WO2024143219A1 - リチウム二次電池 - Google Patents

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リチウム二次電池は、巻回型の電極群と、電極群の中空に配置された芯部材と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質と、を具備する。巻回型の電極群は、正極と、負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、を有する。負極では、充電時にリチウム金属が析出し、放電時に当該リチウム金属が溶解する。芯部材は、中空筒状であり、軸方向に延びるスリットを有し、スリットを規制する周方向の両端部が互いに突き合わずに位置ずれしている。

Description

リチウム二次電池
 本開示は、リチウム二次電池に関する。
 リチウムイオン電池を超える高容量の非水電解質二次電池として、リチウム二次電池(リチウム金属二次電池)が有望である。リチウム二次電池では、充電時に、負極にリチウム金属が析出し、放電時にリチウム金属が溶解し、非水電解質中にリチウムイオンとして放出される。リチウム二次電池は、正極と負極とを、セパレータを介して渦巻状に巻回することにより構成された巻回型の電極群を備える。巻回型の電極群は中空を有する。
 リチウム二次電池では、充電時に、負極にリチウム金属が析出し、放電時にリチウム金属が溶解するため、負極の体積変化が顕著である。よって、充放電時に電極群の中空近傍で電極(特に負極)が変形し易く、電極の座屈等が生じ易い。これに対しては、巻回型の電極群の中空に芯部材を配置することが考えられる。
 特許文献1では、正極板、負極板をセパレータを介して軸芯のまわりに捲回して捲回群を作成し、該捲回群を円筒形電池容器に収納した円筒形リチウムイオン電池において、前記捲回群は、前記正極板と前記負極板との間に2枚重ねをしたセパレータを2組用い、該セパレータのそれぞれの先端部分は溶着により一体化されており、該一体化された先端部分のそれぞれは前記軸芯の異なる位置に接合されていることを特徴とする円筒形リチウムイオン電池が提案されている。
特開2001-229970号公報
 リチウム二次電池では、電極群の中空に芯部材を配置すると、充放電時に電極群全体の面圧が大きく上昇し、電極群が損傷し、電池性能が低下することがある。
 本開示の一側面は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、を有する巻回型の電極群と、前記電極群の中空に配置された芯部材と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質と、を具備し、前記負極では、充電時にリチウム金属が析出し、放電時に前記リチウム金属が溶解し、前記芯部材は、中空筒状であり、軸方向に延びるスリットを有し、前記スリットを規制する周方向の両端部が互いに突き合わずに位置ずれしている、リチウム二次電池に関する。
 本開示によれば、リチウム二次電池の性能低下を抑制することができる。
 本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
リチウム二次電池の電極群の中空に配置される芯部材の一例の軸方向に垂直な断面を模式的に示す図である。図1(a)は、初期の放電時のリチウム二次電池における芯部材を示し、図1(b)は、充放電サイクル後の放電時のリチウム二次電池における芯部材を示す。 リチウム二次電池の電極群の中空に配置される芯部材の別の例の軸方向に垂直な断面を模式的に示す図である。図2(a)は、初期の放電時のリチウム二次電池における芯部材を示し、図2(b)は、充放電サイクル後の放電時のリチウム二次電池における芯部材を示す。 リチウム二次電池の電極群の中空に配置される芯部材の別の例の軸方向に垂直な断面を模式的に示す図である。図3(a)は、初期の放電時のリチウム二次電池における芯部材を示し、図3(b)は、充放電サイクル後の放電時のリチウム二次電池における芯部材を示す。 芯部材の両端部が径方向において互いに離間して対向している場合、芯部材の断面の外形の輪郭で囲まれる領域の面積を求めるときに用いる線分L1を示す図である。 芯部材の両端部が周方向において互いに離間している場合、芯部材の断面の外形の輪郭で囲まれる領域の面積を求めるときに用いる線分L2を示す図である。 従来の初期の放電時のリチウム二次電池の電極群の中空に配置される芯部材の軸方向に垂直な断面を模式的に示す図である。 本開示の実施形態に係るリチウム二次電池の一例を模式的に示す縦断面図である。
 以下では、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値B」という記載は、数値Aおよび数値Bを含み、「数値A以上で数値B以下」と読み替えることが可能である。以下の説明において、特定の物性や条件等の数値に関して下限と上限とを例示した場合、下限が上限以上とならない限り、例示した下限のいずれかと例示した上限のいずれかとを任意に組み合わせることができる。複数の材料が例示される場合、その中から1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 また、本開示は、添付の請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項の組み合わせを包含する。つまり、技術的な矛盾が生じない限り、添付の請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項を組み合わせることができる。
 本開示に係るリチウム二次電池は、リチウム金属二次電池とも称される。この種の電池の負極では、充電時にリチウム金属が析出し、放電時にリチウム金属が溶解する。具体的には、負極は、少なくとも負極担持体を有し、リチウム金属は負極担持体上に析出する。
 本開示の実施形態に係るリチウム二次電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、を有する巻回型の電極群と、電極群の中空に配置された芯部材と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質と、を具備する。
 巻回型の電極群は、中空を有する柱状であり、正極と負極とをセパレータを介して巻回することにより構成される。芯部材は中空筒状である。
 なお、本明細書中、「電極群の断面」とは、電極群の巻回軸に垂直な断面を意味する。また、「芯部材の断面」とは、芯部材の軸心に垂直な断面であり、電極群の中空に芯部材が挿入されている場合、電極群の巻回軸に垂直な断面を意味する。
 電極群の中空に配置された芯部材は電極群を内周側から押圧し、これにより電極群の形状が安定化し、充放電時の電極群の中空近傍での電極(特に負極)の変形が抑制され、電極の変形に伴う電極の座屈、電極の破断等が抑制される。電極群の中空近傍での電極の変形による電極群(特に内周側)の面圧の低下が抑制され、負極でのリチウム金属のデンドライトの生成が抑制される。
 なお、ここでいう電極群の面圧とは、芯部材が電極群の内周面を押圧することにより、電極群の径方向にかかる圧力である。電極群の外周面は、通常、電極群を収容する電池缶等により押圧される。
 従来、電極群の中空部に芯部材(例えば図6の芯部材39)を配置すると、充放電時(特に負極が膨張する充電時)に電極群の面圧が大きく上昇し、電極群が損傷することがある。例えば、負極が破断することがある。また、芯部材の配置によりデンドライトの生成がある程度抑制されるが、セパレータが負極に強く押されて、デンドライトがセパレータを突き破ることがある。
 これに対して、本開示に係るリチウム二次電池の芯部材は、中空筒状であり、軸方向に延びるスリットを有し、スリットを規制する周方向の両端部が互いに突き合わずに位置ずれしている。スリットを規制する周方向の両端部が互いに突き合わずに位置ずれしているため、電極群の面圧の上昇時に当該両端部が周方向にずれ動き、それにより芯部材が径方向に収縮することができる。芯部材の径方向の収縮により電極群の面圧の上昇を抑えることができ、電極群の損傷およびそれに伴う電池性能(例えば、サイクル特性)の低下を抑制することができる。
 電極群の外形は、例えば円柱状であり、電極群の断面の外形は、例えば、円形でもよく、楕円形でもよい。芯部材の形状は、電極群(中空)の形状に応じて選択すればよい。電極群の断面の外形が円形である場合、電極群の中空に挿入される芯部材の断面の外形は円形である。電極群の断面の外形が楕円形である場合、電極群の中空に挿入される芯部材の断面の外形は楕円形である。
 ここで、図1~3に、リチウム二次電池の電極群の中空部に配置される芯部材の各例の断面を模式的に示す。図1~3では、芯部材のみを示し、芯部材以外の構成部材(電極群等)は図示しない。芯部材は、径方向に一定の厚みを有するが、便宜上、線状に示す。図1~3の(a)は、初期の放電時のリチウム二次電池における芯部材を示し、図1~3の(b)は、充放電サイクル後の放電時のリチウム二次電池における芯部材を示す。
 なお、放電時とは、放電深度(DOD)が90%以上であるときを指す。放電深度(DOD)が90%以上であるとは、電池の定格容量の90%以上の電気量が放電されている状態を示す。また、初期の電池には、初回充電前の電池、購入直後の電池、電池購入後に充放電を1サイクル~数サイクル行った電池が含まれる。
 各図中の符号dは、芯部材の最大外径を示す。各図において、各構成部品の形状または特徴は、必ずしも実際の寸法を反映していないし、必ずしも同一の縮尺比で表されていない。各図において同一の構成部品には同一の符号を用いる。
 図1(a)および図2(a)の中空筒状の芯部材29は、断面の外形が円形であり、断面の外形が円形である電極群(図示しない)の中空に配置される。図1(a)および図2(a)の芯部材29の最大外径dは、芯部材の断面の外形の円の直径である。
 図3(a)の中空筒状の芯部材29は、断面の外形が楕円形であり、断面の外形が楕円形である電極群の中空に配置される。図3(a)の芯部材29の最大外径dは、芯部材の断面の外形の楕円の長径である。
 図1(a)~図3(a)の芯部材29は、軸方向に延びるスリット41を有し、スリット41を規制する周方向の両端部42a、42bが互いに突き合わずに位置ずれしている。
 図1(a)および図3(a)では、芯部材29は、径方向において、両端部42a、42bが互いに対向する領域Aを有する。図1(a)および図3(a)では、互いに対向する両端部42a、42bは、径方向において離間しているが、充放電時に周方向にずれ動き可能な程度に接触していてもよい。図2(a)では、芯部材29の周方向において、両端部42a、42bが互いに離間している。
 充放電サイクル後に電極群の面圧が上昇すると、芯部材29は外周側より電極群に強く押され、両端部42a、42bのうちの少なくとも一方の端部が周方向にずれ動き、図1(b)~図3(b)に示すように芯部材29が径方向に収縮する(最大外径dが小さくなる)。図1(b)~図3(b)の芯部材の収縮時には、互いに対向する両端部42a、42bは接していてもよい。
 充放電サイクル後の芯部材の収縮率は、好ましくは2%以上、80%以下であり、より好ましくは2%以上、70%以下であり、更に好ましくは7%以上、60%以下である。収縮率が2%以上(もしくは5%以上)である場合、電極群の面圧の上昇が抑制され易い。収縮率が80%以下である場合、充放電時に電極群の中空近傍で電極の変形が抑制され易く、電極群の面圧が安定して維持され易い。収縮率が小さいほど(例えば収縮率が70%以下である場合)、収縮時に芯部材の断面の曲率が小さくなることによりスリットを規制する端部が当該端部近傍のセパレータを突き破ることが抑制され易い。
 上記の芯部材の収縮率は、以下のようにして求められる。
 初期の放電状態の電池の断面(電極群の巻回軸に垂直な断面)のX線CT画像を得る。当該画像内の芯部材の断面の外形の輪郭で囲まれる領域の面積S1を求める。
 リチウム二次電池について20℃の環境下で充放電サイクルを行い、50サイクル目の放電状態の電池を得る。このとき、充電は、充電状態(SOC)が90%以上になるまで行い、放電は、DODが90%以上になるまで行う。なお、SOCが90%以上であるとは、電池の定格容量の90%以上の電気量が充電されている状態を示す。
 その後、上記と同様にして電池のX線CT画像を得、当該画像内の芯部材の断面の外形の輪郭で囲まれる領域の面積S2を求める。
 上記で得られたS1とS2とを用いて、下記式より芯部材の収縮率(%)を求める。
 芯部材の収縮率={(S1-S2)/S1}×100
 図4に示す芯部材の場合、芯部材の断面の外形の輪郭で囲まれる領域の面積は、以下のようにして求められる。
 図4では、芯部材29の両端部42a、42bは、径方向において、互いに離間して対向している。この場合、まず、外側の端部42aの末端E1を通り、芯部材29の断面の外形の輪郭(円弧)Cと接する接線Tを描く。このとき、輪郭Cと接線Tとの接点をPとする。接線Tの一部である末端E1から接点Pまでの線分L1と、線分L1の両端を結ぶ輪郭C(芯部材29のうち内側の端部42bの末端E2から接点Pまでの部分を除く)とで囲まれる領域の面積を、芯部材の外形の輪郭で囲まれる領域の面積として求める。
 図5に示す芯部材の場合、芯部材の断面の外形の輪郭で囲まれる領域の面積は、以下のようにして求められる。
 図5では、芯部材29の両端部42a、42bは、周方向において、互いに離間している。この場合、端部42aの末端E1と端部42bの末端E2との間を最短で結ぶ線分L2を描き、線分L2と芯部材29の断面の外形の輪郭(円弧)Cとで囲まれる領域の面積を、芯部材の外形の輪郭で囲まれる領域の面積として求める。
 芯部材の径方向の厚みは、0.005mm以上、0.4mm以下(もしくは0.3mm以下)が好ましく、0.01mm以上(もしくは0.05mm以上)、0.2mm以下がより好ましい。芯部材の径方向の厚みは、芯部材の断面における径方向の厚みを意味する。芯部材の厚みが0.005mm以上である場合、芯部材の強度が確保され易く、充放電時に電極群は内周側より芯部材により安定して適度に押圧される。芯部材の厚みが0.4mm以下である場合、充放電時に芯部材が適度に収縮し易く、電極群の面圧の上昇が抑制され易い。
 充放電時の電極の破断の抑制およびエネルギー密度の向上の観点から、初期の放電時の芯部材の最大外径は、1.5mm以上、7mm以下であってもよく、1.5mm以上、6mm以下(もしくは4mm以下)が好ましい。芯部材の断面の外形が円形の場合、芯部材の最大外径は当該外形の円の直径である。芯部材の断面の外形が楕円形の場合、芯部材の最大外径は当該外形の楕円の長径である。
 芯部材の外径は、初回充電前には電極群の内周面と芯部材の外周面との間に隙間が存在し、初回充放電後の放電状態のリチウム二次電池の電極群の内周面と芯部材の外周面とが接触する大きさとしてよい。
 芯部材の収縮し易さの観点から、芯部材の材料の引張強度は、1200MPa以下でもよく、850MPa以下が好ましい。同様の観点から、芯部材の材料の伸びは、1%以上でもよく、2%以上が好ましい。
 電極群の中空に挿入される芯部材には、相当に大きな圧力が充放電に伴って繰り返し印加される。そのため、芯部材の材料には、相当な機械的強度と耐久性が求められる。強度および耐久性の観点から、芯部材の材料の引張強度は、200MPa以上でもよく、400MPa以上でもよい。同様の観点から、芯部材の材料の伸びは、30%以下でもよく、10%以下でもよい。
 なお、芯部材の材料の引張強度および伸びは、JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)に準拠して求められる。但し、芯部材の材料に用いられる金属箔は薄い箔であり、試験片作製時の平行部断面の仕上げ方法、測定などには熟練の技術が必要であり、測定は実績のある機関で行うことが望ましい。
 芯部材の材料は、特に限定されないが、金属材料であってもよく、金属材料の表面にめっきを施した材料であってもよい。金属材料は、1種の金属を含んでもよく、2種以上の金属を含む合金を含んでもよい。金属材料の例には、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、鉄、鋼、炭素鋼、ニッケル、ジュラルミン、白銅、青銅、黄銅などが含まれる。表面にめっきを施した材料でもよい。中でも、強度と耐久性の観点から、ステンレス鋼が好ましく、脆化が抑制されるオーステナイト系ステンレス鋼が特に好ましい。
 芯部材の形状は、電極群の中空の形状に合わせて選択すればよい。芯部材の外径は、例えば、初回充放電後の放電状態のリチウム二次電池の電極群の内周面と芯部材の外周面とが接触する大きさとしてよい。この場合、充電時から放電時に至る常時において、芯部材から適度な圧力が電極群に内周側から印加されるため、電極の座屈が効果的に抑制される。
 芯部材は、電極群の中空に固定して配置されていてもよい。すなわち、芯部材は、電極群の内周側(巻始め側)の端部(例えば、セパレータの端部)に固定されていてもよい。固定は、例えば、片面テープもしくは両面テープを用いて行うことができる。固定する場合、芯部材と電極群が一体化するため、芯部材は電極群の体積変化に応じて収縮し易くなり、収縮により電極群全体の応力を吸収し易くなる。また、芯部材は、電極群の内周側(巻始め側)の端部に固定されていなくてもよい。固定しない場合、固定時に使用するテープの体積分だけエネルギー密度を大きくすることでき、固定のための設備を別途設けなくてもよい。
 芯部材の形状は、中空筒状であり、芯部材の中空に非水電解質が収容され、電極群の液枯れが抑制される。電極群の液枯れとは、電極群が内周側より芯部材で強く押圧され、非水電解質が電極群から押し出され、電極群内の非水電解質が枯渇する現象である。
 電池は、電極群と、芯部材と、非水電解質とを収容する外装缶とを具備してもよい。外装缶は、電池缶とも称される金属製のケースである。外装缶の材料には優れた強度および耐久性が求められる。外装缶の材料は、特に限定されないが、金属であってもよく、中でも、ニッケルめっきが施された鋼やステンレス鋼が、強度と耐久性の点で望ましい。外装缶の形状は、例えば、有底筒状(円筒状、扁平筒状、角筒状等)である。外装缶の開口に封口体が配置され、電池が密閉される。
 外装缶の内周面は電極群の外周面と対向する。外装缶が存在することで、電極群の形状が更に安定化し、電極(特に電極群の外周側)の座屈が抑制され易い。外装缶の内径は、初回充放電後の放電状態のリチウム二次電池の電極群の外周面と外装缶の内周面とが接触する大きさとしてよい。
 以下、リチウム二次電池の各構成要素について、更に具体的に説明する。
[負極]
 リチウム二次電池では、負極の表面に、充電によりリチウム金属が析出する。より具体的には、非水電解質に含まれるリチウムイオンが、充電により、負極上で電子を受け取ってリチウム金属になり、負極の表面に析出する。負極の表面に析出したリチウム金属は、放電により非水電解質中にリチウムイオンとして溶解する。なお、非水電解質に含まれるリチウムイオンは、非水電解質に添加したリチウム塩に由来するものであってもよく、充電により正極活物質から供給されるものであってもよく、これらの双方であってもよい。
 リチウム二次電池では、定格容量の例えば70%以上がリチウム金属の析出と溶解により発現する。充電時および放電時の負極における電子の移動は、主に負極におけるリチウム金属の析出および溶解による。具体的には、充電時および放電時の負極における電子の移動(別の観点では電流)の70~100%(例えば80~100%や90~100%)がリチウム金属の析出および溶解による。すなわち、本開示に係るリチウム二次電池の負極は、充電時および放電時の負極における電子の移動が主に負極活物質(黒鉛など)によるリチウムイオンの吸蔵および放出による負極とは異なる。
 充電時に負極においてリチウム金属を析出させる電池では、満充電時(例えばSOC98%以上)における負極の開回路電位(OCV:Open Circuit Voltage)は、リチウム金属(リチウムの溶解析出電位)に対して、例えば70mV以下であってもよい。満充電時における負極の開回路電位(OCV)は、満充電状態の電池をアルゴン雰囲気下で分解して負極を取り出し、リチウム金属を対極としてセルを組み立てて測定すればよい。セルの非水電解質は、分解した電池中の非水電解質と同じ組成でもよい。
(負極担持体)
 負極は、充電時に析出するリチウム金属を担持する負極担持体を備える。負極担持体の厚みは、特に制限されず、例えば5μm以上、300μm以下である。
 負極担持体の表面にシート状(もしくは箔状)のリチウム金属もしくはリチウム合金を密着させて、予めリチウム金属層もしくはリチウム合金層(以下、リチウム下地層とも称する。)を形成しておいてもよい。リチウム合金は、リチウム以外に、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、亜鉛などの元素を含み得る。充電時に、予め設けられたリチウム下地層の上にリチウム金属を析出させることで、デンドライト状の析出を更に効果的に抑制することができる。リチウム下地層の厚さは、特に限定されないが、例えば5μm~25μmの範囲であってもよい。
 負極担持体としては、例えば、箔状もしくはフィルム状の金属材料が挙げられる。負極担持体に用いられる金属箔は、銅箔(電解銅箔)であってもよい。金属材料は、例えば、Cu、Ni、Feまたはこれらの金属元素を含む合金でもよい。合金としては、Cu合金、Fe合金(ステンレス鋼等)が挙げられる。
 中でも、負極担持体は、ステンレス鋼箔、無酸素銅箔が好ましい。ステンレス鋼箔は、オーステナイト系ステンレス鋼箔がより好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼箔の場合、負極担持体の脆化が抑制され、かつ、負極担持体は適度な強度および柔軟性を有し、負極で生じる応力に対する耐性に優れている。酸素量が小さい銅箔を用いる場合も、負極担持体の脆化が抑制される。負極担持体の厚みは、特に制限されず、例えば、5μm以上、300μm以下である。
 オーステナイト系ステンレス鋼は、50%以上のオーステナイト率を有するステンレス鋼である。オーステナイト率は、70%以上であってもよく、90%以上であってもよく、100%であってもよい。
 オーステナイト率とは、ステンレス鋼に占めるオーステナイト相の割合(質量比)を意味する。ステンレス鋼中のオーステナイト相、フェライト相、およびマルテンサイト相の含有量を、それぞれ、x、y、およびzとするとき、オーステナイト率は、{x/(x+y+z)}×100で算出される。オーステナイト組織は面心立方格子構造(FCC構造)であり、フェライト組織およびマルテンサイト組織は体心立方格子構造(BCC構造)である。
 オーステナイト系ステンレス鋼は、Fe以外の成分として、例えば、C、Si、Mn、P、S、Ni、Cr、Mn、Mo、Cu、N等を含み得る。当該ステンレス鋼は、低炭素系、極低炭素系、または窒素添加系のステンレス鋼であってもよく、オーステナイトを含む2相ステンレス鋼であってもよい。
 オーステナイト系ステンレス鋼の例としては、SUS301、SUS302、SUS303、SUS304、SUS305、SUS309、SUS310、SUS312、SUS315、SUS316L、SUS317、SUS321、SUS347等が挙げられる。中でも、SUS304、SUS316Lが好ましい。オーステナイト系ステンレス鋼は、上記で例示するものに限定されず、溶解法により任意に作製された、オーステナイト率が50%以上のステンレス鋼であってもよい。また、オーステナイト系ステンレス鋼の箔はアニールにより軟化した箔であってもよい。
 オーステナイト率は、以下の方法により求めることができる。
 ステンレス鋼箔の試料(例えば、サイズ:25mm角)を準備し、当該試料について2次元検出機能を用いるX線回折(XRD)測定を行い、XRDパターン(縦軸:X線回折強度、横軸:回折角2θ)を得る。測定領域(微小部)の大きさは、例えば、15mm角である。
 以下、望ましいXRDの測定条件を示す。
 <分析装置>
 2次元微小部X線回折装置((株)リガク製、RINT-RAPID II)
 <分析条件>
  管球:Co
  単色化:モノクロメータを使用(CoKα)
  管球出力:40kV-30mA
  検出器:イメージングプレート(2次元)
 (反射法)
  コメリータ:Φ300μm
  ω角:25°~35°(2°/sec)
  Φ角:360°回転(1°/sec)
  測定時間(露光):30分
 得られたXRDパターンについて、標準データベースを利用して最小二乗法によりフィッティングを行い、次に、リートベルト解析による定量分析を行う。XRDパターンは、オーステナイト相、フェライト相、およびマルテンサイト相のうちの少なくとも1つの相に対応する回折ピークを有し得る。当該解析は、分析装置に付属のソフトウェアを用いて行うことができる。当該解析により、オーステナイト相、フェライト相、およびマルテンサイト相の合計に対するオーステナイト相の割合(質量比)をオーステナイト率として求める。上記試料において測定領域を任意に数点選出し、各測定領域におけるオーステナイト率を求め、それらの平均値を算出する。
 また、オーステナイト率は、フェライト安定化元素およびオーステナイト安定化元素と組織との関係を示すシェフラ(Schaeffler)の組織図によっても推定できる。当該組織図は、フェライト安定化元素とオーステナイト安定化元素を両軸にとって、組織比率を示したものである。当該組織図の縦軸はNi当量を示し、横軸はCr当量を示す。Cr当量は、フェライト安定化元素の度合いをクロム量に換算した値であり、Cr当量=%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nbの式で表すことができる。Ni当量は、オーステナイト安定化元素の度合いをニッケル量に換算した値であり、Ni当量=%Ni+30×%C+0.5×%Mnの式で表すことができる。
 JIS G 0321に準拠して、ステンレス鋼の成分分析を行うことができ、オーステナイト安定化元素(Ni、Mn、C等)、フェライト安定化元素(Cr、Mo、Si、Nb)について定量分析を行うことができる。
 無酸素銅箔は、酸素含有量が50ppm以下の銅箔である。酸素含有量は、30ppm以下であってもよく、15ppm以下であってもよい。なお、酸素含有量とは、銅箔の表面を覆う酸化皮膜を除く母材中の酸素含有量を意味する。
 無酸素銅箔は、銅以外の成分(例えば、Ni、Cr、Fe、Zn、Sn、Ag、Pb、Bi、Cd、Hg、O、P、S、Se、Te、H等)を微量含んでもよい。銅箔中のCuの含有量は、99.9質量%以上であってもよく、99.96質量%以上であってもよい。銅箔は、圧延銅箔であってもよい。無酸素銅としては、例えば、JIS H 3100、合金番号C1020が挙げられる。
 銅箔中の酸素含有量は、以下の方法により求めることができる。
 銅箔の試料を硝酸(1+1)で10秒間洗浄し、試料表面の酸化皮膜を除去する。上記洗浄は、試料が10質量%以上減少するまで繰り返し行う。次に、蒸留水、アルコール、およびアセトンの順で、試料の洗浄を行う。次に、試料について、温風による乾燥を行い、直ちに、不活性ガス融解-赤外線吸収法による分析を行い、試料中の酸素含有量を求める。分析装置には、酸素窒素同時分析装置(LECO社製、TC-336)を用いることができる。
 また、負極担持体は、樹脂フィルムを含むことが好ましい。樹脂フィルムは、良好な柔軟性を有し、充電(負極でのリチウム金属の析出)により負極に生じる応力を緩和できる。また、巻回により負極に生じる応力も緩和できる。よって、負極の破断等を抑制できる。また、樹脂フィルムは、軽量であり、二次電池のエネルギー密度を高めやすい。さらに、樹脂フィルムは、ロール搬送で切れにくく、ハンドリングが容易である。
 樹脂フィルムは、樹脂もしくは有機物を主成分とするフィルムであり、樹脂フィルムの51質量%以上が樹脂もしくは有機物で構成されている。樹脂フィルムは、無機粒子のような無機物を含んでもよい。樹脂フィルムは、少なくとも一方の表面に無機物を含む薄い層を有してもよい。樹脂フィルムは、延伸フィルムであってもよく、無孔性フィルム(孔が無いフィルム)であってもよく、規則的に配列した複数の孔を有するフィルムであってもよい。樹脂フィルムに砂等の粒子を衝突させて孔を形成してもよい。樹脂フィルムは、絶縁性を有してもよく、導電性を有してもよく、非導電性であってもよい。樹脂フィルムの形態および物性は特に限定されない。
 樹脂フィルムに含まれる樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。樹脂フィルムに含まれる樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂フィルムに含まれる樹脂は、芳香環を有するものであってもよく、オレフィン樹脂であってもよい。樹脂がその分子内に芳香環(例えばベンゼン環)を有する場合、樹脂フィルムとリチウム金属層との親和性が高くなり、両者間の接着力が向上する。
 ポリエステル樹脂としては、芳香族ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が好ましい。ポリエチレンテレフタレート等を含むフィルムは、無延伸フィルムでもよく、二軸延伸フィルムでもよい。アクリル樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。ポリイミド樹脂としては、芳香族ポリイミドが好ましい。また、ポリアミド樹脂としては芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)が好ましい。
 オレフィン樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が好ましい。ポリプロピレンは、無延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン等を含む。ポリエチレンは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン等を含む。また、オレフィン樹脂としては、上記以外に、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタアクリレート共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタアクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂(例えば、エチレン-アクリル酸共重合体およびエチレン-メタアクリル酸共重合体の少なくとも一方を含むもの)等が挙げられる。
 樹脂フィルムの作製法は、押出成形法等が挙げられ、例えば、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられる。フィルムは、無延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。延伸フィルムは、一軸延伸フィルムでもよく、逐次(もしくは同時)二軸延伸フィルムでもよい。樹脂(ポリマー)を構成するモノマーの数は特に限定されない。当該ポリマーは、ホモポリマーでもよく、コポリマーでもよく、ターポリマーでもよい。モノマーの配列形態は、特に限定されず、ランダムコポリマーでもよく、ブロックコポリマーでもよい。樹脂フィルムは、2種類以上の樹脂フィルムを積層して構成されていてもよい。樹脂は結晶状態であってもよく、急冷法等により得られた非晶質状態であってもよく、両者の混合状態であってもよい。密着性の向上を目的として、樹脂フィルムの表面は、コロナ処理またはプラズマ処理されていてもよい。
 樹脂フィルムの厚みは、リチウム二次電池のエネルギー密度を高める観点から、機械的強度が確保される限り、薄いほど望ましい。樹脂フィルムの厚みは、例えば、5μm以上、80μm以下でもよく、5μm以上、30μm以下でもよい。
 樹脂フィルムは、通常絶縁体であり、集電機能を有さない。電極の集電機能の確保のため、樹脂フィルムの表面は下地金属層で被覆されていてもよい。以下、表面が下地金属層で被覆された樹脂フィルムを、「下地金属層付き樹脂フィルム」とも称する。下地金属層は、例えば、樹脂フィルム表面の活物質層を担持する領域(例えば当該領域の90%以上)および電極リードを取り付ける領域を覆っていればよい。
 負極の場合、下地金属層は、例えば、銅、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、チタン、銀、金、錫等を含むことが好ましい。この場合、下地金属層は、耐腐食性、導電性等を確保しやすく、リチウムと合金化しにくい。
 電池のエネルギー密度の向上の観点から、下地金属層の厚みは、例えば、2μm以下でもよく、1μm以下でもよい。集電性および密着性の確保の観点から、下地金属層の厚みは、例えば、0.001μm以上であってもよい。
 リチウム二次電池の負極の場合、リチウム金属層が集電機能を担ってもよい。すなわち、樹脂フィルムにリチウム金属層を配置して負極を構成してもよい。この場合、樹脂フィルムの表面の負極リードとの接続部分に下地金属層を設けてもよい。
 また、下地金属層を有する樹脂フィルムにリチウム金属層を密着させてもよい。下地金属層を設ける場合、充放電サイクルの際にリチウム金属層が局所的に減少し、もしくは、リチウム金属がリチウム化合物に変化することで、リチウム金属が島状に孤立した場合でも、集電機能の低下を抑制することができる。
 下地金属層は、例えば、蒸着、スパッタリングなどの気相法、無電解めっき法、電解めっき法、ラミネート法などで形成することができるが、その形成方法は特に限定されない。
(その他)
 負極は、負極担持体に担持されたリチウムイオン吸蔵層(負極活物質(黒鉛など)によるリチウムイオンの吸蔵および放出により容量を発現する層)を含んでもよい。この場合、満充電時における負極の開回路電位は、リチウム金属(リチウムの溶解析出電位)に対して70mV以下であってもよい。満充電時における負極の開回路電位がリチウム金属に対して70mV以下である場合、満充電時におけるリチウムイオン吸蔵層の表面にはリチウム金属が存在する。すなわち負極は、リチウム金属の析出および溶解による容量を発現する。
 リチウムイオン吸蔵層は、負極活物質を含む負極合材を層状に形成したものである。負極合材は、負極活物質以外に、結着剤、増粘剤、導電剤などを含んでもよい。
 負極活物質としては、炭素質材料、Si含有材料、Sn含有材料などが挙げられる。負極は、負極活物質を1種含んでいてもよく、2種以上組み合わせて含んでもよい。炭素質材料としては、例えば、黒鉛、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)が挙げられる。
 導電材は、例えば、炭素材料である。炭素材料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、および黒鉛等が挙げられる。
 結着材としては、例えば、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ゴム状重合体等が挙げられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
[正極]
 正極は、例えば、正極担持体と、正極担持体に支持された正極合材層とを備える。正極合材層は、例えば、正極活物質と導電材と結着材とを含む。正極合材層は、正極担持体の片面のみに形成されてもよく、両面に形成されてもよい。正極は、例えば、正極担持体の両面に正極活物質と導電材と結着材とを含む正極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延することにより得られる。正極活物質、結着剤、導電剤等としては、例えば、公知の材料を用い得る。
 正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出する材料である。正極活物質としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン、フッ素化ポリアニオン、遷移金属硫化物等が挙げられる。中でも、製造コストが安く、平均放電電圧が高い点で、リチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。
 リチウム含有遷移金属酸化物とは、リチウムと、リチウム以外の金属Meとを含み、金属Meが、少なくとも遷移金属を含む複合酸化物である。リチウム含有遷移金属酸化物の中でも、層状構造を有する岩塩型(層状岩塩型)の結晶構造を有する複合酸化物が、高容量を得る点で好ましい。
 金属Meは、遷移金属元素として、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、W等を含み得る。リチウム含有遷移金属酸化物は、遷移金属元素を一種含んでもよく、二種以上含んでいてもよい。金属Meは、遷移金属元素としてCo、NiおよびMnからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが望ましく、少なくとも遷移金属としてNiを含むことが望ましい。結晶の形態としては、単結晶(シングルクリスタル)でもよく、多結晶(マルチクリスタル)でもよく、それらの両方を含んでもよい。
 リチウム含有遷移金属酸化物は、必要に応じて1種以上の典型元素を含み得る。典型元素としては、Mg、Al、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sb、Pb、Bi等が挙げられる。典型元素はAl等であってもよい。すなわち、金属Meは、任意成分としてAlを含んでもよい。
 リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、一般式(1):LiNi1-bで表される。一般式(1)中、0.9≦a≦1.2および0.65≦b≦1を満たし、Mは、Co、Mn、Al、Ti、Fe、Nb、B、Mg、Ca、Sr、ZrおよびWからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。
 リチウム含有遷移金属酸化物が有する金属Meの量mMeに対する、正極および負極が有するLiの合計量mLiのモル比:mLi/mMeは、例えば1.2以下であり、1.1以下でもよい。
 正極担持体には、例えば、Al、Ti、Fe等を含む、箔状もしくはシート状の金属材料を用いることができる。金属材料は、Al、Al合金、Ti、Ti合金、Fe合金(ステンレス鋼(SUS)等)であってもよい。充放電時の正極の破断抑制の観点から、正極担持体には、下地金属層付き樹脂フィルムを用いてもよい。正極の場合、下地金属層は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等を含むことが好ましい。
 正極担持体の厚みは、特に制限されず、例えば5μm以上、300μm以下である。
[セパレータ]
 セパレータには、イオン透過性および絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートとしては、例えば、微多孔を有する薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータの材質は特に限定されないが、高分子材料であってもよい。高分子材料としては、オレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース等が挙げられる。オレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレンとプロピレンとの共重合体等が挙げられる。セパレータは、必要に応じて、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
 セパレータの厚さは、特に限定されないが、例えば5μm以上、80μm以下であり、10μm以上、50μm以下がより好ましい。
[非水電解質]
 リチウムイオン伝導性を有する非水電解質は、例えば、非水溶媒と、非水溶媒に溶解したリチウムイオンとアニオンとを含んでいる。非水電解質は、液状でもよいし、ゲル状でもよい。液状の非水電解質は、リチウム塩を非水溶媒に溶解させることにより調製される。リチウム塩が非水溶媒中に溶解することにより、リチウムイオンおよびアニオンが生成する。
 リチウム塩またはアニオンとしては、リチウム二次電池の非水電解質に利用される公知の材料が使用できる。具体的には、BF 、ClO 、PF 、CFSO 、CFCO 、イミド類のアニオン、オキサレート錯体のアニオン等が挙げられる。イミド類のアニオンとしては、N(SOCF 、N(C2m+1SO(C2n+1SO (mおよびnは、それぞれ独立して0または1以上の整数であり、xおよびyは、それぞれ独立して0、1または2であり、x+y=2を満たす。)等が挙げられる。オキサレート錯体のアニオンは、ホウ素および/またはリンを含有してもよい。非水電解質は、これらのアニオンを単独で含んでもよく、2種以上含んでもよい。
 リチウム金属がデンドライト状に析出するのを抑制する観点から、非水電解質は、少なくともオキサレート錯体のアニオンを含むことが好ましく、中でもフッ素を有するオキサレート錯体アニオンを含むことが望ましい。フッ素を有するオキサレート錯体アニオンとリチウムとの相互作用により、リチウム金属が細かい粒子状で均一に析出し易くなる。そのため、リチウム金属の局所的な析出を抑制しやすくなる。フッ素を有するオキサレート錯体アニオンと他のアニオンとを組み合わせてもよい。他のアニオンは、PF および/またはイミド類のアニオンであってもよい。オキサレート錯体のアニオンとしては、ビスオキサレートボレートアニオン、ジフルオロオキサレートボレートアニオン(BF(C)、PF(C、PF(C 等が挙げられ、少なくともジフルオロオキサレートボレートアニオンを用いることが望ましい。
 非水溶媒としては、例えば、エステル、エーテル、ニトリル、アミド、またはこれらのハロゲン置換体が挙げられる。非水電解質は、これらの非水溶媒を単独で含んでもよく、2種以上含んでもよい。ハロゲン置換体としては、フッ化物等が挙げられる。
 エステルとしては、例えば、炭酸エステル、カルボン酸エステル等が挙げられる。環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等が挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート等が挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等が挙げられる。鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、フルオロプロピオン酸メチル等が挙げられる。
 エーテルとしては、環状エーテルおよび鎖状エーテルが挙げられる。環状エーテルとしては、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。鎖状エーテルとしては、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、1,2-ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
 非水電解質中のリチウム塩の濃度は、例えば、0.5mol/L以上、3.5mol/L以下である。非水電解質中のアニオンの濃度を、0.5mol/L以上、3.5mol/L以下としてもよい。非水電解質中のオキサレート錯体のアニオンの濃度を、0.05mol/L以上、1mol/L以下としてもよい。
 以下、図面を参照して本開示に係る電池の実施形態を更に説明する。各図面において、各構成部品の形状または特徴は、必ずしも実際の寸法を反映していないし、必ずしも同一の縮尺比で表されていない。各図面において同一の構成部品には同一の符号を用いる。
 図7は、本開示の一実施形態に係るリチウム二次電池の巻回軸に平行な断面を模式的に示す縦断面図である。
 電池10は、円筒形の電池ケースと、電池ケース内に収容された巻回型の電極群14および図示しない非水電解質とを備える。電池ケースは、有底円筒状の電池缶15と、電池缶15の開口を封口する封口体16とで構成される。電池缶15は、開口付近に側壁を部分的に外側からプレスして形成された環状の段部21を有する。封口体16は、段部21の開口側の面により支持される。電池缶15と封口体16との間には、ガスケット27が配置されており、これにより電池缶の密閉性が確保されている。電池缶15内において、電極群14の巻回軸方向の両端部には、絶縁板17、18がそれぞれ配置されている。
 封口体16は、フィルタ22、下弁体23、絶縁部材24、上弁体25およびキャップ26を備えている。キャップ26は電池缶15の外側に配置され、フィルタ22は電池缶15の内側に配置される。下弁体23と上弁体25とは、各々の中央部で互いに接続されるとともに、各々の周縁部の間には絶縁部材24が介在している。フィルタ22と下弁体23とは、各々の周縁部で互いに接続している。上弁体25とキャップ26とは、各々の周縁部で互いに接続している。下弁体23には、通気孔が形成されている。異常発熱等により電池缶の内圧が上昇すると、上弁体25がキャップ26側に膨れて、下弁体23から離間する。これにより、下弁体23と上弁体25との電気的接続が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体25が破断し、キャップ26に形成された開口からガスが排出される。
 電極群14は、正極11、負極12およびセパレータ13とで構成されている。正極11、負極12およびこれらの間に介在するセパレータ13は、いずれも長尺シート状(もしくは帯状)であり、それぞれの幅方向が巻回軸と平行となるように巻回されている。電極群14の中空に芯部材29が配置されている。
 正極11は、正極リード19を介して、正極端子を兼ねるキャップ26と電気的に接続されている。正極リード19の一端は、例えば、正極11の長手方向の中央付近に接続されている。正極11から延出した正極リード19の他端は、絶縁板17に形成された貫通孔を通ってフィルタ22の内側面に溶接されている。
 負極12は、負極リード20を介して負極端子を兼ねる電池缶15と電気的に接続されている。負極リード20の一端は、例えば、負極12の長手方向の端部に接続されており、他端は、電池缶15の内底面に溶接されている。
 図示例では、巻回型の電極群を備える円筒形のリチウム二次電池について説明したが、リチウム二次電池の形状等はこれに限らず、角型でもよく、用途等に応じて各種形状から適宜選択することができる。また、上記以外の公知の構成を特に制限なく利用できる。
《付記》
 以上の実施形態の記載により、以下の技術が開示される。
(技術1)
 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、を有する巻回型の電極群と、
 前記電極群の中空に配置された芯部材と、
 リチウムイオン伝導性を有する非水電解質と、
を具備し、
 前記負極では、充電時にリチウム金属が析出し、放電時に前記リチウム金属が溶解し、
 前記芯部材は、中空筒状であり、軸方向に延びるスリットを有し、前記スリットを規制する周方向の両端部が互いに突き合わずに位置ずれしている、リチウム二次電池。
(技術2)
 初期の放電時では、前記芯部材は、径方向において、前記両端部が互いに対向する領域を有する、技術1に記載のリチウム二次電池。
(技術3)
 初期の放電時では、前記芯部材の周方向において、前記両端部は互いに離間している、技術1に記載のリチウム二次電池。
(技術4)
 充放電サイクル後の放電時では、初期の放電時に比べて、前記芯部材は径方向に収縮している、技術1~3のいずれか1つに記載のリチウム二次電池。
(技術5)
 充放電サイクル後の前記芯部材の収縮率は、2%以上、80%以下である、技術4に記載のリチウム二次電池。
(技術6)
 前記芯部材の材料は、金属を含む、技術1~5のいずれか1つに記載のリチウム二次電池。
(技術7)
 前記芯部材の材料は、引張強度が850MPa以下であり、伸びが2%以上である、技術1~6のいずれか1つに記載のリチウム二次電池。
(技術8)
 前記芯部材の巻回軸に垂直な断面の外形は、円形または楕円形である、技術1~7のいずれか1つに記載のリチウム二次電池。
(技術9)
 前記芯部材の径方向の厚みは、0.005mm以上、0.3mm以下である、技術1~8のいずれか1つに記載のリチウム二次電池。
(技術10)
 初期の放電時の前記芯部材の最大外径は、1.5mm以上、6mm以下である、技術1~9のいずれか1つに記載のリチウム二次電池。
(技術11)
 前記負極は、充電時に析出する前記リチウム金属を担持する負極担持体を備え、
 前記負極担持体は、ステンレス鋼箔、無酸素銅箔、または樹脂フィルムを含む、技術1~10のいずれか1つに記載のリチウム二次電池。
[実施例]
 以下、本開示に係るリチウム二次電池を実施例および比較例に基づいて更に具体的に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
《二次電池A1~A12およびB1~B4》
(正極の作製)
 正極活物質95質量部に、アセチレンブラック2.5質量部と、ポリフッ化ビニリデン2.5質量部とを加え、さらにN-メチル-2-ピロリドンを適量加えて撹拌し、正極合材スラリーを調製した。正極活物質には、Li、Ni、CoおよびAl(Ni、CoおよびAlの合計に対するLiのモル比は1.0)を含有し、層状構造を有する岩塩型のリチウム含有遷移金属酸化物を用いた。
 正極合材スラリーを帯状のAl箔(正極担持体)の両面に塗布し、乾燥し、塗膜を圧延し、正極担持体の両面に正極合材層が形成された積層体を得た。積層体を所定の電極サイズに切断し、帯状の正極11を得た。正極11の所定位置にAl製の正極リード19を取り付けた。
(負極の作製)
 帯状の負極担持体(厚さ10μm)を準備した。露点がマイナス30度以下のドライ雰囲気中で、負極担持体の両面にリチウム金属箔(厚み30μm)を圧着し、リチウム金属層(下地層)を配置した。このようにして負極12を作製した。負極12の所定位置にNi製の負極リード20を取り付けた。なお、リチウム金属層は、充電時の厚み55μmおよび放電時の厚み30μmであった。すなわち、充電時に負極に析出するリチウム金属の厚みは、25μmであった。
 負極担持体には、無酸素銅箔、ステンレス鋼箔、または下地金属層付き樹脂フィルムを用いた。無酸素銅箔には、JIS H 3100、合金番号C1020の箔を用いた。ステンレス鋼には、オーステナイト系ステンレス鋼箔(SUS316L)を用いた。下地金属層付き樹脂フィルムには、両面に銅の下地金属層(厚み1.0μm)が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム(厚み12μm)を用いた。
(セパレータの準備)
 厚み20μmのポリエチレン製のセパレータ(微多孔膜)を準備した。
(非水電解質の調製)
 1,2-ジメトキシエタンおよび1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテルの混合溶媒にLiPFおよびLiBF(C)をそれぞれ溶解させて、非水電解質を調製した。非水電解質中のLiPFの濃度は1モル/Lとした。非水電解質中のLiBF(C)の濃度は0.1モル/Lとした。
(電池の組み立て)
 不活性ガス雰囲気中で、正極、負極、および正極と負極との間に配されるセパレータを芯部材に巻き付けることにより渦巻状に巻回し、中空に芯部材が配置された電極群を作製した。このとき、セパレータの巻始め側の端部に芯部材をテープで固定した後、負極と正極を挿入して巻回した。このようにして、芯部材を電極群の中空に固定した。A1~A10、A12では、図1(a)、図2(a)、または図3(a)に示す芯部材を用いた。B1~B4では、図6に示す芯部材(軸方向にスリットを設けない円筒状の芯部材39)を用いた。芯部材の最大外径および径方向の厚みは、表1に示す値とした。なお、芯部材の最大外径は、断面の外形が円である場合は円の直径であり、断面の外形が楕円形である場合は楕円の長径である。
 A11では、正極と負極とを、セパレータを介して巻回用の巻き芯に巻き付けることにより渦巻状に巻回し、電極群を作製した。その後、巻回用の巻き芯を取り外して、中空筒状の電極群を得た。その後、電極群の中空に図1(a)に示す芯部材を配置した。
 芯部材付き電極群を、Al層を備えるラミネートシートで形成される袋状の外装体に収容し、電極群および芯部材を収容した外装体に非水電解質を注入した後、外装体を封止し、二次電池(試験セル)を作製した。なお、表1中、A1~A12は実施例の電池であり、B1~B4は比較例の電池である。
 なお、電極群の中空に芯部材を配置した時点では、電極群の内周面と芯部材の外周面との間に隙間が存在した。すなわち、電極群の内径は、芯部材の外径よりも若干大きい値であった。その後の充放電により、電極群の内周面と芯部材の外周面とが接触するように隙間の大きさを設計した。
 得られた各電池について、以下の評価を行った。
[評価1:容量維持率]
 各電池について、25℃の環境下で充放電サイクル試験を行った。充放電は、以下の条件で行った。充電と放電との間は、20分間の休止を行った。
(充電)
 電圧が4.1Vになるまで10mA/cmの電流で定電流充電を行い、その後、電流値が1mA/cmになるまで4.1Vの電圧で定電圧充電を行った。
(放電)
 電圧が3.0Vになるまで10mA/cmの電流で定電流放電を行った。
 充放電を100サイクルまで行い、1サイクル目の放電容量C1および100サイクル目の放電容量C2を測定した。C1に対するC2の割合(百分率)を容量維持率(%)として求めた。
 また、各電池の芯部材について、以下の評価を行った。
[評価2:充放電サイクル後の芯部材の収縮率]
 既述の方法により芯部材の収縮率(%)を求めた。50サイクル目の放電までの充放電サイクルは、評価1の充放電サイクル試験と同様の条件で行った。
 評価結果を表1に示す。表1では、各電池のエネルギー密度も示す。なお、表1のエネルギー密度および容量維持率は、それぞれ、電池A1のエネルギー密度および容量維持率を100とするときの相対値として表した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 電池A1~A12では、電池B1~B4と比べて容量維持率が増大した。電池A1~A12では、充放電時に芯部材が径方向に収縮し(収縮率2~9%)、電極群の面圧の上昇が緩和され、電極群の損傷によるサイクル特性の低下が抑制された。電池B1~B4では、充放電時に芯部材が径方向に収縮せず(収縮率0%)、電極群の面圧が上昇し、電極群が損傷し、サイクル特性が低下した。
 電極群の中空部の径(芯部材の最大外径)が小さい電池では、エネルギー密度が増大した(A1~A3<A4~A9<A10~A12)。
 本開示のリチウム二次電池は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末のような電子機器、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、家庭用蓄電池等に用いることができる。
 本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
 10:リチウム二次電池、11:正極、12:負極、13:セパレータ、14:電極群、15:電池缶、16:封口体、17,18:絶縁板、19:正極リード、20:負極リード、21:段部、22:フィルタ、23:下弁体、24:絶縁部材、25:上弁体、26:キャップ、27:ガスケット、29,39:芯部材、41:スリット、42a,42b:周方向の端部
 
 
 

Claims (11)

  1.  正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、を有する巻回型の電極群と、
     前記電極群の中空に配置された芯部材と、
     リチウムイオン伝導性を有する非水電解質と、
    を具備し、
     前記負極では、充電時にリチウム金属が析出し、放電時に前記リチウム金属が溶解し、
     前記芯部材は、中空筒状であり、軸方向に延びるスリットを有し、前記スリットを規制する周方向の両端部が互いに突き合わずに位置ずれしている、リチウム二次電池。
  2.  初期の放電時では、前記芯部材は、径方向において、前記両端部が互いに対向する領域を有する、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3.  初期の放電時では、前記芯部材の周方向において、前記両端部は互いに離間している、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  4.  充放電サイクル後の放電時では、初期の放電時に比べて、前記芯部材は径方向に収縮している、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  5.  充放電サイクル後の前記芯部材の収縮率は、2%以上、80%以下である、請求項4に記載のリチウム二次電池。
  6.  前記芯部材の材料は、金属を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  7.  前記芯部材の材料は、引張強度が850MPa以下であり、伸びが2%以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  8.  前記芯部材の巻回軸に垂直な断面の外形の形状は、円形または楕円形である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  9.  前記芯部材の径方向の厚みは、0.005mm以上、0.3mm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  10.  初期の放電時の前記芯部材の最大外径は、1.5mm以上、6mm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  11.  前記負極は、充電時に析出する前記リチウム金属を担持する負極担持体を備え、
     前記負極担持体は、ステンレス鋼箔、無酸素銅箔、または樹脂フィルムを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
     
     
     
PCT/JP2023/046244 2022-12-27 2023-12-22 リチウム二次電池 WO2024143219A1 (ja)

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