WO2024057651A1

WO2024057651A1 - 光給電方法、光給電システム及び光給電装置

Info

Publication number: WO2024057651A1
Application number: PCT/JP2023/022746
Authority: WO
Inventors: 遼宮武; 陽一深田; 宏明桂井; 真良関口; 智暁吉田
Original assignee: 日本電信電話株式会社
Priority date: 2022-09-13
Filing date: 2023-06-20
Publication date: 2024-03-21
Also published as: WO2024057393A1

Abstract

光給電方法は、第１の光源が、光給電用の第１の光信号を第１の光給電回線へ送出するステップと、給電部が、第１のフォトダイオードによって前記第１の光信号を受光し、前記第１の光信号を電気信号に変換して第１の電力を得るステップと、第２の光源が、第２の光信号を受動光ネットワークの回線である第２の光給電回線へ送出するステップと、前記給電部が、第２のフォトダイオードによって前記第２の光信号を受光し、前記第２の光信号を電気信号に変換して第２の電力を得るステップと、前記給電部が、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力するステップとを有する。

Description

光給電方法、光給電システム及び光給電装置

　本発明は、光給電方法、光給電システム及び光給電装置に関する。
　本願は、２０２２年９月１３日に、日本に出願されたＰＣＴ／ＪＰ２０２２／０３４１８７号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　受光端にある機器を長時間かつ大電力で駆動させるため、光給電を用いて供給電力量を増大させる技術がある。ここでいう受光端にある機器とは、例えばＯＮＵ（Optical Network Unit）等の大電力を必要とする機器である。図８は、従来の光給電方法を用いた光給電システムの構成の一例を示す図である。図８に示されるように、従来の光給電方法では、局舎等に備えられた光源から光ファイバを用いた光給電回線によって、例えば非電化エリアである給電対象エリアへ光信号が伝送される。光給電回線のネットワーク構成としては、分岐損を減らすため、分岐を行わないＳＳ（Single Star）構成が用いられる。給電対象エリアでは、光給電回線を介して伝送された光信号がＰＤ(Photodiode)によって受光される。受光された光信号は、電気信号に変換され、給電対象エリア内の機器に対して電力として供給される。

喜多亮太，深田陽一，桂井宏明，吉田智暁， "ＩｏＴ端末向け光給電装置の試作と，間欠動作時の電力収支評価"，電子情報通信学会総合大会， B-8-12， 2022年3月

　しかしながら、従来の光給電方法では、例えば商用電源やメタル線等を用いる一般的な給電方法と比べて供給電力量が少ない。そのため、従来の光給電方法では、給電対象エリアにおいて機器を動作させるために十分な電力が得られないことがある。供給電力量を増やすためには、例えば光源の光量を増やす方法が考えられるが、その場合、光ファイバの加熱等が生じるため安全性が損なわれることがあるという課題があった。

　本発明は、上記のような技術的背景に鑑みてなされたものであり、光給電において安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることができる技術を提供することを目的とする。

　本発明の一態様は、第１の光源が、光給電用の第１の光信号を第１の光給電回線へ送出するステップと、給電部が、第１のフォトダイオードによって前記第１の光信号を受光し、前記第１の光信号を電気信号に変換して第１の電力を得るステップと、第２の光源が、第２の光信号を受動光ネットワークの回線である第２の光給電回線へ送出するステップと、前記給電部が、第２のフォトダイオードによって前記第２の光信号を受光し、前記第２の光信号を電気信号に変換して第２の電力を得るステップと、前記給電部が、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力するステップと、を有する光給電方法である。

　また、本発明の一態様は、第１の光源と、第２の光源と、光給電装置と、を有する光給電システムであって、前記第１の光源は、光給電用の第１の光信号を第１の光給電回線へ送出し、前記第２の光源は、第２の光信号を受動光ネットワークの回線である第２の光給電回線へ送出し、前記光給電装置は、前記第１の光信号を受光し、受光された前記第１の光信号を電気信号に変換して第１の電力を取得する第１のフォトダイオードと、前記第２の光信号を受光し、受光された前記第２の光信号を電気信号に変換して第２の電力を取得する第２のフォトダイオードと、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する給電部と、を備える光給電システムである。

　また、本発明の一態様は、第１の光源から送出され第１の光給電回線を介して伝送された光給電用の第１の光信号を受光し、受光された前記第１の光信号を電気信号に変換して第１の電力を取得する第１のフォトダイオードと、第２の光源から送出され受動光ネットワークの回線である第２の光給電回線を介して伝送された第２の光信号を受光し、受光された前記第２の光信号を電気信号に変換して第２の電力を取得する第２のフォトダイオードと、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する給電部と、を備える光給電装置である。

　また、本発明の一態様は、光源が、光信号を受動光ネットワークの回線である光給電回線へ送出するステップと、前記受動光ネットワークの分岐部が、前記光給電回線を少なくとも第１の経路と第２の経路とに分岐させるステップと、給電部が、前記第１の経路で伝送された前記光信号を第１のフォトダイオードによって受光し、受光された前記光信号を電気信号に変換して第１の電力を得るステップと、前記給電部が、前記第２の経路で伝送された前記光信号を、第２のフォトダイオードによって受光し、受光された前記光信号を前記電気信号に変換して第２の電力を得るステップと、前記給電部が、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力するステップと、を有する光給電方法である。

　また、本発明の一態様は、光源と、受動光ネットワークと、光給電装置と、を有する光給電システムであって、前記光源は、光信号を受動光ネットワークの回線である光給電回線へ送出し、前記受動光ネットワークは、前記光給電回線を少なくとも第１の経路と第２の経路とに分岐させる分岐部を備え、前記光給電装置は、前記第１の経路で伝送された前記光信号を受光し、受光された前記光信号を電気信号に変換して第１の電力を得る第１のフォトダイオードと、前記第２の経路で伝送された前記光信号を受光し、受光された前記光信号を前記電気信号に変換して第２の電力を得る第２のフォトダイオードと、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する給電部と、を備える光給電システムである。

　また、本発明の一態様は、光源から受動光ネットワークの回線である光給電回線へ送出され、前記光給電回線を少なくとも第１の経路と第２の経路とに分岐させる前記受動光ネットワークの分岐部を介して前記第１の経路で伝送された光信号を受光し、受光された前記光信号を電気信号に変換して第１の電力を得る第１のフォトダイオードと、前記分岐部を介して前記第２の経路で伝送された前記光信号を受光し、受光された前記光信号を電気信号に変換して第２の電力を得る第２のフォトダイオードと、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する給電部と、を備える光給電装置である。

　本発明により、光給電において安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることが可能になる。

本発明の第１の実施形態における光給電システム１の全体構成図である。本発明の第１の実施形態における光給電システム１の動作を示すフローチャートである。本発明の第２の実施形態における光給電システム１ａのＰＯＮで使用されるデータ容量を説明するための図である。本発明の第２の実施形態における光給電システム１ａの動作を示すフローチャートである。本発明の第３の実施形態における光給電システム１ｂの全体構成図である。本発明の第４の実施形態における光給電システム１ｃの全体構成図である。本発明の第４の実施形態における光給電システム１ｃの動作を示すフローチャートである。従来の光給電方法による光給電システムの構成の一例を示す図である。本発明の第５の実施形態における光給電システム１ｄの全体構成図である。本発明の第５の実施形態における光給電システム１ｄの動作を示すフローチャートである。本発明の第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅの全体構成図である。本発明の第６の実施形態における光給電システム１ｆの全体構成図である。本発明の第６の実施形態における光給電システム１ｆの動作を示すフローチャートである。本発明の第７の実施形態における光給電システム１ｇの全体構成図である。本発明の第８の実施形態における光給電システム１ｈの全体構成図である。

　以下、実施形態の光給電方法及び光給電システムについて、図面を参照しながら説明する。

＜第１の実施形態＞
　以下、本発明の第１の実施形態について説明する。

［光給電システムの構成］
　以下、第１の実施形態における光給電システム１の構成について説明する。図１は、本発明の第１の実施形態における光給電システム１の全体構成図である。光給電システム１は、例えば非電化エリアである給電対象エリアに存在する、電力によって動作する機器（以下、「給電対象機器」という。）に対して、光給電による電力を供給するためのシステムである。給電対象機器とは、例えば、ＯＮＵ（Optical Network Unit）等の、駆動のために大電力を必要とし、長時間駆動することが要求される機器である。図１に示されるように、光給電システム１は、光源１１と、光源１２と、光給電部２とを備える。

　光給電部２は、２つのＰＤ（Photodiode）を備える。図１に示されるように、光給電部２は、ＰＤ２０－１と、ＰＤ２０－２とを備える。光給電部２は、例えば、給電対象エリアの内部又は近傍に設置される。なお、ＰＤ２０－１と、ＰＤ２０－２は、１つ装置の筐体の中にまとめて備えられていてもよいし、別々の装置の筐体の中にそれぞれ備えられていてもよい。

　光源１１は、例えば通信基地局の局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば、給電対象エリアとは離れた場所に存在する。光源１１は、光給電用の光信号を送出する。光給電用の光信号としては、例えば常時点灯の光信号を用いればよい。光源１１によって送出された光信号は、光給電回線５１を介して光給電部２へ伝送される。光給電回線５１は、光ファイバを用いて構成される。光給電回線５１のネットワーク構成としては、例えば分岐損を減らすことを目的として、分岐を行わないＳＳ（Single Star）構成が用いられる。

　光源１１によって送出された光信号は、光給電部２のＰＤ２０－１によって受光される。ＰＤ２０－１は、受光した光信号を電気信号に変換することにより電力を得る。

　光源１２は、例えば局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば、給電対象エリア、及び光源１１が設置された他の局舎ビルとは離れた場所に存在する。光源１２は、局舎ビルから複数のユーザ宅へ、通信データを載せた光信号を伝送するための光源である。光源１２とユーザ宅内のＯＮＵとの間のネットワーク構成としては、ＰＯＮ（Passive Optical Network）構成が用いられる。光源１２から送出された光信号は、ネットワーク経路上に設置された光スプリッタによって分岐され、ユーザ宅内のＯＮＵによって受光される。例えば、光スプリッタは、電柱等に設置され、光源１２から伝送される光信号を８つの方向に分岐させる。

　また、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち１つの経路は、光給電部２のＰＤ２０－２に接続される。そのため、光源１２によって送出された光信号は、光給電部２のＰＤ２０－２によっても受光される。ＰＤ２０－２は、受光した光信号を電気信号に変換することにより電力を得る。

　すなわち、本実施形態は、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち少なくとも１つのネットワーク経路が、ユーザ宅への通信データの伝送には用いられておらず未使用で終端されているような場合を想定している。本実施形態は、例えば給電対象エリアの近傍に設置されているＰＯＮにおいて未使用になっているネットワーク経路を、給電対象エリアに対する光給電に活用しようとするものである。一般的に、ＰＯＮを用いた光通信システムでは、光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路の全ての端子へ光信号が流れる仕組みになっているため、未使用で終端されている端子ではこの光信号が活用されず、無駄になっている。本実施形態は、この無駄になっている光信号を光給電に活用しようとするものである。ＰＤ２０－２は、ＰＯＮの局舎からユーザ宅へ伝送される通信データを載せた光信号（既存信号）を受光して電力を得る。

　なお、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路が複数ある場合には、これら複数の未使用のネットワーク経路の各々に接続させるＰＤを光給電部２にそれぞれ用意するようにしてもよい。これにより、給電対象エリアに供給される電力の供給量をより増大させることができる。

　なお、給電対象エリアの近傍にＰＯＮの光スプリッタが複数ある場合、どの光スプリッタを用いるかについては任意であるが、例えば、給電対象エリアの最も近くに設置されている光スプリッタを用いるようにしてもよい。

　光源１２からＰＤ２０－２へ接続されるネットワーク経路は、図１における光給電回線５２である。光給電回線５２を含むＰＯＮのネットワークは、光ファイバを用いて構成される。

　第１の実施形態におけるＰＤ２０－１とＰＤ２０－２とは、直列に接続される。図１に示されるように、ＰＤ２０－１によって得られた電力はＰＤ２０－２へ出力され、ＰＤ２０－１によって得られた電力とＰＤ２０－２によって得られた電力とが合わせて給電対象エリア内の給電対象機器へ出力される。なお、ＰＤ２０－１とＰＤ２０－２とが直列に接続される順序は、図１に示される順序とは逆であってもよい。

　このように、第１の実施形態における光給電システム１は、光源１１から送出される光信号を伝送するＳＳ構成のネットワークの光給電回線５１をメインの光給電回線とし、光源１２から送出される光信号を伝送するＰＯＮ構成のネットワーク経路の１つである光給電回線５２をサブの光給電回線として、給電対象エリアへの光給電を行う。なお、光給電回線５１のネットワーク構成はＳＳ構成に限られるものではなく、例えばＰＯＮ構成等のその他のネットワーク構成であってもよい。

［光給電システムの動作］
　以下、第１の実施形態における光給電システム１の動作の一例について説明する。図２は、本発明の第１の実施形態における光給電システム１の動作を示すフローチャートである。

　光源１１（第１の光源）が、ＳＳ構成の光給電回線５１によって、ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）へ給電用の光信号を送出する（ステップＳ１０１）。ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、ＳＳ構成の光給電回線５１によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ１０２）。ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力をＰＤ２０－２（第２のＰＤ）へ出力する（ステップＳ１０３）。

　光源１２（第２の光源）が、ＰＯＮにデータ通信用の既存信号である光信号を送出する（ステップＳ１０４）。ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、ＰＯＮの光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路の一つである光給電回線５２によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ１０５）。ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力を、ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）から入力された電力と合わせて、給電対象エリア内の給電対象機器へ供給する（ステップＳ１０６）。以上で、図２のフローチャートが示す光給電システム１の動作が終了する。

　以上説明したように、第１の実施形態における光給電システム１は、光源１１から送出される光給電用の光信号によって得られる電力に加えて、光源１２からＰＯＮによって伝送されるデータ通信用の光信号からも電力を得ることができる。これにより、第１の実施形態における光給電システム１は、例えば商用電源やメタル線等を用いる一般的な給電方法と比べて一般的に供給電力量が少ないとされる光給電において、供給電力量を増大させることができる。

　また、第１の実施形態における光給電システム１では、供給電力量を増大させるために既存の光源１１の光量及び既存の光源１２の光量を増加させる必要がないため、光ファイバの加熱等が生じることもない。そのため、第１の実施形態における光給電システム１は、光給電において、安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることができる。

　また、第１の実施形態における光給電システム１によれば、光源１２からＰＯＮによって伝送される光信号からも電力を得ることができるため、従来であれば所望の大電力を得るために高く設定されていた光源１１の光量をより低く抑えることができる。これにより、例えば光源１１のレーザーのクラスを落とすことができるため、第１の実施形態における光給電システム１は、安全性を向上させることができるとも言える。

　また、第１の実施形態における光給電システム１では、既存の光源１１、既存の光給電回線５１、及び既存のＰＤ２０－１を活用することができる。また、第１の実施形態における光給電システム１では、ＰＯＮシステムの既存の光源１２及び既存の光スプリッタ等を活用することができる。よって、第１の実施形態における光給電システム１では、新たにＰＤ２０－２を設置し、ＰＯＮにおいて光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路をＰＤ２０－２に接続するだけでよい。

　このように、第１の実施形態における光給電システム１は、既存のシステムを大きく改変することなく構築することができるため、設置コストを低く抑えることができる。また、第１の実施形態における光給電システム１は、ＰＯＮにおいて未使用のネットワーク経路を流れる無駄な光信号を、光給電に有効活用することができる。

　なお、ＰＯＮには、ＧＥ－ＰＯＮ（Gigabit Ethernet-Passive Optical Network）、１０Ｇ－ＥＰＯＮ（10Gigabit-Ethernet-Passive Optical Network）等の複数の規格があるが、複数の規格のＰＯＮの未使用端子を使用して、複数の光ファイバを給電対象エリアに敷設する構成にすることも考えられる。

＜第２の実施形態＞
　以下、本発明の第２の実施形態について説明する。前述の第１の実施形態における光給電システム１では、光源１２から送出される光信号はデータ通信用の既存信号であり、ＰＤ２０－２は、データ通信用の既存信号である光信号から電力を得る構成であった。これに対し、以下に説明する第２の実施形態における光給電システム（以下、「光給電システム１ａ」という。）では、光源１２から送出される光信号は、データ通信用の既存信号に光給電用の追加信号が付加された光信号である。そのため、第２の実施形態では、ＰＯＮで通信可能なデータ容量に十分な空きがある場合を想定している。

［光給電システムの構成］
　第２の実施形態における光給電システム１ａの全体構成は、図１を参照しながら説明した第１の実施形態における光給電システム１の全体構成と同様であるため、説明を省略する。第２の実施形態における光給電システム１ａの構成のうち、第２の実施形態における光給電システム１の構成と異なる点は、光源１２が、データ通信用の既存信号に光給電用の追加信号を付加した光信号をＰＯＮへ送出する点である。光給電用の追加信号としては、例えば、一般的な光給電の場合と同様に、常時点灯の光信号を用いればよい。

　図３は、本発明の第２の実施形態における光給電システム１ａのＰＯＮで使用されるデータ容量を説明するための図である。第２の実施形態における光給電システム１ａのＰＯＮのデータ容量の容量限界は、例えば、１Ｇｂｐｓであるものとする。

　図３の左側のグラフは、データ通信用の既存信号に光給電用の追加信号を付加しない場合の、ＰＯＮによって伝送されるデータのデータ量の推移の一例を示している。すなわち、図３の左側のグラフは、前述の第１の実施形態における光給電システム１のＰＯＮによって伝送されるデータのデータ量の推移の一例を表しているとも言える。図３の左側のグラフでは、光給電システム１ａのＰＯＮのデータ容量の容量限界に対して、実利用データ量はその２０～３０％程度しかなく、データ容量に十分に空きがある場合が示されている。

　一方、図３の右側のグラフは、データ通信用の既存信号に光給電用の追加信号を付加した場合の、ＰＯＮによって伝送されるデータのデータ量の推移の一例を示している。図３の右側のグラフには、追加信号として付加される光給電用の光信号のデータ量はおよそ０．５Ｇｂｐｓである場合が示されている。

　以上のような構成を備えることで、第２の実施形態における光給電システム１ａは、前述の第１の実施形態における光給電システム１と比べて、光源１２の光量を安全な範囲で増大させることができる。これにより、第２の実施形態における光給電システム１ａは、前述の第１の実施形態における光給電システム１と比べて、より多くの電力を給電対象エリアに存在する給電対象機器へ供給することができる。

　なお、光給電部２は、一定期間ごとに、ＰＯＮの回線で伝送されているデータ通信用の既存信号のデータ量を観測するようにしてもよい。光給電部２は、直近の期間におけるデータ量の最大値等からＰＯＮの回線の空き状況を検出するようにしてもよい。なお、光給電部２は、データ量の最大値に基づいて決定するのではなく、データ量の変化の勾配に基づいて線形予測を行い、その予測値から空き状況を予測するようにしてもよい。あるいは、光給電部２は、過去の同時刻におけるデータ量に基づいて空き情報を予測するようにしてもよい。

　そして、光給電部２は、検出された空き状況に基づいて、光給電用の追加信号のデータ量を決定するようにしてもよい。このとき、光給電部２は、ＰＯＮで行われている既存の通信を邪魔することがないように、追加信号のデータ量にマージンを設けるようにしてもよい。例えば、１［Ｇｂｐｓ］の回線において直近の期間のデータ量の最大値が０．２［Ｇｂｐｓ］だった場合、残りの０．８［Ｇｂｐｓ］は空いている状況である。このような場合に、光給電部２は、例えば予め定められた０．２［Ｇｂｐｓ］のマージンを設け、光給電用の追加信号のデータ量を０．６［Ｇｂｏｓ］に決定するようにしてもよい。

　光給電部２は、例えば、決定されたデータ量を示す情報を光源１２へ通知する。光源１２は、データ通信用の既存信号に光給電用の追加信号を付加した光信号をＰＯＮに送出する際に、上記通知されたデータ量の追加信号を付加する。

　なお、上記のＰＯＮ回線の空き状況を検出する機能、及び上記の追加信号のデータ量を決定する機能は、光給電部２の代わりに、光源１２の側の装置、あるいは個別に設けられた不図示の制御装置に備えられている構成であってもよい。

［光給電システムの動作］
　以下、第２の実施形態における光給電システム１ａの動作の一例について説明する。図４は、本発明の第２の実施形態における光給電システム１ａの動作を示すフローチャートである。

　光源１１（第１の光源）が、ＳＳ構成の光給電回線５１によって、ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）へ給電用の光信号を送出する（ステップＳ２０１）。ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、ＳＳ構成の光給電回線５１によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ２０２）。ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力をＰＤ２０－２（第２のＰＤ）へ出力する（ステップＳ２０３）。

　光給電部２は、一定期間ごとに、ＰＯＮの回線で伝送されているデータ通信用の既存信号のデータ量を観測する。光給電部２は、各期間におけるデータ量の最大値等からＰＯＮの回線の空き状況を検出する（ステップＳ２０４）。光給電部２は、検出された空き状況に基づいて、光給電用の追加信号のデータ量を決定する（ステップＳ２０５）。光給電部２は、光源１２へ決定されたデータ量を示す情報を通知する。

　光源１２（第２の光源）が、データ通信用の既存信号に光給電用の追加信号を付加した光信号をＰＯＮに送出する（ステップＳ２０６）。このとき、光源１２は、上記通知されたデータ量の追加信号を付加する。

　ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、ＰＯＮの光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路の一つである光給電回線５２によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ２０７）。ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力を、ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）から入力された電力と合わせて、給電対象エリア内の給電対象機器へ供給する（ステップＳ２０８）。その後、ステップＳ２０４～ステップＳ２０８の処理が繰り返し行われる。

　以上説明したように、第２の実施形態における光給電システム１ａは、光源１１から送出される光給電用の光信号によって得られる電力に加えて、光源１２からＰＯＮによって伝送されるデータ通信用の光信号からも電力を得ることができる。これにより、第２の実施形態における光給電システム１ａは、例えば商用電源やメタル線等を用いる一般的な給電方法と比べて一般的に供給電力量が少ないとされる光給電において、供給電力量を増大させることができる。

　また、第２の実施形態における光給電システム１ａでは、供給電力量を増大させるために既存の光源１１の光量を増加させる必要がなく、かつ、既存の光源１２の光量をＰＯＮのデータ容量の容量限界の範囲内で安全に増加させるため、光ファイバの加熱等が生じることもない。そのため、第２の実施形態における光給電システム１ａは、光給電において、安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることができる。

　また、第２の実施形態における光給電システム１ａによれば、光源１２からＰＯＮによって伝送される光信号からも電力を得ることができるため、従来であれば所望の大電力を得るために高く設定されていた光源１１の光量をより低く抑えることができる。これにより、例えば光源１１のレーザーのクラスを落とすことができるため、第２の実施形態における光給電システム１ａは、安全性を向上させることができるとも言える。

　また、第２の実施形態における光給電システム１ａでは、既存の光源１１、既存の光給電回線５１、及び既存のＰＤ２０－１を活用することができる。また、第２の実施形態における光給電システム１ａでは、ＰＯＮシステムの既存の光源１２及び既存の光スプリッタ等を活用することができる。よって、第２の実施形態における光給電システム１ａでは、新たにＰＤ２０－２を設置し、ＰＯＮにおいて光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路をＰＤ２０－２に接続し、データ通信用の既存信号に光給電用の追加信号を付加した光信号を光源１２からＰＯＮに送出させるだけでよい。

　このように、第２の実施形態における光給電システム１ａは、既存のシステムを大きく改変することなく構築することができるため、設置コストを低く抑えることができる。また、第２の実施形態における光給電システム１ａは、ＰＯＮにおいて未使用のネットワーク経路を流れる無駄な光信号を、光給電に有効活用することができる。

＜第３の実施形態＞
　以下、本発明の第３の実施形態について説明する。前述の第１の実施形態における光給電システム１及び第２の実施形態における光給電システム１ａでは、光源１１から送出される光給電用の光信号によって得られる電力に加えて、１つのＰＯＮの光源１２から伝送される光信号から電力を得る構成であった。これに対し、以下に説明する第３の実施形態における光給電システム１ｂは、光源１１から送出される光給電用の光信号によって得られる電力に加えて、複数のＰＯＮの光源１２からそれぞれ伝送される光信号から電力を得る構成である。

［光給電システムの構成］
　以下、第３の実施形態における光給電システム１ｂの構成について説明する。図５は、本発明の第３の実施形態における光給電システム１ｂの全体構成図である。光給電システム１ｂは、例えば非電化エリアである給電対象エリアに存在する、電力によって動作する給電対象機器に対して、光給電による電力を供給するためのシステムである。図５に示されるように、光給電システム１ｂは、光源１１と、複数の（Ｎ－１個の）光源１２と、光給電部２ｂとを備える。

　光給電部２ｂは、Ｎ個のＰＤを備える。なお、Ｎは３以上の整数である。図５に示されるように、光給電部２ｂは、ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－Ｎを備える。光給電部２ｂは、例えば、給電対象エリアの内部又は近傍に設置される。なお、ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－Ｎは、１つ装置の筐体の中にまとめて備えられていてもよいし、別々の装置の筐体の中にそれぞれ備えられていてもよい。また、ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－Ｎの一部が、１つ装置の筐体の中にまとめて備えられていてもよい。

　光源１１は、例えば局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば、給電対象エリアとは離れた場所に存在する。光源１１は、光給電用の光信号を送出する。光源１１によって送出された光信号は、光給電回線５１を介して光給電部２ｂへ伝送される。光給電回線５１は、光ファイバを用いて構成される。光給電回線５１のネットワーク構成としては、例えば分岐損を減らすことを目的として、分岐を行わないＳＳ構成が用いられる。

　光源１１によって送出された光信号は、光給電部２ｂのＰＤ２０－１によって受光される。ＰＤ２０－１は、受光した光信号を電気信号に変換することにより電力を得る。

　光源１２の各々は、例えば局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば、給電対象エリア、光源１１が設置された他の局舎ビル、及び他の光源１２が設置された他の局舎ビルとは離れた場所に存在する。光源１２は、局舎ビルから複数のユーザ宅へ、通信データを載せた光信号を伝送するための光源である。光源１２とユーザ宅内のＯＮＵとの間のネットワーク構成としては、ＰＯＮ構成が用いられる。光源１２から送出された光信号は、ネットワーク経路上に設置された光スプリッタによって分岐され、ユーザ宅内のＯＮＵによって受光される。

　また、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち１つの経路は、光給電部２ｂのＰＤ２０－２～ＰＤ２０－Ｎのいずれか１つに接続される。そのため、光源１２によって送出された光信号は、光給電部２のＰＤ２０－２～ＰＤ２０－Ｎのいずれか１つによっても受光される。ＰＤ２０－２～ＰＤ２０－Ｎは、別々のＰＯＮによって伝送された光信号をそれぞれ受光する。ＰＤ２０－２～ＰＤ２０－Ｎは、受光した光信号を電気信号に変換することにより、それぞれ電力を得る。

　すなわち、本実施形態は、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち少なくとも１つのネットワーク経路が、ユーザ宅への通信データの伝送には用いられておらず、未使用で終端されている場合を想定している。本実施形態は、例えば給電対象エリアの近傍に設置されているＰＯＮにおいて未使用になっているネットワーク経路を、給電対象エリアに対する光給電に活用しようとするものである。ＰＤ２０－２～ＰＤ２０－Ｎは、ＰＯＮの局舎からユーザ宅へ伝送される通信データを載せた光信号を受光して電力を得る。

　なお、ＰＯＮの局舎からユーザ宅へ伝送される通信データを載せた光信号は、第１の実施形態における光給電システム１と同様にデータ通信用の既存信号であってもよいし、第２の実施形態における光給電システム１ａと同様にデータ通信用の既存信号に光給電用の追加信号が付加された光信号であってもよい。

　なお、給電対象エリアの近傍にＰＯＮの光スプリッタが複数ある場合、どの光スプリッタを用いるかについては任意であるが、例えば、給電対象エリアの最も近くに設置されている光スプリッタから順に、所望の個数の光スプリッタを用いるようにしてもよい。

　光源１２からＰＤ２０－２～ＰＤ２０－Ｎへそれぞれ接続されるネットワーク経路は、図５における光給電回線５２である。光給電回線５２を含むＰＯＮのネットワークは、光ファイバを用いて構成される。

　第３の実施形態におけるＰＤ２０－１～ＰＤ２０－Ｎは、直列に接続される。図５に示されるように、ＰＤ２０－１によって得られた電力はＰＤ２０－２へ出力され、ＰＤ２０－１によって得られた電力とＰＤ２０－２によって得られた電力とが合わせてＰＤ２０－３へ出力され、最終的には、ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－Ｎにおいて得られた電力の全てが合わせて給電対象エリア内の給電対象機器へ出力される。なお、ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－Ｎが直列に接続される順序は、任意の順序で構わない。

　このように、第３の実施形態における光給電システム１ｂは、複数のＰＯＮの光源１２からそれぞれ送出された全ての光信号を用いて電力を得ることができる。これにより、第３の実施形態における光給電システム１ｂは、前述の第１の実施形態における光給電システム１及び第２の実施形態における光給電システム１ａと比べて、より多くの電力を給電対象エリアに存在する給電対象機器へ供給することができる。

　このように、第３の実施形態における光給電システム１ｂは、光源１１から送出される光信号を伝送するＳＳ構成のネットワークの光給電回線５１をメインの光給電回線とし、光源１２から送出される光信号を伝送する複数のＰＯＮ構成の各々のネットワーク経路の１つである光給電回線５２をサブの光給電回線として、給電対象エリアへの光給電を行う。なお、光給電回線５１のネットワーク構成はＳＳ構成に限られるものではなく、例えばＰＯＮ構成等のその他のネットワーク構成であってもよい。

　以上説明したように、第３の実施形態における光給電システム１ｂは、光源１１から送出される光給電用の光信号によって得られる電力に加えて、複数のＰＯＮの光源１２から伝送される光信号からも電力をそれぞれ得ることができる。これにより、第３の実施形態における光給電システム１ｂは、例えば商用電源やメタル線等を用いる一般的な給電方法と比べて一般的に供給電力量が少ないとされる光給電において、供給電力量を増大させることができる。

　また、第３の実施形態における光給電システム１ｂでは、供給電力量を増大させるために既存の光源１１の光量及び既存の光源１２の光量を増加させる必要がないため、光ファイバの加熱等が生じることもない。そのため、第３の実施形態における光給電システム１ｂは、光給電において、安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることができる。

　また、第３の実施形態における光給電システム１ｂによれば、光源１２からＰＯＮによって伝送される光信号からも電力を得ることができるため、従来であれば所望の大電力を得るために高く設定されていた光源１１の光量をより低く抑えることができる。これにより、例えば光源１１のレーザーのクラスを落とすことができるため、第３の実施形態における光給電システム１ｂは、安全性を向上させることができるとも言える。

　また、第３の実施形態における光給電システム１ｂでは、既存の光源１１、既存の光給電回線５１、及び既存のＰＤ２０－１を活用することができる。また、第３の実施形態における光給電システム１ｂでは、ＰＯＮシステムの既存の光源１２及び既存の光スプリッタ等を活用することができる。よって、第３の実施形態における光給電システム１ｂでは、新たにＰＤ２０－２～ＰＤ２０－Ｎを設置し、複数のＰＯＮにおいて光スプリッタによってそれぞれ分岐されたネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路をＰＤ２０－２～ＰＤ２０－Ｎにそれぞれ接続するだけでよい。

　このように、第３の実施形態における光給電システム１ｂは、既存のシステムを大きく改変することなく構築することができるため、設置コストを低く抑えることができる。また、第３の実施形態における光給電システム１ｂは、ＰＯＮにおいて未使用のネットワーク経路を流れる無駄な光信号を、光給電に有効活用することができる。

＜第４の実施形態＞
　以下、本発明の第４の実施形態について説明する。前述の第１の実施形態における光給電システム１、第２の実施形態における光給電システム１ａ、及び第２の実施形態における光給電システム１ｂでは、複数のＰＤが直列に接続された構成であった。以下に説明する第４の実施形態における光給電システム１ｃは、これら複数のＰＤが並列に接続された構成である。

［光給電システムの構成］
　以下、第４の実施形態における光給電システム１ｃの構成について説明する。図６は、本発明の第４の実施形態における光給電システム１ｃの全体構成図である。光給電システム１ｃは、例えば非電化エリアである給電対象エリアに存在する、電力によって動作する給電対象機器に対して、光給電による電力を供給するためのシステムである。図６に示されるように、光給電システム１ｃは、光源１１と、光源１２と、光給電部２ｃとを備える。

　光給電部２ｃは、２つのＰＤを備える。図６に示されるように、光給電部２ｃは、ＰＤ２０－１と、ＰＤ２０－２とを備える。光給電部２ｃは、例えば、給電対象エリアの内部又は近傍に設置される。なお、ＰＤ２０－１と、ＰＤ２０－２は、１つ装置の筐体の中にまとめて備えられていてもよいし、別々の装置の筐体の中にそれぞれ備えられていてもよい。

　光源１１は、例えば局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば、給電対象エリアとは離れた場所に存在する。光源１１は、光給電用の光信号を送出する。光源１１によって送出された光信号は、光給電回線５１を介して光給電部２ｃへ伝送される。光給電回線５１は、光ファイバを用いて構成される。光給電回線５１のネットワーク構成としては、例えば分岐損を減らすことを目的として、分岐を行わないＳＳ構成が用いられる。

　光源１１によって送出された光信号は、光給電部２ｃのＰＤ２０－１によって受光される。ＰＤ２０－１は、受光した光信号を電気信号に変換することにより電力を得る。

　光源１２は、例えば局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば、給電対象エリア、及び光源１１が設置された他の局舎ビルとは離れた場所に存在する。光源１２は、局舎ビルから複数のユーザ宅へ、通信データを載せた光信号を伝送するための光源である。光源１２とユーザ宅内のＯＮＵとの間のネットワーク構成としては、ＰＯＮ構成が用いられる。光源１２から送出された光信号は、ネットワーク経路上に設置された光スプリッタによって分岐され、ユーザ宅内のＯＮＵによって受光される。

　また、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち１つの経路は、光給電部２ｃのＰＤ２０－２に接続される。そのため、光源１２によって送出された光信号は、光給電部２のＰＤ２０－２によっても受光される。ＰＤ２０－２は、受光した光信号を電気信号に変換することにより電力を得る。

　すなわち、本実施形態は、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち少なくとも１つのネットワーク経路が、ユーザ宅への通信データの伝送には用いられておらず、未使用で終端されている場合を想定している。本実施形態は、例えば給電対象エリアの近傍に設置されているＰＯＮにおいて未使用になっているネットワーク経路を、給電対象エリアに対する光給電に活用しようとするものである。ＰＤ２０－２は、ＰＯＮの局舎からユーザ宅へ伝送される通信データを載せた光信号を受光して電力を得る。

　光源１２からＰＤ２０－２へ接続されるネットワーク経路は、図６における光給電回線５２である。光給電回線５２を含むＰＯＮのネットワークは、光ファイバを用いて構成される。

　第４の実施形態におけるＰＤ２０－１とＰＤ２０－２とは、並列に接続される。図６に示されるように、ＰＤ２０－１によって得られた電力は給電対象エリア内の給電対象機器へ出力される。また、ＰＤ２０－２によって得られた電力も給電対象エリア内の給電対象機器へ出力される。

　第４の実施形態における光給電システム１ｃは、ＰＤ２０－１とＰＤ２０－２とを並列に接続しているため、ＰＤ２０－１とＰＤ２０－２とを直列に接続する場合と比べて、より電流を上げることができる。なお、前述の第１の実施形態における光給電システム１、第２の実施形態における光給電システム１ａ、及び第３の実施形態における光給電システム１ｂは、複数のＰＤを直列に接続しているため、複数のＰＤを並列に接続する場合と比べて、より電圧を上げることができる。

　このように、第４の実施形態における光給電システム１ｃは、光源１１から送出される光信号を伝送するＳＳ構成のネットワークの光給電回線５１をメインの光給電回線とし、光源１２から送出される光信号を伝送するＰＯＮ構成のネットワーク経路の１つである光給電回線５２をサブの光給電回線として、給電対象エリアへの光給電を行う。なお、光給電回線５１のネットワーク構成はＳＳ構成に限られるものではなく、例えばＰＯＮ構成等のその他のネットワーク構成であってもよい。

［光給電システムの動作］
　以下、第４の実施形態における光給電システム１ｃの動作の一例について説明する。図７は、本発明の第１の実施形態における光給電システム１の動作を示すフローチャートである。

　光源１１（第１の光源）が、ＳＳ構成の光給電回線５１によって、ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）へ給電用の光信号を送出する（ステップＳ４０１）。ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、ＳＳ構成の光給電回線５１によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ４０２）。ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力を給電対象エリア内の給電対象機器へ供給する（ステップＳ４０３）。

　光源１２（第２の光源）が、ＰＯＮに光信号を送出する（ステップＳ４０４）。なお、前述の通り、光源１２（第２の光源）から送出される光信号は、データ通信用の既存信号であってもよいし、データ通信用の既存信号に光給電用の追加信号が付加された光信号であってもよい。ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、ＰＯＮの光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路の一つである光給電回線５２によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ４０５）。ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力を給電対象エリア内の給電対象機器へ供給する（ステップＳ４０６）。以上で、図７のフローチャートが示す光給電システム１ｃの動作が終了する。

　以上説明したように、第４の実施形態における光給電システム１ｃは、光源１１から送出される光給電用の光信号によって得られる電力に加えて、光源１２からＰＯＮによって伝送されるデータ通信用の光信号からも電力を得ることができる。これにより、第４の実施形態における光給電システム１ｃは、例えば商用電源やメタル線等を用いる一般的な給電方法と比べて一般的に供給電力量が少ないとされる光給電において、供給電力量を増大させることができる。

　また、第４の実施形態における光給電システム１ｃでは、供給電力量を増大させるために既存の光源１１の光量及び既存の光源１２の光量を増加させる必要がないため、光ファイバの加熱等が生じることもない。そのため、第４の実施形態における光給電システム１ｃは、光給電において、安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることができる。

　また、第４の実施形態における光給電システム１ｃによれば、光源１２からＰＯＮによって伝送される光信号からも電力を得ることができるため、従来であれば所望の大電力を得るために高く設定されていた光源１１の光量をより低く抑えることができる。これにより、例えば光源１１のレーザーのクラスを落とすことができるため、第４の実施形態における光給電システム１ｃは、安全性を向上させることができるとも言える。

　また、第４の実施形態における光給電システム１ｃでは、既存の光源１１、既存の光給電回線５１、及び既存のＰＤ２０－１を活用することができる。また、第４の実施形態における光給電システム１ｃでは、ＰＯＮシステムの既存の光源１２及び既存の光スプリッタ等を活用することができる。よって、第４の実施形態における光給電システム１ｃでは、新たにＰＤ２０－２を設置し、ＰＯＮにおいて光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路をＰＤ２０－２に接続するだけでよい。

　このように、第４の実施形態における光給電システム１ｃは、既存のシステムを大きく改変することなく構築することができるため、設置コストを低く抑えることができる。また、第４の実施形態における光給電システム１ｃは、ＰＯＮにおいて未使用のネットワーク経路を流れる無駄な光信号を、光給電に有効活用することができる。

　以上説明した第１～第４の実施形態における光給電システム１，１ｂ，１ｃは、光給電用のＳＳ構成のネットワークである光給電回線５１からの給電をメインとし、データ伝送及び光給電兼用のＰＯＮ構成のネットワークである光給電回線５２からの給電をサブとして得た電力を供給するシステムであった。これにより、十分な供給電力量が確保される構成であった。

　しかしながら昨今、光給電部の省電力化が図られ、今後も更なる省電力化が進むことが予想される。この場合、光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１の設置を省略して、ＰＯＮ構成の光給電回線５２からの給電のみで電力を賄うようにすることも可能になり得る。以下に説明する第５～第８の実施形態における光給電システムは、光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１を用いず、ＰＯＮ構成の光給電回線５２からの給電のみで給電対象エリアの給電対象機器に対して電力を供給するシステムである。

＜第５の実施形態＞
　以下、本発明の第５の実施形態について説明する。

［光給電システムの構成］
　以下、第５の実施形態における光給電システム１ｄの構成について説明する。図９は、本発明の第５の実施形態における光給電システム１ｄの全体構成図である。光給電システム１ｄは、例えば非電化エリアである給電対象エリアに存在する、電力によって動作する給電対象機器に対して、光給電による電力を供給するためのシステムである。給電対象機器とは、例えばＯＮＵ等の、駆動のために大電力を必要とし、長時間駆動することが要求される機器である。図９に示されるように、光給電システム１ｄは、光源１２と、光給電部２ｄとを備える。なお、本実施形態における光給電システム１ｄは、前述の各実施形態における光源１１を有していないため、光給電用のＳＳ構成のネットワークである光給電回線５１も有していない。

　光給電部２ｄは、複数の（Ｎ個の）ＰＤ２０を備える。図９に示されるように、光給電部２ｄは、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎを備える。なお、Ｎ及びｎは１以上の整数であり、Ｎ≧ｎ≧１である。光給電部２ｄは、例えば、給電対象エリアの内部又は近傍に設置される。なお、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎの一部又は全部は、１つ装置の筐体の中にまとめて備えられていてもよいし、別々の装置の筐体の中にそれぞれ備えられていてもよい。

　光源１２は、例えば局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば給電対象エリアの内部又は近傍に存在する。光源１２は、局舎ビルから複数のユーザ宅へ、通信データを載せた光信号を伝送するための光源である。光源１２とユーザ宅内のＯＮＵとの間のネットワーク構成としては、ＰＯＮ構成が用いられる。光源１２から送出された光信号は、ネットワーク経路上に設置された光スプリッタ３０によって分岐され、ユーザ宅内のＯＮＵによって受光される。例えば、光スプリッタ３０は、電柱等に設置され、光源１２から伝送される光信号を複数の方向に分岐させる。なお、図９に例示された光スプリッタ３０は、光源１２から伝送される光信号を８つの方向に分岐させることができる。

　前述の第１～第４の実施形態における光給電システム１，１ｂ，１ｃでは、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち、１つの経路のみが光給電部のＰＤ２０に接続される構成であった。一方、第５の実施形態における光給電システム１ｄでは、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち１つ以上の経路が、光給電部２ｄのＰＤ２０にそれぞれ接続される。

　例えば、図９では、光スプリッタ３０によって８つに分岐されたネットワーク経路のうち、Ｎ個の経路が、光給電部２ｄのＰＤ２０－１～ＰＤ２０－Ｎにそれぞれ接続されている。例えば、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち、１つの経路は、光給電部２ｄのＰＤ２０－１に接続されている。また例えば、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち、その他の１つの経路は、光給電部２ｄのＰＤ２０－ｎに接続されている。また例えば、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち、その他の１つの経路は、光給電部２ｄのＰＤ２０－Ｎに接続されている。

　このような構成により、光源１２によって送出された光信号は、光スプリッタ３０によって分岐した後、光給電部２ｄのＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎによってそれぞれ受光される。ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎの各々は、受光した光信号を電気信号にそれぞれ変換することにより電力を得る。

　なお、第５の実施形態における光給電システム１ｄでは、光スプリッタ３０のユーザ宅側の全ての未使用端子が、光給電部２ｄのＰＤ２０にそれぞれ接続されている。例えば図９に示される光スプリッタ３０の場合、ユーザ宅側の未使用端子の個数はＮ個である。ここでいう未使用端子とは、光スプリッタ３０のユーザ宅側の端子のうち、ユーザ宅に接続されていない未使用の端子である。

　すなわち、本実施形態は、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち少なくとも１つのネットワーク経路が、ユーザ宅への通信データの伝送には用いられておらず、未使用で終端されているような場合を想定している。本実施形態は、例えば給電対象エリアの近傍に設置されているＰＯＮにおいて未使用になっているネットワーク経路を、給電対象エリアに対する光給電に活用しようとするものである。一般的に、ＰＯＮを用いた光通信システムでは、光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路の全ての端子へ光信号が流れる仕組みになっているため、未使用で終端されている端子ではこの光信号が活用されず、無駄になっている。本実施形態は、この無駄になっている光信号を光給電に活用しようとするものである。ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎは、ＰＯＮの局舎からユーザ宅へ伝送される通信データを載せた光信号を受光して電力を得る。

　このように本実施形態では、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路が複数ある場合には、これら複数の未使用のネットワーク経路の各々に接続させるＰＤ２０が、光給電部２ｄにそれぞれ用意される。これにより、第５の実施形態における光給電システム１ｄは、前述の各実施形態における光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１及び光源１１を用いなくても、給電対象エリアに供給される電力の供給量をより増大させることができる。

　なお、給電対象エリアの近傍にＰＯＮの光スプリッタ３０が複数ある場合、どの光スプリッタ３０を用いるかについては任意であるが、例えば、給電対象エリアの最も近くに設置されている光スプリッタ３０を用いるようにしてもよい。

　光源１２からＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎへそれぞれ接続されるネットワーク経路は、図９における光給電回線５２である。光給電回線５２を含むＰＯＮのネットワークは、光ファイバを用いて構成される。

　第５の実施形態におけるＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎは、直列に接続される。図９に示されるように、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎによってそれぞれ得られた電力が合わせて給電対象エリア内の給電対象機器へ出力される。なお、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎが直列に接続される順序は、図９に示される順序とは逆であってもよい。

　このように、第５の実施形態における光給電システム１ｄは、光源１２から送出される光信号を伝送するＰＯＮ構成の複数のネットワーク経路のうち、光スプリッタ３０の１つ以上の未使用端子に接続された光給電回線５２を経由するネットワーク経路を介して、給電対象エリアへの光給電を行う。また、第５の実施形態では、光スプリッタ３０のユーザ宅側の全ての未使用端子にそれぞれ光給電回線５２が接続されており、これら全ての未使用端子からそれぞれ接続されたＰＤ２０へ向けて光給電が行われる。

［光給電システムの動作］
　以下、第５の実施形態における光給電システム１ｄの動作の一例について説明する。図１０は、本発明の第５の実施形態における光給電システム１ｄの動作を示すフローチャートである。なお、ここでは一例として、光スプリッタ３０のユーザ宅側の未使用端子が２つ（Ｎ＝２）であるものとする。

　光源１２が、ＰＯＮにデータ通信用の既存信号である光信号を送出する（ステップＳ５０１）。ＰＯＮの光スプリッタ３０が、光源１２から送出された光信号を分岐し、ユーザ宅側の全ての（ここでは２つの）未使用端子から光給電部２ｄへ、光給電回線５２を介して光信号をそれぞれ伝送する（ステップ５０２）。

　ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、ＰＯＮの光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路の一つである光給電回線５２によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ５０３）。ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力をＰＤ２０－２（第２のＰＤ）へ出力する（ステップＳ５０４）。

　ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、ＰＯＮの光スプリッタによって分岐されたその他のネットワーク経路の一つである光給電回線５２によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ５０５）。ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力を、ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）から入力された電力と合わせて、給電対象エリア内の給電対象機器へ供給する（ステップＳ５０６）。以上で、図１０のフローチャートが示す光給電システム１ｄの動作が終了する。

　以上説明したように、第５の実施形態における光給電システム１ｄは、光源１２からＰＯＮによって伝送されるデータ通信用の光信号から、電力を得ることができる。第５の実施形態における光給電システム１ｄは、光源１２から送出される光信号を伝送するＰＯＮ構成の複数のネットワーク経路のうち、光スプリッタ３０の未使用端子に接続された光給電回線５２を経由するネットワーク経路を介して、給電対象エリアへの光給電を行う。

　第５の実施形態における光給電システム１ｄでは、ＰＯＮの光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路が複数ある場合には、これら複数の未使用のネットワーク経路の各々に接続させるＰＤ２０が光給電部２ｄにそれぞれ用意される。第５の実施形態における光給電システム１ｄでは、ＰＯＮの光スプリッタ３０の全ての未使用端子にそれぞれ接続されたＰＤ２０へ向けて光給電が行われる。

　これにより、第５の実施形態における光給電システム１ｄは、例えば商用電源やメタル線等を用いる一般的な給電方法と比べて一般的に供給電力量が少ないとされる光給電において、供給電力量を増大させることができる。また、第５の実施形態における光給電システム１ｄは、光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１及び光源１１を用いなくても、給電対象エリアに供給される電力の供給量をより増大させることができる。

　また、第５の実施形態における光給電システム１ｄでは、供給電力量を増大させるために既存の光源１２の光量を増加させる必要がないため、光ファイバの加熱等が生じることもない。そのため、第５の実施形態における光給電システム１ｄは、光給電において、安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることができる。

　また、第５の実施形態における光給電システム１ｄによれば、光源１２からＰＯＮによって伝送される光信号を複数のネットワーク経路を介して受信して、それぞれ電力を得ることができるため、従来であれば所望の大電力を得るために光量が高く設定されていた光給電用の光源１１を用いる必要がない。これにより、第５の実施形態における光給電システム１ｄは、安全性を向上させることができるとも言える。

　また、第５の実施形態における光給電システム１ｄでは、ＰＯＮシステムの既存の光源１２及び既存の光スプリッタ３０等を活用することができる。よって、第５の実施形態における光給電システム１ｄでは、新たにＰＤ２０を設置し、ＰＯＮにおいて光スプリッタ３０によって分岐されたネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路をＰＤ２０に接続するだけでよい。

　このように、第５の実施形態における光給電システム１ｄは、既存のシステムを大きく改変することなく構築することができるため、設置コストを低く抑えることができる。また、第５の実施形態における光給電システム１ｄは、ＰＯＮにおいて未使用のネットワーク経路を流れる無駄な光信号を、光給電に有効活用することができる。

　なお、ＰＯＮには、ＧＥ－ＰＯＮ、１０Ｇ－ＥＰＯＮ等の複数の規格があるが、複数の規格のＰＯＮの未使用端子を使用して、複数の光ファイバを給電対象エリアに敷設する構成にすることも考えられる。

（第５の実施形態の変形例）
　以下、本発明の第５の実施形態の変形例について説明する。

　前述の第５の実施形態における光給電システム１ｄでは、光スプリッタ３０のユーザ宅側の全ての未使用端子が、光給電部２ｄのＰＤ２０にそれぞれ接続されている構成であった。しかしながら、以下に説明する第５の実施形態の変形例のように、光スプリッタ３０のユーザ宅側の複数の未使用端子のうち、一部の未使用端子のみが光給電部２ｄのＰＤ２０にそれぞれ接続されているような構成であってもよい。

［光給電システムの構成］
　以下、第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅの構成について説明する。図１１は、本発明の第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅの全体構成図である。図１１に示されるように、光給電システム１ｅは、光源１２と、光給電部２ｅとを備える。なお、本実施形態における光給電システム１ｅは、前述の各実施形態における光源１１を有していないため、光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１も有していない。

　光給電部２ｅは、複数のＰＤを備える。図１１に示されるように、光給電部２ｅは、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…を備える。なお、ｎは１以上の整数であり、ｎ≧１である。光給電部２ｅは、例えば、給電対象エリアの内部又は近傍に設置される。なお、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…の一部又は全部は、１つ装置の筐体の中にまとめて備えられていてもよいし、別々の装置の筐体の中にそれぞれ備えられていてもよい。

　光源１２は、例えば局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば給電対象エリアの内部又は近傍に存在する。光源１２は、局舎ビルから複数のユーザ宅へ、通信データを載せた光信号を伝送するための光源である。光源１２とユーザ宅内のＯＮＵとの間のネットワーク構成としては、ＰＯＮ構成が用いられる。光源１２から送出された光信号は、ネットワーク経路上に設置された光スプリッタ３０によって分岐され、ユーザ宅内のＯＮＵによって受光される。例えば、光スプリッタ３０は、電柱等に設置され、光源１２から伝送される光信号を複数の方向に分岐させる。なお、図１１に例示された光スプリッタ３０は、光源１２から伝送される光信号を８つの方向に分岐させることができる。

　第５の実施形態における光給電システム１ｄと同様に、第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅでは、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち、１つ以上の経路が、光給電部２ｅのＰＤ２０にそれぞれ接続される。

　例えば、図１１では、光スプリッタ３０によって８つに分岐されたネットワーク経路のうち、Ｎ個の経路が、光給電部２ｄのＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…にそれぞれ接続されている。例えば、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち、１つの経路は、光給電部２ｅのＰＤ２０－１に接続されている。また例えば、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち、その他の１つの経路は、光給電部２ｅのＰＤ２０－ｎに接続されている。

　このような構成により、光源１２によって送出された光信号は、光スプリッタ３０によって分岐した後、光給電部２ｅのＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…によってそれぞれ受光される。ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…は、それぞれ受光した光信号を電気信号に変換することにより電力を得る。

　また、第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅでは、光スプリッタ３０のユーザ宅側の複数の未使用端子のうち、任意の一部の未使用端子のみが、光給電部２ｅのＰＤ２０にそれぞれ接続される。光給電部２ｅのＰＤ２０に接続されていない未使用端子については、未使用のまま残して終端される。このように、第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅは、光スプリッタ３０のユーザ宅側の未使用端子のうち、一部の未使用端子のみを給電用に用いるため、全ての未使用端子を光給電のために用いる前述の第５の実施形態における光給電システム１ｄと比べて、供給電力量は減ることがあるものの、光ファイバの敷設コストを削減することができる。

　すなわち、本変形例は、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち複数のネットワーク経路が、ユーザ宅への通信データの伝送には用いられておらず未使用で終端されているような場合を想定している。本変形例は、例えば給電対象エリアの近傍に設置されているＰＯＮにおいて未使用になっているネットワーク経路を、給電対象エリアに対する光給電に活用しようとするものである。ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…は、ＰＯＮの局舎からユーザ宅へ伝送される通信データを載せた光信号を受光して電力を得る。

　このように本変形例では、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路が複数ある場合には、これら複数の未使用のネットワーク経路の中の一部の経路の各々に接続させるＰＤ２０が、光給電部２ｅにそれぞれ用意される。

　光源１２からＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…へ接続されるネットワーク経路は、図１１における光給電回線５２である。光給電回線５２を含むＰＯＮのネットワークは、光ファイバを用いて構成される。

　第５の実施形態の変形例におけるＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…は、直列に接続される。図１１に示されるように、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…によってそれぞれ得られた電力が合わせて給電対象エリア内の給電対象機器へ出力される。なお、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…が直列に接続される順序は、図１１に示される順序とは逆であってもよい。

　このように、第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅは、光源１２から送出される光信号を伝送するＰＯＮ構成の複数のネットワーク経路のうち、光スプリッタ３０の未使用端子に接続された光給電回線５２を経由するネットワーク経路を介して、給電対象エリアへの光給電を行う。また、本実施形態では、光スプリッタ３０のユーザ宅側の１つ以上の複数の未使用端子のうち、一部の未使用端子にそれぞれ光給電回線５２が接続されており、これら一部の未使用端子からそれぞれ接続されたＰＤ２０へ向けて光給電が行われる。このような構成を備えることにより、第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅは、例えば全ての未使用端子を光給電のために用いる前述の第５の実施形態における光給電システム１ｄと比べて、光ファイバの敷設コストを削減することができる。

＜第６の実施形態＞
　以下、本発明の第６の実施形態について説明する。前述の第５の実施形態における光給電システム１ｄ、及び第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅでは、複数のＰＤが直列に接続された構成であった。以下に説明する第６の実施形態における光給電システム１ｆは、これら複数のＰＤが並列に接続された構成である。

［光給電システムの構成］
　以下、第６の実施形態における光給電システム１ｆの構成について説明する。図１２は、本発明の第６の実施形態における光給電システム１ｆの全体構成図である。光給電システム１ｆは、例えば非電化エリアである給電対象エリアに存在する、電力によって動作する給電対象機器に対して、光給電による電力を供給するためのシステムである。図１２に示されるように、光給電システム１ｆは、光源１２と、光給電部２ｆとを備える。なお、本実施形態における光給電システム１ｆは、前述の各実施形態における光源１１を有していないため、光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１も有していない。

　光給電部２ｆは、複数の（Ｎ個の）ＰＤ２０を備える。図１２に示されるように、光給電部２ｆは、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎを備える。なお、Ｎ及びｎは１以上の整数であり、Ｎ≧ｎ≧１である。光給電部２ｆは、例えば、給電対象エリアの内部又は近傍に設置される。なお、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎの一部又は全部は、１つ装置の筐体の中にまとめて備えられていてもよいし、別々の装置の筐体の中にそれぞれ備えられていてもよい。

　光源１２は、例えば局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば給電対象エリアの内部又は近傍に存在する。光源１２は、局舎ビルから複数のユーザ宅へ、通信データを載せた光信号を伝送するための光源である。光源１２とユーザ宅内のＯＮＵとの間のネットワーク構成としては、ＰＯＮ構成が用いられる。光源１２から送出された光信号は、ネットワーク経路上に設置された光スプリッタ３０によって分岐され、ユーザ宅内のＯＮＵによって受光される。例えば、光スプリッタ３０は、電柱等に設置され、光源１２から伝送される光信号を複数の方向に分岐させる。なお、図１２に例示された光スプリッタ３０は、光源１２から伝送される光信号を８つの方向に分岐させる。

　前述の第１～第４実施形態における光給電システム１，１ｂ，１ｃでは、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち、１つの経路のみが光給電部のＰＤ２０に接続される構成であった。一方、第６の実施形態における光給電システム１ｆでは、前述の第５の実施形態における光給電システム１ｄ、及び第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅと同様に、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち１つ以上の経路が、光給電部２ｆのＰＤ２０にそれぞれ接続される。

　例えば、図１２では、光スプリッタ３０によって８つに分岐されたネットワーク経路のうち、Ｎ個の経路が、光給電部２ｆのＰＤ２０－１～ＰＤ２０－Ｎにそれぞれ接続されている。例えば、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち、１つの経路は、光給電部２ｆのＰＤ２０－１に接続されている。また例えば、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち、その他の１つの経路は、光給電部２ｆのＰＤ２０－ｎに接続されている。また例えば、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち、その他の１つの経路は、光給電部２ｆのＰＤ２０－Ｎに接続されている。

　このような構成により、光源１２によって送出された光信号は、光スプリッタ３０によって分岐した後、光給電部２ｆのＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎによってそれぞれ受光される。ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎの各々は、受光した光信号を電気信号にそれぞれ変換することにより電力を得る。

　なお、第６の実施形態における光給電システム１ｆでは、前述の第５の実施形態における光給電システム１ｄと同様に、光スプリッタ３０のユーザ宅側の全ての未使用端子が、光給電部２ｆのＰＤ２０にそれぞれ接続されている。例えば図１２に示される光スプリッタ３０の場合、ユーザ宅側の未使用端子の個数はＮ個である。但し、このような構成に限られるものではなく、前述の第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅのように、光スプリッタ３０のユーザ宅側の複数の未使用端子のうち、一部の未使用端子のみが光給電部２ｆのＰＤ２０にそれぞれ接続されている構成であってもよい。

　すなわち、本実施形態は、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち少なくとも１つのネットワーク経路が、ユーザ宅への通信データの伝送には用いられておらず、未使用で終端されているような場合を想定している。本実施形態は、例えば給電対象エリアの近傍に設置されているＰＯＮにおいて未使用になっているネットワーク経路を、給電対象エリアに対する光給電に活用しようとするものである。ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎは、ＰＯＮの局舎からユーザ宅へ伝送される通信データを載せた光信号を受光して電力を得る。

　このように本実施形態では、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路が複数ある場合には、これら複数の未使用のネットワーク経路の各々に接続させるＰＤ２０が光給電部２ｆにそれぞれ用意される。これにより、第６の実施形態における光給電システム１ｆは、前述の第１～第４の実施形態における光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１及び光源１１を用いなくても、給電対象エリアに供給される電力の供給量をより増大させることができる。

　光源１２からＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎへ接続されるネットワーク経路は、図１２における光給電回線５２である。光給電回線５２を含むＰＯＮのネットワークは、光ファイバを用いて構成される。

　第６の実施形態におけるＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎは、並列に接続される。図１２に示されるように、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎによってそれぞれ得られた電力は、給電対象エリア内の給電対象機器へそれぞれ出力される。

　第６の実施形態における光給電システム１ｆは、前述の第４の実施形態における光給電システム１ｃと同様に、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎを並列に接続しているため、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎを直列に接続する場合と比べて、より電流を上げることができる。なお、前述の第１の実施形態における光給電システム１、第２の実施形態における光給電システム１ａ、及び第３の実施形態における光給電システム１ｂ、第５の実施形態及びその変形例における光給電システム１ｄ，１ｅは、複数のＰＤを直列に接続しているため、複数のＰＤを並列に接続する場合と比べて、より電圧を上げることができる。

　このように、第６の実施形態における光給電システム１ｆは、光源１２から送出される光信号を伝送するＰＯＮ構成の複数のネットワーク経路のうち、光スプリッタ３０の１つ以上の未使用端子に接続された光給電回線５２を経由するネットワーク経路を介して、給電対象エリアへの光給電を行う。また、第６の実施形態では、光スプリッタ３０のユーザ宅側の全ての未使用端子にそれぞれ光給電回線５２が接続されており、これら全ての未使用端子からそれぞれ接続されたＰＤ２０へ向けて光給電が行われる。

［光給電システムの動作］
　以下、第６の実施形態における光給電システム１ｆの動作の一例について説明する。図１３は、本発明の第６の実施形態における光給電システム１ｆの動作を示すフローチャートである。なお、ここでは一例として、光スプリッタ３０のユーザ宅側の未使用端子が２つ（Ｎ＝２）であるものとする。

　光源１２が、ＰＯＮにデータ通信用の既存信号である光信号を送出する（ステップＳ６０１）。ＰＯＮの光スプリッタ３０が、光源１２から送出された光信号を分岐し、ユーザ宅側の全ての（ここでは２つの）未使用端子から光給電部２ｆへ、光給電回線５２を介して光信号をそれぞれ伝送する（ステップ６０２）。

　ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、ＰＯＮの光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路の一つである光給電回線５２によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ６０３）。ＰＤ２０－１（第１のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力を給電対象エリア内の給電対象機器へ供給する（ステップＳ６０４）。

　ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、ＰＯＮの光スプリッタによって分岐されたその他のネットワーク経路の一つである光給電回線５２によって伝送された光信号を受光する（ステップＳ６０５）。ＰＤ２０－２（第２のＰＤ）が、受光した光信号を電気信号に変換し、得られた電力を給電対象エリア内の給電対象機器へ供給する（ステップＳ６０６）。以上で、図１３のフローチャートが示す光給電システム１ｆの動作が終了する。

　以上説明したように、第６の実施形態における光給電システム１ｆは、光源１２からＰＯＮによって伝送されるデータ通信用の光信号から、電力を得ることができる。第６の実施形態における光給電システム１ｆは、光源１２から送出される光信号を伝送するＰＯＮ構成の複数のネットワーク経路のうち、光スプリッタ３０の未使用端子に接続された光給電回線５２を経由するネットワーク経路を介して、給電対象エリアへの光給電を行う。

　第６の実施形態における光給電システム１ｆでは、ＰＯＮの光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路が複数ある場合には、これら複数の未使用のネットワーク経路の各々に接続させるＰＤ２０が光給電部２ｆにそれぞれ用意される。

　これにより、第６の実施形態における光給電システム１ｆは、例えば商用電源やメタル線等を用いる一般的な給電方法と比べて一般的に供給電力量が少ないとされる光給電において、供給電力量を増大させることができる。また、第６の実施形態における光給電システム１ｆは、光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１及び光源１１を用いなくても、給電対象エリアに供給される電力の供給量をより増大させることができる。

　また、第６の実施形態における光給電システム１ｆでは、供給電力量を増大させるために既存の光源１２の光量を増加させる必要がないため、光ファイバの加熱等が生じることもない。そのため、第６の実施形態における光給電システム１ｆは、光給電において、安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることができる。

　また、第６の実施形態における光給電システム１ｆによれば、光源１２からＰＯＮによって伝送される光信号を複数のネットワーク経路を介して受信して、それぞれ電力を得ることができるため、従来であれば所望の大電力を得るために光量が高く設定されていた光給電用の光源１１を用いる必要がない。これにより、第５の実施形態における光給電システム１ｆは、安全性を向上させることができるとも言える。

　また、第６の実施形態における光給電システム１ｆでは、ＰＯＮシステムの既存の光源１２及び既存の光スプリッタ３０等を活用することができる。よって、第６の実施形態における光給電システム１ｆでは、新たにＰＤ２０を設置し、ＰＯＮにおいて光スプリッタ３０によって分岐されたネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路をＰＤ２０に接続するだけでよい。

　このように、第６の実施形態における光給電システム１ｆは、既存のシステムを大きく改変することなく構築することができるため、設置コストを低く抑えることができる。また、第６の実施形態における光給電システム１ｆは、ＰＯＮにおいて未使用のネットワーク経路を流れる無駄な光信号を、光給電に有効活用することができる。

＜第７の実施形態＞
　以下、本発明の第７の実施形態について説明する。前述の第５の実施形態おける光給電システム１ｄ、第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅ、及び第６の実施形態における光給電システム１ｆでは、１つのＰＯＮの光源１２から伝送される光信号から電力を得る構成であった。これに対し、以下に説明する第７の実施形態における光給電システム１ｇは、前述の第３の実施形態における光給電システム１ｂと同様に、複数のＰＯＮの光源１２からそれぞれ伝送される光信号から電力を得る構成である。

［光給電システムの構成］
　以下、第７の実施形態における光給電システム１ｇの構成について説明する。図１４は、本発明の第７の実施形態における光給電システム１ｇの全体構成図である。光給電システム１ｇは、例えば非電化エリアである給電対象エリアに存在する、電力によって動作する給電対象機器に対して、光給電による電力を供給するためのシステムである。図１４に示されるように、光給電システム１ｇは、複数の光源１２と、光給電部２ｇとを備える。なお、本実施形態における光給電システム１ｇは、前述の各実施形態における光源１１を有していないため、光給電用のＳＳ構成のネットワークである光給電回線５１も有していない。

　光給電部２ｇは、複数の（Ｎ個の）ＰＤ２０を備える。図１４に示されるように、光給電部２ｇは、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎを備える。なお、Ｎ及びｎは１以上の整数であり、Ｎ≧ｎ≧１である。光給電部２ｇは、例えば、給電対象エリアの内部又は近傍に設置される。なお、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎの一部又は全部は、１つ装置の筐体の中にまとめて備えられていてもよいし、別々の装置の筐体の中にそれぞれ備えられていてもよい。

　光源１２の各々は、例えば局舎ビル等の建物の中にそれぞれ設置される。この局舎ビルは、例えば、給電対象エリアの内部又は近傍に存在する。光源１２は、局舎ビルから複数のユーザ宅へ、通信データを載せた光信号を伝送するための光源である。光源１２とユーザ宅内のＯＮＵとの間のネットワーク構成としては、ＰＯＮ構成が用いられる。光源１２から送出された光信号は、ネットワーク経路上に設置された光スプリッタ３０によって分岐され、ユーザ宅内のＯＮＵによって受光される。例えば、光スプリッタ３０は、電柱等に設置され、光源１２から伝送される光信号を複数の方向に分岐させる。

　前述の第１～第４の実施形態における光給電システム１，１ｂ，１ｃでは、光スプリッタによって分岐された複数のネットワーク経路のうち、１つの経路のみが光給電部のＰＤ２０に接続される構成であった。一方、第７の実施形態における光給電システム１ｇでは、前述の第５の実施形態における光給電システム１ｄ、第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅ、及び第６の実施形態における光給電システム１ｆと同様に、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち１つ以上の経路が、光給電部２ｇのＰＤ２０にそれぞれ接続される。

　このような構成により、いずれかの光源１２によって送出された光信号は、同一のＰＯＮ内の光スプリッタ３０によって分岐した後、光給電部２ｇのＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎによってそれぞれ受光される。ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎの各々は、それぞれ受光した光信号を電気信号に変換することにより電力を得る。

　なお、第７の実施形態における光給電システム１ｇでは、光スプリッタ３０のユーザ宅側の全ての未使用端子が、光給電部２ｇのＰＤ２０にそれぞれ接続されている。但し、このような構成に限られるものではなく、例えば前述の第５の実施形態における光給電システム５ｅのように、光スプリッタ３０のユーザ宅側の複数の未使用端子のうち、一部の未使用端子のみが光給電部２ｇのＰＤ２０にそれぞれ接続されているような構成であってもよい。

　このように本実施形態では、光スプリッタ３０によって分岐された複数のネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路が複数ある場合には、これら複数の未使用のネットワーク経路の各々に接続させるＰＤ２０が、光給電部２ｇにそれぞれ用意される。これにより、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、前述の各実施形態における光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１及び光源１１を用いなくても、給電対象エリアに供給される電力の供給量をより増大させることができる。

　なお、給電対象エリアの近傍にＰＯＮの光スプリッタ３０が複数ある場合、どの光スプリッタ３０を用いるかについては任意であるが、例えば、給電対象エリアの最も近くに設置されている光スプリッタ３０から順に、所望の個数の光スプリッタを用いるようにしてもよい。

　光源１２からＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎへそれぞれ接続されるネットワーク経路は、図１４における光給電回線５２である。光給電回線５２を含むＰＯＮのネットワークは、光ファイバを用いて構成される。

　第７の実施形態におけるＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎは、直列に接続される。図１４に示されるように、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎによってそれぞれ得られた電力が合わせて給電対象エリア内の給電対象機器へ出力される。なお、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎが直列に接続される順序は、図１４に示される順序とは逆であってもよい。なお、ＰＤ２０－１、…、ＰＤ２０－ｎ、…、ＰＤ２０－Ｎは、並列に接続されてもよい。

　このように、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、複数のＰＯＮの光源１２からそれぞれ送出された全ての光信号を用いて電力を得ることができる。これにより、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、前述の第５の実施形態における光給電システム１ｄ、第５の実施形態の変形例における光給電システム１ｅ、及び第６の実施形態における光給電システム１ｆと比べて、より多くの電力を給電対象エリアに存在する給電対象機器へ供給することができる。

　このように、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、光源１２から送出される光信号を伝送する複数のＰＯＮ構成の各々のネットワーク経路のうち、光スプリッタ３０の未使用端子に接続された光給電回線５２を経由するネットワーク経路を介して、給電対象エリアへの光給電を行う。また、第７の実施形態では、光スプリッタ３０のユーザ宅側の全ての未使用端子にそれぞれ光給電回線５２が接続されており、これら全ての未使用端子からそれぞれ接続されたＰＤ２０へ向けて光給電が行われる。

　以上説明したように、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、複数のＰＯＮの光源１２から伝送される光信号から電力をそれぞれ得ることができる。これにより、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、例えば商用電源やメタル線等を用いる一般的な給電方法と比べて一般的に供給電力量が少ないとされる光給電において、供給電力量を増大させることができる。また、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１及び光源１１を用いなくても、給電対象エリアに供給される電力の供給量をより増大させることができる。

　また、第７の実施形態における光給電システム１ｇでは、供給電力量を増大させるために既存の光源１２の光量を増加させる必要がないため、光ファイバの加熱等が生じることもない。そのため、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、光給電において、安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることができる。

　また、第７の実施形態における光給電システム１ｇによれば、光源１２からＰＯＮによって伝送される光信号を複数のネットワーク経路を介して受信して、それぞれ電力を得ることができるため、従来であれば所望の大電力を得るために光量が高く設定されていた光給電用の光源１１を用いる必要がない。これにより、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、安全性を向上させることができるとも言える。

　また、第７の実施形態における光給電システム１ｇでは、ＰＯＮシステムの既存の光源１２及び既存の光スプリッタ３０等を活用することができる。よって、第７の実施形態における光給電システム１ｇでは、新たにＰＤ２０を設置し、ＰＯＮにおいて光スプリッタ３０によって分岐されたネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路をＰＤ２０に接続するだけでよい。

　このように、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、既存のシステムを大きく改変することなく構築することができるため、設置コストを低く抑えることができる。また、第７の実施形態における光給電システム１ｇは、ＰＯＮにおいて未使用のネットワーク経路を流れる無駄な光信号を、光給電に有効活用することができる。

＜第８の実施形態＞
　以下、本発明の第８の実施形態について説明する。前述の第５～第７の実施形態における光給電システム１ｄ，１ｅ，１ｆ，１ｇでは、光スプリッタ３０は、局舎側の端子が1つであり、ユーザ宅側の端子が複数である、入出力が１対多の装置が用いられる構成であった。しかしながら、ＰＯＮで使用される光スプリッタは、一般的に多入力多出力の光カプラが用いられることがある。以下に説明する第８の実施形態にける光給電システム１ｈは、局舎側の端子とユーザ宅側の端子とがいずれも複数である、多入力多出力の光スプリッタ３０ｈを用いる構成である。

　前述の第５～第７の実施形態における光給電システム１ｄ，１ｅ，１ｆ，１ｇでは、光源１２から送出され、ＰＯＮの光スプリッタ３０のユーザ宅側の１つ以上の未使用端子を介して伝送される光信号から、それぞれ電力を得る構成であった。これに対し、以下に説明する第８の実施形態における光給電システム１ｈは、ＰＯＮの光スプリッタ３０ｈのユーザ宅側の未使用端子を介して伝送される光信号から電力を得るだけでなく、光スプリッタ３０ｈの局舎側の１つ以上の未使用端子を介して伝送される光信号からも電力を得る構成である。

［光給電システムの構成］
　以下、第８の実施形態における光給電システム１ｈの構成について説明する。図１５は、本発明の第８の実施形態における光給電システム１ｈの全体構成図である。光給電システム１ｈは、例えば非電化エリアである給電対象エリアに存在する、電力によって動作する給電対象機器に対して、光給電による電力を供給するためのシステムである。図１５に示されるように、光給電システム１ｈは、光源１２と、光給電部２ｈとを備える。なお、本実施形態における光給電システム１ｈは、前述の第１～第４の実施形態における光源１１を有していないため、光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１も有していない。

　光給電部２ｈは、複数のＰＤ２０を備える。一例として、図１５に示される光給電部２ｈは、ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－５の５つのＰＤ２０を備えている。光給電部２ｈは、例えば、給電対象エリアの内部又は近傍に設置される。なお、これら複数のＰＤ２０の一部又は全部は、１つ装置の筐体の中にまとめて備えられていてもよいし、別々の装置の筐体の中にそれぞれ備えられていてもよい。

　光源１２は、例えば局舎ビル等の建物の中に設置される。この局舎ビルは、例えば給電対象エリアの内部又は近傍に存在する。光源１２は、局舎ビルから複数のユーザ宅へ、通信データを載せた光信号を伝送するための光源である。光源１２とユーザ宅内のＯＮＵとの間のネットワーク構成としては、ＰＯＮ構成が用いられる。光源１２から送出された光信号は、ネットワーク経路上に設置された光スプリッタ３０ｈによって分岐され、ユーザ宅内のＯＮＵによって受光される。

　例えば、光スプリッタ３０ｈは、電柱等に設置され、光源１２から伝送される光信号（下り信号）、及びユーザ宅内のＯＮＵから伝送される光信号（上り信号）を複数の方向に分岐させる。なお、図１５に示されるように、上り信号の伝送と下り信号の伝送とは互いに異なる波長領域が用いられる。図１５では、一例として、上り信号の伝送には１２６０～１３６０［ｎｍ］の波長領域が用いられ、下り信号の伝送には１４８０～１５８０［ｎｍ］の波長領域が用いられる構成である。

　第８の実施形態における光スプリッタ３０ｈは、局舎側の端子とユーザ宅側の端子とがいずれも複数である、多入力多出力の光カプラである。図１５に例示された光スプリッタ３０ｈは、局舎側の端子とユーザ宅側の端子とが４つずつである４対４の入出力の光カプラである。そのため、図１５に示されるように、光スプリッタ３０ｈの局舎側の４つの端子のうち、１つの端子は局舎の光源１２に接続され、残りの３つの端子は未使用端子となっている。また、図１５には、一例として、２軒のユーザ宅が図示されている。そのため、光スプリッタ３０ｈのユーザ宅側の４つの端子のうち、２つの端子は２つのユーザ宅のＯＮＵにそれぞれ接続され、残りの２つの端子は未使用端子となっている。

　第８の実施形態における光給電システム１ｈでは、光スプリッタ３０ｈの局舎側の３つの未使用端子及びユーザ宅側の２つの未使用端子からなる、合計５つの未使用端子をそれぞれ経由するネットワーク経路が、光給電部２ｈの５つのＰＤ２０（ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－５）にそれぞれ接続されている。

　このような構成により、光源１２によって送出された光信号（下り信号）は、光スプリッタ３０ｈのユーザ宅側の未使用端子を介して、光給電部２ｈのＰＤ２０－４及びＰＤ２０－５によってそれぞれ受光される。ＰＤ２０－４及びＰＤ２０－５は、それぞれ受光した光信号を電気信号に変換することにより電力を得る。また、ユーザ宅のＯＮＵから送出された光信号（上り信号）は、光スプリッタ３０ｈの局舎側の未使用端子を介して、光給電部２ｈのＰＤ２０－１～ＰＤ２０－３によってそれぞれ受光される。ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－３は、それぞれ受光した光信号を電気信号に変換することにより電力を得る。

　なお、第８の実施形態における光給電システム１ｈでは、光スプリッタ３０ｈのユーザ宅側及び局舎側の全ての未使用端子が、光給電部２ｈのＰＤ２０にそれぞれ接続されている。但し、このような構成に限られるものではなく、光スプリッタ３０ｈのユーザ宅側及び局舎側の複数の未使用端子のうち、一部の未使用端子のみが、光給電部２ｈのＰＤ２０にそれぞれ接続されているような構成であってもよい。

　すなわち、本実施形態は、光スプリッタ３０ｈによって分岐された複数のネットワーク経路のうち少なくとも１つのネットワーク経路が、ユーザ宅への通信データの伝送又は局舎への通信データの伝送には用いられておらず、未使用で終端されているような場合を想定している。本実施形態は、例えば給電対象エリアの近傍に設置されているＰＯＮにおいて未使用になっているネットワーク経路を、給電対象エリアに対する光給電に活用しようとするものである。

　一般的に、ＰＯＮを用いた光通信システムでは、光スプリッタによって分岐されたネットワーク経路の全ての端子へ光信号が流れる仕組みになっているため、未使用で終端されている端子ではこの光信号が活用されず、無駄になっている。本実施形態は、この無駄になっている光信号を光給電に活用しようとするものである。ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－５は、ＰＯＮの局舎からユーザ宅のＯＮＵへ伝送される通信データを載せた光信号、及びユーザ宅のＯＮＵから局舎へ伝送される通信データを載せた光信号を受光して電力を得る。

　このように本実施形態では、光スプリッタ３０ｈによって分岐された複数のネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路が複数ある場合には、これら複数の未使用のネットワーク経路の各々に接続させるＰＤ２０が光給電部２ｈにそれぞれ用意される。これにより、第８の実施形態における光給電システム１ｈは、前述の第１～第４の実施形態における光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１及び光源１１を用いなくても、給電対象エリアに供給される電力の供給量をより増大させることができる。

　なお、ＰＯＮの局舎からユーザ宅のＯＮＵへ伝送される通信データを載せた光信号（下り信号）、及びユーザ宅のＯＮＵから局舎へ伝送される通信データを載せた光信号（上り信号）は、第１の実施形態における光給電システム１と同様にデータ通信用の既存信号であってもよいし、第２の実施形態における光給電システム１ａと同様にデータ通信用の既存信号に光給電用の追加信号が付加された光信号であってもよい。

　なお、給電対象エリアの近傍にＰＯＮの光スプリッタ３０ｈが複数ある場合、どの光スプリッタ３０ｈを用いるかについては任意であるが、例えば、給電対象エリアの最も近くに設置されている光スプリッタ３０ｈを用いるようにしてもよい。

　光源１２からＰＤ２０－１～ＰＤ２０－５へ接続されるネットワーク経路は、図１５における光給電回線５２である。光給電回線５２を含むＰＯＮのネットワークは、光ファイバを用いて構成される。

　第８の実施形態におけるＰＤ２０－１～ＰＤ２０－５は、直列に接続される。図１５に示されるように、ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－５によってそれぞれ得られた電力が合わせて給電対象エリア内の給電対象機器へ出力される。なお、ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－Ｎが直列に接続される順序は、図１５に示される順序とは逆であってもよい。なお、ＰＤ２０－１～ＰＤ２０－５は、並列に接続された構成であってもよい。

　このように、第８の実施形態における光給電システム１ｈは、光源１２及びユーザ宅のＯＮＵから送出される光信号を伝送するＰＯＮ構成の複数のネットワーク経路のうち、光スプリッタ３０ｈの未使用端子に接続された光給電回線５２を経由するネットワーク経路を介して、給電対象エリアへの光給電を行う。また、本実施形態では、光スプリッタ３０ｈのユーザ宅側及び局舎側の１つ以上の未使用端子にそれぞれ光給電回線５２が接続されており、未使用端子からそれぞれ接続されたＰＤ２０へ向けて光給電が行われる。

　以上説明したように、第８の実施形態における光給電システム１ｈは、光源１２及びユーザ宅のＯＮＵからＰＯＮによって伝送されるデータ通信用の光信号から電力を得ることができる。第８の実施形態における光給電システム１ｈは、光源１２及びユーザ宅のＯＮＵから送出される光信号を伝送するＰＯＮ構成の複数のネットワーク経路のうち、光スプリッタ３０ｈの未使用端子に接続された光給電回線５２を経由するネットワーク経路を介して、給電対象エリアへの光給電を行う。

　第８の実施形態における光給電システム１ｈでは、ＰＯＮの光スプリッタ３０ｈによって分岐された複数のネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路が複数ある場合には、これら複数の未使用のネットワーク経路の各々に接続させるＰＤ２０が光給電部２ｈにそれぞれ用意される。第８の実施形態における光給電システム１ｈでは、これら全ての未使用端子からそれぞれ接続されたＰＤ２０へ向けて光給電が行われる。

　これにより、第８の実施形態における光給電システム１ｈは、例えば商用電源やメタル線等を用いる一般的な給電方法と比べて一般的に供給電力量が少ないとされる光給電において、供給電力量を増大させることができる。また、第８の実施形態における光給電システム１ｈは、前述の第１～第４の実施形態における光給電用のＳＳ構成の光給電回線５１及び光源１１を用いなくても、給電対象エリアに供給される電力の供給量をより増大させることができる。

　また、第８の実施形態における光給電システム１ｈでは、供給電力量を増大させるために既存の光源１２の光量を増加させる必要がないため、光ファイバの加熱等が生じることもない。そのため、第８の実施形態における光給電システム１ｈは、光給電において、安全性を損なうことなく供給電力量を増大させることができる。

　また、第８の実施形態における光給電システム１ｈによれば、光源１２からＰＯＮによって伝送される光信号を複数のネットワーク経路を介して受信して、それぞれ電力を得ることができるため、従来であれば所望の大電力を得るために光量が高く設定されていた光給電用の光源１１を用いる必要がない。これにより、第８の実施形態における光給電システム１ｈは、安全性を向上させることができるとも言える。

　また、第８の実施形態における光給電システム１ｈでは、ＰＯＮシステムの既存の光源１２及び既存の光スプリッタ３０ｈ等を活用することができる。よって、第８の実施形態における光給電システム１ｈでは、新たにＰＤ２０を設置し、ＰＯＮにおいて光スプリッタ３０ｈによって分岐されたネットワーク経路のうち未使用のネットワーク経路をＰＤ２０に接続するだけでよい。

　このように、第８の実施形態における光給電システム１ｈは、既存のシステムを大きく改変することなく構築することができるため、設置コストを低く抑えることができる。また、第８の実施形態における光給電システム１ｈは、ＰＯＮにおいて未使用のネットワーク経路を流れる無駄な光信号を、光給電に有効活用することができる。

　なお、上述した各実施形態において用いられる光スプリッタ３０，３０ｈは、ＰＯＮの既存光スプリッタ（光カプラ）であるものとしたが、これに限られるものではない。市中で導入されている既存のスプリッタ、あるいは既存のカプラを任意に用いることも可能である。

　なお、上述した各実施形態では、光スプリッタ（光カプラ）の未使用端子が光給電に用いられるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、別の用途や別のシステムにて使用中であった分岐端について、当該用途や当該システムでの使用を辞めさせ、代わりに光給電として使用するように切り替えるような方法も考えられる。

　上述した実施形態によれば、光給電システムは、第１の光源と、第２の光源と、光給電装置とを有する。例えば、光給電システムは、実施形態における光給電システム１及び光給電システム１ａ～１ｃであり、第１の光源は、実施形態における光源１１であり、第２の光源は、実施形態における光源１２であり、光給電装置は、実施形態における光給電部２及び光給電部２ｂ～２ｃである。第１の光源は、光給電用の第１の光信号を第１の光給電回線へ送出する。例えば、第１の光給電回線は、実施形態における光給電回線５１である。第２の光源は、光給電用の第２の光信号を受動光ネットワークの回線である第２の光給電回線へ送出する。例えば、第２の光給電回線は、実施形態における光給電回線５２である。光給電装置は、第１のフォトダイオードと、第２のフォトダイオードと、給電部とを備える。例えば、第１のフォトダイオードは、実施形態におけるＰＤ２０－１であり、第２のフォトダイオードは、実施形態におけるＰＤ２０－２又はＰＤ２０－２～２０－Ｎであり、給電部は、実施形態におけるＰＤ２０－２又はＰＤ２０－Ｎである。第１のフォトダイオードは、第１の光信号を受光し、受光された第１の光信号を電気信号に変換して第１の電力を取得する。第２のフォトダイオードは、第２の光信号を受光し、受光された第２の光信号を電気信号に変換して第２の電力を取得する。給電部は、第１の電力と第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する。

　なお、第１のフォトダイオードと第２のフォトダイオードとは直列に接続され、給電部は、第１の電力を第１のフォトダイオードから第２のフォトダイオードへ出力させ、第１の電力と第２の電力とを合わせた電力を第２のフォトダイオードから給電対象機器へ出力させるようにしてもよい。

　なお、第１のフォトダイオードと第２のフォトダイオードとは並列に接続され、給電部は、第１の電力を第１のフォトダイオードから給電対象機器へ出力させ、第２の電力を第２のフォトダイオードから給電対象機器へ出力させるようにしてもよい。

　なお、第１の光給電回線は、シングルスター構成の回線であってもよい。

　なお、第２の光信号は、受動光ネットワークにおいて伝送される通信用の光信号であってもよい。

　なお、第２の光信号は、受動光ネットワークにおいて伝送される通信用の光信号に光給電用の光信号が付加された光信号であってもよい。そして、第２の光信号のデータ量は、受動光ネットワークの回線の空き状況に基づいて決定されるようにしてもよい。

　また、上述した実施形態によれば、光給電システムは、光源と、受動光ネットワークと、光給電装置とを有する。例えば、光給電システムは、実施形態における光給電システム１ｄ～１ｈであり、光源は、実施形態における光源１２であり、光給電装置は、実施形態における光給電部２ｄ～２ｈである。光源は、光信号を受動光ネットワークの回線である光給電回線へ送出する。例えば、光給電回線は、実施形態における光給電回線５２である。受動光ネットワークは、分岐部を備える。分岐部は、光給電回線を少なくとも第１の経路と第２の経路とに分岐させる。例えば、分岐部は、実施形態における光スプリッタ３０，３０ｈである。光給電装置は、第１のフォトダイオードと、第２のフォトダイオードと、給電部とを備える。例えば、第１のフォトダイオード及び第２のフォトダイオードは、実施形態におけるＰＤ２０－１，…，ＰＤ２０－ｎ，…，２０－Ｎのいずれかであり、給電部は、実施形態におけるＰＤ２０－Ｎ、又はＰＤ２０－１，…，ＰＤ２０－ｎ，…，２０－Ｎの全てである。第１のフォトダイオードは、第１の経路で伝送された光信号を受光し、受光された光信号を電気信号に変換して第１の電力を得る。第２のフォトダイオードは、第２の経路で伝送された光信号を受光し、受光された光信号を電気信号に変換して第２の電力を得る。給電部は、第１の電力と第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する。

　上述した実施形態における光給電システム１及び光給電システム１ａ～光給電システム１ｈの構成の一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、ＯＳや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ＲＯＭ、ＣＤ－ＲＯＭ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、ＦＰＧＡ（Field Programmable Gate Array）等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。

　以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。

１，１ａ～１ｈ…光給電システム、２，２ｂ～２ｈ…光給電部、１１，１２…光源、２０－１～２０－Ｎ…ＰＤ、３０，３０ｈ…光スプリッタ、５１，５２…光給電回線

Claims

　第１の光源が、光給電用の第１の光信号を第１の光給電回線へ送出するステップと、
　給電部が、第１のフォトダイオードによって前記第１の光信号を受光し、前記第１の光信号を電気信号に変換して第１の電力を得るステップと、
　第２の光源が、第２の光信号を受動光ネットワークの回線である第２の光給電回線へ送出するステップと、
　前記給電部が、第２のフォトダイオードによって前記第２の光信号を受光し、前記第２の光信号を電気信号に変換して第２の電力を得るステップと、
　前記給電部が、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力するステップと、
　を有する光給電方法。
　前記第１のフォトダイオードと前記第２のフォトダイオードとは直列に接続され、
　前記給電部は、前記第１の電力を前記第１のフォトダイオードから前記第２のフォトダイオードへ出力させ、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた前記電力を前記第２のフォトダイオードから前記給電対象機器へ出力させる
　請求項１に記載の光給電方法。
　前記第１のフォトダイオードと前記第２のフォトダイオードとは並列に接続され、
　前記給電部は、前記第１の電力を前記第１のフォトダイオードから前記給電対象機器へ出力させ、前記第２の電力を前記第２のフォトダイオードから前記給電対象機器へ出力させる
　請求項１に記載の光給電方法。
　前記第１の光給電回線は、シングルスター構成の回線である
　請求項１から３のうちいずれか一項に記載の光給電方法。
　前記第２の光信号は、前記受動光ネットワークにおいて伝送される通信用の光信号である
　請求項１から３のうちいずれか一項に記載の光給電方法。
　前記第２の光信号は、前記受動光ネットワークにおいて伝送される通信用の光信号に光給電用の光信号が付加された光信号であり、
　前記第２の光信号のデータ量は、前記受動光ネットワークの回線の空き状況に基づいて決定される
　請求項１から３のうちいずれか一項に記載の光給電方法。
　第１の光源と、第２の光源と、光給電装置と、を有する光給電システムであって、
　前記第１の光源は、光給電用の第１の光信号を第１の光給電回線へ送出し、
　前記第２の光源は、第２の光信号を受動光ネットワークの回線である第２の光給電回線へ送出し、
　前記光給電装置は、
　前記第１の光信号を受光し、受光された前記第１の光信号を電気信号に変換して第１の電力を取得する第１のフォトダイオードと、
　前記第２の光信号を受光し、受光された前記第２の光信号を電気信号に変換して第２の電力を取得する第２のフォトダイオードと、
　前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する給電部と、
　を備える
　光給電システム。
　第１の光源から送出され第１の光給電回線を介して伝送された光給電用の第１の光信号を受光し、受光された前記第１の光信号を電気信号に変換して第１の電力を取得する第１のフォトダイオードと、
　第２の光源から送出され受動光ネットワークの回線である第２の光給電回線を介して伝送された第２の光信号を受光し、受光された前記第２の光信号を電気信号に変換して第２の電力を取得する第２のフォトダイオードと、
　前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する給電部と、
　を備える光給電装置。
　光源が、光信号を受動光ネットワークの回線である光給電回線へ送出するステップと、
　前記受動光ネットワークの分岐部が、前記光給電回線を少なくとも第１の経路と第２の経路とに分岐させるステップと、
　給電部が、前記第１の経路で伝送された前記光信号を第１のフォトダイオードによって受光し、受光された前記光信号を電気信号に変換して第１の電力を得るステップと、
　前記給電部が、前記第２の経路で伝送された前記光信号を、第２のフォトダイオードによって受光し、受光された前記光信号を前記電気信号に変換して第２の電力を得るステップと、
　前記給電部が、前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力するステップと、
　を有する光給電方法。
　光源と、受動光ネットワークと、光給電装置と、を有する光給電システムであって、
　前記光源は、光信号を受動光ネットワークの回線である光給電回線へ送出し、
　前記受動光ネットワークは、
　前記光給電回線を少なくとも第１の経路と第２の経路とに分岐させる分岐部
　を備え、
　前記光給電装置は、
　前記第１の経路で伝送された前記光信号を受光し、受光された前記光信号を電気信号に変換して第１の電力を得る第１のフォトダイオードと、
　前記第２の経路で伝送された前記光信号を受光し、受光された前記光信号を前記電気信号に変換して第２の電力を得る第２のフォトダイオードと、
　前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する給電部と、
　を備える
　光給電システム。
　光源から受動光ネットワークの回線である光給電回線へ送出され、前記光給電回線を少なくとも第１の経路と第２の経路とに分岐させる前記受動光ネットワークの分岐部を介して前記第１の経路で伝送された光信号を受光し、受光された前記光信号を電気信号に変換して第１の電力を得る第１のフォトダイオードと、
　前記分岐部を介して前記第２の経路で伝送された前記光信号を受光し、受光された前記光信号を電気信号に変換して第２の電力を得る第２のフォトダイオードと、
　前記第１の電力と前記第２の電力とを合わせた電力を給電対象機器へ出力する給電部と、
　を備える光給電装置。