WO2024090437A1 - 吸収性物品 - Google Patents

Abstract

【課題】吸収前後の装着感の変化を抑制し、装着時の違和感を抑制できる吸収性物品を提供する。 【解決手段】吸収性物品（１）は、吸収体（３１）と、吸収体よりも肌側（Ｔ１）に配置され、着用者に当接する表面シート（１０）と、吸収体よりも非肌側（Ｔ２）に配置された裏面シート（２０）と、を有する。吸収性物品の幅方向の両外側から吸収性物品に対して力を加える前における吸収性物品の幅方向の長さに対する、力を加えかつ力を除去した後の吸収性物品の幅方向の長さの比率を、幅回復率とすると、吸収性物品が体液を吸収する前の乾燥状態の幅回復率と、吸収性物品が体液を３０ｍｌ吸収した後の湿潤状態の幅回復率と、の差は、１０％以下である。

Description

吸収性物品

　本発明は、軽失禁パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。

　特許文献１には、着用物品の肌面に止着される吸収性物品が開示されている。特許文献１の吸収性物品は、裏面シートに設けられた粘着剤を介して着用物品の肌側に止着されている。吸収性物品の外側部には、吸収体を厚み方向に圧縮した圧搾部が設けられている。圧搾部は、股下域を跨いで前後方向に延びている。着用時に脚等によって吸収性物品の外側部に外力が加わった際に、圧搾部によって外力に対抗し、変形を抑制できる。

特開２０１６－０４９１９７号公報

　しかし、特許文献１の吸収性物品は、以下の問題があった。圧搾部は、フラッフパルプを有する吸収体に形成されており、体液を吸収することで吸収体が変形し、その剛性を維持し続けることができないことがあった。出願人が鋭意研究した結果、吸収前後で吸収体の剛性が変化する等して吸収性物品の装着感が変化すると、使用者によっては、装着感の変化による違和感が生じることがわかった。

　特に、近年、コンパクトな吸収性物品、例えば、薄型の吸収性物品及びウイング無しの吸収性物品が好まれる傾向があり、コンパクトな吸収性物品においては、吸収前後の装着感がより変化しやすく、違和感が生じ易かった。

　本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、吸収前後の装着感の変化を抑制し、装着時の違和感を抑制できる吸収性物品を提供することを目的とする。

　一態様にかかる吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配置され、着用者に当接する表面シートと、前記吸収体よりも非肌側に配置された裏面シートと、を有する。前記吸収性物品の幅方向の両外側から前記吸収性物品に対して力を加える前における前記吸収性物品の幅方向の長さに対する、前記力を加えかつ前記力を除去した後の前記吸収性物品の幅方向の長さの比率を、幅回復率とすると、前記吸収性物品が体液を吸収する前の乾燥状態の幅回復率と、前記吸収性物品が体液を３０ｍｌ吸収した後の湿潤状態の幅回復率と、の差は、１０％以下である。

図１は、肌側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。 図２は、非肌側から見た実施形態に係る吸収性物品の模式平面図である。 図３は、図１に示すＡ－Ａ線に沿った模式断面図である。 図４は、幅回復率の測定方法を説明するための図である。

　（１）実施形態の概要
　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
　態様１に係る発明は、吸収性物品である。吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配置され、着用者に当接する表面シートと、前記吸収体よりも非肌側に配置された裏面シートと、を有する。前記吸収性物品の幅方向の両外側から前記吸収性物品に対して力を加える前における前記吸収性物品の幅方向の長さに対する、前記力を加えかつ前記力を除去した後の前記吸収性物品の幅方向の長さの比率を、幅回復率とすると、前記吸収性物品が体液を吸収する前の乾燥状態の幅回復率と、前記吸収性物品が体液を３０ｍｌ吸収した後の湿潤状態の幅回復率と、の差は、１０％以下である。本態様によれば、体液の吸収前における幅回復率と、体液を吸収後における幅回復率と、の差が小さいため、吸収前後において装着感の変化が少なく、装着感の変化による違和感を抑制できる。

　好ましい態様によれば、態様２に係る発明は、態様１に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記乾燥状態の幅回復率は、前記湿潤状態の幅回復率よりも高い。本態様によれば、乾燥状態（体液を吸収する前の状態）の幅回復率が高いため、体液が排出される前に吸収体の幅方向の長さが短くなることを抑制し、広く配置された吸収体によって体液を吸収できる。よって、吸収性物品の吸収性能を維持できる。加えて、吸収体の広い範囲で体液を吸収することで、体液の吸収による吸収体の剛性の低下が局所的に生じることを抑制し、体液の吸収時における装着感の変化を抑制できる。

　好ましい態様によれば、態様３に係る発明は、態様１又は態様２に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記湿潤状態の幅回復率は、８０％以上である。本態様によれば、体液を吸収した後に長時間使用しても、吸収性物品の幅方向の長さを確保し続けることができ、装着時の違和感を抑制できるとともに、吸収体の幅方向の長さを確保し、吸収性能を維持できる。

　好ましい態様によれば、態様４に係る発明は、態様１から３のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記乾燥状態の幅回復率は、９５％以上である。本態様によれば、体液を吸収する前において、外力の付与によって吸収性物品の幅方向の長さがほぼ変化せずに回復する。装着時の違和感を抑制できるとともに、吸収体の幅方向の長さを確保し、吸収性能を維持できる。

　好ましい態様によれば、態様５に係る発明は、態様１から態様４のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品は、前記吸収性物品の厚みが８ｍｍ以下である薄型の吸収性物品、又は、着用時に着用物品の非肌側に止着されるウイングを有しないウイング無しの吸収性物品である。薄型の吸収性物品は、厚みが薄く剛性を確保し難い。また、ウイング無しの吸収性物品は、ウイング有りの吸収性物品と比較して着用物品に対して折り返す部分がないため、剛性を確保しにくい。これらの吸収性物品において、吸収前後の装着感の変化を抑制することで、違和感を抑制できる。

　好ましい態様によれば、態様６に係る発明は、態様１から態様５のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収体は、高吸収性ポリマーと、前記高吸収性ポリマーを保持する不織布と、によって構成されている。不織布と高吸収性ポリマーとからなる吸収体は、パルプが積層された吸収体と比較して、よれや皺が生じ難い。また、体液の吸収後は、高吸収性ポリマーが膨潤することで弾力性が向上し、外力が加わった際に吸収体の形状が回復し易くなる。よって、吸収体のよれを抑制し、吸収性物品の剛性及び吸収性能を維持できる。

　好ましい態様によれば、態様７に係る発明は、態様６に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記不織布は、パルプを含むエアレイド不織布を有する。パルプを含むエアレイド不織布によれば、フラッフパルプが単に積層された吸収コアと比較して、体液の吸収前後で不織布の構造が変化しにくく、吸収前後の装着感の変化をより抑制できる。また、不織布を構成するパルプによって体液の吸水性も向上できる。

　好ましい態様によれば、態様８に係る発明は、態様６又は態様７に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記不織布は、厚み方向において前記吸収体の肌面を含む肌側領域と前記吸収体の非肌面を含む非肌側領域との間に配置された中間シートを有する。前記中間シートは、非吸水性繊維を有する。非吸水性繊維は、吸収体が体液を吸収した後に、吸水によって膨潤し難く、柔軟化し難い。そのため、非吸水性繊維を含む不織布は、体液吸収後でも変形し難い。よって、体液の吸収前後において装着感の変化が少なく、装着感の変化による違和感を抑制できる。

　好ましい態様によれば、態様９に係る発明は、態様８に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品は、前記中間シート及び高吸収性ポリマーの非肌側を覆い、かつ前記中間シートの外側縁を基点に折り返され、前記中間シート及び高吸収性ポリマーの肌側を覆う折り返しシートを有する。前記折り返しシートは、パルプ及び非吸水性繊維を含むエアレイド不織布によって構成されている。本態様によれば、中間シートによって高吸収性ポリマーを保持し、また、折り返しシートによって、中間シートと高吸収性ポリマーを巻き込んで保持できるため、吸収体の変形を抑制できる。よって、吸収性物品の幅方向の長さをより確保し易くなり、装着時の違和感を抑制できるとともに、吸収体の幅方向の長さを確保し、吸収性能を維持できる。また、折り返しシートも、パルプを有するエアレイド不織布であるため、体液の吸収後でも変形し難い。よって、吸収前後において装着感の変化が少なく、装着感の変化による違和感を抑制できる。

　（２）吸収性物品の全体概略構成
　以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品１について説明する。図１は、実施形態に係る吸収性物品の肌側から見た模式平面図である。図２は、実施形態に係る吸収性物品の非肌側から見た模式平面図である。図３は、図１に示すＡ－Ａ線に沿った断面図である。図３においては、説明の便宜上、吸収性物品を構成する各部材が部分的に厚み方向に離間しているが、実際の製品においては、各部材が接合された部分を有する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。

　吸収性物品１は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、糞便パッドのような吸収性物品であってよい。吸収性物品１は、下着のような着用物品に装着されて使用される物品であってよい。実施の形態の吸収性物品１は、軽失禁パッドである。吸収性物品１は、主として尿を吸収する目的の吸収性物品であり、ナプキンのように主として経血を吸収する目的でなく、おりものシートのように主としておりものを吸収する目的でない吸収性物品である。吸収性物品１の吸収材料は、主として高吸収性ポリマー３５である。吸収性物品１の吸収体における高吸収性ポリマーの含有量（重量％）は、吸収体全体の２５％以上である。

　吸収性物品１は、互いに直交する前後方向Ｌと幅方向Ｗを有し、かつ着用者の肌側Ｔ１から非肌側Ｔ２へ延びる厚み方向Ｔを有する。肌側Ｔ１は、使用時に、着用者の肌に面する側に相当する。非肌側Ｔ２は、使用時に、肌側Ｔ１とは反対側、すなわち着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。吸収性物品１は、股下域Ｓ１、前側域Ｓ２及び後側域Ｓ３を有する。股下域Ｓ１は、着用者の排泄口、例えば排尿口等の排泄口に対向して配置される領域である。吸収性物品１が下着に装着されたときに、股下域Ｓ１は下着の股下部に配置され、着用者の両足の間に配置される領域である。股下域Ｓ１は、例えば、吸収性物品１を前後方向Ｌに三等分した領域のうち中央に位置する領域であってもよいし、吸収体又は吸収性物品の外側縁に括れ部が設けられた形態にあっては括れ部が設けられた領域であってもよい。前側域Ｓ２は、股下域Ｓ１よりも前側に位置する。後側域Ｓ３は、股下域Ｓ１よりも後方に位置する。股下域Ｓ１は、後述する切欠き９０によって前後方向Ｌに挟まれた領域によって構成されてもよい。

　なお、本発明における外側部とは、幅方向Ｗにおける外側縁を含む幅方向Ｗに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Ｗにおける外側縁である。なお、前後方向に一定の範囲を占める構成部材の外側縁は、当該構成部材において幅方向Ｗの外側に位置する点を、構成部材全体に亘って繋いだ縁である。本発明における内側部とは、幅方向Ｗにおける内縁を含む幅方向Ｗに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Ｗにおける内縁である。なお、前後方向に一定の範囲を占める構成部材の内側縁は、当該構成部材において幅方向Ｗの内側に位置する点を、構成部材全体に亘って繋いだ縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Ｌにおける縁を含む前後方向Ｌに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Ｌにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。また、内側辺は、内側縁を含み、かつ前後方向Ｌに沿って延びる辺である。外側辺は、外側縁を含み、かつ前後方向Ｌに沿って延びる辺である。なお、本明細書において、「前後方向Ｌに沿って」という用語は、前後方向Ｌに対して４５°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Ｗに沿って」という用語は、幅方向Ｗに対して４５°未満の角度を持った方向を意味する。

　吸収性物品１は、吸収構造体３０と、表面シート１０と、裏面シート２０と、圧搾部８０と、を少なくとも有してよい。表面シート１０は、吸収構造体３０（吸収体３１）よりも肌側Ｔ１に配置され、着用者に当接する。表面シート１０は、吸収構造体３０の幅方向の中央に重なるセンターシート１１と、センターシート１１よりも肌側Ｔ１に位置し、センターシート１１の幅方向Ｗの外側部と重なるサイドシート１２と、を有してよい。サイドシート１２は、センターシート１１よりも肌側Ｔ１に配置されてよい。変形例において、表面シート１０は、センターシート１１とサイドシート１２を備えずに、１枚のシートによって構成されてよい。サイドシート１２は、着用時に起立する防漏ギャザー７０を構成してよい。センターシート１１及びサイドシート１２は、不織布によって構成されてよく、少なくともセンターシート１１は、液透過性を有し、サイドシート１２は、その表面が疎水処理されていてもよい。

　本実施の形態のセンターシート１１は、エアスルー不織布によって構成されており、サイドシート１２は、ＳＭＳ不織布であってよい。サイドシート１２の外側縁は、吸収性物品１の外縁に位置し、サイドシート１２の内側縁は、後述する中央域Ｓ１１の外側縁よりも幅方向Ｗの外側に位置し、圧搾部８０の外側縁よりも幅方向Ｗの外側に位置し、吸収構造体３０の外側部に重なっていてよい。センターシート１１の外側縁は、中央域Ｓ１１の外側縁よりも幅方向Ｗの外側に位置し、圧搾部８０の外側縁よりも幅方向Ｗの外側に位置してよい。

　表面シート１０には、肌側に突出した凸部（図示せず）と、凸部間に配置された凹部（図示せず）と、が設けられていてよい。凸部及び凹部は、表面シート１０を構成する繊維の坪量が異なる領域によって形成されていてもよいし、表面シート１０を厚み方向Ｔに圧縮することによって形成されていてもよい。凸部及び凹部は、前後方向Ｌに隣接して交互に形成され、かつ幅方向Ｗに隣接して交互に形成されてよい。凸部及び凹部によって表面シート１０に複数の変形基点が形成され、表面シート１０が柔軟に変形し、吸収性物品１が身体に沿いやすくなる。

　裏面シート２０は、吸収構造体３０（吸収体）よりも非肌側Ｔ２に配置される。裏面シート２０は、吸収性物品１の全域に配置されており、吸収性物品１の厚み方向Ｔの最も非肌側に設けられている。裏面シート２０は、液不透過性を有し、フィルムによって構成されてよい。裏面シート２０の非肌面には、吸収性物品１を着用物品に止着する止着部６０が設けられよい。止着部６０は、吸収体３１と重なる領域に少なくとも設けられてよい。止着部６０には、粘着剤、又はメカニカルフックが設けられてよい。本実施の形態の止着部６０は、前後方向Ｌに延び、かつ幅方向Ｗに間隔を空けて配置されており、吸収性物品の幅方向Ｗの中心を挟んだ両側のそれぞれに２本ずつ配置されている。止着部６０の外側縁（最も幅方向の外側に位置する止着部６０の外側縁）は、圧搾部８０の外側縁よりも幅方向Ｗの外側に位置してよく、吸収体３１の外側縁よりも幅方向Ｗの内側に位置してよく、サイドシート１２の内側縁よりも幅方向の内側に位置してよい。

　吸収性物品１は、吸収性物品１の幅方向Ｗの側部において起立可能な防漏ギャザー７０を有してよい。防漏ギャザー７０は、防漏弾性部材７４の収縮によって起立可能な収縮部７１と、収縮部よりも前後方向Ｌの外側に位置し、収縮部７１の起立基点となる前後基点（図示せず）と、収縮部７１よりも幅方向Ｗの外側に位置し、収縮部７１の起立基点となる幅基点７３と、を有する。より詳細には、図３に示すように、サイドシート１２の内側部が折り畳まれており、当該サイドシート１２に前後方向Ｌに伸長された状態で防漏弾性部材７４が配置されている。サイドシート１２は、センターシート１１に対して接合されていない領域において、防漏弾性部材７４の収縮によって着用者側に起立する。前後基点は、収縮部７１よりも前後方向Ｌの外側において、サイドシート１２がセンターシート１１に対して接合された領域の内端縁である。幅基点７３は、収縮部７１よりも幅方向Ｗの外側において、サイドシート１２がセンターシート１１に対して接合された領域の内側縁である。

　吸収構造体３０は、表面シート１０と裏面シート２０の間に配置されている。吸収構造体３０は、少なくとも１つの吸収要素を含んで構成されている。吸収要素は、体液を保持する機能、及び体液を拡散する機能の少なくとも一方を有する。本実施の形態の吸収要素は、吸収材料を含む吸収体３１、吸収体を覆うコアラップ３３、及びセカンドシート３９を含んでいる。吸収体３１及びコアラップ３３は、体液を保持する機能と、体液を拡散する機能と、の両機能を有する。セカンドシート３９は、体液を保持する機能を有しないが、体液を拡散する機能を有する。

　吸収体３１は、吸収材料を含む。吸収材料は、パルプ、高吸収性ポリマーを例示できる。本実施の形態の吸収体は、吸収材料としての高吸収性ポリマー３５と、高吸収性ポリマー３５を保持する不織布と、を有してよい。吸収体３１は、体液を吸収する吸収材料として高吸収性ポリマー３５を有してればよい。本実施の形態は、複数のシート部材間に挟まれた吸収材料としては、高吸収性ポリマー３５のみであるが、他の形態において、複数のシート部材間に高吸収性ポリマー３５以外の吸収材料（シート状に成形されていないパルプ）を有してもよい。高吸収性ポリマー３５を保持する不織布は、少なくとも１枚のシートであればよいが、本実施の形態のように、複数枚のシートであってもよい。複数の不織布は、第１不織布３６と、第１不織布３６よりも非肌側Ｔ２に位置する第２不織布３７と、を有してよい。高吸収性ポリマー３５は、第１不織布３６と第２不織布３７の間、及び第２不織布３７とコアラップ３３の間に配置されてよい。第２不織布３７は、厚み方向Ｔにおいて吸収体３１の肌面を含む肌側領域と吸収体３１の非肌面を含む非肌側領域との間に配置されており、本発明の「中間シート」を構成してよい。肌側領域と非肌側領域は、中間シートを境界として分けられた領域であってよく、両領域の厚みが異なっていてもよいし、両領域の厚みが同じであってもよい。本実施の形態の第１不織布３６は、パルプを含むエアレイド不織布によって構成され、第２不織布３７は、エアスルー不織布によって構成されている。

　コアラップ３３は、吸収体３１の少なくとも一部を覆う。コアラップ３３は、吸収体３１の肌面及び非肌面の一方を覆う第１領域３３１と、第１領域３３１から幅方向Ｗの外側に延出し、吸収体３１の外側縁を基点に折り返され、吸収体３１の肌面及び非肌面の他方を覆う第２領域３３２と、を有してよい。第２領域３３２は、吸収体３１の他方の幅方向Ｗの全域を覆わずに、吸収体３１の幅方向Ｗの外側部のみを覆ってよい。本実施の形態のコアラップ３３の第１領域３３１は、吸収体３１よりも非肌側Ｔ２に位置し、第２領域３３２は、吸収体３１よりも肌側Ｔ１に位置している。すなわち、コアラップ３３は、吸収体３１の非肌面の幅方向Ｗの全域、及び吸収体３１の肌面の幅方向Ｗの外側部を覆い、吸収体３１の肌面の幅方向Ｗの中央を覆っていない。吸収体の肌面においてコアラップ３３によって覆われていない領域は、第１不織布３６が配置されており、高吸収性ポリマー３５が表面シート１０側に移動することを第１不織布３６によって抑制できる。なお、変形例において、コアラップ３３の第１領域３３１が吸収体３１よりも肌側Ｔ１に位置し、第２領域３３２が吸収体３１よりも非肌側Ｔ２に位置してもよい。本実施の形態のコアラップ３３は、中間シート及び高吸収性ポリマー３５の非肌側Ｔ２を覆い、かつ中間シート（第２不織布３７）の外側縁を基点に折り返され、中間シート及び高吸収性ポリマーの肌側Ｔ１を覆っており、本発明の「折り返しシート」を構成してよい。コアラップ３３は、不織布によって構成されてよく、好適には、パルプを含むエアレイド不織布によって構成されてよい。

　セカンドシート３９は、吸収体３１の肌側Ｔ１、かつ表面シート１０よりも非肌側Ｔ２に配置され、体液を吸収体３１に導く。セカンドシート３９の外端縁は、吸収体３１の外端縁よりも前後方向Ｌの内側に位置してよく、後述する折り線ＦＬよりも前後方向Ｌの外側に位置してよく、後述する圧搾部８０の外端縁よりも前後方向Ｌの内側に位置してよい。セカンドシート３９の外側縁は、吸収体３１の外側縁よりも幅方向Ｗの内側に位置してよく、センターシート１１の外側縁及びサイドシート１２の外側縁よりも幅方向Ｗの内側に位置してよく、圧搾部８０よりも幅方向Ｗの外側に位置してよい。セカンドシート３９は、不織布によって構成されてよく、好適には、エアスルー不織布によって構成されてよい。なお、吸収性物品１は、セカンドシート３９を有していなくてもよい。

　吸収体３１は、吸収体３１を幅方向Ｗに三等分した領域のうち、幅方向Ｗの中央に位置する中央域Ｓ１１と、当該領域のうち、中央域Ｓ１１の両側に位置する一対のサイド域Ｓ１２と、を有する。なお、吸収体３１の幅方向Ｗの長さが変化する形態にあっては、吸収体３１の幅方向Ｗの長さが最も長い位置における幅方向Ｗの長さを基準として、中央域Ｓ１１とサイド域Ｓ１２を規定してよい。

　吸収性物品１には、少なくとも吸収構造体３０を厚み方向Ｔに圧縮した圧搾部８０が設けられてよい。圧搾部８０は、吸収構造体３０と表面シート１０が圧縮されていてもよいし、吸収構造体３０のみが圧縮されていてもよい。圧搾部８０は、吸収構造体３０を構成する少なくとも１つの吸収要素が圧縮されていてよい。好適には、圧搾部８０は、表面シート１０と吸収構造体３０が共に、肌側Ｔ１側から非肌側Ｔ２に向かって圧縮されて形成されてよい。当該構成によれば、表面シート１０と吸収構造体３０が体化し、外力に対する反発力が高まり、外部からの力に対し吸収性物品１が変形し難くなる。

　圧搾部８０は、前後方向に線状に延びる前後圧搾部８１を有してよい。前後圧搾部８１は、幅方向Ｗに間隔を空けて一対で設けられており、吸収性物品の幅方向Ｗの中心を挟んだ両側のそれぞれに１本ずつ配置されている。圧搾部８０は、平面視にて間隔を空けて配置された点状圧搾部８２を有してよい。点状圧搾部８２は、間隔を空けて配置されていればよく、その形状は、円形であってもよいし、多角形であってもよいし、ハート柄等の図柄であってもよい。圧搾部８０は、幅方向Ｗに線状に延びる幅圧搾部８３を有してよい。幅圧搾部８３は、幅方向Ｗにおいて前後圧搾部８１によって挟まれた領域に配置されてよい。幅圧搾部８３は、股下域Ｓ１の前後方向Ｌの中心である股下中心Ｓ１ＣＬを挟んで、前後方向Ｌに間隔を空けて配置されてよく、股下中心Ｓ１ＣＬの前側と後側にそれぞれ２本ずつ設けられてよい。幅圧搾部８３は、幅方向の中央が前後方向Ｌの外側に向かって膨らむ曲線状であってよい。

　吸収性物品１の外側縁は、幅方向Ｗの内側に凹んだ切欠き９０を有してよい。切欠き９０は、股下中心Ｓ１ＣＬを挟んで、前後方向Ｌに間隔を空けて配置されてよく、前側に位置する第１切欠き９１と、後側に位置する第２切欠き９２と、を有してよい。第１切欠き９１と第２切欠き９２の間の領域は、幅方向Ｗの内側に曲線状に凹んでよい。第１切欠き９１と第２切欠き９２の間の領域の曲率は、切欠き９０よりも高い曲率であってよく、切欠き９０よりも緩やかな曲線であってよい。第１切欠き９１と第２切欠き９２の間の領域が脚によって挟まれた際に、脚に対する当たりを和らげることができるとともに、外力を前後方向Ｌの一定の範囲に亘って伝え、局所的な吸収体３１の変形を抑制できる。

　吸収性物品１は、使用前に、幅方向Ｗに延びる一対の折り線ＦＬを基点に肌側Ｔ１同士が向き合うように折り畳まれてよい。折り線ＦＬは、前後方向Ｌに間隔を空けて複数設けられてよい。本実施の形態の折り線ＦＬは、前側に位置する第１折り線ＦＬ１と、後側に位置する第２折り線ＦＬ２と、を有してよい。第１折り線ＦＬ１は、第１切欠きの内側縁よりも前側に位置してよく、第２折り線は、第２切欠きの内側縁よりも後側に位置してよい。

　本実施の形態の吸収性物品１は、吸収性物品１の外側部の剛性を高め、着用時の吸収性物品１のよれを抑制し、吸収性能を維持できるように構成されている。また、本実施の形態の吸収性物品１は、吸収前後の装着感の変化を抑制し、装着時の違和感を抑制できるように構成されている。次いで、吸収性物品１の外側部の剛性を高め、着用時の吸収性物品１のよれを抑制し、吸収性能を維持するための構成及び吸収前後の装着感の変化を抑制し、装着時の違和感を抑制するための構成について詳細に説明する。

　圧搾部８０は、吸収構造体３０を構成する吸収要素の平面視における外端縁及び外側縁の少なくとも一方を跨いでよい。圧搾部８０は、いずれかの吸収要素の外端縁及び外側縁の少なくとも一方を跨いでいればよい。本構成によれば、圧搾部８０によって吸収性物品１の剛性を高めることができ、着用時に外力が加わった際における吸収性物品１のよれを抑制できる。また、圧搾部８０は、吸収構造体３０を構成する吸収要素の平面視における外端縁及び外側縁の少なくとも一方を跨いでおり、吸収要素の外端縁及び外側縁の少なくとも一方が浮き上がることを抑制できる。よって、吸収要素の端縁が意図せずにずれたりよれたりすることに起因して、吸収性物品１全体がよれることを抑制できる。また、吸収要素自体のよれや変形を抑制することで、体液の吸収性能を維持できる。

　圧搾部８０は、コアラップ３３の外端縁及び外側縁の少なくとも一方を跨いでいることが好ましい。当該構成によれば、コアラップ３３の位置ずれを抑制し、コアラップ３３のよれを抑制するとともに、コアラップ３３によって覆われている吸収体３１の意図しない変形を抑制できる。また、コアラップ３３によって吸収体３１の外側縁を跨いで吸収体３１の肌面と非肌面を覆うことで、吸収体３１の外側部の剛性を向上でき、吸収性能をより維持できる。圧搾部８０がコアラップ３３の外端縁及び外側縁の少なくとも一方を跨ぐ構成は、第１領域３３１の外端縁を跨いでもよいし、第２領域３３２の外端縁を跨いでもよいし、第１領域３３１の外側縁を跨いでもよいし、第２領域３３２の外側縁を跨いでもよい。好適には、圧搾部８０は、第２領域３３２の外端縁及び外側縁の少なくとも一方を跨いでよい。コアラップ３３の第２領域３３２の外端縁及び外側縁の少なくとも一方を圧搾部によって押さえることで、折り返したコアラップ３３のずれを抑制し、吸収性物品１の剛性の向上効果、及び吸収性能を確保する効果を維持し続けることができる。変形例において、コアラップ３３が折り返されず、吸収体３１の肌側Ｔ１と非肌側Ｔ２にそれぞれ配置された形態にあっては、吸収体３１の肌側Ｔ１と非肌側Ｔ２に配置されたコアラップの少なくとも一方の外端縁及び外側縁の少なくとも一方を跨いでいてもよい。

　圧搾部８０は、セカンドシート３９の端縁を跨いでいることが好ましい。セカンドシート３９は、体液を吸収体に導くために設けられており、位置がずれたりよれたりすると、吸収体３１に円滑に体液を導くことができなかったり、体液が局所的に導かれ吸収体の広い範囲に導くことができなかったりすることがある。しかし、セカンドシート３９の端縁を圧搾部８０によって押さえることで、セカンドシート３９の位置ずれ及びよれを抑制し、吸収体３１に円滑に体液を導くことができ、吸収性能を確保する効果を維持し続けることができる。

　変形例において、圧搾部８０は、吸収体３１の端縁を跨いでいてもよい。当該構成によれば、吸収体３１自体の変形を抑制でき、吸収性能を確保する効果を維持し続けることができる。圧搾部８０は、第１不織布３６の端縁を跨いでいてもよいし、第２不織布３７の端縁を跨いでいてもよい。なお、高吸収性ポリマー３５の端縁を圧搾部８０が跨いでいても吸収性物品１の剛性を高める効果を得難いため、吸収体３１の端縁を圧搾部８０が跨ぐ構成は、吸収体３１のうちシート状の吸収要素（第１不織布３６、第２不織布３７等）の端縁を跨いでいることが好ましい。変形例において、吸収体３１は、パルプを積層された吸収コアであり、当該吸収コアの端縁を圧搾部が跨いでいてもよい。

　なお、本実施の形態においては、圧搾部８０としての前後圧搾部８１は、コアラップ３３の第２領域３３２の内側縁を跨いでおり、セカンドシート３９の外端縁を跨いでいる。前後圧搾部８１がコアラップ３３の第２領域３３２の内側縁を跨いだ箇所（図１においてＰ１で示す）は、吸収性物品１の前後方向Ｌの中心を挟んだ前側と後側にそれぞれ４箇所ずつ設けられている。前側と後側それぞれにおいて、吸収性物品１の幅方向の中心を挟んだ両側において、前後方向Ｌに間隔を空けて２箇所ずつ設けられている。Ｐ１は、合計８箇所設けられている。前後圧搾部８１がセカンドシート３９の外端縁を跨いだ箇所（図１においてＰ２で示す）は、吸収性物品１の前後方向Ｌの中心を挟んだ前側と後側にそれぞれ２箇所ずつ設けられている。前側と後側それぞれにおいて、吸収性物品１の幅方向の中心を挟んだ両側において、１箇所ずつ設けられている。Ｐ２は、合計４箇所設けられている。前後圧搾部８１がコアラップ３３の第２領域３３２の内側縁を跨いだ箇所のうち、前後方向Ｌの外側に位置する４箇所（前側２箇所、及び後側２箇所）は、Ｐ２と重なっている。また、前後圧搾部８１は、前後方向Ｌに沿っており、コアラップ３３の第２領域３３２の側縁と重なる箇所は、前後方向Ｌに延びる一定範囲の領域である。また、変形例において、点状圧搾部８２が吸収構造体３０を構成する吸収要素の平面視における端縁を跨いでいてもよい。

　前後圧搾部８１は、股下中心Ｓ１ＣＬを跨がずに股下中心Ｓ１ＣＬよりも前後方向Ｌの外側にそれぞれ配置され、吸収要素の端縁を跨いでよい。股下中心Ｓ１ＣＬは、着用時に最も脚によって挟まれ易く、外力を受け易い。当該股下中心Ｓ１ＣＬに前後方向に延びる前後圧搾部８１が配置されていると、前後圧搾部８１が折れ基点となり、当該折れが前後方向Ｌに延びてしまったり、前後圧搾部８１が脚等に当たることによる違和感が生じたりするおそれがある。しかし、前後圧搾部８１が股下中心Ｓ１ＣＬを跨がずに股下中心Ｓ１ＣＬよりも前後方向Ｌの外側にそれぞれ配置されているため、股下中心Ｓ１ＣＬにおいて折れ基点が形成されること及び違和感を抑制できる。また、前後圧搾部８１が股下中心Ｓ１ＣＬよりも前後方向Ｌの外側において吸収要素の端縁を跨いでいるため、圧搾部８０が吸収要素の端縁を跨ぐ箇所に外力が加わり難く、圧搾部８０によって吸収要素の端縁を押さえ続けることができる。

　股下中心Ｓ１ＣＬを避けて前後圧搾部８１を配置する形態にあっては、股下中心Ｓ１ＣＬ近傍における剛性を確保するための構成を採用することが好ましい。具体的には、前後方向において前後圧搾部８１によって挟まれた領域に点状圧搾部８２を設けてよい。股下中心Ｓ１ＣＬを避けて前後圧搾８１部を配置することで着用時の違和感を抑制しつつ、点状圧搾部８２によって股下中心Ｓ１ＣＬ近傍における剛性を確保し、股下域Ｓ１のよれを抑制できる。着用時における脚に対する当たりを抑制するために、点状圧搾部８２の外側縁は、前後圧搾部８１の外側縁よりも幅方向Ｗの内側に位置してよい。また、他の構成としては、前後方向Ｌにおける前後圧搾部によって挟まれた領域に、表面シート１０の凸部及び凹部を配置してよい。股下中心Ｓ１ＣＬを避けて前後圧搾部８１を配置することで着用時の違和感を抑制しつつ、凹部及び凸部によって股下中心Ｓ１ＣＬ近傍における剛性を確保し、股下域のよれを抑制できる。また、凹部及び凸部は、表面シート１０に形成されており、吸収性物品１の肌側の部分に変形基点を形成できる。一方、圧搾部８０は、吸収要素に設けられており、凹部及び凸部よりも非肌側Ｔ２の部分に変形基点を形成できる。凸部及び凹部と、圧搾部と、のそれぞれによって、厚み方向に異なる部分に変形基点を設けることができ、外力が加わった際にそれぞれが変形することで、吸収性物品１の厚み方向Ｔの全体の変形を抑制できる。

　吸収性物品１の外側部の剛性をより高めるために、圧搾部８０の少なくとも一部は、サイド域Ｓ１２に設けられてよく、圧搾部８０が吸収要素の端縁を跨いだ箇所は、サイド域Ｓ１２に設けられてよい。また、吸収性物品１の幅方向Ｗの外側からの外力に対する変形を抑制するために、吸収要素の端縁を跨ぐ圧搾部（本実施の形態では前後圧搾部８１）よりも幅方向Ｗ内側に幅圧搾部８３が設けられてよい。本実施の形態の幅圧搾部８３は、吸収要素の端縁を跨ぐ前後圧搾部８１によって幅方向に挟まれた領域に設けられている。当該構成によれば、吸収要素の端縁を跨ぐ前後圧搾部８１の変形を抑制し、吸収性物品の剛性及び吸収性能をより維持し易くなる。また、圧搾部８０が吸収要素の端縁を跨いだ箇所の少なくとも一部は、折り線ＦＬよりも前後方向の外側に位置してよい。一般的に、折り線よりも前後方向の外側の領域は、当該領域の前後方向Ｌの全域に亘って止着部が配置されなく、着用物品に対してめくれたりずれたりし易い。しかし、圧搾部８０が吸収要素の端縁を跨いだ箇所が折り線よりも前後方向の外側の領域に位置することにより、折り線よりも前後方向の外側の領域のめくれやよれを抑制できる。

　圧搾部８０は、相対的に圧搾度の高い高圧搾部と、相対的に圧搾度の低い低圧搾部と、を、を備えてよい。本実施の形態の高圧搾部は、前後圧搾部８１のうち、コアラップ３３の第２領域３３２と重なった部分であり、低圧搾部は、前後圧搾部８１のうち、コアラップ３３の第２領域３３２と重ならない部分（第２領域３３２よりも幅方向Ｗの内側の部分）である。前後圧搾部８１は、コアラップ３３の第２領域３３２の側縁を跨いでおり、第２領域３３２の側縁よりも幅方向Ｗ外側の領域の資材数が、第２領域３３２の側縁よりも幅方向Ｗ内側の領域の資材数よりも多い。そのため、高圧搾部と低圧搾部が形成される。高圧搾部は、低圧搾部よりも幅方向の外側に配置されてよい。吸収性物品の外側から力を受けた際に、幅方向Ｗの外側に位置する高圧搾部によって外力を受け、吸収性物品１の変形を抑制できる。また、粗密効果により、高圧搾部がある幅方向Ｗ外側に液が引き込まれやすく、吸収体の幅方向の中央に排出された体液を、幅方向の広い範囲に導くことができる。吸収体３１の広い範囲で体液を吸収することで、局所的に体液を吸収することで体液を吸収した箇所と吸収しない箇所との剛性差が形成され難くなり、吸収体３１のよれを抑制できる。

　低圧搾部は、高圧搾部よりも股下中心Ｓ１ＣＬ側に設けられてよい。低圧搾部が、高圧搾部よりも股下中心Ｓ１ＣＬ側に配置されているため、高圧搾部による着用時の違和感を抑制できる。止着部６０は、低圧搾部よりも幅方向Ｗの外側に配置されてよい。当該低圧搾部は、圧搾の程度が相対的に低く、高圧搾部よりも剛性を保持する効果を得にくい。しかし、当該低圧搾部よりも幅方向Ｗの外側に止着部６０を設けることで、止着部６０を介して着用物品に止められるため、低圧搾部が変形し難くなり、低圧搾部による機能を維持しやすくなる。

　止着部６０は、圧搾部が吸収要素の端縁を跨いだ箇所に重なってよい。圧搾部８０が吸収要素の端縁を跨いだ箇所を、止着部６０によって着用物品に止めることができる。圧搾部８０によって吸収要素の端縁を押さえた箇所が止着部６０を介して着用物品に止められるため、圧搾部８０によって吸収要素の端縁を押さえた箇所が変形し難くなり、圧搾部８０によって吸収要素の端縁を押さえ続けることができる。

　吸収体３１は、高吸収性ポリマー３５と、高吸収性ポリマー３５を保持する不織布３６，３７と、によって構成されてよい。本構成によれば、不織布３６，３７と高吸収性ポリマー３５とからなる吸収体３１は、パルプが積層された吸収体と比較してよれや皺が生じ難い。また、体液吸収後は、高吸収性ポリマー３５が膨潤することで吸収体３１の弾力性が向上し、外力が加わった際に吸収体３１の形状が回復し易くなる。よって、吸収体３１のよれを抑制し、吸収性物品１の剛性及び吸収性能を維持できる。不織布３６，３７は、熱融着性繊維を有し、圧搾部８０は、吸収体３１に設けられてよい。不織布が複数設けられている形態にあっては、圧搾部が形成された不織布が熱融着性繊維を有していればよい。本構成によれば、吸収体３１を構成する不織布の熱融着繊維が圧搾部の形成によって融着し、吸収体３１の剛性が向上する。吸収体３１のよれを抑制し、吸収性物品１の剛性及び吸収性能を維持できる。

　吸収性物品１は、体液の吸収前後における装着感の変化を抑制するように構成されており、具体的には、所定の幅回復率を有する。幅回復率は、吸収性物品１の幅方向Ｗの両外側から吸収性物品１に対して力を加える前における吸収性物品の幅方向の長さに対する、力を加えかつ力を除去した後の吸収性物品１の幅方向Ｗの長さの比率であり、例えば、以下の方法によって測定できる。図４は、幅回復率の測定方法を説明するための図である。

　幅回復率の測定に際しては、まず、図４（Ａ）及び図４（Ｂ）に示すように、測定対象の試験体を準備する。図４（Ａ）は、上面側から見た図であり、図４（Ｂ）は、図４（Ａ）における左側から見た図である。パッケージに収容されている吸収性物品においては、パッケージから取出し、止着部を有する吸収性物品においては、薬用ベビーパウダー等の粉を止着部に付し、止着部の粘着性を除去する。次いで、試験体を前後方向Ｌに伸長させて、吸収性物品１の前端部及び後端部にテープ部材２０１の一端を固定する。テープ部材２０１は、吸収性物品１の幅方向Ｗの中央を跨ぎ、吸収性物品１の幅方向Ｗの中央に対して左右対称となるように固定する。テープ部材２０１が吸収性物品１に固定された領域の前後方向Ｌの長さは、１５ｍｍ、テープ部材２０１の幅は、１５ｍｍとする。テープ部材２０１を固定した後、６０秒放置する。これにより、乾燥状態の幅回復率を測定するための試験体を得ることができる。また、湿潤状態の試験体は、乾燥状態の試験体を得る工程においてテープ部材２０１を固定した後、体液を３０ｍｌ滴下した後、６０秒放置する。これにより、湿潤状態の幅回復率を測定するための試験体を得ることができる。なお、体液は、吸収性物品１の用途によって適宜変更でき、例えば、主に尿を吸収する吸収性物品にあっては、擬似尿として蒸留水を用いることができる。

　次いで、テープ部材２０１の他端を台２０５上に固定する。これにより、吸収性物品１は、テープ部材２０１を介して台２０５に固定される。台２０５は、平らな板とする。次いで、後述する押圧治具２０３の押圧位置を調整するための調整部材２０４をセットする。まず、調整部材２０４を置くための載置台２０２をセットする。載置台２０２は、平らな面を有しており、吸収性物品１と重ならない位置であって、吸収性物品１よりも前後方向Ｌの両外側の位置に配置される。次いで、前側の載置台２０２と後側の載置台２０２を跨ぐように、載置台２０２上に調整部材２０４を載せる。この状態で、調整部材２０４と吸収性物品１は、上下方向に間隔を空けて配置されている。押圧治具２０３によって吸収性物品１を押圧する際に、調整部材２０４は浮いている状態とする。具体的には、例えば、載置台２０２の幅は、６０ｍｍ、載置台の高さは、３０ｍｍとすることができる。

　次いで、各試験体における幅回復率を測定する。まず、力を加える前における吸収性物品１の幅方向Ｗの長さを測定する。当該測定は、吸収性物品１を台２０５に固定した態で測定する。吸収性物品１の幅方向Ｗの長さが変化する形態にあっては、吸収性物品１の前後方向Ｌの中心の位置で測定する。次いで、図４（Ｃ）に示すように、押圧治具２０３を用いて吸収性物品１の両側から力を加える。押圧治具２０３は、吸収性物品１の剛性よりも高い剛性を有する円筒形状であってよい。円筒の軸方向が吸収性物品１の厚み方向に沿い、円筒の外面の円弧部分が吸収性物品１の幅方向Ｗの外側縁に当たるように配置する（すなわち、吸収性物品１を平面視にて視認した際に、円筒の丸い外形を視認できるように配置する）。円筒の直径は、吸収性物品１の前後方向Ｌの長さよりも短いことが好ましく、例えば、直径１２０ｍｍの円筒を用いてよい。押圧治具２０３は、吸収性物品１を挟んで、幅方向Ｗの距離が３０ｃｍとなるように間隔を空けて配置する。左右の円筒の前後方向Ｌの位置は、同じ位置となるように、また、円筒の外面の円弧部分の頂点２０３Ｔ（最も吸収性物品側の点）が、吸収性物品１の前後方向の中央に当たるように配置する。吸収性物品側の各押圧治具の頂点２０３Ｔが、吸収性物品の両側の外側縁に同時に当たるように、押圧治具２０３をそれぞれ幅方向Ｗの内側に移動する。調整部材２０４の幅は、１５ｍｍであり、押圧治具２０３を調整部材２０４に当たる位置まで移動した後、押圧治具２０３を元の位置に戻し、一往復とする。移動速度は、一往復０．５ｓとする。これを１０往復行う。すなわち、５ｓかけて押圧治具２０３を１０往復させる。１０往復後に、押圧治具２０３による力を除去した状態となるため、力を除去した後の吸収性物品１の幅方向の長さを測定する。測定位置は、力を掛ける前の測定位置と同じ位置とする。幅回復率は、（力を除去した後の吸収性物品の幅方向の長さ）／力を加える前における吸収性物品の幅方向の長さによって算出できる。

　本実施の形態において、実施例１及び２に係る吸収性物品と、比較例１から４に係る吸収性物品と、の幅回復率を測定し、その測定結果を表１に示す。

　乾燥状態の幅回復率と、湿潤状態の幅回復率と、の差は、１０％以下であってよい。吸収性物品１を着用した直後は、吸収性物品１に対して外力が加えられてなく、吸収性物品１を着用し続けると、吸収性物品１に対して脚等によって繰り返し外力が加えられる。幅回復率は、着用直後の状態と、着用し続けた状態と、の幅方向の長さの変化を示す数値であり、数値が大きい程、外力が加えられた後の吸収性物品１が、外力が加えられる前の吸収性物品に近い状態まで戻ることを示しており、外力の付与による装着感の変化が少ないこととなる。出願人が鋭意研究した結果、吸収性物品１の装着感が変化すると、使用者によっては、装着感の変化による違和感が生じることがわかった。本発明の吸収性物品は、体液の吸収前における幅回復率と、体液を吸収後における幅回復率と、の差が１０％以下と小さいため、吸収前後において装着感の変化が少なく、装着感の変化による違和感を抑制できる。なお、実施例１及び２の吸収性物品と、比較例１から４の吸収性物品と、を含む６つの吸収性物品を装着して、着用直後と、着用して体液が吸収された後と、の装着感を評価した。その評価結果によれば、実施例１及び２の吸収性物品は、比較例１から４の吸収性物品よりも着用感の変化が少ないと評価された。特に、実施例１に係る吸収性物品において、好適な評価を得た。当該評価結果から、乾燥状態の幅回復率と湿潤状態の幅回復率の差は、１０％以下であってよく、好適には、６％以下であってよく、より好適には、４％以下であってよいことがわかった。

　乾燥状態の幅回復率は、湿潤状態の幅回復率よりも高くてよい。本構成によれば、乾燥状態（体液を吸収する前の状態）の幅回復率が高いため、体液が排出される前に吸収体３１の幅方向Ｗの長さが短くなることを抑制し、広く配置された吸収体３１によって体液を吸収できる。よって、吸収性物品１の吸収性能を維持できる。加えて、吸収体の広い範囲で体液を吸収することで、体液の吸収による吸収体の剛性の低下が局所的に生じることを抑制し、体液の吸収時における装着感の変化を抑制できる。

　湿潤状態の幅回復率は、８０％以上であってよい。本構成によれば、体液を吸収した後に長時間使用しても、吸収性物品１の幅方向Ｗの長さを確保し続けることができ、装着時の違和感を抑制できるとともに、吸収体３１の幅方向Ｗの長さを確保し、吸収性能を維持できる。また、上記評価において、実施例１及び２の吸収性物品は、比較例１から４の吸収性物品よりも、長時間使用しても、吸収性物品の幅方向の長さが短くならずに、装着時の違和感を抑制できると評価された。特に、実施例１に係る吸収性物品において、好適な評価を得た。当該評価結果から、湿潤状態の幅回復率は、８０％以上であってよく、好適には、８９％以上、より好適には、９３％以上であってよいことがわかった。

　乾燥状態の幅回復率は、９５％以上であってよい。本構成によれば、体液を吸収する前において、外力の付与によって吸収性物品１の幅方向Ｗの長さがほぼ変化せずに回復する。そのため、装着時の違和感を抑制できるとともに、吸収体３１の幅方向Ｗの長さを確保し、吸収性能を維持できる。また、上記評価において、実施例１及び２の吸収性物品は、比較例１から４の吸収性物品よりも、吸収性物品１の幅方向Ｗの長さが短くならずに、装着時の違和感を抑制できると評価された。特に、実施例１に係る吸収性物品１において、好適な評価を得た。当該評価結果から、乾燥状態の幅回復率は、９５％以上であってよく、好適には、９７％以上であってよいことがわかった。

　吸収体３１は、高吸収性ポリマー３５と、高吸収性ポリマー３５を保持する不織布と、によって構成されてよい。不織布と高吸収性ポリマーとからなる吸収体は、パルプが積層された吸収体と比較してよれや皺が生じ難い。また、体液の吸収後は、高吸収性ポリマー３５が膨潤することで弾力性が向上し、外力が加わった際に吸収体３１の形状が回復し易くなる。よって、吸収体３１のよれを抑制し、吸収性物品１の剛性及び吸収性能を維持できる。吸収体３１を構成する不織布は、パルプを含むエアレイド不織布を有してよい。吸収体３１が複数の不織布を有する形態にあっては、少なくとも１つの不織布がパルプを含むエアレイド不織布であればよい。不織布として成形されたパルプを含むエアレイド不織布によれば、フラッフパルプが単に積層された吸収コアと比較して、体液の吸収前後で不織布の構造が変化しにくく、吸収前後の装着感の変化をより抑制できる。また、不織布を構成するパルプによって体液の吸水性も向上できる。本実施の形態の吸収体３１は、高吸収性ポリマー３５、第１不織布３６及び第２不織布３７によって構成されており、第１不織布３６は、パルプを含むエアレイド不織布によって構成されている。

　吸収体３１の中間シート（第２不織布）は、非吸水性繊維を有してよい。中間シートは、吸収体３１の厚み方向Ｔの中間部分に配置され、その厚み方向の両側には、高吸収性ポリマー３５が配置されている。非吸水性繊維は、吸収体３１が体液を吸収した後に、吸水によって膨潤し難く、柔軟化し難い。そのため、非吸水性繊維を含む不織布は、体液の吸収後でも変形し難い。よって、体液の吸収前後において装着感の変化が少なく、装着感の変化による違和感を抑制できる。なお、非吸水性繊維は、吸収性繊維（パルプ、コットン、セルロース等）を除く繊維であり、例えば、熱可塑性繊維を例示できる。また、中間シート（第２不織布）は、非吸水性繊維を有していればよく、吸収性繊維を有していてもよい。中間シートが非吸収性繊維と吸水性繊維を有する形態にあっては、繊維の全体に占める非吸収性繊維の重量比率は、５０％以上であってよく、好適には、８０％以上であってよい。また、より好適には、中間シートは、吸水性繊維を有していなくてよい。

　折り返しシート（コアラップ３３）は、パルプ及び非吸水性繊維を含むエアレイド不織布によって構成されてよい。中間シートによって高吸収性ポリマーを保持し、また、折り返しシートによって、中間シートと高吸収性ポリマーを巻き込んで保持できるため、吸収体の変形を抑制できる。よって、吸収性物品の幅方向の長さをより確保し易くなり、装着時の違和感を抑制できるとともに、吸収体の幅方向の長さを確保し、吸収性能を維持できる。また、折り返しシートも、パルプを有するエアレイド不織布であるため、体液の吸収後でも変形し難い。よって、吸収前後において装着感の変化が少なく、装着感の変化による違和感を抑制できる。また、折り返しシートがバインダーを含み、当該バインダーによって繊維を接着し形態にあっては、パルプ繊維同士及び／又はパルプ繊維と非吸水性繊維とを接合でき、粉砕パルプと高吸収性ポリマーからなる吸収体と比較して、吸収前（乾燥時）、吸収後（湿潤時）ともに吸収体の幅回復率を高く保ち易くなる。

　吸収性物品１は、幅方向Ｗにおける回復率のみならず、前後方向Ｌの回復率（前後回復率）も高く構成されてよい。前後回復率は、吸収性物品の前後方向の両側から吸収性物品に対して力を加える前における吸収性物品の前後方向の長さに対する、力を加えかつ力を除去した後の吸収性物品の前後方向の長さの比率である。吸収性物品が体液を吸収する前の乾燥状態の前後回復率と、吸収性物品が体液を３０ｍｌ吸収した後の湿潤状態の前後回復率と、の差は、１０％以下であってよく、湿潤状態の前後回復率は、８０％以上であってよく、乾燥状態の前後回復率は、９５％以上であってよい。表面シート１０、セカンドシート３９、コアラップ（折り返しシート）３３及び第２不織布（中間シート）３７の少なくともいずれかに熱可塑性繊維を含むことにより、吸収性物品の反発力が高くなり、前後回復率が高くなる。力を除去した後に、吸収性物品の前後方向の長さが回復するため、結果的に吸収体の密度が高くなることが抑制され、吸収性能を維持できる。

　吸収性物品１は、厚み方向Ｔの回復率（厚み回復率）も高く構成されてよい。厚み回復率は、吸収性物品の厚み方向の両側から吸収性物品に対して力を加える前における吸収性物品の厚みに対する、力を加えかつ力を除去した後の吸収性物品の厚みの比率である。吸収性物品が体液を吸収する前の乾燥状態の厚み回復率と、吸収性物品が体液を３０ｍｌ吸収した後の湿潤状態の厚み回復率と、の差は、３０％以下であってよく、湿潤状態の厚み回復率は、５０％以上であってよく、乾燥状態の厚み回復率は、８５％以上であってよい。表面シート１０、セカンドシート３９、コアラップ（折り返しシート）３３及び第２不織布（中間シート）３７の少なくともいずれかに熱可塑性繊維を含むことにより、吸収性物品の反発力が高くなり、厚み回復率が高くなる。一旦体圧で吸収性物品１が潰れた場合であっても、着用者が立ちあがった際等、体圧が除去された際に、吸収性物品の厚みが回復するため、結果的に吸収体の密度が高くなることが抑制され、吸収性能を維持できる。

　吸収性物品１は、コンパクトな吸収性物品であってよい。コンパクトな吸収性物品１は、薄型の吸収性物品、及びウイング無しの吸収性物品を例示できる。薄型の吸収性物品は、自然状態における厚みが８．０ｍｍ以下であってよく、好適には、５．０ｍｍ以下であってよく、より好適には、３．０ｍｍ以下であってよい。ウイング無しの吸収性物品１は、着用時に着用物品の非肌側に折り返されるウイングを有しない吸収性物品である。薄型の吸収性物品は、厚みが薄く剛性を確保し難い。また、ウイング無しの吸収性物品は、ウイング有りの吸収性物品と比較して着用物品に対して折り返す部分がないため、剛性を確保しにくい。これらの吸収性物品において、圧搾部を吸収要素の端縁を跨いで設けることで、吸収性物品全体がよれることを抑制するとともに、体液の吸収性能を維持できる。また、これらの吸収性物品において、吸収前後の装着感の変化を抑制することで、違和感を抑制できる。

　以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。

　なお、２０２２年１０月２７日に出願された中華人民共和国特許出願第２０２２１１３２５０６８．８号の全内容が、参照により、本明細書に組み込まれる。

　本態様によれば、吸収前後の装着感の変化を抑制し、装着時の違和感を抑制できる吸収性物品を提供できる。

１：吸収性物品
１０：表面シート
１１：センターシート
１２：サイドシート
２０：裏面シート
３０：吸収構造体
３１：吸収体
３６：第１不織布
３７：第２不織布（中間シート）
３５：高吸収性ポリマー
３３：コアラップ（折り返しシート）
３３１：第１領域
３３２：第２領域
３９：セカンドシート
６０：止着部
８０：圧搾部
８１：前後圧搾部
８２：点状圧搾部
Ｓ１：股下域
Ｓ２：前側域
Ｓ３：後側域
Ｌ：前後方向
Ｗ：幅方向

Claims (9)

1. 　吸収体と、
   　前記吸収体よりも肌側に配置され、着用者に当接する表面シートと、
   　前記吸収体よりも非肌側に配置された裏面シートと、を有する、吸収性物品であって、
   　前記吸収性物品の幅方向の両外側から前記吸収性物品に対して力を加える前における前記吸収性物品の幅方向の長さに対する、前記力を加えかつ前記力を除去した後の前記吸収性物品の幅方向の長さの比率を、幅回復率とすると、
   　前記吸収性物品が体液を吸収する前の乾燥状態の幅回復率と、前記吸収性物品が体液を３０ｍｌ吸収した後の湿潤状態の幅回復率と、の差は、１０％以下である、吸収性物品。
2. 　前記乾燥状態の幅回復率は、前記湿潤状態の幅回復率よりも高い、請求項１に記載の吸収性物品。
3. 　前記湿潤状態の幅回復率は、８０％以上である、請求項２に記載の吸収性物品。
4. 　前記乾燥状態の幅回復率は、９５％以上である、請求項２又は請求項３に記載の吸収性物品。
5. 　前記吸収性物品は、前記吸収性物品の厚みが８ｍｍ以下である薄型の吸収性物品、又は、着用時に着用物品の非肌側に止着されるウイングを有しないウイング無しの吸収性物品である、請求項１又は請求項２に記載の吸収性物品。
6. 　前記吸収体は、高吸収性ポリマーと、前記高吸収性ポリマーを保持する不織布と、によって構成されている、請求項１又は請求項２に記載の吸収性物品。
7. 　前記不織布は、パルプを含むエアレイド不織布を有する、請求項６に記載の吸収性物品。
8. 　前記不織布は、厚み方向において前記吸収体の肌面を含む肌側領域と前記吸収体の非肌面を含む非肌側領域との間に配置された中間シートを有し、
   　前記中間シートは、非吸水性繊維を有する、請求項６に記載の吸収性物品。
9. 　前記吸収性物品は、前記中間シート及び高吸収性ポリマーの非肌側を覆い、かつ前記中間シートの外側縁を基点に折り返され、前記中間シート及び高吸収性ポリマーの肌側を覆う折り返しシートを有し、
   　前記折り返しシートは、パルプ及び非吸水性繊維を含むエアレイド不織布によって構成されている、請求項８に記載の吸収性物品。

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