WO2024122541A1 - 半導体装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置および半導体装置の製造方法 Download PDF

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英徳 辻
信也 高島
勝典 上野
尚 吉村
竣太郎 谷口
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富士電機株式会社
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酸素化学濃度が1×1016atoms/cm3以上である半導体基板を備える半導体装置であって、バルク・ドナーおよび増加ドナーを含み、ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のバッファ領域を備え、バッファ領域の下端から最深ピークまでの第1範囲の全体に渡って、熱ドナーの濃度が、同一の深さ位置における増加ドナーの濃度の10%以下である半導体装置を提供する。

Description

半導体装置および半導体装置の製造方法
 本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
 半導体基板にトランジスタ等の半導体装置を形成する技術が知られている(例えば特許文献1および2参照)。
 特許文献1 米国特許出願公開第2020/0194550号明細書
 特許文献2 米国特許出願公開第2016/0329401号明細書
解決しようとする課題
 半導体装置においては、半導体基板におけるドーピング濃度を精度よく制御することが好ましい。
一般的開示
 上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、上面および下面を有し、バルク・ドナーおよび熱ドナーを含み、酸素化学濃度が1×1016atoms/cm以上である半導体基板を備える半導体装置を提供する。半導体装置は、前記半導体基板に設けられ、前記バルク・ドナーおよび前記熱ドナーを含む第1導電型のドリフト領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置は、前記ドリフト領域と前記半導体基板の前記下面との間に設けられ、前記バルク・ドナーおよび増加ドナーを含み、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のバッファ領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において1つ以上のドーピング濃度ピークを有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記1つ以上のドーピング濃度ピークは、前記半導体基板の前記下面から最も離れて配置された最深ピークを含んでよい。上記何れかの半導体装置において、前記増加ドナーは前記熱ドナーを含んでよい。上記何れかの半導体装置において、前記バッファ領域の下端から前記最深ピークまでの第1範囲の全体に渡って、前記熱ドナーの濃度が、同一の深さ位置における前記増加ドナーの濃度の10%以下であってよい。
 上記何れかの半導体装置において、前記増加ドナーは、CiOi-Hドナーを含んでよい。
 上記何れかの半導体装置において、前記第1範囲の全体に渡って、前記熱ドナーの濃度が、同一の深さ位置における前記増加ドナーの濃度の1%以上であってよい。
 上記何れかの半導体装置において、前記半導体基板の酸素化学濃度が、1×1017atoms/cm以上、5×1017atoms/cm以下であってよい。
 上記何れかの半導体装置において、前記ドリフト領域における前記熱ドナーの濃度が、前記酸素化学濃度の0.0001倍以下であってよい。
 上記何れかの半導体装置において、前記ドリフト領域のドーピング濃度が、前記バルク・ドナーの濃度の1.5倍以下であってよい。
 上記何れかの半導体装置は、前記最深ピークの頂点位置において、前記熱ドナーの濃度がドーピング濃度の0.1倍以下であってよい。
 上記何れかの半導体装置において、前記バッファ領域は、前記最深ピーク以外の前記ドーピング濃度ピークのうち、ドーピング濃度が最大となる最大ピークを含んでよい。上記何れかの半導体装置は、前記最大ピークの頂点位置において、前記熱ドナーの濃度がドーピング濃度の0.01倍以下であってよい。
 上記何れかの半導体装置において、前記バッファ領域は、前記半導体基板の前記下面に最も近い最浅ピークを含んでよい。上記何れかの半導体装置は、前記最浅ピークの頂点位置において、前記熱ドナーの濃度がドーピング濃度の0.001倍以下であってよい。
 上記何れかの半導体装置において、前記バッファ領域よりも前記半導体基板の前記上面側の領域において、前記熱ドナーの濃度分布は、前記半導体基板の前記上面に向かって減少する減少部を有してよい。
 上記何れかの半導体装置において、前記減少部は、前記半導体基板の前記上面側に向かう前記熱ドナーの濃度の対数勾配が、前記酸素化学濃度の対数勾配の0.5倍以上、10倍以下である領域を有してよい。
 本発明の第2の態様においては、上面および下面を有し、バルク・ドナーを含み、酸素化学濃度が1×1016atoms/cm以上である半導体基板を用いて半導体装置を製造する製造方法を提供する。前記半導体装置は、前記半導体基板に設けられ、前記バルク・ドナーおよび前記熱ドナーを含む第1導電型のドリフト領域を備えてよい。半導体装置は、前記ドリフト領域と前記半導体基板の前記下面との間に設けられ、前記バルク・ドナーおよび増加ドナーを含み、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のバッファ領域を備えてよい。上記何れかの半導体装置において、前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において1つ以上のドーピング濃度ピークを有してよい。上記何れかの半導体装置において、前記1つ以上のドーピング濃度ピークは、前記半導体基板の前記下面から最も離れて配置された最深ピークを含んでよい。上記何れかの半導体装置において、前記増加ドナーは前記熱ドナーを含んでよい。製造方法は、前記バッファ領域の下端から前記最深ピークまでの第1範囲の全体に渡って、前記熱ドナーの濃度が、同一の深さ位置における前記増加ドナーの濃度の10%以下となるように、前記半導体基板をアニールしてよい。
 上記何れかの製造方法は、前記半導体基板をアニールする各工程において、前記半導体基板の温度が400℃以上、500℃以下の温度帯を通過する時間が、1回の通過あたり20分以下であってよい。
 上記何れかの製造方法は、前記半導体基板をアニールする各工程において、前記半導体基板の温度が425℃以上、475℃以下の温度帯を通過する時間が、1回の通過あたり10分以下であってよい。
 上記何れかの製造方法は、前記半導体基板をアニールする各工程において、前記半導体基板の温度が400℃以上、500℃以下の温度帯を通過する時間の積算時間が、120分以下であってよい。
 上記何れかの製造方法は、前記半導体基板をアニールする各工程において、前記半導体基板の温度が425℃以上、475℃以下の温度帯を通過する時間の積算時間が、60分以下であってよい。
 上記何れかの製造方法は、前記半導体基板の前記上面の上方に金属電極を形成してよい。上記何れかの製造方法は、前記金属電極を形成した後の工程を400℃未満で行ってよい。
 上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す上面図である。 図1における領域Dの拡大図である。 図2におけるe-e断面の一例を示す図である。 図3のf-f線におけるドーピング濃度の分布210の参考例を示す図である。 実施例に係るドーピング濃度の分布210を示す図である。 バッファ領域20よりも上面21側の領域(深さ位置Zbから深さ位置Zuまでの領域)における、酸素化学濃度分布および熱ドナー濃度分布の一例を示す図である。 半導体装置100の製造方法の一例を説明するチャート図である。 それぞれのアニール段階における半導体基板10の温度の時間変化例を示す図である。 半導体装置100の製造方法の、より具体的な例を示すチャート図である。 図9の工程の続きの工程を示すチャート図である。
 以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
 本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
 本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
 本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
 半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の上面までの領域を、上面側と称する場合がある。同様に、半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の下面までの領域を、下面側と称する場合がある。
 本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
 本明細書においては、不純物がドーピングされたドーピング領域の導電型をP型またはN型として説明している。本明細書においては、不純物とは、特にN型のドナーまたはP型のアクセプタのいずれかを意味する場合があり、ドーパントと記載する場合がある。本明細書においては、ドーピングとは、半導体基板にドナーまたはアクセプタを導入し、N型の導電型を示す半導体またはP型の導電型を示す半導体とすることを意味する。
 本明細書においては、ドーピング濃度とは、熱平衡状態におけるドナーの濃度またはアクセプタの濃度を意味する。本明細書においては、ネット・ドーピング濃度とは、ドナー濃度を正イオンの濃度とし、アクセプタ濃度を負イオンの濃度として、電荷の極性を含めて足し合わせた正味の濃度を意味する。一例として、ドナー濃度をN、アクセプタ濃度をNとすると、任意の位置における正味のネット・ドーピング濃度はN-Nとなる。本明細書では、ネット・ドーピング濃度を単にドーピング濃度と記載する場合がある。
 ドナーは、半導体に電子を供給する機能を有している。アクセプタは、半導体から電子を受け取る機能を有している。ドナーおよびアクセプタは、不純物自体には限定されない。例えば、半導体中に存在する空孔(V)、酸素(O)および水素(H)が結合したVOH欠陥は、電子を供給するドナーとして機能する。水素ドナーは、少なくとも空孔(V)および水素(H)が結合したドナーであってもよい。あるいは、シリコン半導体中の格子間シリコン(Si-i)と水素とが結合した格子間Si-H、格子間炭素(Ci)と格子間酸素(Oi)および水素とが結合したCiOi-Hも、電子を供給するドナーとして機能する。本明細書では、VOH欠陥、CiOi-Hまたは格子間Si-Hを水素ドナーと称する場合がある。
 本明細書において半導体基板は、N型のバルク・ドナーが全体に分布している。バルク・ドナーは、半導体基板の元となるインゴットの製造時に、インゴット内に略一様に含まれたドーパントによるドナーである。本例のバルク・ドナーは、水素以外の元素である。バルク・ドナーのドーパントは、例えばリン、アンチモン、ヒ素、セレンまたは硫黄であるが、これに限定されない。本例のバルク・ドナーは、リンである。バルク・ドナーは、P型の領域にも含まれている。半導体基板は、半導体のインゴットから切り出したウエハであってよく、ウエハを個片化したチップであってもよい。半導体のインゴットは、チョクラルスキー法(CZ法)、磁場印加型チョクラルスキー法(MCZ法)、フロートゾーン法(FZ法)のいずれかで製造されてよい。本例におけるインゴットは、MCZ法で製造されている。MCZ法で製造された基板に含まれる酸素濃度は1×1017~7×1017/cmである。FZ法で製造された基板に含まれる酸素濃度は1×1015~5×1016/cmである。酸素濃度が高い方が水素ドナーを生成しやすい傾向がある。バルク・ドナー濃度は、半導体基板の全体に分布しているバルク・ドナーの化学濃度を用いてよく、当該化学濃度の90%から100%の間の値であってもよい。また、半導体基板は、リン等のドーパントを含まないノンドープ基板を用いてもよい。その場合、ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は例えば1×1010/cm以上、5×1012/cm以下である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は、好ましくは1×1011/cm以上である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は、好ましくは5×1012/cm以下である。尚、本発明における各濃度は、室温における値でよい。室温における値は、一例として300K(ケルビン)(約26.9℃)のときの値を用いてよい。
 本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。また、本明細書においてP++型またはN++型と記載した場合には、P+型またはN+型よりもドーピング濃度が高いことを意味する。本明細書の単位系は、特に断りがなければSI単位系である。長さの単位をcmで表示することがあるが、諸計算はメートル(m)に換算してから行ってよい。
 本明細書において化学濃度とは、電気的な活性化の状態によらずに測定される不純物の原子密度を指す。化学濃度は、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)により計測できる。上述したネット・ドーピング濃度は、電圧-容量測定法(CV法)により測定できる。また、拡がり抵抗測定法(SR法)により計測されるキャリア濃度を、ネット・ドーピング濃度としてよい。CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度は、熱平衡状態における値としてよい。また、N型の領域においては、ドナー濃度がアクセプタ濃度よりも十分大きいので、当該領域におけるキャリア濃度を、ドナー濃度としてもよい。同様に、P型の領域においては、当該領域におけるキャリア濃度を、アクセプタ濃度としてもよい。本明細書では、N型領域のドーピング濃度をドナー濃度と称する場合があり、P型領域のドーピング濃度をアクセプタ濃度と称する場合がある。
 ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度分布がピークを有する場合、当該ピーク値を当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度がほぼ均一な場合等においては、当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度の平均値をドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。本明細書において、単位体積当りの濃度表示にatоms/cm、または、/cmを用いる。この単位は、半導体基板内のドナーまたはアクセプタ濃度、または、化学濃度に用いられる。atоms表記は省略してもよい。
 SR法により計測されるキャリア濃度が、ドナーまたはアクセプタの濃度より低くてもよい。拡がり抵抗を測定する際に電流が流れる範囲において、半導体基板のキャリア移動度が結晶状態の値よりも低い場合がある。キャリア移動度の低下は、格子欠陥等による結晶構造の乱れ(ディスオーダー)により、キャリアが散乱されることで生じる。
 CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度から算出したドナーまたはアクセプタの濃度は、ドナーまたはアクセプタを示す元素の化学濃度よりも低くてよい。一例として、シリコンの半導体においてドナーとなるリンまたはヒ素のドナー濃度、あるいはアクセプタとなるボロン(ホウ素)のアクセプタ濃度は、これらの化学濃度の99%程度である。一方、シリコンの半導体においてドナーとなる水素のドナー濃度は、水素の化学濃度の0.1%から10%程度である。
 図1は、本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す上面図である。図1においては、各部材を半導体基板10の上面に投影した位置を示している。図1においては、半導体装置100の一部の部材だけを示しており、一部の部材は省略している。
 半導体装置100は、半導体基板10を備えている。半導体基板10は、半導体材料で形成された基板である。一例として半導体基板10はシリコン基板である。半導体基板10は、上面視において端辺162を有する。本明細書で単に上面視と称した場合、半導体基板10の上面側から見ることを意味している。本例の半導体基板10は、上面視において互いに向かい合う2組の端辺162を有する。図1においては、X軸およびY軸は、いずれかの端辺162と平行である。またZ軸は、半導体基板10の上面と垂直である。
 半導体基板10には活性部160が設けられている。活性部160は、半導体装置100が動作した場合に半導体基板10の上面と下面との間で、深さ方向に主電流が流れる領域である。活性部160の上方には、エミッタ電極が設けられているが図1では省略している。活性部160は、上面視においてエミッタ電極と重なる領域を指してよい。また、上面視において活性部160で挟まれる領域も、活性部160に含めてよい。
 活性部160には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタ素子を含むトランジスタ部70、および、還流ダイオード(FWD)等のダイオード素子を含むダイオード部80の少なくとも一方が設けられている。図1の例では、半導体基板10の上面における所定の配列方向(本例ではX軸方向)に沿って、トランジスタ部70およびダイオード部80が交互に配置されている。本例の半導体装置100は逆導通型IGBT(RC-IGBT)である。
 図1においては、トランジスタ部70が配置される領域には記号「I」を付し、ダイオード部80が配置される領域には記号「F」を付している。本明細書では、上面視において配列方向と垂直な方向を延伸方向(図1ではY軸方向)と称する場合がある。トランジスタ部70およびダイオード部80は、それぞれ延伸方向に長手を有してよい。つまり、トランジスタ部70のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。同様に、ダイオード部80のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。トランジスタ部70およびダイオード部80の延伸方向と、後述する各トレンチ部の長手方向とは同一であってよい。
 ダイオード部80は、半導体基板10の下面と接する領域に、N+型のカソード領域を有する。本明細書では、カソード領域が設けられた領域を、ダイオード部80と称する。つまりダイオード部80は、上面視においてカソード領域と重なる領域である。半導体基板10の下面には、カソード領域以外の領域には、P+型のコレクタ領域が設けられてよい。本明細書では、ダイオード部80を、後述するゲート配線までY軸方向に延長した延長領域81も、ダイオード部80に含める場合がある。延長領域81の下面には、コレクタ領域が設けられている。
 トランジスタ部70は、半導体基板10の下面と接する領域に、P+型のコレクタ領域を有する。また、トランジスタ部70は、半導体基板10の上面側に、N型のエミッタ領域、P型のベース領域、ゲート導電部およびゲート絶縁膜を有するゲート構造が周期的に配置されている。
 半導体装置100は、半導体基板10の上方に1つ以上のパッドを有してよい。本例の半導体装置100は、ゲートパッド164を有している。半導体装置100は、アノードパッド、カソードパッドおよび電流検出パッド等のパッドを有してもよい。各パッドは、端辺162の近傍に配置されている。端辺162の近傍とは、上面視における端辺162と、エミッタ電極との間の領域を指す。半導体装置100の実装時において、各パッドは、ワイヤ等の配線を介して外部の回路に接続されてよい。
 ゲートパッド164には、ゲート電位が印加される。ゲートパッド164は、活性部160のゲートトレンチ部の導電部に電気的に接続される。半導体装置100は、ゲートパッド164とゲートトレンチ部とを接続するゲート配線を備える。図1においては、ゲート配線に斜線のハッチングを付している。
 本例のゲート配線は、外周ゲート配線130と、活性側ゲート配線131とを有している。外周ゲート配線130は、上面視において活性部160と半導体基板10の端辺162との間に配置されている。本例の外周ゲート配線130は、上面視において活性部160を囲んでいる。上面視において外周ゲート配線130に囲まれた領域を活性部160としてもよい。また、ゲート配線の下方には、ウェル領域が形成されている。ウェル領域とは、後述するベース領域よりも高濃度のP型領域であり、半導体基板10の上面からベース領域よりも深い位置まで形成されている。上面視においてウェル領域で囲まれる領域を活性部160としてもよい。
 外周ゲート配線130は、ゲートパッド164と接続されている。外周ゲート配線130は、半導体基板10の上方に配置されている。外周ゲート配線130は、アルミニウム等を含む金属配線であってよい。
 活性側ゲート配線131は、活性部160に設けられている。活性部160に活性側ゲート配線131を設けることで、半導体基板10の各領域について、ゲートパッド164からの配線長のバラツキを低減できる。
 外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、活性部160のゲートトレンチ部と接続される。外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、半導体基板10の上方に配置されている。外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、不純物がドープされたポリシリコン等の半導体で形成された配線であってよい。
 活性側ゲート配線131は、外周ゲート配線130と接続されてよい。本例の活性側ゲート配線131は、活性部160を挟む一方の外周ゲート配線130から他方の外周ゲート配線130まで、活性部160をY軸方向の略中央で横切るように、X軸方向に延伸して設けられている。活性側ゲート配線131により活性部160が分割されている場合、それぞれの分割領域において、トランジスタ部70およびダイオード部80がX軸方向に交互に配置されてよい。
 半導体装置100は、ポリシリコン等で形成されたPN接合ダイオードである不図示の温度センス部や、活性部160に設けられたトランジスタ部の動作を模擬する不図示の電流検出部を備えてもよい。
 本例の半導体装置100は、上面視において、活性部160と端辺162との間に、エッジ終端構造部90を備える。本例のエッジ終端構造部90は、外周ゲート配線130と端辺162との間に配置されている。エッジ終端構造部90は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部90は、活性部160を囲んで環状に設けられたガードリング、フィールドプレートおよびリサーフのうちの少なくとも一つを備えていてよい。
 図2は、図1における領域Dの拡大図である。領域Dは、トランジスタ部70、ダイオード部80、および、活性側ゲート配線131を含む領域である。本例の半導体装置100は、半導体基板10の上面側の内部に設けられたゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15を備える。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、それぞれがトレンチ部の一例である。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10の上面の上方に設けられたエミッタ電極52および活性側ゲート配線131を備える。エミッタ電極52および活性側ゲート配線131は互いに分離して設けられる。
 エミッタ電極52および活性側ゲート配線131と、半導体基板10の上面との間には層間絶縁膜が設けられるが、図2では省略している。本例の層間絶縁膜には、コンタクトホール54が、当該層間絶縁膜を貫通して設けられる。図2においては、それぞれのコンタクトホール54に斜線のハッチングを付している。
 エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15の上方に設けられる。エミッタ電極52は、コンタクトホール54を通って、半導体基板10の上面におけるエミッタ領域12、コンタクト領域15およびベース領域14と接触する。また、エミッタ電極52は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを通って、ダミートレンチ部30内のダミー導電部と接続される。エミッタ電極52は、Y軸方向におけるダミートレンチ部30の先端において、ダミートレンチ部30のダミー導電部と接続されてよい。ダミートレンチ部30のダミー導電部は、エミッタ電極52およびゲート導電部と接続されなくてよく、エミッタ電極52の電位およびゲート導電部の電位とは異なる電位に制御されてもよい。
 活性側ゲート配線131は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを通って、ゲートトレンチ部40と接続する。活性側ゲート配線131は、Y軸方向におけるゲートトレンチ部40の先端部41において、ゲートトレンチ部40のゲート導電部と接続されてよい。活性側ゲート配線131は、ダミートレンチ部30内のダミー導電部とは接続されない。
 エミッタ電極52は、金属を含む材料で形成される。図2においては、エミッタ電極52が設けられる範囲を示している。例えば、エミッタ電極52の少なくとも一部の領域はアルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金、例えばAlSi、AlSiCu等の金属合金で形成される。エミッタ電極52は、アルミニウム等で形成された領域の下層に、チタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。さらにコンタクトホール内において、バリアメタルとアルミニウム等に接するようにタングステン等を埋め込んで形成されたプラグを有してもよい。
 ウェル領域11は、活性側ゲート配線131と重なって設けられている。ウェル領域11は、活性側ゲート配線131と重ならない範囲にも、所定の幅で延伸して設けられている。本例のウェル領域11は、コンタクトホール54のY軸方向の端から、活性側ゲート配線131側に離れて設けられている。ウェル領域11は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のベース領域14はP-型であり、ウェル領域11はP+型である。
 トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれは、配列方向に複数配列されたトレンチ部を有する。本例のトランジスタ部70には、配列方向に沿って1以上のゲートトレンチ部40と、1以上のダミートレンチ部30とが交互に設けられている。本例のダイオード部80には、複数のダミートレンチ部30が、配列方向に沿って設けられている。本例のダイオード部80には、ゲートトレンチ部40が設けられていない。
 本例のゲートトレンチ部40は、配列方向と垂直な延伸方向に沿って延伸する2つの直線部分39(延伸方向に沿って直線状であるトレンチの部分)と、2つの直線部分39を接続する先端部41を有してよい。図2における延伸方向はY軸方向である。
 先端部41の少なくとも一部は、上面視において曲線状に設けられることが好ましい。2つの直線部分39のY軸方向における端部どうしを先端部41が接続することで、直線部分39の端部における電界集中を緩和できる。
 トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30はゲートトレンチ部40のそれぞれの直線部分39の間に設けられる。それぞれの直線部分39の間には、1本のダミートレンチ部30が設けられてよく、複数本のダミートレンチ部30が設けられていてもよい。ダミートレンチ部30は、延伸方向に延伸する直線形状を有してよく、ゲートトレンチ部40と同様に、直線部分29と先端部31とを有していてもよい。図2に示した半導体装置100は、先端部31を有さない直線形状のダミートレンチ部30と、先端部31を有するダミートレンチ部30の両方を含んでいる。
 ウェル領域11の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30のY軸方向の端部は、上面視においてウェル領域11に設けられる。つまり、各トレンチ部のY軸方向の端部において、各トレンチ部の深さ方向の底部は、ウェル領域11に覆われている。これにより、各トレンチ部の当該底部における電界集中を緩和できる。
 配列方向において各トレンチ部の間には、メサ部が設けられている。メサ部は、半導体基板10の内部において、トレンチ部に挟まれた領域を指す。一例としてメサ部の上端は半導体基板10の上面である。メサ部の下端の深さ位置は、トレンチ部の下端の深さ位置と同一である。本例のメサ部は、半導体基板10の上面において、トレンチに沿って延伸方向(Y軸方向)に延伸して設けられている。本例では、トランジスタ部70にはメサ部60が設けられ、ダイオード部80にはメサ部61が設けられている。本明細書において単にメサ部と称した場合、メサ部60およびメサ部61のそれぞれを指している。
 それぞれのメサ部には、ベース領域14が設けられる。メサ部において半導体基板10の上面に露出したベース領域14のうち、活性側ゲート配線131に最も近く配置された領域をベース領域14-eとする。図2においては、それぞれのメサ部の延伸方向における一方の端部に配置されたベース領域14-eを示しているが、それぞれのメサ部の他方の端部にもベース領域14-eが配置されている。それぞれのメサ部には、上面視においてベース領域14-eに挟まれた領域に、第1導電型のエミッタ領域12および第2導電型のコンタクト領域15の少なくとも一方が設けられてよい。本例のエミッタ領域12はN+型であり、コンタクト領域15はP+型である。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、深さ方向において、ベース領域14と半導体基板10の上面との間に設けられてよい。
 トランジスタ部70のメサ部60は、半導体基板10の上面に露出したエミッタ領域12を有する。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40に接して設けられている。ゲートトレンチ部40に接するメサ部60には、半導体基板10の上面に露出したコンタクト領域15が設けられていてよい。
 メサ部60におけるコンタクト領域15およびエミッタ領域12のそれぞれは、X軸方向における一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで設けられる。一例として、メサ部60のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿って交互に配置されている。
 他の例においては、メサ部60のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿ってストライプ状に設けられていてもよい。例えばトレンチ部に接する領域にエミッタ領域12が設けられ、エミッタ領域12に挟まれた領域にコンタクト領域15が設けられる。
 ダイオード部80のメサ部61には、エミッタ領域12が設けられていない。メサ部61の上面には、ベース領域14およびコンタクト領域15が設けられてよい。メサ部61の上面においてベース領域14-eに挟まれた領域には、それぞれのベース領域14-eに接してコンタクト領域15が設けられてよい。メサ部61の上面においてコンタクト領域15に挟まれた領域には、ベース領域14が設けられてよい。ベース領域14は、コンタクト領域15に挟まれた領域全体に配置されてよい。
 それぞれのメサ部の上方には、コンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール54は、ベース領域14-eに挟まれた領域に配置されている。本例のコンタクトホール54は、コンタクト領域15、ベース領域14およびエミッタ領域12の各領域の上方に設けられる。コンタクトホール54は、ベース領域14-eおよびウェル領域11に対応する領域には設けられない。コンタクトホール54は、メサ部60の配列方向(X軸方向)における中央に配置されてよい。
 ダイオード部80において、半導体基板10の下面と隣接する領域には、N+型のカソード領域82が設けられる。半導体基板10の下面において、カソード領域82が設けられていない領域には、P+型のコレクタ領域22が設けられてよい。カソード領域82およびコレクタ領域22は、半導体基板10の下面23と、バッファ領域20との間に設けられている。図2においては、カソード領域82およびコレクタ領域22の境界を点線で示している。
 カソード領域82は、Y軸方向においてウェル領域11から離れて配置されている。これにより、比較的にドーピング濃度が高く、且つ、深い位置まで形成されているP型の領域(ウェル領域11)と、カソード領域82との距離を確保して、耐圧を向上できる。本例のカソード領域82のY軸方向における端部は、コンタクトホール54のY軸方向における端部よりも、ウェル領域11から離れて配置されている。他の例では、カソード領域82のY軸方向における端部は、ウェル領域11とコンタクトホール54との間に配置されていてもよい。
 図3は、図2におけるe-e断面の一例を示す図である。e-e断面は、エミッタ領域12およびカソード領域82を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、当該断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。
 層間絶縁膜38は、半導体基板10の上面に設けられている。層間絶縁膜38は、ホウ素またはリン等の不純物が添加されたシリケートガラス等の絶縁膜、熱酸化膜、および、その他の絶縁膜の少なくとも一層を含む膜である。層間絶縁膜38には、図2において説明したコンタクトホール54が設けられている。
 エミッタ電極52は、層間絶縁膜38の上方に設けられる。エミッタ電極52は、層間絶縁膜38のコンタクトホール54を通って、半導体基板10の上面21と接触している。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23に設けられる。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成されている。本明細書において、エミッタ電極52とコレクタ電極24とを結ぶ方向(Z軸方向)を深さ方向と称する。
 半導体基板10は、N型またはN-型のドリフト領域18を有する。ドリフト領域18は、トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれに設けられている。
 トランジスタ部70のメサ部60には、N+型のエミッタ領域12およびP-型のベース領域14が、半導体基板10の上面21側から順番に設けられている。ベース領域14の下方にはドリフト領域18が設けられている。メサ部60には、N+型の蓄積領域16が設けられてもよい。蓄積領域16は、ベース領域14とドリフト領域18との間に配置される。
 エミッタ領域12は半導体基板10の上面21に露出しており、且つ、ゲートトレンチ部40と接して設けられている。エミッタ領域12は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。エミッタ領域12は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高い。
 ベース領域14は、エミッタ領域12の下方に設けられている。本例のベース領域14は、エミッタ領域12と接して設けられている。ベース領域14は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。
 蓄積領域16は、ベース領域14の下方に設けられている。蓄積領域16は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高いN+型の領域である。すなわち蓄積領域16は、ドナー濃度がドリフト領域18よりも高い。ドリフト領域18とベース領域14との間に高濃度の蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減できる。蓄積領域16は、各メサ部60におけるベース領域14の下面全体を覆うように設けられてよい。
 ダイオード部80のメサ部61には、半導体基板10の上面21に接して、P-型のベース領域14が設けられている。ベース領域14の下方には、ドリフト領域18が設けられている。メサ部61において、ベース領域14の下方に蓄積領域16が設けられていてもよい。
 トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれにおいて、ドリフト領域18の下にはN+型のバッファ領域20が設けられてよい。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い濃度ピークを有してよい。濃度ピークのドーピング濃度とは、濃度ピークの頂点におけるドーピング濃度を指す。また、ドリフト領域18のドーピング濃度は、ドーピング濃度分布がほぼ平坦な領域におけるドーピング濃度の平均値を用いてよい。
 バッファ領域20は、半導体基板10の深さ方向(Z軸方向)において、2つ以上の濃度ピークを有してよい。バッファ領域20の濃度ピークは、例えば水素(プロトン)またはリンの化学濃度ピークと同一の深さ位置に設けられていてよい。バッファ領域20は、ベース領域14の下端から広がる空乏層が、P+型のコレクタ領域22およびN+型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
 トランジスタ部70において、バッファ領域20の下には、P+型のコレクタ領域22が設けられる。コレクタ領域22のアクセプタ濃度は、ベース領域14のアクセプタ濃度より高い。コレクタ領域22は、ベース領域14と同一のアクセプタを含んでよく、異なるアクセプタを含んでもよい。コレクタ領域22のアクセプタは、例えばボロンである。
 ダイオード部80において、バッファ領域20の下には、N+型のカソード領域82が設けられる。カソード領域82のドナー濃度は、ドリフト領域18のドナー濃度より高い。カソード領域82のドナーは、例えば水素またはリンである。なお、各領域のドナーおよびアクセプタとなる元素は、上述した例に限定されない。コレクタ領域22およびカソード領域82は、半導体基板10の下面23に露出しており、コレクタ電極24と接続している。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23全体と接触してよい。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成される。
 半導体基板10の上面21側には、1以上のゲートトレンチ部40、および、1以上のダミートレンチ部30が設けられる。各トレンチ部は、半導体基板10の上面21から、ベース領域14を貫通して、ベース領域14の下方まで設けられている。エミッタ領域12、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられている領域においては、各トレンチ部はこれらのドーピング領域も貫通している。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
 上述したように、トランジスタ部70には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が設けられている。ダイオード部80には、ダミートレンチ部30が設けられ、ゲートトレンチ部40が設けられていない。本例においてダイオード部80とトランジスタ部70のX軸方向における境界は、カソード領域82とコレクタ領域22の境界である。
 ゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21に設けられたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って設けられる。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に設けられる。つまりゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。
 ゲート導電部44は、深さ方向において、ベース領域14よりも長く設けられてよい。当該断面におけるゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われる。ゲート導電部44は、ゲート配線に電気的に接続されている。ゲート導電部44に所定のゲート電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチ部40に接する界面の表層に電子の反転層によるチャネルが形成される。
 ダミートレンチ部30は、当該断面において、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21に設けられたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー導電部34は、エミッタ電極52に電気的に接続されている。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って設けられる。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に設けられ、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に設けられる。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミー導電部34は、ゲート導電部44と同一の材料で形成されてよい。例えばダミー導電部34は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ダミー導電部34は、深さ方向においてゲート導電部44と同一の長さを有してよい。
 本例のゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われている。なお、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の底部は、下側に凸の曲面状(断面においては曲線状)であってよい。
 図4は、図3のf-f線におけるドーピング濃度の分布210の参考例を示す図である。図4等の濃度分布のグラフにおいては、SR法等で測定したキャリア濃度をドーピング濃度としている。f-f線は、バッファ領域20を通過するZ軸と平行な線である。図4における横軸は、半導体基板10内における深さ位置(Z軸方向の位置)を示している。図4等の濃度分布のグラフにおいては、バッファ領域20の下端位置をZ軸方向の基準位置(0)として、基準位置からの距離をZ軸方向の位置とする。バッファ領域20の下端位置では、コレクタ領域22とバッファ領域20のPN接合によるドーピング濃度分布の谷が存在するが、図4等では当該谷を省略している。
 半導体基板10の全体には、酸素が含まれる。図4では、酸素化学濃度が異なる2つの半導体基板10に半導体装置100を形成した場合の分布210を示している。図4において破線の分布は、半導体基板10における酸素化学濃度が比較的に高い(例えば4×1017atoms/cm)例であり、実線の分布は、半導体基板10における酸素化学濃度が比較的に低い(例えば1×1017atoms/cm)例である。半導体基板10の酸素化学濃度は、基板全体の酸素化学濃度の平均値、または、最大値で比較してよい。それぞれの例において、バッファ領域20に局所的に注入したドーパントのドーズ量および加速エネルギーは同一である。バッファ領域20に注入したドーパントは例えばプロトンであるがこれに限定されない。
 いずれの例においても、バッファ領域20には1つ以上のドーピング濃度ピーク201が設けられている。図4の例ではバッファ領域20には5つのドーピング濃度ピーク201-1~201-5が設けられている。本明細書では、バッファ領域20のドーピング濃度ピーク201のうち、半導体基板10の下面23から最も離れたドーピング濃度ピーク201(図4ではドーピング濃度ピーク201-5)を最深ピークと称し、下面23に最も近いドーピング濃度ピーク201(図4ではドーピング濃度ピーク201-1)を最浅ピークと称する場合がある。また、ドーピング濃度ピーク201-1の頂点の深さ位置をZ1とし、ドーピング濃度ピーク201-5の頂点の深さ位置をZ5とする。バッファ領域20には、隣り合うドーピング濃度ピーク201の間にピーク間領域301が設けられている。ピーク間領域301は複数個設けられてよい。本明細書では、バッファ領域20のピーク間領域301のうち、半導体基板10の下面23から最も離れたピーク間領域301(図4ではピーク間領域301-4)を最深ピーク間領域と称し、下面23に最も近いピーク間領域301(図4ではドーピング濃度ピーク301-1)を最浅ピーク間領域と称する場合がある。
 バッファ領域20の上方にはドリフト領域18が設けられる。バッファ領域20とドリフト領域18との境界の深さ位置をZbとする。深さ位置Zbは、バッファ領域20からドリフト領域18に向かう方向において、ドーピング濃度がドリフト領域18のドーピング濃度(Dd1またはDd2)と最初に一致する位置である。ドリフト領域18には、局所的なドーパントが注入されていない。ドリフト領域18は、ドーピング濃度がほぼ一定であってよい。半導体基板10の全体には、半導体基板10に印加された熱の影響により、熱ドナーが形成されている。熱ドナーの分布は、半導体基板10の全体でほぼ均一である。このため、ドリフト領域18のドーピング濃度は、バルク・ドナー濃度BDよりわずかに高くなる。半導体基板10に含まれる酸素は、半導体基板10が昇温または降温する過程において、不安定な酸素錯体を形成する。酸素錯体は、半導体基板10の中でドーパントとして働く。本明細書では、酸素錯体を熱ドナーと称する。
 半導体基板10の各位置に形成される熱ドナーの濃度は、半導体基板10に含まれる酸素の濃度、および、半導体基板10の昇温および降温の条件により変動する。図4に示すように、半導体基板10の酸素化学濃度が異なる2つの例では、形成される熱ドナーの濃度が異なり、半導体基板10の全体においてドーピング濃度が変動している。
 半導体基板10の酸素化学濃度が比較的に低い実線の分布210における、ドリフト領域18のドーピング濃度をDd1とし、半導体基板10の酸素化学濃度が比較的に高い破線の分布210における、ドリフト領域18のドーピング濃度をDd2とする。それぞれのドリフト領域18のドーピング濃度は、ドリフト領域18の全体における平均値を用いてよく、最小値を用いてもよい。
 半導体基板10の酸素化学濃度が比較的に低い実線の分布210における熱ドナーの濃度をNth1とし、半導体基板10の酸素化学濃度が比較的に高い破線の分布210における熱ドナーの濃度をNth2とする。ドリフト領域18のドーピング濃度(Dd1またはDd2)と、バルク・ドナー濃度BDとの差分(Dd1-BD、または、Dd2-BD)が、それぞれの半導体基板10に形成された熱ドナーの濃度(Nth1またはNth2)に相当する。本明細書において説明する各例においては、ドリフト領域18のドーピング濃度と、バルク・ドナー濃度BDとの差分を熱ドナーの濃度とする。熱ドナーの濃度は、半導体基板10の全体において同一であってよい。
 バルク・ドナー濃度BDは、半導体基板10におけるバルク・ドナーの化学濃度の最小値を用いてよく、半導体基板10の深さ方向の中央位置におけるバルク・ドナーの化学濃度を用いてよく、ドリフト領域18におけるバルク・ドナーの化学濃度の平均値を用いてもよい。バルク・ドナーは、酸素以外のドーパントであって、半導体基板10の全体に分布しているドーパントである。バルク・ドナーは例えばリンであってよく、砒素であってよく、アンチモンであってよいが、これらに限定されない。P型のバルク・アクセプタおよびN型のバルク・ドナーの両方が半導体基板10の全体に分布している場合、バルク・ドナー濃度BDは、バルク・ドナーの濃度とバルク・アクセプタの濃度との差分により定まるネット濃度である。バルク・ドナーおよびバルク・アクセプタの濃度は、SIMS法等で測定した値を用いてよい。
 バッファ領域20は、バルク・ドナーに加え、増加ドナーを含む。増加ドナーは、バルク・ドナー以外のドナーである。増加ドナーは、バッファ領域20に局所的にイオンを注入することで形成された注入ドナーと、上述した熱ドナーとを含む。バッファ領域20に水素イオンを局所的に注入した場合、注入ドナーは水素ドナーである。バッファ領域20にリン等を局所的に注入した場合、注入ドナーはリンドナーである。
 熱ドナーの濃度は、半導体基板10の酸素濃度に応じて変動する。このため、増加ドナーに含まれる熱ドナーの濃度比率が高いと、半導体基板10の酸素濃度に応じて増加ドナーの濃度が変動する。従って、図4の破線および実線の分布210に示すように、半導体基板10の酸素濃度に応じてバッファ領域20のドーピング濃度が変動する。
 バッファ領域20において、バッファ領域20の下端から、最深ピーク(本例ではドーピング濃度ピーク201-5)までの範囲を第1範囲200とする。実線の分布210において、第1範囲200のドーピング濃度の最小値をNmin1とし、当該深さ位置における増加ドナーの濃度をID1とする。本例の第1範囲200のドーピング濃度の最小値Nmin1は、最深ピーク間領域(本例ではピーク間領域301-4)におけるドーピング濃度Nmin1である。増加ドナーの濃度ID1は、ドーピング濃度Nmin1とバルク・ドナー濃度BDとの差分(Nmin1-BD)である。また、破線の分布210において、第1範囲200のドーピング濃度の最小値をNmin2とし、当該深さ位置における増加ドナーの濃度をID2とする。実線の分布210においてドーピング濃度がNmin1となる深さ位置と、破線の分布210においてドーピング濃度がNnmin2となる深さ位置はほぼ同一である。増加ドナーの濃度ID2は、ドーピング濃度Nmin2とバルク・ドナー濃度BDとの差分(Nmin2-BD)である。なお、ピーク間領域301の一部が、バルク・ドナー濃度BDよりも小さいドーピング濃度を有する場合がある。このような場合には、ドーピング濃度がバルク・ドナー濃度BDよりも高いピーク間領域301のうち、ドーピング濃度が最小となるピーク間領域301のドーピング濃度をNmin1としてよい。
 増加ドナーの濃度ID1およびID2は、第1範囲200内における増加ドナーの濃度の最小値を示してよい。熱ドナーの濃度Nth1およびNth2は、バッファ領域20のそれぞれの深さ位置においてほぼ一定なので、増加ドナーの濃度ID1およびID2に対する熱ドナーの濃度Nth1およびNth2の比率は、第1範囲200内における熱ドナー/増加ドナーの比率の最大値を示す。ドリフト領域18における熱ドナー濃度の平均値をバッファ領域20における熱ドナー濃度としてよく、ドリフト領域18における熱ドナー濃度の最大値をバッファ領域20における熱ドナー濃度としてよく、深さ位置Zbにおける熱ドナー濃度をバッファ領域20における熱ドナー濃度としてもよい。
 実線の分布210において、増加ドナーの濃度ID1は7×1013/cmであり、熱ドナーの濃度Nth1は2×1013/cmである。増加ドナーのうち、熱ドナーが占める割合Nth1/ID1は29%である。破線の分布210において、増加ドナーの濃度ID2は1×1014/cmであり、熱ドナーの濃度Nth2は5×1013/cmである。増加ドナーのうち、熱ドナーが占める割合NTh2/ND2は50%である。このように、増加ドナーにおいて熱ドナーが占める割合が大きいと、半導体基板10の酸素濃度に応じて増加ドナーの濃度が大きくばらついてしまう。これにより、例えば半導体装置100の耐圧等の特性が変動してしまう。実線の分布210の例の耐圧を1に正規化した場合、破線の分布210の例の耐圧は1.15であった。
 図5は、実施例に係るドーピング濃度の分布210を示す図である。図5の例は、半導体基板10に形成される熱ドナーの濃度が、図4の例よりも低い。このため、それぞれの深さ位置におけるドーピング濃度および増加ドナーの濃度も、図4の例と異なる。他の構造は図4の例と同様である。図5においても、半導体基板10における酸素化学濃度が比較的に高い(例えば4×1017atoms/cm)例の分布210を破線で示し、半導体基板10における酸素化学濃度が比較的に低い(例えば1×1017atoms/cm)例の分布210を実線で示している。図5の例において半導体基板10に含まれる酸素化学濃度は図4の例と同様であるが、半導体基板10に対する熱履歴を制御することで、熱ドナーの濃度を低く制御している。
 上述したように、半導体基板10にはバルク・ドナーおよび熱ドナーが含まれる。半導体基板10の全体にバルク・ドナーおよび熱ドナーが分布していてよい。ドリフト領域18には、バルク・ドナーおよび熱ドナーが含まれる。ドリフト領域18には、他のドナーが分布していなくてよい。
 バッファ領域20は、バルク・ドナーおよび増加ドナーを含む。上述したように、増加ドナーは、注入ドナーおよび熱ドナーを含む。注入ドナーは、水素ドナーであってよく、リンドナーであってよく、他のドナーであってもよい。水素ドナーは、CiOi-Hドナーを含んでよい。水素ドナーは、VOH欠陥または格子間Si-Hを含んでもよい。
 本例では、実線および破線のいずれの分布210においても、第1範囲200の全体に渡って、熱ドナーの濃度Nthが、同一の深さ位置における増加ドナーの濃度IDの10%以下である。図5の例においても、実線の分布210において、第1範囲200のドーピング濃度の最小値をNmin1とし、当該深さ位置における増加ドナーの濃度をID1とする。増加ドナーの濃度ID1は、ドーピング濃度Nmin1とバルク・ドナー濃度BDとの差分(Nmin1-BD)である。また、破線の分布210において、第1範囲200のドーピング濃度の最小値をNmin2とし、当該深さ位置における増加ドナーの濃度をID2とする。
 一例として実線の分布210では、増加ドナーの濃度ID1は5×1013/cmであり、熱ドナーの濃度Nth1は3×1012/cmである。増加ドナーのうち、熱ドナーが占める割合Nth1/ID1は6%である。破線の分布210において、増加ドナーの濃度ID2は5×1013/cmであり、熱ドナーの濃度Nth2は5×1012/cmである。増加ドナーのうち、熱ドナーが占める割合NTh2/ND2は10%である。つまり、いずれの例においても、第1範囲200の全体に渡って、熱ドナーの濃度Nthが、同一の深さ位置における増加ドナーの濃度IDの10%以下である。
 本例では、熱ドナーの割合を小さくすることで、半導体基板10の酸素濃度による増加ドナーの濃度のばらつきを抑制できている。このため、半導体装置100の耐圧等の特性の変動を抑制できる。図5の例では、実線の分布210の例の耐圧を1とした場合、破線の分布210の例の耐圧は1.02であった。
 第1範囲200の全体に渡って、熱ドナーの濃度Nthが、同一の深さ位置における増加ドナーの濃度IDの10%以下であってよく、8%以下であってよく、6%以下であってよく、5%以下であってもよい。熱ドナーの割合を低くすることで、バッファ領域20のドーピング濃度のばらつきを抑制して、半導体装置100の特性変動を抑制できる。第1範囲200の全体に渡って、熱ドナーの濃度Nthが、同一の深さ位置における増加ドナーの濃度IDの0.1%以上であってよく、0.5%以上であってよく、1%以上であってよく、2%以上であってよく、3%以上であってよく、5%以上であってもよい。
 半導体基板10の酸素化学濃度は1×1016atoms/cm以上である。本例では、半導体基板10の酸素化学濃度が高い場合でも、熱ドナーの発生を抑制することで、半導体装置100の耐圧等の特性の変動を抑制できる。このため、酸素化学濃度が低い基板を準備しなくてもよいので、半導体装置100の製造コストを低減できる。また、酸素化学濃度が高い半導体基板10を用いることで、水素ドナーを形成しやすくし、バッファ領域20のドーピング濃度を高くしやすくなる。半導体基板10の酸素化学濃度は3×1016atoms/cm以上であってよく、5×1016atoms/cm以上であってよく、1×1017atoms/cm以上であってもよい。半導体基板10の酸素化学濃度は1×1018atoms/cm以下であってよく、5×1017atoms/cm以下であってもよい。
 ドリフト領域18における熱ドナーの濃度(Nth1またはNth2)が、ドリフト領域18における酸素化学濃度の0.0001倍(1×10-4倍)以下であってよい。ドリフト領域18の酸素化学濃度は、ドリフト領域18における平均値を用いてよく、最小値を用いてよく、ドリフト領域18の深さ方向の中央における値を用いてもよい。これにより、バッファ領域20の増加ドナーに占める熱ドナーの割合を小さくして、半導体装置100の特性変動を抑制できる。ドリフト領域18における熱ドナーの濃度(Nth1またはNth2)が、ドリフト領域18における酸素化学濃度の0.00005倍(5×10-5倍)以下であってよく、0.00001倍(1×10-5倍)以下であってもよい。ドリフト領域18における熱ドナーの濃度(Nth1またはNth2)が、ドリフト領域18における酸素化学濃度の1×10-8倍以上であってよく、5×10-8倍以上であってよく、1×10-7倍以上であってもよい。
 ドリフト領域18のドーピング濃度(Dd1またはDd2)が、バルク・ドナーの濃度BDの1.5倍以下であってよい。これにより、バッファ領域20の増加ドナーに占める熱ドナーの割合を小さくして、半導体装置100の特性変動を抑制できる。ドリフト領域18のドーピング濃度(Dd1またはDd2)が、バルク・ドナーの濃度BDの1.3倍以下であってよく、1.1倍以下であってもよい。ドリフト領域18のドーピング濃度(Dd1またはDd2)は、バルク・ドナーの濃度BDより大きい。
 ドリフト領域18における熱ドナーの濃度(Nth1またはNth2)が、バルク・ドナーの濃度BDの0.5倍以下であってよい。これにより、バッファ領域20の増加ドナーに占める熱ドナーの割合を小さくして、半導体装置100の特性変動を抑制できる。ドリフト領域18における熱ドナーの濃度(Nth1またはNth2)が、バルク・ドナーの濃度BDの0.3倍以下であってよく、0.1倍以下であってもよい。ドリフト領域18における熱ドナーの濃度(Nth1またはNth2)は、0より大きい。
 最深ピーク(本例ではドーピング濃度ピーク201-5)の頂点の深さ位置Z5において、熱ドナーの濃度Nthが、ドーピング濃度Np5の0.1倍以下であってよい。実線および破線の分布210において、ドーピング濃度Np5の値はほぼ同一である。これにより、バッファ領域20の最深ピークの増加ドナーに占める熱ドナーの割合を小さくして、半導体装置100の特性変動を抑制できる。例えば、半導体基板10のターンオフ時等において、上面21側から広がる空間電荷領域(または空乏層)がバッファ領域20に到達したときの、電圧波形の振動のばらつきを抑制できる。深さ位置Z5において、熱ドナーの濃度Nthは、ドーピング濃度Np5の0.05倍以下であってよく、0.01倍以下であってもよい。
 バッファ領域20は、最深ピーク以外のドーピング濃度ピーク201のうち、ドーピング濃度が最大となる最大ピーク(本例ではドーピング濃度ピーク201-1)を含む。ドーピング濃度201-1以外のピークが最大ピークであってもよい。例えばドーピング濃度ピーク201-2が最大ピークであってもよい。最大ピークの頂点の深さ位置Z1において、熱ドナーの濃度がドーピング濃度Np1の0.01倍以下であってよい。これにより、バッファ領域20の最大ピークの増加ドナーに占める熱ドナーの割合を小さくして、半導体装置100の特性変動を抑制できる。深さ位置Z1において、熱ドナーの濃度がドーピング濃度Np1の0.005倍以下であってよく、0.001倍以下であってもよい。
 バッファ領域20は、半導体基板10の下面23に最も近い最浅ピーク(本例ではドーピング濃度ピーク201-1)を含む。最浅ピークの頂点の深さ位置Z1において、熱ドナーの濃度がドーピング濃度Np1の0.001倍以下であってよい。これにより、バッファ領域20の最浅ピークの増加ドナーに占める熱ドナーの割合を小さくして、半導体装置100の特性変動を抑制できる。深さ位置Z1において、熱ドナーの濃度がドーピング濃度Np1の0.0005倍以下であってよく、0.0001倍以下であってもよい。
 図6は、バッファ領域20よりも上面21側の領域(深さ位置Zbから深さ位置Zuまでの領域)における、酸素化学濃度分布および熱ドナー濃度分布の一例を示す図である。酸素化学濃度は、SIMS法等で測定した値を用いてよい。本例において深さ位置Zbは、バッファ領域20とドリフト領域18との境界位置であり、深さ位置Zuは、ドリフト領域18の上端位置である。
 本例では、熱ドナーの濃度が、深さ方向において一定ではない。ドリフト領域18のそれぞれの深さ位置における熱ドナーの濃度は、ドーピング濃度とバルク・ドナー濃度BDとの差分から算出できる。なお、図5等で説明したバッファ領域20における熱ドナーの濃度は、図6に示すようなドリフト領域18における熱ドナーの平均値を用いてよく、深さ位置Zbにおける熱ドナーの値を用いてもよい。
 本例の酸素化学濃度分布は、深さ位置Zbから深さ位置Zuまでの領域において、半導体基板10の上面21に向かって酸素化学濃度が減少する減少部220を有する。減少部220においては、上面21との距離が小さくなるのに応じて、酸素化学濃度が減少している。減少部220は、上面21との距離が小さくなるのに応じて、酸素化学濃度が増加する領域を有さない。
 半導体基板10の内部の酸素は、半導体装置100の製造工程等において、半導体基板10の外部に放出される場合がある。このため、半導体基板10の表面の近傍においては、酸素化学濃度が大きく減少し、また、半導体基板10の表面から離れた位置においても、基板表面に向かって酸素化学濃度が緩やかに減少する場合がある。なお、本例の半導体装置100においては、下面23に向かって酸素化学濃度が減少する領域は、製造工程において研削されている。減少部220は、深さ位置Zbから深さ位置Zuまでの領域の全体に設けられてよい。
 それぞれの深さ位置における熱ドナーの濃度は、それぞれの深さ位置における酸素化学濃度に応じて変動する。本例の熱ドナーの濃度分布は、深さ位置Zbから深さ位置Zuまでの領域において、半導体基板10の上面21に向かって熱ドナーの濃度が減少する減少部230を有する。減少部230においては、上面21との距離が小さくなるのに応じて、熱ドナーの濃度が減少している。減少部230は、上面21との距離が小さくなるのに応じて、熱ドナー濃度が増加する領域を有さない。減少部230は、深さ位置Zbから深さ位置Zuまでの領域の一部または全体に設けられてよい。減少部230において、深さ位置Zuにおける熱ドナー濃度は、深さ位置Zbにおける熱ドナー濃度の半分以下に減少してよく、1/4以下に減少してよく、1/10以下に減少してよく、0まで減少してもよい。
 本例の減少部230は、半導体基板10の上面21側に向かう熱ドナーの濃度の対数勾配αthが、酸素化学濃度の対数勾配αoxの0.5倍以上、10倍以下である領域240を有する。これにより、ドリフト領域18やバッファ領域20のドーピング濃度に占める熱ドナーの割合を小さくして、半導体装置100の特性変動を抑制できる。領域240の下端の深さ位置をXa、上端の深さ位置をXbとする。半導体基板10の深さ方向の中央の位置をZcとする。深さ位置Xaは、深さ位置ZcからZbまでの範囲に配置されてよい。深さ位置Xaは、深さ位置Zbと一致していてもよい。深さ位置Xbは深さ位置ZcからZbまでの範囲に配置されてよく、深さ位置ZcからZuまでの範囲に配置されてもよい。深さ位置Xbは、酸素化学濃度が急峻に変化する領域よりも、下面23側に配置されてよい。深さ位置Xbは、半導体基板10の上面21から10μm以上離れていてよく、20μm以上離れていてよく、30μm以上離れていてもよい。領域240は、深さ方向における長さが10μm以上あってよく、20μm以上あってもよい。
 深さ位置Xaにおける酸素化学濃度をNoxa、熱ドナー濃度をNthaとする。深さ位置Xbにおける酸素化学濃度をNoxb、熱ドナー濃度をNthbとする。領域240における熱ドナーの濃度の対数勾配αthおよび酸素化学濃度の対数勾配αoxは、下式で規定される。
 αth=|log10(Ntha)-log10(Nthb)|/|Xa-Xb|
 αox=|log10(Noxa)-log10(Noxb)|/|Xa-Xb|
 領域240において、熱ドナー濃度の対数勾配αthは、酸素化学濃度の対数勾配αoxの0.8倍以上であってよく、1倍以上であってもよい。領域240において、熱ドナー濃度の対数勾配αthは、酸素化学濃度の対数勾配αoxの7倍以下であってよく、4倍以下であってもよい。
 図7は、半導体装置100の製造方法の一例を説明するチャート図である。製造方法は、半導体基板10をアニールする工程を1つ以上含む。製造方法には、半導体のインゴットから半導体ウエハを切り出した後から、半導体装置100が完成するまでの工程が含まれる。図7の例の製造方法は、第1アニール段階S701および第2アニール段階S702を有しているが、製造方法におけるアニール段階は、1つであってよく、3つ以上であってもよい。それぞれのアニール段階では、半導体基板10を室温(25℃)以上の温度に加熱する。少なくとも1つのアニール段階では、半導体基板10を400℃以上の温度に加熱してよい。
 上述したように、半導体基板10に形成される熱ドナーの濃度は、半導体基板10に対する熱履歴により制御できる。本例の製造方法においては、図5に示した第1範囲200の全体に渡って、熱ドナーの濃度Nthが、同一の深さ位置における増加ドナーの濃度IDの10%以下となるように、半導体基板10をアニールする。
 図8は、それぞれのアニール段階における半導体基板10の温度の時間変化例を示す図である。図8における横軸は時間を示し、縦軸は半導体基板10の温度(℃)を示す。それぞれのアニール段階において、半導体基板10は室温(RT=25℃)から所定の温度まで加熱される。図8の例では、第1アニール段階S701および第2アニール段階S702のいずれにおいても、半導体基板10が500℃以上に加熱されている。
 シリコン等の半導体基板10においては、半導体基板10の温度が450℃近傍である場合に、熱ドナーが形成されやすい。このため、それぞれのアニール段階において、半導体基板10が所定の第1温度帯を通過する時間を制御することで、熱ドナーの形成を抑制できる。図8の例では、第1温度帯の下限温度を400℃、上限温度を500℃とする。半導体基板10をアニールする各工程において、半導体基板10の温度が400℃以上、500℃以下の第1温度帯を通過する時間が、1回の通過あたり20分以下であってよい。図8の例では、第1アニール段階S701の昇温過程において第1温度帯を通過する時間をT11、降温過程において第1温度帯を通過する時間をT21、第2アニール段階S702の昇温過程において第1温度帯を通過する時間をT31、降温過程において第1温度帯を通過する時間をT41とする。T11、T21、T31、T41のそれぞれが、20分以下であってよい。これにより、第1温度帯を通過するときに、熱ドナーが半導体基板10に形成されるのを抑制できる。T11、T21、T31、T41のそれぞれは、10分以下であってよく、5分以下であってもよい。また、T11、T21、T31、T41の平均時間が10分以下であってよく、5分以下であってもよい。
 半導体基板10をアニールする各工程において、半導体基板10の温度が第1温度帯(400℃以上、500℃以下)を通過する時間の、半導体装置100の製造工程の開始から終了までの全工程にわたる積算時間が、120分以下であってよい。図8の例では、T11、T21、T31、T41の合計が120分以下である。これにより、半導体基板10に形成される熱ドナーの総量を抑制できる。第1温度帯を通過する時間の積算時間は、60分以下であってよく、40分以下であってもよい。
 425℃以上、475℃以下の温度帯を第2温度帯とする。第2温度帯においては、半導体基板10における熱ドナーが更に形成されやすい。半導体基板10をアニールする各工程において、半導体基板10の温度が425℃以上、475℃以下の第2温度帯を通過する時間が、1回の通過あたり10分以下であってよい。図8の例では、第1アニール段階S701の昇温過程において第2温度帯を通過する時間をT12、降温過程において第2温度帯を通過する時間をT22、第2アニール段階S702の昇温過程において第2温度帯を通過する時間をT32、降温過程において第2温度帯を通過する時間をT42とする。T12、T22、T32、T42のそれぞれが、10分以下であってよい。これにより、第2温度帯を通過するときに、熱ドナーが半導体基板10に形成されるのを抑制できる。T12、T22、T32、T42のそれぞれは、5分以下であってよく、3分以下であってもよい。また、T12、T22、T32、T42の平均時間が5分以下であってよく、3分以下であってもよい。
 半導体基板10をアニールする各工程において、半導体基板10の温度が第2温度帯(425℃以上、475℃以下)を通過する時間の、半導体装置100の製造工程の開始から終了までの全工程にわたる積算時間が、60分以下であってよい。図8の例では、T12、T22、T32、T42の合計が60分以下である。これにより、半導体基板10に形成される熱ドナーの総量を抑制できる。第2温度帯を通過する時間の積算時間は、30分以下であってよく、20分以下であってもよい。
 図9は、半導体装置100の製造方法の、より具体的な例を示すチャート図である。図9の例では、製造方法の一部の工程を省略している。本例においては、半導体基板10の上面21に層間絶縁膜38を形成する(S901)。S901よりも前の工程において、半導体基板10を室温(25℃)より高い温度に加熱する工程を複数個有してよい。S901においては、半導体基板10を400℃以上、900℃以下の温度に加熱してよい。図7および図8において説明した、半導体基板10の温度が第1温度帯および第2温度帯を通過する時間は、半導体基板10の温度が第1温度帯および第2温度帯を通過する全ての工程における時間を含む。
 層間絶縁膜38を形成した後、層間絶縁膜38にコンタクトホール54を形成する。コンタクトホール54を形成した後、コンタクトホール54の内部にバリアメタルを形成してよい(S902)。S902においては、半導体基板10を400℃以上、700℃以下の温度に加熱してよい。バリアメタルは、チタンおよび窒化チタンの少なくとも一方の膜を有してよい。
 バリアメタルを形成した後、スパッタにより、半導体基板10の上面21の上方に金属電極(本例ではエミッタ電極52)を形成する(S903)。エミッタ電極52を形成した後、半導体基板10をアニール炉等に投入してアニールする(S904)。特に説明する場合を除き、半導体基板10を加熱する場合、アニール炉等により半導体基板10の全体が加熱される。S904においては、半導体基板10を400℃未満の温度に加熱してよい。
 エミッタ電極52を形成した後、エミッタ電極52の上に保護膜を形成する(S905)。保護膜は例えばポリイミド等で形成される。保護膜を形成した後、半導体基板10を保護膜のキュア温度まで加熱する(S906)。S906においては、半導体基板10を400℃未満の温度に加熱してよい。
 保護膜を形成した後、半導体装置100が有するべき耐圧に応じて、半導体基板10を薄化する(S907)。S907においては、半導体基板10の下面23を研削することで、半導体基板10の厚みを調整する。
 半導体基板10を薄化した後、半導体基板10の下面23にコレクタ領域22を形成し(S908)、また、カソード領域82を形成する(S909)。S908およびS909は、いずれを先に行ってもよい。S908およびS909では、それぞれの領域にドーパントイオンを注入する。
 コレクタ領域22およびカソード領域82にドーパントイオンを注入した後に、半導体基板10をアニールして、ドーパントを活性化させる(S910)。S910では、レーザーアニール等で、半導体基板10を局所的に加熱してよい。
 図10は、図9の工程の続きの工程を示すチャート図である。コレクタ領域22およびカソード領域82を形成した後、バッファ領域20を形成する(S911)。S911では、プロトン等のドーパントイオンをバッファ領域20に注入する。
 バッファ領域20にドーパントイオンを注入した後、半導体基板10をアニールして、ドーパントを活性化させる(S912)。S912においては、半導体基板10を400℃未満の温度に加熱してよい。
 バッファ領域20を形成した後、半導体基板10にヘリウム等の荷電粒子を照射して、ライフタイムキラーを形成してよい(S913)。ライフタイムキラーは、格子欠陥等の再結合中心であり、半導体基板10のキャリアと結合することで、キャリアのライフタイムを短くする。例えばダイオード部80の上面21側に、ヘリウム等の荷電粒子を照射してよい。ヘリウム等の荷電粒子を照射した後、半導体基板10をアニールする(S914)。S914においては、半導体基板10を400℃未満の温度に加熱してよい。
 ライフタイムキラーを形成した後、スパッタによりコレクタ電極24を形成する(S915)。コレクタ電極24を形成した後、半導体基板10をアニールする(S916)。S916においては、半導体基板10を300℃未満の温度に加熱してよい。コレクタ電極24を形成した後に、半導体ウエハをダイシングして、半導体チップに個片化してよい。
 本例の製造方法においては、エミッタ電極52を形成した後の工程(S905以降の工程)を、400℃未満で行う。これにより、半導体基板10における熱ドナーの形成を抑制できる。エミッタ電極52を形成した後の工程は、390℃以下で行ってよく、380℃以下で行ってもよい。本例の製造方法においては、S901およびS902において、半導体基板10が400℃以上の温度に加熱される。S901およびS902における半導体基板10の温度が、図7および図8において説明した条件を満たしてよい。
 製造方法におけるアニール条件は、使用する半導体基板10の酸素化学濃度に基づいて決定してよい。半導体基板10の酸素化学濃度毎に、アニール時間、昇温速度、降温速度およびアニール温度の少なくともいずれかを変更した場合の熱ドナー濃度の変動を予め測定してよい。当該測定結果に基づいて、それぞれのアニール段階におけるアニール時間、昇温速度、降温速度およびアニール温度の少なくともいずれかを調整することで、半導体基板10に形成される熱ドナーの濃度を制御できる。
 以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
 請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10・・・半導体基板、11・・・ウェル領域、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、18・・・ドリフト領域、20・・・バッファ領域、21・・・上面、22・・・コレクタ領域、23・・・下面、24・・・コレクタ電極、29・・・直線部分、30・・・ダミートレンチ部、31・・・先端部、32・・・ダミー絶縁膜、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、39・・・直線部分、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・先端部、42・・・ゲート絶縁膜、44・・・ゲート導電部、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、60、61・・・メサ部、70・・・トランジスタ部、80・・・ダイオード部、81・・・延長領域、82・・・カソード領域、90・・・エッジ終端構造部、100・・・半導体装置、130・・・外周ゲート配線、131・・・活性側ゲート配線、160・・・活性部、162・・・端辺、164・・・ゲートパッド、200・・・第1範囲、201・・・ドーピング濃度ピーク、210・・・分布、220・・・減少部、230・・・減少部、240・・・領域

Claims (17)

  1.  上面および下面を有し、バルク・ドナーおよび熱ドナーを含み、酸素化学濃度が1×1016atoms/cm以上である半導体基板を備える半導体装置であって、
     前記半導体基板に設けられ、前記バルク・ドナーおよび前記熱ドナーを含む第1導電型のドリフト領域と、
     前記ドリフト領域と前記半導体基板の前記下面との間に設けられ、前記バルク・ドナーおよび増加ドナーを含み、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のバッファ領域と
     を備え、
     前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において1つ以上のドーピング濃度ピークを有し、
     前記1つ以上のドーピング濃度ピークは、前記半導体基板の前記下面から最も離れて配置された最深ピークを含み、
     前記増加ドナーは前記熱ドナーを含み、
     前記バッファ領域の下端から前記最深ピークまでの第1範囲の全体に渡って、前記熱ドナーの濃度が、同一の深さ位置における前記増加ドナーの濃度の10%以下である
     半導体装置。
  2.  前記増加ドナーは、CiOi-Hドナーを含む
     請求項1に記載の半導体装置。
  3.  前記第1範囲の全体に渡って、前記熱ドナーの濃度が、同一の深さ位置における前記増加ドナーの濃度の0.1%以上である
     請求項1に記載の半導体装置。
  4.  前記半導体基板の酸素化学濃度が、1×1017atoms/cm以上、5×1017atoms/cm以下である
     請求項1に記載の半導体装置。
  5.  前記ドリフト領域における前記熱ドナーの濃度が、前記酸素化学濃度の0.0001倍以下である
     請求項1に記載の半導体装置。
  6.  前記ドリフト領域のドーピング濃度が、前記バルク・ドナーの濃度の1.5倍以下である
     請求項1に記載の半導体装置。
  7.  前記最深ピークの頂点位置において、前記熱ドナーの濃度がドーピング濃度の0.1倍以下である
     請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
  8.  前記バッファ領域は、前記最深ピーク以外の前記ドーピング濃度ピークのうち、ドーピング濃度が最大となる最大ピークを含み、
     前記最大ピークの頂点位置において、前記熱ドナーの濃度がドーピング濃度の0.01倍以下である
     請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
  9.  前記バッファ領域は、前記半導体基板の前記下面に最も近い最浅ピークを含み、
     前記最浅ピークの頂点位置において、前記熱ドナーの濃度がドーピング濃度の0.001倍以下である
     請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
  10.  前記バッファ領域よりも前記半導体基板の前記上面側の領域において、前記熱ドナーの濃度分布は、前記半導体基板の前記上面に向かって減少する減少部を有する
     請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
  11.  前記減少部は、前記半導体基板の前記上面側に向かう前記熱ドナーの濃度の対数勾配が、前記酸素化学濃度の対数勾配の0.5倍以上、10倍以下である領域を有する
     請求項10に記載の半導体装置。
  12.  上面および下面を有し、バルク・ドナーを含み、酸素化学濃度が1×1016atoms/cm以上である半導体基板を用いて半導体装置を製造する製造方法であって、
     前記半導体装置は、
     前記半導体基板に設けられ、前記バルク・ドナーおよび熱ドナーを含む第1導電型のドリフト領域と、
     前記ドリフト領域と前記半導体基板の前記下面との間に設けられ、前記バルク・ドナーおよび増加ドナーを含み、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のバッファ領域と
     を備え、
     前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において1つ以上のドーピング濃度ピークを有し、
     前記1つ以上のドーピング濃度ピークは、前記半導体基板の前記下面から最も離れて配置された最深ピークを含み、
     前記増加ドナーは前記熱ドナーを含み、
     前記バッファ領域の下端から前記最深ピークまでの第1範囲の全体に渡って、前記熱ドナーの濃度が、同一の深さ位置における前記増加ドナーの濃度の10%以下となるように、前記半導体基板をアニールする半導体装置の製造方法。
  13.  前記半導体基板をアニールする各工程において、前記半導体基板の温度が400℃以上、500℃以下の温度帯を通過する時間が、1回の通過あたり20分以下である
     請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
  14.  前記半導体基板をアニールする各工程において、前記半導体基板の温度が425℃以上、475℃以下の温度帯を通過する時間が、1回の通過あたり10分以下である
     請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
  15.  前記半導体基板をアニールする各工程において、前記半導体基板の温度が400℃以上、500℃以下の温度帯を通過する時間の積算時間が、120分以下である
     請求項12から14のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  16.  前記半導体基板をアニールする各工程において、前記半導体基板の温度が425℃以上、475℃以下の温度帯を通過する時間の積算時間が、60分以下である
     請求項12から14のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  17.  前記半導体基板の前記上面の上方に金属電極を形成し、
     前記金属電極を形成した後の工程を400℃未満で行う
     請求項12から14のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
PCT/JP2023/043470 2022-12-08 2023-12-05 半導体装置および半導体装置の製造方法 WO2024122541A1 (ja)

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