WO2024117215A1 - 粘着剤、粘着シート、積層部材および表示体 - Google Patents

粘着剤、粘着シート、積層部材および表示体 Download PDF

Info

Publication number
WO2024117215A1
WO2024117215A1 PCT/JP2023/042875 JP2023042875W WO2024117215A1 WO 2024117215 A1 WO2024117215 A1 WO 2024117215A1 JP 2023042875 W JP2023042875 W JP 2023042875W WO 2024117215 A1 WO2024117215 A1 WO 2024117215A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
pressure
adhesive
sensitive adhesive
meth
laminate
Prior art date
Application number
PCT/JP2023/042875
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
結加 藤井
洋一 高橋
広太郎 浦川
Original Assignee
リンテック株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by リンテック株式会社 filed Critical リンテック株式会社
Publication of WO2024117215A1 publication Critical patent/WO2024117215A1/ja

Links

Images

Abstract

【課題】局所的に印加される衝撃が強い場合であっても、その衝撃を分散できる粘着剤を提供すること。 【解決手段】厚さが800μmである粘着剤の表面を、押し込み速度0.01mm/秒で押し込み続けて押し込み荷重が10Nに達した際の押し込み深さが140μm以下であり、圧力分散性試験による圧力測定フィルムの発色面積の円相当半径が3cm以上である粘着剤。圧力分散性試験は、厚さ38μmのPET基材と粘着剤と厚さ700μmのソーダガラスとの積層体におけるソーダガラス側の表面と、圧力測定フィルム「プレスケール超極低圧用LLLW」とが接触するように、プレスケール超極低圧用LLLW上に積層体を載置し、積層体における基材側の表面上に、基材側の表面から30cmの高さより100gのボールペンを落下させ、先端径が0.5mmであるボールペンの先端部を基材側の表面に接触させる試験である。

Description

粘着剤、粘着シート、積層部材および表示体
 本発明は、粘着剤、粘着シート、積層部材および表示体に関する。
 液晶素子、発光ダイオード(LED)素子、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子等の表示体部材と、他の部材(たとえば、表示体部材を保護するための保護パネル等)とが積層された表示装置は、電子機器等の表示体(ディスプレイ)を構成する。
 また、近年のスマートフォンやタブレット端末等の各種モバイル電子機器では、表示体として、上記の表示装置に位置入力手段を組み合わせたタッチパネルが利用されている。
 このようなタッチパネルは、表示体部材と、位置入力検出部材とを含む積層体である。タッチパネルにおいて、このような部材は、粘着シートの粘着剤層を用いて貼合することにより積層される。
 モバイル電子機器では、小型化、軽量化を達成するために、表示体の薄層化、フレキシブル化が進んでいる。一方、表示体には、優れた光学特性、高硬度、高透明性を有しているという理由からガラス部材が用いられている。そのため、表示体の薄層化、フレキシブル化を進めるためには、ガラス部材の薄膜化が必要となるが、ガラス部材を薄膜化すると、外部からの衝撃に対して割れやすくなるという問題があった。
 特許文献1は、光学素子の視認側に配置されるガラスフィルムの割れに対する耐性を向上可能な光学フィルムセットを開示している。
国際公開第2020/203128号
 しかしながら、特許文献1では、ガラスフィルムは、光学素子の視認側の表面に配置されており、より強い局所的な力がガラスフィルムに加わると、ガラスフィルムが破損する恐れがあるという問題がある。
 特に、モバイル電子機器の表示体に用いられるガラス部材には、電子機器の使用時に画面に物体を落とす等の衝撃が加わりやすい。しかも、筆記用具やスタイラスペンのような比較的に軽い物体だけでなく、比較的に重い物体を画面に落下させる可能性も高まっている。
 本発明は、このような実状に鑑みてなされ、局所的に印加される衝撃が強い場合であっても、その衝撃を分散できる粘着剤を提供することを目的とする。
 本発明の態様は以下の通りである。
 [1]厚さが800μmである粘着剤の表面を、押し込み速度0.01mm/秒で押し込み続けて押し込み荷重が10Nに達した際の押し込み深さが140μm以下であり、
 以下に示す圧力分散性試験により圧力測定フィルムが発色した面積の円相当半径が3cm以上を示す粘着剤である。
 (圧力分散性試験)
 厚さが38μmであるポリエチレンテレフタレート製の基材と、粘着剤と、厚さが700μmであるソーダガラスとがこの順で積層された積層体を準備する。積層体におけるソーダガラス側の表面と、富士フィルム社製圧力測定フィルム「プレスケール超極低圧用LLLW」とが接触するように、プレスケール超極低圧用LLLW上に積層体を載置する。積層体における基材側の表面上に、積層体における基材側の表面から30cmの高さより重量が100gであるボールペンを落下させ、先端径が0.5mmであるボールペンの先端部を積層体における基材側の表面に接触させて積層体に圧力を印加する。
 [2]粘着力が1N/25mm以上100N/25mm以下である[1]に記載の粘着剤である。
 [3]ゲル分率が30%以上99%以下である[1]または[2]に記載の粘着剤である。
 [4]粘着剤がアクリル系粘着剤である[1]から[3]のいずれかに記載の粘着剤である。
 [5]粘着剤層を有する粘着シートであって、
 粘着剤層が、[1]から[4]のいずれかに記載の粘着剤からなる粘着シートである。
 [6]剥離シートをさらに有し、
 剥離シートが粘着剤層の主面に配置されている[5]に記載の粘着シートである。
 [7]ガラスから構成される第1の部材と、第2の部材と、第1の部材および第2の部材を互いに貼合する粘着剤層と、を備える積層部材であって、
 粘着剤層が、[1]から[4]のいずれかに記載の粘着剤からなる積層部材である。
 [8]第1の部材の厚さが40μm以上2000μm以下である[7]に記載の積層部材である。
 [9][7]または[8]に記載の積層部材を備える表示体である。
 本発明によれば、局所的に印加される衝撃が強い場合であっても、その衝撃を分散できる粘着剤を提供することができる。
図1は、押し込み深さを説明するための模式図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面模式図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る積層部材の断面図である。 図4は、実施例におけるペンドロップ試験を説明するための模式図である。
 以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき、詳細に説明する。
 (1.粘着剤)
 本実施形態に係る粘着剤は、第1の部材と第2の部材とを貼合するために用いられる。特に、第1の部材がガラス部材であることが好ましい。
 ガラス部材は、光学特性に優れ、かつ硬度および透明性が高いため、表示体を構成する部材として好ましい。しかしながら、モバイル電子機器の小型化および軽量化に伴い、表示体を小型化および軽量化するには、ガラス部材を薄膜化する必要がある。上述したように、ガラス部材を薄膜化すると、ガラス部材の耐衝撃性が悪化する。特に、画面に物体を落とす等の局所的な衝撃が大きくなると、このような衝撃に対する耐性が悪化する。その結果、電子機器の使用時に加わる衝撃等によりガラス部材が破損しやすくなってしまうという問題があった。
 上記の問題に対処するために、本実施形態に係る粘着剤の物性を制御している。以下では、本実施形態に係る粘着剤について詳細に説明する。本実施形態に係る粘着剤は感圧接着剤である。
 (1.1.粘着剤の物性)
 本実施形態に係る粘着剤は、以下に示すような物性を有している。
 (1.1.1.押し込み深さ)
 本実施形態では、粘着剤の表面における押し込み深さを制御している。押し込み深さは、図1に示すように、厚さが800μmである粘着剤10の表面(図1では10a)を、押し込み速度0.01mm/秒で押し込み続けて押し込み荷重Lが10Nに達した際の押し込み深さhである。
 本実施形態では、押し込み深さが140μm以下である。押し込み深さは、局所的に印加される応力に対する粘着剤の抵抗度合いを反映しており、押し込み深さが小さいほど、局所的に印加される応力が粘着剤の表面において分散しており、粘着剤の局所的な変形を抑制している。その結果、粘着剤に貼合されるガラス部材に加わる衝撃も分散され、ガラス部材の破損が抑制される。
 上述した観点から、押し込み深さは、130μm以下であることが好ましく、125μm以下であることがより好ましく、120μm以下であることがさらに好ましい。一方、押し込み深さの下限は特に制限されないが、本実施形態では、局所的に印加される応力に対する抵抗度合い向上の観点から、押し込み深さの下限は0μmであることが好ましい。
 押し込み深さの測定方法は、後述する実施例において詳述する。なお、厚さが800μmである粘着剤としては、単層の粘着剤であってもよいし、合計厚さが800μmとなるように所定の厚さを有する粘着剤を積層した粘着剤であってもよい。
 (1.1.2.貯蔵弾性率)
 本実施形態では、23℃、周波数1Hzにおける粘着剤の貯蔵弾性率(G’)が0.01MPa以上2MPa以下であることが好ましい。貯蔵弾性率は、粘着剤層の変形のしやすさ(硬さ)の指標の1つである。23℃における粘着剤の貯蔵弾性率を上記の範囲内とすることにより、押し込み深さを上記の範囲内としやすい。
 上記の観点から、粘着剤の貯蔵弾性率は0.02~1.5MPaであることがより好ましく、0.03~1MPaであることがさらに好ましく、0.04~0.8MPaであることが特に好ましい。粘着剤の貯蔵弾性率は、たとえば、粘着剤の組成(反応性官能基の種類・量、使用するモノマー組成の分子構造やガラス転移温度等)、粘着剤を構成する材料の分子量等を変更することにより調整することができる。
 貯蔵弾性率(G’)は、公知の方法により測定すればよい。たとえば、粘着剤層を所定の大きさの試料とし、動的粘弾性測定装置により、所定の温度範囲において、所定の周波数で試料にひずみを与えて、弾性率を測定する。測定された弾性率から、上記の条件における貯蔵弾性率を算出することができる。
 (1.1.3.粘着力)
 本実施形態では、ソーダライムガラスに対する粘着剤の粘着力が1N/25mm以上100N/25mm以下であることが好ましい。粘着力を上記の範囲内とすることにより、貼合する被着対象と十分に接着し易くなるため、たとえば被着体越しに局所的な応力がかかった際にも粘着剤層が当該応力を受け止め易くなる。これによって、粘着剤層での応力分散性を向上させる傾向があるとともに、押し込み深さを上記の範囲内としやすいと推定される。
 上記の観点から、粘着力は3~80N/25mmであることがより好ましく、5~60N/25mmであることがさらに好ましく、8~55N/25mmであることが特に好ましい。
 (1.1.4.ゲル分率)
 本実施形態に係る粘着剤のゲル分率は、30%以上99%以下であることが好ましい。これにより、押し込み深さを上記の範囲内としやすい。
 本実施形態に係る粘着剤のゲル分率は、35~95%であることがより好ましく、40~90%であることがさらに好ましく、45~84%であることが特に好ましく、中でも50~78%であることが好ましい。粘着剤のゲル分率は、後述する試験例に示す方法により測定すればよい。
 (1.2.粘着剤の組成)
 粘着剤は上記の物性を有していれば、粘着剤の組成は特に限定されない。たとえば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等のいずれであってもよい。また、当該粘着剤は、エマルション型、溶剤型または無溶剤型のいずれであってもよい。さらに、当該粘着剤は、架橋構造を有していてもよいし、架橋構造を有していなくてもよい。
 本実施形態では、上述した物性の実現しやすさの観点、および、粘着物性、光学特性等の観点から、粘着剤としては、アクリル系粘着剤が好ましく、架橋構造を有するアクリル系粘着剤がより好ましい。
 具体的には、当該粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)と、を含有する粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という場合がある。)を架橋して得られる粘着剤であることが好ましい。かかる粘着剤であれば、上述した物性を満足しやすく、かつ、良好な粘着力が得られやすい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
 (1.2.1.(メタ)アクリル酸エステル重合体)
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、分子内に反応性官能基を有するモノマー(反応性官能基含有モノマー)と、を含有することが好ましい。
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することにより、得られる粘着剤が好ましい粘着性を発現することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であってもよいし、環状構造を有するものであってもよい。
 アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
 これらの中でも、押し込み深さを制御する観点から、アルキル基の炭素数が1~8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチルおよび(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが好ましく、特に、メタクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルが好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40~99.9質量%含有することが好ましく、50~99質量%含有することがより好ましく、55~97質量%含有することがさらに好ましい。これにより、好適な粘着性を付与させることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中に他のモノマー成分を所望量導入することができ、所望の性能を発揮する粘着剤を設計し易くなる。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性官能基含有モノマーを含有することにより、当該反応性官能基含有モノマー由来の反応性官能基を介して、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が後述する架橋剤(B)と反応し、粘着剤中に架橋構造(三次元網目構造)が形成される。その結果、所望の凝集力を有する粘着剤が得られる。
 反応性官能基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)などが好ましく挙げられる。これらの反応性官能基含有モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
 上記の中でも、水酸基含有モノマーまたはカルボキシ基含有モノマーが好ましい。これにより、得られる粘着剤が上述した物性を満足しやすいものとなる。
 水酸基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が例示される。
 これらの中でも、上述した押し込み深さに関する物性を実現しやすい観点から、炭素数が1~4のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等が好ましく挙げられ、特に、アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましく挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 カルボキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が例示される。これらの中でも、上述した押し込み深さに関する物性を実現しやすい観点から、アクリル酸またはメタクリル酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性官能基含有モノマーを0.1~40質量%含有することが好ましく、0.5~35質量%含有することがより好ましい。反応性官能基含有モノマーが、水酸基含有モノマーである場合、0.8~30質量%含有することが特に好ましく、1~25質量%含有することがさらに好ましい。また、反応性官能基含有モノマーが、カルボキシ基含有モノマーである場合、0.8~25質量%含有することが特に好ましく、1~15質量%含有することがさらに好ましく、中でも3~8質量%含有することが好ましい。
 反応性官能基含有モノマーの含有割合を上記の範囲とすることにより、架橋剤(B)との架橋反応により得られる粘着剤の凝集力が適度なものとなり、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性や粘着力を満足しやすいものとなる。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを含まないことも好ましい。カルボキシ基は酸成分であるため、カルボキシ基含有モノマーを含有しないことにより、粘着剤の貼付対象に、酸により不具合が生じるもの、例えばスズドープ酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜や、金属膜、金属メッシュなどが存在する場合にも、酸によるそれらの不具合(腐食、抵抗値変化等)を抑制することができる。
 ここで、「カルボキシ基含有モノマーを含まない」とは、カルボキシ基含有モノマーを実質的に含有しないことを意味し、カルボキシ基含有モノマーを全く含有しない他、カルボキシル基による透明導電膜や金属配線等の腐食が生じない程度にカルボキシ基含有モノマーを含有することを許容するものである。具体的には、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中に、モノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下の量で含有することを許容するものである。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)を含有することも好ましい。脂環式構造含有モノマーは嵩高いため、これを重合体中に存在させることにより、重合体同士の間隔を広げるものと推定され、得られる粘着剤を柔軟性に優れたものとすることができる。これにより、上述した貯蔵弾性率に関する物性および粘着力を満足しやすい傾向があり、また、適度な応力緩和性を発現し易いため上述した押し込み深さに関する物性も満たし易い傾向がある。
 脂環式構造含有モノマーにおける脂環式構造の炭素環は、飽和構造のものであってもよいし、不飽和結合を一部に有するものであってもよい。また、脂環式構造は、単環の脂環式構造であってもよいし、二環、三環等の多環の脂環式構造(多環構造)であってもよい。得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体の相互間の距離を適切にし、粘着剤により高い応力緩和性を付与する観点から、上記脂環式構造は、多環構造であることが好ましい。さらに、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と他の成分との相溶性を考慮して、上記多環構造は、二環から四環であることが特に好ましい。また、上記と同様に応力緩和性を付与する観点および相溶性の観点から、脂環式構造の炭素数(環を形成している部分の全ての炭素数をいい、複数の環が独立して存在する場合には、その合計の炭素数をいう)は、5~15であることが好ましく、7~10であることがより好ましい。
 脂環式構造含有モノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が例示される。
 これらの中でも、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性および粘着力を満足しやすくなる観点から、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル(脂環式構造の炭素数:10)、(メタ)アクリル酸アダマンチル(脂環式構造の炭素数:10)または(メタ)アクリル酸イソボルニル(脂環式構造の炭素数:7)が好ましく、特に(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましく、さらにアクリル酸イソボルニルが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として脂環式構造含有モノマーを含有する場合、当該脂環式構造含有モノマーを1~20質量%含有することが好ましく、4~16質量%含有することがより好ましく、7~12質量%含有することがさらに好ましい。これにより、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性および粘着力を満足しやすい。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、窒素原子含有モノマーを含有することも好ましい。これにより、粘着剤に所定の極性を付与し、ある程度の極性を有する被着体に対しても、親和性に優れたものとすることができる。窒素原子含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)に適度な剛性を持たせる観点から、窒素含有複素環を有するモノマーが好ましい。また、構成される粘着剤の高次構造中で窒素原子含有モノマー由来部分の自由度を高める観点から、当該窒素原子含有モノマーは、(メタ)アクリル酸エステル重合体を形成するための重合に使用される1つの重合性基以外に反応性不飽和二重結合基を含有しないことが好ましい。
 窒素含有複素環を有するモノマーとしては、例えば、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-(メタ)アクリロイルピロリドン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-(メタ)アクリロイルアジリジン、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-ビニルピラジン、1-ビニルイミダゾール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルフタルイミド等が例示される。
 これらの中でも、より優れた粘着力を発揮するN-(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましく、特にN-アクリロイルモルホリンが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として窒素原子含有モノマーを含有する場合、当該窒素原子含有モノマーを1~20質量%含有することが好ましく、4~16質量%含有することがより好ましく、7~12質量%含有することがさらに好ましい。これにより、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性および粘着力を満足しやすくなる。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として芳香環含有モノマーを含有することも好ましい。これにより、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性および粘着力を満足しやすくなる。
 芳香環含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-フェニルエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシブチル、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、重合性の点から(メタ)アクリル酸2-フェニルエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、芳香環含有モノマーを0.1~10質量%含有することが好ましく、1~8質量%含有することが好ましく、2~5質量%含有することが特に好ましい。これにより、得られる粘着剤が優れた応力緩和性および凝集力を発揮し、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性および粘着力を満足しやすくなる。
 本実施形態では、(メタ)アクリル酸エステル重合体は、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、反応性官能基含有モノマーの上述した作用を阻害しないためにも、反応性官能基を含有しないモノマーが好ましい。このようなモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレンなどが例示される。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、10万~300万であることが好ましく、20万~200万であることがより好ましく、30万~120万であることがさらに好ましく、40万~100万であることが特に好ましく、中でも50万~80万であることが好ましい。これにより、得られる粘着剤は上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性や粘着力を満足しやすい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
 粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 (1.2.2.架橋剤)
 架橋剤(B)は、当該架橋剤(B)を含有する粘着性組成物Pの加熱等を契機として、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を架橋し、架橋構造(三次元網目構造)を形成する。その結果、得られる粘着剤の凝集力が向上し、上述した貯蔵弾性率G’に関する物性や粘着力を満足しやすくなる。
 架橋剤(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性基と反応するものであればよい。たとえば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が例示される。これらの中でも、反応性官能基含有モノマーとの反応性に優れ、得られる粘着剤が所望の押し込み深さを満たし易くなる観点から、イソシアネート系架橋剤または金属キレート系架橋剤を使用することが好ましい。なお、架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
 イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。
 金属キレート系架橋剤としては、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等のキレート化合物があるが、性能の点からアルミニウムキレート化合物が好ましい。アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ-N-ラウロイル-β-アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2-エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレート等が挙げられる。
 粘着性組成物P中における架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01~2質量部であることが好ましく、0.05~1質量部であることがより好ましく、0.1~0.8質量部であることがさらに好ましく、0.15~0.7質量部であることが特に好ましい。これにより、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性や粘着力を満足しやすくなる。
 (1.2.3.活性エネルギー線硬化性成分)
 本実施形態に係る粘着性組成物Pから得られる粘着剤を活性エネルギー線硬化性粘着剤とする場合には、粘着性組成物Pは、活性エネルギー線硬化性成分を含有することが好ましい。これにより、粘着性組成物Pを架橋(熱架橋)して得られる粘着剤は、活性エネルギー線硬化性の粘着剤となる。この活性エネルギー線硬化性粘着剤においては、被着体貼付後の活性エネルギー線照射による硬化により、活性エネルギー線硬化性成分が互いに重合し、その重合した活性エネルギー線硬化性成分が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の架橋構造(三次元網目構造)に絡み付くものと推定される。かかる高次構造を有する粘着剤は、凝集力が高く、高い被膜強度を示すため、上述した押し込み深さを満たし易くなり、耐ペンドロップ性に優れたものとなる。
 活性エネルギー線硬化性成分は、活性エネルギー線の照射によって硬化し、上記の効果が得られる成分であれば特に制限されず、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれであってもよいし、それらの混合物であってもよい。中でも、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性や粘着力を満足しやすくなる観点から、活性エネルギー線硬化型のモノマーまたはオリゴマーであることが好ましく、多官能のアクリレート系モノマーを好ましく挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との相溶性の観点から、多官能アクリレート系モノマーは、分子量1000未満のものが好ましい。
 粘着性組成物Pが活性エネルギー線硬化性成分を含有する場合、活性エネルギー線硬化性成分の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、1~20質量部であることが好ましく、2~15質量部であることがより好ましく、3~10質量部であることが特に好ましい。これにより、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性や粘着力を満足しやすくなる。
 (1.2.4.光重合開始剤)
 本実施形態に係る粘着性組成物Pから得られる粘着剤を活性エネルギー線硬化性粘着剤とした場合において、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、粘着性組成物Pは、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。これにより、活性エネルギー線硬化性成分を効率良く重合させることができ、また、重合硬化時間および活性エネルギー線の照射量を少なくすることができる。このような光重合開始剤としては、公知のものが使用され、1種類の光重合開始剤を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 粘着性組成物Pが活性エネルギー線硬化性成分および光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性成分100質量部に対して、0.1~30質量部であることが好ましく、特に1~20質量部であることが好ましく、さらには5~15質量部であることが好ましい。これにより、活性エネルギー線硬化後の粘着剤の粘着力を向上させ、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性や粘着力を満足しやすくなる。
 (1.2.5.その他の添加剤)
 粘着性組成物Pは、必要に応じて、アクリル系粘着剤に通常使用されている添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、防錆剤、充填剤、屈折率調整剤等が例示される。なお、後述の重合溶媒や希釈溶媒は、粘着性組成物Pを構成する添加剤に含まれないものとする。
 粘着性組成物Pは、上記の中でもシランカップリング剤を含有することが好ましい。これにより、被着体との密着性が向上し、これに相俟って上述した押し込み深さを満たし易くなり、耐ペンドロップ性が優れたものとなる。
 シランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との相溶性がよく、光透過性を有するものが好ましい。かかるシランカップリング剤としては、例えば、重合性不飽和基含有ケイ素化合物、エポキシ構造を有するケイ素化合物、メルカプト基含有ケイ素化合物、アミノ基含有ケイ素化合物、アルキル基含有ケイ素化合物との縮合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 粘着性組成物P中におけるシランカップリング剤の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01~1質量部であることが好ましく、特に0.05~0.7質量部以上であることが好ましく、さらには0.1~0.4質量部であることが好ましい。これにより、被着体との密着性が向上し、これに相俟って上述した押し込み深さを満たし易くなり、耐ペンドロップ性が優れたものとなる。
 (1.3.粘着性組成物の製造)
 粘着性組成物Pは、たとえば、まず、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)とを混合することにより製造することができる。必要に応じて、添加剤を加えてもよい。
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、たとえば、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、必要に応じて重合開始剤を使用して、溶液重合法により行うことができる。溶液重合法を用いて(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を重合することにより、得られる重合体の高分子量化と、分子量分布の調整とが容易となり、さらに低分子量体の生成を低減することが可能となる。その結果、上述した押し込み深さ、貯蔵弾性率、ゲル分率等に関する物性や粘着力を満足しやすくなる粘着剤が得られやすい。
 溶液重合法で使用する重合溶媒としては、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が例示される。重合溶媒は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。なお、上記重合工程において、2-メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
 続いて、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の溶液に、架橋剤(B)および希釈溶剤を添加し、十分に混合することにより、溶剤で希釈された粘着性組成物P(塗布溶液)が得られる。必要に応じて、添加剤を添加してもよい。
 なお、上記各成分のいずれかが、固体状の成分である場合、あるいは、希釈されていない状態で他の成分と混合した際に析出を生じる成分である場合には、その成分を単独で予め希釈溶媒に溶解もしくは希釈してから、その他の成分と混合してもよい。
 希釈溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が例示される。
 調製された塗布溶液の濃度および粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物Pの濃度が10~60質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物Pがコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合溶媒をそのまま希釈溶剤とする塗布溶液となる。
 (1.4.粘着剤の製造)
 粘着剤層を構成する粘着剤は、上述した粘着性組成物Pを架橋して得られることが好ましい。粘着性組成物Pの架橋は、通常は加熱処理により行うことができる。なお、この加熱処理は、所望の対象物に塗布した粘着性組成物Pの塗膜から希釈溶剤等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
 加熱処理の加熱温度は、50~150℃であることが好ましく、70~120℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、10秒~10分であることが好ましく、50秒~2分であることがより好ましい。
 加熱処理後、必要に応じて、常温(例えば、23℃、50%RH)で1~2週間程度の養生期間を設けてもよい。養生が必要な場合は、養生期間経過後、架橋構造を有する粘着剤が得られる。養生が不要な場合には、加熱処理終了後、架橋構造を有する粘着剤が得られる。
 (2.粘着シート)
 本実施形態に係る粘着シートは、少なくとも粘着剤層を有している。粘着剤層は上述した粘着剤からなる。また、本発明の効果が得られる限りにおいて、粘着シートは粘着剤層以外の構成要素を有してもいてもよい。本実施形態では、たとえば、図2に示すように、粘着シート1の使用時まで粘着剤層10を保護する目的で、粘着剤層10を挟持するように、粘着剤層10の表面に2枚の剥離シート11、12が配置されていてもよい。
 (2.1.粘着剤層)
 粘着剤層は、第1の部材と第2の部材とを貼合する。本実施形態では、粘着剤層は、ガラスから構成される第1の部材と第2の部材とを貼合することが好ましい。粘着剤層を構成する粘着剤が上記の物性を有していることにより、第1の部材と第2の部材とを十分に貼合することができる。さらに、ガラスから構成される部材と他の部材とが当該粘着剤層を介して貼合されることにより、積層部材における優れた耐ペンドロップ性が得られる。
 粘着剤層は1層(単層)から構成されていてもよいし、2層以上の複数層から構成されていてもよい。粘着剤層が複数層を有する場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層を構成する層の組み合わせは特に制限されない。
 粘着剤層10の厚みは、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、4μm以上500μm以下であることがより好ましく、8μm以上200μm以下であることがさらに好ましく、12μm以上100μm以下であることが特に好ましく、中でも16μm以上50μm以下であることが好ましく、20μm以上35μm以下であることが最も好ましい。これにより、上述した押し込み量および粘着力を所望の値に調整し易くなる。
 (2.2.剥離シート)
 剥離シート11,12は、粘着シート1を使用するときに剥離される。本実施形態に係る粘着シート1において、剥離シート11,12の一方または両方は必ずしも必要なものではない。
 剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
 剥離シートの剥離面(特に粘着剤層と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。なお、剥離シートのうち、一方の剥離シートを剥離力の大きい重剥離型剥離シートとし、他方の剥離シートを剥離力の小さい軽剥離型剥離シートとすることが好ましい。
 剥離シートの厚さについては、特に制限はないが、通常、20~150μm程度である。
 (2.3.粘着シートの製造)
 粘着シート1を製造する方法としては特に制限されず、公知の方法により製造すればよい。たとえば、一方の第1剥離シート11(または第2剥離シート12)の剥離面に、上記の粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを架橋することで所定の厚みを有する塗布層を形成する。形成した塗布層に他方の第2剥離シート12(または第1剥離シート11)の剥離面を重ね合わせる。養生が必要な場合は、所定の養生期間を経ると、塗布層が粘着剤層10となる。また、養生が不要な場合は塗布層がそのまま粘着剤層10となる。これにより、粘着シート1が得られる。
 粘着シート1の他の製造方法としては、一方の第1剥離シート11の剥離面に、上記の粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの第1剥離シート11を得る。また、他方の第2剥離シート12の剥離面に、上記の粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの第2剥離シート12を得る。そして、塗布層付きの第1剥離シート11と塗布層付きの第2剥離シート12とを、両塗布層が互いに接触するように貼り合わせる。養生が必要な場合は、所定の養生期間を経ると、塗布層が粘着剤層10となる。また、養生が不要な場合は塗布層がそのまま粘着剤層10となる。これにより、粘着シート1が得られる。この製造方法によれば、粘着剤層10が厚い場合であっても、安定して製造することが可能となる。
 粘着性組成物Pの塗布液を塗布する方法としては、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が例示される。
 (3.積層部材)
 図3に示すように、本実施形態に係る積層部材2は、第1の部材21と、第2の部材22と、第1の部材21と第2の部材22とを互いに貼合する粘着剤層10と、を備える。第1の部材21はガラスから構成される。すなわち、粘着剤層10は、ガラス部材と他の部材とを貼合するために用いられる。積層部材2における粘着剤層10は、上述した粘着シート1の粘着剤層10である。
 積層部材は、たとえば、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、電子ペーパー、有機ELディスプレイ等の表示装置を含む表示体であってもよいし、表示体の一部を構成する部材であってもよい。表示体に用いられる積層部材2において、第1の部材は表示装置側に位置し、第2の部材は表示体の外部側に位置することが好ましい。すなわち、第2の部材はカバーフィルム、ハードコートフィルム等のような表示像を形成する出射光側(視認側)に配置される部材であることが好ましい。
 積層部材がこのような構成を有することにより、第2の部材側に局所的な力が加わっても、粘着剤層が上述した特性を有しているので、第1の部材が衝撃によりひびが生じる、割れる等の破損を防止することができる。
 第1の部材の厚さは、40μm以上2000μm以下であることが好ましく、200μm以上1500μm以下であることがより好ましく、300μm以上1000μm以下であることがさらに好ましく、400μm以上800μm以下であることが特に好ましい。
 ガラスから構成される第1の部材が上記の範囲のような薄膜化された部材であっても第1の部材の破損を効果的に抑制することができる。
 第2の部材の厚さは、10μm以上2000μm以下であることが好ましく、20μm以上1000μm以下であることがより好ましく、30μm以上400μm以下であることがさらに好ましく、35μm以上100μm以下であることが特に好ましい。
 第2の部材が上記の範囲のような薄膜化された部材であっても第2の部材の破損を効果的に抑制することができる。
 第2の部材の引張強度は、50~6000MPaであることが好ましく、100~3000MPaであることがより好ましく、特に150~1200MPaであることが好ましく、さらに200~600MPaであることが好ましい。これにより、局所的に印加される衝撃が強い場合であっても、その衝撃を第2の部材にて緩和し易くなる。
 また、積層部材2は、各部材が、屈曲可能な部材、いわゆるフレキシブル部材から構成されていてもよい。第1の部材がフレキシブルである場合には、第1の部材の厚さを上記の範囲内とする必要があるため、積層部材がフレキシブルであっても、第1の部材の破損を効果的に抑制することができる。
 本実施形態に係る積層部材2は、圧力を受けると発色する圧力測定フィルム上に、積層部材2の第1の部材側の面が接触するように載置し、第2の部材側の面にボールペンを落下させた後の圧力測定フィルムの発色度合について、圧力測定フィルムにおいて発色した面積の円相当半径が、3cm以上であることが好ましく、3cm以上10cm未満であることが特に好ましい。これにより、局所的な応力がかかった際にも粘着剤層が当該応力を分散して、積層部材の破損、特に、第1の部材の破損を防止することができる。さらに、積層部材がフレキシブルであっても、第1の部材の破損を効果的に抑制することができる。
 (4.デバイス)
 本実施形態に係るデバイスは、上記の積層部材を備えており、表示体であることが好ましい。すなわち、当該デバイスは、積層部材のみからなってもよいし、積層部材と他の部材とを含んでいてもよい。表示体としては、上述したように、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、電子ペーパー、有機ELディスプレイ等の表示装置を含んでいてもよいし、さらに、位置入力手段を備えるタッチパネルであってもよい。
 また、積層部材がフレキシブルである場合には、本実施形態に係るデバイスはフレキシブルデバイスであることが好ましい。
 なお、本明細書において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
 以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
 以下、実施例を用いて、発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
 (実施例1)
 1.(メタ)アクリル酸エステル重合体の調製
 アクリル酸2-エチルヘキシル60質量部、メタクリル酸メチル25質量部およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル15質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を以下に示す方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)が70万であった。
 重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
 (測定条件)
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC-8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
 TSK guard column HXL-H
 TSK gel GMHXL(×2)
 TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
 2.粘着性組成物の調製
 上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、架橋剤(B)としてのイソシアネート系架橋剤(B1)0.25質量部と、シランカップリング剤としての3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25質量部を混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトンで希釈することにより、固形分濃度50質量%の粘着性組成物の塗布溶液を得た。
 3.粘着シートの製造
 重剥離型の剥離シート11の剥離処理面に、得られた粘着性組成物の塗布溶液を、乾燥後の厚さが25μmになるようにナイフコーターで塗布した。塗布後、90℃で1分間加熱処理して架橋反応を進行させ、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有する粘着剤からなる塗布層を形成した。
 続いて、上記で得られた剥離シート11上の塗布層と、軽剥離型の剥離シート12の剥離処理面とが接触するように貼合した。その後、23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、厚さ25μmの粘着剤層を有する粘着シートを作製した。なお、粘着剤層の厚さは、JIS K7130に準拠し、定圧厚さ測定器(テクロック社製PG-02)を使用して測定した値である。また、得られた粘着シートにおいて、剥離シート11のほうが剥離シート12よりも粘着剤層からの剥離力が大きいことを確認した。
 (実施例2~7、比較例1~3)
 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の組成、架橋剤(B)の種類および配合量、シランカップリング剤の配合量、活性エネルギー線硬化性成分の配合量を表1に示す配合に変更し、粘着剤層の厚さを表1に示す厚さとした以外は、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。なお、実施例4および6では、さらに活性エネルギー線硬化性成分および光重合開始剤を添加した。また、比較例1では、粘着シートを製造しなかった。
 得られた粘着シートの物性を以下のようにして測定した。
 (粘着剤のゲル分率の評価)
 実施例および比較例で作製した粘着剤層を50mm×50mmのサイズに裁断して、その粘着剤層をポリエステル製メッシュ(品名:テトロンメッシュ#200)に包み、その質量を精密天秤にて秤量した。秤量値から上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM1とした。
 次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、室温下(23℃)で酢酸エチルに24時間浸漬させた。その後メッシュを取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後、その質量を精密天秤にて秤量した。秤量値から上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM2とした。得られたM1およびM2を用いて、ゲル分率を以下の式から算出した。結果を表1に示す。
ゲル分率(%)=(M2/M1)×100
 なお、実施例4および6については、粘着剤層に対して紫外線(UV)を照射(剥離シート1側から照射)する前後のゲル分率を測定した。紫外線の照射条件は以下の通りである。
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm2,光量1000mJ/cm2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF-A1」を使用
 (粘着剤層の粘着力の測定)
 実施例および比較例で得られた粘着シートから剥離シート12を剥離し、露出した粘着剤層を、易接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,製品名「コスモシャインA4360」,厚さ:100μm)の易接着層に貼合し、剥離シート11/粘着剤層/PETフィルムの積層体を得た。得られた積層体を25mm幅、100mm長に裁断し、これをサンプルとした。
 23℃、50%RHの環境下にて、上記サンプルから剥離シート11を剥離し、露出した粘着剤層をソーダライムガラス(厚み:1.1mm)に貼付したのち、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。その後、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、引張試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロン」)を用い、剥離速度300mm/min、剥離角度180度の条件で粘着力(N/25mm)を測定した。ここに記載した以外の条件はJISZ0237:2009に準拠して、測定を行った。結果を表1に示す。
 なお、実施例4および6については、別途、紫外線(UV)照射後の粘着力も測定した。具体的には、上記オートクレーブ処理の後、ゲル分率の測定と同様の条件でソーダライムガラス側から粘着剤層に紫外線を照射した。その後、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、上記と同様にして粘着力(N/25mm;UV後)を測定した。結果を表1に示す。
 (粘着剤の貯蔵弾性率G’)
 実施例および比較例で作製した粘着剤層を複数積層し、厚さ800μm(0.8mm)の積層体とした。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ800μm)を打ち抜き、貯蔵弾性率測定用試料とした。
 測定用試料について、JIS K7244-1に準拠し、粘弾性測定装置(Anton Paar社製,製品名「MCR301」)を用いてねじりせん断法により、測定温度範囲-20~140℃、測定周波数1Hz、昇温速度4℃/minの条件で貯蔵弾性率を測定した。測定結果から、23℃の貯蔵弾性率を算出した。結果を表1に示す。
 なお、実施例4および6については、粘着剤層に対して紫外線(UV)を照射(剥離シート11側から照射)した後の貯蔵弾性率を測定した。紫外線の照射条件はゲル分率の測定と同様の条件である。
 (ペンドロップ試験)
 実施例および比較例で得られた粘着シートから剥離シート12を剥離し、露出した粘着剤層を、基材としてのPETフィルム(東洋紡社製,製品名「コスモシャインA4360」、厚さ:38μm、引張強度:250MPa)に貼合した。次に、粘着シートから剥離シート11を剥離し、露出した粘着剤層をソーダガラス(厚さ:700μm)に貼付して、基材/粘着剤層/ソーダガラスの積層体を得た。なお、実施例4および6については、ゲル分率の測定と同様の条件で粘着剤層に対して紫外線(UV)を照射(ソーダガラス側から照射)した。
 ペンドロップ試験について図4を用いて説明する。得られた積層体2を基材13側が上になるように載置した。両端が開放された筒30を、積層体2の基材13の主面13aに垂直となるように一方の端部31を接触させ、他方の端部32から、重りで全体の重量を100gに調整したボールペン40を基材13の主面13aから30cmの高さから落下させた。このとき、ペン先41を下に向けた状態でボールペン40を落下させ、ペン先41を基材13の主面13aに接触させた。
 ボールペン40を落下させた後、ガラス21に破損が生じているか否かを以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
○:ガラスにひびも割れも生じていない
×:ガラスにひびまたは割れが生じている
 (押し込み深さ)
 実施例および比較例で製造した複数の粘着シートから剥離シート12を剥離し、剥離面同士を合わせて複数積層し、厚さ800μm(0.8mm)である粘着剤層の積層体を形成した。この積層体の表面に、基材としてのPETフィルム(東洋紡社製,製品名「コスモシャインA4360」、厚さ:38μm、引張強度:250MPa)を貼合した。次に、粘着剤層の積層体から剥離シート11を剥離し、露出した粘着剤層をソーダガラス(厚さ:700μm)に貼付して、基材/粘着剤層の積層体/ソーダガラスの積層体を得た。なお、実施例4および6については、ゲル分率の測定と同様の条件で粘着剤層の積層体に対して紫外線(UV)を照射(ガラス側から照射)した。テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製TA.XT.Plus)を用いて、積層体における露出した粘着剤層の主面上に押し込み速度0.01mm/秒で荷重を印加し続け、荷重が10Nとなった時点での押し込み深さを測定した。比較例1においては、粘着シートが存在しないので、試験を行わなかった。結果を表1に示す。
 (押し圧分散性)
 ペンドロップ試験においてガラスに加わる力の分散性を圧力測定フィルムを用いて評価した。圧力測定フィルムは圧力を受けると発色する。
 ペンドロップ試験で得られる基材/粘着剤層/ソーダガラスの積層体を、圧力測定フィルム(富士フィルム社製,製品名「プレスケール超極低圧用LLLW」)上に、積層体のソーダガラス面が接触するように載置した。その後、ペンドロップ試験と同じ手順によりボールペンを落下させた。
 ボールペンを落下させた後、圧力測定フィルムの発色度合いを以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
〇:圧力測定フィルムの発色した面積の円相当半径が半径3cm以上
△:圧力測定フィルムの発色した面積の円相当半径が半径1cm以上3cm未満
×:圧力測定フィルムの発色した面積の円相当半径が半径1cm以下
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
((メタ)アクリル酸エステル重合体(A))
 BA:アクリル酸n-ブチル
 EA:アクリル酸エチル
 AA:アクリル酸
 2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
 MMA:メタクリル酸メチル
 HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
 IBXA:アクリル酸イソボルニル
 ACMO:N-アクリロイルモルホリン
 PhEA:アクリル酸2-フェニルエチル
 EO9:アクリル酸メトキシポリエチレングリコール(C9)
 4HBA:アクリル酸4-ヒドロキシブチル
(架橋剤(B))
 B1:イソシアネート系架橋剤(三井化学社製,製品名「タケネートD-101E」)
 B2:アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)
 B3:イソシアネート系架橋剤(綜研化学社製,製品名「TD-75」)
 B4:イソシアネート系架橋剤(三井化学社製,製品名「タケネートD-170N」)
(シランカップリング剤)
 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(活性エネルギー線硬化性成分)
 ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート
(光重合開始剤)
 ジフェニル(2, 4, 6-トリメチルベンゾイル)-フォスフィンオキサイド
 表1より、粘着剤の押し込み深さおよび圧力分散性試験における発色面積の円相当半径が上述した範囲内である場合には、ペンドロップ試験においてガラスに破損が生じないことが確認できた。
 本発明の粘着剤は、たとえば、ガラスから構成される部材と他の部材とを貼合するのに好適に使用することができる。
1…粘着シート
 10…粘着剤層
 11…第1剥離シート
 12…第2剥離シート
2…積層部材
 21…第1の部材
 22…第2の部材

Claims (9)

  1.  厚さが800μmである粘着剤の表面を、押し込み速度0.01mm/秒で押し込み続けて押し込み荷重が10Nに達した際の押し込み深さが140μm以下であり、
     以下に示す圧力分散性試験により圧力測定フィルムが発色した面積の円相当半径が3cm以上を示す粘着剤。
    (圧力分散性試験)
     厚さが38μmであるポリエチレンテレフタレート製の基材と、粘着剤と、厚さが700μmであるソーダガラスとがこの順で積層された積層体を準備する。積層体におけるソーダガラス側の表面と、富士フィルム社製圧力測定フィルム「プレスケール超極低圧用LLLW」とが接触するように、プレスケール超極低圧用LLLW上に積層体を載置する。積層体における基材側の表面上に、積層体における基材側の表面から30cmの高さより重量が100gであるボールペンを落下させ、先端径が0.5mmであるボールペンの先端部を積層体における基材側の表面に接触させて積層体に圧力を印加する。
  2.  粘着力が1N/25mm以上100N/25mm以下である請求項1に記載の粘着剤。
  3.  ゲル分率が30%以上99%以下である請求項1または2に記載の粘着剤。
  4.  粘着剤がアクリル系粘着剤である請求項1または2に記載の粘着剤。
  5.  粘着剤層を有する粘着シートであって、
     前記粘着剤層が、請求項1または2に記載の粘着剤からなる粘着シート。
  6.  剥離シートをさらに有し、
     前記剥離シートが前記粘着剤層の主面に配置されている請求項5に記載の粘着シート。
  7.  ガラスから構成される第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材および前記第2の部材を互いに貼合する粘着剤層と、を備える積層部材であって、
     前記粘着剤層が、請求項1または2に記載の粘着剤からなる積層部材。
  8.  前記第1の部材の厚さが40μm以上2000μm以下である請求項7に記載の積層部材。
  9.  請求項7に記載の積層部材を備える表示体。
PCT/JP2023/042875 2022-12-02 2023-11-30 粘着剤、粘着シート、積層部材および表示体 WO2024117215A1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022-193709 2022-12-02

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2024117215A1 true WO2024117215A1 (ja) 2024-06-06

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7004564B2 (ja) 粘着シート、繰り返し屈曲積層部材および繰り返し屈曲デバイス
JP6307189B2 (ja) 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
JP6216519B2 (ja) 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
JP6139173B2 (ja) 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
JP6196781B2 (ja) 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
JP5613109B2 (ja) 粘着剤および粘着シート
JP6112893B2 (ja) 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
JP2017075281A (ja) 粘着シートおよび表示体
JP6400537B2 (ja) 粘着シートおよび表示体
JP2015010192A (ja) 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
JP7170387B2 (ja) 粘着シートおよび表示体
JP2017036394A (ja) 粘着性組成物、粘着剤、粘着シートおよび表示体
JP7460315B2 (ja) 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
KR20160137373A (ko) 점착 시트 및 표시체
JP2018173549A (ja) 粘着性組成物、粘着剤、粘着シートおよび表示体
JP2020139034A (ja) 繰り返し屈曲デバイス用粘着剤、粘着シート、繰り返し屈曲積層部材および繰り返し屈曲デバイス
JP2024040443A (ja) 粘着シート、繰り返し屈曲積層部材および繰り返し屈曲デバイス
CN110643287B (zh) 粘着片及光学层叠体
JP2020109177A (ja) フレキシブルディスプレイ用粘着シート、フレキシブル積層部材およびフレキシブルディスプレイ
JP2020139038A (ja) 繰り返し屈曲デバイス用粘着剤、粘着シート、繰り返し屈曲積層部材および繰り返し屈曲デバイス
JP2020100103A (ja) 保護シートおよび積層体
JP6290466B2 (ja) 粘着シート
JP6805014B2 (ja) 粘着シート
JP7340998B2 (ja) バックライトユニットおよび表示装置
JP6307192B2 (ja) 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート