WO2023249049A1 - 腹膜劣化抑制組成物、腹膜劣化抑制組成物キット、腹膜透析液、および腹膜透析液キット - Google Patents

腹膜劣化抑制組成物、腹膜劣化抑制組成物キット、腹膜透析液、および腹膜透析液キット Download PDF

Info

Publication number
WO2023249049A1
WO2023249049A1 PCT/JP2023/022919 JP2023022919W WO2023249049A1 WO 2023249049 A1 WO2023249049 A1 WO 2023249049A1 JP 2023022919 W JP2023022919 W JP 2023022919W WO 2023249049 A1 WO2023249049 A1 WO 2023249049A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
composition
peritoneal
chamber
kit
deterioration
Prior art date
Application number
PCT/JP2023/022919
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
直之 畑山
宗和 内藤
香 福重
俊 大塚
茂樹 坂上
Original Assignee
学校法人 愛知医科大学
住友精化株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 学校法人 愛知医科大学, 住友精化株式会社 filed Critical 学校法人 愛知医科大学
Publication of WO2023249049A1 publication Critical patent/WO2023249049A1/ja

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K33/00Medicinal preparations containing inorganic active ingredients
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/08Solutions
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M1/00Suction or pumping devices for medical purposes; Devices for carrying-off, for treatment of, or for carrying-over, body-liquids; Drainage systems
    • A61M1/14Dialysis systems; Artificial kidneys; Blood oxygenators ; Reciprocating systems for treatment of body fluids, e.g. single needle systems for hemofiltration or pheresis
    • A61M1/28Peritoneal dialysis ; Other peritoneal treatment, e.g. oxygenation
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Abstract

腹膜劣化を抑制可能な組成物を提供する。 本発明の腹膜劣化抑制組成物は、一酸化炭素を含む。

Description

腹膜劣化抑制組成物、腹膜劣化抑制組成物キット、腹膜透析液、および腹膜透析液キット
 本発明は、腹膜劣化抑制組成物、腹膜劣化抑制組成物キット、腹膜透析液、および腹膜透析液キットに関する。
 腎機能の低下した患者に対して、腎機能を補う治療方法として、人工透析が行なわれている。前記人工透析としては、血液透析および腹膜透析が存在する。前記血液透析は、週3回程度、1回4~5時間の時間を要する。他方、前記腹膜透析は、1日1回に睡眠中の透析液の交換でも対応可能であり、患者のQOLを向上できるというメリットがある(非特許文献1)。
Qin Zhou et al., "Preventing peritoneal membrane fibrosis in peritoneal dialysis patients", Kidney International, Volume 90, Issue 3, 2016, Pages 515-524
 しかしながら、前記腹膜透析を実施する患者では、除水機能の低下等の腹膜の機能低下が経時的に生じ、前記腹膜透析の開始後6~7年目において、前記腹膜透析が実施できなくなるという問題がある。この場合、前記患者は、前記腹膜透析を中止し、前記血液透析に移行する。このため、前記腹膜透析の期間をより長期に維持するために、腹膜の劣化を抑制可能な組成物が求められている。
 そこで、本発明は、腹膜の劣化を抑制可能な組成物の提供を目的とする。
 前記目的を達成するために、本発明の腹膜劣化抑制組成物(以下、「組成物」ともいう)は、一酸化炭素を含む。
 本発明の腹膜劣化抑制組成物キット(以下、「組成物キット」ともいう)は、腹膜劣化抑制組成物と、他の成分とを含み、
前記腹膜劣化抑制組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、
前記腹膜劣化抑制組成物は、前記本発明の組成物である。
 本発明の腹膜透析液は、前記本発明の組成物を含む。
 本発明の腹膜透析液キットは、組成物と、腹膜透析液とを含み、
前記組成物と、前記腹膜透析液とは、隔離して配置され、
前記組成物は、前記本発明の組成物である。
 本発明の組成物は、腹膜透析に起因する疾患の予防または抑制に用いるための医薬組成物(以下、「医薬組成物」ともいう)であって、一酸化炭素を含む。
 本発明の組成物キットは、腹膜透析に起因する疾患の予防または抑制に用いるための医薬組成物キット(以下、「医薬キット」または「医薬組成物キット」ともいう)であって、
組成物と、他の成分とを含み、
前記組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、
前記組成物は、前記本発明の組成物である。
 本発明の組成物によれば、腹膜の劣化を抑制できる。
図1は、本発明の組成物と他の成分とが収容された複室容器の一例を示す断面図である。 図2は、実施例1における微小気泡の製造装置を示す模式図である。 図3は、実施例1における排液量を示すグラフである。 図4は、実施例1における組織染色による腹膜の肥厚を示す写真である。 図5は、実施例1における組織染色による炎症細胞を示す写真である。 図6は、実施例1における免疫組織化学染色によるCD68(マクロファージマーカー)染色の結果を示す写真である。 図7は、実施例1におけるマクロファージ陽性エリア(%)を示すグラフである。 図8は、実施例1における免疫組織化学染色によるCD31(血管内皮細胞マーカー)染色の結果を示す写真である。 図9は、実施例1における血管内皮細胞陽性エリア(%)を示すグラフである。 図10は、実施例1における免疫組織化学染色によるLyve-1(リンパ管マーカー)染色の結果を示す写真である。 図11は、実施例1におけるリンパ管陽性エリア(%)の結果を示すグラフである。 図12は、実施例1における各遺伝子の発現量を示すグラフである。 図13は、実施例2における腹膜水量を示すグラフである。 図14は、実施例2における腹膜表面の厚み(腹膜厚)を示すグラフである。 図15は、実施例3におけるIL-6遺伝子の発現量を示すグラフである。 図16は、実施例4における腹膜水量を示すグラフである。図16(A)は、CO-UFBの結果を示す。図16(B)は、CO-UFB 1/4の結果を示す。図16(C)は、CO-UFB 1/10の結果を示す。図16(D)は、CO-UFB 1/50の結果を示す。図16(E)は、CO-disの結果を示す。図16(F)は、CO-dis 1/4の結果を示す。図16(G)は、CO-dis 1/10の結果を示す。図16(H)は、CO-dis 1/50の結果を示す。
<定義>
 本明細書において、「腹膜」は、腹部の臓器の一部または全部を覆っている膜を意味する。前記腹膜は、壁側腹膜および臓側腹膜(横隔膜を含む)から構成されている。前記腹膜は、正常な状態において、外表面を覆い、中皮細胞から構成される中皮細胞層と、結合組織から構成される中皮下層とから構成される。
 本明細書において、「腹膜劣化」は、腹膜機能低下および/または腹膜形態の変化を意味する。前記腹膜劣化は、腹膜透析において生じる腹膜劣化が好ましい。前記「腹膜機能の低下」は、腹膜の限界濾過機能の低下もしくは不全、および/または腹膜透過性の亢進を意味する。前記「腹膜形態の変化」は、腹膜の線維性肥厚および/または腹膜の硬化性肥厚を意味する。前記「腹膜劣化」は、対象の腹膜機能および/または腹膜形態を検討することにより評価できる。前記腹膜機能は、例えば、腹膜平衡試験(peritoneal equilibration test: PET)により評価できる。前記腹膜機能は、後述の実施例1に準じて、除水機能に基づき評価してもよい。前記腹膜形態は、例えば、対象の腹膜の生体組織診断等により評価できる。
 本明細書において、「腹膜の線維化」は、腹膜において、コラーゲン等の細胞外基質が沈着した状態を意味する。
 本明細書において、「腹膜劣化の抑制」は、腹膜機能の低下の予防、抑止、もしくは停止、腹膜機能の低下の進行の抑制もしくは停止、および/または腹膜機能の改善もしくは寛解(緩解)を意味してもよいし、腹膜形態の変化の予防、抑制、抑止、もしくは停止、腹膜形態の変化の進行の抑制もしくは停止、および/または変化した腹膜形態の改善もしくは正常化を意味してもよい。
 本明細書において、「腹膜の線維化の抑制」は、対象の腹膜の線維化が有意に抑制されていることを意味する。前記「腹膜の線維化の抑制」は、例えば、対象の腹膜の線維化の予防、抑止、もしくは停止、腹膜の線維化の進行の抑制もしくは停止、および/または線維化した腹膜の改善もしくは正常化ということもできる。前記「腹膜の線維化の抑制」は、例えば、腹膜の線維化が誘導される条件において、線維化が有意に抑制されているかにより評価できる。具体例として、前記「腹膜の線維化の抑制」は、前記腹膜の線維化の誘導条件下において、被検物質の処理群が、前記被検物質を処理していない対照群または前記腹膜の線維化の抑制活性を有さない物質(対照物質)で処理した対照群と比較して、有意に線維化が抑制されている場合、前記被検物質は、腹膜の線維化抑制活性を有すると評価できる。前記腹膜の線維化の抑制は、後述の実施例1(4)に準じて、クロルヘキシジングルコン酸塩液に誘導される腹膜劣化モデルにおける腹膜の肥厚に基づき評価してもよい。
 本明細書において、「腹膜の炎症の抑制」は、対象の腹膜の炎症が有意に抑制されていることを意味する。前記「腹膜の炎症の抑制」は、例えば、対象の腹膜の炎症の予防、抑止、もしくは停止、および/または腹膜の炎症の進行(増悪)の抑制もしくは停止ということもできる。前記「腹膜の炎症の抑制」は、例えば、腹膜の炎症が誘導される条件において、炎症が有意に抑制されているかにより評価できる。具体例として、前記「腹膜の炎症の抑制」は、前記腹膜の炎症の誘導条件下において、被検物質の処理群が、前記被検物質を処理していない対照群または前記腹膜の炎症の抑制活性を有さない物質(対照物質)で処理した対照群と比較して、有意に炎症が抑制されている場合、前記被検物質は、腹膜の炎症抑制活性を有すると評価できる。前記腹膜の炎症の抑制は、後述の実施例1(5)に準じて、クロルヘキシジングルコン酸塩液に誘導される腹膜劣化モデルにおける腹膜へのマクロファージの浸潤、および/または実施例1(6)の腹膜の炎症性サイトカインの発現量に基づき評価してもよい。
 本明細書において、「血管新生の抑制」は、腹膜において、血管新生が有意に抑制されていることを意味する。具体例として、前記「血管新生の抑制」は、例えば、腹膜の血管新生の誘導条件において、被検物質の処理群が、前記被検物質を処理していない対照群または前記腹膜の血管新生の抑制活性を有さない物質(対照物質)で処理した対照群と比較して、有意に血管新生が抑制されている場合、前記被検物質は、血管新生抑制活性を有すると評価できる。前記腹膜の血管新生の抑制は、後述の実施例1(5)に準じて、クロルヘキシジングルコン酸塩液に誘導される腹膜劣化モデルの腹膜における血管内皮細胞マーカーの陽性エリアに基づき評価してもよい。
 本明細書において、「リンパ管新生の抑制」は、腹膜においてリンパ管新生が有意に抑制されていることを意味する。具体例として、前記「リンパ管新生の抑制」は、例えば、腹膜のリンパ管新生の誘導条件において、被検物質の処理群が、前記被検物質を処理していない対照群または前記腹膜のリンパ管新生の抑制活性を有さない物質(対照物質)で処理した対照群と比較して、有意にリンパ管新生が抑制されている場合、前記被検物質は、リンパ管新生抑制活性を有すると評価できる。前記腹膜のリンパ管新生の抑制は、後述の実施例1(5)に準じて、クロルヘキシジングルコン酸塩液に誘導される腹膜劣化モデルの腹膜におけるリンパ管内皮細胞マーカーの陽性エリアに基づき評価してもよい。前記リンパ管新生の評価において、前記腹膜は、横隔膜が好ましい。
 本明細書において、「陽性(+)」は、抗原抗体反応を利用して検出される免疫組織染色等の解析方法により、前記抗原を発現しない陰性対照細胞または前記抗原と反応しない抗体を用いる陰性対照反応と比較して、高いシグナルが検出されることを意味する。
 本明細書において、「陰性(-)」は、前記抗原を発現しない陰性対照細胞または前記抗原と反応しない抗体を用いる陰性対照反応と比較して、同等またはそれ以下のシグナルが検出されることを意味する。
 本明細書において、「微小気泡」は、気体以外により囲まれた、気体からなる閉じた微小な空間を意味する。前記「微小気泡」は、例えば、微細気泡ということもできる。前記微小気泡は、例えば、ファインバブルがあげられる。前記ファインバブルは、通常、気泡径が100μm未満の微小気泡を意味する。前記気泡径は、気泡の球相当径を意味する。前記気泡径は、後述の測定方法により得られる微小気泡の平均径(算術平均径)でもよい。前記ファインバブル(fine bubble:FB)は、マイクロバブルでもよいし、ウルトラファインバブル(ultra fine bubble:UFB)でもよい。前記マイクロバブルは、通常、気泡径が1μm以上、100μm未満の微小気泡を意味する。前記ウルトラファインバブルは、通常、気泡径が1μm未満の微小気泡を意味する。前記ウルトラファインバブルの気泡径は、例えば、1nm以上、1000nm未満、1~750nm、または1~500nmである。
 本明細書において、「対象」は、動物または動物由来の細胞、組織もしくは器官を意味し、特に、ヒトを含む意味で用いられる。前記動物は、ヒトおよび非ヒト動物を意味する。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル、イルカ、アシカ等の哺乳類動物があげられる。
 本明細書において、「処置」は、治療的処置および/または予防的処置を意味する。本明細書において、「治療」は、疾患、病態、もしくは障害の治療、治癒、防止、抑止、寛解、改善、または、疾患、病態、もしくは障害の進行の停止、抑止、低減、もしくは遅延を意味する。本明細書において、「予防」は、疾患もしくは病態の発症の可能性の低下、または疾患もしくは病態の発症の遅延を意味する。前記「治療」は、例えば、対象疾患を発病する患者に対する治療でもよいし、対象疾患のモデル動物の治療でもよい。
 以下、本発明について例をあげて説明するが、本発明は以下の例等に限定されるものではなく、任意に変更して実施できる。また、本発明における各説明は、特に言及がない限り、互いに援用可能である。なお、本明細書において、「~」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で用いる。また、本明細書において、「Aおよび/またはB」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「AおよびBの双方」が含まれる。
<腹膜劣化抑制組成物>
 本発明は、腹膜の劣化を抑制する組成物を提供する。本発明の腹膜劣化抑制組成物は、一酸化炭素を含む。本発明の組成物は、前記一酸化炭素(CO)を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の組成物は、腹膜の劣化を抑制できる。本発明の組成物は、COを含むため、投与対象の体内に、例えば、腹膜、腹腔内等に直接投与できる。
 前記一酸化炭素は、例えば、媒体中に存在する。前記一酸化炭素は、前記媒体において、前記媒体と分離した状態で存在してもよいし、一体化した状態で存在してもよい。前記一酸化炭素が前記媒体と分離した状態で存在する場合、前記一酸化炭素は、例えば、前記媒体と区分または区別できる状態で存在する。この場合、前記一酸化炭素は、例えば、前記媒体に囲まれた空間内に存在し、具体例として、気泡として存在する。前記気泡は、例えば、微小気泡があげられる。前記一酸化炭素が前記媒体と一体化した状態で存在する場合、前記一酸化炭素は、例えば、前記媒体と区分または区別できない状態で存在する。この場合、前記一酸化炭素は、前記媒体に、溶存または溶解して存在する。前記媒体が液体溶媒の場合、前記一酸化炭素が溶存または溶解した媒体は、例えば、一酸化炭素溶存液、または一酸化炭素溶解液ということもできる。
 前記媒体は、例えば、液体または固体があげられる。前記液体は、例えば、水を含む水性溶媒、油性溶媒、またはこれらの混合溶媒等の溶媒があげられる。また、前記液体は、ゾルを含む。前記固体は、例えば、前記液体を凝固させたものがあげられる。また、前記固体は、ゲルを含む。前記液体は、例えば、生理的食塩水;リン酸緩衝液等の緩衝液;細胞外液、細胞内液等の輸液;蒸留水、純水等の水;DMEM、RPMI1640等の細胞培養液;臓器保存液;等があげられる。前記固体は、例えば、前記液体の固化物があげられる。
 前記微小気泡は、前記媒体中に分散して存在する。このため、前記微小気泡は、気体成分が前記媒体に囲われているということもできる。前記微小気泡における気体成分と、前記媒体とは直接接触していることが好ましい。前記微小気泡は、前記媒体の全体または一部に分散して存在する。後者の場合、前記微小気泡は、前記媒体の一部に局在するということもできる。
 本発明の組成物は、気体成分として、一酸化炭素を含む。本発明の組成物は、気体(気体成分)として、一酸化炭素(CO)のみを含んでもよいし、他の気体を含んでもよい。前記COは、例えば、本発明の組成物における有効成分ということもできる。前記他の気体は、例えば、一酸化窒素(NO)、硫化水素(HS)、水素(H)等の生体ガス;ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガス;二酸化炭素(CO)、亜酸化窒素(NO)、二酸化炭素(CO)、窒素(N)、メタン(CH)、エタン(CHCH)、プロパン(CHCHCH)、フルオロメタン(CHF)、ジフルオロメタン(CH)、四フッ化炭素(CF)、酸化エチレン(CO)、空気等があげられる。本発明において、「生体ガス」は、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、硫化水素(HS)、もしくは水素(H)を含む気体、またはこれらのうち2種類以上を含む混合気体を意味する。本発明の組成物が気体成分を2種類以上含む場合、CO以外の気体成分は、例えば、前記希ガス、窒素等のCOと反応しない気体成分であることが好ましい。前記一酸化炭素は、例えば、気体が、空気のみである場合を除く。本発明において、前記「空気」は、例えば、本発明の組成物を製造する際に使用した空気(大気)を意味する。本発明の組成物において、一酸化炭素および前記他の気体は、医療用ガスグレードが存在する気体である場合、医療用ガスに由来する気体であることが好ましい。前記他の気体成分は、例えば、前記媒体において、COと同じ状態で存在してもよいし、異なる状態で存在してもよい。具体例として、前記一酸化炭素が前記媒体中で気泡を形成している場合、前記他の気体成分は、前記媒体において、前記一酸化炭素と共に、または別に、気泡を形成してもよいし、前記媒体に溶解または溶存した状態で存在してもよい。前記一酸化炭素が前記媒体に溶解または溶存した状態で存在している場合、前記他の気体成分は、前記媒体において、気泡を形成してもよいし、前記一酸化炭素と共に、前記媒体に溶解または溶存した状態で存在してもよい。
 本発明の組成物において、前記一酸化炭素の含有量は、例えば、後述の投与対象への投与量に応じて設定できる。前記一酸化炭素の含有量(濃度)の下限値は、例えば、0.01μmol/l以上、0.1μmol/l以上、1μmol/l以上、10μmol/l以上、15μmol/l、50μmol/l以上、75μmol/l以上、100μmol/l以上であってもよい。前記一酸化炭素の含有量(濃度)の上限値は、例えば、5mmol/l以下、1mmol/l以下、0.75mmol/l以下、0.5mmol/l以下、0.25mmol/l以下であってもよい。本発明の組成物における前記一酸化炭素の含有量(濃度)の範囲は、例えば、0.01μmol/l~5mmol/l、0.1μmol/l~1mmol/l、1μmol/l~1mmol/l、10μmol/l~1mmol/l、または100μmol/l~1mmol/lである。
 本発明の組成物が一酸化炭素を気泡および/または微小気泡として含む場合、前記気泡および/または前記微小気泡の密度は、前記媒体の体積に対する気泡および/または前記微小気泡の数を意味する。前記「密度」は、個数濃度ということもできる。前記気泡および/または前記微小気泡の密度の下限値は、例えば、5×10個/ml、1×10個/ml、5×10個/ml、1×10個/ml、5×10個/ml、1×10個/ml、5×10個/ml、1×10個/mlであり、好ましくは、1×10個/ml、5×10個/ml、1×10個/ml、5×10個/ml、1×10個/ml、5×10個/mlである。前記気泡および/または前記微小気泡の密度の上限値は、例えば、1.5×10個/ml、2×10個/ml、3×10個/ml、5×10個/ml、7×10個/ml、9×10個/ml、1×1010個/ml、5×1010個/ml、1×1011個/ml、5×1011個/ml、1×1012個/ml、5×1012個/mlである。前記気泡および/または前記微小気泡の密度の範囲は、例えば、5×10個/ml~5×1012個/ml、5×10個/ml~1×1012個/ml、5×10個/ml~5×1011個/ml、5×10個/ml~1×1011個/ml、5×10個/ml~5×1010個/ml、5×10個/ml~1×1010個/ml、1×10個/ml~9×10個/ml、5×10個/ml~9×10個/ml、1×10個/ml~7×10個/ml、5×10個/ml~7×10個/ml、1×10個/ml~5×10個/ml、5×10個/ml~5×10個/ml、1×10個/ml~3×10個/ml、5×10個/ml~2×10個/ml、5×10個/ml~1.5×10個/mlである。
 前記気泡および/または前記微小気泡の密度、気泡径および平均径(以下、「特性」ともいう)は、前記気泡および/または前記微小気泡が分散されている媒体に応じて、適宜測定できる。前記気泡および/または前記微小気泡が液体の媒体に分散されている場合、前記気泡および/または前記微小気泡の特性は、本発明の組成物における気泡について粒子軌跡解析法で解析することにより算出できる。前記粒子軌跡解析法は、例えば、後述の実施例1に準じ、NanoSight(登録商標)NS300(Malvern Instrument社製)を用いて実施できる。前記気泡および/または前記微小気泡の特性は、粒子軌跡解析法以外の他の解析方法により算出してもよい。この場合、他の解析方法で得られた気泡および/または前記微小気泡の特性は、前記粒子軌跡解析法で得られる算出値に変換した際に前述の例示を満たす。前記気泡および/または前記微小気泡が固体の媒体に分散されている場合、前記気泡および/または前記微小気泡の特性は、前記媒体の固化前の液体における気泡および/または前記微小気泡の特性および固体の媒体を溶解することで得られる液体における気泡および/または前記微小気泡の特性に基づき、算出できる。
 前記気体に占めるCOの割合は、例えば、0%を超え、100%以下、10~100%、20~100%、30~100%、40~100%、50~100%、60~100%、70~100%、80~100%、90~100%、95~100%、96~100%、97~100%、98~100%、99~100%であり、好ましくは、90~100%である。
 本発明の組成物は、下記(1)~(4)のいずれか1、2、3または4つの活性を示すことが好ましい。下記(1)~(4)の活性は、前述の方法により評価できる。
(1)腹膜の線維化抑制活性
(2)腹膜の炎症抑制活性
(3)腹膜における血管新生の抑制活性
(4)腹膜におけるリンパ管新生の抑制活性
 前記(1)において、本発明の組成物は、例えば、前記腹膜劣化モデルを用いたアッセイにおいて、前記腹膜劣化の誘導後9または16日に、前記対照群の腹膜の厚みを基準として、前記厚みを、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上抑制する活性を有する。
 前記(2)において、本発明の組成物は、例えば、前記腹膜劣化モデルを用いたアッセイにおいて、前記腹膜劣化の誘導後9または16日に、前記対照群の腹膜における炎症性サイトカインの発現量を基準として、本発明の組成物の投与群において、前記炎症性サイトカインの発現量を、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上抑制する活性を有する。
 前記(3)において、本発明の組成物は、例えば、前記腹膜劣化モデルを用いたアッセイにおいて、前記腹膜劣化の誘導後9または16日に、前記対照群の腹膜における血管内皮細胞マーカーの陽性エリアの面積を基準として、前記血管内皮細胞マーカーの陽性エリアの面積を、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上抑制する活性を有する。
 前記(4)において、本発明の組成物は、例えば、前記腹膜劣化モデルを用いたアッセイにおいて、前記腹膜劣化の誘導後9または16日に、前記対照群の腹膜におけるリンパ管内皮細胞マーカーの陽性エリアの面積を基準として、前記リンパ管内皮細胞マーカーの陽性エリアの面積を、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上抑制する活性を有する。
 本発明の組成物は、前記組成物におけるCOの状態に応じ、気体を溶解させた媒体の製造方法または気泡を含む媒体の製造方法を用いて製造できる。本発明の組成物において、前記COが、前記媒体に溶解または溶存している場合、本発明の組成物は、例えば、生理的食塩水等の前記媒体と前記気体とを密閉可能な容器内に封入後、混和することにより製造できる。前記媒体と気体との体積比は、例えば、前記媒体における気体の含有量に応じて設定でき、例えば、媒体(S)と気体(G)との体積比(S:G)は、例えば、1:0.01~100、1:0.1~10、1:0.5~5である。前記混合時間は、例えば、1分~24時間、10分~12時間、または20分~1時間である。また、本発明の組成物において、前記COが気泡を形成している場合、本発明の組成物は、例えば、任意の気体を用いて、ファインバブル等の微小気泡の製造方法により製造できる。このため、本発明の組成物の製造方法は、例えば、COを含む気体と、媒体とを用いて、微小気泡を製造する気泡製造工程を含む。具体例として、本発明の組成物が液体の場合、前記液体の組成物は、例えば、COを含む気体と、前記媒体と、旋回流方式、エゼクター式、ベンチュリ式、スタティックミキサー方式、微細孔方式、加圧溶解式、または超音波キャビテーション式の微小気泡の製造装置とを用いて、製造できる。また、本発明の組成物が固体の場合、前記固体の組成物は、前記液体の組成物を、公知の方法で凝固することにより製造できる。前記固体がゲルの場合、ゲルの組成物は、例えば、前記液体の組成物を、ゲル化剤と混合することにより製造できる。前記気泡製造工程の開始時において、前記COを含む気体の状態は、気体、液体、または固体である。前記を含む気体は、複数種類の気体を含んでもよい。この場合、各気体を別個に、前記気泡製造工程に供してもよいし、前記COを含む気体の全部または一部を同時に前記気泡製造工程に供してもよい。具体例として、前記気体がCOおよびCO以外の気体の場合、前記COおよびCO以外の気体は、同時に導入されてもよいし、別個に導入されてもよい。
 本発明の組成物は、例えば、in vivoで使用してもよいし、in vitroで使用してもよい。本発明の組成物は、例えば、研究用試薬として使用することもでき、医薬品として使用することもできる。後者の場合、本発明の組成物は、医薬または医薬組成物ということもできる。
 本発明の組成物の投与対象(対象)は、特に制限されない。本発明の組成物をin vivoで使用する場合、前記投与対象は、例えば、前述の対象の説明を援用できる。前記本発明の組成物をin vitroで使用する場合、前記投与対象は、例えば、細胞、組織、器官等があげられ、前記細胞は、例えば、生体から採取した細胞、培養細胞等があげられ、前記組織または器官は、例えば、生体から採取した組織(生体組織)または器官等があげられる。前記細胞は、例えば、腹膜内皮細胞、腹膜中皮細胞等があげられる。
 本発明の組成物の投与対象は、腹膜透析を実施予定の対象、腹膜透析を実施している対象、腹膜透析を実施していた対象、および/または腹膜透析による腹膜機能の劣化の疑いがある対象であることが好ましい。
 本発明の組成物の使用条件(投与条件)は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類等に応じて、投与形態、投与時期、投与量等を適宜設定できる。
 本発明の組成物の投与量は、特に制限されず、例えば、治療有効量である。本発明の組成物をin vivoで使用する場合、例えば、投与対象の種類、症状、年齢、投与方法等により適宜決定できる。具体例として、前記微小気泡の密度が1×10個/ml(一酸化炭素含有量:約0.0002mm/ml)~5×1012個/ml(一酸化炭素含有量:約10mm/ml)の組成物、または前記一酸化炭素の含有量(濃度)が0.01μmol/l~5mmol/lの組成物をマウスまたはヒトに腹腔投与または静脈投与する場合、1日あたりの組成物の投与量は、合計が、例えば、1~80ml/kg体重、または20~80ml/kg体重である。この場合、本発明の組成物の1日あたりの投与回数は、例えば、1~5回、1~3回であり、好ましくは、1回である。前記微小気泡の密度が1×10個/ml~5×1012個/mlの組成物、または前記一酸化炭素の含有量(濃度)が0.01μmol/l~5mmol/lの組成物を腹膜透析液としてヒトの腹腔内に投与する場合、1日あたりの組成物の投与量は、例えば、1回あたり2~5Lである。また、1日あたりの合計の投与量が、例えば、2~30L、5~20L、または8~18Lである。この場合、本発明の組成物の1日あたりの投与回数は、例えば、1~15回、1~13回、または3~10回である。また、前記微小気泡の密度が1×10個/ml~5×1012個/mlの組成物、または前記一酸化炭素の含有量(濃度)が0.01μmol/l~5mmol/lの組成物をマウスまたはヒトに予防用途で投与する場合、1日あたりの組成物の投与量は、例えば、0.00001~500ml/回である。この場合、本発明の組成物の1日あたりの投与回数は、例えば、1~5回、1~3回であり、好ましくは、1回である。前記組成物における気体成分の含有量は、特に制限されず、例えば、前述の一日当たりの投与量に応じて適宜設定できる。本発明の組成物は、例えば、継続的に投与されてもよいし、非継続的に投与されてもよい。前記非継続的投与は、例えば、間欠的投与ということもできる。本発明の組成物は、例えば、所定間隔で投与されてもよい。前記所定間隔は、略等間隔または等間隔でもよいし、不等間隔でもよい。前記所定間隔は、例えば、8~12時間間隔、1日間隔等があげられる。
 本発明の組成物の投与形態は、特に制限されない。本発明の組成物をin vivoで投与する場合、経口投与でもよいし、非経口投与でもよい。前記非経口投与は、例えば、静脈注射(静脈内投与)、筋肉注射(筋肉内投与)、経皮投与、皮下投与、皮内投与、経腸投与、直腸投与、経膣投与、経鼻投与、経肺投与、腹腔内投与、局所投与等があげられる。本発明の組成物を腹腔内投与する場合、前記腹腔内に投与された組成物は、腹腔内から回収されてもよい。
 本発明の組成物の剤型は、特に制限されず、例えば、前記投与形態に応じて適宜決定できる。前記剤型は、例えば、液体状、固体状があげられる。具体例として、前記剤型は、放出調節製剤(腸溶性製剤、徐放性製剤等)、カプセル剤、経口液剤(エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、芳香水剤、リモナーデ剤等)、シロップ剤(シロップ用剤等)、顆粒剤(発泡顆粒剤、細粒等)、散剤、錠剤(口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解剤、被覆錠剤等)、丸剤、経口ゼリー剤等の経口投与用製剤;口腔用錠剤(ガム剤、舌下剤、トローチ剤、ドロップ剤、バッカル錠、付着錠等)、口腔用スプレー剤、口腔用半固形剤、含嗽剤等の口腔内適用製剤;注射剤(埋め込み注射、持続性注射剤、輸液剤(点滴用製剤等)、凍結乾燥注射剤、粉末注射剤、充填済シリンジ剤、カートリッジ剤等)等の注射投与用製剤;透析用剤(腹膜透析用剤、血液透析用剤)等の透析用製剤;吸入剤(吸入エアゾール剤、吸入液剤、吸入粉末剤等)等の気管支・肺適用製剤;眼軟膏剤、点眼剤等の目投与用製剤;点耳剤等の耳投与製剤;点鼻剤(点鼻液剤、点鼻粉末剤等)等の鼻適用製剤;坐剤、直腸用半固形剤、注腸剤等の直腸適用製剤;膣用坐剤、膣錠等の膣適用製剤;外用液剤(酒精剤、リニメント剤、ローション剤等)、クリーム剤、ゲル剤、外用固形剤(外用散剤等)、スプレー剤(外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤等)、貼付剤(テープ剤、パップ剤等)、軟膏剤等の皮膚適用剤;等があげられる。本発明の組成物を経口投与する場合、前記剤型は、例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、細粒剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等があげられる。本発明の組成物を非経口投与する場合、前記剤型は、例えば、注射投与用製剤、点滴用製剤等があげられる。本発明の組成物を経皮投与する場合、前記剤型は、例えば、貼付剤、塗布剤、軟膏、クリーム、ローション等の外用薬があげられる。
 本発明の組成物は、例えば、必要に応じて、添加剤を含んでもよく、本発明の組成物を医薬または医薬組成物として使用する場合、前記添加剤は、薬学的に許容可能な添加剤または薬学的に許容可能な担体を含むことが好ましい。前記添加剤は、特に制限されず、例えば、塩等の浸透圧調節剤、基剤原料、賦形剤、着色剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定化剤、コーティング剤、保存剤、pH調整剤、香料等の矯味矯臭剤等があげられる。本発明において、前記添加剤の配合量は、COの機能を妨げるものでなければ、特に制限されない。
 前記賦形剤は、例えば、乳糖、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、αデンプン、デキストリン等のデンプン誘導体;結晶セルロース等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン等の有機系賦形剤;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩誘導体;リン酸水素カルシウム等のリン酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸カルシウム等の硫酸塩等の無機系賦形剤があげられる。前記着色剤は、例えば、黄色三二酸化鉄等があげられる。前記滑沢剤は、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;タルク;ポリエチレングリコール;シリカ;硬化植物油等があげられる。前記矯味矯臭剤は、例えば、ココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等の香料、甘味料、酸味料等があげられる。前記結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等があげられる。前記崩壊剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム等の化学修飾デンプンおよび化学修飾セルロース類等があげられる。前記安定剤は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾール等のフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;ソルビン酸等があげられる。前記コーティング剤は、例えば、ヒプロメロース、マクロゴール6000等のマクロゴール、タルク、酸化チタン等があげられる。
 本発明の組成物は、例えば、投与対象の腹膜劣化を抑制できる。このため、本発明の組成物は、例えば、腹膜透析により生じる腹膜劣化の抑制、前記腹膜劣化の過程で生じる腹膜の炎症および/または腹膜の線維化、ならびに前記腹膜劣化により生じる被嚢性腹膜硬化症の予防または抑制用組成物として好適に使用できる。
<腹膜劣化抑制組成物キット>
 ある態様において、本発明は、腹膜の劣化を抑制する組成物のキットを提供する。本発明の腹膜劣化抑制組成物キットは、前述のように、前記本発明の腹膜劣化抑制組成物と、他の成分とを含み、前記腹膜劣化抑制組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、前記腹膜劣化抑制組成物は、前記本発明の腹膜劣化抑制組成物である。本発明の組成物キットは、前記本発明の組成物を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の組成物キットによれば、前記組成物の投与量を調節することにより、COの投与量を調節可能である。本発明の組成物キットは、前記本発明の組成物の説明を援用できる。
 前記他の成分は、特に制限されず、前記組成物の内容および投与対象への投与目的に応じて、適宜決定でき、例えば、前記添加剤、薬剤、栄養剤等があげられる。前記薬剤は、例えば、抗生物質等があげられる。前記組成物の浸透圧が調整されていない場合、前記他の成分は、浸透圧調整剤(物質)を含むことが好ましい。前記浸透圧調整物質は、例えば、グルコース、イコデキストリン等の糖;塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化マグネシウム等の塩(電解質);アミノ酸;タンパク質等があげられる。前記栄養剤は、例えば、グルコース等の糖、ビタミン類等があげられる。前記他の成分は、固体でもよいし、液体でもよい。前者の場合、前記他の成分は、溶媒等に未溶解の状態で配置され、例えば、前記組成物と混合すると、溶解されるように構成されることが好ましい。後者の場合、前記他の成分は、例えば、溶媒に溶解していることが好ましい。
 本発明の組成物キットにおいて、前記組成物と前記他の成分とは、隔離して配置されている、すなわち、前記組成物と前記他の成分とは、未混合の状態または接触しない状態で配置されている。具体的には、前記組成物と前記他の成分とは、これらを収容する容器において、異なる箇所に配置されている。
 本発明の組成物キットにおいて、前記組成物と前記他の成分とは、容器に収容されていることが好ましい。この場合、前記容器は、複数の室を備え、前記組成物と前記他の成分とは、異なる室に収容されている。すなわち、前記容器は、複室容器であることが好ましい。1つの容器における室の数は、特に制限されず、例えば、隔離して配置する成分の数に応じて決定でき、具体例として、2~10室、2~5室である。具体例として、前記容器は、前記組成物を収容する第1室と、前記他の成分を収容する第2室とを備える。前記容器において、前記第1室と前記第2室とは、それぞれ、独立した構成、すなわち、独立した容器として構成されてもよいし、一体の構成、すなわち、一つの容器として構成されてもよい。前記第1室と前記第2室とが一つの容器として構成されている場合、前記容器は、前記第1室と前記第2室とを隔離可能な隔離部を備えることが好ましい。前記容器が隔離部を備える場合、前記第1室と前記第2室とは、例えば、前記隔離部を介して配置される。前記組成物と前記他の成分とを混合し、投与対象に投与する場合、前記隔離部は、前記第1室と前記第2室とを連通可能に構成されていることが好ましい。
 前記第1室および前記第2室を有する容器は、例えば、医療用の複室容器を使用できる。前記複室容器は、例えば、プラスチック製のバッグ内に前記隔離部を設けることで複数の室を形成したプラスチック製ダブルバッグ(例えば、特開2016-190646号公報、特開2016-131577号公報等)、他の成分が収容された容器と、溶解液(前記組成物に対応)とが収容された容器が連通可能に一体化された溶解液キット(例えば、国際公開第96/25136号公報等)、ダブルチャンバー型のプレフィルドシリンジ(例えば、特開2012-245086号公報等)等が使用できる。
 本発明の組成物キットにおいて、前記組成物と前記他の成分とが収容された前記複室容器の一例を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の組成物キットの一例を示す断面図である。図1に示すように、組成物キットは、容器10と、組成物11と、他の成分21とを備える。容器10は、組成物11が収容された第1室1と、他の成分21が収容された第2室2と、第1室1と第2室2とを隔離し、かつ第1室1と第2室2とを連通可能とする隔離部3とを備える。容器10は、さらに、容器10を吊り下げ可能な吊り下げ部5を備える。
 図1に示すように、容器10は、シート13およびシート14と、排出部(排出ポート)22から形成される。図1に示すように、シート13および14は、シート14の上端部においてシート13と溶着されることで、第1室1の上端部12を形成し、シート13および14の下端側において、排出部22と接続している。また、シート13および14は、その中央部において溶着され、隔離部3を形成している。隔離部3の溶着は、剥離可能であり、第1室1に圧力を加えることにより、隔離部3におけるシート13および14の溶着が解除され、第1室1と第2室2とが連通可能となる。容器10において、第1室1は、シート13および14における上端部12から隔離部3までの空間である。また、容器10において、第2室2は、シート13および14における隔離部3から排出部22までの空間である。
 シート13および14は、プラスチックシートを使用できる。前記プラスチックシートは、複数層から構成されることが好ましく、例えば、内面層と、外面層と、中間層とを備える。前記内面層と前記外面層としては、例えば、熱可塑性オレフィン系樹脂、熱可塑性プロピレン系樹脂、熱可塑性ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂を使用できる。このような熱可塑性樹脂を用いることにより、シート13および14を向かい合うように積層させ、ヒートシールを実施することにより、第1室1および第2室2の外周部と、上端部12および隔離部3とを容易に形成でき、容器10を製造できる。前記中間層は、例えば、柔軟性の高い樹脂が好ましく、具体例として、熱可塑性オレフィン系樹脂組成物が使用できる。
 第1室1および第2室2の容積および形状は、特に制限されず、例えば、前記組成物および他の成分の投与量に応じて、適宜設定できる。
 本発明のキットは、例えば、投与対象の腹膜劣化を抑制できる。このため、本発明のキットは、例えば、前記腹膜透析により生じる腹膜劣化の抑制、前記腹膜劣化の過程で生じる腹膜の炎症および/または腹膜の線維化、ならびに前記腹膜劣化の結果生じる被嚢性腹膜硬化症の予防または抑制用キットして好適に使用できる。
<腹膜透析液>
 別の態様において、本発明は、腹膜の劣化を抑制する腹膜透析液を提供する。本発明の腹膜透析液は、前記本発明の腹膜劣化抑制組成物を含むことを特徴とする。本発明の腹膜透析液によれば、腹膜透析時の腹膜の劣化を抑制できる。本発明の腹膜透析液は、前記本発明の組成物、すなわち、気体成分として、COを含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の腹膜透析液は、腹膜透析における腹膜の劣化を抑制できる。本発明の組成物は、COを含むため、投与対象の体内に、例えば、腹膜、腹腔内等に直接投与できる。
 本発明の腹膜透析液は、前記本発明の組成物に加えて、腹膜透析液が含む他の成分を含む。すなわち、本発明の腹膜透析液は、通常の腹膜透析液が含む成分に加えて、本発明の組成物、すなわち、気体成分としてCOを含む。前記他の成分は、浸透圧調整物質;カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、クロム等の金属のイオン;アルカリ化剤;有機酸;等があげられる。
 前記浸透圧調整物質は、例えば、グルコース、イコデキストリン等の糖;アミノ酸;タンパク質;等があげられる。
 前記アルカリ剤は、例えば、乳酸イオン、重炭酸イオン等があげられる。
 前記有機酸は、例えば、プロピオン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、オキサル酢酸、N-アセチルグリシン、N-アセチル-L-システイン、グルタル酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、クエン酸、イソクエン酸、グルコン酸、N-アセチル-L-アスパラギン酸、N-アセチル-L-グルタミン酸、N-アセチル-L-メチオニン、N-アセチル-L-プロリン、N-アセチル-L-バリン、N-アセチル-L-グルタミン、N-アセチル-L-アルギニン、N-アセチル-L-ヒスチジン、N-アセチル-L-ロイシン、N-アセチル-L-トリプトファン、およびこれらの塩等があげられる。
 前記他の成分の濃度は、前記他の成分の種類に応じて適宜設定できる。
 本発明の腹膜透析液のpHは、例えば、約pH5.0~7.5であり、好ましくは、約pH6.5~7.5である。
 本発明の腹膜透析液の浸透圧は、例えば、約300~500mOsm/kgであり、好ましくは、約330~450mOsm/kgである。
 本発明の腹膜透析液の注入量は、例えば、ヒトが対象の場合、1回あたり1.5~2Lである。また、本発明の腹膜透析液の1回あたりの貯留時間は、例えば、4~8時間である。そして、本発明の腹膜透析液は、例えば、前記貯留後に、前記腹膜透析液は、排液される。本発明の腹膜透析液は、例えば、これらの操作を1回として、1日当たり3~5回の連続操作を継続して実施する。
 本発明の腹膜透析液は、例えば、前記本発明の組成物と、前記浸透圧調節物質等の他の成分とを混合することにより調製できる。このため、前記他の成分は、濃縮液として、調製されており、かつ前記本発明の組成物と混合後に所望の濃度となるように、前記他の成分の濃度が調整されていることが好ましい。前記本発明の組成物と、前記他の成分とは、予め滅菌されていることが好ましい。
 本発明の腹膜透析液は、軟質プラスチック製バッグまたはガラス製容器等に封入されることが好ましい。
<腹膜透析液キット>
 別の態様において、本発明は、腹膜の劣化を抑制する腹膜透析液のキットを提供する。本発明の腹膜透析液キットは、前記本発明の組成物と、腹膜透析液とを含むことを特徴とする。本発明の腹膜透析液によれば、腹膜透析時の腹膜の劣化を抑制できる。本発明の腹膜透析液は、前記本発明の組成物、すなわち、気体成分として、COを含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の腹膜透析液は、腹膜の劣化を抑制できる。本発明の組成物は、COを含むため、投与対象の体内に、例えば、腹膜、腹腔内等に直接投与できる。
 本発明の腹膜透析キットにおいて、前記腹膜透析液は、使用時に、前記本発明の組成物と混合して、混合液を調製し、前記混合液が使用される。このため、前記腹膜透析液は、例えば、通常の腹膜透析液の濃縮液であることが好ましい。前記腹膜透析液の濃縮液における各成分(他の成分)の濃度は、前記本発明の組成物と混合後に所望の濃度となるように、設定できる。
 本発明の腹膜透析キットにおいて、前記組成物と前記他の成分とは、容器に収容されていることが好ましい。前記容器は、例えば、前述の組成物キットにおける容器の説明を援用できる。
<医薬組成物>
 別の態様において、本発明は、腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患に対する処置が可能な組成物を提供する。本発明の腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患処置用医薬組成物(以下、「医薬組成物」ともいう)は、前記本発明の腹膜劣化抑制組成物を含む。本発明の医薬組成物は、前記本発明の組成物を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の医薬組成物は、投与対象の腹膜劣化を抑制できる。このため、本発明の医薬組成物は、例えば、前記腹膜透析により生じる腹膜劣化の抑制、前記腹膜劣化の過程で生じる腹膜の炎症および/または腹膜の線維化、ならびに前記腹膜劣化の結果生じる被嚢性腹膜硬化症の予防または抑制用医薬組成物として好適に使用できる。本発明の医薬組成物によれば、前記組成物の投与量を調節することにより、COの投与量を調節可能である。
 本発明の医薬組成物は、例えば、前述の薬学的に許容可能な添加剤または薬学的に許容可能な担体を含んでもよい。
<医薬キット>
 別の態様において、本発明は、腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患に対する処置が可能な組成物のキットを提供する。本発明の腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患処置用医薬キット(以下、「医薬キット」ともいう)は、前記本発明の腹膜劣化抑制組成物キットを含む、すなわち、本発明の腹膜劣化抑制組成物と、他の成分とを含む。本発明の医薬キットは、前記発明の組成物キットを含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の医薬キットは、投与対象の腹膜劣化を抑制できる。このため、本発明の医薬キットは、例えば、前記腹膜透析により生じる腹膜劣化の抑制、前記腹膜劣化の過程で生じる腹膜の炎症および/または腹膜の線維化、ならびに前記腹膜劣化の結果生じる被嚢性腹膜硬化症の予防または抑制用医薬組成物として好適に使用できる。本発明の医薬キットによれば、前記組成物の投与量を調節することにより、COの投与量を調節可能である。
<抑制方法>
 別の態様において、本発明は、腹膜の劣化を抑制する方法を提供する。本発明の抑制方法は、腹膜劣化の抑制方法であって、前記本発明の腹膜劣化抑制組成物または前記本発明の腹膜劣化抑制組成物キットを使用する。本発明の抑制方法は、前記本発明の腹膜劣化抑制組成物または前記本発明の腹膜劣化抑制組成物キットを使用することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の抑制方法によれば、腹膜の劣化を抑制できる。
 本発明の抑制方法は、例えば、対象に、前記組成物または前記組成物キットを投与する投与工程を含む。前記投与は、好ましくは、腹腔内投与である。
 本発明の抑制方法において、前記対象は、前述の投与対象の説明を援用でき、具体例として、腹膜透析を実施予定の対象、腹膜透析を実施している対象、または腹膜透析を実施していた対象である。
 本発明の抑制方法において、前記組成物または組成物キットを、in vitroで使用してもよいし、in vivoで使用してもよい。
 本発明の抑制方法において、前記腹膜劣化の対象は、例えば、腹膜の線維化、腹膜機能の低下等があげられる。
<透析方法>
 別の態様において、本発明は、腹膜の劣化が抑制された透析方法を提供する。本発明の透析方法は、腹膜透析方法であって、前記本発明の腹膜透析液または前記本発明の腹膜透析液キットを使用する。本発明の透析方法は、前記本発明の腹膜透析液または前記本発明の腹膜透析液キットを使用することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の透析方法によれば、腹膜透析における腹膜の劣化を抑制できる。
 本発明の透析方法は、例えば、対象の腹腔内に、前記腹膜透析液または前記腹膜透析液キットの混合液を注入する工程と、前記腹膜透析液または前記混合液を貯留する工程と、前記腹膜透析液または前記混合液を排液する工程とを含む。各工程における注入量、貯留時間等の透析条件は、前述の説明を援用できる。
<処置方法>
 別の態様において、本発明は、腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患の処置方法を提供する。本発明の処置方法(以下、「処置方法」ともいう)は、腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患の処置方法であって、前記本発明の医薬組成物または前記本発明の医薬組成物キットを使用する。本発明の処置方法は、前記本発明の医薬組成物または前記本発明の医薬組成物キットを使用することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の処置方法によれば、投与対象の腹膜透析における腹膜劣化を抑制できる。このため、本発明の処置方法によれば、例えば、前記腹膜透析により生じる腹膜劣化の抑制、前記腹膜劣化の過程で生じる腹膜の炎症および/または腹膜の線維化、ならびに前記腹膜劣化の結果生じる被嚢性腹膜硬化症等の疾患を予防または抑制できる。
 本発明の処置方法は、例えば、患者に、前記本発明の腹膜劣化抑制組成物を投与する投与工程を含む。
 本発明の処置方法は、前記組成物として、前記医薬組成物を用いてもよい。また、本発明の処置方法は、前記組成物として、組成物キットまたは医薬キット(以下、あわせて「キット」ともいう)を用いてもよい。
 本発明の処置方法が前記キットを用いる場合、前記投与工程では、前記組成物と前記他の成分とを同時に投与してもよいし、別々に投与してもよい。前記組成物と前記他の成分とを同時に投与する場合、本発明の処置方法は、前記投与工程に先立ち、前記キットにおいて、前記組成物と前記他の成分とを混合する混合工程を含むことが好ましい。この場合、前記投与工程では、得られた混合物を患者に投与する。
 前記投与工程における投与条件は、前述の説明を援用できる。
 本発明の処置方法において、前記患者は、前記腹膜劣化に起因する疾患であると診断された患者、または疾患であると疑われる患者であることが好ましい。また、前記患者は、腹膜の線維化が生じている患者、もしくは線維化が生じていると疑われる患者、または腹膜の炎症が生じている患者、もしくは炎症が生じていると疑われる患者であってもよい。前記腹膜の劣化は、例えば、前記患者の腹膜の生体組織診断により評価できる。
<使用>
 別の態様において、本発明は、腹膜の劣化の抑制、腹膜透析、または腹膜透析もしくは腹膜劣化に起因する疾患の処置に用いるための組成物であり、前記組成物は、一酸化炭素を含む。また、本発明は、腹膜劣化の抑制、腹膜透析、または腹膜透析もしくは腹膜劣化に起因する疾患の処置に用いるための組成物キットであり、前記組成物キットは、組成物と、他の成分とを含み、前記組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、前記組成物は、一酸化炭素を含む。
[実施例1]
 本発明の組成物を製造し、腹膜劣化を軽減できることを確認した。
(1)組成物の製造
 本発明の組成物は、図2に示す微小気泡の製造装置100を用いて製造した。図2に示すように、製造装置100は、三方活栓31の二方にシリンジ32、33が配置されている。製造装置100では、三方活栓31を介してシリンジ32、33が連通している。まず、シリンジ32を三方活栓31から解除し、その内部に20mlの生理的食塩水を導入した。つぎに、シリンジ32を再度三方活栓31に接続し、三方活栓31内の気体を除去した。前記除去後、シリンジ33を三方活栓31から解除し、その内部に、20mlの医療用一酸化炭素(太陽日酸株式会社製、またはジャパンファインプロダクツ株式会社製、CO濃度:99.95%以上(G1))を導入した。そして、シリンジ33を再度三方活栓31に接続した。前記接続後、シリンジ32、33のプランジャーを外筒内で、10分間連続的にピストン移動させることにより、気体成分としてCOを含む微小気泡を製造することにより、本発明の組成物(実施例1の組成物)を製造した。
 得られた組成物について、約1時間静置後、NanoSight(登録商標)NS300(Malvern Instrument社製)を用い、デフォルトのパラメータで、前記組成物の物性を測定した。なお、前記測定は、25℃で行なった。この結果、前記組成物における微小気泡の平均径および微小気泡の密度は、以下のとおりであった。
(実施例1の組成物(CO-UFB))
 平均径:136.3 ± 1.4 nm、密度:1.54×10±1.87×10個/ml
(2)腹膜劣化モデルマウスの作製
 腹膜劣化モデルマウスは、クロルヘキシジングルコン酸塩液(CG液:Chlorhexidine Gluconate Solution)をマウス(系統:C57BL/6JJmsSlc、日本エスエルシーより購入)に腹膜内投与することにより作製した。前記CG液は、以下のように調製した。まず、生理食塩水 8.5mlに、99.5%エタノール(Wako社製、Cat No:057-00456) 1.5mlと、20%CG(Wako社製、Cat No:034-10871) 50μlとを添加後、十分に混合した。得られた混合液を、0.2μmフィルターで滅菌ろ過し、0.1%CG液を調製した。つぎに、前記マウスに対して、0.1%CG液 300μlを腹腔内投与した。前記CG液投与後2時間において、CO-UFB 1.0mlを腹腔内投与した。前記投与は隔日行い、合計7回の前記投与を行った(CG+CO-UFB、実施例群)。コントロール群(Control)では、前記0.1%CG液に代えて等量の生理食塩水を用い、前記CO-UFBに代えて生理的食塩水を用いた以外は同様にして実施した。また、参考例群(CG)は、前記CO-UFBに代えて生理的食塩水を用いた以外は同様にして実施した。
(3)腹膜機能の測定
 前記投与開始日から16日目に、腹膜劣化が生じていることを確認するため、腹膜機能を測定した。具体的には、前記投与開始日から16日目の各群のマウスについて、腹腔平衡試験(PET:Peritoneal Equilibration Test)を行った。各群のマウスに、4.25%(登録商標)ダイアニール2mlを腹腔内投与し、前記投与後2時間で排液の摂取と採血を行い、除水量および排液量を評価した。これらの結果を表1および図3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 前記表1は、死亡率、排液量、および除水量を示す。また、図3は、排液量を示すグラフである。図3において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、排液量を示す。前記表1に示すように、参考例群(CG)では、腹膜劣化の誘導により死亡率が30.4%まで増加した。これに対して、実施例群(CG+CO-UFB)では、死亡率が12.5%であり、死亡率が減少した。また、前記表1および図3に示すように、参考例群は、コントロール群(control)と比較して、液量が減少傾向を示した。これに対して、実施例群(CG+CO-UFB)は、コントロール群と比較して、排液量に大きな差は見られなかった。
 以上のことから、本発明の組成物であるCO-UFB投与により、腹膜劣化により生じる除水機能の低下が軽減されることがわかった。
(4)腹膜の肥厚の測定
 前記実施例1(1)のCG液投与開始後16日目に、腹膜劣化の指標として、腹膜の肥厚および腹膜への炎症細胞の浸潤を検討した。具体的には、前記CG液投与後16日目において、各群のマウスの壁側腹膜と横隔膜とを採取し、10%中性緩衝ホルマリンを用いて固定した。前記固定後、前記壁側腹膜と前記横隔膜とをパラフィン包埋後、厚さ3μmのパラフィン包埋切片を調製した。得られたパラフィン包埋切片について、常法によりHE染色を実施した。前記染色後、各切片について、光学顕微鏡(OLYMPUS BX50、オリンパス社製)およびカメラ(OLYMPUS DP22、オリンパス社製)を用いて、基底膜から腹膜表面(腹膜表層)の厚みを測定した。また、あわせて、各切片について、炎症細胞が浸潤の有無を検討した。これらの結果を図4および図5に示す。
 図4は、組織染色による腹膜の肥厚を示す写真である。図4において、矢印は、基底膜から腹膜表面までの領域を示す。図2に示すように、参考例群(CG)では、腹膜の厚みが、平均166.6μmであるのに対し、コントロール群(control)では、腹膜の厚みが、平均54.4μmであり、CG液の投与により腹膜の肥厚が生じることが確認された。これに対し、実施例群(CG+CO-UFB)では、腹膜の厚みが、平均109.9μmであった。これらの結果から、本発明の組成物であるCO-UFB投与により、腹膜劣化において生じる腹膜の肥厚を軽減できることがわかった。
 つぎに、図5は、組織染色による炎症細胞を示す写真である。図5に示すように、コントロール群(control)では、前記腹膜表層への炎症細胞の浸潤は認められなかった。他方、参考例群(CG)では、コントロール群と比較して、矢印で示す部分において前記腹膜表層への炎症細胞の浸潤が確認された。これに対して、実施例群(CG+CO-UFB)では、参考例群と比較して、矢印で示す部分において前記腹膜表層に浸潤する炎症細胞の数の減少が見られた。
 以上のことから、本発明の組成物であるCO-UFBの投与により、腹膜劣化により生じる腹膜の肥厚が軽減されること、および炎症細胞の浸潤が抑制されることがわかった。
(5)腹膜劣化の炎症反応の測定
 前記実施例1(1)のCG液投与開始後16日目に、腹膜劣化の指標として、炎症細胞であるマクロファージの浸潤と、除水能に関連する血管およびリンパ管の新生とを検討した。まず、前記実施例1(4)と同様にして、パラフィン包埋切片を調製した。
 つぎに、前記パラフィン包埋切片について、一次抗体と反応させた後、二次抗体およびHRP標識(HRP Rb、Cell Signaling Technology社製、試薬コード:8114S、ロットNo:21)と反応させた。前記一次抗体としては、マクロファージの染色には、CD68抗体(Rt×Mo CD68、Bio-Rad社製、試薬コード:MCA1957、ロットNo:1807-14)を用い、血管内皮細胞の染色にはCD31抗体(Rt×Mo CD31、Merck社製、試薬コード:CBL1337、ロットNo:3123230)を用い、リンパ管の染色にはLyve-1抗体(Rb×Mo/Rt Lyve-1、Acris社製、試薬コード:DP3513P、ロットNo:1410R24)を用いた。前記反応後、発色基質として、DAB(3,3’-Diaminobenzidine)を用い、染色した。前記染色後、ヘマトキシリンを用いて、対比染色を行なった。そして、前記光学顕微鏡を用いて、CD68陽性のマクロファージが集積しているエリア、CD31陽性血管内皮細胞の占めるエリア、およびLyve-1陽性リンパ管内皮細胞の占めるエリアを集計し、1視野に占める各エリアの割合を算出した。これらの結果を図6から図11に示す。
 図6は、免疫組織化学染色によるCD68(マクロファージマーカー)染色の結果を示す写真であり、図7は、マクロファージ陽性エリア(%)を示すグラフである。図6および図7に示すように、コントロール群(control)では、マクロファージの浸潤は認められなかった。他方、参考例群(CG)では、コントロール群と比較して、マクロファージマーカー陽性エリアが増加した。これに対して、実施例群(CG+CO-UFB)では、参考例群と比較して、マクロファージマーカー陽性エリアが矢印で示すとおり減少した。
 つぎに、図8は、免疫組織化学染色によるCD31(血管内皮細胞マーカー)染色の結果を示す写真であり、図9は、血管内皮細胞陽性エリア(%)を示すグラフである。図8および図9に示すように、参考例群(CG)では、コントロール群(control)と比較して、矢印で示すとおり血管内皮細胞マーカー陽性エリアが増加した。これに対して、実施例群(CG+CO-UFB)では、参考例群と比較して、矢印で示すとおり血管内皮細胞マーカー陽性エリアの減少傾向を示した。
 つぎに、図10は、免疫組織化学染色によるLyve-1(リンパ管マーカー)染色の結果を示す写真であり、図11は、リンパ管陽性エリア(%)の結果を示すグラフである。図10において、空隙部分は、リンパ管新生が生じた領域である。図10および図11に示すように、参考例群(CG)では、コントロール群(Control)と比較して、矢印で示すとおりリンパ管マーカー陽性エリアの増加傾向を示した。これに対して、実施例群(CG+CO-UFB)では、参考例群と比較して、矢印で示すとおりリンパ管マーカー陽性エリアの減少傾向を示した。
 これらの結果から、本発明の組成物のCO-UFBの投与により、腹膜劣化モデルにおいて、炎症細胞のマクロファージの浸潤が抑制され、かつ血管およびリンパ管の新生が抑制されることがわかった。前述のように、腹膜劣化モデルでは、除水能等の腹膜機能が低下するが、CO-UFBを投与した場合、腹膜機能の低下が抑制される。これは、CO-UFBが、腹膜劣化において生じる、マクロファージの浸潤等の炎症反応と、血管およびリンパ管新生による除水機能の低下とを抑制することによると推定された。
(6)腹膜劣化の遺伝子発現の測定
 前記実施例1(1)のCG液投与開始後16日目に、血管新生、リンパ管新生、および炎症に関連する遺伝子の発現を検討した。具体的には、各群のマウスの壁側腹膜と横隔膜とを採取し、各膜から常法により、Total RNAを抽出した。得られたRNAと逆転写酵素(High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit、Appliedbiosystems社製)とPCR装置(Thermal Cycler Dice、タカラ社製)とを用いて、cDNAを合成した。そして、前記cDNAおよび下記プライマーセットと、RT-PCR試薬(RTB Green(商標) Premix(商標)Taq(商標)II、タカラ社製)およびリアルタイムPCR測定装置(Quant Studio3、Appliedbiosystems社製)とを用い、VEGF-A(血管内皮増殖因子)、VEGF-C(リンパ管新生因子)、PECAM-1(血管内皮細胞接着分子)、LYVE-1(リンパ管内皮細胞マーカー)、およびIL-6(炎症性サイトカイン)の遺伝子発現量を測定した。また、内部標準遺伝子としては、GAPDHを用い、各遺伝子の発現量は、前記内部標準遺伝子の発現量に対する相対発現量として算出した。これらの結果を図12に示す。
・VEGF-A用プライマーセット
 フォワードプライマー(配列番号1)
  5'-caggctgctgtaacgatgaa-3'
 リバースプライマー(配列番号2)
  5'-gctttggtgaggtttgatcc-3'
・VEGF-C用プライマーセット
 フォワードプライマー(配列番号3)
  5'-cagacaagttcattcaattattagacg-3'
 リバースプライマー(配列番号4)
  5'-catgtcttgttagctgcctga-3'
・PECAM-1用プライマーセット
 フォワードプライマー(配列番号5)
  5'-cggtgttcagcgagatcc-3'
 リバースプライマー(配列番号6)
  5'-actcgacaggatggaaatcac-3'
・LYVE-1用プライマーセット
 フォワードプライマー(配列番号7)
  5'-gaagcagctgggtttggag-3'
 リバースプライマー(配列番号8)
  5'-cgtagcaaacagccagcac-3'
・IL-6用プライマーセット
 フォワードプライマー(配列番号9)
  5'-gctaccaaactggatataatcagga-3'
 リバースプライマー(配列番号10)
  5'-ccaggtagctatggtactccagaa-3'
・内部標準遺伝子(GAPDH)用プライマーセット
 フォワードプライマー(配列番号11)
  5'-tgtgtccgtcgtggatctga-3'
 リバースプライマー(配列番号12)
  5'-ttgctgttgaagtcgcaggag-3'
 図12は、各遺伝子の発現量を示すグラフである。図12において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、各遺伝子の発現量を示す。図12に示すように、参考例群(CG)では、コントロール群(control)と比較して、血管内皮増殖因子、リンパ管新生因子、血管内皮細胞接着分子、リンパ管内皮細胞マーカー、および炎症性サイトカインの遺伝子発現量が増加していた。これに対して、実施例群(CG+CO-UFB)では、参考例群と比較して、血管内皮増殖因子、リンパ管新生因子、血管内皮細胞接着分子、リンパ管内皮細胞マーカー、および炎症性サイトカインの遺伝子発現量が減少していた。
 これらの結果から、本発明の組成物であるCO-UFB投与により、腹膜劣化モデルにおいて発現が増強される、血管内皮増殖因子、リンパ管新生因子、血管内皮細胞接着分子、リンパ管内皮細胞マーカー、および炎症性サイトカインの発現が抑制されることがわかった。前述のように、腹膜劣化モデルでは、除水能等の腹膜機能が低下するが、CO-UFBを投与した場合、腹膜機能の低下が抑制される。これは、CO-UFBが、腹膜劣化において生じる、マクロファージの浸潤等の炎症反応と、血管およびリンパ管新生による除水機能の低下とについて、これらに関連する遺伝子の発現増強を抑制することによると推定された。
[実施例2]
 本発明の組成物を製造し、腹膜劣化を軽減できることを確認した。
(1)組成物の製造
 COを微小気泡として含有する組成物は、前記実施例1(1)と同様にして製造した(実施例2(1)の組成物)。前記実施例2(1)の組成物について、前記実施例1(1)と同様にして、前記組成物における微小気泡の平均径および微小気泡の密度を測定した結果、以下のとおりであった。
(実施例2(1)の組成物(CO-UFB))
 平均径:155.2 nm、密度:1.03×10個/ml
 また、生理的食塩水中にCOが溶存している組成物(実施例2(2)の組成物)は、以下の手順で製造した。具体的には、シリンジ内に、生理的食塩水および前記医療用一酸化炭素を体積比1:1の割合で封入後、30分間、振盪混和することにより、前記生理的食塩水に前記COを溶解させ、実施例2(2)の組成物を製造した。前記実施例2(2)の組成物について、前記組成物における一酸化炭素濃度を測定した結果、以下のとおりであった。
(実施例2(2)の組成物(CO-Dissolve))
 濃度:839 μM
(2)腹膜劣化モデルマウスの作製
 前記実施例1(2)において、CO-UFBに代えて、前記実施例2(1)の組成物および前記実施例2(2)の組成物を投与した以外は、同様にして腹膜劣化モデルマウスを作製した。
(3)腹膜機能の測定
 つぎに、7回目の投与日を基準として、2日後(CG液投与開始後9日目)に、腹膜機能の測定を行なった。前記腹膜機能の測定は、前記実施例1(3)と同様にして実施し、各マウスの腹腔内の水量(腹膜水量)を算出した。ネガティブコントロールは、未処理とした以外は同様にして、コントロールは、前記実施例2(1)の組成物および前記実施例2(2)の組成物に代えて、生理的食塩水を用いた以外は同様にして実施した。これらの結果を、図13に示す。なお、図中の*は、p<0.05、**は、p<0.01、***は、p<0.001、****は、p<0.0001を示す。
 図13は、腹膜水量を示すグラフである。図13において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、腹膜水量(mL)を示す。図13に示すように、コントロール(control)は、ネガティブコントロール(negative control)と比較して、除水量が大きく低減した。これに対して、前記実施例2(1)の組成物(CO-UFB+CG)および前記実施例2(2)の組成物(CO-Dissolve+CG)の投与群では、コントロールと比較して、除水量の減少が有意に減少し、腹膜劣化により生じる除水機能の低下が軽減されることがわかった。
(4)腹膜の肥厚の測定
 つぎに、7回目の投与日を基準として、2日後(CG液投与開始後9日目)に、腹膜劣化の指標として、腹膜表面の厚みを測定した。前記腹膜表面の厚みの測定は、前記実施例1(4)と同様に実施した。この結果を、図14に示す。
 図14は、腹膜表面の厚み(腹膜厚)を示すグラフである。図14において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、腹膜表面の厚みを示す。図14に示すように、コントロール(control)は、ネガティブコントロール(negative control)と比較して、腹膜の厚みが大きく増加した。これに対して、前記実施例2(1)の組成物(CO-UFB+CG)および前記実施例2(2)の組成物(CO-Dissolve+CG)の投与群では、コントロールと比較して、腹膜の厚みの増加が有意に減少し、腹膜劣化において生じる腹膜の肥厚を軽減できることがわかった。また、前記実施例2(1)の組成物の投与群は、前記実施例2(2)の組成物の投与群と比較すると、腹膜の厚みの増加がより減少する傾向が見られた。
[実施例3]
 本発明の組成物を製造し、腹膜劣化を予防できることを確認した。
(1)組成物の製造
 COを微小気泡として含有する組成物、および生理的食塩水中にCOが溶存している組成物は、それぞれ、前記実施例1(1)の組成物および前記実施例2(1)の組成物と同様にして調製した(それぞれ、実施例3(1)の組成物、および実施例3(2)の組成物)。前記実施例3(1)の組成物について、前記実施例1(1)と同様にして、前記組成物における微小気泡の平均径および微小気泡の密度を測定した結果、以下のとおりであった。また、前記実施例3(2)の組成物について、前記組成物における一酸化炭素濃度を測定した結果、以下のとおりであった。
(実施例3(1)の組成物(CO-UFB))
 平均径:155.2 nm、密度:1.03×10個/ml
(実施例3(2)の組成物(CO-Dissolve))
CO濃度:755 μM
(2)腹膜劣化の予防
 本発明の組成物が腹膜劣化を予防できるかについては、CGの投与前に、各実施例の組成物を投与することにより検討した。具体的には、まず、前記マウスに、前記実施例3(1)の組成物または前記実施例3(2)の組成物 1.0mLを腹腔内投与した。前記投与の1時間後に、前記マウスに、0.1%CG液 300μlを腹腔内投与した。つぎに、CG液の投与の6時間後に、各マウスの壁側腹膜と横隔膜とを採取した。そして、前記壁側腹膜と前記横隔膜とを用いた以外は、前記実施例1(6)と同様にして、IL-6遺伝子の相対発現量を算出した。ネガティブコントロールは、未処理とした以外は同様にして、コントロールは、前記実施例3(1)の組成物および前記実施例3(2)の組成物に代えて、生理的食塩水を用いた以外は同様にして実施した。この結果を、図15に示す。
 図15は、IL-6遺伝子の発現量を示すグラフである。図15において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、IL-6遺伝子の発現量を示す。図15に示すように、コントロール(control)は、ネガティブコントロール(negative control)と比較して、IL-6遺伝子の発現量が大きく増加した。これに対して、前記実施例3(1)の組成物(CO-UFB+CG)および前記実施例3(2)の組成物(CO-Dissolve+CG)の投与群では、コントロールと比較して、IL-6遺伝子の発現量が有意に減少し、腹膜劣化の前に生じる炎症を軽減できることがわかった。また、前記実施例3(1)の組成物の投与群は、前記実施例3(2)の組成物の投与群と比較すると、IL-6遺伝子の発現量の増加がより減少する傾向が見られた。
[実施例4]
 本発明の組成物の希釈系列を製造し、腹膜劣化の軽減に対するCO濃度の影響を確認した。
(1)組成物の製造
 COを微小気泡として含有する組成物は、前記実施例1(1)の組成物と同様にして調製した後、実施例4(1)の組成物として、原液、4倍希釈液、10倍希釈液、50倍希釈液を製造した(それぞれ、CO-UFB、CO-UFB 1/4、CO-UFB 1/10、CO-UFB 1/50)。また、生理的食塩水中にCOが溶存している組成物は、前記実施例2(2)の組成物と同様にして調製した後、実施例4(2)の組成物として、原液、4倍希釈液、10倍希釈液、50倍希釈液を製造した(それぞれ、CO-dis、CO-dis 1/4、CO-dis 1/10、CO-dis 1/50)。
(2)腹膜劣化モデルマウスの作製
 前記実施例1(2)において、CO-UFBに代えて、前記実施例4(1)の組成物または前記実施例4(2)の組成物を投与した以外は、同様にして腹膜劣化モデルマウスを作製した。
(3)腹膜機能の測定
 腹膜機能の測定を、投与開始日から14日目に腹膜機能を測定した以外は、前記実施例1(3)と同様にして腹腔平衡試験(PET:Peritoneal Equilibration Test)を行い、各マウスの腹腔内の水量(腹膜水量)を算出した。コントロール(Saline)では、前記実施例4(1)の組成物または前記実施例4(2)の組成物に代えて、生理的食塩水を用いた以外は同様にして実施した。これらの結果を、図16(A)から(H)に示す。なお、図中の*は、p<0.05を示す。
 図16は、腹膜水量を示すグラフである。図16(A)から(H)において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、腹膜水量(mL)を示す。腹膜の透過性を表す腹膜水量は、実施例の組成物を投与した群でコントロール(Saline)より高値を示した。特に、実施例の組成物を投与した群(CO-UFB、CO-UFB 1/4、CO-UFB 1/10、CO-UFB 1/50)は、コントロール(Saline)と比べて、腹膜水量が有意に多かった。また、実施例4(2)の組成物を投与した群では、図16(E)および(G)(CO-disおよびCO-dis 1/10)において、コントロール(Saline)と比べて、腹膜水量が有意に多かった。図16(F)および(H)(CO-dis 1/4およびCO-dis 1/50)では、コントロール(Saline)と比べて、腹膜水量の平均値が高値であった。これらの結果から、本発明の組成物は、COが低濃度であっても腹膜劣化により生じる除水機能の低下を軽減できることがわかった。
 以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
<付記>
 上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
<腹膜劣化の抑制組成物>
(付記1)
腹膜劣化の抑制に用いるための組成物であって、
一酸化炭素を含む、組成物。
(付記2)
微小気泡を含み、
前記微小気泡は、気体成分として、一酸化炭素を含む、付記1に記載の組成物。
(付記3)
前記微小気泡の密度は、5×10~5×1012個/mlである、付記2に記載の組成物。
(付記4)
前記気体成分において、前記一酸化炭素の占める割合は、80%以上である、付記2または3に記載の組成物。
(付記5)
前記微小気泡において、前記気体成分は、水性溶媒に囲われている、付記2から4のいずれかに記載の組成物。
(付記6)
さらに、媒体を含み、
前記媒体は、液体および固体の少なくとも一方である、付記2から5のいずれかに記載の組成物。
(付記7)
媒体を含み、
前記一酸化炭素は、前記媒体中に溶存している、付記1に記載の組成物。
(付記8)
前記媒体中に溶存している前記一酸化炭素の含有量が、0.01μmol/l~5mmol/lである、付記7に記載の組成物。
(付記9)
前記腹膜劣化は、腹膜の線維化である、付記1から8のいずれかに記載の組成物。
(付記10)
前記腹膜劣化は、腹膜機能の低下である、付記1から9のいずれかに記載の組成物。
(付記11)
腹腔内投与に用いるための、付記1から10のいずれかに記載の組成物。
<腹膜劣化の抑制組成物キット>
(付記12)
腹膜劣化の抑制に用いるための組成物キットであって、
組成物と、他の成分とを含み、
前記組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、
前記組成物は、付記1から11のいずれかに記載の組成物である、組成物キット。
(付記13)
さらに、容器を含み、
前記容器は、複数の室と、各室を隔離する隔離部とを有し、
前記複数の室は、少なくとも第1室と第2室とを含み、
前記組成物は、前記第1室に収容され、
前記他の成分は、前記第2室に収容され、
前記隔離部は、前記第1室と前記第2室とを隔離し、かつ、前記第1室と前記第2室とを連通可能とする、付記12に記載の組成物キット。
(付記14)
前記他の成分は、浸透圧調節物質を含む、付記12または13に記載の組成物キット。
<腹膜透析液>
(付記15)
付記1から11のいずれかに記載の組成物を含む、腹膜透析液。
<腹膜透析液キット>
(付記16)
組成物と、腹膜透析液とを含み、
前記組成物と、前記腹膜透析液とは、隔離して配置され、
前記組成物は、付記1から11のいずれかに記載の組成物である、腹膜透析液キット。
(付記17)
さらに、容器を含み、
前記容器は、複数の室と、各室を隔離する隔離部とを有し、
前記複数の室は、少なくとも第1室と第2室とを含み、
前記組成物は、前記第1室に収容され、
前記腹膜透析液は、前記第2室に収容され、
前記隔離部は、前記第1室と前記第2室とを隔離し、かつ、前記第1室と前記第2室とを連通可能とする、付記16に記載の腹膜透析液キット。
<腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患処置用組成物>
(付記18)
腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患の処置に用いるための医薬組成物であって、
一酸化炭素を含む、医薬組成物。
(付記19)
微小気泡を含み、
前記微小気泡は、気体成分として、一酸化炭素を含む、付記18に記載の医薬組成物。
(付記20)
前記微小気泡の密度は、5×10~5×1012個/mlである、付記19に記載の医薬組成物。
(付記21)
前記気体成分において、前記一酸化炭素の占める割合は、80%以上である、付記19または20に記載の医薬組成物。
(付記22)
前記微小気泡において、前記気体成分は、水性溶媒に囲われている、付記19から21のいずれかに記載の医薬組成物。
(付記23)
さらに、媒体を含み、
前記媒体は、液体および固体の少なくとも一方である、付記19から22のいずれかに記載の医薬組成物。
(付記24)
媒体を含み、
前記一酸化炭素は、前記媒体中に溶存している、付記18に記載の医薬組成物。
(付記25)
前記腹膜透析に起因する疾患は、腹膜線維症、腹膜炎、および/または被嚢性腹膜硬化症である、付記19から24のいずれかに記載の医薬組成物。
(付記26)
腹腔内投与に用いるための、付記19から25のいずれかに記載の医薬組成物。
<腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患処置用組成物キット>
(付記27)
腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患の処置に用いるための医薬組成物キットであって、
組成物と、他の成分とを含み、
前記組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、
前記組成物は、付記1から11のいずれかに記載の組成物である、医薬組成物キット。
(付記28)
さらに、容器を含み、
前記容器は、複数の室と、各室を隔離する隔離部とを有し、
前記複数の室は、少なくとも第1室と第2室とを含み、
前記組成物は、前記第1室に収容され、
前記他の成分は、前記第2室に収容され、
前記隔離部は、前記第1室と前記第2室とを隔離し、かつ、前記第1室と前記第2室とを連通可能とする、付記27に記載の医薬組成物キット。
(付記29)
前記他の成分は、浸透圧調節物質を含む、付記27または28に記載の医薬組成物キット。
<腹膜劣化の抑制方法>
(付記30)
腹膜劣化の抑制方法であって、
付記1から11のいずれかに記載の組成物または付記12から14のいずれかに記載の組成物キットを使用する、抑制方法。
(付記31)
対象に、前記組成物または前記組成物キットを投与する投与工程を含む、付記30に記載の抑制方法。
(付記32)
腹腔内に投与される、付記31に記載の抑制方法。
(付記33)
前記対象は、腹膜透析を実施予定の対象、腹膜透析を実施している対象、または腹膜透析を実施していた対象である、付記31または32に記載の抑制方法。
(付記34)
前記組成物または組成物キットを、in vitroまたはin vivoで使用する、付記30から33のいずれかに記載の抑制方法。
(付記35)
前記腹膜劣化は、腹膜の線維化である、付記30から34のいずれかに記載の抑制方法。
(付記36)
前記腹膜劣化は、腹膜機能の低下である、付記30から35のいずれかに記載の抑制方法。
<腹膜透析方法>
(付記37)
腹膜透析方法であって、
付記15に記載の腹膜透析液または付記16もしくは17に記載の腹膜透析液キットを使用する、透析方法。
(付記38)
対象の腹腔内に、前記腹膜透析液または前記腹膜透析液キットの混合液を注入する工程と、
前記腹膜透析液または前記混合液を貯留する工程と、
前記腹膜透析液または前記混合液を排液する工程とを含む、付記37に記載の透析方法。
<腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患処置方法>
(付記39)
腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患の処置方法であって、
付記18から26のいずれかに記載の医薬組成物、または付記27から29のいずれかに記載の医薬組成物キットを使用する、処置方法。
(付記40)
対象に、前記医薬組成物または前記医薬組成物キットを投与する投与工程を含む、付記39に記載の処置方法。
(付記41)
腹腔内に投与される、付記40に記載の処置方法。
(付記42)
前記対象は、腹膜透析を実施予定の対象、腹膜透析を実施している対象、または腹膜透析を実施していた対象である、付記40または41に記載の処置方法。
(付記43)
前記組成物または組成物キットを、in vitroまたはin vivoで使用する、付記39から42のいずれかに記載の処置方法。
(付記44)
前記腹膜劣化は、腹膜の線維化である、付記39から43いずれかに記載の処置方法。
(付記45)
前記腹膜劣化は、腹膜機能の低下である、付記39から44のいずれかに記載の処置方法。
(付記46)
前記腹膜透析に起因する疾患は、腹膜線維症、腹膜炎、および/または被嚢性腹膜硬化症である、付記39から45のいずれかに記載の処置方法。
(付記47)
前記処置は、予防または抑制である、付記39から46のいずれかに記載の処置方法。
<使用>
(付記48)
腹膜の劣化の抑制に用いるための組成物であり、
前記組成物は、付記1から11のいずれかに記載の組成物を含む、組成物。
(付記49)
腹膜劣化の抑制に用いるための組成物キットであり、
前記組成物キットは、組成物と、他の成分とを含み、
前記組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、
前記組成物は、付記1から11のいずれかに記載の組成物を含む、組成物キット。
(付記50)
腹膜透析に用いるための組成物であり、
前記組成物は、付記1から11のいずれかに記載の組成物を含む、組成物。
(付記51)
腹膜透析に用いるための組成物キットであり、
前記組成物キットは、組成物と、他の成分とを含み、
前記組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、
前記組成物は、付記1から11のいずれかに記載の組成物を含む、組成物キット。
(付記52)
腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患の処置に用いるための組成物であり、
前記組成物は、付記1から11のいずれかに記載の組成物を含む、組成物。
(付記53)
腹膜透析または腹膜劣化に起因する疾患の処置に用いるための組成物キットであり、
前記組成物キットは、組成物と、他の成分とを含み、
前記組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、
前記組成物は、付記1から11のいずれかに記載の組成物を含む、組成物キット。
 以上説明したように、本発明によれば、腹膜劣化を抑制できる。このため、本発明によれば、例えば、前記腹膜透析により生じる腹膜劣化の抑制、および前記腹膜劣化により生じる被嚢性腹膜硬化症の予防または抑制できる。このため、本発明は、例えば、腹膜劣化により生じる疾患の治療に好適に使用でき、医療分野、医薬分野等において極めて有用である。
 この出願は、2022年6月23日に出願された日本出願特願2022-100790を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1     第1室
10    容器
11    組成物
12    上端部
13、14 シート
2     第2室
21    他の成分
22    排出部
3     隔離部
5     吊り下げ部

Claims (19)

  1. 腹膜劣化の抑制に用いるための組成物であって、
    一酸化炭素を含む、組成物。
  2. 微小気泡を含み、
    前記微小気泡は、気体成分として、一酸化炭素を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記微小気泡の密度は、5×10~5×1012個/mlである、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記気体成分において、前記一酸化炭素の占める割合は、80%以上である、請求項2または3に記載の組成物。
  5. 前記微小気泡において、前記気体成分は、水性溶媒に囲われている、請求項2または3に記載の組成物。
  6. さらに、媒体を含み、
    前記媒体は、液体および固体の少なくとも一方である、請求項2または3に記載の組成物。
  7. 媒体を含み、
    前記一酸化炭素は、前記媒体中に溶存している、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記媒体中に溶存している前記一酸化炭素の含有量が、0.01μmol/l~5mmol/lである、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記腹膜劣化は、腹膜の線維化である、請求項1、2、7または8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記腹膜劣化は、腹膜機能の低下である、請求項1、2、7または8のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 腹腔内投与に用いるための、請求項1、2、7または8のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 腹膜劣化の抑制に用いるための組成物キットであって、
    組成物と、他の成分とを含み、
    前記組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、
    前記組成物は、請求項1、2、7または8のいずれか一項に記載の組成物である、組成物キット。
  13. さらに、容器を含み、
    前記容器は、複数の室と、各室を隔離する隔離部とを有し、
    前記複数の室は、少なくとも第1室と第2室とを含み、
    前記組成物は、前記第1室に収容され、
    前記他の成分は、前記第2室に収容され、
    前記隔離部は、前記第1室と前記第2室とを隔離し、かつ、前記第1室と前記第2室とを連通可能とする、請求項12に記載の組成物キット。
  14. 前記他の成分は、浸透圧調節物質を含む、請求項12に記載の組成物キット。
  15. 請求項1、2、7または8のいずれか一項に記載の組成物を含む、腹膜透析液。
  16. 組成物と、腹膜透析液とを含み、
    前記組成物と、前記腹膜透析液とは、隔離して配置され、
    前記組成物は、請求項1、2、7または8のいずれか一項に記載の組成物である、腹膜透析液キット。
  17. さらに、容器を含み、
    前記容器は、複数の室と、各室を隔離する隔離部とを有し、
    前記複数の室は、少なくとも第1室と第2室とを含み、
    前記組成物は、前記第1室に収容され、
    前記腹膜透析液は、前記第2室に収容され、
    前記隔離部は、前記第1室と前記第2室とを隔離し、かつ、前記第1室と前記第2室とを連通可能とする、請求項16に記載の腹膜透析液キット。
  18. 腹膜透析に起因する疾患の予防または抑制に用いるための医薬組成物であって、
    一酸化炭素を含む、医薬組成物。
  19. 腹膜透析に起因する疾患の予防または抑制に用いるための医薬組成物キットであって、
    組成物と、他の成分とを含み、
    前記組成物と、前記他の成分とは、隔離して配置され、
    前記組成物は、請求項1、2、7または8のいずれか一項に記載の組成物である、組成物キット。

     
PCT/JP2023/022919 2022-06-23 2023-06-21 腹膜劣化抑制組成物、腹膜劣化抑制組成物キット、腹膜透析液、および腹膜透析液キット WO2023249049A1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022-100790 2022-06-23
JP2022100790 2022-06-23

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2023249049A1 true WO2023249049A1 (ja) 2023-12-28

Family

ID=89379954

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2023/022919 WO2023249049A1 (ja) 2022-06-23 2023-06-21 腹膜劣化抑制組成物、腹膜劣化抑制組成物キット、腹膜透析液、および腹膜透析液キット

Country Status (1)

Country Link
WO (1) WO2023249049A1 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009269887A (ja) * 2008-05-09 2009-11-19 Kagawa Univ 希少糖を含有する腹膜劣化抑制剤、腹膜透析液および腹膜透析法
JP2014508135A (ja) * 2011-01-14 2014-04-03 チルドレンズ ホスピタル ロサンゼルス 鎌状赤血球疾患を含む、疾患の治療のための一酸化炭素の溶液
WO2019230973A1 (ja) * 2018-05-31 2019-12-05 学校法人 愛知医科大学 生体材料保存組成物、生体材料の保存方法、生体材料の生産方法、移植材料、および移植方法
WO2019230972A1 (ja) * 2018-05-31 2019-12-05 学校法人 愛知医科大学 組成物、細胞保存組成物、細胞培養組成物、細胞製剤、微小気泡を含む対象物の製造方法、細胞の保存方法、細胞の培養方法、および細胞製剤の製造方法
JP2022528857A (ja) * 2019-03-28 2022-06-16 ノブメタファーマ カンパニー リミテッド 腹膜線維症の予防、改善または、治療のためのchp(シクロ-ヒスプロ)の用途

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009269887A (ja) * 2008-05-09 2009-11-19 Kagawa Univ 希少糖を含有する腹膜劣化抑制剤、腹膜透析液および腹膜透析法
JP2014508135A (ja) * 2011-01-14 2014-04-03 チルドレンズ ホスピタル ロサンゼルス 鎌状赤血球疾患を含む、疾患の治療のための一酸化炭素の溶液
WO2019230973A1 (ja) * 2018-05-31 2019-12-05 学校法人 愛知医科大学 生体材料保存組成物、生体材料の保存方法、生体材料の生産方法、移植材料、および移植方法
WO2019230972A1 (ja) * 2018-05-31 2019-12-05 学校法人 愛知医科大学 組成物、細胞保存組成物、細胞培養組成物、細胞製剤、微小気泡を含む対象物の製造方法、細胞の保存方法、細胞の培養方法、および細胞製剤の製造方法
JP2022528857A (ja) * 2019-03-28 2022-06-16 ノブメタファーマ カンパニー リミテッド 腹膜線維症の予防、改善または、治療のためのchp(シクロ-ヒスプロ)の用途

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CHEN YINGQING, YUAN SHUO, CAO YUYING, KONG GUANGYAO, JIANG FENG, LI YOU, WANG QI, TANG MINLI, ZHANG QINGGAO, WANG QIANQIAN, LIU LI: "Gasotransmitters: Potential Therapeutic Molecules of Fibrotic Diseases", OXIDATIVE MEDICINE AND CELLULAR LONGEVITY, HINDAWI PUBLISHING CORPORATION, US, vol. 2021, 20 September 2021 (2021-09-20), US , pages 1 - 18, XP093119485, ISSN: 1942-0900, DOI: 10.1155/2021/3206982 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Fattori et al. Sudden hypoacusis treated with hyperbaric oxygen therapy: a controlled study
EP3978074B1 (en) Terlipressin for treating hepatorenal syndrome type 1
THORN et al. Pheochromocytoma of the adrenal associated with persistent hypertension; case report
CN101437515B (zh) 烟碱、其类似物、其前体或其衍生物用于通过以预防形式或治疗形式参与的α-MSH改善治疗各种病理过程的应用
WO2023249049A1 (ja) 腹膜劣化抑制組成物、腹膜劣化抑制組成物キット、腹膜透析液、および腹膜透析液キット
Symons et al. Anaphylactoid reactions to vancomycin during anaesthesia: two clinical reports
Heard et al. Treatment of amitriptyline poisoning with ovine antibody to tricyclic antidepressants
Driessen Anesthesia and analgesia for foals
US20210154217A1 (en) Polydextrose for the prevention and/or treatment of heart failure
RU2600668C1 (ru) Способ инфузионной поддержки при кесаревом сечении под спинальной анестезией
Wesolowski et al. Insulin resistance as a novel therapeutic target in patients with chronic kidney disease treated with dialysis
CN108289936A (zh) 用于治疗心肺手术的术后并发症的组合物和方法
CN105560219A (zh) 芬戈莫德或其盐在治疗囊肿性疾病中的用途
WO2022165794A2 (zh) 一种抑制肿瘤干细胞的方法及调控肿瘤血管正常化的方法
Deepak et al. Metformin-associated lactic acidosis successfully treated with continuous renal replacement therapy
CN112933072B (zh) α-酮戊二酸在制备用于预防或者治疗腹主动脉瘤的药物中的用途
WO2021161811A1 (ja) 血管拡張組成物、血管拡張組成物キット、血管の狭窄または閉塞性障害に起因する疾患用医薬組成物、および血管の狭窄または閉塞性障害に起因する疾患用医薬組成物キット
Zheng et al. Study on the Efficacy of Nanoantibiotics in Rats With Sepsis Based on Microrna-195 and TGF-β1/Smads Signaling Pathway
Helmy et al. The hemodynamic and analgesic profile of dexmedetomidine against fentanyl in preeclamptic parturients undergoing Cesarean section under general anesthesia.
WO2022246595A2 (zh) 一种抑制肿瘤相关成纤维细胞及调控肿瘤基质正常化的方法
EP1551456A1 (en) Pharmaceutical composition for prevention and treatment of kidney diseases
RU2660344C2 (ru) Диаминоксидаза для применения в лечении или предупреждении синдрома дефицита внимания с гиперактивностью (сдвг)
CN112142856B (zh) 一种用于改善脑卒中兴奋性毒性损伤的特异性降解ndrg2靶向肽及其应用
Wang et al. Effects of Vitamin C Combined with Growth Inhibitors on Gastrointestinal Bleeding in Cirrhosis
Rosei Chronic ambulatory peritoneal dialysis

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 23827232

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1