WO2024135584A1 - キャビンの拡張構造及びキャンピングカー - Google Patents

Abstract

キャビン１の拡張構造は、第１側方拡張部１１を有する第１シェル１０と、第１側方拡張部１１とともに側方に移動する第２側方拡張部２１を有するとともに、上方に移動することでキャビン１を上方に拡張する第２シェル２０と、側端部１ａに設けられる壁構成体３０とを備える。壁構成体３０は、第１側方拡張部１１に設けられる第１プレート３１と、第２側方拡張部２１に設けられる第２プレート３２と、第２プレート３２の両面側に配置された第１レール３３及び第２レール３４と、第１レール３３及び第２レール３４により案内され、第１レール３３と第２レール３４との間に設けられた隙間Ｃを上方拡張時に遮蔽するシャッター３５とを有する。

Description

キャビンの拡張構造及びキャンピングカー

　本発明はキャビンの拡張構造及びキャンピングカーに関する。

　ＪＰ７１３２５７７Ｂには主荷室及び副荷室からなる荷室が拡張可能な車両用荷室が開示されている。

　拡張可能なキャビンは例えばキャンピングカーで用いられる。この場合、走行中にキャビンを拡張しないことで風の抵抗を軽減するとともに車両重心を低くすることができるので、走行安定性に資する。その一方で、キャンプ滞在中にはキャビンを拡張することで広い室内空間の利用が可能になる。

　しかしながら、キャビンの内外が拡張構造上必要な隙間により拡張時に連通したままの状態になると、断熱性が低下するなどキャビン内の快適性が損なわれる虞がある。

　本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、拡張時のキャビン内を快適にすることを目的とする。

　本発明のある態様によれば、上方及び側方に拡張するキャビンの拡張構造は、側方に移動する第１側方拡張部を有する第１シェルと、第１側方拡張部と重ねられ第１側方拡張部とともに側方に移動する第２側方拡張部を有するとともに、第１シェルと重ねられ上方に移動することでキャビンを上方に拡張する第２シェルと、第１側方拡張部及び第２側方拡張部の移動によるキャビンの側方拡張時に、第１側方拡張部及び第２側方拡張部の移動に伴ってキャビン外に露出する側端部に設けられる壁構成体とを備え、壁構成体は、第１側方拡張部に設けられる第１プレートと、第２側方拡張部に設けられる第２プレートと、第２プレートの両面側に配置された第１レール及び第２レールと、第１レール及び第２レールにより案内され、第１レールと第２レールとの間に設けられた隙間を上方拡張時に遮蔽するシャッターとを有する。

図１は、本発明の実施形態に係るキャビンの外観斜視図である。 図２は、本発明の実施形態に係るキャビンの外観背面図である。 図３は、本発明の実施形態に係るキャビンの斜視断面図であって、壁構成体を示す図である。 図４は、本発明の実施形態に係るキャビンの側面図であって、壁構成体を示す図である。 図５は、壁構成体を単体で示す斜視図である。 図６は、壁構成体の各モードを示す図である。

　以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。

　図１、図２はキャビン１の外観図である。図１、図２ではキャンピングカー１００に架装された状態でキャビン１を示す。図１ではキャンピングカー１００の右前方、図２では後方から見たキャビン１の外観を示す。図１ではキャビン１が拡張していない第１状態（基本状態）を示し、図２ではキャビン１が上方及び側方に拡張した第４状態を示す。図２では後述する壁構成体３０を図示省略した状態でキャビン１を示す。キャンピングカー１００の上方、下方（鉛直方向）はキャビン１の上方、下方に、キャンピングカー１００の側方（左右方向）はキャビン１の側方に、キャンピングカー１００の前方、後方はキャビン１の前方、後方に対応する。

　キャンピングカー１００は破線で示す小型トラックをベース車両とし、当該小型トラックのキャブ５０後方にキャビン１を架装した構成とされる。キャビン１は木造の部屋構造体であり、運転席が設けられたキャブ５０とは別にキャンピングカー１００に設けられる。キャビン１には審美性や剛性等の観点からアルミパネルやスチールフレーム等の金属部材も適宜用いられる。キャビン１は断熱材を挟み込んだ壁構造を有し、これによりキャビン１の室内空間の断熱性が高められる。キャビン１の室内空間はキャンプ地での居住などユーザの居住空間として利用される。

　キャビン１は拡張構造を有し、上方及び側方に拡張可能とされる。このため、キャンピングカー１００では走行中にキャビン１を拡張しないことで風の抵抗を軽減するとともに車両重心を低くすることができる。また、キャンプ滞在中にはキャビン１を拡張することで広い室内空間の利用が可能になる。

　キャビン１は拡張構造の構成要素として第１シェル１０と第２シェル２０とを有する。第１シェル１０は下側シェルであり、キャンピングカー１００の車体に設けられる。第１シェル１０は上面が開口した箱状の形状を有し、第１シェル１０には第２シェル２０が重ねられる。第２シェル２０は天井シェルであり、下面が開口した箱状の形状を有する。第２シェル２０は上方から第１シェル１０に被せられ第１シェル１０を覆う。従って、第２シェル２０は第１シェル１０の外側に設けられる。

　図２に示すように、第１シェル１０の側方サイズは上側部分１０ａのほうが下側部分１０ｂよりも一回り小さく、第２シェル２０は上側部分１０ａに覆い被さるかたちで上方から第１シェル１０に重ねられる。上側部分１０ａの側壁は第２シェル２０の側壁の厚さに応じて下側部分１０ｂの側壁よりもキャビン１の内側に設けられる。

　第２シェル２０は図示しないレールを介して上下方向に移動可能に第１シェル１０に設けられる。当該レールには例えばリニアガイドのスライドレールを用いることができる。キャビン１には第２シェル２０を駆動する図示しないアクチュエータが設けられ、当該アクチュエータが第１状態から第２シェル２０を上方に駆動すると、第２シェル２０が上方に移動する。結果、キャビン１が上方のみに拡張した第２状態になる。アクチュエータには油圧アクチュエータである油圧シリンダを用いることができる。アクチュエータは電動アクチュエータであってもよい。

　第１シェル１０は第１側方拡張部１１を備える。第１側方拡張部１１は第１シェル１０の前方且つ右側方の部分に設けられる。第１側方拡張部１１の上側部分１１ａは第１シェル１０の上側部分１０ａの一部を構成し、第１側方拡張部１１の下側部分１１ｂは第１シェル１０の下側部分１０ｂの一部を構成する。第１側方拡張部１１は第１シェル１０の側壁の一部を構成する側壁部１１ｃと、側壁部１１ｃに連なる底壁部１１ｄとを備える。第１側方拡張部１１は図示しないレールを介して第１シェル１０に側方に移動可能に設けられ、右側方にキャビン１を拡張させる。当該レールには例えばリニアガイドのスライドレールを用いることができる。

　第２シェル２０は第２側方拡張部２１を備える。第２側方拡張部２１は第２シェル２０の前方且つ右側方の部分に設けられる。第２側方拡張部２１は第２シェル２０の側壁の一部を構成する側壁部２１ａと、側壁部２１ａに連なる上壁部２１ｂとを備える。第２側方拡張部２１は第１側方拡張部１１に重ねられる。第２側方拡張部２１は第１側方拡張部１１の上側部分１１ａに覆い被さるかたちで上方から第１側方拡張部１１に重ねられる。第２側方拡張部２１は図示しないレールを介して第２シェル２０に側方に移動可能に設けられ、右側方にキャビン１を拡張させる。当該レールには例えばリニアガイドのスライドレールを用いることができる。

　キャビン１には、上下方向のレールを介して互いに接続される第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１を側方に駆動する図示しないアクチュエータが設けられる。当該アクチュエータが例えば上方のみに拡張した第２状態から第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１を側方に駆動すると、第１側方拡張部１１と第２側方拡張部２１とがともに側方に移動する結果、キャビン１が第４状態になる。キャビン１は第１状態から第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１を側方に移動させることで、側方のみに拡張した第３状態にすることもできる。キャビン１は第３状態から第１シェル１０を上方に移動させることで第４状態にすることもできる。

　側方に拡張した状態つまり第３状態又は第４状態で、キャビン１には第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１の移動に伴って側端部１ａがキャビン１外に露出する。側端部１ａは、第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１による拡張部分におけるキャンピングカー１００の前後方向の端部であり、キャンピングカー１００の前方及び後方のそれぞれに存在する。図２ではキャンピングカー１００の後方の側端部１ａを示す。側端部１ａは第１側端部１ａａと第２側端部１ａｂとにより構成される。第１側端部１ａａは第１側方拡張部１１によって構成される部分の側端部１ａであり、第２側端部１ａｂは第２側方拡張部２１によって構成される部分の側端部１ａである。

　第１側端部１ａａと第２側端部１ａｂとは上方及び側方に拡張した第４状態では前後方向に互いにオーバーラップせず、側方のみに拡張した第３状態では前後方向に互いにオーバーラップする。従って、側端部１ａの大きさはキャビン１の拡張状態に応じて変化し、第４状態のほうが第３状態よりも側端部１ａは大きくなる。側端部１ａには次に説明する壁構成体３０が設けられる。

　図３はキャビン１の斜視断面図で壁構成体３０を示す図である。図４はキャビン１の側面図で壁構成体３０を示す図である。図５は壁構成体３０を単体で示す斜視図である。図６は壁構成体３０の各モードを示す図である。図３では第１状態のキャビン１で壁構成体３０を示し、図４では第２状態のキャビン１で壁構成体３０を示す。図３では図１に二点破線で示す平面Ａによる断面で後方から見た壁構成体３０を示す。

　キャビン１は拡張構造の構成要素として壁構成体３０をさらに有する。壁構成体３０は第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１の前方部及び後方部それぞれに設けられる。図３、図４には後方部に設けられた壁構成体３０を示す。前方に設けられる壁構成体３０と後方に設けられる壁構成体３０とは前後方向に互いに対称に設けられる以外、互いに同様である。このため、以下では後方に設けられる壁構成体３０を例に説明する。

　壁構成体３０は第１プレート３１と第２プレート３２と第１レール３３と第２レール３４とシャッター３５と第３レール３６と収納部３７とを備える。第１プレート３１は矩形状の板状部材であり、第１側方拡張部１１に設けられる。第１プレート３１は第１側方拡張部１１における前後方向の壁を構成するように設けられる。このため、第１プレート３１は第１側方拡張部１１とともに側方に移動し、側方拡張時にキャビン１外に露出する第１プレート３１のプレート形状と第１プレート３１が壁を構成する部分周囲の第１側端部１ａａの縁形状とは互いに合う形状に形成することができる。第１プレート３１が壁を構成する部分周囲の第１側端部１ａａの縁形状は第１側端部１ａａに対し板状部材等の部材を追加することにより調整されてもよい。次に説明する第２プレート３２及び第２側端部１ａｂについても同様である。

　第２プレート３２は矩形状の板状部材であり、第２側方拡張部２１に設けられる。第２プレート３２は第２側方拡張部２１における前後方向の壁を構成するように設けられる。このため、第２プレート３２は第２シェル２０とともに上方に移動するとともに第２側方拡張部２１とともに側方に移動し、側方拡張時にキャビン１外に露出する。

　第２プレート３２は第１プレート３１の後方に配置される。第２プレート３２は第１プレート３１と前後方向にオーバーラップして設けられ、第１状態で第１プレート３１の下面よりも上方に下面が位置するように設けられる。このため、第１状態では第２プレート３２の下方且つ第１プレート３１のプレート面であって第１レール３３及び第２レール３４が配置される側のプレート面に面してスペースＳが形成される。

　第１レール３３は収納部３７を介して第２レール３４に固定される。第２レール３４は第１シェル１０の図示しないフレームに固定され、当該フレームは第１側方拡張部１１とともに移動しない。このため、第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１が側方に移動しても、第１レール３３及び第２レール３４は移動しない。

　キャビン１が上方や側方に拡張する際には、キャビン１の拡張に応じて第１プレート３１及び第２プレート３２が移動する。結果、壁構成体３０は図６に示す４つのモードを有する。第１モードＭ１は第１状態に対応し、第２モードＭ２は上方のみに拡張した第２状態に対応する。第２モードＭ２では第１モードＭ１と比べ、第２プレート３２が上方に移動した状態になる。

　第３モードＭ３は側方のみに拡張した第３状態に対応する。第３モードＭ３では第１モードＭ１と比べ、第１プレート３１及び第２プレート３２がともに側方に移動した状態になる。第４モードＭ４は第４状態に対応する。第４モードＭ４では第３モードＭ３と比べ第２プレート３２が上方に移動した状態、或いは第２モードＭ２と比べ第１プレート３１及び第２プレート３２が側方に移動した状態になる。

　壁構成体３０のモードの移行は、第１モードＭ１及び第２モードＭ２間、第１モードＭ１及び第３モードＭ３間、第２モードＭ２間及び第４モードＭ４間、第３モードＭ３及び第４モードＭ４間それぞれで行うことができる。

　図４に示すように第１シェル１０には第２プレート３２が交差するためのスリット状の隙間Ｃが設けられる。第１モードＭ１から第３モードＭ３に移行する際には、隙間Ｃにより第２プレート３２と第１シェル１０（側方に移動する第１側方拡張部１１ではない部分）との干渉が回避される。隙間Ｃは第１シェル１０の上側部分１０ａの側壁（右側壁）に設けられる。このため、隙間Ｃは第１状態では第２シェル２０に覆われる。

　その一方で、第２シェル２０が上方に移動すると隙間Ｃが露出する。このため、そのままではキャビン１の内外が隙間Ｃを介して連通したままの状態になる。結果、そのままでは断熱性が低下するなどキャビン１内の快適性が損なわれ得る。

　本実施形態では第１レール３３と第２レール３４との間に隙間Ｃを設けた上で、第１レール３３及び第２レール３４により区画される隙間Ｃに対してシャッター３５が設けられる。第１レール３３及び第２レール３４はシャッター３５のガイドレールであり、第２プレート３２の両面側に配置される。第１レール３３は前後方向において第１プレート３１と第２プレート３２との間に配置される。第２レール３４は前後方向において第２プレート３２から見て第１レール３３とは反対側に配置される。

　図５、図６に示すように、シャッター３５の一端部３５ａは第３レール３６に設けられる。第３レール３６は一端部３５ａを案内するガイドレールであり、第２プレート３２の下面に設けられ側方に延伸する。一端部３５ａは第３レール３６にスライダとして設けられ、第２シェル２０が上方に移動すると、第２プレート３２とともに上方に移動する。これにより、シャッター３５が第１レール３３及び第２レール３４により案内されながら引き上げられ、隙間Ｃに展開する結果、隙間Ｃが遮蔽される。

　つまり、シャッター３５は上方拡張時（第１モードＭ１から第２モードＭ２への移行時、或いは第３モードＭ３から第４モードＭ４への移行時）に、第１レール３３及び第２レール３４に案内されながら隙間Ｃに展開する。結果、第２モードＭ２又は第４モードＭ４に示すように隙間Ｃがシャッター３５で遮蔽される。このようにシャッター３５は上方拡張時に隙間Ｃを遮蔽する。

　第３レール３６は例えばリニアガイドのスライドレールであってもよく、一端部３５ａは当該スライドレール上を直動するスライダに固定されてもよい。このような場合もシャッター３５が一端部３５ａで第３レール３６に設けられることに含まれる。第３レール３６は側方拡張時の第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１の移動範囲に応じて設けることができる。

　シャッター３５は第２シェル２０が下方に移動する下方収縮時（第２モードＭ２から第１モードＭ１への移行時、或いは第４モードＭ４から第３モードＭ３への移行時）には収納部３７に収納される。

　収納部３７は、第１レール３３及び第２レール３４の下部から側方に向かって延伸する板状の部分をそれぞれ有する。収納部３７は当該板状の部分それぞれの間にシャッター３５を巻き取るようにして収納する。収納部３７は当該板状の部分それぞれの先端側でシャッター３５を折り返すかたちで収納する。収納部３７はスペースＳに設けられ、これにより余裕スペースの有効利用が図られる。収納部３７は第１レール３３及び第２レール３４と別体構造とされてもよい。

　前述した通り、第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１が側方に移動しても、第１レール３３及び第２レール３４は移動しない。従って、第１レール３３及び第２レール３４間の隙間Ｃを遮蔽するシャッター３５も移動しない。

　本実施形態ではシャッター３５の一端部３５ａが第３レール３６に設けられるので、シャッター３５は一端部３５ａで第３レール３６上をスライドすることができる。これにより、隙間Ｃに対してシャッター３５を設けても、第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１の側方への移動が可能になる。

　第１レール３３は第１プレート３１が摺動する摺動面３３ａを有する。摺動面３３ａは第１レール３３の背面（シャッター３５を案内する側とは反対側の面）に設けられる。摺動面３３ａは次の理由で設けられる。

　すなわち、第１レール３３は第１プレート３１のプレート面と完全に平行なわけではない。このため、第１プレート３１と第１レール３３との間隔次第では、移動の際に第１プレート３１が第１レール３３の背面に接触し得る。その一方で、第１プレート３１と第１レール３３との間隔が大き過ぎると、第１プレート３１及び第１レール３３間のシール性を確保できなくなる。このため、第１レール３３の背面には摺動面３３ａが設けられる。これにより、第１プレート３１及び第１レール３３間のシール性を適切に確保しつつも、第１プレート３１をスムーズに移動させることが可能になる。

　摺動面３３ａは例えば表面加工や摺動面３３ａとして設けられた部材の材質或いは材料の種類により摺動性の良い滑らかな面に形成され、第１プレート３１の側方への移動をスムーズにする。本実施形態では第１レール３３の材質には比較的柔らかいナイロンが適用される。

　シャッター３５は第１レール３３の溝と第２レール３４の溝との間に配置され、第１レール３３と第２レール３４との間隔はシャッター３５によって決まってくる。第２プレート３２が上昇し第１レール３３よりも剛性が高いシャッター３５が第１レール３３の溝を通ると、第１プレート３１と第１レール３３との間隔は所定間隔（隙間）以下となる。

　つまり、シャッター３５は隙間Ｃに展開され第１レール３３の溝に配置された状態（上方拡張状態）で、第１プレート３１と第１レール３３との間隔を所定間隔以下に規定する役割も果たす。所定間隔は第１プレート３１及び第１レール３３間のシール性の観点及び第１プレート３１の移動性の観点から予め設定できる。これにより、第１プレート３１及び第１レール３３間のシール性を適切に確保しつつも、摺動面３３ａが設けられることと相俟って第１プレート３１の移動性が確保される。

　第１レール３３及び第２レール３４間において、シャッター３５の幅方向のガタが大きいと、シャッター３５が上記役割を果たせなくなる事態が生じ得ることが懸念される。このため、シャッター３５を第１レール３３に向けて付勢するばね等の付勢部材を第２レール３４とシャッター３５との間に設けてもよい。これにより、シャッター３５が幅方向のガタに起因して上記役割を果たせなくなる事態も回避される。

　シャッター３５は、互いにヒンジ連結される複数の板状部材である複数のスラット３５ｂにより構成される。スラット３５ｂは例えばポリエステルの板材により構成できる。シャッター３５では隣り合うスラット３５ｂ同士が互いに横方向に差し込まれてヒンジ連結される。隙間Ｃを埋めるためにはシャッター３５の代わりに例えばゴムスポンジやブラシを設置することもできる。但しこの場合は十分な外気の遮断性を得ることが困難で経年劣化もし易い。このため本実施形態ではシャッター３５が隙間Ｃに対して設けられる。

　以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。

　上方及び側方に拡張するキャビン１の拡張構造は、側方に移動する第１側方拡張部１１を有する第１シェル１０と、第１側方拡張部１１と重ねられ第１側方拡張部１１とともに側方に移動する第２側方拡張部２１を有するとともに、第１シェル１０と重ねられ上方に移動することでキャビン１を上方に拡張する第２シェル２０と、第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１の移動によるキャビン１の側方拡張時に第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１の移動に伴ってキャビン１外に露出する側端部１ａに設けられる壁構成体３０とを備える。壁構成体３０は、第１側方拡張部１１に設けられる第１プレート３１と、第２側方拡張部２１に設けられる第２プレート３２と、第２プレート３２の両面側に配置された第１レール３３及び第２レール３４と、第１レール３３及び第２レール３４により案内され、第１レール３３と第２レール３４との間に設けられた隙間Ｃを上方拡張時に遮蔽するシャッター３５とを有する。

　このような構成によれば、上方及び側方に拡張する構造上必要な隙間Ｃを第１レール３３及び第２レール３４間に設けて上方拡張時にシャッター３５で遮蔽するので、拡張時のキャビン１内を快適にすることができる。

　第１レール３３は第１プレート３１と第２プレート３２との間に配置され、第１プレート３１が摺動する摺動面３３ａを有する。このような構成によれば、第１プレート３１及び第１レール３３間のシール性を適切に確保することで第１プレート３１及び第１レール３３間でキャビン１の気密性を高めつつも、第１プレート３１をスムーズに移動させることができる。従って、断熱性を高めつつも側方への拡張が可能になる。

　壁構成体３０は第２プレート３２の下面に設けられ側方に延伸する第３レール３６をさらに有する。シャッター３５の一端部３５ａは第３レール３６に設けられる。このような構成によれば、側方に移動しない第１レール３３及び第２レール３４間に形成される隙間Ｃに対してシャッター３５を設けても、シャッター３５が一端部３５ａで第３レール３６上をスライドすることができる。このため、第１側方拡張部１１及び第２側方拡張部２１の側方への移動が可能になる。

　第２プレート３２は、キャビン１が上方及び側方に拡張していない基本状態である第１状態で第１プレート３１の下面よりも上方に下面が位置するように設けられる。壁構成体３０は、第１状態で第２プレート３２の下方且つ第１プレート３１のプレート面であって第１レール３３及び第２レール３４が配置される側のプレート面に面するスペースＳにシャッター３５を収納する収納部３７をさらに有する。このような構成によれば、余裕スペースを有効活用して収納部３７を設けるので、遮蔽構造の小型化やキャビン１の室内空間の増加に資する。

　シャッター３５は互いにヒンジ連結される複数のスラット３５ｂにより構成される。このような構成によれば、外気の遮断性に優れ経年劣化もし難い。また、外観も良いので見栄えによりキャビン１の商品力が低下することも抑制できる。

　キャビン１が架装されているキャンピングカー１００では、走行中にキャビン１を拡張しないことで風の抵抗を軽減するとともに車両重心を低くすることができ、また、キャンプ滞在中にはキャビン１を拡張することで広い室内空間の利用が可能になる。キャビン１が架装されているキャンピングカー１００によれば、このような利点を享受しつつも、レジャーとして楽しまれる一方で予想外の気象変化や温度変化の影響を受けることがあるキャンプ滞在中に、拡張時のキャビン１内を快適にすることができる点で技術的意義が大きい。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。

　例えばキャビン１はキッチンカーなどキャンピングカー１００以外の車両に用いることもできる。また、キャビン１は荷物や貨物等を収容するコンテナとして用いられてもよい。キャビン１は被牽引車両に搭載されてもよく、移動式住宅として用いられてもよい。

　本願は２０２２年１２月２０日に日本国特許庁に出願された特願２０２２－２０３７７１に基づく優先権を主張し、この出願のすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (6)

1. 　上方及び側方に拡張するキャビンの拡張構造であって、
   　側方に移動する第１側方拡張部を有する第１シェルと、
   　前記第１側方拡張部と重ねられ前記第１側方拡張部とともに側方に移動する第２側方拡張部を有するとともに、前記第１シェルと重ねられ上方に移動することで前記キャビンを上方に拡張する第２シェルと、
   　前記第１側方拡張部及び前記第２側方拡張部の移動による前記キャビンの側方拡張時に、前記第１側方拡張部及び前記第２側方拡張部の移動に伴って前記キャビン外に露出する側端部に設けられる壁構成体と、を備え、
   　前記壁構成体は、
   　　前記第１側方拡張部に設けられる第１プレートと、
   　　前記第２側方拡張部に設けられる第２プレートと、
   　　前記第２プレートの両面側に配置された第１レール及び第２レールと、
   　　前記第１レール及び前記第２レールにより案内され、前記第１レールと前記第２レールとの間に設けられた隙間を上方拡張時に遮蔽するシャッターと、を有する、
   キャビンの拡張構造。
2. 　請求項１に記載のキャビンの拡張構造であって、
   　前記第１レールは、前記第１プレートと前記第２プレートとの間に配置され、前記第１プレートが摺動する摺動面を有する、
   キャビンの拡張構造。
3. 　請求項１に記載のキャビンの拡張構造であって、
   　前記壁構成体は、前記第２プレートの下面に設けられ側方に延伸する第３レールをさらに有し、
   　前記シャッターの一端部は前記第３レールに設けられる、
   キャビンの拡張構造。
4. 　請求項１に記載のキャビンの拡張構造であって、
   　前記第２プレートは、前記キャビンが上方及び側方に拡張していない基本状態で前記第１プレートの下面よりも上方に下面が位置するように設けられ、
   　前記壁構成体は、前記基本状態で前記第２プレートの下方且つ前記第１プレートのプレート面であって前記第１レール及び前記第２レールが配置される側のプレート面に面するスペースに前記シャッターを収納する収納部をさらに有する、
   キャビンの拡張構造。
5. 　請求項１に記載のキャビンの拡張構造であって、
   　前記シャッターは、互いにヒンジ連結される複数の板状部材により構成される、
   キャビンの拡張構造。
6. 　キャンピングカーであって、
   　請求項１に記載のキャビンの拡張構造を有するキャビンが架装されている、
   キャンピングカー。

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