WO2023162821A1

WO2023162821A1 - 中継コネクタ

Info

Publication number: WO2023162821A1
Application number: PCT/JP2023/005265
Authority: WO
Inventors: 拓真渡辺
Original assignee: 住友電装株式会社
Priority date: 2022-02-24
Filing date: 2023-02-15
Publication date: 2023-08-31

Abstract

中継コネクタのハウジング（２０）は、筐体（１１）の開口（１２）に取り付けられるフランジ部（３０）を有している。開口（１２）とフランジ部（３０）との間にはシール部材（２４）が設けられている。フランジ部（３０）は、筐体（１１）の外部に面する第１側面（３４）と、筐体（１１）の内部に面する第２側面（３５）とを有している。ハウジング（２０）は、第１側面（３４）に設けられた第１コネクタ嵌合部（３１）と、第２側面（３５）に設けられた第２コネクタ嵌合部（３２）とを有している。フランジ部（３０）は、第１側面（３４）における第１コネクタ嵌合部（３１）以外の部分から第２側面（３５）における第２コネクタ嵌合部（３２）以外の部分まで貫通する貫通孔（４１）と、貫通孔（４１）を塞ぐ通気膜（４２）とを有している。

Description

中継コネクタ

　本開示は、中継コネクタに関するものである。

　例えば、特許文献１には、機器の筐体に取り付けられる中継コネクタが記載されている。中継コネクタは、機器の筐体の内部と外部とを電気的に繋ぐためのコネクタである。中継コネクタは、機器の筐体に設けられた開口に嵌合される。中継コネクタは、中継コネクタのハウジングと筐体の開口との間に介在されるシール部材を備えている。シール部材は、中継コネクタのハウジングと筐体の開口との間をシールしている。シール部材によって、開口から筐体の内部に水などが浸入することが抑制されている。

特開２０１４－１３５１３１号公報

　上記のような中継コネクタでは、機器の筐体の内圧が過剰に上昇する場合がある。その内圧の上昇に対して何ら対策が取られていない場合、筐体内外の気圧差によってシール部材の位置がずれるおそれがある。シール部材の位置ずれが生じると、シール部材のシール性能が低下する懸念がある。

　本開示の目的は、シール性能の低減を抑えることを可能とした中継コネクタを提供することにある。

　本開示の中継コネクタは、機器の筐体に取り付けられ、前記筐体の内部と外部とを電気的に繋ぐための中継コネクタであって、前記筐体の開口に取り付けられるフランジ部を有するハウジングと、前記ハウジングに一部が埋まる態様で設けられた端子と、前記フランジ部に取り付けられ、前記開口と前記フランジ部との間をシールするシール部材と、を備え、前記フランジ部は、前記筐体の外部に面する第１側面と、前記筐体の内部に面する第２側面と、を有し、前記ハウジングは、前記第１側面に設けられた第１コネクタ嵌合部と、前記第２側面に設けられた第２コネクタ嵌合部と、を有し、前記フランジ部は、前記第１側面における前記第１コネクタ嵌合部以外の部分から前記第２側面における前記第２コネクタ嵌合部以外の部分まで貫通する貫通孔と、前記貫通孔を塞ぐ通気膜と、を有している。

　本開示の中継コネクタは、シール性能の低減を抑える効果を発揮する。

図１は、実施形態の中継コネクタの斜視図である。図２は、同形態の中継コネクタの平面図である。図３は、図２における３－３線断面図である。図４は、別例の中継コネクタの斜視図である。図５は、別例の中継コネクタの一部拡大断面図である。図６は、別例の中継コネクタの断面図である。

　［本開示の実施形態の説明］
　最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
　本開示の中継コネクタは、
　［１］機器の筐体に取り付けられ、前記筐体の内部と外部とを電気的に繋ぐための中継コネクタであって、前記筐体の開口に取り付けられるフランジ部を有するハウジングと、前記ハウジングに一部が埋まる態様で設けられた端子と、前記フランジ部に取り付けられ、前記開口と前記フランジ部との間をシールするシール部材と、を備え、前記フランジ部は、前記筐体の外部に面する第１側面と、前記筐体の内部に面する第２側面と、を有し、前記ハウジングは、前記第１側面に設けられた第１コネクタ嵌合部と、前記第２側面に設けられた第２コネクタ嵌合部と、を有し、前記フランジ部は、前記第１側面における前記第１コネクタ嵌合部以外の部分から前記第２側面における前記第２コネクタ嵌合部以外の部分まで貫通する貫通孔と、前記貫通孔を塞ぐ通気膜と、を有している。

　この構成によれば、中継コネクタの貫通孔及び通気膜を介した気体の流通により、筐体内外の気圧差を緩和することが可能となる。これにより、機器の筐体の内部が過剰に高温になった場合に、貫通孔及び通気膜を通じて筐体の内圧を外部に逃がすことが可能となる。したがって、筐体の内圧が高まることによるシール部材の位置ずれを抑制することが可能となる。その結果、シール部材のシール性能の低減を抑えることが可能となる。また、上記構成によれば、筐体の内圧を調整する調整機構を中継コネクタが備えるため、当該調整機構を筐体に設ける必要がなくなる。その結果、筐体側の設計自由度の向上に寄与できる。

　［２］上記［１］において、前記筐体の内部は、油中環境であり、前記筐体の外部は、気中環境であり、前記通気膜は、前記貫通孔における前記第１側面側の端部に設けられていてもよい。

　この構成によれば、通気膜が貫通孔において気中環境である筐体の外部側に設けられる。このため、筐体内の油が通気膜に付着することを抑制することが可能となる。
　［３］上記［１］または上記［２］において、前記ハウジングは、前記端子をインサート品として成形される一次成形部と、前記端子を含む前記一次成形部をインサート品として成形される二次成形部と、を有し、前記一次成形部は、前記フランジ部の内部まで延びる一次側フランジ部を有し、前記二次成形部は、前記一次側フランジ部を被覆する被覆部を有し、前記フランジ部は、前記一次側フランジ部と前記被覆部とを含み、前記貫通孔は、前記一次側フランジ部と前記被覆部とを貫通していてもよい。

　この構成によれば、フランジ部が一次側フランジ部と二次成形部の被覆部とを含む。このため、一次側フランジ部及び被覆部の各々の厚さを薄く設定することでヒケの発生を抑制しつつも、フランジ部全体の厚さを稼ぐことが可能となる。

　［４］上記［１］から上記［３］のいずれか１つにおいて、前記フランジ部は、前記筐体に対する固定用のボルトが挿入される挿入孔を有していてもよい。
　この構成によれば、挿入孔に挿入したボルトによってフランジ部を筐体に固定することが可能となる。

　［５］上記［４］において、前記フランジ部は、前記貫通孔の貫通方向から見て、前記開口の範囲内に配置される本体部と、前記本体部の周方向における一部から延出するとともに前記挿入孔が設けられる外延部とを有し、前記本体部と前記外延部との間に、前記外延部の厚さが前記本体部の厚さより薄くなるように段差を有していてもよい。

　この構成によれば、本体部よりも薄い外延部を設けることで本体部のヒケの発生を抑制できるとともに、筐体に固定されることになる外延部の厚さを確保することで外延部の剛性を確保することができる。

　［６］上記［５］において、前記段差は、前記本体部の厚さを徐々に薄くする傾斜面を含んでもよい。
　この構成によれば、段差は、本体部の厚さを徐々に薄くする傾斜面を含むため、例えば、外延部が筐体に固定された状態で、外延部と本体部との間に局部的に力が加わってしまうことが抑制され、ひいては破損が抑制される。

　［７］上記［１］から上記［６］のいずれか１つにおいて、前記通気膜は、防水性と通気性とを有する樹脂多孔膜であってもよい。
　この構成によれば、貫通孔を通じた筐体内部への水の浸入を通気膜によって抑制することが可能となる。

　［８］上記［１］から上記［７］のいずれか１つにおいて、前記フランジ部は、前記第１側面側で前記貫通孔を覆いつつ前記貫通孔を前記第１側面に沿った方向に連通させるカバー部材を有していてもよい。

　この構成によれば、カバー部材によって通気膜に直接的に塵や埃が堆積することが抑制される。すなわち、カバー部材を有していない構成では、通気膜に直接的に塵や埃が堆積することによって通気膜の通気性が阻害される虞があるが、これを抑制することができる。

　［９］上記［８］において、前記フランジ部は、前記貫通孔を挟む位置で前記第１側面から突出しつつ先端が互いに近づく側に屈曲している一対のカバー規制片と、前記第１側面に凹設された被係合部と、を有し、前記カバー部材は、前記第１側面に沿って前記一対のカバー規制片の間に挿入可能なカバー本体部と、前記被係合部に嵌まる係合爪と、を有していてもよい。

　この構成によれば、カバー部材を第１側面に沿って一対のカバー規制片の間に挿入するとともに係合爪を被係合部に嵌めることで、カバー部材をフランジ部に容易に組み付けることができる。

　［本開示の実施形態の詳細］
　本開示の中継コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。

　（全体構成）
　図３に示すように、本実施形態の中継コネクタ１０は、車両に搭載された機器の筐体１１に取り付けられている。中継コネクタ１０は、筐体１１の内部と外部とを電気的に繋ぐためのコネクタである。前記機器は、例えばトランスミッション装置である。例えば、筐体１１の内部は油中環境であり、筐体１１の外部は気中環境である。中継コネクタ１０は、筐体１１の図示しない内部部品に電気的に接続される。筐体１１は、中継コネクタ１０が取り付けられる開口１２を有している。開口１２は、筐体１１の内外を連通するように形成されている。なお、以下の説明では、筐体１１の内部側、及び筐体１１の外部側をそれぞれ単に「内部側」、「外部側」と言う場合がある。

　（中継コネクタ１０）
　中継コネクタ１０は、ハウジング２０と、複数の端子２３と、ハウジング２０と開口１２との間をシールするシール部材２４とを備えている。

　図１、図２及び図３に示すように、ハウジング２０は、例えば、一次成形部２１と二次成形部２２とを有している。一次成形部２１は、各端子２３をインサート品としたインサート成形によって形成されている。一次成形部２１は、各端子２３の一部分を覆うように形成されている。二次成形部２２は、各端子２３を含めた一次成形部２１をインサート品としたインサート成形によって形成されている。二次成形部２２は、一次成形部２１を覆うように形成されている。なお、一次成形部２１及び二次成形部２２の形成材料としては、例えばＰＢＴ系樹脂などが挙げられる。

　ハウジング２０は、開口１２に取り付けられるフランジ部３０と、フランジ部３０の外部側に設けられる第１コネクタ嵌合部３１と、フランジ部３０の内部側に設けられる第２コネクタ嵌合部３２と、を有している。

　図３に示すように、フランジ部３０は、開口１２に嵌合されている。フランジ部３０の外周面には、例えばゴムなどの弾性材料からなる環状のシール部材２４が設けられている。シール部材２４は、フランジ部３０と開口１２との間をシールする。シール部材２４は、例えば、フランジ部３０の外周面に周方向に沿って形成された溝３３に装着されている。

　フランジ部３０は、筐体１１の外部に面する第１側面３４と、筐体１１の内部に面する第２側面３５とを有している。第１コネクタ嵌合部３１は、第１側面３４から延出している。第１コネクタ嵌合部３１には、外部機器に電気的に接続された図示しない第１の相手コネクタが嵌合される。第２コネクタ嵌合部３２は、第２側面３５から延出している。第２コネクタ嵌合部３２には、筐体１１内部の部品に電気的に接続された図示しない第２の相手コネクタが嵌合される。

　端子２３の一部は、ハウジング２０の内部に埋まっている。端子２３の一端部２３ａは、第１コネクタ嵌合部３１まで延びている。端子２３の他端部２３ｂは、第２コネクタ嵌合部３２まで延びている。端子２３は、第１コネクタ嵌合部３１に嵌合された第１の相手コネクタと第２コネクタ嵌合部３２に嵌合された第２の相手コネクタとを電気的に接続する。なお、第１コネクタ嵌合部３１は、第１側面３４に沿った方向に屈曲している。すなわち、第１コネクタ嵌合部３１の側面は、第１側面３４に対向している。また、第１コネクタ嵌合部３１に対する第１の相手コネクタの嵌合方向は、第１側面３４に沿った方向である。

　ハウジング２０は、端子２３を保持する端子保持部３６を有している。端子保持部３６の一端側には第１コネクタ嵌合部３１が設けられ、端子保持部３６の他端側に第２コネクタ嵌合部３２が設けられている。フランジ部３０は、端子保持部３６から鍔状に延出している。また、フランジ部３０は、筐体１１の外側面に当接する当接部３７を有している。詳しくは、フランジ部３０は、貫通孔４１の貫通方向から見て、開口１２の範囲内に配置される本体部３０ａと、本体部３０ａから鍔状に延出して筐体１１の外側面に当接する当接部３７とを有する。当接部３７は、本体部３０ａの周方向における一部から大きく延出する外延部３７ａと、本体部３０ａの周方向において外延部３７ａが設けられている部位以外の全体から小さく延出する鍔部３７ｂとを有する。

　図１に示すように、フランジ部３０の当接部３７は、挿入孔３８を有している。詳しくは、外延部３７ａは、挿入孔３８を有している。挿入孔３８は、例えば、フランジ部３０に一部が埋設された円筒状のカラー３９の孔にて構成されている。カラー３９は、例えば金属製である。挿入孔３８には、図示しない固定用のボルトが挿入される。フランジ部３０は、当該ボルトの締結により筐体１１に固定される。

　図３に示すように、フランジ部３０は、貫通孔４１と、貫通孔４１を塞ぐ通気膜４２とを有している。貫通孔４１は、フランジ部３０を第１側面３４から第２側面３５まで貫通する。貫通孔４１は、第１コネクタ嵌合部３１及び第２コネクタ嵌合部３２とは異なる位置に設けられている。すなわち、貫通孔４１の外部側端部は、第１側面３４における第１コネクタ嵌合部３１が設けられた位置とは異なる位置に設けられている。また、貫通孔４１の内部側端部は、第２側面３５における第２コネクタ嵌合部３２が設けられた位置とは異なる位置に設けられている。

　通気膜４２は、例えば、防水性と通気性とを有する樹脂多孔膜である。すなわち、通気膜４２は、気体は透過させつつ液体は透過させない性質を有する。通気膜４２の形成材料としては、例えばＰＴＦＥ樹脂などが挙げられる。

　通気膜４２は、貫通孔４１における第１側面３４側の端部に設けられている。貫通孔４１の第１側面３４側の端部には、通気膜４２が固定される固定面４３が形成されている。固定面４３は、第１側面３４と第２側面３５との間において、第２側面３５よりも第１側面３４に近い位置に配置されている。固定面４３は、貫通孔４１の貫通方向から見て環状をなしている。通気膜４２は、固定面４３に対して例えば溶着される。

　ハウジング２０を構成する一次成形部２１は、端子２３の一部を被覆する端子被覆部５１と、端子被覆部５１から鍔状にフランジ部３０の内部まで延びる一次側フランジ部５２とを有している。端子被覆部５１は、前記端子保持部３６の一部を形成している。二次成形部２２は、一次側フランジ部５２を被覆する被覆部５３を有している。フランジ部３０は、一次側フランジ部５２と被覆部５３とを含んで構成される。被覆部５３は、フランジ部３０の外郭を形成している。貫通孔４１は、一次側フランジ部５２と被覆部５３とを貫通している。つまり、一次成形部２１の一次側フランジ部５２は、貫通孔４１の一部を形成する貫通孔５４を有している。

　本実施形態の効果について説明する。
　（１）フランジ部３０は、第１側面３４における第１コネクタ嵌合部３１以外の部分から第２側面３５における第２コネクタ嵌合部３２以外の部分まで貫通する貫通孔４１と、貫通孔４１を塞ぐ通気膜４２とを有している。この構成によれば、中継コネクタ１０の貫通孔４１及び通気膜４２を介した気体の流通により、筐体１１内外の気圧差を緩和することが可能となる。これにより、機器の筐体１１の内部が過剰に高温になった場合に、貫通孔４１及び通気膜４２を通じて筐体１１の内圧を外部に逃がすことが可能となる。したがって、筐体１１の内圧が高まることによるシール部材２４の位置ずれを抑制することが可能となる。その結果、シール部材２４のシール性能の低減を抑えることが可能となる。また、上記構成によれば、筐体１１の内圧を調整する調整機構を中継コネクタ１０が備えるため、当該調整機構を筐体１１に設ける必要がなくなる。その結果、筐体１１側の設計自由度の向上に寄与できる。

　また、貫通孔４１が通気膜４２によって塞がれる。このため、筐体１１の内部の油が貫通孔４１から外部に流出することを通気膜４２によって抑えることが可能となる。また、貫通孔４１は、第１コネクタ嵌合部３１及び第２コネクタ嵌合部３２とは異なる位置に設けられている。端子２３を含む第１コネクタ嵌合部３１及び第２コネクタ嵌合部３２は、設計上の制約等が比較的多いため、貫通孔４１の設定位置として第１コネクタ嵌合部３１及び第２コネクタ嵌合部３２を避けることで、設計自由度の向上に寄与できる。

　また、第１コネクタ嵌合部３１に通気用の孔を設定した場合、万が一、筐体１１の内部の油が当該通気用の孔を通じて第１コネクタ嵌合部３１まで流出してしまうと、第１コネクタ嵌合部３１に嵌合する第１の相手コネクタの内部に油が付着するおそれがある。その点、上記実施形態のように、貫通孔４１を第１コネクタ嵌合部３１とは異なる位置に設けることで、第１の相手コネクタの内部に対する油の付着を抑制できる。

　（２）筐体１１の内部は、油中環境である。また、筐体１１の外部は、気中環境である。そして、通気膜４２は、貫通孔４１における第１側面３４側の端部に設けられている。この構成によれば、通気膜４２が貫通孔４１において気中環境である筐体１１の外部側に設けられる。このため、筐体１１内の油が通気膜４２に付着することを抑制することが可能となる。

　（３）ハウジング２０は、端子２３をインサート品として成形される一次成形部２１と、端子２３を含む一次成形部２１をインサート品として成形される二次成形部２２と、を有している。一次成形部２１は、フランジ部３０の内部まで延びる一次側フランジ部５２を有している。二次成形部２２は、一次側フランジ部５２を被覆する被覆部５３を有している。フランジ部３０は、一次側フランジ部５２と被覆部５３とを含み、貫通孔４１は、一次側フランジ部５２と被覆部５３とを貫通している。この構成によれば、フランジ部３０が一次側フランジ部５２と二次成形部２２の被覆部５３とを含む。このため、一次側フランジ部５２及び被覆部５３の各々の厚さを薄く設定することでヒケの発生を抑制しつつも、フランジ部３０全体の厚さを稼ぐことが可能となる。

　（４）フランジ部３０は、筐体１１に対する固定用のボルトが挿入される挿入孔３８を有している。この構成によれば、挿入孔３８に挿入したボルトによってフランジ部３０を筐体１１に固定することが可能となる。

　（５）通気膜４２は、防水性と通気性とを有する樹脂多孔膜である。この構成によれば、貫通孔４１を通じた筐体１１内部への水の浸入を通気膜４２によって抑制することが可能となる。

　＜変更例＞
　本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。

　・上記実施形態では、フランジ部３０における第１側面３４は、平坦面であるように説明したが、これに限定されず、段差を有していてもよい。
　例えば、図４及び図５に示すように、フランジ部３０において、本体部３０ａと外延部３７ａとの間に、外延部３７ａの厚さが本体部３０ａの厚さより薄くなるように段差６１を有していてもよい。この例における段差６１は、本体部３０ａの厚さを徐々に薄くする傾斜面６２を含む。

　このようにすると、本体部３０ａの厚さが薄くなることで本体部３０ａのヒケの発生を抑制できるとともに、筐体１１に固定されることになる外延部３７ａの厚さを確保することで外延部３７ａの剛性を確保することができる。また、段差６１は、本体部３０ａの厚さを徐々に薄くする傾斜面６２を含むため、例えば、外延部３７ａが筐体１１に固定された状態で、外延部３７ａと本体部３０ａとの間に局部的に力が加わってしまうことが抑制され、ひいては破損が抑制される。

　なお、段差６１は、傾斜面６２に限定されず、第１側面３４と垂直な段差面に変更してもよい。
　・上記実施形態では、通気膜４２が貫通孔４１の貫通方向に沿った外部側に露出している構成としたが、これに限定されず、通気膜４２の通気性が保たれつつ通気膜４２が外部側に露出しない構成としてもよい。

　例えば、図４から図６に示すように、フランジ部３０は、第１側面３４側で貫通孔４１を覆いつつ貫通孔４１を第１側面３４に沿った方向に連通させるカバー部材７１を有していてもよい。

　詳しくは、フランジ部３０は、貫通孔４１を挟む位置で第１側面３４から突出しつつ先端が互いに近づく側に屈曲している一対のカバー規制片７２と、第１側面３４に凹設された被係合部７３とを有している。この例の被係合部７３は、傾斜面６２に設けられている。

　カバー部材７１は、第１側面３４に沿って一対のカバー規制片７２の間に挿入可能なカバー本体部７４と、被係合部７３に嵌まる係合爪７５とを有している。係合爪７５は、カバー本体部７４において一対のカバー規制片７２の間に挿入していく挿入方向の端部から突出して設けられている。また、カバー本体部７４は、貫通孔４１と対向した位置から前述した挿入方向とは反対方向に延びる凹部７６を有している。凹部７６は、貫通孔４１と外部とを第１側面３４に沿った方向に連通させる。

　このようにすると、カバー部材７１によって通気膜４２に直接的に塵や埃が堆積することが抑制される。すなわち、カバー部材７１を有していない構成では、通気膜４２に直接的に塵や埃が堆積することによって通気膜４２の通気性が阻害される虞があるが、これを抑制することができる。

　また、上記構成によれば、カバー部材７１を第１側面３４に沿って一対のカバー規制片７２の間に挿入するとともに係合爪７５を被係合部７３に嵌めることで、カバー部材７１をフランジ部３０に容易に組み付けることができる。

　なお、カバー部材７１と、カバー部材７１のフランジ部３０への固定構造とは、他の構造に変更してもよい。例えば、フランジ部３０がカバー規制片７２や被係合部７３を有さずに、カバー部材が接着によってフランジ部に固定されていてもよい。

　・上記実施形態のハウジング２０は、一次成形部２１と二次成形部２２とを有するが、これ以外に例えば、ハウジング２０が一次成形のみで形成される構成であってもよい。
　・貫通孔４１に対する通気膜４２の固定態様は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、通気膜４２を接着により固定してもよい。

　・第１コネクタ嵌合部３１及び第２コネクタ嵌合部３２の形状等の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、構成に応じて適宜変更可能である。
　・上記実施形態の通気膜４２は、貫通孔４１における第１側面３４側の端部に設けられたが、これ以外に例えば、貫通孔４１の貫通方向の中央部や、貫通孔４１に第２側面３５側の端部に設けてもよい。

　・上記実施形態では、トランスミッション装置に取り付けられる中継コネクタ１０に具体化したが、トランスミッション装置以外の機器に取り付けられる中継コネクタに適用してもよい。なお、中継コネクタ１０が取り付けられる機器の筐体内部の環境は油中環境に限定されるものではなく、筐体内で油が使用されない機器の中継コネクタにも適用可能である。

　・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

　１０　中継コネクタ
　１１　筐体
　１２　開口
　２０　ハウジング
　２１　一次成形部
　２２　二次成形部
　２３　端子
　２３ａ　一端部
　２３ｂ　他端部
　２４　シール部材
　３０　フランジ部
　３０ａ　本体部
　３１　第１コネクタ嵌合部
　３２　第２コネクタ嵌合部
　３３　溝
　３４　第１側面
　３５　第２側面
　３６　端子保持部
　３７　当接部
　３７ａ　外延部
　３７ｂ　鍔部
　３８　挿入孔
　３９　カラー
　４１　貫通孔
　４２　通気膜
　４３　固定面
　５１　端子被覆部
　５２　一次側フランジ部
　５３　被覆部
　５４　貫通孔
　６１　段差
　６２　傾斜面
　７１　カバー部材
　７２　カバー規制片
　７３　被係合部
　７４　カバー本体部
　７５　係合爪
　７６　凹部

Claims

　機器の筐体に取り付けられ、前記筐体の内部と外部とを電気的に繋ぐための中継コネクタであって、
　前記筐体の開口に取り付けられるフランジ部を有するハウジングと、
　前記ハウジングに一部が埋まる態様で設けられた端子と、
　前記フランジ部に取り付けられ、前記開口と前記フランジ部との間をシールするシール部材と、を備え、
　前記フランジ部は、前記筐体の外部に面する第１側面と、前記筐体の内部に面する第２側面と、を有し、
　前記ハウジングは、前記第１側面に設けられた第１コネクタ嵌合部と、前記第２側面に設けられた第２コネクタ嵌合部と、を有し、
　前記フランジ部は、前記第１側面における前記第１コネクタ嵌合部以外の部分から前記第２側面における前記第２コネクタ嵌合部以外の部分まで貫通する貫通孔と、前記貫通孔を塞ぐ通気膜と、を有している、
　中継コネクタ。
　前記筐体の内部は、油中環境であり、
　前記筐体の外部は、気中環境であり、
　前記通気膜は、前記貫通孔における前記第１側面側の端部に設けられている、
　請求項１に記載の中継コネクタ。
　前記ハウジングは、前記端子をインサート品として成形される一次成形部と、前記端子を含む前記一次成形部をインサート品として成形される二次成形部と、を有し、
　前記一次成形部は、前記フランジ部の内部まで延びる一次側フランジ部を有し、
　前記二次成形部は、前記一次側フランジ部を被覆する被覆部を有し、
　前記フランジ部は、前記一次側フランジ部と前記被覆部とを含み、
　前記貫通孔は、前記一次側フランジ部と前記被覆部とを貫通している、
　請求項１に記載の中継コネクタ。
　前記フランジ部は、前記筐体に対する固定用のボルトが挿入される挿入孔を有している、
　請求項１に記載の中継コネクタ。
　前記フランジ部は、前記貫通孔の貫通方向から見て、前記開口の範囲内に配置される本体部と、前記本体部の周方向における一部から延出するとともに前記挿入孔が設けられる外延部とを有し、
　前記本体部と前記外延部との間に、前記外延部の厚さが前記本体部の厚さより薄くなるように段差を有している、
　請求項４に記載の中継コネクタ。
　前記段差は、前記本体部の厚さを徐々に薄くする傾斜面を含む、
　請求項５に記載の中継コネクタ。
　前記通気膜は、防水性と通気性とを有する樹脂多孔膜である、
　請求項１に記載の中継コネクタ。
　前記フランジ部は、前記第１側面側で前記貫通孔を覆いつつ前記貫通孔を前記第１側面に沿った方向に連通させるカバー部材を有する、
　請求項１に記載の中継コネクタ。
　前記フランジ部は、前記貫通孔を挟む位置で前記第１側面から突出しつつ先端が互いに近づく側に屈曲している一対のカバー規制片と、前記第１側面に凹設された被係合部と、を有し、
　前記カバー部材は、前記第１側面に沿って前記一対のカバー規制片の間に挿入可能なカバー本体部と、前記被係合部に嵌まる係合爪と、を有している、
　請求項８に記載の中継コネクタ。