WO2024116031A1 - 発光デバイス - Google Patents

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WO2024116031A1
WO2024116031A1 PCT/IB2023/061820 IB2023061820W WO2024116031A1 WO 2024116031 A1 WO2024116031 A1 WO 2024116031A1 IB 2023061820 W IB2023061820 W IB 2023061820W WO 2024116031 A1 WO2024116031 A1 WO 2024116031A1
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瀬尾広美
大澤信晴
佐々木俊毅
渡部剛吉
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株式会社半導体エネルギー研究所
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信頼性が良好な発光デバイスを提供する。 第1の電極と、第2の電極と、EL層と、を有し、前記EL層は、前記第1の電極および前記第2の電極の間に位置し、前記EL層は、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、を有し、前記電子輸送層は、前記電子注入層に接しており、前記電子注入層は、正孔をブロックする機能を有し、前記電子輸送層が、電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物とを含む層である発光デバイス。

Description

発光デバイス
本発明の一態様は、発光デバイスに関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサ)、入出力装置(例えば、タッチパネル)、それらの駆動方法、またはそれらの製造方法を一例として挙げることができる。
表示装置は、近年様々な用途への展開がなされている。例えば、大型の表示装置の用途として、家庭用のテレビジョン装置(テレビまたはテレビジョン受信機ともいう)、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、及び、PID(Public Information Display)等が、小型の表示装置の用途として、タッチパネルを備えるスマートフォンまたはタブレット端末などの開発が進められている。
また同時に、表示装置はその高精細化も求められている。高精細な表示装置が要求される機器としては、例えば、仮想現実(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augmented Reality)、代替現実(SR:Substitutional Reality)、及び、複合現実(MR:Mixed Reality)向けの機器が、盛んに開発されている。
表示装置に用いられる表示素子としては、発光デバイス(発光素子ともいう)の開発が盛んに進められている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと記す)現象を利用した発光デバイス(ELデバイス、EL素子ともいう)、特に有機化合物を主として用いた有機ELデバイスは、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流定電圧電源を用いて駆動可能である等の特徴を有することから、表示装置に好適である。
有機ELデバイスを用い、より高精細な発光装置を得るために、メタルマスクを用いた蒸着法に代わって、フォトレジストなどを用いたフォトリソグラフィ法による有機層のパターニングが研究されている。フォトリソグラフィ法を用いることによって、EL層の間隔が数μmという高精細な表示装置を得ることができる(例えば特許文献1参照)。
特表2018−521459号公報 国際公開第2021/045178号
以前より有機ELデバイスのEL層は、水、酸素などの大気成分に曝されると初期特性や信頼性に影響が出ることが知られており、その取扱いは真空に近い雰囲気で行われることが常識であった。特に、電子注入層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物が用いられるが、これらの金属および化合物は水または酸素との非常に反応性が高く、EL層の表面が大気中に曝されると瞬く間に劣化してしまい、電子注入層として機能しなくなってしまう。
しかし、上述のようにフォトリソグラフィ法により加工を行う過程においては、どうしてもEL層の表面を大気中に曝す必要がある。
そこで本発明の一態様は、新規な発光デバイスを提供することを目的とする。または、本発明の他の一態様は、良好な効率を有する新規な発光デバイスを提供することを目的とする。または、本発明の他の一態様は、信頼性が良好で新規な発光デバイスを提供することを目的とする。
または、本発明の他の一態様は、高精細の表示装置に用いることが可能な新規な発光デバイスを提供することを目的とする。または、本発明の他の一態様は、高精細の表示装置に用いることが可能であり、且つ良好な効率を有する新規な発光デバイスを提供することを目的とする。または、本発明の他の一態様は、高精細の表示装置に用いることが可能な、信頼性が良好で新規な発光デバイスを提供することを目的とする。
または、本発明の他の一態様では、信頼性の高い表示装置を提供することを目的とする。または、本発明の他の一態様では、高精細な表示装置を提供することを目的とする。または、本発明の他の一態様では、高精細且つ信頼性が良好な表示装置を提供することを目的とする。
または、新規な有機化合物、新規な発光デバイス、新規な表示装置、新規な表示モジュール、新規な電子機器を提供することを各々目的とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、第1の電極と、第2の電極と、EL層と、を有し、前記EL層は、前記第1の電極および前記第2の電極の間に位置し、前記EL層は、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、を有し、前記電子輸送層は、前記電子注入層に接しており、前記電子注入層は、正孔をブロックする機能を有し、前記電子輸送層が、バイポーラ性を有する層である発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、第1の電極と、第2の電極と、EL層と、を有し、前記EL層は、前記第1の電極および前記第2の電極の間に位置し、前記EL層は、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、を有し、前記電子輸送層は、前記電子注入層に接しており、前記電子注入層は、正孔をブロックする機能を有し、前記電子輸送層が、電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物とを含む層である発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、第1の電極と、第2の電極と、EL層と、を有し、前記EL層は、前記第1の電極および前記第2の電極の間に位置し、前記EL層は、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、を有し、前記電子輸送層は、前記電子注入層に接しており、前記電子注入層は、pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物を含み、前記電子輸送層が、電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物とを含む発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記EL層がさらに中間層と、第2の発光層と、を有し、第2の発光層は中間層と第1の電極との間に位置し、中間層はpKa8以上の強塩基性を有する有機化合物を含む層を有する発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記EL層がさらに中間層と、第2の発光層と、第2の電子輸送層とを有し、第2の発光層は中間層と第1の電極との間に位置し、第2の電子輸送層は第2の発光層と中間層との間に位置し、中間層はpKa8以上の強塩基性を有する有機化合物を含む層を有する発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記EL層がさらに中間層と、第2の発光層と、第2の電子輸送層とを有し、第2の発光層は中間層と第1の電極との間に位置し、第2の電子輸送層は第2の発光層と中間層との間に位置し、中間層はpKa8以上の強塩基性を有する有機化合物を含む層を有し、第2の電子輸送層がバイポーラ性を有する発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、中間層がP型層を有し、P型層はpKa8以上の強塩基性を有する有機化合物を含む層と発光層との間に位置する発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記正孔輸送性を有する有機化合物のHOMO準位が−5.9eV以上−5.0eV以下である発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記電子輸送性を有する有機化合物のLUMO準位が−3.15eV以上−2.50eV以下である発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物が、グアニジン骨格を有する発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物が、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン骨格を有する発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物が、電子輸送性の骨格を有さない発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物が、グアニジン骨格を有し、且つ電子輸送性の骨格を有さない発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記電子注入層が、さらに第2の電子輸送性を有する有機化合物を有する発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物は、前記第2の電子輸送性を有する有機化合物に対して電子供与性を有さない発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記構成において、前記電子注入層は、電子スピン共鳴法で測定されるスピン密度が、1×1017spins/cm以下、好ましくは1×1016spins/cm未満である発光デバイスである。
または、本発明の他の一態様は、上記の発光デバイスと、コネクタ及び集積回路のうち少なくとも一方と、を有する、表示モジュールである。
または、本発明の他の一態様は、上記の発光デバイスと、筐体、バッテリ、カメラ、スピーカ、及びマイクのうち少なくとも一つと、を有する、電子機器である。
本発明の一態様により、新規な発光デバイスを提供することができる。または、本発明の他の一態様は、良好な効率を有する新規な発光デバイスを提供することができる。または、本発明の他の一態様は、信頼性が良好で新規な発光デバイスを提供することができる。
または、本発明の他の一態様は、高精細の表示装置に用いることが可能な新規な発光デバイスを提供することができる。または、本発明の他の一態様は、高精細の表示装置に用いることが可能であり、且つ良好な効率を有する新規な発光デバイスを提供することができる。または、本発明の他の一態様は、高精細の表示装置に用いることが可能な、信頼性が良好で新規な発光デバイスを提供することができる。
または、本発明の他の一態様では、信頼性の高い表示装置を提供することができる。または、本発明の他の一態様では、高精細な表示装置を提供することができる。または、本発明の他の一態様では、高精細且つ信頼性が良好な表示装置を提供することができる。
または、新規な有機化合物、新規な発光デバイス、新規な表示装置、新規な表示モジュール、新規な電子機器を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。明細書、図面、請求項の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
図1Aおよび図1Bは、本発明の発光デバイスの駆動メカニズムを説明するバンド図である。
図2A、図2Bは、発光デバイスについて表す図である。
図3A、図3Bは、発光デバイスについて表す図である。
図4Aおよび図4Bは、発光装置の上面図および断面図である。
図5A乃至図5Eは、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。
図6A乃至図6Dは、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。
図7A乃至図7Dは、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。
図8A乃至図8Cは、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。
図9A乃至図9Cは、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。
図10A乃至図10Cは、表示装置の作製方法の一例を示す断面図である。
図11A、及び図11Bは、表示モジュールの構成例を示す斜視図である。
図12A、及び図12Bは、表示装置の構成例を示す断面図である。
図13は、表示装置の構成例を示す斜視図である。
図14は、表示装置の構成例を示す断面図である。
図15は、表示装置の構成例を示す断面図である。
図16は、表示装置の構成例を示す断面図である。
図17A乃至図17Dは、電子機器の一例を示す図である。
図18A乃至図18Fは、電子機器の一例を示す図である。
図19A乃至図19Gは、電子機器の一例を示す図である。
図20は電流密度−電圧特性を表す図である。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書等において、メタルマスク、またはFMM(ファインメタルマスク、高精細なメタルマスク)を用いて作製されるデバイスをMM(メタルマスク)構造のデバイスと呼称する場合がある。また、本明細書等において、メタルマスク、またはFMMを用いることなく作製されるデバイスをMML(メタルマスクレス)構造のデバイスと呼称する場合がある。
(実施の形態1)
有機半導体膜を所定の形状に形成する方法の一つとして、メタルマスクを用いた真空蒸着法(マスク蒸着)が広く用いられている。しかし、高密度化、高精細化が進む昨今、マスク蒸着は、合わせ精度の問題、基板との配置間隔の問題に代表される種々の理由により、これ以上の高精細化は限界に近付いている。一方、フォトリソグラフィ法を用いて有機半導体膜の形状を加工することで、より緻密なパターンを有する有機半導体デバイスの実現が期待されている。さらに、フォトリソグラフィ法はマスク蒸着に比べて大面積化も容易であることから、フォトリソグラフィ法を用いた有機半導体膜の加工に関する研究が進められている。
一方、以前より有機ELデバイスにおけるEL層は、水、酸素などの大気成分に曝されると初期特性または信頼性に影響が出ることが知られており、その取扱いは真空に近い雰囲気で行われることが常識であった。
特に、発光デバイスの電子注入層には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物(以下Li化合物などともいう)が用いられることが多いが、これらLi化合物などは水または酸素との反応性が高く、大気中に曝されるだけで瞬く間に劣化してしまい、電子注入層として機能しなくなってしまう。
しかし、上述のようなフォトリソグラフィ法による加工を行う過程においては、どうしてもEL層の表面を大気中に曝す必要があるため、Li化合物などを用いた電子注入層の電子注入性はほぼ喪失してしまう。
ここで、本発明者らは、強塩基性を有する有機化合物を、Li化合物などの代わりに電子注入層に用いた発光デバイスが、良好な特性を有する発光デバイスとなることを見出した。
強塩基性を有する有機化合物は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属またはこれらの化合物のように、大気に曝されることによる劣化が起こりにくいため、工程中に大気曝露が存在するフォトリソグラフィ法により加工を行う工程を経た発光デバイスに用いたとしても、強塩基性を有する有機化合物自身の劣化に起因する発光デバイスの劣化は起こりにくい。
ただし、一方で、強塩基性を有する有機化合物を電子注入層に用いて作製した発光デバイスは、真空一貫で作製したデバイス同士を比較した際、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、もしくはそれらの化合物を電子注入層に用いた発光デバイスよりも駆動電圧が高くなる場合がある。
これらの事実および種々の追加実験より、本発明者らは、強塩基性を有する有機化合物を電子注入層に用いた発光デバイスにおいて、電子輸送層を、電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物との混合層とすることで、大気中での加工に強く、信頼性が良好で、且つ駆動電圧の低い発光デバイスを作製することができることを見出した。
以下、強塩基性を有する有機化合物を電子注入層に用いた発光デバイスのメカニズムおよび本発明の一態様の発光デバイスについて説明する。
Li化合物に代表されるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属またはこれらの化合物に代えて強塩基性を有する有機化合物を用いると、強塩基性を有する有機化合物はドナーとして機能しないことから、電極のフェルミ準位(E)と電子輸送性を有する材料のLUMO準位との差が大きいと、電子の注入が困難となる(図1A)。そのため、塩基性を有する有機化合物をLi化合物の代わりに電子注入層に用いた発光デバイスは駆動電圧の上昇が顕著であった。
ここで本発明者らは、電子輸送層を、電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物の混合層とすることによって、強塩基性を有する有機化合物をLi化合物の代わりに電子注入層に用いた発光デバイスにおいて駆動電圧の大幅な上昇を抑制することができることを見出した。
これは、強塩基性を有する有機化合物が含まれるEL層が電子を流すが正孔をブロックする(流さない)という新たな知見と、電荷の蓄積による電気双極子の発生、それによる真空準位のシフトという、駆動メカニズムにより説明することが可能となる。
まず、陽極からEL層に注入された正孔は、図1Bのように電子注入層における電子輸送層側の界面に速やかに蓄積する。これは、本発明の一態様の発光デバイスでは、電子輸送層が電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物の混合層であることによって電子輸送層でありながら正孔をスムーズに輸送し、且つ、電子注入層が、酸解離定数pKaが8以上の強塩基性を有する有機化合物を含むことによって正孔をブロックするためである。
一方で、強塩基性を有する有機化合物を含む電子注入層を用いた発光デバイスは、上述したように電圧が印加されても、電極のフェルミ準位と電子輸送性を有する材料のLUMO準位の差により電子が注入されにくく、電子は陰極における電子注入層側の界面に蓄積する(なお、電子注入層が電子輸送性を有する材料を含まない場合、すなわち強塩基性を有する有機化合物の単膜の場合は、電子は、強塩基性を有する有機化合物の単膜側に蓄積する)。
このように、本発明の一態様の発光デバイスでは、電子注入層の電子輸送層側の界面に正孔が、陰極の電子注入層側に電子が蓄積する。蓄積した電荷は、電気二重層を形成し、電気双極子が発生し、真空準位のシフトが起こり、陰極材料のフェルミ準位と電子注入層の電子輸送性を有する材料のLUMO準位が近づき、低い電圧で電子がEL層に注入されるようになるのである。
なお、通常、発光効率および信頼性の観点から発光層を突き抜けた正孔が電子輸送層を流れることは敬遠される事象である。このため、電子輸送層を構成する材料は正孔輸送性の低い材料が選択され、さらには、発光層と電子輸送層の間に発光層に接して正孔ブロック層を設ける場合さえしばしばある。しかし、本発明の一態様の発光デバイスでは、反対に電子輸送層にバイポーラ性を持たせることによって、良好な特性を有する発光デバイスを提供することが可能となる。
なお、電子輸送層が電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物の混合層ではない(電子輸送層が正孔を輸送しない、またはブロックする)通常の構成の発光デバイスでは、正孔の蓄積する位置が発光層における電子輸送層側の界面となるため、発光層における電子輸送層側の界面に蓄積した正孔と陰極の電子注入層側に蓄積した電子の蓄積位置が遠くなる。これにより、同じ量の電荷がたまった場合で比較すると通常の構成を有する発光デバイスは電気双極子による電界が弱く駆動電圧の上昇につながる。
電子輸送層は、上述のように比較的高い正孔輸送性を備えた電子輸送性の層であることが好ましい。このことから、電子輸送層に含まれる正孔輸送性を有する有機化合物の最高被占軌道(Highest Occupied Molecular Orbital:HOMO)準位は、−5.90eV以上−5.00eV以下、好ましくは−5.80eV以上−5.00eV以下、さらに好ましくは−5.70eV以上−5.15eV以下であることが好ましい。また、当然良好な電子輸送性も必要であることから電子輸送層に含まれる電子輸送性を有する有機化合物の最低空軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital:LUMO)準位は、−3.15eV以上−2.50eV以下、好ましくは−3.00eV以上−2.70eV以下であることが好ましい。
また、電子輸送層は、酸解離定数pKaが4以下の電子輸送性を有する有機化合物を含むことが好ましい。
また、電子輸送性を有する有機化合物は、電子輸送性の骨格を有することが好ましい。また、正孔輸送性を有する有機化合物は、正孔輸送性の骨格を有することが好ましい。
なお、電子輸送性の骨格は、π電子不足型複素芳香環を有する骨格であることが好ましい。π電子不足型複素芳香環を有する骨格としては、例えばポリアゾール骨格、ピリジン骨格、ジアジン骨格およびトリアジン骨格の少なくともいずれか一を環に含む骨格であることが好ましい。具体的には、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格、ピリジン骨格、トリアジン骨格、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾチエノピリミジン骨格、ベンゾフロピラジン骨格、ベンゾチエノピラジン骨格などが好ましい。中でもピリミジン骨格、ピラジン骨格、トリアジン骨格、ベンゾフロピリミジン骨格が好ましい。また、正孔輸送性の骨格は、π電子過剰型複素芳香環を有する骨格であることが好ましい。π電子過剰型複素芳香環としては、例えばピロール骨格、フラン骨格、およびチオフェン骨格の少なくともいずれか一を環に含む縮合芳香環が好ましい。具体的にはカルバゾール骨格、ジベンゾチオフェン骨格あるいはそれらにさらに芳香環または複素芳香環が縮合した骨格が好ましい。中でもカルバゾール骨格、ビスカルバゾール骨格、インドロカルバゾール骨格が好ましい。また、アミン骨格、特にトリフェニルアミン骨格もまた好ましい。
電子輸送性を有する有機化合物としては、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などのアゾール骨格を有する有機化合物、3,5−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5−トリ[3−(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,9−ジ(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:NBphen)、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス(9−フェニル−1,10−フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)、2−[3−(2−トリフェニレニル)フェニル]−1,10−フェナントロリン(略称:mTpPPhen)、2−フェニル−9−(2−トリフェニレニル)−1,10−フェナントロリン(略称:Ph−TpPhen)、2−[4−(9−フェナントレニル)−1−ナフタレニル]−1,10−フェナントロリン(略称:PnNPhen)、2−[4−(2−トリフェニレニル)フェニル]−1,10−フェナントロリン(略称:pTpPPhen)などのピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[3−(3’−ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、2−[3’−(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2−[4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−3,1’−ビフェニル−1−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mpPCBPDBq)、2−[4−(3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq−III)、7−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq−II)、及び6−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq−II)、9−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3−b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr)、9−[(3’−ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−4−イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3−b]ピラジン(略称:9pmDBtBPNfpr)、4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6−ビス[3−(4−ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm−II)、4,6−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)、9,9’−[ピリミジン−4,6−ジイルビス(ビフェニル−3,3’−ジイル)]ビス(9H−カルバゾール)(略称:4,6mCzBP2Pm)、8−(ビフェニル−4−イル)−4−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−[1]ベンゾフロ[3,2−d]ピリミジン(略称:8BP−4mDBtPBfpm)、3,8−ビス[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ベンゾフロ[2,3−b]ピラジン(略称:3,8mDBtP2Bfpr)、4,8−ビス[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−[1]ベンゾフロ[3,2−d]ピリミジン(略称:4,8mDBtP2Bfpm)、8−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)(ビフェニル−3−イル)]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン(略称:8mDBtBPNfpm)、8−[(2,2’−ビナフタレン)−6−イル]−4−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−[1]ベンゾフロ[3,2−d]ピリミジン(略称:8(βN2)−4mDBtPBfpm)、2,2’−(ピリジン−2,6−ジイル)ビス(4−フェニルベンゾ[h]キナゾリン)(略称:2,6(P−Bqn)2Py)、2,2’−(ピリジン−2,6−ジイル)ビス{4−[4−(2−ナフチル)フェニル]−6−フェニルピリミジン}(略称:2,6(NP−PPm)2Py)、6−(ビフェニル−3−イル)−4−[3,5−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−2−フェニルピリミジン(略称:6mBP−4Cz2PPm)、2,6−ビス(4−ナフタレン−1−イルフェニル)−4−[4−(3−ピリジル)フェニル]ピリミジン(略称:2,4NP−6PyPPm)、4−[3,5−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−2−フェニル−6−(ビフェニル−4−イル)ピリミジン(略称:6BP−4Cz2PPm)、7−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−2−イル)キナゾリン−2−イル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:PC−cgDBCzQz)などのジアジン骨格を有する有機化合物、2−(ビフェニル−4−イル)−4−フェニル−6−(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−イル)−1,3,5−トリアジン(略称:BP−SFTzn)、2−{3−[3−(ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)フェニル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mBnfBPTzn)、2−{3−[3−(ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−イル)フェニル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mBnfBPTzn−02)、2−{4−[3−(N−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール−9−イル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PCCzPTzn)、9−[3−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]−9’−フェニル−2,3’−ビ−9H−カルバゾール(略称:mPCCzPTzn−02)、2−[3’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mFBPTzn)、5−[3−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]−7,7−ジメチル−5H,7H−インデノ[2,1−b]カルバゾール(略称:mINc(II)PTzn)、2−{3−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mDBtBPTzn)、2,4,6−トリス[3’−(ピリジン−3−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジン(略称:TmPPPyTz)、2−[3−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−5−(9−フェナントレニル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mPn−mDMePyPTzn)、11−[4−(ビフェニル−4−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル]−11,12−ジヒドロ−12−フェニル−インドロ[2,3−a]カルバゾール(略称:BP−Icz(II)Tzn)、2−[3’−(トリフェニレン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mTpBPTzn)、3−[9−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−2−ジベンゾフラニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCDBfTzn)、2−(ビフェニル−3−イル)−4−フェニル−6−{8−[(1,1’:4’,1’’−ターフェニル)−4−イル]−1−ジベンゾフラニル}−1,3,5−トリアジン(略称:mBP−TPDBfTzn)などのトリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物が挙げられる。また、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物またはピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンまたはピラジン)骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
正孔輸送性を有する有機化合物としては、例えば、N−(4−ビフェニル)−6,N−ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BnfABP)、N,N−ビス(4−ビフェニル)−6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BBABnf)、4,4’−ビス(6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:BnfBB1BP)、N,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−アミン(略称:BBABnf(6))、N,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BBABnf(8))、N,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3−d]フラン−4−アミン(略称:BBABnf(II)(4))、N,N−ビス[4−(ジベンゾフラン−4−イル)フェニル]−4−アミノ−p−ターフェニル(略称:DBfBB1TP)、N−[4−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−N−フェニル−4−ビフェニルアミン(略称:ThBA1BP)、4−(2−ナフチル)−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNB)、4−[4−(2−ナフチル)フェニル]−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNBi)、4,4’−ジフェニル−4’’−(6;1’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB)、4,4’−ジフェニル−4’’−(7;1’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB−03)、4,4’−ジフェニル−4’’−(7−フェニル)ナフチル−2−イルトリフェニルアミン(略称:BBAPβNB−03)、4,4’−ジフェニル−4’’−(6;2’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B)、4,4’−ジフェニル−4’’−(7;2’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B−03)、4,4’−ジフェニル−4’’−(4;2’−ビナフチル−1−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB)、4,4’−ジフェニル−4’’−(5;2’−ビナフチル−1−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB−02)、4−(4−ビフェニリル)−4’−(2−ナフチル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNB)、4−(3−ビフェニリル)−4’−[4−(2−ナフチル)フェニル]−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mTPBiAβNBi)、4−(4−ビフェニリル)−4’−[4−(2−ナフチル)フェニル]−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNBi)、4−フェニル−4’−(1−ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBA1BP)、4,4’−ビス(1−ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBB1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−[4’−(カルバゾール−9−イル)ビフェニル−4−イル]トリフェニルアミン(略称:YGTBi1BP)、4’−[4−(3−フェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]トリス(ビフェニル−4−イル)アミン(略称:YGTBi1BP−02)、4−[4’−(カルバゾール−9−イル)ビフェニル−4−イル]−4’−(2−ナフチル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGTBiβNB)、N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−アミン(略称:PCBNBSF)、N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−アミン(略称:BBASF)、N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−4−アミン(略称:BBASF(4))、N−(ビフェニル−2−イル)−N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−4−アミン(略称:oFBiSF)、N−(ビフェニル−4−イル)−N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)ジベンゾフラン−4−アミン(略称:FrBiF)、N−[4−(1−ナフチル)フェニル]−N−[3−(6−フェニルジベンゾフラン−4−イル)フェニル]−1−ナフチルアミン(略称:mPDBfBNBN)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−[4−(9−フェニルフルオレン−9−イル)フェニル]トリフェニルアミン(略称:BPAFLBi)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−アミン(略称:PCBASF)、N−(ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−4−アミン、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−3−アミン、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−2−アミン、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−1−アミン、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
電子輸送層の膜厚は薄い方が好ましいが、5nm乃至10nmであることが、信頼性が良好な発光デバイスを作製できることから好ましい。
電子注入層は、陽極から注入された正孔を蓄積するため、正孔をブロックする機能を有する層または、正孔を輸送しない層である。また、電子注入層は、陰極から注入された電子を電子輸送層まで輸送し、注入する必要があるため、電子の輸送性を有する層である。
電子注入層が正孔をブロックするかどうかは、正孔のみを流す電子デバイス(以下ホールオンリーデバイスと称する)を作製し、電流密度と電圧との関係を測定することで判断することが可能である。例えば、表1で示したようなホールオンリーデバイスにおいて対象の層を挟んだ場合に著しく電流密度が小さくなるとき、具体的には、表1で表される測定用デバイスに対象となる層を挟んで測定を行った場合、10Vで電流密度が0.01mA/cm以下となるとき、対象の層を正孔をブロックする層とみなすことができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
なお、表中、ITSOは酸化ケイ素を含むインジウム錫酸化物、PCBBiFはN−(ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン、OCHD−003は分子量672でフッ素を含む電子アクセプタ材料を表している。
このようなデバイスを用いて、層3を形成しないときの電流密度と電圧との関係と、対象の層を層3に10nm形成した場合の電流密度と電圧との関係とを比較すればよい。層3に10nmの対象となる層を挟んで測定を行った場合、10Vで電流密度が0.01mA/cm以下となる層が正孔をブロックする層とみなすことができる。
図20に、このようなデバイスを用いて測定した例を示す。図20は、上記測定用のホールオンリーデバイスの層3に、N−(ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、9−(2−ナフチル)−9’−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール(略称:βNCCP)、1−(2’,7’−ジ−tert−ブチル−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−イル)−1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン(略称:2’,7’tBu−2hppSF)、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス(9−フェニル−1,10−フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)、mPPhen2P:PCBBiF(1:1、重量比)、mPPhen2P:βNCCP(1:1、重量比)、およびmPPhen2P:2’,7’tBu−2hppSF(1:1、重量比)、の膜をそれぞれ形成したデバイスの結果である。
この図より、PCBBiF、βNCCP、mPPhen2P、mPPhen2P:PCBBiF(1:1、重量比)、およびmPPhen2P:βNCCP(1:1、重量比)で形成した層は正孔をブロックしない層、mPPhen2P:2’,7’tBu−hppSF(1:1、重量比)で形成した層、および2’,7’tBu−2hppSFで形成した層は正孔をブロックする層ということができる。
また、測定を行いたい層が材料Aと材料Bの混合層である場合、上記ホールオンリーデバイスの測定対象層に、当該層を設置したデバイス(デバイスA)と、材料Aと材料Bのうち、HOMO準位が深い方の材料を単層で測定対象層として設置したデバイス(デバイスB)とを作製し、1mA/cmにおける電圧が、デバイスAの方が1V以上高電圧シフトする場合に、当該層は正孔をブロックする層ということができる。
電子注入層は、酸解離定数pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物を有することが好ましい。pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物を有することによって、電子注入層はホールをブロックし、電子輸送層に正孔を蓄積することが可能となる。なお、酸解離定数pKa8以上好ましくはpKa10以上、より好ましくはpKa12以上の強塩基性を有する物質は、電子輸送性の骨格を有さないことが好ましい。なお、2hppSFは酸解離定数が13.95の強塩基性を有する物質である。
酸解離定数pKaが大きい材料が正孔をブロックするのは、pKaが大きい材料は大きなダイポールモーメントを有することに由来する。このダイポールモーメントが正孔と相互に作用することにより、酸解離定数pKaが大きい材料を含む電子注入層は正孔をブロックすることができる。
また、酸解離定数pKaが大きい材料は求核性が高いことも理由の一つである。求核性が高い材料は、正孔を受け取ってカチオンラジカルになった分子と反応し、新たな分子または中間状態を生成する場合がある。この反応により正孔が消費され、電子注入層における正孔輸送性を大きく低減する場合もある。
なお、上記pKa8以上の強塩基性を有する物質は、電子輸送性の骨格を有さないことが好ましい。これは、電子注入層に注入された電子と、酸解離定数pKaが大きい材料にトラップされた正孔との再結合を抑制し、電子輸送層に効率よく注入させるためである。
なお、上記酸解離定数pKaが8以上の物質は、塩基性骨格を有する有機化合物であって、当該塩基性骨格の酸解離定数pKaが10以上の有機化合物であることが好ましい。また、当該塩基性骨格の酸解離定数pKaが12以上の有機化合物であることがより好ましい。
なお、塩基性骨格の酸解離定数pKaには、当該骨格の一部を水素で置換した有機化合物の値を用いることができる。また、塩基性骨格を有する有機化合物の酸性度の指標として、当該塩基性骨格の酸解離定数pKaを用いることができる。また、複数の塩基性骨格を有する有機化合物は、酸解離定数pKaの最も高い塩基性骨格の酸解離定数pKaを当該有機化合物の酸性度の指標として用いることができる。酸解離定数pKaは水を溶媒として採用し、測定した値を採用する事が好ましい。
または、有機化合物の酸解離定数pKaは、以下のような計算によって求めてもよい。
まず、計算モデルとなる各分子における分子構造の初期構造は、第一原理計算から得られた最安定構造(一重項基底状態)とする。
上記第一原理計算としては、シュレディンガー社製量子化学計算ソフトウェアのJaguarを使用し、一重項基底状態における最安定構造を密度汎関数法(DFT)で計算する。基底関数としては6−31G**を用い、汎関数はB3LYP−D3を用いた。量子化学計算を行う構造は、シュレディンガー社製Maestro GUIを用い、Mixed torsional/Low−mode samplingにて立体配座解析を行いサンプリングを行う。
pKa計算では各分子の1つ以上の原子を塩基性サイトとして指定し、プロトン化した分子の水中での安定構造探索のためMacro Modelを使用し、OPLS2005力場を用いた配座探索を行い、最も低エネルギーの配座異性体を使用する。JaguarのpKa計算モジュールを使用し、B3LYP/6−31G*で構造最適化した後、cc−pVTZ(+)で一点計算し、官能基に対する経験的補正を用いてpKa値を算出する。1つ以上の原子を塩基性サイトとして指定している分子では、得られた結果のうち最も大きい値をpKa値として採用する。
酸解離定数pKaの高い有機化合物としては、ピロリジン骨格、ピペリジン骨格またはヘキサヒドロピリミドピリミジン骨格を有する有機化合物が好ましい。また、グアニジン骨格を有する有機化合物が好ましい。具体的には、下記構造式(120)乃至(123)で表される塩基性骨格を有する有機化合物を例として挙げることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
また、上記酸解離定数pKaが8以上の有機化合物は、具体的には、環を構成する原子に2以上の窒素を有するビシクロ環構造と、環を構成する炭素が2乃至30の複素芳香族炭化水素環または環を構成する炭素が6乃至30の芳香族炭化水素環と、を有する有機化合物、より具体的には、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン骨格と、環を構成する炭素が2乃至30の複素芳香族炭化水素環または環を構成する炭素が6乃至30の芳香族炭化水素環と、を有する有機化合物であることが好ましい。なお、環を構成する原子に2以上の窒素を有するビシクロ環構造と、環を構成する炭素が2乃至30の複素芳香族炭化水素環と、を有する有機化合物、より具体的には、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン骨格と、環を構成する炭素が2乃至30の複素芳香族炭化水素環と、を有する有機化合物がより好ましい。
また、さらに具体的には、下記一般式(G1)で表される有機化合物であることが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
ただし、上記一般式(G1)で表される有機化合物において、Xは下記一般式(G1−1)で表される基、Yは下記一般式(G1−2)で表される基である。また、RおよびRはそれぞれ独立に水素または重水素を表し、hは1乃至6の整数を表し、Arは置換または無置換の環を構成する炭素が2乃至30の複素芳香族炭化水素環または環を構成する炭素が6乃至30の芳香族炭化水素環を表す。なお、Arは置換もしくは無置換の環を構成する炭素が2乃至30の複素芳香族炭化水素環が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
ただし、上記一般式(G1−1)および(G1−2)において、R乃至Rはそれぞれ独立に水素または重水素を表し、mは0乃至4の整数を表し、nは1乃至5の整数を表し、且つmn+1≧である。なお、mまたはnが2以上の場合、複数となるR乃至Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(G1)で表される有機化合物は、下記一般式(G2−1)乃至(G2−6)のいずれか一であることが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
ただし、R11乃至R26はそれぞれ独立に水素または重水素を表し、hは1乃至6の整数を表し、Arは置換または無置換の環を構成する炭素が2乃至30の複素芳香族炭化水素環または置換または無置換の環を構成する炭素が6乃至30の芳香族炭化水素環である。なお、Arは置換もしくは無置換の環を構成する炭素が2乃至30の複素芳香族炭化水素環が好ましい。
なお、上記一般式(G1)および一般式(G2−1)乃至(G2−6)において、Arで表される置換または無置換の環を構成する炭素が2乃至30の複素芳香族炭化水素環または環を構成する炭素が6乃至30の芳香族炭化水素環としては、具体的には、ピリジン環、ビピリジン環、ピリミジン環、ビピリミジン環、ピラジン環、ビピラジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、キノキサリン環、ベンゾキノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、アゾフルオレン環、ジアゾフルオレン環、カルバゾール環、ベンゾカルバゾ−ル環、ジベンゾカルバゾ−ル環、ジベンゾフラン環、ベンゾナフトフラン環、ジナフトフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾナフトチオフェン環、ジナフトチオフェン環、ベンゾフロピリジン環、ベンゾフロピリミジン環、ベンゾチオピリジン環、ベンゾチオピリミジン環、ナフトフロピリジン環、ナフトフロピリミジン環、ナフトチオピリジン環、ナフトチオピリミジン環、アクリジン環、キサンテン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、フェナジン環、トリアゾ−ル環、オキサゾ−ル環、オキサジアゾール環、チアゾ−ル環、チアジアゾ−ル環、イミダゾ−ル環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾ−ル環、ピロ−ル環などを挙げることができる。また、上記一般式(G1)および一般式(G2−1)乃至(G2−6)において、Arで表される置換または無置換の環を構成する炭素が6乃至30の複素芳香族炭化水素環としては、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ジメチルフルオレン環、ジフェニルフルオレン環、スピロフルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、テトラセン環、クリセン環、ベンゾ[a]アントラセン環などを挙げることができる。また、中でも、下記構造式(Ar−1)乃至(Ar−27)のいずれか一であることが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
なお、上記Arが環を構成する原子として窒素を含み、当該Arは、前記窒素または前記窒素に隣接する炭素の結合手によって前記一般式(G1)におけるカッコ内の骨格に結合することが好ましい。
上記一般式(G1)および一般式(G2−1)乃至(G2−6)で表される有機化合物としては、具体的には、1,1’−(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2,7−ジイル)ビス(1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン)(略称:2,7hpp2SF)(構造式108)、および1−(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−イル)−1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン(略称:2hppSF)(構造式109)など、下記構造式(101)~(117)で表される有機化合物を例として挙げることができる。なお、この中でも、(106)~(109)のようなスピロフルオレン骨格を有する有機化合物、または(102)、(104)、(105)、(109)、(110)および(115)のようにヘキサヒドロピリミドピリミジン骨格が一つである有機化合物が好ましく、特に、(109)で表される有機化合物が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
このような有機化合物は、安定であることの他に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物と異なり製造ラインの金属汚染に関するおそれが少ないこと、蒸着が容易であることなどから、フォトリソグラフィ工程を使用して作製される発光デバイスにより好適に用いることができる。もちろん、フォトリソグラフィを用いない工程で作製される発光デバイスにも好適である。
なお、pKa8以上の強塩基性を有する物質は、注入された電子とブロックした正孔がpKa8以上の強塩基性を有する物質上で再結合するのを抑制する観点から、電子輸送性の骨格を有さないことが好ましい。pKa8以上の強塩基性を有する物質としては、具体的には、1−(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−イル)−1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン(略称:2hppSF)、2,9−ビス(1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン−1−イル)−1,10−フェナントロリン(略称:2,9hpp2Phen)、4,7−ジ−1−ピロリジニル−1,10−フェナントロリン(略称:Pyrrd−Phen)または8,8’−ピリジン−2,6−ジイル−ビス(5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリミジン)(略称:2,6tip2Py)などの有機化合物、などを用いることができる。
また、電子注入層には、pKa8以上の強塩基性を有する物質の他に、電子輸送性を有する材料が含まれていることが好ましい。電子輸送性を有する材料としては例えば、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、π電子不足型複素芳香環を有する有機化合物が好ましい。π電子不足型複素芳香環骨格を有する有機化合物としては、例えばポリアゾール骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物およびトリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物を挙げることができる。
中でも、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)を有する複素芳香環を含む有機化合物またはピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンまたはピラジン)骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。また、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾチエノピリミジン骨格、ベンゾフロピラジン骨格、ベンゾチエノピラジン骨格は信頼性が良好なため好ましい。
π電子不足型複素芳香環骨格を有する有機化合物としては、上記第1の電子輸送層における電子輸送性を有する有機化合物として挙げた材料を用いることができる。特に、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物またはピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンまたはピラジン)骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。中でも、mTpPPhen、PnNPhenおよびmPPhen2Pなどのフェナントロリン骨格を有する有機化合物が好ましく、mPPhen2Pなどのフェナントロリン二量体構造を有する有機化合物が安定性に優れより好ましい。また、ピリジン骨格またはフェナントロリン骨格を有する材料はpKaが高いため、ホールブロック性が高くなり、特に本発明の一態様の発光デバイスにおける電子注入層に用いる電子輸送性材料として好ましい。
また、電子注入層における電子輸送性を有する材料のLUMO準位は、−3.00eV以上−2.00eV以下であることが、発光層への電子注入障壁が低下するため好ましい。
なお、電子注入層の膜厚は薄い方が好ましいが、厚すぎると駆動電圧が上がり、薄すぎると特性、特に信頼性が悪化するため2nm以上13nm以下、好ましくは5nm以上10nm以下であることが好ましい。
また、電子注入層における強塩基性を有する物質は、電子供与性を有さないことが好ましい。また、強塩基性を有する物質は、電子輸送性を有する材料に対する電子供与性を有さないことが好ましい。強塩基性を有する物質が電子供与性を有する場合、水または酸素などの大気成分により容易に反応するため、安定性に乏しくなってしまう。強塩基性を有する物質と電子輸送性を有する材料を有することで、電子注入層のホール輸送性を著しく低下させることができるため、強塩基性を有する物質が電子供与性を有さなくても、タンデム構造の中間層として機能することができる。そのため、水または酸素などの大気成分に安定な中間層およびタンデム型の発光デバイスを作製することができる。また、電子注入層は、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)で観測されるシグナルが小さい、あるいはシグナルが観測されないことが好ましい。例えば、g値2.00付近に観測されるシグナルに起因するスピン密度が1×1017spins/cm以下、好ましくは1×1016spins/cm未満がより好ましい。
以上のような構成を有する本発明の一態様の発光デバイスは、電流効率が高く、駆動電圧の上昇が抑制された信頼性の高い発光デバイスとすることが可能となる。
なお、本発明の一態様の発光デバイスは、特にフォトリソグラフィ工程を経た発光デバイスに好適であるが、フォトリソグラフィ工程を経ずに作製された発光デバイスにおいても大気に対する安定性が高いことから、歩留まりが向上し、また、作製工程中において雰囲気管理を必要以上に厳密にしなくてもよくなることでコスト削減に貢献する。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイスについて詳しく説明する。
図2は、本発明の一態様の発光デバイスの模式図である。発光デバイスは絶縁体100上に、第1の電極101が設けられており、第1の電極101と、第2の電極102との間にEL層103を有している。EL層103は、少なくとも発光層113、電子輸送層114および電子注入層115を有している。発光層113は、発光物質を含む層であり、第1の電極101と第2の電極102との間に電圧をかけることによって発光する。
EL層103は発光層113、電子輸送層114および電子注入層115の他に、図2Aに示したように、正孔注入層111、正孔輸送層112などの機能層を有していることが好ましい。なお、EL層103には、正孔ブロック層、励起子ブロック層、中間層など、上述した機能層以外の機能層が含まれていてもよい。また、逆に、上述した層のいずれかの層が設けられていなくてもよい。
また、電子注入層115は、実施の形態1で説明したような、強塩基性を有する有機化合物を含む層である。電子注入層115は、さらに電子輸送性を有する有機化合物を有していてもよい。
また、電子輸送層114は、電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物とを含む層である。
電子輸送層114および電子注入層115の具体的な構成は、実施の形態1において、詳しく説明したので繰り返しとなる説明を省略する。
なお、本実施の形態においては、第1の電極101は陽極を含む電極、第2の電極102は陰極を含む電極であり、第1の電極101が絶縁体100側に形成される例を示したが、絶縁体100側に第2の電極102が形成される、いわゆる逆詰みの構成であってもよい。この際、発光デバイスは絶縁体100側から、第2の電極102、電子注入層115、電子輸送層114、発光層113、(正孔輸送層112、正孔注入層111、)第1の電極101という順の積層構造となる。このような、逆積み構造の発光デバイスである場合、比較的安定な正孔注入層111が表面となるため、より信頼性の良好な発光デバイスとすることができる。
また、第1の電極101および第2の電極102は、単層構造または積層構造として形成されていてもよく、積層構造を有する場合、EL層103に触れる層が陽極または陰極として機能する。電極が積層構造である場合、EL層103に触れる層以外の層に仕事関数に関する制約はなく、抵抗値、加工利便性、反射率、透光性および安定性など要求される特性に応じて材料を選択すればよい。
陽極は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ(ITSO:Indium Tin Silicon Oxide)、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。作製方法の例としては、酸化インジウム−酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1~20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成する方法などがある。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5~5wt%、酸化亜鉛を0.1~1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することもできる。この他に、陽極に用いられる材料は、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、アルミ(Al)または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。またこれらを積層した層を陽極としても良い。例えば、Ti上にAl、Ti、ITSOの順に積層した膜は、反射率が良好なため高効率で、数千ppiの高精細化が可能なため、好ましい。又は、陽極に用いられる材料として、グラフェンも用いることができる。なお、後述する正孔注入層111を構成することが可能な複合材料を陽極と接する層(代表的には正孔注入層)として用いることで、仕事関数に関わらず、電極材料を選択することができるようになる。
正孔注入層111は、陽極に接して設けられ、正孔をEL層103に注入しやすくする機能を有する。正孔注入層111は、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物または錯体化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、またはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレンスルホン酸)(略称:PEDOT/PSS)等の高分子等によって形成することができる。
また、正孔注入層111は電子のアクセプタ性を有する物質により形成してもよい。アクセプタ性を有する物質としては、電子吸引基(ハロゲン基、シアノ基など)を有する有機化合物を用いることができ、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT−CN)、1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロテトラシアノ−ナフトキノジメタン(略称:F6−TCNNQ)、2−(7−ジシアノメチレン−1,3,4,5,6,8,9,10−オクタフルオロ−7H−ピレン−2−イリデン)マロノニトリル等を挙げることができる。特に、HAT−CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物が、熱的に安定であり好ましい。また、電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基、シアノ基など)を有する[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的にはα,α’,α’’−1,2,3−シクロプロパントリイリデントリス[4−シアノ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’−1,2,3−シクロプロパントリイリデントリス[2,6−ジクロロ−3,5−ジフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’−1,2,3−シクロプロパントリイリデントリス[2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンアセトニトリル]などが挙げられる。アクセプタ性を有する物質としては以上で述べた有機化合物以外にも、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物を用いることができる。
また、正孔注入層111は、上記アクセプタ性を有する材料と、正孔輸送性を有する有機化合物とを含む複合材料により形成することが好ましい。
複合材料に用いる正孔輸送性を有する有機化合物としては、芳香族アミン化合物、複素芳香族化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる正孔輸送性を有する有機化合物としては、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する有機化合物であることが好ましい。複合材料に用いられる正孔輸送性を有する有機化合物は、縮合芳香族炭化水素環、または、π電子過剰型複素芳香環を有する化合物であることが好ましい。縮合芳香族炭化水素環としては、アントラセン環、ナフタレン環等が好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環としては、ピロール骨格、フラン骨格、チオフェン骨格の少なくともいずれか1を環に含む縮合芳香環が好ましく、具体的にはカルバゾール環、ジベンゾチオフェン環あるいはそれらにさらに芳香環または複素芳香環が縮合した環が好ましい。
このような正孔輸送性を有する有機化合物としては、カルバゾール骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオフェン骨格およびアントラセン骨格のいずれかを有していることがより好ましい。特に、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環を含む置換基を有する芳香族アミン、ナフタレン環を有する芳香族モノアミン、または9−フルオレニル基がアリーレン基を介してアミンの窒素に結合する芳香族モノアミンであっても良い。なお、これら正孔輸送性を有する有機化合物が、N,N−ビス(4−ビフェニル)アミノ基を有する物質であると、寿命の良好な発光デバイスを作製することができるため好ましい。
以上のような正孔輸送性を有する有機化合物としては、具体的には、N−(4−ビフェニル)−6,N−ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BnfABP)、N,N−ビス(4−ビフェニル)−6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BBABnf)、4,4’−ビス(6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:BnfBB1BP)、N,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−アミン(略称:BBABnf(6))、N,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−アミン(略称:BBABnf(8))、N,N−ビス(4−ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3−d]フラン−4−アミン(略称:BBABnf(II)(4))、N,N−ビス[4−(ジベンゾフラン−4−イル)フェニル]−4−アミノ−p−ターフェニル(略称:DBfBB1TP)、N−[4−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−N−フェニル−4−ビフェニルアミン(略称:ThBA1BP)、4−(2−ナフチル)−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNB)、4−[4−(2−ナフチル)フェニル]−4’,4’’−ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNBi)、4,4’−ジフェニル−4’’−(6;1’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB)、4,4’−ジフェニル−4’’−(7;1’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB−03)、4,4’−ジフェニル−4’’−(7−フェニル)ナフチル−2−イルトリフェニルアミン(略称:BBAPβNB−03)、4,4’−ジフェニル−4’’−(6;2’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B)、4,4’−ジフェニル−4’’−(7;2’−ビナフチル−2−イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B−03)、4,4’−ジフェニル−4’’−(4;2’−ビナフチル−1−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB)、4,4’−ジフェニル−4’’−(5;2’−ビナフチル−1−イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB−02)、4−(4−ビフェニリル)−4’−(2−ナフチル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNB)、4−(3−ビフェニリル)−4’−[4−(2−ナフチル)フェニル]−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:mTPBiAβNBi)、4−(4−ビフェニリル)−4’−[4−(2−ナフチル)フェニル]−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNBi)、4−フェニル−4’−(1−ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBA1BP)、4,4’−ビス(1−ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBB1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−[4’−(カルバゾール−9−イル)ビフェニル−4−イル]トリフェニルアミン(略称:YGTBi1BP)、4’−[4−(3−フェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]トリス(ビフェニル−4−イル)アミン(略称:YGTBi1BP−02)、4−[4’−(カルバゾール−9−イル)ビフェニル−4−イル]−4’−(2−ナフチル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:YGTBiβNB)、N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−アミン(略称:PCBNBSF)、N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−アミン(略称:BBASF)、N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−4−アミン(略称:BBASF(4))、N−(ビフェニル−2−イル)−N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−4−アミン(略称:oFBiSF)、N−(ビフェニル−4−イル)−N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)ジベンゾフラン−4−アミン(略称:FrBiF)、N−[4−(1−ナフチル)フェニル]−N−[3−(6−フェニルジベンゾフラン−4−イル)フェニル]−1−ナフチルアミン(略称:mPDBfBNBN)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−[4−(9−フェニルフルオレン−9−イル)フェニル]トリフェニルアミン(略称:BPAFLBi)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−アミン(略称:PCBASF)、N−(ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−4−アミン、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−3−アミン、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−2−アミン、N,N−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビ−9H−フルオレン−1−アミン等を挙げることができる。
また、正孔輸送性を有する材料としては、その他芳香族アミン化合物として、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を用いることもができる。
正孔注入層111を形成することによって、正孔の注入性が良好となり、駆動電圧の小さい発光デバイスを得ることができる。
なお、アクセプタ性を有する物質の中でもアクセプタ性を有する有機化合物は蒸着が容易で成膜がしやすいため、用いやすい材料である。
正孔輸送層112は、正孔輸送性を有する有機化合物を含んで形成される。正孔輸送性を有する有機化合物としては、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有していることが好ましい。
上記正孔輸送性を有する材料としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル(略称:TPD)、N,N’−ビス(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−イル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−アミン(略称:PCBASF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、9,9’−ジフェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール(略称:PCCP)、9,9’−ビス(ビフェニル−4−イル)−3,3’−ビ−9H−カルバゾール(略称:BisBPCz)、9,9’−ビス(ビフェニル−3−イル)−3,3’−ビ−9H−カルバゾール(略称:BismBPCz)、9−(ビフェニル−3−イル)−9’−(ビフェニル−4−イル)−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール(略称:mBPCCBP)、9−(2−ナフチル)−9’−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール(略称:βNCCP)、9−(3−ビフェニル)−9’−(2−ナフチル)−3,3’−ビ−9H−カルバゾール(略称:βNCCmBP)、9−(4−ビフェニル)−9’−(2−ナフチル)−3,3’−ビ−9H−カルバゾール(略称:βNCCBP)、9,9’−ジ−2−ナフチル−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール(略称:BisβNCz)、9−(2−ナフチル)−9’−[1,1’:4’,1”−ターフェニル]−3−イル−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール、9−(2−ナフチル)−9’−[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−3−イル−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール、9−(2−ナフチル)−9’−[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−5’−イル−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール、9−(2−ナフチル)−9’−[1,1’:4’,1”−ターフェニル]−4−イル−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール、9−(2−ナフチル)−9’−[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−4−イル−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール、9−(2−ナフチル)−9’−(トリフェニレン−2−イル)−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール、9−フェニル−9’−(トリフェニレン−2−イル)−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール(略称:PCCzTp)、9,9’−ビス(トリフェニレン−2−イル)−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール、9−(4−ビフェニル)−9’−(トリフェニレン−2−イル)−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール、9−(トリフェニレン−2−イル)−9’−[1,1’:3’,1”−ターフェニル]−4−イル−3,3’−9H,9’H−ビカルバゾール、9−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]フェナントレン(略称:PcPPn)などのカルバゾール骨格を有する化合物、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)などのチオフェン骨格を有する化合物、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物、カルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。なお、正孔注入層111の複合材料に用いられる正孔輸送性を有する材料として挙げた物質も正孔輸送層112を構成する材料として好適に用いることができる。
発光層113は発光物質を有する層であり、発光物質とホスト材料とを有していることが好ましい。なお、発光層は、その他の材料を同時に含んでいても構わない。また、組成の異なる2層の積層であってもよい。
発光物質は蛍光発光物質であっても、りん光発光物質であっても、熱活性化遅延蛍光(TADF)を示す物質であっても、その他の発光物質であっても構わない。
発光層において、蛍光発光物質として用いることが可能な材料としては、例えば以下のようなものが挙げられる。また、これ以外の蛍光発光物質も用いることができる。
5,6−ビス[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6−ビス[4’−(10−フェニル−9−アントリル)ビフェニル−4−イル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン)略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、N,N’−ジフェニル−N,N’−(1,6−ピレン−ジイル)ビス[(6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン)−8−アミン](略称:1,6BnfAPrn−03)、3,10−ビス[N−(9−フェニル−9H−カルバゾール−2−イル)−N−フェニルアミノ]ナフト[2,3−b;6,7−b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)−02)、3,10−ビス[N−(ジベンゾフラン−3−イル)−N−フェニルアミノ]ナフト[2,3−b;6,7−b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10FrA2Nbf(IV)−02)などが挙げられる。特に、1,6FLPAPrnおよび1,6mMemFLPAPrn、1,6BnfAPrn−03のようなピレンジアミン化合物に代表される縮合芳香族ジアミン化合物は、ホールトラップ性が高く、発光効率または信頼性に優れているため好ましい。
また、5,9−ジフェニル−5,9−ジアザ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(略称:DABNA1)、9−(ビフェニル−3−イル)−N,N,5,11−テトラフェニル−5,9−ジヒドロ−5,9−ジアザ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−3−アミン(略称:DABNA2)、2,12−ジ(tert−ブチル)−5,9−ジ(4−tert−ブチルフェニル)−N,N−ジフェニル−5H,9H−[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4−kl]フェナザボリン−7−アミン(略称:DPhA−tBu4DABNA)、2,12−ジ(tert−ブチル)−N,N,5,9−テトラ(4−tert−ブチルフェニル)−5H,9H−[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4−kl]フェナザボリン−7−アミン(略称:tBuDPhA−tBu4DABNA)、2,12−ジ(tert−ブチル)−5,9−ジ(4−tert−ブチルフェニル)−7−メチル−5H,9H−[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4−kl]フェナザボリン(略称:Me−tBu4DABNA)、N,N,N13,N13,5,9,11,15−オクタフェニル−5H,9H,11H,15H−[1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4−kl][1,4]ベンズアザボリノ[4’,3’,2’:4,5][1,4]ベンズアザボリノ[3,2−b]フェナザボリン−7,13−ジアミン(略称:ν−DABNA)、2−(4−tert−ブチルフェニル)ベンズ[5,6]インドロ[3,2,1−jk]ベンゾ[b]カルバゾール(略称:tBuPBibc)などの窒素とホウ素を含む縮合複素芳香族化合物、特にジアザ−ボラナフト−アントラセン骨格を有する化合物が発光スペクトルの幅が狭く、色純度の良好な青色発光を得られるため好適に用いることができる。
また、これらの他、9,10,11−トリス[3,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−9H−カルバゾリル−9−イル]−2,5,15,18−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)インドロ[3,2,1−de]インドロ[3’,2’,1’:8,1][1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4−kl]フェナザボリン(略称:BBCz−G)、9,11−ビス[3,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−9H−カルバゾリル−9−イル]−2,5,15,18−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)インドロ[3,2,1−de]インドロ[3’,2’,1’:8,1][1,4]ベンズアザボリノ[2,3,4−kl]フェナザボリン(略称:BBCz−Y)などを好適に用いる事ができる。
発光層において、発光物質としてりん光発光物質を用いる場合、用いることが可能な材料としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz−dmp)])、トリス(5−メチル−3,4−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)])のような4H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス[3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1−mp)])、トリス(1−メチル−5−フェニル−3−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1−Me)])のような1H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体、fac−トリス[1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpim)])、トリス[3−(2,6−ジメチルフェニル)−7−メチルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt−Me)])、トリス(2−{1−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−1H−イミダゾール−2−イル−κN3}−4−シアノフェニル−κC)(略称:CNImIr)のようなイミダゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス[(6−tert−ブチル−3−フェニル−2H−イミダゾ[4,5−b]ピラジン−1−イル−κC2)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(cb)])のようなベンズイミダゾリデン骨格を有する有機金属錯体、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CFppy)(pic)])、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)のような電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。これらは青色のりん光発光を示す化合物であり、450nmから520nmまでの波長域において発光のピークを有する化合物である。
また、トリス(4−メチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)])、トリス(4−t−ブチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)])、(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6−(2−ノルボルニル)−4−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5−メチル−6−(2−メチルフェニル)−4−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)(acac)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr−Me)(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr−iPr)(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)])、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)])、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)])、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)(acac)])、[2−d3−メチル−8−(2−ピリジニル−κN)ベンゾフロ[2,3−b]ピリジン−κC]ビス[2−(5−d3−メチル−2−ピリジル−κN2)フェニル−κ]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mppy−d(mbfpypy−d)])、[2−d3−メチル−(2−ピリジニル−κN)ベンゾフロ[2,3−b]ピリジン−κC]ビス[2−(2−ピリジニル−κN)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)(mbfpypy−d)])、[2−(4−d3−メチル−5−フェニル−2−ピリジニル−κN2)フェニル−κC]ビス[2−(5−d3−メチル−2−ピリジニル−κN2)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mppy−d(mdppy−d)])、[2−メチル−(2−ピリジニル−κN)ベンゾフロ[2,3−b]ピリジン−κC]ビス[2−(2−ピリジニル−κN)フェニル−κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)(mbfpypy)])、[2−(4−メチル−5−フェニル−2−ピリジニル−κN)フェニル−κC]ビス[2−(2−ピリジニル−κN)フェニル−κC]イリジウム(略称:[Ir(ppy)(mdppy)])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。これらは主に緑色のりん光発光を示す化合物であり、500nmから600nmまでの波長域において発光のピークを有する。なお、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性または発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。
また、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)(dibm)])、ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)(dpm)])、ビス[4,6−ジ(ナフタレン−1−イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)(dpm)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(acac)])、ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)])、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)(acac)])、(3,7−ジエチル−4,6−ノナンジオナト−κO4,κO6)ビス[2,4−ジメチル−6−[7−(1−メチルエチル)−1−イソキノリニル−κN]フェニル−κC]イリジウム(III)、(3,7−ジエチル−4,6−ノナンジオナト−κO4,κO6)ビス[2,4−ジメチル−6−[5−(1−メチルエチル)−2−キノリニル−κN]フェニル−κC]イリジウム(III)のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)のような白金錯体、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)(Phen)])、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。これらは、赤色のりん光発光を示す化合物であり、600nmから700nmまでの波長域において発光のピークを有する。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度の良い赤色発光が得られる。
また、以上で述べたりん光性化合物の他、公知のりん光性化合物を選択し、用いてもよい。
TADF材料としてはフラーレン及びその誘導体、アクリジン及びその誘導体、エオシン誘導体等を用いることができる。またマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。該金属含有ポルフィリンとしては、例えば、以下の構造式に示されるプロトポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(Proto IX))、メソポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(Meso IX))、ヘマトポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル−フッ化スズ錯体(SnF(Copro III−4Me))、オクタエチルポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(OEP))、エチオポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(Etio I))、オクタエチルポルフィリン−塩化白金錯体(PtClOEP)等も挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
また、以下の構造式に示される2−(ビフェニル−4−イル)−4,6−ビス(12−フェニルインドロ[2,3−a]カルバゾール−11−イル)−1,3,5−トリアジン(略称:PIC−TRZ)、9−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−9’−フェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール(略称:PCCzTzn)、2−{4−[3−(N−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール−9−イル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2−[4−(10H−フェノキサジン−10−イル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PXZ−TRZ)、3−[4−(5−フェニル−5,10−ジヒドロフェナジン−10−イル)フェニル]−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール(略称:PPZ−3TPT)、3−(9,9−ジメチル−9H−アクリジン−10−イル)−9H−キサンテン−9−オン(略称:ACRXTN)、ビス[4−(9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC−DPS)、10−フェニル−10H,10’H−スピロ[アクリジン−9,9’−アントラセン]−10’−オン(略称:ACRSA)、等のπ電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環の一方または両方を有する複素環化合物も用いることができる。該複素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が共に高く、好ましい。中でも、π電子不足型複素芳香環を有する骨格のうち、ピリジン骨格、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)、およびトリアジン骨格は、安定で信頼性が良好なため好ましい。特に、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾチエノピリミジン骨格、ベンゾフロピラジン骨格、ベンゾチエノピラジン骨格はアクセプタ性が高く、信頼性が良好なため好ましい。また、π電子過剰型複素芳香環を有する骨格の中でも、アクリジン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格、フラン骨格、チオフェン骨格、及びピロール骨格は、安定で信頼性が良好なため、当該骨格の少なくとも一を有することが好ましい。なお、フラン骨格としてはジベンゾフラン骨格が、チオフェン骨格としてはジベンゾチオフェン骨格が、それぞれ好ましい。また、ピロール骨格としては、インドール骨格、カルバゾール骨格、インドロカルバゾール骨格、ビカルバゾール骨格、3−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール骨格が特に好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環の電子供与性とπ電子不足型複素芳香環の電子受容性が共に強くなり、S1準位とT1準位のエネルギー差が小さくなるため、熱活性化遅延蛍光を効率よく得られることから特に好ましい。なお、π電子不足型複素芳香環の代わりに、シアノ基のような電子吸引基が結合した芳香環を用いても良い。また、π電子過剰型骨格として、芳香族アミン骨格、フェナジン骨格等を用いることができる。また、π電子不足型骨格として、キサンテン骨格、チオキサンテンジオキサイド骨格、オキサジアゾール骨格、トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、アントラキノン骨格、フェニルボラン、ボラントレン等の含ホウ素骨格、ベンゾニトリルまたはシアノベンゼン等のニトリル基またはシアノ基を有する芳香環、複素芳香環、ベンゾフェノン等のカルボニル骨格、ホスフィンオキシド骨格、スルホン骨格等を用いることができる。このように、π電子不足型複素芳香環およびπ電子過剰型複素芳香環の少なくとも一方の代わりにπ電子不足型骨格およびπ電子過剰型骨格を用いることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
なお、TADF材料とは、S準位とT準位との差が小さく、逆項間交差によって三重項励起エネルギーから一重項励起エネルギーへエネルギーを変換することができる機能を有する材料である。そのため、三重項励起エネルギーをわずかな熱エネルギーによって一重項励起エネルギーにアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態を効率よく生成することができる。また、三重項励起エネルギーを発光に変換することができる。
また、2種類の物質で励起状態を形成する励起錯体(エキサイプレックス、エキシプレックスまたはExciplexともいう)は、S準位とT準位との差が極めて小さく、三重項励起エネルギーを一重項励起エネルギーに変換することが可能なTADF材料としての機能を有する。
なお、T準位の指標としては、低温(例えば77Kから10K)で観測されるりん光スペクトルを用いればよい。TADF材料としては、その蛍光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをS準位とし、りん光スペクトルの短波長側の裾において接線を引き、その外挿線の波長のエネルギーをT準位とした際に、そのSとTの差が0.3eV以下であることが好ましく、0.2eV以下であることがさらに好ましい。
また、TADF材料を発光物質として用いる場合、ホスト材料のS準位はTADF材料のS準位より高い方が好ましい。また、ホスト材料のT準位はTADF材料のT準位より高いことが好ましい。
発光層のホスト材料としては、電子輸送性を有する材料および/または正孔輸送性を有する材料、上記TADF材料など様々なキャリア輸送材料を用いることができる。
正孔輸送性を有する材料としては、アミン骨格、π電子過剰型複素芳香環骨格を有する有機化合物などが好ましい。π電子過剰型複素芳香環としては、アクリジン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格、フラン骨格、チオフェン骨格、及びピロール骨格の少なくともいずれか1を環に含む縮合芳香環が好ましく、具体的にはカルバゾール環、ジベンゾチオフェン環あるいはそれらにさらに芳香環または複素芳香環が縮合した環が好ましい。
このような正孔輸送性を有する有機化合物としては、カルバゾール骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾチオフェン骨格およびアントラセン骨格のいずれかを有していることがより好ましい。特に、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環を含む置換基を有する芳香族アミン、ナフタレン環を有する芳香族モノアミン、または9−フルオレニル基がアリーレン基を介してアミンの窒素に結合する芳香族モノアミンであっても良い。なお、これら正孔輸送性を有する有機化合物が、N,N−ビス(4−ビフェニル)アミノ基を有する物質であると、寿命の良好な発光デバイスを作製することができるため好ましい。
このような有機化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル(略称:TPD)、N,N’−ビス(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−イル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−アミン(略称:PCBASF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、9,9’−ジフェニル−9H,9’H−3,3’−ビカルバゾール(略称:PCCP)などのカルバゾール骨格を有する化合物、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)などのチオフェン骨格を有する化合物、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物またはカルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。また、正孔輸送層における、正孔輸送性を有する材料の例として挙げた有機化合物も用いることができる。
電子輸送性を有する材料としては例えば、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、π電子不足型複素芳香環を有する有機化合物が好ましい。π電子不足型複素芳香環骨格を有する有機化合物としては、例えばポリアゾール骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物およびトリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物を挙げることができる。
中でも、ジアジン骨格(ピリミジン骨格、ピラジン骨格、ピリダジン骨格)を有する複素芳香環を含む有機化合物またはピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンまたはピラジン)骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。また、ベンゾフロピリミジン骨格、ベンゾチエノピリミジン骨格、ベンゾフロピラジン骨格、ベンゾチエノピラジン骨格はアクセプター性が高く、信頼性が良好なため好ましい。
π電子不足型複素芳香環骨格を有する有機化合物としては、例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などのアゾール骨格を有する有機化合物、3,5−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5−トリ[3−(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,9−ジ(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:NBphen)、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス(9−フェニル−1,10−フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)、2−[3−(2−トリフェニレニル)フェニル]−1,10−フェナントロリン(略称:mTpPPhen)、2−フェニル−9−(2−トリフェニレニル)−1,10−フェナントロリン(略称:Ph−TpPhen)、2−[4−(9−フェナントレニル)−1−ナフタレニル]−1,10−フェナントロリン(略称:PnNPhen)、2−[4−(2−トリフェニレニル)フェニル]−1,10−フェナントロリン(略称:pTpPPhen)などのピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[3−(3’−ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、2−[3’−(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2−[4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−3,1’−ビフェニル−1−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mpPCBPDBq)、2−[4−(3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq−III)、7−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq−II)、及び6−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq−II)、9−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3−b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr)、9−[(3’−ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−4−イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3−b]ピラジン(略称:9pmDBtBPNfpr)、4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6−ビス[3−(4−ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm−II)、4,6−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)、9,9’−[ピリミジン−4,6−ジイルビス(ビフェニル−3,3’−ジイル)]ビス(9H−カルバゾール)(略称:4,6mCzBP2Pm)、8−(ビフェニル−4−イル)−4−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−[1]ベンゾフロ[3,2−d]ピリミジン(略称:8BP−4mDBtPBfpm)、3,8−ビス[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ベンゾフロ[2,3−b]ピラジン(略称:3,8mDBtP2Bfpr)、4,8−ビス[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−[1]ベンゾフロ[3,2−d]ピリミジン(略称:4,8mDBtP2Bfpm)、8−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)(ビフェニル−3−イル)]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン(略称:8mDBtBPNfpm)、8−[(2,2’−ビナフタレン)−6−イル]−4−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−[1]ベンゾフロ[3,2−d]ピリミジン(略称:8(βN2)−4mDBtPBfpm)、2,2’−(ピリジン−2,6−ジイル)ビス(4−フェニルベンゾ[h]キナゾリン)(略称:2,6(P−Bqn)2Py)、2,2’−(ピリジン−2,6−ジイル)ビス{4−[4−(2−ナフチル)フェニル]−6−フェニルピリミジン}(略称:2,6(NP−PPm)2Py)、6−(ビフェニル−3−イル)−4−[3,5−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−2−フェニルピリミジン(略称:6mBP−4Cz2PPm)、2,6−ビス(4−ナフタレン−1−イルフェニル)−4−[4−(3−ピリジル)フェニル]ピリミジン(略称:2,4NP−6PyPPm)、4−[3,5−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−2−フェニル−6−(ビフェニル−4−イル)ピリミジン(略称:6BP−4Cz2PPm)、7−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−2−イル)キナゾリン−2−イル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:PC−cgDBCzQz)などのジアジン骨格を有する有機化合物、2−(ビフェニル−4−イル)−4−フェニル−6−(9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−イル)−1,3,5−トリアジン(略称:BP−SFTzn)、2−{3−[3−(ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)フェニル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mBnfBPTzn)、2−{3−[3−(ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−イル)フェニル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mBnfBPTzn−02)、2−{4−[3−(N−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール−9−イル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PCCzPTzn)、9−[3−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]−9’−フェニル−2,3’−ビ−9H−カルバゾール(略称:mPCCzPTzn−02)、2−[3’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mFBPTzn)、5−[3−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]−7,7−ジメチル−5H,7H−インデノ[2,1−b]カルバゾール(略称:mINc(II)PTzn)、2−{3−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mDBtBPTzn)、2,4,6−トリス[3’−(ピリジン−3−イル)ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジン(略称:TmPPPyTz)、2−[3−(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)−5−(9−フェナントレニル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mPn−mDMePyPTzn)、11−[4−(ビフェニル−4−イル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル]−11,12−ジヒドロ−12−フェニル−インドロ[2,3−a]カルバゾール(略称:BP−Icz(II)Tzn)、2−[3’−(トリフェニレン−2−イル)ビフェニル−3−イル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:mTpBPTzn)、3−[9−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−2−ジベンゾフラニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCDBfTzn)、2−(ビフェニル−3−イル)−4−フェニル−6−{8−[(1,1’:4’,1’’−ターフェニル)−4−イル]−1−ジベンゾフラニル}−1,3,5−トリアジン(略称:mBP−TPDBfTzn)などのトリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物が挙げられる。また、ジアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物またはピリジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンまたはピラジン)骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物、トリアジン骨格を有する複素芳香環を含む有機化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
ホスト材料として用いることが可能なTADF材料としては、先にTADF材料として挙げたものを同様に用いることができる。TADF材料をホスト材料として用いると、TADF材料で生成した三重項励起エネルギーが、逆項間交差によって一重項励起エネルギーに変換され、さらに発光物質へエネルギー移動することで、発光デバイスの発光効率を高めることができる。このとき、TADF材料がエネルギードナーとして機能し、発光物質がエネルギーアクセプターとして機能する。
これは、上記発光物質が蛍光発光物質である場合に、非常に有効である。また、このとき、高い発光効率を得るためには、TADF材料のS準位は、蛍光発光物質のS準位より高いことが好ましい。また、TADF材料のT準位は、蛍光発光物質のS準位より高いことが好ましい。したがって、TADF材料のT準位は、蛍光発光物質のT準位より高いことが好ましい。
また、蛍光発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈するTADF材料を用いることが好ましい。そうすることで、TADF材料から蛍光発光物質への励起エネルギーの移動がスムーズとなり、効率よく発光が得られるため、好ましい。
また、効率良く三重項励起エネルギーから逆項間交差によって一重項励起エネルギーが生成されるためには、TADF材料でキャリア再結合が生じることが好ましい。また、TADF材料で生成した三重項励起エネルギーが蛍光発光物質の三重項励起エネルギーに移動しないことが好ましい。そのためには、蛍光発光物質は、蛍光発光物質が有する発光団(発光の原因となる骨格)の周囲に保護基を有すると好ましい。該保護基としては、π結合を有さない置換基が好ましく、飽和炭化水素が好ましく、具体的には炭素数3以上10以下のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素数3以上10以下のトリアルキルシリル基が挙げられ、保護基が複数あるとさらに好ましい。π結合を有さない置換基は、キャリアを輸送する機能に乏しいため、キャリア輸送またはキャリア再結合に影響をほとんど与えずに、TADF材料と蛍光発光物質の発光団との距離を遠ざけることができる。ここで、発光団とは、蛍光発光物質において発光の原因となる原子団(骨格)を指す。発光団は、π結合を有する骨格が好ましく、芳香環を含むことが好ましく、縮合芳香環または縮合複素芳香環を有すると好ましい。このような発光団としては、例えば、フェナントレン骨格、スチルベン骨格、アクリドン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、フルオレン骨格、クリセン骨格、トリフェニレン骨格、テトラセン骨格、ピレン骨格、ペリレン骨格、クマリン骨格、キナクリドン骨格、ナフトビスベンゾフラン骨格等が挙げられる。特にナフタレン骨格、アントラセン骨格、フルオレン骨格、クリセン骨格、トリフェニレン骨格、テトラセン骨格、ピレン骨格、ペリレン骨格、クマリン骨格、キナクリドン骨格、ナフトビスベンゾフラン骨格を有する蛍光発光物質は蛍光量子収率が高いため好ましい。
蛍光発光物質を発光物質として用いる場合、ホスト材料としては、アントラセン骨格を有する材料が好適である。アントラセン骨格を有する物質を蛍光発光物質のホスト材料として用いると、発光効率、耐久性共に良好な発光層を実現することが可能である。ホスト材料として用いるアントラセン骨格を有する物質としては、ジフェニルアントラセン骨格、特に9,10−ジフェニルアントラセン骨格を有する物質が化学的に安定であるため好ましい。また、ホスト材料がカルバゾール骨格を有する場合、正孔の注入・輸送性が高まるため好ましいが、カルバゾールにベンゼン環がさらに縮合したベンゾカルバゾール骨格を含む場合、カルバゾールよりもHOMO準位が0.1eV程度浅くなり、正孔が入りやすくなるためより好ましい。特に、ホスト材料がジベンゾカルバゾール骨格を含む場合、カルバゾールよりもHOMO準位が0.1eV程度浅くなり、正孔が入りやすくなる上に、正孔輸送性にも優れ、耐熱性も高くなるため好適である。したがって、さらにホスト材料として好ましいのは、9,10−ジフェニルアントラセン骨格およびカルバゾール骨格(あるいはベンゾカルバゾール骨格またはジベンゾカルバゾール骨格)を同時に有する物質である。なお、上記の正孔注入・輸送性の観点から、カルバゾール骨格に換えて、ベンゾフルオレン骨格またはジベンゾフルオレン骨格を用いてもよい。このような物質の例としては、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、3−[4−(1−ナフチル)フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPN)、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9−フェニル−10−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ビフェニル−4’−イル]アントラセン(略称:FLPPA)、9−(1−ナフチル)−10−[4−(2−ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN−βNPAnth)、9−(1−ナフチル)−10−(2−ナフチル)アントラセン(略称:α,βADN)、2−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ジベンゾフラン、2−(10−フェニル−9−アントラセニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3−d]フラン(略称:Bnf(II)PhA)、9−(2−ナフチル)−10−[3−(2−ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:βN−mβNPAnth)、1−{4−[10−(ビフェニル−4−イル)−9−アントラセニル]フェニル}−2−エチル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:EtBImPBPhA)、等が挙げられる。特に、CzPA、cgDBCzPA、2mBnfPPA、PCzPAは非常に良好な特性を示すため、好ましい選択である。
なお、ホスト材料は複数種の物質を混合した材料であっても良く、混合したホスト材料を用いる場合は、電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料とを混合することが好ましい。電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料を混合することによって、発光層113の輸送性を容易に調整することができ、再結合領域の制御も簡便に行うことができる。正孔輸送性を有する材料と電子輸送性を有する材料の含有量の重量比は、正孔輸送性を有する材料:電子輸送性を有する材料=1:19~19:1とすればよい。
なお、上記混合された材料の一部として、りん光発光物質を用いることができる。りん光発光物質は、発光物質として蛍光発光物質を用いる際に蛍光発光物質へ励起エネルギーを供与するエネルギードナーとして用いることができる。
また、これら混合された材料同士で励起錯体を形成しても良い。当該励起錯体は発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光が得られるため好ましい。また、当該構成を用いることで駆動電圧も低下するため好ましい。
なお、励起錯体を形成する材料の少なくとも一方は、りん光発光物質であってもよい。そうすることで、三重項励起エネルギーを逆項間交差によって効率よく一重項励起エネルギーへ変換することができる。
効率よく励起錯体を形成する材料の組み合わせとしては、正孔輸送性を有する材料のHOMO準位が電子輸送性を有する材料のHOMO準位以上であると好ましい。また、正孔輸送性を有する材料のLUMO準位が電子輸送性を有する材料のLUMO準位以上であると好ましい。なお、材料のLUMO準位およびHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定される材料の電気化学特性(還元電位および酸化電位)から導出することができる。
なお、励起錯体の形成は、例えば正孔輸送性を有する材料の発光スペクトル、電子輸送性を有する材料の発光スペクトル、およびこれら材料を混合した混合膜の発光スペクトルを比較し、混合膜の発光スペクトルが、各材料の発光スペクトルよりも長波長シフトする(あるいは長波長側に新たなピークを持つ)現象を観測することにより確認することができる。あるいは、正孔輸送性を有する材料の過渡フォトルミネッセンス(PL)、電子輸送性を有する材料の過渡PL、及びこれら材料を混合した混合膜の過渡PLを比較し、混合膜の過渡PL寿命が、各材料の過渡PL寿命よりも長寿命成分を有する、あるいは遅延成分の割合が大きくなるなどの過渡応答の違いを観測することにより、確認することができる。また、上述の過渡PLは過渡エレクトロルミネッセンス(EL)と読み替えても構わない。すなわち、正孔輸送性を有する材料の過渡EL、電子輸送性を有する材料の過渡EL及びこれらの混合膜の過渡ELを比較し、過渡応答の違いを観測することによっても、励起錯体の形成を確認することができる。
電子輸送層114の構成は、実施の形態1で詳しく説明したため、繰り返しとなる説明は省略する。
なお、電子輸送層114は積層構造を有していてもよい。電子輸送層114が積層構造を有する場合、積層された全ての層が、実施の形態1に示したような構成であることが好ましい。
電子輸送層114と第2の電極102との間には、電子注入層115が形成されている。電子注入層115の構成は、実施の形態1で詳しく説明したため繰り返しとなる説明は省略する。
第2の電極102は、陰極を含む電極である。第2の電極102は、積層構造を有していてもよく、その場合、EL層103と接する層が陰極として機能する。陰極を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、リチウム(Li)またはセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等の元素周期表の第1族または第2族に属する元素、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、化合物(フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)など)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極102と電子輸送層との間に、電子注入層115または上述仕事関数の小さい材料の薄膜を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、ケイ素若しくは酸化ケイ素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を陰極として用いることができる。
なお、第2の電極102を可視光に対し透過性を有する材料で形成した場合、第2の電極102側から、第1の電極101を可視光に対し透過性を有する材料で形成した場合、第1の電極101側から、光を発する発光デバイスとすることができる。
これら導電性材料は、真空蒸着法またはスパッタリング法などの乾式法、インクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。また、ゾル−ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料のペーストを用いて湿式法で形成してもよい。
また、EL層103の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。例えば、真空蒸着法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。
また上述した各電極または各層を異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
続いて、複数の発光ユニットを積層した構成の発光デバイス(積層型デバイス、タンデム型デバイスともいう)の態様について、図2Bを参照して説明する。この発光デバイスは、陽極と陰極との間に、複数の発光ユニットを有する発光デバイスである。一つの発光ユニットは、図2Aで示したEL層103とほぼ同様な構成を有する。つまり、図2Bで示す発光デバイスは複数の発光ユニットを有する発光デバイスであり、図2Aで示した発光デバイスは、1つの発光ユニットを有する発光デバイスであるということができる。
図2Bにおいて、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されており、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512との間には中間層116が設けられている。第1の電極501と第2の電極502はそれぞれ図2Aにおける第1の電極101と第2の電極102に相当し、図2Aの説明で述べたものと同じものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよい。
中間層116は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する。すなわち、図2Bにおいて、陽極の電位の方が陰極の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、中間層116は、第1の発光ユニット511に電子を注入し、第2の発光ユニット512に正孔を注入するものであればよい。
中間層116には、電荷発生層が含まれている。また、電荷発生層には少なくともP型層117が含まれる。P型層117は、上述の正孔注入層111を構成することができる材料として挙げた複合材料を用いて形成することが好ましい。またP型層117は、複合材料を構成する材料として上述したアクセプタ材料を含む膜と正孔輸送材料を含む膜とを積層して構成しても良い。P型層117に電位をかけることによって、電子輸送層114に電子が、陰極に正孔が注入され、発光デバイスが動作する。
なお、中間層116はP型層117の他に電子リレー層118及びN型層119のいずれか一又は両方がもうけられていることが好ましい。
電子リレー層118は少なくとも電子輸送性を有する物質を含み、N型層119とP型層117との相互作用を防いで電子をスムーズに受け渡す機能を有する。電子リレー層118に含まれる電子輸送性を有する物質のLUMO準位は、P型層117におけるアクセプタ性物質のLUMO準位と、電子輸送層114における中間層116に接する層に含まれる物質のLUMO準位との間であることが好ましい。電子リレー層118に用いられる電子輸送性を有する物質におけるLUMO準位の具体的なエネルギー準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。なお、電子リレー層118に用いられる電子輸送性を有する物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
N型層119には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウム、炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
また、N型層119が、電子輸送性を有する物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、ドナー性物質として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウム、炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン、等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性を有する物質としては、先に説明した電子輸送層114を構成する材料と同様の材料を用いて形成することができる。
また、N型層119と同じ位置にN型層119の代わりに、実施の形態1において、電子注入層に用いるとして説明した塩基性の強い有機化合物を含む層を形成してもよい。この構成である場合も、タンデム型の発光デバイスを作製することができる。
この場合、塩基性の強い有機化合物を含む層をN型層119の代わりに用いたタンデム型の発光デバイスは電圧が印加されても、塩基性の強い有機化合物はドナーとして機能しないことから、塩基性の強い有機化合物を含む層(以下この層をDLLと称する)では電子が発生しない。一方で、陽極から第1の発光ユニットに注入された正孔は、DLLまたは第1の発光ユニットの発光層から電子輸送層の間に蓄積する。
電圧の印加、および正孔の蓄積により、P型層117から電子が誘起されるが、P型層117で誘起された電子は、初期状態ではP型層117に含まれるアクセプタ性を有する材料とDLLに含まれる電子輸送性を有する材料のLUMO準位の差が大きいことから、P型層117におけるDLL側の界面に蓄積する(なお、DLLが電子輸送性を有する材料を含まない場合、すなわち強塩基性を有する有機化合物の単膜の場合は、P型層117で発生した電子は、強塩基性を有する有機化合物の単膜側に蓄積する)。蓄積した電子は、DLLまたは第1の発光ユニットの発光層から電子輸送層の間に蓄積した正孔と共に電気二重層を形成し、電気双極子が発生する。
この結果、真空準位のシフトが起こり、P型層117に含まれるアクセプタ性を有する材料とDLLの電子輸送性を有する材料のLUMO準位が近づき、P型層117で発生した電子がDLLに注入されるようになる。DLLに注入された電子が、さらに発光ユニット1に注入され、第1の発光層に到達し再結合することにより発光ユニット1で発光が得られ、強塩基性を有する有機化合物を含むDLLをN型層119の代わりに用いた発光デバイスは、タンデム型の発光デバイスとして機能することが可能となる。
なお、この際、第1の発光ユニット511の電子輸送層は、バイポーラ性を有することが好ましい。これは、本発明の一態様の発光デバイスでは、DLLが酸解離定数pKaが8以上の強塩基性を有する有機化合物を含むことによって、正孔を捕捉することでブロックするが、電子輸送層は、バイポーラ性を有することでDLLまで速やかに正孔を輸送されるため、駆動電圧の低減が実現するからである。なお、第1の発光ユニット511の電子輸送層は、実施の形態1で説明した電子注入層と同様に、電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物との混合層であってもよいが、電子輸送性を正孔輸送性の両方を有する一物質であることが特性の良好なタンデム型発光デバイスを得ることができることから好ましい構成である。なお、電子輸送性を正孔輸送性の両方を有する物質は、電子輸送性を有する骨格と、正孔輸送性を有する骨格との両方を有する有機化合物であることが好ましい。また、電子輸送性を有する骨格としてはπ電子不足型複素芳香環骨格、正孔輸送性を有する骨格としてはπ電子過剰型複素芳香環またはアリールアミン骨格であることが好ましい。
なお、発光ユニットの陽極側の面が中間層116に接している場合は、中間層116の電荷発生層が発光ユニットの正孔注入層の役割も担うことができるため、発光ユニットは正孔注入層を設けなくとも良い。また、発光ユニットの陰極側の面が中間層116に接している場合は、中間層116が発光ユニットの電子注入層の役割も担うことができるため、発光ユニットは電子注入層を設けなくとも良い。
図2Bでは、2つの発光ユニットを有する発光デバイスについて説明したが、3つ以上の発光ユニットを積層した発光デバイスについても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光デバイスのように、一対の電極間に複数の発光ユニットを中間層116で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能とし、さらに長寿命な素子を実現できる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光デバイス全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光デバイスにおいて、第1の発光ユニットで赤と緑の発光色、第2の発光ユニットで青の発光色を得ることで、発光デバイス全体として白色発光する発光デバイスを得ることも可能である。
また、上述のEL層103、第1の発光ユニット511、第2の発光ユニット512及び中間層などの各層および電極は、例えば、蒸着法(真空蒸着法を含む)、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)、塗布法、グラビア印刷法等の方法を用いて形成することができる。また、それらは低分子材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子材料を含んでも良い。
図3Aには、本発明の一態様の表示装置に含まれる、隣り合う二つの発光デバイス(発光デバイス130a、発光デバイス130b)の図を示した。
発光デバイス130aは、絶縁層175上の第1の電極101aと、対向する第2の電極102との間にEL層103aを有している。EL層103aは、正孔注入層111a、正孔輸送層112a、発光層113a、電子輸送層114a、電子注入層115aを有する構成を示したが、異なる積層構造を有する層であってもよい。
発光デバイス130bは、絶縁層175上の第1の電極101bと、対向する第2の電極102との間にEL層103bを有している。EL層103bは、正孔注入層111b、正孔輸送層112b、発光層113b、電子輸送層114b、電子注入層115bを有する構成を示したが、異なる積層構造を有する層であってもよい。
発光デバイス130aにおける、電子輸送層114a、電子注入層115aの構成、および発光デバイス130bにおける、電子輸送層114b、電子注入層115bの構成は、実施の形態1で説明したような構成であることが好ましい。
なお、第2の電極102は発光デバイス130aおよび発光デバイス130bで一続きの共有された層であることが好ましい。また、EL層103aとEL層103bは、電子注入層115aが形成された後と、電子注入層115bが形成された後に各々フォトリソグラフィ法により加工されているため互いに独立している。また、EL層103aの端部(輪郭)は、フォトリソグラフィ法により加工されているため基板に対して垂直方向に概略一致している。また、EL層103bの端部(輪郭)は、フォトリソグラフィ法により加工されているため基板に対して垂直方向に概略一致している。
また、フォトリソグラフィ法により加工されていることから、EL層103aとEL層103dとの間には、間隙dが存在する。また、第1の電極101cと第1の電極101dとの間の距離は、EL層をフォトリソグラフィ法により加工することからマスク蒸着を行う際よりも小さくすることができ、2μm以上5μm以下とすることができる。
図3Bには、フォトリソグラフィ法により作製した、隣り合う二つのタンデム型の発光素子(発光デバイス130c、発光デバイス130d)の図を示した。
発光デバイス130cは、絶縁層175上に第1の電極101cと第2の電極102との間にEL層103cを有している。EL層103cは第1の発光ユニット511cと、第2の発光ユニット512cとが、中間層116cを挟んで積層した構成を有する。なお、図3では2つの発光ユニットが積層する例を示したが、3つ以上の発光ユニットが積層する構成であってもよい。第1の発光ユニット511cは、正孔注入層111c、第1の正孔輸送層112c_1、第1の発光層113c_1、第1の電子輸送層114c_1を有する。中間層116cは、P型層117c、電子リレー層118c、N型層119cを有する。電子リレー層118cはあっても無くても構わない。第2の発光ユニット512cは、第2の正孔輸送層112c_2、第2の発光層113c_2、第2の電子輸送層114c_2、電子注入層115を有する。
発光デバイス130dは、絶縁層175上に第1の電極101dと第2の電極102との間にEL層103dを有している。EL層103dは第1の発光ユニット511dと、第2の発光ユニット512dとが、中間層116dを挟んで積層した構成を有する。なお、図3では2つの発光ユニットが積層する例を示したが、3つ以上の発光ユニットが積層する構成であってもよい。第1の発光ユニット511dは、正孔注入層111d、第1の正孔輸送層112d_1、第1の発光層113d_1、第1の電子輸送層114d_1を有する。中間層116dは、P型層117d、電子リレー層118d、N型層119dを有する。電子リレー層118dはあっても無くても構わない。第2の発光ユニット512dは、第2の正孔輸送層112d_2、第2の発光層113d_2、第2の電子輸送層114d_2、電子注入層115を有する。
発光デバイス130cおよび発光デバイス130dにおいて、第2の電子輸送層114c_1並びに電子注入層115cおよび第2の電子輸送層114d_1並びに電子注入層115dは、実施の形態1で説明したような構成を有することが好ましい。
なお、第2の電極102は発光デバイス130cおよび発光デバイス130dで一続きの共有された層であることが好ましい。また、EL層103cとEL層103dは、電子注入層115cが形成された後と、電子注入層115dが形成された後に各々フォトリソグラフィ法により加工されているため互いに独立している。また、EL層103cの端部(輪郭)は、フォトリソグラフィ法により加工されているため基板に対して垂直方向に概略一致している。また、EL層103dの端部(輪郭)は、フォトリソグラフィ法により加工されているため基板に対して垂直方向に概略一致している。
また、フォトリソグラフィ法により加工されていることから、EL層103cとEL層103dとの間には、間隙dが存在する。また、第1の電極101cと第1の電極101dとの間の距離は、EL層をフォトリソグラフィ法により加工することからマスク蒸着を行う際よりも小さくすることができ、2μm以上5μm以下とすることができる。
本発明の一態様の発光素子は、フォトリソグラフィ法を用いて有機化合物層を加工していることから、高精細な表示装置を作製するに十分な精度で加工することができる。また、アルカリ金属の汚染無く発光層から遠い電子注入層でリソグラフィ工程を行うことができることから、特性の良好な発光素子とすることができる。以上のように、このような構成を有する本発明の一態様の発光素子は、高精細な表示装置の実現が可能であり、且つ特性の良好な発光素子とすることができる。
なお、本発明の一態様の発光素子における有機化合物層は、フォトリソグラフィ法を用いて一度に加工していることから、当該有機化合物層に含まれる層の輪郭は全て概略一致している。ここで、本明細書における概略一致とは当該有機化合物層に含まれる層Aの輪郭Aと、層Bの輪郭Bとのずれが、比較する部分の輪郭に直交する線上におかる有機化合物層の幅の5%以内であることをいう。また、当該有機化合物層の端面がテーパー形状を有する場合、連続する輪郭の変化は許容するものとする。
本実施の形態の構成は、他の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光デバイスを、表示装置の表示素子として用いる形態について説明する。
発光デバイス130は図4Aおよび図4Bに例示したように、絶縁層175上に複数形成され表示装置を構成する。
表示装置は、複数の画素178がマトリクス状に配列された画素部177を有する。画素178は、副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bを有する。
本明細書等において、例えば副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bに共通する事項を説明する場合には、副画素110と呼称して説明する場合がある。アルファベットで区別する他の構成要素についても、これらに共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略した符号を用いて説明する場合がある。
副画素110Rは赤色の光を呈し、副画素110Gは緑色の光を呈し、副画素110Bは青色の光を呈する。これにより、画素部177に画像を表示することができる。なお、本実施の形態では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素を例に挙げて説明するが、その他の色の副画素の組み合わせを用いてもよい。また、副画素は3つに限られず、4つ以上としてもよい。4つの副画素としては、例えば、R、G、B、白色(W)の4色の副画素、R、G、B、Yの4色の副画素、及び、R、G、B、赤外光(IR)の4つの副画素、等が挙げられる。
本明細書等において、行方向をX方向、列方向をY方向という場合がある。X方向とY方向は交差し、例えば垂直に交差する。
図4Aでは、異なる色の副画素がX方向に並べて配置されており、同じ色の副画素が、Y方向に並べて配置されている例を示す。なお、異なる色の副画素がY方向に並べて配置され、同じ色の副画素が、X方向に並べて配置されていてもよい。
画素部177の外側には、接続部140が設けられ、領域141が設けられていてもよい。領域141は画素部177と接続部140の間に設けられる。領域141には、EL層103が設けられる。また、接続部140には、導電層151Cが設けられる。
図4Aでは、領域141、及び接続部140が画素部177の右側に位置する例を示すが、領域141、及び接続部140の位置は特に限定されない。また、領域141、及び接続部140は、単数であっても複数であってもよい。
図4Bは、図4Aにおける一点鎖線A1−A2間の断面図の例である。図4Bに示すように、表示装置は、絶縁層171と、絶縁層171上の導電層172と、絶縁層171上、及び導電層172上の絶縁層173と、絶縁層173上の絶縁層174と、絶縁層174上の絶縁層175と、を有する。絶縁層171は、基板(図示せず)上に設けられる。絶縁層175、絶縁層174、及び絶縁層173には、導電層172に達する開口が設けられ、当該開口を埋め込むようにプラグ176が設けられている。
画素部177において、絶縁層175及びプラグ176上に、発光デバイス130が設けられる。また、発光デバイス130を覆うように、保護層131が設けられている。保護層131上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされている。また、隣り合う発光デバイス130の間には、無機絶縁層125と、無機絶縁層125上の絶縁層127と、が設けられていることが好ましい。
図4Bでは、無機絶縁層125及び絶縁層127の断面が複数示されているが、表示装置を上面から見た場合、無機絶縁層125及び絶縁層127は、それぞれ1つに繋がっていることが好ましい。つまり、絶縁層127は、第1の電極上に開口部を有する絶縁層であることが好ましい。
図4Bでは、発光デバイス130として、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bを示している。発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bは、互いに異なる色の光を発するものとする。例えば、発光デバイス130Rは赤色の光を発することができ、発光デバイス130Gは緑色の光を発することができ、発光デバイス130Bは青色の光を発することができる。また、発光デバイス130R、発光デバイス130G、又は発光デバイス130Bは、他の可視光又は赤外光を発してもよい。
本発明の一態様の表示装置は、例えば発光デバイスが形成されている基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)とすることができる。なお、本発明の一態様の表示装置は、下面射出型(ボトムエミッション型)であってもよい。
発光デバイス130Rは、実施の形態1および実施の形態2に示したような構成を有する。導電層151Rと導電層152Rとからなる第1の電極101R(画素電極)と、第1の電極101R上のEL層103Rと、EL層103R上の第2の電極102(共通電極)と、を有する。EL層103Rの最表面の層である電子注入層は、実施の形態1で説明したような構成を有している。このような構成であることで、フォトリソグラフィ工程での発光層または活性層へのダメージを抑えることができ、良好な膜質および電気特性が期待できる。また、電子輸送層が、電子輸送性を有する有機化合物と正孔輸送性を有する有機化合物の混合層であることによって、駆動電圧の上昇が抑制された表示装置とすることができる。
発光デバイス130Gは、実施の形態1および実施の形態2に示したような構成を有する。導電層151Gと導電層152Gとからなる第1の電極101G(画素電極)と、第1の電極101G上のEL層103Gと、EL層103G上の第2の電極102(共通電極)と、を有する。EL層103Gの最表面の層である電子注入層は、実施の形態1で説明したような構成を有している。このような構成であることで、フォトリソグラフィ工程での発光層または活性層へのダメージを抑えることができ、良好な膜質および電気特性が期待できる。また、電子輸送層が、電子輸送性を有する有機化合物と正孔輸送性を有する有機化合物の混合層であることによって、駆動電圧の上昇が抑制された表示装置とすることができる。
発光デバイス130Bは、実施の形態1および実施の形態2に示したような構成を有する。導電層151Bと導電層152Bとからなる第1の電極101B(画素電極)と、第1の電極101B上のEL層103Bと、EL層103B上の第2の電極102(共通電極)102と、を有する。EL層103Bの最表面の層である電子注入層は、実施の形態1で説明したような構成を有している。このような構成であることで、フォトリソグラフィ工程での発光層または活性層へのダメージを抑えることができ、良好な膜質および電気特性が期待できる。また、電子輸送層が、電子輸送性を有する有機化合物と正孔輸送性を有する有機化合物の混合層であることによって、駆動電圧の上昇が抑制された表示装置とすることができる。
発光デバイスが有する画素電極(第1の電極)と共通電極(第2の電極)のうち、一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。本実施の形態では、特に断りが無い場合は、画素電極が陽極として機能し、共通電極が陰極として機能するものとして説明する。
EL層103R、EL層103G、及びEL層103Bは、各々または、発光色毎に島状に独立している。なお、EL層103R、EL層103G、及びEL層103Bは、互いに重なりを有さないことが好ましい。EL層103を発光デバイス130ごとに島状に設けることで、高精細な表示装置においても隣接する発光デバイス130間のリーク電流を抑制できる。これにより、クロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。特に、低輝度における電流効率の高い表示装置を実現できる。
島状のEL層103は、EL膜を成膜し、当該ELをフォトリソグラフィ法を用いて加工することにより形成する。
EL層103は、発光デバイス130の第1の電極101(画素電極)の上面及び側面を覆うように設けられることが好ましい。これにより、EL層103の端部が画素電極の端部よりも内側に位置する構成に比べて、表示装置の開口率を高めることが容易となる。また、発光デバイス130の画素電極の側面をEL層103で覆うことで、画素電極と第2の電極102とが接することを抑制できるため、発光デバイス130のショートを抑制できる。
また、本発明の一態様の表示装置では、発光デバイスの第1の電極101(画素電極)を、積層構成とすることが好ましい。例えば、図4Bに示す例では、発光デバイス130の第1の電極101を、絶縁層171側に設けられた導電層151と、EL層側に設けられた導電層152と、の積層構成としている。
導電層151として、例えば金属材料を用いることができる。具体的には、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)等の金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。
導電層152として、インジウム、錫、亜鉛、ガリウム、チタン、アルミニウム、及びシリコンの中から選ばれるいずれか一又は複数を有する酸化物を用いることができる。例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、酸化チタン、ガリウムを含むインジウム亜鉛酸化物、アルミニウムを含むインジウム亜鉛酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化物、及びシリコンを含むインジウム亜鉛酸化物等のいずれか一又は複数を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。特に、シリコンを含むインジウム錫酸化物は仕事関数が大きい、例えば仕事関数が4.0eV以上であるため、導電層152として好適に用いることができる。
導電層151は、異なる材料を有する複数の層の積層構成であってもよく、導電層152は、異なる材料を有する複数の層の積層構成であってもよい。この場合、導電層151が、導電性酸化物等の導電層152に用いることができる材料を用いた層を有してもよく、また、導電層152が、金属材料等の導電層151に用いることができる材料を用いた層を有してもよい。例えば、導電層151が2層以上の積層構成である場合は、導電層152と接する層は、導電層152に用いることができる材料を用いた層とすることができる。
なお、導電層151の端部は、テーパ形状を有することが好ましい。具体的には、導電層151の端部は、テーパ角90°未満のテーパ形状を有することが好ましい。この場合、導電層151の側面に沿って設けられる導電層152もテーパ形状を有する。導電層152の側面をテーパ形状とすることで、導電層152の側面に沿って設けられるEL層103の被覆性を高めることができる。
本発明の一態様の表示装置は、発光デバイス130が実施の形態1および実施の形態2に示したような構成を有することから、信頼性の良好な表示装置とすることが可能となる。
続いて図4Aに示す構成を有する表示装置の作製方法例を図5乃至図10を用いて説明する。
[作製方法例1]
表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、又はALD(Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成できる。
また、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ法、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、又はナイフコート等の湿式の成膜方法により形成できる。
また、表示装置を構成する薄膜を加工する際には、例えばフォトリソグラフィ法を用いて加工できる。
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、又はこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線、KrFレーザ光、又はArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外(EUV:Extreme Ultra−violet)光、又はX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、又はサンドブラスト法等を用いることができる。
まず、図5Aに示すように、基板(図示せず)上に絶縁層171を形成する。続いて、絶縁層171上に導電層172、及び導電層179を形成し、導電層172、及び導電層179を覆うように絶縁層171上に絶縁層173を形成する。続いて、絶縁層173上に絶縁層174を形成し、絶縁層174上に絶縁層175を形成する。
基板としては、少なくとも後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する基板を用いることができる。例えばガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、又は有機樹脂基板、シリコン又は炭化シリコン等を材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等の半導体基板を用いることができる。
続いて、図5Aに示すように、絶縁層175、絶縁層174、及び絶縁層173に、導電層172に達する開口を形成する。続いて、当該開口を埋め込むように、プラグ176を形成する。
続いて、図5Aに示すように、プラグ176上、及び絶縁層175上に、後に導電層151R、導電層151G、導電層151B、及び導電層151Cとなる導電膜151fを形成する。導電膜151fとして、例えば金属材料を用いることができる。
続いて、図5Aに示すように、導電膜151f上にレジストマスク191を形成する。レジストマスク191は、感光性材料(フォトレジスト)を塗布し、露光及び現像を行うことで形成できる。
続いて、図5Bに示すように、例えばレジストマスク191と重ならない領域の導電膜151fを除去する。これにより、導電層151が形成される。
続いて、図5Cに示すように、レジストマスク191を除去する。レジストマスク191は、例えば、酸素プラズマを用いたアッシングにより除去できる。
続いて、図5Dに示すように、導電層151R上、導電層151G上、導電層151B上、導電層151C上、及び絶縁層175上に、後に絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cとなる絶縁膜156fを形成する。
絶縁膜156fには、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、又は窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜、例えば、酸化窒化シリコンを用いることができる。
続いて、図5Eに示すように、絶縁膜156fを加工することにより、絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cを形成する。
続いて、図6Aに示すように、導電層151R上、導電層151G上、導電層151B上、導電層151C上、絶縁層156R上、絶縁層156G上、絶縁層156B上、絶縁層156C上、及び絶縁層175上に、導電膜152fを形成する。
導電膜152fとして、例えば導電性酸化物を用いることができる。導電膜152fは積層であってもよい。
続いて、図6Bに示すように、導電膜152fを加工し、導電層152R、導電層152G、導電層152B、及び導電層152Cを形成する。
続いて、図6Cに示すように、有機化合物膜103Rfを、導電層152R上、導電層152G上、導電層152B上、及び絶縁層175上に形成する。なお、図6Cに示すように、導電層152C上には、有機化合物膜103Rfを形成していない。
続いて、図6Cに示すように、犠牲膜158Rf、マスク膜159Rfを形成する。
有機化合物膜103Rf上に犠牲膜158Rfを設けることで、表示装置の作製工程中に有機化合物膜103Rfが受けるダメージを低減し、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
犠牲膜158Rfには、有機化合物膜103Rfの加工条件に対する耐性の高い膜、具体的には、有機化合物膜103Rfとのエッチングの選択比が大きい膜を用いる。マスク膜159Rfには、犠牲膜158Rfとのエッチングの選択比が大きい膜を用いる。
また、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfは、有機化合物膜103Rfの耐熱温度よりも低い温度で形成する。犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfを形成する際の基板温度としては、それぞれ、代表的には、100℃以上200℃以下、好ましくは100℃以上150℃以下、より好ましくは100℃以上120℃以下である。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfには、ウェットエッチング法またはドライエッチング法により除去できる膜を用いることが好ましい。
なお、有機化合物膜103Rf上に接して形成される犠牲膜158Rfは、マスク膜159Rfよりも、有機化合物膜103Rfへのダメージが少ない形成方法を用いて形成されることが好ましい。例えば、スパッタリング法よりも、ALD法又は真空蒸着法が好ましい。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfとしては、それぞれ、例えば、金属膜、合金膜、金属酸化物膜、半導体膜、有機絶縁膜、及び、無機絶縁膜等のうち一種又は複数種を用いることができる。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfには、それぞれ、例えば、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、及びタンタル等の金属材料、又は該金属材料を含む合金材料を用いることができる。特に、アルミニウム又は銀等の低融点材料を用いることが好ましい。犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfの一方又は双方に紫外線を遮蔽することが可能な金属材料を用いることで、有機化合物膜103Rfにパターン露光時の紫外線が照射されることを抑制でき、有機化合物膜103Rfの劣化を抑制できるため、好ましい。
また、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfには、それぞれ、In−Ga−Zn酸化物、酸化インジウム、In−Zn酸化物、In−Sn酸化物、インジウムチタン酸化物(In−Ti酸化物)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In−Sn−Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In−Ti−Zn酸化物)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In−Ga−Sn−Zn酸化物)、シリコンを含むインジウムスズ酸化物等の金属酸化物を用いることができる。
なお、上記金属酸化物においてガリウムに代えて元素M(Mは、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムから選ばれた一種又は複数種)を用いてもよい。
犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfとしては、例えば、シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料を用いることが、半導体の製造プロセスと親和性が高いため好ましい。又は、上記半導体材料を含む化合物を用いることができる。
また、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfとしては、それぞれ、各種無機絶縁膜を用いることができる。特に、酸化絶縁膜は、窒化絶縁膜に比べて有機化合物膜103Rfとの密着性が高く好ましい。
続いて、図6Cに示すように、レジストマスク190Rを形成する。レジストマスク190Rは、感光性材料(フォトレジスト)を塗布し、露光及び現像を行うことで形成できる。
レジストマスク190Rは、導電層152Rと重なる位置に設ける。レジストマスク190Rは、導電層152Cと重なる位置にも設けることが好ましい。これにより、導電層152Cが表示装置の作製工程中にダメージを受けることを抑制できる。
続いて、図6Dに示すように、レジストマスク190Rを用いて、マスク膜159Rfの一部を除去し、マスク層159Rを形成する。マスク層159Rは、導電層152R上と、導電層152C上と、に残存する。その後、レジストマスク190Rを除去する。続いて、マスク層159Rをマスク(ハードマスクともいう)に用いて、犠牲膜158Rfの一部を除去し、犠牲層158Rを形成する。
ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfの加工時に、有機化合物膜103Rfに加わるダメージを低減できる。ウェットエッチング法を用いる場合、例えば、現像液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)などのアルカリ水溶液、希フッ酸、シュウ酸、リン酸、酢酸、硝酸、又はこれらの混合液体を用いた薬液等の酸水溶液を用いることが好ましい。
また、犠牲膜158Rfの加工においてドライエッチング法を用いる場合は、エッチングガスに酸素を含むガスを用いないことで、有機化合物膜103Rfの劣化を抑制できる。
レジストマスク190Rは、レジストマスク191と同様の方法で除去できる。
続いて、図6Dに示すように、有機化合物膜103Rfを加工して、EL層103Rを形成する。例えば、マスク層159R及び犠牲層158Rをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Rfの一部を除去し、EL層103Rを形成する。
これにより、図6Dに示すように、導電層152R上に、EL層103R、犠牲層158R、及び、マスク層159Rの積層構造が残存する。また、導電層152G及び導電層152Bは露出する。
有機化合物膜103Rfの加工は、異方性エッチングにより行うことが好ましい。特に、異方性のドライエッチングが好ましい。又は、ウェットエッチングを用いてもよい。
ドライエッチング法を用いる場合は、エッチングガスに酸素を含むガスを用いないことで、有機化合物膜103Rfの劣化を抑制できる。
また、エッチングガスに酸素を含むガスを用いてもよい。エッチングガスが酸素を含むことで、エッチングの速度を速めることができる。したがって、エッチング速度を十分な速さに維持しつつ、低パワーの条件でエッチングを行うことができる。このため、有機化合物膜103Rfに与えるダメージを抑制できる。さらに、エッチング時に生じる反応生成物の付着等の不具合を抑制できる。
ドライエッチング法を用いる場合、例えば、H、CF、C、SF、CHF、Cl、HO、BCl、又はHe、Ar等の第18族元素のうち、一種以上を含むガスをエッチングガスに用いることが好ましい。又は、これらの一種以上と、酸素を含むガスをエッチングガスに用いることが好ましい。又は、酸素ガスをエッチングガスに用いてもよい。
続いて、図7Aに示すように、後にEL層103Gとなる有機化合物膜103Gfを形成する。
有機化合物膜103Gfは、有機化合物膜103Rfの形成に用いることができる方法と同様の方法で形成できる。また、有機化合物膜103Gfは、有機化合物膜103Rfと同様の構成とすることができる。
続いて、図7Aに示すように犠牲膜158Gfとマスク膜159Gfとを順に形成する。その後、レジストマスク190Gを形成する。犠牲膜158Gf及びマスク膜159Gfの材料及び形成方法は、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfに適用できる条件と同様である。レジストマスク190Gの材料及び形成方法は、レジストマスク190Rに適用できる条件と同様である。
レジストマスク190Gは、導電層152Gと重なる位置に設ける。
続いて、図7Bに示すように、レジストマスク190Gを用いて、マスク膜159Gfの一部を除去し、マスク層159Gを形成する。マスク層159Gは、導電層152G上に残存する。その後、レジストマスク190Gを除去する。続いて、マスク層159Gをマスクに用いて、犠牲膜158Gfの一部を除去し、犠牲層158Gを形成する。続いて、有機化合物膜103Gfを加工して、EL層103Gを形成する。
続いて、図7Cに示すように、有機化合物膜103Bfを形成する。
有機化合物膜103Bfは、有機化合物膜103Rfの形成に用いることができる方法と同様の方法で形成できる。また、有機化合物膜103Bfは、有機化合物膜103Rfと同様の構成とすることができる。
続いて、図7Cに示すように、犠牲膜158Bfとマスク膜159Bfとを順に形成する。その後、レジストマスク190Bを形成する。犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの材料及び形成方法は、犠牲膜158Rf及びマスク膜159Rfに適用できる条件と同様である。レジストマスク190Bの材料及び形成方法は、レジストマスク190Rに適用できる条件と同様である。
レジストマスク190Bは、導電層152Bと重なる位置に設ける。
続いて、図7Dに示すように、レジストマスク190Bを用いて、マスク膜159Bfの一部を除去し、マスク層159Bを形成する。マスク層159Bは、導電層152B上に残存する。その後、レジストマスク190Bを除去する。続いて、マスク層159Bをマスクに用いて、犠牲膜158Bfの一部を除去し、犠牲層158Bを形成する。続いて、有機化合物膜103Bfを加工して、EL層103Bを形成する。例えば、マスク層159B及び犠牲層158Bをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Bfの一部を除去し、EL層103Bを形成する。
これにより、図7Dに示すように、導電層152B上に、EL層103B、犠牲層158B、及び、マスク層159Bの積層構造が残存する。また、マスク層159R、及びマスク層159Gは露出する。
なお、EL層103R、EL層103G、EL層103Bの側面は、それぞれ、被形成面に対して垂直又は概略垂直であることが好ましい。例えば、被形成面と、これらの側面との成す角度を、60度以上90度以下とすることが好ましい。
上記のように、フォトリソグラフィ法を用いて形成したEL層103R、EL層103G、及びEL層103Bのうち隣接する2つの間の距離は、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下、又は、1μm以下にまで狭めることができる。ここで、当該距離とは、例えば、EL層103R、EL層103G、及びEL層103Bのうち、隣接する2つの対向する端部の間の距離で規定できる。このように、島状のEL層の間の距離を狭めることで、高い精細度と、大きな開口率を有する表示装置を提供できる。また、隣り合う発光デバイス間における第1の電極同士の距離も、狭めることができ、例えば10μm以下、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下とすることができる。なお、隣り合う発光デバイス間における第1の電極同士の距離は2μm以上5μm以下であることが好ましい。
続いて、図8Aに示すように、マスク層159R、マスク層159G、及びマスク層159Bを除去することが好ましい。
マスク層の除去工程には、マスク層の加工工程と同様の方法を用いることができる。特に、ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、マスク層を除去する際に、EL層103に加わるダメージを低減できる。
また、マスク層を、水又はアルコール等の極性溶媒に溶解させることで除去してもよい。アルコールとしては、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はグリセリン等が挙げられる。
マスク層を除去した後に、表面に吸着する水を除去するため、乾燥処理を行ってもよい。例えば、不活性ガス雰囲気又は減圧雰囲気下における加熱処理を行うことができる。加熱処理は、基板温度として50℃以上200℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上120℃以下の温度で行うことができる。減圧雰囲気とすることで、より低温で乾燥が可能であるため好ましい。
続いて、図8Bに示すように、無機絶縁膜125fを形成する。
続いて、図8Cに示すように、無機絶縁膜125f上に、後に絶縁層127となる絶縁膜127fを形成する。
無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fを形成する際の基板温度としては、それぞれ、60℃以上、80℃以上、100℃以上、又は、120℃以上、かつ、200℃以下、180℃以下、160℃以下、150℃以下、又は140℃以下であることが好ましい。
無機絶縁膜125fとしては、上記の基板温度の範囲で、3nm以上、5nm以上、又は、10nm以上、かつ、200nm以下、150nm以下、100nm以下、又は、50nm以下の厚さの絶縁膜を形成することが好ましい。
無機絶縁膜125fは、例えば、ALD法を用いて形成することが好ましい。ALD法を用いることで、成膜ダメージを小さくすることができ、また、被覆性の高い膜を成膜可能なため好ましい。無機絶縁膜125fとしては、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することが好ましい。
絶縁膜127fは、前述の湿式の成膜方法を用いて形成することが好ましい。絶縁膜127fは、例えば、スピンコートにより、感光性材料を用いて形成することが好ましく、より具体的には、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いて形成することが好ましい。
続いて、露光を行って、絶縁膜127fの一部に、可視光線又は紫外線を感光させる。絶縁層127は、導電層152R、導電層152G、及び導電層152Bのいずれか2つに挟まれる領域、及び、導電層152Cの周囲に形成される。
絶縁膜127fへの露光領域によって、後に形成する絶縁層127の幅を制御できる。本実施の形態では、絶縁層127が導電層151の上面と重なる部分を有するように加工する。
露光に用いる光は、i線(波長365nm)を含むことが好ましい。また、露光に用いる光は、g線(波長436nm)、及びh線(波長405nm)の少なくとも一方を含んでいてもよい。
続いて、図9Aに示すように、現像を行って、絶縁膜127fの露光させた領域を除去し、絶縁層127aを形成する。
続いて、図9Bに示すように、絶縁層127aをマスクとして、エッチング処理を行って、無機絶縁膜125fの一部を除去し、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの一部の膜厚を薄くする。これにより、絶縁層127aの下に、無機絶縁層125が形成される。また、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの膜厚が薄い部分の表面が露出する。なお、以下では、絶縁層127aをマスクに用いたエッチング処理を、第1のエッチング処理ということがある。
第1のエッチング処理は、ドライエッチング又はウェットエッチングによって行うことができる。なお、無機絶縁膜125fを、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bと同様の材料を用いて成膜していた場合、第1のエッチング処理を一括で行うことができるため、好ましい。
ドライエッチングを行う場合、塩素系のガスを用いることが好ましい。塩素系ガスとしては、Cl、BCl、SiCl、及びCCl等を、単独又は2以上のガスを混合して用いることができる。また、上記塩素系ガスに、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス、及びアルゴンガス等を、単独又は2以上のガスを混合して、適宜添加できる。ドライエッチングを用いることにより、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの膜厚が薄い領域を、良好な面内均一性で形成できる。
ドライエッチング装置としては、高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。又は、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。
また、第1のエッチング処理をウェットエッチングで行うことが好ましい。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、EL層103R、EL層103G、及びEL層103Bに加わるダメージを低減できる。例えば、ウェットエッチングは、アルカリ溶液を用いて行うことができる。例えば、酸化アルミニウム膜のウェットエッチングには、アルカリ溶液であるTMAHを用いることができる。また、フッ化物を含む酸溶液を用いることもできる。この場合、パドル方式でウェットエッチングを行うことができる。なお、無機絶縁膜125fを、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bと同様の材料を用いて成膜していた場合、上記エッチング処理を一括で行うことができるため、好ましい。
第1のエッチング処理では、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを完全に除去せず、膜厚が薄くなった状態でエッチング処理を停止する。このように、EL層103R、EL層103G、及びEL層103B上に、対応する犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを残存させておくことで、後の工程の処理で、EL層103R、EL層103G、及びEL層103Bが損傷することを防ぐことができる。
続いて、基板全体に露光を行い、可視光線又は紫外線を絶縁層127aに照射することが好ましい。当該露光のエネルギー密度は、0mJ/cmより大きく、800mJ/cm以下とすることが好ましく、0mJ/cmより大きく、500mJ/cm以下とすることがより好ましい。現像後にこのような露光を行うことで、絶縁層127aの透明度を向上させることができる場合がある。また、後の工程における、絶縁層127aをテーパ形状に変形させる加熱処理に必要とされる基板温度を低下させることができる場合がある。
ここで、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bとして、酸素に対するバリア絶縁層(例えば、酸化アルミニウム膜等)が存在することで、EL層103R、EL層103G、及びEL層103Bに酸素が拡散することを低減できる。
続いて、加熱処理(ポストベークともいう)を行う。加熱処理を行うことで、絶縁層127aを、側面にテーパ形状を有する絶縁層127に変形させることができる(図9C)。当該加熱処理は、EL層の耐熱温度よりも低い温度で行う。加熱処理は、基板温度として50℃以上200℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上130℃以下の温度で行うことができる。加熱雰囲気は、大気雰囲気であってもよく、不活性ガス雰囲気であってもよい。また、加熱雰囲気は、大気圧雰囲気であってもよく、減圧雰囲気であってもよい。これにより、絶縁層127と無機絶縁層125との密着性を向上させ、絶縁層127の耐食性も向上させることができる。
第1のエッチング処理にて、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを完全に除去せず、膜厚が薄くなった状態の犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bを残存させておくことで、当該加熱処理において、EL層103R、EL層103G、及びEL層103Bがダメージを受けて劣化することを防ぐことができる。したがって、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
続いて、図10Aに示すように、絶縁層127をマスクとして、エッチング処理を行って、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bの一部を除去する。これにより、犠牲層158R、犠牲層158G、及び犠牲層158Bそれぞれに開口が形成され、EL層103R、EL層103G、EL層103B、及び導電層152Cの上面が露出する。なお、以下では、このエッチング処理を、第2のエッチング処理ということがある。
無機絶縁層125の端部は絶縁層127で覆われている。また、図10Aでは、犠牲層158Gの端部の一部(具体的には、第1のエッチング処理により形成されたテーパ形状の部分)を絶縁層127が覆い、第2のエッチング処理により形成されたテーパ形状の部分は露出している例を示す。
第2のエッチング処理はウェットエッチングで行う。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、EL層103R、EL層103G、及びEL層103Bに加わるダメージを低減できる。ウェットエッチングは、例えばアルカリ溶液または酸性溶液を用いて行うことができる。EL層103が溶けないように、水溶液であることが好ましい。
続いて、図10Bに示すように、EL層103R上、EL層103G上、EL層103B上、導電層152C上、及び絶縁層127上に共通電極155を形成する。共通電極155は、スパッタリング法、又は真空蒸着法等の方法で形成できる。
続いて、図10Cに示すように、共通電極155上に保護層131を形成する。保護層131は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、又はALD法等の方法で形成できる。
続いて、樹脂層122を用いて、保護層131上に、基板120を貼り合わせることで、表示装置を作製できる。前述のように、本発明の一態様の表示装置の作製方法では、導電層151の側面と重なる領域を有するように絶縁層156を設け、且つ導電層151及び絶縁層156を覆うように導電層152を形成する。これにより、表示装置の歩留まりを高め、また不良の発生を抑制できる。
以上のように、本発明の一態様の表示装置の作製方法では、島状のEL層103R、島状のEL層103G、及びEL層103Bは、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、膜を一面に成膜した後に加工することで形成されるため、島状の層を均一の厚さで形成できる。そして、高精細な表示装置又は高開口率の表示装置を実現できる。また、精細度又は開口率が高く、副画素間の距離が極めて短くても、隣接する副画素において、EL層103R、EL層103G、及び、EL層103Bが互いに接することを抑制できる。したがって、副画素間にリーク電流が発生することを抑制できる。これにより、クロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。また、フォトリソグラフィ法を用いて作製されたタンデム型の発光デバイスを有する表示装置であっても、良好な特性の表示装置を提供することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について説明する。
本実施の形態の表示装置は、高精細な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、腕時計型、及び、ブレスレット型等の情報端末機(ウェアラブル機器)の表示部、並びに、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等のVR向け機器、及び、メガネ型のAR向け機器等の頭部に装着可能なウェアラブル機器の表示部に用いることができる。
また、本実施の形態の表示装置は、高解像度な表示装置又は大型な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用等のモニタ、デジタルサイネージ、及び、パチンコ機等の大型ゲーム機等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、及び、音響再生装置の表示部に用いることができる。
[表示モジュール]
図11Aに、表示モジュール280の斜視図を示す。表示モジュール280は、表示装置100Aと、FPC290と、を有する。なお、表示モジュール280が有する表示装置は表示装置100Aに限られず、後述する表示装置100Bおよび表示装置100Eのいずれかであってもよい。
表示モジュール280は、基板291及び基板292を有する。表示モジュール280は、表示部281を有する。表示部281は、表示モジュール280における画像を表示する領域であり、後述する画素部284に設けられる各画素からの光を視認できる領域である。
図11Bに、基板291側の構成を模式的に示した斜視図を示している。基板291上には、回路部282と、回路部282上の画素回路部283と、画素回路部283上の画素部284と、が積層されている。また、基板291上の画素部284と重ならない部分に、FPC290と接続するための端子部285が設けられている。端子部285と回路部282とは、複数の配線により構成される配線部286により電気的に接続されている。
画素部284は、周期的に配列した複数の画素284aを有する。図11Bの右側に、1つの画素284aの拡大図を示している。画素284aには、先の実施の形態で説明した各種構成を適用できる。図11Bでは、画素284aが図4に示す画素178と同様の構成を有する場合を例に示す。
画素回路部283は、周期的に配列した複数の画素回路283aを有する。
1つの画素回路283aは、1つの画素284aが有する複数の素子の駆動を制御する回路である。
回路部282は、画素回路部283の各画素回路283aを駆動する回路を有する。例えば、ゲート線駆動回路、及び、ソース線駆動回路の一方又は双方を有することが好ましい。このほか、演算回路、メモリ回路、及び電源回路等の少なくとも一つを有していてもよい。
FPC290は、外部から回路部282にビデオ信号又は電源電位等を供給するための配線として機能する。また、FPC290上にICが実装されていてもよい。
表示モジュール280は、画素部284の下側に画素回路部283及び回路部282の一方又は双方が積層された構成とすることができるため、表示部281の開口率(有効表示面積比)を極めて高くすることができる。
このような表示モジュール280は、極めて高精細であることから、HMD等のVR向け機器又はメガネ型のAR向け機器に好適に用いることができる。例えば、レンズを通して表示モジュール280の表示部を視認する構成の場合であっても、表示モジュール280は極めて高精細な表示部281を有するためにレンズで表示部を拡大しても画素が視認されず、没入感の高い表示を行うことができる。また、表示モジュール280はこれに限られず、比較的小型の表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。
[表示装置100A]
図12Aに示す表示装置100Aは、基板301、発光デバイス130R、発光デバイス130G、発光デバイス130B、容量240、及び、トランジスタ310を有する。
基板301は、図11A及び図11Bにおける基板291に相当する。トランジスタ310は、基板301にチャネル形成領域を有するトランジスタである。基板301としては、例えば単結晶シリコン基板等の半導体基板を用いることができる。トランジスタ310は、基板301の一部、導電層311、低抵抗領域312、絶縁層313、及び、絶縁層314を有する。導電層311は、ゲート電極として機能する。絶縁層313は、基板301と導電層311の間に位置し、ゲート絶縁層として機能する。低抵抗領域312は、基板301に不純物がドープされた領域であり、ソース又はドレインとして機能する。絶縁層314は、導電層311の側面を覆って設けられる。
また、基板301に埋め込まれるように、隣接する2つのトランジスタ310の間に素子分離層315が設けられている。
また、トランジスタ310を覆って絶縁層261が設けられ、絶縁層261上に容量240が設けられている。
容量240は、導電層241と、導電層245と、これらの間に位置する絶縁層243を有する。導電層241は、容量240の一方の電極として機能し、導電層245は、容量240の他方の電極として機能し、絶縁層243は、容量240の誘電体として機能する。
導電層241は絶縁層261上に設けられ、絶縁層254に埋め込まれている。導電層241は、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。絶縁層243は導電層241を覆って設けられる。導電層245は、絶縁層243を介して導電層241と重なる領域に設けられている。
容量240を覆って、絶縁層255が設けられ、絶縁層255上に絶縁層174が設けられ、絶縁層174上に絶縁層175が設けられている。絶縁層175上に発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130Bが設けられている。隣り合う発光デバイスの間の領域には、絶縁物が設けられる。
導電層151Rの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Rが設けられ、導電層151Gの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Gが設けられ、導電層151Bの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Bが設けられる。また、導電層151R及び絶縁層156Rを覆うように導電層152Rが設けられ、導電層151G及び絶縁層156Gを覆うように導電層152Gが設けられ、導電層151B及び絶縁層156Bを覆うように導電層152Bが設けられる。EL層103R上には、犠牲層158Rが位置し、EL層103G上には、犠牲層158Gが位置し、EL層103B上には、犠牲層158Bが位置する。
導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bは、絶縁層243、絶縁層255、絶縁層174、及び絶縁層175に埋め込まれたプラグ256、絶縁層254に埋め込まれた導電層241、及び、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。プラグには各種導電材料を用いることができる。
また、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130B上には保護層131が設けられている。保護層131上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされている。発光デバイス130から基板120までの構成要素についての詳細は、実施の形態3を参照できる。基板120は、図11Aにおける基板292に相当する。
図12Bは、図12Aに示す表示装置100Aの変形例である。図12Bに示す表示装置は、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを有し、発光デバイス130が着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bのうち一つと重なる領域を有する。図12Bに示す表示装置において、発光デバイス130は、例えば白色光を発することができる。また、例えば着色層132Rは赤色の光を透過し、着色層132Gは緑色の光を透過し、着色層132Bは青色の光を透過できる。
[表示装置100B]
図13に、表示装置100Bの斜視図を示し、図14に、表示装置100Bの断面図を示す。
表示装置100Bは、基板352と基板351とが貼り合わされた構成を有する。図13では、基板352を破線で示している。
表示装置100Bは、画素部177、接続部140、回路356、及び配線355等を有する。図13では表示装置100BにIC354及びFPC353が実装されている例を示している。このため、図13に示す構成は、表示装置100Bと、IC(集積回路)と、FPCと、を有する表示モジュールということもできる。ここで、表示装置の基板に、FPC等のコネクタが取り付けられたもの、又は当該基板にICが実装されたものを、表示モジュールと呼ぶ。
接続部140は、画素部177の外側に設けられる。接続部140は、単数であっても複数であってもよい。接続部140は、発光デバイスの共通電極と、導電層とが電気的に接続されており、共通電極に電位を供給できる。
回路356としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
配線355は、画素部177及び回路356に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC353を介して外部から、又はIC354から配線355に入力される。
図13では、COG(Chip On Glass)方式又はCOF(Chip on Film)方式等により、基板351にIC354が設けられている例を示す。IC354は、例えば走査線駆動回路又は信号線駆動回路等を有するICを適用できる。なお、表示装置100B及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、例えばCOF方式により、FPCに実装してもよい。
図14に、表示装置100Bの、FPC353を含む領域の一部、回路356の一部、画素部177の一部、接続部140の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
[表示装置100C]
図14に示す表示装置100Cは、基板351と基板352の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、赤色の光を発する発光デバイス130R、緑色の光を発する発光デバイス130G、及び、青色の光を発する発光デバイス130B等を有する。
発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bの詳細は実施の形態1および実施の形態2を参照できる。
発光デバイス130Rは、導電層224Rと、導電層224R上の導電層151Rと、導電層151R上の導電層152Rと、を有する。発光デバイス130Gは、導電層224Gと、導電層224G上の導電層151Gと、導電層151G上の導電層152Gと、を有する。発光デバイス130Bは、導電層224Bと、導電層224B上の導電層151Bと、導電層151B上の導電層152Bと、を有する。
導電層224Rは、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと接続されている。導電層224Rの端部よりも外側に導電層151Rの端部が位置している。導電層151Rの側面と接する領域を有するように絶縁層156Rが設けられ、導電層151R及び絶縁層156Rを覆うように導電層152Rが設けられる。
発光デバイス130Gにおける導電層224G、導電層151G、導電層152G、絶縁層156G、及び発光デバイス130Bにおける導電層224B、導電層151B、導電層152B、絶縁層156Bについては、発光デバイス130Rにおける導電層224R、導電層151R、導電層152R、絶縁層156Rと同様であるため詳細な説明は省略する。
導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bには、絶縁層214に設けられた開口を覆うように凹部が形成される。当該凹部には、層128が埋め込まれている。
層128は、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bの凹部を平坦化する機能を有する。導電層224R、導電層224G、及び導電層224B及び層128上には、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bと電気的に接続される導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bが設けられている。したがって、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bの凹部と重なる領域も発光領域として使用でき、画素の開口率を高めることができる。
層128は、絶縁層であってもよく、導電層であってもよい。層128には、各種無機絶縁材料、有機絶縁材料、及び導電材料を適宜用いることができる。特に、層128は、絶縁材料を用いて形成されることが好ましく、有機絶縁材料を用いて形成されることが特に好ましい。層128には、例えば前述の絶縁層127に用いることができる有機絶縁材料を適用できる。
発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130B上には保護層131が設けられている。保護層131と基板352は接着層142を介して接着されている。基板352には、遮光層157が設けられている。発光デバイス130の封止には、固体封止構造又は中空封止構造等が適用できる。図14では、基板352と基板351との間の空間が、接着層142で充填されており、固体封止構造が適用されている。又は、当該空間を不活性ガス(窒素又はアルゴン等)で充填し、中空封止構造を適用してもよい。このとき、接着層142は、発光デバイスと重ならないように設けられていてもよい。また、当該空間を、枠状に設けられた接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
図14では、接続部140が、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層224Cと、導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層151Cと、導電層152R、導電層152G、及び導電層152Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層152Cと、を有する例を示している。また、図14では、導電層151Cの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Cが設けられる例を示している。
表示装置100Bは、トップエミッション型である。発光デバイスが発する光は、基板352側に射出される。基板352には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。発光デバイスが赤外または近赤外の発光をする場合は、それらに対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。画素電極は可視光を反射する材料を含み、対向電極(共通電極155)は可視光を透過する材料を含む。
基板351上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁層が好適である。
トランジスタ201及びトランジスタ205は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。
基板351の、基板352が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、トランジスタ201のソース電極またはドレイン電極の一方が導電層166及び接続層242を介してFPC353と電気的に接続されている。導電層166は、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、導電層152R、導電層152G、及び導電層152Bと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、の積層構造である例を示す。接続部204の上面では、導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC353とを接続層242を介して電気的に接続できる。
基板352の基板351側の面には、遮光層157を設けることが好ましい。遮光層157は、隣り合う発光デバイスの間、接続部140、及び、回路356等に設けることができる。また、基板352の外側には各種光学部材を配置できる。
基板351及び基板352としては、それぞれ、基板120に用いることができる材料を適用できる。
接着層142としては、樹脂層122に用いることができる材料を適用できる。
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、又は異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)等を用いることができる。
[表示装置100D]
図15に示す表示装置100Dは、ボトムエミッション型の表示装置である点で、図14に示す表示装置100Cと主に相違する。
発光デバイスが発する光は、基板351側に射出される。基板351には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。一方、基板352に用いる材料の透光性は問わない。
基板351とトランジスタ201との間、基板351とトランジスタ205との間には、遮光層を形成することが好ましい。図15では、基板351上に遮光層157が設けられ、遮光層上に絶縁層153が設けられ、絶縁層153上にトランジスタ201、205などが設けられている例を示す。
発光デバイス130Rは、導電層112Rと、導電層112R上の導電層126Rと、導電層126R上の導電層129Rと、を有する。
発光デバイス130Bは、導電層112Bと、導電層112B上の導電層126Bと、導電層126B上の導電層129Bと、を有する。
導電層112R、112B、126R、126B、129R、129Bには、それぞれ、可視光に対する透過性が高い材料を用いる。共通電極155には可視光を反射する材料を用いることが好ましい。
なお、図15では、発光デバイス130Gを図示していないが、発光デバイス130Gも設けられている。
また、図15などでは、層128の上面が平坦部を有する例を示すが、層128の形状は、特に限定されない。
[表示装置100E]
図16に示す表示装置100Eは、図14に示す表示装置100Cの変形例であり、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを有する点で、表示装置100Cと主に相違する。
表示装置100Eにおいて、発光デバイス130は、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bのうち一つと重なる領域を有する。着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bは、基板352の基板351側の面に設けることができる。着色層132Rの端部、着色層132Gの端部、及び着色層132Bの端部は、遮光層157と重ねることができる。
表示装置100Eにおいて、発光デバイス130は、例えば白色光を発することができる。また、例えば着色層132Rは赤色の光を透過し、着色層132Gは緑色の光を透過し、着色層132Bは青色の光を透過できる。なお、表示装置100Eは、保護層131と接着層142の間に着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを設ける構成としてもよい。
図14及び図16等では、層128の上面が平坦部を有する例を示すが、層128の形状は、特に限定されない。
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。
本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を有する。本発明の一態様の表示装置は表示性能が高く、また高精細化及び高解像度化が容易である。したがって、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用等のモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機等の大型ゲーム機等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、等が挙げられる。
特に、本発明の一態様の表示装置は、精細度を高めることが可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。このような電子機器としては、例えば、腕時計型及びブレスレット型の情報端末機(ウェアラブル機器)、並びに、ヘッドマウントディスプレイ等のVR向け機器、メガネ型のAR向け機器、及び、MR向け機器等、頭部に装着可能なウェアラブル機器等が挙げられる。
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
図17A乃至図17Dを用いて、頭部に装着可能なウェアラブル機器の一例を説明する。
図17Aに示す電子機器700A、及び、図17Bに示す電子機器700Bは、それぞれ、一対の表示パネル751と、一対の筐体721と、通信部(図示しない)と、一対の装着部723と、制御部(図示しない)と、撮像部(図示しない)と、一対の光学部材753と、フレーム757と、一対の鼻パッド758と、を有する。
表示パネル751には、本発明の一態様の表示装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、光学部材753の表示領域756に、表示パネル751で表示した画像を投影できる。光学部材753は透光性を有するため、使用者は光学部材753を通して視認される透過像に重ねて、表示領域に表示された画像を見ることができる。
電子機器700A、及び、電子機器700Bには、撮像部として、前方を撮像することのできるカメラが設けられていてもよい。また、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、ジャイロセンサ等の加速度センサを備えることで、使用者の頭部の向きを検知して、その向きに応じた画像を表示領域756に表示することもできる。
通信部は無線通信機を有し、当該無線通信機により例えば映像信号を供給できる。なお、無線通信機に代えて、又は無線通信機に加えて、映像信号及び電源電位が供給されるケーブルを接続可能なコネクタを備えていてもよい。
また、電子機器700A、及び、電子機器700Bには、バッテリが設けられており、無線及び有線の一方又は双方によって充電できる。
筐体721には、タッチセンサモジュールが設けられていてもよい。
タッチセンサモジュールとしては、様々なタッチセンサを適用できる。例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式、又は光学方式等、種々の方式を採用できる。特に、静電容量方式又は光学方式のセンサを、タッチセンサモジュールに適用することが好ましい。
図17Cに示す電子機器800A、及び、図17Dに示す電子機器800Bは、それぞれ、一対の表示部820と、筐体821と、通信部822と、一対の装着部823と、制御部824と、一対の撮像部825と、一対のレンズ832と、を有する。
表示部820には、本発明の一態様の表示装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
表示部820は、筐体821の内部の、レンズ832を通して視認できる位置に設けられる。また、一対の表示部820に異なる画像を表示させることで、視差を用いた3次元表示を行うこともできる。
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、レンズ832及び表示部820が、使用者の目の位置に応じて最適な位置となるように、これらの左右の位置を調整可能な機構を有していることが好ましい。
装着部823により、使用者は電子機器800A又は電子機器800Bを頭部に装着できる。
撮像部825は、外部の情報を取得する機能を有する。撮像部825が取得したデータは、表示部820に出力できる。撮像部825には、イメージセンサを用いることができる。また、望遠、及び広角等の複数の画角に対応可能なように複数のカメラを設けてもよい。
電子機器800Aは、骨伝導イヤフォンとして機能する振動機構を有していてもよい。
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、入力端子を有していてもよい。入力端子には映像出力機器等からの映像信号、及び、電子機器内に設けられるバッテリを充電するための電力等を供給するケーブルを接続できる。
本発明の一態様の電子機器は、イヤフォン750と無線通信を行う機能を有していてもよい。
また、電子機器がイヤフォン部を有していてもよい。図17Bに示す電子機器700Bは、イヤフォン部727を有する。イヤフォン部727と制御部とをつなぐ配線の一部は、筐体721又は装着部723の内部に配置されていてもよい。
同様に、図17Dに示す電子機器800Bは、イヤフォン部827を有する。例えば、イヤフォン部827と制御部824とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。
このように、本発明の一態様の電子機器としては、メガネ型(電子機器700A、及び、電子機器700B等)と、ゴーグル型(電子機器800A、及び、電子機器800B等)と、のどちらも好適である。
図18Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
図18Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、及びバッテリ6518等が配置されている。
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
表示パネル6511には本発明の一態様の表示装置を適用できる。このため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
図18Cにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7171に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7173により筐体7171を支持した構成を示している。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
図18Cに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7171が備える操作スイッチ、及び、別体のリモコン操作機7151により行うことができる。
図18Dに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、及び外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
図18E及び図18Fに、デジタルサイネージの一例を示す。
図18Eに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
図18Fは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
図18E及び図18Fにおいて、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
また、図18E及び図18Fに示すように、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400は、使用者が所持するスマートフォン等の情報端末機7311又は情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。
図19A乃至図19Gに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
図19A乃至図19Gに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。
図19A乃至図19Gに示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図19Aは、携帯情報端末9171を示す斜視図である。携帯情報端末9171は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9171は、スピーカ9003、接続端子9006、又はセンサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9171は、文字及び画像情報をその複数の面に表示できる。図19Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話等の着信の通知、電子メール又はSNS等の題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、電波強度等がある。又は、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050等を表示してもよい。
図19Bは、携帯情報端末9172を示す斜視図である。携帯情報端末9172は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9172を収納した状態で、携帯情報端末9172の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。
図19Cは、タブレット端末9173を示す斜視図である。タブレット端末9173は、一例として、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能である。タブレット端末9173は、筐体9000の正面に表示部9001、カメラ9002、マイクロフォン9008、スピーカ9003を有し、筐体9000の左側面には操作用のボタンとしての操作キー9005、底面には接続端子9006を有する。
図19Dは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチ(登録商標)として用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、及び、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
図19E乃至図19Gは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図19Eは携帯情報端末9201を展開した状態、図19Gは折り畳んだ状態、図19Fは図19Eと図19Gの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
100A:表示装置、100B:表示装置、100C:表示装置、100E:表示装置、100D:表示装置、100:絶縁体、101a:第1の電極、101b:第1の電極、101c:第1の電極、101d:第1の電極、101R:第1の電極、101G:第1の電極、101B:第1の電極、101:第1の電極、102:第2の電極、103a:EL層、103B:EL層、103b:EL層、103Bf:有機化合物膜、103c:EL層、103d:EL層、103G:EL層、103Gf:有機化合物膜、103R:EL層、103Rf:有機化合物膜、103:EL層、110B:副画素、110G:副画素、110R:副画素、110:副画素、111a:正孔注入層、111b:正孔注入層、111c:正孔注入層、111d:正孔注入層、111:正孔注入層、112:正孔輸送層、112a:正孔輸送層、112b:正孔輸送層、112c_1:正孔輸送層、112c_2:正孔輸送層、112d_1:正孔輸送層、112d_2:正孔輸送層、112R:導電層、112B:導電層、113:発光層、113a:発光層、113b:発光層、113c_1:発光層、113c_2:発光層、113d_1:発光層、113d_2:発光層、114:電子輸送層、114a:電子輸送層、114b:電子輸送層、114c_1:電子輸送層、114c_2:電子輸送層、114d_1:電子輸送層、114d_2:電子輸送層、115:電子注入層、115a:電子注入層、115b:電子注入層、115c:電子注入層、115d:電子注入層、116:中間層、116c:中間層、116d:中間層、117:P型層、117c:P型層、117d:P型層、118:電子リレー層、118c:電子リレー層、118d:電子リレー層、119:N型層、119c:N型層、119d:N型層、120:基板、122:樹脂層、125f:無機絶縁膜、125:無機絶縁層、126R:導電層、126B:導電層、127a:絶縁層、127f:絶縁膜、127:絶縁層、128:層、129R:導電層、129B:導電層、130a:発光デバイス、130B:発光デバイス、130b:発光デバイス、130c:発光デバイス、130d:発光デバイス、130G:発光デバイス、130R:発光デバイス、130:発光デバイス、131:保護層、132B:着色層、132G:着色層、132R:着色層、140:接続部、141:領域、142:接着層、151B:導電層、151C:導電層、151f:導電膜、151G:導電層、151R:導電層、151:導電層、152B:導電層、152C:導電層、152f:導電膜、152G:導電層、152R:導電層、152:導電層、153:絶縁層、155:共通電極、156B:絶縁層、156C:絶縁層、156f:絶縁膜、156G:絶縁層、156R:絶縁層、156:絶縁層、157:遮光層、158B:犠牲層、158Bf:犠牲膜、158G:犠牲層、158Gf:犠牲膜、158R:犠牲層、158Rf:犠牲膜、159B:マスク層、159Bf:マスク膜、159G:マスク層、159Gf:マスク膜、159R:マスク層、159Rf:マスク膜、166:導電層、171:絶縁層、172:導電層、173:絶縁層、174:絶縁層、175:絶縁層、176:プラグ、177:画素部、178:画素、179:導電層、190B:レジストマスク、190G:レジストマスク、190R:レジストマスク、191:レジストマスク、201:トランジスタ、204:接続部、205:トランジスタ、211:絶縁層、213:絶縁層、214:絶縁層、215:絶縁層、221:導電層、222a:導電層、222b:導電層、223:導電層、224B:導電層、224C:導電層、224G:導電層、224R:導電層、231:半導体層、240:容量、241:導電層、242:接続層、243:絶縁層、245:導電層、254:絶縁層、255:絶縁層、256:プラグ、261:絶縁層、271:プラグ、280:表示モジュール、281:表示部、282:回路部、283a:画素回路、283:画素回路部、284a:画素、284:画素部、285:端子部、286:配線部、290:FPC、291:基板、292:基板、301:基板、310:トランジスタ、311:導電層、312:低抵抗領域、313:絶縁層、314:絶縁層、315:素子分離層、351:基板、352:基板、353:FPC、354:IC、355:配線、356:回路、501:第1の電極、511:第1の発光ユニット、511c:第1の発光ユニット、511d:第1の発光ユニット、502:第2の電極、512:第2の発光ユニット、512c:第2の発光ユニット、512d:第2の発光ユニット、700A:電子機器、700B:電子機器、721:筐体、723:装着部、727:イヤフォン部、750:イヤフォン、751:表示パネル、753:光学部材、756:表示領域、757:フレーム、758:鼻パッド、800A:電子機器、800B:電子機器、820:表示部、821:筐体、822:通信部、823:装着部、824:制御部、825:撮像部、827:イヤフォン部、832:レンズ、6500:電子機器、6501:筐体、6502:表示部、6503:電源ボタン、6504:ボタン、6505:スピーカ、6506:マイク、6507:カメラ、6508:光源、6510:保護部材、6511:表示パネル、6512:光学部材、6513:タッチセンサパネル、6515:FPC、6516:IC、6517:プリント基板、6518:バッテリ、7000:表示部、7100:テレビジョン装置、7151:リモコン操作機、7171:筐体、7173:スタンド、7200:ノート型パーソナルコンピュータ、7211:筐体、7212:キーボード、7213:ポインティングデバイス、7214:外部接続ポート、7300:デジタルサイネージ、7301:筐体、7303:スピーカ、7311:情報端末機、7400:デジタルサイネージ、7401:柱、7411:情報端末機、9000:筐体、9001:表示部、9002:カメラ、9003:スピーカ、9005:操作キー、9006:接続端子、9007:センサ、9008:マイクロフォン、9050:アイコン、9051:情報、9052:情報、9053:情報、9054:情報、9055:ヒンジ、9171:携帯情報端末、9172:携帯情報端末、9173:タブレット端末、9200:携帯情報端末、9201:携帯情報端末、

Claims (12)

  1.  第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層と、を有し、
     前記有機化合物層は、前記第1の電極および前記第2の電極の間に位置し、
     前記有機化合物層は、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、を有し、
     前記電子輸送層は、前記発光層および前記電子注入層の間に位置し、
     前記電子輸送層は、前記電子注入層に接しており、
     前記電子注入層は、正孔をブロックする機能を有し、
     前記電子輸送層が、バイポーラ性を有する層である発光デバイス。
  2.  第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層と、を有し、
     前記有機化合物層は、前記第1の電極および前記第2の電極の間に位置し、
     前記有機化合物層は、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、を有し、
     前記電子輸送層は、前記発光層および前記電子注入層の間に位置し、
     前記電子輸送層は、前記電子注入層に接しており、
     前記電子注入層は、正孔をブロックする機能を有し、
     前記電子輸送層が、電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物とを含む層である発光デバイス。
  3.  第1の電極と、第2の電極と、有機化合物層と、を有し、
     前記有機化合物層は、前記第1の電極および前記第2の電極の間に位置し、
     前記有機化合物層は、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、を有し、
     前記電子輸送層は、前記発光層および前記電子注入層の間に位置し、
     前記電子輸送層は、前記電子注入層に接しており、
     前記電子注入層は、pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物を含み、
     前記電子輸送層が、電子輸送性を有する有機化合物と、正孔輸送性を有する有機化合物とを含む発光デバイス。
  4.  請求項3において、
     前記正孔輸送性を有する有機化合物のHOMO準位が−5.9eV以上−5.0eV以下である発光デバイス。
  5.  請求項3において、
     前記電子輸送性を有する有機化合物のLUMO準位が−3.15eV以上−2.50eV以下である発光デバイス。
  6.  請求項3において、
     前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物が、グアニジン骨格を有する発光デバイス。
  7.  請求項3において、
     前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物が、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン骨格を有する発光デバイス。
  8.  請求項3において、
     前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物が、電子輸送性の骨格を有さない発光デバイス。
  9.  請求項3において、
     前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物が、グアニジン骨格を有し、且つ電子輸送性の骨格を有さない発光デバイス。
  10.  請求項3において、
     前記電子注入層が、さらに第2の電子輸送性を有する有機化合物を有する発光デバイス。
  11.  請求項10において、
     前記pKa8以上の強塩基性を有する有機化合物は、前記第2の電子輸送性を有する有機化合物に対して電子供与性を有さない発光デバイス。
  12.  請求項1乃至請求項11のいずれか一項において、
     前記電子注入層は、電子スピン共鳴法で測定されるスピン密度が、1×1017spins/cm以下である発光デバイス。
PCT/IB2023/061820 2022-11-30 2023-11-23 発光デバイス WO2024116031A1 (ja)

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