WO2023100609A1 - ソフトウェア管理装置、ソフトウェア管理方法、ソフトウェア管理プログラム - Google Patents

Abstract

産業ソフトウェア管理装置１は、産業装置２にインストール済の産業ソフトウェア２２のバージョンの情報を取得するインストール済バージョン情報取得部３２と、インストール済のバージョンの情報に応じて、当該バージョンから書き換え可能な別のバージョンの情報を提供する書換可能バージョン情報提供部３３と、書き換え可能なバージョンに産業ソフトウェアを書き換える産業ソフトウェア書換部３５と、を備える。書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済のバージョンと書き換え可能なバージョンが対応付けられたバージョン対照テーブル３４に基づいて、当該書き換え可能なバージョンの情報を提供する。

Description

ソフトウェア管理装置、ソフトウェア管理方法、ソフトウェア管理プログラム

　本発明は、産業装置にインストールされるソフトウェアの管理に関する。

　製品やサービスの生産や提供を行う産業現場で使用される一般的な産業装置には、マイクロコントローラ（ＭＣＵ：Micro Controller Unit）、マイクロプロセッサ（ＭＰＵ：Micro-Processing Unit）、中央処理装置（ＣＰＵ：Central Processing Unit）等の制御部が設けられ、産業装置にインストールされたコンピュータプログラムである産業ソフトウェアを実行することで所期の動作を産業装置に行わせる。

　特許文献１には、産業装置の一例としての複合機にインストールされたソフトウェアをアップデートする際に、更新ソフトウェアの動作確認を行っている間は既存ソフトウェアを書き換えることなく保持する技術が開示されている。

特開２０１３－９７４２１号公報

　パーソナルコンピュータやスマートフォン等の汎用デバイスでは、インストールされた各種のソフトウェアのアップデートが自動的または画面上の簡易的な操作で半自動的に行われることが多いが、産業現場に設置される産業装置では、インストールされた産業ソフトウェアの書き換えが当該産業装置の管理者等によってマニュアルで行われることも多い。このため、当該産業装置が対応していない産業ソフトウェアを誤って書き込んでしまう（インストール済の産業ソフトウェアを上書きしてしまう）、当該産業装置が対応していないバージョンに産業ソフトウェアを誤って書き換えてしまう、等の人為的なミスが発生する可能性がある。

　本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、産業装置にインストールされたソフトウェアを適切なバージョンに書き換えることができるソフトウェア管理装置等を提供することにある。

　上記課題を解決するために、本発明のある態様のソフトウェア管理装置は、インストール済のソフトウェアのバージョンの情報を取得するインストール済バージョン情報取得部と、インストール済のバージョンの情報に応じて、当該バージョンから書き換え可能な別のバージョンの情報を提供する書換可能バージョン情報提供部と、書き換え可能なバージョンにソフトウェアを書き換えるソフトウェア書換部と、を備える。

　この態様によれば、産業装置にインストール済のソフトウェアのバージョンの情報に応じて特定される書き換え可能な別のバージョンに当該ソフトウェアを書き換えることができる。

　本発明の別の態様は、ソフトウェア管理方法である。この方法は、インストール済のソフトウェアのバージョンの情報を取得するインストール済バージョン情報取得ステップと、インストール済のバージョンの情報に応じて、当該バージョンから書き換え可能な別のバージョンの情報を提供する書換可能バージョン情報提供ステップと、書き換え可能なバージョンにソフトウェアを書き換えるソフトウェア書換ステップと、を備える。

　なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。

　本発明によれば、産業装置にインストールされたソフトウェアを適切なバージョンに書き換えることができる。

産業ソフトウェア管理装置の機能ブロック図である。 バージョン対照テーブルの具体例を示す。 変形例において管理者等に提示される画面例を示す。 産業ソフトウェア管理装置の別の変形例を示す。 産業装置の一例であるリニア搬送システムの全体構造を示す斜視図である。 産業装置の一例である印刷装置の構成を示す。

　以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明または図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限りは限定的に解釈されるものではない。実施形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施形態に記載される全ての特徴やそれらの組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。

　図１は、本発明の実施形態に係るソフトウェア管理装置としての産業ソフトウェア管理装置１の機能ブロック図である。産業ソフトウェア管理装置１は、産業装置２にインストール済のソフトウェアとしての産業ソフトウェア２２を、産業ソフトウェア書換装置３によって別のバージョンに書き換える装置である。当該別のバージョンの産業ソフトウェアは、産業ソフトウェア書換装置３が各種のネットワーク等を介してアクセス可能な任意の場所に設置されたデータベース４または産業ソフトウェア書換装置３内に格納されている。

　産業装置２は、各種の製品やサービスの生産や提供を行う産業現場において、特定の用途に使用される装置である。産業装置２の具体例については後述するが、例えば、日本産業機械工業会が取り扱っているボイラ・原動機、鉱山機械、化学機械、環境装置、タンク、プラスチック機械、風水力機械、運搬機械、動力伝導装置、製鉄機械、業務用洗濯機等の企業の工場等の産業現場で使用される産業用機械、産業機械、産業機器等や、半導体等の製造装置、工作機械、印刷機、産業ロボットを含む。一方、パーソナルコンピュータやスマートフォン等の用途が限定されない汎用装置は産業装置２に含まれない。

　産業装置２にはＭＣＵ、ＭＰＵ、ＣＰＵ等の制御部２０が設けられ、産業装置２の記憶装置に格納された（インストールされた）産業ソフトウェア２２を実行することで所期の動作を産業装置２に行わせる。以下では、産業装置２の記憶装置に格納された産業ソフトウェア（２２）を「インストール済（の）産業ソフトウェア（２２）」ともいい、産業装置２の記憶装置に格納された産業ソフトウェア２２のバージョンを「インストール済（の）バージョン」ともいう。

　典型的な産業装置２は、産業装置２自体の可動部（例えば、産業ロボットのジョイント、工作機械の加工部や被加工物が載置されるテーブル）や、産業装置２の各部の動作を制御するリレー（継電器）や電磁弁等の制御部品の可動部を駆動するためのモータ等の駆動部２４を備える。制御部２０は、記憶装置から読み出した産業ソフトウェア２２に基づいて駆動部２４を制御する。産業装置２には、その動作を監視する上で有益な各種のデータを測定する測定部２６が設けられてもよい。例えば、駆動部２４による駆動対象（例えば、工作機械におけるテーブル、輪転印刷機で巻き出される巻取紙）等の位置、速度、加速度等を測定するセンサや、駆動対象のその他のパラメータ（例えば、巻取紙の張力やローラから加えられる圧力）を測定するセンサや、産業装置２が稼働している環境に関するパラメータ（例えば、温度、湿度、気圧、輝度）を測定するセンサを測定部２６として設けてもよい。

　産業ソフトウェア書換装置３は、ソフトウェア書換操作受付部３１と、インストール済バージョン情報取得部３２と、書換可能バージョン情報提供部３３と、バージョン対照テーブル３４と、ソフトウェア書換部としての産業ソフトウェア書換部３５を主に備える。これらの機能ブロックは、コンピュータの中央演算処理装置、メモリ、入力装置、出力装置、コンピュータに接続される周辺機器等のハードウェア資源と、それらを用いて実行されるソフトウェアの協働により実現される。コンピュータの種類や設置場所は問わず、上記の各機能ブロックは、単一のコンピュータのハードウェア資源で実現してもよいし、複数のコンピュータに分散したハードウェア資源を組み合わせて実現してもよい。特に本実施形態では、産業ソフトウェア書換装置３の機能ブロックの一部または全部は、産業装置２が設置される産業現場内に設置されるコンピュータで実現してもよいし、産業装置２と通信可能な当該産業現場外に設置されるコンピュータで実現してもよい。

　ソフトウェア書換操作受付部３１は、産業装置２にインストール済の産業ソフトウェア２２を書き換えるための管理者等の操作を受け付ける。インストール済バージョン情報取得部３２は、ソフトウェア書換操作受付部３１が受け付けた操作に応じて、産業装置２にインストール済の産業ソフトウェア２２のバージョンの情報を取得する。具体的には、インストール済バージョン情報取得部３２からの要求を受けた産業装置２の制御部２０が、記憶装置に格納されている産業ソフトウェア２２のバージョン（インストール済バージョン）の情報を読み出して、インストール済バージョン情報取得部３２に提供する。

　書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済バージョン情報取得部３２が取得したインストール済のバージョンの情報に応じて、当該バージョンから書き換え可能な別のバージョンの情報を提供する。具体的には、書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済のバージョンと書き換え可能なバージョンが対応付けられたバージョン対照テーブル３４に基づいて、当該書き換え可能なバージョンの情報を提供する。

　図２は、バージョン対照テーブル３４の具体例を示す。このバージョン対照テーブル３４は、産業ソフトウェアの利用可能な各バージョン「0.90」「1.00」「1.10」「2.00」「2.01」「2.10」「3.00」について、インストール済のバージョンと書き換え先のバージョンの対応関係を示している。「NG」となっている場合、当該インストール済バージョンから当該書換先バージョンへの書き換えが推奨されない、あるいは、制限または禁止される。「OK」となっている場合、当該書換先バージョンが書き換え可能なバージョンとなり、当該インストール済バージョンから当該書換先バージョンへの書き換えが推奨される、あるいは、許容される。

　図示の例では、インストール済バージョンが「0.90」の場合、書換先バージョン「1.00」「1.10」「2.00」「2.01」「2.10」「3.00」のいずれもが「NG」であるため、書き換え可能なバージョンが存在しない。この場合は、書換可能バージョン情報提供部３３が書き換え可能なバージョンの情報を提供せず、産業ソフトウェア２２をインストール済バージョン「0.90」のまま書き換えないことが推奨される。あるいは、既存の産業ソフトウェア２２のバージョンの書き換えではなく、産業装置２が対応している別の産業ソフトウェアにインストールし直すことが推奨される。

　インストール済バージョンが「1.00」の場合、書換先バージョン「0.90」が「NG」である一方、書換先バージョン「1.10」「2.00」「2.01」「2.10」「3.00」が「OK」の書き換え可能なバージョンである。このように、インストール済のバージョンから書き換え可能な別のバージョンが複数ある場合、書換可能バージョン情報提供部３３は、そこから一つのバージョンを選択して情報を提供する。

　例えば、書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済のバージョンから書き換え可能な別のバージョンが複数ある場合、そこから最も新しいバージョンを選択して情報を提供してもよい。インストール済バージョンが「1.00」の例では、書き換え可能なバージョン「1.10」「2.00」「2.01」「2.10」「3.00」のうち最も新しいバージョン「3.00」が選択される。このようなバージョン選択基準によれば、複数の書き換え可能なバージョンのうち、最も機能が充実していると考えられる最も新しいバージョンが書換先バージョンとして推奨される。

　あるいは、書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済のバージョンから書き換え可能な別のバージョンが複数ある場合、当該インストール済のバージョンに最も近いバージョンを選択して情報を提供してもよい。インストール済バージョンが「1.00」の例では、書き換え可能なバージョン「1.10」「2.00」「2.01」「2.10」「3.00」のうちインストール済のバージョン「1.00」に最も近いバージョン「1.10」が選択される。このようなバージョン選択基準によれば、複数の書き換え可能なバージョンのうち、既存のインストール済のバージョンに最も機能が類似していると考えられる最も近いバージョンが書換先バージョンとして推奨される。

　あるいは、書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済のバージョンから書き換え可能な別のバージョンが複数ある場合、産業装置２と同種の産業装置における当該産業ソフトウェアの各バージョンのインストール実績および正常稼働実績に基づいて最適なバージョンを選択して情報を提供してもよい。インストール済バージョンが「1.00」の例では、書き換え可能なバージョン「1.10」「2.00」「2.01」「2.10」「3.00」のうち、例えばバージョン「2.10」の同種の産業装置へのインストール実績が突出して高く、当該バージョンによる産業装置の特段の不具合が報告されていなければ、当該バージョン「2.10」が選択される。このようなバージョン選択基準によれば、複数の書き換え可能なバージョンのうち、同種の産業装置でインストール実績および正常稼働実績が高いバージョンが書換先バージョンとして推奨される。

　インストール済バージョンが「1.10」の場合、書換先バージョン「0.90」が「NG」である一方、書換先バージョン「1.00」「2.00」「2.01」「2.10」「3.00」が「OK」の書き換え可能なバージョンである。この場合、書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済のバージョン「1.10」に最も近いバージョン「1.00」を選択してもよい。このように、書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済のバージョン「1.10」より古いバージョン「1.00」の情報を、書き換え可能なバージョンの情報として提供可能である。

　インストール済バージョンが「2.00」の場合、書換先バージョン「0.90」「1.00」「1.10」が「NG」である一方、書換先バージョン「2.01」「2.10」「3.00」が「OK」の書き換え可能なバージョンである。インストール済バージョンが「2.01」の場合、書換先バージョン「0.90」「1.00」「1.10」が「NG」である一方、書換先バージョン「2.00」「2.10」「3.00」が「OK」の書き換え可能なバージョンである。インストール済バージョンが「2.10」の場合、書換先バージョン「0.90」「1.00」「1.10」が「NG」である一方、書換先バージョン「2.00」「2.01」「3.00」が「OK」の書き換え可能なバージョンである。インストール済バージョンが「3.00」の場合、書換先バージョン「0.90」「1.00」「1.10」が「NG」である一方、書換先バージョン「2.00」「2.01」「2.10」が「OK」の書き換え可能なバージョンである。

　以上のようなバージョン対照テーブル３４は、テーブル更新操作受付部３４１が受け付けた管理者等の操作に応じて更新可能である。産業ソフトウェア書換部３５は、書換可能バージョン情報提供部３３が情報を提供した書き換え先のバージョンに産業ソフトウェアを書き換える。具体的には、産業ソフトウェア書換部３５は、データベース４に格納されている書き換え先のバージョンの産業ソフトウェアを読み出して、産業装置２の制御部２０に提供する。制御部２０は、産業ソフトウェア書換部３５から提供された書き換え先のバージョンの産業ソフトウェアによって、既存のインストール済のバージョンの産業ソフトウェア２２の一部または全部を書き換える（上書きする）。

　以上のような産業ソフトウェア２２の書き換えは、ソフトウェア書換操作受付部３１が受け付ける管理者等の操作に加えてまたは代えて、動作監視部３６１によって監視される産業装置２の動作に応じて行われてもよい。動作監視部３６１は、インストール済の産業ソフトウェア２２による産業装置２の動作を監視する。具体的には、動作監視部３６１は、産業装置２の駆動部２４としてのモータの回転数、電流、トルク等の各種の駆動パラメータの測定データや、測定部２６によって測定される各種のパラメータ（駆動部２４の駆動対象の位置、速度、加速度、その他のパラメータ、産業装置２の周りの温度、湿度、気圧、輝度等）を産業装置２から収集する。

　書換要否判定部３６２は、動作監視部３６１によって監視された産業装置２の動作に応じて、産業ソフトウェア２２の書き換え要否を判定する。例えば、動作監視部３６１が収集した一部または全部の測定データが、産業装置２の動作に異常があることを示唆している場合、書換要否判定部３６２は産業ソフトウェア２２の書き換えが必要と判定する。産業ソフトウェア書換部３５は、書換要否判定部３６２によって産業ソフトウェア２２の書き換えが必要と判定された場合、書換可能バージョン情報提供部３３が情報を提供した書き換え先のバージョンに産業ソフトウェアを書き換える。

　以上の例では、産業ソフトウェア２２を書き換えるための管理者等の操作をソフトウェア書換操作受付部３１が受け付けると、または、書換要否判定部３６２が産業ソフトウェア２２の書き換えが必要と判定すると、書き換え先のバージョンの選択と書き換えが自動的に行われた。この変形例として、管理者等が書き換え先のバージョンを入力すると、産業ソフトウェア書換装置３が当該バージョンへの書き換え可否を管理者等に提示し、当該バージョンへの書き換えが推奨されない場合は他のバージョンを併せて推奨してもよい。

　図３は、本変形例において管理者等に提示される画面例を示す。「入力されたソフトウェアのバージョン」は、管理者等が入力した書き換え先のバージョンであり、「現在のソフトウェアのバージョン」は、インストール済バージョン情報取得部３２が情報を取得したインストール済の産業ソフトウェア２２のバージョンである。「書き換え可否」は、書換可能バージョン情報提供部３３がバージョン対照テーブル３４に基づいて提示する。

　図示の例では、インストール済バージョン（現在のソフトウェアのバージョン）が「2.01」、書換先バージョン（入力されたソフトウェアのバージョン）が「1.10」であり、図２のバージョン対照テーブル３４では「NG」となっている。このため、図３の「書き換え可否」の欄には「書き換え不可」と表示され、「バージョン1.10は本装置に対応していません」等の書き換え不可の理由が併せて提示される。また、書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済のバージョン「2.01」から書き換え可能な他の複数のバージョン「2.00」「2.10」「3.00」の全部または任意のバージョン選択基準によって選択された一部（一または複数）のバージョンを「推奨されるバージョン」として管理者等に提示する。

　図４は、産業ソフトウェア管理装置１の別の変形例を示す。この変形例では、バージョン対照テーブル３４が産業装置２の記憶装置等に格納され、テーブル更新操作受付部３４１が産業装置２に設けられる。なお、図示の都合上、インストール済の産業ソフトウェア２２とバージョン対照テーブル３４を別々に示したが、これらは同じ記憶装置に格納されてもよい。書換可能バージョン情報提供部３３は、インストール済バージョン情報取得部３２が取得したインストール済のバージョンの情報に応じて、当該バージョンから書き換え可能な別のバージョンの情報を提供する。具体的には、書換可能バージョン情報提供部３３は、産業装置２に格納されたバージョン対照テーブル３４を参照して、インストール済のバージョンから書き換え可能なバージョンの情報を提供する。

　以上の産業ソフトウェア管理装置１は、任意の産業装置２に適用可能である。

　図５は、産業装置２の一例であるリニア搬送システム１００の全体構造を示す斜視図である。リニア搬送システム１００は、環状のレールまたは軌道を構成する固定子２００と、当該固定子２００に対して駆動されレールに沿って移動可能な複数の可動子３００Ａ、３００Ｂ、３００Ｃ、３００Ｄ（以下では可動子３００と総称する）を備える。固定子２００に設けられる電磁石またはコイルと、可動子３００に設けられる永久磁石が互いに対向することで、環状のレールに沿ってリニアモータが構成されている。このリニアモータが図１における駆動部２４に相当する。また、駆動部２４の駆動対象としての可動子３００の位置、速度、加速度、リニア搬送システム１００の周りの温度、湿度、気圧等を測定するセンサを測定部２６として設けてもよい。なお、固定子２００に永久磁石が設けられ、可動子３００に電磁石またはコイルが設けられてもよい。

　固定子２００が形成するレールは環状に限らない任意の形状でよい。例えば、レールは直線状でもよいし、曲線状でもよいし、一つのレールが複数のレールに分岐してもよいし、複数のレールが一つのレールに合流してもよい。また、固定子２００が形成するレールの設置方向も任意である、図５の例では水平面内にレールが配設されるが、レールは鉛直面内に配設されてもよいし、任意の傾斜角の平面内や曲面内に配設されてもよい。

　固定子２００は、水平方向を法線方向とするレール面２１０を有する。レール面２１０はレールの形成方向に沿って帯状に延在し、図５の例のように環状のレールを形成する場合は（仮想的な）両端が連結された無端帯状となる。このように任意の形状のレールを形成可能なレール面２１０には、複数の電磁石（不図示）が連続的または周期的に埋設されている。図１の産業ソフトウェア２２を実行する制御部２０の制御下で、駆動部２４としてのリニアモータが多数の電磁石に三相交流等の駆動電流を流すと、永久磁石を備える可動子３００をレールに沿う所望の接線方向に直線駆動する移動磁界が発生する。なお、図５の例では環状のレールを水平面内に形成するレール面２１０の法線方向が水平方向であったが、レール面２１０の法線方向は鉛直方向その他の任意の方向でもよい。

　固定子２００において、レール面２１０に対して垂直な上面または下面に設けられる測位部２２０には、可動子３００に取り付けられる測位対象としての磁気スケール（不図示）の位置を測定可能な複数の磁気測位装置（不図示）が連続的にまたは周期的に埋設されている。一定ピッチの縞状の磁気パターンによって形成される磁気スケールを測位対象とする磁気測位装置は、一般的に複数の磁気検出ヘッドを備える。磁気スケールの磁気パターンのピッチまたは周期に対して、複数の磁気検出ヘッドの間隔をずらすことによって、磁気測位装置は磁気スケールの位置を高精度に測定できる。二つの磁気検出ヘッドが設けられる典型的な磁気測位装置では、例えば、二つの磁気検出ヘッドの間隔が磁気スケールの磁気パターンに対して1/4ピッチずれている（位相が90度ずれている）。

　なお、固定子２００に設けられる測位装置および可動子３００に取り付けられる測位対象は以上のような磁気式に限らず、光学式その他の方式でもよい。光学式の場合、可動子３００には一定ピッチの縞模様によって形成される光学スケールが取り付けられ、固定子２００には光学スケールの縞模様を光学的に読み取り可能な光学測位装置が設けられる。磁気式や光学式では、測位装置が測位対象（磁気スケールや光学スケール）を非接触で測定するため、可動子３００が搬送する被搬送物が飛散して測位箇所（固定子２００の上面）に入り込んだ場合の測位装置の故障等のリスクを低減できる。但し、光学式では測位箇所に入り込んだ液体や粉体等の被搬送物によって光学スケールが覆われると測位精度が悪化してしまうため、磁性が無視できる被搬送物であれば測位箇所に入り込んでも測位精度を悪化させない磁気式とするのが好ましい。

　可動子３００は、固定子２００のレール面２１０に対向する可動子本体３１０と、可動子本体３１０の上部から水平方向に張り出して固定子２００の測位部２２０に対向する被測位部３２０と、被測位部３２０とは反対側（固定子２００から遠い側）に可動子本体３１０から水平方向に張り出して被搬送物が載置または固定される搬送部３３０を備える。可動子本体３１０は、レールに沿って固定子２００のレール面２１０に埋設されている複数の電磁石と対向する一または複数の永久磁石（不図示）を備える。固定子２００の電磁石が発生させる移動磁界が可動子３００の永久磁石にレールの接線方向の直線動力を加えるため、可動子３００は固定子２００に対してレール面２１０に沿って直線駆動される。

　可動子３００の被測位部３２０には、測位対象としての磁気スケールや光学スケールが、固定子２００の測位部２２０に設けられる測位装置と対向するように設けられる。測位装置が固定子２００の上面に設けられる図５の例では、磁気スケール等の測位対象が可動子３００の被測位部３２０の下面に取り付けられる。測位部２２０および被測位部３２０が磁気式の場合、レール面２１０の電磁石および可動子本体３１０の永久磁石の間の磁界が、測位部２２０および被測位部３２０の磁気測位に影響しないように、固定子２００においてはレール面２１０と測位部２２０を異なる面または離れた箇所に形成し、可動子３００においては可動子本体３１０と被測位部３２０を異なる面または離れた箇所に形成するのが好ましい。

　図６は、産業装置２の一例である印刷装置１０の構成を示す。印刷装置１０は、ブラック（Ｋ）の印刷を行う第１印刷ユニット１１Ａ、シアン（Ｃ）の印刷を行う第２印刷ユニット１１Ｂ、マゼンタ（Ｍ）の印刷を行う第３印刷ユニット１１Ｃ、イエロー（Ｙ）の印刷を行う第４印刷ユニット１１Ｄ、図１における制御部２０に相当する（見当）制御装置３０を備える。以下では第１印刷ユニット１１Ａ～第４印刷ユニット１１Ｄを印刷ユニット１１と総称する。なお、各印刷ユニット１１の印刷色は上記に限らず、任意の印刷色を任意の順序で各印刷ユニット１１に割り当てることができる。また、より多くの色を印刷するため、印刷ユニットを５個以上設けてもよい。

　第１印刷ユニット１１Ａは、第１版胴１３Ａ、第１圧胴１７Ａ、第１駆動モータ１９Ａ、第１エンコーダ２１Ａ、第１マークセンサ２３Ａを備える。第２印刷ユニット１１Ｂは、第２版胴１３Ｂ、第２圧胴１７Ｂ、第２駆動モータ１９Ｂ、第２エンコーダ２１Ｂ、第２マークセンサ２３Ｂを備える。第３印刷ユニット１１Ｃは、第３版胴１３Ｃ、第３圧胴１７Ｃ、第３駆動モータ１９Ｃ、第３エンコーダ２１Ｃ、第３マークセンサ２３Ｃを備える。第４印刷ユニット１１Ｄは、第４版胴１３Ｄ、第４圧胴１７Ｄ、第４駆動モータ１９Ｄ、第４エンコーダ２１Ｄ、第４マークセンサ２３Ｄを備える。以下では第１版胴１３Ａ～第４版胴１３Ｄを版胴１３と総称し、第１圧胴１７Ａ～第４圧胴１７Ｄを圧胴１７と総称し、第１駆動モータ１９Ａ～第４駆動モータ１９Ｄを駆動モータ１９と総称し、第１エンコーダ２１Ａ～第４エンコーダ２１Ｄをエンコーダ２１と総称し、第１マークセンサ２３Ａ～第４マークセンサ２３Ｄをマークセンサ２３と総称する。

　印刷装置１０は、巻取紙であるウェブ５０を被印刷物として印刷する。各印刷ユニット１１は、ウェブ５０の移動方向に沿って設置される。ウェブ５０は、その移動経路に沿って配列されるガイドローラ２５により案内され、各印刷ユニット１１の版胴１３及び圧胴１７により、版胴１３に巻き付けられた刷版に対応した各色の絵柄が順次印刷される。

　版胴１３は、見当制御のためにマークセンサ２３によって測定されるレジスタマークを印刷するマーク印刷部１５を有する。第１印刷ユニット１１Ａのマーク印刷部１５は、同一のウェブ５０に追い刷りを行う際の基準マークも印刷する。基準マークは、印刷完了後のウェブ５０の裁断位置を示すこともあり、カットマークとも呼ばれる。第１レジスタマークは、第１版胴１３Ａのマーク印刷部１５で所定の第１位置に印刷され、第２レジスタマークは、第２版胴１３Ｂのマーク印刷部１５で所定の第２位置に印刷され、第３レジスタマークは、第３版胴１３Ｃのマーク印刷部１５で所定の第３位置に印刷され、第４レジスタマークは、第４版胴１３Ｄのマーク印刷部１５で所定の第４位置に印刷される。以下では第１レジスタマーク～第４レジスタマークをレジスタマークと総称する。

　各版胴１３の周長は同一であり、各印刷ユニット１１は各版胴１３を一回転させることで各色の絵柄を一回分印刷し、その繰り返しで連続的に印刷する。各版胴１３は、図１における駆動部２４に相当する個別の駆動モータ１９で回転駆動される。印刷装置１０の印刷動作中、図１の産業ソフトウェア２２を実行する制御部２０に相当する制御装置３０の制御下で、各駆動モータ１９は電気的に回転同期がとられ、各版胴１３は同一の回転速度で回転する。すなわち、印刷装置１０は、セクショナルドライブ方式で構成される。各駆動モータ１９は、その機械軸に図１における測定部２６に相当するエンコーダ２１が設けられる。

　エンコーダ２１は、インクリメンタル式エンコーダである。エンコーダ２１は、版胴１３の一回転につき、予め定められた回数のＡ相、Ｂ相のパルス信号と、一回のＺ相のパルス信号を出力する。Ａ相、Ｂ相のパルス信号はカウンタでカウントされ、Ｚ相のパルス信号でカウント値がリセットされる。パルス信号のカウント値により版胴１３の位相（回転位置）が検知される。なお、エンコーダ２１は、版胴１３の位相を検知できるものであれば方式は問わず、アブソリュート式のシリアルエンコーダでもよい。なお、図１における測定部２６に相当するエンコーダ２１やマークセンサ２３に加えて、駆動モータ１９（駆動部２４）の駆動対象としての版胴１３やウェブ５０の位置、速度、加速度、圧胴１７がウェブ５０に加える圧力、ウェブ５０の張力、印刷装置１０の周りの温度、湿度、気圧、輝度等を測定するセンサを測定部２６として設けてもよい。

　以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。

　なお、実施形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ＲＯＭ、ＲＡＭ、その他のＬＳＩを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。

　本発明は、産業装置にインストールされるソフトウェアの管理に関する。

　１　産業ソフトウェア管理装置、２　産業装置、３　産業ソフトウェア書換装置、４　データベース、１０　印刷装置、２０　制御部、２２　産業ソフトウェア、２４　駆動部、２６　測定部、３１　ソフトウェア書換操作受付部、３２　インストール済バージョン情報取得部、３３　書換可能バージョン情報提供部、３４　バージョン対照テーブル、３５　産業ソフトウェア書換部、１００　リニア搬送システム、３４１　テーブル更新操作受付部、３６１　動作監視部、３６２　書換要否判定部。

Claims (12)

1. 　インストール済のソフトウェアのバージョンの情報を取得するインストール済バージョン情報取得部と、
   　前記インストール済のバージョンの情報に応じて、当該バージョンから書き換え可能な別のバージョンの情報を提供する書換可能バージョン情報提供部と、
   　前記書き換え可能なバージョンに前記ソフトウェアを書き換えるソフトウェア書換部と、
   　を備えるソフトウェア管理装置。
2. 　前記ソフトウェアは、産業装置にインストールされる、請求項１に記載のソフトウェア管理装置。
3. 　書換可能バージョン情報提供部は、前記インストール済のバージョンと前記書き換え可能なバージョンが対応付けられたバージョン対照テーブルに基づいて、当該書き換え可能なバージョンの情報を提供する、請求項１または２に記載のソフトウェア管理装置。
4. 　前記バージョン対照テーブルは更新可能である、請求項３に記載のソフトウェア管理装置。
5. 　前記バージョン対照テーブルは、前記ソフトウェアがインストールされる産業装置に格納される、請求項３または４に記載のソフトウェア管理装置。
6. 　前記書換可能バージョン情報提供部は、前記インストール済のバージョンから書き換え可能な別のバージョンが複数ある場合、そこから一つのバージョンを選択して情報を提供し、
   　前記ソフトウェア書換部は、選択されたバージョンに前記ソフトウェアを書き換える、
   　請求項１から５のいずれかに記載のソフトウェア管理装置。
7. 　前記書換可能バージョン情報提供部は、前記インストール済のバージョンから書き換え可能な別のバージョンが複数ある場合、そこから最も新しいバージョンを選択して情報を提供する、請求項６に記載のソフトウェア管理装置。
8. 　前記書換可能バージョン情報提供部は、前記インストール済のバージョンから書き換え可能な別のバージョンが複数ある場合、当該インストール済のバージョンに最も近いバージョンを選択して情報を提供する、請求項６に記載のソフトウェア管理装置。
9. 　書換可能バージョン情報提供部は、前記インストール済のバージョンより古いバージョンの情報を、前記書き換え可能なバージョンの情報として提供可能である、請求項１から８のいずれかに記載のソフトウェア管理装置。
10. 　前記インストール済のソフトウェアによる前記産業装置の動作を監視する動作監視部と、
    　監視された前記産業装置の動作に応じて、前記ソフトウェアの書き換え要否を判定する書換要否判定部と、
    　を更に備え、
    　前記ソフトウェア書換部は、前記ソフトウェアの書き換えが必要と判定された場合、前記書き換え可能なバージョンに前記ソフトウェアを書き換える、
    　請求項２に記載のソフトウェア管理装置。
11. 　インストール済のソフトウェアのバージョンの情報を取得するインストール済バージョン情報取得ステップと、
    　前記インストール済のバージョンの情報に応じて、当該バージョンから書き換え可能な別のバージョンの情報を提供する書換可能バージョン情報提供ステップと、
    　前記書き換え可能なバージョンに前記ソフトウェアを書き換えるソフトウェア書換ステップと、
    　を備えるソフトウェア管理方法。
12. 　インストール済のソフトウェアのバージョンの情報を取得するインストール済バージョン情報取得ステップと、
    　前記インストール済のバージョンの情報に応じて、当該バージョンから書き換え可能な別のバージョンの情報を提供する書換可能バージョン情報提供ステップと、
    　前記書き換え可能なバージョンに前記ソフトウェアを書き換えるソフトウェア書換ステップと、
    　をコンピュータに実行させるソフトウェア管理プログラム。

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