WO2023068222A1

WO2023068222A1 - 燃料噴射弁の支持構造

Info

Publication number: WO2023068222A1
Application number: PCT/JP2022/038575
Authority: WO
Inventors: 淳岡本; 貴也福永; 和樹野田; 拓実鈴木
Original assignee: 日立Astemo株式会社
Priority date: 2021-10-19
Filing date: 2022-10-17
Publication date: 2023-04-27
Also published as: CN117795188A; JPWO2023068222A1

Abstract

燃料噴射弁（Ｉ）の支持構造では、ベース板（１５）の切欠き（１９）の内側面に，この切欠き（１９）に受け入れた燃料導入筒部（４）の外周面にスナップ係合するスナップ突起（２１）が形成される。燃料噴射弁（Ｉ）のエンジン（Ｅ）への装着状態では，弾性片（１６）の撓み反発力の増加により，弾性片（１６）のベース板（１５）に対する接触摩擦力の増加により，スナップ突起（２１）の燃料導入筒部（４）に対するスナップ係合力が自動的に増加する。

Description

燃料噴射弁の支持構造

　本発明は，エンジンに使用される燃料噴射弁の支持構造に関し，特に，弁ハウジングの燃料ノズル筒部がエンジンの噴射弁装着孔に嵌装され，また該弁ハウジングの燃料導入筒部には，エンジンに支持される燃料分配管の燃料供給キャップが嵌装され，前記弁ハウジング及び燃料供給キャップ間には，前記弁ハウジングを前記噴射弁装着孔に向かって付勢する弾性支持部材が介装され，これにより，エンジンと燃料供給キャップとの間で燃料噴射弁を弾発的に挟持して，その軸方向移動を防ぐようにした，燃料噴射弁の支持構造の改良に関する。

　かゝる燃料噴射弁の支持構造は，下記特許文献１に開示されるように既に知られている。

特開２０１３－１７４２２７号公報特表２００２－５１６９５７号公報

　燃料噴射弁の製作後，これをエンジンの組立ラインまで搬送する際には，予め弾性支持部材を燃料噴射弁の定位置に取り付けておくものであるが，その搬送中に弾性支持部材が燃料噴射弁から脱落もしくは，ずれないようにしなければならない。その脱落やずれを防ぐために，特許文献１に記載の燃料噴射弁の支持構造では，弾性支持部材のベース板に，その一端から燃料ノズル筒部側へ屈曲して延びる一対の挟持片を連設し，これら挟持片により弁ハウジングの平坦な両側面を弾発的に挟持している。この支持構造では，弾性支持部材の燃料噴射弁への取り付けを容易に行うことができるものの，ベース板に一対の挟持片を連設することは，弾性支持部材の構造を複雑にして，加工工程を増やすと共に素材の歩留まりを下げてしまい，支持構造のコストアップを招く欠点がある。

　一方，上記特許文献２に記載の燃料噴射弁の支持構造では，弾性支持部材をスナップ係合構造により燃料噴射弁に取り付けているが，スナップ係合構造の係合力を充分に強くすると，その取り付け性が悪くなる。そこで，その取り付け性を考慮して係合力を弱く設定すると，燃料噴射弁のエンジンへの装着状態において，エンジンの振動により弾性支持部材が燃料噴射弁から離脱する虞れが生じる。

　本発明は，かゝる事情に鑑みてなされたもので，弾性支持部材の構造を簡素化しながら，それの燃料噴射弁への取り付け性を良好にすべく，スナップ係合構造を採用すると共に，燃料噴射弁のエンジンへの装着状態では，スナップ係合力を自動的に強化して，弾性支持部材の燃料噴射弁からの離脱を防ぐことができるようにした，燃料噴射弁の支持構造を提供することを目的とする。

　本発明は，弁ハウジングの燃料ノズル筒部がエンジンの噴射弁装着孔に嵌装され，該弁ハウジングの燃料導入筒部には，エンジンに支持される燃料分配管の燃料供給キャップが嵌装され，前記弁ハウジング及び燃料供給キャップ間に，前記弁ハウジングを前記噴射弁装着孔に向かって付勢する弾性支持部材が介装されてなり，該弾性支持部材は，前記燃料導入筒部の外周を受け入れるＵ字状の切欠きを有して，前記弁ハウジング上の，前記燃料供給キャップに対向するベース面に重ねられるベース板と，該ベース板の一端から延出して中間部を前記燃料供給キャップに弾発接触させると共に，先端部を前記ベース板に弾発接触させる弾性片とで構成される，燃料噴射弁の支持構造において，前記切欠きの内側面に，該切欠きに受け入れた前記燃料導入筒部の外周面にスナップ係合するスナップ突起が形成され，燃料噴射弁のエンジンへの装着状態では，前記弾性片の撓み反発力の増加に伴う該弾性片の前記ベース板に対する接触摩擦力の増加により，前記スナップ突起の前記燃料導入筒部に対するスナップ係合力が増加することを第１の特徴とする。

　また，本発明は，第１の特徴に加えて，前記ベース板の両外側面の中間部に第１切り込みが設けられることを第２の特徴とする。

　さらに，本発明は，第１又は第２の特徴に加えて，前記ベース板に，前記弾性片の根元に隣接する第２切り込みが設けられることを第３の特徴とする。

本発明の第１の特徴によれば，スナップ係合構造を採用するに当たり，その係合力を，弾性支持部材の燃料噴射弁の取り付け性を優先して設定しても，燃料噴射弁のエンジンへの装着状態では，弾性片の撓み反発力により，弾性片のベース板に対する接触摩擦力の増加により，ベース板における切欠きの開き抵抗が増加することで，燃料導入筒部からのスナップ突起の離脱抵抗が増加し，これにより弾性支持部材の燃料噴射弁からの脱落を防ぐことができる。しかも，スナップ係合構造の採用により，弾性支持部材の構造の簡素化が達成され，コスト低減を図ることができる。

　本発明の第２の特徴によれば，ベース板の両外側の中間部に第１切り込みが設けられることにより，ベース板における弾性片先端部の接触面積を変えることなく，またスナップ突起の高さを変えることなく，ベース板のばね定数を減少させることができ，これにより，スナップ係合力を低減調整して，弾性支持部材の燃料噴射弁への取り付け性を向上させることができる。

　本発明の第３の特徴によれば，ベース板に，弾性片の根元に隣接する第２切り込みが設けられることにより，上記と同様に，ベース板における弾性片先端部の接触面積を変えることなく，またスナップ突起の高さを変えることなく，ベース板のばね定数を減少させることができ，これにより，スナップ係合力を低減調整して，弾性支持部材の燃料噴射弁への取り付け性を向上させることができる。

本発明の実施形態に係る多気筒エンジンにおける燃料噴射弁の支持構造を示す一部縦断正面図。図１の２－２線拡大断面図。図２の３－３線断面図。各図中の弾性支持部材の単体斜視図。

　本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。

　先ず，図１及び図２において，多気筒エンジンＥのシリンダヘッドＥｈには，複数のシリンダの燃焼室Ｅｃに燃料を噴射し得る複数の燃料噴射弁Ｉと，これら燃料噴射弁Ｉに燃料を分配する燃料分配管Ｄとが取り付けられる。そして各燃料噴射弁Ｉを定位置に保持するため，弾性支持部材Ｓを備えた弾性支持構造が使用される。その構造を以下に詳述する。

　各燃料噴射弁Ｉは，中心部に円筒状の弁ハウジング１を有している。この弁ハウジング１の前端部が燃料ノズル筒部２，後端部が燃料導入筒部４，中間部が電磁コイル部３となっており，電磁コイル部３に通電したとき，燃料ノズル筒部２内の弁を開いて，燃料導入筒部４が燃料分配管Ｄから導入した燃料を対応する燃焼室Ｅｃに噴射するようになっている。

また前記電磁コイル部３は合成樹脂成形部６により被覆され，この合成樹脂成形部６の一側には，前記電磁コイル部３に給電するためのカプラ１４が一体に突設される。

　燃料ノズル筒部２の外周には，合成樹脂成形部６の前端面に密接する環状のシール兼クッション部材８が装着される。また，燃料導入筒部４の外周のシール溝４ａにはＯリング９が装着される。

また，合成樹脂成形部６の，燃料導入筒部４側を向いた後端面は，平坦なベース面５とされる。

一方，シリンダヘッドＥｈには，各燃焼室Ｅｃの天井面に内端を開口する噴射弁装着孔１０と，その外方開口端を囲繞する環状の凹部１１とが設けられ，噴射弁装着孔１０に燃料噴射弁Ｉの燃料ノズル筒部２が嵌装され，凹部１１にシール兼クッション部材８が収められる。

また燃料分配管Ｄは，エンジンＥの複数のシリンダの配列方向に沿って配置され，その一端側から図示しない燃料ポンプより燃料が圧送されるようになっている。この燃料分配管Ｄの一側面には，前記複数の燃料噴射弁Ｉと同軸上に並ぶ複数の燃料供給キャップＤａが突設されており，これら燃料供給キャップＤａは，それぞれ対応する燃料噴射弁Ｉの燃料導入筒部４の外周に嵌装される。その際，前記Ｏリング９は，燃料供給キャップＤａの内周面に密接する。

　各燃料供給キャップＤａの外側面には，弁ハウジング１の軸線Ａと平行する平坦なストッパ面７が形成される。各燃料供給キャップＤａの基部にはブラケットＤｂが固設されており，このブラケットＤｂはシリンダヘッドＥｈの上面に立設される支柱１２にボルト１３で固着される。

　図２～図４に示すように，前記弾性支持部材Ｓは，鋼板をプレス加工してなるもので，ベース板１５，弾性片１６及び位置決め片１８より構成される。

ベース板１５は，前記ベース面５に重ねて設置されるもので，その中央部には，燃料導入筒部４を受け入れ得るＵ字状の切欠き１９が設けられる。この切欠き１９の幅は，燃料導入筒部４の外径より僅かに大きく設定される。

　このベース板１５の，上記切欠き１９とは反対側の一端に，燃料供給キャップＤａの前端面に弾性的に弾発接触する一対の弾性片１６が一体に連設される。この両弾性片１６は，その間に弁ハウジング１を受け入れ得る間隔を開けて配置される。

　各弾性片１６は，ベース板１５の一端から上方へ横向きのＵ字状に屈曲した第１弾性部１６ａと，この第１弾性部１６ａから上方へ湾曲しつゝ他端に向かって延び，その先端部１６ｂａをベース板１５の上面に摺動可能に弾発接触する第２弾性部１６ｂとよりなっており，第２弾性部１６ｂの曲率半径Ｒ２は，第１弾性部１６ａの曲率半径Ｒ１より充分大きく設定される（図４参照）。

そして，弾性片１６の自由状態では，第２弾性部１６ｂの頂点からベース板１５の下面までの距離Ｌ１（図４参照）が前記ベース面５から燃料供給キャップＤａの前端面までの距離Ｌ２（図２参照）より大きく設定される。したがって，ベース板１５及び弾性片１６をベース面５及び燃料供給キャップＤａ間に挿入すると，弾性片１６は，第１及び第２弾性部１６ａ，１６ｂを撓ませながら前記燃料供給キャップＤａの前端面に弾発接触することになる。第２弾性部１６ｂの先端部１６ｂａは，第１及び第２弾性部１６ａ，１６ｂの撓み時，ベース板１５の上面を摺動し得るもので，その摺動をスムーズにすべく，上方へ反り返った形状になっている。

　ベース板１５の一端には，一対の弾性片１６の間から上方へ垂直に起立する位置決め片１８が一体に連設され，この位置決め片１８は，燃料供給キャップＤａの前記ストッパ面７に当接可能となっている。

　ベース板１５の，Ｕ字状の切欠き１９に臨む両内側面には，切欠き１９に受け入れた燃料導入筒部４の外周面にスナップ係合し得る一対のスナップ突起２１が形成される。即ち，この一対のスナップ突起２１の間隔は燃料導入筒部４の外径よりも狭く設定され，切欠き１９に燃料導入筒部４を受け入れる過程で，切欠き１９の開き方向にベース板１５を撓ませながら燃料導入筒部４の直径部に乗り上げ，その直径部を通過したとき，ベース板１５の弾性復元力で切欠き１９を原位置に閉じることにより，スナップ突起２１が燃料導入筒部４の背面側に係合し，その係合力により弾性支持部材Ｓの燃料導入筒部４からの離脱を防ぐようになっている。

　また，ベース板１５の両外側面の中間部に一対の第１切り込み２３が設けられる。さらに，ベース板１５には，前記両弾性片１６の根元に隣接して一対の第２切り込み２４が設けられる。

　また．前記合成樹脂成形部６には，弁ハウジング１とカプラ１４との間においてベース面５より突出する回り止め突起２０が一体に形成され，この回り止め突起２０は，弾性支持部材Ｓが，ベース面５及び燃料供給キャップＤａ間の定位置に挿入されたとき，ベース板１５の切欠き１９と，一対の弾性片１６の，ベース板１５に弾発接触する先端部１６ｂａ間とに係合するようになっている。

次に，この実施形態の作用について説明する。

　先ず，製作された燃料噴射弁Ｉをエンジンの組立ラインへ搬送する際には，予め，次のように燃料噴射弁Ｉの燃料導入筒部４に弾性支持部材Ｓを取り付ける。

　即ち，ベース板１５のＵ字状の切欠き１９の開口部を先頭にして弾性支持部材Ｓを，カプラ１４とは反対側の燃料噴射弁Ｉの外側方から，切欠き１９内及び両弾性片１６間に燃料導入筒部４を受け入れるようにして押し込む。

　而して，切欠き１９の両内側面の一対のスナップ突起２１の間隔が燃料導入筒部４の外径よりも狭く設定されているため，スナップ突起２１が切欠き１９の開き方向にベース板１５を撓ませながら燃料導入筒部４の直径部に乗り上げ，次いでその直径部を通過したとき，ベース板１５の弾性復元力で切欠き１９を原位置に閉じることにより，スナップ突起２１が燃料導入筒部４の背面側にスナップ係合し，その係合力により弾性支持部材Ｓを燃料導入筒部４に保持することができ，搬送中，燃料噴射弁Ｉからの弾性支持部材Ｓの離脱やずれを防ぐことができる。

　このように，弾性支持部材Ｓの燃料噴射弁Ｉへの取り付けにスナップ係合構造を採用することで，その取り付け性を良好にすると共に，弾性支持部材Ｓの構造の簡素化を達成することができる。

　また，上記スナップ係合と同時に，弾性支持部材Ｓのベース板１５の切欠き１９と一対の弾性片１６間とに合成樹脂成形部６の回り止め突起２０が係合する。これにより燃料噴射弁Ｉ及び弾性支持部材Ｓは，互いに弁ハウジング１の軸線Ａ周りに回転不能に連結されることになる。

　このように弾性支持部材Ｓを取り付けた燃料噴射弁Ｉは，エンジンの組立ラインに搬入されると，燃料噴射弁Ｉの燃料導入筒部４に燃料分配管Ｄの燃料供給キャップＤａを嵌装すると共に，弾性支持部材Ｓの位置決め片１８を燃料供給キャップＤａのストッパ面７に突き当てる。この突き当てによれば，弾性支持部材Ｓは，燃料供給キャップＤａに対して回転不能となる。また，既に，弾性支持部材Ｓのベース板１５の切欠き１９と一対の弾性片１６間とに合成樹脂成形部６の回り止め突起２０が係合しているので，これらにより燃料噴射弁Ｉは，燃料供給キャップＤａに対して，弁ハウジング１の軸線Ａ周りの回転が阻止される。

次に，上記燃料噴射弁Ｉの燃料ノズル筒部２をシリンダヘッドＥｈの噴射弁装着孔１０に挿入し，合成樹脂成形部６の前端面に密接したシール兼クッション部材８を凹部１１に収める。そして，弾性支持部材Ｓに圧縮荷重を加えながら，ブラケットＤｂをシリンダヘッドＥｈの支柱１２にボルト１３で固着する。

　このとき，一対の弾性片１６は，第１及び第２弾性部１６ａ，１６ｂを撓ませながら第２弾性部１６ｂの頂点により，弁ハウジング１の軸線Ａを含む平面上で燃料供給キャップＤａの前端面を弾発的に押圧する。そして，弾性片１６の撓み反発力が，ベース板１５をベース面５に対して押圧するので，燃料噴射弁Ｉは，シリンダヘッドＥｈと燃料供給キャップＤａとの間で弾性支持部材Ｓ及びシール兼クッション部材８を介して弾性的に挟持されることになる。しかも，弾性片１６の燃料供給キャップＤａに対する押圧反力を燃料噴射弁Ｉに対して，その中心軸線Ａに沿って作用させることになるので，燃料噴射弁Ｉを傾かせることなく，その支持を安定させることができる。

　さらに，弾性片１６の撓み反発力により，弾性片１６のベース板１５に対する接触摩擦力の増加，即ち弾性片１６の先端部とベース板１５との間の摩擦力の増加により，ベース板１５における切欠き１９の開き抵抗が増加することになる。このことは，燃料導入筒部４からのスナップ突起２１の離脱抵抗，即ちスナップ係合力の増加を意味する。これにより，エンジンＥの振動等により燃料噴射弁Ｉからの弾性支持部材Ｓの脱落を防ぐことができる。

　かくして，燃料噴射弁Ｉへの弾性支持部材Ｓの取り付け性を優先してスナップ突起２１によるスナップ係合力を適宜設定し得ること，並びに燃料噴射弁Ｉを燃料供給キャップＤａと共にエンジンＥに装着した状態では，上記スナップ係合力を増加し得ることを両立させることができる。しかも，スナップ係合構造の採用により，弾性支持部材Ｓのベース板１５には，特許文献１に記載のような一対の挟持片を連設する必要がなくなり，弾性支持部材Ｓの構造の単純化を達成し，コストダウンを図ることができる。

　ところで，スナップ係合力を低減調整する一手法として，ベース板１５の両外側の中間部に第１切り込み２３が設けられる。これによれば，ベース板１５における弾性片１６先端部の接触面積を変えることなく，またスナップ突起２１の高さを変えることなく，ベース板１５のばね定数を減少させ，スナップ係合力を適度に減少させることができる。

　また，他の手法として，ベース板１５に，弾性片１６の根元に隣接する第２切り込み２４が設けられる。これによれば，上記と同様に，スナップ係合力を適度に減少させることができる。さらに，両手法を同時に採用すれば，スナップ係合力を，より減少させることができる。

　また，エンジンＥに装着された燃料噴射弁Ｉは，弾性支持部材Ｓを介して，燃料供給キャップＤａに対して，弁ハウジング１の軸線Ａ周りの回転を阻止されることで，燃料ノズル筒部２からの噴射燃料の向きを常に安定させることができる。

　また，弾性支持部材Ｓに対する燃料噴射弁Ｉの，弁ハウジング１の軸線Ａ周りの回転止めは，合成樹脂成形部６の回り止め突起２０を，弾性支持部材Ｓの，元来備えているベース板１５の切欠き１９と一対の弾性片１６間とに係合させることで達成されるので，弾性支持部材Ｓの複雑化を回避することができる。また回り止め突起２０は，弁ハウジング１を電磁コイル部３を埋封するように弁ハウジング１を被覆する合成樹脂成形部６にカプラ１４と共に一体成形されるので，各部材の加工数を増加させず，コストアップを回避することができる。

また，前記回り止め突起２０は，弁ハウジング１及びカプラ１４間に配置されるので，弾性支持部材Ｓを，燃料噴射弁Ｉに取り付ける際，カプラ１４と反対側から取り付けることにより，カプラ１４に干渉されることなく，弾性支持部材Ｓを回り止めスナップ突起２０に容易に係合させることができ，組立性が良好である。

　さらに，各弾性片１６は，ベース板１５の一端部に連結する，曲率半径Ｒ１が小さい第１弾性部１６ａと，この第１弾性部１６ａから延出してベース板１５の他端部上面に先端部１６ｂａを摺動可能に当接させる，曲率半径Ｒ２が大きい第２弾性部１６ｂとで構成されるので，第２弾性部１６ｂは，その先端部１６ｂａと第１弾性部１６ａを介してベース板１５に両持ち支持させることになり，したがって，第１弾性部１６ａに塑性変形を来たすことがあっても（一般に曲率半径を小さくして曲げられた部分は塑性変形を生じ易い。），第２弾性部１６ｂの弾性力によって，各弾性片１６の燃料供給キャップＤａに対する付勢機能を維持することができる。しかも，第２弾性部１６ｂの曲率半径Ｒ２を，第１弾性部１６ａの曲率半径Ｒ１より大とすることにより，各弾性片１６の高さを極力低く抑えて，ベース面５及び燃料供給キャップＤａ間の狭いスペースへの弾性支持部材Ｓの装着を容易に行うことができる。

以上，本発明の実施形態について説明したが，本発明はそれに限定されることなく，その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば，本発明は，燃料噴射弁Ｉをエンジンの吸気系に取り付ける構造にも適用可能である。

Ａ・・・・・弁ハウジングの軸線
Ｄ・・・・・燃料分配管
Ｄａ・・・・燃料供給キャップ
Ｅ・・・・・エンジン
Ｉ・・・・・電磁式燃料噴射弁
Ｓ・・・・・弾性支持部材
２・・・・・燃料ノズル筒部
３・・・・・電磁コイル部
４・・・・・燃料導入筒部
５・・・・・ベース面
６・・・・・合成樹脂成形部
１０・・・・噴射弁装着孔
１４・・・・カプラ
１５・・・・ベース板
１６・・・・弾性片
１６ｂａ・・弾性片の先端部
２１・・・・スナップ突起
２３・・・・第１切り込み
２４・・・・第２切り込み

Claims

　弁ハウジング（１）の燃料ノズル筒部（２）がエンジン（Ｅ）の噴射弁装着孔（１０）に嵌装され，該弁ハウジング（１）の燃料導入筒部（４）には，エンジン（Ｅ）に支持される燃料分配管（Ｄ）の燃料供給キャップ（Ｄａ）が嵌装され，前記弁ハウジング（１）及び燃料供給キャップ（Ｄａ）間に，前記弁ハウジング（１）を前記噴射弁装着孔（１０）に向かって付勢する弾性支持部材（Ｓ）が介装されてなり，該弾性支持部材（Ｓ）は，前記燃料導入筒部（４）の外周を受け入れるＵ字状の切欠き（１９）を有して，前記弁ハウジング（１）上の，前記燃料供給キャップ（Ｄａ）に対向するベース面（５）に重ねられるベース板（１５）と，該ベース板（１５）の一端から延出して中間部を前記燃料供給キャップに弾発接触させると共に，先端部を前記ベース板（１５）に弾発接触させる弾性片（１６）とで構成される，燃料噴射弁の支持構造において，
　前記切欠き（１９）の内側面に，該切欠き（１９）に受け入れた前記燃料導入筒部（４）の外周面にスナップ係合するスナップ突起（２１）が形成され，燃料噴射弁（Ｉ）のエンジン（Ｅ）への装着状態では，前記弾性片（１６）の撓み反発力の増加に伴う該弾性片（１６）の前記ベース板（１５）に対する接触摩擦力の増加により，前記スナップ突起（２１）の前記燃料導入筒部（４）に対するスナップ係合力が増加することを特徴とする，燃料噴射弁の支持構造。
　請求項１に記載の燃料噴射弁の支持構造において，
　前記ベース板（１５）の両外側面の中間部に第１切り込み（２３）が設けられることを特徴とする，燃料噴射弁の支持構造。
　請求項１又は２に記載の燃料噴射弁の支持構造において，
　前記ベース板（１５）に，前記弾性片（１６）の根元に隣接する第２切り込み（２４）が設けられることを特徴とする，燃料噴射弁の支持構造。