WO2023058767A1 - 弾性波装置 - Google Patents

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    • H03H9/00Networks comprising electromechanical or electro-acoustic devices; Electromechanical resonators
    • H03H9/25Constructional features of resonators using surface acoustic waves

Abstract

周波数特性の劣化を抑制する。弾性波装置は、第1方向に厚みを有する支持部材と、支持部材の第1方向に設けられた圧電層と、圧電層の主面に設けられ、第1方向に交差する第2方向に延びる1つ以上の第1電極指と、1つ以上の第1電極指が接続された第1のバスバー電極と、第2方向に直交する第3方向に1つ以上の第1電極指のいずれかと対向し、第2方向に延びる1つ以上の第2電極指と、1つ以上の第2電極指が接続された第2のバスバー電極と、を有する機能電極と、を備え、圧電層は、前記機能電極と接する第1圧電体と、第1圧電体とは誘電分極の状態が異なる第2圧電体を含む圧電積層構造体であり、第1圧電体の厚みは、第2圧電体の厚み以下である。

Description

弾性波装置
 本開示は、弾性波装置に関する。
 特許文献1には、弾性波装置が記載されている。
特開2012-257019号公報
 特許文献1に示す弾性波装置において、分極軸(配向軸)が異なる2種の圧電体同士を接合して圧電層として用いることがある。この場合、不要波が抑制されず、不要波が主モードの低周波数側に強く生じ、周波数特性が劣化する可能性があった。
 本開示は、上述した課題を解決するものであり、周波数特性の劣化を抑制することを目的とする。
 一態様に係る弾性波装置は、第1方向に厚みを有する支持部材と、前記支持部材の前記第1方向に設けられた圧電層と、前記圧電層の主面に設けられ、前記第1方向に交差する第2方向に延びる1つ以上の第1電極指と、前記1つ以上の第1電極指が接続された第1のバスバー電極と、前記第2方向に直交する第3方向に前記1つ以上の第1電極指のいずれかと対向し、前記第2方向に延びる1つ以上の第2電極指と、前記1つ以上の第2電極指が接続された第2のバスバー電極と、を有する機能電極と、を備え、前記圧電層は、前記機能電極と接する第1圧電体と、前記第1圧電体とは誘電分極の状態が異なる第2圧電体を含む圧電積層構造体であり、前記第1圧電体の厚みは、前記第2圧電体の厚み以下である。
 本開示によれば、周波数特性の劣化を抑制できる。
図1Aは、第1実施形態の弾性波装置を示す斜視図である。 図1Bは、第1実施形態の電極構造を示す平面図である。 図2は、図1AのII-II線に沿う部分の断面図である。 図3Aは、比較例の圧電層を伝播するラム波を説明するための模式的な断面図である。 図3Bは、第1実施形態の圧電層を伝播する厚み滑り1次モードのバルク波を説明するための模式的な断面図である。 図4は、第1実施形態の圧電層を伝播する厚み滑り1次モードのバルク波の振幅方向を説明するための模式的な断面図である。 図5は、第1実施形態の弾性波装置の共振特性の例を示す説明図である。 図6は、第1実施形態の弾性波装置において、隣り合う電極の中心間距離又は中心間距離の平均距離をp、圧電層の平均厚みをdとした場合、d/2pと、共振子としての比帯域との関係を示す説明図である。 図7は、第1実施形態の弾性波装置において、1対の電極が設けられている例を示す平面図である。 図8は、第1実施形態の弾性波装置の共振特性の一例を示す参考図である。 図9は、第1実施形態の弾性波装置の、多数の弾性波共振子を構成した場合の比帯域と、スプリアスの大きさとしての180度で規格化されたスプリアスのインピーダンスの位相回転量との関係を示す説明図である。 図10は、d/2pと、メタライゼーション比MRと、比帯域との関係を示す説明図である。 図11は、d/pを限りなく0に近づけた場合のLiNbOのオイラー角(0°、θ、ψ)に対する比帯域のマップを示す説明図である。 図12は、本開示の実施形態に係る弾性波装置を説明するための部分切り欠き斜視図である。 図13は、第1実施形態の変形例であって、図1AのII-II線に沿う部分の断面図である。 図14は、第1実施形態に係る弾性波装置の一例を示す模式的な断面図である。 図15は、第1実施形態に係る弾性波装置のフィルタ特性を説明するための図である。 図16は、第1実施形態に係る弾性波装置の結合係数を説明するための図である。 図17は、第1実施形態に係る弾性波装置の結合係数を説明するための図である。 図18は、第1実施形態に係る弾性波装置の他の例を示す模式的な断面図である。 図19は、第2実施形態に係る弾性波装置の一例を示す模式的な断面図である。 図20は、第2実施形態に係る弾性波装置の他の例を示す模式的な断面図である。 図21は、第2実施形態に係る弾性波装置の結合係数を説明するための図である。 図22は、第3実施形態に係る弾性波装置の一例を示す模式的な断面図である。
 以下に、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本開示が限定されるものではない。なお、本開示に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換又は組み合わせが可能である変形例や第2実施の形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
 (第1実施形態)
 図1Aは、第1実施形態の弾性波装置を示す斜視図である。図1Bは、第1実施形態の電極構造を示す平面図である。
 第1実施形態の弾性波装置1は、LiNbOからなる圧電層2を有する。圧電層2は、LiTaOからなるものであってもよい。LiNbOやLiTaOのカット角は、第1実施形態では、Zカットである。LiNbOやLiTaOのカット角は、回転YカットやXカットであってもよい。好ましくは、Y伝搬及びX伝搬±30°の伝搬方位が好ましい。
 圧電層2の厚みは、特に限定されないが、厚み滑り1次モードを効果的に励振するには、50nm以上、1000nm以下が好ましい。
 圧電層2は、Z方向に対向し合う第1主面2aと、第2主面2bとを有する。第1主面2a上に、電極指3及び電極指4が設けられている。
 ここで電極指3が「第1電極指」の一例であり、電極指4が「第2電極指」の一例である。図1A及び図1Bでは、複数の電極指3は、第1のバスバー電極5に接続されている複数の「第1電極指」である。複数の電極指4は、第2のバスバー電極6に接続されている複数の「第2電極指」である。複数の電極指3及び複数の電極指4は、互いに間挿し合っている。これにより、電極指3と、電極指4と、第1のバスバー電極5と、第2のバスバー電極6と、を備えるIDT(Interdigital Transuducer)電極が構成される。
 電極指3及び電極指4は、矩形形状を有し、長さ方向を有する。この長さ方向と直交する方向において、電極指3と、電極指3と隣接する電極指4とが対向している。電極指3、4の長さ方向及び電極指3、4の長さ方向と直交する方向は、圧電層2の厚み方向に交差する方向である。このため、電極指3と、電極指3と隣接する電極指4とは、圧電層2の厚み方向に交差する方向において対向しているともいえる。以下の説明では、圧電層2の厚み方向をZ方向(又は第1方向)とし、電極指3、電極指4の長さ方向をY方向(又は第2方向)とし、電極指3、電極指4の直交する方向をX方向(又は第3方向)として、説明することがある。
 また、電極指3、電極指4の長さ方向が図1A及び図1Bに示す電極指3、電極指4の長さ方向に直交する方向と入れ替わってもよい。すなわち、図1A及び図1Bにおいて、第1のバスバー電極5及び第2のバスバー電極6が延びている方向に電極指3、電極指4を延ばしてもよい。その場合、第1のバスバー電極5及び第2のバスバー電極6は、図1A及び図1Bにおいて電極指3、電極指4が延びている方向に延びることとなる。そして、一方電位に接続される電極指3と、他方電位に接続される電極指4とが隣り合う1対の構造が、上記電極指3、電極指4の長さ方向と直交する方向に、複数対設けられている。
 ここで電極指3と電極指4とが隣り合うとは、電極指3と電極指4とが直接接触するように配置されている場合ではなく、電極指3と電極指4とが間隔を介して配置されている場合を指す。また、電極指3と電極指4とが隣り合う場合、電極指3と電極指4との間には、他の電極指3、電極指4を含む、ホット電極やグラウンド電極に接続される電極は配置されない。この対数は、整数対である必要はなく、1.5対、2.5対等であってもよい。
 電極指3と電極指4との間の中心間距離すなわちピッチは、1μm以上、10μm以下の範囲が好ましい。また、電極指3と電極指4との間の中心間距離とは、電極指3の長さ方向と直交する方向における電極指3の幅寸法の中心と、電極指4の長さ方向と直交する方向における電極指4の幅寸法の中心とを結んだ距離となる。
 さらに、電極指3、電極指4の少なくとも一方が複数本ある場合(電極指3、電極指4を一対の電極組とした場合に、1.5対以上の電極組がある場合)、電極指3、電極指4の中心間距離は、1.5対以上の電極指3、電極指4のうち隣り合う電極指3、電極指4それぞれの中心間距離の平均値を指す。
 また、電極指3、電極指4の幅、すなわち電極指3、電極指4の対向方向の寸法は、150nm以上、1000nm以下の範囲が好ましい。なお、電極指3と電極指4との間の中心間距離とは、電極指3の長さ方向と直交する方向における電極指3の寸法(幅寸法)の中心と、電極指4の長さ方向と直交する方向における電極指4の寸法(幅寸法)の中心とを結んだ距離となる。
 また、第1実施形態では、Zカットの圧電層を用いているため、電極指3、電極指4の長さ方向と直交する方向は、圧電層2の分極方向に直交する方向となる。圧電層2として他のカット角の圧電体を用いた場合には、この限りでない。ここにおいて、「直交」とは、厳密に直交する場合のみに限定されず、略直交(電極指3、電極指4の長さ方向と直交する方向と分極方向とのなす角度が例えば90°±10°)でもよい。
 圧電層2の第2主面2b側には、中間層7を介して支持基板8が積層されている。中間層7及び支持基板8は、枠状の形状を有し、図2に示すように、開口部7a、8aを有する。それによって、空間部(エアギャップ)9が形成されている。
 空間部9は、圧電層2の励振領域Cの振動を妨げないために設けられている。従って、上記支持基板8は、少なくとも1対の電極指3、電極指4が設けられている部分と重ならない位置において、第2主面2bに中間層7を介して積層されている。なお、中間層7は設けられずともよい。従って、支持基板8は、圧電層2の第2主面2bに直接又は間接に積層され得る。
 中間層7は、酸化ケイ素で形成されている。もっとも、中間層7は、酸化ケイ素の他、窒化ケイ素、アルミナ等の適宜の絶縁性材料で形成することができる。
 支持基板8は、Siにより形成されている。Siの圧電層2側の面における面方位は(100)や(110)であってもよく、(111)であってもよい。好ましくは、抵抗率4kΩ以上の高抵抗のSiが望ましい。もっとも、支持基板8についても適宜の絶縁性材料や半導体材料を用いて構成することができる。支持基板8の材料としては、例えば、酸化アルミニウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶等の圧電体、アルミナ、マグネシア、サファイア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等の各種セラミック、ダイヤモンド、ガラス等の誘電体、窒化ガリウム等の半導体等を用いることができる。
 上記複数の電極指3、電極指4及び第1のバスバー電極5、第2のバスバー電極6は、Al、AlCu合金等の適宜の金属又は合金からなる。第1実施形態では、電極指3、電極指4及び第1のバスバー電極5、第2のバスバー電極6は、Ti膜上にAl膜を積層した構造を有する。なお、Ti膜以外の密着層を用いてもよい。
 駆動に際しては、複数の電極指3と、複数の電極指4との間に交流電圧を印加する。より具体的には、第1のバスバー電極5と第2のバスバー電極6との間に交流電圧を印加する。それによって、圧電層2において励振される厚み滑り1次モードのバルク波を利用した、共振特性を得ることが可能とされている。
 また、弾性波装置1では、圧電層2の厚みをd、複数対の電極指3、電極指4のうちいずれかの隣り合う電極指3、電極指4の中心間距離をpとした場合、d/pは0.5以下とされている。そのため、上記厚み滑り1次モードのバルク波が効果的に励振され、良好な共振特性を得ることができる。より好ましくは、d/pは0.24以下であり、その場合には、より一層良好な共振特性を得ることができる。
 なお、第1実施形態のように電極指3、電極指4の少なくとも一方が複数本ある場合、すなわち、電極指3、電極指4を1対の電極組とした場合に電極指3、電極指4が1.5対以上ある場合、隣り合う電極指3、電極指4の中心間距離は、各隣り合う電極指3、電極指4の中心間距離の平均距離となる。
 第1実施形態の弾性波装置1では、上記構成を備えるため、小型化を図ろうとして、電極指3、電極指4の対数を小さくしたとしても、Q値の低下が生じ難い。これは、両側に反射器を必要としない共振器であり、伝搬ロスが少ないためである。また、上記反射器を必要としないのは、厚み滑り1次モードのバルク波を利用していることによる。
 図3Aは、比較例の圧電層を伝播するラム波を説明するための模式的な断面図である。図3Bは、第1実施形態の圧電層を伝播する厚み滑り1次モードのバルク波を説明するための模式的な断面図である。図4は、第1実施形態の圧電層を伝播する厚み滑り1次モードのバルク波の振幅方向を説明するための模式的な断面図である。
 図3Aでは、特許文献1に記載のような弾性波装置であり、圧電層をラム波が伝搬する。図3Aに示すように、圧電層201中を矢印で示すように波が伝搬する。ここで、圧電層201には、第1主面201aと、第2主面201bとがあり、第1主面201aと第2主面201bとを結ぶ厚み方向がZ方向である。X方向は、IDT電極の電極指3、4が並んでいる方向である。図3Aに示すように、ラム波では、波が図示のように、X方向に伝搬していく。板波であるため、圧電層201が全体として振動するものの、波はX方向に伝搬するため、両側に反射器を配置して、共振特性を得ている。そのため、波の伝搬ロスが生じ、小型化を図った場合、すなわち電極指3、4の対数を少なくした場合、Q値が低下する。
 これに対して、図3Bに示すように、第1実施形態の弾性波装置では、振動変位は厚み滑り方向であるから、波は、圧電層2の第1主面2aと第2主面2bとを結ぶ方向、すなわちZ方向にほぼ伝搬し、共振する。すなわち、波のX方向成分がZ方向成分に比べて著しく小さい。そして、このZ方向の波の伝搬により共振特性が得られるため、反射器を必要としない。よって、反射器に伝搬する際の伝搬損失は生じない。従って、小型化を進めようとして、電極指3、電極指4からなる電極対の対数を減らしたとしても、Q値の低下が生じ難い。
 なお、厚み滑り1次モードのバルク波の振幅方向は、図4に示すように、圧電層2の励振領域C(図1B参照)に含まれる第1領域251と、励振領域Cに含まれる第2領域252とで逆になる。図4では、電極指3と電極指4との間に、電極指4が電極指3よりも高電位となる電圧が印加された場合のバルク波を模式的に示してある。第1領域251は、励振領域Cのうち、圧電層2の厚み方向に直交し圧電層2を2分する仮想平面VP1と、第1主面2aとの間の領域である。第2領域252は、励振領域Cのうち、仮想平面VP1と、第2主面2bとの間の領域である。
 弾性波装置1では、電極指3と電極指4とからなる少なくとも1対の電極が配置されているが、X方向に波を伝搬させるものではないため、この電極指3、電極指4からなる電極対の対数は複数対ある必要は必ずしもない。すなわち、少なくとも1対の電極が設けられてさえおればよい。
 例えば、上記電極指3がホット電位に接続される電極であり、電極指4がグラウンド電位に接続される電極である。もっとも、電極指3がグラウンド電位に、電極指4がホット電位に接続されてもよい。第1実施形態では、少なくとも1対の電極は、上記のように、ホット電位に接続される電極又はグラウンド電位に接続される電極であり、浮き電極は設けられていない。
 図5は、第1実施形態の弾性波装置の共振特性の例を示す説明図である。なお、図5に示す共振特性を得た弾性波装置1の設計パラメータは以下のとおりである。
 圧電層2:オイラー角(0°、0°、90°)のLiNbO
 圧電層2の厚み:400nm
 励振領域C(図1B参照)の長さ:40μm
 電極指3、電極指4からなる電極の対数:21対
 電極指3と電極指4との間の中心間距離(ピッチ):3μm
 電極指3、電極指4の幅:500nm
 d/p:0.133
 中間層7:1μmの厚みの酸化ケイ素膜
 支持基板8:Si
 なお、励振領域C(図1B参照)とは、電極指3と電極指4の長さ方向と直交するX方向に視たときに、電極指3と電極指4とが重なっている領域である。励振領域Cの長さとは、励振領域Cの電極指3、電極指4の長さ方向に沿う寸法である。ここで、励振領域Cとは、「交差領域」の一例である。
 第1実施形態では、電極指3、電極指4からなる電極対の中心間距離は、複数対において全て等しくした。すなわち、電極指3と電極指4とを等ピッチで配置した。
 図5から明らかなように、反射器を有しないにもかかわらず、比帯域が12.5%である良好な共振特性が得られている。
 ところで、上記圧電層2の厚みをd、電極指3と電極指4との電極の中心間距離をpとした場合、第1実施形態では、d/pは0.5以下、より好ましくは0.24以下である。これを、図6を参照して説明する。
 図5に示した共振特性を得た弾性波装置と同様に、但しd/2pを変化させ、複数の弾性波装置を得た。図6は、第1実施形態の弾性波装置において、隣り合う電極の中心間距離又は中心間距離の平均距離をp、圧電層2の平均厚みをdとした場合、d/2pと、共振子としての比帯域との関係を示す説明図である。
 図6に示すように、d/2pが0.25を超えると、すなわちd/p>0.5では、d/pを調整しても、比帯域は5%未満である。これに対して、d/2p≦0.25、すなわちd/p≦0.5の場合には、その範囲内でd/pを変化させれば、比帯域を5%以上とすることができ、すなわち高い結合係数を有する共振子を構成することができる。また、d/2pが0.12以下の場合、すなわちd/pが0.24以下の場合には、比帯域を7%以上と高めることができる。加えて、d/pをこの範囲内で調整すれば、より一層比帯域の広い共振子を得ることができ、より一層高い結合係数を有する共振子を実現することができる。従って、d/pを0.5以下とすることにより、上記厚み滑り1次モードのバルク波を利用した、高い結合係数を有する共振子を構成し得ることがわかる。
 なお、少なくとも1対の電極は、1対でもよく、上記pは、1対の電極の場合、隣り合う電極指3、電極指4の中心間距離とする。また、1.5対以上の電極の場合には、隣り合う電極指3、電極指4の中心間距離の平均距離をpとすればよい。
 また、圧電層2の厚みdについても、圧電層2が厚みばらつきを有する場合、その厚みを平均化した値を採用すればよい。
 図7は、第1実施形態の弾性波装置において、1対の電極が設けられている例を示す平面図である。弾性波装置101では、圧電層2の第1主面2a上において、電極指3と電極指4とを有する1対の電極が設けられている。なお、図7中のKが交差幅となる。前述したように、本開示の弾性波装置では、電極の対数は1対であってもよい。この場合においても、上記d/pが0.5以下であれば、厚み滑り1次モードのバルク波を効果的に励振することができる。
 弾性波装置1では、好ましくは、複数の電極指3、電極指4において、いずれかの隣り合う電極指3、電極指4が対向している方向に視たときに重なっている領域である励振領域Cに対する、上記隣り合う電極指3、電極指4のメタライゼーション比MRが、MR≦1.75(d/p)+0.075を満たすことが望ましい。その場合には、スプリアスを効果的に小さくすることができる。これを、図8及び図9を参照して説明する。
 図8は、第1実施形態の弾性波装置の共振特性の一例を示す参考図である。矢印Bで示すスプリアスが、共振周波数と反共振周波数との間に現れている。なお、d/p=0.08として、かつLiNbOのオイラー角(0°、0°、90°)とした。また、上記メタライゼーション比MR=0.35とした。
 メタライゼーション比MRを、図1Bを参照して説明する。図1Bの電極構造において、1対の電極指3、電極指4に着目した場合、この1対の電極指3、電極指4のみが設けられるとする。この場合、一点鎖線で囲まれた部分が励振領域Cとなる。この励振領域Cとは、電極指3と電極指4とを、電極指3、電極指4の長さ方向と直交する方向すなわち対向方向に視たときに、電極指4と重なり合っている電極指3の領域、電極指3と重なり合っている電極指4の領域及び電極指3と電極指4とが重なり合っている電極指3と電極指4との間の領域である。そして、この励振領域Cの面積に対する、励振領域C内の電極指3及び電極指4の面積が、メタライゼーション比MRとなる。すなわち、メタライゼーション比MRは、メタライゼーション部分の面積の励振領域Cの面積に対する比である。
 なお、複数対の電極指3、電極指4が設けられている場合、励振領域Cの面積の合計に対する全励振領域Cに含まれているメタライゼーション部分の割合をMRとすればよい。
 図9は、第1実施形態の弾性波装置の、多数の弾性波共振子を構成した場合の比帯域と、スプリアスの大きさとしての180度で規格化されたスプリアスのインピーダンスの位相回転量との関係を示す説明図である。なお、比帯域については、圧電層2の膜厚や電極指3、電極指4の寸法を種々変更し、調整した。また、図9は、ZカットのLiNbOからなる圧電層2を用いた場合の結果であるが、他のカット角の圧電層2を用いた場合においても、同様の傾向となる。
 図9中の楕円Jで囲まれている領域では、スプリアスが1.0と大きくなっている。図9から明らかなように、比帯域が0.17を超えると、すなわち17%を超えると、スプリアスレベルが1以上の大きなスプリアスが、比帯域を構成するパラメータを変化させたとしても、通過帯域内に現れる。すなわち、図8に示す共振特性のように、矢印Bで示す大きなスプリアスが帯域内に現れる。よって、比帯域は17%以下であることが好ましい。この場合には、圧電層2の膜厚や電極指3、電極指4の寸法等を調整することにより、スプリアスを小さくすることができる。
 図10は、d/2pと、メタライゼーション比MRと、比帯域との関係を示す説明図である。第1実施形態の弾性波装置1において、d/2pと、MRが異なる様々な弾性波装置1を構成し、比帯域を測定した。図10の破線Dの右側のハッチングを付して示した部分が、比帯域が17%以下の領域である。このハッチングを付した領域と、付していない領域との境界は、MR=3.5(d/2p)+0.075で表される。すなわち、MR=1.75(d/p)+0.075である。従って、好ましくは、MR≦1.75(d/p)+0.075である。その場合には、比帯域を17%以下としやすい。より好ましくは、図10中の一点鎖線D1で示すMR=3.5(d/2p)+0.05の右側の領域である。すなわち、MR≦1.75(d/p)+0.05であれば、比帯域を確実に17%以下にすることができる。
 図11は、d/pを限りなく0に近づけた場合のLiNbOのオイラー角(0°、θ、ψ)に対する比帯域のマップを示す説明図である。図11のハッチングを付して示した部分が、少なくとも5%以上の比帯域が得られる領域である。領域の範囲を近似すると、下記の式(1)、式(2)及び式(3)で表される範囲となる。
 (0°±10°、0°~20°、任意のψ)  …式(1)
 (0°±10°、20°~80°、0°~60°(1-(θ-50)/900)1/2)又は(0°±10°、20°~80°、[180°-60°(1-(θ-50)/900)1/2]~180°)  …式(2)
 (0°±10°、[180°-30°(1-(ψ-90)/8100)1/2]~180°、任意のψ)  …式(3)
 従って、上記式(1)、式(2)又は式(3)のオイラー角範囲の場合、比帯域を十分に広くすることができ、好ましい。
 図12は、本開示の実施形態に係る弾性波装置を説明するための部分切り欠き斜視図である。図12において、空間部9の外周縁を破線で示す。本開示の弾性波装置は、板波を利用するものであってもよい。この場合、図12に示すように、弾性波装置301は、反射器310、311を有する。反射器310、311は、圧電層2の電極指3、4の弾性波伝搬方向両側に設けられる。弾性波装置301では、空間部9上の電極指3、4に、交流電界を印加することにより、板波としてのラム波が励振される。このとき、反射器310、311が両側に設けられているため、板波としてのラム波による共振特性を得ることができる。
 図13は、第1実施形態の変形例であって、図1AのII-II線に沿う部分の断面図である。弾性波装置401では、圧電層2の第2主面2bに音響反射層402が積層されている。音響反射層402は、低音響インピーダンス層402a、402c、402eと、高音響インピーダンス層402b、402dとの積層構造を有する。低音響インピーダンス層402a、402c、402eは、音響インピーダンスが相対的に低い層であり、例えばSiOの層である。高音響インピーダンス層402b、402dは、音響インピーダンスが相対的に高い層であり、例えばW、Pt等の金属層又はAlN、SiN等の誘電体層である。音響反射層402を用いた場合、弾性波装置1における空間部9を設けなくても、厚み滑り1次モードのバルク波を圧電層2内に閉じ込めることができる。弾性波装置401においても、上記d/pを0.5以下とすることにより、厚み滑り1次モードのバルク波に基づく共振特性を得ることができる。なお、音響反射層402において、低音響インピーダンス層402a、402c、402e及び高音響インピーダンス層402b、402dの積層数は特に限定されない。低音響インピーダンス層402a、402c、402eよりも、高音響インピーダンス層402b、402dのうち少なくとも1層の高音響インピーダンス層が、圧電層2から遠い側に配置されてさえすればよい。
 低音響インピーダンス層402a、402c、402e及び高音響インピーダンス層402b、402dの材料は、以上に示した材料に限られず、音響インピーダンスの大小関係を満たす限り、適宜の材料で構成することができる。例えば、低音響インピーダンス層402a、402c、402eの材料としては、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素等を挙げることができる。また、高音響インピーダンス層402b、402dの材料としては、アルミナ、窒化ケイ素、金属等を挙げることができる。
 以上説明したように、弾性波装置1、101では、厚み滑り1次モードのバルク波が利用されている。また、弾性波装置1、101では、第1電極指3及び第2電極指4は隣り合う電極同士であり、圧電層2の厚みをd、第1電極指3及び第2電極指4の中心間距離をpとした場合、d/pが0.5以下とされている。これにより、弾性波装置が小型化しても、Q値を高めることができる。
 弾性波装置1、101では、圧電層2がニオブ酸リチウム又はタンタル酸リチウムで形成されている。圧電層2の第1主面2a又は第2主面2bには、圧電層2の厚み方向に交差する方向において対向する第1電極指3及び第2電極指4があり、第1電極指3及び第2電極指4の上を保護膜で覆うことが望ましい。
 図14は、第1実施形態に係る弾性波装置の一例を示す模式的な断面図である。図14に示すように、第1実施形態に係る弾性波装置1Aは、圧電層20と、機能電極30と、支持部材とを備える。以下の説明においては、Z方向と平行な向きのうち、圧電層20の第2主面20bから第1主面20aに向かう向きを上、圧電層20の第1主面20aから第2主面20bに向かう向きを下として説明することがある。
 機能電極30は、電極指3,4及びバスバー電極5、6を備えるIDT電極である。機能電極30は、後述する圧電層20の第1主面20aに設けられる。
 支持部材は、支持基板8を備える部材である。図14に係る弾性波装置1Aでは、支持部材は、支持基板8からなるが、これに限られず、支持基板8のZ方向に設けられた中間層7をさらに備えてもよい。
 支持部材には、Z方向に平面視して、機能電極30と少なくとも一部が重なる位置に空間部9がある。図14に係る弾性波装置1Aでは、空間部9は、支持部材の圧電層20側に設けられるが、あくまで一例であり、支持基板8をZ方向に貫通するように設けられるものであってもよい。
 圧電層20は、支持部材のZ方向に設けられる。圧電層20は、第1主面20aと、第1主面20aのZ方向の反対側の第2主面20bとを有する。図14に係る弾性波装置1Aでは、圧電層20は、支持基板8のZ方向に設けられる。
 圧電層20は、圧電積層構造体、すなわち、複数の圧電体の積層体である。圧電層20は、第1圧電体21と、第2圧電体22とを備える。第1圧電体21は、Z方向の面に機能電極30が設けられる圧電体である。すなわち、第1圧電体21の一方の面は、圧電層20の第1主面20aである。第2圧電体22は、第1圧電体21に積層される圧電体である。第1実施形態では、第2圧電体22の支持基板8側の面は、圧電層20の第2主面20bである。第1圧電体21と第2圧電体22とは、同じ組成の材料からなり、例えば、YXカットのニオブ酸リチウムである。
 圧電層20において、第1圧電体21と第2圧電体22とは、誘電分極の状態が互いに異なる。ここで、誘電分極の状態が異なるとは、誘電分極の向きが同一でないことをいう。図14に係る弾性波装置1Aでは、第1圧電体21の誘電分極の向きは、上向きである一方で、第2圧電体22の誘電分極の向きは、第1圧電体21と反対の下方向である。これにより、主モードであるS2モードの結合係数を大きく保つことができる。
 第1圧電体21の厚みをd1、第2圧電体22の厚みをd2とした場合、d1は、d2以下である。すなわち、第1圧電体21の厚みd1と第2圧電体22の厚みd2との合計(すなわち圧電層20の厚みd)に対する、第1圧電体21の厚みd1の割合d1/dは、0.5以下である。これにより、不要波であるA1モードを抑制でき、周波数特性の劣化を抑制できる。また、第1圧電体21の厚みの割合d1/dを、0.2以上0.4以下とした場合、不要波であるA1モードをより抑制でき、好ましい。また、第1圧電体21の厚みの割合d1/dを、0.4より大きく0.5以下とした場合、主モードであるS2モードの結合係数をより大きく保つことができ、好ましい。
 圧電層20の誘電分極の状態は、SPM(Scanning Probe Microscopy)で観察することができる。具体的には、圧電層20の断面についての、PRM(Piezo Response Microscope)の観察像で、誘電分極の向きが異なる領域が、異なる色を示す領域として現れる。これにより、第1圧電体21の厚みd1及び第2圧電体22の厚みd2を測定することができる。
 図15は、第1実施形態に係る弾性波装置のフィルタ特性を説明するための図である。より詳しくは、図15は、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.6である比較例及び第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.4である実施例に係る弾性波装置のアドミタンス特性を示す図である。ここで、図15において、楕円Eは、不要波であるA1モードを示し、楕円Fは、主要波であるS2モードを示す。図15に示すように、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.6である比較例に係る弾性波装置は、A1モードが抑圧されず、A1モードがS2モードの低域側に強勢に生じている。一方で、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.4である実施例に係る弾性波装置では、S2モードを抑制することなく、A1モードを抑制できることが分かる。
 図16は、第1実施形態に係る弾性波装置の結合係数を説明するための図である。より詳しくは、図16は、第1圧電体21の厚みの割合d1/dに対するA1モード及びS2モードの結合係数のシミュレーション結果を示すグラフである。ここで、図16に係るシミュレーションにおいて、圧電層20の厚みdは、800nmであり、電極指3、4のピッチpは、8000nmである。図16に示すように、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.5以下である場合、A1モードの結合係数を抑制できることが分かる。また、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.4以下である場合、A1モードの結合係数をより抑制できることが分かる。また、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.4より大きく、0.5以下である場合、A1モードの結合係数を抑制しつつ、S2モードの結合係数を大きく保つことができることが分かる。
 図17は、第1実施形態に係る弾性波装置の結合係数を説明するための図である。より詳しくは、図17は、第1圧電体21の厚みの割合d1/d及び圧電層20の厚みdに対する電極指3、4のピッチpの比p/dに対応するA1モードの結合係数のシミュレーション結果を示す図である。図17に示すように、圧電層20の厚みdに対する電極指3、4のピッチpの比p/dの値によらず、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.5以下である場合、A1モードの結合係数を抑制することができ、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.4以下とした場合、A1モードの結合係数をより抑制することができることが分かる。
 以上、第1実施形態に係る弾性波装置について説明したが、第1実施形態に係る弾性波装置は、図14で示すものに限られない。
 図18は、第1実施形態に係る弾性波装置の他の例を示す模式的な断面図である。図18に示すように、機能電極30は、空間部9の内部に設けられてもよい。図18に示す弾性波装置1Bでは、支持基板8が、圧電層2の第1主面20a側に支持基板8が積層される。この場合においても、不要波であるA1モードを抑制でき、周波数特性の劣化を抑制できる。
 以上説明したように、第1実施形態に係る弾性波装置は、第1方向に厚みを有する支持部材と、支持部材の第1方向に設けられた圧電層20と、圧電層20の主面に設けられ、第1方向に交差する第2方向に延びる1つ以上の第1電極指3と、1つ以上の第1電極指3が接続された第1のバスバー電極5と、第2方向に直交する第3方向に1つ以上の第1電極指3のいずれかと対向し、第2方向に延びる1つ以上の第2電極指4と、1つ以上の第2電極指4が接続された第2のバスバー電極6と、を有する機能電極30と、を備え、圧電層2は、機能電極30と接する第1圧電体21と、第1圧電体21とは誘電分極の状態が異なる第2圧電体22を含む圧電積層構造体であり、第1圧電体21の厚みd1は、第2圧電体22の厚みd2以下である。これにより、主モードであるS2モードを大きく保ちつつ、不要波であるA1モードを抑制でき、周波数特性の劣化を抑制できる。
 望ましい態様として、第1圧電体21の厚みd1と第2圧電体22の厚みd2との合計(圧電層20の厚みd)に対する、第1圧電体21の厚みd1の割合が、0.2以上0.4以下である。これにより、不要波であるA1モードをより抑制でき、周波数特性の劣化をより抑制できる。
 望ましい態様として、第1圧電体21の厚みd1と第2圧電体22の厚みd2との合計(圧電層20の厚みd)に対する、第1圧電体21の厚みd1の割合が、0.4より大きく0.5以下である。これにより、不要波であるA1モードをより抑制しつつ、S2モードの結合係数をより大きく保つことができる。
 望ましい態様として、支持部材の圧電層20側には、第1方向に平面視して、機能電極30と少なくとも一部が重なる位置に空間部9が設けられている。これにより、厚み滑り1次モードのバルク波を圧電層2内に閉じ込めることができる。
 また、機能電極30は、空間部9の内部にある。この場合でも、厚み滑り1次モードのバルク波を圧電層20内に閉じ込めることができる。
 望ましい態様として、支持部材と圧電層2との間に設けられた、圧電層2よりも低い音響インピーダンスを有する1以上の低音響インピーダンス層402a、402c、402eと、圧電層2よりも高い音響インピーダンスを有する1以上の高音響インピーダンス層402b、402dと、を含む音響反射層402を有する。これにより、厚み滑り1次モードのバルク波を圧電層2内に閉じ込めることができる。
 望ましい態様として、圧電層2の厚みは、1つ以上の第1電極指3及び1つ以上の第2電極指4のうち、隣り合う第1電極指3と第2電極指4との間の中心間距離をpとした場合に2p以下である。これにより、弾性波装置1を小型化でき、かつQ値を高めることができる。
 望ましい態様として、圧電層2が、ニオブ酸リチウム又はタンタル酸リチウムを含む。これにより、良好な共振特性が得られる弾性波装置を提供することができる。
 望ましい態様として、厚み滑りモードのバルク波を利用可能に構成されている。これにより、結合係数が高まり、良好な共振特性が得られる弾性波装置を提供することができる。
 望ましい態様として、圧電層2の厚みをd、1つ以上の第1電極指3及び1つ以上の第2電極指4のうち、隣り合う第1電極指3と第2電極指4との中心間距離をpとした場合、d/p≦0.5である。これにより、弾性波装置1を小型化でき、かつQ値を高めることができる。
 より望ましい態様として、d/pが0.24以下である。これにより、弾性波装置1を小型化でき、かつQ値を高めることができる。
 望ましい態様として、圧電層2は、ニオブ酸リチウム又はタンタル酸リチウムであり、ニオブ酸リチウム又はタンタル酸リチウムのオイラー角(φ,θ,ψ)が、以下の式(1)、式(2)又は式(3)の範囲にある。この場合、比帯域を十分に広くすることができる。
 (0°±10°,0°~20°,任意のψ)  …式(1)
 (0°±10°,20°~80°,0°~60°(1-(θ-50)/900)1/2)又は(0°±10°,20°~80°,[180°-60°(1-(θ-50)/900)1/2]~180°)  …式(2)
 (0°±10°,[180°-30°(1-(ψ-90)/8100)1/2]~180°,任意のψ)  …式(3)
 望ましい態様として、1つ以上の第1電極指3及び1つ以上の第2電極指4のうち、隣り合う第1電極指3及び第2電極指4が対向している方向に視たときに重なっている領域が励振領域Cであり、励振領域Cに対する、1つ以上の第1電極指3及び1つ以上の第2電極指4のメタライゼーション比をMRとしたときに、MR≦1.75(d/p)+0.075を満たす。この場合、比帯域を確実に17%以下にすることができる。
(第2実施形態)
 第2実施形態に係る弾性波装置は、誘電膜19を備える点で第1実施形態と異なる。誘電膜19は、誘電体からなる膜であり、例えば、酸化ケイ素からなる膜である。以下、図面を用いて第2実施形態に係る弾性波装置について説明する。なお、第1実施形態と共通する点については、符号を付して説明を省略する。
 図19は、第2実施形態に係る弾性波装置の一例を示す模式的な断面図である。第2実施形態に係る弾性波装置1Cにおいて、誘電膜19は、第1圧電体21を覆うように設けられる。より詳しくは、誘電膜19は、圧電層20の第1主面20a及び機能電極30を覆うように設けられる。
 図20は、第2実施形態に係る弾性波装置の他の例を示す模式的な断面図である。第2実施形態に係る弾性波装置1Dにおいて、誘電膜19は、第2圧電体22を覆うように設けられる。より詳しくは、誘電膜19は、圧電層20の第1主面20a及び機能電極30を覆うように設けられる。
 図21は、第2実施形態に係る弾性波装置の結合係数を説明するための図である。より詳しくは、図21は、誘電膜19がない弾性波装置(第1実施形態に係る弾性波装置1A)と、第1圧電体21を覆う誘電膜19を備える弾性波装置1Cと、第2圧電体22を覆う誘電膜19を備える弾性波装置1Dとにおける、第1圧電体21の厚みの割合d1/dに対するA1モードの結合係数のシミュレーション結果を示す図である。ここで、図21に係るシミュレーションにおいて、圧電層20の厚みdは、800nmであり、誘電膜19の厚みは、100nmである。図21に示すように、誘電膜19を備える場合であっても、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.5以下である場合、A1モードの結合係数を抑制でき、第1圧電体21の厚みの割合d1/dが0.4以下である場合、A1モードの結合係数をより抑制できることが分かる。
 以上説明したように、第2実施形態に係る弾性波装置1Cは、第1圧電体21を覆う誘電膜19を備える。この場合でも、主モードであるS2モードの結合係数を大きく保ちつつ、不要波であるA1モードを抑制できるので、周波数特性の劣化を抑制できる。
 以上説明したように、第2実施形態に係る弾性波装置1Dは、第2圧電体22を覆う誘電膜19を備える。この場合でも、主モードであるS2モードの結合係数を大きく保ちつつ、不要波であるA1モードを抑制できるので、周波数特性の劣化を抑制できる。
(第3実施形態)
 第3実施形態に係る弾性波装置は、圧電層が3層以上の圧電体を備える点で第1実施形態と異なる。以下図面を用いて第3実施形態に係る弾性波装置について説明する。なお、第1実施形態と共通する点については、符号を付して説明を省略する。
 図22は、第3実施形態に係る弾性波装置の一例を示す模式的な断面図である。図22に係るように、第3実施形態では、圧電層20Aは、n層の圧電体を有する。ここで、nは、3以上の整数である。以下、圧電層20Aにおいて、第1圧電体21からZ方向に数えて、n番目に積層されている圧電体をn番目の圧電体、k番目に積層されている圧電体をk番目の圧電体として説明する。ここで、kは、1以上n-1以下の整数のうち、いずれか1つの整数である。すなわち、圧電層20Aは、1番目からn番目の圧電体を備える。ここで、1番目の圧電体とは、第1圧電体21であり、2番目の圧電体とは、第2圧電体22である。第3実施形態では、n番目の圧電体の支持基板8側の面は、圧電層20Aの第2主面20bである。第3実施形態では、1番目からn番目の圧電体は、全て同じ組成の材料からなり、例えば、YXカットのニオブ酸リチウムである。
 図22に係る弾性波装置1Eでは、圧電層20Aは、第1圧電体21と、第2圧電体22と、第3圧電体23とを有する。第3圧電体23は、n番目の圧電体であって、3番目の圧電体である。すなわち、弾性波装置1Eでは、n=3である。第3圧電体23の支持基板8側の面は、圧電層20Aの第2主面20bである。
 圧電層20Aにおいて、隣接する圧電体同士は、互いに誘電分極の状態が異なる。すなわち、k番目の圧電体と、k+1番目の圧電体とは、互いに誘電分極の状態が異なる。これにより、主モードの結合係数を大きく保つことができる。
 図22に係る弾性波装置1Eでは、第1圧電体21の誘電分極の向きは、上向きである。一方で、第2圧電体22の誘電分極の向きは、第1圧電体21と反対の下方向である。そして、第3圧電体23の誘電分極の向きは、第2圧電体22と反対の上方向である。これにより、主モードの結合係数を大きく保つことができる。
 第1圧電体21の厚みd1は、他の圧電体の厚み以下である。すなわち、第1圧電体21の厚みd1は、k+1番目の圧電体の厚み以下である。言い換えれば、第1圧電体21は、n層の圧電体のうち、最も厚みの小さい圧電体である。また、k番目の圧電体の厚みをdk、k+1番目の圧電体の厚みをd(k+1)とした場合、dkは、d(k+1)以下である。これにより、不要波を抑制できる。また、全てのkについて、dkは、d(k+1)以下であることが好ましい。言い換えれば、n番目の圧電体の厚みをdnとした場合、下記の式(4)が成立することが好ましい。これにより、不要波をより抑制できる。
 d1≦d2≦…≦dk≦d(k+1)≦…≦dn  …式(4)
 図22に係る弾性波装置1Eでは、第3圧電体23の厚みをd3とした場合、第1圧電体21の厚みd1は、第2圧電体22の厚みd2以下であり、第2圧電体22の厚みd2は、第3圧電体23の厚みd3以下となっている。これにより、不要波を抑制できる。
 以上説明したように、第3実施形態に係る弾性波装置は、圧電層20Aは、3以上の整数であるn層の圧電体を有し、kを、1以上n-1以下の整数のうち、いずれか1つの整数とした場合、第1圧電体21から数えてk番目の圧電体と、k+1番目の圧電体とは、互いに誘電分極の状態が異なる。これにより、主モードの結合係数を大きく保つことができ、周波数特性の劣化を抑制できる。
 望ましい態様として、第1圧電体21の厚みd1は、他の圧電体の厚み以下である。これにより、不要波を抑制でき、周波数特性の劣化を抑制できる。
 望ましい態様として、k番目の圧電体の厚みは、k+1番目の圧電体の厚み以下である。これにより、不要波を抑制でき、周波数特性の劣化を抑制できる。
 なお、上記した実施の形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定して解釈するためのものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本開示にはその等価物も含まれる。
1、1A~1E、101、301、401 弾性波装置
2 圧電層
2a 第1主面
2b 第2主面
3 電極指(第1電極指)
4 電極指(第2電極指)
5 第1のバスバー電極
6 第2のバスバー電極
7 中間層
7a 開口部
8 支持基板
8a 開口部
9 空間部
19 誘電膜
20、20A 圧電層
20a 第1主面
20b 第2主面
21 第1圧電体
22 第2圧電体
23 第3圧電体
30 機能電極
201 圧電層
201a 第1主面
201b 第2主面
251 第1領域
252 第2領域
310、311 反射器
402 音響反射層
402a、402c、402e 低音響インピーダンス層
402b、402d 高音響インピーダンス層
C 励振領域
VP1 仮想平面

Claims (18)

  1.  第1方向に厚みを有する支持部材と、
     前記支持部材の前記第1方向に設けられた圧電層と、
     前記圧電層の主面に設けられ、前記第1方向に交差する第2方向に延びる1つ以上の第1電極指と、前記1つ以上の第1電極指が接続された第1のバスバー電極と、前記第2方向に直交する第3方向に前記1つ以上の第1電極指のいずれかと対向し、前記第2方向に延びる1つ以上の第2電極指と、前記1つ以上の第2電極指が接続された第2のバスバー電極と、を有する機能電極と、
     を備え、
     前記圧電層は、前記機能電極と接する第1圧電体と、前記第1圧電体とは誘電分極の状態が異なる第2圧電体を含む圧電積層構造体であり、
     前記第1圧電体の厚みは、前記第2圧電体の厚み以下である、弾性波装置。
  2.  前記第1圧電体の厚みと前記第2圧電体の厚みとの合計に対する、前記第1圧電体の厚みの割合が、0.2以上0.4以下である、請求項1に記載の弾性波装置。
  3.  前記第1圧電体を覆う誘電膜を備える、請求項1又は2に記載の弾性波装置。
  4.  前記第2圧電体を覆う誘電膜を備える、請求項1又は2に記載の弾性波装置。
  5.  前記第1圧電体の厚みと前記第2圧電体の厚みとの合計に対する、前記第1圧電体の厚みの割合が、0.4より大きく0.5以下である、請求項1に記載の弾性波装置。
  6.  前記圧電層は、3以上の整数であるn層の圧電体を有し、
     kを、1以上n-1以下の整数のうち、いずれか1つの整数とした場合、前記第1圧電体から数えてk番目の圧電体と、k+1番目の圧電体とは、互いに誘電分極の状態が異なる、請求項1に記載の弾性波装置。
  7.  前記第1圧電体の厚みは、他の圧電体の厚み以下である、請求項6に記載の弾性波装置。
  8.  前記k番目の圧電体の厚みは、前記k+1番目の圧電体の厚み以下である、請求項6又は7に記載の弾性波装置。
  9.  前記支持部材の前記圧電層側には、前記第1方向に平面視して、前記機能電極と少なくとも一部が重なる位置に空間部が設けられている、請求項1から8のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  10.  前記機能電極は、前記空間部の内部にある、請求項9に記載の弾性波装置。
  11.  前記支持部材と前記圧電層との間に設けられた、前記圧電層よりも低い音響インピーダンスを有する1以上の低音響インピーダンス層と、前記圧電層よりも高い音響インピーダンスを有する1以上の高音響インピーダンス層と、を含む音響反射層を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  12.  前記圧電層の厚みは、前記1つ以上の第1電極指及び前記1つ以上の第2電極指のうち、隣り合う第1電極指と第2電極指との間の中心間距離をpとした場合に2p以下である、請求項1から11のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  13.  前記圧電層が、ニオブ酸リチウム又はタンタル酸リチウムを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  14.  厚み滑りモードのバルク波を利用可能に構成されている、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  15.  前記圧電層の厚みをd、前記1つ以上の第1電極指及び前記1つ以上の第2電極指のうち、隣り合う前記第1電極指と前記第2電極指との中心間距離をpとした場合、d/p≦0.5である、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の弾性波装置。
  16.  d/pが0.24以下である、請求項15に記載の弾性波装置。
  17.  前記圧電層は、ニオブ酸リチウム又はタンタル酸リチウムであり、前記ニオブ酸リチウム又はタンタル酸リチウムのオイラー角(φ,θ,ψ)が、以下の式(1)、式(2)又は式(3)の範囲にある、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の弾性波装置。
     (0°±10°,0°~20°,任意のψ)  …式(1)
     (0°±10°,20°~80°,0°~60°(1-(θ-50)/900)1/2)又は(0°±10°,20°~80°,[180°-60°(1-(θ-50)/900)1/2]~180°)  …式(2)
     (0°±10°,[180°-30°(1-(ψ-90)/8100)1/2]~180°,任意のψ)  …式(3)
  18.  前記1つ以上の第1電極指及び前記1つ以上の第2電極指のうち、隣り合う前記第1電極指及び前記第2電極指が対向している方向に視たときに重なっている領域が励振領域であり、前記励振領域に対する、前記1つ以上の第1電極指及び前記1つ以上の前記第2電極指のメタライゼーション比をMRとしたときに、MR≦1.75(d/p)+0.075を満たす、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の弾性波装置。
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