防ぎつつプリプレグを自動で積層することができる。
第6の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、第3又は第4の態様の複合材料製部品の成形方法において、前記部分積層材料用の型に前記部分積層材料を積層し、加熱及び加圧することは、前記部分積層材料用の型のキャビティの深い部分の上に平面形状又はゆるい湾曲形状のダミープレートを設置し、前記部分積層材料用の型のキャビティの浅い部分から前記ダミープレートに連続するように前記部分積層材料を積層し、前記ダミープレートを除去し、積層された前記部分積層材料を加熱及び加圧して、前記部分積層材料用の型に沿うように賦形する。
第6の態様によれば、部分積層材料用の型上で部分積層材料を賦形する場合に、キャビティの深い部分と浅い部分とを有する型であっても、自動積層装置のヘッドが干渉することを防ぎつつ部分積層材料を自動で積層することができる。
第7の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、第1から第6の態様の複合材料製部品の成形方法において、前記上型および前記下型のそれぞれに前記プリプレグを積層することは、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型として、前記合体した状態における前記上型と前記下型とが接触する合わせ面に向かって勾配が付けられた勾配部分を有する型を準備し、前記合わせ面に進むに従って積層数が少なくなるように前記プリプレグを積層する。
第7の態様によれば、上型および下型の少なくともいずれか一方の成形型は、合わせ面に向かって勾配が付けられた勾配部分を有している。これにより、自動積層装置を使用してプリプレグを成形型に自動で積層する場合に、自動積層装置のヘッドまたはプリプレグを押圧するためのローラが合わせ面に干渉することを防ぎつつ、プリプレグを自動で積層することができる。
第8の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、第7の態様の複合材料製部品の成形方法において、前記成形用積層体を加熱及び加圧した後に、前記上型と前記下型の前記合体を解放し、前記合体した状態において前記勾配部分の前記合わせ面寄りの所定範囲に位置していた前記複合材料製部品の端部をトリムする。
第8の態様によれば、複合材料製部品の端部を余剰部分としてトリムすることで、複合材料製部品の品質を向上させることができる。
第9の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、第1から第8の態様の複合材料製部品の成形方法において、前記上型および前記下型のそれぞれに前記プリプレグを積層することは、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型上であって、前記プリプレグにおける余分な部分が少なくとも積層される領域に切断用プレートを配置し、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型から前記切断用プレートに連続するように前記プリプレグを積層し、前記プリプレグにおける前記余分な部分を前記切断用プレート上で切断し、前記切断用プレートを取り外し、積層された前記プリプレグを、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型に沿うように賦形する。
第9の態様によれば、上型および下型の少なくともいずれか一方の成形型上に切断用プレートを配置し、当該切断用プレート上でプリプレグにおける余分な部分を切断する。これにより、成形型を傷つけることなくプリプレグにおける余分な部分を切断することができる。更に、プリプレグにおける余分な部分を切断することで、当該余分な部分が成形型の合わせ面に存在することを防ぐことができるので、上型と下型とを適切に合体させることができる。
第10の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、成形型にプリプレグを積層し、前記プリプレグの積層体を加熱及び加圧して、複合材料製部品を成形する。前記成形型に前記プリプレグを積層することは、前記成形型のキャビティの深い部分の上に平面形状又はゆるい湾曲形状のダミープレートを設置し、前記成形型のキャビティの浅い部分から前記ダミープレートに連続するように前記プリプレグを積層し、前記ダミープレートを除去し、積層された前記プリプレグを加熱及び加圧して、前記成形型に沿うように賦形する。
第11の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、成形型にプリプレグを積層し、前記プリプレグの積層体を加熱及び加圧して、複合材料製部品を成形する。前記プリプレグは、ベース積層材料と前記ベース積層材料よりも短い部分積層材料とを含み、前記成形型に前記プリプレグを積層することは、前記成形型に前記ベース積層材料を1以上積層し、前記部分積層材料を1以上積層し、前記部分積層材料に他の前記ベース積層材料を積層する。前記成形型に前記部分積層材料を積層する前に、部分積層材料用の型に前記部分積層材料を積層し、加熱及び加圧する。前記部分積層材料用の型に前記部分積層材料を積層し、加熱及び加圧することは、前記部分積層材料用の型のキャビティの深い部分の上に平面形状又はゆるい湾曲形状のダミープレートを設置し、前記部分積層材料用の型のキャビティの浅い部分から前記ダミープレートに連続するように前記部分積層材料を積層し、前記ダミープレートを除去し、積層された前記部分積層材料を加熱及び加圧して、前記部分積層材料用の型に沿うように賦形する。
第12の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、成形型にプリプレグを積層し、前記プリプレグの積層体を加熱及び加圧して、複合材料製部品を成形する。前記成形型に前記プリプレグを積層することは、前記成形型として、キャビティの周縁端面に向かって勾配が付けられた勾配部分を有する型を準備し、前記周縁端面に進むに従って積層数が少なくなるように前記プリプレグを積層する。
第13の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、成形型にプリプレグを積層し、前記プリプレグの積層体を加熱及び加圧して、複合材料製部品を成形する。前記成形型に前記プリプレグを積層することは、前記成形型として、キャビティの周縁端面に向かって勾配が付けられた勾配部分を有する型を準備し、前記周縁端面に進むに従って積層数が少なくなるように前記プリプレグを積層する。前記プリプレグの積層体を加熱及び加圧した後に、前記勾配部分の前記周縁端面寄りの所定範囲に位置していた前記複合材料製部品の端部をトリムする。
第14の態様に係る複合材料製部品の成形方法は、成形型にプリプレグを積層し、前記プリプレグの積層体を加熱及び加圧して、複合材料製部品を成形する。前記成形型に前記プリプレグを積層することは、前記成形型上であって、前記プリプレグにおける余分な部分が少なくとも積層される領域に切断用プレートを配置し、前記成形型から前記切断用プレートに連続するように前記プリプレグを積層し、前記プリプレグにおける前記余分な部分を前記切断用プレート上で切断し、前記切断用プレートを取り外し、積層された前記プリプレグを、前記成形型に沿うように賦形する。
Claims (9)
- 上型および下型のそれぞれにプリプレグを積層し、
前記上型に積層された上型積層体および前記下型に積層された下型積層体の少なくともいずれか一方の積層体の表面に所定形状の圧縮部材を載置して、前記圧縮部材が載置された積層体を加熱及び加圧し、
前記圧縮部材が載置された積層体から当該圧縮部材を除去し、
前記上型積層体の表面と、前記下型積層体の表面とを接触させるように前記上型と前記下型を合体させて、前記上型積層体と前記下型積層体を1つの成形用積層体とし、
前記成形用積層体を加熱及び加圧して、複合材料製部品を成形する、
複合材料製部品の成形方法。 - 請求項1に記載の複合材料製部品の成形方法において、
前記プリプレグは、ベース積層材料と前記ベース積層材料よりも短い部分積層材料とを含み、
前記上型および前記下型のそれぞれに前記プリプレグを積層することは、
前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型に前記ベース積層材料を1以上積層し、
前記部分積層材料を1以上積層し、
前記部分積層材料に他の前記ベース積層材料を積層する、
複合材料製部品の成形方法。 - 請求項2に記載の複合材料製部品の成形方法において、
前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型に前記部分積層材料を積層する前に、部分積層材料用の型に前記部分積層材料を積層し、加熱及び加圧する、
複合材料製部品の成形方法。 - 請求項3に記載の複合材料製部品の成形方法において、
前記部分積層材料用の型に前記部分積層材料を積層した状態で加熱及び加圧した後に、当該部分積層材料を急冷する、
複合材料製部品の成形方法。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の複合材料製部品の成形方法において、
前記上型および前記下型のそれぞれに前記プリプレグを積層することは、
前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型のキャビティの深い部分の上に平面形状又はゆるい湾曲形状のダミープレートを設置し、
前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型のキャビティの浅い部分から前記ダミープレートに連続するように前記プリプレグを積層し、
前記ダミープレートを除去し、
積層された前記プリプレグを加熱及び加圧して、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型に沿うように賦形する、
複合材料製部品の成形方法。 - 請求項3又は4に記載の複合材料製部品の成形方法において、
前記部分積層材料用の型に前記部分積層材料を積層し、加熱及び加圧することは、
前記部分積層材料用の型のキャビティの深い部分の上に平面形状又はゆるい湾曲形状のダミープレートを設置し、
前記部分積層材料用の型のキャビティの浅い部分から前記ダミープレートに連続するように前記部分積層材料を積層し、
前記ダミープレートを除去し、
積層された前記部分積層材料を加熱及び加圧して、前記部分積層材料用の型に沿うように賦形する、
複合材料製部品の成形方法。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の複合材料製部品の成形方法において、
前記上型および前記下型のそれぞれに前記プリプレグを積層することは、
前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型として、前記合体した状態における前記上型と前記下型とが接触する合わせ面に向かって勾配が付けられた勾配部分を有する型を準備し、
前記合わせ面に進むに従って積層数が少なくなるように前記プリプレグを積層する、
複合材料製部品の成形方法。 - 請求項7に記載の複合材料製部品の成形方法において、
前記成形用積層体を加熱及び加圧した後に、前記上型と前記下型の前記合体を解放し、
前記合体した状態において前記勾配部分の前記合わせ面寄りの所定範囲に位置していた前記複合材料製部品の端部をトリムする、
複合材料製部品の成形方法。 - 請求項1~8のいずれか1項に記載の複合材料製部品の成形方法において、
前記上型および前記下型のそれぞれに前記プリプレグを積層することは、
前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型上であって、前記プリプレグにおける余分な部分が少なくとも積層される領域に切断用プレートを配置し、
前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型から前記切断用プレートに連続するように前記プリプレグを積層し、
前記プリプレグにおける前記余分な部分を前記切断用プレート上で切断し、
前記切断用プレートを取り外し、
積層された前記プリプレグを、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方の型に沿うように賦形する、
複合材料製部品の成形方法。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US63/435,363 | 2022-12-27 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
WO2024143468A1 true WO2024143468A1 (ja) | 2024-07-04 |
Family
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