WO2023145641A1

WO2023145641A1 - 情報処理装置、その制御方法、及びプログラム

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Publication number: WO2023145641A1
Application number: PCT/JP2023/001691
Authority: WO
Inventors: 健一郎横田; 仁佐藤; 正樹佐々木; 敬介井上
Original assignee: 株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
Priority date: 2022-01-31
Filing date: 2023-01-20
Publication date: 2023-08-03

Abstract

可変リフレッシュレートでフレーム画像を更新可能な表示装置（１４）と接続される情報処理装置であって、フレーム画像の描画処理を実行し、描画したフレーム画像を表示装置（１４）に送信し、フレーム画像の描画処理に要する描画時間を計測し、計測した描画時間に応じて、描画処理の動作条件を変化させる情報処理装置である。

Description

情報処理装置、その制御方法、及びプログラム

　本発明は、表示装置の画面に表示する映像を生成する情報処理装置、その制御方法、及びプログラムに関する。

　一般的に、家庭用テレビ受像機などの表示装置は、画面に表示する静止画像（フレーム画像）を予め定められた周期（リフレッシュレート）で更新し続けることによって、映像を表示する。そのため、表示装置に表示させる映像を生成する情報処理装置は、このリフレッシュレートに合わせた固定のフレームレートで、映像を構成する各フレーム画像を描画する必要がある。しかしながら、フレームレートが固定されていると、情報処理装置の描画性能を十分に生かせなかったり、逆に情報処理装置の描画性能が不足している場合にスタッタリングやティアリングなどの表示の乱れが発生したりするなどの問題があった。

　そこで、ＨＤＭＩ（登録商標）などの映像規格においては、表示装置のリフレッシュレートを可変とする可変リフレッシュレート（ＶＲＲ）と呼ばれる技術が提案されている。この技術によれば、表示装置が任意のリフレッシュレートで表示画像を更新することができるので、情報処理装置は自身の描画速度などに応じてフレームレートを動的に変化させることにより、より望ましいフレームレートでフレーム画像を描画することができる。

　上述した技術においては、積極的にフレームレートを変化させることで効率的にフレーム画像を描画することとしている。しかしながら、可変リフレッシュレートの技術を利用する場合にどのような制御を行えば効率的にフレーム画像を描画することができるか、未だ十分に検討されているわけではない。

　本発明は上記実情を考慮してなされたものであって、その目的の一つは、可変リフレッシュレートで映像を表示させる場合に効率的に描画処理を実行することのできる情報処理装置、その制御方法、及びプログラムを提供することにある。

　本発明の一態様に係る情報処理装置は、可変リフレッシュレートでフレーム画像を更新可能な表示装置と接続される情報処理装置であって、フレーム画像の描画処理を実行し、描画したフレーム画像を前記表示装置に送信するフレーム画像描画部と、前記フレーム画像の描画処理に要する描画時間を計測する描画時間計測部と、前記計測した描画時間に応じて、前記描画処理の動作条件を変化させる描画処理制御部と、を含むことを特徴とする。

　本発明の一態様に係る情報処理方法は、可変リフレッシュレートでフレーム画像を更新可能な表示装置と接続される情報処理装置の制御方法であって、フレーム画像の描画処理を実行し、描画したフレーム画像を前記表示装置に送信するステップと、前記フレーム画像の描画処理に要する描画時間を計測するステップと、前記計測した描画時間に応じて、前記描画処理の動作条件を変化させるステップと、を含むことを特徴とする。

　本発明の一態様に係るプログラムは、可変リフレッシュレートでフレーム画像を更新可能な表示装置と接続されるコンピュータに、フレーム画像の描画処理を実行し、描画したフレーム画像を前記表示装置に送信するステップと、前記フレーム画像の描画処理に要する描画時間を計測するステップと、前記計測した描画時間に応じて、前記描画処理の動作条件を変化させるステップと、を実行させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能で非一時的な情報記憶媒体に格納されて提供されてよい。

本発明の実施の形態に係る情報処理装置の概略構成を示す構成ブロック図である。本発明の実施の形態に係る情報処理装置が実現する機能を示す機能ブロック図である。本発明の実施の形態に係る情報処理装置が実行する制御の一例を説明するための図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。

　本発明の一実施形態に係る情報処理装置１０は、家庭用ゲーム機やパーソナルコンピュータ等であって、図１に示すように、制御部１１と、記憶部１２と、インタフェース部１３と、を含んで構成されている。また、情報処理装置１０は、表示装置１４、及び操作デバイス１５とデータ通信可能に接続されている。

　制御部１１は、ＣＰＵ等のプロセッサを少なくとも一つ含み、記憶部１２に記憶されているプログラムを実行して各種の情報処理を実行する。特に本実施形態では、制御部１１は、画像の描画処理に用いられるＧＰＵ（Graphics Processing Unit）１１ａを含むこととする。なお、本実施形態において制御部１１が実行する処理の具体例については、後述する。記憶部１２は、ＲＡＭ等のメモリデバイスを少なくとも一つ含み、制御部１１が実行するプログラム、及び当該プログラムによって処理されるデータを格納する。また、記憶部１２は、後述するフレーム画像を一時的に格納するバッファメモリを含む。

　インタフェース部１３は、表示装置１４、及び操作デバイス１５との間のデータ通信のためのインタフェースである。情報処理装置１０は、インタフェース部１３を介して有線又は無線のいずれかで表示装置１４、及び操作デバイス１５のそれぞれと接続される。具体的にインタフェース部１３は、情報処理装置１０が供給する映像信号を表示装置１４に送信するためのマルチメディアインタフェースを含むこととする。特に本実施形態においてインタフェース部１３は、ＨＤＭＩなどの可変リフレッシュレートに対応した規格で映像信号を送信可能なインタフェースを備えることとする。また、インタフェース部１３は、ユーザーによる操作入力の内容を示す操作信号を操作デバイス１５から受信するためのデータ通信インタフェースを含んでいる。さらにインタフェース部１３は、インターネット等の通信ネットワークを介して他のコンピュータとデータを送受信するための通信インタフェースを含んでもよい。

　表示装置１４は、家庭用テレビ受像機やパーソナルコンピュータ用のモニタ装置などであって、情報処理装置１０から受信した映像信号に基づく映像を表示する。特に本実施形態では、表示装置１４は可変リフレッシュレート技術に対応しており、情報処理装置１０から入力される信号の内容に応じて決まる任意のタイミングで、画面に表示されるフレーム画像を更新する。すなわち、表示装置１４は、予め定められた固定のリフレッシュレートではなく、動的に変化するリフレッシュレートで表示するフレーム画像を更新することができる。

　操作デバイス１５は、情報処理装置１０のユーザーによる操作入力を受け付けるためのデバイスであって、例えば家庭用ゲーム機用のコントローラやキーボード、マウス等であってよい。操作デバイス１５は、ユーザーの操作入力を受け付けるためにボタンやタッチパッド等の操作部材を備え、その操作部材に対するユーザーの操作入力の内容を示す操作信号を情報処理装置１０に対して送信する。

　以下、本実施形態において情報処理装置１０が実現する機能について、図２の機能ブロック図を用いて説明する。同図に示されるように、情報処理装置１０は、機能的に、描画命令発行部２１と、フレーム画像描画部２２と、描画時間計測部２３と、描画処理制御部２４と、を含んで構成されている。これらの機能は、記憶部１２に格納されている１又は複数のプログラムを制御部１１が実行することにより実現される。これらのプログラムは、インターネット等の通信ネットワークを経由して情報処理装置１０に提供されてもよいし、光ディスク等の情報記憶媒体に格納されて情報処理装置１０に提供されてもよい。

　描画命令発行部２１は、表示装置１４の画面に表示すべきフレーム画像の内容を決定し、その描画命令をフレーム画像描画部２２に対して発行する。描画命令発行部２１は、ゲームプログラムなどのアプリケーションプログラムによって実現される。一例として、仮想空間内でキャラクターを操作するタイプのゲームの処理を実行する場合、描画命令発行部２１は仮想空間内に配置される各種オブジェクトの位置や状態、また視点位置などを決定し、その仮想空間の様子を描画する描画命令を発行する。

　描画命令発行部２１は、ループ処理を継続して実行することにより、このようなフレーム画像の描画命令を繰り返し発行する。これにより、表示装置１４の画面に表示されるフレーム画像が順次更新され、映像としてユーザーに提示される。前述したように、表示装置１４は可変リフレッシュレートに対応しているため、描画命令発行部２１は描画命令を一定時間おきに発行する必要はなく、フレーム画像描画部２２がフレーム画像の描画を終了したタイミングで適宜次に表示すべきフレーム画像の描画命令を発行することができる。

　フレーム画像描画部２２は、描画命令発行部２１から受け付けた描画命令に応じて、表示装置１４の画面に表示するためのフレーム画像を描画し、描画したフレーム画像のデータを含む映像信号を表示装置１４に対して送信する。フレーム画像描画部２２は、例えばグラフィックライブラリやゲームエンジンなど、描画命令発行部２１を実現するプログラムとは独立したプログラムによって実現されてよい。特に本実施形態において、フレーム画像描画部２２の少なくとも一部の処理は、ＧＰＵ１１ａによって実現されるものとする。すなわち、ＧＰＵ１１ａは、フレーム画像の描画に必要な演算処理の少なくとも一部を実行する。

　本実施形態においてフレーム画像描画部２２は、可変フレームレートでフレーム画像の描画及び送信を実行する。すなわち、フレーム画像描画部２２は、フレーム画像の描画を完了すると直ちに描画したフレーム画像の表示装置１４への送信を実行し、次のフレーム画像の描画を開始することができる。なお、描画命令発行部２１は、フレーム画像描画部２２がフレーム画像の描画を完了するタイミングに応じて、次のフレーム画像の描画命令を発行する。これにより描画命令発行部２１は、フレーム画像描画部２２がフレーム画像を描画するために要する時間に合わせたサイクルで描画命令を発行し続けることができる。

　描画時間計測部２３は、フレーム画像描画部２２が新たなフレーム画像を描画するごとに、その描画に要した所要時間（描画時間）を計測する。具体的に描画時間計測部２３は、フレーム画像描画部２２が前回のフレーム画像の描画を完了した時点から開始して、次のフレーム画像の描画を完了する時点までの時間を、そのフレーム画像の描画に要した描画時間として計測する。

　描画処理制御部２４は、描画時間計測部２３が計測した描画時間の情報に基づいて、フレーム画像描画部２２によるフレーム画像描画処理の動作条件を制御する。フレーム画像の描画時間が想定より短い場合、ＧＰＵ１１ａの処理能力に比較的余裕があると考えられる。そこでこのような場合、描画処理制御部２４は、フレーム画像描画部２２が次のフレーム画像を描画する際に、描画性能を抑制するように描画処理の動作条件を変化させる。一般的に、フレーム画像を描画する際の描画性能と消費電力との間には、トレードオフの関係が成立する。そのため、描画性能を抑制することで、フレーム画像の描画時間は長くなるものの、描画に要する消費電力を低減することができる。逆にフレーム画像の描画処理に要した時間が想定より長い場合、描画処理制御部２４は、フレーム画像描画部２２の描画性能を向上させるように描画処理の動作条件を変化させることで、それ以降のフレーム画像の描画に要する時間を短くすることができる。このような制御によれば、表示装置１４に表示される映像のリフレッシュレートを低下させすぎないようにしながら、フレーム画像の描画に必要な情報処理装置１０の消費電力を低減することができる。

　具体的に描画処理制御部２４は、フレーム画像の描画時間の目標値として、目標時間Ｔｘを予め決定しておく。そして、フレーム画像描画部２２がフレーム画像を描画するごとに、その描画時間を目標時間Ｔｘと比較し、描画時間が目標時間Ｔｘよりも長ければ描画性能を向上させて描画時間を短くするように、描画時間が目標時間Ｔｘよりも短ければ消費電力を低減させて描画時間を長くするように、描画処理の動作条件を変化させる。これにより、各フレーム画像の描画時間が目標時間Ｔｘに近づくように制御することができる。

　ここで目標時間Ｔｘは、予め定められたデフォルト値であってもよい。例えば目標となるリフレッシュレートが６０Ｈｚの場合、フレーム画像は約１６．６ｍｓ（＝１０００ｍｓ／６０）に１回表示装置１４に送信されることが望ましい。この場合、描画処理制御部２４は１６．６ｍｓを目標時間Ｔｘとして決定する。

　なお、この場合におけるデフォルト値は、ユーザーが事前に入力する設定内容等に応じて変更可能であってもよい。また、描画処理制御部２４が描画処理の動作条件を変化させる制御自体を実行するか否かについても、ユーザーによる設定入力の内容等に応じて決定してもよい。この場合、情報処理装置１０はユーザーによる動作設定の指定を受け付ける機能を備え、ユーザーが指定した設定内容を記憶部１２内に保持しておく。そして、描画処理制御部２４は、記憶部１２内に保持された設定内容を参照し、その内容に応じて描画処理の動作条件を変化させる制御を実行するか否か、また実行する場合に目標時間Ｔｘの値をいくつにするかを決定する。

　一例として、ユーザーが消費電力を削減する動作モードを予め選択した場合、描画処理制御部２４は描画処理の動作条件を変化させる制御を実行することとし、逆にこの動作モードをオフにすることをユーザーが選択している場合には、描画処理制御部２４は動作制御を行わないこととする。また、消費電力を削減する動作モードで動作する場合、ユーザーがフレームレートとして６０Ｈｚ、１２０Ｈｚなどの値を指定することとし、描画処理制御部２４は指定されたフレームレートの値に応じて目標時間Ｔｘを決定する。

　あるいは描画処理制御部２４は、描画命令発行部２１を実現するアプリケーションプログラム（すなわち、フレーム画像の内容を決定するアプリケーションプログラム）に応じて目標時間Ｔｘを決定してもよい。実行対象となるアプリケーションプログラムは、映像を表示する表示装置のリフレッシュレートとして特定の値を想定している場合がある。その場合、描画処理制御部２４はそのアプリケーションプログラムが指定するリフレッシュレートに対応する時間を目標時間Ｔｘとして決定する。具体的に、例えば描画処理制御部２４は、記憶部１２に格納されているアプリケーションプログラムの設定情報を参照したり、実行中のアプリケーションプログラム自身から通知を受け付けたりすることによって、アプリケーションプログラムが指定するリフレッシュレートの値を取得し、その値に応じて目標時間Ｔｘを決定してもよい。

　また、描画処理制御部２４は、アプリケーションプログラムの種類に応じて目標時間Ｔｘを決定してもよい。例えばアプリケーションプログラムがゲームプログラムである場合、ゲームのジャンルによって要求されるフレームレートの傾向に相違がある。具体的には、アクションゲームや対戦格闘ゲームなどのようにリアルタイムな操作性が要求されるゲームの場合、高いフレームレートでフレーム画像を更新することが望ましい。一方で、ロールプレイングゲームやテーブルゲームなどのようにリアルタイム性が相対的に重要でないゲームの場合、ある程度低いフレームレートでフレーム画像を描画しても問題ない場合がある。そこで、このようなアプリケーションプログラムのジャンル情報を取得可能な場合、描画処理制御部２４は実行中のアプリケーションプログラムのジャンル情報を取得し、ジャンルごとに予め定められた目標時間Ｔｘの中から、取得したジャンル情報に応じた目標時間Ｔｘを実際に適用する目標時間Ｔｘとして選択してもよい。

　また、描画処理制御部２４は、アプリケーションプログラムの実行中に、各種の条件に基づいてリアルタイムで目標時間Ｔｘを変化させてもよい。例えば描画処理制御部２４は、ユーザーによる操作入力の内容に応じて目標時間Ｔｘを変化させてもよい。具体例として、描画処理制御部２４はユーザーの操作デバイス１５に対する操作入力の有無を監視し、一定時間操作入力が行われていない場合にはフレームレートを所与の目標値（例えば４８Ｈｚ）に低下させるように目標時間Ｔｘを変化させる。逆に操作入力が行われている間は、フレームレートを所与の目標値（例えば１２０Ｈｚ）に上昇させるように目標時間Ｔｘを変化させる。こうすれば、ユーザーがアプリケーションプログラムに対する操作を行っていない間、フレームレートを低下させて消費電力を削減することができる。

　また、描画処理制御部２４は、フレーム画像の変化の有無に応じて目標時間Ｔｘを変化させてもよい。一例として、描画処理制御部２４はフレーム画像が新たに描画されるごとにそのハッシュ値を計算し、前回計算されたハッシュ値と比較するなどの方法で、フレーム画像に変化があるか否かを判定する。そして、フレーム画像に変化がない状態が所定時間以上継続した場合、フレームレートを所与の目標値（例えば４８Ｈｚ）に低下させるように目標時間Ｔｘを変化させる。こうすれば、表示装置１４に表示されるフレーム画像に変化がない場合に、フレーム画像の描画頻度を低下させて消費電力を削減することができる。

　なお、以上説明したようにアプリケーションプログラムの実行中に目標時間Ｔｘを変化させる場合、状況に応じて決定される目標値に一度に変化させるのではなく、所定の変化量ずつ段階的に変化させることとしてもよい。

　また、以上説明した目標時間Ｔｘを決定するための各種の基準は、組み合わせて用いられることとしてもよい。例えばユーザーの操作入力の内容に応じて目標時間Ｔｘを変化させる場合において、その目標値としてアプリケーションプログラムのジャンルごとに予め定められている値を採用してもよい。また、リアルタイムで目標時間Ｔｘを変化させる場合の目標値は、実行中のアプリケーションプログラムによって指定される上限値から下限値までの範囲内に含まれるように決定されてもよい。

　以下、描画処理制御部２４が制御対象とする描画処理の動作条件の具体例について、説明する。例えば描画処理制御部２４は、描画処理の動作条件の一例としてＧＰＵ１１ａの動作周波数を変化させてよい。この場合、描画処理制御部２４は、描画時間が目標時間Ｔｘ未満だった場合にはＧＰＵ１１ａの動作周波数を低下させ、描画時間が目標時間Ｔｘを超過していた場合にはＧＰＵ１１ａの動作周波数を上昇させる。ＧＰＵ１１ａの動作周波数を低下させると、ＧＰＵ１１ａの消費電力を大きく低減できることが分かっている。そのため、フレーム画像を描画するごとにその所要時間に応じてＧＰＵ１１ａの動作周波数を変化させることで、フレーム画像の描画時間を目標時間Ｔｘに近づけつつ、描画時間に比較的余裕があるときは消費電力を低減させることができる。

　また、描画処理制御部２４は、描画処理の動作条件として、ＧＰＵ１１ａ内でフレーム画像の描画処理に利用する演算ユニットの数（シェーダー数やコア数など）を変化させてもよい。また、描画処理制御部２４は、メモリのバンド幅などを変化させてもよい。その他にも描画処理制御部２４は、ＧＰＵ１１ａの描画性能及び消費電力に影響を及ぼす各種のパラメータを描画時間に応じて変化させてもよい。

　さらに描画処理制御部２４は、描画時間と目標時間Ｔｘとの間の差の大きさに応じて、描画処理の動作条件に関するパラメータの変化量を決定してもよい。具体的に、描画処理制御部２４は、描画時間と目標時間Ｔｘとの間の差が大きいほど、動作条件に関するパラメータを大きく変化させることとする。これにより、フレーム画像の描画に要した実際の時間が目標時間Ｔｘから大きく乖離している場合に、素早く目標時間Ｔｘに近づけることができる。

　ここで、本実施形態に係る情報処理装置１０が実行する制御の具体例について、図３を用いて説明する。この図においては、一例として、基準時刻ｔ０を起点としてその後に３枚のフレーム画像を描画する際の制御内容を示している。

　この図の例では、まずフレーム画像描画部２２が、ＧＰＵ１１ａの動作周波数２．０ＧＨｚで１番目のフレーム画像を描画している。その結果、１番目のフレーム画像の描画に要した描画時間Ｔ１が、目標時間Ｔｘを下回っている。これを受けて描画処理制御部２４は、１番目のフレーム画像の描画が完了した時刻ｔ１の時点でＧＰＵ１１ａの動作周波数を低下させる。ここでは具体例として、ＧＰＵ１１ａの動作周波数が１．８ＧＨｚに変更されている。

　この変更を受けてフレーム画像描画部２２は、ＧＰＵ１１ａの動作周波数１．８ＧＨｚで２番目のフレーム画像を描画する。これにより、２番目のフレーム画像の描画時間Ｔ２は目標時間Ｔｘを比較的大きく上回ったとする。これを受けて描画処理制御部２４は、２番目のフレーム画像の描画が完了した時刻ｔ２の時点でＧＰＵ１１ａの動作周波数を上昇させる。ここでは具体例として、描画処理制御部２４は、比較的大きくＧＰＵ１１ａの動作周波数を上昇させた結果、３番目のフレーム画像は１番目のフレーム画像が描画された際の動作周波数より高い２．１ＧＨｚで描画されている。これにより、３番目のフレーム画像は比較的短い描画時間Ｔ３で描画される。

　このような制御によれば、全体として目標時間Ｔｘに近い描画時間で各フレーム画像が描画されることが期待できる。一方で、目標時間Ｔｘよりも長い描画時間でフレーム画像が描画されることがあったとしても、表示装置１４は可変リフレッシュレートでフレーム画像を更新するので、コマ落ちなどを発生させることなく情報処理装置１０から送信される各フレーム画像を順次表示することができる。

　以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置１０によれば、表示装置１４が映像を表示する際のリフレッシュレートを大きく低下させることなく、フレーム画像の描画に必要な電力消費を低減することができ、効率的な描画処理が可能となる。

　なお、本発明の実施の形態は以上説明したものに限られない。例えば以上の説明では、ＧＰＵ１１ａの動作周波数などの動作パラメータをフレーム画像の描画時間に応じて変化させることとしたが、それ以外にもフレーム画像の描画処理に関連する各種の動作条件を変化させてもよい。また、複数種類の動作条件を併せて変化させてもよい。

　また、以上の説明ではフレーム画像を１枚描画するごとに、その描画時間に応じて描画処理の動作条件を変化させることとした。しかしながら描画処理制御部２４は、これに限らず、複数枚のフレーム画像が描画されるごとに、それらのフレーム画像の描画処理に要した全体の時間に応じて描画処理の動作条件を変化させてもよい。あるいは、複数枚のフレーム画像が描画されるごとに、最後のフレーム画像の描画処理に要した時間に応じて描画処理の動作条件を変化させてもよい。

　また、以上の説明では描画時間が目標時間Ｔｘを少しでも上回ったり下回ったりした場合に描画処理の動作条件を変化させることとしたが、これに限らず描画処理制御部２４は、目標時間Ｔｘに応じて決定される所与の閾値を描画時間と比較した結果に基づいて描画処理の動作条件を変化させてもよい。具体的に、例えば描画処理制御部２４は、目標時間Ｔｘに応じて決定される第１の閾値を上回った場合に描画処理の性能を低下させ、第１の閾値とは異なる第２の閾値を下回った場合に描画処理の性能を上昇させることとしてもよい。

　１０　情報処理装置、１１　制御部、１１ａ　ＧＰＵ、１２　記憶部、１３　インタフェース部、１４　表示装置、１５　操作デバイス、２１　描画命令発行部、２２　フレーム画像描画部、２３　描画時間計測部、２４　描画処理制御部。

Claims

　可変リフレッシュレートでフレーム画像を更新可能な表示装置と接続される情報処理装置であって、
　フレーム画像の描画処理を実行し、描画したフレーム画像を前記表示装置に送信するフレーム画像描画部と、
　前記フレーム画像の描画処理に要する描画時間を計測する描画時間計測部と、
　前記計測した描画時間に応じて、前記描画処理の動作条件を変化させる描画処理制御部と、
　を含むことを特徴とする情報処理装置。
　請求項１に記載の情報処理装置において、
　前記描画処理制御部は、前記計測した描画時間を所与の目標時間と比較した結果に応じて、前記描画処理の動作条件を変化させる
　ことを特徴とする情報処理装置。
　請求項２に記載の情報処理装置において、
　前記描画処理制御部は、前記計測した描画時間と前記目標時間との差の大きさに応じて、前記描画処理の動作条件を変化させる
　ことを特徴とする情報処理装置。
　請求項２又は３に記載の情報処理装置において、
　前記描画処理制御部は、前記フレーム画像の内容を決定するアプリケーションプログラムが指定するフレームレートの値に応じて前記目標時間を決定する
　ことを特徴とする情報処理装置。
　請求項２又は３に記載の情報処理装置において、
　前記描画処理制御部は、前記フレーム画像の内容を決定するアプリケーションプログラムの種類に応じて前記目標時間を決定する
　ことを特徴とする情報処理装置。
　請求項２又は３に記載の情報処理装置において、
　前記描画処理制御部は、ユーザーが予め指定する設定内容に応じて前記目標時間を決定する
　ことを特徴とする情報処理装置。
　請求項２に記載の情報処理装置において、
　前記描画処理制御部は、前記フレーム画像の内容を決定するアプリケーションプログラムの実行中に、前記目標時間を変化させる
　ことを特徴とする情報処理装置。
　請求項７に記載の情報処理装置において、
　前記描画処理制御部は、ユーザーによる操作入力の内容に応じて前記目標時間を変化させる
　ことを特徴とする情報処理装置。
　請求項７に記載の情報処理装置において、
　前記描画処理制御部は、前記フレーム画像描画部が描画する前記フレーム画像の変化に応じて前記目標時間を変化させる
　ことを特徴とする情報処理装置。
　請求項１に記載の情報処理装置において、
　前記フレーム画像描画部は、ＧＰＵの演算処理によって前記フレーム画像を描画し、
　前記描画処理制御部は、前記描画処理の動作条件として、前記ＧＰＵの動作パラメータを変化させる
　ことを特徴とする情報処理装置。
　可変リフレッシュレートでフレーム画像を更新可能な表示装置と接続される情報処理装置の制御方法であって、
　フレーム画像の描画処理を実行し、描画したフレーム画像を前記表示装置に送信するステップと、
　前記フレーム画像の描画処理に要する描画時間を計測するステップと、
　前記計測した描画時間に応じて、前記描画処理の動作条件を変化させるステップと、
　を含むことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
　可変リフレッシュレートでフレーム画像を更新可能な表示装置と接続されるコンピュータに、
　フレーム画像の描画処理を実行し、描画したフレーム画像を前記表示装置に送信するステップと、
　前記フレーム画像の描画処理に要する描画時間を計測するステップと、
　前記計測した描画時間に応じて、前記描画処理の動作条件を変化させるステップと、
　を実行させるためのプログラム。