WO2023058701A1 - 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、 示差走査熱量計を用いて前記熱融着性樹脂層について測定されるDSC曲線は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、 インデンテーション法に基づき、測定温度110℃において、前記蓄電デバイス用外装材の前記熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下である、蓄電デバイス用外装材。

Description

蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス
 本開示は、蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイスに関する。
 従来、様々なタイプの蓄電デバイスが開発されているが、あらゆる蓄電デバイスにおいて、電極や電解質などの蓄電デバイス素子を封止するために外装材が不可欠な部材になっている。従来、蓄電デバイス用外装材として金属製の外装材が多用されていた。
 一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話などの高性能化に伴い、蓄電デバイスには、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の蓄電デバイス用外装材では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
 そこで、従来、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る蓄電デバイス用外装材として、基材層/バリア層/接着層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
 このような蓄電デバイス用外装材においては、一般的に、冷間成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの蓄電デバイス素子を配し、熱融着性樹脂層を熱融着させることにより、蓄電デバイス用外装材の内部に蓄電デバイス素子が収容された蓄電デバイスが得られる。
特開2008-287971号公報 特開2002-8616号公報
 近年、スマートフォンの高速大容量データ通信化に伴い、消費する電気量も増大し、蓄電デバイスの高容量化が検討されている。しかしながら、バッテリーの高容量化は、容器サイズの増大や反応性物質の増加を伴い、蓄電デバイスが熱暴走した時(すなわち、蓄電デバイスの高温化時)に発生するガス量も増加し、蓄電デバイスの内圧上昇に伴い蓄電デバイスが膨張するという問題がある。金属製の外装材を用いた蓄電デバイス(例えば金属缶電池など)では、安全弁を取り付けることでガス発生時の安全性を確保している(特許文献2参照)。
 しかしながら、積層フィルム状の外装材を用いた蓄電デバイスでは、このような安全弁を取り付けることは難しく、高温になった蓄電デバイス内部で発生したガスによる、蓄電デバイスの膨張回避が課題となる。
 高温になった蓄電デバイス内部で発生したガスによる蓄電デバイスの膨張回避の手法として、熱融着性樹脂層を形成する樹脂の融点を低く設計し、熱融着性樹脂層の位置から開封しやすくすることが考えられる。また、熱融着性樹脂層を形成する樹脂の融点を低くすることで、熱融着性樹脂層を熱融着する工程にかかる時間を短縮することができるという利点もある。
 ところが、蓄電デバイスの製造工程におけるベーキング工程での加熱によって、蓄電デバイスは高温(例えば100℃程度)に晒されるため、熱融着性樹脂層を形成する樹脂の融点を低くすると、電池が熱暴走し始めない安定した領域(110℃以下)であるベーキング工程での熱と発生するガスにより、蓄電デバイス用外装材が開封するという問題が生じる虞がある。
 このような状況下、本開示は、少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成された蓄電デバイス用外装材であって、蓄電デバイスが高温(例えば110℃程度)になるまで、蓄電デバイス用外装材によって密封され、かつ蓄電デバイス内部で発生したガスを放出したい温度(例えば120℃程度)においては、蓄電デバイス用外装材が開封する、蓄電デバイス用外装材を提供することを主な目的とする。
 本開示の発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、示差走査熱量計を用いて融着性樹脂層について測定されるDSC曲線は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、インデンテーション法に基づき、測定温度110℃において、蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下である蓄電デバイス用外装材は、蓄電デバイスが高温(例えば110℃程度)になるまで、蓄電デバイス素子を好適に密封でき、かつ蓄電デバイス内部で発生したガスを放出したい温度(例えば120℃程度)においては、蓄電デバイス用外装材が開封することを見出した。
 本開示は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
 少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、
 示差走査熱量計を用いて熱融着性樹脂層について測定されるDSC曲線は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、
 インデンテーション法に基づき、測定温度110℃において、蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下である、蓄電デバイス用外装材。
 本開示によれば、少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成された蓄電デバイス用外装材であって、蓄電デバイスが高温(例えば110℃程度)になるまでは、蓄電デバイス素子を好適に密封でき、かつ蓄電デバイス内部で発生したガスを放出したい温度(例えば120℃程度)においては開封する、蓄電デバイス用外装材を提供することができる。また、本開示によれば、蓄電デバイス用外装材の製造方法、及び蓄電デバイスを提供することもできる。
本開示の蓄電デバイス用外装材の断面構造の一例を示す模式図である。 本開示の蓄電デバイス用外装材の断面構造の一例を示す模式図である。 本開示の蓄電デバイス用外装材の断面構造の一例を示す模式図である。 本開示の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に蓄電デバイス素子を収容する方法を説明するための模式図である。 ヒートシール強度の測定方法を説明するための模式図である。 ヒートシール強度の測定方法を説明するための模式図である。
 本開示の蓄電デバイス用外装材は、少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成され、示差走査熱量計を用いて融着性樹脂層について測定されるDSC曲線は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、インデンテーション法に基づき、測定温度110℃において、蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下であることを特徴とする。本開示の蓄電デバイス用外装材は、当該構成を備えることにより、蓄電デバイスが高温(例えば110℃程度)になるまでは、蓄電デバイス素子を好適に密封でき、かつ蓄電デバイス内部で発生したガスを放出したい温度(例えば120℃程度)においては、蓄電デバイス用外装材を開封させることが出来る。さらに、熱融着性樹脂層4の110℃における前記マルテンス硬さがこの範囲に設定されていることにより、熱融着性樹脂層4の製膜時のトラブル(具体的には、高温の熱融着性樹脂層4が冷却ロール(チルロール)に密着して剥がれにくくなり冷却工程が阻害されるというトラブル)が生じ難くなるという効果も発揮することができる。
 以下、本開示の蓄電デバイス用外装材について詳述する。なお、本開示において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
 なお、蓄電デバイス用外装材において、後述のバリア層3については、通常、その製造過程におけるMD(Machine Direction)とTD(Transverse Direction)を判別することができる。例えば、バリア層3がアルミニウム合金箔やステンレス鋼箔等の金属箔により構成されている場合、金属箔の圧延方向(RD:Rolling Direction)には、金属箔の表面に、いわゆる圧延痕と呼ばれる線状の筋が形成されている。圧延痕は、圧延方向に沿って伸びているため、金属箔の表面を観察することによって、金属箔の圧延方向を把握することができる。また、積層体の製造過程においては、通常、積層体のMDと、金属箔のRDとが一致するため、積層体の金属箔の表面を観察し、金属箔の圧延方向(RD)を特定することにより、積層体のMDを特定することができる。また、積層体のTDは、積層体のMDとは垂直方向であるため、積層体のTDについても特定することができる。
 また、アルミニウム合金箔やステンレス鋼箔等の金属箔の圧延痕により蓄電デバイス用外装材のMDが特定できない場合は、次の方法により特定することができる。蓄電デバイス用外装材のMDの確認方法として、蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層の断面を電子顕微鏡で観察し海島構造を確認する方法がある。当該方法では、熱融着性樹脂層の厚み方向に対して垂直な方向の島の形状の径の平均が最大であった断面と平行な方向をMDと判断することができる。具体的には、熱融着性樹脂層の長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面に対して垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ、電子顕微鏡写真で観察して海島構造を確認する。次に、各断面において、それぞれ、個々の島の形状を観察する。個々の島の形状について、熱融着性樹脂層の厚み方向に対して垂直方向の最左端と、当該垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとする。各断面において、島の形状の当該径yが大きい順に上位20個の径yの平均を算出する。島の形状の当該径yの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。
1.蓄電デバイス用外装材の積層構造と物性
 本開示の蓄電デバイス用外装材10は、例えば図1から図3に示すように、少なくとも、基材層1、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体から構成されている。蓄電デバイス用外装材10において、基材層1が最外層側になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。蓄電デバイス用外装材10と蓄電デバイス素子を用いて蓄電デバイスを組み立てる際に、蓄電デバイス用外装材10の熱融着性樹脂層4同士を対向させた状態で、周縁部を熱融着させることによって形成された空間に、蓄電デバイス素子が収容される。本開示の蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体において、バリア層3を基準とし、バリア層3よりも熱融着性樹脂層4側が内側であり、バリア層3よりも基材層1側が外側である。
 蓄電デバイス用外装材10は、例えば図2及び図3に示すように、基材層1とバリア層3との間に、これらの層間の接着性を高めることなどを目的として、必要に応じて接着剤層2を有していてもよい。また、図3に示すように、バリア層3と熱融着性樹脂層4との間に、これらの層間の接着性を高めることなどを目的として、必要に応じて接着層5を有していてもよい。また、図3に示すように、基材層1の外側(熱融着性樹脂層4側とは反対側)には、必要に応じて表面被覆層6などが設けられていてもよい。
 蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、コスト削減、エネルギー密度向上等の観点からは、例えば約210μm以下、約190μm以下、好ましくは約180μm以下、約155μm以下、約120μm以下が挙げられる。また、蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の厚みとしては、蓄電デバイス素子を保護するという蓄電デバイス用外装材の機能を維持する観点からは、好ましくは約35μm以上、約45μm以上、約60μm以上が挙げられる。また、蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の好ましい範囲については、例えば、35~210μm程度、35~190μm程度、35~180μm程度、35~155μm程度、35~120μm程度、45~210μm程度、45~190μm程度、45~180μm程度、45~155μm程度、45~120μm程度、60~210μm程度、60~190μm程度、60~180μm程度、60~155μm程度、60~120μm程度が挙げられ、特に60~155μm程度が好ましい。
 蓄電デバイス用外装材10において、蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、基材層1、必要に応じて設けられる接着剤層2、バリア層3、必要に応じて設けられる接着層5、熱融着性樹脂層4、及び必要に応じて設けられる表面被覆層6の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。具体例としては、本開示の蓄電デバイス用外装材10が、基材層1、接着剤層2、バリア層3、接着層5、及び熱融着性樹脂層4を含む場合、蓄電デバイス用外装材10を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。
 本開示の蓄電デバイス用外装材は、示差走査熱量計を用いて熱融着性樹脂層4について測定されるDSC曲線が、115~130℃の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有する。115℃以上の融解ピーク温度を有することにより、蓄電デバイスが高温になるまでは蓄電デバイス素子を好適に密封できる。また、130℃以下の融解ピーク温度を有することにより、蓄電デバイス内部で発生したガスを放出したい温度において、蓄電デバイス用外装材が開封できる。本開示の発明の効果を好適に発揮する観点から、当該融解ピーク温度は、好ましくは約119℃以上、より好ましくは約120℃以上、さらに好ましくは約121℃以上であり、さらに好ましくは122℃以上、さらに好ましくは125℃以上であり、また、好ましくは約128℃以下である。当該融解ピーク温度の好ましい範囲としては、115~128℃程度、119~130℃程度、119~128℃程度、120~130℃程度、120~128℃程度、121~130℃程度、121~128℃程度、122~130℃程度、122~128℃程度、125~130℃程度、125~128℃程度が挙げられる。融解ピーク温度の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、例えば、熱融着性樹脂層4のDSC曲線の115~130℃の範囲に融解ピーク温度を有し、この範囲外にさらに融解ピーク温度を有していてもよい。本開示の発明の効果をより好適に奏する観点からは、熱融着性樹脂層4のDSC曲線が有する融解ピーク温度は、好ましくは全て145℃以下であり、特に好ましくは全て上記の範囲である。融解ピーク温度の測定方法は、以下の通りである。
(融解ピーク温度の測定)
 蓄電デバイス用外装材から、熱融着性樹脂層を取得して測定サンプルとする。測定サンプルについて、JIS K7121:1987およびJIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法(JIS K7121:2012はJIS K7121:1987の追補1))の規定に準拠して測定されたDSC曲線の融解ピーク温度を確認する。測定は、示差走査熱量計(DSC、例えば、ティー・エイ・インスツルメント製の示差走査熱量計Q200)を用いて行う。
 また、本開示の蓄電デバイス用外装材10は、インデンテーション法に基づき、測定温度(サンプル温度)110℃において、本開示の蓄電デバイス用外装材10の熱融着性樹脂層4側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが8.5~11.0MPaである。本開示の発明の効果をより好適に奏する観点から、当該マルテンス硬さは、好ましくは9.0MPa以上、より好ましくは9.5MPa以上である。同様の観点から、当該マルテンス硬さは、好ましくは10.9MPa以下、より好ましくは10.5MPa以下である。当該マルテンス硬さの好ましい範囲としては、8.5~10.9MPa程度、8.5~10.5MPa程度、9.0~11.0MPa程度、9.0~10.9MPa程度、9.0~10.5MPa程度、9.5~11.0MPa程度、9.5~10.9MPa程度、9.5~10.5MPa程度が挙げられる。110℃におけるマルテンス硬さが上述した範囲であることで、熱により蓄電デバイス内からガスが発生して内圧が上昇し始めた場合であっても、熱融着性樹脂層が動きにくく、予期しない温度で開封することを防ぐことができ、例えば蓄電デバイスの製造工程におけるベーキング工程での加熱によって発生するガスにより、蓄電デバイス用外装材が開封してしまうことを好適に防ぐことができる。また、110℃におけるマルテンス硬さが上述した範囲であることで、熱により蓄電デバイス内からガスが発生して内圧が上昇し続ける前に蓄電デバイス用外装材を開封させることができ、例えば蓄電デバイスが昇温し続けた結果として破裂・炎上することを、蓄電デバイス用外装材が開封することで発生したガスを放出することで防ぐことができる。さらに、熱融着性樹脂層4の110℃における前記マルテンス硬さがこの範囲に設定されていることにより、熱融着性樹脂層4の製膜時のトラブル(具体的には、高温の熱融着性樹脂層4が冷却ロール(チルロール)に密着して剥がれにくくなり冷却工程が阻害されるというトラブル)が生じ難くなるという効果も発揮することができる。当該マルテンス硬さの測定方法は、以下の通りである。
(マルテンス硬さの測定)
 インデンテーション法に基づき、測定温度(サンプル温度)110℃において、蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで、マルテンス硬さを測定する。測定条件は以下の通りである。マルテンス硬さは、ビッカース圧子の押し込みによって得られた荷重-変位曲線から算出する。測定値としては、熱融着性樹脂層側の表面10か所について求めた平均を採用する。マルテンス硬さは、ビッカース圧子の最大押し込み深さにおける圧子の表面積A(mm2)を計算し、表面積A(mm2)で最大荷重F(N)を割る(F/A)ことで求められる。測定装置としては、例えば、フィッシャーインストルメンツ社製のピコデンターHM-500を用いる。例えば両面粘着テープを取り付けたスライドガラス(76mm×26mm×1mm)の片面に、熱融着性樹脂層側がスライドガラスの反対側となるように蓄電デバイス用外装材を接着し、測定サンプルとする。次に、ビッカース圧子を取り付けた超微小硬度計に加熱ステージを設置し、ステージ温度を120℃に設定してサンプルを5分加熱する。次に測定サンプルの熱融着性樹脂層側の表面について、表面硬度を測定する。表面硬度の測定値は、小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁に揃える。
<測定条件>
・圧子:ビッカース(四角錐の先端部分の対面角136°)
・測定温度(サンプル温度):110℃
・ステージ温度:120℃(サンプル温度が110℃になる温度)
・速度:1.000μm/10秒
・測定深さ:1.0μm
・保持時間:5秒
・押し込みから戻す速度:1.000μm/10秒
 本開示において、熱融着性樹脂層の110℃における前記マルテンス硬さは、樹脂の種類、製膜時の温度条件などによって調整することができる。例えば、熱融着性樹脂層4の製膜温度が高くなると、樹脂が分解して熱融着性樹脂層の110℃でのマルテンス硬さは低くなる傾向にあり、熱融着性樹脂層4の製膜温度が低くなると、樹脂の分解が抑制されて熱融着性樹脂層の110℃でのマルテンス硬さは高くなる傾向にある。
 本開示の発明の効果をより好適に奏する観点から、本開示の蓄電デバイス用外装材は、後述のヒートシール強度の測定において、測定温度が25℃である場合のヒートシール強度は、好ましくは約70N/15mm以上、より好ましくは約80N/15mm以上、さらに好ましくは約90N/15mm以上である。また、同様の観点から、当該ヒートシール強度は、好ましくは約150N/15mm以下、より好ましくは約140N/15mm以下、さらに好ましくは約130N/15mm以下である。当該ヒートシール強度の好ましい範囲としては、70~150N/15mm程度、70~140N/15mm程度、70~130N/15mm程度、80~150N/15mm程度、80~140N/15mm程度、80~130N/15mm程度、90~150N/15mm程度、90~140N/15mm程度、90~130N/15mm程度である。
 本開示の発明の効果をより好適に奏する観点から、本開示の蓄電デバイス用外装材は、後述のヒートシール強度の測定において、測定温度が100℃である場合のヒートシール強度は、好ましくは約50N/15mm以上、より好ましくは約60N/15mm以上、さらに好ましくは約70N/15mm以上である。また、同様の観点から、当該ヒートシール強度は、好ましくは約100N/15mm以下、より好ましくは約90N/15mm以下である。当該ヒートシール強度の好ましい範囲としては、50~100N/15mm程度、50~90N/15mm程度、60~100N/15mm程度、60~90N/15mm程度、70~100N/15mm程度、70~90N/15mm程度である。
 また、本開示の発明の効果をより好適に奏する観点から、本開示の蓄電デバイス用外装材は、後述のヒートシール強度の測定において、測定温度が110℃である場合のヒートシール強度は、好ましくは約35N/15mm以上、より好ましくは約40N/15mm以上、さらに好ましくは約50N/15mm以上である。また、同様の観点から、当該ヒートシール強度は、好ましくは約80N/15mm以下、より好ましくは約75N/15mm以下、さらに好ましくは約70N/15mm以下である。当該ヒートシール強度の好ましい範囲としては、35~80N/15mm程度、35~75N/15mm程度、35~70N/15mm程度、40~80N/15mm程度、40~75N/15mm程度、40~70N/15mm程度、50~80N/15mm程度、50~75N/15mm程度、50~70N/15mm程度である。
 また、本開示の発明の効果をより好適に奏する観点から、本開示の蓄電デバイス用外装材は、後述のヒートシール強度の測定において、測定温度が120℃である場合のヒートシール強度は、好ましくは約20N/15mm以下、より好ましくは約10N/15mm以下である。
 なお、ポリプロピレンはせん断熱等の熱がかかった際に分解しやすい。分解が進んだポリプロピレンは、高温(例えば100℃以上)において急激なヒートシール強度低下が起こることを見出した。蓄電デバイスの開封現象については、各温度における蓄電デバイス用外装材のヒートシール強度で説明することができ、蓄電デバイスの開封を抑制するためには、蓄電デバイス用外装材が30N/15mm以上のヒートシール強度(例えば110℃以下におけるヒートシール強度であり、例えば25℃、100℃、110℃)を有することが望ましい。一方、蓄電デバイス用外装材が熱暴走した際には、爆発防止の観点から、蓄電デバイス用外装材は開封することが好ましく、蓄電デバイス用外装材の120℃におけるヒートシール強度が20N/15mm以下であることが望ましい。
 ヒートシール強度の測定方法は、以下の通りである。
(ヒートシール強度の測定)
 JIS K7127:1999の規定に準拠して、各測定温度(サンプル温度)(例えば、25℃、100℃、110℃、120℃にて、それぞれ、ヒートシール強度を測定する。試験片として、TDの方向の幅が15mmの短冊状に裁断した蓄電デバイス用外装材を準備する。具体的には、図5に示すように、まず、蓄電デバイス用外装材を60mm(TDの方向)×200mm(MDの方向)に裁断する(図5a)。次に、熱融着性樹脂層同士が対向するようにして、蓄電デバイス用外装材を折り目P(MDの方向の中間)の位置でMDの方向に2つ折りにする(図5b)。折り目Pから10mm程度MDの方向に内側において、シール幅7mm、温度190℃、面圧1.0MPa、3秒間の条件で熱融着性樹脂層同士をヒートシールする(図5c)。図5cにおいて、斜線部Sがヒートシールされている部分である。次に、TDの方向の幅が15mmとなるようにして、MDの方向に裁断(図5dの二点鎖線の位置で裁断)して測定サンプルを得る(図5e)。次に、測定サンプル13を各測定温度で2分間放置し、各測定温度環境において、引張り試験機(例えば、島津製作所製、AG-Xplus(商品名))でヒートシール部(熱融着部)の熱融着性樹脂層を300mm/分の速度で剥離させる(図6)。剥離時の最大強度をヒートシール強度(N/15mm)とする。チャック間距離は、50mmである。具体例は実施例に示す。
2.蓄電デバイス用外装材を形成する各層
[基材層1]
 本開示において、基材層1は、蓄電デバイス用外装材の基材としての機能を発揮させることなどを目的として設けられる層である。基材層1は、蓄電デバイス用外装材の外層側に位置する。
 基材層1を形成する素材については、基材としての機能、すなわち少なくとも絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されない。基材層1は、例えば樹脂を用いて形成することができ、樹脂には後述の添加剤が含まれていてもよい。
 基材層1が樹脂により形成されている場合、基材層1は、例えば、樹脂フィルムにより形成することができる。基材層1を樹脂フィルムにより形成する場合、基材層1をバリア層3などと積層して本開示の蓄電デバイス用外装材10を製造する際に、予め形成された樹脂フィルムを基材層1として用いてもよい。また、基材層1を形成する樹脂を、押出成形や塗布などによってバリア層3などの表面上でフィルム化して、樹脂フィルムにより形成された基材層1としてもよい。樹脂フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムが挙げられ、二軸延伸フィルムが好ましい。二軸延伸フィルムを形成する延伸方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、インフレーション法、同時二軸延伸法等が挙げられる。樹脂を塗布する方法としては、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、押出コーティング法などが挙げられる。
 基材層1を形成する樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂などの樹脂や、これらの樹脂の変性物が挙げられる。また、基材層1を形成する樹脂は、これらの樹脂の共重合物であってもよいし、共重合物の変性物であってもよい。さらに、これらの樹脂の混合物であってもよい。
 基材層1は、これらの樹脂を主成分として含んでいることが好ましく、ポリエステル又はポリアミドを主成分として含んでいることがより好ましい。ここで、主成分とは、基材層1に含まれる樹脂成分のうち、含有率が、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上の樹脂成分であることを意味する。例えば、基材層1がポリエステル又はポリアミドを主成分として含むとは、基材層1に含まれる樹脂成分のうち、ポリエステル又はポリアミドの含有率が、それぞれ、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であることを意味する。
 基材層1を形成する樹脂としては、これらの中でも、好ましくはポリエステル、ポリアミドが挙げられる。
 ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等が挙げられる。また、共重合ポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミドPACM6(ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンアジパミド)等の脂環式ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等のポリアミドが挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 基材層1は、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、及びポリオレフィンフィルムのうち少なくとも1つを含むことが好ましく、延伸ポリエステルフィルム、及び延伸ポリアミドフィルム、及び延伸ポリオレフィンフィルムのうち少なくとも1つを含むことが好ましく、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルムのうち少なくとも1つを含むことがさらに好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムのうち少なくとも1つを含むことがさらに好ましい。
 基材層1は、単層であってもよいし、2層以上により構成されていてもよい。基材層1が2層以上により構成されている場合、基材層1は、樹脂フィルムを接着剤などで積層させた積層体であってもよいし、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体であってもよい。また、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体を、未延伸のまま基材層1としてもよいし、一軸延伸または二軸延伸して基材層1としてもよい。
 基材層1において、2層以上の樹脂フィルムの積層体の具体例としては、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとの積層体、2層以上のナイロンフィルムの積層体、2層以上のポリエステルフィルムの積層体などが挙げられ、好ましくは、延伸ナイロンフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの積層体、2層以上の延伸ナイロンフィルムの積層体、2層以上の延伸ポリエステルフィルムの積層体が好ましい。例えば、基材層1が2層の樹脂フィルムの積層体である場合、ポリエステル樹脂フィルムとポリエステル樹脂フィルムの積層体、ポリアミド樹脂フィルムとポリアミド樹脂フィルムの積層体、またはポリエステル樹脂フィルムとポリアミド樹脂フィルムの積層体が好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体、ナイロンフィルムとナイロンフィルムの積層体、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムの積層体がより好ましい。また、ポリエステル樹脂は、例えば電解液が表面に付着した際に変色し難いことなどから、基材層1が2層以上の樹脂フィルムの積層体である場合、ポリエステル樹脂フィルムが基材層1の最外層に位置することが好ましい。
 基材層1が、2層以上の樹脂フィルムの積層体である場合、2層以上の樹脂フィルムは、接着剤を介して積層させてもよい。好ましい接着剤については、後述の接着剤層2で例示する接着剤と同様のものが挙げられる。なお、2層以上の樹脂フィルムを積層させる方法としては、特に制限されず、公知方法が採用でき、例えばドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、押出ラミネート法、サーマルラミネート法などが挙げられ、好ましくはドライラミネート法が挙げられる。ドライラミネート法により積層させる場合には、接着剤としてポリウレタン接着剤を用いることが好ましい。このとき、接着剤の厚みとしては、例えば2~5μm程度が挙げられる。また、樹脂フィルムにアンカーコート層を形成し積層させても良い。アンカーコート層は、後述の接着剤層2で例示する接着剤と同様のものが挙げられる。このとき、アンカーコート層の厚みとしては、例えば0.01~1.0μm程度が挙げられる。
 また、基材層1の表面及び内部の少なくとも一方には、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、耐電防止剤等の添加剤が存在していてもよい。添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
 本開示において、蓄電デバイス用外装材の成形性を高める観点からは、基材層1の表面及び内部の少なくとも一方には、滑剤が存在していることが好ましい。滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミド、芳香族ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族ビスアミドの具体例としては、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよく、2種類以上を組み合わせることが好ましい。
 基材層1の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、例えば約3mg/m2以上、好ましくは約4mg/m2以上、約5mg/m2以上が挙げられる。また、基材層1の表面に存在する滑剤量としては、例えば約15mg/m2以下、好ましくは約14mg/m2以下、約10mg/m2以下が挙げられる。また、基材層1の表面に存在する滑剤量の好ましい範囲としては、3~15mg/m2程度、3~14mg/m2程度、3~10mg/m2程度、4~15mg/m2程度、4~14mg/m2程度、4~10mg/m2程度、5~15mg/m2程度、5~14mg/m2程度、5~10mg/m2程度が挙げられる。
 基材層1の表面に存在する滑剤は、基材層1を構成する樹脂に含まれる滑剤を滲出させたものであってもよいし、基材層1の表面に滑剤を塗布したものであってもよい。
 基材層1の厚みについては、基材としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば約3μm以上、好ましくは約10μm以上が挙げられる。また、基材層1の厚みとしては、例えば約50μm以下、好ましくは約35μm以下、11μm以下、8μm以下が挙げられる。また、基材層1の厚みの好ましい範囲としては、3~50μm程度、3~35μm程度、3~11μm程度、3~8μm程度、10~50μm程度、10~35μm程度が挙げられ、特に蓄電デバイスを軽量薄膜化する場合には3~35μm程度、3~11μm程度、3~8μm程度が好ましく、成形性を向上させる場合には35~50μm程度が好ましい。基材層1が、2層以上の樹脂フィルムの積層体である場合、各層を構成している樹脂フィルムの厚みとしては、特に制限されないが、それぞれ、例えば約2μm以上、好ましくは約10μm以上、約18μm以上が挙げられる。また、各層を構成している樹脂フィルムの厚みとしては、例えば約33μm以下、好ましくは約28μm以下、約25μm以下、約23μm以下、約18μm以下、11μm以下、8μm以下が挙げられる。また、各層を構成している樹脂フィルムの厚みの好ましい範囲としては、2~33μm程度、2~28μm程度、2~25μm程度、2~23μm程度、2~18μm程度、10~33μm程度、10~28μm程度、10~25μm程度、10~23μm程度、10~18μm程度、18~33μm程度、18~28μm程度、18~25μm程度、18~23μm程度、2~11μm程度、2~8μm程度が挙げられる。
[接着剤層2]
 本開示の蓄電デバイス用外装材において、接着剤層2は、基材層1とバリア層3との接着性を高めることを目的として、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
 接着剤層2は、基材層1とバリア層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層2の形成に使用される接着剤は限定されないが、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。また、2液硬化型接着剤(2液性接着剤)であってもよく、1液硬化型接着剤(1液性接着剤)であってもよく、硬化反応を伴わない樹脂でもよい。また、接着剤層2は単層であってもよいし、多層であってもよい。
 接着剤に含まれる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル;ポリエーテル;ポリウレタン;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド;ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;セルロース;(メタ)アクリル樹脂;ポリイミド;ポリカーボネート;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン接着剤が挙げられる。また、これらの接着成分となる樹脂は適切な硬化剤を併用して接着強度を高めることができる。前記硬化剤は、接着成分の持つ官能基に応じて、ポリイソシアネート、多官能エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有ポリマー、ポリアミン樹脂、酸無水物などから適切なものを選択する。
 ポリウレタン接着剤としては、例えば、ポリオール化合物を含有する第1剤と、イソシアネート化合物を含有する第2剤とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。好ましくはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびアクリルポリオール等のポリオールを第1剤として、芳香族系又は脂肪族系のポリイソシアネートを第2剤とした二液硬化型のポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリウレタン接着剤としては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、イソシアネート化合物とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリウレタン接着剤としては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、ポリオール化合物とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリウレタン接着剤としては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物を、空気中などの水分と反応させることによって硬化させたポリウレタン接着剤が挙げられる。ポリオール化合物としては、繰り返し単位の末端の水酸基に加えて、側鎖にも水酸基を有するポリエステルポリオールを用いることが好ましい。第2剤としては、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族のイソシアネート系化合物が挙げられる。イソシアネート系化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化XDI(H6XDI)、水素化MDI(H12MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等が挙げられる。また、これらのジイソシアネートの1種類又は2種類以上からの多官能イソシアネート変性体等が挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物として多量体(例えば三量体)を使用することもできる。このような多量体には、アダクト体、ビウレット体、ヌレート体等が挙げられる。接着剤層2がポリウレタン接着剤により形成されていることで蓄電デバイス用外装材に優れた電解液耐性が付与され、側面に電解液が付着しても基材層1が剥がれることが抑制される。
 また、接着剤層2は、接着性を阻害しない限り他成分の添加が許容され、着色剤や熱可塑性エラストマー、粘着付与剤、フィラーなどを含有してもよい。接着剤層2が着色剤を含んでいることにより、蓄電デバイス用外装材を着色することができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
 顔料の種類は、接着剤層2の接着性を損なわない範囲であれば、特に限定されない。有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジオキサジン系、インジゴチオインジゴ系、ペリノン-ペリレン系、イソインドレニン系、ベンズイミダゾロン系等の顔料が挙げられ、無機顔料としては、カーボンブラック系、酸化チタン系、カドミウム系、鉛系、酸化クロム系、鉄系等の顔料が挙げられ、その他に、マイカ(雲母)の微粉末、魚鱗箔等が挙げられる。
 着色剤の中でも、例えば蓄電デバイス用外装材の外観を黒色とするためには、カーボンブラックが好ましい。
 顔料の平均粒子径としては、特に制限されず、例えば、0.05~5μm程度、好ましくは0.08~2μm程度が挙げられる。なお、顔料の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定されたメジアン径とする。
 接着剤層2における顔料の含有量としては、蓄電デバイス用外装材が着色されれば特に制限されず、例えば5~60質量%程度、好ましくは10~40質量%が挙げられる。
 接着剤層2の厚みは、基材層1とバリア層3とを接着できれば、特に制限されないが、例えば、約1μm以上、約2μm以上である。また、接着剤層2の厚みは、例えば、約10μm以下、約5μm以下である。また、接着剤層2の厚みの好ましい範囲については、1~10μm程度、1~5μm程度、2~10μm程度、2~5μm程度が挙げられる。
[着色層]
 着色層は、基材層1とバリア層3との間に必要に応じて設けられる層である(図示を省略する)。接着剤層2を有する場合には、基材層1と接着剤層2との間、接着剤層2とバリア層3との間に着色層を設けてもよい。また、基材層1の外側に着色層を設けてもよい。着色層を設けることにより、蓄電デバイス用外装材を着色することができる。
 着色層は、例えば、着色剤を含むインキを基材層1の表面、またはバリア層3の表面に塗布することにより形成することができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
 着色層に含まれる着色剤の具体例としては、[接着剤層2]の欄で例示したものと同じものが例示される。
[バリア層3]
 蓄電デバイス用外装材において、バリア層3は、少なくとも水分の浸入を抑止する層である。
 バリア層3としては、例えば、バリア性を有する金属箔、蒸着膜、樹脂層などが挙げられる。蒸着膜としては金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜などが挙げられ、樹脂層としてはポリ塩化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)を主成分としたポリマー類やテトラフルオロエチレン(TFE)を主成分としたポリマー類やフルオロアルキル基を有するポリマー、およびフルオロアルキル単位を主成分としたポリマー類などのフッ素含有樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体などが挙げられる。また、バリア層3としては、これらの蒸着膜及び樹脂層の少なくとも1層を設けた樹脂フィルムなども挙げられる。バリア層3は、複数層設けてもよい。バリア層3は、金属材料により構成された層を含むことが好ましい。バリア層3を構成する金属材料としては、具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン鋼、鋼板などが挙げられ、金属箔として用いる場合は、アルミニウム合金箔及びステンレス鋼箔の少なくとも一方を含むことが好ましい。
 アルミニウム合金箔は、蓄電デバイス用外装材の成形性を向上させる観点から、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム合金などにより構成された軟質アルミニウム合金箔であることがより好ましく、より成形性を向上させる観点から、鉄を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。鉄を含むアルミニウム合金箔(100質量%)において、鉄の含有量は、0.1~9.0質量%であることが好ましく、0.5~2.0質量%であることがより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた成形性を有する蓄電デバイス用外装材を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた蓄電デバイス用外装材を得ることができる。軟質アルミニウム合金箔としては、例えば、JIS H4160:1994 A8021H-O、JIS H4160:1994 A8079H-O、JIS H4000:2014 A8021P-O、又はJIS H4000:2014 A8079P-Oで規定される組成を備えるアルミニウム合金箔が挙げられる。また必要に応じて、ケイ素、マグネシウム、銅、マンガンなどが添加されていてもよい。また軟質化は焼鈍処理などで行うことができる。
 また、ステンレス鋼箔としては、オーステナイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系のステンレス鋼箔などが挙げられる。さらに成形性に優れた蓄電デバイス用外装材を提供する観点から、ステンレス鋼箔は、オーステナイト系のステンレス鋼により構成されていることが好ましい。
 ステンレス鋼箔を構成するオーステナイト系のステンレス鋼の具体例としては、SUS304、SUS301、SUS316Lなどが挙げられ、これら中でも、SUS304が特に好ましい。
 バリア層3の厚みは、金属箔の場合、少なくとも水分の浸入を抑止するバリア層としての機能を発揮すればよく、例えば9~200μm程度が挙げられる。バリア層3の厚みは、好ましくは約85μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約40μm以下、特に好ましくは約35μm以下である。また、バリア層3の厚みは、好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上、より好ましくは約25μm以上である。また、バリア層3の厚みの好ましい範囲としては、10~85μm程度、10~50μm程度、10~40μm程度、10~35μm程度、20~85μm程度、20~50μm程度、20~40μm程度、20~35μm程度、25~85μm程度、25~50μm程度、25~40μm程度、25~35μm程度が挙げられる。バリア層3がアルミニウム合金箔により構成されている場合、上述した範囲が特に好ましい。また、バリア層3がアルミニウム合金箔により構成されている場合において、蓄電デバイス用外装材10に高成形性及び高剛性を付与する観点からは、バリア層3の厚みは、好ましくは約45μm以上、さらに好ましくは約50μm以上、より好ましくは約55μm以上であり、好ましくは約85μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは70μm以下であり、好ましい範囲としては、45~85μm程度、45~75μm程度、45~70μm程度、50~85μm程度、50~75μm程度、50~70μm程度、55~85μm程度、55~75μm程度、55~70μm程度である。蓄電デバイス用外装材10が高成形性を備えることにより、深絞り成形が容易となり、蓄電デバイスの高容量化に寄与し得る。また、蓄電デバイスが高容量化されると、蓄電デバイスの重量が増加するが、蓄電デバイス用外装材10の剛性が高められることにより、蓄電デバイスの高い密封性に寄与できる。また、特に、バリア層3がステンレス鋼箔により構成されている場合、ステンレス鋼箔の厚みは、好ましくは約60μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約40μm以下、さらに好ましくは約30μm以下、特に好ましくは約25μm以下である。また、ステンレス鋼箔の厚みは、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約15μm以上である。また、ステンレス鋼箔の厚みの好ましい範囲としては、10~60μm程度、10~50μm程度、10~40μm程度、10~30μm程度、10~25μm程度、15~60μm程度、15~50μm程度、15~40μm程度、15~30μm程度、15~25μm程度が挙げられる。
 また、バリア層3が金属箔の場合は、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも基材層と反対側の面に耐腐食性皮膜を備えていることが好ましい。バリア層3は、耐腐食性皮膜を両面に備えていてもよい。ここで、耐腐食性皮膜とは、例えば、ベーマイト処理などの熱水変成処理、化成処理、陽極酸化処理、ニッケルやクロムなどのメッキ処理、コーティング剤を塗工する腐食防止処理をバリア層の表面に行い、バリア層に耐腐食性(例えば耐酸性、耐アルカリ性など)を備えさせる薄膜をいう。耐腐食性皮膜は、具体的には、バリア層の耐酸性を向上させる皮膜(耐酸性皮膜)、バリア層の耐アルカリ性を向上させる皮膜(耐アルカリ性皮膜)などを意味している。耐腐食性皮膜を形成する処理としては、1種類を行ってもよいし、2種類以上を組み合わせて行ってもよい。また、1層だけではなく多層化することもできる。さらに、これらの処理のうち、熱水変成処理及び陽極酸化処理は、処理剤によって金属箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れる金属化合物を形成させる処理である。なお、これらの処理は、化成処理の定義に包含される場合もある。また、バリア層3が耐腐食性皮膜を備えている場合、耐腐食性皮膜を含めてバリア層3とする。
 耐腐食性皮膜は、蓄電デバイス用外装材の成形時において、バリア層(例えば、アルミニウム合金箔)と基材層との間のデラミネーション防止、電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、バリア層表面の溶解、腐食、特にバリア層がアルミニウム合金箔である場合にバリア層表面に存在する酸化アルミニウムが溶解、腐食することを防止し、かつ、バリア層表面の接着性(濡れ性)を向上させ、ヒートシール時の基材層とバリア層とのデラミネーション防止、成形時の基材層とバリア層とのデラミネーション防止の効果を示す。
 化成処理によって形成される耐腐食性皮膜としては、種々のものが知られており、主には、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物、及び希土類酸化物のうち少なくとも1種を含む耐腐食性皮膜などが挙げられる。リン酸塩、クロム酸塩を用いた化成処理としては、例えば、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、リン酸-クロム酸塩処理、クロム酸塩処理などが挙げられ、これらの処理に用いるクロム化合物としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどが挙げられる。また、これらの処理に用いるリン化合物としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などが挙げられる。また、クロメート処理としてはエッチングクロメート処理、電解クロメート処理、塗布型クロメート処理などが挙げられ、塗布型クロメート処理が好ましい。この塗布型クロメート処理は、バリア層(例えばアルミニウム合金箔)の少なくとも内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後、脱脂処理面にリン酸Cr(クロム)塩、リン酸Ti(チタン)塩、リン酸Zr(ジルコニウム)塩、リン酸Zn(亜鉛)塩などのリン酸金属塩及びこれらの金属塩の混合体を主成分とする処理液、または、リン酸非金属塩及びこれらの非金属塩の混合体を主成分とする処理液、あるいは、これらと合成樹脂などとの混合物からなる処理液をロールコート法、グラビア印刷法、浸漬法等の周知の塗工法で塗工し、乾燥する処理である。処理液は例えば、水、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤など各種溶媒を用いることができ、水が好ましい。また、このとき用いる樹脂成分としては、フェノール系樹脂やアクリル系樹脂などの高分子などが挙げられ、下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。アクリル系樹脂は、ポリアクリル酸、アクリル酸メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸マレイン酸共重合体、アクリル酸スチレン共重合体、またはこれらのナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等の誘導体であることが好ましい。特にポリアクリル酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、又はアミン塩等のポリアクリル酸の誘導体が好ましい。本開示において、ポリアクリル酸とは、アクリル酸の重合体を意味している。また、アクリル系樹脂は、アクリル酸とジカルボン酸又はジカルボン酸無水物との共重合体であることも好ましく、アクリル酸とジカルボン酸又はジカルボン酸無水物との共重合体のアンモニウム塩、ナトリウム塩、又はアミン塩であることも好ましい。アクリル系樹脂は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
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 一般式(1)~(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基またはベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシ基、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)~(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などの炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)~(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)~(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシ基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500~100万程度であることが好ましく、1000~2万程度であることがより好ましい。アミノ化フェノール重合体は、例えば、フェノール化合物又はナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して上記一般式(1)又は一般式(3)で表される繰返し単位からなる重合体を製造し、次いでホルムアルデヒド及びアミン(R12NH)を用いて官能基(-CH2NR12)を上記で得られた重合体に導入することにより、製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
 耐腐食性皮膜の他の例としては、希土類元素酸化物ゾル、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理によって形成される薄膜が挙げられる。コーティング剤には、さらにリン酸またはリン酸塩、ポリマーを架橋させる架橋剤を含んでもよい。希土類元素酸化物ゾルには、液体分散媒中に希土類元素酸化物の微粒子(例えば、平均粒径100nm以下の粒子)が分散されている。希土類元素酸化物としては、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン等が挙げられ、密着性をより向上させる観点から酸化セリウムが好ましい。耐腐食性皮膜に含まれる希土類元素酸化物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。希土類元素酸化物ゾルの液体分散媒としては、例えば、水、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤など各種溶媒を用いることができ、水が好ましい。カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノ化フェノールなどが好ましい。また、アニオン性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を主成分とする共重合体であることが好ましい。また、架橋剤が、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、前記リン酸またはリン酸塩が、縮合リン酸または縮合リン酸塩であることが好ましい。
 耐腐食性皮膜の一例としては、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをバリア層の表面に塗布し、150℃以上で焼付け処理を行うことにより形成したものが挙げられる。
 耐腐食性皮膜は、必要に応じて、さらにカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの少なくとも一方を積層した積層構造としてもよい。カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマーとしては、上述したものが挙げられる。
 なお、耐腐食性皮膜の組成の分析は、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析法を用いて行うことができる。
 化成処理においてバリア層3の表面に形成させる耐腐食性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、塗布型クロメート処理を行う場合であれば、バリア層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で例えば0.5~50mg程度、好ましくは1.0~40mg程度、リン化合物がリン換算で例えば0.5~50mg程度、好ましくは1.0~40mg程度、及びアミノ化フェノール重合体が例えば1.0~200mg程度、好ましくは5.0~150mg程度の割合で含有されていることが望ましい。
 耐腐食性皮膜の厚みとしては、特に制限されないが、皮膜の凝集力や、バリア層や熱融着性樹脂層との密着力の観点から、好ましくは1nm~20μm程度、より好ましくは1nm~100nm程度、さらに好ましくは1nm~50nm程度が挙げられる。なお、耐腐食性皮膜の厚みは、透過電子顕微鏡による観察、または、透過電子顕微鏡による観察と、エネルギー分散型X線分光法もしくは電子線エネルギー損失分光法との組み合わせによって測定することができる。飛行時間型2次イオン質量分析法を用いた耐腐食性皮膜の組成の分析により、例えば、CeとPとOからなる2次イオン(例えば、Ce2PO4 +、CePO4 -などの少なくとも1種)や、例えば、CrとPとOからなる2次イオン(例えば、CrPO2 +、CrPO4 -などの少なくとも1種)に由来するピークが検出される。
 化成処理は、耐腐食性皮膜の形成に使用される化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、バリア層の表面に塗布した後に、バリア層の温度が70~200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、バリア層に化成処理を施す前に、予めバリア層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、バリア層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。また、脱脂処理にフッ素含有化合物を無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、金属箔の脱脂効果だけでなく不動態である金属のフッ化物を形成させることが可能であり、このような場合には脱脂処理だけを行ってもよい。
[熱融着性樹脂層4]
 本開示の蓄電デバイス用外装材において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、蓄電デバイスの組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して蓄電デバイス素子を密封する機能を発揮する層(シーラント層)である。
 前記「1.蓄電デバイス用外装材の積層構造と物性」の欄の通り、本開示の蓄電デバイス用外装材は、示差走査熱量計を用いて熱融着性樹脂層4について測定されるDSC曲線は、115~130℃の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有する。熱融着性樹脂層4のDSC曲線における融解ピーク温度に関する詳しい説明は、前記の通りである。
 熱融着性樹脂層4を構成している樹脂については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン骨格を含む樹脂が好ましい。熱融着性樹脂層4を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能である。また、熱融着性樹脂層4を構成している樹脂を赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出されることが好ましい。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。熱融着性樹脂層4が無水マレイン酸変性ポリオレフィンにより構成された層である場合、赤外分光法にて測定すると、無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
 ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;プロピレン-αオレフィン共重合体;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンが好ましい。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
 また、ポリオレフィンは、環状ポリオレフィンであってもよい。環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。
 酸変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィンを酸成分でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。酸変性されるポリオレフィンとしては、前記のポリオレフィンや、前記のポリオレフィンにアクリル酸若しくはメタクリル酸等の極性分子を共重合させた共重合体、又は、架橋ポリオレフィン等の重合体等も使用できる。また、酸変性に使用される酸成分としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸またはその無水物が挙げられる。
 酸変性ポリオレフィンは、酸変性環状ポリオレフィンであってもよい。酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、酸成分に代えて共重合することにより、または環状ポリオレフィンに対して酸成分をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、酸変性に使用される酸成分としては、前記のポリオレフィンの変性に使用される酸成分と同様である。
 好ましい酸変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィン、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
 熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。成膜加工の安定性や絶縁性を考慮すると熱融着性樹脂層4にはMFRが低い樹脂を用いることが好ましいが、MFRの低い樹脂は加工時にせん断がかかりやすく、熱分解がおこりやすい。そのため、物性が不安定になりやすい。一方、熱融着性樹脂層4にMFRの高い樹脂を用いると加工時にせん断がかかりにくいため発熱しにくく、熱分解がおこりにくい。そのため、物性が安定しており、高温での流動性が高いので所望の温度で開封しやすい。熱融着性樹脂層4にMFRの低い樹脂と高い樹脂を組み合わせブレンドした樹脂を用いることで、絶縁性を保ちつつ、蓄電デバイスが高温(例えば110℃程度)になるまで、蓄電デバイス用外装材によって密封され、かつ蓄電デバイス内部で発生したガスを放出したい温度(例えば120℃程度)においては、蓄電デバイス用外装材が開封する、蓄電デバイス用外装材を調整することができる。さらに、熱融着性樹脂層4は、1層のみで形成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂によって2層以上で形成されていてもよい。
 また、熱融着性樹脂層4は、必要に応じて滑剤などを含んでいてもよい。熱融着性樹脂層4が滑剤を含む場合、蓄電デバイス用外装材の成形性を高め得る。滑剤としては、特に制限されず、公知の滑剤を用いることができる。滑剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。滑剤の具体例としては、基材層1で例示したものが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよく、2種類以上を組み合わせることが好ましい。
 本開示において、蓄電デバイス用外装材の成形性を高める観点からは、熱融着性樹脂層4の表面及び内部の少なくとも一方には、滑剤が存在していることが好ましい。滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミド、芳香族ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族ビスアミドの具体例としては、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよく、2種類以上を組み合わせることが好ましい。
 熱融着性樹脂層4の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、蓄電デバイス用外装材の成形性を高める観点からは、好ましくは約1mg/m2以上、より好ましくは約3mg/m2以上、さらに好ましくは約5mg/m2以上、さらに好ましくは約10mg/m2以上、さらに好ましくは約15mg/m2以上であり、また、好ましくは約50mg/m2以下、さらに好ましくは約40mg/m2以下であり、好ましい範囲としては、1~50mg/m2程度、1~40mg/m2程度、3~50mg/m2程度、3~40mg/m2程度、5~50mg/m2程度、5~40mg/m2程度、10~50mg/m2程度、10~40mg/m2程度、15~50mg/m2程度、15~40mg/m2程度が挙げられる。
 熱融着性樹脂層4の内部に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、蓄電デバイス用外装材の成形性を高める観点からは、好ましくは約100ppm以上、より好ましくは約300ppm以上、さらに好ましくは約500ppm以上であり、また、好ましくは約3000ppm以下、より好ましくは約2000ppm以下であり、好ましい範囲としては、100~3000ppm程度、100~2000ppm程度、300~3000ppm程度、300~2000ppm程度、500~3000ppm程度、500~2000ppm程度が挙げられる。熱融着性樹脂層4の内部に滑剤が2種類以上存在する場合、上記の滑剤量は合計滑剤量である。また、熱融着性樹脂層4の内部に滑剤が2種類以上存在する場合、1種類目の滑剤の存在量は、特に制限されないが、蓄電デバイス用外装材の成形性を高める観点からは、好ましくは約100ppm以上、より好ましくは約300ppm以上、さらに好ましくは約500ppm以上であり、また、好ましくは約3000ppm以下、より好ましくは約2000ppm以下であり、好ましい範囲としては、100~3000ppm程度、100~2000ppm程度、300~3000ppm程度、300~2000ppm程度、500~3000ppm程度、500~2000ppm程度が挙げられる。2種類目の滑剤の存在量は、特に制限されないが、蓄電デバイス用外装材の成形性を高める観点からは、好ましくは約50ppm以上、より好ましくは約100ppm以上、さらに好ましくは約200ppm以上であり、また、好ましくは約1500ppm以下、より好ましくは約1000ppm以下であり、好ましい範囲としては、50~1500ppm程度、50~1000ppm程度、100~1500ppm程度、100~1000ppm程度、200~1500ppm程度、200~1000ppm程度が挙げられる。
 熱融着性樹脂層4の表面に存在する滑剤は、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂に含まれる滑剤を滲出させたものであってもよいし、熱融着性樹脂層4の表面に滑剤を塗布したものであってもよい。
 また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、熱融着性樹脂層同士が熱融着して蓄電デバイス素子を密封する機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば約100μm以下、好ましくは約85μm以下、より好ましくは15~85μm程度が挙げられる。なお、例えば、後述の接着層5の厚みが10μm以上である場合には、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、好ましくは約85μm以下、より好ましくは15~45μm程度が挙げられ、例えば後述の接着層5の厚みが10μm未満である場合や接着層5が設けられていない場合には、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、好ましくは約20μm以上、より好ましくは35~85μm程度が挙げられる。
[接着層5]
 本開示の蓄電デバイス用外装材において、接着層5は、バリア層3(又は耐腐食性皮膜)と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
 本開示の発明の効果をより好適に奏する観点から、接着層5に観察される融解ピーク温度は、好ましくは約120℃以上、より好ましくは約130℃以上、より好ましくは約140℃以上、さらに好ましくは約150℃以上であり、また、好ましくは約170℃以下、より好ましくは150℃以下であり、当該融解ピークの好ましい範囲としては、120~170℃程度、120~150℃程度、130~170℃程度、130~150℃程度、140~170℃程度、140~150℃程度、150~170℃程度である。融解ピーク温度の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、接着層5には、120~170℃の範囲外の融解ピーク温度が観察されてもよい。ただし、本開示の発明の効果をより好適に奏する観点からは、接着層5に観察される融解ピーク温度は、全て120~170℃の範囲であることが好ましい。当該融解ピーク温度は、蓄電デバイス用外装材から、接着層を取得して測定サンプルすること以外は、前記の(融解ピーク温度)の欄に記載した方法で測定する。
 接着層5は、バリア層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層5の形成に使用される樹脂としては、熱可塑性樹脂が好適に使用できる。接着層5の形成に使用される樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましく、前述の熱融着性樹脂層4で例示したポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンが挙げられる。一方、バリア層3と接着層5とを強固に接着する観点から、接着層5は酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。酸変性成分としては、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸やこれらの無水物、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられるが、変性のし易さや汎用性などの点から無水マレイン酸が最も好ましい。また、蓄電デバイス用外装材の耐熱性の観点からは、オレフィン成分はポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、接着層5は無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含むことが最も好ましい。
 接着層5の形成に使用される樹脂としてはポリオレフィン骨格を含んでいる場合、接着層5は、ポリオレフィン骨格を含む樹脂を主成分として含んでいることが好ましく、酸変性ポリオレフィンを主成分として含んでいることがより好ましく、酸変性ポリプロピレンを主成分として含んでいることがさらに好ましい。ここで、主成分とは、接着層5に含まれる樹脂成分のうち、含有率が、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上の樹脂成分であることを意味する。例えば、接着層5が酸変性ポリプロピレンを主成分として含むとは、接着層5に含まれる樹脂成分のうち、酸変性ポリプロピレンの含有率が、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であることを意味する。
 接着層5を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。また、接着層5を構成している樹脂が酸変性ポリオレフィンを含むことは、例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
 接着層5をバリア層3や熱融着性樹脂層4などと積層して本開示の蓄電デバイス用外装材10を製造する際に、予め形成された樹脂フィルムを接着層5として用いてもよい。また、接着層5を形成する熱融着性樹脂を、押出成形や塗布などによってバリア層3や熱融着性樹脂層4などの表面上でフィルム化して、樹脂フィルムにより形成された接着層5としてもよい。
 接着層5の厚さは、好ましくは、約60μm以下、約50μm以下、約45μm以下である。また、接着層5の厚さは、好ましくは、約10μm以上、約20μm以上、約25μm以上、約30μm以上である。また、接着層5の厚さの範囲としては、好ましくは、10~60μm程度、10~50μm程度、10~45μm程度、20~60μm程度、20~50μm程度、20~45μm程度、25~60μm程度、25~50μm程度、25~45μm程度、30~60μm程度、30~50μm程度、30~45μm程度が挙げられる。接着層5は、例えば、熱融着性樹脂層4と接着層5との押出成形により形成することができる。
[表面被覆層6]
 本開示の蓄電デバイス用外装材は、意匠性、耐電解液性、耐傷性、成形性などの向上の少なくとも一つを目的として、必要に応じて、基材層1の上(基材層1のバリア層3とは反対側)に、表面被覆層6を備えていてもよい。表面被覆層6は、蓄電デバイス用外装材を用いて蓄電デバイスを組み立てた時に、蓄電デバイス用外装材の最外層側に位置する層である。
 表面被覆層6は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂により形成することができる。
 表面被覆層6を形成する樹脂が硬化型の樹脂である場合、当該樹脂は、1液硬化型及び2液硬化型のいずれであってもよいが、好ましくは2液硬化型である。2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ポリウレタン、2液硬化型ポリエステル、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも2液硬化型ポリウレタンが好ましい。
 2液硬化型ポリウレタンとしては、例えば、ポリオール化合物を含有する第1剤と、イソシアネート化合物を含有する第2剤とを含むポリウレタンが挙げられる。好ましくはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびアクリルポリオール等のポリオールを第1剤として、芳香族系又は脂肪族系のポリイソシアネートを第2剤とした二液硬化型のポリウレタンが挙げられる。また、ポリウレタンとしては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、イソシアネート化合物とを含むポリウレタンが挙げられる。ポリウレタンとしては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物と、ポリオール化合物とを含むポリウレタンが挙げられる。ポリウレタンとしては、例えば、予めポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたポリウレタン化合物を、空気中などの水分と反応させることによって硬化させたポリウレタンが挙げられる。ポリオール化合物としては、繰り返し単位の末端の水酸基に加えて、側鎖にも水酸基を有するポリエステルポリオールを用いることが好ましい。第2剤としては、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族のイソシアネート系化合物が挙げられる。イソシアネート系化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化XDI(H6XDI)、水素化MDI(H12MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等が挙げられる。また、これらのジイソシアネートの1種類又は2種類以上からの多官能イソシアネート変性体等が挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物として多量体(例えば三量体)を使用することもできる。このような多量体には、アダクト体、ビウレット体、ヌレート体等が挙げられる。なお、脂肪族イソシアネート系化合物とは脂肪族基を有し芳香環を有さないイソシアネートを指し、脂環式イソシアネート系化合物とは脂環式炭化水素基を有するイソシアネートを指し、芳香族イソシアネート系化合物とは芳香環を有するイソシアネートを指す。表面被覆層6がポリウレタンにより形成されていることで蓄電デバイス用外装材に優れた電解液耐性が付与される。
 表面被覆層6は、表面被覆層6の表面及び内部の少なくとも一方には、該表面被覆層6やその表面に備えさせるべき機能性等に応じて、必要に応じて、前述した滑剤や、アンチブロッキング剤、艶消し剤、難燃剤、酸化防止剤、粘着付与剤、耐電防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、平均粒子径が0.5nm~5μm程度の微粒子が挙げられる。添加剤の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定されたメジアン径とする。
 添加剤は、無機物及び有機物のいずれであってもよい。また、添加剤の形状についても、特に制限されず、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、鱗片状などが挙げられる。
 添加剤の具体例としては、タルク、シリカ、グラファイト、カオリン、モンモリロナイト、マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、高融点ナイロン、アクリレート樹脂、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケルなどが挙げられる。添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の中でも、分散安定性やコストなどの観点から、好ましくはシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、添加剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理などの各種表面処理を施してもよい。
 表面被覆層6を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、表面被覆層6を形成する樹脂を塗布する方法が挙げられる。表面被覆層6に添加剤を配合する場合には、添加剤を混合した樹脂を塗布すればよい。
 表面被覆層6の厚みとしては、表面被覆層6としての上記の機能を発揮すれば特に制限されず、例えば0.5~10μm程度、好ましくは1~5μm程度が挙げられる。
3.蓄電デバイス用外装材の製造方法
 蓄電デバイス用外装材の製造方法については、本開示の蓄電デバイス用外装材が備える各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されず、少なくとも、基材層1、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4がこの順となるように積層する工程を備える方法が挙げられる。すなわち、本開示の蓄電デバイス用外装材の製造方法は、少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とがこの順となるように積層して積層体を得る工程を備えており、示差走査熱量計を用いて前記熱融着性樹脂層について測定されるDSC曲線は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、インデンテーション法に基づき、測定温度110℃において、前記蓄電デバイス用外装材の前記熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下である。熱融着性樹脂層4の加工温度が高いとせん断がかかりやすく、熱分解がおこりやすい。そのため、物性が不安定になりやすい。一方、熱融着性樹脂層4の加工温度が低いと、熱分解はおこりにくいが、所望の温度での開封の調整が困難となる。適度な温度で加工することで、蓄電デバイスが高温(例えば110℃程度)になるまで、蓄電デバイス用外装材によって密封され、かつ蓄電デバイス内部で発生したガスを放出したい温度(例えば120℃程度)においては、蓄電デバイス用外装材が開封する、蓄電デバイス用外装材に調整することができる。
 本発明の蓄電デバイス用外装材の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、基材層1、接着剤層2、バリア層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理されたバリア層3に接着剤層2の形成に使用される接着剤を、グラビアコート法、ロールコート法などの塗布方法で塗布、乾燥した後に、当該バリア層3又は基材層1を積層させて接着剤層2を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。
 次いで、積層体Aのバリア層3上に、熱融着性樹脂層4を積層させる。バリア層3上に熱融着性樹脂層4を直接積層させる場合には、積層体Aのバリア層3上に、熱融着性樹脂層4をサーマルラミネート法、押出ラミネート法などの方法により積層すればよい。また、バリア層3と熱融着性樹脂層4の間に接着層5を設ける場合には、接着層5と熱融着性樹脂層4は、例えば、(1)押出ラミネート法、(2)サーマルラミネート法、(3)サンドイッチラミネート法、(4)ドライラミネート法などにより積層することができる。(1)押出ラミネート法としては、例えば、積層体Aのバリア層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4を押出しすることにより積層する方法(共押出ラミネート法、タンデムラミネート法)などが挙げられる。また、(2)サーマルラミネート法としては、例えば、別途、接着層5と熱融着性樹脂層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aのバリア層3上に積層する方法や、積層体Aのバリア層3上に接着層5が積層した積層体を形成し、これを熱融着性樹脂層4と積層する方法などが挙げられる。また、(3)サンドイッチラミネート法としては、例えば、積層体Aのバリア層3と、予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aと熱融着性樹脂層4を貼り合せる方法などが挙げられる。また、(4)ドライラミネート法としては、例えば、積層体Aのバリア層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を溶液コーティングし、乾燥させる方法や、さらには焼き付ける方法などにより積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4を積層する方法などが挙げられる。
 表面被覆層6を設ける場合には、基材層1のバリア層3とは反対側の表面に、表面被覆層6を積層する。表面被覆層6は、例えば表面被覆層6を形成する上記の樹脂を基材層1の表面に塗布することにより形成することができる。なお、基材層1の表面にバリア層3を積層する工程と、基材層1の表面に表面被覆層6を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層1の表面に表面被覆層6を形成した後、基材層1の表面被覆層6とは反対側の表面にバリア層3を形成してもよい。
 上記のようにして、必要に応じて設けられる表面被覆層6/基材層1/必要に応じて設けられる接着剤層2/バリア層3/必要に応じて設けられる接着層5/熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体が形成されるが、必要に応じて設けられる接着剤層2及び接着層5の接着性を強固にするために、さらに、加熱処理に供してもよい。
 蓄電デバイス用外装材において、積層体を構成する各層には、必要に応じて、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施すことにより加工適性を向上させてもよい。例えば、基材層1のバリア層3とは反対側の表面にコロナ処理を施すことにより、基材層1表面へのインクの印刷適性を向上させることができる。
4.蓄電デバイス用外装材の用途
 本開示の蓄電デバイス用外装材は、正極、負極、電解質等の蓄電デバイス素子を密封して収容するための包装体に使用される。すなわち、本開示の蓄電デバイス用外装材によって形成された包装体中に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子を収容して、蓄電デバイスとすることができる。
 具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子を、本開示の蓄電デバイス用外装材で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子を外側に突出させた状態で、蓄電デバイス素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、蓄電デバイス用外装材を使用した蓄電デバイスが提供される。なお、本開示の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に蓄電デバイス素子を収容する場合、本開示の蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂部分が内側(蓄電デバイス素子と接する面)になるようにして、包装体を形成する。2つの蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層同士を対向させて重ね合わせ、重ねられた蓄電デバイス用外装材の周縁部を熱融着して包装体を形成してもよく、また、図4に示す例のように、1つの蓄電デバイス用外装材を折り返して重ね合わせ、周縁部を熱融着して包装体を形成してもよい。折り返して重ね合わせる場合は、図4に示す例のように、折り返した辺以外の辺を熱融着して三方シールにより包装体を形成してもよいし、フランジ部が形成できるように折り返して四方シールしてもよいし、蓄電デバイス素子の周囲に蓄電デバイス用外装材を巻きつけ、熱融着性樹脂層同士をシールすることで熱融着部を形成し、両端の開口部をそれぞれ閉じるように蓋体などを配置してもよい。また、蓄電デバイス用外装材には、蓄電デバイス素子を収容するための凹部が、深絞り成形または張出成形によって形成されてもよい。図4に示す例のように、一方の蓄電デバイス用外装材には凹部を設けて他方の蓄電デバイス用外装材には凹部を設けなくてもよいし、他方の蓄電デバイス用外装材にも凹部を設けてもよい。
 本開示の蓄電デバイス用外装材は、電池(コンデンサー、キャパシター等を含む)などの蓄電デバイスに好適に使用することができる。また、本開示の蓄電デバイス用外装材は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池に使用される。本開示の蓄電デバイス用外装材が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、全固体電池、半固体電池、擬固体電池、ポリマー電池、全樹脂電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本開示の蓄電デバイス用外装材の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
 以下に実施例及び比較例を示して本開示を詳細に説明する。但し本開示は実施例に限定されるものではない。
<蓄電デバイス用外装材の製造>
実施例1-4及び比較例1-4
 基材層として、延伸ナイロン(ONy)フィルム(厚さ25μm)を用意した。また、バリア層として、アルミニウム箔(JIS H4160:1994 A8021H-O(厚さ40μm))を用意した。次に、ドライラミネート法により、基材層とバリア層とを、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を用いて接着し、エージング処理を実施することにより、基材層(厚み25μm)/接着剤層(硬化後の厚みは3μm)/バリア層(厚み40μm)の積層体を作製した。アルミニウム箔の両面には、化成処理が施してある。アルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥質量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、焼付けすることにより行った。
 次に、上記で得られた積層体のバリア層の上に、接着層(厚さ22.5μm)としての無水マレイン酸変性ポリプロピレン(それぞれ表1のPPa)と、熱融着性樹脂層(厚さ22.5μm)としてのランダムポリプロピレン(それぞれ表1のPP1、PP2、PP3)とを、バリア層の上に共押出しして、基材層(厚さ25μm)/接着剤層(3μm)/バリア層(40μm)/接着層(22.5μm)/熱融着性樹脂層(22.5μm)が順に積層された蓄電デバイス用外装材を得た。実施例3,4及び比較例4で熱融着性樹脂層に使用したPP2は、230℃でのMFRの異なるポリプロピレンA,Bを混合したものである。ポリプロピレンA,BのMFRの差は18g/10分である。
 熱融着性樹脂層の製膜温度は、実施例1における製膜温度を基準として、実施例2では基準温度+10℃、実施例3では基準温度-20℃、実施例4では基準温度-10℃、比較例1では基準温度+10℃、比較例2では基準温度-20℃、比較例3では基準温度+15℃、比較例4では基準温度+10℃として、熱融着性樹脂層の樹脂の種類だけでなく製膜温度でもマルテンス硬さを調整した。
 実施例1-4及び比較例1-4の接着層又は熱融着性樹脂層の融解ピーク温度は、表1に示す通りである。また、これらの融解ピーク温度は、以下の方法により測定した。
(融解ピーク温度の測定)
 蓄電デバイス用外装材から、接着層及び熱融着性樹脂層を取得して測定サンプルとした。各測定サンプルについて、JIS K7121:1987およびJIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法(JIS K7121:2012はJIS K7121:1987の追補1))の規定に準拠して測定されたDSC曲線の融解ピーク温度を確認した。測定は、示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント製の示差走査熱量計Q200)を用いて行った。
(マルテンス硬さの測定)
 インデンテーション法に基づき、測定温度(サンプル温度)110℃において、各蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで、マルテンス硬さを測定した。測定条件は以下の通りである。マルテンス硬さは、ビッカース圧子の押し込みによって得られた荷重-変位曲線から算出した。測定値としては、熱融着性樹脂層側の表面10か所について求めた平均を採用した。マルテンス硬さは、ビッカース圧子の最大押し込み深さにおける圧子の表面積A(mm2)を計算し、表面積A(mm2)で最大荷重F(N)を割る(F/A)ことで求められる。熱融着性樹脂層の表面の当該マルテンス硬さの測定方法の詳細は、以下の通りである。測定装置としては、フィッシャーインストルメンツ社製のピコデンターHM-500を用いた。両面粘着テープを取り付けたスライドガラス(76mm×26mm×1mm)の片面に、熱融着性樹脂層側がスライドガラスの反対側となるように蓄電デバイス用外装材を接着し、測定サンプルとした。次に、ビッカース圧子を取り付けた超微小硬度計に加熱ステージを設置し、ステージ温度を120℃に設定してサンプルを5分加熱した。次に測定サンプルの熱融着性樹脂層側の表面について、表面硬度を測定した。表面硬度の測定値は、小数点以下3桁目を四捨五入して小数点以下2桁に揃えた。結果を表1に示す。
<測定条件>
・圧子:ビッカース(四角錐の先端部分の対面角136°)
・測定温度(サンプル温度):110℃
・ステージ温度:120℃(サンプル温度が110℃になる温度)
・速度:1.000μm/10秒
・測定深さ:1.0μm
・保持時間:5秒
・押し込みから戻す速度:1.000μm/10秒
(ヒートシール強度の測定)
 JIS K7127:1999の規定に準拠して、それぞれ、表1に記載の各測定温度(サンプル温度)における蓄電デバイス用外装材のシール強度を次のようにして測定した。試験片として、TDの方向の幅が15mmの短冊状に裁断した蓄電デバイス用外装材を準備した。具体的には、図5に示すように、まず、各蓄電デバイス用外装材を60mm(TDの方向)×200mm(MDの方向)に裁断して試験片とした(図5a)。このとき、蓄電デバイス用外装材(幅1000mm)の幅方向の10箇所(等間隔)から、それぞれ試験片を10個ずつ取得した。次に、各試験片について、熱融着性樹脂層同士が対向するようにして、蓄電デバイス用外装材を折り目P(MDの方向の中間)の位置でMDの方向に2つ折りにした(図5b)。折り目Pから10mm程度MDの方向に内側において、シール幅7mm、温度190℃、面圧1.0MPa、3秒間の条件で熱融着性樹脂層同士をヒートシールした(図5c)。図5cにおいて、斜線部Sがヒートシールされている部分である。次に、TDの方向の幅が15mmとなるようにして、MDの方向に裁断(図5dの二点鎖線の位置で裁断)して測定サンプルを得た(図5e)。次に、測定サンプル13を各測定温度で2分間放置し、各測定温度環境において、引張り試験機(島津製作所製、AG-Xplus(商品名))でヒートシール部(熱融着部)の熱融着性樹脂層を300mm/分の速度で剥離させた(図6)。剥離時の最大強度をヒートシール強度(N/15mm)とした。チャック間距離は、50mmである。それぞれ、得られたヒートシール強度は、測定サンプル10個についての平均値とする。結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 実施例1-4の蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、かつ、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下である。実施例1-4の蓄電デバイス用外装材は、熱融着性樹脂層の融点が低いにも拘わらず、蓄電デバイスが110℃の高温になるまで、ヒートシール強度が高く、蓄電デバイス用外装材が内容物を好適に密封していた。また、実施例1-4の蓄電デバイス用外装材は、120℃において、ヒートシール強度は十分に低くなっており、蓄電デバイス用外装材が爆発・炎上する前に開封し、可燃性のガスを放出する能力を有していた。
 比較例2の蓄電デバイス用外装材は、熱融着性樹脂層の110℃でのマルテンス硬さが11.0MPaより大きく、120℃におけるヒートシール強度が20N/15mmより大きい。また、比較例3、4の蓄電デバイス用外装材は、熱融着性樹脂層の110℃でのマルテンス硬さが8.5MPa未満であり、110℃におけるヒートシール強度が30N/15mm未満である。比較例2,3,4は、いずれも本開示の蓄電デバイス用外装材が満たすべき構成を充足していない。これに対して、実施例1-4の蓄電デバイス用外装材は、熱融着性樹脂層の110℃でのマルテンス硬さが8.5MPa以上11.0MPa以下であり、110℃でのヒートシール強度は30N/15mm以上であり、120℃におけるヒートシール強度は20N/15mm以下であった。また、比較例1の蓄電デバイス用外装材は、熱融着性樹脂層の110℃でのマルテンス硬さが8.5MPa以上11.0MPa以下の範囲内であったが、熱融着性樹脂層について測定されるDSC曲線の融解ピーク温度が140℃と高く、120℃におけるヒートシール強度が20N/15mm以上であった。また、比較例3,比較例4においては、製膜後の冷却ロールに巻付きかける不具合が生じていたが、理由として、130℃以下に融解ピーク温度を有する樹脂を熱融着性樹脂層に用い、かつ、そのマルテンス硬さが低いためと考えられる。このようなことからも上記に示したマルテンス硬さの範囲であることが望ましい。
 以上の通り、本開示は、以下に示す態様の発明を提供する。
項1. 少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成された蓄電デバイス用外装材であって、
 示差走査熱量計を用いて前記熱融着性樹脂層について測定されるDSC曲線は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、
 インデンテーション法に基づき、測定温度110℃において、前記蓄電デバイス用外装材の前記熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下である、蓄電デバイス用外装材。
項2. 前記熱融着性樹脂層を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を有する、項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
項3. 前記熱融着性樹脂層を構成している樹脂は、ポリプロピレンを含む、項1または2に記載の蓄電デバイス用外装材。
項4. 前記バリア層と前記熱融着性樹脂層との間に、接着層を備え、
 前記接着層を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を有する、項1~3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項5. 前記接着層は、120℃以上170℃以下の範囲に融解ピーク温度が観察される、項4に記載の蓄電デバイス用外装材。
項6. 前記接着層を構成している樹脂は、酸変性ポリプロピレンを含む、項4又は5に記載の蓄電デバイス用外装材。
項7. 少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とがこの順となるように積層して積層体からなる蓄電デバイス用外装材を得る工程を備えており、
 示差走査熱量計を用いて前記熱融着性樹脂層について測定されるDSC曲線は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、
 インデンテーション法に基づき、測定温度110℃において、前記蓄電デバイス用外装材の前記熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下である、蓄電デバイス用外装材の製造方法。
項8. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子が、項1~6のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
1 基材層
2 接着剤層
3 バリア層
4 熱融着性樹脂層
5 接着層
6 表面被覆層
10 蓄電デバイス用外装材

Claims (8)

  1.  少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体から構成された蓄電デバイス用外装材であって、
     示差走査熱量計を用いて前記熱融着性樹脂層について測定されるDSC曲線は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、
     インデンテーション法に基づき、測定温度110℃において、前記蓄電デバイス用外装材の前記熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下である、蓄電デバイス用外装材。
  2.  前記熱融着性樹脂層を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を有する、請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
  3.  前記熱融着性樹脂層を構成している樹脂は、ポリプロピレンを含む、請求項1または2に記載の蓄電デバイス用外装材。
  4.  前記バリア層と前記熱融着性樹脂層との間に、接着層を備え、
     前記接着層を構成している樹脂は、ポリオレフィン骨格を有する、請求項1または2に記載の蓄電デバイス用外装材。
  5.  前記接着層は、120℃以上170℃以下の範囲に融解ピーク温度が観察される、請求項4に記載の蓄電デバイス用外装材。
  6.  前記接着層を構成している樹脂は、酸変性ポリプロピレンを含む、請求項4に記載の蓄電デバイス用外装材。
  7.  少なくとも、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とがこの順となるように積層して、積層体からなる蓄電デバイス用外装材を得る工程を備えており、
     示差走査熱量計を用いて前記熱融着性樹脂層について測定されるDSC曲線は、115℃以上130℃以下の範囲に少なくとも1つの融解ピーク温度を有し、
     インデンテーション法に基づき、測定温度110℃において、前記蓄電デバイス用外装材の前記熱融着性樹脂層側の表面から厚み方向にビッカース圧子を深さ1μmまで押し込んで測定される、マルテンス硬さが、8.5MPa以上11.0MPa以下である、蓄電デバイス用外装材の製造方法。
  8.  少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子が、請求項1または2に記載の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
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