WO2023188958A1

WO2023188958A1 - 電池パック

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Publication number: WO2023188958A1
Application number: PCT/JP2023/005584
Authority: WO
Inventors: 憲作竹田; 健明若林
Original assignee: パナソニックエナジー株式会社
Priority date: 2022-03-29
Filing date: 2023-02-16
Publication date: 2023-10-05

Abstract

電池パックは、第１のケースと第２のケースからなる外装ケースに電池ユニットを収納している。第１のケースと第２のケースは、第１の周壁と第２の周壁の積層プレートが開口端部で積層されて連結される。第１の周壁は外面に積層された第１の積層プレートを連結し、第２の周壁は内面に積層された第２の積層プレートを連結している。第２の積層プレートは、開口端部の内周面に、内側に向かって突出してなる補強マウント部を設けている。さらに、互いに積層される積層プレートを貫通して連結する固定ネジを備えており、固定ネジが第１の積層プレートを貫通して第２の積層プレートにねじ込まれると共に、第２の積層プレートの補強マウント部を固定ネジをねじ込む固定部に兼用している。

Description

電池パック

　本発明は充放電できる電池を外装ケースに収納している電池パックに関する。

　多数の二次電池セルを直列、並列に接続した電池パックは、電動クリーナーや電動工具などの携帯型の電動機器用の電源として、あるいは据え置き型の蓄電用途でサーバーのバックアップ用電源や家庭用、事業所用、工場用の電源装置として、さらにはアシスト自転車の駆動用電力源や電動スクータ、電動カート、あるいはハイブリッド車や電気自動車などの車両の駆動用電源等に用いられている。このような電池パックに用いられる二次電池セルには一般にリチウムイオン二次電池が利用されているところ、リチウムイオン二次電池は衝突時にボルトが貫通するなど、何らかの異常により発煙や発火を伴う不安全事象に至る可能性がある。仮に不安全事象が電池パックで発生した場合、内部の二次電池セルからの発火が電池パック外へ放出される恐れがある。

　このような電池パックとして、複数の二次電池セルを備える電池ユニットを樹脂製の外装ケースに収納する構造が採用されている。外装ケースには、底板の周囲に周壁を設けた箱形の第１のケースと第２のケースを開口部で互いに連結する構造が多く採用されている。このような外装ケースには、例えば、一方のケースの開口部の内側面と他方のケースの開口部の外側面とに肉厚を薄く成形した段差部を設けて、互いの段差部を嵌合させて積層される積層部で連結する嵌合構造を用いたものがある。（特許文献１参照）この構造は、第１のケースと第２のケースの積層部分の肉厚を他の周壁部分と同じ厚さとしながら、第１のケースと第２のケースを正確に連結できる特長がある。

　しかしながら、このような外装ケースを備えるパック電池において、収納された二次電池セルに熱暴走等の異常が生じて高温高圧のガスが放出されると、外装ケースの内部にガスが充満し、図１２の矢印で示すように、外装ケース９２の嵌合連結部９３から外部へつながる流路９４が発生して、そこから高温高圧のガスがケース外に噴射されて発火を伴う漏れ火に発展することがある。とくに、外装ケースの嵌合連結部９３においては、互いの積層部９５が薄く成形されているため、高圧のガスが嵌合連結部９３の境界を通過する際に、図１２の鎖線で示すように、外側の積層部９５がガス圧で外側方向に変形し易く、これにより多量の可燃性ガスが一気に外部に放出されて発火に至ることがある。

　さらに、箱形の第１のケースと第２のケースを開口部で互いに連結する構造として、一対のケースの開口部の外周面の対向位置に外側に向かって突出する突出部を設けて、一方の突出部には連結ネジを挿通する挿通部を設け、他方の突出部には挿通部を貫通する連結ネジをねじ込む連結ボスを設ける構造とすることもできる。この構造の外装ケースは、第１のケースと第２のケースの対向位置に設けた突出部を連結ネジで締め付けることで開口部を互いに接近する方向に挟着して強固に連結できる特長がある。ただ、この構造の外装ケースは、外周面に突出部が突出するので外形が大きくなる弊害がある。外装ケースの外形が大きくなる電池パックは省スペースに配置できない欠点がある。

特開平１０－２４１６４７号公報

　本発明は、以上の欠点を解消することを目的に開発されたもので、本発明の目的の一は、電池異常により排出されるガスに起因する電池パックの内部圧力上昇によるケースの連結部の破綻を抑制できる電池パックを提供することにある。

　本発明のある態様に係る電池パックは、外装ケースに電池ユニットを収納してなる電池パックであって、外装ケースが、第１の表面プレートの周囲に第１の周壁を有する第１のケースと、第２の表面プレートの周囲に第２の周壁を有する第２のケースとを備え、かつ第１のケースと第２のケースは、第１の周壁と第２の周壁が開口端部で連結されて、閉鎖構造の内部に電池ユニットを収納している。第１の周壁と第２の周壁は、開口端に沿って、互いに内面と外面に積層されてなる積層プレートを一体構造に連結してなり、第１の周壁は外面に積層されてなる第１の積層プレートを連結してなり、第２の周壁は内面に積層されてなる第２の積層プレートを連結してなり、第２の積層プレートは、開口端部の内周面に、内側に向かって突出してなる補強マウント部を一体構造で設けている。さらに、電池パックは、互いに積層される第１の積層プレートと第２の積層プレートを貫通して連結する固定ネジを備えており、固定ネジが第１の積層プレートを貫通して第２の積層プレートにねじ込まれると共に、第２の積層プレートの補強マウント部を固定ネジをねじ込む固定部に兼用している。

　本発明の電池パックは、電池異常により排出されるガスに起因する電池パックの内部圧力上昇によるケースの連結部の破綻を抑制できる特長がある。

本発明の一実施形態に係る電池パックを示す斜視図である。図１の電池パックの分解斜視図である。図１の電池パックの垂直断面図である。図１の電池パックの垂直断面斜視図である。図１の電池パックの水平断面斜視図である。図２に示す電池ユニットの電池ホルダの分解斜視図である。積層プレートの連結部に固定ネジをねじ込む状態を示す断面図である。外装ケースの他の一例を示す分解斜視図である。図８に示す外装ケースの係止構造を示す拡大断面図である。電池パックの他の一例を示す垂直断面図である。図１０に示す電池パックの積層プレートを固定ネジで連結する状態を示す拡大断面図である。従来の電池パックの外装ケースの連結部が破綻する状態を拡大断面斜視図である。

　本発明の一実施形態に係る電池パックは、外装ケースに電池ユニットを収納してなる電池パックであって、外装ケースが、第１の表面プレートの周囲に第１の周壁を有する第１のケースと、第２の表面プレートの周囲に第２の周壁を有する第２のケースとを備え、かつ第１のケースと第２のケースは、第１の周壁と第２の周壁が開口端部で連結されて、閉鎖構造の内部に電池ユニットを収納している。第１の周壁と第２の周壁は、開口端に沿って、互いに内面と外面に積層されてなる積層プレートを一体構造に連結してなり、第１の周壁は外面に積層されてなる第１の積層プレートを連結してなり、第２の周壁は内面に積層されてなる第２の積層プレートを連結してなり、第２の積層プレートは、開口端部の内周面に、内側に向かって突出してなる補強マウント部を一体構造で設けている。さらに、電池パックは、互いに積層される第１の積層プレートと第２の積層プレートを貫通して連結する固定ネジを備えており、固定ネジが第１の積層プレートを貫通して第２の積層プレートにねじ込まれると共に、第２の積層プレートの補強マウント部を固定ネジをねじ込む固定部に兼用している。

　上記構成によると、電池異常により排出されるガスで外装ケースの内圧が上昇した状態においても、ケースの連結部の破綻を抑制して、電池パック内部の可燃性ガスがケースの合わせ面から電池パック外部へ放出されるのを防止して安全性を向上できる特長がある。

　それは、以上の電池パックが、第１のケースの第１の周壁に連結された第１の積層プレートと第２のケースの第２の周壁に連結された第２の積層プレートとを互いに積層して第１のケースと第２のケースを連結しており、第２の積層プレートの開口縁部の内周面には、内側に向かって突出する補強マウント部を設けて第２の積層プレートを補強すると共に、互いに積層される第１の積層プレートと第２の積層プレートとを固定ネジを介して連結しており、第２の積層プレートの補強マウント部を固定ネジをねじ込む固定部として、第１の積層プレートを貫通する固定ネジを第２の積層プレートにねじ込んで第１の積層プレートと第２の積層プレートとを固定しているからである。

　この構造は、内側に積層される第２の積層プレートの内面に補強マウント部を設けることで第２の積層プレートの剛性を高めて、第１の積層プレートと第２の積層プレートとの連結部における変形を抑制しながら、互いに積層された第１の積層プレートと第２の積層プレートとを固定ネジで連結することで、第１の積層プレートと第２の積層プレートとを密着状態に保持して、第１の積層プレートと第２の積層プレートの合わせ面から排出ガスが漏れるのを有効に防止できる。さらに、第１の積層プレートと第２の積層プレートを連結する固定ネジは、第１の積層プレートを貫通した状態で、第２の積層プレートの内側に突出する補強マウント部を固定部としてねじ込まれて第２の積層プレートに連結されるので、固定ネジと噛み合う面積を広くしてより強固に連結できる。すなわち、第２の積層プレートを補強マウント部で補強しながら、この補強マウント部を固定ネジをねじ込む固定部として、第１の積層プレートを貫通する固定ネジを第２の積層プレートの補強マウント部にねじ込んで固定するので、電池異常により排出されるガスに起因する電池パックの内部圧力上昇によるケースの連結部の破綻を抑制して安全性を確保できる。このため、外装ケースの内圧が上昇した状態において、ケース内の可燃性ガスが第１の積層プレートと第２の積層プレートの連結部を破綻して一気に外部に排出される事態を防止して、炎が外部に漏れ出るのを有効に防止できる。

　さらに、この構造の電池パックは、第１の積層プレートと第２の積層プレートの連結部を貫通方向にねじ込まれる固定ネジを介して第１のケースと第２のケースの連結部を連結するので、外装ケースの外周面側に突出する形状の連結突出部を設けることなく第１のケースと第２のケースとを連結できる。このため、この電池パックは。外装ケースの外形を大きくすることなく第１のケースと第２のケースとを確実に連結できる構造としながら、省スペースに配置できる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、固定ネジをタッピングネジとすることができる。上記構成によると、第２の積層プレートに雌ネジ孔を設けることなく、タッピングネジである固定ネジを補強マウント部にねじ込むことで簡単かつ確実に連結できる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、第１の積層プレートと第２の積層プレートが、対向する位置に固定ネジを挿通するための貫通孔を同軸に開口して、第１の積層プレートに設けた第１の貫通孔を通し穴とし、第２の積層プレートに設けた第２の貫通孔を固定ネジのネジ部の外径よりも小さな内径の誘導穴とすることができる。

　上記構成によると、第１の積層プレートに設けた通し穴である第１の貫通孔に固定ネジを無理なく挿通しながら、第２の積層プレートの補強マウント部に設けた誘導穴である第２の貫通孔に対してタッピングネジの先端部をスムーズに案内して、第２の貫通孔に沿って簡単に、しかも確実にねじ込んで強固に固定することができる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、第１の積層プレートが、固定ネジを挿通する第１の貫通孔の開口縁部に、固定ネジのネジ頭を案内する凹部を備えることができる。

　上記構成によると、第１の積層プレートに設けた第１の貫通孔の開口縁部に、固定ネジのネジ頭を案内する凹部を設けているので、第１の積層プレートと第２の積層プレートとを連結する固定ネジのネジ頭が、外装ケースの外周面から大きく突出して外形が大きくなるのを有効に防止できる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、固定ネジのネジ頭を平板状として、第１の貫通孔の開口縁部に設けた凹部の深さ（ｈ）をネジ頭の厚さ（ｋ）以上とすることができる。

　上記構成によると、第１の積層プレートに設けた凹部に案内される固定ネジのネジ頭が第１の積層プレートの表面から突出するのを防止して、外装ケースの外形が大きくなるのを確実に阻止できる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、第１の積層プレートを第２の積層プレートよりも厚く成形することができる。

　上記構成によると、第１の積層プレートを厚く成形することで、排出ガスの排出時における第１の積層プレートの変形を効果的に抑制して、高圧のガスが連結部の境界を通過する際に、外側の第１の積層プレートがガス圧で外側方向に変形するのを防止して、多量の排出ガスが一気に外部に放出されて発火に至るのを有効に防止できる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、補強マウント部を、第２の積層プレートの開口縁に沿って延長された凸条とすることができる。

　上記構成によると、第２の積層プレートの内周面に設ける補強マウント部を第２の積層プレートの開口縁に沿う凸条とすることで、第２の積層プレートをさらに強固に補強して、第２の積層プレートの変形を抑制できる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、第１のケースの第１の周壁と第２のケースの第２の周壁の横断面形状を長方形状として、周壁の開口縁部の全周にわたって積層プレートを設けて、横断面視長方形状の周壁の長辺側に位置する積層プレートを固定ネジで連結することができる。

　上記構成によると、周壁の横断面形状を長方形状とする第１のケース及び第２のケースの長辺に位置する積層プレートを固定ネジで連結することで、短辺に対して変形し易い長辺側の積層プレートを固定ネジで確実に連結して、外装ケースの連結部の破綻を有効に防止できる特長がある。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、横断面視長方形状の周壁の長辺側に位置する積層プレートの複数箇所を固定ネジで連結することができる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、固定ネジを介して連結された第１の積層プレートと第２の積層プレートを係止構造で連結することができる。係止構造は、第１の積層プレートと第２の積層プレートのいずれか一方の対向面に突出して設けた係止凸部と、第１の積層プレートと第２の積層プレートのいずれか他方の対向面であって、係止凸部と対向する位置に設けられて、係止凸部を係止する係止部とすることができる。

　上記構成によると、固定ネジを介して連結された第１の積層プレートと第２の積層プレートとを係止構造で連結することで、第１のケースと第２のケースの連結部をさらに強固に連結して、電池パックの内部圧力上昇によるケースの連結部の破綻を抑制できる特長がある。とくに、係止構造を、第１の積層プレートと第２の積層プレートのいずれか一方の対向面に突出して設けた係止凸部と、いずれか他方の対向面に設けられて係止凸部を係止する係止部とするので、第１の積層プレートと第２の積層プレートが固定ネジを介して密着状態に連結されることで、係止凸部と係止部とが確実に係止状態に保持されて連結部の破綻が抑制される特長が実現される。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、係止凸部を第１の積層プレートの内周面に設けて、係止部を第２の積層プレートの外周面に設けた係止凹部とし、第２の積層プレートが係止凹部と対向する内周面に補強マウント部を備えることができる。

　上記構成によると、係止凸部を第１の積層プレートの内周面に設けて、係止部を第２の積層プレートの外周面に設けた係止凹部とすると共に、係止凹部と対向する第２の積層プレートの内周面に補強マウント部を設けるので、係止凹部を深く形成して係止凸部と係止凹部とを確実に係止できる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、電池ユニットが、複数の円筒型の二次電池セルを電池ホルダに収納し、電池ホルダは、複数の二次電池セルを複数段に積層された状態で収納すると共に、両側面には、積層される二次電池セルの外形に沿う谷部を形成し、電池ホルダの谷部と対向する領域において、第１の積層プレートと第２の積層プレートとを固定ネジで連結することができる。

　以上の構成によると、複数の円筒型の二次電池セルを複数段に収納してなる電池ホルダが両側面に円筒型電池セルの外形に沿う谷部を形成しており、外装ケースに収納される電池ホルダの谷部と対向する領域において、第１の積層プレートと第２の積層プレートとを固定ネジで連結するので、第１の積層プレートと第２の積層プレートとを貫通する固定ネジの先端が外装ケースの内部まで侵入しても、固定ネジの先端は電池ホルダの谷部に位置して電池セルに接触することがない。したがって、外装ケースに収納される二次電池セルに悪影響を及ぼすことなく、固定ネジを補強マウント部に貫通させて確実にネジ止めして、強固に連結できる特長が実現できる。

　本発明の他の実施形態に係る電池パックは、電池ホルダが、谷部に第１の積層プレートと第２の積層プレートとを貫通する固定ネジの先端を接触させる位置決めプレートを備えることができる。

　上記構成によると、第１の積層プレートと第２の積層プレートとを貫通してねじ込まれた固定ネジの先端を電池ホルダの谷部に設けた位置決めプレートに接触させることで、固定ネジを安定した姿勢に保持できる特長がある。

　以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一若しくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。

　本発明の電池パックは、電動クリーナーや電動工具などの携帯型の電動機器用の電源として、あるいは据え置き型の蓄電用途でサーバーのバックアップ用電源や家庭用、事業所用、工場用の電源装置として、さらにはアシスト自転車の駆動用電力源や電動スクータ、電動カート、あるいはハイブリッド車や電気自動車などの車両の駆動用電源等に利用できる。以下、本発明の一実施形態として、携帯型の電動機器用の電源として用いる電池パックについて説明する。

　［実施形態１］
　本発明の実施形態１に係る電池パック１００を図１ないし図５に示す。図１は電池パックの外観斜視図を、図２は図１の電池パックの分解斜視図を、図３は図１の電池パックの垂直断面図を、図４及び図５は図１の電池パックの垂直断面斜視図及び水平断面斜視図をそれぞれ示している。これらの図に示す電池パック１００は、複数の二次電池セル１を収納してなる電池ユニット１０を外装ケース２に収納している。

　（電池ユニット１０）
　電池ユニット１０は、電池ホルダ１１の内部に複数の二次電池セル１を収納して定位置に配置している。電池ユニット１０は、外装ケース２の内部に収納されるよう、電池ホルダ１１の外形を外装ケース２の内形よりも一回り小さく形成している。電池ホルダ１１の分解斜視図を図６に示す。この電池ホルダ１１は、図２及び図６に示すように、二次電池セル１と基板３０を保持する。二次電池セル１と基板３０をセットした電池ホルダ１１は、電池ユニット１０を形成する。基板３０は、電池ホルダ１１の一面に載置されて固定される。

　（二次電池セル１）
　各二次電池セル１は、その外装缶を円筒形とする円筒形二次電池セルである。円筒形二次電池セルは、両側の端面に電極面を有する。また一方の電極面には、安全弁を備えている。安全弁は、外装缶の内圧が上昇すると開弁して、内部のガスを放出するための部材である。なお安全弁は一般には正極側に設けられるが、本発明は安全弁を設ける位置を正極側に特定するものでなく、他の位置、例えば負極側としてもよい。

　このような二次電池セル１は、円筒形のリチウムイオン二次電池が好適に利用できる。

　ただ本発明の電池パックは、二次電池セルを円筒形電池には特定せず、またリチウムイオン二次電池にも特定しない。二次電池セルには、充電できるすべての電池、例えばニッケル水素電池やニッカド電池なども使用できる。

　（電池ホルダ１１）
　電池ホルダ１１は、複数の二次電池セル１を保持している。この電池ホルダ１１は、２つのサブホルダ１１Ａ、１１Ｂに二分割されて複数の二次電池セル１を長さ方向から挟み込んで保持する。サブホルダ１１Ａ、１１Ｂはそれぞれ、円筒型の二次電池セル１を収納する円筒状の収納空間１２を形成している。この例では４本の二次電池セル１を２行×２列の姿勢に積層して保持している。図の電池ホルダ１１は、複数の円筒型の二次電池セル１を複数段に積層された状態で収納する構造として、両側面には、積層される円筒型の二次電池セル１の外形に沿う形状の谷部１４を形成している。

　二次電池セル１の本数や積層方法は、この構成に限定されず、３本以下、あるいは５本以上を保持してもよい。また２段に限られず、１段すなわち全ての二次電池セルを同一面に並べてもよいし、あるいは３段以上積層してもよい。またマトリックス状に配置する他、各段で交互になるように千鳥状に配置してもよい。例えば収納空間を二段として、上下段で収納空間の円筒の中心をオフセットさせて配置することで、電池ホルダの厚さを抑えることができる。この電池ホルダ１１は、絶縁性、耐熱性に優れた材質で構成され、例えばポリカーボネートやＡＢＳ等の樹脂製とする。

　さらに電池ホルダ１１の上面は、基板３０を載置する載置領域としている。図３に示す電池ユニット１０は、電池ホルダ１１の上面との間に隙間を設けて基板３０を配置している。図２の基板３０は、電池ホルダ１１の上面との間に所定の間隔の隙間を形成するために、基板３０の四隅部に脚部３１を設けている。さらに、電池ホルダ１１は、基板３０を定位置に固定するための連結ボス１３をサブホルダ１１Ａ、１１Ｂの上面に設けている。

　基板３０は、連結ボス１３に案内される連結部３２を下面に設けており、連結部３２が連結ボス１３に案内されて電池ホルダ１１の定位置に固定される。ただ、電池ユニットは、基板の設置領域に、基板を保持する枠体を形成することもでき、あるいは、基板を保持する基板ホルダを別途設けてもよい。

　（リード板）
　二次電池セル１の端面にはリード板（図示せず）が固定される。リード板を介して、複数の二次電池セル１は直列や並列に接続される。リード板は金属板で構成され、二次電池セル１と溶接される。リード板を所定の位置に位置決めするよう、電池ホルダ１１の内面には、リード板の外形に沿ったリード位置決めガイドが形成される。なおリード板は、電池ホルダの内面側でなく、外面側に配置してもよい。この場合は二次電池セルを電池ホルダの収納空間に挿入した後、電池ホルダから表出された二次電池セルの電極面に対して、リード板を固定する。このようにリード板を介して直列や並列に接続された二次電池セル１で構成された電池ユニット１０の出力は、電池パック１００から出力される。

　（基板３０）
　基板３０は、二次電池セル１が直列や並列に接続された電池ブロックの総電位や、中間の電位を検出する電圧検出回路、充放電を制御する制御回路、安全回路等の電子回路が実装される。基板３０は、矩形状に形成されている。

　（外装ケース２）
　電池ユニット１０を収納する外装ケース２は、直方体の箱形に形成される。図１～図５の例では、外装ケース２を第１のケース２Ａと第２のケース２Ｂに二分割して、電池ユニット１０を上下から挟みこむようにして収容している。第１のケース２Ａと第２のケース２Ｂの分割方向は、電池ホルダ１１をサブホルダ１１Ａ、１１Ｂに分割する方向と９０°交差されており、これにより衝撃に対する耐性を高めることができる。

　図１～図４に示す第１のケース２Ａと第２のケース２Ｂは、表面プレート３の周囲に周壁４を設けて、全体の形状を片側開口で有底の箱形としている。第１のケース２Ａ及び第２のケース２Ｂは、表面プレート３と周壁４をプラスチックで一体的に成形している。図の第１のケース２Ａ及び第２のケース２Ｂは、絶縁性に優れた材質、例えばポリカーボネートやＡＢＳ等の樹脂製としている。第１のケース２Ａは、第１の表面プレート３Ａの周囲に第１の周壁４Ａを有しており、第２のケース２Ｂは、第２の表面プレート３Ｂの周囲に第２の周壁４Ｂを有している。第１のケース２Ａと第２のケース２Ｂは、第１の周壁４Ａと第２の周壁４Ｂが開口端部で連結されて、閉鎖構造の内部に電池ユニット１０が収納される。

　さらに、図１～図４に示す第１のケース２Ａは、第１の表面プレート３Ａに多数の排気孔１７を開口しており、電池パック１００の内部に収納されたいずれかの二次電池セル１から排出されるガスを外装ケース２の外部に排出する量を調整することで、排出ガスが一気に外部に噴出されるのを抑制して、炎が電池パック１００の外部に漏れ出る事態を抑制している。図３に示す電池パック１００は、外装ケース２の内部に収納される電池ユニット１０の上面であって、多数の排気孔１７を開口した第１の表面プレート３Ａと対向する位置に基板３０を配置しており、この基板３０と第１の表面プレート３Ａとの間に排出ガスの通過量を制限する制限隙間１９を設けて、この制限隙間１９に排出ガスを通過させて外部に排出するようにしている。このように、基板３０と表面プレート３との間に制限隙間１９を設けて排気孔１７から排出する量を調整することで、外部に排出される排出ガスの勢いを抑制して、内部にたまった排出ガスを安全に外部に排出できるようにしている。

　第１の表面プレート３Ａに開口された多数の排気孔１７は、図の鎖線で示すように、排出されるガスの熱で溶融されるラベル１８を貼着して閉塞される。

　図１～図４に示す第１のケース２Ａ及び第２のケース２Ｂは、各々の周壁４の開口端に沿って、互いに内面と外面に積層されてなる積層プレート５を一体構造に連結して設けている。図の外装ケース２は、第１のケース２Ａと第２のケース２Ｂの周壁４の横断面形状を略長方形状としており、周壁４の開口縁の全周にわたって積層プレート５を設けている。第１の周壁４Ａは、外面に積層されてなる第１の積層プレート５Ａを連結しており、第２の周壁４Ｂは、内面に積層されてなる第２の積層プレート５Ｂを連結している。

　第１の積層プレート５Ａは、図３及び図４に示すように、第１のケース２Ａの開口端から第１の周壁４Ａに向かって伸びる姿勢で設けられており、第１の周壁４Ａの先端縁から周壁４の延在方向に突出するように一体成形されている。第１の積層プレート５Ａは、第１の周壁４Ａよりも薄く成形されており、第１の積層プレート５Ａの外面が第１の周壁４Ａの外面と同一平面上に位置し、第１の積層プレート５Ａの内面が第１の周壁４Ａの内面よりも低くなる段差形状となるように形成されている。

　第２の積層プレート５Ｂは、図２～図４に示すように、第２のケース２Ｂの開口端から第２の周壁４Ｂに向かって伸びる姿勢で設けられており、第２の周壁４Ｂの先端面から周壁４の延在方向に突出するように一体成形されている。第２の積層プレート５Ｂは、第２の周壁４Ｂよりも薄く成形されており、第２の積層プレート５Ｂの内面が第２の周壁４Ｂの内面と同一平面上に位置し、第２の積層プレート５Ｂの外面が第２の周壁４Ｂの外面よりも低くなる段差形状となるように形成されている。

　第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂは、図３～図５に示すように、互いに積層された状態で連結される。第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂは、第１の積層プレート５Ａの内周面に第２の積層プレート５Ｂの外周面が面接触状態で積層されて互いに連結される。図３～図５及び図７に示す外装ケース２は、第１の積層プレート５Ａを第２の積層プレート５Ｂよりも厚く成形している。第１の積層プレート５Ａの厚さ（ｄ１）は、第１の周壁４Ａの厚さの１／２よりも厚くしており、第２の積層プレート５Ｂの厚さ（ｄ２）の、１．２倍以上、好ましくは１．５倍以上としている。このように、第１の積層プレート５Ａを厚く成形する外装ケース２は、排出ガスの排出時における第１の積層プレート５Ａの変形を効果的に抑制できる特長がある。とくに、高圧の排出ガスが第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂの連結部の境界を通過する際に、第１の積層プレート５Ａがガス圧で外側方向に変形するのを有効に防止できる。これに対して第２の積層プレート５Ｂの厚さ（ｄ２）は、第２の周壁４Ｂの厚さの１／２よりも薄くしており、第１の積層プレート５Ａの厚さ（ｄ１）の、０．８倍以下、好ましくは０．６倍以下としている。このように、第２の積層プレート５Ｂを薄く成形する構造は、排出ガスの排出時において変形されやすくなるが、内周面に補強マウント部６を設けることで第２の積層プレート５Ｂを補強している。

　（補強マウント部６）
　第２の周壁４Ｂは、第２の積層プレート５Ｂの開口端部の内周面に、内側に向かって突出する補強マウント部６を一体構造で設けている。この補強マウント部６は、第２の積層プレート５Ｂを内側から補強して変形を抑制すると共に、詳細には後述するが、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂの積層部分を連結する固定ネジ８のネジ部８Ａをねじ込む固定部に兼用される。第２の積層プレート５Ｂは、補強マウント部６を大きくすることで、効果的に強度を高めることができる。ただ、補強マウント部６を大きくすると、その製造工程や、組立工程において制約を受けるので、これらのことを考慮してその大きさや形状を決定する。例えば、第２のケース２Ｂの第２の積層プレート５Ｂから内側に突出する補強マウント部６は、図２に示すように、上方開口の第２のケース２Ｂに対して開口部から電池ホルダ１１を無理なく挿入できるように突出量（ｔ）が特定される。言い換えると、第２の積層プレート５Ｂに設ける補強マウント部６は、第２のケース２Ｂの開口部から電池ホルダ１１を挿入できる範囲内で最大限まで突出量（ｔ）を大きくすることができる。

　図２に示す外装ケース２は、第２の積層プレート５Ｂの横断面形状を略長方形状とすると共に、長方形の長辺側に位置する第２の積層プレート５Ｂの内周面の２カ所に補強マウント部６を設けている。図２に示す第２の積層プレート５Ｂは、全体の形状を四角錐台形状として、長方形の長辺の両端部に設けている。この形状の補強マウント部６は、底面を広くしながら突出方向に向かって次第に面積を狭くすることで、補強マウント部の体積を確保しながら優れた強度を実現できる。ただ、補強マウント部は、円錐台形状や直方体形状とすることもできる。円柱や球を部分的にカットした形状とすることもできる。図２に示す外装ケースは、１辺の第２の積層プレート５Ｂに対して２個の補強マウント部６を設けているが、補強マウント部６は、１辺の第２の積層プレート５Ｂに対して１個設けることも、３個以上設けることもできる。図８に示す補強マウント部６は、第２の積層プレート５Ｂの開口縁に沿って延長された凸条としている。この形状の補強マウント部６を備える外装ケース２は、さらに、第２の積層プレート５Ｂの変形が抑制して、より効果的に積層部分の破綻を抑制できる特長がある。

　さらに、補強マウント部６は、図３の鎖線で示すように、第２の積層プレート５Ｂの内面から、第２の周壁４Ｂの内面まで延長して設けることもできる。このように、補強マウント部６を第２の周壁４Ｂまで延長する構造は、横断面における曲げ方向への断面二次モーメントを大きくして外側方向への変形をさらに抑制できる特長がある。このため、外装ケース２の内部に収納されたいずれかの二次電池セル１からガスが排出されて、第２の積層プレート５Ｂを内側から外側へ向かって変形させる力が作用しても、補強マウント部６が第２の積層プレート５Ｂの変形を抑制して、外装ケース２の連結部の破綻を効果的に防止して排出ガスが一気に外部に噴出されるのを有効に防止できる。

　ここで、内側面に補強マウント部のない第２の積層プレートは外装ケースの内部の圧力が上昇すると、第２の積層プレート全体が均等に湾曲する状態となって中央部分の変形量が大きくなる。これに対して、内側面に補強マウント部を設けた第２の積層プレートは、外装ケースの内部の圧力が上昇した場合においても、補強マウント部を設けた領域は部分的に変形が抑制されるので、第２の積層プレート全体が均等に湾曲することなく全体としての変形が抑制されて、中央部分の変形量が小さくなる。したがって、第２の積層プレートは、内側に突出する補強マウント部を設けることで第２の積層プレート全体としても変形が抑制されて、この部分の破綻が抑制される。

　（固定ネジ８）
　さらに、図１～図５、及び図７に示す外装ケース２は、互いに積層される第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂの積層部分を固定ネジ８を介して固定している。図に示す外装ケース２は、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂの積層部分において、外側から内側に向かって固定ネジ８をねじ込んでおり、第１の積層プレート５Ａを貫通する固定ネジ８を第２の積層プレート５Ｂにねじ込むことで、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂとを密着された状態に連結している。さらに、図に示す外装ケース２は、第１の積層プレート５Ａを貫通して第２の積層プレート５Ｂにねじ込まれた固定ネジ８を補強マウント部６にねじ込んで固定している。すなわち、第２の積層プレート５Ｂの内周面に設けた補強マウント部６を固定ネジ８をねじ込む固定部に兼用している。

　固定ネジ８には、好ましくはタッピングネジが使用される。タッピングネジである固定ネジ８は、ネジ部８Ａがねじ込まれる固定部に雌ネジ穴を設けることなく、ネジ部８Ａをねじ込むことで補強マウント部６に固定できる特長がある。さらに、図に示す固定ネジ８は、ネジ頭８Ｂを平板状としている。ネジ頭８Ｂを平板状とすることで、ネジ頭８Ｂを薄くして、固定ネジ８をねじ込んだ状態での外装ケース２の表面からの突出量を少なくできる。

　（貫通孔７）
　図７に示す第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂは、積層部分の対向する位置に固定ネジ８を挿通するための貫通孔７を同軸に開口して設けている。第１の積層プレート５Ａには、第１の貫通孔７Ａを開口している。この第１の貫通孔７Ａは通し穴で、固定ネジ８を無理なくスムーズに挿通できるようにしている。第２の積層プレート５Ｂには、第２の貫通孔７Ｂを開口している。この第２の貫通孔７Ｂは、固定ネジ８のネジ部８Ａの外径よりも小さな内径の誘導穴としている。この第２の貫通孔７Ｂは、例えば、固定ネジ８のネジ部８Ａを低抵抗に通過させることなく、ネジ部８Ａをねじ込むことで固定ネジ８を補強マウント部６に対して固定できる構造としている。誘導穴である第２の貫通孔７Ｂは、固定ネジ８のネジ部８Ａの先端部を定位置に案内して固定ネジ８を正確な位置にねじ込みできる。図７に示す第２の貫通孔７Ｂは、固定ネジ８の先端部をスムーズに案内しながら、ネジ部８Ａをねじ込むことで、ネジ部８Ａの後端部を大きな抵抗でねじ込んで確実に固定できる。図７の第２の貫通孔７Ｂは、一様な内径としているが、誘導穴である第２の貫通孔７Ｂは、たとえば、テーパ穴や段付き穴とすることもできる。

　（凹部９）
　さらに、図２及び図７に示す第１の積層プレート５Ａは、固定ネジ８を挿通する第１の貫通孔７Ａの開口縁部に、固定ネジ８のネジ頭８Ｂを案内する凹部９を設けている。図に示す固定ネジ８は、ネジ頭８Ｂを平板状としているので、図の凹部９は、全体を一様な深さ（ｈ）であって、その深さ（ｈ）をネジ頭８Ｂの厚さ（ｋ）以上としている。この形状の凹部９は、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂとを連結する固定ネジ８のネジ頭８Ｂが、外装ケース２の外周面から大きく突出するのを防止して、電池パック１００の外形が大きくなるのを有効に防止できる。ただ、固定ネジは、外装ケースの表面から多少突出してもよい。

　以上の外装ケース２は、図２及び図５に示すように第１のケース２Ａの第１の周壁４Ａと第２のケース２Ｂの第２の周壁４Ｂの横断面形状を長方形状として、周壁４の開口縁部の全周にわたって積層プレート５を設けている。さらに、横断面視長方形状の周壁４の長辺側に位置する積層プレート５を固定ネジ８で連結して固定している。このように、周壁４の横断面形状を長方形状とする第１のケース２Ａ及び第２のケース２Ｂの長辺に位置する積層プレート５を固定ネジ８で固定する構造は、短辺に対して変形し易い長辺側の積層プレート５を固定ネジ８で確実に連結できる特長がある。ただ、外装ケースは、長方形状の周壁の短辺側に位置する積層プレートを固定ネジで固定することもできる。この構造は、周壁の全周にわたって積層プレートを固定ネジで連結して、外装ケースの連結部の破綻をより有効に防止できる。

　さらに、以上の電池パックは、横断面視長方形状の周壁４の長辺側に位置する積層プレート５の複数箇所を固定ネジ８で連結して固定している。図に示す電池パック１００は、長辺側に位置する積層プレート５の２カ所を固定ネジ８で固定している。ただ、電池パックは、長辺側に位置する積層プレート５の１カ所を、又は３カ所以上を固定ネジ８で固定することもできる。

　さらに、長辺側に位置する積層プレート５を固定ネジ８で連結する電池パック１００は、図３に示すように、積層プレート５を連結する固定ネジ８の位置を、外装ケース２に収納される電池ホルダ１１の谷部１４と対向する位置としている。図２及び図６に示す電池ユニット１０は、複数の円筒型の二次電池セル１を電池ホルダ１１に収納しており、電池ホルダ１１は、複数の二次電池セル１を複数段に積層された状態で収納して、両側面には積層される二次電池セル１の外形に沿う谷部１４を形成している。この電池パック１００は、電池ホルダ１１の谷部１４と対向する領域において、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂとを固定ネジ８で連結するので、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂとを貫通する固定ネジ８の先端が外装ケース２の内部まで侵入しても、固定ネジ８の先端が電池ホルダ１１の谷部１４に位置することで二次電池セル１に接触することがない。したがって、外装ケース２に収納される二次電池セル１に悪影響を及ぼすことなく、固定ネジ８を補強マウント部６に貫通させて確実にネジ止めして、強固に連結できる。

　（係止構造２０）
　さらに、電池パック１００は、固定ネジ８を介して連結された第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂとを係止構造で連結することもできる。係止構造は、例えば、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂのいずれか一方の対向面に突出して設けた係止凸部と、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂのいずれか他方の対向面であって、係止凸部と対向する位置に設けられて、係止凸部を係止する係止部とすることができる。係止部は、係止凸部を係止可能な係止凹部や係止孔とすることができる。

　図８及び図９は、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂとを係止構造２０で連結する一例を示している。図に示す係止構造２０は、第１の積層プレート５Ａの内周面に設けた係止凸部２１と、第２の積層プレート５Ｂの外周面に設けた係止凹部２２としている。この係止構造２０は、第１の積層プレート５Ａに設けた係止凸部２１をフック形状として、第２の積層プレート５Ｂに設けた係止凹部２２を、フック形状の係止凸部２１を係止状態で案内でき断面視矩形状の凹部としている。さらに、図８に示す係止構造２０は、長辺側に位置する積層プレート５であって、固定ネジ８を介して連結される積層プレート５に設けている。このように、固定ネジ８で連結される積層プレート５を係止構造２０で係止する構造は、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂが固定ネジ８を介して密着状態に連結されるので、係止凸部２１と係止凹部２２とが確実に係止状態に保持される特長が実現される。

　さらに、図８及び図９に示す第２の積層プレート５Ｂは、第２の積層プレート５Ｂに設ける係止凹部２２と対向する内周面に補強マウント部６を設けている。図８に示す補強マウント部６は、第２の積層プレート５Ｂの開口縁に沿って延長された凸条として、固定ネジ８をねじ込む固定部を兼ねているが、補強マウント部６は、係止凹部２２と対向する位置に設けて係止凹部を補強することもできる。このように、係止凹部２２を設ける位置に対向して補強マウント部６を設ける構造は、係止凹部２２を深く形成することができるので、係止凸部２１の突出量を大きくでき、係止凸部２１をより確実に係止凹部２２に係止させて外れにくくできる特長がある。例えば、第２の周壁４Ｂよりも薄く成形される第２の積層プレート５Ｂは、第２の積層プレート５Ｂの厚さにより係止凹部２２の深さに制約を受けるが、係止凹部２２の位置に補強マウント部６を設けることで、係止凹部を理想的な深さとしながら設けることができる。

　（位置決めプレート１６）
　さらに、電池パックは、図１０及び図１１に示す構造とすることもできる。これらの図に示す電池パック２００は、電池ホルダ１１の谷部１４に、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂとを貫通する固定ネジ８の先端を接触させる位置決めプレート１６を設けている。図に示す位置決めプレート１６は、第１の積層プレート５Ａと第２の積層プレート５Ｂとを貫通してねじ込まれた固定ネジ８の先端が当接し、あるいは、押圧する状態で接触する位置に設けられている。図に示す位置決めプレート１６は、電池ホルダ１１の一部としているが、位置決めプレート１６は、電池ホルダと別部材として配置することもできる。

　このように、積層プレート５にねじ込まれた固定ネジ８は、先端が位置決めプレート１６に接触することで、固定ネジ８の姿勢を正しく保持できる特長がある。それは、図１１に示すように、外装ケース２の内部の圧力が上昇して、第１の周壁４Ａが矢印Ａで示す方向に引っ張られ、第２の周壁４Ｂがその反作用で矢印Ｂで示す方向に引っ張られた場合に、固定ネジ８のネジ部８Ａは、後端部８ａが矢印Ａで示す方向に引っ張られ、中間部８ｂが矢印Ｂで示す方向に引っ張られる状態となる、このとき、固定ネジ８のネジ部８Ａは水平姿勢から傾く方向に力を受けることになるが、図１１に示すようにネジ部８Ａの先端部８ｃが位置決めプレート１６に接触することで、図の矢印Ｃで示す方向に力を受けることになり、ネジ部８Ａの傾斜が抑制される。したがって、固定ネジ８の先端部８ｃが接触する位置決めプレート１６を設けることで、ネジ部８Ａを安定した姿勢に保持できる。

　本発明に係る電池パックは、電動クリーナや電動工具などの携帯型電気機器の電源として好適に利用できる。また、アシスト自転車や電動カートなどの移動体用の電源装置等の用途にも適宜利用できる。

１００、２００…電池パック
１…二次電池セル
２…外装ケース
２Ａ…第１のケース
２Ｂ…第２のケース
３…表面プレート
３Ａ…第１の表面プレート
３Ｂ…第１の表面プレート
４…周壁
４Ａ…第１の周壁
４Ｂ…第２の周壁
５…積層プレート
５Ａ…第１の積層プレート
５Ｂ…第２の積層プレート
６…補強マウント部
７…貫通孔
７Ａ…第１の貫通孔
７Ｂ…第２の貫通孔
８…固定ネジ
８Ａ…ネジ部
８ａ…後端部
８ｂ…中間部
８ｃ…先端部
８Ｂ…ネジ頭
９…凹部
１０…電池ユニット
１１…電池ホルダ
１１Ａ、１１Ｂ…サブホルダ
１２…収納空間
１３…連結ボス
１４…谷部
１６…位置決めプレート
１７…排気孔
１８…ラベル
１９…制限隙間
２０…係止構造
２１…係止凸部
２２…係止凹部
３０…基板
３１…脚部
３２…連結部
９２…外装ケース
９３…嵌合連結部
９４…流路
９５…積層部

Claims

　外装ケースに電池ユニットを収納してなる電池パックであって、
　前記外装ケースが、
　　第１の表面プレートの周囲に第１の周壁を有する第１のケースと、
　　第２の表面プレートの周囲に第２の周壁を有する第２のケースとを備え、かつ
　前記第１のケースと前記第２のケースは、前記第１の周壁と前記第２の周壁が開口端部で連結されて、閉鎖構造の内部に前記電池ユニットが収納されてなり、
　前記第１の周壁と前記第２の周壁は、開口端に沿って、互いに内面と外面に積層されてなる積層プレートを一体構造に連結してなり、
　前記第１の周壁は外面に積層されてなる第１の積層プレートを連結してなり、
　前記第２の周壁は内面に積層されてなる第２の積層プレートを連結してなり、
　前記第２の積層プレートは、開口端部の内周面に、内側に向かって突出してなる補強マウント部を一体構造で設けており、
　さらに、互いに積層される前記第１の積層プレートと前記第２の積層プレートを貫通して連結する固定ネジを備えており、
　前記固定ネジが前記第１の積層プレートを貫通して前記第２の積層プレートにねじ込まれると共に、前記第２の積層プレートの前記補強マウント部を前記固定ネジをねじ込む固定部に兼用してなる電池パック。
　請求項１に記載の電池パックであって、
　前記固定ネジがタッピングネジである電池パック。
　請求項２に記載の電池パックであって、
　前記第１の積層プレートと前記第２の積層プレートが、対向する位置に前記固定ネジを挿通するための貫通孔を同軸に開口しており、
　前記第１の積層プレートに設けた第１の貫通孔が通し穴で、前記第２の積層プレートに設けた第２の貫通孔が、前記固定ネジのネジ部の外径よりも小さな内径の誘導穴である電池パック。
　請求項３に記載の電池パックであって、
　前記第１の積層プレートが、前記固定ネジを挿通する前記第１の貫通孔の開口縁部に、前記固定ネジのネジ頭を案内する凹部を備える電池パック。
　請求項４に記載の電池パックであって、
　前記固定ネジの前記ネジ頭が平板状で、前記第１の貫通孔の開口縁部に設けた前記凹部の深さ（ｈ）が前記ネジ頭の厚さ（ｋ）以上である電池パック。
　請求項１ないし５のいずれか一項に記載の電池パックであって、
　前記第１の積層プレートが前記第２の積層プレートよりも厚く成形されてなる電池パック。
　請求項１ないし６のいずれか一項に記載の電池パックであって、
　前記補強マウント部が、前記第２の積層プレートの開口縁に沿って延長された凸条である電池パック。
　請求項１ないし７のいずれか一項に記載の電池パックであって、
　前記第１のケースの前記第１の周壁と前記第２のケースの前記第２の周壁が横断面形状を長方形状として、周壁の開口縁部の全周にわたって前記積層プレートを設けると共に、
　横断面視長方形状の前記周壁の長辺側に位置する前記積層プレートを前記固定ネジで連結してなる電池パック。
　請求項８に記載の電池パックであって、
　横断面視長方形状の前記周壁の長辺側に位置する前記積層プレートの複数箇所を前記固定ネジで連結してなる電池パック。
　請求項１ないし９のいずれか一項に記載の電池パックであって、
　前記固定ネジを介して連結された前記第１の積層プレートと前記第２の積層プレートを係止構造で連結してなり、
　前記係止構造が、
　　前記第１の積層プレートと前記第２の積層プレートのいずれか一方の対向面に突出して設けた係止凸部と、
　　前記第１の積層プレートと前記第２の積層プレートのいずれか他方の対向面であって、前記係止凸部と対向する位置に設けられて、前記係止凸部を係止する係止部である電池パック。
　請求項１０に記載の電池パックであって、
　前記係止凸部が、前記第１の積層プレートの内周面に設けられると共に、
　前記係止部が、前記第２の積層プレートの外周面に設けた係止凹部で、
　前記第２の積層プレートが前記係止凹部と対向する内周面に前記補強マウント部を備える電池パック。
　請求項１ないし１１のいずれか一項に記載される電池パックであって、
　前記電池ユニットは、複数の円筒型の二次電池セルを電池ホルダに収納しており、
　前記電池ホルダは、複数の前記二次電池セルを複数段に積層された状態で収納すると共に、両側面には、積層される前記二次電池セルの外形に沿う谷部を形成しており、
　前記電池ホルダの前記谷部と対向する領域において、前記第１の積層プレートと前記第２の積層プレートとを前記固定ネジで連結してなる電池パック。
　請求項１２に記載される電池パックであって、
　前記電池ホルダは、前記谷部に、前記第１の積層プレートと前記第２の積層プレートとを貫通する前記固定ネジの先端を接触させる位置決めプレートを備える電池パック。