WO2023248905A1 - 断熱層と粘着層とを備えるシート - Google Patents

断熱層と粘着層とを備えるシート Download PDF

Info

Publication number
WO2023248905A1
WO2023248905A1 PCT/JP2023/022124 JP2023022124W WO2023248905A1 WO 2023248905 A1 WO2023248905 A1 WO 2023248905A1 JP 2023022124 W JP2023022124 W JP 2023022124W WO 2023248905 A1 WO2023248905 A1 WO 2023248905A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
heat insulating
insulating layer
sheet
meth
adhesive layer
Prior art date
Application number
PCT/JP2023/022124
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
望 松原
智子 東内
弘 横田
義博 津田
直樹 古川
Original Assignee
株式会社レゾナック
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社レゾナック filed Critical 株式会社レゾナック
Publication of WO2023248905A1 publication Critical patent/WO2023248905A1/ja

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J201/00Adhesives based on unspecified macromolecular compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J7/00Adhesives in the form of films or foils
    • C09J7/30Adhesives in the form of films or foils characterised by the adhesive composition
    • C09J7/38Pressure-sensitive adhesives [PSA]
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L59/00Thermal insulation in general
    • F16L59/02Shape or form of insulating materials, with or without coverings integral with the insulating materials
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/04Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having at least one potential-jump barrier or surface barrier, e.g. PN junction, depletion layer or carrier concentration layer
    • H01L21/50Assembly of semiconductor devices using processes or apparatus not provided for in a single one of the subgroups H01L21/06 - H01L21/326, e.g. sealing of a cap to a base of a container

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

断熱層と、粘着層と、を備え、昇温速度47℃/分で25℃から200℃まで昇温した後、昇温速度38℃/分で200℃から260℃まで昇温するとの熱履歴を加えた後の断熱層のバルク強度が、上記熱履歴を加えた後の粘着層の90°ピール強度より大きい、シート。

Description

断熱層と粘着層とを備えるシート
 本発明は、断熱層と粘着層とを備えるシートに関する。
 低消費電力及び高速読み書きを特徴とする不揮発性メモリが、次世代メモリとして注目を集めている。例えば、相変化メモリ(PCM)、磁気抵抗メモリ(MRAM)、抵抗変化型メモリ(ReRAM)等が知られている。不揮発性メモリは、熱に弱く、実装時のリフロー工程において高温環境に晒されたときの品質維持が課題となっている。
 この課題に対し、例えば特許文献1では、磁気記録装置のリフロー炉内に露出する表面に断熱材を設ける第1ステップと、断熱材を備えた磁気記録装置をリフロー炉内に通し、磁気記録装置を加熱する第2ステップと、加熱された磁気記録装置から断熱材を取り除く第3ステップとを有するリフロー工程を備えた磁気記録装置の製造方法が開示されている。
特開2017-224663号公報
 本発明者らは、上記のような断熱材として、断熱層と粘着層とを備えるシートの使用を検討した。このような断熱材を用いる場合、粘着層を被着体(磁気記録装置)に粘着させることにより断熱材を被着体上に設けるが、リフロー工程の後に断熱材を被着体から剥離する際に、粘着層が断熱層と共に剥離されずに被着体側に残ってしまう(例えば、断熱材を構成する層の間で剥離が生じてしまう)おそれがある。そのため、リフロー工程後の剥離時に粘着層が被着体側に残らないような優れた剥離性を有する断熱材を用いることが好ましい。
 そこで、本発明の一側面は、リフロー工程後の剥離性に優れた断熱材に適したシートを提供することを目的とする。
 本発明者らの検討により、断熱層と粘着層との組み合わせによっては、リフロー工程後にシートを被着体から剥離しようとすると、粘着層が断熱層と共に剥離されずに被着体側に残ってしまう場合があることが明らかとなった。本発明者らは、更に鋭意研究を行った結果、断熱層と粘着層とを備えるシートにおいて、リフロー工程後の断熱層のバルク強度が、リフロー工程後の粘着層の90°ピール強度より大きくなるようにすることによって、リフロー工程後の剥離性を向上させることができることを見出した。本発明は、いくつかの側面において、下記の[1]~[3]を提供する。
[1]断熱層と、粘着層と、を備え、昇温速度47℃/分で25℃から200℃まで昇温した後、昇温速度38℃/分で200℃から260℃まで昇温するとの熱履歴を加えた後の断熱層のバルク強度が、上記熱履歴を加えた後の粘着層の90°ピール強度より大きい、シート。
[2]半導体装置の製造におけるリフロー工程での断熱材として用いられる、[1]に記載のシート。
[3]半導体装置上に[1]又は[2]に記載のシートを配置する工程と、シートが配置された半導体装置をリフローする工程と、半導体装置からシートを剥離する工程と、を備える、半導体装置の製造方法。
 本発明によれば、リフロー工程後の剥離性に優れた断熱材に適したシートを提供することができる。
シートの一実施形態を示す模式断面図である。 配置工程の一実施形態を示す模式断面図である。 配置工程の他の一実施形態を示す模式断面図である。 配置工程の他の一実施形態を示す模式断面図である。 配置工程の他の一実施形態を示す模式断面図である。
 以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
 本明細書における、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル」等の類似表現においても同様である。
 本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定され、ポリスチレンを標準物質として決定される値を意味する。
・測定機器:HLC-8320GPC(製品名、東ソー(株)製)
・分析カラム:TSKgel SuperMultipore HZ-H(3本連結)(製品名、東ソー(株)製)
・ガードカラム:TSKguardcolumn SuperMP(HZ)-H(製品名、東ソー(株)製)
・溶離液:THF
・測定温度:25℃
<シート>
 図1は、シートの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示されるシート100は、断熱層101と、粘着層102と、を備えている。断熱層101と粘着層102とは、互いに接するように積層されていてよい。このシート100では、所定の熱履歴を加えた後の断熱層101のバルク強度と粘着層102の90°ピール強度とが、特定の関係を満たしている。
 具体的には、昇温速度47℃/分で25℃から200℃まで昇温した後、昇温速度38℃/分で200℃から260℃まで昇温するとの熱履歴(以下、この熱履歴を「特定の熱履歴」ともいう)を加えた後の断熱層101のバルク強度は、特定の熱履歴を加えた後の粘着層102の90°ピール強度より大きい。一般にリフロー工程において、リフロー炉内は段階的に260℃程度まで加熱される。シート100における断熱層101のバルク強度と、粘着層102の90°ピール強度とが上記の大小関係を満たすような、断熱層101及び粘着層102をシート100が備えることにより、シート100のリフロー工程後の剥離性が良好となる。
 本明細書において、断熱層101のバルク強度とは、断熱層101の厚み方向と垂直の方向に切れ目を設け、25℃において、当該切れ目を起点として断熱層101を破断する際に要する力の大きさを意味する。断熱層101のバルク強度は、例えば、引っ張り試験機を用いて、実施例に記載の方法によって測定される。
 本明細書において、粘着層102の90°ピール強度とは、粘着層102をSiウエハに貼りつけ、25℃において、粘着層102を90°方向に引き剥がす際に要する力の大きさを意味する。粘着層102のピール強度は、例えば、引っ張り試験機により、実施例に記載の方法によって測定される。
 なお、断熱層101のバルク強度及び粘着層102の90°ピール強度は、断熱層101及び粘着層102に特定の熱履歴を加えた後、断熱層101及び粘着層102を25℃になるまで放冷した後、測定される。放冷する環境の温度は、任意であるが、一実施形態において、断熱層101及び粘着層102は、60℃の環境下で60℃まで放冷された後、25℃の環境下で25℃になるまで放冷されてよい。
 特定の熱履歴を加えた後の断熱層101のバルク強度と粘着層102の90°ピール強度との差((断熱層101のバルク強度)-(粘着層102の90°ピール強度))は、例えば、10N/m以上又は20N/m以上であってよく、400N/m以下又は300N/m以下であってよい。
 特定の熱履歴を加えた後の断熱層101のバルク強度は、例えば、30N/m以上、又は50N/m以上であってよく、500N/m以下であってよい。
 特定の熱履歴を加えた後の粘着層102の90°ピール強度は、例えば、5N/m以上であってよく、300N/m以下、又は200N/m以下であってよい。
 断熱層101は、断熱性を有する層であって、上記の条件を満たすバルク強度を有する層であればよい。断熱層101の25℃における熱伝導率は、好ましくは、100mW/(m・K)以下、90mW/(m・K)以下、又は80mW/(m・K)以下である。
 断熱層101の材質は特に制限されない。断熱層101は、多孔質材料で構成される層であってよい。多孔質材料は、有機多孔質材料であってよく、無機多孔質材料であってもよい。有機多孔質材料の例としては、樹脂製の多孔質材料が挙げられる。樹脂製の多孔質材料の例としては、メラミン樹脂製の多孔質材料(メラミンスポンジ)、ポリイミド樹脂製の多孔質材料(ポリイミドフォーム)、及びアラミド樹脂製の多孔質材料(アラミドフェルト)が挙げられる。無機多孔質材料の例としては、炭素製の多孔質材料、ガラス製の多孔質材料が挙げられる。炭素製の多孔質材料の例としては、カーボンフェルトが挙げられる。ガラス製の多孔質材料の例としては、ガラス繊維紙、ガラスフェルトが挙げられる。
 断熱層101は、中空粒子を含む層であってもよい。中空粒子は、外殻と中空部とを有する粒子である。中空粒子はその外殻が有機材料により構成されている有機中空粒子であってもよく、その外殻が無機材料により構成されている無機中空粒子であってもよい。中空粒子は、有機中空粒子及び無機中空粒子のいずれか一方を含んでいてよく、両方を含んでいてよい。
 有機中空粒子としては、熱膨張性の有機中空粒子である第一の中空粒子、及び、当該第一の中空粒子以外の有機中空粒子である第二の中空粒子が挙げられる。有機中空粒子は、第一の中空粒子及び第二の中空粒子のいずれか一方又は両方を含んでいてよく、好ましくは第一の中空粒子及び第二の中空粒子の両方を含んでいる。
 第一の中空粒子は、熱により膨張する(熱膨張性の)有機中空粒子である。本明細書における熱膨張性の有機中空粒子とは、25℃における体積に対する最大体積膨張倍率が10倍以上である有機中空粒子である。断熱層101が第一の中空粒子を含有する場合、リフロー工程において、断熱層101の断熱性を低下させる方向にはたらく現象が生じた場合でも(例えば、後述する第二の中空粒子が収縮して、中空部の体積が減少した場合でも)、第一の中空粒子が熱によって膨張し、断熱層101の断熱性に寄与する中空部の体積が増加する。そのため、断熱層101(シート100)の断熱性の低下を抑制することができる。
 第一の中空粒子の最大体積膨張倍率は、熱機械分析(TMA)にて、昇温速度10℃/分で昇温したときの、第一の中空粒子の最大体積と25℃における体積との比(最大体積/25℃における体積)として測定される。第一の中空粒子の最大体積膨張倍率は、例えば、20倍以上、30倍以上、又は40倍以上であってもよく、120倍以下であってもよい。
 第一の中空粒子の外殻は、好ましくはポリマーで構成されており、更に好ましくは熱可塑性ポリマーで構成されている。この場合、外殻が加熱により軟らかくなるため、中空部に内包されている液体が気化して内圧が上がっても、中空粒子は割れにくく、容易に膨張する。熱可塑性ポリマーは、例えば、アクリロニトリル、塩化ビニリデン等をモノマー単位として含むポリマーであってよい。外殻の厚さは、2μm以上であってよく、15μm以下であってよい。
 第一の中空粒子の中空部には、例えば液体が内包されている。第一の中空粒子は、例えば、常温常圧下(例えば、少なくとも大気圧下かつ30℃)において液体を内包している。当該液体は、例えば、リフロー工程における加熱温度及び後述する第二の中空粒子の収縮開始温度に応じて適宜選択される。当該液体は、例えば、リフロー工程における最高加熱温度以下の温度で気化する液体である。当該液体は、第二の中空粒子の収縮開始温度以下の温度で気化する液体であってもよい。当該液体は、例えば、沸点(大気圧下)が、50℃以上、100℃以上、150℃以上、又は200℃以上の炭化水素であってよい。第一の中空粒子の中空部には、上記の液体に加えて、気体が更に内包されていてもよい。
 第一の中空粒子の中空部に内包されている成分としては、例えば、プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ノルマルオクタン、イソアルカン(炭素数:10~13)、石油エーテル等の炭化水素;メタンのハロゲン化物、テトラアルキルシラン等の低沸点化合物;アゾジカルボンアミド等の熱分解によりガス化する化合物が挙げられる。
 第一の中空粒子の平均粒子径は、5μm以上、又は10μm以上であってよく、50μm以下、40μm以下、又は30μm以下であってよい。第一の中空粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により(例えば、(株)島津製作所製「SALD-7500nano」を用いて)測定される。
 シート100がリフロー工程(一般的に260℃まで加熱される)における断熱材としてより好適に用いられる観点から、第一の中空粒子の膨張開始温度は、後述する第二の中空粒子の収縮開始温度以下であることが好ましい。第一の中空粒子の膨張開始温度は、好ましくは、150℃以上、又は180℃以上であり、好ましくは、260℃以下、240℃以下、220℃以下、又は200℃以下である。第一の中空粒子の膨張開始温度は、熱機械分析(TMA)にて、昇温速度10℃/分で昇温したときの温度(横軸)-体積変化(縦軸)のプロファイルにおいて、3倍以上/5℃の体積変化が生じる点の接線と、体積変化がゼロ(初期体積)の直線(横軸)との交点の温度を意味する。
 シート100がリフロー工程における断熱材としてより好適に用いられる観点から、第一の中空粒子の最大膨張温度は、好ましくは、100℃以上、150℃以上、200℃以上、又は210℃以上であり、好ましくは、290℃以下、280℃以下、又は270℃以下である。第一の中空粒子の最大膨張温度は、第一の中空粒子が上述した最大体積膨張倍率を示すときの温度を意味する。
 第一の中空粒子の含有量(大気圧下かつ30℃における含有量。以下同様。)は、シート100の断熱性の低下を防ぐ観点から、断熱層101の全質量を基準として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、20質量%以下、又は15質量%以下であってよい。
 第一の中空粒子の含有量は、シート100の断熱性の低下を防ぐ観点から、断熱層101の全体積を基準として、好ましくは0.5体積%以上、より好ましくは1.0体積%以上、更に好ましくは1.5体積%以上である。シート100の体積の過度な膨張を抑える観点から、第一の中空粒子の含有量は、断熱層101の全体積を基準として、10体積%以下、7体積%以下、5体積%以下、又は4体積%以下であってよい。
 第二の中空粒子は、第一の中空粒子以外の有機中空粒子である。すなわち、第二の中空粒子は、25℃における体積に対する最大体積膨張倍率が10倍未満である有機中空粒子である。第二の中空粒子を用いることにより、断熱層101の断熱性が向上し、シート100を断熱材としてより好適に利用することができる。第二の中空粒子の最大体積膨張倍率は、第一の中空粒子の最大体積膨張倍率と同じ方法で測定される。
 第二の中空粒子の外殻は、有機材料により構成されている。第二の中空粒子の外殻は、好ましくはポリマーで構成されており、より好ましくは熱可塑性ポリマーで構成されている。この場合、中空粒子は加圧されても割れにくく、中空構造を保持できるため、シート100の断熱性が維持されやすくなる。熱可塑性ポリマーは、例えば、アクリロニトリル、塩化ビニリデン等をモノマー単位として含むポリマーであってよい。外殻の厚さは、0.005μm以上であってよく、15μm以下であってよい。
 第二の中空粒子の中空部には、例えば気体が内包されている。第二の中空粒子は、例えば、常温常圧下(例えば、少なくとも大気圧下かつ30℃)において気体を内包している。第二の中空粒子の中空部には、気体に加えて、液体が更に内包されていてもよい。
 第二の中空粒子の中空部に内包されている成分としては、例えば、プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ノルマルオクタン、イソアルカン(炭素数:10~13)、石油エーテル等の炭化水素;メタンのハロゲン化物、テトラアルキルシラン等の低沸点化合物;アゾジカルボンアミド等の熱分解によりガス化する化合物の分解生成物が挙げられる。また、第二の中空粒子の中空部に内包されている成分は、空気であってもよい。
 第二の中空粒子の平均粒子径は、断熱性を高める観点から、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは120μm以下であり、更に好ましくは100μm以下であり、例えば、5μm以上、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上であってよい。第二の中空粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により(例えば、(株)島津製作所製「SALD-7500nano」を用いて)測定される。
 第二の中空粒子の密度は、500kg/m以下、300kg/m以下、100kg/m以下、50kg/m以下、又は40kg/m以下であってよく、10kg/m以上、又は20kg/m以上であってよい。本明細書における第二の中空粒子の密度は、タップ密度法にて測定される密度を意味する。すなわち、10mLのメスシリンダーに第二の中空粒子(約5g)を投入し、50回タッピングし、最上面が安定した時の体積を安定時体積として、以下の式により求められる密度である。
 密度=初期投入量(kg)/安定時体積(m
 シート100がリフロー工程(一般的に260℃まで加熱される)における断熱材としてより好適に用いられる観点から、第二の中空粒子の収縮開始温度は、好ましくは、150℃以上、170℃以上、又は180℃以上であり、260℃以下、240℃以下、220℃以下、又は200℃以下であってもよい。第二の中空粒子の収縮開始温度は、熱機械分析(TMA)にて、昇温速度10℃/分で昇温したときの温度(横軸)-体積変化(縦軸)のプロファイルにおいて、体積変化が極大値となったときの温度を意味する。
 第二の中空粒子の含有量(大気圧下かつ30℃における含有量。以下同様。)は、シート100の断熱性を高める観点から、断熱層101の全質量を基準として、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、例えば20質量%以下であってよい。
 第二の中空粒子の含有量は、シート100の断熱性を高める観点から、断熱層101の全体積を基準として、好ましくは50体積%以上であり、より好ましくは60体積%以上であり、例えば95体積%以下であってよい。
 第一の中空粒子の含有量に対する第二の中空粒子の含有量の質量比(第二の中空粒子の含有量(質量)/第一の中空粒子の含有量(質量))は、好ましくは1/5以上であり、より好ましくは1/3以上である。第一の中空粒子の含有量に対する第二の中空粒子の含有量の質量比は、好ましくは3以下であり、より好ましくは2以下であり、更に好ましくは1以下である。
 第一の中空粒子の含有量に対する第二の中空粒子の含有量の体積比(第二の中空粒子の含有量(体積)/第一の中空粒子の含有量(体積))は、好ましくは10以上であり、より好ましくは15以上である。第一の中空粒子の含有量に対する第二の中空粒子の含有量の体積比は、好ましくは80以下であり、より好ましくは60以下であり、更に好ましくは45以下である。
 無機中空粒子の外殻を構成する無機材料は、例えば、ホウケイ酸ガラス(ホウケイ酸ナトリウムガラス等)、アルミノケイ酸ガラス、それらを複合化させたガラス等の無機ガラスであってよい。無機中空粒子の中空部には、例えば気体が内包されている。無機中空粒子は、例えば、常温常圧下(例えば、少なくとも大気圧下かつ30℃)において気体を内包している。
 無機中空粒子の含有量(大気圧下かつ30℃における含有量。以下同様。)は、断熱層101の全質量を基準として、好ましくは20質量%以上、より好ましくは22質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、40質量%以下、又は30質量%以下であってよい。
 無機中空粒子の含有量は、断熱層101の全体積を基準として、好ましくは55体積%以上、より好ましくは60体積%以上、更に好ましくは63体積%以上であり、80体積%以下、又は75体積%以下であってよい。
 中空粒子の合計含有量(大気圧下かつ30℃における、第一の中空粒子、第二の中空粒子、及び無機中空粒子の合計含有量。以下同様。)は、シート100の全質量を基準として、例えば、4質量%以上、8質量%以上、又は10質量%以上であってよく、40質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下であってよい。
 中空粒子の合計含有量は、シート100の全体積を基準として、例えば、50体積%以上、60体積%以上、又は70体積%以上であってよく、95体積%以下であってよい。
 断熱層101が中空粒子を含有する場合、断熱層101は、更にマトリックスポリマーを含むことが好ましい。マトリックスポリマーは、断熱層101に含まれる、中空粒子等の他の材料を保持するための母体となる(連続相を形成する)ポリマー(バインダーポリマー)である。中空粒子は、マトリックスポリマーに保持されていてよく、マトリックスポリマー中に分散されていてよい。
 マトリックスポリマーは、下記式(1)で表される化合物をモノマー単位として含んでいてよい。言い換えれば、マトリックスポリマーは、下記式(1)で表される化合物を含む重合性化合物の重合体であってよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
式(1)中、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R13はポリオキシアルキレン鎖を有する2価の基を表す。
 マトリックスポリマーが、上記式(1)で表される化合物をモノマー単位として含む場合、断熱層101が低弾性で伸びに優れるため、シート100の被着体への追従性を高めることができる。
 一実施形態において、R11及びR12の一方が水素原子であり、かつ他方がメチル基であってよい。他の一実施形態において、R11及びR12の両方が水素原子であってよい。他の実施形態において、R11及びR12の両方がメチル基であってよい。
 一実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖は、下記式(2)で表される構造単位を含む。これにより、断熱層101の強度を高めることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 この場合、R13はポリオキシエチレン鎖を有する2価の基であってよく、式(1)で表される化合物は、好ましくは下記式(1-2)で表される化合物(ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート)である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
式(1-2)中、R11及びR12は式(1)におけるR11及びR12とそれぞれ同義であり、mは2以上の整数である。
 他の一実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖は、下記式(3)で表される構造単位を含む。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
この場合、R13はポリオキシプロピレン鎖を有する2価の基であってよく、式(1)で表される化合物は、好ましくは下記式(1-3)で表される化合物(ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート)である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
式(1-3)中、R11及びR12は式(1)におけるR11及びR12とそれぞれ同義であり、nは2以上の整数である。
 他の一実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖は、好ましくは、上述した、式(2)で表される構造単位、及び式(3)で表される構造単位を含む共重合鎖である。共重合鎖は、交互共重合鎖、ブロック共重合鎖、又はランダム共重合鎖のいずれであってもよい。共重合鎖は、好ましくはランダム共重合鎖である。
 上述した各実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖は、式(2)で表される構造単位及び式(3)で表される構造単位以外に、オキシテトラメチレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基等の、炭素数4~5のオキシアルキレン基を構造単位として有していてもよい。
 R13は、上述したポリオキシアルキレン鎖に加えて、その他の有機基を更に有する2価の基であってもよい。その他の有機基は、ポリオキシアルキレン鎖以外の鎖状の基であってよく、例えば、メチレン鎖(-CH-を構造単位とする鎖)、ポリエステル鎖(-COO-を構造単位中に含む鎖)、ポリウレタン鎖(-OCON-を構造単位中に含む鎖)等であってよい。
 例えば、式(1)で表される化合物は、下記式(1-4)で表される化合物であってもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
式(1-4)中、R11及びR12は式(1)におけるR11及びR12とそれぞれ同義であり、R14及びR15は、それぞれ独立に炭素数2~5のアルキレン基であり、k1、k2及びk3はそれぞれ独立に2以上の整数である。k2は、例えば16以下の整数であってよい。
 複数存在するR14及びR15は、それぞれ、互いに同一であってよく、互いに異なっていてもよい。複数存在するR14及びR15は、それぞれ、好ましくは、エチレン基及びプロピレン基を含む。すなわち、(R14O)k1で表されるポリオキシアルキレン鎖、及び(R15O)k3で表されるポリオキシアルキレン鎖は、それぞれ、好ましくは、オキシエチレン基(上記式(2)で表される構造単位)、及びオキシプロピレン基(上記式(3)で表される構造単位)を含む共重合鎖である。
 上述した各実施形態において、ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数は、好ましくは100以上である。ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数が100以上であると、式(1)で表される化合物の主鎖が長くなることにより、断熱層101の伸びが更に優れ、断熱層101の強度も高めることができる。オキシアルキレン基の数は、式(1-2)におけるm、式(1-3)におけるn、並びに式(1-4)におけるk1及びk3のそれぞれに相当する。
 ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数は、より好ましくは、130以上、180以上、200以上、220以上、250以上、270以上、300以上、又は320以上である。ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシアルキレン基の数は、600以下、570以下、又は530以下であってよい。
 式(1)で表される化合物の重量平均分子量は、断熱層101が低弾性で伸びに優れる観点から、好ましくは、5000以上、6000以上、7000以上、8000以上、9000以上、10000以上、11000以上、12000以上、13000以上、14000以上、又は15000以上である。式(1)で表される化合物の重量平均分子量は、好ましくは、100000以下、80000以下、60000以下、34000以下、31000以下、又は28000以下である。
 マトリックスポリマーは、モノマー単位として式(1)で表される化合物のみを含有してよい。マトリックスポリマーは、式(1)で表される化合物以外の他の重合性化合物(詳細は後述する)をモノマー単位として更に含有してもよい。この場合、式(1)で表される化合物の含有量は、断熱層101がより低弾性で伸びに優れる観点から、式(1)で表される化合物及び他の重合性化合物の合計(以下、「モノマー単位の含有量の合計」という)100質量部に対して、好ましくは、20質量部以上、30質量部以上、又は40質量部以上である。式(1)で表される化合物の含有量は、モノマー単位の含有量の合計100質量部に対して、80質量部以下、70質量部以下、又は60質量部以下であってよい。
 マトリックスポリマーにおける他の重合性化合物(モノマー単位)は、例えば、(メタ)アクリロイル基を一つ有する化合物であってよい。当該化合物の例としては、後述する、アクリル共重合体がモノマー単位として含み得る、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。また、マトリックスポリマーにおける他の重合性化合物は、一つの(メタ)アクリロイル基に加えて、芳香族炭化水素基、ポリオキシアルキレン鎖を含む基、アルコキシ基、フェノキシ基、シラン基を含む基、シロキサン結合を含む基、ハロゲン原子、アミノ基、又はエポキシ基を有する化合物であってもよい。特に、マトリックスポリマーが、(メタ)アクリロイル基に加えて、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又はエポキシ基を有する化合物を含有することにより、断熱層101の他の部材に対する密着性を更に向上できる。
 (メタ)アクリロイル基及び芳香族炭化水素基を有する化合物としては、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 (メタ)アクリロイル基、及びポリオキシアルキレン鎖を含む基を有する化合物としては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 (メタ)アクリロイル基及びアルコキシ基を有する化合物としては、2-メトキシエチルアクリレート等が挙げられる。
 (メタ)アクリロイル基及びフェノキシ基を有する化合物としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 (メタ)アクリロイル基、及びシラン基を含む基を有する化合物としては、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
 (メタ)アクリロイル基、及びシロキサン結合を含む基を有する化合物としては、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 (メタ)アクリロイル基及びハロゲン原子を有する化合物としては、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロトリデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロテトラデシルメチル(メタ)アクリレート、2-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロエチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロプロピル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロペンチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘプチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロノニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロトリデシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロテトラデシル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
 (メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物としては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 (メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α-n-プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α-n-ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸-4,5-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、α-エチル(メタ)アクリル酸-6,7-エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸-4-メチル-4,5-エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸-5-メチル-5,6-エポキシヘキシル、(メタ)アクリル酸-β-メチルグリシジル、α-エチル(メタ)アクリル酸-β-メチルグリシジル等が挙げられる。
 マトリックスポリマーは、モノマー単位として、上記他の重合性化合物のうちの1種を含有してもよく、2種以上を含有してもよい。また、式(1)で表される化合物を更に含有してもよく、含有しなくてもよい。
 マトリックスポリマーの含有量は、断熱層101の全質量を基準として、例えば、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、又は70質量%以上であってよく、95質量%以下、又は90質量%以下であってよい。
 断熱層101は、必要に応じて、その他の添加剤を更に含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤(例えばフェノール系酸化防止剤)、表面調整剤(例えばシランカップリング剤)、分散剤、硬化促進剤、着色剤、結晶核剤、熱安定剤、発泡剤、難燃剤、制振剤、脱水剤、難燃助剤(例えば金属酸化物)等が挙げられる。その他の添加剤の含有量は、断熱層101の全質量を基準として、0.1質量%以上であってよく、30質量%以下であってよい。
 断熱層101の厚みは、例えば、100μm以上、200μm以上、又は500μm以上であってよく、10mm以下、5mm以下、又は2mm以下であってよい。
 粘着層102は、公知の粘着剤を含んでいてよい。粘着層102は、例えば、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤等を含んでいてよい。アクリル系粘着剤は、例えば、アクリル共重合体及び架橋剤を含有していてよい。
 アクリル共重合体は、2種以上の重合性化合物の共重合体である。当該2種以上の重合性化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を1種以上含む。アクリル共重合体は、モノマー単位として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を1種以上含むが、2種以上、3種以上、又は4種以上含んでいてもよい。
 (メタ)アクリロイル基を有する化合物は、例えば、アルキル(メタ)アクリレートであってよい。アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基((メタ)アクリロイル基以外のアルキル基部分)は、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよい。アルキル基の炭素数は、例えば、1~30であってよい。アルキル基の炭素数は、2以上、又は3以上であってよく、25以下、20以下、15以下、10以下、7以下、又は5以下であってよい。
 (メタ)アクリロイル基を有する化合物の例としては、炭素数1~11の直鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数1~11の分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基及びヘテロ環を含む基を有する化合物、(メタ)アクリロイル基及びヒドロキシル基を有する化合物、及び(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。
 炭素数1~11の直鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。炭素数1~11の分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基及びヘテロ環を含む基を有する化合物としては、N-アクリロイルモルホリン(ACMO)等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基及びヒドロキシル基を有する化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
 アクリル共重合体は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物以外の他の重合性化合物をモノマー単位として含んでいてもよい。アクリル共重合体における他の重合性化合物(モノマー単位)の例としては、アクリロニトリルが挙げられる。
 アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、5万以上、10万以上、又は20万以上であってもよく、120万以下、110万以下、又は100万以下であってもよい。
 アクリル共重合体の含有量は、粘着層102の全質量を基準として、70質量%以上であってよく、98質量%以下、又は95質量%以下であってよい。
 架橋剤は、例えば、エポキシ基を有する架橋剤、イソシアネート基を有する架橋剤等であってよい。エポキシ基を有する架橋剤は、エポキシ基を2個以上、3個以上、又は4個以上有していてもよい。エポキシ基を4個有する架橋剤の例としては、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及びN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミンが挙げられる。
 イソシアネート基を有する架橋剤は、イソシアネート基を2個以上、又は3個以上有していてもよい。イソシアネート基を3個有する架橋剤の例としては、「コロネートL」(東ソー(株)製)が挙げられる。
 粘着層102の厚みは、例えば、5μm以上、又は10μm以上であってよく、200μm以下、100μm以下、又は50μm以下であってよい。
 シート100は、図1に示す一実施形態のように、断熱層101及び粘着層102のみからなっていてよい。他の一実施形態において、シートは、断熱層及び粘着層以外の他の層を更に備えていてもよい。この場合、シートにおいて、断熱層と粘着層とは互いに接していてよく(他の層を介さず積層されていてよく)、断熱層と粘着層とは他の層を介して積層されていてもよい。他の層の例としては、表面保護層、接着層、及び支持層が挙げられる。
 他の層を備えるシートは、一実施形態において、表面保護層(第一の表面保護層)と、断熱層と、接着層(第一の接着層)と、支持層(第一の支持層)と、接着層(第二の接着層)と、支持層(第二の支持層)と、粘着層と、表面保護層(第二の表面保護層)と、を備えるシートであってよい。表面保護層は、例えば、断熱層又は粘着層と接する面が易剥離処理された樹脂フィルム(PETフィルム等)で構成されていてよい。接着層は、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤等を含有していてよい。支持層は、例えば、樹脂フィルム(ポリイミドフィルム等)で構成されていてよい。
 シート100の厚みは、例えば、100μm以上、200μm以上、又は500μm以上であってよく、11mm以下、5mm以下、3mm以下、又は2mm以下であってよい。
 シート100は、例えば、断熱層101及び粘着層102をそれぞれ作製し、断熱層101と粘着層102とを、貼り合わせることにより作製することができる。例えば、上記の他の層を備えるシートの製造方法は、表面保護層(第一の表面保護層)及び断熱層の積層体Aと、接着層(第一の接着層)、支持層(第一の支持層)、及び接着層(第二の接着層)の積層体Bと、支持層(第二の支持層)、粘着層、及び表面保護層(第二の表面保護層)の積層体Cとをそれぞれ準備する工程と、積層体Aの断熱層と積層体Bの接着層(第一の接着層)とを貼り合わせると共に、積層体Bの接着層(第二の接着層)と積層体Cの支持層(第二の支持層)とを貼り合わせる工程とを備えていてよい。
 積層体Aは、例えば、上述した第一の中空粒子、第二の中空粒子及び重合性化合物を含む混合物を準備した後、表面保護層(第一の表面保護層)上で当該混合物中の重合性化合物を重合させてマトリックスポリマーを形成することにより得られる。積層体Bとしては、例えば、支持層(第一の支持層)と、支持層の両面それぞれに設けられた接着層(第一の接着層)及び接着層(第二の接着層)とを備える両面接着テープを用いることができる。積層体Cは、例えば、アクリル系粘着剤等の材料を混合して得た粘着剤組成物を、表面保護層(第二の表面保護層)上に塗工し、粘着剤組成物の乾燥及び/又は粘着剤組成物中の硬化性成分の硬化を進行させて粘着層を形成した後、粘着層の表面保護層(第二の表面保護層)と反対側の面に支持層(第二の支持層)を設けることにより得られる。積層体A、積層体B、及び積層体Cを貼り合わせる工程では、例えば、ロールラミネーターを用いることができる。
 以上説明したシート100は、リフロー工程後の剥離性に優れているため、リフロー工程における断熱材として好適に用いられる。シート100は、半導体装置の製造におけるリフロー工程での断熱材として用いられるシートであってもよい。
<半導体装置の製造方法>
 本発明の他の一実施形態は、半導体装置上にシートを配置する工程と、シートが配置された半導体装置をリフローする工程と、半導体装置から前記シートを剥離する工程と、を備える、半導体装置の製造方法である。
 図2は、配置工程の一実施形態を示す模式断面図である。図2に示されるように、配置工程で用いられる半導体装置(半導体パッケージとも呼ばれる)1Aは、例えば、基板2と、基板2にはんだ(はんだペースト)3で接続されたリード4と、ワイヤ5を介してリード4に接続された半導体チップ6と、を備えている。半導体チップ6は、ダイアタッチ材7を介してダイパッド8に搭載されると共に、封止材9で覆われている。
 シートは、このような半導体装置1Aの表面の少なくとも一部に配置される。一実施形態において、シート10は、封止材9の表面をすべて覆うように、半導体装置1A上に配置される。他の一実施形態では、シート10は、封止材9の表面の一部(例えば上面のみ)を覆うように配置されてもよい。
 図3は、配置工程の他の一実施形態を示す模式断面図である。図3に示されるように、他の一実施形態では、配置工程で用いられる半導体装置11Aは、例えば、基板12と、基板12にはんだ(はんだボール)13で接続されたインターポーザ14と、接着剤15を介してインターポーザ14に接続された半導体チップ16と、を備えている。半導体チップ16は、複数の突出電極(バンプ)16aによりインターポーザ14に接続されている。半導体チップ16は、インターポーザ14上に配置された封止材17で覆われている。
 シートは、このような半導体装置11Aの表面の少なくとも一部に配置される。一実施形態において、シート18は、封止材17の表面のすべてと、はんだ(はんだボール)13及びインターポーザ14が配置されている場所の側面のすべてとを覆うように、半導体装置11A上に配置される。
 図3に示した配置工程の他の一実施形態として、シート18は、封止材17の表面のすべて及びインターポーザ14が配置されている場所の側面のみを覆うように配置されていてもよい(はんだ(はんだボール)13が配置されている場所の側面には配置されていなくてもよい)。他の一実施形態では、シート18は、封止材17の表面のすべてのみを覆うように配置されていてもよく、封止材17の表面の一部(例えば上面)のみを覆うように配置されていてもよい。これらの場合であっても、リフロー工程における熱から半導体装置を好適に保護できる。ただし、例えば、はんだ(はんだボール)13として低温はんだを使用する場合においては、リフロー工程における過剰な熱からはんだ(はんだボール)13を保護し、はんだによる接合箇所での損傷を抑制できる観点から、シート18は、好ましくは、図3に示すように、封止材17の表面のすべてと、はんだ(はんだボール)13及びインターポーザ14が配置されている場所の側面のすべてとを覆うように配置される。
 他の一実施形態では、一つの基板2,12上に複数の半導体装置(半導体パッケージ)が搭載されていてよく、当該複数の半導体装置の一部又は全部が上述した半導体装置1A,11Aであってよい。複数の半導体装置の一部が上述した半導体装置1A,11Aである場合、残りの半導体装置は、上述した半導体装置1A,11Aよりも熱に強い(耐熱性が高い)半導体装置であってよく、当該残りの半導体装置におけるはんだは、上述した半導体装置1A,11Aにおけるはんだ3,13よりも高温で接合されるはんだであってよい。このように、耐熱性が異なる複数の半導体装置(半導体パッケージ)が一つの基板2,12に搭載されている場合でも、より熱に弱い(耐熱性が低い)半導体装置1A,11Aにシート10,18を配置することにより、耐熱性が異なる複数の半導体装置(半導体パッケージ)を一括でリフロー工程に供することができる。
 他の一実施形態において、シートは、基板の半導体チップが搭載されている面と反対側の面にも配置されていてよい。図4は、図2に示した配置工程の他の一実施形態を示す模式断面図である。図4に示すように、シート10は、基板2の半導体チップ6が搭載されている面と反対側の面にも配置されている。また、図5は、図3に示した配置工程の他の一実施形態を示す模式断面図である。図5に示すように、シート18は、基板12の半導体チップ16が搭載されている面と反対側の面にも配置されている。これらの実施形態では、例えば、耐熱性が異なる複数の半導体装置(半導体パッケージ)が一つの基板2,12に搭載されている場合などに、より熱に弱い(耐熱性が低い)半導体装置1B,11Bにシート10,18を更に多く配置することにより、耐熱性が異なる複数の半導体装置(半導体パッケージ)を一括でリフロー工程に供することができる。
 配置工程において、シートは、半導体装置(半導体パッケージ)表面と、シートが有する粘着層とが接するように配置されることが好ましい。配置工程において、シートを配置する方法は、真空下又は大気圧下で、半導体装置(半導体パッケージ)上にシートを圧着する圧着工程を備えていてもよい。
 圧着工程では、具体的には、例えば、まず、真空ラミネーター(例えば、ニッコーマテリアルズ(株)製「V-130」)のチャンバー内に、緩衝材(例えばゴムシート)、離型フィルム、半導体装置(半導体パッケージ)、シート及び離型フィルムをこの順で重ねる。続いて、チャンバー内を真空引きした上で、シートが半導体装置(半導体パッケージ)に密着するように加圧することにより、シートを半導体装置(半導体パッケージ)に圧着することができる。他の具体例としては、まず、支持体(例えばステンレス板)に、半導体装置(半導体パッケージ)、シート及び離型フィルムをこの順で重ねる。続いて、ロールラミネーター(例えば、大成ラミネーター(株)製「VA-770H特殊型ラミネーター」)に挿入し、シートが半導体装置(半導体パッケージ)に密着するように加圧することにより、シートを半導体装置(半導体パッケージ)に圧着することができる。
 配置工程に続くリフロー工程では、公知の方法により、半導体装置をリフローする。具体的には、例えば、半導体装置をリフロー炉内に入れ、炉内を徐々に昇温し、最高温度240~260℃に到達させた後に、徐々に降温する。これにより、はんだペーストが焼結し、配線板が基板に電気的に接続される。
 リフロー工程に続く剥離工程では、シートを半導体装置から剥離する。剥離方法は、特に制限されず、例えば、粘着フィルムをシートに付着させ、当該粘着フィルムを引っ張ることにより、シートを剥離する方法であってよい。また、剥離方法は、例えば、支持フィルムを介してローラーをシートに押し付け、シートを支持フィルムと共に巻き取ることにより、シートを剥離する方法であってもよい。支持フィルムとしては、例えば、両面テープを用いることができる。剥離するためには、テープリムーバー(例えば、大宮工業(株)製「OTR-600SA」)等の装置を用いてもよい。
 以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
[式(1-5)で表される化合物の合成]
 撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、排出管及び加熱ジャケットから構成された500mLフラスコを反応器とし、ポリオキシアルキレン鎖を有するグリコール(三洋化成(株)製「ニューポール75H-90000」)225g、トルエン300gを反応器に加え、45℃、撹拌回転数250回/分で撹拌し、窒素を100mL/分で流し、30分撹拌した。その後、25℃に降温し、降温完了後、塩化アクリロイル2.9gを反応器に滴下し、30分撹拌した。その後、トリエチルアミン3.8gを滴下し、2時間撹拌した。その後、45℃に昇温し、2時間反応させた。反応液を濾過し、濾液を脱溶し、式(1-5)で表される化合物(重量平均分子量:15000、式(1-5)中のm1+m2が概ね252±5、n1+n2が概ね63±5の整数(ただし、m1、m2、n1及びn2はそれぞれ2以上の整数であり、m1+n1≧100、m2+n2≧100)である混合物、25℃における粘度:50Pa・s)を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
[式(1-5)中、-r-はランダム共重合を表す符号である。]
[断熱層の作製]
 式(1-5)で表される化合物39.2質量%、ジシクロペンタニルアクリレ-ト(昭和電工マテリアルズ(株)製「ファンクリル(登録商標) FA-513A」)23.5質量%、4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)15.7質量%、第一の中空粒子(松本油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフェアー(登録商標) FN-190SSD」、平均粒子径:10~15μm、最大体積膨張倍率:50倍以上、膨張開始温度:190℃、最大膨張温度:210~220℃)11.0質量%、第二の中空粒子(日本フィライト(株)製「Expancel(登録商標) 920DE80d30」、平均粒子径60~90μm、密度30±3kg/m、最大体積膨張倍率:5倍未満、収縮開始温度:200℃)5.8質量%、重合開始剤(日油(株)製「パーブチル(登録商標)O」)0.9質量%、フェノール系酸化防止剤(BASFジャパン(株)製「Irganox1010」)3.1質量%、及び表面調整剤(BYK(株)製「BYK(登録商標)350」)0.8質量%を混合し、断熱層作製用組成物を得た。なお、該断熱層作製用組成物全量を基準として、第一の中空粒子の配合量は3.8体積%であり、第二の中空粒子の配合量は67.3体積%であった。
 縦200mm×横200mm×厚さ5mmのガラス板の上に、縦200mm×横200mm×厚さ0.1mmの離型処理されたポリエステルシート(東洋紡(株)製「A31」)の離型処理面を上向きにのせた成形板を2組準備した。一方の成形板の離型処理面上に、120mm×120mm×2.0mmの穴が形成されているシリコーンゴム製型枠(200mm×200mm)を設置し、当該型枠の内側に断熱層作製用組成物を充填した。さらに、他方の成形板の離型処理面を組成物側にして、上蓋をした後に、135℃の条件で40分間加熱した。その後、一方の成形板と、シリコーンゴム製型枠と、他方の成形板におけるガラス板とを取り除き、表面保護層(ポリエステルシート)と断熱層(厚さ2.0mm)との積層体(積層体A)を作製した。また、積層体Aの表面保護層を剥離することにより、断熱層を得た。この断熱層について、後述の方法で測定した初期熱伝導率は63mW/(m・K)であり、加熱後熱伝導率は67mW/(m・K)であった。
[粘着層の作製]
 モノマー単位として、メチルアクリレート(MA)、2-エチルヘキシルアクリレート(EHA)、アクリル酸(AA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を、質量基準でMA:EHA:AA:HEA=50:40:0.5:9.5の割合で含むアクリル系共重合体樹脂(重量平均分子量:20万)を用いた。このアクリル系共重合体樹脂の酢酸エチル溶液(固形分35質量%)を100質量部と、架橋剤としてイソシアネート(商品名:コロネートL、東ソー(株)製)を5質量部と、光硬化性樹脂として10官能ウレタンアクリレート(商品名:U-10PPA、新中村化学工業社製)を7質量部と、光重合開始剤(商品名:Irgcure819、BASF社製)を0.21質量部とを、固形分が25質量%となるようにトルエン及びメチルエチルケトンの混合溶媒に溶解させた。次いで、自公転ミキサーにて回転数1000rpmで5分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
 得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施されている厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:ピューレックスA31、東洋紡(株)製)の易剥離処理面上に塗工した後、乾燥オーブンにより100℃で2分間乾燥し、波長365nmの紫外線を300mJ/cmで照射することにより光硬化性樹脂を硬化させて、厚さ10μmの粘着層を形成した。次いで、室温(25℃)にて、形成した粘着層の露出面上に、厚さ25μmのポリイミドフィルム基材(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン社製)をラミネートすることにより、表面保護層(ポリエステルフィルム)、粘着層、及び支持層(ポリイミドフィルム基材)がこの順に積層された積層体(積層体C)を作製した。また、積層体Cの表面保護層を剥離することにより、支持層付き粘着層を得た。この粘着層について、後述の方法で測定した初期90°ピール強度は7N/mであった。
[シートの作製]
 ロールラミネーター((株)ラミーコーポレーション製 ホットドック LMP-350EX)を用いて、積層体Cの支持層側に接着テープ(支持層と、該支持層の両面に設けられた接着層とを備えるテープ。昭和電工マテリアルズ(株)製、ハイボン11-652。)をラミネートした。さらに、上記ロールラミネーターを用いて、当該テープ上に、テープと断熱層とが接するように積層体Aをラミネートして、実施例1に係るシートを得た。実施例1に係るシートの厚みは、2135μmであった。
<実施例2>
 断熱層としてカーボンフェルト(旭産業(株)製「カーボンフェルトF-350」、厚さ:2.8mm)を用い、積層体Aに代えて当該断熱層を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2に係るシートを得た。実施例2で用いた断熱層について、後述の方法で測定した初期熱伝導率は61mW/(m・K)であり、加熱後熱伝導率は53mW/(m・K)であった。実施例2に係るシートの厚みは、2935μmであった。
<実施例3>
 断熱層の作製において、断熱層作製用組成物を、下記のとおり作製した断熱層作製用組成物に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3に係るシートを得た。式(1-5)で表される化合物35.19質量%、ジシクロペンタニルアクリレ-ト(昭和電工マテリアルズ(株)製「ファンクリル(登録商標) FA-513A」)21.12質量%、4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)14.08質量%、無機中空粒子(ポッターズバロティーニ(株)製「Q-CEL 5020」、平均粒子径60μm、密度0.20g/cm)25.21質量%、重合開始剤(日油(株)製「パーブチル(登録商標)O」)0.84質量%、フェノール系酸化防止剤(BASFジャパン(株)製「Irganox1010」)2.82質量%、及び表面調整剤(BYK(株)製「BYK(登録商標)350」)0.74質量%を混合し、断熱層作製用組成物を得た。なお、該断熱層作製用組成物全量を基準として、無機中空粒子の配合量は63体積%であった。実施例3で用いた断熱層について、後述の方法で測定した初期熱伝導率は130mW/(m・K)であり、加熱後熱伝導率は125mW/(m・K)であった。実施例3に係るシートの厚みは、2135μmであった。
<実施例4>
 断熱層としてメラミンスポンジ((株)イノアックコーポレーション製「バソテクトG+」、厚さ:2.5mm)を用い、積層体Aに代えて当該断熱層を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4に係るシートを得た。実施例4で用いた断熱層について、後述の方法で測定した初期熱伝導率は35mW/(m・K)であり、加熱後熱伝導率は38mW/(m・K)であった。実施例4に係るシートの厚みは、2635μmであった。
<実施例5>
 断熱層としてガラス繊維紙(オリベスト(株)製「SB-150TS」、厚さ:0.95mm)を用い、積層体Aに代えて当該断熱層を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5に係るシートを得た。実施例5で用いた断熱層について、後述の方法で測定した初期熱伝導率は43mW/(m・K)であり、加熱後熱伝導率は40mW/(m・K)であった。実施例5に係るシートの厚みは、1085μmであった。
<比較例1>
 断熱層としてガラスフェルト((株)エーアンドエーマテリアル製「耐熱グラスフェルトB」、厚さ:5mm)を用い、積層体Aに代えて当該断熱層を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1に係るシートを得た。比較例1で用いた断熱層について、後述の方法で測定した初期熱伝導率は35mW/(m・K)であり、加熱後熱伝導率は37mW/(m・K)であった。比較例1に係るシートの厚みは、5135μmであった。
<実施例6>
 粘着層の作製において、上記のアクリル系共重合体樹脂に代えて、モノマー単位として、2-エチルヘキシルアクリレート(EHA)、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を、質量基準でEHA:HEA=65:35の割合で含むアクリル系共重合体樹脂(重量平均分子量:20万)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係るシートを得た。この粘着層について、後述の方法で測定した初期90°ピール強度は38N/mであった。実施例6に係るシートの厚みは、2135μmであった。
<実施例7>
 断熱層として、実施例2と同様のカーボンフェルト(旭産業(株)製「カーボンフェルトF-350」、厚さ:2.8mm)を用い、積層体Aに代えて当該断熱層を用いた以外は実施例6と同様にして、実施例7に係るシートを得た。実施例7に係るシートの厚みは、2935μmであった。
<実施例8>
 断熱層として、実施例3と同様の断熱層を用いたこと以外は実施例6と同様にして、実施例8に係るシートを得た。実施例8に係るシートの厚みは、2135μmであった。
<比較例2>
 断熱層として、実施例4と同様のメラミンスポンジ((株)イノアックコーポレーション製「バソテクトG+」、厚さ:2.5mm)を用い、積層体Aに代えて当該断熱層を用いた以外は実施例6と同様にして、比較例2に係るシートを得た。比較例2に係るシートの厚みは、2635μmであった。
<比較例3>
 断熱層として、実施例5と同様のガラス繊維紙(オリベスト(株)製「SB-150TS」、厚さ:0.95mm)を用い、積層体Aに代えて当該断熱層を用いた以外は実施例6と同様にして、比較例3に係るシートを得た。比較例3に係るシートの厚みは、1085μmであった。
<比較例4>
 断熱層として、比較例1と同様のガラスフェルト((株)エーアンドエーマテリアル製「耐熱グラスフェルトB」、厚さ:5mm)を用い、積層体Aに代えて当該断熱層を用いた以外は実施例6と同様にして、比較例4に係るシートを得た。比較例4に係るシートの厚みは、5135μmであった。
<評価>
[断熱層の加熱後バルク強度]
 各実施例及び比較例で用いた断熱層の加熱後バルク強度を、下記の手順で測定した。各断熱層を20mm×50mmに切断して、20mm(辺x)×50mm(辺y)×2mm(辺z)の直方体状の試験片を作製し、各試験片をリフロー炉(タムラ製作所製TNP25-337EMシリーズ N2リフロー装置)に通して熱履歴を加え、放冷した。熱履歴は、具体的には、リフロー炉において、昇温速度47℃/分で室温(25℃)から200℃まで昇温した後、昇温速度38℃/分で200℃から260℃まで昇温することにより加えられた。また、放冷は、具体的には、リフロー炉内で60℃まで冷却し、リフロー炉から取り出して25℃まで冷却するというものであった。その後試験片を25℃で24時間静置したのち、引っ張り試験機((株)島津製作所製「Autograph EZ-TEST EZ-S」)を用いて、各断熱層の25℃における厚み方向のバルク強度を測定した。具体的には、まず、各サンプルの辺x及び辺zを含む面から、辺zに垂直な方向に、カッターにて深さ15mmの切れ目を入れることにより、試験片の一端を二股に分けて2つの端部を形成した。該2つの端部をそれぞれ引っ張り試験機のチャック部ではさみ、チャック間距離20mm、引張速度5mm/分の条件で引っ張り、試験片が破断した時の力の大きさをバルク強度として測定した。結果を表1及び表2に示す。
[断熱層の熱伝導率の測定]
 各実施例及び比較例で用いた断熱層の熱伝導率は、下記の手順で測定した。断熱層を、8cm×13cm×2.0mmに切断し、レファレンスプレートと測定プローブで挟み込み、迅速熱伝導率計(京都電子工業(株)製「QTM-710」、測定プローブPD-11N、薄膜測定モード)にて25℃の条件で熱伝導率(初期熱伝導率)を測定した。また、上記[断熱層の加熱後バルク強度]と同様に熱履歴を加え、放冷した後、同様に熱伝導率(加熱後熱伝導率)を測定した。レファレンスは、離型処理されたポリエステルシート(東洋紡(株)製「A31」)を2枚重ねてレファレンスプレートと測定プローブで挟みこみ測定した。
[粘着層の90°ピール強度]
 各実施例及び比較例で用いた粘着層の90°ピール強度を、下記の手順で測定した。縦25mm×横70mmのSiウエハと縦20mm×横60mmにカットした支持層付き粘着層を準備した。粘着層とSiウエハとが接し、かつ両者の間に気泡が入らないように、Siウエハ上に支持層付き粘着層を設置した。支持層付き粘着層が設置されたSiウエハを縦380mm×横500mm×厚み0.5mmのステンレス板の上に乗せ、ロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製「VA-770H特殊型ラミネーター」)により圧力6kgf/cm、回転速度0.2rpm、温度40℃の条件で粘着層とSiウエハとを貼り付けて、サンプルを作製した。得られたサンプルの支持層付き粘着層を幅5mmでカットし、長さ方向の片側10mmをSiウエハから剥がし、引っ張り試験機((株)島津製作所製「Autograph EZ-TEST EZ-S」)により、90°ピール強度(初期90°ピール強度)を測定した。また、サンプルに対し、上記[断熱層の加熱後バルク強度]と同様に熱履歴を加え、放冷した後、同様にピール強度(加熱後90°ピール強度)を測定した。結果を表1及び表2に示す。
[シートの剥離性]
 各実施例及び比較例に係るシートが有する表面保護層を全て剥離し、粘着層がSiウエハに接するように、ロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製「VA-770H特殊型ラミネーター」)により、圧力6kgf/cm、回転速度0.2rpm、温度40℃の条件でSiウエハに貼りつけ、サンプルを作製した。該サンプルに対し、上記[断熱層の加熱後バルク強度]と同様に熱履歴を加え、放冷した。その後、シートの断熱層の上に両面テープ(支持層と、該支持層の両面に設けられた接着層とを備えるテープ。一方の接着層上に剥離フィルムを有する。昭和電工マテリアルズ(株)製「ハイボン11-652」)の片面(接着層が露出した面)を貼りつけた。両面テープの他方の面の剥離フィルムを剥がし、当該両面テープの剥離フィルムが付着していた面にローラーを押し付け、両面テープと共に巻き取ることにより、シートを剥離した。このとき、粘着層とSiウエハとの界面が剥離し、粘着層が断熱層等と共に剥離されたものを「OK」と評価し、シートを構成する層同士の界面が剥離し、Siウエハ上に、粘着層を含むシートの一部が残存したものを「NG」と評価した。結果を表1及び表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 1A,1B,11A,11B…半導体装置、2,12…基板、3…はんだ(はんだペースト)、4…リード、5…ワイヤ、6,16…半導体チップ、7…ダイアタッチ材、8…ダイパッド、9,17…封止材、10,18,100…シート、13…はんだ(はんだボール)、14…インターポーザ、15…接着剤、16a…突出電極、101…断熱層、102…粘着層。

Claims (3)

  1.  断熱層と、粘着層と、を備え、
     昇温速度47℃/分で25℃から200℃まで昇温した後、昇温速度38℃/分で200℃から260℃まで昇温するとの熱履歴を加えた後の前記断熱層のバルク強度が、前記熱履歴を加えた後の前記粘着層の90°ピール強度より大きい、シート。
  2.  半導体装置の製造におけるリフロー工程での断熱材として用いられる、請求項1に記載のシート。
  3.  半導体装置上に請求項1又は2に記載のシートを配置する工程と、
     前記シートが配置された前記半導体装置をリフローする工程と、
     前記半導体装置から前記シートを剥離する工程と、
    を備える、半導体装置の製造方法。
PCT/JP2023/022124 2022-06-21 2023-06-14 断熱層と粘着層とを備えるシート WO2023248905A1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022-099813 2022-06-21
JP2022099813 2022-06-21

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2023248905A1 true WO2023248905A1 (ja) 2023-12-28

Family

ID=89379856

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2023/022124 WO2023248905A1 (ja) 2022-06-21 2023-06-14 断熱層と粘着層とを備えるシート

Country Status (2)

Country Link
TW (1) TW202406743A (ja)
WO (1) WO2023248905A1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11116644A (ja) * 1997-08-11 1999-04-27 Nippon Shokubai Co Ltd ブロックコポリマー及びその重合方法
JPH11293208A (ja) * 1998-04-10 1999-10-26 Nhk Spring Co Ltd 粘着剤付きフォーム体とその製造方法
WO2016117646A1 (ja) * 2015-01-21 2016-07-28 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物および粘着シートならびにその製造方法
WO2020246351A1 (ja) * 2019-06-04 2020-12-10 Dic株式会社 両面粘着テープ及び電子機器

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11116644A (ja) * 1997-08-11 1999-04-27 Nippon Shokubai Co Ltd ブロックコポリマー及びその重合方法
JPH11293208A (ja) * 1998-04-10 1999-10-26 Nhk Spring Co Ltd 粘着剤付きフォーム体とその製造方法
WO2016117646A1 (ja) * 2015-01-21 2016-07-28 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物および粘着シートならびにその製造方法
WO2020246351A1 (ja) * 2019-06-04 2020-12-10 Dic株式会社 両面粘着テープ及び電子機器

Also Published As

Publication number Publication date
TW202406743A (zh) 2024-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI541312B (zh) 用於半導體裝置之黏合劑膜
TW200948921A (en) Method for making a semiconductor device
JP6122368B2 (ja) 剥離シートおよび粘着シート
US11594458B2 (en) Curable resin film and first protective film forming sheet
CN108884244B (zh) 保护膜形成用膜及保护膜形成用复合片
CN104160491B (zh) 芯片用树脂膜形成用片材
KR20180079304A (ko) 제1 보호막 형성용 시트, 제1 보호막 형성 방법 및 반도체 칩의 제조 방법
TW201842055A (zh) 樹脂組成物及樹脂薄片
KR20160039197A (ko) 접착제 조성물, 접착 시트 및 반도체 장치의 제조 방법
KR20200133717A (ko) 필름상 접착제 및 반도체 가공용 시트
JP6438181B1 (ja) 半導体装置及びその製造方法
WO2023248905A1 (ja) 断熱層と粘着層とを備えるシート
JP6304852B2 (ja) 熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート及び半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法
WO2022138589A1 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2021193725A (ja) 電子部品保護シート
WO2023248902A1 (ja) 断熱層と粘着層とを備えるシート
JP6204132B2 (ja) 剥離シートおよび粘着シート
KR100860098B1 (ko) 반도체 패키지용 접착 필름
WO2023248906A1 (ja) 断熱層と粘着層とを備えるシート
EP2927952B1 (en) Sheet for forming resin film for chips and method for manufacturing semiconductor device
CN109971376A (zh) 切割芯片接合薄膜
KR20180080206A (ko) 열경화성 수지 필름, 제1 보호막 형성용 시트 및 제1 보호막의 형성 방법
TW202233742A (zh) 組成物及片材
JPWO2017078036A1 (ja) 硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シート
TW202408810A (zh) 具備絕熱層和黏著層的片

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 23827091

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1