WO2024069913A1 - 光制御装置、光増幅装置及び光制御方法 - Google Patents
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Abstract
光制御装置(100,200,300)は、入射されたパルス信号を含むパルス光を通過させる通過状態と、パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替え可能な切替部(4)と、パルス光を電気信号に変換する変換部(8)と、変換部からの電気信号の強さの時間変化に基づいて、パルス光に含まれるパルス信号が通過状態において切替部を通過する通過時刻を推定する時刻推定部(905)と、時刻推定部からの情報に基づいて切替部の通過状態と遮断状態との切替えを制御する切替制御部(5)と、を備えた。
Description
本開示は、光制御装置、光増幅装置及び光制御方法に関する。
従来、等間隔に並んだ多数のスペクトルからなる光パルス(パルス信号)を光増幅器で増幅し、光増幅器からの自然放出光を含む光の一部が光ゲートを透過するように、光ゲートの透過率を変化させる多波長発生器が開示されている(特許文献1参照)。この多波長発生器は、光パルスが光ゲートに入射している時刻のみ増幅器からの光が光ゲートを透過し、それ以外の時刻では増幅器からの光が光ゲートを透過しないように、光ゲートの透過率を変化させることで、増幅器からの自然放出光の量の抑制を図っている。
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、パルス信号及び自然放出光を含むパルス光からパルス信号を抽出する際、自然放出光とパルス信号との判別が難しい場合には、自然放出光を十分に抑制することが難しい。このため、例えば、パルス信号を含むパルス光の時間波形に基づいて、パルス信号以外の光の量を効率的に抑制する技術が求められている。
本開示は、上記課題を解決するものであって、パルス光に含まれるパルス信号以外の光の量を従来よりも効率的に抑制することができる光制御装置を提供することを目的とする。
本開示に係る光制御装置は、パルス信号を含むパルス光を通過させる通過状態と、パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替え可能な切替部と、パルス光を電気信号に変換する変換部と、変換部からの電気信号の強さの時間変化に基づいて、パルス光に含まれるパルス信号が通過状態において切替部を通過する通過時刻を推定する時刻推定部と、時刻推定部からの情報に基づいて切替部の通過状態と遮断状態との切替えを制御する切替制御部と、を備えたことを特徴とする。
本開示によれば、パルス光に含まれるパルス信号が切替部を通過する時刻を推定して切替部を制御するので、パルス光に含まれるパルス信号以外の光の量を従来よりも効率的に抑制することができる。
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
まず、図1及び図2を参照して、実施の形態1に係る光増幅装置としてのレーザレーダ装置100の概略構成について説明する。図1は、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100の機能ブロックを示すブロック図である。図1に示すように、レーザレーダ装置100は、パルス光発生部1と、トリガ生成回路2と、パルス信号生成部3と、パルスシャッタ部4と、シャッタ制御部5と、光増幅部6と、光分岐部7と、受光部8と、信号処理部9と、送信光学系10と、を備えている。図1においては、パルス光の流れを実線の矢印の位置と向きで示し、電気信号の流れを破線の矢印の位置と向きで示している。なお、実施の形態1において、パルスシャッタ部4、光分岐部7、受光部8、信号処理部9及びシャッタ制御部5によって、光制御装置が構成されている。
実施の形態1.
まず、図1及び図2を参照して、実施の形態1に係る光増幅装置としてのレーザレーダ装置100の概略構成について説明する。図1は、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100の機能ブロックを示すブロック図である。図1に示すように、レーザレーダ装置100は、パルス光発生部1と、トリガ生成回路2と、パルス信号生成部3と、パルスシャッタ部4と、シャッタ制御部5と、光増幅部6と、光分岐部7と、受光部8と、信号処理部9と、送信光学系10と、を備えている。図1においては、パルス光の流れを実線の矢印の位置と向きで示し、電気信号の流れを破線の矢印の位置と向きで示している。なお、実施の形態1において、パルスシャッタ部4、光分岐部7、受光部8、信号処理部9及びシャッタ制御部5によって、光制御装置が構成されている。
レーザレーダ装置100は、パルス光発生部1によってパルス光、例えば、スペクトル及びパルス時間波形等の任意のパラメータ有するレーザパルス光としてのパルス光を生成し、生成したパルス光を、パルスシャッタ部4、光増幅部6及び光分岐部7を経由して、送信光学系10へ送信する。図2Aに示すように、光増幅部6においては、入射されたパルス光が増幅されて出射される。図2Aは、実施の形態1に係る光増幅部6の作用を示す模式図である。送信光学系10は、所望の目的に応じてパルス光発生部1から送信されたパルス光を整形して、レーザレーダ装置100の外部へ出射する。光分岐部7で分岐されたモニタ光は、受光部8まで導かれる。レーザレーダ装置100は、トリガ生成回路2で生成されるトリガ信号及びトリガ信号に基づいて生成される信号と、光分岐部7からの受信光(モニタ光)を受光部8で光電変換して生成される信号と、に基づいて制御される。
< パルス光発生部1 >
図2Bに示すように、パルス光生成部としてのパルス光発生部1は、後述するパルス信号生成部3からのトリガ信号に基づいて、単一又は複数の波長成分を有する光で構成されるパルス光を生成する。図2Bは、実施の形態1に係るパルス光発生部1が生成したパルス光を、縦軸を光パワーとし横軸を時間として示すグラフである。例えば、パルス光発生部1は、パルスレーザを生成するための光源を備えている。パルス光発生部1は、Qスイッチング、モード同期、又はパルス励起によってパルス光を生成するように構成されていてもよいし、連続波レーザ光を光スイッチや光シャッタでパルス化してパルス光を生成するように構成されていてもよい。また、図2Cに示すように、パルス光発生部1で生成されたパルス光は、パルス信号と自然放出光(AMPLIFIED SPONTANEOUS EMISSION、以下「ASE」ともいう。)とを含む。図2Cは、実施の形態1に係るパルス光発生部が生成したパルス光を示す図2Bを拡大したグラフである。パルス光発生部1で生成されたパルス光は、送信光として、パルスシャッタ部4へ送出される。
図2Bに示すように、パルス光生成部としてのパルス光発生部1は、後述するパルス信号生成部3からのトリガ信号に基づいて、単一又は複数の波長成分を有する光で構成されるパルス光を生成する。図2Bは、実施の形態1に係るパルス光発生部1が生成したパルス光を、縦軸を光パワーとし横軸を時間として示すグラフである。例えば、パルス光発生部1は、パルスレーザを生成するための光源を備えている。パルス光発生部1は、Qスイッチング、モード同期、又はパルス励起によってパルス光を生成するように構成されていてもよいし、連続波レーザ光を光スイッチや光シャッタでパルス化してパルス光を生成するように構成されていてもよい。また、図2Cに示すように、パルス光発生部1で生成されたパルス光は、パルス信号と自然放出光(AMPLIFIED SPONTANEOUS EMISSION、以下「ASE」ともいう。)とを含む。図2Cは、実施の形態1に係るパルス光発生部が生成したパルス光を示す図2Bを拡大したグラフである。パルス光発生部1で生成されたパルス光は、送信光として、パルスシャッタ部4へ送出される。
< トリガ生成回路2 >
図1に示すように、トリガ生成回路2は、パルス光発生部1がパルス光を生成する契機となるトリガ信号(以下「パルス照射トリガ信号」ともいう。)を生成する。トリガ生成回路2は、例えば、パルスジェネレータ、ファンクションジェネレータ、又はFPGAによって構成される。トリガ生成回路2で生成されたパルス照射トリガ信号は、信号処理部9及びパルス信号生成部3へ送信される。
図1に示すように、トリガ生成回路2は、パルス光発生部1がパルス光を生成する契機となるトリガ信号(以下「パルス照射トリガ信号」ともいう。)を生成する。トリガ生成回路2は、例えば、パルスジェネレータ、ファンクションジェネレータ、又はFPGAによって構成される。トリガ生成回路2で生成されたパルス照射トリガ信号は、信号処理部9及びパルス信号生成部3へ送信される。
< パルス信号生成部3 >
パルス信号生成部3は、受信したパルス照射トリガ信号に基づいて、パルス信号を生成する。パルス信号生成部3は、例えば、パルスジェネレータ、ファンクションジェネレータ、又はFPGAによって構成される。パルス信号生成部3で生成されたパルス信号は、パルス光発生部1、シャッタ制御部5及び信号処理部9へ送信される。
パルス信号生成部3は、受信したパルス照射トリガ信号に基づいて、パルス信号を生成する。パルス信号生成部3は、例えば、パルスジェネレータ、ファンクションジェネレータ、又はFPGAによって構成される。パルス信号生成部3で生成されたパルス信号は、パルス光発生部1、シャッタ制御部5及び信号処理部9へ送信される。
< パルスシャッタ部4 >
切替部としてのパルスシャッタ部4は、後述するシャッタ制御部5からの制御信号に基づいて、パルス光発生部1から入射されたパルス光をシャッタする。言い換えると、パルスシャッタ部4は、シャッタ制御部5からの制御信号に基づいて、パルス光発生部1が生成したパルス光を通過させる通過状態と、パルス光発生部1が生成したパルス光を遮断する遮断状態と、が切替わる。なお、以下の記載において、通過状態をON状態、遮断状態をOFF状態ともいう。例えば、パルスシャッタ部4は、メカニカルシャッタによって構成されている。なお、パルスシャッタ部4は、音響光学変調器、偏光光学素子とポッケルスセルの組み合わせ、光スイッチ等によって構成されていてもよい。また、パルスシャッタ部4は、OFF状態においてパルス光を完全に遮断するものに限らず、OFF状態において、入射されたパルス光の少なくとも一部を遮断するものであればよい。パルスシャッタ部4は、ON状態において通過させたパルス光発生部1からのパルス光を光増幅部6へ出射する。
切替部としてのパルスシャッタ部4は、後述するシャッタ制御部5からの制御信号に基づいて、パルス光発生部1から入射されたパルス光をシャッタする。言い換えると、パルスシャッタ部4は、シャッタ制御部5からの制御信号に基づいて、パルス光発生部1が生成したパルス光を通過させる通過状態と、パルス光発生部1が生成したパルス光を遮断する遮断状態と、が切替わる。なお、以下の記載において、通過状態をON状態、遮断状態をOFF状態ともいう。例えば、パルスシャッタ部4は、メカニカルシャッタによって構成されている。なお、パルスシャッタ部4は、音響光学変調器、偏光光学素子とポッケルスセルの組み合わせ、光スイッチ等によって構成されていてもよい。また、パルスシャッタ部4は、OFF状態においてパルス光を完全に遮断するものに限らず、OFF状態において、入射されたパルス光の少なくとも一部を遮断するものであればよい。パルスシャッタ部4は、ON状態において通過させたパルス光発生部1からのパルス光を光増幅部6へ出射する。
< シャッタ制御部5 >
切替制御部としてのシャッタ制御部5は、信号処理部9から受信した信号と、パルス信号生成部3から受信した信号と、に基づいて、パルスシャッタ部4のON状態とOFF状態とを切替えるための制御信号を生成する。
切替制御部としてのシャッタ制御部5は、信号処理部9から受信した信号と、パルス信号生成部3から受信した信号と、に基づいて、パルスシャッタ部4のON状態とOFF状態とを切替えるための制御信号を生成する。
< 光増幅部6 >
光増幅部6は、パルスシャッタ部4のON状態で入射したパルス光を増幅し、光分岐部7へ出射する。例えば、光増幅部6は、半導体光増幅器、または固体増幅器等によって構成されている。また、例えば、光増幅部6は、増幅器へ光を入射するためのミラー、レンズ及び回折格子等の光学装置を含んで構成されていてもよい。また、例えば、光増幅部6は、光分岐部7へ光を出射するための光学装置を含んで構成されていてもよい。
光増幅部6は、パルスシャッタ部4のON状態で入射したパルス光を増幅し、光分岐部7へ出射する。例えば、光増幅部6は、半導体光増幅器、または固体増幅器等によって構成されている。また、例えば、光増幅部6は、増幅器へ光を入射するためのミラー、レンズ及び回折格子等の光学装置を含んで構成されていてもよい。また、例えば、光増幅部6は、光分岐部7へ光を出射するための光学装置を含んで構成されていてもよい。
< 光分岐部7 >
光分岐部7は、光増幅部6からのパルス光を送信光学系10と受光部8とのそれぞれに向けて出射するように、光増幅部6からのパルス光を分光する。光分岐部7は、例えば、偏光ビームスプリッタと半波長板等の偏光光学素子との組み合わせ、または光ファイバカプラによって構成されている。なお、図1には明示されていないが、パルス光発生部1とパルスシャッタ部4との間、パルスシャッタ部4と光増幅部6との間、光増幅部6と光分岐部7との間には、それぞれ、光増幅、波長変換、及び周波数シフト等のパルス光への操作を行う光学系が配置されていてもよい。
光分岐部7は、光増幅部6からのパルス光を送信光学系10と受光部8とのそれぞれに向けて出射するように、光増幅部6からのパルス光を分光する。光分岐部7は、例えば、偏光ビームスプリッタと半波長板等の偏光光学素子との組み合わせ、または光ファイバカプラによって構成されている。なお、図1には明示されていないが、パルス光発生部1とパルスシャッタ部4との間、パルスシャッタ部4と光増幅部6との間、光増幅部6と光分岐部7との間には、それぞれ、光増幅、波長変換、及び周波数シフト等のパルス光への操作を行う光学系が配置されていてもよい。
< 受光部8 >
変換部としての受光部8は、光分岐部7からの受信光(モニタ光)を光電変換してアナログ波である受信電気信号を生成する。生成された受信電気信号は、信号処理部9へ送信される。
変換部としての受光部8は、光分岐部7からの受信光(モニタ光)を光電変換してアナログ波である受信電気信号を生成する。生成された受信電気信号は、信号処理部9へ送信される。
< 信号処理部9 >
次に、図3及び図4を参照して、信号処理部9について説明する。図3は、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100の信号処理部9の機能ブロックを示すブロック図である。図3に示すように、信号処理部9は、アナログデジタル変換部(以下「AD変換部」ともいう。)901と、時間ビン分割部902と、信号傾き算出部903と、信号傾き比率算出部904と、シャッタタイミング決定部905と、を有しており、これらが直列的に接続されて構成されている。
次に、図3及び図4を参照して、信号処理部9について説明する。図3は、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100の信号処理部9の機能ブロックを示すブロック図である。図3に示すように、信号処理部9は、アナログデジタル変換部(以下「AD変換部」ともいう。)901と、時間ビン分割部902と、信号傾き算出部903と、信号傾き比率算出部904と、シャッタタイミング決定部905と、を有しており、これらが直列的に接続されて構成されている。
信号処理部9のAD変換部901は、受光部8からのアナログ波である受信電気信号をデジタル波であるデジタル電気信号に変換するAD変換処理を行う。AD変換部901は、トリガ生成回路2からのパルス照射トリガ信号に基づいて、AD変換処理を実施する。
信号処理部9の時間ビン分割部902は、AD変換部901の出力であるデジタル電気信号を、パルス信号のパルス幅よりも短い時間幅で時間方向に分割する。言い換えると、時間ビン分割部902は、AD変換部901の出力であるデジタル電気信号を、それぞれがパルス信号のパルス幅よりも短い複数の期間毎に分割する。なお、実施の形態1において、時間ビン分割部902は、分割部を構成する。
図4Aは、実施の形態1に係る時間ビン分割部902が受信した信号を時間ビンで分割した様子を示すグラフである。なお、実施の形態1において、図4Aに示すグラフの横軸である時間軸を等間隔(時間レンジΔT)に分割したそれぞれの期間を、時間ビンという。例えば、時間ビン分割部902は、全値幅2μsのパルス幅を有するパルス光を、10nsの時間幅で分割する。言い換えると、時間ビン分割部902は、1つのパルス光を約200のビンに分割している。時間ビン分割部902は、トリガ生成回路2からのパルス照射トリガ信号に基づいて、パルス光を分割する時間ビン分割処理を実施する。
信号処理部9の信号傾き算出部903は、時間ビン分割処理後のビン毎の信号に対して平均電圧値を算出する。さらに信号傾き算出部903は、各時間ビンTiと各時間ビンの直前の時間ビンTi-1との時間あたりの平均電圧値の変化量を算出する。言い換えると、信号傾き算出部903は、複数の時間ビン間における電気信号の強さの時間変化率を算出する。また、言い換えると、信号傾き算出部903は、各ビンと各ビンの直前のビンとの間で、時間-電圧グラフにおける傾きを算出する。なお、以降の処理では、算出値を傾きとして進めるが、直前ビンとの差分や比率を利用してもよい。なお、実施の形態1において、信号傾き算出部903は、変化率算出部を構成する。
信号処理部9の信号傾き比率算出部904は、信号傾き算出部903で算出された時間ビン毎の傾きの値Siに対して、さらに直前の時間ビンの傾きの値Si-1との比率(傾き比率)Riを算出する。言い換えると、信号傾き比率算出部904は、隣接する時間ビン間における電気信号の強さの変化率同士の比率を算出する。また、言い換えると、信号傾き比率算出部904は、時間ビン分割部902によって分割された複数の期間のうち第1期間における電気信号の強さの時間変化率である第1変化率と、第1期間よりも後の期間である第2期間における電気信号の強さの時間変化率である第2変化率と、の比率を算出する。図4Bは、各時間ビンにおける直前の時間ビンに対する波形の傾き比率を示すグラフである。なお、実施の形態1において、信号傾き比率算出部904は、算出部を構成する。
信号処理部9のシャッタタイミング決定部905は、信号傾き比率算出部904が算出した各時間ビンにおける傾き比率に基づいて、ASEとパルス信号の時間境界位置を推定する。例えば、シャッタタイミング決定部905は、信号傾き比率算出部904が算出した各時間ビンにおける傾き比率と、予め設定されている比率閾値と、を比較し、比較結果に基づいて、比率閾値をi回目に超えた時間ビンをASEとパルス信号の時間境界位置であると決定する。ここで、比率閾値とiとは、使用するパルス波形に応じて予め設定されている。実施の形態1では、簡略のため、i=1とする。
また、シャッタタイミング決定部905は、信号傾き比率算出部904が算出した各時間ビンにおける傾き比率に基づいて、パルス光に含まれるパルス信号がパルスシャッタ部4を通過する通過時刻を推定する。言い換えると、シャッタタイミング決定部905は、受光部8からの電気信号の時間変化に基づいて、パルス光に含まれるパルス信号がパルスシャッタ部4を通過する通過時刻を推定する。例えば、シャッタタイミング決定部905は、受光部8からの電気信号の時間変化に基づいて、パルス光に含まれるパルス信号がパルスシャッタ部4の通過を開始する通過時刻を推定する。なお、シャッタタイミング決定部905は、受光部8からの電気信号の時間変化に基づいて、パルス光に含まれるパルス信号がパルスシャッタ部4の通過を終了する通過時刻を推定するように構成されていてもよいし、受光部8からの電気信号の時間変化に基づいて、パルス光に含まれるパルス信号がパルスシャッタ部4の通過を開始する通過時刻及び終了する通過時刻を共に推定するように構成されていてもよい。
また、例えば、シャッタタイミング決定部905は、パルス信号生成部3から得られるパルス光の生成時刻の情報と、パルス繰り返し時間の情報と、設計値から得られるパルスシャッタ部から受光部までの光路長Ldelayの情報と、に基づいて算出されるパルス遅延時間を用いて、次回以降のパルス光に含まれるパルス信号がパルスシャッタ部4を通過する時刻(信号パルス通過時刻)、具体的には、次回以降のパルス光に含まれるパルス信号がパルスシャッタ部4の通過を開始する時刻を算出し、算出結果をシャッタ制御部5へ送信する。例えばパルスシャッタ部から受光部までの光路長Ldelayが屈折率nと設計長をLdelayを用いてLopt
delay=n×Ldelayで表されるとき、パルス遅延時間は、光速cを用いてτ=Lopt
delay/cで表される。なお、実施の形態1において、シャッタタイミング決定部905は、時刻推定部を構成する。
次に、図5及び図6を参照して、信号処理部9のハードウェア構成について説明する。図5は、実施の形態1に係る信号処理部9のハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、図6は、実施の形態1に係る信号処理部9の図5とは異なるハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、図5に示すように、信号処理部9は、プロセッサ9a、メモリ9b及びI/Oポート9cを有し、メモリ9bに格納されているプログラムをプロセッサ9aが読み出して実行するように構成されている。メモリ9bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリであってよい。また、メモリ9bは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等であってもよい。さらにメモリ9bは、HDD又はSSDであってもよい。
また、例えば、図6に示すように、信号処理部9は、専用のハードウェアである処理回路9d及びI/Oポート9cを有している。処理回路9dは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、システムLSI(Large-Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらの組み合わせによって構成される。信号処理部9の各機能は、これらプロセッサ9a又は専用のハードウェアである処理回路9dがソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組合せであるプログラムを実行することによって実現される。
なお、レーザレーダ装置100の他の構成、例えば、トリガ生成回路2、パルス信号生成部3、シャッタ制御部5、受光部8、送信光学系10についても、信号処理部9と同様のハードウェア構成によって構成されていてもよいし、これらのハードウェアに加えて他のハードウェアを有していてもよいし、レーザレーダ装置100の複数の構成で1つのハードウェアを共有するように構成されていてもよい。これらトリガ生成回路2、パルス信号生成部3、シャッタ制御部5、受光部8、送信光学系10についての信号処理部9と同様のハードウェア構成の説明は、省略する。
次に、図7を参照して、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100が実行する処理について説明する。図7は、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100が実行する処理を示すフローチャートである。図7に示すように、レーザレーダ装置100が実行する処理の工程には、ステップST1からステップST15までが含まれる。
ステップST1は、トリガ生成回路2が行う処理工程である。ステップST1においてトリガ生成回路2は、パルス照射トリガ信号に基づいて、パルストリガ信号を発生させる。
ステップST2は、パルス信号生成部3が行う処理工程である。ステップST2においてパルス信号生成部3は、パルス照射トリガ信号に基づいて、パルス光発生部1を制御する。パルス信号生成部3により制御されたパルス光発生部1は、繰返し周期Trep、種パルス光幅δtのパルス光を生成する。図2Bは、繰返し周期Trepごとに、種パルス光幅δtのパルス光が生成されていることを表している。
ステップST3は、パルス光発生部1が行う処理工程である。ステップST3においてパルス光発生部1は、生成したパルス光をパルスシャッタ部4へ出力する。
ステップST4はパルスシャッタ部が行う処理工程である。ステップST4においてパルスシャッタ部4は、シャッタ制御部5からの制御信号に基づいてON状態またはOFF状態に切替わり、ON状態ではパルス光を通過させて光増幅部6へ出力し、OFF状態ではパルス光を遮断して光増幅部6への出力を行わない。
ステップST5は、光分岐部7が行う処理工程である。ステップST5において光分岐部7は、光増幅部6からの光を分岐する。光分岐部7は、分岐させた光の一方を送信光学系10へ出力し、他方を受光部8へ出力する。
ステップST6は、受光部8が行う処理工程である。ステップST6において受光部8は、光分岐部7からの出力を受信して光電気変換し、生成された電気信号を信号処理部98へ出力する。
ステップST7は、時間ビン分割部902が行う処理工程である。ステップST7において、時間ビン分割部902は、時間ビン分割処理を行う。
ステップST8は、信号傾き算出部903が行う処理工程である。ステップST8において信号傾き算出部903は、時間ビン分割処理後の時間ビン毎の信号に対して平均電圧値Viを算出し、さらに時間ビン毎の直前の時間ビンとの傾きSi=(Vi-Vi-1)/Δtを算出する。
ステップST9は、信号傾き比率算出部904が行う処理工程である。ステップST9において信号傾き比率算出部904は、信号傾き算出部903で取得された時間ビン毎の傾きの値に対して、さらに直前の時間ビンとの比率Ri=Si/Si-1を算出する。図4Bは、各時間ビンにおける傾き比率を表したグラフである。
ステップST10は、シャッタタイミング決定部905が行う処理工程である。ステップST10においてシャッタタイミング決定部905は、信号傾き比率算出部904で得られた各時間ビンにおける傾き比率と予め設定された比率閾値Rthとを比較し、比率閾値をj回目に超えた時間ビンをASEとパルス信号の時間境界位置と決定する。ここで、比率閾値とjの値とは、使用するパルス信号の波形に応じてあらかじめ決定される。実施の形態1では簡略のため、j=1とする。
ステップST11は、シャッタタイミング決定部905が行う処理工程である。ステップST11においてシャッタタイミング決定部905は、パルス信号生成部3から得られるパルス光の生成時刻の情報と、パルス繰り返し時間の情報と、設計値から得られるパルスシャッタ部4から受光部8までの光路長Ldelayの情報と、から算出されるパルス遅延時間を用いて、次回以降のパルス光に含まれるパルス信号がパルスシャッタ部4を通過する時刻を算出する。例えば、パルスシャッタ部4から受光部8までの光路長Ldelayが屈折率nと設計長Ldelayとを用いてLopt
delay=n×Ldelayで表されるとき、パルス遅延時間は、光速cを用いてτ=Lopt
delay/cで表される。
ステップST12は、シャッタタイミング決定部905が行う処理工程である。ステップST12においてシャッタタイミング決定部905は、算出されたパルス通過時刻情報をもとにシャッタ駆動タイミングを決定し、その情報をシャッタ制御部5へおくる。
ステップST13は、パルス光発生部1が行う処理工程である。ステップST13においてパルス光発生部1は、ステップ3以降の任意の時刻にパルス光を生成し、パルスシャッタ部4へ出力する。
ステップST14は、パルスシャッタ部4が行う処理工程である。ステップST14においてパルスシャッタ部4は、ステップST12で決定されたシャッタ駆動タイミングに基づき、ステップST13で生成されたパルス光に対してON状態とOFF状態とが切替わるようにシャッタ駆動し、パルス信号前後のASEをOFF状態で遮断し、パルス信号をON状態で通過させ、光増幅部6へ送る。
ステップST15は、光増幅部6が行う処理工程である。ステップST17において光増幅部6は、ステップST14で入力されたパルス信号を増幅させ、光分岐部7へ出力する。
ステップST15の処理工程の後、ステップST5の処理工程へ戻り再びステップST15までを実施する、この動作を所定の回数繰り返す。回数は1回以上の任意の回数に設定可能である。
実施の形態1に係るレーザレーダ装置100は、光増幅部6の手前(上流)に配置されたパルスシャッタ部4と、パルス光の時間波形を測定する受光部8と、パルス光信号からパルス信号とASEの時間領域を識別する信号処理部と、を備える。これにより、パルス光に含まれるASEとパルス信号とを時間軸上で分別し、光増幅部6へ入射するASEの量を抑制する、という効果を奏する。さらに、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100は、予め異なる手法でシャッタ駆動タイミングを決定せずともASEとパルス信号とを適切な駆動タイミングで分離し、光増幅器へ入射するASEを除去するという作用効果を有する。
また、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100は、パルス光に含まれるパルス信号がパルスシャッタ部4を通過する時刻を推定してパルスシャッタ部4の切替えを制御するので、パルス光に含まれるパルス信号以外の光の量を従来よりも効率的に抑制することができる。
実施の形態1に係る光増幅装置は、最初のパルス、あるいは当該パルスの1つ前のパルスの波形からASEとパルス信号との境界時刻から繰り返し時刻だけ経過したタイミングでシャッタを駆動するだけでなく、シャッタから受光部までの距離に応じた遅延時間を補正する機能や任意のオフセット時間を付与する機能を有するため、信号処理等に由来する遅延時間を補正することが可能であり、シャッタ駆動タイミングを最適化することができるという効果を奏する。
また、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100は、上記の効果を奏するため、ASEの入射に起因する光増幅部6の信号増幅率の低下を抑制しつつ、光増幅部6へ入力されるパルス信号のパワーの低下を抑制し、結果として信号出力が向上するという効果を奏する。
なお、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100は、光分岐部7と受光部8とを光増幅部6よりも後(下流)に配置する構成としたが、レーザレーダ装置はこれに限定されない。例えば、レーザレーダ装置は、光増幅部6よりも手前に光分岐部7と受光部8とを配置する構成であってもよい。
また、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100は、ステップST11において算出されたパルス信号通過時刻にパルスシャッタ部4を駆動する処理としたが、レーザレーダ装置はこれに限定されない。例えば、レーザレーダ装置は、算出されたパルス信号通過時刻に対して任意の追加時刻、すなわち任意の時間オフセットを付与した時刻にシャッタを駆動する処理であってもよい。
また、実施の形態1では、光増幅装置の適用例としてレーザ光を出射するレーザレーダ装置100について説明したが、光増幅装置はレーザレーダ装置に用いられるものに限らず、光を増幅するための多様な用途に適用可能である。
実施の形態2.
次に、図8を参照して、実施の形態2に係るレーザレーダ装置200について説明する。実施の形態2に係るレーザレーダ装置200は、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100と比較して、設けられているパルスシャッタ部、シャッタ制御部及び光増幅部の個数が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
次に、図8を参照して、実施の形態2に係るレーザレーダ装置200について説明する。実施の形態2に係るレーザレーダ装置200は、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100と比較して、設けられているパルスシャッタ部、シャッタ制御部及び光増幅部の個数が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
パルス光発生部が複数のパルス光を生成可能である場合、複数のパルス光に互いに異なるパラメータ、例えば、波長、繰り返し周波数、パルス幅、偏光等を付与することが可能となる。具体的には、パルス光発生部1が、第1の波長の第1パルス信号を含む第1パルス光と、第1の波長とは異なる第2の波長の第2パルス信号を含む第2パルス光と、を出力する場合、差分吸収ライダ等のレーザレーダ装置への応用が可能であり、レーダのターゲットの位置情報に加え、当該ターゲットの吸収波長及び濃度を測定することが可能となる。
また、レーザレーダ装置200が複数の光増幅部を備えている場合、これら複数の光増幅部を直列に接続することで、パルス信号のパワーをより増大させることができる。この場合、パルスシャッタ部は、各パルス光増幅部の前段(上流)に設置してもよいし、特定の光増幅部の前段のみに設置してもよい。光分岐部7および受光部8についても同様であり、各光増幅部の直後に個別に設置してもよいし、特定の光増幅部の後段のみに設置してもよい。
図8は、実施の形態2に係るレーザレーダ装置200の機能ブロックを示すブロック図である。図8に示すように、実施の形態2に係るレーザレーダ装置200は、複数のパルスシャッタ部、複数のシャッタ制御部及び複数の光増幅部を備えており、複数のパルスシャッタ部と複数の光増幅部とが直列に接続されている。例えば、レーザレーダ装置200は、パルスシャッタ部4及びパルスシャッタ部11と、シャッタ制御部5及びシャッタ制御部13と、光増幅部6及び光増幅部12と、を備えており、パルス光発生部1で生成したパルス光は、パルスシャッタ部4、光増幅部6、パルスシャッタ部11、光増幅部12、光分岐部7、送信光学系10の順に送信される。また、パルスシャッタ部11は、シャッタ制御部13によって制御される。実施の形態2に係るレーザレーダ装置200においては、受光部8で得られたパルス信号波形を実施の形態1に記載された手法で信号処理し、ASEとパルス信号との境界時刻情報に基づいて、パルスシャッタ部4とパルスシャッタ部11を駆動することで所望の効果を得る。なお、実施の形態2において、パルスシャッタ部4及びパルスシャッタ部11は、それぞれ第1切替部及び第2切替部を構成し、光増幅部6及び光増幅部12は、それぞれ第1増幅部及び第2増幅部を構成する。
以上の通り、実施の形態2に係るレーザレーダ装置200は、実施の形態1で述べたレーザレーダ装置200の変形例である。実施の形態2に係るレーザレーダ装置200は、実施の形態1において明らかとなった効果を奏し、ASEに由来する光増幅部の利得低下を低減し、信号増幅率を向上させるという効果を奏する。
実施の形態3.
次に、図9乃至図11を参照して、実施の形態3に係るレーザレーダ装置について説明する。実施の形態3に係るレーザレーダ装置は、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100と比較して、信号処理部の構成等が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
次に、図9乃至図11を参照して、実施の形態3に係るレーザレーダ装置について説明する。実施の形態3に係るレーザレーダ装置は、実施の形態1に係るレーザレーダ装置100と比較して、信号処理部の構成等が異なるが、他の構成については同様であり、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態3.
実施の形態1に係るレーザレーダ装置は、パルス光の時間波形において各時刻の傾きを算出し、その直前時刻との傾きの比率からASEとパルス信号の領域時刻を算出したが、パルス信号パワーとASEパワーが既知であれば、時刻ごとの波形傾きの比率を算出せずともその既知情報からパルスシャッタ駆動時刻を算出してもよい。
実施の形態3は、実施の形態1で述べた光増幅装置の信号処理部の変形を示す。実施の形態1と共通する部分については省略する。
実施の形態1に係るレーザレーダ装置は、パルス光の時間波形において各時刻の傾きを算出し、その直前時刻との傾きの比率からASEとパルス信号の領域時刻を算出したが、パルス信号パワーとASEパワーが既知であれば、時刻ごとの波形傾きの比率を算出せずともその既知情報からパルスシャッタ駆動時刻を算出してもよい。
実施の形態3は、実施の形態1で述べた光増幅装置の信号処理部の変形を示す。実施の形態1と共通する部分については省略する。
図9は、実施の形態3に係る信号処理部19の機能ブロックを示すブロック図である。実施の形態3に係る信号処理部19は、実施の形態1に係る信号処理部9に対して、信号傾き算出部903及び信号傾き比率算出部904の代わりに、ASE閾値決定部906及び電圧比較部907を備えている。
図10は、実施の形態3に係るレーザレーダ装置が行う処理を示すフローチャートである。実施の形態3に係るレーザレーダ装置は、図7に示す実施の形態1に係るレーザレーダ装置100が行う処理のステップST8乃至ST10の代わりに、ステップST16乃至ST18の処理を行う。
ステップST16は、ASE閾値決定部906が行う処理工程である。ASE閾値決定部906は、入力パルス波形および既知のパルス信号パワー、ASEパワーに基づいてASEパワーに対応する電圧値を算出し、電圧閾値Vthを決定する。
ステップST17は、ASE閾値決定部906が行う処理工程である。ASE閾値決定部906は、入力パルス波形の各時間ビンにおける平均電圧値Viを算出する。
ステップST18は、ASE閾値決定部906が行う処理工程である。電圧比較部907は、各時間ビンにおける平均電圧値Viと電圧閾値Vthとを比較し、比較結果に基づいて、電圧閾値をj回目に超えた時間ビンを、ASEとパルス信号との時間境界位置と決定する。ここで、電圧閾値とjの値とは使用するパルス波形に応じて予め設定されている。実施の形態3では、簡略のため、j=1とする。なお、実施の形態3において、電圧比較部907は、比較部を構成する。
ステップST17は、ASE閾値決定部906が行う処理工程である。ASE閾値決定部906は、入力パルス波形の各時間ビンにおける平均電圧値Viを算出する。
ステップST18は、ASE閾値決定部906が行う処理工程である。電圧比較部907は、各時間ビンにおける平均電圧値Viと電圧閾値Vthとを比較し、比較結果に基づいて、電圧閾値をj回目に超えた時間ビンを、ASEとパルス信号との時間境界位置と決定する。ここで、電圧閾値とjの値とは使用するパルス波形に応じて予め設定されている。実施の形態3では、簡略のため、j=1とする。なお、実施の形態3において、電圧比較部907は、比較部を構成する。
図11は、実施の形態3の変形例に係るレーザレーダ装置300の機能ブロックを示すブロック図である。上述した実施の形態3においては、パルス信号パワーとASEパワーとが既知と仮定したが、図11に示すように、光分岐部7と受光部8との間に光フィルタ部14を挿入し、パルス信号とASEとを波長軸上で分離し、各々を受光部8で検出することで各々の光パワーを計測する等の手法を用いてもよい。
実施の形態3に係るレーザレーダ装置は、ステップST11において算出されたパルス信号通過時刻にパルスシャッタ部4を駆動する処理としたが、レーザレーダ装置はこれに限定されない。レーザレーダ装置は、算出されたパルス信号通過時刻に対して任意の追加時刻、すなわち任意の時間オフセットを付与した時刻にパルスシャッタ部を駆動する処理を行うように構成されていてもよい。
なお、本開示は、各実施の形態の自由な組合せ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
本開示に係る光制御装置は、例えば、入力光に含まれるASEに由来する増幅部の利得低下を抑制し、信号増幅率を向上させることでより高出力のパルス光を発生させることに利用することができる。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
入射されたパルス信号を含むパルス光を通過させる通過状態と、前記パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替え可能な切替部と、
前記パルス光を電気信号に変換する変換部と、
前記変換部からの電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記パルス光に含まれるパルス信号が前記通過状態の前記切替部を通過する通過時刻を推定する時刻推定部と、
前記時刻推定部からの情報に基づいて前記切替部の前記通過状態と前記遮断状態との切替えを制御する切替制御部と、を備えた
ことを特徴とする光制御装置。
(付記2)
前記時刻推定部は、前記変換部からの電気信号の強さの時間変化率の変化に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする付記1記載の光制御装置。
(付記3)
前記変換部からの電気信号を複数の期間毎に分割する分割部と、
前記分割部によって分割された各期間における電気信号の強さの時間変化率を算出する変化率算出部と、
前記複数の期間のうち第1期間における電気信号の強さの時間変化率である第1変化率と、前記第1期間よりも後の期間である第2期間における電気信号の強さの時間変化率である第2変化率と、の比率、または前記第1変化率と前記第2変化率との差分を算出する算出部と、を備え、
前記時刻推定部は、前記算出部からの情報に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする付記2記載の光制御装置。
(付記4)
前記時刻推定部は、前記変換部からの電気信号の強さが予め設定された閾値を超えた時刻に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項記載の光制御装置。
(付記5)
前記変換部からの電気信号を複数の期間に分割する分割部と、
前記複数の期間のそれぞれの期間における電気信号の強さの平均値を算出し、当該平均値と前記閾値とを比較する比較部と、を備え、
前記時刻推定部は、前記比較部の比較結果に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする付記4記載の光制御装置。
(付記6)
前記時刻推定部は、前記パルス光に含まれる第1パルスに基づいて当該第1パルスの通過時刻を推定し、当該推定の結果に基づいて、前記パルス光に含まれてかつ前記第1パルスよりも後に生成された第2パルスが前記切替部を通過する際の、前記切替部の前記遮断状態と前記通過状態との切替えタイミングを決定する
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項記載の光制御装置。
(付記7)
前記時刻推定部は、前記切替部から前記変換部までの光路長に応じた遅延時間を取得し、当該遅延時間に基づいて、前記第2パルスが前記切替部を通過する際の、前記切替部の前記遮断状態と前記通過状態との切替えタイミングを決定する
ことを特徴とする付記6記載の光制御装置。
(付記8)
前記パルス信号は、第1パルス信号であり、
前記パルス光は、第1パルス光であり、
前記切替部は、第1切替部であり、
前記第1パルス信号とは異なる第2パルス信号を含む第2パルス光を通過させる通過状態と、前記第2パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替え可能な第2切替部を備え、
前記変換部は、前記第1パルス光及び前記第2パルス光を電気信号に変換し、
前記時刻推定部は、前記変換部からの前記第1パルス光による電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記第1パルス光に含まれる前記第1パルス信号が前記第1切替部の通過状態において前記第1切替部を通過する通過時刻、及び前記変換部からの前記第2パルス光による電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記第2パルス光に含まれる前記第2パルス信号が前記第2切替部の通過状態において前記第2切替部を通過する通過時刻を推定し、
前記切替制御部は、時刻推定部からの情報に基づいて前記第1切替部及び前記第2切替部の前記通過状態と前記遮断状態との切替えを制御する
ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項記載の光制御装置。
(付記9)
付記1乃至8に記載の光制御装置と、
前記切替部を通過した光を増幅する増幅部を備えた
ことを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項記載の光増幅装置。
(付記10)
前記第1切替部を通過した光を増幅する第1増幅部と、
前記第2切替部を通過した光を増幅する第2増幅部と、を備えた
ことを特徴とする付記8記載の光増幅装置。
(付記11)
切替部と、変換部と、時刻推定部と、切替制御部と、を備えた装置が行う光制御方法であって、
前記切替部が、入射されたパルス信号を含むパルス光を通過させる通過状態と、前記パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替えるステップと、
前記変換部が、前記パルス光を電気信号に変換するステップと、
前記時刻推定部が、前記変換部からの電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記パルス光に含まれる前記パルス信号が前記通過状態の前記切替部を通過する通過時刻を推定するステップと、
前記切替制御部が、前記時刻推定部からの情報に基づいて前記切替部の前記通過状態と前記遮断状態との切替えを制御するステップと、を備えた
ことを特徴とする光制御方法。
入射されたパルス信号を含むパルス光を通過させる通過状態と、前記パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替え可能な切替部と、
前記パルス光を電気信号に変換する変換部と、
前記変換部からの電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記パルス光に含まれるパルス信号が前記通過状態の前記切替部を通過する通過時刻を推定する時刻推定部と、
前記時刻推定部からの情報に基づいて前記切替部の前記通過状態と前記遮断状態との切替えを制御する切替制御部と、を備えた
ことを特徴とする光制御装置。
(付記2)
前記時刻推定部は、前記変換部からの電気信号の強さの時間変化率の変化に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする付記1記載の光制御装置。
(付記3)
前記変換部からの電気信号を複数の期間毎に分割する分割部と、
前記分割部によって分割された各期間における電気信号の強さの時間変化率を算出する変化率算出部と、
前記複数の期間のうち第1期間における電気信号の強さの時間変化率である第1変化率と、前記第1期間よりも後の期間である第2期間における電気信号の強さの時間変化率である第2変化率と、の比率、または前記第1変化率と前記第2変化率との差分を算出する算出部と、を備え、
前記時刻推定部は、前記算出部からの情報に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする付記2記載の光制御装置。
(付記4)
前記時刻推定部は、前記変換部からの電気信号の強さが予め設定された閾値を超えた時刻に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項記載の光制御装置。
(付記5)
前記変換部からの電気信号を複数の期間に分割する分割部と、
前記複数の期間のそれぞれの期間における電気信号の強さの平均値を算出し、当該平均値と前記閾値とを比較する比較部と、を備え、
前記時刻推定部は、前記比較部の比較結果に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする付記4記載の光制御装置。
(付記6)
前記時刻推定部は、前記パルス光に含まれる第1パルスに基づいて当該第1パルスの通過時刻を推定し、当該推定の結果に基づいて、前記パルス光に含まれてかつ前記第1パルスよりも後に生成された第2パルスが前記切替部を通過する際の、前記切替部の前記遮断状態と前記通過状態との切替えタイミングを決定する
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項記載の光制御装置。
(付記7)
前記時刻推定部は、前記切替部から前記変換部までの光路長に応じた遅延時間を取得し、当該遅延時間に基づいて、前記第2パルスが前記切替部を通過する際の、前記切替部の前記遮断状態と前記通過状態との切替えタイミングを決定する
ことを特徴とする付記6記載の光制御装置。
(付記8)
前記パルス信号は、第1パルス信号であり、
前記パルス光は、第1パルス光であり、
前記切替部は、第1切替部であり、
前記第1パルス信号とは異なる第2パルス信号を含む第2パルス光を通過させる通過状態と、前記第2パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替え可能な第2切替部を備え、
前記変換部は、前記第1パルス光及び前記第2パルス光を電気信号に変換し、
前記時刻推定部は、前記変換部からの前記第1パルス光による電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記第1パルス光に含まれる前記第1パルス信号が前記第1切替部の通過状態において前記第1切替部を通過する通過時刻、及び前記変換部からの前記第2パルス光による電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記第2パルス光に含まれる前記第2パルス信号が前記第2切替部の通過状態において前記第2切替部を通過する通過時刻を推定し、
前記切替制御部は、時刻推定部からの情報に基づいて前記第1切替部及び前記第2切替部の前記通過状態と前記遮断状態との切替えを制御する
ことを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項記載の光制御装置。
(付記9)
付記1乃至8に記載の光制御装置と、
前記切替部を通過した光を増幅する増幅部を備えた
ことを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項記載の光増幅装置。
(付記10)
前記第1切替部を通過した光を増幅する第1増幅部と、
前記第2切替部を通過した光を増幅する第2増幅部と、を備えた
ことを特徴とする付記8記載の光増幅装置。
(付記11)
切替部と、変換部と、時刻推定部と、切替制御部と、を備えた装置が行う光制御方法であって、
前記切替部が、入射されたパルス信号を含むパルス光を通過させる通過状態と、前記パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替えるステップと、
前記変換部が、前記パルス光を電気信号に変換するステップと、
前記時刻推定部が、前記変換部からの電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記パルス光に含まれる前記パルス信号が前記通過状態の前記切替部を通過する通過時刻を推定するステップと、
前記切替制御部が、前記時刻推定部からの情報に基づいて前記切替部の前記通過状態と前記遮断状態との切替えを制御するステップと、を備えた
ことを特徴とする光制御方法。
1 パルス光発生部(パルス光生成部)、2 トリガ生成回路、3 パルス信号生成部、4 パルスシャッタ部(切替部)、5 シャッタ制御部(切替制御部)、6 光増幅部(増幅部)、7 光分岐部、8 受光部、9 信号処理部、10 送信光学系、11 パルスシャッタ部(切替部)、12 光増幅部(増幅部)、13 シャッタ制御部(切替制御部)、14 光フィルタ部、19 信号処理部、98 信号処理部、100,200,300 レーザレーダ装置(光増幅装置、光制御装置)、901 AD変換部、902 時間ビン分割部(分割部)、903 信号傾き算出部(変化率算出部)、904 信号傾き比率算出部(算出部)、905 シャッタタイミング決定部(時刻推定部、比較部)、906 ASE閾値決定部、907 電圧比較部(比較部)。
Claims (11)
- 入射されたパルス信号を含むパルス光を通過させる通過状態と、前記パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替え可能な切替部と、
前記パルス光を電気信号に変換する変換部と、
前記変換部からの電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記パルス光に含まれる前記パルス信号が前記通過状態の前記切替部を通過する通過時刻を推定する時刻推定部と、
前記時刻推定部からの情報に基づいて前記切替部の前記通過状態と前記遮断状態との切替えを制御する切替制御部と、を備えた
ことを特徴とする光制御装置。 - 前記時刻推定部は、前記変換部からの電気信号の強さの時間変化率の変化に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする請求項1記載の光制御装置。 - 前記変換部からの電気信号を複数の期間毎に分割する分割部と、
前記分割部によって分割された各期間における電気信号の強さの時間変化率を算出する変化率算出部と、
前記複数の期間のうち第1期間における電気信号の強さの時間変化率である第1変化率と、前記第1期間よりも後の期間である第2期間における電気信号の強さの時間変化率である第2変化率と、の比率、または前記第1変化率と前記第2変化率との差分を算出する算出部と、を備え、
前記時刻推定部は、前記算出部からの情報に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする請求項2記載の光制御装置。 - 前記時刻推定部は、前記変換部からの電気信号の強さが予め設定された閾値を超えた時刻に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする請求項1記載の光制御装置。 - 前記変換部からの電気信号を複数の期間に分割する分割部と、
前記複数の期間のそれぞれの期間における電気信号の強さの平均値を算出し、当該平均値と前記閾値とを比較する比較部と、を備え、
前記時刻推定部は、前記比較部の比較結果に基づいて、前記通過時刻を推定する
ことを特徴とする請求項4記載の光制御装置。 - 前記時刻推定部は、前記パルス光に含まれる第1パルスに基づいて当該第1パルスの通過時刻を推定し、当該推定の結果に基づいて、前記パルス光に含まれてかつ前記第1パルスよりも後に生成された第2パルスが前記切替部を通過する際の、前記切替部の前記遮断状態と前記通過状態との切替えタイミングを決定する
ことを特徴とする請求項1記載の光制御装置。 - 前記時刻推定部は、前記切替部から前記変換部までの光路長に応じた遅延時間を取得し、当該遅延時間に基づいて、前記第2パルスが前記切替部を通過する際の、前記切替部の前記遮断状態と前記通過状態との切替えタイミングを決定する
ことを特徴とする請求項6記載の光制御装置。 - 前記パルス信号は、第1パルス信号であり、
前記パルス光は、第1パルス光であり、
前記切替部は、第1切替部であり、
前記第1パルス信号とは異なる第2パルス信号を含む第2パルス光を通過させる通過状態と、前記第2パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替え可能な第2切替部を備え、
前記変換部は、前記第1パルス光及び前記第2パルス光を電気信号に変換し、
前記時刻推定部は、前記変換部からの前記第1パルス光による電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記第1パルス光に含まれる前記第1パルス信号が前記第1切替部の通過状態において前記第1切替部を通過する通過時刻、及び前記変換部からの前記第2パルス光による電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記第2パルス光に含まれる前記第2パルス信号が前記第2切替部の通過状態において前記第2切替部を通過する通過時刻を推定し、
前記切替制御部は、時刻推定部からの情報に基づいて前記第1切替部及び前記第2切替部の前記通過状態と前記遮断状態との切替えを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の光制御装置。 - 請求項1乃至8に記載の光制御装置と、
前記切替部を通過した光を増幅する増幅部を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の光増幅装置。 - 前記第1切替部を通過した光を増幅する第1増幅部と、
前記第2切替部を通過した光を増幅する第2増幅部と、を備えた
ことを特徴とする請求項8記載の光増幅装置。 - 切替部と、変換部と、時刻推定部と、切替制御部と、を備えた装置が行う光制御方法であって、
前記切替部が、入射されたパルス信号を含むパルス光を通過させる通過状態と、前記パルス光の少なくとも一部を遮断する遮断状態と、を切替えるステップと、
前記変換部が、前記パルス光を電気信号に変換するステップと、
前記時刻推定部が、前記変換部からの電気信号の強さの時間変化に基づいて、前記パルス光に含まれる前記パルス信号が前記通過状態の前記切替部を通過する通過時刻を推定するステップと、
前記切替制御部が、前記時刻推定部からの情報に基づいて前記切替部の前記通過状態と前記遮断状態との切替えを制御するステップと、を備えた
ことを特徴とする光制御方法。
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