WO2024111082A1 - 個室状況表示装置、個室状況表示システム、個室状況表示方法及びプログラム - Google Patents

Abstract

個室状況表示装置（２）は、環境データ取得部（２００）と、使用状況推定部（２０１）と、使用状況表示部（２０２）とを備える。環境データ取得部（２００）は、個室の環境を調整する室内機（３）から個室の環境情報が含まれた環境データを取得する。使用状況推定部（２０１）は、取得された環境データに基づいて個室の現在の使用状況を推定する。使用状況表示部（２０２）は、推定された個室の使用状況を表示する。これにより、ユーザの利便性が向上する。

Description

個室状況表示装置、個室状況表示システム、個室状況表示方法及びプログラム

　本開示は、個室状況表示装置、個室状況表示システム、個室状況表示方法及びプログラムに関する。

　近年、複数の固定席が設けられた部屋に加え、一人用の作業ブース（すなわち個室）を複数設けているオフィスも珍しくない。このようなオフィスでは、先着順で個室を使用できるルールにしていることが多く、当該オフィスの従業者等のユーザは、個室を使用したい場合、当該個室の直近まで移動し、当該個室が使用中か否かを確認しているのが日常である。

　上記のようなユーザの手間を解消するためには、例えば、特許文献１に記載される個室管理システムのように、ユーザが個室の使用状況を離れた場所から確認できるようにするのが望ましいといえる。

特許第５７５９０４３号公報

　しかしながら、特許文献１に記載の個室管理システムでは、個室の使用状況を取得するために専用のセンサ（扉センサ及び人感センサ）を個室に設置する必要があり、システムの導入コスト及び運用コストが嵩むという課題がある。

　したがって、個室の使用状況を離れた場所から確認できるようにする新たな技術の提案が望まれているのが実情である。

　本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、個室の使用状況を離れた場所で確認できるようにするとともに低コスト化が可能な個室状況表示装置等を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するため、本開示に係る個室状況表示装置は、
　個室の環境を調整する環境調整装置から前記個室の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
　前記取得された環境情報に基づいて前記個室の現在の使用状況を推定する使用状況推定手段と、
　前記推定された個室の使用状況を表示する使用状況表示手段と、を備える。

　個室の使用状況を離れた場所で確認できるようにし、低コスト化も図れる。

実施の形態１における個室状況表示システムの全体構成を示す図 実施の形態１における個室状況表示装置のハードウェア構成を示すブロック図 実施の形態１における個室状況表示装置の機能構成を示すブロック図 実施の形態１における個室情報の一例を示す図 実施の形態１における個室状況表示処理の手順を示すフローチャート 実施の形態１の変形例における個室状況表示装置の機能構成を示すブロック図 実施の形態２における個室状況表示システムの全体構成を示す図 実施の形態２における個室状況推定装置のハードウェア構成を示すブロック図 実施の形態２におけるユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図 実施の形態２における個室状況推定装置の機能構成を示すブロック図 実施の形態２における個室状況推定処理の手順を示すフローチャート

　以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。

（実施の形態１）
　図１は、実施の形態１における個室状況表示システム１の全体構成を示す図である。個室状況表示システム１は、オフィスビルに設けられた複数の個室の使用状況を表示するシステムであり、個室状況表示装置２と、各個室に設置された室内機３とを備える。

＜個室状況表示装置２＞
　個室状況表示装置２は、本開示に係る個室状況表示装置の一例である。個室状況表示装置２は、複数の固定席が設けられた部屋内あるいはその近くに設置される。図２に示すように、個室状況表示装置２は、ディスプレイ２０と、通信インタフェース２１と、ＣＰＵ（Central Processing Unit）２２と、ＲＯＭ（Read-Only Memory）２３と、ＲＡＭ（Random-Access Memory）２４と、補助記憶装置２５とを備える。これらの構成部は、バス２６を介して相互に接続される。

　ディスプレイ２０は、液晶ディスプレイ、有機ＥＬ（Electroluminescence）ディスプレイ等の表示デバイスを含んで構成される。ディスプレイ２０は、ＣＰＵ２２の制御の下、各個室の使用状況を示す画面を表示する。通信インタフェース２１は、各室内機３と通信するためのハードウェアである。

　ＣＰＵ２２は、個室状況表示装置２を統括的に制御する。ＣＰＵ２２によって実現される個室状況表示装置２の機能の詳細については後述する。ＲＯＭ２３は、複数のファームウェア及びこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータを記憶する。ＲＡＭ２４は、ＣＰＵ２２の作業領域として使用される。補助記憶装置２５は、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ、ＨＤＤ（Hard Disk Drive）等で構成される。読み書き可能な不揮発性の半導体メモリは、例えば、ＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory）、フラッシュメモリ等である。補助記憶装置２５には、各個室の使用状況を表示するためのプログラムである個室状況表示プログラムと、個室状況表示プログラムの実行時に使用されるデータとが記憶される。

　個室状況表示装置２は、個室状況表示プログラム又は個室状況表示プログラムを更新するための更新プログラムを他の装置から通信により取得することが可能である。また、これらのプログラムは、ＣＤ－ＲＯＭ（Compact Disc Read-Only Memory）、ＤＶＤ（Digital Versatile Disc）、光磁気ディスク、ＵＳＢ（Universal Serial Bus）メモリ、ＨＤＤ、ＳＳＤ（Solid-State Drive）、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。個室状況表示装置２は、そのような記録媒体が自身に直接又は間接的に装着されると、当該記録媒体から個室状況表示プログラム又は更新プログラムを読み出して自身にインストールすることも可能である。

＜室内機３＞
　室内機３は、本開示に係る環境調整装置の一例である。室内機３は、天井埋込タイプ又は壁掛けタイプの室内機であり、各個室に設置され、当該個室の空気調和を行う。室内機３は、屋外に設置された室外機（図示せず）と図示しない伝送ラインを介して通信可能に接続されるとともに、冷媒を循環させるための図示しない冷媒配管によって接続される。

　室内機３は、何れも図示しないが、制御回路と、ファン、電磁弁等のアクチュエータと、熱交換器と、室内の温度を計測する温度センサと、室内の湿度を計測する湿度センサと、個室状況表示装置２と通信するための通信インタフェースとを備える。室内機３は、個室状況表示装置２からの一定時間毎の要求に応答して、自身の機器ＩＤ（identifier）と、計測した温度及び湿度のそれぞれの値とを含む環境データを個室状況表示装置２に送信する。個室の温度及び湿度は、それぞれ本開示に係る環境情報の一例である。機器ＩＤは、各室内機３を識別するための情報であり、例えば製造番号である。なお、室内機３は、一定時間毎に自発的に環境データを個室状況表示装置２に送信してもよい。

＜個室状況表示装置２の機能構成＞
　図３は、個室状況表示装置２の機能構成を示すブロック図である。図３に示すように、個室状況表示装置２は、環境データ取得部２００と、使用状況推定部２０１と、使用状況表示部２０２とを備える。これらの機能部は、ＣＰＵ２２が補助記憶装置２５に記憶されている上述した個室状況表示プログラムを実行することで実現される。

　環境データ取得部２００は、本開示に係る環境情報取得手段の一例である。環境データ取得部２００は、一定時間（例えば１分）毎に各室内機３から環境データを取得する。詳細には、環境データ取得部２００は、一定時間毎に各室内機３に対して、環境データの送信を要求するコマンドを送信し、かかるコマンドに応答して各室内機３から送られてきた環境データを受信して取得する。環境データ取得部２００は、室内機３から環境データを取得すると、個室情報記憶部２５０を参照して、当該環境データに含まれる機器ＩＤに対応する個室ＩＤを取得する。そして、環境データ取得部２００は、取得した環境データを個室ＩＤ毎に時系列で分別して環境データ記憶部２５１に保存する。

　個室情報記憶部２５０は、補助記憶装置２５によって提供されるメモリ領域であり、個室情報を記憶する。図４に示すように、個室情報には、個室ＩＤと、機器ＩＤと、名称と、場所情報とが含まれる。個室ＩＤは、各個室を識別するために予め割り振られたＩＤでる。名称は、当該個室の通称である。場所情報は、当該個室の場所を示す情報であり、例えば階数である。個室情報は、予め管理者によって個室情報記憶部２５０に書き込まれている。環境データ記憶部２５１は、補助記憶装置２５によって提供されるメモリ領域であり、各個室の環境データの履歴が保存される。

　使用状況推定部２０１は、本開示に係る使用状況推定手段の一例である。使用状況推定部２０１は、各個室の最新の環境データと、閾値記憶部２５２に記憶されている閾値とに基づいて各個室の使用状況を推定する。閾値記憶部２５２は、本開示に係る推定環境情報記憶手段の一例である。閾値記憶部２５２は、補助記憶装置２５によって提供されるメモリ領域であり、使用状況の推定で使用される閾値を記憶する。閾値には、温度閾値と湿度閾値とが含まれ、それぞれ、季節（夏季、冬季、中間期など）及び時刻に応じた値が事前に決められており、予め管理者によって閾値記憶部２５２に書き込まれている。温度閾値及び湿度閾値は、それぞれ、本開示に係る推定環境情報の一例である。

　使用状況推定部２０１は、閾値記憶部２５２から現在の季節及び時刻に対応する温度閾値及び湿度閾値を読み出す。そして、使用状況推定部２０１は、全ての個室から順次選択した一の個室について、最新の温度と、読み出した温度閾値とを比較し、最新の温度が温度閾値より高い場合、当該個室が使用中であると推定する。この推定は、人体は熱源であるため、人が存在する個室の温度は上昇することが見込まれることに依拠する。

　一方、最新の温度が温度閾値以下の場合、使用状況推定部２０１は、当該個室における最新の湿度と、読み出した湿度閾値とを比較し、最新の湿度が湿度閾値より高い場合、当該個室が使用中であると推定する。この推定は、人体は皮膚から水蒸気を発するため、人が存在する個室の湿度は上昇することが見込まれることに依拠する。

　また、使用状況推定部２０１は、最新の温度が温度閾値以下であり、且つ、最新の湿度が湿度閾値以下の個室については、使用中でない、すなわち、空室であると推定する。使用状況推定部２０１は、推定した個室の個室ＩＤ及び推定結果を使用状況表示部２０２に通知する。

　使用状況表示部２０２は、本開示に係る使用状況表示手段の一例である。使用状況表示部２０２は、使用状況推定部２０１による各個室の使用状況の推定結果に基づいて、当該個室の使用状況を予め定めた態様でディスプレイ２０に表示する。なお、使用状況をどのように表示するは任意の設計事項である。例えば、使用状況表示部２０２は、各個室の使用状況を文字で表示してもよい（例えば、“２０１個人ブース　使用中”、“２０２個人ブース　空室”など）。あるいは、使用状況表示部２０２は、各個室の使用状況をアイコンで表示してもよい。

＜個室状況表示処理＞
　図５は、個室状況表示装置２によって実行される個室状況表示処理の手順を示すフローチャートである。個室状況表示装置２は、周期的（例えば１分毎）に下記の個室状況表示処理を実行する。

（ステップＳ１００）
　個室状況表示装置２は、各個室に設置された室内機３から環境データを取得する。その後、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０１に遷移する。

（ステップＳ１０１）
　個室状況表示装置２は、現在の季節及び時刻に対応する温度閾値及び湿度閾値を閾値記憶部２５２から読み出す。その後、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０２に遷移する。

（ステップＳ１０２）
　個室状況表示装置２は、全個室から使用状況推定の対象となる個室を１つ選択する。その後、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０３に遷移する。

（ステップＳ１０３）
　個室状況表示装置２は、選択した個室の最新の温度が、読み出した温度閾値より高いか否かを判定する。最新の温度が温度閾値より高くない場合（ステップＳ１０３；ＮＯ）、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０４に遷移する。一方、最新の温度が温度閾値より高い場合（ステップＳ１０３；ＹＥＳ）、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０５に遷移する。

（ステップＳ１０４）
　個室状況表示装置２は、選択した個室の最新の湿度が、読み出した湿度閾値より高いか否かを判定する。最新の湿度が湿度閾値より高い場合（ステップＳ１０４；ＹＥＳ）、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０５に遷移する。一方、最新の湿度が湿度閾値より高くない場合（ステップＳ１０４；ＮＯ）、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０６に遷移する。

（ステップＳ１０５）
　個室状況表示装置２は、当該個室は使用中であると推定する。その後、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０７に遷移する。

（ステップＳ１０６）
　個室状況表示装置２は、当該個室は空室であると推定する。その後、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０７に遷移する。

（ステップＳ１０７）
　個室状況表示装置２は、使用状況推定の対象として未選択の個室があるか否かを判定する。未選択の個室がある場合（ステップＳ１０７；ＹＥＳ）、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０２に戻る。一方、未選択の個室がない場合（ステップＳ１０７；ＮＯ）、個室状況表示装置２の処理は、ステップＳ１０８に遷移する。

（ステップＳ１０８）
　個室状況表示装置２は、各個室の使用状況の推定結果に基づいて、各個室の使用状況を予め定めた態様でディスプレイ２０に表示する。その後、個室状況表示装置２は、本周期での個室状況表示処理を終了する。

　以上説明したように、本実施の形態における個室状況表示システム１では、個室状況表示装置２は、各個室の温度及び湿度に基づいて各個室の使用状況を推定して表示する。これにより、ユーザは、確認のために現地まで移動する必要なく、離れた場所で各個室の使用状況を容易に確認することができる。

　また、個室状況表示装置２は、各個室に設置されている室内機３から温度及び湿度（すなわち、環境情報）を取得するため、個室状況表示システム１の導入及び運用において低コスト化が図れる。

（変形例１）
　使用状況推定部２０１は、最新の温度が、温度閾値に予め定めた値（以下「第１値」という。）を加算した値より大きい場合に当該個室は使用中であると推定してもよい。また、使用状況推定部２０１は、最新の湿度が、湿度閾値に予め定めた値（以下「第２値」という。）を加算した値より大きい場合に当該個室は使用中であると推定してもよい。この場合、使用状況推定部２０１は、最新の温度が温度閾値に第１値を加算した値以下であり、且つ、最新の湿度が湿度閾値に第２値を加算した値以下の個室については、空室であると推定する。

（変形例２）
　使用状況推定部２０１は、最新の温度が温度閾値より大きく、且つ、最新の湿度が湿度閾値より大きい場合、当該個室は使用中であると推定し、最新の温度が温度閾値以下、又は、最新の湿度が湿度閾値以下の場合、当該個室は空室であると推定してもよい。

（変形例３）
　上記実施の形態では、環境調整装置として室内機３を例示したが、このほか、空気清浄機、換気装置、空調換気装置等も環境調整装置の一例となり得る。また、個室に設置される環境調整装置がＣＯ_２濃度を計測するセンサを備えている場合、ＣＯ_２濃度を環境情報として使用することも可能である。この場合、閾値記憶部２５２には、季節及び時刻に応じたＣＯ_２濃度閾値が予め管理者によって書き込まれている。使用状況推定部２０１は、最新のＣＯ_２濃度が、閾値記憶部２５２から読み出した、現在の季節及び時刻に対応するＣＯ_２濃度閾値より高い場合、当該個室は使用中であると判定する。一方、最新のＣＯ_２濃度がＣＯ_２濃度閾値以下の場合、使用状況推定部２０１は、当該個室は空室であると判定する。

　また、個室に設置される環境調整装置が赤外線サーモグラフィ等の熱画像センサを備えている場合、当該熱画像センサによって取得された熱画像を環境情報として使用することも可能である。この場合、使用状況推定部２０１は、最新の熱画像を解析して人の存在を検出した場合、当該個室は使用中であると判定し、人の存在を検出できなかった場合、当該個室は空室であると判定する。

（変形例４）
　また、環境状態を監視する目的で個室に温度、湿度、ＣＯ_２濃度等の環境情報を計測するセンサが設置されている場合では、使用状況推定部２０１は、当該センサから取得した環境情報に基づいて個室の使用状況を推定してもよい。

（変形例５）
　個室状況表示装置２は、人が個室に入室する際の温度、湿度等の環境情報の時系列変化の傾向と、人が個室から退室する際の温度、湿度等の環境情報の時系列変化の傾向とをそれぞれ入室パターン及び退室パターンとして補助記憶装置２５に予め記憶しておき、取得した環境情報の時系列変化が入室パターンと一致する場合、当該個室に人が入室したと推定し、取得した環境情報の時系列変化が退室パターンと一致する場合、当該個室から人が退室したと推定することで、当該個室の使用状況を推定してもよい。

（変形例６）
　図６に示すように、個室状況表示装置２は、閾値を推定する閾値推定部２０３をさらに備える構成であってもよい。閾値推定部２０３は、本開示に係る環境情報推定手段の一例である。閾値推定部２０３は、個室毎に、最新の温度と、運転計画情報記憶部２５３に記憶される運転計画情報とに基づいて、今後の時刻毎の温度を推定する。運転計画情報記憶部２５３は、本開示に係る運転計画情報記憶手段の一例である。運転計画情報記憶部２５３は、補助記憶装置２５によって提供されるメモリ領域である。運転計画情報とは、例えば、室内機３毎に、運転／停止、設定温度、運転モード（冷房、暖房等）を切り替える日時が定められた情報である。閾値推定部２０３は、個室毎に推定した時刻毎の温度を各個室の時刻毎の温度閾値として閾値記憶部２５２に保存する。

　また、閾値推定部２０３は、個室毎に、最新の湿度と、運転計画情報とに基づいて、今後の時刻毎の湿度を推定し、個室毎に推定した時刻毎の湿度を各個室の時刻毎の湿度閾値として閾値記憶部２５２に保存する。使用状況推定部２０１は、一の個室の使用状況を推定する際、閾値記憶部２５２から当該個室及び現在の時刻に対応する温度閾値及び湿度閾値を読み出す。そして、使用状況推定部２０１は、当該個室の最新の温度と、読み出した温度閾値とを比較し、必要に応じて、当該個室の最新の湿度と、読み出した湿度閾値とを比較することで、当該個室の使用状況を推定する。

　このように、温度閾値及び湿度閾値は、運転計画情報に基づいて推定された値であるため、精度が高く、結果として、使用状況推定部２０１による個室の使用状況の推定精度が向上する。なお、閾値推定部２０３は、さらに、現在の外気の状態（温度、湿度）、天気予報等も加味して、各個室の今後の時刻毎の温度及び湿度を推定してもよい。

（変形例７）
　個室状況表示装置２の機能部（図３参照）の全部又は一部が、専用のハードウェアで実現されるようにしてもよい。専用のハードウェアとは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ＡＳＩＣ（Application-Specific Integrated Circuit）、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）又はこれらの組合せである。

　上記の各変形例に係る技術思想は、それぞれ単独で実現されてもよいし、適宜組み合わせることで実現されてもよい。

（実施の形態２）
　図７は、実施の形態２における個室状況表示システム１Ａの全体構成を示す図である。個室状況表示システム１Ａは、オフィスビルに設けられた複数の個室の使用状況を表示するシステムであり、個室状況推定装置４と、各個室に設置された室内機５と、ユーザ端末６とを備える。

＜個室状況推定装置４＞
　個室状況表示装置４は、本開示に係る個室状況推定装置の一例である。図８に示すように、個室状況推定装置４は、第１通信インタフェース４０と、第２通信インタフェース４１と、ＣＰＵ４２と、ＲＯＭ４３と、ＲＡＭ４４と、補助記憶装置４５とを備える。これらの構成部は、バス４６を介して相互に接続される。

　第１通信インタフェース４０は、各室内機５と通信するためのハードウェアである。第２通信インタフェース４１は、ユーザ端末６と通信するためのハードウェアである。ＣＰＵ４２は、個室状況推定装置４を統括的に制御する。ＣＰＵ４２によって実現される個室状況推定装置４の機能の詳細については後述する。ＲＯＭ４３は、複数のファームウェア及びこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータを記憶する。ＲＡＭ４４は、ＣＰＵ４２の作業領域として使用される。

　補助記憶装置４５は、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ、ＨＤＤ等で構成される。読み書き可能な不揮発性の半導体メモリは、例えば、ＥＥＰＲＯＭ、フラッシュメモリ等である。補助記憶装置４５には、各個室の使用状況を推定するためのプログラムである個室状況推定プログラムと、個室状況推定プログラムの実行時に使用されるデータとが記憶される。

　個室状況推定装置４は、個室状況推定プログラム又は個室状況推定プログラムを更新するための更新プログラムを他の装置から通信により取得することが可能である。また、これらのプログラムは、ＣＤ－ＲＯＭ、ＤＶＤ、光磁気ディスク、ＵＳＢメモリ、ＨＤＤ、ＳＳＤ、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。個室状況推定装置４は、そのような記録媒体が自身に直接又は間接的に装着されると、当該記録媒体から個室状況推定プログラム又は更新プログラムを読み出して自身にインストールすることも可能である。

＜室内機５＞
　室内機５は、本開示に係る環境調整装置の一例である。室内機５は、天井埋込タイプ又は壁掛けタイプの室内機であり、各個室に設置され、当該個室の空気調和を行う。室内機５は、屋外に設置された室外機（図示せず）と図示しない伝送ラインを介して通信可能に接続されるとともに、冷媒を循環させるための図示しない冷媒配管によって接続される。

　室内機５は、何れも図示しないが、制御回路と、ファン、電磁弁等のアクチュエータと、熱交換器と、室内の温度を計測する温度センサと、室内の湿度を計測する湿度センサと、個室状況推定装置４と通信するための通信インタフェースとを備える。室内機５は、個室状況推定装置４からの一定時間毎の要求に応答して、自身の機器ＩＤと、計測した温度及び湿度のそれぞれの値とを含む環境データを個室状況推定装置４に送信する。なお、室内機５は、一定時間毎に自発的に環境データを個室状況推定装置４に送信してもよい。

＜ユーザ端末６＞
　ユーザ端末６は、本開示に係る表示装置の一例である。ユーザ端末６は、当該オフィスビルの関係者であるユーザによって所持される電子機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末等のスマートデバイスである。図９に示すように、ユーザ端末６は、ディスプレイ６０と、操作受付部６１と、通信インタフェース６２と、ＣＰＵ６３と、ＲＯＭ６４と、ＲＡＭ６５と、補助記憶装置６６とを備える。これらの構成部は、バス６７を介して相互に接続される。

　ディスプレイ６０は、液晶ディスプレイ、有機ＥＬディスプレイ等の表示デバイスを含んで構成される。ディスプレイ６０は、ＣＰＵ６３の制御の下、ユーザの操作に応じた各種の画面等を表示する。操作受付部６１は、押しボタン、タッチパネル、タッチパッド等の１つ以上の入力デバイスを含んで構成され、ユーザからの操作入力を受け付け、受け付けた操作に係る信号をＣＰＵ６３に出力する。

　通信インタフェース６２は、個室状況推定装置４と通信するためのハードウェアである。ＣＰＵ６３は、ユーザ端末６を統括的に制御する。ＲＯＭ６４は、複数のファームウェア及びこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータを記憶する。ＲＡＭ６５は、ＣＰＵ６３の作業領域として使用される。

　補助記憶装置６６は、ＥＥＰＲＯＭ、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ等を含んで構成される。補助記憶装置６６には、各個室の使用状況をユーザに対して提示するためのアプリケーションプログラム（以下「個室使用状況提示アプリ」という。）を含む各種のプログラムと、これらのプログラムの実行時に使用されるデータとが記憶される。

　ユーザ端末６は、個室使用状況提示アプリ又は個室使用状況提示アプリを更新するための更新プログラムを他の装置から通信により取得することが可能である。また、これらのプログラムは、ＣＤ－ＲＯＭ、ＤＶＤ、光磁気ディスク、ＵＳＢメモリ、ＨＤＤ、ＳＳＤ、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。ユーザ端末６は、そのような記録媒体が自身に直接又は間接的に装着されると、当該記録媒体から個室使用状況提示アプリ又は更新プログラムを読み出して自身にインストールすることも可能である。

＜個室状況推定装置４の機能構成＞
　図１０は、個室状況推定装置４の機能構成を示すブロック図である。図１０に示すように、個室状況推定装置４は、環境データ取得部４００と、使用状況推定部４０１と、使用状況表示指示部４０２とを備える。これらの機能部は、ＣＰＵ４２が補助記憶装置４５に記憶されている上述した個室状況推定プログラムを実行することで実現される。

　環境データ取得部４００は、本開示に係る環境情報取得手段の一例である。環境データ取得部４００は、一定時間（例えば１分）毎に各室内機５から環境データを取得する。詳細には、環境データ取得部４００は、一定時間毎に各室内機５に対して、環境データの送信を要求するコマンドを送信し、かかるコマンドに応答して各室内機５から送られてきた環境データを受信して取得する。環境データ取得部４００は、室内機５から環境データを取得すると、個室情報記憶部４５０を参照して、当該環境データに含まれる機器ＩＤに対応する個室ＩＤを取得する。そして、環境データ取得部４００は、取得した環境データを個室ＩＤ毎に時系列で分別して環境データ記憶部４５１に保存する。

　個室情報記憶部４５０は、補助記憶装置４５によって提供されるメモリ領域であり、個室情報を記憶する。個室情報の構成は、実施の形態１における個室情報記憶部２５０が記憶する個室情報（図４参照）と同様である。個室情報は、予め管理者によって個室情報記憶部４５０に書き込まれている。環境データ記憶部４５１は、補助記憶装置４５によって提供されるメモリ領域であり、個室毎の環境データの履歴が保存される。

　使用状況推定部４０１は、本開示に係る使用状況推定手段の一例である。使用状況推定部４０１は、各個室の最新の環境データと、閾値記憶部４５２に記憶されている閾値とに基づいて各個室の使用状況を推定する。閾値記憶部４５２は、補助記憶装置４５によって提供されるメモリ領域であり、使用状況の推定で使用される閾値を記憶する。閾値には、温度閾値と湿度閾値とが含まれ、それぞれ、季節（夏季、冬季、中間期など）及び時刻に応じた値が事前に決められており、予め管理者によって閾値記憶部４５２に書き込まれている。

　使用状況推定部４０１は、閾値記憶部４５２から現在の季節及び時刻に対応する温度閾値及び湿度閾値を読み出す。そして、使用状況推定部４０１は、全ての個室から順次選択した一の個室について、最新の温度と、読み出した温度閾値とを比較し、最新の温度が温度閾値より高い場合、当該個室が使用中であると推定する。

　一方、最新の温度が温度閾値以下の場合、使用状況推定部４０１は、当該個室における最新の湿度と、読み出した湿度閾値とを比較し、最新の湿度が湿度閾値より高い場合、当該個室が使用中であると推定する。

　使用状況推定部４０１は、最新の温度が温度閾値以下であり、且つ、最新の湿度が湿度閾値以下の個室については、使用中でない、すなわち、空室であると推定する。使用状況推定部４０１は、推定した個室の個室ＩＤ及び推定結果を使用状況表示指示部４０２に通知する。

　使用状況表示指示部４０２は、本開示に係る使用状況情報送信手段の一例である。使用状況表示指示部４０２は、使用状況推定部４０１による各個室の使用状況の推定結果に基づいて、各個室の使用状況を示す使用状況情報を生成し、生成した使用状況情報をユーザのユーザ端末６に送信することで、ユーザ端末６に各個室の使用状況の表示を指示する。ユーザ端末６は、個室使用状況提示アプリによる動作の下、使用状況情報を受信すると、受信した使用状況情報に基づいて各個室の使用状況を予め定めた態様でディスプレイ６０に表示する。

＜個室状況推定処理＞
　図１１は、個室状況推定装置４によって実行される個室状況推定処理の手順を示すフローチャートである。個室状況推定装置４は、周期的（例えば１分毎）に下記の個室状況推定処理を実行する。

（ステップＳ２００）
　個室状況推定装置４は、各個室に設置された室内機５から環境データを取得する。その後、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０１に遷移する。

（ステップＳ２０１）
　個室状況推定装置４は、現在の季節及び時刻に対応する温度閾値及び湿度閾値を閾値記憶部４５２から読み出す。その後、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０２に遷移する。

（ステップＳ２０２）
　個室状況推定装置４は、全個室から使用状況推定の対象となる個室を１つ選択する。その後、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０３に遷移する。

（ステップＳ２０３）
　個室状況推定装置４は、選択した個室の最新の温度が、読み出した温度閾値より高いか否かを判定する。最新の温度が温度閾値より高くない場合（ステップＳ２０３；ＮＯ）、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０４に遷移する。一方、最新の温度が温度閾値より高い場合（ステップＳ２０３；ＹＥＳ）、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０５に遷移する。

（ステップＳ２０４）
　個室状況推定装置４は、選択した個室の最新の湿度が、読み出した湿度閾値より高いか否かを判定する。最新の湿度が湿度閾値より高い場合（ステップＳ２０４；ＹＥＳ）、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０５に遷移する。一方、最新の湿度が湿度閾値より高くない場合（ステップＳ２０４；ＮＯ）、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０６に遷移する。

（ステップＳ２０５）
　個室状況推定装置４は、当該個室は使用中であると推定する。その後、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０７に遷移する。

（ステップＳ２０６）
　個室状況推定装置４は、当該個室は空室であると推定する。その後、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０７に遷移する。

（ステップＳ２０７）
　個室状況推定装置４は、使用状況推定の対象として未選択の個室があるか否かを判定する。未選択の個室がある場合（ステップＳ２０７；ＹＥＳ）、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０２に戻る。一方、未選択の個室がない場合（ステップＳ２０７；ＮＯ）、個室状況推定装置４の処理は、ステップＳ２０８に遷移する。

（ステップＳ２０８）
　個室状況推定装置４は、ユーザ端末６に各個室の使用状況の表示を指示する。詳細には、個室状況推定装置４は、各個室の使用状況の推定結果に基づいて、各個室の使用状況を示す使用状況情報を生成し、生成した使用状況情報をユーザのユーザ端末６に送信する。その後、個室状況推定装置４は、本周期での個室状況推定処理を終了する。

　以上説明したように、本実施の形態における個室状況表示システム１Ａでは、個室状況推定装置４は、各個室の温度及び湿度に基づいて各個室の使用状況を推定し、推定した結果に基づく使用状況情報をユーザ端末６に送信する。ユーザ端末６は、個室状況推定装置４から受信した使用状況情報に基づいて各個室の使用状況を予め定めた態様でディスプレイ６０に表示する。これにより、ユーザは、確認のために現地まで移動する必要なく、離れた場所で各個室の使用状況を容易に確認することができる。

　また、個室状況推定装置４は、各個室に設置されている室内機５から温度及び湿度（すなわち、環境情報）を取得するため、個室状況表示システム１Ａの導入及び運用において低コスト化が図れる。

　また、ユーザ端末６を介して各個室の使用状況を確認できるため、ユーザの利便性が大きく向上する。

（変形例１）
　個室状況推定装置４の機能部（図１０参照）の全部又は一部が、専用のハードウェアで実現されるようにしてもよい。専用のハードウェアとは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ＡＳＩＣ、ＦＰＧＡ又はこれらの組合せである。

（変形例２）
　実施の形態１における変形例１～６に係る技術思想は、本実施の形態においても適用され得る。

　上記の各変形例に係る技術思想は、それぞれ単独で実現されてもよいし、適宜組み合わせることで実現されてもよい。

　本開示は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能である。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。

　１，１Ａ　個室状況表示システム、２　個室状況表示装置、３，５　室内機、４　個室状況推定装置、６　ユーザ端末、２０，６０　ディスプレイ、２１，６２　通信インタフェース、２２，４２，６３　ＣＰＵ、２３，４３，６４　ＲＯＭ、２４，４４，６５　ＲＡＭ、２５，４５，６６　補助記憶装置、２６，４６，６７　バス、６１　操作受付部、４０　第１通信インタフェース、４１　第２通信インタフェース、２００，４００　環境データ取得部、２０１，４０１　使用状況推定部、２０２　使用状況表示部、２０３　閾値推定部、２５０，４５０　個室情報記憶部、２５１，４５１　環境データ記憶部、２５２，４５２　閾値記憶部、２５３　運転計画情報記憶部、４０２　使用状況表示指示部

Claims (7)

1. 　個室の環境を調整する環境調整装置から前記個室の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
   　前記取得された環境情報に基づいて前記個室の現在の使用状況を推定する使用状況推定手段と、
   　前記推定された個室の使用状況を表示する使用状況表示手段と、を備える、個室状況表示装置。
2. 　前記個室の予め定めた時刻毎の推定環境情報を記憶する推定環境情報記憶手段をさらに備え、
   　前記使用状況推定手段は、前記取得された環境情報と、前記推定環境情報記憶手段から読み出した現在時刻に対応する推定環境情報とに基づいて前記個室の現在の使用状況を推定する、請求項１に記載の個室状況表示装置。
3. 　前記取得された環境情報に基づいて今後の時刻毎の環境情報を推定する環境情報推定手段と、
   　前記推定された時刻毎の環境情報を記憶する推定環境情報記憶手段と、をさらに備え、
   　前記使用状況推定手段は、前記取得された環境情報と、前記推定環境情報記憶手段から読み出した現在時刻に対応する環境情報とに基づいて前記個室の現在の使用状況を推定する、請求項１に記載の個室状況表示装置。
4. 　前記環境調整装置の運転計画を示す運転計画情報を記憶する運転計画情報記憶手段をさらに備え、
   　前記環境情報推定手段は、前記運転計画情報も加味して今後の時刻毎の環境情報を推定する、請求項３に記載の個室状況表示装置。
5. 　個室状況推定装置と、表示装置と、を備え、
   　前記個室状況推定装置は、
   　個室の環境を調整する環境調整装置から前記個室の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
   　前記取得された環境情報に基づいて前記個室の現在の使用状況を推定する使用状況推定手段と、
   　前記推定された個室の使用状況を示す使用状況情報を前記表示装置に送信する使用状況情報送信手段と、を備え、
   　前記表示装置は、前記使用状況情報を受信し、受信した使用状況情報に基づいて前記個室の使用状況を表示する、個室状況表示システム。
6. 　環境情報取得手段が、個室の環境を調整する環境調整装置から前記個室の環境情報を取得し、
   　使用状況推定手段が、前記取得された環境情報に基づいて前記個室の現在の使用状況を推定し、
   　表示装置が、前記推定された個室の使用状況を表示する、個室状況表示方法。
7. 　コンピュータを、
   　個室の環境を調整する環境調整装置から前記個室の環境情報を取得する環境情報取得手段、
   　前記取得された環境情報に基づいて前記個室の現在の使用状況を推定する使用状況推定手段、
   　前記推定された個室の使用状況を表示する使用状況表示手段、として機能させる、プログラム。

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