WO2023149385A1

WO2023149385A1 - 遠隔操作用アダプター

Info

Publication number: WO2023149385A1
Application number: PCT/JP2023/002733
Authority: WO
Inventors: 保次野川; ドゥックズイグエン
Original assignee: 株式会社永木精機
Priority date: 2022-02-04
Filing date: 2023-01-27
Publication date: 2023-08-10
Also published as: TW202346037A

Abstract

プッシュスイッチを備えた電動工具や、揺動操作により入力できるプライヤ型の既存の工具を遠隔操作可能にするための遠隔操作用アダプターを提供する。　遠隔操作用アダプター１は、電動工具を保持する工具把持部２を有している。工具把持部２は角度調節が可能な連結部６を介して支持棒８に連結されている。支持棒８の下方には、作業者が操作する操作レバー１０が取り付けられている。操作レバー１０と工具把持部２との間には、操作レバー１０から入力される力を伝達する伝達部材としてロープ１４が架け渡されている。このロープ１４から伝達する力に基づいて電動工具のスイッチを操作するためのスライダクランク部４が、工具把持部２に設けられている。スライダクランク部４は、クランク４ａ、ロッド４ｂ、ガイド部４ｅ及びガイド固定金具４ｆから構成されている。

Description

遠隔操作用アダプター

　本発明は、既存の工具に取り付けて、遠隔操作を可能にするための遠隔操作用アダプターに関するものである。

　高所作業においては、脚立を用いる場合もあれば、遠隔操作棒を用いる場合もある。間接活線作業などの分野においては、従来から遠隔操作棒が用いられている。

　図１０は従来の遠隔操作用ヤットコを示している。この遠隔操作用ヤットコ１００では、主軸１０１の先端にヤットコ１０４が組み付けられており、開閉のための力は、伝達部材である連結棒１０２を介して手元の操作レバー１０３から伝達される構成となっている。

　間接活線作業以外の分野では、枝切り鋏などが知られており、同様に手元のレバーによって先端の鋏を操作することができる。

　また、電動工具の分野では、フレキシブルな回転伝達具を回転部から延長させることにより、遠隔位置のナット回しなどを行う工具などが知られている。

　図１０のような遠隔操作用ヤットコについては、特許文献１に開示されている。

特開平１０－１０８３２８号公報

　図１０のような従来の遠隔操作用ヤットコ１００などを用いる作業においては、作業形態が一定の場合であれば、専用品を準備していれば作業に大きな支障は生じない。

　しかし、作業形態が一定ではなく、様々な形態に対応しなければならない場合、遠隔操作では手元で行うようには自由に作業が行えないため、作業対象に合わせて工具を取り回す以外にない。このような場合、操作レバーを利き手で作業できない姿勢を強いられたり、操作棒の長さが合わないなどの理由により作業が困難になる状況も生じ得る。

　また、既存のナット回し工具などの電動工具を遠隔操作で用いたい状況も生じ得るが、作業対象に応じて専用工具を揃えるのはコスト面の問題がある。

　そこで、本発明では、プッシュスイッチを備えた電動工具や、揺動操作により入力できるプライヤ型の既存の工具を遠隔操作可能にするための遠隔操作用アダプターを提供することを目的とする。

　上記目的を達成するために、本発明の遠隔操作用アダプターは、工具の入力部を遠隔で操作する遠隔操作用アダプターであって、前記工具を把持する工具把持部と、一端に前記工具把持部と連結する連結部を有する支持棒と、クランク及びロッドからなるスライダクランク機構のクランクシャフトが前記工具把持部に固定され、前記ロッドの自由端の引き込み動作で前記入力部を押圧操作するスライダクランク部と、前記クランクに連結され、前記クランクを回転させる力を伝達する伝達部材と、前記支持棒に取り付けられ、前記伝達部材に張力を与える操作レバーとを備えたことを特徴とする。

　また、本発明の遠隔操作用アダプターは、上記構成に加えて、前記連結部が、前記支持棒に対する前記工具把持部の角度を調節可能であることを特徴とする。

　また、本発明の遠隔操作用アダプターは、上記構成に加えて、前記ロッドの前記自由端及び前記クランクシャフトを通る仮想直線で前記クランクシャフトの回転域を二分した一方の半周域において、前記クランクは、前記入力部側とは逆側の半分の領域で前記伝達部材と連結されていることを特徴とする。

　また、本発明の遠隔操作用アダプターは、上記構成に加えて、前記スライダクランク部が、前記ロッドの中間部分をスライド可能に支持するガイド部を備えていることを特徴とする。

　また、本発明の遠隔操作用アダプターは、上記構成に加えて、前記操作レバーが、前記支持棒に対して脱着可能であることを特徴とする。

　また、本発明の遠隔操作用アダプターは、上記構成に加えて、前記伝達部材が、前記クランク及び前記操作レバーの少なくとも一方と脱着可能であることを特徴とする。

　また、本発明の遠隔操作用アダプターは、上記構成に加えて、前記伝達部材が、少なくとも前記クランク側が可撓性を有していることを特徴とする。

　また、本発明の遠隔操作用アダプターは、支持棒の先端に設けられた工具把持部により把持された工具の入力部を遠隔で操作する遠隔操作用アダプターであって、前記工具把持部に対して脱着できるようにクランク及びロッドによってスライダクランク機構が構成され、前記ロッドの引き込みにより前記入力部を押圧操作するスライダクランク部と、前記クランクに連結され、前記クランクを回転させる力を伝達する伝達部材と、前記支持棒に脱着可能であり、前記伝達部材に張力を与える操作レバーとを備えたことを特徴とする。

　また、本発明の遠隔操作用アダプターは、上記構成に加えて、前記伝達部材が、少なくとも前記クランク側の構成が可撓性を有していることを特徴とする。

　以上のように、本発明によれば、押圧により操作ができる入力部を有する工具を、遠隔操作可能な工具として利用することができるので、作業環境に応じて同じ工具を使い分けることが可能となる。

　また、本発明によれば、上記効果に加えて、扱う工具の形状に適した作業角度を選択できる上に、同じ工具において、作業対象に応じて角度を変えることも可能となる。

　また、本発明によれば、上記効果に加えて、仮想直線で二分割された半周域のクランクシャフトの回転域を、さらに、スイッチ側とその逆側の４分の１の領域の２つに分け、スイッチと逆側の半分に伝達部材が連結される。これにより、支持棒に対する工具把持部の角度を変更しても、９０度を超えない範囲内であれば、クランクに対する伝達部材の連結位置を変えることなく、伝達部材からクランクに回転力を伝達することが可能である。

　また、本発明によれば、上記効果に加えて、ガイド部を中心にロッドのスイッチ側の端部が揺動する揺動スライダクランクの動きで入力部へ力が伝達される。これにより、円弧運動をするトリガー型のスイッチや、プライヤ型の工具の柄を操作する際に軌道を合わせて正確な操作を行うことが可能となる。

　また、本発明によれば、上記効果に加えて、このように構成すると、支持棒の軸回りに操作レバーを回転させて取付角度を変更することができる。これにより、作業環境に応じて作業を行い易い位置にレバーを持ってくることが可能となる。

　また、本発明によれば、上記効果に加えて、スライダクランク部、伝達部材及び操作レバーの３つの構成をさらに分解できるようになる。また、クランク及び操作レバーの両構成に対して脱着可能であれば、伝達部材の交換が容易になる上、伝達部材の長さ調節や材質の変更が可能となる。

　また、本発明によれば、上記効果に加えて、伝達部材が支持棒と干渉するような位置まで、操作レバーを支持棒の軸回りに回転させても、伝達部材の可撓性を有する部分を支持棒に沿って巻き付けるように変形できるので、力の伝達を阻害することなく操作することが可能となる。

　また、本発明によれば、スライダクランク部、伝達部材及び操作レバーの３つの構成を一体にして取り外すことができるので、収納及び搬送が容易になる。また、既存の遠隔操作棒に組み合わせて利用することができるので、汎用性が向上する。

本発明の遠隔操作用アダプターの正面側斜視図である。本発明の遠隔操作用アダプターの背面側斜視図である。使用状態の遠隔操作用アダプターの正面図である。工具把持部の収容領域を開いた状態を示す図である。スライダクランク部の動作を表しており、（ａ）は正面図、（ｂ）はスライダクランク部の正面図に対応する模式図である。連結部を分解した状態の斜視図である。連結部を直線状に伸ばした状態のスライダクランク部の動作を表し、（ａ）は正面図、（ｂ）はスライダクランク部の正面図に対応する模式図である。操作レバーが取り付けられている支持棒の拡大斜視図である。操作レバーの取り付け位置を変更した使用例を示しており、（ａ）は全体の正面図、（ｂ）は支持棒に対するロープの干渉位置の拡大図である。従来の遠隔操作用ヤットコを示す図である。

　以下、本発明の実施の形態に係る遠隔操作用アダプターについて図を用いて説明する。

　図１は、本発明の遠隔操作用アダプターの正面側斜視図である。また、図２は、本発明の遠隔操作用アダプターの背面側斜視図である。これら２つの図を用いて、全体の概略構成を述べる。なお、遠隔操作用アダプターは、長尺の部材で構成されているので、図１、２では中間部分を省略して示している。

　本実施の形態に係る遠隔操作用アダプター１では、電動工具（後述）を保持する工具把持部２が連結部６を介して支持棒８に連結されている。支持棒８の下方には、作業者が操作する操作レバー１０が取り付けられている。この操作レバー１０と工具把持部２との間には、操作レバー１０から入力された力を伝達する伝達部材であるロープ１４が架け渡されている。

　工具把持部２は、既存の工具を把持することができる。本実施の形態に係る構成では、後述の電動工具を把持できるように構成されている。把持した工具に対しては、遠隔位置の操作レバー１０から伝わる力をスライダクランク機構により変換してスイッチ操作を行うことができる。このスライダクランク機構は、工具把持部２の正面側に固定されたスライダクランク部４で構成されている。

　スライダクランク部４は、ガイド固定金具４ｆによって工具把持部２の正面側にネジで固定されている。このガイド固定金具４ｆの支持棒８側には、ロープ１４の一端が接続されているクランク４ａが、クランクシャフト４ｄを介して回転自在に設けられている。ロープ１４は、クランク４ａに設けられたロープ係止部４ｇに引っ掛けるようにして接続されている。

　クランク４ａには、ロープ１４以外にもロッド４ｂが回転自在に接続されている。このロッド４ｂの自由端側には、Ｌ型に曲げ加工されて爪部４ｃが形成されている。そして、ロッド４ｂの中間部分は、ガイド固定金具４ｆにより固定されたガイド部４ｅによりスライド可能にガイドされている。ガイド部４ｅは摩擦抵抗の小さい樹脂材で形成されており、中央には、ロッド４ｂが貫通配置できる貫通孔が形成されている。このように構成されているので、ロープ１４が下方の操作レバー１０に引っ張られると、回転するクランク４ａと連動してロッド４ｂが支持棒８側にスライドする。この動作により、ロッド４ｂの爪部４ｃが、後述の電動工具のスイッチを押圧操作することができる。

　本実施の形態に係る遠隔操作用アダプター１は、上述のように構成されているので、既存の工具を遠隔操作が可能な構成に拡張することができる。よって、一体型の遠隔操作工具と比較して汎用性が高い上に、収納や搬送が容易である。

　図３は、使用状態の遠隔操作用アダプターの正面図である。ここでは、電動工具５０の一例としてナット回し工具をセットした構成を示している。この電動工具５０はガンタイプのグリップ５２とトリガー型のスイッチ５１を有している。このスイッチ５１を覆うように上述のロッド４ｂの自由端側の爪部４ｃが配置されている。このように、本実施の形態に係る遠隔操作用アダプター１を用いて、既存のガンタイプの電動工具５０を遠隔操作可能に構成することができる。

　次に、電動工具５０を収容する工具把持部２の開閉構造について説明する。

　図４は、工具把持部の収容領域を開いた状態を示す図である。ロックピン２ｄを上方に抜き取ると、開閉部２ｂを開放することができる。開閉部２ｂには、閉止時に収容部２ｅの内側に向けて突き出すことができる隙間調節ネジ２ｃが設けられている。収容部２ｅ内に電動工具５０のグリップ５２を収容し（図３参照）、開閉部２ｂを閉じてロックピン２ｄでロックした後、隙間調節ネジ２ｃを押し込むと、収容部２ｅ内でグリップ５２を安定させることができる。このように隙間調節ネジ２ｃを押し込むと、グリップ５２は工具把持部２の支持棒８側に設けられた背板２ａに当接する。背板２ａはＬ型に曲げ加工されており、上端が凹状に湾曲加工されているので、電動工具５０の本体５３を安定的に載置可能である（図３参照）。このように構成されているので、ガンタイプの工具であれば、形状の違いに関わらず隙間の調節により安定的に保持できる。

　次に、スライダクランク部４の動作について説明する。

　図５は、スライダクランク部４の動作を表しており、（ａ）は正面図、（ｂ）はスライダクランク部の正面図に対応する模式図である。図１を用いて概略構造を説明したように、スライダクランク部４は工具把持部２の正面側にガイド固定金具４ｆによって固定されている。すなわち、図５（ａ）に見て取れるように、スライダクランク機構は、工具把持部２に対してクランクシャフト４ｄが一体的に固定されていると言える。よって、同様の構成を得るためには、クランクシャフト４ｄとガイド部４ｅとを一つのガイド固定金具４ｆで固定する代わりに、それぞれを個別に工具把持部２へ固定しても構わない。

　ロッド４ｂは、自由端側の爪部４ｃをやや持ち上げた状態でガイド部４ｅに保持されている。ここでは図示していないが、電動工具のトリガー型のスイッチは指の引っ掛かりを良くするために下方がやや突出するように形成されているものが多いため、ロッド４ｂはこのようなスイッチに合わせた配置となっている。

　図５（ｂ）では、図５（ａ）のスライダクランク部４のクランク４ａ、ロッド４ｂ、爪部４ｃ、クランクシャフト４ｄ及びロープ１４を模式的に表し、これらの構成に相当する部分には同一の符号を付して示している。また、実線は、スライダクランク部４がスイッチをオフにするときの配置を表し、点線は、スイッチをオンにするときの配置を表している。図５（ｂ）に見て取れるように、ロープ１４を引き下げてクランク４ａに回転力を与えると、ロッド４ｂがクランク４ａに引かれる。本実施の形態に係る構成では、ロッド４ｂの中間部分がガイド部４ｅによってスライド可能に支持されているので、ロッド４ｂの自由端側の爪部４ｃは揺動する。この爪部４ｃの軌道は、図中に矢印で示されているように、クランク４ａ側に引き込まれながら、同時に下方へ僅かに降下している。このように構成されているので、入力時に円弧運動を行うトリガー型のスイッチの軌道とロッド４ｂの爪部４ｃの軌道とが一致し、正確な操作が可能となる。

　続いて、連結部６について説明する。

　図６は、連結部６を分解した状態の斜視図である。連結部６は、菊座型のジョイント構造を有している。これにより、蝶ネジ６ａを緩めれば、支持棒８に対する工具把持部２の角度を容易に調節することができる。この連結部６は、工具把持部２及び支持棒８の少なくとも一方と脱着可能に構成されていると、遠隔操作用アダプター１の収納や搬送が容易になる。

　次に、連結部６の角度変形に伴うクランク４ａの作用について説明する。

　図７は、連結部６を直線状に伸ばした状態のスライダクランク部４の動作を表し、（ａ）は正面図、（ｂ）はスライダクランク部４の正面図に対応する模式図である。図５（ｂ）に示したのと同様に、スライダクランク部４の各構成及びロープ１４に相当する部分には同一の符号を付して示している。なお、ここでは説明の便宜のため、工具把持部２を基準にして支持棒８側を持ち上げた状態を図示している。また、実線は連結部６が一直線状に伸びた状態のロープ１４を表し、点線は連結部６が図５のように９０度に曲げられた状態のロープ１４を表している。

　一点鎖線で示された仮想直線Ｌ１、Ｌ２のうち、仮想直線Ｌ１は、クランクシャフト４ｄと爪部４ｃとを通る直線である。この仮想直線Ｌ１により、クランクシャフト４ｄ回りのクランク４ａの回転域が二分割される。この二分割されたそれぞれの半周域は、さらに、仮想直線Ｌ１と直交し、クランクシャフト４ｄを通る仮想直線Ｌ２によって二分割されている。このようにして四分割されたうちの一つを入力領域Ｒとして斜線を施し、その他３つの領域と区別する。

　図７（ｂ）に見て取れるように、ロープ１４は入力領域Ｒに接続されている。本実施の形態に係る構成では、クランクシャフト４ｄと爪部４ｃとを通る仮想直線Ｌ１で二分割された回転域のうち一方の半周域において、スイッチとは逆側の四分の一の回転域の範囲内（入力領域Ｒ）にロープ１４が接続される。

　連結部６が９０度に曲がった状態においては、ロープ１４は点線で表した向きに力を付与する。また、連結部６が１８０度に伸びた状態においては、ロープ１４は実線で表した向きに力を付与する。このように、入力領域Ｒにロープ１４を接続しておくと、実線及び点線で示した何れの向きにロープ１４から力が与えられても、クランクシャフト４ｄの位置との関係からクランク４ａに対して回転モーメントが生じるので、ロッド４ｂを引く回転方向へ力を発生させることが可能となる。したがって、連結部６の屈曲変形の範囲が９０度よりも小さい角度であれば、クランク４ａに対するロープ１４の接続位置を変更することなく電動工具５０の操作が可能である。

　次に、操作レバー１０の固定方法について説明する。

　図８は、操作レバー１０が取り付けられている支持棒８の拡大斜視図である。本実施の形態に係る操作レバー１０は、クランプ型の操作レバー固定部１２を介して支持棒８に固定される。操作レバー１０にはロープ１４を脱着可能に支持するロープ係止部１０ａが設けられている。操作レバー固定部１２は、支持棒８を挟持するだけの簡易な構成なので、支持棒８の取り付け位置は特定の位置に限定されず、任意の位置に固定可能である。

　図９は、操作レバー１０の取り付け位置を変更した使用例を示しており、（ａ）は全体の正面図、（ｂ）は支持棒８に対するロープ１４の干渉位置の拡大図である。

　図９（ａ）に示すように、本実施の形態に係る遠隔操作用アダプター１では、力を伝達する伝達部材として可撓性を有するロープ１４を採用しているので、操作レバー１０を支持棒８の回りに１８０度回転させた位置に取り付けることも可能である。この状態の支持棒８とロープ１４との位置関係を図９（ｂ）に拡大して示している。操作レバー１０の取り付け位置を、支持棒８を介して工具把持部２とは逆側に配置することにより、工具把持部２の近傍でロープ１４の一部が支持棒８に接している。しかし、操作レバー１０を操作したときに、ロープ１４が支持棒８の表面を滑るように移動するので、力の伝達を阻害することはない。

　ロープ１４が支持棒８の滑らかな表面と接触できるような位置関係を形成するように、操作レバー１０やクランク４ａ上に設けられたロープ係止部１０ａ、４ｇの位置を設計段階で調節しておくと、図９（ａ）のように支持棒８の回りに１８０度回転した位置よりも更に大きく回転させた位置に固定することも可能である。

　このように構成されているので、作業環境や作業者の姿勢に応じて操作レバー１０の位置を自由に変更することが可能になる。遠隔操作では、工具の状態が手元に伝わり難いため、正確な作業を行うことが難しい。しかし、操作レバー１０の位置を無段階式に細かく調整できることにより、作業時の取り回しが楽になり、作業効率を向上させることが可能となる。

　上記の実施の形態のように、本発明の遠隔操作用アダプター１によれば既存の電動工具５０などに対して組み付けることにより、容易に遠隔操作が可能な構成に変更することができる。また、既存の電動工具等に対して脱着可能であるため、収納や搬送が容易になるといった利点も有している。

　以上に述べた構成に限定されることなく、本発明は以下のような変形も含まれる。

　（１）上記の実施の形態では、支持棒８と連結部６との接続については詳細に述べていないが、支持棒８と連結部６との間を脱着可能に構成することも一体に構成することも可能である。脱着可能に構成すると、工具把持部２と操作レバー１０とを支持棒８から分離できる上、伝達部材が可撓性を有するロープ１４で構成されているので、非常にコンパクトに収納することが可能である。このように、遠隔操作用アダプター１が、支持棒８と連結部６とを含まない構成であっても構わない。

　（２）上記の実施の形態では、スライダクランク部４が工具把持部２に固定されている構成を例として示した。しかし、スライダクランク部４を工具把持部２に対して脱着可能に配置し、スライダクランク部４、伝達部材及び操作レバー１０によって工具把持部２を含まない遠隔操作用アダプターを構成することも可能である。このように構成すれば、さらに遠隔操作用アダプターをさらにコンパクトにできる。

　（３）上記の実施の形態では、操作レバー１０からスライダクランク部４へ力を伝達する部材としてロープ１４を備えた構成を例として示した。しかし、ロープ１４に限らず、棒状部材を多関節に組み合わせた伝達部材を用いても構わない。このように構成すると、支持棒８から分離させた場合に関節部分で伝達部材を折り畳むことができる。また、少なくとも、工具把持部２側（スライダクランク部４側）に可撓性を有する部材を含んだ伝達部材を用いる構成に置き換えることも可能である。このように構成すると、図９に示したように、伝達部材が支持棒８と干渉する位置まで操作レバー１０の取り付け位置を変更しても、工具把持部２の近傍では支持棒８に沿わせるように柔軟に変形させることが可能となる。

　（４）上記の実施の形態では、伝達部材としてロープ１４を設けた構成を例として示した。しかし、少なくとも工具把持部２側に可撓性を有するものであれば、ベルト部材でも構わない。

　（５）上記の実施の形態では、図９に示したように支持棒８との干渉領域でロープ１４を滑らせるように構成されている例を示した。しかし、干渉位置にレールやプーリーなどのガイド構造を設ける構成であってもよい。

　（６）上記の実施の形態では、スライダクランク部４のロッド４ｂの自由端側にＬ型に折り曲げ加工を施した爪部４ｃを形成した例を示した。しかし、電動工具５０のスイッチを押すことが可能な構成であればよく、Ｌ型の折り曲げ加工に限定されるものではない。

　（７）上記の実施の形態では、ロッド４ｂの揺動スライドをガイドするガイド部４ｅが、貫通孔を形成した樹脂材で構成されている例を示した。しかし、ロッド４ｂの中間部分をスライド可能にガイドできる構成であれば、樹脂材に限定されない。例えば、ロッド４ｂの長手方向に長孔を形成し、この長孔に貫通配置されて揺動スライドをガイドするピン状の部材であっても構わない。逆に、ロッドの側面に凸部を形成し、この凸部が嵌入可能なガイドレールを揺動スライドのガイドとしても構わない。

　（８）上記の実施の形態では、ガンタイプの電動工具５０のトリガー型のスイッチ５１を操作することができる遠隔操作用アダプター１の構成を例として示した。しかし、対象となる工具は、電動工具５０に限らず、プライヤ型の工具であっても構わない。例えば、揺動するヤットコの柄の一方（入力部）を閉じる方向に押圧操作するようにロッド４ｂの爪部４ｃを配置すると同様に遠隔で操作することが可能である。この場合、工具把持部２は、ヤットコの他方の柄を固定できるように構成すればよい。

　（９）上記の実施の形態では、操作レバー１０から力を伝達するロープ１４がクランク４ａを介してロッド４ｂに接続されている構成を例として示した。しかし、ロープ１４から伝達される力の方向を変換するためにクランク４ａを用いる構成の代わりに、ロープ１４の延びる方向を変えるローラー状のガイドを用いても構わない。また、摩擦係数の小さい部材であれば丸棒状のガイドでも構わない。ローラー状のガイドや丸棒状のガイドの上を滑らせるようにロープ１４を配置し、直接又は間接的にロッド４ｂへ接続するように構成すると、ロッド４ｂを支持棒８側に引き寄せる力を生じさせることが可能である。また、同様の構成としてプーリーとベルトを用いた運動方向変換機構を用いることも可能である。なお、この場合の運動方向変換機構では、ロッド４ｂは揺動運動ではなく直線運動になる。

　このように構成すると、ローラー状又は丸棒状のガイドによって変えられる延設方向（張力の作用する方向）の曲げ角が９０度以上に変化しても、常に一定の力を伝達することができる。具体的には、図５（ａ）と図７（ａ）の２つの状態の間で変形できるだけでなく、図５（ａ）よりも更に大きく折り曲げて、工具把持部２を支持棒８に近づけたような屈曲姿勢でも動作が可能である。

　また、ローラー状のガイドをロープに対して片側だけに設けるのではなく、少なくとも２つのローラー状のガイドを用いて、これらガイドでロープ（伝達部材）を挟むような配置で構成してもよい。

　このように構成すると、ガイドによって曲げられるロープ（伝達部材）の延設方向の曲げ角が１８０度を超える領域まで広げられても、２つのガイドの何れかの上にロープを滑らせる（這わせる）ことができるので、一定の力を安定して伝達することが可能である。この場合は、図７（ａ）の状態から更に支持棒８を（図５（ａ）とは逆側に）折り返して動作させることも可能である。

　本発明の遠隔操作用アダプターは、トリガー型のスイッチを備えた既存の工具に取り付けて遠隔操作を可能にできるので、電動ドライバーやナット回し工具等の電動工具の分野において有用である。

　１　　遠隔操作用アダプター
　２　　工具把持部
　２ａ　　背板
　２ｂ　　開閉部
　２ｃ　　隙間調節ネジ
　２ｄ　　ロックピン
　２ｅ　　収容部
　４　　スライダクランク部
　４ａ　　クランク
　４ｂ　　ロッド
　４ｃ　　爪部
　４ｄ　　クランクシャフト
　４ｅ　　ガイド部
　４ｆ　　ガイド固定金具
　４ｇ　　ロープ係止部
　６　　連結部
　６ａ　　蝶ネジ
　８　　支持棒
　１０　　操作レバー
　１０ａ　　ロープ係止部
　１２　　操作レバー固定部
　１４　　ロープ（伝達部材）
　５０　　電動工具
　５１　　スイッチ（入力部）
　５２　　グリップ
　５３　　本体
　Ｌ１、Ｌ２　　仮想直線
　Ｒ　　入力領域

Claims

　工具の入力部を遠隔で操作する遠隔操作用アダプターであって、
　前記工具を把持する工具把持部と、
　一端に前記工具把持部と連結する連結部を有する支持棒と、
　クランク及びロッドからなるスライダクランク機構のクランクシャフトが前記工具把持部に固定され、前記ロッドの自由端の引き込み動作で前記入力部を押圧操作するスライダクランク部と、
　前記クランクに連結され、前記クランクを回転させる力を伝達する伝達部材と、
　前記支持棒に取り付けられ、前記伝達部材に張力を与える操作レバーと
を備えたことを特徴とする遠隔操作用アダプター。
　前記連結部は、前記支持棒に対する前記工具把持部の角度を調節可能であることを特徴とする請求項１に記載の遠隔操作用アダプター。
　前記ロッドの前記自由端及び前記クランクシャフトを通る仮想直線で前記クランクシャフトの回転域を二分した一方の半周域において、
　前記クランクは、前記入力部側とは逆側の半分の領域で前記伝達部材と連結されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の遠隔操作用アダプター。
　前記スライダクランク部は、
　前記ロッドの中間部分をスライド可能に支持するガイド部を備えていることを特徴とする請求項３に記載の遠隔操作用アダプター。
　前記操作レバーは、前記支持棒に対して脱着可能であることを特徴とする請求項４に記載の遠隔操作用アダプター。
　前記伝達部材は、前記クランク及び前記操作レバーの少なくとも一方と脱着可能であることを特徴とする請求項５に記載の遠隔操作用アダプター。
　前記伝達部材は、少なくとも前記クランク側が可撓性を有していることを特徴とする請求項６に記載の遠隔操作用アダプター。
　支持棒の先端に設けられた工具把持部により把持された工具の入力部を遠隔で操作する遠隔操作用アダプターであって、
　前記工具把持部に対して脱着できるようにクランク及びロッドによってスライダクランク機構が構成され、前記ロッドの引き込みにより前記入力部を押圧操作するスライダクランク部と、
　前記クランクに連結され、前記クランクを回転させる力を伝達する伝達部材と、
　前記支持棒に脱着可能であり、前記伝達部材に張力を与える操作レバーと
を備えたことを特徴とする遠隔操作用アダプター。
　前記伝達部材は、前記クランク及び前記操作レバーの少なくとも一方と脱着可能であることを特徴とする請求項８に記載の遠隔操作用アダプター。
　前記伝達部材は、少なくとも前記クランク側の構成が可撓性を有していることを特徴とする請求項９に記載の遠隔操作用アダプター。