WO2023182338A1 - 鋼板加工装置および鋼板加工方法 - Google Patents

鋼板加工装置および鋼板加工方法 Download PDF

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Abstract

この鋼板加工装置は、一つ以上の支持ロールと、レーザ照射ユニットとを有する。前記レーザ照射ユニットは、レーザ出力部と、走査光学部と、集光光学部と、筐体と、前記筐体の前記鋼板に対する角度を変える角度調整部と、を有する。前記角度調整部は、レーザビームで鋼板の表面を走査する際に、前記集光光学部で集光される前記レーザビームが、前記鋼板の表面における前記レーザビームの走査領域の全長にわたり、前記集光光学部から前記鋼板の表面までの距離が等しくなるように、前記鋼板の法線方向と走査方向とのなす面内における前記筐体の角度を変える。前記レーザ照射ユニットは、前記角度調整部で前記筐体の角度を変えた状態で、前記レーザビームを照射し、前記鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する。

Description

鋼板加工装置および鋼板加工方法
 本発明は、鋼板加工装置および鋼板加工方法に関する。
 本願は、2022年3月24日に、日本国に出願された特願2022-049035号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 トランスの鉄芯に供されて電力損失の改善に寄与する電磁鋼板が知られている。このような電磁鋼板の製造過程においては、鋼板を高速で通板しながら板幅方向にほぼ平行な方向に集光したレーザビームを走査照射して線状の歪や溝を一定間隔で形成し、鉄損を低減するいわゆる磁区制御プロセスが行われる。線状の歪や溝を形成する磁区制御が行われると、鋼板を磁化した際の磁束密度は低下し、特に線状溝の形成方向が板幅方向と一致する場合には、磁束密度の低下が顕著になることが知られている。
 また、磁区制御された電磁鋼板を巻き鉄芯に使用する場合は、後工程で鋼板が曲げ加工されるため、磁区制御のために線状の溝を形成した際に板幅方向と線状溝の方向が一致していると、鋼板が曲げ加工される際に溝に応力集中が発生して、鋼板が破断するおそれがある。そのため、線状溝の方向と板幅方向が平行にならないようにすることが望ましく、例えば特許文献1には線状溝の方向を板幅方向に対して4°程度傾ける技術が開示されている。
 ここで、レーザビームを鋼板に照射する際に、鋼板に照射されるレーザビームの一部は反射されてレーザ照射ユニット側に戻り、場合によっては装置内の部品やレーザ照射ユニットそのものを破損してしまう可能性がある。レーザビームの一部が反射されてレーザ照射ユニット側に戻るおそれは、鋼板に溝を形成する場合だけでなく、歪を形成する場合でも同様に生じるおそれがある。
 特許文献1に開示された技術によれば、支持ロールの表面に円弧状に接して湾曲しながら搬送される鋼板の表面に対して、支持ロールの中心軸を通るようなレーザビームの照射位置を基準点として、基準点から支持ロールの外周面に沿って3°~7°の角度をおいて離隔した位置にレーザビームを照射する。このようにすることで、レーザビームが照射される位置では鋼板が傾斜するため、レーザビームが鋼板から照射装置に正反射することを防止できる。
日本国特表2019-512047号公報
 レーザビームの照射位置において鋼板が通板方向において傾斜しており、且つ、線状溝方向が板幅方向から4°程度傾いている場合には、走査照射されるレーザビームの光源点から鋼板までの距離が走査方向の両端で異なる。そのため、鋼板上に照射されるレーザビームに焦点ずれが発生し、安定した溝や歪の形成が困難となるおそれがある。そこで、特許文献1に開示の技術においては、レーザビームの光源点から鋼板までの距離が走査方向の両端で一致するように支持ロールが傾斜されている。しかしながら、支持ロールを傾斜させると鋼板の両端で張力差が発生しやすくなり通板時に蛇行する原因となるだけでなく、板幅方向で張力変化が発生して鋼板が破断するおそれがあるという課題がある。
 本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、支持ロールを傾けることなく、鋼板上に照射されるレーザビームの焦点ずれを抑制して均一な溝部又は歪部を形成する鋼板加工装置及び鋼板加工方法を提供することを目的とする。
 本発明の一態様は、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する鋼板加工装置であって、回転軸が鋼板の板幅方向に対して平行となるように配置され、回転軸を中心に回転することで外表面において支持した鋼板を板幅方向に垂直な搬送方向へ搬送する一つ以上の支持ロールと、支持ロールの近傍又は支持ロール間に位置する鋼板の表面にレーザビームを照射し、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成するレーザ照射ユニットと、を有する。レーザ照射ユニットは、鋼板の表面に照射されるレーザビームを出力するレーザ出力部と、レーザ出力部から出力されたレーザビームを反射し、レーザビームの進行方向を変動させる走査光学部と、走査光学部で進行方向を変動させたレーザビームを集光し、鋼板の表面を板幅方向と交差する方向である走査方向に走査するようにレーザビームを鋼板の表面に照射する集光光学部と、レーザ出力部、走査光学部及び集光光学部を内部に収納する筐体と、筐体の、鋼板に対する角度を変える角度調整部と、を有する。角度調整部は、レーザビームで鋼板の表面を走査する際に、集光光学部で集光されるレーザビームが、レーザビームの光路によらず走査線全長にわたり鋼板の表面で集光されるように、鋼板の法線方向と走査方向とのなす面内における筐体の角度を変える。言い換えると、角度調整部は、レーザビームで鋼板の表面を走査する際に、集光光学部で集光されるレーザビームが、鋼板の表面におけるレーザビームの走査領域の全長にわたり集光光学部(光源点)から鋼板表面までの距離が等しくなるように、鋼板の法線方向と走査方向とのなす面内における筐体の角度を変える。そして、レーザ照射ユニットは、角度調整部で筐体の角度を変えた状態で、レーザビームを照射し、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する。
 本発明の他の態様は、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する鋼板加工方法であって、回転軸が鋼板の板幅方向に対して平行となるように配置され、回転軸を中心に回転することで外表面において支持した鋼板を板幅方向に垂直な搬送方向へ搬送する一つ以上の支持ロールと、支持ロールの近傍又は複数の支持ロール間に位置する鋼板の表面にレーザビームを照射し、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成するレーザ照射ユニットと、を有し、レーザ照射ユニットは、鋼板の表面に照射されるレーザビームを出力するレーザ出力部と、レーザ出力部から出力されたレーザビームを反射し、レーザビームの進行方向を変動させる走査光学部と、走査光学部で進行方向を変動させたレーザビームを集光し、鋼板の表面を板幅方向と交差する方向である走査方向に走査するようにレーザビームを鋼板の表面に照射する集光光学部と、レーザ出力部、走査光学部及び集光光学部を内部に収納する筐体と、筐体の、鋼板に対する角度を変える角度調整部と、を有する、鋼板加工装置を用いる。そして、この鋼板加工方法は、角度調整部によって、レーザビームで鋼板の表面を走査する際に、集光光学部で集光されるレーザビームが、レーザビームの光路によらず鋼板の表面で集光されるように、鋼板の法線方向と走査方向とのなす面内における筐体の角度を変える角度調整ステップと、レーザ照射ユニットによって、角度調整部で筐体の角度を変えた状態で、レーザビームを照射し、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する加工ステップと、を有する。
 すなわち、上記他の態様は、鋼板加工装置を用いて、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する鋼板加工方法である。鋼板加工装置は、回転軸が鋼板の板幅方向に対して平行となるように配置され、回転軸を中心に回転することで外表面において支持した鋼板を板幅方向に垂直な搬送方向へ搬送する一つ以上の支持ロールと、支持ロールの近傍又は複数の支持ロール間に位置する鋼板の表面に対して集光光学部からレーザビームを照射し、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成するレーザ照射ユニットと、を有する。そして、この鋼板加工方法は、レーザビームで鋼板の表面を走査する際に、鋼板の表面におけるレーザビームの走査領域の全長にわたり集光光学部(光源点)から鋼板表面までの距離が等しくなるように、鋼板の法線方向と前記レーザビームの走査方向とのなす面内におけるレーザ照射ユニットの筐体の角度を変える角度調整ステップと、筐体の角度を変えた状態で、集光光学部からのレーザビームを照射し、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する加工ステップと、を有する。
 本発明の上記態様の鋼板加工装置には、レーザ照射ユニットの筐体の鋼板に対する角度を変える角度調整部が設けられている。角度調整部は、レーザビームが光路によらず鋼板の表面で集光されるように、鋼板の法線方向と走査方向とのなす面内において筐体の角度を変える。すなわち、角度調整部は、レーザビームで鋼板の表面を走査する際に、集光光学部で集光されるレーザビームが、鋼板の表面におけるレーザビームの走査領域の全長にわたり集光光学部から鋼板の表面までの距離が等しくなるように、鋼板の法線方向と走査方向とのなす面内における筐体の角度を変える。その結果、レーザ照射ユニットは、角度調整部により筐体の角度が変えられた状態で、レーザビームを照射し、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する。
 このように、支持ロールを傾斜することなく、角度調整部によって筐体の鋼板に対する角度を変えられるので、通板時の蛇行の発生が抑制されるとともに、板幅方向で張力変化が発生して板が破断するおそれを低減できる。さらに、角度調整部により筐体の鋼板に対する角度を調節することで、筐体に取り付けられたレーザ照射ユニットから照射されるレーザビームは、光路によらず鋼板の表面で集光されるようになる。すなわち、レーザビームの走査領域の全長にわたり集光光学部から鋼板の表面までの距離が等しくなる。よって、レーザビーム走査全幅にわたりレーザビームの焦点ずれを抑制して均一な溝部又は歪部を形成することができる。
 また、本発明の上記態様の鋼板加工方法においても、同様の効果を得ることが可能である。
図1は、本発明の一実施形態を示す図であって、鋼板を加工する鋼板加工装置の斜視図である。 図2Aは、図1のレーザ照射ユニットのYZ面における構成図である。 図2Bは、図1のレーザ照射ユニットのXZ面における構成図である。 図3Aは、図1の矢視Aから見たレーザ照射ユニットの構成図である。 図3Bは、図1の矢視Bから見たレーザ照射ユニットの構成図である。 図4は、レーザ照射方向に移動可能に構成されたレーザ照射ユニットを図1の矢視Aから見た図である。 図5は、レーザ照射方向に移動可能に構成された他の態様のレーザ照射ユニットを図1の矢視Aから見た図である。 図6は、従来技術における鋼板加工装置の概略構成図である。 図7は、鋼板における走査領域の設定箇所を説明する図である。これらのうち、(a)は、本実施形態において走査領域の設定対象とする平坦な箇所を示す。一方、(b)及び(c)は、走査領域の設定対象外となる凹凸湾曲面を有する箇所を示す。さらに、(d)は、本実施形態の対象外となる点状照射を示す。 図8Aは、他の従来技術における鋼板加工装置の概略構成図である。ここで、(a)は支持ロールの軸線に沿った方向から見た図であり、(b)は通板方向に沿って見た図である。 図8Bは、さらに他の従来技術における鋼板加工装置の概略構成図である。ここで、(a)は支持ロールの軸線に沿った方向から見た図であり、(b)は通板方向に沿って見た図である。 図9Aは、他の従来技術において鋼板の一方の端部において支持ロールから離れて浮いた場合を示す図であり、通板方向に沿って見た図である。 図9Bは、図9Aに示す状態において、本実施形態の鋼板加工装置を適用することにより回転されたレーザ照射ユニットによるレーザ照射を示す図であり、通板方向に沿って見た図である。
 以下、図面を参照して、本発明の一実施形態及び変形例について説明する。
 図1は、本実施形態の鋼板加工装置100を示す斜視図である。
 鋼板加工装置100は、レーザ照射ユニット1と、支持ロール2を備える。
 支持ロール2は、回転軸CLが鋼板3の板幅方向に平行となるように配置され、回転軸CLを中心に回転することで外周面の上部で支持される鋼板3が板幅方向に垂直な搬送方向へと通板される。なお、鋼板3は、支持ロール2の外周面の周方向の一部との接触により湾曲して搬送される。支持ロール2は、湾曲した鋼板3を支える一つのロールであってもよく、鋼板3に張力を与える複数の支持ロール2から構成されていてもよい。
 レーザ照射ユニット1は、支持ロール2の近傍に位置する鋼板3の表面に、又は、支持ロール2が複数のロールから構成される場合には各支持ロール2間の鋼板3の表面に、レーザビームを集光し、鋼板3の表面を直線状に走査するように照射することで、鋼板3の表面に溝部又は歪部を形成する。ここで、支持ロール2の回転軸CLが鋼板3の板幅方向に平行となるように配置されるとは、支持ロール2の回転軸CLと鋼板3の板幅方向とが完全に一致する場合の他、支持ロール2で鋼板3を安定して通板できる誤差程度にずれた場合も含み得る。
 なお、この図1においては1台のレーザ照射ユニット1が示されているが、実際に鋼板3の磁区制御を行う場合には、レーザ照射ユニット1が板幅方向に複数台が設けられてもよい。このような構成によって鋼板3の板幅方向の全領域において磁区制御を行うことができる。
 以下、レーザ照射ユニット1の構成の詳細について説明する。レーザ照射ユニット1は、レーザ出力部としてのレーザ出力光学素子11と、走査光学部としてのレーザ走査光学素子12と、集光光学部としてのレーザ集光光学素子13と、筐体14と、角度調整部21と、距離調整部22とを備える。これらレーザ出力光学素子11、レーザ走査光学素子12およびレーザ集光光学素子13(以下、これらをまとめて単に光学素子とも称する)は、例えば、箱状の筐体14の底面に、それぞれの間における相対位置関係が保たれるように固定されている。また、角度調整部21、及び、距離調整部22は、筐体14の角度及び距離を調整する構造であれば、種々の公知の機械的構造を用いることができ、この図においては、説明を簡単にするために単に機能ブロックとして図示されている。
 筐体14には、レーザが透過する開口部であるレーザ透過窓15、並びに、不活性ガスの供給口16及び排出口17が設けられている。角度調整部21、及び、距離調整部22は、それぞれ筐体14の鋼板3に対する角度、及び、筐体14の鋼板3までの距離を調整可能な機構である。角度調整部21による角度の調整動作(角度調整ステップ)については後述の図3A、3Bを用いて説明し、距離調整部22による距離の調整動作については後述の図4、5を用いて説明する。
 レーザ出力光学素子11は、レーザ照射ユニット1の外部に設けられるレーザ装置(不図示)からケーブルを介して伝送されたレーザビームを出力する。例えば、レーザ出力光学素子11は、伝送されたレーザビームを楕円や円形の断面形状を持つ平行ビームに成形するコリメータと、コリメータにより成形されたビームを適切な方向に反射するミラーとを含む。
 レーザ走査光学素子12は、レーザ出力光学素子11から出力されるレーザビームを反射して、且つ、その反射角度を連続的に変更させることでレーザビームを走査する。例えば、レーザ走査光学素子12は、複数の反射平面ミラーを周辺に備えた正多角形の回転ミラーであるポリゴンミラー、または、1つの平面ミラーで反射方向をガルバノメータモータで振動させるガルバノミラーであってもよい。
 レーザ集光光学素子13は、レーザ走査光学素子12により走査された走査レーザビームを、鋼板3の表面上の、板幅方向と交差する方向に直線状に並ぶ位置のいずれかの位置に、例えば、円形又は楕円形の微小スポット光として集光する。例えば、レーザ集光光学素子13は、線形放物面ミラー、fθレンズ、または、フラットフィールドレンズであってもよい。以下では、レーザ集光光学素子13によって集光されて、鋼板3へ走査するように照射されるレーザビームを、走査レーザビームと称するものとする。また、鋼板3の表面において走査レーザビームが照射される領域を走査領域gと称するものとする。
 レーザ出力光学素子11、レーザ走査光学素子12、及び、レーザ集光光学素子13は、走査レーザビームが鋼板3上で所望の集光形状の走査領域gを形成するように、コリメータ及び集光素子の焦点距離や、各光学素子の配置等が定められている。所望の集光形状とは、円形又は楕円形の微小スポット光の形状であり、走査速度、レーザパワー等に合わせて、電磁鋼板の特性に合わせた磁区制御を行うのに適するように定められている。例えば深さ20μm程度の溝を形成する場合において、走査速度が20m/s、レーザパワーが1000Wの場合には、集光形状の径は直径50μm程度である。なお、この集光形状は一例であり、これのみに限られるものではなく、また集光形状は円形や楕円形でなく、その他の形状であってもよい。
 筐体14には、レーザ集光光学素子13から出力される走査レーザビームが透過可能なレーザ透過窓15が設けられている。例えば、レーザ透過窓15は、走査レーザビームが透過できる最小のサイズでスリット状に構成される開口である。なお、筐体14は、レーザ照射ボックスや、単にユニットと称されることもある。
 さらに、筐体14には、不活性ガスの供給口16及び排出口17が設けられている。供給口16への不活性ガスの供給量と、排出口17からの不活性ガスの排出量とを調整することで、筐体14の内部を不活性ガスにより満たした状態にしている。筐体14の内部に供給される不活性ガスは、排出口17に加えて、スリット状に構成されたレーザ透過窓15からも排出される。
 ここで、走査レーザビームによって鋼板3に溝部や歪部を形成する際には、鋼板3の表面において粉塵が発生する場合がある。粉塵は、鋼板3の加工によって発生する電磁鋼板母材の溶融物や表面コーティングの成分であり、具体的には、鉄、シリコン、マグネシウム等の金属粉である。これらの粉塵は集塵装置を用いても完全に回収することが困難なため、レーザ照射ユニット1の周辺に粉塵が蔓延することになる。発生した粉塵が光学素子の表面に付着すると、付着物がレーザ光を吸収して熱が発生し、光学素子に光学的な歪が生じ、集光性能の劣化や反射率や透過率の低下が生じる場合がある。また、光学素子への付着物は、付着物の酸化が進むと、レーザ光の吸収量が更に増加してしまう。
 本実施形態においては、筐体14の内部を不活性ガスで満たすとともに、その気圧を外気圧より陽圧にしている。不活性ガスは、酸素を含まず、酸化やその他の化学反応が生じにくい気体であって、例えば窒素や、アルゴン、ヘリウム等の希ガスである。このように筐体14を構成することで、筐体14が不活性ガスにより満たされ陽圧となった状態となり、筐体14の内部への酸素を含む空気や粉塵の流入が妨げられ、その結果、光学素子の表面への異物の付着が抑制される。さらに、仮に表面に異物が付着しても洗浄が容易となるので、光学素子の長寿命化を図ることができる。なお、筐体14内には、酸素濃度と圧力を監視する計測装置が取り付けられていてもよい。この場合には、外部からの空気の流入を監視し、流入を検知した際に供給口16からの不活性ガスの供給量を増加させてもよい。
 また、走査レーザビームが出射されるレーザ透過窓15を、スリット状の開口としているため、レーザ透過窓15から筐体14内の不活性ガスが排出される。このように構成することで、レーザ透過窓15から不活性ガスが筐体14の外部に向かって流出し、その流れによって、レーザ透過窓15から筐体14内への粉塵や空気の流入を防止することができる。レーザ透過窓15は、さらに、開口部に粉塵フィルターを備えていてもよく、これにより筐体14内への粉塵の流入が更に抑制される。なお、筐体14内に酸素濃度と圧力を監視する計測装置が取り付けられていてもよい。この場合には、外部からの空気の流入を監視し、流入を検知した際に供給口16からの不活性ガスの供給量を増加させてもよい。
 他の態様として、レーザ透過窓15は、スリット状の開口に替えて、走査レーザビームが透過可能な部材により構成される窓部を介して、筐体14の内部と外部との間でのガスの流出入を遮断するように構成してもよい。レーザ透過窓15の窓部は、レーザ光の波長に対して、反射や吸収を抑えた無反射コーティングを施した部材であってもよい。
 さらに他の態様として、供給口16及び排出口17は設けられなくてもよい。レーザ透過窓15が筐体14の内外を遮断し、かつ、供給口16及び排出口17が設けられない場合には、筐体14は不活性ガスで満たされた状態で密閉される。こうすることで、筐体14内への酸素を含む空気や粉塵の流入を防ぐことができる。また、外気や粉塵を遮断する範囲を筐体14内の比較的狭い範囲に限定しているため、遮断を容易に行うことができる。
 さらに、筐体14に、酸素濃度と圧力を監視する計測装置を取り付けることで、外部からの空気の流入や、不活性ガスの圧力低下を検知するようにしてもよい。空気の流入や圧力低下が検出された場合には、筐体14において不活性ガスの交換や充填を行ってもよい。
 筐体14のレーザ透過窓15近傍には、レーザ照射部から舞い上がる粉塵がレーザ透過窓15へ侵入することを防止するために、空気や不活性ガスをレーザ加工部に吹き付けて強制的に粉塵を排除するガス噴射ノズルを備えてもよい。また、粉塵を強制的に回収する粉塵吸引装置を加工部の近傍に備えてもよい。
 本発明者らは、筐体14を完全に外気と遮断した構造に関して、内部を空気で満たした場合と、窒素で満たして酸素やCOを排除した場合とについて長期試験を行って比較した。その結果、内部を空気で満たした場合には内部のレンズやミラー表面に曇り(白濁)が発生し、レーザ光の透過率や反射率に数%程度の低下が発生した。この曇りはアルコールによるクリーニングでも完全には取り切れず、光学部品は交換が必要となった。一方、窒素で満たした場合は、同様にレンズやミラー表面に若干の白濁現象が見られたが、クリーニングによって取り切ることができ、透過率や反射率の劣化はなかった。
 さらに詳細な実験評価により、ボックス内部の酸素濃度を1%以下にすることで顕著な白濁抑制効果が見られ、若干の白濁もクリーニングで容易に除去可能であることが見出された。白濁はボックス内部に残存するわずかな塵がミラー面に付着したものであり、レーザ光の吸収を要因とした酸化反応によって密着したものと考えられる。従って、ボックスを密閉することに加え、内部を窒素やアルゴン等の不活性ガスで満たして、酸素濃度を1%以下に抑制することが光学部品の性能を長期に維持することに効果がある。
 以下では、各光学素子の筐体14内での位置関係について説明する。なお、以下の説明においては、図1に示されるXYZの各軸及びS軸を用いて位置関係が説明される。X軸は、円柱状の支持ロール2の回転軸CLと平行な方向を示し、Z軸は鉛直方向を示し、Y軸は鋼板3の通板方向を示す。鉛直方向であるZ軸は、鋼板3の通板面に対する法線方向を示すものである。なお、鋼板3の通板面とは、支持ロール2で支持される鋼板3の頂点部分における鋼板3の面や、通板されている鋼板3において支持ロール2により傾斜されていない部分の面を示す。そのため、鋼板3の通板面における法線方向とは、鉛直方向に相当する。S軸は、走査レーザビームの走査方向を示すものである。また、レーザ照射ユニット1は筐体14を回転可能な角度調整機能を備えており、図1中のA、Bから見た図である図3A、図3Bを用いて回転の詳細について説明する。
 図2Aは、図1のX軸方向から見たYZ面を示す図である。図2Aに示されるように、支持ロール2の断面方向においては、Z軸方向の上方の頂点を中心とする円弧に沿って鋼板3が接触する。支持ロール2と鋼板3との接触部分は、YZ面においては円弧状であり、かつ、回転軸CL(X軸)方向に延在する。この接触部のうち通板方向の上流側(Y軸負側)の接触部をPと称するものとする。矢印で示されるレーザ照射ユニット1から出力される走査レーザビームは、この接触部Pから通板方向の上流側(Y軸負側)に離隔した位置に照射される。
 このように、接触部Pよりも通板方向の上流側に離間する位置に走査レーザビームを照射することで、走査レーザビームの入射方向に対して鋼板3の表面が正対しない。その結果、鋼板3からの反射光がレーザ照射ユニット1へと直接向かうことがないため、レーザ照射ユニット1の損傷を防止できる。さらに、走査レーザビームの照射箇所が接触部Pに近いことから、走査レーザビームの照射箇所における鋼板3の振動が少なく、振動による焦点のずれを抑制することができる。
 図2Bは、図1のY軸方向から見たXZ面を示す図である。図2Bに示されるように、走査レーザビームの走査方向であるS軸は、鋼板3の板幅方向であるX軸に対して傾斜している。そのため、鋼板3における走査レーザビームの走査領域gは、その走査方向における両端から走査レーザビームの照射源までの距離L1、L2が互いに等しくならず差が生じる。このように走査レーザビームの照射源から鋼板3までの距離が走査方向に沿って変化してしまうと、焦点ずれが発生して走査領域gの全幅で安定な溝や熱歪が形成されないおそれがある。
 そこで、レーザ照射ユニット1は、筐体14を回転させてその回転角度を調整する角度調整部21を備える。本実施形態に係る角度調整部21は、例えば、図3A及び図3Bに示されるような2種類の回転の角度を調整する。図3Aに示されるZS平面内の回転によって、照射される走査レーザビームの焦点位置が鋼板3の表面に一致するように、レーザ照射ユニット1と鋼板3との間の距離を調整できる。図3Bに示されるXY平面内の回転によって、走査レーザビームの走査方向であるS軸を、鋼板3の板幅方向であるX軸に対して傾斜させることができる。
 図3Aは、図1のA方向(X軸に垂直で、レーザ照射ユニット1の側面を観察できる方向)から見た図であって、ZS面内の回転の説明図である。図3Bは、図1のB方向(X軸に垂直で、レーザ照射ユニット1の上面を観察できる方向)から見た図であって、XY面内の回転の説明図である。これらの図に示されるように、筐体14は、SZ面内及びXY面内の両者において、それぞれ独立に回転可能に構成される。
 詳細には、図3Aに示されるように、筐体14のZS面内の回転は、走査レーザビームの焦点が合う走査領域gの中央部が回転中心となるように行われる。すなわち、角度調整ステップでは、走査レーザビームの走査領域gの中央点を通り、ZS面に垂直な軸を中心に筐体14を回転させることで、レーザ照射ユニット1の全体が回転する。このような回転によって、走査レーザビームの照射位置において鋼板3が通板方向において傾斜しており、且つ、走査レーザビームの走査方向が板幅方向から傾いている場合であっても、角度調整ステップに続く加工ステップとして、走査レーザビームを光路によらず鋼板3の表面で集光させることができる。ここで、筐体14の回転中心を、走査領域gの一端及び他端間の中央点の位置に設定しているので、この中央点から前記一端側あるいは前記他端側にずれた位置に回転中心を設定する場合に比べて、設定した走査領域gに応じて筐体14を回転させる制御を、より容易かつ精度良く行うことができる。
 なお、このような回転による角度調整を実現する角度調整部21の具体的な構成例は以下のとおりである。角度調整部21は、走査領域gの中央点を通りZS面に対して垂直な軸方向(紙面手前奥方向)において走査領域gの中央点を介して対向する一対の支点と、レーザ照射ユニット1の底面を固定しこの軸方向に延在する固定板と、対をなす支点と固定板のこの軸方向の両端部とをそれぞれ接続する腕部とにより構成されてもよい。角度調整部21はこのような構成に限らず、走査領域gの中央点を通りZS面に垂直な軸を中心に筐体14を回転可能であれば任意の構成であってもよい。
 図2Bに示されるように、走査レーザビームの走査方向(S軸)が板幅方向(X軸)に対して傾斜しているので、走査レーザビームの照射源から鋼板3の走査領域gの両端までの距離L1、L2間に差が生じる。照射源から鋼板3までの距離が走査方向において変化してしまうと、焦点ずれが発生して走査領域gの走査方向の全幅において意図した溝や熱歪が形成されないおそれがある。そこで、角度調整部21による回転機構を用いて筐体14をZS面内において一体的に傾斜させることにより、L1とL2とが等しく両者の差分がなくなるように、走査領域gの走査方向における全幅で焦点位置を鋼板3の表面に一致させることができる。
 さらに図3Bに示されるように、筐体14は、XY面内においても回転可能に構成されている。XY面内の回転においても、走査領域gの中央部が回転中心となる。すなわち、筐体14は、走査レーザビームの走査領域gの中央部を通り、XY面に垂直な軸を中心に、レーザ照射ユニット1の全体が回転する機能を備える。このような回転によって、走査レーザビームの走査方向を、鋼板3の板幅方向に対して傾斜させることができる。
 このようにレーザ照射ユニット1がXY面内で回転することで、走査レーザビームの照射走査方向(S軸)が板幅方向(X軸)に対して所望の角度となるように調整される。ここで所望の角度とは、溝形成を行う磁区制御においては、電磁鋼板の磁束密度の劣化が軽減され且つ鉄損改善効果も高くなり、また鉄心に使用される際の曲げ加工での破断を抑制するように、4°以上かつ10°以下であることが望ましく、熱歪を形成する磁区制御においては、鉄損の改善効果が高くなるように0°より大きくかつ10°以下であることが望ましい。
 なお、角度調整部21を制御して筐体14の回転(傾斜)角度を最適に設定する方法としては、例えば走査線の両端のそれぞれにレーザ距離計を設置してL1とL2との距離を測定し、L1とL2の長さが同じ値になるように筐体14の回転(傾斜)を調整してもよい。あるいは、鋼板3において走査レーザビームが照射される部分において、発生する粉塵や母材の溶融液滴(スパッタ)の発光強度をカメラで観察し、発光強度が均一になるように角度調整部21を制御して筐体14の回転(傾斜)を調整してもよい。
 このように、本実施形態のレーザ照射ユニット1によれば、レーザビームの集光形状や走査幅を決めるレーザ出力光学素子11、レーザ走査光学素子12、及びレーザ集光光学素子13の配置が筐体14内で固定されているため、筐体14を一体で回転、傾斜させても集光形状や走査幅は影響を受けない。さらに、筐体14は、走査領域gの中心を通り、ZS平面に垂直な軸を中心にレーザ照射ユニット1の全体で回転する機能を備えているため、支持ロール2を傾斜させることなく、走査レーザビームの照射源から鋼板3の走査領域gの両端までの距離L1、L2の差分が生じないようにできる。その結果、通板時の蛇行の発生を抑制しながら走査領域gの全幅で焦点位置が鋼板3表面に一致するので、均一な溝部又は歪部を形成することができる。
 また、従来は、集光形状や走査幅等に問題が生じた場合に、光学素子を構成するレーザ出力光学素子11、レーザ走査光学素子12およびレーザ集光光学素子13のいずれか一つを調整して、集光形状や走査幅を調整しようとしても、残りの2つにも影響がでてしまい、調整することが難しかったが、そうした光学素子を、レーザ照射ユニット1として一体化することで、調整を容易なものとすることができる。
 また、走査領域gの中央部が回転中心となるように筐体14が回転するため、回転調整のみで走査領域gの走査方向における全幅での焦点ずれを矯正可能である。
 さらに、本実施形態のレーザ照射ユニット1は、角度調整部21に加えて、距離調整部22を備えている。この距離調整部22による調整によれば、筐体14の回転中心を走査領域gにより精度良く一致させることができ、多少の焦点ずれが有っても矯正することができる。距離調整部22は、図4又は図5に示すように、走査レーザビームの光源点がレーザ照射方向Lに沿って鋼板3に対して移動するように、筐体14又はレーザ集光光学素子13の位置を調整する。なお、レーザ照射方向Lはレーザ集光光学素子13が放物面ミラー等の集光反射ミラーである場合は、ミラー面上でのレーザビームの走査線の中心と鋼板上の走査線の中心を通る軸であり、レーザ集光光学素子13がfθレンズ等のレンズである場合はレンズ面上でのレーザビームの走査線の中心と鋼板上の走査線の中心を通る軸となる。
 図4は、図1のA方向から見た図であってSZ面内の移動の説明図である。この図に示されるように、筐体14の全体がその走査レーザビームの照射方向であるL軸に沿って移動可能に構成される。このように構成されることで、さらに走査レーザビームの焦点位置をL軸に沿って調整できるので、筐体14の回転中心を走査領域gの中央部に一致させることができる。即ち、走査レーザビームの焦点を鋼板3の表面に一致させることができる。
 なお、このような距離調整を実現する距離調整部22の具体的な構成例は以下のとおりである。距離調整部22は、走査レーザビームの照射方向であるL軸に沿ったガイドと、このガイドに沿って移動可能に構成され、筐体14又はレーザ集光光学素子13を固定する固定台とにより構成されてもよい。距離調整部22はこのような構成に限らず、走査レーザビームの照射方向であるL軸に沿って筐体14又はレーザ集光光学素子13を移動可能であれば任意の構成であってもよい。
 走査レーザビームの光源点を鋼板3に対して移動可能とするために、レーザ照射ユニット1は図5のように構成されてもよい。図5は、図4と同様に図1のA方向から見た図であってSZ面内の移動の説明図である。この図に示されるように、筐体14の内部のレーザ集光光学素子13がL軸に沿って移動可能に構成される。このように構成しても、走査レーザビームの焦点位置をL軸に沿って調整できるので、焦点を鋼板3の表面に一致させやすくなる。
 また、走査領域gの全長にわたって鋼板表面に集光光学素子13の焦点を合わせる際に、レーザ出力光学素子11、及び、レーザ走査光学素子12が筐体14に固定されることで、角度や位置の調整が不要であり、またレーザ集光光学素子13もL方向の移動調整のみをすればよい。そのため、焦点調整が容易であるとともに、周囲の振動や熱などによる光学素子の位置や角度変動がなく、安定した加工をすることができる。
 あるいは、その他構成として、図4の調整機能と図5の調整機能の両方を兼ね備える構成を採用してもよい。
 図6は、本実施形態とは異なる従来技術であって、走査レーザビームの光源点から鋼板3上の走査領域gの両端までの距離L1、L2を一致させる方法が示されている。この図に示されるように、L1、L2を一致させるために、支持ロール2を傾斜させる。しかしながら、支持ロール2を傾斜させてしまうと、通板が不安定化して鋼板3の蛇行や破断につながるおそれがあった。これに対して、本実施形態によれば、鋼板3ではなくレーザ照射ユニット1の全体を角度調整部21によって回転させるため、支持ロール2と鋼板3との位置関係は変化しないので、鋼板3の蛇行や破断のおそれを低減させることができる。
 このように本実施形態によれば、レーザ照射ユニット1の筐体14の鋼板3に対する角度を変える角度調整部21が設けられており、この角度調整部21によってレーザビームが光路によらず鋼板3の表面で集光されるように筐体14の角度が変えられる。すなわち、角度調整部21は、レーザビームで鋼板3の表面を走査する際に、集光光学素子13で集光される走査レーザビームが、鋼板3の表面における走査レーザビームの走査領域gの全長にわたり集光光学素子13(光源点)から鋼板3の表面までの距離が等しくなるように、鋼板3の法線方向(Z軸方向)と走査方向(S軸方向)とがなすZS面内における筐体14の角度を変える。この時、例えば走査領域gの一端及び他端を見た場合、距離L1,L2が互いに等しくなる。
 以上説明のように、走査レーザビームの走査領域gの全長にわたり集光光学素子13(光源点)から鋼板3の表面までの距離を各位置で互いに等しくした結果、鋼板3の表面上において走査全幅にわたって走査レーザビームの焦点ずれが抑制されるので、均一な溝部又は歪部を形成することができる。
 なお、補足するが、本実施形態では、図7(a)に示すように通板中の鋼板3において平坦面が得られる箇所を選んで走査領域gを設定している。そして、この設定した走査領域gに対し、レーザ照射ユニット1の位置は移動させずに定位置に固定した状態で、レーザビームをスキャンすることで走査領域gに対して均一な溝部又は歪部を形成している。
 一方、図7(b)または図7(c)に示すような、鋼板3において凹湾曲面あるいは凸湾曲面となっている箇所は、走査領域g中に焦点ずれがある部分を含んでしまうため、走査領域gの設定対象外となる。
 また、図7(d)は、レーザ照射ユニット自らも位置を移動させながら点状の照射位置を移動させるものであり、レーザビームの走査を実施しないため、本実施形態の対象外となる。
(変形例)
 図8A、図8Bには、本実施形態とは異なる他の従来技術における鋼板3の通板方法が示されている。図8Aに示される例では、鋼板3が、支持ロール2の外周面の周方向の一部との接触によって湾曲することなく、支持ロール2の上を平坦に搬送される場合であるが、鋼板3の形状不良や板にかかる張力のバランスの不均一性から、鋼板3が支持ロール2のX軸方向の一方の端部において支持ロール2から離れて浮いてしまった状態で搬送される場合(即ち、鋼板3がX方向に傾いて搬送されている場合)である。
 また、図8Bに示される例は、レーザ照射ユニット1が、複数の支持ロール2の間に設けられている場合であり、図8Aの場合と同様の理由から、鋼板3が支持ロール2のX軸方向の一方の端部において支持ロール2から離れて浮いてしまった状態で搬送される場合である。
 これらの場合、鋼板3は板幅方向に向って傾斜した状態で搬送されるため、仮に走査レーザビームの走査方向(S軸)が板幅方向(X軸)と平行となるように設定されていたとしても、図9Aに示すように走査レーザビームの光源点から鋼板3上の走査領域gの両端までの距離L1、L2に差が生じてしまい、走査線上での溝や熱歪形成が不安定化してしまう。
 図9Aに示されるように走査線上での溝や熱歪形成が不安定化した状態において、本実施形態の鋼板加工装置を適用すれば、図9Bに示すように、レーザ照射ユニット1が角度調整部21により回転されることにより、鋼板3が板幅方向に傾斜した場合であっても、レーザ照射ユニット1を回転させることにより走査レーザビームの焦点位置を鋼板3の表面上に安定的に一致させ、その結果、レーザビームの光路によらず鋼板3の表面で集光するようにできる。すなわち、鋼板3の表面における走査レーザビームの走査領域gの全長にわたり、集光光学素子13から鋼板3の表面までの距離が等しくなる。
 このように、本実施形態の鋼板加工装置及び鋼板加工方法は、図2A等で説明した支持ロール2近傍位置における鋼板3の傾斜面での加工に加えて、図8Bで説明した一対の支持ロール2間の位置における鋼板3の加工にも適用可能である。
 本発明は、上記実施形態及び各種変形例の構成及び工程のみに限らず、必要に応じて適宜変更を加えてもよい。また、上述した実施形態及び各種変形例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
 本発明の上記実施形態及び各種変形例によれば、鋼板上に照射されるレーザビームの焦点ずれを抑制して均一な溝部又は歪部を形成する鋼板加工装置及び鋼板加工方法を提供できる。よって、産業上の利用可能性は大である。
 1   レーザ照射ユニット
 2   支持ロール
 3   鋼板
 11  レーザ出力光学素子(レーザ出力部)
 12  レーザ走査光学素子(走査光学部)
 13  レーザ集光光学素子(集光光学部)
 14  筐体
 15  レーザ透過窓
 16  供給口
 17  排出口
 21  角度調整部
 22  距離調整部
 100 鋼板加工装置
 CL  回転軸
 g   走査領域
 L1,L2 距離

Claims (5)

  1.  鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する鋼板加工装置であって、
     回転軸が前記鋼板の板幅方向に対して平行となるように配置され、前記回転軸を中心に回転することで外表面において支持した前記鋼板を前記板幅方向に垂直な搬送方向へ搬送する一つ以上の支持ロールと、
     前記支持ロールの近傍又は複数の前記支持ロール間に位置する前記鋼板の表面にレーザビームを照射し、前記鋼板の表面に溝部又は歪部を形成するレーザ照射ユニットと、
    を有し、
     前記レーザ照射ユニットは、
     前記鋼板の表面に照射されるレーザビームを出力するレーザ出力部と、
     前記レーザ出力部から出力されたレーザビームを反射し、前記レーザビームの進行方向を変動させる走査光学部と、
     前記走査光学部で進行方向を変動させた前記レーザビームを集光し、前記鋼板の表面を前記板幅方向と交差する方向である走査方向に走査するように前記レーザビームを前記鋼板の表面に照射する集光光学部と、
     前記レーザ出力部、前記走査光学部及び前記集光光学部を内部に収納する筐体と、
     前記筐体の、前記鋼板に対する角度を変える角度調整部と、
    を有し、
     前記角度調整部は、前記レーザビームで前記鋼板の表面を走査する際に、前記集光光学部で集光される前記レーザビームが、前記鋼板の表面における前記レーザビームの走査領域の全長にわたり、前記集光光学部から前記鋼板の表面までの距離が等しくなるように、前記鋼板の法線方向と前記走査方向とのなす面内における前記筐体の角度を変え、
     前記レーザ照射ユニットは、前記角度調整部で前記筐体の角度を変えた状態で、前記レーザビームを照射し、前記鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する、
    鋼板加工装置。
  2.  前記鋼板への前記レーザビームの照射方向において、前記筐体又は前記集光光学部を移動させて、前記集光光学部の前記鋼板に対する距離を変える距離調整部を、有し、
     前記距離調整部は、前記レーザビームで前記鋼板の表面を走査する際に、前記集光光学部で集光される前記レーザビームの前記走査領域の全長にわたり、前記集光光学部から前記鋼板の表面までの前記距離が等しくなるように、前記レーザビームの照射方向において、前記集光光学部の前記鋼板に対する距離を変える、請求項1に記載の鋼板加工装置。
  3.  前記筐体は、前記レーザビームを透過するレーザ透過窓を有し、
     前記集光光学部は、前記レーザ透過窓を介して、前記鋼板の表面に前記レーザビームを集光して照射し、
     前記筐体は、不活性ガスで満たされている、請求項1または2に記載の鋼板加工装置。
  4.  前記筐体は、
     前記レーザビームを透過するレーザ透過窓を有し、
     前記集光光学部は、前記レーザ透過窓を介して、前記鋼板の表面に前記レーザビームを集光して照射し、
     前記筐体の内部は前記筐体の外部の大気と遮断され、不活性ガスで満たされている、請求項1または2に記載の鋼板加工装置。
  5.  鋼板加工装置を用いて、鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する鋼板加工方法であって、
     前記鋼板加工装置が、
      回転軸が前記鋼板の板幅方向に対して平行となるように配置され、前記回転軸を中心に回転することで外表面において支持した前記鋼板を前記板幅方向に垂直な搬送方向へ搬送する一つ以上の支持ロールと、
      前記支持ロールの近傍又は複数の前記支持ロール間に位置する前記鋼板の表面に対して集光光学部からレーザビームを照射し、前記鋼板の表面に溝部又は歪部を形成するレーザ照射ユニットと、
    を有し、
     前記レーザビームで前記鋼板の表面を走査する際に、前記鋼板の表面における前記レーザビームの走査領域の全長にわたり、前記集光光学部から前記鋼板の表面までの距離が等しくなるように、前記鋼板の法線方向と前記レーザビームの走査方向とのなす面内における前記レーザ照射ユニットの筐体の角度を変える角度調整ステップと、
     前記筐体の角度を変えた状態で、前記集光光学部からの前記レーザビームを照射し、前記鋼板の表面に溝部又は歪部を形成する加工ステップと、
    を有する、鋼板加工方法。
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